説明

スペクトル符号化による光学的撮像方法および装置

【課題】上皮器官や他の体細胞組織などの解剖学的構造に関する広範囲な微視的光学画像を得るための装置を提供する。
【解決手段】解剖学的構造に少なくとも一つの電磁放射を送り、前記少なくとも一つの電磁放射を用いて前記解剖学的構造の少なくとも一つの部分を走査して少なくとも一つの信号を生成するように構成された少なくとも一つの第1の装置と、前記解剖学的構造内部の所定の場所に、前記少なくとも一つの第1の装置の焦点の位置を特定の信号の関数として自動制御するように構成された少なくとも一つの第2の装置と、を備え、(i)前記少なくとも第1の装置が共焦点顕微鏡装置であるか、(ii)前記少なくとも一つの信号がスペクトル符号化信号であるか、または(iii)前記特定の信号がスペクトル符号化信号であるかの少なくとも何れかである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりここに組み入れる2005年9月29日出願の米国特許出願番号60/721,802に基づくもので、その優先権を主張する。
【0002】
本発明は、上皮器官や他の生物学的構造の広範囲光学画像をスペクトル符号化により得るための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
X線コンピュータ断層撮影法(CT)、磁気共鳴映像法(MRI)および超音波法などの放射線学的方法は、人の病変を器官レベルで非侵襲的に可視化する。これらのモダリティは大規模な病変を識別することができるが、癌の診断は従来の画像法の分解能を越えた微視的な組織の評価を必要とする場合がある。このため、診断に生検および組織病理学的検査が必要とされる場合がある。前癌状態の増殖および初期癌はしばしば顕微鏡スケールで起こるため、その識別と診断は時として非常に難しい。従来これらの病状のスクリーニングと検査は、無作為な生検とヘマトキシリン・エオシン(H&E)染色スライドの形態学的な分析に頼ってきた。この方法は現在、顕微鏡的診断の標準と見なされているが、患者からの細胞組織の切除を必要とし、またスライドを作成するためにかなりの処理時間がかかる。さらに重要なことに、組織病理検査は本来的に点抽出法であるため病変細胞組織の微小部分のみがしばしば検査され、病理学者が検査する生検標本は時として1%に満たない。
【0004】
生存している患者の器官全体、または生物学的システム全体からの顕微鏡的診断を得ることが好ましい。しかしながら適当な撮像技術が無いため、前腫瘍性状態(例えば、化生)や異形成などをスクリーニングするための方法は限られている。さらに、異形成および上皮内癌の部分を識別することが困難なため、例えば前立腺、大腸、食道、膀胱などに無作為な生検を行う結果となるが、これも無差別的で好ましいことではない。腫瘍境界の評価など凍結切片試験と今日呼ばれる診断業務の多くは、細胞組織の大きな体積を顕微鏡スケールで迅速に撮像することができる診断モダリティにより改善することができる。病理学と放射線医学との間のギャプを埋める技術があれば、患者管理やヘルスケアに大きな利益をもたらすであろう。
【0005】
技術革新によって、例えばマイクロCT、マイクロPET、および磁気共鳴画像(MRI)顕微鏡など非侵襲性画像法の分解能が向上してきた。これらの技術により20μmに近い分解能が達成されているが、これらには物理的な制約が根本にあるため患者には未だ適用されていない。近年、その場で行われる顕微鏡光学生検法が、非切除の組織病理学的診断用として進歩している。反射型共焦点顕微鏡法(RCM)は、細胞組織と接触せず、また外部からの造影剤投与を必要とせずに微視的構造を計測することができるため、患者の非侵襲性顕微鏡観察に特に適している。RCMは焦点はずれの光を拒絶し、細胞組織内の単一面から発生する後方散乱光子を選択的に検出することができる。例えば細胞組織表面に平行な面内を電磁放射集束ビームで高速に走査することによってRCMを実施すると、細胞組織の横面像または正面像を得ることができる。RCMに大きな開口数(NA)を使用すれば、非常に高い空間分解能(1〜2μm)を得ることができ、細胞内構造の可視化が可能になる。しかしながら高NA像は、不均一な細胞組織内を光が進行することによって生じる収差に特に敏感な場合が多い。さらにRCMによる高分解能撮像は、典型的には100〜400μmの深さに制限される。
【0006】
RCMは、皮膚細胞組織の有望な撮像法として大規模な実証が行われてきた。共焦点顕微内視鏡システムの開発は、走査型顕微鏡を小型化するための技術的課題が大きいため多くの困難に面してきた。小径で柔軟なプローブの遠位端に集束ビームを迅速に走査するメカニズムをいかに設計するかが、共焦点顕微鏡法の概念を内視鏡に直接適用する際の主な課題である。この課題を解決するため様々な提案がなされており、その一つとして、遠位にマイクロマシン技術(MEMS)によるビーム走査装置を、また近位にシングルモードのファイバー束による走査を使用する方法がある。また、RCMは個別の場所のみの像、すなわち点抽出法、の顕微鏡画像を提供することができる。現在行われている方法では、視野が切除生検と同等またはそれ以下に制限され、広範囲大視野顕微鏡法には撮像速度が遅すぎるため、点抽出法はRCM特有のものとなりかねない。
【0007】
共焦点顕微鏡法を内視鏡的に適用する際のもう一つの難点は、光学切片化に使用できる高NA対物レンズの小型化である。このような小型化は、例えば屈折率分布レンズ系や、2軸対物レンズ、または特注の小型対物レンズを設けることで達成することができる。例えば小型対物レンズに結合した光ファイバー束を用いて、頸部上皮の詳細な形態画像を生体内で得ることができ、結腸直腸病変の蛍光画像を例えばオリンパス光学やペンタックス/オプティスキャンから市販の装置を用いて得ることができる。
【0008】
これらの進歩にもかかわらず、その場で大きな領域にわたり生物学的構造を顕微鏡的な分解能で提示できる画像法が必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的の一つは、従来のシステムおよび方法(上述したものを含む)の欠点および不足を克服し、上皮器官や他の体細胞組織などの解剖学的構造に関する広範囲な微視的光学画像を得るための方法および装置の具体例を提供することにある。
【0010】
例えば本発明の例示的実施形態による装置はプローブまたは集成体の形をとり、使い捨てのものであってもよい。このプローブまたは集成体は、例えば、このプローブまたは集成体に電磁放射を送り、光ビームを形成することができる1以上の導波管と、この光ビームを集束するように構成され遠位端に配置された1以上のフォーカシング装置と、解剖学的構造の一部を横切ってこの光ビームを走査するように構成された走査装置とを備える。上記の電磁放射は複数の波長を含んでもよく、またこれらの波長は時間とともに変化してもよい。また上記のプローブは、上記ビームを回折またはスペクトル分散するように構成された1以上の回折装置、光学収差を補正するように構成された1以上の補正装置、撮像される解剖学的構造の内部で上記プローブまたは集成体をセンタリングまたは位置合わせすることができるメカニズム、および/または、上記プローブまたは集成体を並進および/または回転させることができるガイドワイヤー装置を含んでもよい。上記導波管は、例えば光ファイバー、または光ファイバー束、またはその他の導波管でよい。上記プローブまたは集成体は、スペクトル符号化装置、および/または、光路内における非点収差などの収差を補正するために使用できる湾曲した透明な面などの補正装置をさらに含んでもよい。
【0011】
本発明のある例示的実施形態における上記プローブまたは集成体は、約1mm2より大きな面積を有する解剖学的構造の領域を走査可能に構成され、この領域は解剖学的構造の表面、体積、または表面下の位置を含む。上記プローブまたは集成体は、およそ10μmより小さい分解能で上記領域の画像を生成するのに使用可能なデータを得るよう構成可能である。
【0012】
本発明の別の例示的実施形態では、プローブまたは集成体を、解剖学的構造に対して光学ビームを位置合わせ、および/または、集束できるように設けることができる。上記の位置合わせ、および/または、集束は、例えば干渉信号、飛行時間信号(time-of-flight signal)、または電磁放射強度に基づくことができる。上記プローブまたは集成体は、共焦点光学装置を含むことができる。
【0013】
本発明のさらに別の例示的実施形態におけるプローブまたは集成体は、解剖学的構造内の場所に対する上記プローブまたは集成体の場所を決定することができる場所特定装置と、この場所に基づきプローブの動き、および/または、位置を制御できる任意の位置合わせ装置とを備える。
【0014】
本発明の他の例示的実施形態では、解剖学的構造の広範囲顕微鏡画像を得るための方法が提供され、この方法は、撮像される解剖学的構造の約1mm2より大きな領域を、例えば光学ビームなどの電磁放射を用いて走査することと、この放射に基づいて信号を受信することと、この信号に基づいて画像を形成することとを含み、この画像は約10μmより小さな横方向分解能を有することができる。
【0015】
本発明のさらに他の例示的実施形態では、解剖学的構造の内部に電磁放射を位置合わせ、または導くための方法が提供され、この方法は、この電磁放射を用いて解剖学的構造の少なくとも一部を走査することと、この放射の位置および/または焦点を制御するためにこの電磁放射に基づく信号を用いることとを含む。解剖学的構造の領域にわたって電磁放射を走査して得られる信号に基づき、この解剖学的構造の内部で共焦点ビームの位置または焦点を制御するための方法も提供される。
【0016】
本発明の他の特徴および利点は、添付の請求範囲とともに以下に示す実施形態の詳細な記述を読むことで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】スペクトル符号化共焦点顕微鏡法(SECM)システムの例を示す模式図である。
【図2A】シングルモード光源‐シングルモード検出(SM−MM)構成を用いて生体外で得た、ブタの腸上皮細胞組織の表面下100μmからのSECM画像の例である。
【図2B】シングルモード光源‐マルチモード検出(SM−MM)構成を用いて得たブタの腸上皮細胞組織のSECM画像の別例である。
【図2C】ブタの腸上皮細胞組織のSECM画像の拡大表示である。
【図3A】画像深さ50μmで腸壁を圧縮した後に生体外で得られたブタの腸上皮細胞組織のSECM画像の例である。
【図3B】画像深さ100μmで腸壁を圧縮した後に生体外で得られたブタの腸上皮細胞組織のSECM画像の例である。
【図4】SECM装置例の模式図である。
【図5】USAFテストパターンのSECM像の例である。
【図6A】レンズペーパー標本から収集したデータに基づくSECM画像を1倍で表示した例である。
【図6B】レンズペーパー標本から収集したデータに基づくSECM画像を4.5倍で表示した例である。
【図6C】レンズペーパー標本から収集したデータに基づくSECM画像を16.7倍で表示した例である。
【図6D】レンズペーパー標本から収集したデータに基づくSECM画像を50倍で表示した例である。
【図6E】レンズペーパー標本から収集したデータに基づくSECM画像を125倍で表示した例である。
【図7】レンズペーパー標本の5つの異なる焦点位置から収集したSECMデータと、これら5つの個別画像におけるデータを結合処理した結合画像とからなる一連のSECM像である。
【図8A】ブタの腸細胞組織片から収集したデータに基づくSECM画像を1倍で表示した例である。
【図8B】ブタの腸細胞組織片から収集したデータに基づくSECM画像を4倍で表示した例である。
【図8C】ブタの腸細胞組織片から収集したデータに基づくSECM画像を20倍で表示した例である。
【図8D】ブタの腸細胞組織片から収集したデータに基づくSECM画像を40倍で表示した例である。
【図9】大きな細胞組織体積を撮像できるSECMシステム例の模式図である。
【図10】本発明の例示的実施形態による撮像に用いられる例示的カテーテル遠位端の模式図である。
【図11】本発明の例示的実施形態による撮像に使用可能な、外部回転走査装置を含む例示的カテーテルの模式図である。
【図12A】湾曲窓および負のシリンドリカルレンズの光学的効果を示す模式図である。
【図12B】湾曲窓を用いた非点収差補正の模式図である。
【図13A】焦点の深さの範囲をステップスルーすることで所望の深さ範囲を得るために用いられる方法の例を示す模式図である。
【図13B】焦点面の能動的な調節により特定の深さで細胞組織を撮像するために用いられる方法例の模式図である。
【図14A】デュアルバイモルフ圧電ベンダーの模式図である。
【図14B】曲げ作動装置を用いてモータを透明な外シース内で動かすことができる装置の例を示す模式図である。
【図15】コリメートレンズを移動させて焦点を調節するように構成されたバルーンカテーテル構造の例を示す模式図である。
【図16】特定の可変焦点レンズの写真である。
【図17A】透明円筒形状を有する円筒状内筐体構造の模式図である。
【図17B】透明窓を有する円筒状内筐体構造の模式図である。
【図17C】筐体壁にいくつかの開口のある円筒状内筐体構造の模式図である。
【図17D】筐体とモータとの接続部に開口のある円筒状内筐体構造の模式図である。
【図18】各種部品と例示的画像システムとの間における電気およびデータ接続の模式図である。
【図19A】ビームを速く回転させ、同時に軸方向にゆっくり動かしてらせん状撮像パターンを形成したプローブ走査パターンの例を示す図である。
【図19B】ビームを速く回転させ、その後軸方向に再配置するプローブ走査パターンの例を示す図である。
【図19C】ビームを軸方向に速く走査し、その後回転方向に再配置するプローブ走査パターンの例を示す図である。
【図19D】ビームが円形の細胞組織領域を覆う同心円パス上を走査するプローブ走査パターンの例を示す図である。
【図20A】筐体の遠位端にガイドワイヤー装置を含む迅速交換型バルーンカテーテルの模式図である。
【図20B】筐体の遠位端に位置するガイドワイヤー装置を含む、2次チャンネル形式の迅速交換型バルーンカテーテルの模式図である。
【図20C】筐体の近位端に位置するガイドワイヤー装置を含み、2次チャンネル形式の迅速交換型バルーンカテーテルの模式図である。
【図21A】ワイヤーバルーンカテーテルの例示的位置合わせ法において、ガイドワイヤーの挿入を含む第1ステップの模式図である。
【図21B】ワイヤーバルーンカテーテルの例示的位置合わせ法において、バルーンカテーテルをガイドワイヤー上に設置することを含む第2ステップの模式図である。
【図21C】ワイヤーバルーンカテーテルの例示的位置合わせ法において、光学装置をバルーンカテーテル内に設置することを含む第3ステップの模式図である。
【図22A】バルーンから離れた場所より膨張材料を送るように構成された単一チャンネルを含むバルーンカテーテルの例を示す模式図である。
【図22B】二つのシースを含み、膨張材料がシースとシースとの間に設けられるバルーンカテーテルの例を示す模式図である。
【図23A】ワイヤーケージ形状を有するセンタリング装置において、この装置が外シース内に収納されていることを示す模式図である。
【図23B】ワイヤーケージ形状を有するセンタリング装置において、この装置が外シースから部分的に突き出していることを示す模式図である。
【図23C】ワイヤーケージ形状を有するセンタリング装置において、この装置が外シースから十分に延びていることを示す模式図である。
【図24A】波長分割マルチプレクサと分散補償器を含むSECM/SD‐OCTシステムの例を示す模式図である。
【図24B】リニアCCDアレイを用いたSECM/SD‐OCTシステムにより提供されるスペクトルの例を示す模式図である。
【図25】SECM/SD‐OCTプローブの例を示す模式図である。
【図26】SECMおよびSD‐OCT配置の両方に用いられる単一光ファイバーを含むSECM/SD‐OCTプローブの例を示す模式図である。
【図27】SD‐OCTデータを用いてSECM画像の焦点調節を行うために用いられる方法例のフロー図である。
【図28】例示的カテーテルケーブルの断面を示す模式図である。
【図29】プローブ構造を小型化する、ビーム偏向光学装置を含むプローブの例を示す模式図である。
【図30A】撮像部位にプローブを送る際の小型化されたプローブ構成を示す並進走査方法の模式図である。
【図30B】プローブの内筐体が並進範囲の遠位限界にある並進走査方法の模式図である。
【図30C】プローブの内筐体が並進範囲の近位限界にある並進走査方法の模式図である。
【図31】透明な開口部を含む外筐体の模式図である。
【図32】外部からの回転走査ができる中心からずれたコリメート光学装置を含む小型プローブの例を示す模式図である。
【図33A】前方膨張型バルーンと、このバルーンの内壁に接触しながら走査を行うように構成された内筐体とを含むプローブの例を示す模式図である。
【図33B】図33Aのプローブにおいて、このプローブが膨らんだバルーンの内壁に接触した状態を示す模式図である。
【図34A】膨張可能な外バルーンと膨張可能な内バルーンとを含み、これらが膨張した際にプローブと外バルーンの壁面との接触を維持するように構成されたプローブの例を示す模式図である。
【図34B】図34Aに示すプローブにおいて、膨張した内バルーンがプローブの周囲に設けられ、プローブと膨張した外バルーンとの接触を維持するように構成されたプローブを示す模式図である。
【図35A】膨張可能な外バルーンと膨張可能な内バルーンとを含み、これらが膨張した際にプローブと外バルーンの壁面との接触を維持するように構成された別のプローブの例を示す模式図である。
【図35B】図35Aに示すプローブにおいて、膨張した内バルーンがプローブと外バルーンとの間に設けられ、プローブと膨張した外バルーンとの接触を維持するように構成されたプローブを示す模式図である。
【図36A】膨張可能なバルーンの内壁と接触しながらプルバック軸に沿って走査を行うように構成されたプローブの底面模式図である。
【図36B】図36Aに示したプローブの側面模式図である。
【図36C】プローブが膨張したバルーンの内壁に接触している図36Aに示したプローブの側面模式図である。
【図36D】図36Cに示したプローブの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のさらなる目的、特徴、利点は、本発明の説明的な実施形態を示す添付の図面と共に、以下の詳細な記述から明らかになるであろう。
【0019】
図面を通じて同じ参照番号及び符号は、特に指定しない限り、説明される実施形態の同様な特徴、要素、部品または部分を示すために用いられる。さらに、本発明の詳細な記述は、図を参照しつつ、例示的な実施形態に関連付けて行われる。添付の請求範囲に定義される本発明の範囲および精神から逸脱することなく、下記の実施形態に変更や修正を加えることができることを意図するものである。
【0020】
本発明の例示的実施形態によれば、プローブ内に小型・高速走査機構を必要としない内視鏡共焦点顕微鏡法が提供される。スペクトル符号化共焦点顕微鏡法(SECM:spectrally encoded confocal microscopy)は、波長分割多重共焦点法として使用できる。SECMは、広帯域光源を利用し、光スペクトル中の空間情報の一次元をコード化できる。
【0021】
SECMの例を図1に示す。例えばプローブの遠位端に位置するシングルモード光ファイバー100からの出力を、コリメートレンズ110により平行化し分散光学素子(例えば、透過型回折格子120など)を照射することができる。そして対物レンズ130が各回折波長を被検物中の個別の空間的位置に集束し、その結果、横断する線焦点140を結ぶ。この線上の各点はそれぞれ個別の波長によって特徴付けられる。例えば生物の細胞組織などの被検物から反射した光信号を、回折素子120によって再度重ね合わせシングルモードファイバー100に収集することができる。シングルモードファイバー100のコア開口は、焦点はずれの光を拒絶する空間フィルター機構として作用することができる。プローブの外(そして任意にシステムのコンソール内)で戻り光のスペクトルを測定し、このスペクトルを被検物内の横方向変位の関数として共焦点反射率に変換することができる。スペクトルのデコードは迅速に行われる。このように線焦点に直角方向のビーム走査による画像形成は、比較的ゆっくりとした単純な機械的動作によって行うことができる。
【0022】
SECM法では内視鏡RCMが使用でき、高速リニアCCDカメラを使用して非常に速い速度で画像データを提供することができる。市販のリニアCCDアレイは、毎秒約6千万ピクセル以上の速度でデータを取得することができる。これらのCCDアレイをSECM分光計に組み込むと、典型的なビデオレートの10倍以上、そして他の内視鏡法の100倍程度までの速い速度で共焦点像を形成することができる。代表的なSECMシステムの高撮像速度と光ファイバー設計により、内視鏡プローブを通じた広範囲顕微鏡法が可能になる。
【0023】
光干渉断層法(OCT)およびその変形法を用いた方法を、広範囲な構造のスクリーニングに使用することができる。時間領域ではなく波長領域のOCT信号を収集することにより、高画質を維持しながら桁違いに速い撮像速度を得ることができる。スペクトル領域OCT(SD−OCT)法を用いると、細胞組織検体と標準試料との間でスペクトル的に分解された干渉を検出することにより、生物組織の高分解能測距を行うことができる。SD−OTCシステムにはSECMシステムと同じ高速リニアCCDを利用することができるので、やはり6千万ピクセル/秒で画像を捕らえることができ、従来の時間領域OCT(TD−OCT)システムに比べ速度が2桁速い。この捕捉速度と分解能により、SD−OCTシステムは臨床環境において構造レベルの広範囲三次元顕微鏡法として活用することができる。
【0024】
例示的なSD−OTCおよびSECMシステムからの情報は相補的に活用することができ、両者の方法を利用したハイブリッドシステムは正確な診断に不可欠な細胞組織の構造に関する情報を提供することができる。異種技術の組み合わせは通常、大規模な技術開発を必要とし性能を犠牲にする場合もあるが、SECMおよびSD−OCTシステムは主要部品を共有することができるため、各システムの複雑化やコストアップを実質的に伴わずに高性能なマルチモダリティシステムを提供することができる。
【0025】
本発明のある例示的実施形態によるSECMシステムは、時間の関数としてスペクトル符号化された情報を得るために、波長走査が1300nmの光源と単一要素の光検出器とを利用することができる。このシステムにより、400μmの視野に対し約30コマ/秒までの速度で方位分解能(1.4μm)、距離分解能(6μm)の画像を得ることができる。SECMシステムにより特殊腸上皮化生(SIM)やバレット食道の化生変化に見られる細胞内変化を識別できることを示すため、新たに切除したブタ十二指腸の一部の画像を高速システムを用いて生体外で撮影した。
【0026】
図2A〜図2Cは、二つの撮像モードとこれらに対応するファイバー構成、すなわちシングルモード照明‐シングルモード検出(SM−SM)法とシングルモード照明‐マルチモード検出(SM−MM)法と、を用いて生体外で得たブタの腸上皮組織のSECM像の例を示す。図2AのSM−SM像は、シングルモード光源‐シングルモード検出を用いた細胞組織構造の表面から100μm位置の上皮組織構造を示す。図2Bに示す、コア開口比1:4のシングルモード光源‐マルチモード検出(SM−MM)を用いて得られた同一の細胞組織部分の像は、見た目が滑らかでありスペックル雑音が少ないため解釈が容易になる場合がある。図2Cは図2Bに示した像の拡大画像で、反射の弱いコア(例えば固有層または“lp”)と、より散乱の強い上皮組織とを含む絨毛の存在を示している。核に相当する柱状細胞の根元に見える輝点(矢印で示す)が図2Cに示されている。
【0027】
OCT法を用いて生体内で撮像される食道壁の厚みを、例えば膨張したバルーンを用いて2分の1程度に減じることができる。図2A〜図2Cに示すブタの腸標本の厚みは同じ量程度に減じたものであるが、SECM法を用いて観察した細胞内の特徴を良く保っていた。図3Aおよび図3Bはこの薄肉化した標本の像で、それぞれ50μmおよび100μmの深さについて得たものである。
【0028】
市販の800nmレーザー走査型共焦点顕微鏡の侵入深さは、1300nmSECMシステムに比べ約20%減少することが観察された。この侵入深さの減少は、短波長光の散乱が増加した結果であると考えられる。従って840nm光源を用いたSECMシステムを使用すれば、例えば腸上皮組織などの細胞内構造を識別するのに十分な侵入深さが得られるものと考えられる。
【0029】
図4は、広範囲SECM像を提供するように構成された本発明のある例示的実施形態による装置を模式的に描いたものである。この例示的装置は、食道下部の概寸に相当する長さ2.5cm、直径2.0cmの円柱標本の像を得るように構成することができる。ファイバーに結合した中心波長800nm、帯域幅45nmの2.0mW超高輝度ダイオード200(QSSL‐790‐2, qPhotonics, Chesapeake, VA)を、50/50シングルモードファイバー光学ビームスプリッター405を照射するように構成することができる。スプリッターの一方のポートを透過した光は、コリメータ410によって平行化されファイバー412を通じて集束装置415に送られ、さらに回折格子420(1780 lpmm, Holographix, LLC, Hudson, MA)と、焦点距離(f)4.5mm、開口5.0mm、NA0.55の350230−B非球面レンズ425(Thor Labs, Inc., Newton, NJ)とを含む回折格子‐レンズ対に送られる。この装置は、集束しスペクトル的に符号化された点430の長さ500μmの長手方向リニア配列、すなわち線、を円柱状標本の内面に形成することができる。回折格子‐レンズ対を筐体440の脇のモータ435(例、MicroMo Electronics, Inc., Clearwater, FLから入手できる直径15mmのモータ、1516SRなど)の軸に固定してもよい。モータ435が回転すると、スペクトル的に符号化された線によって円柱状標本の内周全体を走査することができる。モータ435、筐体440および回折格子‐レンズ対を、例えばコンピュータ制御された直線ステージ445(例えば、Melles Griot, Rochester, NYから入手される、移動幅2.5cmのNanomotion IIなど)を用いて、回転中に円柱状標本の長手軸方向に並進させても良い。この操作により、円柱状標本の内面全体をらせん状に走査することができる。
【0030】
標本から反射された光を光学系を通じてシングルモードファイバー412に戻し、ファイバー412から分光計450およびリニアCCD455に送ることができる。リニアCCD455は例えば2048画素、線速度30kHzなどのもの(例えば、Basler Vision Technologies, Exton, PAから入手)でよい。コンピュータ460は、分光計450およびCCD455からの画像データを記憶、分析、表示することができる。0.5Hz、すなわち30rpm、のモータ1回転につき約60,000の点をデジタル化し、約1.0μmの周サンプル密度を得ることができる。モータの長手方向速度を約0.25mm/秒とし、円柱状標本の走査完了に要する時間を約100秒とすることができる。
【0031】
回折格子‐レンズ対における平行ビームの1/e2径は約4.0mmとすることができる。その結果、この例示的装置の有効NAは約0.4となり、これは理論上、約1.2μmのスポット径と約2.5μmの共焦点パラメータに相当する。光学収差の無い系における標本上の理論スペクトル分解能は0.8Åであり、これによりスペクトル符号化線430に最大約630点の分解可能な点を形成することができる。検出アーム内の分光計450は、プローブの予定スペクトル分解能を越えるように設計することができる。
【0032】
本装置を用いて1951年USAF(米国空軍)解像力テストパターンをSECM走査した結果を図5に示す。本図中の最小の棒は2.2μm間隔で分離しているが、これらも解像された。焦点を通じて走査する鏡を用いて得られた横方向の線像分布関数の半値全幅(FWHM)および軸方向の線像分布関数のFWHMはそれぞれ2.1μmおよび5.5μmであった。視野はおよそ500μmであることが観察された。これ等の値は対応する理論値よりやや低い値であるが、これは光路の収差に起因するものと考えられる。これらのパラメータは、本発明の装置が生物細胞組織の共焦点顕微鏡法に十分な分解能を発揮できることを示している。
【0033】
2.5cm模擬被検物のプルバック像(pullback image)のSECM画像データ例を図6に示す。ここに表示された像を形成する前に極座標を直交座標に変換した。模擬被検物には、内径2.1cmのテフロン(登録商標)チューブの内面にレンズ紙を貼り付けたものを使用した。図6Aの低倍率像では、折り目や空隙を含む紙のマクロ組織が観察される。視認可能な外周上の縞模様は、低いスペクトルパワーおよびスペクトル符号化された線上またはその端部近傍に存在するレンズ収差に起因するものと考えられる。各繊維および繊維のミクロ組織は、図6B〜図6Eに高倍率で示す本データセットの領域で明確に解像されている。
【0034】
図4Aの集束装置415を調整して、この模擬標本の円柱2次元(2D)像を、120μmまでの5つの異なる焦点の深さで得た。図7の5つの画像710〜750を加え合わせて統合画像760を作成した。統合画像は模擬標本表面のほぼ全体像を示している。
【0035】
ここに記述するようなSECM装置を用いた生物標本の画像形成は、光学走査ヘッドにセンタリング装置が無いため複雑になる場合がある。広視野顕微鏡画像およびデータの生成をさらに改善するため、直径2.0cmの透明シリンダー上部にブタの腸標本を配置した。この標本の360度走査は1秒以内に完了した。写真を図8Aに示す。撮像した細胞組織はシリンダー走査の一つの場所のみに見られるが、これは標本がプローブ中心からはずれ、またシリンダーの周囲を完全に覆っていなかったためである。図8B〜図8Dは本細胞組織標本の一連の領域拡大像である。図8Bに示す画像は、図8Aの点線で囲んだ1.5cmの四角部分の拡大像である。同様に、図8Cの画像は図8Bの四角部分の拡大像で、図8Dは図8Cの四角部分の拡大像である。図8Bの細胞組織拡大画像は腺状構造を示唆する。図8Cから図8Dの拡大画像は、図2および図3に示したような1300nmSECMシステムを用いて観察されるものと同様な絨毛および核組織を示す。図8Aに示す他のSECM走査領域は、透明シリンダーからの正反射や信号の欠如などのアーティファクト(不自然な結果)を示すが、これ等はSECM収束ビームの位置合わせが不適切であったためと考えられる。
【0036】
患者の体内で広範囲の共焦点顕微鏡法を行うことには様々な技術的課題がある。このような課題として、例えば撮像速度の増大、プローブの光学部品および機械部品の小型化、センタリング機構の一体化、焦点面を動的に変更するための技術の導入などが挙げられる。
【0037】
SECMシステムの画像収集速度は、上述した例示的システムに比べ約2〜4倍改善することができる。このような改善は、ある種の改良を加えることによって行うことができる。例えば、高出力半導体光源(例えば、Superlum Diode, T‐840 HP:25 mW、 840 nm、 100 nm スペクトルバンド幅)は、およそ1000個のスペクトル的に分解可能な点を提供できる。このような光学強度は感度を向上し、また大きなバンド幅は視野を広げるので、SECMビームの走査をおよそ2倍程度速くすることができる。また、OC‐3‐850 (Optics for Research, Caldwell, NJ)などの光サーキュレータは、プローブへ送信される光およびプローブから収集される光の効率を増大させることができる。より高速で高感度のリニアCCD、例えば2048画素数、読み出し速度60kHzのAVIIVA M4‐2048(Atmel Corporation)など、を使用すれば、データ収集速度が倍になりまた画像データ形成に使用される波長域全体の応答スペクトルが改善される。さらに、例えばカメラから記憶装置のハードドライブアレイへのデータ転送速度がおよそ120MB/秒のカメラリンクインターフェースを使用することで、性能向上を図ることができる。
【0038】
感度は共焦点の画像品質と侵入深さを左右するシステムパラメータであり、検知可能な最小反射率を指すものとして理解ずることができる。近赤外RCM法を用いる場合、入射光の一部、すなわち約10-4〜10-7程度、は皮膚のおよそ300μmまでの深さから反射される。ここに記載される本発明の例示的実施形態による例示的システムに用いられる対物レンズのNAと、皮膚は角質化していない上皮細胞よりもより顕著に光を減衰するとの観察とに基づくと、ここに記載の例示的プローブ対物レンズは、細胞組織の深部から反射された、照射光の3×10-4〜3×10-7相当の光を収集することができる。25mWの光源は、例えばおよそ1000個の独立したビームに分離することができる。ダブルパス挿入最大損失は、およそ10dB(プローブの損失6dB、ファイバー光学系および分光計の損失4dBを含む)と推定できる。よって、これら推定されるパラメータに基づく各線の形成時間に対し、アレイ中の各画素はおよそ50から50,000フォトン/ピクセルによって照射されることになる。
【0039】
マルチモード検出法を用いると約10倍の信号利得が得られ、その結果このような構成の場合、走査当たりおよそ500から500,000フォトン/ピクセルが得られる。例えばAtmel AVIIVA M4カメラの1画素は、信号がおよそ240フォトンで発生する暗電流変動以上であれば、光を確実に検出する。仮にこの装置がこれらの波長に対しおよそ50%の量子効率を有するものとすると、検知可能な最小の信号は、一走査当たりおよそ480フォトン/ピクセルとなる。以上の概算に基づけば、Atmelカメラは、より深部の細胞組織をSECM撮像するのに十分な感度を有することになる。量子ノイズに制約される最小予想反射率の検知は、収集にマルチモードを使用すること、または光源の出力を増大することによって達成することができる。
【0040】
図9は上皮器官の広範囲顕微鏡撮像が可能な、本発明のある例示的実施形態による装置の模式図を示す。光源900は広帯域光源または波長走査光源でも良く、サーキュレータ910、または代わりにファイバースプリッター、を通じて光を供給する。この光は、走査機構920を通じて撮像カテーテル930に送られる。走査はカテーテルの外部またはカテーテルの内部で行われる。ある好適な例示的実施形態では、プルバック走査をカテーテルの外部で行い、また回転走査をカテーテルの内部で行ってもよい。収集された反射光は、例えば広帯域光を使用する場合には分光計などの検出器940によって検出される。検出器940は、波長走査光源を使用する場合には単一検出器でもよい。検出器940からのデータはコンピュータ950によって処理、表示および/または保存される。コンピュータ950は走査手順を制御および同期させるように構成してもよい。
【0041】
大きな内腔器官を検査する際には、カテーテルの遠位部分を内腔の内部中心に置き、細胞組織に相対する焦点距離および/または深さを一定にし、数センチメートルの長さにわたる周囲方向の画像をすばやく得ることが好ましい。これらの条件は、センタリング装置内で円周走査型撮像プローブを一体化することで満たされる。画象用光学装置をセンタリング装置上またはその近傍に設置すると、例えば表面高さの変動が無くなりフォーカシング条件が単純化されるとともに、画像システムと患者との物理的結合において、他の方法では起こり得る、モーションアーティファクトを大幅に低減できるなどの利点が付加される。
【0042】
本発明のある例示的実施形態によるSECMカテーテルの遠位端の模式図を図10に示す。光は光ファイバー1000を通じて供給され、コリメートレンズ1010を用いて平行化される。光ファイバー1000はファイバーチャック1005で固定してもよい。この光は、可変焦点機構1015と、非点収差を補正するために光路を事前補償するように構成されたシリンドリカルレンズ1020とを透過する。その後、光は、中心波長を例えば約90度の角に回折するように構成された回折格子1025によって回折され、結像レンズ1030によってスペクトル符号化された線1035に集束される。
【0043】
光ファイバー1000に関連するピンホールの開口径を増大させたマルチモード検出を行うことで、スペックル状のアーティファクトを減少させることができる。この方法により、空間分解能はやや低下するものの、信号スループットは増大し、スペックル状アーティファクトが減少する。スペクトル符号化でこの方法を実施する際には2重クラッド光ファイバーを使用し、シングルモードコアで細胞組織を照射し、マルチモード内部クラッドにより反射光を検出することができる。
【0044】
結像レンズ1030は、例えばおよそ2〜7mm程度の比較的長い作動距離を有し、およそ0.25〜0.5程度の大きなNAを保持することが好ましい。さらに結像レンズ1030を、好ましくは約5mm厚を越えないように薄くすることができる。非球面または色消などの従来型レンズを結像レンズに用いてもよい。
【0045】
内筐体1040は様々な光学部品およびモータ1045の一部または全てを囲い、外筐体1060内におけるこれら部品の長手方向の位置合わせを行なえるようにすることができる。内筐体1040の一部の特性を光透過特性が高く波面の歪曲が小さいものとすれば、プローブ中心にあるモータ軸1050の構造的な剛性を保ちつつ、高画質を得ることができる。内筐体1040の一部または全部を透明窓にするために使用される材料には、例えばぺバックスや高密度ポリエチレン(HDPE)などのガラスまたはプラスチック材料等がある。
【0046】
外筐体1060は内筐体1040を囲み、撮像される細胞組織1080に対して固定された位置に、センタリング機構1065用いて据えるよう構成することができる。外筐体1060の壁の開口を通じ、プルバックケーブル1065により内筐体1040を動かすことができる。外筐体1060を撮像する細胞組織1080に相対して固定された位置に保持しつつ、内筐体1040をコンピュータ制御された並進装置(例えば、Newport Corp., Irvine, CAから入手可能な並進装置など)につなぐことで直線走査を行うことができる。このようなプルバック法は、例えば食道長手方向のOCT像を得るために使用することができる。外筐体1060の全部または一部を透明にし、光がそこを透過できるようにしてもよい。外筐体1060の透明部分の光学特性は、内窓1055のそれと同様とすることができる。
【0047】
シリンドリカルレンズ1020、回折格子1025および結像レンズ1030を、例えばモータ軸1050に固定された回転筐体1070内に収納してもよい。モータ1045には従来型で直径が約1.5mm以下の小型のものを使用してもよい。エンコーダを使用すると、画像品質とレジストレーションが向上するが、同時にモータの直径が6〜10mmに増加する場合がある。このようなモータは例えばMicroMo Electronics, Inc. (Clearwater, FL)から提供される。モータワイヤーの寸法は、装置の視野を妨げないように最小化することができる。モータ1045のモータ軸1050を介して、回転筐体1070を内筐体1040内部で回転させることにより円周走査を行うことができる。
【0048】
カテーテル遠位端の外側の位置から、内筐体1040を外筐体1060に対して回転させるように構成された本発明の例示的実施形態によるカテーテルを図11に模式的に説明する。回転動作は光学的回転接合部1100を通じて伝達され、光を回転光ファイバー1110内に導入することができる。また回転接合部は、一つ以上の電線1120を介して電気接続を保持し、さらにプルバックおよびフォーカシング機構を制御するように構成された回転可能プルバックケーブル1030を介して機械的接続を保持することもできる。図11の例示的な装置構成における内筐体1140は、モータを囲わないため小型軽量化することができる。
【0049】
シリンドリカルレンズを使用して、バルーンまたは他のセンタリング装置の壁面、および/または内筐体もしくは外筐体の透明窓もしくは透明部分によって生じる非点収差を補正することができる。湾曲したガラスは、負のシリンドリカルレンズのそれと同様、非点収差を生じる。例えば、図12Aに示す二つの湾曲した透明な壁により生じる非点収差は、図の右側に示される負のシリンドリカルレンズと光学的に同様である。図12Aに示す物体のいずれの場合も、中心の破線を通る光は、上部または下部の破線を通る光よりも光路が短いため非点収差が生じる。この光学的な歪みを効率的かつ正確に補正するには、例えば図12Bに示すように非点収差を誘起する窓と同様な湾曲窓を光路上に設置してもよい。非点収差の光学的補正を行うには、補正用湾曲窓の湾曲軸を湾曲した筐体窓の軸に対し直角にする必要がある。
【0050】
本発明の別の例示的実施形態では、画像データ取得の際にユーザが操作しなくても、器官を広範囲に撮像することができる内視鏡SECMシステムが提供される。このシステムは、例えば心拍、呼吸および/または蠕動運動などによる動きを考慮する能力を備えている。ある種のセンタリング機構を利用することで、撮像される細胞組織の動きによって生じるアーティファクトを大幅に低減することができる。例えば、撮像系装置と撮像される細胞組織との間の距離の変動は、一回の広範囲走査中に±250μmにも及ぶ場合がある。この距離の変動は、円周走査に比べ時間的にゆっくり(例えば数秒)したものであるが、撮像系装置の長手方向プルバックの際に細胞組織領域の長さを走査するのに必要な時間に比べると顕著なものである。
【0051】
本発明のある例示的実施形態では、サンプリングの際の細胞組織の動きの影響を低減または無くすための方法が使用される。この方法は、図13Aに示すように、広範囲の焦点深度にわたる画像データを取得する手順を含むことができる。仮に所望の画像深さが例えば200μmで、撮像系装置と細胞組織との間の距離の変動が例えば±250μmの場合、画像データは約700μmの焦点範囲から取得することができる。この手順により、画像データを所望の細胞組織の体積全体から得ることが可能になる。撮像の際、体積画像の多くの部分は細胞組織を含まない場合もあるが、関心のある細胞組織の体積のほとんどの領域から良好な画像が少なくとも一つ得られる可能性が高い。
【0052】
撮像の際の細胞組織の動きを補償するのに用いられる第2の例示的方法を図13Bに示す。この方法は、結像レンズと撮像される細胞組織との間の距離を決定する手順を含んでもよい。この距離を追跡し、組織表面に対し既知の焦点距離を合わせるようにレンズの焦点を適応制御して、関心のある細胞組織体積の画像データを収集することができる。焦点の適応制御は必要とされる焦点走査の数を減少させることができるため、関心のある細胞組織体積を広範囲にカバーするために必要な時間も減少させることができる。光のフォーカスは、例えば干渉信号、飛行時間信号、電磁放射の強度などを用いることにより制御することができる。
【0053】
撮像される細胞組織の動きに対処するための上述した例示的方法に、撮像系装置の焦点距離を調整する機構を利用することができる。撮像される細胞組織の体積の内部における焦点の深さを調整する方法にはいくつかの例がある。例えばフォーカスレンズを含む撮像系装置の内筐体を外部筐体に対して相対的に動かすことができる。このような動きを達成するために、図14Aに示す多層バイモルフ圧電作動装置1410(例えば、D220‐A4‐103YB, Piezo Systems, Inc., Cambridge, MAなど)を、例えば両端の金属シート1420に取り付けて、そのセラミック材料を曲げてもよい。これらの作動装置を図14Aに示すように背中合わせに設置することで、これらの自由動作範囲を効果的に倍増することができる。4個のこのような作動装置1430を、図14Bに示すように、外シース1440と、モータおよびそのモータを囲むフォーカス光学部品を含む集成体1450との間に配置することができる。これらの作動装置1430を利用して外筐体1440に対して集成体1450を制御して移動することで、必要な範囲全体で焦点位置を変更することができる。この方法はプローブ内で高電圧を使用するため電気配線を必要とする場合があり、このため視野を横断し、遮断する、および/または、撮像系装置を収納するプローブの全体的な径が例えば数mm程度大きくなることがある。
【0054】
撮像系装置の焦点距離の調整に使用できる方法の代替例を図15に示す。ケーブル1530を囲うケーブルハウジング1510が設けられている。ケーブル1530はその一端でコリメートレンズ1540に取り付けられる。コリメートレンズ1540は筐体1550に対し長手方向に移動可能に構成してもよい。このコリメートレンズ1540を筐体1550および他の光学部品に対して動かすことで焦点距離を変化させることができる。この並進は、図15に示すようなケーブル1530を用いて、例えば撮像カテーテルの外部から制御することができる。代わりに、コリメートレンズ1540の動きを、例えばカテーテル内部に設けられた電気モータあるいは圧電モータによって制御することもできる。また、細胞組織の撮像に必要な光を照射する光ファイバー1520をコリメートレンズ1540に対して移動することによっても、焦点距離を変化させることができる。代わりに、光ファイバー1520とコリメートレンズ1540の両者を相対的に移動させて焦点距離を変化させてもよい。
【0055】
撮像装置の倍率をMとした場合、光ファイバー1520とコリメートレンズ1540との間の間隔をおよそM2Δzの距離だけ変化させると、焦点距離がΔzだけ変化する。例えば例示的な撮像装置の倍率がおよそ3であるとする。焦点距離をおよそ±450μm変化させるためには、光ファイバー1520とコリメートレンズ1540との距離をおよそ±4.0mm動かす必要があるが、このような距離の移動は上述した焦点距離を変化させるためのいずれの方法においても可能である。
【0056】
焦点距離を変化させるためのさらに別の方法の例として、電気的に調節可能な可変レンズを利用することができる。例えば図16に示すカメラ付き携帯電話用の市販のレンズ(Varioptic AMS‐1000, Lyon, France)を利用して、本発明の例示的実施形態による撮像装置の焦点距離を変化させることができる。このレンズ1600はエレクトロウェッティング(electrowetting)の原理を使用して焦点距離を約−200mmと40mmとの間で変化させるもので、光学的品質は回折効果のみによって制約される。この例示的レンズ1600の有効開口部(CA)は3.0mmで、最外径(OD)は10mmである。CA4.0mm、OD6.0mmを有する同様なレンズも製作可能である。この例示的レンズ1600のフルレンジ応答時間は約150msであり、これは光学部品と細胞組織の表面との距離を追跡し、それに従って焦点距離を調節するのに十分な速さである。約10msの応答時間を有する同型のレンズを製作することもできるであろう。上述したような可変レンズをコリメータとSECM回折格子との間に使用することで、約±300μm以上の幅で可変の焦点距離を得ることができる。
【0057】
本発明の例示的実施形態によれば、内筐体を様々に構成することができる。例えば、図17Aに示すように透明な材料から筐体1700を形成することができる。代わりに、図17Bに示すように、筐体に透明窓1710を設けることができる。また、図17Cに示すように、二つの壁の間に開口部1720を設けることや、図17Dに示すように筐体に取り付けられたモータ1730の近傍に開口を設けることもできる。
【0058】
図9に示した例示的なシステムに使用可能な制御およびデータ記録装置の例示的な模式図を図18に示す。図18に示す装置は、画像データ1800を取得しつつビームの位置を記録するように構成されており、画像データ1800の空間的な位置登録をより正確に行うことができる。図18に示すように、画像データ1800はデータ取得制御ユニット1810によって取得される。カテーテル走査装置は、例えばビームの角運動のための回転モータ1820と、ビームを長手方向に動かすためのプルバックモータ1830とを用いてビームを走査させることができる。回転モータ1820は回転モータ制御ユニット1840によって、またプルバックモータ1830はプルバックモータ制御ユニット1850によって制御することができる。それぞれの制御は閉ループ操作によって行ってもよい。データ収集および制御ユニット1810は、モータ制御ユニット1840および1850が特定のモータ速度および/または位置を指定するように指令することができる。モータ1820および1830から発生するエンコーダ信号は、モータ制御ユニット1840および1850、ならびにデータ収集制御ユニット1810の両者に送られる。このようにして、1820および1830の各モータに関連するエンコーダ信号は、画像データ1800の線が収集される際に記録され、それにより正確なビーム位置をデータ1800の各線に関連付けることができる。
【0059】
本発明の例示的実施形態による撮像カテーテルに用いることが可能な、様々な走査順位を図19に示す。例えば、回転走査を第1順位として行い、軸(プルバック)走査を第2順位として行った走査方法の例を図19Aに示す。この方法ではらせん配列をしたデータセットが得られる。図19Bに示すように、別の走査方法では小さな増分で軸走査を行い、各軸走査に次いで1回転の走査を行うことができる。代わりに、軸(プルバック)走査を第1順位として行い、回転走査を第2順位として行うと、図19Cに示すような走査パターンが形成される。第1走査順位の方向でより高い画像品質を得ることができる。従って、走査順位の選択は横向き(回転)画像または軸方向画像のいずれが好ましいかによって決めることができる。対称性の異なる器官や細胞組織の撮像をいくつかの方法で行うことができる。例えば、図19Dに示すような円形走査パターンをある種の器官の撮像に使用することができる。
【0060】
本発明のさらに別の例示的実施形態では、図10に示されるようなバルーンカテーテルを、ガイドワイヤーを用いて迅速に交換し設置する手順を可能とするように構成することができる。ある迅速な交換、設置手順では、撮像する器官の中にガイドワイヤーをまず設置し、その後カテーテルをガイドワイヤーに沿って進めることができる。この手順によれば、多くの用途でカテーテルを、より容易かつより正確に設置することが可能になる。迅速交換手順によるカテーテルのガイドには様々な構成を使用することができる。例えば図20Aは、外筐体2040の遠位端の孔2010を通る例示的なガイドワイヤー2000を示す。図20Bに示す第2の例示的な構成では、ガイドワイヤー2000が外筐体2040の遠位端に取り付けられた管2020を通る。代わりに図20Cに示すように、ガイドワイヤー2000が外筐体2040の近位端に取り付けられた管2020を通るように構成することもできる。
【0061】
カテーテルの内腔中心にガイドワイヤーを用いてカテーテルの位置合わせを行う手順の例を図21A〜図21Cに示す。まず図21Aに示すようにガイドワイヤー2100を器官2150の内部に設置する。次いで図21Bに示すようにカテーテルの外筐体2110を、バルーン2120と共に、ガイドワイヤー2100上に通す。最後に、図21Cに示すように内筐体2130をカテーテルの内腔中心に通す。内筐体2130は光学装置を含んでもよく、この光学装置を用いて撮像を行うことができる。
【0062】
バルーンカテーテルの二つの構成例を図22に示す。図22Aでは、圧縮空気または気体源を含む装置2200を用いてバルーン2210を膨張させることができる。管または小径の通路2230がカテーテルを囲むバルーン2210に接続して設けられており、加圧空気または気体をバルーン2210に送ることができるようになっている。膨張するバルーン2210内部の圧力は、圧力計2220を用いて監視することができる。この圧力により、バルーンの膨張を最適化するとともに、膨張したバルーンが接触する周囲の器官内の圧力を監視することでカテーテルの設置を確認することができる。代わりに、図22Bに示すようにカテーテルの外シースに沿って通路2240を設け、加圧空気または気体をバルーン2210に送ることもできる。圧力変化に応答して径を変化させることができるバルーンを用いてもよい。バルーン2210への加圧空気またはガスの供給によりバルーンの径を変化させ、結像レンズに対して周辺の細胞組織を動かすことにより焦点深度を制御することができる。
【0063】
本発明の別の例示的実施形態に用いられるカテーテル構造の例を図23A〜図23Cに示す。このカテーテル設計は、撮像装置内部の光学コアを内腔器官内の中心に合わせるため、1本以上の伸張可能なより線2300を使用するように構成することができる。図23Aに示すように、このカテーテルは付加的なシース2310と、外筐体2320の周りに設けられシース2310の内側に配置された一組の拡張可能なより線2300とを含むことができる。カテーテルを設置した後、図23Bに示すようにより線2300をシース2310内に押し込み、より線が外シースの端部から突き出る様にすることができる。代わりに、シース2310を外筐体2320から退避させることもできる。十分な長さのより線2300を外筐体2320の周囲に露出させ、図23Cに示すようにより線2300が周辺の器官または細胞組織を拡張して、筐体2320を中心合わせできるようにする。撮像手順が完了した後、より線2300をシース2310に引き戻しカテーテルを取り除くことができる。
【0064】
OTCおよびRCMの方法例は、撮像される細胞組織の検体からの多重散乱光を排除または無視することができるため、構造の情報を含む可能性がある後方散乱光子を単独で検出することができる。ただし、これらの方法はそれぞれ別の方法で多重散乱光を排除する。
【0065】
例えばRCM法は、強くフォーカスされた入射光から撮像される細胞組織によって反射した光を共焦点選択する方法を採用している。RCM法は集束光を細胞組織の表面に対して平行な面で高速走査することによって実行され、これにより細胞組織の横面または正面像を得る。通常のRCM法で使用されるような大きな開口数(NA)を用いると、非常に高い空間分解能(例えば、細胞内構造の可視化が可能となるおよそ1〜2μmの分解能)を得ることができる。しかしながら高NAを用いた撮像手順は、不均一な細胞組織内を光が伝搬することによって生じる収差に対して特に敏感な場合が多い。従ってRCM法による高分解能画像は、典型的には100〜400μmの深さに制限される。
【0066】
OCT法は光学切片用のコヒーレント回折格子の原理を利用するため、高NAレンズの使用に頼る必要がない。このためOCT法は、比較的大きな共焦点パラメータを有する結像レンズを用いて行うことができる。これにより撮像される細胞組織の中への侵入深さが深くなり(例えばおよそ1〜3mm)、断面画像フォーマットが提供される。これらの利点は横方向分解能の低下という犠牲を伴うことがあり、横方向分解能は典型的に約10〜30μm程度となる。
【0067】
従って上述した対比を考慮すると、例示的なOCT法とRCM法とは、相補的で異なる画像情報を提供することができる。例えば、RCM法は細胞内の詳細を提供する一方で、OTC法は例えば構造形態などを提供する。これら二つの寸法領域からの画像情報は組織病理学的な診断にとって非常に重要であり、多くの場合、これら両者を用いずに正確な診断を行うことは不可能ではないにしても、難しい。通常これら異種の撮像法を組み合わせるには、大規模な開発努力と性能面での妥協とを伴う場合もあるが、SECM法とSD−OCT法はいくつかの部品を共有することができる。このため、これら撮像法の両者を採用した高性能なマルチモダリティシステムを、何れかの方法のみを用いるシステムに比べて複雑さやコストの実質的な増大を招くことなく提供することができる。
【0068】
本発明の例示的実施形態による、SECM法とSD−OCT法との両者が実行可能なシステムの例の概要を図24Aに示す。このシステム例では、広帯域光源のバンド幅の一部をSECM画像データの取得に、またバンド幅の別の部分を例えばSD−OCTデータの取得に使用することができる。例えば、光源2400を使用して約100nmより大きなバンド幅を有する電磁エネルギーを供給することができる。光源2400として使用できる装置の例には、ダイオード励起された超高速レーザー(例えば、IntegralOCT, Femtolasers Produktions GmbH, Vienna, Germanyから入手可能のもの)、またはスーパールミネッセントダイオード(Superlum, Russiaから入手可能なものなど)の配列などがある。
【0069】
SD‐OCTデータに使用される光源スペクトルの部分(例えば約810〜910nmの波長を有する光)を、波長分割マルチプレクサ(WDM)2410を用いてSECMデータに使用されるスペクトルの部分から分離し、これをカテーテル2420と基準アーム2445とに送ることができる。SECM光ファイバー2430およびSD−OCT光ファイバー2440を通じてカテーテル2420から戻る光を、分光計2450に送ることができる。図24Bに例示するCCDアレイ2460のおよそ半分の素子がSECMデータに関連する信号を検出し、CCD素子のおよそ半分がSD‐OCTデータに関連する信号を検出できるように分光計2450を構成することができる。例えばSD‐OCTデータを補間した後に波長空間から波数空間(k空間)にフーリエ変換を行うことにより、SD‐OCTデータを軸方向の構造データに変換することができる。例えば、分光計2450が約0.1nmの分解能を有している場合、SD−OCTの全測距深さは約2.0mmより深くなることがある。SD‐OCTを用いた軸方向画像の分解能はおよそ5μmである。
【0070】
SECM/SD‐OCTプローブの例の概要を図25に模式的に示す。このプローブは、例えば図15に示したプローブに類似しており、SD‐OCTビーム経路を形成するように構成された装置をさらに含んでいる。SD−OCTビームを得るために、OCT光ファイバー2500をSECM光ファイバー2510と共に内筐体の内部に挿入することができる。OCT光ファイバー2500は小型レンズ2520を照らすように構成することができる。SD−OCTビームの共焦点パラメータとスポットサイズを、測距深さ全体の断層画像が形成されるように選択する。共焦点パラメータおよびスポットサイズの値は、例えばそれぞれ約1.1mmおよび25μmである。SD−OCTレンズ2520のNAを例えばおよそ0.02に選定し、平行化されたSD−OCTビームの直径を例えばおよそ200μmに選定することができる。ダイクロイックミラー2530をSECM回折格子の前に設置しSD−OCT光ビーム2540を反射してSECM光ビーム2550を透過するようにすることができる。図25に示すダイクロイックミラー2530はSD−OCT光ビーム2540に対しておよそ45度の角度で配置されている。適当なコーティングをミラー2530に施すことでこの角度を増大させると、SD‐OCTビーム2540をSECMビーム2550に重ね合わせることができ、これら二つの画像の空間的な位置登録をより正確に行うことができる。湾曲した窓またはバルーンなどにより生じるSD‐OCTビーム2540の光学的収差は、図12Bに示すような非点収差を予め補正するためのシリンドリカル素子を用いて補正することができる。
【0071】
SECM撮像とSD‐OCT撮像との両者に使用できるカテーテルプローブの別の例示的実施形態を図26に示す。広帯域光を、図25に示す二つの異なるファイバー2500と2510の代わりに、単一の光ファイバー2600を通じて供給することができる。SD‐OCTビーム2640の形成に使用される光の一部は、ダイクロイックミラー2610によってSECMビーム2650の光路外に反射される。SD‐OCTビーム2640の直径は、絞り2620および/またはレンズ2630によるSD‐OCTビーム2640のフォーカシングによって減少される。SD‐OCTの深さ分解能は約20〜100μmの間であるが、それでもSD‐OCT装置はSECM法によって撮像される細胞組織の表面位置を特定することに用いることができる。これは、仮にSD‐OCTビーム2640のバンド幅が高品質SD‐OCT画像を得るのに不十分な場合でも行うことができる。
【0072】
例示的なSD‐OCT画像から得られるデータは、SECMビームの焦点面の調整に使用することができる。図27にこの方法のフロー図の例を示す。例えば、SD‐OCT画像データを深さ走査(ステップ2700)で取得し、その後処理(ステップ2710)してもよい。この画像データを分析し、SD‐OCT画像として表示してもよい(ステップ2720)。この画像データは、例えばエッジ検出アルゴリズムを用いて細胞組織表面の位置の特定にも使用することができる(ステップ2730)。ひとたび細胞組織の位置が特定されたら、可変焦点機構を用いてSECM装置の焦点面の位置を調整することができる(ステップ2740)。この焦点調整法は高速(たとえば約100ms以内)に行うことができ、これによって細胞組織表面の追跡とフォーカシングがリアルタイムで可能になる。細胞組織エッジの位置は、SECMビームに対して形成される角度によって調整することができる。
【0073】
本発明のある例示的実施形態に使用可能なカテーテルケーブル2800の断面を図28に示す。ケーブル2800は、例えばプルバックケーブル2810、モータに電力を供給するように構成された複数のワイヤー2820、焦点制御ケーブル2830、膨張可能なバルーンまたは膜に気体や他の流体を送るように構成されたチャンネル2840、SECM光ファイバー2850および/またはSD‐OCT光ファイバー2860を含んでもよい。
【0074】
例示的なプローブ2900の例を図29に模式的に示す。プローブ2900には、ビーム2920が回折格子2930および結像レンズ2940を通過する前にこれを屈折させるように構成された二つのプリズム2910が含まれる。この構成例によれば、プローブ2900内部に対物レンズ2940を配置するための空間を大きく取ることができ、その結果、高NAおよび/またはプローブ2900の小型化が可能になる。
【0075】
図30A〜図30Cに示す例示的なプローブ構成3000を用いることにより、プローブ長をさらに減少させることができる。プローブ3000は、プローブ3000が撮像位置に送られる際に、図3Aに示すように、外筐体3020の内部に設置される内筐体3010を含む。プローブが撮像される細胞組織または器官内に置かれ、中心位置合わせされると、図30Bおよび図30Cに示すように内筐体3010が外筐体3020の内部を摺動し、プルバック範囲を延長することができる。例えば、結像レンズ3020を内筐体3010の中心付近に設けると、図30Bおよび図30Cに示す極端な走査位置においても位置安定性が増す。
【0076】
外筐体3100の例を図31に示す。外筐体3100はステンレス鋼やプラスチック等の剛体材料で作製することができる。外筐体は、光を透過させ収差を生じることなく画像データを生成することを可能にする一つ以上の間隙3110を含んでもよい。任意に間隙3110は、透明窓を含んでもよい。
【0077】
図32は本発明のある例示的実施形態によるプローブの例を示す。プローブ3200は部品構成が小型で、プローブサイズを全体的に小さくことができる。例えば円筒状の内筐体3210を、円筒状の外筐体3220の内部で自由に回転、移動するように構成することができ、コリメートレンズ3230および光ファイバー3240を内筐体3210の中心から離して設置することができるようになっている。撮像する細胞組織の走査は外部から行われ、その際、内筐体3210の動きはプルバックケーブル3250によって制御される。
【0078】
本発明のある例示的実施形態では、水または屈折率整合油などの流体を結像レンズと撮像される細胞組織との間の空間に満たすことができる。このような流体を使用すると、NAなどの光学パラメータが改善され、および/または画像データを取得するのに使用される光ビームの後方反射を低減することができる。
【0079】
画像データ取得に高NAが使用できるプローブ構成3300の例を図33Aおよび図33Bに示す。例えば、内筐体3310を外筐体3320の内部に設ける。この際、未膨張のバルーン3330を含んでもよい。未膨張のバルーン3330は、それが外筐体3320の前方に膨張するように膨らましてもよい。その後、内筐体3310を外筐体3310の外で膨張したバルーン3340の内部に配置する。弾性装置3350を、図33Aに示すように圧縮状態で内筐体3310と外筐体3320との間に設けることができる。この弾性装置3350は、図33Bに示すように内筐体3310が配置された際に、膨張したバルーン3340の内壁に対して内筐体3310を位置合わせするように構成することができる。内筐体3310は、膨張したバルーン3340の外部の細胞組織領域を、プルバックケーブル3360を用いてバルーン領域を走査するように構成することができる。ケーブル3360は、膨張したバルーン3340の内部における内筐体3310の回転と長手方向の並進(例、プルバック)との両者を制御できるようにしてもよい。スペーサ3370を用いて、撮像光学装置と、膨張したバルーン3340または細胞組織表面近傍との間の接触を改善することができる。
【0080】
本発明のある例示的実施形態による別の例示的なプローブ構成3400の例を図34Aおよび34Bに示す。この構成では、外バルーン3420の内壁にプローブの内筐体3410を保持することができる。例えば、図34Aでは未膨張の状態で示されている外バルーン3420と内バルーン3430が内筐体3410を囲むように、これらを設けることができる。図34Bに示すように各バルーンを膨張させることができる。この構成例では、内筐体3410が内バルーン3430の一面に取り付けられていてもよい。外バルーン3420に対して、内バルーン3430と共に内筐体3410を動かすことにより、外バルーン3420内での回転および並進走査を行ってもよい。
【0081】
本発明のある例示的実施形態によるさらに別のプローブ構成3500を図35Aおよび図35Bに示す。この構成では、外バルーン3520の内壁にプローブの内筐体3510を保持することができる。図35Aで未膨張として示されている外バルーン3520を撮像する器官または細胞組織領域の内部で膨張させることができる。図35Aで未膨張として示されている内バルーン3530を、内筐体3510と外バルーン3520との間に設けてもよい。図35Bに示すように内バルーン3530を膨張させ、内バルーン3530の圧力によって内筐体3510と外バルーン3520の内壁との間の接触を維持することができる。図34および図35にそれぞれ例示されるプローブ3400および3500は、外筐体を用いずに使用してもよい。未膨張のバルーン3420、3430、3520、3530を、プローブ3400、3500を所望の位置に送り込む際に使用される外部包装の中に梱包してもよい。任意に、このような外部包装を例えば溶ける材料で形成することができる。
【0082】
SECMプローブの構成例を図36A〜図36Dに示す。この構成は、器官またはバルーン円筒の軸に直角に横たわるスペクトル符号化された線3610を提供することができる。このプローブ構成の底面図を図36Aに、また対応する側面図を図36Bに示す。図36Cはもう一つの側面を示すが、ここでは図33Bの場合と同様に、プローブ筐体3640が膨張したバルーン3650内に配置されている。この構成例では長手(例えばプルバック)方向を主走査方向とすることができ、プローブ筐体3640はこの長手方向に比較的早い速度で移動する。長手軸周りの回転方向の走査は、長手方向走査に比べ遅い速度で行われる。プローブ3600に、図33〜図35の何れか示されているような位置合わせ装置を設けることができる。プローブ筐体3640は、適宜配置された回折格子に向かって光を偏向させ、図36Aおよび図36Dに示されるように構成されるスペクトル符号化線3610を形成するように構成された鏡3620を含むことができる。
【0083】
プローブ内でのSD‐OCTおよびSECM撮像系装置の組み合わせは、異なる画像フォーマットを用いた異なるスケールの構造情報を取得するために有効な装置を提供する。両者の撮像法によって得られるデータは、これら二つの方法の分解能が異なるため、同時に取得することができる。しかしながら、これら二つの方法に対する利用可能な走査速度は互いに互換性がない場合がある。例えば、典型的なSECM走査速度は、およそ1Hzの回転速度と、およそ1mm/sの長手プルバック速度とによって与えられる。一方、SD‐OCT画像データを得るための典型的な走査速度は、例えば回転方向におよそ50〜100Hz、長手方向におよそ0.2〜0.5mmである。
【0084】
両者の方法に対して適正なサンプリングを行った広範囲画像データを得るために使用される一つの方法として、SECMデータセットを収集した後で、適切にサンプリングした広範囲SD‐OCT走査を付加的に行う方法がある。この方法では細胞組織領域に対するデータ収集時間が例えば1〜2分長くなることがある。回転モータおよび直線移動モータの両者から得られるエンコーダ信号を各走査についてデジタル化することができる。各走査の角度および回転オフセットを決定するためSD‐OCT像間の定量的相関を行い、バルーンの位置シフトに対してエンコーダ信号を補正することができる。この方法は、SD‐OCTおよびSECMのデータセットを、正確、すなわち約500μm以内の範囲で空間的に登録することを可能にする。
【0085】
本発明の別の例示的実施形態では、例えばプローブ内に設けられた撮像系装置を簡易的な撮像モード(例えばスカウト画像)で操作し、プローブを送る際に用いられるカテーテルが撮像される器官または細胞組織内に適切に配置されているか否かを決定することができる。カテーテルが適正に設置されていることが確認された後で、広範囲画像のデータセットを取得することができる。
【0086】
本発明のさらに別の例示的実施形態では、バルーン・センタリング・カテーテルを、例えば水、重水(D2O)油など、空気以外の光学的に透明な材料を用いて膨張させてもよい。カテーテルの挿入を補助するために潤滑剤を使用することもできる。本発明のある例示的実施形態で粘液の存在が画像品質を低下させる場合、画像データ取得前に分泌抑制剤を投与し撮像される器官中の粘液を減少させてもよい。
【0087】
以上は、本発明の原理を単に説明したものである。上述した実施形態への様々な改良および変更は、ここに教示される内容から当業者に明らかになるであろう。実際、本発明の例示的実施形態による装置、システムおよび方法は、OCTシステム、OFDIシステム、SD‐OCTシステムまたは他の撮像システムの何れにも使用することができ、例えば、ここに参照としてその全てを組み入れる2004年9月8日出願の国際特許出願番号PCT/US2004/029148、2005年11月2日出願の米国特許出願番号11/266,779、および2004年7月9日出願の米国特許出願番号10/501,276に記載のシステムにも使用することができる。従ってここに明示または明記されていない数多くのシステム、装置、方法は、当業者が考案し、本発明の原理を具現化し得るものであり、故に本発明の精神と範囲に含まれるものと理解される。さらに、先行技術の知見が参照により上述に明確に組み込まれているが、これらはその全体を明確に組み込むものである。上で参照した出版物についてもその全体を参照し、ここに組み込む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
解剖学的構造に少なくとも一つの電磁放射を送り、前記少なくとも一つの電磁放射を用いて前記解剖学的構造の少なくとも一つの部分を走査して少なくとも一つの信号を生成するように構成された少なくとも一つの第1の装置と、
前記解剖学的構造内部の所定の場所に、前記少なくとも一つの第1の装置の焦点の位置を特定の信号の関数として自動制御するように構成された少なくとも一つの第2の装置と、
を備え、
(i)前記少なくとも第1の装置が共焦点顕微鏡装置であるか、(ii)前記少なくとも一つの信号がスペクトル符号化信号であるか、または(iii)前記特定の信号がスペクトル符号化信号であるかの少なくとも何れかである装置。
【請求項2】
前記特定の信号が、干渉信号、飛行時間信号、または強度信号のうちの少なくとも一つである、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも一つの信号と、標準試料からの追加信号を受信して干渉信号を生成するように構成された少なくとも一つの第3の装置をさらに備える、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも一つの第1の装置が、共焦点顕微鏡装置または多光子顕微鏡装置の少なくとも一つである請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも一つの第1の装置が、スペクトル符号化装置を含む、請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも一つの解剖学的構造が内臓器官である、請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも一つの第1の装置が光ファイバー装置を介して前記電磁放射を送る、請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記光ファイバー装置が複数の電磁放射ガイド装置を含む、請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも一つの電磁放射が複数の波長を含む、請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも一つの電磁放射が時間と共に変化する一つ以上の波長を含む、請求項1記載の装置。
【請求項11】
解剖学的構造に少なくとも一つの電磁放射を送り、前記電磁放射を用いて前記解剖学的構造の少なくとも一つの部位を走査してデータを生成するように構成された少なくとも一つの第1の装置と、
a)前記解剖学的組織の特定の部位の少なくとも一つの場所の決定に基づく信号を生成し、
b)前記少なくとも一つの第1の装置の動きまたは焦点位置のうちの少なくとも一つを、前記解剖学的構造内の前記少なくとも一つの場所に対し前記信号の関数として自動制御するように構成された少なくとも第2の装置と
を備え、
(i)前記少なくとも第1の装置が共焦点顕微鏡装置であるか、(ii)前記信号がスペクトル符号化信号であるか、または(iii)前記データがスペクトル符号化データを含むかの少なくとも何れかである装置。
【請求項12】
前記特定の部位が前記解剖学的構造の表面にある、請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記(a)および(b)の動作が実質的に同時に行われる、請求項11記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも一つの第2の装置が、前記少なくとも一つの電磁放射の焦点を、前記解剖学的構造内部の複数の深さに位置合わせするように構成されている、請求項11記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも一つの第2の装置が前記解剖学的構造内部の焦点の深さを調整する、請求項11記載の装置。
【請求項16】
前記少なくとも一つの場所が干渉信号に基づいて決定される、請求項11記載の装置。
【請求項17】
前記干渉信号が少なくとも部分的に前記データに基づく、請求項16記載の装置。
【請求項18】
解剖学的構造内部に電磁放射を位置合わせする方法であって、
少なくとも一つの電磁放射を解剖学的構造に送ること、
少なくとも一つの装置を用いて前記少なくとも一つの電磁放射を用いて前記解剖学的構造の少なくとも1部分を走査すること、
前記電磁放射に基づいて少なくとも一つの信号を得ること、
特定の信号に基づいて前記解剖学的構造内部における所定の場所に、前記少なくとも一つの第1の装置の焦点の位置を制御し、(i)前記少なくとも第1の装置が共焦点顕微鏡装置であるか、(ii)前記少なくとも一つの信号がスペクトル符号化信号であるか、または(iii)前記特定信号がスペクトル符号化データであるかの少なくとも何れかであること、
を含む方法。
【請求項19】
解剖学的構造内部に電磁放射を位置合わせする方法であって、
少なくとも一つの電磁放射を解剖学的構造に送ること、
少なくとも一つの装置を用いて前記少なくとも一つの電磁放射を用いて前記解剖学的構造の少なくとも1部分を走査すること、
前記少なくとも一つの電磁放射に基づいてデータを得ること、
前記解剖学的構造の特定の部位の少なくとも一つの場所の決定に基づいて信号を生成すること、
前記少なくとも一つの場所に対する前記少なくとも一つの第1の装置の動きまたは焦点位置のうちの少なくとも一つを前記信号に基づき自動制御すること、
を含み、
(i)前記少なくとも第1の装置が共焦点顕微鏡装置であるか、(ii)前記信号がスペクトル符号化信号であるか、または(iii)前記データがスペクトル符号化データを含むかの少なくとも何れかである方法。
【請求項20】
前記特定の信号はスペクトル符号化される、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記特定の信号は、電気または光の少なくとも何れかである、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記特定の信号は、(i)前記少なくとも一つの信号であるか、または(ii)前記解剖学的構造から供給される別の信号の少なくとも何れかである、請求項1に記載の装置。

【図1】
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【図9】
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【図18】
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【図22】
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【図24】
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【図27】
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【図31】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図23】
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【図25】
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【図26】
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【図28】
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【図29】
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【図30A】
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【図30B】
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【図30C】
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【図32】
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【図33A】
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【図33B】
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【図34A】
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【図34B】
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【図35A】
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【図35B】
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【図36A】
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【図36B】
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【図36C】
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【図36D】
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【公開番号】特開2013−101342(P2013−101342A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−246622(P2012−246622)
【出願日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【分割の表示】特願2008−533764(P2008−533764)の分割
【原出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【公序良俗違反の表示】
特許法第64条第2項第4号の規定により図面の一部または全部を不掲載とする。
【出願人】(592017633)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション (177)
【Fターム(参考)】