[4−(6−ハロ−7−置換−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素、ならびにそれに関連する形態および方法
本発明は、式(I)の新規なスルホニル尿素化合物ならびにそれらの薬学的に受容可能な誘導体、多形形態および非晶質形態を提供する。様々な形態のそれらの化合物は、有効な血小板ADPレセプターインヒビターであり、様々な薬学的組成物において用いることができ、心血管疾患、特に血栓症に関連する疾患の予防および/または処置について特に効果的である。本発明は、そのような化合物および形態を調製ならびに治療有効量の式(I)の化合物または薬学的に受容可能なその塩もしくは形態を投与する工程を含む、哺乳動物における血栓症および血栓症関連病態を予防または処置するための方法も提供する。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2005年11月3日に出願された米国仮特許出願第60/733,650号の利益を主張する。米国仮特許出願第60/733,650号の内容は、参考として援用される。
【0002】
(発明の背景)
血栓合併症は、工業化された世界における主要な死因である。これらの合併症の例としては、急性心筋梗塞、不安定狭心症、慢性安定狭心症、一過性脳虚血発作、脳卒中、末梢血管疾患、子癇前症/子癇、深部静脈血栓症、塞栓症、播種性血管内凝固および血栓性血球減少性紫斑病が含まれる。血栓性および再狭窄合併症も、侵襲的処置、例えば、血管形成、頚動脈内膜切除、CABG(冠状動脈バイパス移植)手術、人工血管手術、ステント設置および血管内デバイスおよびプロテーゼの挿入、ならびに遺伝子的疾病素質または癌に関連する凝固亢進状態に続いて生じる。これらの事象において血小板凝集物が重要な役割を果たすと一般的に考えられている。血小板は、通常、血管系内を自由に循環し、活性化され、凝集して、破裂したアテローム性動脈硬化病巣または血管形成のような侵襲的処置により引き起こされる血流の乱れにより血栓を形成し、血管閉塞をもたらす。血小板活性化は、種々の作用因子、例えば、曝露されたコラーゲンのような内皮下マトリックス分子により、または凝固カスケード中で形成されるトロンビンにより開始され得る。
【0003】
血小板活性化および凝集の重要な媒介物質がADP(アデノシン5’−二リン酸)であり、これは、コラーゲンおよびトロンビンのような種々の作用因子による活性化の際に血管系内の血小板から、ならびに損傷した血液細胞、内皮または組織から放出される。ADPによる活性化は、より多くの血小板の漸増および既存の血小板凝集物の安定化をもたらす。凝集を媒介する血小板ADPレセプターは、ADPおよびその誘導体のうちのいくつかにより活性化され、ATP(アデノシン5’−三リン酸)およびその誘導体のうちのいくつかにより拮抗される(Mills,D.C.B.(1996)Thromb.Hemost.76:835〜856)。従って、血小板ADPレセプターは、プリンおよび/またはピリミジンヌクレオチドにより活性化されるP2レセプターのファミリーのメンバーである(King,B.F.,Townsend−Nicholson,A.& Burnstock,G.(1998)Trends Pharmacol.Sci.19:506〜514)。
【0004】
選択的アンタゴニストを用いた最近の薬理学的データは、ADP依存性血小板凝集が、少なくとも2つのADPレセプターの活性化を必要とすることを示唆している(Kunapuli,S.P.(1998),Trends Pharmacol.Sci.19:391〜394;Kunapuli,S.P.& Daniel,J.L.(1998)Biochem.J.336:513〜523;Jantzen,H.M.et al.(1999)Thromb.Hemost.81:111〜117)。1つのレセプターは、クローン化P2Y1レセプターと同一であると思われ、ホスホリパーゼC活性化および細胞内カルシウム移動を媒介し、血小板の形状変化に必要とされる。凝集に重要な第二の血小板ADPレセプターは、アデニリルシクラーゼの阻害を媒介する。このレセプターは、その薬理学的特性およびシグナル伝達特性に基づき、暫定的にP2YADPと呼ばれてきた(Fredholm,B.B.et al.(1997)TIPS 18:79〜82)、P2TAC(Kunapuli,S.P.(1998)Trends Pharmacol.Sci.19:291〜394)またはP2Ycyc(Hechler,B.ら(1998)Blood 92,152〜159)。より最近になって、このレセプターの分子クローニングにより(Hollopeter,G.et al.(2001)Nature 409:202〜207)、このレセプターは、Gタンパク質共役型ファミリーの新たなメンバーであり、チエノピリジン系薬であるチクロピジンおよびクロピドグレルの標的であることが明らかになった。このレセプターに与えられた用語は、P2Y12である。
【0005】
抗血栓活性を有し、直接的または間接的に作用する、ADP依存性血小板凝集の種々の合成インヒビターが報告されている。経口的に活性な抗血栓性のチエノピリジン系チクロピジンおよびクロピドグレルは、ADP誘発性血小板凝集、放射能標識されたADPレセプターアゴニスト2−メチルチオアデノシン5’−二リン酸の血小板への結合、および間接的に、おそらくは不安定で不可逆的に作用する代謝産物の形成を介して、他のADP依存性事象を阻害する(Quinn,M.J.& Fitzgerald,D.J.(1999)Circulation 100:1667〜1667)。内因性のアンタゴニストATP(例えば、AR−C(以前はFRLまたはARL)67085MXおよびAR−C69931MX)の一部のプリン誘導体は、ADP依存性血小板凝集を阻害し、動物血栓症モデルにおいて有効な選択的血小板ADPレセプターアンタゴニストである(非特許文献1;非特許文献2)。新規のトリアゾロ[4,5−d]ピリミジン化合物が、P2T−アンタゴニストとして開示されている(特許文献1)。血小板ADPレセプターインヒビターとしての三環化合物も、特許文献2に開示されている。これらの抗血栓化合物の標的は、アデニリルシクラーゼの阻害を媒介する血小板ADPレセプターであるP2Y12と思われる。
【0006】
これらの化合物にもかかわらず、より有効な血小板ADPレセプターインヒビターに対する要望が存在する。とりわけ、心血管疾患、特に血栓症に関連する心血管疾患の予防および/または処置的に有効な抗血栓活性を有する血小板ADPレセプターインヒビターに対する要望がある。
【0007】
加えて、有効な薬剤にとって生物活性が必要不可欠であると同時に、化合物は大規模製造が可能でなければならず、化合物の物理的特性は、処方された有効成分の有効性およびコストに著しく影響を与え得る。酸性および塩基性化合物の塩は、親化合物の物理的特性を変更または改善し得る。しかしながら、これらの塩形成剤は、製薬化学者により実験的に特定されなければならない。なぜならば、剤形中の親化合物の挙動に対する塩種の影響を予測する信頼できる方法が皆無だからである。選択プロセスを潜在的に単純化し得る効果的なスクリーニング技法は、残念ながら存在しない(G.W.Radebaugh and L.J.Ravin Preformulatio.In,Remington:The Science and Practice of Pharamacy;A.R.Gennaro Ed.;Mack Publishing Co.Easton,Pa.,1995;pp 1456〜1457)。
【0008】
塩の非晶質および種々の結晶質固体/多形形態が、薬学的に有用な化合物の間で頻繁に遭遇される。多形は、2つ以上の別個の結晶種として結晶化する任意の元素または化合物の能力でもある。溶解性、融点/吸熱極大、密度、硬度、結晶形および安定性を含む物理的特性は、同じ化学的化合物の種々の形態について全く異なり得る。
【0009】
結晶質固体および非晶質形態は、散乱手法、例えば、X線回折粉末パターン、分光方法、例えば、赤外、固体13Cおよび19F核磁気共鳴分光法、および熱的手法、例えば、示差走査熱量測定または示差熱分析により特徴付けることができる。化合物の異なるバッチのX線粉末回折パターンにおけるピークの強度は若干変わり得るが、ピークおよびピーク位置は、特定の結晶質固体または非晶質形態について特徴的である。加えて、赤外、ラマンおよび熱的方法は、結晶質または固体非晶質形態を分析し、特徴付けるために用いられてきた。固体および非晶質形態は、技術的に知られている手順に従って決定されるX線粉末回折パターンからのデータにより特徴付けられ得る(J.Haleblian,J.Pharm.Sci.1975 64:1269〜1288,and J.Haleblain and W.McCrone,J.Pharm.Sci.1969 58:911〜929参照)。化合物の種々のバッチのX線粉末回折パターンにおけるピークの強度は若干変わり得るが、ピークおよびピーク位置は、特定の結晶質固体形態について特徴的である。
【0010】
解決されなければならない問題は、(i)製造プロセス中の十分な科学的安定性を有し、(ii)効率的に調製、精製および回収され、(ii)薬学的に受容可能な溶媒中での受容可能な溶解性を提供し、(iii)化合物の分解または物理的および化学的特性の変化を無視して操作(例えば、流動性および粒径)および処方が容易にでき、(iv)処方中での受容可能な化学的安定性を示す、適切な塩および形態を特定することである。加えて、活性成分を高モル百分率で含有する塩および形態が非常に望ましい。なぜならば、それらの塩および形態は、治療有効用量を製造するために処方および投与されなければならない物質の量を最小限にするからである。これらのしばしば矛盾する要件は、適切な塩の特定を、薬剤開発が本腰を入れて進行できる前に熟練した薬学科学者により解決されなければならない困難かつ重要な問題にする。
【0011】
従って、本発明のこれらの化合物の化合物および塩ならびに非晶質および結晶質固体形態、そして本発明の化合物の化合物、塩および結晶質固体形態を製造するための効率的なプロセスに対する要望がある。化合物が血栓症の日常的処置のために実効的になる前に、上記の困難および不備に対する解決策が必要とされる。
【0012】
ポリアリール化合物は一般に、高度に結晶質であり、水溶性に乏しくかつ疎水性であり、薬学的処方の調製における困難および生物学的利用能と関連する問題という結果になる。従って、本発明の化合物の他の形態を発見し、その特性を調べるために努力が傾注された。本発明の化合物の塩の結晶質固体形態が発見された。本発明は、より良好な悪影響プロファイルを提示する一方で、多形ならびに血栓症を処置および予防するための方法を提供することにより、上記の要求を満たす。
【特許文献1】国際公開第99/05144号パンフレット
【特許文献2】国際公開第99/36425号パンフレット
【非特許文献1】Humphries et.al.(1995)、Trends Pharmacol.Sci.16,179
【非特許文献2】Ingall,A.H.et al.(1999)J.Med.Chem.42,213〜2302
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の要旨
1つの局面において、本発明は、式(I):
【0014】
【化6】
を有する化合物を提供し、
式中、R1は、H、ハロゲン、−OH、−C1−10−アルキルおよびC1−6−アルキルアミノからなる群から選択され、
Xは、FおよびIからなる群から選択される。
【0015】
本発明は、式(I)の化合物のすべての薬学的に受容可能な誘導体もカバーする。
【0016】
別の局面において、本発明は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素のカリウムおよびナトリウム塩の結晶質固体および非晶質形態を提供する。
【0017】
別の局面において、本発明は、哺乳動物における血栓症および血栓症関連条件を予防または処置するための薬学的組成物を提供する。組成物は、治療有効量の式(I)の1つ以上の化合物または薬学的に受容可能なその塩および薬学的に受容可能なキャリアもしくは賦形剤を含有する。本発明はさらに、治療有効量の式(I)の化合物または薬学的に受容可能なその塩を投与することにより、哺乳動物における血栓症および血栓症関連病態を予防または処置するための方法を提供する。
【0018】
さらに別の局面において、本発明は、式(I)の化合物、それらの結晶質固体および非晶質形態ならびに哺乳動物における血栓症および血栓症関連病態を予防または処置するための薬学的組成物を調製するための方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
発明の詳細な説明
本発明は、スルホニル尿素化合物およびそれらの誘導体ならびにそれらの結晶質固体および非晶質形態、そしてそれらの調製を含む。[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素のカリウム塩は、優れた結晶性、安定性および純度を有する。本発明の化合物は、哺乳動物における望ましくない血栓症および血栓症関連病害の処置および予防に有用である。
【0020】
I. 定義
本発明に従い、および本明細書中で用いられるように、以下の用語は、別に明示的に述べられていない限り、以下の意味によって定義される。
【0021】
本明細書中で用いられる文言「1つの(a)」または「1つの(an)」実体は、その実体のうちの1つ以上を意味し、例えば、1つの化合物(a compound)は、1つ以上の化合物または少なくとも1つの化合物を意味する。従って、用語「1つの(a)」(または、「1つの(an)」)、「1つ以上の(one or more)」、および「少なくとも1つの(at least one)」は、本明細書中で区別なく用いられ得る。
【0022】
本明細書中で用いられるような文言「約(about)」は、異なる計測器、試料、および試料調製の間で取られた測定において見られるかもしれない変動を意味する。そのような変動としては、例えば、熱測定についての束一性が含まれ得る。結晶質固体形態についての異なるX線回折計および試料調製の間の典型的な変動は、0.2°θのオーダーである。ラマンおよびIR分光計について典型的な変動は、分光計の解像度の2倍のオーダーである。用いられた分光計の解像度は、約2cm−1であった。
【0023】
本明細書中で用いられるような用語「溶媒和物(溶媒和物)」は、本発明に従って調製された場合に約0.3%より大きい量で、非共有結合性の分子間力により結合された化学量論的または非化学量論的量の溶媒をさらに含む、本発明の化合物またはその塩を意味する。
【0024】
本明細書中で用いられるような用語「水和物(hydrate)」は、非共有結合性の分子間力により結合された化学量論的または非化学量論的量の水をさらに含む、本発明の化合物またはその塩を意味する。水和物は、1つ以上の水分子と、その中で水がH2Oとしてのその分子状態を保持する1つ以上の物質との組み合わせにより形成され、そのような組み合わせは、1つ以上の水和物を形成することができる。
【0025】
本明細書中で用いられるような用語「「無水の(anhydrous)」は、本発明に従って調製された場合に、約3重量%未満の水または溶媒を含む、本発明の化合物またはその塩を意味する。
【0026】
本明細書中で用いられるような用語「乾燥(drying)」は、特に明記してあるものを除いて、大気圧または減圧下において、含有される溶媒および/または水のレベルが受容可能なレベルに到達するまで加熱してまたは加熱しないで行うことができる、溶媒および/または水を本発明の化合物から除去する方法を意味する。
【0027】
本明細書中で用いられるような用語「多形(polymorph)」は、1つの化合物が異なる結晶充填配置で結晶できる結晶構造を意味し、すべての充填配置は、同じ元素組成を有する。異なる結晶形態は通常、異なるX線回折パターン、赤外スペクトル、融点/吸熱極大、密度硬度、結晶形、光学的および電気的特性、安定性ならびに可溶性を有する。再結晶溶媒、結晶速度、保存温度、およびその他の因子により、1つの結晶形態が支配的になり得る。
【0028】
本明細書中で用いられるような用語「固体形態(solid form)」は、化合物が異なる充填配置で結晶できる結晶構造を意味する。固体形態は、本発明においてそれらの用語が用いられているような多形、水和物、および溶媒和物を含む。異なる多形を含む、同じ組成の異なる固体形態は、異なるX線粉末回折パターンならびに赤外、ラマン、および固体NMRを含む異なるスペクトルを呈する。それらの光学的、電気的、安定性、および可溶性特性も異なり得る。
【0029】
本明細書中で用いられるような用語「特徴付ける(characterize)」は、1つの化合物の1つの固体形態を1つの化合物の他の固体形態と区別するために、X線粉末回折、赤外分光法、ラマン分光法、および/または固体NMRのような分析測定値からデータを選択することを意味する。
【0030】
用語「哺乳動物(mammal)」は、ヒト、家庭動物(例えば、イヌまたはネコ)、家畜(ウシ、ウマ、またはブタ)、サル、ウサギ、マウス、および実験動物を制限なく含む。
【0031】
用語「アルキル(alkyl)」は、指定された数の炭素原子を有する、またはもし数が指定されていなければ、最高約12個の炭素原子の数を有する、直鎖、分岐鎖または環状基を含む飽和脂肪基を指す。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル等が含まれる。
【0032】
用語「アルコキシ(alkoxy)」「アルキルアミノ(alkylamino)」および「アルキルチオ(alkylthio)」(またはチオアルコキシ(thioalkxy)は、それらの通常の意味で用いられ、それぞれ酸素原子、アミノ基、または硫黄原子を介して分子の残りに結合されたアルキル基を指す。簡潔にするため、用語C1−6アルキルアミノは、メチル、エチル、2−メチルプロピル、シクロブチルおよびシクロプロピルメチルのような直鎖、分岐または環状アルキル基あるいはそれらの組み合わせを含むものとされる。
【0033】
本明細書中で用いられるような用語「C1−C6アルキルアミノ」または「C1−6アルキルアミノ」は、分子の残りに結合されたアミノ部分を指し、上記で定義されるように、窒素は1つないし2つのC1−6アルキル置換基によって置換されている。
【0034】
用語「ハロ(halo)」または「ハロゲン(halogen)」は、それら単独でまたは別の置換基の一部として、特に指定されていなければ、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を意味する。加えて、「ハロアルキル(haloalkyl)」のような用語は、モノハロアルキルおよびポリハロアルキルを含むものとされる。例えば、用語「C1−4ハロアルキル」は、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、4−クロロブチル、3−ブロモプロピル等を含むものとされる。
【0035】
「薬学的に受容可能な誘導体(pharmaceutically acceptable derivatives」」は、本明細書中で説明される化合物上で見出される特定の置換基に応じて、比較的非毒性の酸または塩基を用いて調製される活性化合物塩を含むものとされる。本発明の化合物が相対的に酸性の官能基を含む場合、塩基付加塩は、そのような化合物の中性型を十分な量の所望の塩基と、ストレートか適切な不活性溶媒中で接触されることにより得ることができる。薬学的に受容可能な塩基付加塩の例としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩等の無機塩基から誘導されたものが含まれる。カリウムおよびナトリウム塩が特に好ましい。薬学的に受容可能な無機非毒性塩基から誘導される塩としては、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2−ジエチルアミノエタノール、トリメタミン、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン類、ピペラジン、ピペリジン、N−エチルピペリジン、ポリアミン樹脂等の、第一、第二、および第三アミン、天然に産出する置換アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂の塩が含まれる。本発明の化合物が相対的に塩基性の官能基を含む場合、酸付加塩は、そのような化合物の中性型を十分な量の所望の酸と、ストレートか適切な不活性溶媒中で接触されることにより得ることができる。薬学的に受容可能な酸付加塩の例としては、塩化水素酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、沃化水素酸、または亜リン酸等の無機酸から誘導された塩、ならびに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸等の比較的非毒性の有機酸から誘導された塩が含まれる。また、アルギネート等のアミノ酸の塩、およびグルクロン酸またはガラクツロン酸等の有機酸の塩も含まれ(例えば、Berge,S.M.,et al,“Pharmaceutical Salts”,Journal of Pharmaceutical Science,1977,66,1−19;Bundgaard,H.,ed.,Design of Prodrugs(Elsevier Science Publishers,Amsterdam 1985)参照)。本発明のいくつかの特定の化合物は、それらの化合物を塩基付加塩か酸付加塩のいずれか一方に変換させる塩基性官能基および酸性官能基の両方を含む。
【0036】
これらの化合物の中性型は、その塩を塩基または酸と接触させ、従来の方法で親化合物を単離することにより再生することができる。この化合物の親形態は、極性溶媒における溶解度のような特定の物性において種々の塩形態と異なるが、その他の点では、これらの塩は、本発明の目的の化合物の親形態と同等である。
【0037】
塩形態に加え、用語「薬学的に受容可能な誘導体」は、プロドラッグ形態である化合物を含むものとされる。本明細書中で説明される化合物の「プロドラッグ(プロドラッグ)」は、生理的条件下で容易に化学変化を受けて本発明の化合物を提供する化合物である。加えて、プロドラッグは、生体外環境において化学的または生化学的方法により本発明の化合物に転換できる。例えば、プロドラッグは、適切な酵素または化学試薬と共に経皮パッチ貯蔵所(reservoir)中に置かれる場合、本発明の化合物にゆっくりと転換され得る(Bundgaard,H.,ed.,Design of Prodrugs(Elsevier Science Publishers,Amsterdam 1985)参照)。
【0038】
「薬学的に受容可能なエステル(pharmaceutically acceptable esters)」は、エステル結合の加水分解時に、カルボン酸またはアルコールの生物学的有効性および特性を保持し、生物学的または他の点で不適切ではないエステルを指す。プロドラッグとしての薬学的に受容可能なエステルの説明については、上記のBundgaard,H.を参照されたい。これらのエステルは典型的には、対応するカルボン酸およびアルコールから形成される。一般に、エステル形成は、従来の合成技法を介して遂行できる。(例えば、March Advanced Organic Chemistry,3rd. Ed.,p.1157(John Wiley & Sons,New York 1985)およびそこに引用されている参考文献、ならびにMark et al.,Encyclopedia of Chemical Technology,(1980)John Wiley & Sons,New York参照)。エステルのアルコール成分は一般に、(i)1つ以上の二重結合を含むことができまたはできず、分岐した炭素を含むことができまたはできないC2−C12脂肪族アルコール、または(ii)C7−C12芳香族もしくは複素環式芳香族アルコールを含む。本発明は、どちらも本明細書中で記載されるエステルであり、同時にそれらの薬学的に受容可能な酸付加塩である組成物の使用も企図している。
【0039】
「薬学的に受容可能なアミド(pharmaceutically acceptable amide)」は、アミド結合の加水分解時に、カルボン酸またはアミンの生物学的有効性および特性を保持し、生物学的または他の点で不適切ではないそれらのアミドを指す。プロドラッグとしての薬学的に受容可能なアミドの説明については、上記のBundgaard,H.を参照されたい。これらのアミドは典型的には、対応するカルボン酸およびアミンから形成される。一般に、アミド形成は、従来の合成技法を介して遂行できる。例えば、March et al.,Advanced Organic Chemistry,3rd. Ed.,p.1152(John Wiley & Sons,New York 1985)、およびMark et al.,Encyclopedia of Chemical Technology,(John Wiley & Sons,New York(1980)参照。本発明は、どちらも本明細書中で記載されるアミドであり、同時にそれらの薬学的に受容可能な酸付加塩である組成物の使用も企図している。
【0040】
用語「薬学的に受容可能な誘導体」も、水和形態を含む、非溶媒和形態ならびに溶媒和形態で存在し得る本発明の化合物を含むものとされる。一般に、溶媒和形態は非溶媒和形態と等価であり、本発明の範囲内に包含されることが意図される。本発明の特定の化合物は、複数の結晶形態または非結晶形態で存在し得る。一般に、すべての物理的形態は、本発明により企図される使用について等価であり、本発明の範囲内にあることが意図される。
【0041】
本発明の特定の化合物は、不斉炭素原子(光学中心)または二重結合を有し、ラセミ化合物、ジアステレオ異性体、幾何異性体および個々の異性体(例えば、別個の鏡像異性体)はすべて、本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0042】
本発明の化合物はまた、そのような化合物を構成する原子のうちの1つ以上において人為的な比率の原子同位元素を含み得る。例えば、これらの化合物は、例えば、トリチウム(3H)、ヨウ素−125(125I)または炭素−14(14C)のような放射性同位元素で放射能標識され得る。本発明の化合物のすべての同位元素変種は、放射性であるかどうかに関わらず、本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0043】
本明細書中の目的のための「生物学的特性(biological property」」は、インビトロアッセイによりしばしば示される本発明の化合物により直接的または間接的に実行されるインビボエフェクターまたは抗原機能もしくは活性を意味する。エフェクター機能としては、レセプターまたはリガンド結合、任意の酵素活性または酵素調整活性、任意のキャリア結合活性、任意のホルモン活性、細胞外マトリックスまたは細胞表面分子への細胞接着の促進または抑制における任意の活性、あるいは任意の構造的役割が含まれる。抗原機能としては、エピトープまたは抗原性部位の所用が含まれ、エピトープまたは抗原性部位は、それに対抗して生成された抗体と反応することができる。
【0044】
本明細書中で用いられているように、用語「予防(preveting)」は、それを必要としている患者の予防的処置を指す。予防的処置は、病気になる恐れのある被験体に適切な用量の治療薬剤を提供し、それにより病気の発生を実質的に回避することによって達成され得る。
【0045】
本明細書中で用いられているように、用語「処置(treating)」は、病気にかかっている被験体に適切な用量の治療薬剤を提供することを指す。
【0046】
本明細書中で用いられているように、用語「治療有効量(pharmaceutically effective amount)」は、病気にかかっている被験体の処置に影響を及ぼすのに十分な治療薬剤の量を指す。
【0047】
本明細書中で用いられているように、用語「病状(condition)」は、本発明の化合物、組成物および方法がそれに対して用いられる疾患状態を指す。
【0048】
本明細書中で用いられているように、用語「ADP−媒介性疾患または病状」等は、正常よりも小さいまたは大きいADP活性により特徴付けられる疾患または病状を指す。ADP−媒介性疾患または病状は、ADPの媒介が基となる疾患または病状に対するなんらかの効果という結果になるものである(例えば、ADPインヒビターまたはアンタゴニストは、少なくとも何人かの患者において患者健康状態のいくらかの改善という結果になる)。
【0049】
本明細書中で用いられているように、用語「血液試料(blood sample)」は、被験体から採取された全血あるいは血漿または血清を含有する血液のいずれかの分画を指す。
【0050】
本発明の化合物において、4つの異なる置換基に結合された炭素原子は不斉である。従って、これらの化合物は、ジアステレオ異性体、幾何異性体またはそれらの混合物として存在し得る。本明細書中で説明される合成は、ラセミ化合物、鏡像異性体またはジアステレオ異性体を出発物質または中間体として利用し得る。過ぎて、そのような合成の結果として生じるにジアステレオ異性体生成物は、クロマトグラフィまたは結晶化方法により、あるいは技術的に知られている他の方法により分離され得る。同様に、鏡像異性体生成物混合物は、同じ方法を用いて、または技術的に知られている他の方法により分離され得る。不斉炭素原子の各々は、本発明の化合物中に存在する場合、2つの配置(RまたはS)のうちの1つをとることができ、両方とも本発明の範囲内にある。
【0051】
II. 本発明の化合物実施形態
以下の式(I)の化合物は、本発明の1つの実施形態を表す:
【0052】
【化7】
Xは、FおよびIからなる群から選択され、
R1は、H、ハロゲン、−OH、−C1−10アルキルおよび−C1−6アルキルアミノからなる群から選択される。
【0053】
本発明は、式Iの化合物のすべての薬学的に受容可能な誘導体もカバーする。薬学的に受容可能な塩は、水素化カリウム、水酸化カリウム、カリウムアルコキシド、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムアルコキシド等を含むがそれらに限定されない少なくとも1つの無機塩基または有機塩基を用いて調製できる。
【0054】
上記の説明中に多くの好ましい実施形態がある。1群の好ましい実施形態において、R1は、C1−10アルキルまたはC1−6アルキルアミノである。
【0055】
好ましい実施形態の別の群において、R1は、C1−6アルキルアミノである。好ましい実施形態のさらに別の群において、XはFである。
【0056】
式Iの化合物についての最も好ましい実施形態には多くの特定の化合物があり、図1および以下においても示してある。
【0057】
本発明の1つの好ましい実施形態において、式(I)の化合物としては、次式を有する化合物が含まれる:
【0058】
【化8】
本発明の特に好ましい化合物の別の群は、次式を有する:
【0059】
【化9】
および/または
【0060】
【化10】
III. 本発明の化合物の調製
スキーム1は、式Iの特定の化合物を調製する方法を例示し、Arはフェニレンであり、R1およびX1は、上記で説明されたものである。
【0061】
【化11】
式Iの化合物は、2−ニトロ安息香酸メチルエステル化合物1を当業者に公知の手順により還元してアニリン2を得ることにより調製され得る。(公開特許出願US2002/077486も参照されたい)。例えば、ニトロ基還元の方法は、水素添加により実行できる。水素添加は、水素下および適切な溶媒中で、典型的にはアルコール中で室温において適切な触媒(例えば、10%Pd/CまたはPt(s)/C)を用いて実行される。化合物2を、適切に置換されたアリールイソシアネートを用いて処理することにより(方法A)、中間の尿素3aがもたらされる。代わりに、尿素3aは、適切な温度、好ましくは20℃で、THF、ジクロロメタンおよびMeCNのような不活性溶媒中のトリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンの存在下でトリホスゲンを用い、続いて置換アニリンを用いて化合物2を処理することにより(方法B)形成できる。方法Aまたは方法Bにより調製された尿素3aは、一般にさらに精製することなく、熱または塩基(N−メチルモルホリン(NMM)またはポリスチレン−NMM(PS−NMM))誘導閉環にかけてキナゾリンジオン4aを提供することができる。化合物4aのニトロ基は、当業者に公知の手順により還元して遊離アミノ基を生成することができる。例えば、還元の方法は、適切な溶媒、典型的にはアルコール中で適切な触媒(例えば、炭素上の10%パラジウム)を用いた水素添加により実行できる。スルホニル尿素結合の形成は、還元生成物であるアニリン5aを、ジクロロメタン中の置換チオフェン−2−スルホンアミド、N,N’−ジスクシンイミジルカーボネートおよびテトラメチルグアニジンの予混合溶液で処理し、続いてTFAを用いて室温で処置することにより達成でき、式Iのスルホニル尿素がもたらされる。代わりに、スルホニル尿素結合は、アニリン5aおよび5−クロロ−チオフェン−2−スルホニルエチルカルバメートを適切な溶媒中で反応させることによって形成することができ、溶媒としては、トルエン、アセトニトリル、1,4−ジオキサンおよびDMSOが含まれるが、それらに限定されない。
【0062】
スキーム2は、式Iの化合物を調製する別の方法を例示しており、ここで、R1は、例えば、アルキルアミノであり、L1は、ハロゲン、アルキルスルホネート、ハロアルキルスルホネートおよびアリールスルホネートである。
【0063】
【化12】
尿素3bは、適切な温度、典型的には20℃で、THF、ジクロロメタンおよび/またはMeCNのような不活性溶媒中のトリエチルアミンおよび/またはジイソプロピルエチルアミンの存在下でトリホスゲンまたはp−ニトロフェニルクロロホルメートを用いて処理し、続いて適切に保護されたアニリンを用いて化合物2を処理することにより(方法B)形成できる。尿素3bは、一般にさらに精製することなく、塩基誘導閉環にかけて中間のキナゾリンジオン4bを提供することができる。化合物4bの保護基は、用いられる保護基に適した標準技法を用いて除去され得る。例えば、BOC保護基は、化合物4bをジオキサン中の4N HClで処理することによって除去され得る。化合物5bのC−7フルオロは次に、約120℃でDMSO中のメチルアミンを用いた処理により移動され、アニリン6aをもたらすことができる。目標のスルホニル尿素7aの調製は、アニリン6aを、5−クロロ−チオフェン−2−スルホニルエチルカルバメートで、ジメチルスルホキシド、ジオキサンおよび/またはアセトニトリルのような適切な溶媒中で加熱しつつ処理することにより達成され得る。
【0064】
スキーム3は、式Iの化合物を調製する別の方法を例示し、ここで、R1は、例えば、アルキルアミノであり、L1は、ハロゲン、アルキルスルホネート、ハロアルキルスルホネートおよびアリールスルホネートであり、MはKである。
【0065】
【化13】
尿素3aは、化合物2をp−ニトロフェニルクロロホルメートを用いて、THF、ジクロロメタンおよび/またはMeCNのような不活性溶媒中で、適切な温度、一般に約20℃で処理し、続いて適切に保護されたアニリンで処理することにより(方法B)調製され得る。本発明によれば、式(I)の化合物は、薬学的に受容可能な塩、例えば7aを形成するためにさらに処理され得る。酸または塩基を用いた本発明の化合物の処理は、各々上記で定義される薬学的に受容可能な酸付加塩および薬学的に受容可能な塩基付加塩をそれぞれ形成し得る。本明細書中で定義されるものを含む、技術的に知られている様々な無機および有機の酸および塩基は、塩への変換をもたらすために用いられ得る。
【0066】
式(I)の化合物は、例えば、クロマトグラフィ法または再結晶法を含む、技術的に知られている代表的な単位および精製を用いて単離できる。
【0067】
本発明の式(I)の化合物において、4つの異なった置換基が結合されているR1の炭素原子は不斉である。従って、式(I)の化合物は、鏡像異性体、ジアステレオ異性体またはそれらの混合物として存在し得る。鏡像異性体およびジアステレオ異性体は、クロマトグラフィ法または結晶化法によって、あるいは技術的に知られている他の方法によって分離され得る。不斉炭素原子は、本発明の式(I)の化合物中に存在する場合、2つの配置(RまたはS)のうちの1つをとることができ、両方とも本発明の範囲内にある。最終的な精製された生成物中の少量の対立する鏡像異性体またはジアステレオ異性体の存在は、そのような化合物の治療または診断の用途に影響しない。
【0068】
本発明によれば、式(I)の化合物は、薬学的に受容可能な塩を形成するためにさらに処理され得る。酸または塩基を用いた本発明の化合物の処理は、各々上記で定義される薬学的に受容可能な酸付加塩および薬学的に受容可能な塩基付加塩をそれぞれ形成し得る。本明細書中で定義されるものを含む、技術的に知られている様々な無機および有機の酸および塩基は、塩への変換をもたらすために用いられ得る。
【0069】
本発明は、式(I)の化合物の薬学的に受容可能な異性体、水和物、および溶媒和物も提供する。式(I)の化合物は、そのような異性体および互変異性体の薬学的に受容可能な塩、水和物、および溶媒和物を含む様々な異性体および互変異性体形態でも存在し得る。例えば、いくつかの化合物が本明細書中で、式(I)の化合物の分子あたり2つの水分子を有する二水和物として提供されるのに対し、本発明は、無水、一水和物、三水和物、セスキ水和物等である化合物も提供する。
【0070】
本発明は、式(I)の化合物のプロドラッグ誘導体も包含する。用語「プロドラッグ」は、活性薬剤を放出するために生体内での、自発的か酵素による生体内変換を必要とする親薬剤分子の薬理学的に不活性な誘導体を指す。プロドラッグは、代謝条件下で切断可能な基を有する本発明の式(I)の化合物の変種または誘導体である。プロドラッグは、それらが生理学的条件下で加溶媒分解を受ける場合または酵素による分解を受ける場合に、インビボで薬学的に活性な本発明の化合物になる。本発明のプロドラッグ化合物は、体内で活性薬剤を放出するために必要とされる生体内変化工程の数に応じて、シングル、ダブル、トリプル等と呼ばれることがあり、前駆物質型形態で存在する官能価の数を示す。プロドラッグ形態はしばしば、溶解性、組織親和性、または哺乳動物体内での遅延放出の利点をもたらす(Bundgaard,Design of Prodrugs,pp.7−9,21−24,Elsevier,Amsterdam(1985);Silverman,The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action,pp.352−401,Academic Press,San Diego,Calif.(1992))。技術的に通常知られているプロドラッグとしては、例えば、親酸と適切なアルコールとの反応により調製されたエステル、または親酸化合物とアミンとの反応により調製されたアミド、あるいはアシル化された塩基誘導体を形成するように反応させられた塩基性基のような、当業者に周知な酸誘導体が含まれる。さらに、本発明のプロドラッグ誘導体は、生体活性を高めるために本明細書中で教示される他の特徴と組み合わせることができる。
【0071】
IV. 本発明の結晶質固体および非晶質実施形態ならびにそれらの調製
本発明は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素の結晶質固体および/または非晶質形態ならびにそれらの調製のためのプロセスおよびこれらの形態を含む薬学的組成物を提供する。カリウム塩は以下の一般式を有し:
【0072】
【化14】
さらに、ナトリウム塩は以下の一般式を有する:
【0073】
【化15】
活性薬学的成分(API)の製造のためのプロセスを開発する場合に、2つの因子、すなわち、化合物の不純物プロファイルおよび結晶形態学が大きい重要性を有する。当初の単位および結晶化作業からの結果は、99.6%の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素のプロファイルを示した。好ましくは、APIは、0.2%未満の不純物レベルを有し、最も熱力学的に安定な結晶質固体形態である。単離および結晶化作業は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素のカリウム塩の少なくとも2つの形態(形態AおよびBと呼ばれる)および[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素のナトリウム塩の非晶質形態を示した。
【0074】
本発明の固体形態は、X線粉末回折、ラマン分光法、IR分光法、および熱的方法を含むいくつかの技法のうちの1つ以上により説明され得る。さらに、そのような技術の組み合わせは、本発明を説明するために用いられ得る。例えば、1つ以上のラマンピークと組み合わされた1つ以上のX線粉末回折ピークは、本発明の1つ以上の固体形態を、他の固体形態と区別するように説明するために用い得る。
【0075】
それによって形態が特徴付けられるが、固体形態を特徴付けるために回折パターンまたはスペクトル全体のみに依拠する必要はない。薬学分野の当業者は、回折パターンまたはスペクトルのサブセットが、ある固体形態を、特徴付けられている他の形態と区別するのであれば、そのサブセットが、ある固体形態を特徴付けるために用いられ得ることを理解する。従って、1つ以上のX線粉末回折ピークのみを用いてある固体形態を特徴付けることができる。同様に、1つ以上のIRピークのみまたはラマンピークのみを用いて、ある固体形態を特徴付けることができる。そのような特性決定は、特性ピークを決定するために形態間でX線、ラマンおよびIRデータを比較することによってなされる。
【0076】
そのような特性決定において、他の技法からのデータを組み合わせてもよい。従って、1つの形態を特徴付けるために、X線粉末回折の1つ以上のピークおよび例えば、ラマンまたはIRデータに依拠してもよい。例えば、もし1つ以上のX線ピークが1つの形態を特徴付ければ、その形態を特徴付けるためにラマンまたはIRデータを考慮することもできるであろう。例えば、薬学的処方において、ラマンデータを考慮することが有用なことがある。
【0077】
多形は、2つの種々の結晶化条件を用いることにより識別された。(1)結晶質形態Aは、メタノールから粗製ウェットケーキを結晶化させ、粗製ウェットケーキを乾燥して溶媒を除去した後に単離され、(2)結晶質固体形態Bは、EtOH/H2Oからの結晶化またはメタノールを用いての粉砕により形成された。
【0078】
カリウム塩をメタノール中に縣濁させ、次に、清澄な溶液が観察されるまで加熱した。これに続いて冷却し、結果として生じる結晶質固体を単離し、減圧下で室温にて乾燥して、形態学的に別個の結晶質固体カリウム塩/形態Aを得た。図14および図2はそれぞれ、結晶質固体についてのDSCトレースおよびX線粉末パターンを示す。[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩の形態Aの示差走査熱分析により、238℃において溶媒和物の融解が定義された。大きな分解ピークが記録され、これは約300℃の開始温度である。DSCトレースにおいて、約246℃における融解完了のシャープさが特徴的である。
【0079】
X線粉末回折パターンにおいて、約9.5および25.5のピークは、パターンの主たる特徴である(X線粉末回折パターンの理論の議論については、“X−ray diffraction procedures”by H.P.Klug and L.E.Alexander,J.Wiley,New York(1974)参照)。約9.5°2θおよび25.5°2θのピークは、形態Aを形態Bに対して特徴付ける。なぜならば、形態Bは、形態Aの2つのピークの、X線粉末回折ピークのおおよその精度の2倍である、0.2°2θ以内にピークを持たないからである。任意のX線粉末回折ピークにおける典型的な変化は0.2°2θのオーダーなので、ある多形を特徴付けるためにピークを選択する場合、別の多形のピークからその値の少なくとも2倍(すなわち、0.4°2θ)であるピークが選択される。従って、特定の多形X線パターンにおいて、別の多形におけるピークから少なくとも0.4°θにあるピークは、その多形を特徴付けるために単独か別のピークと共に用いることができるピークであると見なされるのにふさわしい。表1および2は、形態AおよびBの主ピークを識別する。そのリストから、約25.5°2θにおけるピーク(表では、25.478°2θとして示してある)が、小数第1位までとった場合、形態Bにおける任意のピークから0.2°2θ以上離れていることがわかる。従って、約25.5°2θにおけるピークは、形態Aを形態Bと区別するために用い得る。約9.5°2θのピーク(表1の9.522°2θ)は、図2の形態AのX線粉末回折パターンにおける最も強いピークであり、形態Bにおけるどのピークからも0.2°2θ以上離れている。従って、約9.5°2θおよび25.5°2θにおける形態Aピークは、形態Bに対して形態Aを特徴付ける。このプロセスにおけるこの段階において単離された固体形態は、塩1分子に対し約2個の水分子を含有していた。
【0080】
表1 カリウム塩形態AのXRPDピーク(°2θ)および図2bから表にされた%強度一覧データ
【0081】
【表1】
表2 カリウム塩形態BのXRPDピーク(°2θ)および図3bから表にされた%強度一覧データ
【0082】
【表2】
好ましい配向は、XRPDパターンにおいて、ピーク強度に影響し得るが、ピーク位置には影響しない。カリウム塩の場合、好ましい配向は、より低い角度における領域に対し最大の効果を有する。好ましい配向は、この領域におけるいくつかのピークを減少させる(または増大させる)。晶癖は、固体形態を明確に区別せず、針状、ブレード状、プレート状、および不規則形状粒子を含む多様な晶癖が各形態について観察されている。
【0083】
従って1つの実施形態において、本発明は、形態Aおよび形態Bと呼ばれる新たな結晶質形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を提供する。
【0084】
従って1つの実施形態において、本発明は、実質的に純粋な形態を含む、結晶質固体形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を提供し、これは、以下のうちの少なくとも1つを提供し、
(i)図5と実質的に一致する赤外スペクトル、
(ii)図2と実質的に一致するX線粉末回折パターン、および
(iii)図14と実質的に一致するDSC走査、
本明細書中では形態Aと呼ばれる。
【0085】
別の実施形態において、本発明は、実質的に純粋な形態を含む、結晶質固体形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を提供し、これは、以下のうちの少なくとも1つを提供し、
(i)約3559、3389、3324、1698、1623、1563、1510、1448、1431、1403、1383、1308、1269、1206、1174、1123、1091、1072、1030、987、939、909、871、842、787、780、769、747、718、701、690および667cm−1に吸収ピークを有する赤外スペクトル、
(ii)約9.5および約25.5°2θにピークを有するX線粉末回折パターン、および
(iii)約246℃のDSC最大吸熱、
本明細書中では形態Aと呼ばれる。
【0086】
別の実施形態において、本発明は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩の結晶質多形を提供し、これは、約3559、3389、3324、1698、1623、1563、1510、1448、1431、1403、1383、1308、1269、1206、1174、1123、1091、1072、1030、987、939、909、871、842、787、780、769、747、718、701、690および667cm−1に吸収ピークを有する赤外スペクトルを提供し、本明細書中では形態Aと呼ばれる。
【0087】
別の実施形態において、本発明は、実質的に純粋な形態を含む、結晶質固体形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を提供し、これは、約9.5および約25.5°2θにピークを有するX線粉末回折パターンを提供し、本明細書中では形態Aと呼ばれる。
【0088】
別の実施形態において、本発明は、実質的に純粋な形態を含む、結晶質固体形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を提供し、これは、約246℃のDSC最大吸熱を提供し、本明細書中では形態Aと呼ばれる。
【0089】
別の実施形態において、本発明は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩の結晶質多形を提供し、これは、少なくとも1つ、ただし上記のピーク一覧よりも少ないピークを含むスペクトルを提供し、本明細書中では形態Aと呼ばれる。
【0090】
図16および3はそれぞれ、別の結晶質固体についてのDSCトレースおよびX線粉末パターンを示す。これらの結果は、残留水が除去された場合に観察された。DSCトレースにおいて、約293℃における転移が注目に値する。なぜならば、形態Aは246℃で融解するからである。X線粉末回折パターンにおける約20.3°2θおよび25.1°2θのピークも形態Bを形態Aに対して特徴付ける。なぜならば、形態Aは、形態Bの2つのピークの、X線粉末回折ピークのおおよその精度の2倍である、0.2°2θ以内にピークを持たないからである(表1および2参照)。そのリストから、約20.3°2θおよび25.1°2θにおけるピーク(表2では、それぞれ20.328°2θおよび25.087°2θとして示してある)が、小数第1位までとった場合、形態Aにおける任意のピークから0.2°2θ以上離れていることがわかる。従って、約20.3°2θおよび25.1°2θにおけるピークは、形態Bを形態Aと区別するために用い得る。
【0091】
従って1つの実施形態において、本発明は、実質的に純粋な形態を含む、結晶質固体形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を提供し、これは、以下のうちの少なくとも1つを提供し、
(i)図6と実質的に一致する赤外スペクトル、
(ii)図3と実質的に一致するX線粉末回折パターン、および
(iii)図16と実質的に一致するDSC走査、本明細書中では形態Bと呼ばれる。
【0092】
別の実施形態において、本発明は、実質的に純粋な形態を含む、結晶質固体形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を提供し、これは、(i)約3584、3327、3189、2935、2257、2067、1979、1903、1703、1654、1630、1590、1557、1512、1444、1429、1406、1375、1317、1346、1317、1288、1276、1243、1217、1182、1133、1182、1133、1093、1072、1033、987、943、907、883、845、831、805、776、727、694および674cm−1に吸収ピークを有する赤外スペクトル、(ii)約20.3°2θおよび約25.1°2θにピークを有するX線粉末回折パターン、および
(iii)約293℃のDSC最大吸熱を有し、本明細書中では、形態Bと呼ばれる。
【0093】
別の実施形態において、本発明は、実質的に純粋な形態を含む、結晶質固体形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を提供し、この化合物は、約20.3°2θおよび約25.1°2θにピークを有するX線粉末回折パターンを提供し、本明細書中では形態Bと呼ばれる。
【0094】
別の実施形態において、本発明は、非晶質形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩を提供する。
【0095】
1つの実施形態において、本発明は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩の1つの形態を提供し、これは、以下のうちの少なくとも1つを含み、
(i)図7と実質的に一致する赤外スペクトル、
(ii)図4と実質的に一致するX線粉末回折パターン、および
(iii)図18と実質的に一致するDSC走査、本明細書中では非晶質形態と呼ばれる。
【0096】
別の実施形態において、本発明は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩の1つの形態を提供し、これは、約3560、1711、1632、1556、1512、1445、1407、1375、1309、1280、1227、1133、1092、1032、987、905、781、770および691cm−1に吸収ピークを有する赤外スペクトルを提供し、本明細書中では非晶質形態と呼ばれる。
【0097】
別の実施形態において、本発明は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素塩の結晶質多形を提供し、これは、少なくとも1つ、ただし指定された形態についての上記のピーク一覧よりも少ないピークを含むスペクトルを提供する。
【0098】
[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩は、25℃で15%相対湿度(RH)まで安定であるが、25℃で20%RHで再水和する二水和物である。カリウム塩の多形Aは、ナトリウム塩の非晶質形態と同様に安定であることが見出されている。高温(40℃)および高相対湿度(75%RH)での加速安定性試験において1週間後、どちらの塩形態の化学純度においても変化はまったく観察されなかった。カリウム結晶質形態Aの利点は、40%RHで>15%w/wの水を取り込むナトリウム塩の非晶質形態ほどこの形態が吸湿性ではないことである。形態AおよびBは両方とも安定である。カリウム塩の形態Bは無水であり、カリウム塩の非吸湿性(脱水形態を形成し難い)形態Bは、より長期間にわたってより優れた外観および取り扱い適性を保持する。薬剤の投薬形態の外観における改善は、医師および患者の受容を向上させ、処置成功の可能性を増大させる。
【0099】
本発明のさらなる実施形態は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素およびその塩の、異なる結晶質固体形態、および非晶質形態の混合物を含む。そのような混合物は、少なくとも1つの固体形態または形態A、形態Bおよび非晶質形態から選ばれる少なくとも2つの固体形態を含む組成物を含有する。本明細書中で記載される分析技法のいずれも、そのような組成物中の固体形態の存在を検出するために用いることができる。検出は、固体分析分野の当業者により使用および理解される用語のように、定性的、定量的、または半定量的に行われ得る。
【0100】
これらの分析のため、参照標準を伴う標準分析技法が利用され得る。さらに、そのような方法は、回折または分光分析技法と併用した部分的最小二乗法のような技法の使用を含み得る。これらの技法も、本発明の薬学的組成物において用い得る。
【0101】
V. 本発明の結晶質固体形態および非晶質形態の調製
さらに、本発明は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩およびナトリウム塩の調製のためのプロセスに関する。
【0102】
本発明の化合物の結晶質固体形態および非晶質形態は、以下で概説される様々な方法により調製され得る。他の周知の結晶化手順ならびに上記で概説された手順の変更も利用され得る。
【0103】
本発明の別の実施形態において、結晶質固体形態Aの[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩が提供され、これは、以下の工程のうちの少なくとも1つにより得られる:
(i)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を、エタノール、メタノールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒から結晶化させ、結晶がいくらかの溶媒を含むように乾燥させる工程、および
(ii)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を、エタノール、メタノールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒中で加熱し、約50℃から−10℃の温度で結晶化させ、結晶が少なくとも約0.05%の溶媒を含むまで乾燥させる工程。
【0104】
本発明の別の実施形態において、結晶質固体形態Bの[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩が提供され、これは、以下の工程のうちの少なくとも1つにより得られる:
(i)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を、エタノールおよびメタノールの組み合わせ溶媒中で加熱し、約50℃から−10℃の温度で結晶化させ、結晶が0.05%未満の溶媒を含むまで乾燥させる工程、および
(ii)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を、エタノールおよび水の組み合わせ溶媒から結晶化させ、結晶が約0.05%未満の溶媒を含むまで乾燥させる工程。
【0105】
本発明の別の実施形態において、イソプロパノール中で粉砕し、乾燥させることにより、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩の非晶質結晶質形態が提供される。
【0106】
本発明の別の実施形態において、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩の非晶質結晶質形態が提供され、これは、以下の工程のうちの少なくとも1つにより得られる:
(i)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩を、イソプロパノール、アセトニトリル、エタノールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒中で加熱し、約50℃から−10℃の温度で結晶化させる工程、
(ii)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩を、イソプロパノール、アセトニトリル、エタノール、メタノールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒から結晶化させる工程、および
(iii)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩を、高湿度で加熱する工程。
【0107】
さらに、本発明は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩およびナトリウム塩の調製のための上記のプロセスに関する。
【0108】
結晶質固体または非晶質形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素は、実施例において以下でさらに説明されるように種々の方法により調製され得る。実施例は、本発明の範囲を例示するが、これを限定しない。結晶質固体または非晶質形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素は、例えば、クロマトグラフィ、再結晶化およびその他の結晶化手順ならびに上記で概説された手順の変更を含む、技術的に知られた典型的な単離および精製技法を用いて単離され得る。
【0109】
VI. 薬学的組成物
本発明による式(I)の化合物は、薬学的組成物に処方され得る。従って、本発明は、各々上記で説明される、治療有効量の式(I)の化合物または薬学的に受容可能なその塩、ならびに薬学的に受容可能なキャリアまたは助剤を含有する、哺乳動物における血栓症、特に血小板凝集を伴う病態を予防または処置するための薬学的組成物も提供する。好ましくは、本発明の薬学的組成物は、式(I)の化合物またはその塩を、哺乳動物、特にヒトにおける血小板凝集、より好ましくは、ADP−依存性凝集を阻害するのに有効な量含有する。薬学的に受容可能なキャリアまたは助剤としては、技術的に知られているものを含み、以下で説明される。
【0110】
本発明の薬学的組成物は、式(I)の化合物を生理学的に受容可能なキャリアまたは助剤と混合することにより調製され得る。本発明の薬学的組成物は、賦形剤、安定剤、希釈剤等をさらに含み、持続放出処方または時限放出処方で提供され得る。治療的使用のための受容可能なキャリア、助剤、賦形剤、安定剤、希釈剤等は、薬学分野においてよく知られており、例えば、Remington‘s Pharmaceutical Science,Mack Publishing Co.,ed.A.R.Grennaro(1985)に記載されている。そのような物質は、使用される用量および濃度において受容者にとって非毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩および他の有機酸塩のような緩衝剤、アスコルビン酸のような酸化予防剤、ポリアルギニンのような低分子量(約10個未満の残基)ペプチド、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンのようなたんぱく質、ポリビニルピロリジノンのような親水性ポリマ、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、またはアルギニンのようなアミノ酸、単糖類、二糖類、およびセルロースまたはその誘導体、グルコース、マンノースまたはデキストリンを含む他の炭水化物、EDTAのようなキレート剤、マンニトールまたはソルビトールのような糖アルコール、ナトリウムのような対イオンおよび/またはTWEENのような非イオン界面活性剤、あるいはポリエチレングリコールを含む。
【0111】
本発明のさらなる実施形態は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素、その塩ならびに治療有効量の形態A、形態B、および非晶質形態を含む形態の薬学的組成物を含む。前記形態のうちの少なくとも1つの前記量は、治療有効量であってもなくてもよい。そのような薬学的組成物は、錠剤またはカプセルあるいは吸入用乾燥粉末のような固体経口組成物の形態であり得る。
【0112】
VII. 処置/投与の方法
A. 望ましくない血栓症を特徴とする病状の予防および処置
本発明に包含される哺乳動物における血栓症を予防または処置するための方法は、治療有効量の式(I)の化合物を、単独でまたはの上記で説明されるような本発明の薬学的組成物の一部として、哺乳動物、特に、ヒトに投与することである。式(I)の化合物および本発明の式(I)の化合物を含有する本発明の薬学的組成物は、心血管疾患、特に血栓症に関連する疾患の予防または処置のために、単独でまたは多成分処置処方計画の一部として使用するのに適している。例えば、本発明の化合物または薬学的組成物は、急性心筋梗塞、不安定狭心症、慢性安定狭心症、一過性脳虚血発作、脳卒中、末梢血管疾患、子癇前症/子癇、深部静脈血栓症、塞栓症、播種性血管内凝固症および血栓性血小板減少性紫斑病、侵襲的処置、例えば、血管形成、頚動脈内膜切除、CABG(冠状動脈バイパス移植)手術後、人工血管手術、ステント設置ならに血管内デバイスおよび人工器官の挿入、に続く血栓性および再狭窄合併症、ならびに遺伝的体質または癌に関連する凝固亢進状態を含むがこれらに限定されない、任意の血栓症、特に血小板依存性の血栓の徴候に対する薬物もしくは治療剤として使用することができる。実施形態の他の群において、徴候は、血管形成術および/またはステントを含む経皮的冠状動脈形成術(PCI)、急性心筋梗塞(AMI)、不安定狭心症(USA)、冠状動脈疾患(CAD)、一過性脳虚血発作(TIA)、脳卒中、末梢血管疾患(PVD)、冠状動脈バイパス手術、頚動脈内膜切除からなる群から選択される。
【0113】
本発明の化合物および薬学的組成物は、哺乳動物の血栓症の予防または処置において、他の治療薬または診断薬と組み合わせて多成分処置処方計画の一部として用いることができる。ある一定の好ましい実施形態において、本発明の化合物または薬学的組成物は、凝固防止剤、血栓溶解剤、あるいは血小板凝集インヒビター、組織プラスミノーゲン活性薬、ウロキナーゼ、プロウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、ヘパリン、アスピリン、またはワルファリンもしくは抗炎症剤(非ステロイド系抗炎症剤、シクロオキシゲナーゼIIインヒビター)を含む他の抗血栓薬のような、これらの状態に対して典型的に処方される他の化合物と共に、一般的に容認されている医療行為に従って、同時投与され得る。同時投与は、抗血小板薬および血栓溶解薬双方の低減用量の適用を考慮し、従って潜在的な出血性副作用を最小限にすることもできる。本発明の化合物および薬学的組成物は、相乗作用的に作用して、血栓崩壊療法の成功後の再閉塞を予防することおよび/または再灌流までの時間を低減することもできる。
【0114】
本発明の化合物および薬学的組成物は、通常は、霊長類(例えば、ヒト)、ヒツジ、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ラットおよびマウスのような哺乳動物においてインビボで、またはインビトロで利用され得る。本発明の化合物および薬学的組成物の、上記で定義されるような生物学的特性は、例えば、抗血栓効力、ならびに止血および血液学的パラメータを評価するインビボ研究のような、技術的によく知られている方法により容易に特徴付けられ得る。
【0115】
本発明の化合物および薬学的組成物は、溶液または縣濁液の形態であり得る。血栓症疾患の管理において、本発明の化合物または薬学的組成物は、例えば、経口投与のための錠剤、カプセル剤またはエリキシル剤、座剤、注射可能投与のための滅菌溶液または滅菌縣濁液等の形態であってもよく、あるいは造形物品中に組み込まれてもよい。本発明の化合物または薬学的組成物を用いた処置を必要としている被験体(典型的には哺乳動物)は、最適な効力をもたらす適用量を投与され得る。投与の用量および方法は、被験体ごとに変わり、かつ処置される哺乳動物の型、その性別、体重、食餌、併用投薬、全体的臨床状態、使用される式(I)の特定の化合物、その化合物または組成物が使用される具体的用途、ならびに医学分野の当業者が認識する他の要因に依存する。
【0116】
B. 治療有効量
治療的投与のために用いられる、式(I)の化合物、または本発明の化合物を含有する薬学的組成物の投薬処方は、滅菌されていなければならない。滅菌は、0.2ミクロン膜のような無菌膜を通した濾過によって、または他の従来の方法によって容易に達成される。処方物は典型的には、固体形態で、好ましくは凍結乾燥形態で保存される。好ましい投与経路は経口的であるのに対して、本発明の式(I)の化合物または薬学的組成物の投薬処方物は、注射によって、静脈内(ボーラスおよび/または注入)に、皮下に、筋肉内に、結腸内に、直腸内に、鼻腔内に、経皮的に、または腹腔内に投与され得る。種々の投与形態も同様に使用でき、投与形態としては、座剤、植込みペレットまたは小型シリンダ、エアロゾル、経口投与処方物ならびに軟膏、ドロップおよび経皮パッチのような局所処方物が含まれるが、これらに限定されない。式(I)の化合物および本発明の薬学的組成物は、形状および、例えば、SILASTIC)、シリコーンラバーまたは他の商業的に入手可能なポリマ物品のような生分解性ポリマまたは合成シリコーンのような不活性物質を使用できるインプラントに組み込まれ得る。本発明の化合物および薬学的組成物は、小さい単層ベシクル、大きい単層ベシクルおよび多重層ベシクルのようなリポソーム送達系の形態で提供され得る。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンのような多様な脂質から形成され得る。
【0117】
治療的に有効な投薬量は、インビトロ方法かインビボ方法のいずれかにおいて決定され得る。本発明の各特定の化合物または薬学的組成物について、必要最適投薬量を決定するために個別の決定がなされ得る。治療的に有効な投薬量の範囲は、投与経路、治療目的および患者の状態により影響される。皮下注射針による注射については、投薬量が体液中に送達されると想定され得る。他の投与経路については、吸収効率は、薬理学において周知の方法によって各化合物について個別に決定されなければならない。従って、療法士は、最適な治療効果を得るために、投与量を測定して投与経路を必要に応じて変更する必要があり得る。有効投薬量レベル、すなわち、望ましい結果を達成するために必要な投薬量レベルの決定は、当業者によって容易に決定される。典型的には、化合物の適用は、より低い投薬量レベルで開始され、投薬量レベルは、望ましい効果が達成されるまで増加される。
【0118】
有効投薬量レベル、すなわち所望の結果、すなわち血小板ADPレセプター阻害を達成するのに必要な投薬量レベルの決定は、当業者により容易に決定される。典型的には、本発明の化合物または薬学的組成物の適用は、より低い投薬量レベルで開始され、投薬量レベルは、望ましい効果が達成されるまで増加される。本発明の化合物および組成物は、1日量または数回に分割した1日量の処方計画において、約0.01mg/kg〜約1000mg/kgの投薬量範囲内の有効量で経口投与され得る。薬学的に受容可能なキャリアが本発明の薬学的組成物において用いられれば、典型的には、約5mg〜約500mgの式(I)の化合物が、生理的に受容可能なビヒクル、キャリア、賦形剤、結合剤、保存剤、安定剤、色素、香料等を含むがこれらに限定されない、一般的に認められた薬学的実施により必要とされる薬学的に受容可能なキャリアと共に配合される。これらの組成物中の活性成分の量は、示される範囲中の適切な投薬量が得られるような量である。
【0119】
C. 投与
治療化合物液体処方物は一般に、無菌アクセスポートを有する容器、例えば、皮下注射針により貫通可能なストッパを有する静脈注射用溶液バッグまたはバイアル内に入れられる。
【0120】
錠剤、カプセル剤、トローチ剤等に組み入れられ得る代表的な佐剤は、アカシア、コーンスターチまたはゼラチンのような結合剤、および微結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチまたはアルギン酸のような崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、スクロースまたはラクトースのような甘味剤、あるいは香味剤である。投薬形態がカプセル剤である場合、上記の物質に加え、その投薬形態は、水、食塩水、または脂肪油のような液体キャリアも含み得る。様々な種類の他の物質を、被覆剤または投薬単位の物理的形態の改変剤として用い得る。注射用無菌組成物は、従来の薬学的実施に従って処方し得る。例えば、油のようなビヒクルまたはオレイン酸エチルのような合成脂肪ビヒクル中の、あるいはリポソーム中への活性化合物の溶解もしくは懸濁が望まれることがある。緩衝剤、保存剤、酸化防止剤等を、認められた薬学的実施に従って組み込むことができる。
【0121】
D. 併用療法
本発明の化合物は、他の治療薬または診断薬と組み合わせて用い得る。ある一定の好ましい実施形態において、本発明の化合物は、凝固防止剤、血栓溶解剤、あるいは血小板凝集インヒビター、組織プラスミノーゲン活性薬、ウロキナーゼ、プロウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、ヘパリン、アスピリン、またはワルファリンのような、これらの状態に対して典型的に処方される他の化合物と共に、一般的に容認されている医療行為に従って、同時投与され得る。本発明の化合物は、相乗作用的に作用して、血栓崩壊療法の成功後の再閉塞を予防することおよび/または再灌流までの時間を低減することもできる。これらの化合物は、用いられる血栓溶解薬の低減された用量を考慮し、従って潜在的な出血性副作用を最小限にすることもできる。本発明の化合物は、通常は、霊長類(例えば、ヒト)、ヒツジ、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ラットおよびマウスのような哺乳動物においてインビボで、またはインビトロで利用され得る。
【0122】
上記の考察、実施形態および実施例は、特定の好ましい実施形態の詳細な説明を単に提示するものであることが理解されるべきである。種々の変更および均等物が、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなくなされ得ることが、当業者にとって明らかになるであろう。上記で考察または引用されたすべての特許、雑誌記事およびその他の文書は、参照により本明細書中に組み込まれている。
【0123】
以下の調製物および実施例は、当業者が本発明をより明確に理解しかつ本発明を実施することが可能になるように提供される。これらの調製物および実施例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではなく、単に、本発明を例示および代表するものであると見なされるべきである。
【実施例】
【0124】
VIII. 実施例
一般的方法
これらの化合物を調製する際に用いられる出発物質および試薬は一般に、Aldrich Chemical Co.のような商業的供給業者から入手可能であるか、あるいは、Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis;Wiley & Sons:New York,1967−2004,Volumes 1−12;Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds,Elsevier Science Publishers,1989,Volumes 1−5 and Supplementals;およびOrganic Reactions,Wiley & Sons:New York,2005,Volumes 1−65のような参考文献中で述べられた手順に従って、当業者に公知の方法により調製されるかである。以下の合成反応スキームは、本発明の化合物が合成できるいくつかの方法を単に例示するものであり、これらの合成反応スキームの種々の変更を行うことができ、それらは、本願に含まれる開示を参照した当業者に示唆される。
【0125】
これらの合成反応スキームの出発物質および中間体は、もし必要であれば、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィ等を含むがこれらに限定されない通常の技法を用いて単離および精製され得る。そのような物質は、物理定数およびスペクトルデータを含む、通常の手段を用いて特性決定され得る。
【0126】
それと反対に特に明記されない限り、本明細書中で説明される反応は、大気圧の不活性雰囲気下で、約−78℃〜約150℃、より好ましくは、約0℃〜約125℃、最も好ましくかつ好都合には、ほぼ室内(または周囲)温度、例えば、約20℃〜約75℃で行われる。
【0127】
以下の例に関して、本発明の化合物は、本明細書中に記載される方法、あるいは当業者に公知の他の方法を用いて合成された。
【0128】
化合物および/または中間体は、2695分離モジュールを備えるWater Alliance クロマトグラフィシステム(Milford,Mass.)を用いた高速液体クロマトグラフィ(HPLC)により特性決定した。分析カラムは、Merck KGaA(ダルムシュタット、ドイツ国)のC−18Eカラムであった。代わりに、特性決定は、Waters Acquity UPLC BEH C−18 2.1mm×15mmカラムを備えたWaters Unity(UPLC)システムを用いて実行した。傾斜溶離が用いられ、典型的には、5%アセトニトリル/95%水で開始し、Allianceシステムの場合には5分間、Acquityシステムの場合には1分間で95%アセトニトリルまで進行した。すべての溶媒は、0.1%トリフルオロ酢酸酸(TFA)を含有していた。化合物は、220nmか254nmのいずれかにおける紫外光(UV)吸収により検出した。HPLC溶媒は、EMD Chemicals,Inc.(Gibbstown,NJ)製であった。場合によっては、純度は、例えば、EMD Silica Gel 60 2.5cm×7.5cmプレートのような、ガラスで裏打ちされたシリカゲルプレートを用いて、薄層クロマトグラフィ(TLC)により評価した。TLC結果は、紫外光下で目視により、またはよく知られたヨウ素蒸気および他の様々な染色技法を用いることにより検出した
質量分析は、移動相としてアセトニトリル/水を用いて2つのAgilent 1100シリーズLCMS測定器のうちの1つにおいて実行した。一方のシステムは、修飾剤としてTFAを用い陽イオンモードで測定し[MH+,(M+1)または(M+H)+として報告される]、他方のシステムは、蟻酸か酢酸アンモニウムのいずれかを用い、陽イオンモード[MH+,(M+1)または(M+H)+として報告される]および陰イオンモード[MH−,(M−1)または(M−H)−として報告される]の両方で測定する。
【0129】
核磁気共鳴(NMR)分析を、化合物のうちのいくつかについて、Varian 400MHz NMR(Palo Alto,Calif)を用いて実行した。スペクトル基準は、TMSか溶媒の既知の化学シフトのいずれかであった。
【0130】
本発明の化合物のうちのいくつかの純度は、元素分析により評価した(Robertson Microlit,Madion NJ)。
【0131】
融点は、Laboratory Devices Mel−Temp装置において決定される(Holiston,Mass.)。
【0132】
予備分離は、すべてTeledyne Isco,(Lincoln,NE)から購入したSq16xかSg100cクロマトグラフィシステムのいずれかおよび予備充填シリカゲルカラムを用いて実行した。交互に、化合物および中間体は、シリカゲル(230−400メッシュ)充填材を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィにより、またはC−18逆相カラムを用いるHPLCにより精製した。Iscoシステムおよびフラッシュカラムクロマトグラフィ陽に使用した代表的な溶媒は、ジクロロメタン、メタノール、酢酸エチル、ヘキサン、アセトン、水性ヒドロキシアミンおよびトリエチルアミンであった。逆相HPLC用に用いた代表的な溶媒は、可変濃度のアセトニトリルと、0.1%トリフルオロ酢酸を加えた水であった。
【0133】
固体形態のための計測器
1. FT赤外分光法(FTIR)
試料は、Universal ATRサンプリング付属装置を備え、Spectrum V5.0.1ソフトウェアを走らせるPerkin−Elmer Spectrum Oneにおいて研究した。解像度は4cm−1に設定し、4000cm−1〜400cm−1の範囲にわたって16スキャンを収集した。制御および分析ソフトウェア:Spectrum v5.0.1。
【0134】
2. 示差走査熱量計(DSC)
DSCデータ(サーモグラム)は、50位置自動サンプラーを備えたTA instuments Q100において収集した。エネルギーおよび温度較正基準はインジウムであった。試料は、10℃/分のレートで10℃から250℃まで加熱した。30ml/分の窒素パージを試料上で維持した。
【0135】
特に明記されていない限り、1mg〜3mgの試料を用い、すべての試料は、蓋にピンホールを有するアルミ製パン中に密封した。制御ソフトウェア:Advantage for Q series v2.2.0.248、Thermal Advantage Release4.2.1。分析ソフトウェア:Universal Analysis2000 v4.1D Build4.1.0.16。
【0136】
3. 熱重量分析(TGA)
TGAデータ(サーモグラム)は、16位置自動サンプラーを備えたTA instuments Q500において収集した。試料は10℃/分のレートで加熱した。100ml/分の窒素パージを試料上で維持した。
【0137】
典型的には、5mg〜20mgの試料を、風袋を計った開いたアルミ製オープンパンに上に載せた。制御ソフトウェア:Advantage for Q series v2.2.0.248、Thermal Advantage Release4.2.1。分析ソフトウェア:Universal Analysis2000 v4.1D Build4.1.0.16。
【0138】
4. XRPD(X線粉末回折)
Bruker AXS C2 GADDS回折計
試料についてX線粉末回折パターンは、Cu Kα放射(4OkV、4OmA)、自動化XYZステージ、自動試料位置決め用レーザービデオ顕微鏡およびHiStar 2次元エリア検出器を用いて、Bruker AXS C2 GADDS回折計において取得した。X線光学装置類は、0.3mmのピンホールコリメータと結合された単一ゲーベル多層ミラーで構成される。
【0139】
ビーム拡がり、すなわち、試料上のX線ビームの有効サイズは、ほぼ4mmであった。θ−θ連続走査モードは、試料−検出器距離20cmで使用し、これにより3.2°〜29.8°の有効2θ範囲がもたらされる。試料の典型的な露出時間は120秒であった。
【0140】
周囲条件下で実施される試料は、受け入れた時の粉体を粉砕することなく用いて平らなプレート試験体として調製した。約1mg〜2mg試料を、ガラススライド上で軽く押圧して、平らな表面を得た。制御ソフトウェア:GADDS for WNT v4.1.16。分析ソフトウェア:Diffrac Plus Release 3 EVA v9.0.0.2。
【0141】
5. 重量測定蒸気収着(GVS)研究
等温線は、CFRSorpソフトウェアを走らせたHiden IGASorp水分収着分析器で収集した。試料サイズは、典型的には約10mgであった。水分吸着/脱着等温線は、以下で概略されるように実行した。試料は、部屋湿度および温度(約40%RH、25℃)で装填および取り出しを行った。走らせた標準等温線は、40%RHで開始する単一サイクルであった。湿度は以下のように段を付けた:40、50、60、70、80、90、85、75、65、55、45、35、25、15、5、0、10、20、30、40。制御および分析ソフトウェア:IGASorp Controller v1.10、IGASorp Systems Software v3.00.23。
【0142】
6. 1H NMR
スペクトルは、自動サンプラーを備えたBruker400MHzで収集した。試料は、d6−DMSO中で調製した。
【0143】
7. 純度分析
純度分析は、ダイオード配列検出器を備えたAgilent HP1100システムで実行した。
【0144】
方法:勾配
カラム詳細:Betabasic C18、5μm、150×4.6mm
カラム温度:25℃
注入容量:5マイクロl
流量ml/分:0.8ml/分
検出波長:325nm
相A:0.1%v/v蟻酸水溶液
相B:アセトニトリル:水90:10、0.1%v/v蟻酸
表3:移動相タイムテーブル
【0145】
【表3】
【0146】
【表4】
実施例1:中間体スルホニル尿素カルバメート(8)の合成
【0147】
【化16】
以下の手順は、C.A.Hunt,er al.J.Med.Chem.1994,37,240−247から適合させた。機械式撹拌装置、空気冷却器、滴下漏斗、および防湿チューブを備えた三つ口R.B.フラスコ中に、クロロスルホン酸(240mL、3.594mol)を入れた。撹拌下で、約45分間にわたり、PCl5(300g、1.44mol、0.40当量)を少量ずつ添加した。添加の間、大量のHClガスが激しく発生したが、混合物の温度は大きく上昇しなかった(<40℃)。すべてのPCl5が添加された時までに、ほとんど清澄で、薄黄色の溶液が得られ、PCl5の固体片がごくわずか縣濁液中に浮遊していた。得られた溶液を、ガス発生が止むまで撹拌した(0.5時間)。
【0148】
次に、反応容器を氷中で冷却し、2−クロロ−チオフェン(66.0mL、0.715mol)を、滴下漏斗により10時間かけて添加した。2−Cl−チオフェンの最初の数滴を添加すると、混合物は暗紫色に変わり、すべてのチオフェンが添加される時までに、暗紫色溶液が結果として生じた。添加の間、HClガスが、遅い速度で連続的に発生した。次に反応混合物を一晩室温で撹拌した。
【0149】
次に、暗紫色透明溶液である混合物を、破砕氷(3L)に0.5時間かけて滴下して添加した。氷への添加と同時に、紫色は直ちに消えた。無色の薄いエマルションを、室温で約15時間、機械撹拌した。次に、混合物をCH2Cl2(3×300mL)で抽出した。一緒にしたCH2Cl2−抽出物エキスを、水(1×200mL)、飽和NaHCO3(1×250mL)、塩水(1×100mL)で洗い、乾燥させ(Na2SO4)、ロータリーエバポレータで濃縮して淡黄色の膠状物として粗生成物を得、これは、固化して半固体塊状物を生成する傾向がある。次にこれを、高真空蒸留(bp 110−112°/12mm)で精製して、無色/淡黄色半固体として表題の化合物135.20g(88%)を得た。
【0150】
工程2 − 5−クロロチオフェン−2−スルホンアミド:
【0151】
【化17】
以下の手順は、C.A.Hunt,er al.J.Med.Chem.1994,37,240−247から適合させた。機械式撹拌装置を備えた三つ口R.B.フラスコ中に、濃NH4OH(500mL、148.50gNH3、8.735molNH3、13.07当量NH3)を入れた。フラスコを氷中で冷却し、5−クロロチオフェン−2−スルホニルクロライド(145.0g、0.668mol)を、0.5時間かけて添加した(このクロライドは低融点固体であり、これを加温して融解させ、次に、大口径ポリエチレン製ピペットを介して便利に添加した)。スルホニルクロライドは、反応フラスコ中で直ちに凝固する。すべてのスルホニルクロライドを添加した後、これを含んでいるフラスコをTHT(25mL)ですすぎ、これも反応容器に移送した。次に、高粘度の縣濁物を、室温で約20時間撹拌した。この時間の終わりには、反応混合物は依然として縣濁物であったが、テクスチャは異なった。
【0152】
次に、混合物を氷冷し、H2O(1.5L)で希釈し、濃HClでpH約3まで酸性化した。固体生成物を、ブフナー漏斗を用いた濾過により集め、冷水ですすぎ、空気乾燥して、無色固体として表題の化合物103.0g(78%)を得た。MS(M−H):196.0;198.0
工程3 − エチル5−クロロチオフェン−2−イルスルホニルカルバメート:
【0153】
【化18】
機械式撹拌装置および滴下漏斗を備えた2−L三口R.B.フラスコに、スルホンアミド(60.0g、303.79mmol)、およびTHF(900mL)中のCs2CO3(200g、613.83mmol、2.02当量)を充填した。清澄な溶液を氷冷し、エチルクロロホルメート(70.0mL、734.70mmol、2.418当量)を、約30分間かけて添加した。次に高粘度の縣濁物を、室温で約36時間撹拌した。
【0154】
次に、混合物を水(200mL)で希釈して、清澄な無色溶液を得、この溶液をロータリーエバポレータでその容積が1/3になるまで濃縮した。次にこれを、EtOAc(250mL)で希釈し、氷冷し、6N HClによりpH約1まで酸性化した。この二相混合物を、分液漏斗に移し、層を分離し、水相を2×75mL EtOAcで再度抽出した。一緒にした有機抽出物を、水/塩水(2×50mL)、塩水(1×50mL)で洗い、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮して薄く着色したオイルを得た。これを、シリカゲルプラグを通した濾過により精製した。粗生成物を、EtOAc中で、焼結漏斗上のシリカゲルプラグに適用し、次に、EtOAc(1リットル)で希釈した。EtOAc濾液の濃縮により、無色固体として表題の化合物71.28g(87%)を得た。MS(M−H):268.0;270.0。1H NMR(DMSO):δ7.62(d,1H)、7.25(d,1H)、4.10(q,2H)、1.16(t,3H)。
【0155】
実施例2:[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素(7a)の合成
【0156】
【化19】
工程1
アニリン1(1H NMR(DMSO):δ7.58(dd,1H)、6.72(dd,1H)、3.77(s,3H);6.0g、32.085mmol)を、500mL丸底フラスコに入れ、トルエン(175mL、332.50mmol、10.36当量)中の20%ホスゲンを添加した。結果として生じる若干粘着性の縣濁物を次に、室温で一晩磁気撹拌して、無色溶液を得た。アリコートを除去し、アルゴンでブロー乾燥し、MeOHで急冷し、RP−HPLC/MSにより分析したところ、未反応アニリン1は皆無であり、そのメチルカルバメートとして分析されるイソシアネート2aおよび/または塩化カルバモイル2bのクリーンな形成を示した。混合物を、最初にロータリーエバポレーションで、次に高真空下で濃縮し、易流動性の無色固体としてイソシアネート2aおよび/または塩化カルバモイル2bを6.76g(99%収率)得た。
【0157】
【化20】
工程2
500mL R.B.フラスコ中に、DMF(100mL)中のN−Boc−1,4−フェニレンジアミン(6.22g、29.866mmol、1.20当量)を入れた。トリエチレンアミン(5.30mL、38.025mmol、1.52当量)を注入した。次に、清澄な暗褐色溶液を、DMF(50mL)中のイソシアネート2a(5.30g、24.88mmol)および/または塩化カルバモイル2bの溶液で滴下しつつ15分間かけて処理した。添加が終了した後、若干混濁した組成物が得られ、これを室温で一晩撹拌した。アリコートをMeOHで急冷後に分析したところ、未反応イソシアネートは皆無であり、約2.5:1の比率の尿素、3a、およびキナゾリン−1,3−ジオン、4aのクリーンな形成を示した。MS(M−H):388.0。
【0158】
次にDBU(3.75mL、25.07mmol、約1.0当量)を、5分間かけて滴下して注入し、結果として清澄な暗褐色溶液を得た。この溶液を、室温で3時間撹拌し、混濁した混合物を得た。HPLC分析によれば、尿素3aはまったく示されず、キナゾリン−1,3−ジオン4aのクリーンな生成が示された。反応混合物を、ロータリーエバポレータで濃縮し、固体として粗生成物を得た。これを高真空下で乾燥し、次に、CH2Cl2/H2Oと共に(5:1)粉砕して、ほとんど無色の固体として8.40gの4aを得た(87%収率)。1H NMR(DMSO):δ9.39(s,1H)、7.68(dd,1H)、7.45(d,2H)、7.03(m,2H)、6.98(dd,1H)、および1.48(s,9H)。
【0159】
【化21】
工程3
N−Boc−アニリン4a(4.0g、10.28mmol)を丸底フラスコに入れ、ジオキサン中の4N HCl(50.0mL、200mmol、19.40当量)を添加した。高粘度の、溶媒和が無視できる縣濁物を、室温で5.0時間撹拌した。HPLCは、出発物質をまったく示さず、アニリン5aのクリーンな生成を示した。次にこの混合物を、ロータリーエバポレータで濃縮して、粗生成物を得た。このようにして得られた固体を、CH2Cl2と共に粉砕して、ほとんど無色の固体として3.22gの5aを得た(96%収率)。MS(M−H):290.3。1H NMR(DMSO):δ11.75(s,1H)、7.88(dd,1H)、7.32(m,4H)、7.21(dd,1H)。
【0160】
工程4
【0161】
【化22】
ジフルオロ−化合物、5a(1.0g、3.072mmol)を、ねじキャップで封止したチューブに入れた。DMSO(20mL)を添加し、続いてメチルアミン(THF中で2.0M)(15.0mL、30mmol、9.76当量)を添加し、結果として清澄な溶液を得た。次にこの溶液を、油浴中で3時間110℃まで加熱した。HPLCは、未反応の5aをまったく示さず、5bのクリーンな生成を示した。次にこの混合物を室温まで冷却し、すべてのMeNH2およびTHFを蒸発させ、残留物を水100mLで希釈して、5bを沈殿させた。室温で約2時間撹拌した後、無色固体を、ブフナー漏斗を用いた濾過により集め、H2O(100mL)ですすぎ、空気乾燥した。この固体のHPLC分析は、この固体が純粋であり、どのようなDBUも持っていないことを示した。この固体を、Et2Oと共に、次にこのアニリンへの以前の経路におけるようにCH2Cl2と共に粉砕することによりさらに精製し、表題の化合物875mgを得た(95%収率)。MS(M+1)301.2。1H NMR(DMSO):δ(s,1H)、7.36(d,1H)、6.78(d,2H)、6.75(m,1H)、6.56(d,2H)、6.20(d,1H)、5.18(d,2H)、2.76(d,3H)。
【0162】
工程5 − 1−(5−クロロチオフェン−2−イルスルホニル)−3−(4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ)−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)フェニル)尿素(7a)の合成:
【0163】
【化23】
CH3CN(1300mL)中のアニリン(16.0g、53.33mmol)およびエチルスルホニル−カルバメート(28.77g、106.66mmol、2.0当量)を含む反応混合物を、加熱して36時間還流した。この間、反応混合物は高粘度の縣濁液のままであった。HPLC分析は、クリーンな反応、および<1%未反応アニリンを示した。この高粘度の縣濁液を室温まで冷却し、ブフナー漏斗により濾過した。無色の固体生成物を、CH3CN(3×40mL)でさらにすすいだ。濾液のHPLCは、極微量の所望の生成物の存在のみを示し、その大部分は過剰なカルバメートであった。次に粗生成物を、CH2Cl2(400mL)と共に粉砕し、ほとんど無色の固体生成物を、ブフナー漏斗による濾過によって集めた:収率、25.69g(92%)。MS(M+1):524.0;526.0。1H NMR(DMSO):δ11.20(s,1H)、9.15(s,1H)、7.68(d,1H)、7.42(d,2H)、7.36(d,1H)、7.26(m,1H)、7.16(d,2H)、6.78(m,1H)、6.24(d,1H)、2.78(d,3H)。
【0164】
実施例3:[4−(6−クロロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素(6b)
実施例3における化合物は、Pt(S)Cを用いたメチル−2−ニトロ−5−クロロ−4−フルオロベンゾエートの還元により合成されたメチル−2−アミノ−5−クロロ−4−フルオロベンゾエートで始まることを除き、実施例2(工程1−5)について記載されるように合成される。
【0165】
実施例4:[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素(6a)および塩(7a)の合成
【0166】
【化24】
工程1:
【0167】
【化25】
メチル2−アミノ−4,5−ジフルオロベンゾエート[2](38Kg、1.0当量)およびジクロロメタン(560Kg、8X、ACS>99.5%)を、PP1−R1000反応器(2000L GL反応器)に充填した。反応混合物を、5分間撹拌した。4−ニトロフェニルクロロホルメート(49.1Kg、1.2当量)をPP1−R2000反応器(2000L)に充填し、続いてジクロロメタン(185Kg)を充填し、内容物を5分間撹拌した。200L反応器を加圧した後、4−ニトロフェニルクロロホルメート溶液を、[2]のジクロロメタン溶液を含有する2000L反応器に移送した。反応混合物を、窒素ガスパージ下で3時間、40±5℃(還流)に加熱した。代表的なTLC分析により、反応完了が確認された(工程内TLC、残存する化合物2は皆無;99:1CHCl3−MeOH)。この溶液を、30℃まで冷却し、真空下で460Kgのジクロロメタンを蒸留により除去した。2000L反応器にヘキサン520Kgを充填し、反応器の内容物を0±5℃まで冷却し、4時間撹拌した。得られた固体を、TT−15LF Typarフィルタ1枚およびMel−Tuf1149−12濾紙1枚で裏打ちされたGFヌッチェ型フィルタを通し濾過した。濾過ケーキを、ヘキサン20Kgで洗い、一定の重量が達成されるまで、35℃で真空乾燥した。乾燥生成物を、98%収率で排出した(70.15Kg)。生成物を、1H NMRおよびTLC分析によって確認した。
【0168】
工程2. 3−(4−アミノフェニル)−6,7−ジフルオロキナゾリン−2,4−ジオンハイドロクロライド、化合物5bの合成
【0169】
【化26】
PP1−R1000(2000L GL反応器)反応器に、3a(64.4Kg、1.0当量)、無水テトラヒドロフラン(557Kg)およびトリエチルアミン(2.2Kg、0.1当量)を充填した。2000L GL反応器の充填ラインは、テトラヒドロフラン(10Kg)ですすいだ。反応器の内容物を25分間撹拌し、その間に完全溶液を得た。PP1−R2000(200L HP反応器)反応器に、N−Boc−p−フェニレンジアミン(38Kg、1.0当量)、テトラヒドロフラン(89Kg)を充填し、完全溶液が得られるまで30分間撹拌した。200L HP反応器の内容物を、化合物3aを含んでいる2000L GL反応器に移送し、次に、65±5℃で2時間加熱した。反応は、HPLCにより監視されて、出発物質3aの消滅(工程内仕様<1%)を確認した後に、完了したと考えられた。2000L GL反応器の内容物を、20±5℃まで冷却し、次に、温度を30℃未満に維持しつつ、ナトリウムメトキシド(メタノール中の25%溶液、41.5Kg、1.05当量)を20分間にわたり充填した。充填ラインは、テトラヒドロフラン(10Kg)ですすいだ。内容物を、25±5℃で4時間撹拌した。工程内HPLC分析により、反応混合中に残る化合物3bの量が<1%になった時に、反応の完了が確認された。この反応混合物に、濾過されたプロセス水(500Kg)を添加し、300Kgの溶媒が蒸留されるまで、2000L GL反応器内容物を清潔な200L GL受器内に真空下で蒸留した。得られた固体を、GLヌッチェ型フィルタを用いて濾過し、固体化合物4bの色が白色ないし灰色がかった色になるまでプロセス濾過水で洗った。2000L GL反応器に湿潤化合物4b濾過ケーキ、ジオキサン(340Kg)を充填し、内容物を1時間撹拌した。得られた濾過可能な固体を、T−515LF Typar濾紙1枚を備えたGLヌッチェ型フィルタにより濾過した。固体ケーキを2時間ブロー乾燥し、次に、ジオキサン(200Kg)を2000L GL反応器に充填した。内容物を10分間撹拌し、次に、ジオキサン中の4N HCl(914Kg)を、内部温度を30℃未満に維持して、3時間にわたって充填した。充填ラインを、さらなるジオキサン(10Kg)ですすぎ、反応器の内容物を、25±5℃で6時間撹拌した。反応の完了は、化合物4bから化合物5bへの変換についてHPLCにより監視される(工程内制御化合物4は、反応混合物中で<1%である)。反応器の内容物を2時間にわたり5+5℃まで冷却し、得られた固体を、GLヌッチェ型フィルタを通して濾過し、続いてジオキサン(50Kg)で洗った。濾過ケーキを、8±7psigの窒素で30分間ブロー乾燥し、純度をHPLCにより分析した。濾過された固体を、一定の重量になるまで真空オーブン中にて45℃で48時間乾燥した。化合物5b(65.8Kg、実際の収率110.6%)を排出し、1H NMRおよびHPLC分析により分析した。1H NMR(DMSO):δ11.75(s,1H)、7.88(dd,1H)、7.32(m,4H)、7.21(dd,1H)。
【0170】
工程3. 3−(4−アミノフェニル)−6−フルオロ−7−(メチルアミノ)キナゾリン−2,4−(1H,3H)−ジオン、化合物5cの合成
【0171】
【化27】
PP1−R2000(200L HP反応器)に化合物5b(18Kg、1.0当量)を充填し、100±5psigの窒素で加圧した。反応器から大気通気管路を介して窒素を抜き、次にコンデンサバルブを開き、次にアルゴンのブランケット下でジメチルスルホキシドを反応器中に充填した(>99.7%、105Kg)。反応器内容物を、22℃(19〜25℃)15分間撹拌し、次に200L HP反応器上で最大達成可能真空を引き、すべてのバルブを閉じた。設定された真空を用いて、メチルアミン(無水エタノールで33%wt%、37.2Kg)を200L HP反応器に内部温度を25±5℃に維持するレートで充填し、充填の間、試薬溶液上の窒素ブランケットを保持した。充填ラインをジメチルスルホキシド(5Kg)ですすいだ後、200L HP反応器コンデンサバルブを閉じ、反応器内容物を110±5℃に加熱した。反応器の内容物を、110±5℃で少なくとも5時間撹拌した。5時間40分間後に行った工程内HPLCは、0.09%の化合物5b含有率を示し、反応の完了(工程内仕様≦1%)を示した。200L HP反応器の内容物を25±5℃まで冷却した。200L反応器が冷却している間、PP1−R1000反応器(2000L GL反応器)のすべてのバルブを閉じ、プロセス濾過水(550Kg)を充填した。200L HP反応器の内容物を2000L GL反応器に15分かけて移送し、続いて充填ラインをプロセス濾過水(50Kg)ですすいだ。2000L GL反応器の内容物を5±5℃で2時間撹拌した。得られた濾過可能固体を、真空下でMel−Tuf 1149−12濾紙を取り付けたPPF200(GLヌッチェ型フィルタ)上で濾過した。湿潤濾過ケーキを排出し、Dupontのフルオロカーボンフィルム(Kind 100A)で内張りした真空トレイに移送した。湿潤化合物6を含んでいる真空トレイ上に特殊なオーブンペーパー(KAVAN992)を固定し、真空オーブントレイ乾燥機へ移送した。オーブン温度を55℃に設定し、化合物6を一定重量まで12時間乾燥した。製品5cを76.5%収率(予想85〜95%)で排出した(12.70Kg)。HPLCは、98.96%純度を示し、1H NMRは、化合物5cについての構造を確認した。1H NMR(DMSO):δ11.10(s,1H)、7.36(d,1H)、6.78(d,2H)、6.75(m,1H)、6.56(d,2H)、6.20(d,1H)、5.18(d,2H)、2.76(d,3H)。
【0172】
工程4. 5−クロロ−N−(4−(6−フルオロ−7−(メチルアミノ)−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)フェニルカルバモイル)チオフェン−2−スルホンアミド
【0173】
【化28】
PP1−R2000(200L HP反応器)反応器に、6(20.7Kg、1.0当量)、エチル5−クロロチオフェン−2−イルスルホニルカルバメート(37.5Kg、2.0当量、>95%)、ジメチルスルホキシド(95>%、75Kg)を充填し、15分間撹拌した。最大達成可能真空を引いている間、200L HP反応器No.PP1−R2000を、65±5℃で15時間加熱した。HPLC分析用に代表試料を反応器から採取し、工程内HPLCは、反応混合物中に<0.9%の化合物5cが残存していることを示した(化合物6の反応完了についての工程内基準は、<1%)。800L反応器No.PP5−R1000にプロセス濾過水(650Kg)を充填し、次に内部温度を25℃に維持しつつ、200L HP内容物を800Lに移送した。200L HP反応器をジメチルスルホキシド(15Kg)ですすき、800L反応器に移送し、次にこれを5±5℃で2時間撹拌した。形成された固体を、真空下でフィルタPP−F2000を介して200L GL受器へ濾過し、濾過ケーキをプロセス濾過水(60Kg)ですすいだ。湿潤ケーキの代表試料を取り、HPLC分析を行い、もし化合物6aの純度が<95%(工程内制御<95%)であれば、ジクロロメタン粉砕が必要であった。800L GL反応器にすべての湿潤化合物6a、ジクロロメタン(315Kg)を充填し、内容物を3時間撹拌した。固体を真空下でT515LF TYPARフィルタ1枚を備えたGLヌッチェ型フィルタを介して濾過した。濾過ケーキを、ジクロロメタン(50Kg)で洗い、ケーキを8±7psigの窒素で15分間ブロー乾燥した。濾過ケーキを、Dupontフルオロカーボンフィルム(Kind100A)で内張した真空トレイに移送し、次に60℃に設定された真空オーブントレイ乾燥機に移送し12時間乾燥した。乾燥された化合物6aをHPLCで単離し(33.6Kg、93%収率)、純度は93.5%でありスルホンアミドは4.3%であった。1H NMRにより、化合物7についての構造を確認した。1H NMR(DMSO):δ11.20(s,1H)、9.15(s,1H)、7.68(d,1H)、7.42(d、2H)、7.36(d、2H)、7.26(m,1H)、7.16(d、2H)、6.78(m,1H)、6.24(d,1H)、2.78(d,3H)。
【0174】
工程5. カリウム(5−クロロチオフェン−2−イルスルホニル)(4−(6−フルオロ−7−(メチルアミド)−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)フェニルカルバモイル)アミド、7a
【0175】
【化29】
800L GL反応器No.PP5−R1000に、アセトニトリル(134Kg)、WFI品質水(156Kg)を充填し、内容物を5分間撹拌した。次に、これに化合物6a(33.6Kg、1.0当量)を充填し、反応混合物は、この時点で縣濁物であった。この縣濁物に、水酸化カリウム(4.14Kg、1.15当量、>85%)の水溶液(WFI水、35Kg)を、内部温度を30℃未満に維持するレートで充填した。充填ラインをWFI品質水(2Kg)ですすぎ、続いて800L GL反応器を50±5℃で1時間加熱した。次に内容物を熱いまま、バッグフィルタ、次に7カートリッジ0.2μポリッシュフィルタを通して清浄なHDPEドラムに濾過した。物質が溶液からまったくクラッシュしないよう、濾過プロセス全体を通して熱濾過システムを維持した。反応器すすぎ洗浄に進む前に、800L GL反応器ジャケットを25±5℃まで冷却する。800L GL反応器を、アセトニトリル(8.5Kg)およびWFI品質水(10Kg)の予混合溶液でフィルタシステムを通してすすぎ、7a熱濾過と表記されたドラム中に入れる。圧力容器を用いて800L GL反応器を、アセトン(20Kg)続いてWFI品質水(20Kg)ですすぎ、次に窒素(3+2psi)でブロー乾燥した。800GL反応器底バルブを閉じ、20+10Hgインチ真空に引き、次に真空を破り、7a熱濾過と表記されたドラムの内容物を反応器に充填した。800L GL反応器No.PP5−R1000内容物を20±5℃まで冷却し、次に、ポリッシュフィルタ(PP−PF09)を用いて、内部温度を30℃以下に維持しつつ反応器にメタノール(373Kg、>99%)を充填した。800GL反応器No.PP5−R1000の内容物を15±5℃まで冷却し、続いて内容物をこの温度で12時間内容物撹拌した。この間、濾過可能固体を、清浄なフィルタ装置(PP−F1000)を介して清浄な200L GL受器(PPR−04)中に濾過し、続いて反応器を加圧し、フィルタ/受器上で20+10Hgインチの真空に引き、内容物を濾過した。濾過ケーキをメタノール(30Kg)で洗い、8+7psigの窒素で10分間ブロー乾燥した。7aの湿潤ケーキを載せる前に、真空オーブントレイ乾燥機温度を80℃に設定した。湿潤濾過ケーキを、Dupontのフルオロカーボンフィルム−Kind1000Aで内張した真空トレイ中に移送し、生成物である湿潤7aを含んでいる真空トレイ上に特殊なオーブンペーパー(Kavon Mel Tufペーパー)を固定し、真空オーブントレイ乾燥機へ移送した。オーブン温度を80℃に設定し、湿潤7aを一定重量まで乾燥した(一定重量は、少なくとも1時間あけて+50g以内の同じ重量を有するトレイ示度として定義される)。代表試料を、残留溶媒(APIについての残留溶媒仕様)について分析したところ、仕様を満たした。最終的なAPIを、WFI品質水が存在するトレイを用いて12時間、水(5〜6%)と平衡状態にさせ、次に完全に裏返し、さらに12時間放置し、最終的にKF分析にかけた(5.5%含水率)。て7−カリウム(21.80Kg、60.6%収率)を、二重の丈夫なポリ袋に移し、2次閉じ込めで格納した。HPLC7aは99.7%の純度を示し、1H NMRは、7aについての構造を確認した。1H NMR(DMSO):δ11.14(s,1H)、8.60(s,1H)、7.48(m,2H)、7.35(d,1H)、7.22(d,1H)、6.95(m,3H)、6.75(m,1H)、6.22(d,1H)、2.78(d,3H)。
【0176】
実施例5:薬理学的アッセイ
本発明による化合物の各々の薬理活性を、以下のインビトロアッセイにより決定する:
I. インビトロにおけるADP媒介性血小板凝集の阻害
1.
本発明による化合物を試験することの、ADP誘発性ヒト血小板凝集に対する効果を、ヒト多血小板血漿(PRP)かヒト洗浄血小板を用いて、96−ウェルマイクロタイターアッセイ(一般的には、Jantzen,H.M.et al.(1999)Thromb.Hemost.81:111−117中の手順を参照)または標準のキュベット光透過率凝集測定法において評価した。
【0177】
凝集アッセイ用ヒト多血小板血漿の調製のため、ヒト静脈血を健康で薬物を使用していないボランティアから0.38%クエン酸ナトリウム(0.013M、pH7.0最終)中に収集した。多血小板血漿(PRP)を、室温にて20分間、160×gで遠心分離して調製する。PRP層を除去し、新しい管に移し、もし必要であれば、〜3×108血小板/mlの血小板濃度を達成するために貧血小板血漿(PPP)を用いて血小板数を調整する。PPPは、残った血液試料(PRPの除去後)を20分間800×gで遠心分離して調製する。このPRPの調製物はその後、96−ウェルプレートか標準キュベット凝集測定における凝集アッセイ用に用いることができる。
【0178】
洗浄血小板の調製のため、ヒト静脈血を健康で薬物を使用していないボランティアから、PGI2(0.2μM PGI2最終を含有する1.25ml ACD;PGI2は、Sigma,St.Louis,Moから入手))を含有するACD(85mMクエン酸ナトリウム、111mMグルコース、71.4mMクエン酸)中に収集する。多血小板血漿(PRP)は、室温で20分間160×gで遠心分離して調製する。洗浄血小板は、730gで10分間遠心分離し、血小板ペレットを、1U/mlアピラーゼ(グレードV、Sigma,St.Louis,Mo)を含有するCGS(13mMクエン酸ナトリウム、30mMグルコース、120mM NaCl;2ml CGS/10ml元の血液体積)中に再縣濁することにより調製する)。37℃で15分間インキュベーションした後、血小板を、730×gで10分間の遠心分離によって収集し、0.1%ウシ血清アルブミン、1mM CaCl2および1mM MgCl2を含有するHepes−Tyrode緩衝液(10mM Hepes,138mM NaCl、5.5mMグルコース、2.9mM KCl、12mM NaHCO3,pH7.4)中に濃度3×108血小板/mlにて再懸濁する。この血小板懸濁物を、凝集アッセイにおいて使用する前に37℃にて45分以上維持する。
【0179】
キュベット光透過率凝集アッセイのため、試験化合物の連続希釈液(1:3)を、96ウェルV底プレートにおいて100%DMSO中で調製した(キュベット中の最終DMSO濃度は0.6%であった)。試験化合物(DMSO中の連続希釈液3μl)を、凝集反応の前に30〜45秒間PRPでプレインキュベートし、これは、ChronoLog血小板凝集計において37℃で作動薬(5または10μM ADM)を490μMのPRPに添加することにより実行した。場合によっては、光透過率凝集測定は、37℃で洗浄血小板(上記のように調製)490μLを用いて実行し、凝集は、5μM ADPおよび0.5mg/mlヒトフィブリノゲン(American Diagnstics,Inc.,Greenwich,Conn)を添加して開始した。凝集反応を薬5分間記録し、最大凝集範囲を、アッセイの5分間の間に生じる最大凝集と比較して、ベースラインにおける凝集の範囲の差により決定する。凝集の阻害は、インヒビターが無い場合の最大凝集と比較して、インヒビターが存在する場合に観察される最大凝集として計算した。IC50sを、Prismソフトウェア(GraphPad,San Diego,CA)を用いて非線形回帰分析により導き出した。
【0180】
3.
ADP依存性血小板凝集の阻害も、Frantantoni et al.,Am.J.Clin.Pathol.94,613(1990)により記載されている手順に類似したマイクロタイタープレート振盪機およびプレートリーダーを用いて、96−ウェル平底マイクロタイタープレートにおいて決定した。全ての工程を、室温にて実施する。多血小板血漿(PRP)を用いる96−ウェルプレート凝集の場合、0.2ml/ウェルの総反応容積は、PRP(〜3×108血小板/ml、上記参照)180μl、20%DMSO中の試験化合物連続希釈物か緩衝液(対照ウェル用)のいずれか6μl、および20X SADPアゴニスト溶液(100μM)10μを含む。次に試料のODを、マイクロタイターリーダー(Softmax,Molecular Devices,Menlo Park,Calif.)を用いて450nmで決定し、0分示度を得る。次にプレートを、マイクロタイタープレート振盪機上で5分間撹拌し、プレートリーダーにおいて5分示度を得る。凝集を、t=0分と比較してt=5分における450nmでのODの低下から計算し、未凝集対照試料における変化について訂正した後、ADP対照試料における低下の%として表す。IC50sを、非線形回帰分析により導き出した。
【0181】
洗浄血小板を用いる96−ウェルプレート凝集の場合、0.2ml/ウェルの総反応容積は、Hepes−Tyrode緩衝液/0.1%BSA中に、4.5×107アピラーゼ洗浄血小板、0.5mg/mlヒトフィブリノゲン(American Diagnstics,Inc.,Greenwich,Conn)、0.6%DMSO中の試験化合物の連続希釈物(対照ウェル用緩衝液)を含む。室温での約5分前のプレインキュベーション後、ADPを、最大下凝集を引き起こす2μMの最終濃度まで添加する。ADPの代わりに緩衝液を、1組の対照ウェルに添加する(ADP−対照)。次に試料のODを、マイクロタイターリーダー(Softmax,Molecular Devices,Menlo Park,Calif.)を用いて450nmで決定し、0分示度を得る。次にプレートを、マイクロタイタープレート振盪機上で5分間撹拌し、プレートリーダーにおいて5分示度を得る。凝集を、t=0分と比較してt=5分における450nmでのODの低下から計算し、未凝集対照試料における変化について訂正した後、ADP対照試料における低下の%として表す。IC50sを、非線形回帰分析により導き出した。
【0182】
II. 血小板への[3H]2−Mes−ADP結合の阻害
1. 血小板上のP2Y12レセプターへの[3H]2−Mes−ADPの結合を阻害する候補分子の能力を、放射性リガンド結合アッセイを用いて決定した。
【0183】
このアッセイを利用して、血小板全体への[3H]2−Mes−ADP結合に関するそのような化合物の阻害能力を決定する。以下のII(3)に記載される条件下で、[3H]2−Mes−ADPの結合は、このアッセイで測定されるすべての特異な結合がP2Y12アンタゴニストと競合可能である(すなわち、特異な結合は、過剰のP2Y12アンタゴニストとの競合により背景レベルまで減少させられ、P2Y12アンタゴニストが血小板調製物とプレインキュベートされる場合に、結合の競合が皆無である)という点で、このリガンドとP2Y12との相互作用にもっぱら起因する。[3H]2−Mes−ADP結合実験は、院内血液銀行における標準的手順により回収された期限切れのヒト血小板を用いて規定通りに実行される。アピラーゼ洗浄された期限切れの血小板を、以下の通り調製する(特記のないかぎり、すべての工程は室温にて):
期限切れの血小板縣濁物を、1容量のCGSで希釈し、血小板を、1900×gにて45分間の遠心分離によってペレット化する。血小板ペレットを、1U/mlアピラーゼ(グレードV、Sigma,St.Louis,Mo.)を含有するCGS中に3〜6×109血小板にて再懸濁し、37℃にて15分間インキュベートする。730×gにて20分間の遠心分離の後、ペレットを、0.1% BSA(Sigma,St.Louis.Mo.)を含有するHepes−Tyrode緩衝液中に再懸濁する。結合実験を、その血小板を45分間以上静置した後、実行する。
【0184】
2.
代わりに、結合実験を、セクションI(インビトロでのADP媒介性血小板凝集の阻害)に記載されるように調製した新鮮なヒト血小板を用いて実行する。ただし、血小板は、0.1% BSA(Sigma,St.Louis.Mo.)を含有するHepes−Tyrode緩衝液中に、6.66×108血小板/mlの濃度で再懸濁する。非常に類似する結果が、新鮮な血小板および期限切れの血小板を用いて得られる。
【0185】
3.
トリチウム化した強力なアゴニストリガンド[3H]2−MeS−ADP(Jantzen,H.M.et.al(1999)Thromb.Hemost.81:111〜117)を用いる血小板ADPレセプター結合アッセイが、96−ウェルマイクロタイター形式に適合されている。0.1%BSAおよび0.6%DMSOを含む0.2mlのHepes−Tyrode緩衝液のアッセイ体積中で、1×108のアピラーゼ洗浄した血小板を、96−ウェル平底マイクロタイタープレート中にて、1nM[3H]2−MeS−ADP([3H]2−メチルチオアデノシン−5’−二リン酸,アンモニウム塩;比活性20〜50Ci/mmole、Amersham Life Science,Inc.Arlington Heights,Ill.,またはNEN Life Science Products,Boston,Mass.から注文合成により得る)を添加する前に、試験化合物の連続希釈物とともにプレインキュベートする。全結合を、試験化合物の不在下で決定する。非特異的結合についての試料は、10Mの非標識2−MeS−ADP(RBI,Natik,Mass.)を含み得る。室温での15分間のインキュベーション後、非結合の放射性リガンドを、迅速濾過、ならびに96−ウェルセルハーベスタ(Minidisc 96,Skatron Instruments,Sterling,Va)および8×12GF/Cガラス繊維フィルターマット(Printed Filtermat A、1450Microbeta用、Wallac Inc.,Gaithersburg,Md.)を使用した低温(4〜8℃)のBinding Wash Buffer(10mM Hepes pH7.4,138mM NaCl)での2度の洗浄により分離する。フィルターマット上の血小板結合放射能を、シンチレーション計数器(Microbeta 1450,Wallac Inc.,Gaithersburg,Md.)で決定する。全結合からの非特異的結合の減算により、特異的結合を決定し、試験化合物の存在下における特異的結合を、試験化合物の不在下における特異的結合の%として表す。IC50sを、非線形回帰分析により導き出した。
【0186】
以下の表において、PRPアッセイにおける活性、以下の通り提供される:+++、IC50<10μM、++、10μM<IC50<30μM。ARBアッセイにおける活性は、以下の通り提供される:+++、IC50<0.05μM;++、0.05μM<IC50<0.5μM。
【0187】
【表5】
実施例6:[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩(9a)(非晶質形態)の合成
【0188】
【化30】
無酸のスルホニル尿素(7.0g、13.365mmol)を、THF/H2O(55:22mL、約2.5:1)中に縣濁し、2M KOH(7.70mL、15.40mmol、1.15当量)で約5分間にわたり滴下して処理した。添加が終了する時点までに、清澄な溶液が生じた。しかしながら、次にまもなく(<5分間)、固体が析出し、反応混合物は、高粘度の縣濁物になった。これを油浴中で50℃まで加熱し、結果として生じた清澄で粘稠な淡褐色溶液をそこで0.5時間保持した。室温まで冷却するとすぐに、表題の化合物が析出した。この混合物を、i−PrOH(250mL、3×元の反応容積)で希釈し、室温で3時間撹拌し、次に、ブフナー漏斗を通して濾過して、無色固体として表題の化合物を得た。これを、真空オーブン中にて80℃で乾燥し、非晶質固体7.20g(96%)を得た。MS(ネガティブ走査):521.7;523.7。
【0189】
実施例7:スルホニル尿素(7a)の、そのナトリウム塩(10a)への変換
【0190】
【化31】
1−(5−クロロチオフェン−2−イルスルホニル)−3−(4−(6−フルオロ−7−(メチルアミド)−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)フェニル)尿素(3.0g、5.728mmol)7aを、CH3CN/H2O)(1:1;170mL)中に縣濁し、2N NaOH(2.90mL、5.80mmol)で滴下して処理した。約15分内で、清澄な溶液が生じた。1.0時間の撹拌後、淡褐色溶液を凍結乾燥して、非晶質固体10aとして粗生成物を得た。MS(ネガティブ走査):522.0;524.0。
【0191】
実施例8:ナトリウム塩の非晶質形態の調製
ナトリウム塩10bを、イソプロパノール(100mL)中に縣濁させ、約45分還流し、次に熱濾過して黄褐色固体を得た。この固体は、HPLCによりえば大半が表題の化合物である。この黄褐色固体を、CH3CN:EtOH(1:2)(100mL)中に縣濁させ、約45分間還流し、次に熱濾過して黄褐色固体として表題の化合物2.54gを得た(分析HPLC、長カラムによれば純度99.6887%)。濾液を、ACN:EtOHの比率が(1:3)になるまでEtOHで希釈し、次に、室温で一晩静置したところ、表題の化合物が析出して、表題の化合物210mgを得た(純度99.6685%:分析HPLC、長カラムによる)。
【0192】
実施例9:再結晶によるカリウム塩の多形形態Aの調製
再結晶:粗生成物は、最初に加熱して還流させて溶解し、次に室温まで冷却して沈殿させることにより、MeOHかMeOH/EtOH(3:1)から再結晶させることができる。
【0193】
MeOHからの再結晶:カリウム塩1.0gをMeOH(150mL)中に縣濁させ、加熱して0.5時間還流し、ほとんど清澄な溶液を得た。次にこの溶液を、ブフナー漏斗を介して熱濾過した。清澄な濾液を室温で静置したところ、無色固体が沈殿した。これを一晩撹拌し、次に、ブフナー漏斗を介した濾過により回収した。この固体生成物を、EtOH(2×4.0mL)ですすぎ、真空オーブン中にて80℃で20時間乾燥させ、無色固体740mgを得た。母液を、元の容積の約1/3まで濃縮したところ、より多くの表題の化合物を出じた。
【0194】
EtOH/MeOHからの再結晶:カリウム塩1.0gを溶媒混合物EtOH/MeOH(1:3)(200mL)中に縣濁させ、加熱して0.5時間還流させて、ほとんど清澄な溶液を得た。次にこれを、ブフナー漏斗を介して熱濾過した。清澄な濾液を室温で静置したところ、無色固体が沈殿した。この無色固体を、ブフナー漏斗を介した濾過によって回収した。この固体生成物を、EtOHですすぎ、真空オーブン中にて80℃で20時間乾燥させ、無色固体を得た。母液を、元の容積の約1/3まで濃縮したところ、より多くの表題の化合物を出じた。
【0195】
実施例10:再結晶によるカリウム塩の多形形態Bの調製
再結晶:粗生成物は、最初に加熱して還流させて溶解し、次に室温まで冷却して沈殿させるることにより、EtOH/H2O(91:9)または少量のMeOHから再結晶させることができる。
【0196】
EtOH/H2Oからの再結晶:カリウム塩1.0gをEtOH(190mL)中に縣濁させ、加熱して還流しさせた。高粘度の縣濁物にH2O(18.0mL)を滴下して添加し、清澄な無色溶液を得た。室温に冷却するとすぐに、表題の化合物が、無色固体として析出した。この無色固体を、ブフナー漏斗を介した濾過で回収し、EtOH(2×4.0mL)ですすいだ。これを、真空オーブン中にて80℃で20時間乾燥させ、無色固体650mgを得た。母液を、元の容積の約1/3まで濃縮したところ、より多くの表題の化合物を出じた。
【0197】
少量のMeOHからの大規模再結晶:カリウム塩6.6gを、MeOH(30mL)中に縣濁させ、加熱して5時間還流させたところ、固体は、より少ない容量のメタノール中に完全には溶解しなかった。冷却後、固体を濾過し、iPrOHですすいだ。これを真空オーブン中にて80℃で20時間乾燥させ、形態Bであると特性決定される、無色固体6.2gを得た。
【0198】
上述の発明は、理解を明確にする目的で例示および実施形態によってある程度詳細に説明されてきたが、当業者は、添付請求項の範囲内で一定の変更および修正が実施され得ることを理解するであろう。加えて、本明細書中に提供される各参考文献は、あたかも各参考文献が参照により個別に組み込まれるのと同程度に、その全体が参照により組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0199】
【図1】図1は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウムおよび/またはナトリウム塩を提供する。
【図2a】図2aは、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩二水和物の結晶質固体のAのX線粉体回折(XRPD)を示す。
【図2b】図2bは、ピーク情報を示す[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩二水和物の結晶質固体形態AのXRPDを示す。
【図3a】図3aは、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩の結晶質固体形態BのXRPDを示す。
【図3b】図3bは、ピーク情報を示す[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩の結晶質固体形態BのXRPDを示す。
【図4】図4は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩の非晶質形態のXRPDを示す。
【図5】図5は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩二水和物の結晶質固体形態Aのフーリエ変換赤外スペクトルを示す。
【図6】図6は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩二水和物の結晶質固体形態Bのフーリエ変換赤外スペクトルを示す。
【図7】図7は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩の非晶質形態体のFT−IRを示す。
【図8】図8は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩二水和物の結晶質固体形態Aの1H−NMRを示す。
【図9】図9は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩の結晶質固体形態Bの1H−NMRを示す。
【図10】図10は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩の非晶質形態の1H−NMRを示す。
【図11】図11は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩二水和物の結晶質固体形態Aの重量測定蒸気収着(GVS)データを提供する。
【図12a】図12aは、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩二水和物の結晶質固体形態Bの重量測定蒸気収着(GVS)データを提供する。試料をGVS実験の完了後に回収し、XRPDにより再試験した。結果(図12b)は、GVS実験中に相変化が全く生じなかったことを示している。約5.4°2θにおけるピークの強度変化は、好ましい配向効果である。
【図12b】図12aは、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩二水和物の結晶質固体形態Bの重量測定蒸気収着(GVS)データを提供する。試料をGVS実験の完了後に回収し、XRPDにより再試験した。結果(図12b)は、GVS実験中に相変化が全く生じなかったことを示している。約5.4°2θにおけるピークの強度変化は、好ましい配向効果である。
【図13】図13は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩の非晶質形態の重量測定蒸気収着(GVS)データを提供する。
【図14】図14は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩二水和物の結晶質固体形態Aの示差走査熱量測定(DSC)データを提供する。
【図15】図15は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩二水和物の結晶質固体形態AのTGAデータを提供する。
【図16】図16は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩の結晶質固体形態BのDSCデータを提供する。
【図17】図17は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩の結晶質固体形態BのTGAデータを提供する。
【図18】図18は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩の非晶質形態のDSCデータを提供する。
【図19】図19は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩の非晶質形態のTGAデータを提供する。
【背景技術】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2005年11月3日に出願された米国仮特許出願第60/733,650号の利益を主張する。米国仮特許出願第60/733,650号の内容は、参考として援用される。
【0002】
(発明の背景)
血栓合併症は、工業化された世界における主要な死因である。これらの合併症の例としては、急性心筋梗塞、不安定狭心症、慢性安定狭心症、一過性脳虚血発作、脳卒中、末梢血管疾患、子癇前症/子癇、深部静脈血栓症、塞栓症、播種性血管内凝固および血栓性血球減少性紫斑病が含まれる。血栓性および再狭窄合併症も、侵襲的処置、例えば、血管形成、頚動脈内膜切除、CABG(冠状動脈バイパス移植)手術、人工血管手術、ステント設置および血管内デバイスおよびプロテーゼの挿入、ならびに遺伝子的疾病素質または癌に関連する凝固亢進状態に続いて生じる。これらの事象において血小板凝集物が重要な役割を果たすと一般的に考えられている。血小板は、通常、血管系内を自由に循環し、活性化され、凝集して、破裂したアテローム性動脈硬化病巣または血管形成のような侵襲的処置により引き起こされる血流の乱れにより血栓を形成し、血管閉塞をもたらす。血小板活性化は、種々の作用因子、例えば、曝露されたコラーゲンのような内皮下マトリックス分子により、または凝固カスケード中で形成されるトロンビンにより開始され得る。
【0003】
血小板活性化および凝集の重要な媒介物質がADP(アデノシン5’−二リン酸)であり、これは、コラーゲンおよびトロンビンのような種々の作用因子による活性化の際に血管系内の血小板から、ならびに損傷した血液細胞、内皮または組織から放出される。ADPによる活性化は、より多くの血小板の漸増および既存の血小板凝集物の安定化をもたらす。凝集を媒介する血小板ADPレセプターは、ADPおよびその誘導体のうちのいくつかにより活性化され、ATP(アデノシン5’−三リン酸)およびその誘導体のうちのいくつかにより拮抗される(Mills,D.C.B.(1996)Thromb.Hemost.76:835〜856)。従って、血小板ADPレセプターは、プリンおよび/またはピリミジンヌクレオチドにより活性化されるP2レセプターのファミリーのメンバーである(King,B.F.,Townsend−Nicholson,A.& Burnstock,G.(1998)Trends Pharmacol.Sci.19:506〜514)。
【0004】
選択的アンタゴニストを用いた最近の薬理学的データは、ADP依存性血小板凝集が、少なくとも2つのADPレセプターの活性化を必要とすることを示唆している(Kunapuli,S.P.(1998),Trends Pharmacol.Sci.19:391〜394;Kunapuli,S.P.& Daniel,J.L.(1998)Biochem.J.336:513〜523;Jantzen,H.M.et al.(1999)Thromb.Hemost.81:111〜117)。1つのレセプターは、クローン化P2Y1レセプターと同一であると思われ、ホスホリパーゼC活性化および細胞内カルシウム移動を媒介し、血小板の形状変化に必要とされる。凝集に重要な第二の血小板ADPレセプターは、アデニリルシクラーゼの阻害を媒介する。このレセプターは、その薬理学的特性およびシグナル伝達特性に基づき、暫定的にP2YADPと呼ばれてきた(Fredholm,B.B.et al.(1997)TIPS 18:79〜82)、P2TAC(Kunapuli,S.P.(1998)Trends Pharmacol.Sci.19:291〜394)またはP2Ycyc(Hechler,B.ら(1998)Blood 92,152〜159)。より最近になって、このレセプターの分子クローニングにより(Hollopeter,G.et al.(2001)Nature 409:202〜207)、このレセプターは、Gタンパク質共役型ファミリーの新たなメンバーであり、チエノピリジン系薬であるチクロピジンおよびクロピドグレルの標的であることが明らかになった。このレセプターに与えられた用語は、P2Y12である。
【0005】
抗血栓活性を有し、直接的または間接的に作用する、ADP依存性血小板凝集の種々の合成インヒビターが報告されている。経口的に活性な抗血栓性のチエノピリジン系チクロピジンおよびクロピドグレルは、ADP誘発性血小板凝集、放射能標識されたADPレセプターアゴニスト2−メチルチオアデノシン5’−二リン酸の血小板への結合、および間接的に、おそらくは不安定で不可逆的に作用する代謝産物の形成を介して、他のADP依存性事象を阻害する(Quinn,M.J.& Fitzgerald,D.J.(1999)Circulation 100:1667〜1667)。内因性のアンタゴニストATP(例えば、AR−C(以前はFRLまたはARL)67085MXおよびAR−C69931MX)の一部のプリン誘導体は、ADP依存性血小板凝集を阻害し、動物血栓症モデルにおいて有効な選択的血小板ADPレセプターアンタゴニストである(非特許文献1;非特許文献2)。新規のトリアゾロ[4,5−d]ピリミジン化合物が、P2T−アンタゴニストとして開示されている(特許文献1)。血小板ADPレセプターインヒビターとしての三環化合物も、特許文献2に開示されている。これらの抗血栓化合物の標的は、アデニリルシクラーゼの阻害を媒介する血小板ADPレセプターであるP2Y12と思われる。
【0006】
これらの化合物にもかかわらず、より有効な血小板ADPレセプターインヒビターに対する要望が存在する。とりわけ、心血管疾患、特に血栓症に関連する心血管疾患の予防および/または処置的に有効な抗血栓活性を有する血小板ADPレセプターインヒビターに対する要望がある。
【0007】
加えて、有効な薬剤にとって生物活性が必要不可欠であると同時に、化合物は大規模製造が可能でなければならず、化合物の物理的特性は、処方された有効成分の有効性およびコストに著しく影響を与え得る。酸性および塩基性化合物の塩は、親化合物の物理的特性を変更または改善し得る。しかしながら、これらの塩形成剤は、製薬化学者により実験的に特定されなければならない。なぜならば、剤形中の親化合物の挙動に対する塩種の影響を予測する信頼できる方法が皆無だからである。選択プロセスを潜在的に単純化し得る効果的なスクリーニング技法は、残念ながら存在しない(G.W.Radebaugh and L.J.Ravin Preformulatio.In,Remington:The Science and Practice of Pharamacy;A.R.Gennaro Ed.;Mack Publishing Co.Easton,Pa.,1995;pp 1456〜1457)。
【0008】
塩の非晶質および種々の結晶質固体/多形形態が、薬学的に有用な化合物の間で頻繁に遭遇される。多形は、2つ以上の別個の結晶種として結晶化する任意の元素または化合物の能力でもある。溶解性、融点/吸熱極大、密度、硬度、結晶形および安定性を含む物理的特性は、同じ化学的化合物の種々の形態について全く異なり得る。
【0009】
結晶質固体および非晶質形態は、散乱手法、例えば、X線回折粉末パターン、分光方法、例えば、赤外、固体13Cおよび19F核磁気共鳴分光法、および熱的手法、例えば、示差走査熱量測定または示差熱分析により特徴付けることができる。化合物の異なるバッチのX線粉末回折パターンにおけるピークの強度は若干変わり得るが、ピークおよびピーク位置は、特定の結晶質固体または非晶質形態について特徴的である。加えて、赤外、ラマンおよび熱的方法は、結晶質または固体非晶質形態を分析し、特徴付けるために用いられてきた。固体および非晶質形態は、技術的に知られている手順に従って決定されるX線粉末回折パターンからのデータにより特徴付けられ得る(J.Haleblian,J.Pharm.Sci.1975 64:1269〜1288,and J.Haleblain and W.McCrone,J.Pharm.Sci.1969 58:911〜929参照)。化合物の種々のバッチのX線粉末回折パターンにおけるピークの強度は若干変わり得るが、ピークおよびピーク位置は、特定の結晶質固体形態について特徴的である。
【0010】
解決されなければならない問題は、(i)製造プロセス中の十分な科学的安定性を有し、(ii)効率的に調製、精製および回収され、(ii)薬学的に受容可能な溶媒中での受容可能な溶解性を提供し、(iii)化合物の分解または物理的および化学的特性の変化を無視して操作(例えば、流動性および粒径)および処方が容易にでき、(iv)処方中での受容可能な化学的安定性を示す、適切な塩および形態を特定することである。加えて、活性成分を高モル百分率で含有する塩および形態が非常に望ましい。なぜならば、それらの塩および形態は、治療有効用量を製造するために処方および投与されなければならない物質の量を最小限にするからである。これらのしばしば矛盾する要件は、適切な塩の特定を、薬剤開発が本腰を入れて進行できる前に熟練した薬学科学者により解決されなければならない困難かつ重要な問題にする。
【0011】
従って、本発明のこれらの化合物の化合物および塩ならびに非晶質および結晶質固体形態、そして本発明の化合物の化合物、塩および結晶質固体形態を製造するための効率的なプロセスに対する要望がある。化合物が血栓症の日常的処置のために実効的になる前に、上記の困難および不備に対する解決策が必要とされる。
【0012】
ポリアリール化合物は一般に、高度に結晶質であり、水溶性に乏しくかつ疎水性であり、薬学的処方の調製における困難および生物学的利用能と関連する問題という結果になる。従って、本発明の化合物の他の形態を発見し、その特性を調べるために努力が傾注された。本発明の化合物の塩の結晶質固体形態が発見された。本発明は、より良好な悪影響プロファイルを提示する一方で、多形ならびに血栓症を処置および予防するための方法を提供することにより、上記の要求を満たす。
【特許文献1】国際公開第99/05144号パンフレット
【特許文献2】国際公開第99/36425号パンフレット
【非特許文献1】Humphries et.al.(1995)、Trends Pharmacol.Sci.16,179
【非特許文献2】Ingall,A.H.et al.(1999)J.Med.Chem.42,213〜2302
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の要旨
1つの局面において、本発明は、式(I):
【0014】
【化6】
を有する化合物を提供し、
式中、R1は、H、ハロゲン、−OH、−C1−10−アルキルおよびC1−6−アルキルアミノからなる群から選択され、
Xは、FおよびIからなる群から選択される。
【0015】
本発明は、式(I)の化合物のすべての薬学的に受容可能な誘導体もカバーする。
【0016】
別の局面において、本発明は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素のカリウムおよびナトリウム塩の結晶質固体および非晶質形態を提供する。
【0017】
別の局面において、本発明は、哺乳動物における血栓症および血栓症関連条件を予防または処置するための薬学的組成物を提供する。組成物は、治療有効量の式(I)の1つ以上の化合物または薬学的に受容可能なその塩および薬学的に受容可能なキャリアもしくは賦形剤を含有する。本発明はさらに、治療有効量の式(I)の化合物または薬学的に受容可能なその塩を投与することにより、哺乳動物における血栓症および血栓症関連病態を予防または処置するための方法を提供する。
【0018】
さらに別の局面において、本発明は、式(I)の化合物、それらの結晶質固体および非晶質形態ならびに哺乳動物における血栓症および血栓症関連病態を予防または処置するための薬学的組成物を調製するための方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
発明の詳細な説明
本発明は、スルホニル尿素化合物およびそれらの誘導体ならびにそれらの結晶質固体および非晶質形態、そしてそれらの調製を含む。[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素のカリウム塩は、優れた結晶性、安定性および純度を有する。本発明の化合物は、哺乳動物における望ましくない血栓症および血栓症関連病害の処置および予防に有用である。
【0020】
I. 定義
本発明に従い、および本明細書中で用いられるように、以下の用語は、別に明示的に述べられていない限り、以下の意味によって定義される。
【0021】
本明細書中で用いられる文言「1つの(a)」または「1つの(an)」実体は、その実体のうちの1つ以上を意味し、例えば、1つの化合物(a compound)は、1つ以上の化合物または少なくとも1つの化合物を意味する。従って、用語「1つの(a)」(または、「1つの(an)」)、「1つ以上の(one or more)」、および「少なくとも1つの(at least one)」は、本明細書中で区別なく用いられ得る。
【0022】
本明細書中で用いられるような文言「約(about)」は、異なる計測器、試料、および試料調製の間で取られた測定において見られるかもしれない変動を意味する。そのような変動としては、例えば、熱測定についての束一性が含まれ得る。結晶質固体形態についての異なるX線回折計および試料調製の間の典型的な変動は、0.2°θのオーダーである。ラマンおよびIR分光計について典型的な変動は、分光計の解像度の2倍のオーダーである。用いられた分光計の解像度は、約2cm−1であった。
【0023】
本明細書中で用いられるような用語「溶媒和物(溶媒和物)」は、本発明に従って調製された場合に約0.3%より大きい量で、非共有結合性の分子間力により結合された化学量論的または非化学量論的量の溶媒をさらに含む、本発明の化合物またはその塩を意味する。
【0024】
本明細書中で用いられるような用語「水和物(hydrate)」は、非共有結合性の分子間力により結合された化学量論的または非化学量論的量の水をさらに含む、本発明の化合物またはその塩を意味する。水和物は、1つ以上の水分子と、その中で水がH2Oとしてのその分子状態を保持する1つ以上の物質との組み合わせにより形成され、そのような組み合わせは、1つ以上の水和物を形成することができる。
【0025】
本明細書中で用いられるような用語「「無水の(anhydrous)」は、本発明に従って調製された場合に、約3重量%未満の水または溶媒を含む、本発明の化合物またはその塩を意味する。
【0026】
本明細書中で用いられるような用語「乾燥(drying)」は、特に明記してあるものを除いて、大気圧または減圧下において、含有される溶媒および/または水のレベルが受容可能なレベルに到達するまで加熱してまたは加熱しないで行うことができる、溶媒および/または水を本発明の化合物から除去する方法を意味する。
【0027】
本明細書中で用いられるような用語「多形(polymorph)」は、1つの化合物が異なる結晶充填配置で結晶できる結晶構造を意味し、すべての充填配置は、同じ元素組成を有する。異なる結晶形態は通常、異なるX線回折パターン、赤外スペクトル、融点/吸熱極大、密度硬度、結晶形、光学的および電気的特性、安定性ならびに可溶性を有する。再結晶溶媒、結晶速度、保存温度、およびその他の因子により、1つの結晶形態が支配的になり得る。
【0028】
本明細書中で用いられるような用語「固体形態(solid form)」は、化合物が異なる充填配置で結晶できる結晶構造を意味する。固体形態は、本発明においてそれらの用語が用いられているような多形、水和物、および溶媒和物を含む。異なる多形を含む、同じ組成の異なる固体形態は、異なるX線粉末回折パターンならびに赤外、ラマン、および固体NMRを含む異なるスペクトルを呈する。それらの光学的、電気的、安定性、および可溶性特性も異なり得る。
【0029】
本明細書中で用いられるような用語「特徴付ける(characterize)」は、1つの化合物の1つの固体形態を1つの化合物の他の固体形態と区別するために、X線粉末回折、赤外分光法、ラマン分光法、および/または固体NMRのような分析測定値からデータを選択することを意味する。
【0030】
用語「哺乳動物(mammal)」は、ヒト、家庭動物(例えば、イヌまたはネコ)、家畜(ウシ、ウマ、またはブタ)、サル、ウサギ、マウス、および実験動物を制限なく含む。
【0031】
用語「アルキル(alkyl)」は、指定された数の炭素原子を有する、またはもし数が指定されていなければ、最高約12個の炭素原子の数を有する、直鎖、分岐鎖または環状基を含む飽和脂肪基を指す。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル等が含まれる。
【0032】
用語「アルコキシ(alkoxy)」「アルキルアミノ(alkylamino)」および「アルキルチオ(alkylthio)」(またはチオアルコキシ(thioalkxy)は、それらの通常の意味で用いられ、それぞれ酸素原子、アミノ基、または硫黄原子を介して分子の残りに結合されたアルキル基を指す。簡潔にするため、用語C1−6アルキルアミノは、メチル、エチル、2−メチルプロピル、シクロブチルおよびシクロプロピルメチルのような直鎖、分岐または環状アルキル基あるいはそれらの組み合わせを含むものとされる。
【0033】
本明細書中で用いられるような用語「C1−C6アルキルアミノ」または「C1−6アルキルアミノ」は、分子の残りに結合されたアミノ部分を指し、上記で定義されるように、窒素は1つないし2つのC1−6アルキル置換基によって置換されている。
【0034】
用語「ハロ(halo)」または「ハロゲン(halogen)」は、それら単独でまたは別の置換基の一部として、特に指定されていなければ、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を意味する。加えて、「ハロアルキル(haloalkyl)」のような用語は、モノハロアルキルおよびポリハロアルキルを含むものとされる。例えば、用語「C1−4ハロアルキル」は、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、4−クロロブチル、3−ブロモプロピル等を含むものとされる。
【0035】
「薬学的に受容可能な誘導体(pharmaceutically acceptable derivatives」」は、本明細書中で説明される化合物上で見出される特定の置換基に応じて、比較的非毒性の酸または塩基を用いて調製される活性化合物塩を含むものとされる。本発明の化合物が相対的に酸性の官能基を含む場合、塩基付加塩は、そのような化合物の中性型を十分な量の所望の塩基と、ストレートか適切な不活性溶媒中で接触されることにより得ることができる。薬学的に受容可能な塩基付加塩の例としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩等の無機塩基から誘導されたものが含まれる。カリウムおよびナトリウム塩が特に好ましい。薬学的に受容可能な無機非毒性塩基から誘導される塩としては、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2−ジエチルアミノエタノール、トリメタミン、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン類、ピペラジン、ピペリジン、N−エチルピペリジン、ポリアミン樹脂等の、第一、第二、および第三アミン、天然に産出する置換アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂の塩が含まれる。本発明の化合物が相対的に塩基性の官能基を含む場合、酸付加塩は、そのような化合物の中性型を十分な量の所望の酸と、ストレートか適切な不活性溶媒中で接触されることにより得ることができる。薬学的に受容可能な酸付加塩の例としては、塩化水素酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、沃化水素酸、または亜リン酸等の無機酸から誘導された塩、ならびに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸等の比較的非毒性の有機酸から誘導された塩が含まれる。また、アルギネート等のアミノ酸の塩、およびグルクロン酸またはガラクツロン酸等の有機酸の塩も含まれ(例えば、Berge,S.M.,et al,“Pharmaceutical Salts”,Journal of Pharmaceutical Science,1977,66,1−19;Bundgaard,H.,ed.,Design of Prodrugs(Elsevier Science Publishers,Amsterdam 1985)参照)。本発明のいくつかの特定の化合物は、それらの化合物を塩基付加塩か酸付加塩のいずれか一方に変換させる塩基性官能基および酸性官能基の両方を含む。
【0036】
これらの化合物の中性型は、その塩を塩基または酸と接触させ、従来の方法で親化合物を単離することにより再生することができる。この化合物の親形態は、極性溶媒における溶解度のような特定の物性において種々の塩形態と異なるが、その他の点では、これらの塩は、本発明の目的の化合物の親形態と同等である。
【0037】
塩形態に加え、用語「薬学的に受容可能な誘導体」は、プロドラッグ形態である化合物を含むものとされる。本明細書中で説明される化合物の「プロドラッグ(プロドラッグ)」は、生理的条件下で容易に化学変化を受けて本発明の化合物を提供する化合物である。加えて、プロドラッグは、生体外環境において化学的または生化学的方法により本発明の化合物に転換できる。例えば、プロドラッグは、適切な酵素または化学試薬と共に経皮パッチ貯蔵所(reservoir)中に置かれる場合、本発明の化合物にゆっくりと転換され得る(Bundgaard,H.,ed.,Design of Prodrugs(Elsevier Science Publishers,Amsterdam 1985)参照)。
【0038】
「薬学的に受容可能なエステル(pharmaceutically acceptable esters)」は、エステル結合の加水分解時に、カルボン酸またはアルコールの生物学的有効性および特性を保持し、生物学的または他の点で不適切ではないエステルを指す。プロドラッグとしての薬学的に受容可能なエステルの説明については、上記のBundgaard,H.を参照されたい。これらのエステルは典型的には、対応するカルボン酸およびアルコールから形成される。一般に、エステル形成は、従来の合成技法を介して遂行できる。(例えば、March Advanced Organic Chemistry,3rd. Ed.,p.1157(John Wiley & Sons,New York 1985)およびそこに引用されている参考文献、ならびにMark et al.,Encyclopedia of Chemical Technology,(1980)John Wiley & Sons,New York参照)。エステルのアルコール成分は一般に、(i)1つ以上の二重結合を含むことができまたはできず、分岐した炭素を含むことができまたはできないC2−C12脂肪族アルコール、または(ii)C7−C12芳香族もしくは複素環式芳香族アルコールを含む。本発明は、どちらも本明細書中で記載されるエステルであり、同時にそれらの薬学的に受容可能な酸付加塩である組成物の使用も企図している。
【0039】
「薬学的に受容可能なアミド(pharmaceutically acceptable amide)」は、アミド結合の加水分解時に、カルボン酸またはアミンの生物学的有効性および特性を保持し、生物学的または他の点で不適切ではないそれらのアミドを指す。プロドラッグとしての薬学的に受容可能なアミドの説明については、上記のBundgaard,H.を参照されたい。これらのアミドは典型的には、対応するカルボン酸およびアミンから形成される。一般に、アミド形成は、従来の合成技法を介して遂行できる。例えば、March et al.,Advanced Organic Chemistry,3rd. Ed.,p.1152(John Wiley & Sons,New York 1985)、およびMark et al.,Encyclopedia of Chemical Technology,(John Wiley & Sons,New York(1980)参照。本発明は、どちらも本明細書中で記載されるアミドであり、同時にそれらの薬学的に受容可能な酸付加塩である組成物の使用も企図している。
【0040】
用語「薬学的に受容可能な誘導体」も、水和形態を含む、非溶媒和形態ならびに溶媒和形態で存在し得る本発明の化合物を含むものとされる。一般に、溶媒和形態は非溶媒和形態と等価であり、本発明の範囲内に包含されることが意図される。本発明の特定の化合物は、複数の結晶形態または非結晶形態で存在し得る。一般に、すべての物理的形態は、本発明により企図される使用について等価であり、本発明の範囲内にあることが意図される。
【0041】
本発明の特定の化合物は、不斉炭素原子(光学中心)または二重結合を有し、ラセミ化合物、ジアステレオ異性体、幾何異性体および個々の異性体(例えば、別個の鏡像異性体)はすべて、本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0042】
本発明の化合物はまた、そのような化合物を構成する原子のうちの1つ以上において人為的な比率の原子同位元素を含み得る。例えば、これらの化合物は、例えば、トリチウム(3H)、ヨウ素−125(125I)または炭素−14(14C)のような放射性同位元素で放射能標識され得る。本発明の化合物のすべての同位元素変種は、放射性であるかどうかに関わらず、本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0043】
本明細書中の目的のための「生物学的特性(biological property」」は、インビトロアッセイによりしばしば示される本発明の化合物により直接的または間接的に実行されるインビボエフェクターまたは抗原機能もしくは活性を意味する。エフェクター機能としては、レセプターまたはリガンド結合、任意の酵素活性または酵素調整活性、任意のキャリア結合活性、任意のホルモン活性、細胞外マトリックスまたは細胞表面分子への細胞接着の促進または抑制における任意の活性、あるいは任意の構造的役割が含まれる。抗原機能としては、エピトープまたは抗原性部位の所用が含まれ、エピトープまたは抗原性部位は、それに対抗して生成された抗体と反応することができる。
【0044】
本明細書中で用いられているように、用語「予防(preveting)」は、それを必要としている患者の予防的処置を指す。予防的処置は、病気になる恐れのある被験体に適切な用量の治療薬剤を提供し、それにより病気の発生を実質的に回避することによって達成され得る。
【0045】
本明細書中で用いられているように、用語「処置(treating)」は、病気にかかっている被験体に適切な用量の治療薬剤を提供することを指す。
【0046】
本明細書中で用いられているように、用語「治療有効量(pharmaceutically effective amount)」は、病気にかかっている被験体の処置に影響を及ぼすのに十分な治療薬剤の量を指す。
【0047】
本明細書中で用いられているように、用語「病状(condition)」は、本発明の化合物、組成物および方法がそれに対して用いられる疾患状態を指す。
【0048】
本明細書中で用いられているように、用語「ADP−媒介性疾患または病状」等は、正常よりも小さいまたは大きいADP活性により特徴付けられる疾患または病状を指す。ADP−媒介性疾患または病状は、ADPの媒介が基となる疾患または病状に対するなんらかの効果という結果になるものである(例えば、ADPインヒビターまたはアンタゴニストは、少なくとも何人かの患者において患者健康状態のいくらかの改善という結果になる)。
【0049】
本明細書中で用いられているように、用語「血液試料(blood sample)」は、被験体から採取された全血あるいは血漿または血清を含有する血液のいずれかの分画を指す。
【0050】
本発明の化合物において、4つの異なる置換基に結合された炭素原子は不斉である。従って、これらの化合物は、ジアステレオ異性体、幾何異性体またはそれらの混合物として存在し得る。本明細書中で説明される合成は、ラセミ化合物、鏡像異性体またはジアステレオ異性体を出発物質または中間体として利用し得る。過ぎて、そのような合成の結果として生じるにジアステレオ異性体生成物は、クロマトグラフィまたは結晶化方法により、あるいは技術的に知られている他の方法により分離され得る。同様に、鏡像異性体生成物混合物は、同じ方法を用いて、または技術的に知られている他の方法により分離され得る。不斉炭素原子の各々は、本発明の化合物中に存在する場合、2つの配置(RまたはS)のうちの1つをとることができ、両方とも本発明の範囲内にある。
【0051】
II. 本発明の化合物実施形態
以下の式(I)の化合物は、本発明の1つの実施形態を表す:
【0052】
【化7】
Xは、FおよびIからなる群から選択され、
R1は、H、ハロゲン、−OH、−C1−10アルキルおよび−C1−6アルキルアミノからなる群から選択される。
【0053】
本発明は、式Iの化合物のすべての薬学的に受容可能な誘導体もカバーする。薬学的に受容可能な塩は、水素化カリウム、水酸化カリウム、カリウムアルコキシド、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムアルコキシド等を含むがそれらに限定されない少なくとも1つの無機塩基または有機塩基を用いて調製できる。
【0054】
上記の説明中に多くの好ましい実施形態がある。1群の好ましい実施形態において、R1は、C1−10アルキルまたはC1−6アルキルアミノである。
【0055】
好ましい実施形態の別の群において、R1は、C1−6アルキルアミノである。好ましい実施形態のさらに別の群において、XはFである。
【0056】
式Iの化合物についての最も好ましい実施形態には多くの特定の化合物があり、図1および以下においても示してある。
【0057】
本発明の1つの好ましい実施形態において、式(I)の化合物としては、次式を有する化合物が含まれる:
【0058】
【化8】
本発明の特に好ましい化合物の別の群は、次式を有する:
【0059】
【化9】
および/または
【0060】
【化10】
III. 本発明の化合物の調製
スキーム1は、式Iの特定の化合物を調製する方法を例示し、Arはフェニレンであり、R1およびX1は、上記で説明されたものである。
【0061】
【化11】
式Iの化合物は、2−ニトロ安息香酸メチルエステル化合物1を当業者に公知の手順により還元してアニリン2を得ることにより調製され得る。(公開特許出願US2002/077486も参照されたい)。例えば、ニトロ基還元の方法は、水素添加により実行できる。水素添加は、水素下および適切な溶媒中で、典型的にはアルコール中で室温において適切な触媒(例えば、10%Pd/CまたはPt(s)/C)を用いて実行される。化合物2を、適切に置換されたアリールイソシアネートを用いて処理することにより(方法A)、中間の尿素3aがもたらされる。代わりに、尿素3aは、適切な温度、好ましくは20℃で、THF、ジクロロメタンおよびMeCNのような不活性溶媒中のトリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンの存在下でトリホスゲンを用い、続いて置換アニリンを用いて化合物2を処理することにより(方法B)形成できる。方法Aまたは方法Bにより調製された尿素3aは、一般にさらに精製することなく、熱または塩基(N−メチルモルホリン(NMM)またはポリスチレン−NMM(PS−NMM))誘導閉環にかけてキナゾリンジオン4aを提供することができる。化合物4aのニトロ基は、当業者に公知の手順により還元して遊離アミノ基を生成することができる。例えば、還元の方法は、適切な溶媒、典型的にはアルコール中で適切な触媒(例えば、炭素上の10%パラジウム)を用いた水素添加により実行できる。スルホニル尿素結合の形成は、還元生成物であるアニリン5aを、ジクロロメタン中の置換チオフェン−2−スルホンアミド、N,N’−ジスクシンイミジルカーボネートおよびテトラメチルグアニジンの予混合溶液で処理し、続いてTFAを用いて室温で処置することにより達成でき、式Iのスルホニル尿素がもたらされる。代わりに、スルホニル尿素結合は、アニリン5aおよび5−クロロ−チオフェン−2−スルホニルエチルカルバメートを適切な溶媒中で反応させることによって形成することができ、溶媒としては、トルエン、アセトニトリル、1,4−ジオキサンおよびDMSOが含まれるが、それらに限定されない。
【0062】
スキーム2は、式Iの化合物を調製する別の方法を例示しており、ここで、R1は、例えば、アルキルアミノであり、L1は、ハロゲン、アルキルスルホネート、ハロアルキルスルホネートおよびアリールスルホネートである。
【0063】
【化12】
尿素3bは、適切な温度、典型的には20℃で、THF、ジクロロメタンおよび/またはMeCNのような不活性溶媒中のトリエチルアミンおよび/またはジイソプロピルエチルアミンの存在下でトリホスゲンまたはp−ニトロフェニルクロロホルメートを用いて処理し、続いて適切に保護されたアニリンを用いて化合物2を処理することにより(方法B)形成できる。尿素3bは、一般にさらに精製することなく、塩基誘導閉環にかけて中間のキナゾリンジオン4bを提供することができる。化合物4bの保護基は、用いられる保護基に適した標準技法を用いて除去され得る。例えば、BOC保護基は、化合物4bをジオキサン中の4N HClで処理することによって除去され得る。化合物5bのC−7フルオロは次に、約120℃でDMSO中のメチルアミンを用いた処理により移動され、アニリン6aをもたらすことができる。目標のスルホニル尿素7aの調製は、アニリン6aを、5−クロロ−チオフェン−2−スルホニルエチルカルバメートで、ジメチルスルホキシド、ジオキサンおよび/またはアセトニトリルのような適切な溶媒中で加熱しつつ処理することにより達成され得る。
【0064】
スキーム3は、式Iの化合物を調製する別の方法を例示し、ここで、R1は、例えば、アルキルアミノであり、L1は、ハロゲン、アルキルスルホネート、ハロアルキルスルホネートおよびアリールスルホネートであり、MはKである。
【0065】
【化13】
尿素3aは、化合物2をp−ニトロフェニルクロロホルメートを用いて、THF、ジクロロメタンおよび/またはMeCNのような不活性溶媒中で、適切な温度、一般に約20℃で処理し、続いて適切に保護されたアニリンで処理することにより(方法B)調製され得る。本発明によれば、式(I)の化合物は、薬学的に受容可能な塩、例えば7aを形成するためにさらに処理され得る。酸または塩基を用いた本発明の化合物の処理は、各々上記で定義される薬学的に受容可能な酸付加塩および薬学的に受容可能な塩基付加塩をそれぞれ形成し得る。本明細書中で定義されるものを含む、技術的に知られている様々な無機および有機の酸および塩基は、塩への変換をもたらすために用いられ得る。
【0066】
式(I)の化合物は、例えば、クロマトグラフィ法または再結晶法を含む、技術的に知られている代表的な単位および精製を用いて単離できる。
【0067】
本発明の式(I)の化合物において、4つの異なった置換基が結合されているR1の炭素原子は不斉である。従って、式(I)の化合物は、鏡像異性体、ジアステレオ異性体またはそれらの混合物として存在し得る。鏡像異性体およびジアステレオ異性体は、クロマトグラフィ法または結晶化法によって、あるいは技術的に知られている他の方法によって分離され得る。不斉炭素原子は、本発明の式(I)の化合物中に存在する場合、2つの配置(RまたはS)のうちの1つをとることができ、両方とも本発明の範囲内にある。最終的な精製された生成物中の少量の対立する鏡像異性体またはジアステレオ異性体の存在は、そのような化合物の治療または診断の用途に影響しない。
【0068】
本発明によれば、式(I)の化合物は、薬学的に受容可能な塩を形成するためにさらに処理され得る。酸または塩基を用いた本発明の化合物の処理は、各々上記で定義される薬学的に受容可能な酸付加塩および薬学的に受容可能な塩基付加塩をそれぞれ形成し得る。本明細書中で定義されるものを含む、技術的に知られている様々な無機および有機の酸および塩基は、塩への変換をもたらすために用いられ得る。
【0069】
本発明は、式(I)の化合物の薬学的に受容可能な異性体、水和物、および溶媒和物も提供する。式(I)の化合物は、そのような異性体および互変異性体の薬学的に受容可能な塩、水和物、および溶媒和物を含む様々な異性体および互変異性体形態でも存在し得る。例えば、いくつかの化合物が本明細書中で、式(I)の化合物の分子あたり2つの水分子を有する二水和物として提供されるのに対し、本発明は、無水、一水和物、三水和物、セスキ水和物等である化合物も提供する。
【0070】
本発明は、式(I)の化合物のプロドラッグ誘導体も包含する。用語「プロドラッグ」は、活性薬剤を放出するために生体内での、自発的か酵素による生体内変換を必要とする親薬剤分子の薬理学的に不活性な誘導体を指す。プロドラッグは、代謝条件下で切断可能な基を有する本発明の式(I)の化合物の変種または誘導体である。プロドラッグは、それらが生理学的条件下で加溶媒分解を受ける場合または酵素による分解を受ける場合に、インビボで薬学的に活性な本発明の化合物になる。本発明のプロドラッグ化合物は、体内で活性薬剤を放出するために必要とされる生体内変化工程の数に応じて、シングル、ダブル、トリプル等と呼ばれることがあり、前駆物質型形態で存在する官能価の数を示す。プロドラッグ形態はしばしば、溶解性、組織親和性、または哺乳動物体内での遅延放出の利点をもたらす(Bundgaard,Design of Prodrugs,pp.7−9,21−24,Elsevier,Amsterdam(1985);Silverman,The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action,pp.352−401,Academic Press,San Diego,Calif.(1992))。技術的に通常知られているプロドラッグとしては、例えば、親酸と適切なアルコールとの反応により調製されたエステル、または親酸化合物とアミンとの反応により調製されたアミド、あるいはアシル化された塩基誘導体を形成するように反応させられた塩基性基のような、当業者に周知な酸誘導体が含まれる。さらに、本発明のプロドラッグ誘導体は、生体活性を高めるために本明細書中で教示される他の特徴と組み合わせることができる。
【0071】
IV. 本発明の結晶質固体および非晶質実施形態ならびにそれらの調製
本発明は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素の結晶質固体および/または非晶質形態ならびにそれらの調製のためのプロセスおよびこれらの形態を含む薬学的組成物を提供する。カリウム塩は以下の一般式を有し:
【0072】
【化14】
さらに、ナトリウム塩は以下の一般式を有する:
【0073】
【化15】
活性薬学的成分(API)の製造のためのプロセスを開発する場合に、2つの因子、すなわち、化合物の不純物プロファイルおよび結晶形態学が大きい重要性を有する。当初の単位および結晶化作業からの結果は、99.6%の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素のプロファイルを示した。好ましくは、APIは、0.2%未満の不純物レベルを有し、最も熱力学的に安定な結晶質固体形態である。単離および結晶化作業は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素のカリウム塩の少なくとも2つの形態(形態AおよびBと呼ばれる)および[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素のナトリウム塩の非晶質形態を示した。
【0074】
本発明の固体形態は、X線粉末回折、ラマン分光法、IR分光法、および熱的方法を含むいくつかの技法のうちの1つ以上により説明され得る。さらに、そのような技術の組み合わせは、本発明を説明するために用いられ得る。例えば、1つ以上のラマンピークと組み合わされた1つ以上のX線粉末回折ピークは、本発明の1つ以上の固体形態を、他の固体形態と区別するように説明するために用い得る。
【0075】
それによって形態が特徴付けられるが、固体形態を特徴付けるために回折パターンまたはスペクトル全体のみに依拠する必要はない。薬学分野の当業者は、回折パターンまたはスペクトルのサブセットが、ある固体形態を、特徴付けられている他の形態と区別するのであれば、そのサブセットが、ある固体形態を特徴付けるために用いられ得ることを理解する。従って、1つ以上のX線粉末回折ピークのみを用いてある固体形態を特徴付けることができる。同様に、1つ以上のIRピークのみまたはラマンピークのみを用いて、ある固体形態を特徴付けることができる。そのような特性決定は、特性ピークを決定するために形態間でX線、ラマンおよびIRデータを比較することによってなされる。
【0076】
そのような特性決定において、他の技法からのデータを組み合わせてもよい。従って、1つの形態を特徴付けるために、X線粉末回折の1つ以上のピークおよび例えば、ラマンまたはIRデータに依拠してもよい。例えば、もし1つ以上のX線ピークが1つの形態を特徴付ければ、その形態を特徴付けるためにラマンまたはIRデータを考慮することもできるであろう。例えば、薬学的処方において、ラマンデータを考慮することが有用なことがある。
【0077】
多形は、2つの種々の結晶化条件を用いることにより識別された。(1)結晶質形態Aは、メタノールから粗製ウェットケーキを結晶化させ、粗製ウェットケーキを乾燥して溶媒を除去した後に単離され、(2)結晶質固体形態Bは、EtOH/H2Oからの結晶化またはメタノールを用いての粉砕により形成された。
【0078】
カリウム塩をメタノール中に縣濁させ、次に、清澄な溶液が観察されるまで加熱した。これに続いて冷却し、結果として生じる結晶質固体を単離し、減圧下で室温にて乾燥して、形態学的に別個の結晶質固体カリウム塩/形態Aを得た。図14および図2はそれぞれ、結晶質固体についてのDSCトレースおよびX線粉末パターンを示す。[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩の形態Aの示差走査熱分析により、238℃において溶媒和物の融解が定義された。大きな分解ピークが記録され、これは約300℃の開始温度である。DSCトレースにおいて、約246℃における融解完了のシャープさが特徴的である。
【0079】
X線粉末回折パターンにおいて、約9.5および25.5のピークは、パターンの主たる特徴である(X線粉末回折パターンの理論の議論については、“X−ray diffraction procedures”by H.P.Klug and L.E.Alexander,J.Wiley,New York(1974)参照)。約9.5°2θおよび25.5°2θのピークは、形態Aを形態Bに対して特徴付ける。なぜならば、形態Bは、形態Aの2つのピークの、X線粉末回折ピークのおおよその精度の2倍である、0.2°2θ以内にピークを持たないからである。任意のX線粉末回折ピークにおける典型的な変化は0.2°2θのオーダーなので、ある多形を特徴付けるためにピークを選択する場合、別の多形のピークからその値の少なくとも2倍(すなわち、0.4°2θ)であるピークが選択される。従って、特定の多形X線パターンにおいて、別の多形におけるピークから少なくとも0.4°θにあるピークは、その多形を特徴付けるために単独か別のピークと共に用いることができるピークであると見なされるのにふさわしい。表1および2は、形態AおよびBの主ピークを識別する。そのリストから、約25.5°2θにおけるピーク(表では、25.478°2θとして示してある)が、小数第1位までとった場合、形態Bにおける任意のピークから0.2°2θ以上離れていることがわかる。従って、約25.5°2θにおけるピークは、形態Aを形態Bと区別するために用い得る。約9.5°2θのピーク(表1の9.522°2θ)は、図2の形態AのX線粉末回折パターンにおける最も強いピークであり、形態Bにおけるどのピークからも0.2°2θ以上離れている。従って、約9.5°2θおよび25.5°2θにおける形態Aピークは、形態Bに対して形態Aを特徴付ける。このプロセスにおけるこの段階において単離された固体形態は、塩1分子に対し約2個の水分子を含有していた。
【0080】
表1 カリウム塩形態AのXRPDピーク(°2θ)および図2bから表にされた%強度一覧データ
【0081】
【表1】
表2 カリウム塩形態BのXRPDピーク(°2θ)および図3bから表にされた%強度一覧データ
【0082】
【表2】
好ましい配向は、XRPDパターンにおいて、ピーク強度に影響し得るが、ピーク位置には影響しない。カリウム塩の場合、好ましい配向は、より低い角度における領域に対し最大の効果を有する。好ましい配向は、この領域におけるいくつかのピークを減少させる(または増大させる)。晶癖は、固体形態を明確に区別せず、針状、ブレード状、プレート状、および不規則形状粒子を含む多様な晶癖が各形態について観察されている。
【0083】
従って1つの実施形態において、本発明は、形態Aおよび形態Bと呼ばれる新たな結晶質形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を提供する。
【0084】
従って1つの実施形態において、本発明は、実質的に純粋な形態を含む、結晶質固体形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を提供し、これは、以下のうちの少なくとも1つを提供し、
(i)図5と実質的に一致する赤外スペクトル、
(ii)図2と実質的に一致するX線粉末回折パターン、および
(iii)図14と実質的に一致するDSC走査、
本明細書中では形態Aと呼ばれる。
【0085】
別の実施形態において、本発明は、実質的に純粋な形態を含む、結晶質固体形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を提供し、これは、以下のうちの少なくとも1つを提供し、
(i)約3559、3389、3324、1698、1623、1563、1510、1448、1431、1403、1383、1308、1269、1206、1174、1123、1091、1072、1030、987、939、909、871、842、787、780、769、747、718、701、690および667cm−1に吸収ピークを有する赤外スペクトル、
(ii)約9.5および約25.5°2θにピークを有するX線粉末回折パターン、および
(iii)約246℃のDSC最大吸熱、
本明細書中では形態Aと呼ばれる。
【0086】
別の実施形態において、本発明は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩の結晶質多形を提供し、これは、約3559、3389、3324、1698、1623、1563、1510、1448、1431、1403、1383、1308、1269、1206、1174、1123、1091、1072、1030、987、939、909、871、842、787、780、769、747、718、701、690および667cm−1に吸収ピークを有する赤外スペクトルを提供し、本明細書中では形態Aと呼ばれる。
【0087】
別の実施形態において、本発明は、実質的に純粋な形態を含む、結晶質固体形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を提供し、これは、約9.5および約25.5°2θにピークを有するX線粉末回折パターンを提供し、本明細書中では形態Aと呼ばれる。
【0088】
別の実施形態において、本発明は、実質的に純粋な形態を含む、結晶質固体形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を提供し、これは、約246℃のDSC最大吸熱を提供し、本明細書中では形態Aと呼ばれる。
【0089】
別の実施形態において、本発明は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩の結晶質多形を提供し、これは、少なくとも1つ、ただし上記のピーク一覧よりも少ないピークを含むスペクトルを提供し、本明細書中では形態Aと呼ばれる。
【0090】
図16および3はそれぞれ、別の結晶質固体についてのDSCトレースおよびX線粉末パターンを示す。これらの結果は、残留水が除去された場合に観察された。DSCトレースにおいて、約293℃における転移が注目に値する。なぜならば、形態Aは246℃で融解するからである。X線粉末回折パターンにおける約20.3°2θおよび25.1°2θのピークも形態Bを形態Aに対して特徴付ける。なぜならば、形態Aは、形態Bの2つのピークの、X線粉末回折ピークのおおよその精度の2倍である、0.2°2θ以内にピークを持たないからである(表1および2参照)。そのリストから、約20.3°2θおよび25.1°2θにおけるピーク(表2では、それぞれ20.328°2θおよび25.087°2θとして示してある)が、小数第1位までとった場合、形態Aにおける任意のピークから0.2°2θ以上離れていることがわかる。従って、約20.3°2θおよび25.1°2θにおけるピークは、形態Bを形態Aと区別するために用い得る。
【0091】
従って1つの実施形態において、本発明は、実質的に純粋な形態を含む、結晶質固体形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を提供し、これは、以下のうちの少なくとも1つを提供し、
(i)図6と実質的に一致する赤外スペクトル、
(ii)図3と実質的に一致するX線粉末回折パターン、および
(iii)図16と実質的に一致するDSC走査、本明細書中では形態Bと呼ばれる。
【0092】
別の実施形態において、本発明は、実質的に純粋な形態を含む、結晶質固体形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を提供し、これは、(i)約3584、3327、3189、2935、2257、2067、1979、1903、1703、1654、1630、1590、1557、1512、1444、1429、1406、1375、1317、1346、1317、1288、1276、1243、1217、1182、1133、1182、1133、1093、1072、1033、987、943、907、883、845、831、805、776、727、694および674cm−1に吸収ピークを有する赤外スペクトル、(ii)約20.3°2θおよび約25.1°2θにピークを有するX線粉末回折パターン、および
(iii)約293℃のDSC最大吸熱を有し、本明細書中では、形態Bと呼ばれる。
【0093】
別の実施形態において、本発明は、実質的に純粋な形態を含む、結晶質固体形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を提供し、この化合物は、約20.3°2θおよび約25.1°2θにピークを有するX線粉末回折パターンを提供し、本明細書中では形態Bと呼ばれる。
【0094】
別の実施形態において、本発明は、非晶質形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩を提供する。
【0095】
1つの実施形態において、本発明は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩の1つの形態を提供し、これは、以下のうちの少なくとも1つを含み、
(i)図7と実質的に一致する赤外スペクトル、
(ii)図4と実質的に一致するX線粉末回折パターン、および
(iii)図18と実質的に一致するDSC走査、本明細書中では非晶質形態と呼ばれる。
【0096】
別の実施形態において、本発明は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩の1つの形態を提供し、これは、約3560、1711、1632、1556、1512、1445、1407、1375、1309、1280、1227、1133、1092、1032、987、905、781、770および691cm−1に吸収ピークを有する赤外スペクトルを提供し、本明細書中では非晶質形態と呼ばれる。
【0097】
別の実施形態において、本発明は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素塩の結晶質多形を提供し、これは、少なくとも1つ、ただし指定された形態についての上記のピーク一覧よりも少ないピークを含むスペクトルを提供する。
【0098】
[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩は、25℃で15%相対湿度(RH)まで安定であるが、25℃で20%RHで再水和する二水和物である。カリウム塩の多形Aは、ナトリウム塩の非晶質形態と同様に安定であることが見出されている。高温(40℃)および高相対湿度(75%RH)での加速安定性試験において1週間後、どちらの塩形態の化学純度においても変化はまったく観察されなかった。カリウム結晶質形態Aの利点は、40%RHで>15%w/wの水を取り込むナトリウム塩の非晶質形態ほどこの形態が吸湿性ではないことである。形態AおよびBは両方とも安定である。カリウム塩の形態Bは無水であり、カリウム塩の非吸湿性(脱水形態を形成し難い)形態Bは、より長期間にわたってより優れた外観および取り扱い適性を保持する。薬剤の投薬形態の外観における改善は、医師および患者の受容を向上させ、処置成功の可能性を増大させる。
【0099】
本発明のさらなる実施形態は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素およびその塩の、異なる結晶質固体形態、および非晶質形態の混合物を含む。そのような混合物は、少なくとも1つの固体形態または形態A、形態Bおよび非晶質形態から選ばれる少なくとも2つの固体形態を含む組成物を含有する。本明細書中で記載される分析技法のいずれも、そのような組成物中の固体形態の存在を検出するために用いることができる。検出は、固体分析分野の当業者により使用および理解される用語のように、定性的、定量的、または半定量的に行われ得る。
【0100】
これらの分析のため、参照標準を伴う標準分析技法が利用され得る。さらに、そのような方法は、回折または分光分析技法と併用した部分的最小二乗法のような技法の使用を含み得る。これらの技法も、本発明の薬学的組成物において用い得る。
【0101】
V. 本発明の結晶質固体形態および非晶質形態の調製
さらに、本発明は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩およびナトリウム塩の調製のためのプロセスに関する。
【0102】
本発明の化合物の結晶質固体形態および非晶質形態は、以下で概説される様々な方法により調製され得る。他の周知の結晶化手順ならびに上記で概説された手順の変更も利用され得る。
【0103】
本発明の別の実施形態において、結晶質固体形態Aの[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩が提供され、これは、以下の工程のうちの少なくとも1つにより得られる:
(i)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を、エタノール、メタノールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒から結晶化させ、結晶がいくらかの溶媒を含むように乾燥させる工程、および
(ii)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を、エタノール、メタノールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒中で加熱し、約50℃から−10℃の温度で結晶化させ、結晶が少なくとも約0.05%の溶媒を含むまで乾燥させる工程。
【0104】
本発明の別の実施形態において、結晶質固体形態Bの[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩が提供され、これは、以下の工程のうちの少なくとも1つにより得られる:
(i)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を、エタノールおよびメタノールの組み合わせ溶媒中で加熱し、約50℃から−10℃の温度で結晶化させ、結晶が0.05%未満の溶媒を含むまで乾燥させる工程、および
(ii)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を、エタノールおよび水の組み合わせ溶媒から結晶化させ、結晶が約0.05%未満の溶媒を含むまで乾燥させる工程。
【0105】
本発明の別の実施形態において、イソプロパノール中で粉砕し、乾燥させることにより、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩の非晶質結晶質形態が提供される。
【0106】
本発明の別の実施形態において、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩の非晶質結晶質形態が提供され、これは、以下の工程のうちの少なくとも1つにより得られる:
(i)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩を、イソプロパノール、アセトニトリル、エタノールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒中で加熱し、約50℃から−10℃の温度で結晶化させる工程、
(ii)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩を、イソプロパノール、アセトニトリル、エタノール、メタノールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒から結晶化させる工程、および
(iii)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩を、高湿度で加熱する工程。
【0107】
さらに、本発明は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩およびナトリウム塩の調製のための上記のプロセスに関する。
【0108】
結晶質固体または非晶質形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素は、実施例において以下でさらに説明されるように種々の方法により調製され得る。実施例は、本発明の範囲を例示するが、これを限定しない。結晶質固体または非晶質形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素は、例えば、クロマトグラフィ、再結晶化およびその他の結晶化手順ならびに上記で概説された手順の変更を含む、技術的に知られた典型的な単離および精製技法を用いて単離され得る。
【0109】
VI. 薬学的組成物
本発明による式(I)の化合物は、薬学的組成物に処方され得る。従って、本発明は、各々上記で説明される、治療有効量の式(I)の化合物または薬学的に受容可能なその塩、ならびに薬学的に受容可能なキャリアまたは助剤を含有する、哺乳動物における血栓症、特に血小板凝集を伴う病態を予防または処置するための薬学的組成物も提供する。好ましくは、本発明の薬学的組成物は、式(I)の化合物またはその塩を、哺乳動物、特にヒトにおける血小板凝集、より好ましくは、ADP−依存性凝集を阻害するのに有効な量含有する。薬学的に受容可能なキャリアまたは助剤としては、技術的に知られているものを含み、以下で説明される。
【0110】
本発明の薬学的組成物は、式(I)の化合物を生理学的に受容可能なキャリアまたは助剤と混合することにより調製され得る。本発明の薬学的組成物は、賦形剤、安定剤、希釈剤等をさらに含み、持続放出処方または時限放出処方で提供され得る。治療的使用のための受容可能なキャリア、助剤、賦形剤、安定剤、希釈剤等は、薬学分野においてよく知られており、例えば、Remington‘s Pharmaceutical Science,Mack Publishing Co.,ed.A.R.Grennaro(1985)に記載されている。そのような物質は、使用される用量および濃度において受容者にとって非毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩および他の有機酸塩のような緩衝剤、アスコルビン酸のような酸化予防剤、ポリアルギニンのような低分子量(約10個未満の残基)ペプチド、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンのようなたんぱく質、ポリビニルピロリジノンのような親水性ポリマ、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、またはアルギニンのようなアミノ酸、単糖類、二糖類、およびセルロースまたはその誘導体、グルコース、マンノースまたはデキストリンを含む他の炭水化物、EDTAのようなキレート剤、マンニトールまたはソルビトールのような糖アルコール、ナトリウムのような対イオンおよび/またはTWEENのような非イオン界面活性剤、あるいはポリエチレングリコールを含む。
【0111】
本発明のさらなる実施形態は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素、その塩ならびに治療有効量の形態A、形態B、および非晶質形態を含む形態の薬学的組成物を含む。前記形態のうちの少なくとも1つの前記量は、治療有効量であってもなくてもよい。そのような薬学的組成物は、錠剤またはカプセルあるいは吸入用乾燥粉末のような固体経口組成物の形態であり得る。
【0112】
VII. 処置/投与の方法
A. 望ましくない血栓症を特徴とする病状の予防および処置
本発明に包含される哺乳動物における血栓症を予防または処置するための方法は、治療有効量の式(I)の化合物を、単独でまたはの上記で説明されるような本発明の薬学的組成物の一部として、哺乳動物、特に、ヒトに投与することである。式(I)の化合物および本発明の式(I)の化合物を含有する本発明の薬学的組成物は、心血管疾患、特に血栓症に関連する疾患の予防または処置のために、単独でまたは多成分処置処方計画の一部として使用するのに適している。例えば、本発明の化合物または薬学的組成物は、急性心筋梗塞、不安定狭心症、慢性安定狭心症、一過性脳虚血発作、脳卒中、末梢血管疾患、子癇前症/子癇、深部静脈血栓症、塞栓症、播種性血管内凝固症および血栓性血小板減少性紫斑病、侵襲的処置、例えば、血管形成、頚動脈内膜切除、CABG(冠状動脈バイパス移植)手術後、人工血管手術、ステント設置ならに血管内デバイスおよび人工器官の挿入、に続く血栓性および再狭窄合併症、ならびに遺伝的体質または癌に関連する凝固亢進状態を含むがこれらに限定されない、任意の血栓症、特に血小板依存性の血栓の徴候に対する薬物もしくは治療剤として使用することができる。実施形態の他の群において、徴候は、血管形成術および/またはステントを含む経皮的冠状動脈形成術(PCI)、急性心筋梗塞(AMI)、不安定狭心症(USA)、冠状動脈疾患(CAD)、一過性脳虚血発作(TIA)、脳卒中、末梢血管疾患(PVD)、冠状動脈バイパス手術、頚動脈内膜切除からなる群から選択される。
【0113】
本発明の化合物および薬学的組成物は、哺乳動物の血栓症の予防または処置において、他の治療薬または診断薬と組み合わせて多成分処置処方計画の一部として用いることができる。ある一定の好ましい実施形態において、本発明の化合物または薬学的組成物は、凝固防止剤、血栓溶解剤、あるいは血小板凝集インヒビター、組織プラスミノーゲン活性薬、ウロキナーゼ、プロウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、ヘパリン、アスピリン、またはワルファリンもしくは抗炎症剤(非ステロイド系抗炎症剤、シクロオキシゲナーゼIIインヒビター)を含む他の抗血栓薬のような、これらの状態に対して典型的に処方される他の化合物と共に、一般的に容認されている医療行為に従って、同時投与され得る。同時投与は、抗血小板薬および血栓溶解薬双方の低減用量の適用を考慮し、従って潜在的な出血性副作用を最小限にすることもできる。本発明の化合物および薬学的組成物は、相乗作用的に作用して、血栓崩壊療法の成功後の再閉塞を予防することおよび/または再灌流までの時間を低減することもできる。
【0114】
本発明の化合物および薬学的組成物は、通常は、霊長類(例えば、ヒト)、ヒツジ、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ラットおよびマウスのような哺乳動物においてインビボで、またはインビトロで利用され得る。本発明の化合物および薬学的組成物の、上記で定義されるような生物学的特性は、例えば、抗血栓効力、ならびに止血および血液学的パラメータを評価するインビボ研究のような、技術的によく知られている方法により容易に特徴付けられ得る。
【0115】
本発明の化合物および薬学的組成物は、溶液または縣濁液の形態であり得る。血栓症疾患の管理において、本発明の化合物または薬学的組成物は、例えば、経口投与のための錠剤、カプセル剤またはエリキシル剤、座剤、注射可能投与のための滅菌溶液または滅菌縣濁液等の形態であってもよく、あるいは造形物品中に組み込まれてもよい。本発明の化合物または薬学的組成物を用いた処置を必要としている被験体(典型的には哺乳動物)は、最適な効力をもたらす適用量を投与され得る。投与の用量および方法は、被験体ごとに変わり、かつ処置される哺乳動物の型、その性別、体重、食餌、併用投薬、全体的臨床状態、使用される式(I)の特定の化合物、その化合物または組成物が使用される具体的用途、ならびに医学分野の当業者が認識する他の要因に依存する。
【0116】
B. 治療有効量
治療的投与のために用いられる、式(I)の化合物、または本発明の化合物を含有する薬学的組成物の投薬処方は、滅菌されていなければならない。滅菌は、0.2ミクロン膜のような無菌膜を通した濾過によって、または他の従来の方法によって容易に達成される。処方物は典型的には、固体形態で、好ましくは凍結乾燥形態で保存される。好ましい投与経路は経口的であるのに対して、本発明の式(I)の化合物または薬学的組成物の投薬処方物は、注射によって、静脈内(ボーラスおよび/または注入)に、皮下に、筋肉内に、結腸内に、直腸内に、鼻腔内に、経皮的に、または腹腔内に投与され得る。種々の投与形態も同様に使用でき、投与形態としては、座剤、植込みペレットまたは小型シリンダ、エアロゾル、経口投与処方物ならびに軟膏、ドロップおよび経皮パッチのような局所処方物が含まれるが、これらに限定されない。式(I)の化合物および本発明の薬学的組成物は、形状および、例えば、SILASTIC)、シリコーンラバーまたは他の商業的に入手可能なポリマ物品のような生分解性ポリマまたは合成シリコーンのような不活性物質を使用できるインプラントに組み込まれ得る。本発明の化合物および薬学的組成物は、小さい単層ベシクル、大きい単層ベシクルおよび多重層ベシクルのようなリポソーム送達系の形態で提供され得る。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンのような多様な脂質から形成され得る。
【0117】
治療的に有効な投薬量は、インビトロ方法かインビボ方法のいずれかにおいて決定され得る。本発明の各特定の化合物または薬学的組成物について、必要最適投薬量を決定するために個別の決定がなされ得る。治療的に有効な投薬量の範囲は、投与経路、治療目的および患者の状態により影響される。皮下注射針による注射については、投薬量が体液中に送達されると想定され得る。他の投与経路については、吸収効率は、薬理学において周知の方法によって各化合物について個別に決定されなければならない。従って、療法士は、最適な治療効果を得るために、投与量を測定して投与経路を必要に応じて変更する必要があり得る。有効投薬量レベル、すなわち、望ましい結果を達成するために必要な投薬量レベルの決定は、当業者によって容易に決定される。典型的には、化合物の適用は、より低い投薬量レベルで開始され、投薬量レベルは、望ましい効果が達成されるまで増加される。
【0118】
有効投薬量レベル、すなわち所望の結果、すなわち血小板ADPレセプター阻害を達成するのに必要な投薬量レベルの決定は、当業者により容易に決定される。典型的には、本発明の化合物または薬学的組成物の適用は、より低い投薬量レベルで開始され、投薬量レベルは、望ましい効果が達成されるまで増加される。本発明の化合物および組成物は、1日量または数回に分割した1日量の処方計画において、約0.01mg/kg〜約1000mg/kgの投薬量範囲内の有効量で経口投与され得る。薬学的に受容可能なキャリアが本発明の薬学的組成物において用いられれば、典型的には、約5mg〜約500mgの式(I)の化合物が、生理的に受容可能なビヒクル、キャリア、賦形剤、結合剤、保存剤、安定剤、色素、香料等を含むがこれらに限定されない、一般的に認められた薬学的実施により必要とされる薬学的に受容可能なキャリアと共に配合される。これらの組成物中の活性成分の量は、示される範囲中の適切な投薬量が得られるような量である。
【0119】
C. 投与
治療化合物液体処方物は一般に、無菌アクセスポートを有する容器、例えば、皮下注射針により貫通可能なストッパを有する静脈注射用溶液バッグまたはバイアル内に入れられる。
【0120】
錠剤、カプセル剤、トローチ剤等に組み入れられ得る代表的な佐剤は、アカシア、コーンスターチまたはゼラチンのような結合剤、および微結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチまたはアルギン酸のような崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、スクロースまたはラクトースのような甘味剤、あるいは香味剤である。投薬形態がカプセル剤である場合、上記の物質に加え、その投薬形態は、水、食塩水、または脂肪油のような液体キャリアも含み得る。様々な種類の他の物質を、被覆剤または投薬単位の物理的形態の改変剤として用い得る。注射用無菌組成物は、従来の薬学的実施に従って処方し得る。例えば、油のようなビヒクルまたはオレイン酸エチルのような合成脂肪ビヒクル中の、あるいはリポソーム中への活性化合物の溶解もしくは懸濁が望まれることがある。緩衝剤、保存剤、酸化防止剤等を、認められた薬学的実施に従って組み込むことができる。
【0121】
D. 併用療法
本発明の化合物は、他の治療薬または診断薬と組み合わせて用い得る。ある一定の好ましい実施形態において、本発明の化合物は、凝固防止剤、血栓溶解剤、あるいは血小板凝集インヒビター、組織プラスミノーゲン活性薬、ウロキナーゼ、プロウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、ヘパリン、アスピリン、またはワルファリンのような、これらの状態に対して典型的に処方される他の化合物と共に、一般的に容認されている医療行為に従って、同時投与され得る。本発明の化合物は、相乗作用的に作用して、血栓崩壊療法の成功後の再閉塞を予防することおよび/または再灌流までの時間を低減することもできる。これらの化合物は、用いられる血栓溶解薬の低減された用量を考慮し、従って潜在的な出血性副作用を最小限にすることもできる。本発明の化合物は、通常は、霊長類(例えば、ヒト)、ヒツジ、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ラットおよびマウスのような哺乳動物においてインビボで、またはインビトロで利用され得る。
【0122】
上記の考察、実施形態および実施例は、特定の好ましい実施形態の詳細な説明を単に提示するものであることが理解されるべきである。種々の変更および均等物が、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなくなされ得ることが、当業者にとって明らかになるであろう。上記で考察または引用されたすべての特許、雑誌記事およびその他の文書は、参照により本明細書中に組み込まれている。
【0123】
以下の調製物および実施例は、当業者が本発明をより明確に理解しかつ本発明を実施することが可能になるように提供される。これらの調製物および実施例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではなく、単に、本発明を例示および代表するものであると見なされるべきである。
【実施例】
【0124】
VIII. 実施例
一般的方法
これらの化合物を調製する際に用いられる出発物質および試薬は一般に、Aldrich Chemical Co.のような商業的供給業者から入手可能であるか、あるいは、Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis;Wiley & Sons:New York,1967−2004,Volumes 1−12;Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds,Elsevier Science Publishers,1989,Volumes 1−5 and Supplementals;およびOrganic Reactions,Wiley & Sons:New York,2005,Volumes 1−65のような参考文献中で述べられた手順に従って、当業者に公知の方法により調製されるかである。以下の合成反応スキームは、本発明の化合物が合成できるいくつかの方法を単に例示するものであり、これらの合成反応スキームの種々の変更を行うことができ、それらは、本願に含まれる開示を参照した当業者に示唆される。
【0125】
これらの合成反応スキームの出発物質および中間体は、もし必要であれば、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィ等を含むがこれらに限定されない通常の技法を用いて単離および精製され得る。そのような物質は、物理定数およびスペクトルデータを含む、通常の手段を用いて特性決定され得る。
【0126】
それと反対に特に明記されない限り、本明細書中で説明される反応は、大気圧の不活性雰囲気下で、約−78℃〜約150℃、より好ましくは、約0℃〜約125℃、最も好ましくかつ好都合には、ほぼ室内(または周囲)温度、例えば、約20℃〜約75℃で行われる。
【0127】
以下の例に関して、本発明の化合物は、本明細書中に記載される方法、あるいは当業者に公知の他の方法を用いて合成された。
【0128】
化合物および/または中間体は、2695分離モジュールを備えるWater Alliance クロマトグラフィシステム(Milford,Mass.)を用いた高速液体クロマトグラフィ(HPLC)により特性決定した。分析カラムは、Merck KGaA(ダルムシュタット、ドイツ国)のC−18Eカラムであった。代わりに、特性決定は、Waters Acquity UPLC BEH C−18 2.1mm×15mmカラムを備えたWaters Unity(UPLC)システムを用いて実行した。傾斜溶離が用いられ、典型的には、5%アセトニトリル/95%水で開始し、Allianceシステムの場合には5分間、Acquityシステムの場合には1分間で95%アセトニトリルまで進行した。すべての溶媒は、0.1%トリフルオロ酢酸酸(TFA)を含有していた。化合物は、220nmか254nmのいずれかにおける紫外光(UV)吸収により検出した。HPLC溶媒は、EMD Chemicals,Inc.(Gibbstown,NJ)製であった。場合によっては、純度は、例えば、EMD Silica Gel 60 2.5cm×7.5cmプレートのような、ガラスで裏打ちされたシリカゲルプレートを用いて、薄層クロマトグラフィ(TLC)により評価した。TLC結果は、紫外光下で目視により、またはよく知られたヨウ素蒸気および他の様々な染色技法を用いることにより検出した
質量分析は、移動相としてアセトニトリル/水を用いて2つのAgilent 1100シリーズLCMS測定器のうちの1つにおいて実行した。一方のシステムは、修飾剤としてTFAを用い陽イオンモードで測定し[MH+,(M+1)または(M+H)+として報告される]、他方のシステムは、蟻酸か酢酸アンモニウムのいずれかを用い、陽イオンモード[MH+,(M+1)または(M+H)+として報告される]および陰イオンモード[MH−,(M−1)または(M−H)−として報告される]の両方で測定する。
【0129】
核磁気共鳴(NMR)分析を、化合物のうちのいくつかについて、Varian 400MHz NMR(Palo Alto,Calif)を用いて実行した。スペクトル基準は、TMSか溶媒の既知の化学シフトのいずれかであった。
【0130】
本発明の化合物のうちのいくつかの純度は、元素分析により評価した(Robertson Microlit,Madion NJ)。
【0131】
融点は、Laboratory Devices Mel−Temp装置において決定される(Holiston,Mass.)。
【0132】
予備分離は、すべてTeledyne Isco,(Lincoln,NE)から購入したSq16xかSg100cクロマトグラフィシステムのいずれかおよび予備充填シリカゲルカラムを用いて実行した。交互に、化合物および中間体は、シリカゲル(230−400メッシュ)充填材を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィにより、またはC−18逆相カラムを用いるHPLCにより精製した。Iscoシステムおよびフラッシュカラムクロマトグラフィ陽に使用した代表的な溶媒は、ジクロロメタン、メタノール、酢酸エチル、ヘキサン、アセトン、水性ヒドロキシアミンおよびトリエチルアミンであった。逆相HPLC用に用いた代表的な溶媒は、可変濃度のアセトニトリルと、0.1%トリフルオロ酢酸を加えた水であった。
【0133】
固体形態のための計測器
1. FT赤外分光法(FTIR)
試料は、Universal ATRサンプリング付属装置を備え、Spectrum V5.0.1ソフトウェアを走らせるPerkin−Elmer Spectrum Oneにおいて研究した。解像度は4cm−1に設定し、4000cm−1〜400cm−1の範囲にわたって16スキャンを収集した。制御および分析ソフトウェア:Spectrum v5.0.1。
【0134】
2. 示差走査熱量計(DSC)
DSCデータ(サーモグラム)は、50位置自動サンプラーを備えたTA instuments Q100において収集した。エネルギーおよび温度較正基準はインジウムであった。試料は、10℃/分のレートで10℃から250℃まで加熱した。30ml/分の窒素パージを試料上で維持した。
【0135】
特に明記されていない限り、1mg〜3mgの試料を用い、すべての試料は、蓋にピンホールを有するアルミ製パン中に密封した。制御ソフトウェア:Advantage for Q series v2.2.0.248、Thermal Advantage Release4.2.1。分析ソフトウェア:Universal Analysis2000 v4.1D Build4.1.0.16。
【0136】
3. 熱重量分析(TGA)
TGAデータ(サーモグラム)は、16位置自動サンプラーを備えたTA instuments Q500において収集した。試料は10℃/分のレートで加熱した。100ml/分の窒素パージを試料上で維持した。
【0137】
典型的には、5mg〜20mgの試料を、風袋を計った開いたアルミ製オープンパンに上に載せた。制御ソフトウェア:Advantage for Q series v2.2.0.248、Thermal Advantage Release4.2.1。分析ソフトウェア:Universal Analysis2000 v4.1D Build4.1.0.16。
【0138】
4. XRPD(X線粉末回折)
Bruker AXS C2 GADDS回折計
試料についてX線粉末回折パターンは、Cu Kα放射(4OkV、4OmA)、自動化XYZステージ、自動試料位置決め用レーザービデオ顕微鏡およびHiStar 2次元エリア検出器を用いて、Bruker AXS C2 GADDS回折計において取得した。X線光学装置類は、0.3mmのピンホールコリメータと結合された単一ゲーベル多層ミラーで構成される。
【0139】
ビーム拡がり、すなわち、試料上のX線ビームの有効サイズは、ほぼ4mmであった。θ−θ連続走査モードは、試料−検出器距離20cmで使用し、これにより3.2°〜29.8°の有効2θ範囲がもたらされる。試料の典型的な露出時間は120秒であった。
【0140】
周囲条件下で実施される試料は、受け入れた時の粉体を粉砕することなく用いて平らなプレート試験体として調製した。約1mg〜2mg試料を、ガラススライド上で軽く押圧して、平らな表面を得た。制御ソフトウェア:GADDS for WNT v4.1.16。分析ソフトウェア:Diffrac Plus Release 3 EVA v9.0.0.2。
【0141】
5. 重量測定蒸気収着(GVS)研究
等温線は、CFRSorpソフトウェアを走らせたHiden IGASorp水分収着分析器で収集した。試料サイズは、典型的には約10mgであった。水分吸着/脱着等温線は、以下で概略されるように実行した。試料は、部屋湿度および温度(約40%RH、25℃)で装填および取り出しを行った。走らせた標準等温線は、40%RHで開始する単一サイクルであった。湿度は以下のように段を付けた:40、50、60、70、80、90、85、75、65、55、45、35、25、15、5、0、10、20、30、40。制御および分析ソフトウェア:IGASorp Controller v1.10、IGASorp Systems Software v3.00.23。
【0142】
6. 1H NMR
スペクトルは、自動サンプラーを備えたBruker400MHzで収集した。試料は、d6−DMSO中で調製した。
【0143】
7. 純度分析
純度分析は、ダイオード配列検出器を備えたAgilent HP1100システムで実行した。
【0144】
方法:勾配
カラム詳細:Betabasic C18、5μm、150×4.6mm
カラム温度:25℃
注入容量:5マイクロl
流量ml/分:0.8ml/分
検出波長:325nm
相A:0.1%v/v蟻酸水溶液
相B:アセトニトリル:水90:10、0.1%v/v蟻酸
表3:移動相タイムテーブル
【0145】
【表3】
【0146】
【表4】
実施例1:中間体スルホニル尿素カルバメート(8)の合成
【0147】
【化16】
以下の手順は、C.A.Hunt,er al.J.Med.Chem.1994,37,240−247から適合させた。機械式撹拌装置、空気冷却器、滴下漏斗、および防湿チューブを備えた三つ口R.B.フラスコ中に、クロロスルホン酸(240mL、3.594mol)を入れた。撹拌下で、約45分間にわたり、PCl5(300g、1.44mol、0.40当量)を少量ずつ添加した。添加の間、大量のHClガスが激しく発生したが、混合物の温度は大きく上昇しなかった(<40℃)。すべてのPCl5が添加された時までに、ほとんど清澄で、薄黄色の溶液が得られ、PCl5の固体片がごくわずか縣濁液中に浮遊していた。得られた溶液を、ガス発生が止むまで撹拌した(0.5時間)。
【0148】
次に、反応容器を氷中で冷却し、2−クロロ−チオフェン(66.0mL、0.715mol)を、滴下漏斗により10時間かけて添加した。2−Cl−チオフェンの最初の数滴を添加すると、混合物は暗紫色に変わり、すべてのチオフェンが添加される時までに、暗紫色溶液が結果として生じた。添加の間、HClガスが、遅い速度で連続的に発生した。次に反応混合物を一晩室温で撹拌した。
【0149】
次に、暗紫色透明溶液である混合物を、破砕氷(3L)に0.5時間かけて滴下して添加した。氷への添加と同時に、紫色は直ちに消えた。無色の薄いエマルションを、室温で約15時間、機械撹拌した。次に、混合物をCH2Cl2(3×300mL)で抽出した。一緒にしたCH2Cl2−抽出物エキスを、水(1×200mL)、飽和NaHCO3(1×250mL)、塩水(1×100mL)で洗い、乾燥させ(Na2SO4)、ロータリーエバポレータで濃縮して淡黄色の膠状物として粗生成物を得、これは、固化して半固体塊状物を生成する傾向がある。次にこれを、高真空蒸留(bp 110−112°/12mm)で精製して、無色/淡黄色半固体として表題の化合物135.20g(88%)を得た。
【0150】
工程2 − 5−クロロチオフェン−2−スルホンアミド:
【0151】
【化17】
以下の手順は、C.A.Hunt,er al.J.Med.Chem.1994,37,240−247から適合させた。機械式撹拌装置を備えた三つ口R.B.フラスコ中に、濃NH4OH(500mL、148.50gNH3、8.735molNH3、13.07当量NH3)を入れた。フラスコを氷中で冷却し、5−クロロチオフェン−2−スルホニルクロライド(145.0g、0.668mol)を、0.5時間かけて添加した(このクロライドは低融点固体であり、これを加温して融解させ、次に、大口径ポリエチレン製ピペットを介して便利に添加した)。スルホニルクロライドは、反応フラスコ中で直ちに凝固する。すべてのスルホニルクロライドを添加した後、これを含んでいるフラスコをTHT(25mL)ですすぎ、これも反応容器に移送した。次に、高粘度の縣濁物を、室温で約20時間撹拌した。この時間の終わりには、反応混合物は依然として縣濁物であったが、テクスチャは異なった。
【0152】
次に、混合物を氷冷し、H2O(1.5L)で希釈し、濃HClでpH約3まで酸性化した。固体生成物を、ブフナー漏斗を用いた濾過により集め、冷水ですすぎ、空気乾燥して、無色固体として表題の化合物103.0g(78%)を得た。MS(M−H):196.0;198.0
工程3 − エチル5−クロロチオフェン−2−イルスルホニルカルバメート:
【0153】
【化18】
機械式撹拌装置および滴下漏斗を備えた2−L三口R.B.フラスコに、スルホンアミド(60.0g、303.79mmol)、およびTHF(900mL)中のCs2CO3(200g、613.83mmol、2.02当量)を充填した。清澄な溶液を氷冷し、エチルクロロホルメート(70.0mL、734.70mmol、2.418当量)を、約30分間かけて添加した。次に高粘度の縣濁物を、室温で約36時間撹拌した。
【0154】
次に、混合物を水(200mL)で希釈して、清澄な無色溶液を得、この溶液をロータリーエバポレータでその容積が1/3になるまで濃縮した。次にこれを、EtOAc(250mL)で希釈し、氷冷し、6N HClによりpH約1まで酸性化した。この二相混合物を、分液漏斗に移し、層を分離し、水相を2×75mL EtOAcで再度抽出した。一緒にした有機抽出物を、水/塩水(2×50mL)、塩水(1×50mL)で洗い、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮して薄く着色したオイルを得た。これを、シリカゲルプラグを通した濾過により精製した。粗生成物を、EtOAc中で、焼結漏斗上のシリカゲルプラグに適用し、次に、EtOAc(1リットル)で希釈した。EtOAc濾液の濃縮により、無色固体として表題の化合物71.28g(87%)を得た。MS(M−H):268.0;270.0。1H NMR(DMSO):δ7.62(d,1H)、7.25(d,1H)、4.10(q,2H)、1.16(t,3H)。
【0155】
実施例2:[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素(7a)の合成
【0156】
【化19】
工程1
アニリン1(1H NMR(DMSO):δ7.58(dd,1H)、6.72(dd,1H)、3.77(s,3H);6.0g、32.085mmol)を、500mL丸底フラスコに入れ、トルエン(175mL、332.50mmol、10.36当量)中の20%ホスゲンを添加した。結果として生じる若干粘着性の縣濁物を次に、室温で一晩磁気撹拌して、無色溶液を得た。アリコートを除去し、アルゴンでブロー乾燥し、MeOHで急冷し、RP−HPLC/MSにより分析したところ、未反応アニリン1は皆無であり、そのメチルカルバメートとして分析されるイソシアネート2aおよび/または塩化カルバモイル2bのクリーンな形成を示した。混合物を、最初にロータリーエバポレーションで、次に高真空下で濃縮し、易流動性の無色固体としてイソシアネート2aおよび/または塩化カルバモイル2bを6.76g(99%収率)得た。
【0157】
【化20】
工程2
500mL R.B.フラスコ中に、DMF(100mL)中のN−Boc−1,4−フェニレンジアミン(6.22g、29.866mmol、1.20当量)を入れた。トリエチレンアミン(5.30mL、38.025mmol、1.52当量)を注入した。次に、清澄な暗褐色溶液を、DMF(50mL)中のイソシアネート2a(5.30g、24.88mmol)および/または塩化カルバモイル2bの溶液で滴下しつつ15分間かけて処理した。添加が終了した後、若干混濁した組成物が得られ、これを室温で一晩撹拌した。アリコートをMeOHで急冷後に分析したところ、未反応イソシアネートは皆無であり、約2.5:1の比率の尿素、3a、およびキナゾリン−1,3−ジオン、4aのクリーンな形成を示した。MS(M−H):388.0。
【0158】
次にDBU(3.75mL、25.07mmol、約1.0当量)を、5分間かけて滴下して注入し、結果として清澄な暗褐色溶液を得た。この溶液を、室温で3時間撹拌し、混濁した混合物を得た。HPLC分析によれば、尿素3aはまったく示されず、キナゾリン−1,3−ジオン4aのクリーンな生成が示された。反応混合物を、ロータリーエバポレータで濃縮し、固体として粗生成物を得た。これを高真空下で乾燥し、次に、CH2Cl2/H2Oと共に(5:1)粉砕して、ほとんど無色の固体として8.40gの4aを得た(87%収率)。1H NMR(DMSO):δ9.39(s,1H)、7.68(dd,1H)、7.45(d,2H)、7.03(m,2H)、6.98(dd,1H)、および1.48(s,9H)。
【0159】
【化21】
工程3
N−Boc−アニリン4a(4.0g、10.28mmol)を丸底フラスコに入れ、ジオキサン中の4N HCl(50.0mL、200mmol、19.40当量)を添加した。高粘度の、溶媒和が無視できる縣濁物を、室温で5.0時間撹拌した。HPLCは、出発物質をまったく示さず、アニリン5aのクリーンな生成を示した。次にこの混合物を、ロータリーエバポレータで濃縮して、粗生成物を得た。このようにして得られた固体を、CH2Cl2と共に粉砕して、ほとんど無色の固体として3.22gの5aを得た(96%収率)。MS(M−H):290.3。1H NMR(DMSO):δ11.75(s,1H)、7.88(dd,1H)、7.32(m,4H)、7.21(dd,1H)。
【0160】
工程4
【0161】
【化22】
ジフルオロ−化合物、5a(1.0g、3.072mmol)を、ねじキャップで封止したチューブに入れた。DMSO(20mL)を添加し、続いてメチルアミン(THF中で2.0M)(15.0mL、30mmol、9.76当量)を添加し、結果として清澄な溶液を得た。次にこの溶液を、油浴中で3時間110℃まで加熱した。HPLCは、未反応の5aをまったく示さず、5bのクリーンな生成を示した。次にこの混合物を室温まで冷却し、すべてのMeNH2およびTHFを蒸発させ、残留物を水100mLで希釈して、5bを沈殿させた。室温で約2時間撹拌した後、無色固体を、ブフナー漏斗を用いた濾過により集め、H2O(100mL)ですすぎ、空気乾燥した。この固体のHPLC分析は、この固体が純粋であり、どのようなDBUも持っていないことを示した。この固体を、Et2Oと共に、次にこのアニリンへの以前の経路におけるようにCH2Cl2と共に粉砕することによりさらに精製し、表題の化合物875mgを得た(95%収率)。MS(M+1)301.2。1H NMR(DMSO):δ(s,1H)、7.36(d,1H)、6.78(d,2H)、6.75(m,1H)、6.56(d,2H)、6.20(d,1H)、5.18(d,2H)、2.76(d,3H)。
【0162】
工程5 − 1−(5−クロロチオフェン−2−イルスルホニル)−3−(4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ)−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)フェニル)尿素(7a)の合成:
【0163】
【化23】
CH3CN(1300mL)中のアニリン(16.0g、53.33mmol)およびエチルスルホニル−カルバメート(28.77g、106.66mmol、2.0当量)を含む反応混合物を、加熱して36時間還流した。この間、反応混合物は高粘度の縣濁液のままであった。HPLC分析は、クリーンな反応、および<1%未反応アニリンを示した。この高粘度の縣濁液を室温まで冷却し、ブフナー漏斗により濾過した。無色の固体生成物を、CH3CN(3×40mL)でさらにすすいだ。濾液のHPLCは、極微量の所望の生成物の存在のみを示し、その大部分は過剰なカルバメートであった。次に粗生成物を、CH2Cl2(400mL)と共に粉砕し、ほとんど無色の固体生成物を、ブフナー漏斗による濾過によって集めた:収率、25.69g(92%)。MS(M+1):524.0;526.0。1H NMR(DMSO):δ11.20(s,1H)、9.15(s,1H)、7.68(d,1H)、7.42(d,2H)、7.36(d,1H)、7.26(m,1H)、7.16(d,2H)、6.78(m,1H)、6.24(d,1H)、2.78(d,3H)。
【0164】
実施例3:[4−(6−クロロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素(6b)
実施例3における化合物は、Pt(S)Cを用いたメチル−2−ニトロ−5−クロロ−4−フルオロベンゾエートの還元により合成されたメチル−2−アミノ−5−クロロ−4−フルオロベンゾエートで始まることを除き、実施例2(工程1−5)について記載されるように合成される。
【0165】
実施例4:[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素(6a)および塩(7a)の合成
【0166】
【化24】
工程1:
【0167】
【化25】
メチル2−アミノ−4,5−ジフルオロベンゾエート[2](38Kg、1.0当量)およびジクロロメタン(560Kg、8X、ACS>99.5%)を、PP1−R1000反応器(2000L GL反応器)に充填した。反応混合物を、5分間撹拌した。4−ニトロフェニルクロロホルメート(49.1Kg、1.2当量)をPP1−R2000反応器(2000L)に充填し、続いてジクロロメタン(185Kg)を充填し、内容物を5分間撹拌した。200L反応器を加圧した後、4−ニトロフェニルクロロホルメート溶液を、[2]のジクロロメタン溶液を含有する2000L反応器に移送した。反応混合物を、窒素ガスパージ下で3時間、40±5℃(還流)に加熱した。代表的なTLC分析により、反応完了が確認された(工程内TLC、残存する化合物2は皆無;99:1CHCl3−MeOH)。この溶液を、30℃まで冷却し、真空下で460Kgのジクロロメタンを蒸留により除去した。2000L反応器にヘキサン520Kgを充填し、反応器の内容物を0±5℃まで冷却し、4時間撹拌した。得られた固体を、TT−15LF Typarフィルタ1枚およびMel−Tuf1149−12濾紙1枚で裏打ちされたGFヌッチェ型フィルタを通し濾過した。濾過ケーキを、ヘキサン20Kgで洗い、一定の重量が達成されるまで、35℃で真空乾燥した。乾燥生成物を、98%収率で排出した(70.15Kg)。生成物を、1H NMRおよびTLC分析によって確認した。
【0168】
工程2. 3−(4−アミノフェニル)−6,7−ジフルオロキナゾリン−2,4−ジオンハイドロクロライド、化合物5bの合成
【0169】
【化26】
PP1−R1000(2000L GL反応器)反応器に、3a(64.4Kg、1.0当量)、無水テトラヒドロフラン(557Kg)およびトリエチルアミン(2.2Kg、0.1当量)を充填した。2000L GL反応器の充填ラインは、テトラヒドロフラン(10Kg)ですすいだ。反応器の内容物を25分間撹拌し、その間に完全溶液を得た。PP1−R2000(200L HP反応器)反応器に、N−Boc−p−フェニレンジアミン(38Kg、1.0当量)、テトラヒドロフラン(89Kg)を充填し、完全溶液が得られるまで30分間撹拌した。200L HP反応器の内容物を、化合物3aを含んでいる2000L GL反応器に移送し、次に、65±5℃で2時間加熱した。反応は、HPLCにより監視されて、出発物質3aの消滅(工程内仕様<1%)を確認した後に、完了したと考えられた。2000L GL反応器の内容物を、20±5℃まで冷却し、次に、温度を30℃未満に維持しつつ、ナトリウムメトキシド(メタノール中の25%溶液、41.5Kg、1.05当量)を20分間にわたり充填した。充填ラインは、テトラヒドロフラン(10Kg)ですすいだ。内容物を、25±5℃で4時間撹拌した。工程内HPLC分析により、反応混合中に残る化合物3bの量が<1%になった時に、反応の完了が確認された。この反応混合物に、濾過されたプロセス水(500Kg)を添加し、300Kgの溶媒が蒸留されるまで、2000L GL反応器内容物を清潔な200L GL受器内に真空下で蒸留した。得られた固体を、GLヌッチェ型フィルタを用いて濾過し、固体化合物4bの色が白色ないし灰色がかった色になるまでプロセス濾過水で洗った。2000L GL反応器に湿潤化合物4b濾過ケーキ、ジオキサン(340Kg)を充填し、内容物を1時間撹拌した。得られた濾過可能な固体を、T−515LF Typar濾紙1枚を備えたGLヌッチェ型フィルタにより濾過した。固体ケーキを2時間ブロー乾燥し、次に、ジオキサン(200Kg)を2000L GL反応器に充填した。内容物を10分間撹拌し、次に、ジオキサン中の4N HCl(914Kg)を、内部温度を30℃未満に維持して、3時間にわたって充填した。充填ラインを、さらなるジオキサン(10Kg)ですすぎ、反応器の内容物を、25±5℃で6時間撹拌した。反応の完了は、化合物4bから化合物5bへの変換についてHPLCにより監視される(工程内制御化合物4は、反応混合物中で<1%である)。反応器の内容物を2時間にわたり5+5℃まで冷却し、得られた固体を、GLヌッチェ型フィルタを通して濾過し、続いてジオキサン(50Kg)で洗った。濾過ケーキを、8±7psigの窒素で30分間ブロー乾燥し、純度をHPLCにより分析した。濾過された固体を、一定の重量になるまで真空オーブン中にて45℃で48時間乾燥した。化合物5b(65.8Kg、実際の収率110.6%)を排出し、1H NMRおよびHPLC分析により分析した。1H NMR(DMSO):δ11.75(s,1H)、7.88(dd,1H)、7.32(m,4H)、7.21(dd,1H)。
【0170】
工程3. 3−(4−アミノフェニル)−6−フルオロ−7−(メチルアミノ)キナゾリン−2,4−(1H,3H)−ジオン、化合物5cの合成
【0171】
【化27】
PP1−R2000(200L HP反応器)に化合物5b(18Kg、1.0当量)を充填し、100±5psigの窒素で加圧した。反応器から大気通気管路を介して窒素を抜き、次にコンデンサバルブを開き、次にアルゴンのブランケット下でジメチルスルホキシドを反応器中に充填した(>99.7%、105Kg)。反応器内容物を、22℃(19〜25℃)15分間撹拌し、次に200L HP反応器上で最大達成可能真空を引き、すべてのバルブを閉じた。設定された真空を用いて、メチルアミン(無水エタノールで33%wt%、37.2Kg)を200L HP反応器に内部温度を25±5℃に維持するレートで充填し、充填の間、試薬溶液上の窒素ブランケットを保持した。充填ラインをジメチルスルホキシド(5Kg)ですすいだ後、200L HP反応器コンデンサバルブを閉じ、反応器内容物を110±5℃に加熱した。反応器の内容物を、110±5℃で少なくとも5時間撹拌した。5時間40分間後に行った工程内HPLCは、0.09%の化合物5b含有率を示し、反応の完了(工程内仕様≦1%)を示した。200L HP反応器の内容物を25±5℃まで冷却した。200L反応器が冷却している間、PP1−R1000反応器(2000L GL反応器)のすべてのバルブを閉じ、プロセス濾過水(550Kg)を充填した。200L HP反応器の内容物を2000L GL反応器に15分かけて移送し、続いて充填ラインをプロセス濾過水(50Kg)ですすいだ。2000L GL反応器の内容物を5±5℃で2時間撹拌した。得られた濾過可能固体を、真空下でMel−Tuf 1149−12濾紙を取り付けたPPF200(GLヌッチェ型フィルタ)上で濾過した。湿潤濾過ケーキを排出し、Dupontのフルオロカーボンフィルム(Kind 100A)で内張りした真空トレイに移送した。湿潤化合物6を含んでいる真空トレイ上に特殊なオーブンペーパー(KAVAN992)を固定し、真空オーブントレイ乾燥機へ移送した。オーブン温度を55℃に設定し、化合物6を一定重量まで12時間乾燥した。製品5cを76.5%収率(予想85〜95%)で排出した(12.70Kg)。HPLCは、98.96%純度を示し、1H NMRは、化合物5cについての構造を確認した。1H NMR(DMSO):δ11.10(s,1H)、7.36(d,1H)、6.78(d,2H)、6.75(m,1H)、6.56(d,2H)、6.20(d,1H)、5.18(d,2H)、2.76(d,3H)。
【0172】
工程4. 5−クロロ−N−(4−(6−フルオロ−7−(メチルアミノ)−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)フェニルカルバモイル)チオフェン−2−スルホンアミド
【0173】
【化28】
PP1−R2000(200L HP反応器)反応器に、6(20.7Kg、1.0当量)、エチル5−クロロチオフェン−2−イルスルホニルカルバメート(37.5Kg、2.0当量、>95%)、ジメチルスルホキシド(95>%、75Kg)を充填し、15分間撹拌した。最大達成可能真空を引いている間、200L HP反応器No.PP1−R2000を、65±5℃で15時間加熱した。HPLC分析用に代表試料を反応器から採取し、工程内HPLCは、反応混合物中に<0.9%の化合物5cが残存していることを示した(化合物6の反応完了についての工程内基準は、<1%)。800L反応器No.PP5−R1000にプロセス濾過水(650Kg)を充填し、次に内部温度を25℃に維持しつつ、200L HP内容物を800Lに移送した。200L HP反応器をジメチルスルホキシド(15Kg)ですすき、800L反応器に移送し、次にこれを5±5℃で2時間撹拌した。形成された固体を、真空下でフィルタPP−F2000を介して200L GL受器へ濾過し、濾過ケーキをプロセス濾過水(60Kg)ですすいだ。湿潤ケーキの代表試料を取り、HPLC分析を行い、もし化合物6aの純度が<95%(工程内制御<95%)であれば、ジクロロメタン粉砕が必要であった。800L GL反応器にすべての湿潤化合物6a、ジクロロメタン(315Kg)を充填し、内容物を3時間撹拌した。固体を真空下でT515LF TYPARフィルタ1枚を備えたGLヌッチェ型フィルタを介して濾過した。濾過ケーキを、ジクロロメタン(50Kg)で洗い、ケーキを8±7psigの窒素で15分間ブロー乾燥した。濾過ケーキを、Dupontフルオロカーボンフィルム(Kind100A)で内張した真空トレイに移送し、次に60℃に設定された真空オーブントレイ乾燥機に移送し12時間乾燥した。乾燥された化合物6aをHPLCで単離し(33.6Kg、93%収率)、純度は93.5%でありスルホンアミドは4.3%であった。1H NMRにより、化合物7についての構造を確認した。1H NMR(DMSO):δ11.20(s,1H)、9.15(s,1H)、7.68(d,1H)、7.42(d、2H)、7.36(d、2H)、7.26(m,1H)、7.16(d、2H)、6.78(m,1H)、6.24(d,1H)、2.78(d,3H)。
【0174】
工程5. カリウム(5−クロロチオフェン−2−イルスルホニル)(4−(6−フルオロ−7−(メチルアミド)−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)フェニルカルバモイル)アミド、7a
【0175】
【化29】
800L GL反応器No.PP5−R1000に、アセトニトリル(134Kg)、WFI品質水(156Kg)を充填し、内容物を5分間撹拌した。次に、これに化合物6a(33.6Kg、1.0当量)を充填し、反応混合物は、この時点で縣濁物であった。この縣濁物に、水酸化カリウム(4.14Kg、1.15当量、>85%)の水溶液(WFI水、35Kg)を、内部温度を30℃未満に維持するレートで充填した。充填ラインをWFI品質水(2Kg)ですすぎ、続いて800L GL反応器を50±5℃で1時間加熱した。次に内容物を熱いまま、バッグフィルタ、次に7カートリッジ0.2μポリッシュフィルタを通して清浄なHDPEドラムに濾過した。物質が溶液からまったくクラッシュしないよう、濾過プロセス全体を通して熱濾過システムを維持した。反応器すすぎ洗浄に進む前に、800L GL反応器ジャケットを25±5℃まで冷却する。800L GL反応器を、アセトニトリル(8.5Kg)およびWFI品質水(10Kg)の予混合溶液でフィルタシステムを通してすすぎ、7a熱濾過と表記されたドラム中に入れる。圧力容器を用いて800L GL反応器を、アセトン(20Kg)続いてWFI品質水(20Kg)ですすぎ、次に窒素(3+2psi)でブロー乾燥した。800GL反応器底バルブを閉じ、20+10Hgインチ真空に引き、次に真空を破り、7a熱濾過と表記されたドラムの内容物を反応器に充填した。800L GL反応器No.PP5−R1000内容物を20±5℃まで冷却し、次に、ポリッシュフィルタ(PP−PF09)を用いて、内部温度を30℃以下に維持しつつ反応器にメタノール(373Kg、>99%)を充填した。800GL反応器No.PP5−R1000の内容物を15±5℃まで冷却し、続いて内容物をこの温度で12時間内容物撹拌した。この間、濾過可能固体を、清浄なフィルタ装置(PP−F1000)を介して清浄な200L GL受器(PPR−04)中に濾過し、続いて反応器を加圧し、フィルタ/受器上で20+10Hgインチの真空に引き、内容物を濾過した。濾過ケーキをメタノール(30Kg)で洗い、8+7psigの窒素で10分間ブロー乾燥した。7aの湿潤ケーキを載せる前に、真空オーブントレイ乾燥機温度を80℃に設定した。湿潤濾過ケーキを、Dupontのフルオロカーボンフィルム−Kind1000Aで内張した真空トレイ中に移送し、生成物である湿潤7aを含んでいる真空トレイ上に特殊なオーブンペーパー(Kavon Mel Tufペーパー)を固定し、真空オーブントレイ乾燥機へ移送した。オーブン温度を80℃に設定し、湿潤7aを一定重量まで乾燥した(一定重量は、少なくとも1時間あけて+50g以内の同じ重量を有するトレイ示度として定義される)。代表試料を、残留溶媒(APIについての残留溶媒仕様)について分析したところ、仕様を満たした。最終的なAPIを、WFI品質水が存在するトレイを用いて12時間、水(5〜6%)と平衡状態にさせ、次に完全に裏返し、さらに12時間放置し、最終的にKF分析にかけた(5.5%含水率)。て7−カリウム(21.80Kg、60.6%収率)を、二重の丈夫なポリ袋に移し、2次閉じ込めで格納した。HPLC7aは99.7%の純度を示し、1H NMRは、7aについての構造を確認した。1H NMR(DMSO):δ11.14(s,1H)、8.60(s,1H)、7.48(m,2H)、7.35(d,1H)、7.22(d,1H)、6.95(m,3H)、6.75(m,1H)、6.22(d,1H)、2.78(d,3H)。
【0176】
実施例5:薬理学的アッセイ
本発明による化合物の各々の薬理活性を、以下のインビトロアッセイにより決定する:
I. インビトロにおけるADP媒介性血小板凝集の阻害
1.
本発明による化合物を試験することの、ADP誘発性ヒト血小板凝集に対する効果を、ヒト多血小板血漿(PRP)かヒト洗浄血小板を用いて、96−ウェルマイクロタイターアッセイ(一般的には、Jantzen,H.M.et al.(1999)Thromb.Hemost.81:111−117中の手順を参照)または標準のキュベット光透過率凝集測定法において評価した。
【0177】
凝集アッセイ用ヒト多血小板血漿の調製のため、ヒト静脈血を健康で薬物を使用していないボランティアから0.38%クエン酸ナトリウム(0.013M、pH7.0最終)中に収集した。多血小板血漿(PRP)を、室温にて20分間、160×gで遠心分離して調製する。PRP層を除去し、新しい管に移し、もし必要であれば、〜3×108血小板/mlの血小板濃度を達成するために貧血小板血漿(PPP)を用いて血小板数を調整する。PPPは、残った血液試料(PRPの除去後)を20分間800×gで遠心分離して調製する。このPRPの調製物はその後、96−ウェルプレートか標準キュベット凝集測定における凝集アッセイ用に用いることができる。
【0178】
洗浄血小板の調製のため、ヒト静脈血を健康で薬物を使用していないボランティアから、PGI2(0.2μM PGI2最終を含有する1.25ml ACD;PGI2は、Sigma,St.Louis,Moから入手))を含有するACD(85mMクエン酸ナトリウム、111mMグルコース、71.4mMクエン酸)中に収集する。多血小板血漿(PRP)は、室温で20分間160×gで遠心分離して調製する。洗浄血小板は、730gで10分間遠心分離し、血小板ペレットを、1U/mlアピラーゼ(グレードV、Sigma,St.Louis,Mo)を含有するCGS(13mMクエン酸ナトリウム、30mMグルコース、120mM NaCl;2ml CGS/10ml元の血液体積)中に再縣濁することにより調製する)。37℃で15分間インキュベーションした後、血小板を、730×gで10分間の遠心分離によって収集し、0.1%ウシ血清アルブミン、1mM CaCl2および1mM MgCl2を含有するHepes−Tyrode緩衝液(10mM Hepes,138mM NaCl、5.5mMグルコース、2.9mM KCl、12mM NaHCO3,pH7.4)中に濃度3×108血小板/mlにて再懸濁する。この血小板懸濁物を、凝集アッセイにおいて使用する前に37℃にて45分以上維持する。
【0179】
キュベット光透過率凝集アッセイのため、試験化合物の連続希釈液(1:3)を、96ウェルV底プレートにおいて100%DMSO中で調製した(キュベット中の最終DMSO濃度は0.6%であった)。試験化合物(DMSO中の連続希釈液3μl)を、凝集反応の前に30〜45秒間PRPでプレインキュベートし、これは、ChronoLog血小板凝集計において37℃で作動薬(5または10μM ADM)を490μMのPRPに添加することにより実行した。場合によっては、光透過率凝集測定は、37℃で洗浄血小板(上記のように調製)490μLを用いて実行し、凝集は、5μM ADPおよび0.5mg/mlヒトフィブリノゲン(American Diagnstics,Inc.,Greenwich,Conn)を添加して開始した。凝集反応を薬5分間記録し、最大凝集範囲を、アッセイの5分間の間に生じる最大凝集と比較して、ベースラインにおける凝集の範囲の差により決定する。凝集の阻害は、インヒビターが無い場合の最大凝集と比較して、インヒビターが存在する場合に観察される最大凝集として計算した。IC50sを、Prismソフトウェア(GraphPad,San Diego,CA)を用いて非線形回帰分析により導き出した。
【0180】
3.
ADP依存性血小板凝集の阻害も、Frantantoni et al.,Am.J.Clin.Pathol.94,613(1990)により記載されている手順に類似したマイクロタイタープレート振盪機およびプレートリーダーを用いて、96−ウェル平底マイクロタイタープレートにおいて決定した。全ての工程を、室温にて実施する。多血小板血漿(PRP)を用いる96−ウェルプレート凝集の場合、0.2ml/ウェルの総反応容積は、PRP(〜3×108血小板/ml、上記参照)180μl、20%DMSO中の試験化合物連続希釈物か緩衝液(対照ウェル用)のいずれか6μl、および20X SADPアゴニスト溶液(100μM)10μを含む。次に試料のODを、マイクロタイターリーダー(Softmax,Molecular Devices,Menlo Park,Calif.)を用いて450nmで決定し、0分示度を得る。次にプレートを、マイクロタイタープレート振盪機上で5分間撹拌し、プレートリーダーにおいて5分示度を得る。凝集を、t=0分と比較してt=5分における450nmでのODの低下から計算し、未凝集対照試料における変化について訂正した後、ADP対照試料における低下の%として表す。IC50sを、非線形回帰分析により導き出した。
【0181】
洗浄血小板を用いる96−ウェルプレート凝集の場合、0.2ml/ウェルの総反応容積は、Hepes−Tyrode緩衝液/0.1%BSA中に、4.5×107アピラーゼ洗浄血小板、0.5mg/mlヒトフィブリノゲン(American Diagnstics,Inc.,Greenwich,Conn)、0.6%DMSO中の試験化合物の連続希釈物(対照ウェル用緩衝液)を含む。室温での約5分前のプレインキュベーション後、ADPを、最大下凝集を引き起こす2μMの最終濃度まで添加する。ADPの代わりに緩衝液を、1組の対照ウェルに添加する(ADP−対照)。次に試料のODを、マイクロタイターリーダー(Softmax,Molecular Devices,Menlo Park,Calif.)を用いて450nmで決定し、0分示度を得る。次にプレートを、マイクロタイタープレート振盪機上で5分間撹拌し、プレートリーダーにおいて5分示度を得る。凝集を、t=0分と比較してt=5分における450nmでのODの低下から計算し、未凝集対照試料における変化について訂正した後、ADP対照試料における低下の%として表す。IC50sを、非線形回帰分析により導き出した。
【0182】
II. 血小板への[3H]2−Mes−ADP結合の阻害
1. 血小板上のP2Y12レセプターへの[3H]2−Mes−ADPの結合を阻害する候補分子の能力を、放射性リガンド結合アッセイを用いて決定した。
【0183】
このアッセイを利用して、血小板全体への[3H]2−Mes−ADP結合に関するそのような化合物の阻害能力を決定する。以下のII(3)に記載される条件下で、[3H]2−Mes−ADPの結合は、このアッセイで測定されるすべての特異な結合がP2Y12アンタゴニストと競合可能である(すなわち、特異な結合は、過剰のP2Y12アンタゴニストとの競合により背景レベルまで減少させられ、P2Y12アンタゴニストが血小板調製物とプレインキュベートされる場合に、結合の競合が皆無である)という点で、このリガンドとP2Y12との相互作用にもっぱら起因する。[3H]2−Mes−ADP結合実験は、院内血液銀行における標準的手順により回収された期限切れのヒト血小板を用いて規定通りに実行される。アピラーゼ洗浄された期限切れの血小板を、以下の通り調製する(特記のないかぎり、すべての工程は室温にて):
期限切れの血小板縣濁物を、1容量のCGSで希釈し、血小板を、1900×gにて45分間の遠心分離によってペレット化する。血小板ペレットを、1U/mlアピラーゼ(グレードV、Sigma,St.Louis,Mo.)を含有するCGS中に3〜6×109血小板にて再懸濁し、37℃にて15分間インキュベートする。730×gにて20分間の遠心分離の後、ペレットを、0.1% BSA(Sigma,St.Louis.Mo.)を含有するHepes−Tyrode緩衝液中に再懸濁する。結合実験を、その血小板を45分間以上静置した後、実行する。
【0184】
2.
代わりに、結合実験を、セクションI(インビトロでのADP媒介性血小板凝集の阻害)に記載されるように調製した新鮮なヒト血小板を用いて実行する。ただし、血小板は、0.1% BSA(Sigma,St.Louis.Mo.)を含有するHepes−Tyrode緩衝液中に、6.66×108血小板/mlの濃度で再懸濁する。非常に類似する結果が、新鮮な血小板および期限切れの血小板を用いて得られる。
【0185】
3.
トリチウム化した強力なアゴニストリガンド[3H]2−MeS−ADP(Jantzen,H.M.et.al(1999)Thromb.Hemost.81:111〜117)を用いる血小板ADPレセプター結合アッセイが、96−ウェルマイクロタイター形式に適合されている。0.1%BSAおよび0.6%DMSOを含む0.2mlのHepes−Tyrode緩衝液のアッセイ体積中で、1×108のアピラーゼ洗浄した血小板を、96−ウェル平底マイクロタイタープレート中にて、1nM[3H]2−MeS−ADP([3H]2−メチルチオアデノシン−5’−二リン酸,アンモニウム塩;比活性20〜50Ci/mmole、Amersham Life Science,Inc.Arlington Heights,Ill.,またはNEN Life Science Products,Boston,Mass.から注文合成により得る)を添加する前に、試験化合物の連続希釈物とともにプレインキュベートする。全結合を、試験化合物の不在下で決定する。非特異的結合についての試料は、10Mの非標識2−MeS−ADP(RBI,Natik,Mass.)を含み得る。室温での15分間のインキュベーション後、非結合の放射性リガンドを、迅速濾過、ならびに96−ウェルセルハーベスタ(Minidisc 96,Skatron Instruments,Sterling,Va)および8×12GF/Cガラス繊維フィルターマット(Printed Filtermat A、1450Microbeta用、Wallac Inc.,Gaithersburg,Md.)を使用した低温(4〜8℃)のBinding Wash Buffer(10mM Hepes pH7.4,138mM NaCl)での2度の洗浄により分離する。フィルターマット上の血小板結合放射能を、シンチレーション計数器(Microbeta 1450,Wallac Inc.,Gaithersburg,Md.)で決定する。全結合からの非特異的結合の減算により、特異的結合を決定し、試験化合物の存在下における特異的結合を、試験化合物の不在下における特異的結合の%として表す。IC50sを、非線形回帰分析により導き出した。
【0186】
以下の表において、PRPアッセイにおける活性、以下の通り提供される:+++、IC50<10μM、++、10μM<IC50<30μM。ARBアッセイにおける活性は、以下の通り提供される:+++、IC50<0.05μM;++、0.05μM<IC50<0.5μM。
【0187】
【表5】
実施例6:[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩(9a)(非晶質形態)の合成
【0188】
【化30】
無酸のスルホニル尿素(7.0g、13.365mmol)を、THF/H2O(55:22mL、約2.5:1)中に縣濁し、2M KOH(7.70mL、15.40mmol、1.15当量)で約5分間にわたり滴下して処理した。添加が終了する時点までに、清澄な溶液が生じた。しかしながら、次にまもなく(<5分間)、固体が析出し、反応混合物は、高粘度の縣濁物になった。これを油浴中で50℃まで加熱し、結果として生じた清澄で粘稠な淡褐色溶液をそこで0.5時間保持した。室温まで冷却するとすぐに、表題の化合物が析出した。この混合物を、i−PrOH(250mL、3×元の反応容積)で希釈し、室温で3時間撹拌し、次に、ブフナー漏斗を通して濾過して、無色固体として表題の化合物を得た。これを、真空オーブン中にて80℃で乾燥し、非晶質固体7.20g(96%)を得た。MS(ネガティブ走査):521.7;523.7。
【0189】
実施例7:スルホニル尿素(7a)の、そのナトリウム塩(10a)への変換
【0190】
【化31】
1−(5−クロロチオフェン−2−イルスルホニル)−3−(4−(6−フルオロ−7−(メチルアミド)−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)フェニル)尿素(3.0g、5.728mmol)7aを、CH3CN/H2O)(1:1;170mL)中に縣濁し、2N NaOH(2.90mL、5.80mmol)で滴下して処理した。約15分内で、清澄な溶液が生じた。1.0時間の撹拌後、淡褐色溶液を凍結乾燥して、非晶質固体10aとして粗生成物を得た。MS(ネガティブ走査):522.0;524.0。
【0191】
実施例8:ナトリウム塩の非晶質形態の調製
ナトリウム塩10bを、イソプロパノール(100mL)中に縣濁させ、約45分還流し、次に熱濾過して黄褐色固体を得た。この固体は、HPLCによりえば大半が表題の化合物である。この黄褐色固体を、CH3CN:EtOH(1:2)(100mL)中に縣濁させ、約45分間還流し、次に熱濾過して黄褐色固体として表題の化合物2.54gを得た(分析HPLC、長カラムによれば純度99.6887%)。濾液を、ACN:EtOHの比率が(1:3)になるまでEtOHで希釈し、次に、室温で一晩静置したところ、表題の化合物が析出して、表題の化合物210mgを得た(純度99.6685%:分析HPLC、長カラムによる)。
【0192】
実施例9:再結晶によるカリウム塩の多形形態Aの調製
再結晶:粗生成物は、最初に加熱して還流させて溶解し、次に室温まで冷却して沈殿させることにより、MeOHかMeOH/EtOH(3:1)から再結晶させることができる。
【0193】
MeOHからの再結晶:カリウム塩1.0gをMeOH(150mL)中に縣濁させ、加熱して0.5時間還流し、ほとんど清澄な溶液を得た。次にこの溶液を、ブフナー漏斗を介して熱濾過した。清澄な濾液を室温で静置したところ、無色固体が沈殿した。これを一晩撹拌し、次に、ブフナー漏斗を介した濾過により回収した。この固体生成物を、EtOH(2×4.0mL)ですすぎ、真空オーブン中にて80℃で20時間乾燥させ、無色固体740mgを得た。母液を、元の容積の約1/3まで濃縮したところ、より多くの表題の化合物を出じた。
【0194】
EtOH/MeOHからの再結晶:カリウム塩1.0gを溶媒混合物EtOH/MeOH(1:3)(200mL)中に縣濁させ、加熱して0.5時間還流させて、ほとんど清澄な溶液を得た。次にこれを、ブフナー漏斗を介して熱濾過した。清澄な濾液を室温で静置したところ、無色固体が沈殿した。この無色固体を、ブフナー漏斗を介した濾過によって回収した。この固体生成物を、EtOHですすぎ、真空オーブン中にて80℃で20時間乾燥させ、無色固体を得た。母液を、元の容積の約1/3まで濃縮したところ、より多くの表題の化合物を出じた。
【0195】
実施例10:再結晶によるカリウム塩の多形形態Bの調製
再結晶:粗生成物は、最初に加熱して還流させて溶解し、次に室温まで冷却して沈殿させるることにより、EtOH/H2O(91:9)または少量のMeOHから再結晶させることができる。
【0196】
EtOH/H2Oからの再結晶:カリウム塩1.0gをEtOH(190mL)中に縣濁させ、加熱して還流しさせた。高粘度の縣濁物にH2O(18.0mL)を滴下して添加し、清澄な無色溶液を得た。室温に冷却するとすぐに、表題の化合物が、無色固体として析出した。この無色固体を、ブフナー漏斗を介した濾過で回収し、EtOH(2×4.0mL)ですすいだ。これを、真空オーブン中にて80℃で20時間乾燥させ、無色固体650mgを得た。母液を、元の容積の約1/3まで濃縮したところ、より多くの表題の化合物を出じた。
【0197】
少量のMeOHからの大規模再結晶:カリウム塩6.6gを、MeOH(30mL)中に縣濁させ、加熱して5時間還流させたところ、固体は、より少ない容量のメタノール中に完全には溶解しなかった。冷却後、固体を濾過し、iPrOHですすいだ。これを真空オーブン中にて80℃で20時間乾燥させ、形態Bであると特性決定される、無色固体6.2gを得た。
【0198】
上述の発明は、理解を明確にする目的で例示および実施形態によってある程度詳細に説明されてきたが、当業者は、添付請求項の範囲内で一定の変更および修正が実施され得ることを理解するであろう。加えて、本明細書中に提供される各参考文献は、あたかも各参考文献が参照により個別に組み込まれるのと同程度に、その全体が参照により組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0199】
【図1】図1は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウムおよび/またはナトリウム塩を提供する。
【図2a】図2aは、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩二水和物の結晶質固体のAのX線粉体回折(XRPD)を示す。
【図2b】図2bは、ピーク情報を示す[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩二水和物の結晶質固体形態AのXRPDを示す。
【図3a】図3aは、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩の結晶質固体形態BのXRPDを示す。
【図3b】図3bは、ピーク情報を示す[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩の結晶質固体形態BのXRPDを示す。
【図4】図4は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩の非晶質形態のXRPDを示す。
【図5】図5は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩二水和物の結晶質固体形態Aのフーリエ変換赤外スペクトルを示す。
【図6】図6は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩二水和物の結晶質固体形態Bのフーリエ変換赤外スペクトルを示す。
【図7】図7は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩の非晶質形態体のFT−IRを示す。
【図8】図8は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩二水和物の結晶質固体形態Aの1H−NMRを示す。
【図9】図9は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩の結晶質固体形態Bの1H−NMRを示す。
【図10】図10は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩の非晶質形態の1H−NMRを示す。
【図11】図11は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩二水和物の結晶質固体形態Aの重量測定蒸気収着(GVS)データを提供する。
【図12a】図12aは、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩二水和物の結晶質固体形態Bの重量測定蒸気収着(GVS)データを提供する。試料をGVS実験の完了後に回収し、XRPDにより再試験した。結果(図12b)は、GVS実験中に相変化が全く生じなかったことを示している。約5.4°2θにおけるピークの強度変化は、好ましい配向効果である。
【図12b】図12aは、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩二水和物の結晶質固体形態Bの重量測定蒸気収着(GVS)データを提供する。試料をGVS実験の完了後に回収し、XRPDにより再試験した。結果(図12b)は、GVS実験中に相変化が全く生じなかったことを示している。約5.4°2θにおけるピークの強度変化は、好ましい配向効果である。
【図13】図13は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩の非晶質形態の重量測定蒸気収着(GVS)データを提供する。
【図14】図14は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩二水和物の結晶質固体形態Aの示差走査熱量測定(DSC)データを提供する。
【図15】図15は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩二水和物の結晶質固体形態AのTGAデータを提供する。
【図16】図16は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩の結晶質固体形態BのDSCデータを提供する。
【図17】図17は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩の結晶質固体形態BのTGAデータを提供する。
【図18】図18は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩の非晶質形態のDSCデータを提供する。
【図19】図19は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩の非晶質形態のTGAデータを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式:
【化1】
(式中、
Xは、FおよびIからなる群から選択され、
R1は、H、ハロゲン、−OH、−C1−10−アルキルおよびC1−6−アルキルアミノからなる群から選択される)
を有する化合物またはその薬学的に受容可能な誘導体。
【請求項2】
R1が−C1−10−アルキルまたはC1−6−アルキルアミノである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1がC1−6−アルキルアミノである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
XがFである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
次式:
【化2】
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
薬学的に受容可能な誘導体が、
【化3】
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
次式:
【化4】
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
次式:
【化5】
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
単離および精製された形態である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
(i)図5と実質的に一致する赤外スペクトル、
(ii)図2と実質的に一致するX線粉末回折パターン、および
(iii)図14と実質的に一致するDSC走査、
のうちの少なくとも1つを特徴とする結晶質固体形態Aの請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
図5と実質的に一致する赤外スペクトルを特徴とする結晶質固体形態Aの請求項8に記載の化合物。
【請求項12】
(i)約3559、3389、3324、1698、1623、1563、1510、1448、1431、1403、1383、1308、1269、1206、1174、1123、1091、1072、1030、987、939、909、871、842、787、780、769、747、718、701、690および667cm−1に吸収ピークを有する赤外スペクトル、
(ii)約9.5および約25.5°2θにピークを有するX線粉末回折パターン、および
(iii)約246℃のDSC最大吸熱、
のうちの少なくとも1つを特徴とする、結晶質固体形態Aの請求項8に記載の化合物。
【請求項13】
約3559、3389、3324、1698、1623、1563、1510、1448、1431、1403、1383、1308、1269、1206、1174、1123、1091、1072、1030、987、939、909、871、842、787、780、769、747、718、701、690および667cm−1に吸収ピークを有する赤外スペクトルを特徴とする結晶質固体形態Aの請求項8に記載の化合物。
【請求項14】
約3389cm−1および約1698cm−1にピークを有する赤外スペクトルを特徴とする結晶質固体形態Aの請求項8に記載の化合物。
【請求項15】
約9.5および約25.5°2θにピークを有するX栓粉体回折パターンを特徴とする結晶質固体形態Aの請求項8に記載の化合物。
【請求項16】
約9.5および約25.5°2θにピークを有するX栓粉体回折パターンならびに約3389cm−1および約1698cm−1にピークを有する赤外スペクトルを特徴とする結晶質固体形態Aの請求項8に記載の化合物。
【請求項17】
約246℃のDSC最大吸熱を特徴とする結晶質固体形態Aの請求項8に記載の化合物。
【請求項18】
(i)図6と実質的に一致する赤外スペクトル、
(ii)図3と実質的に一致するX線粉末回折パターン、および
(iii)図16と実質的に一致するDSC走査、
のうちの少なくとも1つを特徴とする結晶質固体形態Bの請求項8に記載の化合物。
【請求項19】
図6と実質的に一致する赤外スペクトルを特徴とする結晶質固体形態Bの請求項8に記載の化合物。
【請求項20】
(i)約3584、3327、3189、2935、2257、2067、1979、1903、1703、1654、1630、1590、1557、1512、1444、1429、1406、1375、1317、1346、1317、1288、1276、1243、1217、1182、1133、1182、1133、1093、1072、1033、987、943、907、883、845、831、805、776、727、694および674cm−1に吸収ピークを有する赤外スペクトル、
(ii)約20.3°2θおよび約25.1°2θにピークを有するX線粉末回折パターン、および
(iii)約293℃のDSC最大吸熱、
のうちの少なくとも1つを特徴とする結晶質固体形態Bの請求項8に記載の化合物。
【請求項21】
約3584、3327、3189、2935、2257、2067、1979、1903、1703、1654、1630、1590、1557、1512、1444、1429、1406、1375、1317、1346、1317、1288、1276、1243、1217、1182、1133、1182、1133、1093、1072、1033、987、943、907、883、845、831、805、776、727、694および674cm−1に吸収ピークを有する赤外スペクトルを特徴とする結晶質固体形態Bの請求項8に記載の化合物。
【請求項22】
約3327cm−1および約1630cm−1にピークを有する赤外スペクトルを特徴とする結晶質固体形態Bの請求項8に記載の化合物。
【請求項23】
約20.3°2θおよび約25.1°2θにピークを有するX線粉末回折パターンを特徴とする結晶質固体形態Bの請求項8に記載の化合物。
【請求項24】
約20.3°2θおよび約25.1°2θにピークを有するX線粉末回折パターンならびに約3327cm−1および約1630cm−1にピークを有する赤外スペクトルを特徴とする結晶質固体形態Bの請求項8に記載の化合物。
【請求項25】
約293℃のDSC最大吸熱を特徴とする結晶質固体形態Bの請求項8に記載の化合物。
【請求項26】
(i)図7と実質的に一致する赤外スペクトル、
(ii)図4と実質的に一致するX線粉末回折パターン、および
(iii)図18と実質的に一致するDSC走査、
のうちの少なくとも1つを提供する非晶質形態を有する請求項7に記載の化合物。
【請求項27】
約3560、1711、1632、1556、1512、1445、1407、1375、1309、1280、1227、1133、1092、1032、987、905、781、770および691cm−1に吸収ピークを有する赤外スペクトルを特徴とする非晶質形態を有する請求項7に記載の化合物。
【請求項28】
図4と実質的に一致するX線粉末回折パターンを提供する非晶質の形態を有する請求項7に記載の化合物。
【請求項29】
実質的に約15〜約30°2θの間のブロードなピークを含むX線粉末回折パターンにを特徴とする非晶質形態の請求項7に記載の化合物。
【請求項30】
(i)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を、エタノール、メタノールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒中で結晶化させ、結晶がいくらかの溶媒を含むように乾燥させる工程、および
(ii)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を、エタノール、メタノールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒中で加熱し、約50℃から−10℃の温度で結晶化させ、結晶が少なくとも約0.05%の溶媒を含むまで乾燥させる工程、
のうちの少なくとも1つにより得られる結晶質固体形態Aの請求項8に記載の化合物。
【請求項31】
(i)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を、エタノールおよびメタノールの組み合わせ溶媒中で加熱し、約50℃から−10℃の温度で結晶化させ、結晶が0.05%未満の溶媒を含むまで乾燥させる工程、および
(ii)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を、エタノールおよび水の組み合わせ溶媒から結晶化させ、結晶が約0.05%未満の溶媒を含むまで乾燥させる工程、
のうちの少なくとも1つにより得られる結晶質固体形態Bの請求項8に記載の化合物。
【請求項32】
(i)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩を、イソプロパノール、アセトニトリル、エタノールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒中で加熱し、約50℃から−10℃の温度で結晶化させる工程、
(ii)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩を、イソプロパノール、アセトニトリル、エタノール、メタノールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒から結晶化させる工程、および
(iii)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩を、高湿度で加熱する工程、
のうちの少なくとも1つにより得られる非晶質形態を有する請求項7に記載の化合物。
【請求項33】
単離および精製された形態である、請求項10または18に記載の化合物。
【請求項34】
単離および精製された形態である、請求項26に記載の化合物。
【請求項35】
治療有効量の請求項1に記載の化合物および薬学的に受容可能な賦形剤またはキャリアを含む、薬学的組成物。
【請求項36】
前記組成物中の前記化合物が少なくとも1つの固体形態にある、請求項35に記載の薬学的組成物。
【請求項37】
前記固体形態が、形態A、形態B、および非晶質形態からなる群から選択される、請求項35に記載の薬学的組成物。
【請求項38】
治療有効量中に、形態A、形態B、および非晶質形態のうちの少なくとも1つが存在する、請求項35に記載の薬学的組成物。
【請求項39】
前記組成物が、固体経口組成物、錠剤、カプセル、および吸入用乾燥粉末からなる群から選択される、請求項37〜38に記載の薬学的組成物。
【請求項40】
固体経口組成物が、錠剤またはカプセルである、請求項39に記載の薬学的組成物。
【請求項41】
前記治療有効量が、哺乳動物における血小板凝集を阻害するのに効果的な量である、請求項35に記載の薬学的組成物。
【請求項42】
前記血小板凝集が、血小板ADP依存性凝集である、請求項41に記載の薬学的組成物。
【請求項43】
前記哺乳動物がヒトである、請求項42に記載の薬学的組成物。
【請求項44】
前記化合物が、血小板ADPレセプターへの[3H]2−Mes−ADP結合の有効なインヒビターである、請求項35に記載の薬学的組成物。
【請求項45】
前記組成物が、固体経口組成物である、請求項35に記載の薬学的組成物。
【請求項46】
前記組成物が、錠剤またはカプセルである、請求項35に記載の薬学的組成物。
【請求項47】
前記組成物が、吸入用エアゾールまたは乾燥粉末である、請求項35に記載の薬学的組成物。
【請求項48】
治療有効量の請求項1に記載の化合物およびさらなる治療薬剤を含む、薬学的組成物。
【請求項49】
前記さらなる治療薬剤が、血栓症、急性心筋梗塞、不安定狭心症、慢性安定狭心症、一過性脳虚血発作、脳卒中、末梢血管疾患、子癇前症/子癇、深部静脈血栓症、塞栓症、播種性血管内凝固症および血栓性血小板減少性紫斑病、血管形成、頚動脈内膜切除、CABG(冠状動脈バイパス移植)手術後、人工血管手術、ステント設置ならびに血管内デバイスの挿入、人工器官の結果もたらされる侵襲的処置に続く血栓性および再狭窄合併症、ならびに遺伝的体質または癌に関連する凝固亢進状態から選択される病状または疾患を処置するために有用である、請求項48に記載の薬学的組成物。
【請求項50】
結晶質固体形態Aの[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を製造する方法であって、
(i)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を、エタノール、メタノールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒から結晶化させ、結晶がいくらかの溶媒を含むように乾燥させる工程、および
(ii)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を、エタノール、メタノールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒中で加熱し、約50℃から−10℃の温度で結晶化させ、結晶が少なくとも約0.05%の溶媒を含むまで乾燥させる工程、
のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項51】
結晶質固体形態Bの[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を製造する方法であって、
(i)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を、エタノールおよびメタノールの組み合わせ溶媒中で加熱し、約50℃から−10℃の温度で結晶化させ、結晶が0.05%未満の溶媒を含むまで乾燥させる工程、および
(ii)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を、エタノールおよび水の組み合わせ溶媒から結晶化させ、結晶が約0.05%未満の溶媒を含むまで乾燥させる工程、
のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項52】
非晶質形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩を製造する方法であって、
(i)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩を、イソプロパノール、アセトニトリル、エタノールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒中で加熱し、約50℃から−10℃の温度で結晶化させる工程、
(ii)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩を、イソプロパノール、アセトニトリル、エタノール、メタノールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒から結晶化させる工程、および
(iii)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩を、高湿度で加熱する工程、
のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項53】
哺乳動物における血栓症および血栓症関連病態を予防または処置するための方法であって、治療有効量の請求項1に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を哺乳動物に投与する工程を含む、方法。
【請求項54】
哺乳動物において少なくとも部分的にADP誘発性血小板凝集により媒介された病態または疾患を予防または処置する方法であって、そのような処置を必要とする哺乳動物に、治療有効量の請求項1に記載の組成物またはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を含む、方法。
【請求項55】
前記哺乳動物が、心血管疾患に罹患しやすいか、または心血管疾患をわずらっている、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記心血管疾患が、急性心筋梗塞、不安定狭心症、慢性安定狭心症、一過性脳虚血発作、脳卒中、末梢血管疾患、子癇前症/子癇、深部静脈血栓症、塞栓症、播種性血管内凝固症および血栓性血小板減少性紫斑病、血管形成、頚動脈内膜切除、CABG(冠状動脈バイパス移植)手術後、人工血管手術、ステント、インステント血栓症、ならびに血管内デバイスおよび人工器官の挿入の結果もたらされる侵襲的処置に続く血栓性および再狭窄合併症、ならびに遺伝的体質または癌に関連する凝固亢進状態からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記化合物が、経口的、非経口的または局所的に投与される、請求項53に記載の方法。
【請求項58】
前記化合物が、第2の治療薬剤と組み合わせて投与される、請求項53に記載の方法。
【請求項59】
前記患者がヒトである、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記第2の治療薬剤が、急性心筋梗塞、不安定狭心症、慢性安定狭心症、一過性脳虚血発作、脳卒中、末梢血管疾患、子癇前症/子癇、深部静脈血栓症、塞栓症、播種性血管内凝固症および血栓性血小板減少性紫斑病、血管形成、頚動脈内膜切除、CABG(冠状動脈バイパス移植)手術後、人工血管手術、ステント設置および血管内デバイス、人工器官の挿入の結果もたらされる侵襲的処置に続く血栓性および再狭窄合併症、ならびに遺伝的体質または癌に関連する凝固亢進状態からなる群から選択される病態または疾患の処置に有用である、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記化合物が、抗血小板化合物、凝固防止剤、フィブリン溶解剤、抗炎症性化合物、コレステロール降下剤、プロトンポンプインヒビター、血圧降下剤、セロトニンブロッカー、および硝酸塩(すなわち、ニトログリセリン)からなる群から選択される第2の治療薬剤と組み合わせて投与される、請求項58に記載の方法。
【請求項62】
前記第2の治療薬剤が、GPIIB−IIIaアンタゴニスト、アスピリン、ホスホジエステラーゼIIIインヒビターおよびトロンボキサンA2レセプターアンタゴニストからなる群から選択された抗血小板化合物である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記第2の治療薬剤が、トロンビンインヒビター、クマジン、ヘパリン、Lovenox(登録商標)、およびfXaインヒビターからなる群から選択される抗凝固剤である、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記第2の治療薬剤が、非ステロイド系抗炎症剤、シクロオキシゲナーゼ−2インヒビターおよびリウマチ様関節炎剤からなる群から選択される抗炎症性化合物である、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
二次虚血性事象の発生を予防するための方法であって、一次虚血性事象をわずらったことのある患者に、治療有効量の請求項1に記載の化合物を、薬学的に受容可能なキャリアと共に投与する工程を含む、方法。
【請求項66】
前記一次および/または二次虚血性事象が、心筋梗塞、安定または不安定狭心症、経皮的冠状動脈形成術後の再閉塞、および/またはステント設置、再狭窄、末梢血管バルーン血管形成および/またはステント設置、血栓性卒中、一過性脳虚血発作、可逆性虚血神経欠損および間欠性跛行からなる群から選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記一次および/または二次虚血性事象が、血管形成術および/またはステントを含む経皮的冠状動脈形成術(PCI)、急性心筋梗塞(AMI)、不安定狭心症(USA)、冠状動脈疾患(CAD)、一過性脳虚血発作(TIA)、脳卒中、末梢血管疾患(PVD)、冠状動脈バイパス手術、頚動脈内膜切除からなる群から選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
薬学的組成物の調製方法であって、治療有効量の請求項1に記載の化合物を、薬学的に受容可能な賦形剤またはキャリアと混合する工程を含む、方法。
【請求項1】
次式:
【化1】
(式中、
Xは、FおよびIからなる群から選択され、
R1は、H、ハロゲン、−OH、−C1−10−アルキルおよびC1−6−アルキルアミノからなる群から選択される)
を有する化合物またはその薬学的に受容可能な誘導体。
【請求項2】
R1が−C1−10−アルキルまたはC1−6−アルキルアミノである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1がC1−6−アルキルアミノである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
XがFである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
次式:
【化2】
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
薬学的に受容可能な誘導体が、
【化3】
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
次式:
【化4】
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
次式:
【化5】
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
単離および精製された形態である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
(i)図5と実質的に一致する赤外スペクトル、
(ii)図2と実質的に一致するX線粉末回折パターン、および
(iii)図14と実質的に一致するDSC走査、
のうちの少なくとも1つを特徴とする結晶質固体形態Aの請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
図5と実質的に一致する赤外スペクトルを特徴とする結晶質固体形態Aの請求項8に記載の化合物。
【請求項12】
(i)約3559、3389、3324、1698、1623、1563、1510、1448、1431、1403、1383、1308、1269、1206、1174、1123、1091、1072、1030、987、939、909、871、842、787、780、769、747、718、701、690および667cm−1に吸収ピークを有する赤外スペクトル、
(ii)約9.5および約25.5°2θにピークを有するX線粉末回折パターン、および
(iii)約246℃のDSC最大吸熱、
のうちの少なくとも1つを特徴とする、結晶質固体形態Aの請求項8に記載の化合物。
【請求項13】
約3559、3389、3324、1698、1623、1563、1510、1448、1431、1403、1383、1308、1269、1206、1174、1123、1091、1072、1030、987、939、909、871、842、787、780、769、747、718、701、690および667cm−1に吸収ピークを有する赤外スペクトルを特徴とする結晶質固体形態Aの請求項8に記載の化合物。
【請求項14】
約3389cm−1および約1698cm−1にピークを有する赤外スペクトルを特徴とする結晶質固体形態Aの請求項8に記載の化合物。
【請求項15】
約9.5および約25.5°2θにピークを有するX栓粉体回折パターンを特徴とする結晶質固体形態Aの請求項8に記載の化合物。
【請求項16】
約9.5および約25.5°2θにピークを有するX栓粉体回折パターンならびに約3389cm−1および約1698cm−1にピークを有する赤外スペクトルを特徴とする結晶質固体形態Aの請求項8に記載の化合物。
【請求項17】
約246℃のDSC最大吸熱を特徴とする結晶質固体形態Aの請求項8に記載の化合物。
【請求項18】
(i)図6と実質的に一致する赤外スペクトル、
(ii)図3と実質的に一致するX線粉末回折パターン、および
(iii)図16と実質的に一致するDSC走査、
のうちの少なくとも1つを特徴とする結晶質固体形態Bの請求項8に記載の化合物。
【請求項19】
図6と実質的に一致する赤外スペクトルを特徴とする結晶質固体形態Bの請求項8に記載の化合物。
【請求項20】
(i)約3584、3327、3189、2935、2257、2067、1979、1903、1703、1654、1630、1590、1557、1512、1444、1429、1406、1375、1317、1346、1317、1288、1276、1243、1217、1182、1133、1182、1133、1093、1072、1033、987、943、907、883、845、831、805、776、727、694および674cm−1に吸収ピークを有する赤外スペクトル、
(ii)約20.3°2θおよび約25.1°2θにピークを有するX線粉末回折パターン、および
(iii)約293℃のDSC最大吸熱、
のうちの少なくとも1つを特徴とする結晶質固体形態Bの請求項8に記載の化合物。
【請求項21】
約3584、3327、3189、2935、2257、2067、1979、1903、1703、1654、1630、1590、1557、1512、1444、1429、1406、1375、1317、1346、1317、1288、1276、1243、1217、1182、1133、1182、1133、1093、1072、1033、987、943、907、883、845、831、805、776、727、694および674cm−1に吸収ピークを有する赤外スペクトルを特徴とする結晶質固体形態Bの請求項8に記載の化合物。
【請求項22】
約3327cm−1および約1630cm−1にピークを有する赤外スペクトルを特徴とする結晶質固体形態Bの請求項8に記載の化合物。
【請求項23】
約20.3°2θおよび約25.1°2θにピークを有するX線粉末回折パターンを特徴とする結晶質固体形態Bの請求項8に記載の化合物。
【請求項24】
約20.3°2θおよび約25.1°2θにピークを有するX線粉末回折パターンならびに約3327cm−1および約1630cm−1にピークを有する赤外スペクトルを特徴とする結晶質固体形態Bの請求項8に記載の化合物。
【請求項25】
約293℃のDSC最大吸熱を特徴とする結晶質固体形態Bの請求項8に記載の化合物。
【請求項26】
(i)図7と実質的に一致する赤外スペクトル、
(ii)図4と実質的に一致するX線粉末回折パターン、および
(iii)図18と実質的に一致するDSC走査、
のうちの少なくとも1つを提供する非晶質形態を有する請求項7に記載の化合物。
【請求項27】
約3560、1711、1632、1556、1512、1445、1407、1375、1309、1280、1227、1133、1092、1032、987、905、781、770および691cm−1に吸収ピークを有する赤外スペクトルを特徴とする非晶質形態を有する請求項7に記載の化合物。
【請求項28】
図4と実質的に一致するX線粉末回折パターンを提供する非晶質の形態を有する請求項7に記載の化合物。
【請求項29】
実質的に約15〜約30°2θの間のブロードなピークを含むX線粉末回折パターンにを特徴とする非晶質形態の請求項7に記載の化合物。
【請求項30】
(i)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を、エタノール、メタノールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒中で結晶化させ、結晶がいくらかの溶媒を含むように乾燥させる工程、および
(ii)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を、エタノール、メタノールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒中で加熱し、約50℃から−10℃の温度で結晶化させ、結晶が少なくとも約0.05%の溶媒を含むまで乾燥させる工程、
のうちの少なくとも1つにより得られる結晶質固体形態Aの請求項8に記載の化合物。
【請求項31】
(i)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を、エタノールおよびメタノールの組み合わせ溶媒中で加熱し、約50℃から−10℃の温度で結晶化させ、結晶が0.05%未満の溶媒を含むまで乾燥させる工程、および
(ii)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を、エタノールおよび水の組み合わせ溶媒から結晶化させ、結晶が約0.05%未満の溶媒を含むまで乾燥させる工程、
のうちの少なくとも1つにより得られる結晶質固体形態Bの請求項8に記載の化合物。
【請求項32】
(i)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩を、イソプロパノール、アセトニトリル、エタノールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒中で加熱し、約50℃から−10℃の温度で結晶化させる工程、
(ii)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩を、イソプロパノール、アセトニトリル、エタノール、メタノールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒から結晶化させる工程、および
(iii)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩を、高湿度で加熱する工程、
のうちの少なくとも1つにより得られる非晶質形態を有する請求項7に記載の化合物。
【請求項33】
単離および精製された形態である、請求項10または18に記載の化合物。
【請求項34】
単離および精製された形態である、請求項26に記載の化合物。
【請求項35】
治療有効量の請求項1に記載の化合物および薬学的に受容可能な賦形剤またはキャリアを含む、薬学的組成物。
【請求項36】
前記組成物中の前記化合物が少なくとも1つの固体形態にある、請求項35に記載の薬学的組成物。
【請求項37】
前記固体形態が、形態A、形態B、および非晶質形態からなる群から選択される、請求項35に記載の薬学的組成物。
【請求項38】
治療有効量中に、形態A、形態B、および非晶質形態のうちの少なくとも1つが存在する、請求項35に記載の薬学的組成物。
【請求項39】
前記組成物が、固体経口組成物、錠剤、カプセル、および吸入用乾燥粉末からなる群から選択される、請求項37〜38に記載の薬学的組成物。
【請求項40】
固体経口組成物が、錠剤またはカプセルである、請求項39に記載の薬学的組成物。
【請求項41】
前記治療有効量が、哺乳動物における血小板凝集を阻害するのに効果的な量である、請求項35に記載の薬学的組成物。
【請求項42】
前記血小板凝集が、血小板ADP依存性凝集である、請求項41に記載の薬学的組成物。
【請求項43】
前記哺乳動物がヒトである、請求項42に記載の薬学的組成物。
【請求項44】
前記化合物が、血小板ADPレセプターへの[3H]2−Mes−ADP結合の有効なインヒビターである、請求項35に記載の薬学的組成物。
【請求項45】
前記組成物が、固体経口組成物である、請求項35に記載の薬学的組成物。
【請求項46】
前記組成物が、錠剤またはカプセルである、請求項35に記載の薬学的組成物。
【請求項47】
前記組成物が、吸入用エアゾールまたは乾燥粉末である、請求項35に記載の薬学的組成物。
【請求項48】
治療有効量の請求項1に記載の化合物およびさらなる治療薬剤を含む、薬学的組成物。
【請求項49】
前記さらなる治療薬剤が、血栓症、急性心筋梗塞、不安定狭心症、慢性安定狭心症、一過性脳虚血発作、脳卒中、末梢血管疾患、子癇前症/子癇、深部静脈血栓症、塞栓症、播種性血管内凝固症および血栓性血小板減少性紫斑病、血管形成、頚動脈内膜切除、CABG(冠状動脈バイパス移植)手術後、人工血管手術、ステント設置ならびに血管内デバイスの挿入、人工器官の結果もたらされる侵襲的処置に続く血栓性および再狭窄合併症、ならびに遺伝的体質または癌に関連する凝固亢進状態から選択される病状または疾患を処置するために有用である、請求項48に記載の薬学的組成物。
【請求項50】
結晶質固体形態Aの[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を製造する方法であって、
(i)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を、エタノール、メタノールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒から結晶化させ、結晶がいくらかの溶媒を含むように乾燥させる工程、および
(ii)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を、エタノール、メタノールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒中で加熱し、約50℃から−10℃の温度で結晶化させ、結晶が少なくとも約0.05%の溶媒を含むまで乾燥させる工程、
のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項51】
結晶質固体形態Bの[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を製造する方法であって、
(i)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を、エタノールおよびメタノールの組み合わせ溶媒中で加熱し、約50℃から−10℃の温度で結晶化させ、結晶が0.05%未満の溶媒を含むまで乾燥させる工程、および
(ii)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩を、エタノールおよび水の組み合わせ溶媒から結晶化させ、結晶が約0.05%未満の溶媒を含むまで乾燥させる工程、
のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項52】
非晶質形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩を製造する方法であって、
(i)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩を、イソプロパノール、アセトニトリル、エタノールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒中で加熱し、約50℃から−10℃の温度で結晶化させる工程、
(ii)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩を、イソプロパノール、アセトニトリル、エタノール、メタノールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒から結晶化させる工程、および
(iii)[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素ナトリウム塩を、高湿度で加熱する工程、
のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項53】
哺乳動物における血栓症および血栓症関連病態を予防または処置するための方法であって、治療有効量の請求項1に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を哺乳動物に投与する工程を含む、方法。
【請求項54】
哺乳動物において少なくとも部分的にADP誘発性血小板凝集により媒介された病態または疾患を予防または処置する方法であって、そのような処置を必要とする哺乳動物に、治療有効量の請求項1に記載の組成物またはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を含む、方法。
【請求項55】
前記哺乳動物が、心血管疾患に罹患しやすいか、または心血管疾患をわずらっている、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記心血管疾患が、急性心筋梗塞、不安定狭心症、慢性安定狭心症、一過性脳虚血発作、脳卒中、末梢血管疾患、子癇前症/子癇、深部静脈血栓症、塞栓症、播種性血管内凝固症および血栓性血小板減少性紫斑病、血管形成、頚動脈内膜切除、CABG(冠状動脈バイパス移植)手術後、人工血管手術、ステント、インステント血栓症、ならびに血管内デバイスおよび人工器官の挿入の結果もたらされる侵襲的処置に続く血栓性および再狭窄合併症、ならびに遺伝的体質または癌に関連する凝固亢進状態からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記化合物が、経口的、非経口的または局所的に投与される、請求項53に記載の方法。
【請求項58】
前記化合物が、第2の治療薬剤と組み合わせて投与される、請求項53に記載の方法。
【請求項59】
前記患者がヒトである、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記第2の治療薬剤が、急性心筋梗塞、不安定狭心症、慢性安定狭心症、一過性脳虚血発作、脳卒中、末梢血管疾患、子癇前症/子癇、深部静脈血栓症、塞栓症、播種性血管内凝固症および血栓性血小板減少性紫斑病、血管形成、頚動脈内膜切除、CABG(冠状動脈バイパス移植)手術後、人工血管手術、ステント設置および血管内デバイス、人工器官の挿入の結果もたらされる侵襲的処置に続く血栓性および再狭窄合併症、ならびに遺伝的体質または癌に関連する凝固亢進状態からなる群から選択される病態または疾患の処置に有用である、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記化合物が、抗血小板化合物、凝固防止剤、フィブリン溶解剤、抗炎症性化合物、コレステロール降下剤、プロトンポンプインヒビター、血圧降下剤、セロトニンブロッカー、および硝酸塩(すなわち、ニトログリセリン)からなる群から選択される第2の治療薬剤と組み合わせて投与される、請求項58に記載の方法。
【請求項62】
前記第2の治療薬剤が、GPIIB−IIIaアンタゴニスト、アスピリン、ホスホジエステラーゼIIIインヒビターおよびトロンボキサンA2レセプターアンタゴニストからなる群から選択された抗血小板化合物である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記第2の治療薬剤が、トロンビンインヒビター、クマジン、ヘパリン、Lovenox(登録商標)、およびfXaインヒビターからなる群から選択される抗凝固剤である、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記第2の治療薬剤が、非ステロイド系抗炎症剤、シクロオキシゲナーゼ−2インヒビターおよびリウマチ様関節炎剤からなる群から選択される抗炎症性化合物である、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
二次虚血性事象の発生を予防するための方法であって、一次虚血性事象をわずらったことのある患者に、治療有効量の請求項1に記載の化合物を、薬学的に受容可能なキャリアと共に投与する工程を含む、方法。
【請求項66】
前記一次および/または二次虚血性事象が、心筋梗塞、安定または不安定狭心症、経皮的冠状動脈形成術後の再閉塞、および/またはステント設置、再狭窄、末梢血管バルーン血管形成および/またはステント設置、血栓性卒中、一過性脳虚血発作、可逆性虚血神経欠損および間欠性跛行からなる群から選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記一次および/または二次虚血性事象が、血管形成術および/またはステントを含む経皮的冠状動脈形成術(PCI)、急性心筋梗塞(AMI)、不安定狭心症(USA)、冠状動脈疾患(CAD)、一過性脳虚血発作(TIA)、脳卒中、末梢血管疾患(PVD)、冠状動脈バイパス手術、頚動脈内膜切除からなる群から選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
薬学的組成物の調製方法であって、治療有効量の請求項1に記載の化合物を、薬学的に受容可能な賦形剤またはキャリアと混合する工程を含む、方法。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12a】
【図12b】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12a】
【図12b】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2009−515836(P2009−515836A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−539089(P2008−539089)
【出願日】平成18年11月3日(2006.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/043093
【国際公開番号】WO2007/056219
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(506109155)ポートラ ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月3日(2006.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/043093
【国際公開番号】WO2007/056219
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(506109155)ポートラ ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】
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