説明

チロシンキナーゼ阻害剤のための製剤

本発明は、希釈剤を用いて再構成するのに適したチロシンキナーゼ阻害剤の3−[5−(4−メタンスルホニルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンの粉末、粉末ブレンドまたは顆粒製剤に関する。本発明はまた、3−[5−(4−メタンスルホニルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンの顆粒が希釈剤と混合されて含まれている調製水性懸濁液または分散液製剤、特に安定な経口薬剤に関する。更に、本発明は前記製剤の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
血管新生は、米国特許第6,245,759号明細書に記載されているように血管内皮増殖因子(VEGF)の過剰活性により特徴づけられる。KDRはVEGFのマイトジェン機能を媒介し、Flt−1は細胞接着に関連するような非マイトジェン機能を調節すると考えられる。従って、KDRを抑制すると、マイトジェンVEGF活性レベルが調節される。実際、腫瘍増殖はVEGF受容体アンタゴニストの抗血管新生作用を受けやすいことが判明している(Kimら,Nature,362:841−844(1993))。
【0002】
充実性腫瘍は、その増殖を支えるのに必要な血管形成のために血管新生に依存しているのでチロシンキナーゼ阻害剤により治療され得る。前記した充実性腫瘍には、組織球性リンパ腫、及び脳、泌尿生殖器、リンパ系、胃、喉頭や肺のガン(肺腺癌、小細胞肺癌を含む)が含まれる。別の例には、Raf活性化ガン遺伝子(例えば、K−ras、erb−B)の過剰発現または活性化が見られるガンが含まれる。前記ガンには膵臓癌及び乳癌が含まれる。従って、チロシンキナーゼ阻害剤は、該酵素に依存する増殖性疾患の予防及び治療のために有用である。
【0003】
KDRまたはFlt−1の抑制は病的血管新生に関わり、前記受容体は、腫瘍増殖が血管新生に依存することが知られているので(Weidnerら,N.Engl.J.Med.,324:1−8(1991))、血管新生が全病理の一部である病気(例えば、炎症、糖尿病性網膜血管形成及び各種形態のガン)の治療において有用である。
【0004】
キノリン部分を含む化合物、例えば3−[5−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンは2001年10月23日に発行された米国特許第6,306,874号明細書に包括的にも具体的にも記載されている。
【0005】
従って、チロシンキナーゼ阻害剤はガンを治療するために有用である。小児または高齢な患者は錠剤を嚥下することが困難なことがあり得るので、チロシンキナーゼ阻害剤を含む経口懸濁液が有用であり得る。
【発明の開示】
【0006】
本発明は、希釈剤を用いて再構成するのに適したチロシンキナーゼ阻害剤の3−[5−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンの顆粒製剤に関する。本発明はまた、3−[5−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンの顆粒が希釈剤と混合されて含まれている調製水性懸濁液または分散液製剤、特に安定な経口薬剤に関する。更に、本発明は前記製剤の製造方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の第1態様は、
a)活性成分としての3−[5−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン、及び
b)粉末製剤の重量の約10〜約75%を占める少なくとも1つの増量剤
を含む希釈剤での再構成に適した粉末製剤である。
【0008】
本発明の第2態様は、
a)活性成分としての3−[5−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン、及び
b)ブレンド製剤の重量の約10%を占める少なくとも1つの増量剤
を含む希釈剤での再構成に適した粉末ブレンド製剤である。
【0009】
本発明の第3態様は、
a)活性成分としての3−[5−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンの顆粒、
b)少なくとも1つの結合剤、及び
c)顆粒製剤の重量の約10〜約75%を占める少なくとも1つの増量剤
を含む希釈剤での再構成に適した顆粒製剤である。
【0010】
本発明の更なる実施態様において、上記した製剤は更に結合剤、崩壊剤、滑沢剤、フレーバー、甘味料、緩衝剤、安定剤及び粘度調節剤から選択される1つ以上の医薬的に許容され得る賦形剤を含む。
【0011】
粉末、粉末ブレンドまたは顆粒製剤を懸濁液に再構成するために希釈剤と共に水も使用し得る。
【0012】
本発明の別の実施態様は、
a)3−[5−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン及び少なくとも1つの増量剤を含む湿った顆粒を湿式造粒法により作成し、
b)前記した湿った顆粒を乾燥した後粉砕して、粉砕顆粒を作成し、
c)前記した粉砕顆粒を滑沢剤を用いて潤滑して、顆粒製剤を作成し、
d)前記した顆粒製剤を容器に充填する
ことを含む第1態様に上記した顆粒製剤の製造方法である。
【0013】
本発明の別の実施態様は、
a)3−[5−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン、
b)希釈剤、及び
c)少なくとも1つの増量剤
を含む医薬懸濁液を調製するためのキットである。
【0014】
本発明の別の実施態様は、3−[5−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン及び少なくとも1つの増量剤を含む顆粒製剤を希釈剤と混合することを含む3−[5−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンの医薬懸濁液の調製方法である。
【0015】
顆粒製剤を懸濁液に再構成するために希釈剤と共に水も使用し得る。
【0016】
本発明の第4態様は、3−[5−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンの顆粒が希釈剤と混合されて含まれている水性懸濁液製剤である。
【0017】
本発明の第5態様は、治療を要する小児または成人患者に対して顆粒製剤を有効量投与することを含む前記患者におけるガンの治療方法である。
【0018】
本発明の第6態様は、治療を要する小児または成人患者に対して水性懸濁液製剤を有効量投与することを含む前記患者におけるガンの治療方法である。
【0019】
3−[5−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンの製造は、援用により本明細書に含まれるとする2001年10月23日に発行された米国特許第6,306,874号明細書に記載されている。更に、3−[5−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンは2002年12月26日に公開された米国特許出願公開第2002−0198252号明細書に記載されている方法を用いても製造され得る。
【0020】
本発明の製剤は、経口投与用懸濁液として再構成するための3−[5−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンの粉末、粉末ブレンドまたは顆粒である。本発明の製剤は懸濁液として包装されていても、または製剤の成分が別々にキット中に包装されていてもよく、いずれも医者や病院薬剤師のような適切な使用者にデリバリーされる。一旦デリバリーされれば、成分は本明細書に記載されているように懸濁液として再構成され、必要なヒトに投与され得る。例えば、臨床現場で、適切な使用者は3−[5−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン顆粒4gを収容している容器(例えば、PETボトル)に精製水5mlを添加し、やさしく振とうする。その後、単シロップ95mlを添加し、容器を振とうする。患者に投与する前に、懸濁液を再び振とうする。
【0021】
本明細書中、粉末ブレンドは2種以上の粉末の混合物である。本明細書中、顆粒は、粉末の流れを改善する結合剤で相互に結合された粒子の凝集物を指す。
【0022】
本発明において使用され得る希釈剤の例には、Humcoの単シロップ、Emersonチェリーシロップ、PaddockのOra−Sweet(登録商標)シロップ、PaddockのOra−Plus(登録商標)Oral Suspendingビヒクル、Ora−Sweet SF(商標)無糖シロップ、ここに記載されている希釈剤の組合せ等が含まれるが、これらに限定されない。更に、希釈剤は水と粉末(例えば、アカシア粉末、Humcoのデキストロース粉末等)の混合物であってもよい。本発明の特定の実施態様では、Humcoの単シロップが希釈剤として使用される。
【0023】
本発明において使用される増量剤の例には、1つ以上の微結晶性セルロース、含水ラクトース、dipac、マンニトール、デキストロース、スクロース、二塩基性リン酸カルシウム、三塩基性リン酸カルシウム等が含まれるが、これらに限定されない。特定実施態様では、増量剤は微結晶性セルロースまたは含水ラクトースである。
【0024】
本発明において使用され得る結合剤の例には、ヒドロキシプロピルセルロースEXF(HPLC−EXF)、他のグレードのHPC(例えば、HPC、HPC−SL)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HMPC)、スターチ1500、ポリビニルピロリジノン(PVP)、水素化植物油等が含まれるが、これらに限定されない。本発明の特定実施態様では、HPLC−EXFが使用される。崩壊剤の例には、クロスカルメローゼナトリウム、ポビドン、クロスポビドン、スターチ1500、澱粉グリコール酸ナトリウム等が含まれるが、これらに限定されない。本発明の特定実施態様では、崩壊剤はクロスカルメローゼナトリウムである。
【0025】
本発明において使用され得る滑沢剤の例には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク粉末等が含まれるが、これらに限定されない。本発明において使用され得る緩衝剤の例には、クエン酸、安息香酸、酢酸、アスコルビン酸、酒石酸、マレイン酸、リンゴ酸、乳酸、コハク酸、リン酸、フマル酸等が含まれるが、これらに限定されない。本発明において使用され得る安定剤の例には、HPC、HPC−SL、HPMC、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、界面活性剤等が含まれるが、これらに限定されない。
【0026】
本発明において使用され得る粘度調節剤の例には、HPC、HPMC、キサンタンガム、ポリデキストロース、スクロース、ゼラチン等が含まれるが、これらに限定されない。
【0027】
上記したように、顆粒は粉末の流れを改善する結合剤で相互に結合された粒子の凝集物である。造粒は顆粒を作成するための方法であり、湿式または乾式方法であり得る。当業界では理解されているように、乾式造粒法はローラー圧縮を利用し、湿式造粒法は造粒のために液体(例えば、溶媒)を利用している。本発明において、顆粒製剤の顆粒は高剪断造粒装置で湿式造粒することにより作成される。前記顆粒は、3−[5−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンの塩酸塩、微結晶性セルロース、増量剤(例えば、含水ラクトース)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロースEXF(HPC−EXF))及び崩壊剤(例えば、クロスカルメローゼナトリウム)を含む。水を造粒溶媒として使用してもよい。湿った顆粒を流動床乾燥装置を用いて乾燥した後、Cosmilを用いて粉砕する。粉砕した顆粒を滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)で潤滑し、容器に充填する。本発明の特定実施態様では、使用する容器はポリエチレンテレフタレート(PET)ボトルである。
【0028】
通常、低濃度(0.2〜5%)の懸濁液を作成するために粘度調節剤(増粘剤)として作用するより高い膨潤能力を有する他のタイプのセルロースを使用し得る。微結晶性セルロースは主に経口用錠剤及びカプセル製剤中に希釈剤として使用される。
【0029】
20〜100μmの粒度を有する微結晶性セルロースが好ましい。適当なグレードにはアビセルタイプpH101、102、103、104、112、113、301及び302が含まれる。これらは、粒度、嵩密度、乾燥減量、粘度のような物理的特性及び重合度のような化学的特性の点で異なる。
【0030】
本明細書中の%または量は特記しない限り重量基準である。%または比率は全部で100%となるように選択される。
【0031】
本発明の製剤において、予備乾燥したセルロースを増粘剤及び安定剤としても作用する増量剤として用いると、再構成した懸濁液の良好な安定性が使用中得られる。製剤中の主たる増量剤としてのセルロースの量は約5〜90%w/wの範囲である。本発明の特定実施態様では、その範囲は約10〜約75%w/wである。本発明の更なる実施態様では、その範囲は乾燥製剤の約10〜約70%w/wである。活性物質の%は約1〜約90%である。本発明の特定実施態様では、活性物質の%は約1〜約70%である。本発明の更なる実施態様では、活性物質の%は約1〜約50%である。本発明では、本発明の製剤の成分の%または比率が全部で100%となるように追加の賦形剤をいろいろな量で存在させてもよい。
【0032】
平均粒度が20μmの微結晶性セルロース(Avicel,Emcocel,Vitacel)または好ましくは平均粒度が50μmの微結晶性セルロースが使用され得る。異なる粒度を有する粉末セルロース(Vivacel,Elcema,SolkaFlok)または造粒化粉末が使用され得る。本発明の製剤は、本質的に当業界で一般的な補助成分をも含み得る。味を改良するために、フレーバー及び甘味料、好ましくはサッカリン、サッカリンナトリウムまたはアスパルテームを経口製剤に許容され得る量添加してもよい。使用され得るフレーバーは抗生物質と併用して好ましいフレーバー及び味が得られる一般的なフレーバー、例えばストロベリー、チェリー、野生チェリー、レモン、バナナ、ラズベリー、オレンジ、カラメルまたはその混合物からなり得る。
【0033】
適当な賦形剤には、緩衝剤(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウムやコハク酸のような各種酸及びその塩)、膨潤剤及び増粘剤、例えば懸濁液安定剤と他の添加剤が含まれ得る。
【0034】
本発明の製剤は処方量を1日2〜3回投与するのに適している。前記製剤は小児、成人及び高齢者、並びに嚥下困難な患者の治療に適応される。
【0035】
本発明の製剤を使用直前に懸濁液または分散液を調製するために気密性ねじ込キャップボトルまたはプラスチック容器、またはサッシェ中に保存してもよい。
【0036】
本発明の製剤は、均質化、篩分けや粉砕のような一般的な製造手順を用いて製造することができる。成分の一部を予め顆粒化してもよい。顆粒化成分はサッシェ包装にとって特に重要な粉末流動性を改善するために使用される。
【0037】
(実施例)
本発明の更なる理解を助けるために実施例を提示する。使用した特定の材料、種及び条件は本発明の単なる例示であると解され、本発明の合理的範囲を限定しない。
【実施例1】
【0038】
tert−ブチル5−{[4−tert−(ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル]メチル}−1H−インドール−1−カルボキシレート 1−4
【0039】
【化1】

【0040】
50L容量の丸底フラスコにトルエン(8L)、5−シアノインドール1−1(2kg,1当量)及び4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)(17g,0.01当量)を添加した。次いで、温度を約20〜約30℃に維持しながらBocO(3.15kg,1.03当量)をトルエン(2L)中の溶液としてゆっくり添加した。次いで、テトラヒドロフラン(THF)(8L)をフラッシュとして添加した。30分後混合物を下記するHPLCアッセイを用いてアッセイした後、約15〜約18℃の温度に冷却した。温度を約15〜約18℃に維持しながら、ジイソブチルアルミニウム水素化物(DiBAL)(21.5L,トルエン中1.5M,2.3当量)を3時間かけて添加した。溶液を室温で1時間〜一晩エージングした後、HPLCによりアッセイした。Boc−シアノインドールのアッセイを1モル%以下とすべく追加のDiBAL(〜1L)を添加してもよい。
【0041】
温度を約35〜約45℃に維持しながら、DiBaL反応混合物をNaHSO(20kg)を水(60L)中に含む水溶液の半分に添加した。添加速度は、温度を約35〜約45℃に維持し且つガスの発生量をコントロールする能力により決められた。
【0042】
水性相を約35〜約45℃でカットし、残りの亜硫酸水素塩溶液を有機相に添加した。約35〜約45℃で15分後、水性相をカットし、有機相を水(8L)及びブライン(8L)で洗浄した後、NaSO(約5〜約10kg)を含有するカーボイに移して、第2相の水を除去した。少量の赤色油状の残留過還元(over-reduced)副生成物が水性留分の界面に現れ、すぐに水でカットした。
【0043】
100L容量の抽出器を水で洗浄し、THF蒸発除去(boil-out)により乾燥した後、有機相を10ミクロンラインフィルターを介して再充填し、トルエン(4L)で濯いだ。Boc−ピペラジン1−3(2.61kg,1当量)を添加した後、温度を約23〜約27℃に維持しながらトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(3.86kg,1.3当量)を少しずつ添加した。この添加は適度に発熱性であった。この混合物を1.5時間エージングし、アッセイし、水中2.5v/v% 酢酸(20L)を添加することによりクエンチした。クエンチ後の総容量は約80Lであった。
【0044】
有機相を水(20L)で洗浄し、水性相をカットし、有機相溶媒をMeOHに代えて50L容量の丸底フラスコにおいて真空中バッチ濃度を目標容量25Lとした。バッチを約30〜約35℃の温度に加温し、シードをおいた。良好なシードベッドが形成された後、60:40 水/メタノール(20L)を1時間かけて添加し、バッチを約5℃に冷却し、1時間エージングした。生成物を濾過により単離し、洗浄し(3L,70:30 MeOH/水)、窒素をパージして乾燥させた。tert−ブチル5−{[4−tert−(ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル]メチル}−1H−インドール−1−カルボキシレート1−4(約5kg,85%)が白色固体として得られた。
【実施例2】
【0045】
ボロン酸中間体2−1の製造
【0046】
【化2】

【0047】
1−4(2780g,6.69モル)、トルエン(11.1L)及びTHF(テトラヒドロフラン)(2.8L)の混合物を−78℃に冷却した。次いで、2M LDA(リチウムジイソプロピルアミド)(5.4L,10.7モル)を温度が約−70℃以下に維持されるようにゆっくり添加した。次いで、反応混合物を2時間エージングした。
【0048】
温度を約−70℃以下に維持しながらトリイソプロピルボレート(4.6L,19.9モル)をゆっくり添加した。1−4の残量が2%以下になったときに反応が完了する。反応が完了するように必要ならば追加のLDAを添加してもよい。30分後、反応物を氷浴を用いて約0℃に加温した。次いで、2N HCl(12L,24.1モル)を用いて反応をクエンチし、pHを約7に調節した。氷浴を外し、すべてが確実に溶解するように二相溶液を約30分間撹拌した。次いで、二層を分離し、有機層を更に精製することなく次反応に使用した。
【実施例3】
【0049】
キンインドール中間体3−2の製造
【0050】
【化3】

【0051】
50L容量の丸底フラスコにおいて3−ブロモキノリン−2−オン(1kg,4.46モル)、酢酸パラジウム(50.1g,0.223モル)、PPh(117g,0.446モル)、ジシクロヘキシルアミン(2.7L,13.4モル)及びジメチルアセトアミド(DMAC)(10L)を混合した。溶液を2回脱ガスし、毎回窒素をパージした。反応混合物を60℃に加熱した。次いで、60℃でボロン酸(実施例2に記載しているように作成)(3.073kg,6.69モル)を溶液(この溶液は脱ガスせず)として2時間かけて添加した。次いで、反応物を一晩エージングした。
【0052】
反応をHPLCによりアッセイする。キノリノンまたはボロン酸が消えた後反応が完了する。所望の生成物/所望しない生成物の比は少なくとも3.5:1でなければならない。
【0053】
Darco KB(125g,理論収率の5wt%)を反応混合物に添加した。混合物を60℃で30分間加熱した後、室温に冷却した。
【0054】
セライト(125g,理論収率の5wt%)を反応混合物に添加した。反応物を濾過し、フラスコをトルエン(1〜2L)で濯いだ。次いで、ケーキをトルエン(1〜2L)で洗浄した。
【0055】
濾液を100L容量の円筒状抽出器に移し、55℃に加温した。水(10L)を温度が維持されるようにゆっくり添加した。混合物を30分間撹拌した後、層を分離した。
【0056】
有機層を50L容量の丸底フラスコに移し、容量を12L以下に濃縮した。生じた混合物にEtOAc(12L)を添加した。少なくとも2時間または一晩撹拌した。
【0057】
生じた固体を濾過し、ケーキを1:1 EtOAc/トルエンの混合物(1.3L)で洗浄した。次いで、固体を乾燥した。
【実施例4】
【0058】
3−2の脱保護
【0059】
【化4】

【0060】
50L容量のフラスコにおいて実施例3に記載されているように作成したキンインドール3−2(1.85kg)を無水トルエン(28L)中に含むスラリーを濃塩酸(3.7L)で処理した。溶液を65℃に8時間以上加熱した後、室温に冷却した。ビス−塩酸塩としての第2級アミンを濾過により集め、エタノール(5L)で洗浄した。
【実施例5】
【0061】
中間体4−1のメチルスルホン化
【0062】
【化5】

【0063】
50L容量の丸底フラスコに中間体4−1(1.2kg,2.78モル)、THF(24L)及びジイソプロピルアミン(1.17L,8.35モル)を装入し、スラリーを55℃に加熱した。メタンスルホニルクロリドを3時間かけて添加し、粘性の黄色スラリーを4時間または一晩撹拌した。混合物を室温に冷却した後、水(15.6L)を1.5時間かけて添加した。最後の水(5L)にスラリーpHを>7に調節するために濃水酸化アンモニウム(600ml)を添加した(全容量43L)。スラリーを1時間エージングした後、濾過し、ケーキを60:40 THF:水(3.6L)で洗浄した。最終生成物を70℃、40トル(0.0053MPa)で数日間乾燥して、化合物Aを黄色固体として得た。
【0064】
または、水(全部で24L)で反応をクエンチし得る。
【実施例6】
【0065】
3−[5−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン(化合物A)の顆粒製剤の製造
2つの活性製剤、10mg/ml及び1mg/mlを製造する。10mg/ml製剤の場合、薬物1gを含有する顆粒4gをPETボトルに充填する。1mg/ml製剤の場合、薬物100mgを含有する顆粒400mgをPETボトルに充填する。臨床現場では、Humcoの単シロップ(95ml)及び水(5ml)を含有するHumcoの単シロップ溶液(100ml)をボトルに添加、それぞれ10mg/ml及び1mg/mlの濃度となる。製剤の組成を表1に示す。製造方法のフローダイヤグラムを図1に示す。4g顆粒/ボトルを含むバッチを以下のプロトコルに従う安定性を調べるために放置した。
【0066】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】希釈剤を用いて再構成するのに適したチロシンキナーゼ阻害剤の3−[5−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンの顆粒製剤の製造方法のフローダイヤグラムである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)活性成分としての3−[5−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン、及びb)粉末製剤の重量の約10〜約75%を占める少なくとも1つの増量剤を含む希釈剤での再構成に適した粉末製剤。
【請求項2】
増量剤が微結晶性セルロース、含水ラクトース、Dipac、マンニトール及びその組合せから選択される請求の範囲第1項に記載の粉末製剤。
【請求項3】
増量剤が微結晶性セルロース、含水ラクトースまたはその組合せである請求の範囲第2項に記載の粉末製剤。
【請求項4】
a)活性成分としての3−[5−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン、及びb)ブレンド製剤の重量の約10%を占める少なくとも1つの増量剤を含む希釈剤での再構成に適した粉末ブレンド製剤。
【請求項5】
増量剤が微結晶性セルロース、含水ラクトース、Dipac、マンニトール及びその組合せから選択される請求の範囲第4項に記載の粉末ブレンド製剤。
【請求項6】
増量剤が微結晶性セルロース、含水ラクトースまたはその組合せである請求の範囲第5項に記載の粉末ブレンド製剤。
【請求項7】
a)活性成分としての3−[5−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン、b)少なくとも1つの結合剤、及びc)顆粒製剤の重量の約10〜約75%を占める少なくとも1つの増量剤を含む希釈剤での再構成に適した顆粒製剤。
【請求項8】
増量剤が微結晶性セルロース、含水ラクトース、Dipac、マンニトール及びその組合せから選択される請求の範囲第7項に記載の顆粒製剤。
【請求項9】
増量剤が微結晶性セルロース、含水ラクトースまたはその組合せである請求の範囲第8項に記載の顆粒製剤。
【請求項10】
顆粒製剤を再構成するために希釈剤と一緒に水を使用する請求の範囲第7項に記載の顆粒製剤。
【請求項11】
顆粒製剤が更に結合剤、崩壊剤、滑沢剤、フレーバー、甘味料、緩衝剤、安定剤及び粘度調節剤から選択される1つ以上の医薬的に許容され得る賦形剤を含む請求の範囲第7項に記載の顆粒製剤。
【請求項12】
a)3−[5−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン及び増量剤を含む湿った顆粒を湿式造粒法により作成し、
b)前記した湿った顆粒を乾燥した後粉砕して、粉砕顆粒を作成し、
c)前記した粉砕顆粒を滑沢剤を用いて潤滑して、顆粒製剤を作成し、
d)前記した顆粒製剤を容器に充填する
ことを含む請求の範囲第7項に記載の顆粒製剤の製造方法。
【請求項13】
a)3−[5−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンの顆粒、b)希釈剤、及びc)少なくとも1つの増量剤を含む医薬懸濁液を調製するためのキット。
【請求項14】
希釈剤がHumcoの単シロップ、Emersonチェリーシロップ、PaddockのOra−Sweet(登録商標)シロップ、PaddockのOra−Plus(登録商標)Oral Suspendingビヒクル、Ora−Sweet SF(商標)無糖シロップ及びその組合せから選択される請求の範囲第13項に記載のキット。
【請求項15】
希釈剤がHumcoの単シロップである請求の範囲第14項に記載のキット。
【請求項16】
増量剤が微結晶性セルロース、含水ラクトース及びその組合せから選択される請求の範囲第13項に記載のキット。
【請求項17】
3−[5−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン、少なくとも1つの結合剤及び少なくとも1つの増量剤の顆粒が希釈剤と混合されて含まれている水性懸濁液製剤。
【請求項18】
希釈剤がHumcoの単シロップ、Emersonチェリーシロップ、PaddockのOra−Sweet(登録商標)シロップ、PaddockのOra−Plus(登録商標)Oral Suspendingビヒクル、Ora−Sweet SF(商標)無糖シロップ及びその組合せから選択される請求の範囲第17項に記載の水性懸濁液製剤。
【請求項19】
希釈剤がHumcoの単シロップである請求の範囲第18項に記載の粉末製剤。
【請求項20】
3−[5−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンHCl、微結晶性セルロース、含水ラクトース、ヒドロキシプロピルセルロースEXF及びクロスカルメローゼナトリウムを含む顆粒がHumcoの単シロップ及び水の溶液と混合されて含まれている請求の範囲第17項に記載の水性懸濁液製剤。
【請求項21】
請求の範囲第7項に記載の顆粒製剤を希釈剤と混合することを含む3−[5−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンの医薬懸濁液の調製方法。
【請求項22】
希釈剤をHumcoの単シロップ、Emersonチェリーシロップ、PaddockのOra−Sweet(登録商標)シロップ、PaddockのOra−Plus(登録商標)Oral Suspendingビヒクル、Ora−Sweet SF(商標)無糖シロップ及びその組合せから選択する請求の範囲第21項に記載の方法。
【請求項23】
希釈剤がHumcoの単シロップである請求の範囲第22項に記載の方法。
【請求項24】
顆粒製剤をHumcoの単シロップ及び水の溶液と混合する請求の範囲第21項に記載の方法。
【請求項25】
治療を要する小児または成人患者に対して請求の範囲第7項に記載の製剤を有効量投与することを含む前記患者におけるガンの治療方法。
【請求項26】
治療を要する小児または成人患者に対して請求の範囲第17項に記載の製剤を有効量投与することを含む前記患者におけるガンの治療方法。

【図1】
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【公表番号】特表2006−521360(P2006−521360A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507476(P2006−507476)
【出願日】平成16年3月23日(2004.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/008828
【国際公開番号】WO2004/087651
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】