説明

認証機能付き印鑑

【課題】現実の印影を紙などの押印対象物に形成することが可能で、かつ印鑑の不正使用を防止できる印鑑を提供する。
【解決手段】認証機能付き印鑑10本体を形成するケース12を把持する手の指の指紋情報を指紋認証窓18を介して指紋検出センサ40で取得し、予め記憶部38に登録された正規ユーザの指紋情報と照合する。照合の結果、ケース12を把持するユーザがこの認証機能付き印鑑10の正規ユーザであることが確認できた場合のみ、制御部36はインクジェットユニット26を制御し登録した印影を紙などの押印対象物上に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、印鑑、特に不正使用を防止しつつ、現実の印影による押印を可能にする印鑑の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から書面の記載内容を確認したことを証明したり、記載内容を承認したことを証明するために所定の印鑑による押印が行われている。この押印により書面作成者や書面確認者および第三者は、書面の記載内容が押印者により承認されたことを証明することができる。
【0003】
また、近年では、書面の作成を電子的に行い、電子ファイルとして保存することが多い。このような場合には、電子ファイル上で電子的に押印する電子印鑑システムの利用も盛んに行われている(たとえば、特許文献1参照)。このシステムは、押印するユーザが電子印鑑の正規利用者であると認証された場合に、印影データを電子ファイルに挿入するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−214792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電子ファイルの場合、コンピュータ設備の利用を前提とし、さらに電子文書の改ざん等不正行為の防止のための対策システムも必要であるため、電子印鑑システムの使用が認められるのは、社内決済や重要性の低い取引に限定されているのが実状である。そのため、特に重要書面や契約書などでは、印刷された紙などにインク(朱肉)を用いて現実の印影を押印するケースが多い。このような場合問題になるのが、印鑑そのものを本人以外の人間が本人になりすまし不正に使用する不正使用である。
【0006】
本発明は上記課題認識に基づいて完成されたものであり、その目的は、現実の印影を紙などの押印対象物に形成することが可能で、かつ不正使用を防止できる印鑑を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の認証機能付き印鑑は、押印するユーザが把持可能なケースと、押印により形成される印影と対応する正規ユーザの指紋情報を保持させる記憶手段と、ケース内に収納され、押印対象物に印影を形成する印影形成手段と、ケースを把持するユーザの指紋情報をケースに形成された指紋取得面を介して取得する指紋情報取得手段と、指紋情報取得手段が取得した指紋情報と記憶手段に保持された正規ユーザの指紋情報とに基づきケースを把持するユーザが正規ユーザであるか否か認証判定する認証手段と、ケースを把持するユーザが正規ユーザであることを示す適正認証が行われたことを条件に、認証された正規ユーザに対応する印影を押印対象物上に形成するように印影形成手段を制御する制御手段と、を含む。記憶手段は、正規ユーザが認証を受けられる期間を定めた認証許可期間情報を保持し、認証手段は、正規ユーザの指紋情報を用いた認証処理を認証許可期間情報で認証が許可された期間のみ可能にし、制御手段は、認証に基づき印影形成手段に印影を形成させる際に少なくとも印鑑の使用時間と使用場所を含む付加情報を取得する付加情報取得手段を含む。さらに、記憶手段は、付加情報取得手段が取得した付加情報を履歴として保持する。
【0008】
正規ユーザは、予め自分の指紋情報、たとえはケースを把持する場合にケースに接触する指の指紋情報と自分の印鑑の印影を登録する。印影は、名字のみ、氏名、名字+役職などとすることができる。制御手段は、指紋情報取得手段が取得した指紋情報と記憶手段に保持された正規ユーザの指紋情報が一致した場合に印影形成手段を制御して正規ユーザに対応する印影を押印対象物上に形成する。
【0009】
したがって、正規に登録されたユーザのみが現実の印影を押印対象物に形成できる。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明を方法、装置により表現したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、印鑑の不正使用を防止しつつ、現実の印影を押印対象物に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係る認証機能付き印鑑の外観形状を説明する説明図である。
【図2】本実施形態に係る認証機能付き印鑑の内部構成を説明するブロック図である。
【図3】本実施形態に係る認証機能付き印鑑のインクジェットユニットの内部構造の一例を示す概略図である。
【図4】本実施形態に係る認証機能付き印鑑のインクジェットユニットの他の構成を説明する概略図である。
【図5】本実施形態に係る認証機能付き印鑑のインクジェットユニットの他の構成を説明する概略図である。
【図6】本実施形態に係る認証機能付き印鑑の記憶部に保持する情報の一例を説明する説明図である。
【図7】本実施形態に係る認証機能付き印鑑の使用履歴の一例を示す説明図である。
【図8】本実施形態に係る認証機能付き印鑑により形成できる印影の例を示す説明図である。
【図9】本実施形態に係る認証機能付き印鑑に使用するインクジェットユニットの他の構成を説明する概念構成図である。
【図10】インクジェットプリントヘッド形成する印影の形成エラーを説明する説明図である。
【図11】印影を形成する紙に形成された押印位置を示す線図の例を説明する説明図である。
【図12】本実施形態に係る認証機能付き印鑑の印影形成処理を説明するフローチャートである。
【図13】本実施形態に係る認証機能付き印鑑の印影情報の漏洩を阻止する手段を説明する概念構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を、図面に基づいて説明する。
【0014】
本実施形態の認証機能付き印鑑は、印鑑本体を形成するケースを把持する手の指の指紋情報を取得し、予め登録された正規ユーザの指紋情報と照合する。照合の結果、ケースを把持するユーザがこの印鑑の正規ユーザであることが確認できた場合のみ、正規ユーザが登録した印影を紙などの押印対象物上に形成する。
【0015】
図1は、本実施形態の認証機能付き印鑑10の外観形状を説明する説明図であり、図1(a)は、外観斜視図、図1(b)は、印影形成側端面の平面図、図1(c)は、図1(b)に対向する逆側端面の平面図である。認証機能付き印鑑10は、たとえば樹脂等で形成可能な円筒状のケース12で覆われている。ケース12は、ユーザが主として親指と人差し指で把持する把持部14と押印時にスライドして押印感を提供する先端部16とで構成されている。把持部14の表面には、認証機能付き印鑑10の特徴的構成である指紋認証窓(指紋取得面)18の他、電源スイッチ20、表示装置24が形成されている。なお、本実施形態において、正規ユーザは、所定の手続きを経て認証機能付き印鑑10に登録されたユーザであり、後に詳細に説明するが、正規ユーザは、形成する印影の持ち主である本人ユーザと、本人ユーザの印影の使用が認められた代理ユーザを含むものとする。
【0016】
指紋認証窓18の内部には、周知の指紋認証システムの指紋センサが内蔵されている。たとえば、光学式の指紋センサや静電容量型半導体チップの指紋センサなどを用いることができる。認証機能付き印鑑10を使用するユーザは、たとえば、人差し指の指紋情報を登録しておけば、把持部14を把持するときに、人差し指を指紋認証窓18に接触させることで本人認証を実行することができる。電源スイッチ20は、たとえばロック機構付きのスライドスイッチとすることが可能で、認証機能付き印鑑10を鞄やポケットに入れ持ち歩くときに誤って電源が入ってしまうことを防止する。また、バッテリの消費を抑制するとともに、後述するインクが誤って吐出されてしまうことを防止する設計にしておくことが好ましい。表示装置24はたとえば液晶表示装置を用いることができる。表示装置24には、たとえば、認証機能付き印鑑10の動作案内や、使用履歴の表示その他各種メッセージを表示することができる。
【0017】
図1(b)に示すように、印影形成側端面からは先端部16内部に収納された印影形成手段として機能するインクジェットユニット26が見える。インクジェットユニット26の具体的な構成は後述する。インクジェットユニット26の周囲には、インクジェットユニット26の先端であるプリントヘッドが紙などの押印対象物に直接接触することを防止するために、プリントヘッドより僅かに突出するガードブロック28が配置されている。このガードブロック28は、たとえばゴム材や樹脂で形成することが可能であり、印影の形成時に認証機能付き印鑑10と紙の相対位置がずれないように滑り止めとして機能することができる。図1(b)の場合、インクジェットユニット26の周囲にガードブロック28を4個配置する例を示しているが、上述の機能が実現できれば、配置する数は任意でよい。なお、先端部16には、印影を形成しないときにインクジェットユニット26を保護するキャップまたはカバーを装着してもよい。このキャップまたはカバーは自動開閉する構成でもよいし、手動で着脱するものでもよい。
【0018】
インクジェットユニット26が配置された印影形成側端面に対向する逆側端面には、図1(c)に示すように、外部機器との接続端子として、たとえばUSB端子30が配置されている。たとえば、認証機能付き印鑑10のユーザ情報や指紋情報、印影情報、その他各種設定情報を、外部機器を用いて登録編集して、そのデータをUSBメモリに記憶させて、USB端子30を介して、認証機能付き印鑑10に登録することができる。また、使用履歴やバッテリやインクの残量情報など認証機能付き印鑑10側で生成するデータをUSBメモリに移動し、外部機器で管理することができる。このとき登録作業にはパスワードなどを用いることが望ましい。この他、把持部14の端面には、簡易的な表示をする表示装置としてLED32、34が配置されている。このLED32は、たとえば、認証機能付き印鑑10を使用しようとするユーザの指紋が適正認証されたときに緑色に点灯させ、指紋が適正認証されなかった場合、赤色に点灯させることができる。またLED34は、たとえばインクジェットユニット26が形成した印影が登録された印影通りに形成されたときに緑色に点灯させ、印影が登録された印影通りに形成されていない場合、赤色に点灯させることができる。なお、図1(c)の場合、2個のLEDを配置する例を示しているが、LEDの配置数は任意である。複数のLEDの点灯や点滅を組み合わせることにより複数の報知内容を表示できる。たとえば、電源スイッチ20がオンされた場合に、LED32やLED34を上述とは異なる態様で点灯させ電源スイッチがオンされていることを示すようにしてもよい。また、USB端子30の近傍には、モード選択スイッチ22が配置されている。モード選択スイッチ22は、たとえばダイヤル式の切替スイッチとすることができる。モード内容は後に詳細に示すが、たとえば、標準モードは、正規ユーザにより設定された標準の印影、たとえば、名字のみを形成する。標準の印影に役職名や日付などを付加するモードがある。また、標準の印影として名字+役職が設定されている場合、日付や使用場所などを付加するモードがある。また、別の機能として、認証機能付き印鑑10の使用履歴を表示するモードなどもある。
【0019】
図2は、認証機能付き印鑑10の内部構成を説明するブロック図である。認証機能付き印鑑10の内部には、制御部36、記憶部38、指紋検出センサ40、インクジェットユニット26、インクタンク42、押印センサ44、バッテリ46、付加情報受信部48などが収納されている。
【0020】
制御部36はハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子で構成され、記憶部38や指紋検出センサ40などと電気的に接続されている。記憶部38は、正規ユーザに含まれる本人ユーザの指紋情報やその指紋情報と対応する印影情報、本人ユーザの役職など印影に付加する付加印影情報などを保持することができる。また、本人ユーザが本人の代わりに認証機能付き印鑑10を使用することを認めた代理ユーザを正規ユーザとして登録している場合、その代理ユーザの指紋情報、代理ユーザが本人ユーザを代理できる許可期間を示す許可情報などを保持することができる。また、認証機能付き印鑑10の使用状況を示す履歴情報、エラー情報なども保持することができる。
【0021】
本実施形態の場合、指紋検出センサ40は、人差し指用に1個配置する例を示しているが、指紋検出センサで認証する指の種類や指紋検出センサで認証する指の本数は適宜変更することができる。たとえば、人差し指用に代えて親指用の指紋検出センサを配置してもよい。また、人差し指用と親指用の2個の指紋検出センサを配置してもよい。この場合、人差し指と親指の両方で指紋照合を実施するようにすれば、セキュリティ性が向上する。さらに、中指の指紋照合を併用すればさらにセキュリティ性が向上する。また、人差し指または親指のいずれか一方で指紋照合をすることもできる。この場合、たとえば、一方の指に怪我をしていたり、指の表面が乾燥していたり荒れていたりする場合、他方の指で指紋照合を実施することができる。また、怪我などで所定の指が利用できない場合、たとえば、右手の人差し指や親指を怪我している場合、他の指でも認証ができるように、複数の指の指紋を予備的に登録しておくことが望ましい。たとえば、人差し指、親指以外の指や、逆側の手の指の指紋を登録しておくことも好適である。
【0022】
インクタンク42は、インクジェットユニット26のノズルから突出するインクを収容する。インクの種類は任意でるが、形成する画像が印影であることを考慮すると、赤や朱であることが好ましい。また、インクは、単色でも多色でもよい。また、インクに特殊インクを使用することもできる。たとえば、磁性体を含む特殊インクを使用することにより、認証機能付き印鑑10によって印影が形成されたことをインクの特性を検査することで証明することができる。また、印影の一部のみ特殊インクで形成するようにすることも可能で、印影の個人識別性を向上させることもできる。
【0023】
押印センサ44はケース12の先端部16の外環部50の内壁に固定されたリミットスイッチで構成することができる。認証機能付き印鑑10の押印動作のときに内環部52が外環部50の中に侵入してくるときに、押印センサ44の可動アーム44aが内環部52の一部によって押圧され、内部接点を閉じる。この内部接点は、たとえば、ガードブロック28が押印対象物である紙に接触し、内環部52が把持部14側にスライドするタイミングで閉路するように設定する。つまり、ガードブロック28が紙に接触し、インクジェットユニット26がインク吐出に最適な位置まで移動したときに、接点を閉じて印影形成準備が整ったことを示す信号を制御部36に提供する。なお、図2ではリミットスイッチを押印センサ44として利用する例を示したが、インクジェットユニット26がインク吐出に最適な位置まで移動したことを検出できるセンサであればセンサの種類は任意で、たとえば、ディップスイッチでもよいし、光学センサや磁気センサ等を用いてもよい。
【0024】
バッテリ46は、たとえば使い捨ての乾電池や充電式の電池でもよい。バッテリ46は制御部36に電源を供給するとともに、表示装置24、インクジェットユニット26、指紋検出センサ40、LED32、34などにも電源を供給している。そのため、制御部36は所定時間押印操作が行われない場合、自動的に電源を切ったりスリープモードに移行するようにすることが望ましい。なお、記憶部38は、バッテリ46とは別にデータバックアップ用のバッテリを持つことが望ましい。
【0025】
付加情報受信部48は、たとえば電波時計の標準電波や認証機能付き印鑑10の存在する位置情報を受信する。電波時計の標準電波を受信することにより、認証機能付き印鑑10を使用した時刻を正確に使用履歴に残すことができる。また、認証機能付き印鑑10を使用する場所毎、たとえば、会社の場合、本社や事業所、支店などに設置された送信機から送信される位置情報を受信することにより、認証機能付き印鑑10を使用した場所を使用履歴に残すことができる。また、付加情報受信部48がGPS機能を搭載していれば、GPS衛星からの信号を用いることにより任意の場所で使用履歴を残すことができる。この他、位置情報は、たとえばPHSや携帯電話などの基地局情報などからも取得できる。
【0026】
なお、本実施形態の場合、付加情報受信部48は制御部36が押印対象物上に形成する正規ユーザの印影に付加する付加印影を取得する付加情報取得手段として機能することができる。つまり、付加情報受信部48は標準電波や位置情報を付加情報として取得し、制御部36に提供する。制御部36はこの付加情報に基づく使用時刻などの付加印影と指紋認証の結果押印が許可された印影とを合成してインクジェットユニット26を制御する。また、制御部36は、必要に応じて記憶部38から役職名や訂正線、代理マークなどを示す付加情報を読み出し、指紋認証の結果押印が許可された印影に合成することもできる。この場合、制御部36が付加情報取得手段の機能を果たすことになる。
【0027】
図3は、インクジェットユニット26の内部構造の一例を示す概略図である。インクジェットユニット26は、紙面に沿って配列された複数のノズルで形成されたライン型のインクジェットプリントヘッド54と当該インクジェットプリントヘッド54を図3中P1、P2方向に移動させるモータ56を含む。モータ56の回転軸56aにはプーリ58aが固定され、対向配置されたプーリ58bとの間に駆動ベルト60が巻回されている。インクジェットプリントヘッド54のヘッドハウジング62は、固定部64により駆動ベルト60に固定され、モータ56の回転量に応じてインクジェットプリントヘッド54を矢印P1、P2方向に移動させる。また、ヘッドハウジング62はガイドレール66と係合してスムーズに矢印P1、P2方向に移動できるようになっている。
【0028】
印影の形成を許可する条件が揃った場合、つまり、指紋検出センサ40が検出した指紋情報が登録されている指紋情報と一致した場合、制御部36はモータ56およびインクジェットプリントヘッド54の制御を開始する。モータ56は、制御部36の制御にしたがいヘッドハウジング62を矢印P1、P2方向に移動する。同時に、インクジェットプリントヘッド54は、モータ56の回転に同期して出力される制御部36からの印影形成信号にしたがいインクタンク42のインクをノズルから吐出させ所定の印影を形成する。なお、制御部36から出力される印影形成信号は、インクジェットプリントヘッド54の位置を検出し、その位置に応じて出力するようにしてもよい。
【0029】
図4は、インクジェットユニット26の他の構成を説明する概略図である。インクジェットユニット26の内部には図3の例と同様なライン型のインクジェットプリントヘッド54が所定位置に固定配置されている。また、内環部52の先端の一部が後退し回転自在のローラ68の一部が突出している。ローラ68は印影を形成する紙と接触しながら回転する。ローラ68の内部には距離計測カウンタ70のギアと噛合するギアが配置され、ローラ68の回転量、すなわちインクジェットユニット26の移動量を距離計測カウンタ70で正確に計測する。つまり、紙に対して認証機能付き印鑑10を移動させたときの移動量を検出できる。検出した移動量は、制御部36に提供される。その移動量にしたがい、制御部36はインクジェットプリントヘッド54に対し印影形成信号を出力する。ユーザが紙にローラ68を接触させながら認証機能付き印鑑10の位置を移動させると、その移動に対応してインクジェットプリントヘッド54がインクを吐出して移動量に応じて印字ラインを形成する。その結果、ローラ68が所定量移動することにより印影を形成することができる。認証機能付き印鑑10を使用するユーザは、認証機能付き印鑑10を把持して紙の上をなぞるように移動させることにより印影を紙の上に形成することができる。なお、印影の形成を許可する条件が揃っていない場合、つまり、指紋検出センサ40が検出した指紋情報が登録されている指紋情報と一致しない場合、ローラ68が回転しても制御部36はインクジェットプリントヘッド54に対してインクを吐出する制御を行わない。つまり、印影の形成は行われない。なお、認証機能付き印鑑10の移動量を検出できるセンサであれば、ローラ68以外の構成でもよい。たとえば、光学センサを用いて認証機能付き印鑑10の移動量を検出してもよい。この場合、上述のようなローラ68やギアが不要になり、内環部52先端部分の構造がシンプルになる。その結果、認証機能付き印鑑10の操作性やデザイン性を向上できる。なお、認証機能付き印鑑10の移動量を検出するセンサは、形成した印影を読み取ったり、印影を形成する紙を検出する読取部76(図9参照)を利用してもよい。
【0030】
なお、図3、図4の例の場合、インクジェットプリントヘッド54のノズルは、紙面に沿って1列に配列されたライン型であるが、インクジェットプリントヘッドのノズルを縦横それぞれの方向に複数個配置したマトリックス型のプリントヘッドとしてもよい。この場合、印影を形成するためにインクジェットプリントヘッド54を移動させる必要がなくなり、制御部36から供給される印影情報に基づき、一気に印影を形成することができるとともに、モータ56や距離計測カウンタ70が不要になり、認証機能付き印鑑10の構成をシンプルにすることができる。
【0031】
また、ノズルから吐出され飛翔中のインクを偏向させることによって、2次元的に広がるように飛ばして、インクジェットプリントヘッド54を移動させたときと同じような印影を形成してもよい。具体的には、インクジェットプリントヘッド54のノズルと紙との間に、ライン型ノズルに対して、互いに垂直な2組の対の偏向電極板を配置する。インクは、ノズルから加圧されることにより飛び出す。このとき、インクは振動を受けながら粒子化され、同時に負の電荷状態に帯電させられる。この状態のまま正電荷を帯びた偏向電極板の間を通過すると偏向電極板の正電荷の状態に応じて偏向力を受けたインクは、飛翔途中で曲がる。この偏向処理は、偏向電極板の正電荷の状態を変化させればインク一粒ごとに制御可能であり、インクを紙上の所望の位置に着滴させることができる。その結果、インクジェットプリントヘッド54を移動させることなく、図3や図4の構成と同様に2次元的な広がりを持った印影を形成することができる。
【0032】
なお、図1(a)や図1(b)では、インクジェットユニット26を構成するインクジェットプリントヘッドとしてライン型のプリントヘッドを用いる例を示したため、内環部52から見える印影形成領域が四角形になっている。しかし、上述したようにプリントヘッドをマトリックス型にしたり、偏向電極板を用いる場合、内環部52から見える印影形成領域を丸形にすることが可能である。印影形成領域を丸形にすることにより、従来の丸形の印鑑のイメージが強まり、印鑑としての違和感が軽減できる。また、印影形成領域を丸形にすることにより現実に形成する印影と一致するので、印影形成領域を有効に利用することができるという利点もある。
【0033】
図5は、インクジェットユニット26のさらに他の構成を説明する概略図である。上述したように、インクジェットプリントヘッド54をマトリックス型とすることで、印影を一気に形成することができる。図5の例では、容易な構成により印影を一気に形成する例である。図5の場合、プリントヘッドの表面に印影に応じたインク吐出溝72を予め形成しておく。図5の場合、「特田」という名字が彫り抜かれている。そして、印影の形成を許可する条件が揃った場合、つまり、指紋検出センサ40が検出した指紋情報が登録されている指紋情報と一致した場合、制御部36が印影を形成するために、インク吐出溝72を介してインクを一斉に吐出する。その結果、「特田」という印影が形成される。
【0034】
なお、本実施形態では、印影形成手段としてインクジェットプリント方式を採用する例を説明しているが、インクジェットプリント方式に限らず、たとえば、熱転写方式のプリントでも同様な印影を形成することができる。熱転写方式の場合、プリントヘッドユニット内部にインクリボン供給機構が必要になるか、押印対象物として熱転写専用紙を用いる必要が生じる。本実施形態で説明するように、印影形成手段として、インクジェット方式や熱転写方式を用いることにより、一般的な印鑑で可能な2度押し行為を防止することができる。インクジェット方式の場合、朱肉などを用いる一般的な印鑑とは異なり、押印後にインクがヘッド表面に残らないので、指紋認証を行わないまま物理的にインクジェットプリントヘッドを紙に押し当てても印影は形成されない。また、一般的な印鑑で朱肉のないときによく行われる息を吹きかけて朱肉の付着残分で押印しようとする行為も防止することができる。同様に、本実施形態の構造を熱転写方式で実現したときも、熱転写のための熱は迅速に消滅するので、上述のような不正行為が防止できる。
【0035】
ところで、図3や図4のように、インクジェットプリントヘッド54を用いる場合、インクの吐出制御は印影情報に応じて任意に変更できるので、様々な印影を形成することができる。つまり、複数のユーザの指紋情報と印影情報を登録して、複数のユーザで1個の認証機能付き印鑑10を利用することができる。また、複数のユーザを登録できる場合、正規ユーザとして本人ユーザとは別の代理ユーザの登録が可能になる。たとえば、決済書などには、部門の部長印などが必要になるが、特例として部長印の使用を許可された課長などが部長の代理として部長印を使用する場合がある。本実施形態の認証機能付き印鑑10の場合、印鑑の使用には、部長本人の指紋認証が必要になり、部長本人以外は印鑑を使用できない。そこで、本実施形態の認証機能付き印鑑10の場合、本人ユーザの代わりに本人ユーザの印影の使用を許可された代理ユーザの指紋情報を登録することができる。また、本実施形態の認証機能付き印鑑10は、押印に関連するセキュリティ性を向上するために、代理ユーザの指紋情報が有効となる期間を設定できる。
【0036】
図6は、形成できる「印影」と、記憶部38に保持する「正規ユーザ」、「指紋情報」、「許可期間」の関係の一例を説明する説明図である。図6の場合、形成できる「印影」として、「A」、「B」、「C」、「D」が示されている。そして、「正規ユーザ」に含まれる本人ユーザとして印影を登録している「A1」、「B1」、「C1」、「D1」の4人が登録されている。また、「印影A」を使用できる正規ユーザとして、本人ユーザA1の他に代理ユーザとして、「A2」、「A3」の2人が登録されている。また、「印影B」を使用できる正規ユーザは、本人ユーザB1のみで、代理ユーザは登録されていない。同様に、「印影C」を使用できる正規ユーザは、本人ユーザC1のみで、代理ユーザは登録されていない。「印影D」を使用できる正規ユーザとして、本人ユーザD1の他に代理ユーザとして、「D2」が登録されている。なお、図6では、正規ユーザの欄に示される本人ユーザと代理ユーザの識別を容易にできるように本人ユーザには(本人)、代理ユーザには(代理)の添え字を付している。
【0037】
本人ユーザA1の指紋情報として、「a1」が登録され、その指紋情報の有効期間が「all」、つまり、終日無制限に使用できるように登録されている。また、代理ユーザA2の指紋情報として、「a2」が登録され、その指紋情報の有効期間が「9時から14時」が登録され、代理ユーザA3の指紋情報として、「a3」が登録され、その指紋情報の有効期間が「14時から17時」と登録されている。つまり、本人ユーザA1はいつでも登録した自分の印影Aを形成することができる。一方、代理ユーザA2は、9時から14時までの間、自分の指紋を認証させることにより本人ユーザA1の代理として本人ユーザA1の印影Aを形成することができる。また、14時から17時の間は、代理ユーザA3が自分の指紋を認証させることにより本人ユーザA1の代理として印影Aを形成することができる。なお、本人ユーザB1、本人ユーザC1には、代理ユーザの設定がないので、本人ユーザB1の登録した印影B及び本人ユーザC1の登録した印影Cは、指紋情報b1、c1を有する本人ユーザB1、本人ユーザC1本人しか使用することができない。また、印影Dを使用できる本人ユーザD1の指紋情報として「d1」が登録され、その代理ユーザD2の指紋情報として「d2」が登録されている。代理ユーザD2は、8月20日の終日、本人ユーザD1に代わり印影Dを形成することができる。言うまでもなく本人ユーザD1は8月20日の終日、印影Dを形成することができる。なお、認証機能付き印鑑10が本人ユーザA1の専用として利用される場合には、記憶部38は、「本人ユーザA1(正規ユーザ)、指紋情報a1、許可期間all」のみを保持することになる。また、本人ユーザでも勤務時間中のみ押印を許可するようにすることが可能である。この場合、許可期間は「9時から17時」などとなる。
【0038】
このように、印影を形成できる正規ユーザとして、本人ユーザの登録に加え、代理ユーザの登録を可能にすることで、1本の認証機能付き印鑑10を複数のユーザで使用することができる。
【0039】
印鑑を使用する場合、その印鑑を何時使用したかの使用履歴を持つことが印鑑の管理上重要である。また、上述のように複数のユーザが同じ印鑑を使用する可能性がある場合や代理ユーザが印鑑を使用する場合には、印鑑の使用履歴は業務管理上有用となる。使用履歴としては、簡易的には使用者のみを順次記憶することができる。また、本実施形態の付加情報受信部48により電波時計の標準電波や位置情報を取得して、その情報を使用履歴に付加することができる。
【0040】
図7は、使用履歴の一例を示す説明図である。使用履歴には、指紋認証により確認できる「使用者」と、電波時計の標準電波に基づき確認できる「使用日」と「使用時刻」、位置情報により確認できる「使用場所」、及び制御部36がインクジェットプリントヘッド54に対して指示した「印影」などを記録することができる。なお、認証機能付き印鑑10にカレンダ時計を内蔵し、「使用日」と「使用時刻」を記録するようにしてもよい。また、位置情報は、たとえば、東京本社や神奈川支社などに設置された送信機から送信される位置情報を受信することにより取得することができる。また、付加情報受信部48がGPS機能を搭載していれば、GPS衛星からの信号を用いて任意の場所で使用履歴に使用場所を残すことができる。この場合、緯度経度を直接記録するようにしてもよいし、地名などを記録してもよい。この他、位置情報を取得する方法として、PHSや携帯電話の基地局情報を取得しておおよその位置を記録してもよい。図7の場合、たとえば、使用者A1(本人ユーザA1)が、2006年8月20日9時32分に東京本社で印影Aを形成したことが記録されている。
【0041】
このように、印影を形成した履歴を残すことにより、印鑑の管理を効率的にすることができる。また、指紋認証によりユーザを特定した上で、何時、何処で印鑑を使用したかを記録するので、使用したユーザの所在証明装置として認証機能付き印鑑10を活用できる。
【0042】
なお、使用履歴の情報は記憶部38に保持し管理することができる。また、適宜、USB端子30を介して外部装置に使用履歴を取り出し別途管理してもよい。
【0043】
図8(a)〜(g)は、上述した構成の認証機能付き印鑑10の印影モード切替えにより形成できる印影の例を示している。本実施形態の場合、図8(a)に示す最もシンプルな印影である、「特田」という名字のみの印影を基準の印影として、必要に応じて付加印影である役職や使用日時などを付加する例を説明する。なお、印影の大きさは、たとえば初期設定などで設定可能とすることができる。
【0044】
図8(b)は、図8(a)の基準の印影に対し、付加印影として「技術部長」が設定された場合である。この付加印影は記憶部38に保持された付加情報を用いて制御部36で基準の印影に合成される。図8(c)は、付加印影としてさらに認証機能付き印鑑10の使用日「2006.8.20」が設定された場合である。制御部36は使用日時を付加情報受信部48が受信した電波時計の標準電波に基づき確定してもよいし、内蔵するカレンダ時計に基づき確定してもよい。
【0045】
図8(d)は、本人ユーザである「技術部長 特田」の印鑑を代理ユーザが使用したときに、付加印影として代理を示す「代」のマークが設定された場合である。この「代」のマークも記憶部38に保持され、代理ユーザの指紋認証が行われ、本人ユーザの印影の使用が認められたときに付加される。
【0046】
図8(e)は、図8(c)の印影に対しさらに付加印影として、認証機能付き印鑑10の使用時刻「PM3:46」が設定された場合である。制御部36は使用時刻を付加情報受信部48が受信した電波時計の標準電波に基づき確定してもよいし、内蔵するカレンダ時計に基づき確定してもよい。なお、時刻表示は、図8(e)のような12時間表示でもよいし、24時間表示でもよい。図8(f)は、図8(e)の印影に対しさらに付加印影として、認証機能付き印鑑10の使用場所「at東京本社」が設定された場合である。制御部36は使用場所を付加情報受信部48が受信した位置情報に基づき確定することができる。なお、上述した各付加印影の合成は、モード選択スイッチ22の選択操作で実行することができる。
【0047】
図8(g)は、モード選択スイッチ22で選択できる訂正印モードの印影である。この場合、訂正を行ったユーザを示す名字を示す印影が小さく形成され、訂正を示す訂正線が併せて形成される。なお、この訂正印モードにおいても、役職名や使用日時や使用場所を示す付加印影を併せて形成してもよい。なお、上述のような付加印影を加えて印影を形成した場合、図7で説明した使用履歴にその旨の情報を残すようにしてもよい。
【0048】
このように、本実施形態では、指紋認証を行い印影形成が許可された場合のみ、インクジェットユニット26の制御を行い印影を形成する。このときインクジェットプリントヘッド54で印影を形成するので、用途に応じて様々なタイプの印影を形成することができる。また、認証機能付き印鑑10の使用日も自動的に付加することができるので、従来の日付付き印のように、使用日の設定が不要になり迅速に正確な使用日挿入を実施できる。また、上述の例では、モード選択スイッチ22によりモード切替を実行する例を示したが、このモード切替は、他の手段により実行することもできる。たとえば、認証に使う指ごとに図8(a)から図8(g)のような印影を登録しておき、指紋認証により印影の選択を行うようにしてもよい。たとえば、右手人差し指の場合は、図8(b)に示す部長印を形成する。また右手中指の場合は、図8(a)に示す名字のみの個人印を形成する。同様に、薬指や親指にも個別の印影を割り当てることができる。また、所定時間内に連続的に指紋認証を行うことで形成する印影の切り替えを行ってもよい。たとえば、2秒以内に人差し指で2回認証を行うことにより図8(d)の印影を形成するようにしてもよい。また、2秒以内に人差し指に続き中指で認証を行うことにより図8(g)の印影を形成するようにしてもよい。なお、指紋認証に用いる指の設定は、右手でも左手でも可能である。このように、認証に用いる指で簡易的にモード切替を行うようにすれば、連続的に押印する場合に、認証機能付き印鑑10を持ち替えてモード選択スイッチ22を操作する手間が省略できるので、使い勝手が向上する。
【0049】
図9は、本実施形態の認証機能付き印鑑10に使用するインクジェットユニット26の他の構成を説明する概念構成図である。図9に示すインクジェットユニット26の基本構成は、図3に示すインクジェットユニット26と同じであり、同一の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。図9に示すインクジェットユニット26は、押印対象ライン4(たとえば紙)に形成された印影を読み取る読取部76を有している。この読取部76は、インクジェットプリントヘッド54のノズル配列と平行に配列されたライン型発光素子76aとライン型受光素子76bで形成することができる。また、読取部76はインクジェットプリントヘッド54が形成した印影を順次読み取れるように、印影形成方向(矢印P1)方向に対し後側で、好ましくはインクジェットプリントヘッド54に密着する状態で配置されている。
【0050】
インクジェットプリントヘッド54で印影を形成する場合、押印対象物74の材質や状態または吐出するインクの状態や押印対象物74との相性により、図10(a)のように滲み78やかすれ80を生じる場合がある。このような滲み78やかすれ80は印影としては好ましくない。そこで、本実施形態では、インクジェットプリントヘッド54により形成した印影を逐次読み取り、その印影情報を制御部36に提供する。制御部36の判定部82では記憶部38から読み出した印影情報と読取部76で取得した印影情報との比較を行い両者の一致度の判定を実行する。制御部36に含まれるエラー処理部84は判定部82による判定が所定の一致度に到達しない場合、印影形成に失敗した旨を示すエラー処理を実行する。エラー処理は、たとえば、LED34を赤色に点灯させたり、表示装置24に印影形成に失敗した旨を示すメッセージを表示したり、スピーカを用いて警報音を出力することができる。また、使用している押印対象物74の確認や、インクジェットプリントヘッド54のノズル詰まりの確認などを促すメッセージを出力してもよい。また、印影の形成中に認証機能付き印鑑10または押印対象物74が動いてしまい、印影が二重になってしまったり、不連続になってしまう場合もある。このような印影形成エラーも上述の読取部76による印影確認処理により検出できる。
【0051】
形成した印影を読み取る読取部76は、押印対象物74上に印影を形成可能か否か検査する検査手段として機能する。たとえば、制御部36は、押印対象物74がインクジェットプリントヘッド54に対面する所定位置に存在するか否かをライン型発光素子76aの投光した光をライン型受光素子76bで受光できるか否かで判断することができる。本実施形態の場合、押印センサ44により先端部16のスライドを検出して押印操作が行われたか否かを判断し、不用意にインクが吐出されてしまうことを防止している。しかし、ポケットや鞄の中で、たまたま指紋認証窓18に指が触れて指紋認証が行われ、さらに先端部16がスライドしてしまう場合もある。そこで、制御部36は指紋認証が許可され、押印センサ44がオンされるという条件に加え、さらに読取部76のライン型受光素子76bが所定強度の反射光を受光した場合に、押印許可条件が揃ったと判断するようにすることができる。このように、ユーザの操作負担にならない程度で複数の印影許可条件を設定することにより、不用意なインク吐出の防止を確実に実施することができる。
【0052】
ところで、読取部76は押印対象物74上に印刷されている線図を読み取ることができる。印鑑で押印する場合、押印位置が押印対象物74に示されている場合がある。たとえば、図11(a)に示すように、承認印を押すべき領域として、印影枠86が示される場合がある。また、図11(b)に示すように、署名線88や印マーク90が示される場合がある。
【0053】
本実施形態において、読取部76は押印に先立ち印影枠86、署名線88、印マーク90などを検出する。制御部36は、上述した押印許可条件として、指紋認証の成功と押印センサ44のオンと読取部76による押印対象物74の確認に、さらに押印位置の確認を加えることができる。つまり、他の条件が揃っていたとしても、認証機能付き印鑑10の先端部16が印影枠86内に入っていない場合、印影の形成は禁止される。また、認証機能付き印鑑10の先端部16が、署名線88や印マーク90の存在しない位置にある場合、印影の形成は禁止される。つまり、インクの吐出が禁止される。先端部16が印影枠86内に入っているか否かは、たとえば、LED32、LED34、表示装置24などによる表示や警報音の出力によりユーザに報知できる。また、これらの報知を用いて、最適な位置に先端部16を移動させるように誘導する案内を実行することもできる。このように読取部76により押印位置の確認を行い、押印の可否を決めることにより、間違った位置に押印してしまうことを確実に防止することができる。なお、読取部76はインクジェットプリントヘッド54に対し固定された位置に配置されるので、制御部36は、検出した印影枠86や署名線88に対し、現在形成しようとする印影がどの程度傾くかを検出することができる。通常押印は、左に傾いた姿勢で行われることが好ましい。そこで、制御部36は、印影の姿勢が最適な状態であるか否かを押印許可条件に加えるようにしてもよい。この条件を加えることにより、たとえば、印影を逆さまや不適切の角度で形成してしまうことを確実に防止できる。
【0054】
なお、読取部76は図4の構成にも適用可能であり、インクジェットプリントヘッド54の印影形成方向に対して後方側に配置しておけば、図9と同様の効果を得ることができる。また、図4の構成に適用する場合、読取部76は広範囲の読み取りが可能なタイプとしてプリントヘッドの側方の位置に固定するようになる。ただし、この場合、印影を斜めからスキャンすることになるので印影情報の補正が必要になる。別の方式としては、図9と同様なライン型の読取部76をプリントヘッドの側方の位置に固定し、印影形成後に認証機能付き印鑑10を印影上で移動させて、形成した印影をスキャンするものでもよい。この場合は、図9の例と同様な結果が得られるので補正の必要はない。
【0055】
また、形成した印影のスキャンは、印影形成後、別の機会に実行することもできる。この場合、すでに押印対象物74(紙など)に形成された印影が、現在保持する認証機能付き印鑑10で形成したものであるか否かを検証することが可能になり、認証機能付き印鑑10を印影確認装置として利用することもできる。
【0056】
上述のように構成される本実施形態の認証機能付き印鑑10の印影形成処理を説明するフローチャートを図12に示す。
【0057】
認証機能付き印鑑10を使用しようとするユーザは、まず、電源スイッチ20をオンし、人差し指を指紋認証窓18に接触させる。制御部36は指紋検出センサ40を介して取得した指紋情報に基づき指紋認証を実行する(S100)。指紋認証窓18に人差し指を接触させたユーザの指紋情報が記憶部38にない場合、つまり指紋認証が否定された場合(S100のN)、如何なる操作が行われても印影形成を実行することなくこのフローを終了する。
【0058】
S100において、指紋認証が肯定された場合(S100のY)、制御部36は記憶部38から認証した指紋情報に対応する印影情報を選択する(S102)。続いて、ユーザがモード選択スイッチ22により付加印影の付加を設定している場合(S104のY)、制御部36は対応する付加情報、たとえば、使用日時を示す情報や使用場所を示す情報、役職を示す情報などを取得する。制御部36は取得した印影情報と正規ユーザの基本の印影とを合成する(S106)。S104において、ユーザが付加印影を設定していない場合(S104のN)、S106の処理をスキップする。
【0059】
続いて、読取部76により押印対象物74(紙)の検出が行われた場合(S108のY)、制御部36は押印位置のガイドを実行する(S110)。つまり、先端部16が印影枠86などに対し適正な位置にセンタリングされるように案内を実行する。この押印位置ガイドは、読取部76の検出により先端部16が押印対象物74上の適正な位置に位置決めされるまで実行される(S112のN)。先端部16が押印対象物74上の適正な位置に位置決めされたことが確認され(S112のY)、ユーザによる押印操作が実行された場合(S114のY)、制御部36は選択または合成した印影情報に基づくインク吐出制御を実行する(S116)。このとき同時に、読取部76により順次形成される印影を読み取る(S118)。S116のインク吐出の処理と印影読み取りの処理は、選択または合成した印影情報に基づく印影が完成するまで継続される(S120のN)。印影が完成した場合(S120のY)、制御部36は今回の押印操作に先立ち取得した認証結果をキャンセルする(S122)。つまり、印影の形成毎に認証が必要となり、再度印影を形成する場合には、再度指紋認証を実施し正規ユーザであることを認められることが必要となり、セキュリティ性を向上でききる。
【0060】
その後、制御部36は、S118で読み取った印影情報とS102で選択した印影情報またはS106で合成した印影情報との一致度を求め、両者が所定一致度以上の関係にあると判定された場合(S124のY)、印影形成が正常に行われた旨を示すOK処理を実行する(S126)。OK処理は、たとえば、LED34を緑色に点灯させたり、表示装置24に印影形成成功を告げるメッセージを表示したり、印影形成成功を告げる音声、たとえば「ピッ」などの短音を出力し、このフローを終了する。また、S124の処理で両者が所定一致度以上の関係にないと判定された場合(S124のN)、印影形成が正常に行われなかった旨を示すNG処理を実行する(S128)。NG処理は、たとえば、LED34を赤色に点灯させたり、表示装置24に印影形成失敗を告げるメッセージを表示したり、印影形成失敗を告げる音声、たとえば「ピッー」など長音を出力し、このフローを終了する。なお、S108の処理で所定時間(たとえば2秒)経過しても押印対象物74(紙)の検出ができなかった場合(S108のN)、S110以降の処理をスキップして、一連の印影形成処理を終了する。また、S114の処理で所定時間(たとえば2秒)経過してもユーザによる押印操作が実行されない場合(S114のN)、S116以降の処理をスキップして、一連の印影形成処理を終了する。
【0061】
なお、図12のフローチャートでは、一旦指紋認証が肯定された後に認証結果をキャンセルするためには、印影を形成しなければならなかった。別の例として、S100の処理で指紋認証が肯定された場合、印影形成の有無に拘わらず認証結果を所定時間経過後にキャンセルするようにしてもよい。たとえば、正規ユーザが認証機能付き印鑑10の指紋認証窓18に誤って触れて指紋認証が実行され認証が肯定された場合、印影の形成が可能になってしまう。つまり、第三者が指紋認証なしで印影を形成できる状態になってしまう。そこで、S100の処理で指紋認証が肯定された場合、印影形成の有無に拘わらず認証結果を所定時間経過後、たとえば、認証後2秒でキャンセルすれば、正規ユーザ以外の不正使用を防止することが可能になり、セキュリティ性が向上できる。
【0062】
また、別の例では、S100の処理で指紋認証が肯定された場合、印影形成回数に拘わらず認証結果を所定時間経過後にキャンセルするようにしてもよい。たとえば、複数枚綴りの書面に連続的に押印する場合、一度指紋認証が肯定されたらその後は指紋認証を行わず連続的に印影を形成したい。この場合、印影形成回数に拘わらず認証結果を所定時間経過後にキャンセルするようにすれば、指紋認証が省略されスムーズな押印動作を実現することができる。なお、この場合、認証結果をキャンセルするまでの時間、つまり、認証結果の有効期間は、モード選択スイッチ22などにより、1回の印影形成に十分な期間、たとえば1秒〜無制限まで任意に設定できるようにしてもよい。ただし、設定された有効期間内であっても、たとえば、電源スイッチ20がオフされた場合や正規ユーザであるか否かに拘わらず再度指紋認証が行われた場合には、先の認証結果はキャンセルされ、新たに指紋認証が肯定されるまで、印影形成を実行しないようにすることが望ましい。
【0063】
ところで、本実施形態の認証機能付き印鑑10の印影は、指紋認証によって厳重に管理されている。しかし、認証機能付き印鑑10のケース12が開けられ記憶部38が取り出されたり、内部の配線が変更された場合、印影情報や指紋情報が漏洩したり不正使用されたりする虞がある。そこで、本実施形態の認証機能付き印鑑10は、ケース12が所定の手順や所定の工具を用いて開封されなかった場合、印影情報の漏洩や不正使用を阻止する手段を含むことができる。図13は、印影情報の漏洩や不正使用を阻止する手段として、不正信号発生部92と印影形成阻害部94を含む認証機能付き印鑑10の概念構成図(一部)である。不正信号発生部92は、ケース12が不正にアクセスされた場合に不正信号を生成する。ケース12への不正アクセスは、たとえば、ケース12の内面に導電塗料を塗っておき、ケース12が破損された場合に、不正信号発生部92が導通不良になり不正信号を発生するようにすることができる。なお、この場合破損検出に用いる電流は極僅かとして、バッテリ46の浪費には繋がらないようにすることが望ましい。また、所定の形状の工具を不正信号発生部92に挿入せずにケース12の係合部を外した場合に不正信号を発生するようにすることができる。記憶部38の取り出しや内部配線の変更などは、いずれもケース12の開封や破損が伴うので、ケース12への不正アクセスを検出することにより、印影情報の漏洩や不正使用の危険に晒されていることを検出できる。
【0064】
また、記憶部38をDRAMのような電源を必要とする構成とし、ケース12の分解用のネジをバッテリ46や電池ケースの下に配置し、バッテリ46や電池を取り外さないとケース12を分解できないようにしてもよい。この場合、ケース12の分解を行うには、必ずバッテリ46や電池を外す必要が生じ、そのときに記憶部38の記憶内容が消去させるので、印影情報の漏洩を確実に防止することができる。なお、この場合、誤操作防止やバッテリ46や電池の交換時に印影情報が消去されることを防止できるように、コンデンサなどを配置し、瞬断に耐える構成にすることが望ましい。
【0065】
印影形成阻害部94が不正信号発生部92からの不正信号を取得した場合に、記憶部38の記憶内容の読み出しを禁止することができる。この場合、記憶内容の読み出しを禁止は、記憶内容の呼び出しをロックしてしまう場合や記憶内容自体を消去してしまう場合を含む。記憶内容の呼び出しをロックする場合は、たとえば本人ユーザや製造元が設定したロック解除操作を実行する必要がある。また、図5に示しように、インク吐出溝72を形成しているタイプで記憶部38が具体的な印影情報を含む必要がない場合、インクジェットユニット26のインク吐出面を物理的に変形または破壊することにより印影形成を阻害してもよい。たとえば、印影形成阻害部94が不正信号発生部92からの不正信号を取得した場合、インク吐出溝72にネジをねじ込みインク吐出溝72の形状を崩す。このような印影形成阻害処理を実行することにより、指紋認証により守られた印影の漏洩を確実に防止し、認証機能付き印鑑10の信頼性を向上することができる。
【0066】
上述のように印影情報の漏洩や不正使用を阻止する手段を含まなくてもソフト的に同様な効果を得ることもできる。上述のようにハード的な阻止手段を含まない場合、記憶部38やインクジェットプリントヘッド54が認証機能付き印鑑10から取り出され、別の筐体に接続され印影形成が行われてしまうことも考えられる。そこで、インクジェットプリントヘッド54の動作前に流すスタート信号と指紋認証の出力信号とをセット(ユニーク)にしておく。つまり、個々の認証機能付き印鑑10に付与する製造番号毎に記憶部38や指紋検出センサ40やインクジェットプリントヘッド54をユニークにしておく。たとえば、スタート信号と出力信号は、製造設定時にセット化され、このスタート信号と出力信号の組み合わせが揃ったときのみインクジェットプリントヘッド54が機能し印影作成動作を実行するようにする。その結果、同一構造の認証機能付き印鑑10に不正に入手したインクジェットプリントヘッド54や指紋検出センサ40、記憶部38など一部の部品を差し替えても、もとの指紋検出センサ40とインクジェットプリントヘッド54のペアでなければ動作しないようにすることができる。その結果、印影情報の漏洩や不正使用を阻止できる。
【0067】
なお、認証機能付き印鑑10に登録する印影情報や指紋情報は、たとえば専用の読み取り装置を用いて採取して、認証機能付き印鑑10の製造元でROMに書き込むことがセキュリティ上望ましい。ただし、専用の登録ソフトを配布し、印影情報や指紋情報をユーザ側で追加できるようにしてもよい。特に代理ユーザの指紋情報の登録や代理許可期間の登録は、ユーザ側でできるようにすると使い勝手が向上する。同様に、本人ユーザの印影情報や指紋情報の追加登録をユーザ側で可能にすることにより使い勝手が向上する。この場合、印影情報は、実際に朱肉などを用いて押印した印影を読取部76で読み込むことにより登録することができる。同様に、指紋情報は指紋検出センサ40でユーザの指紋を読み取ることにより登録することができる。ただし、印影情報の場合、コピー印影などを登録される虞があるため、特定の権限を与えたもののみができるようにしたり、製造元のみで登録できるようにすることが望ましい。
【0068】
また、印影情報や指紋情報は、USB端子30を介してダウンロードやアップロードすることもできる。この場合の印影情報や指紋情報の元データは製造元でのみ作成できるようにしておくことが望ましく、ダウンロードやアップロードの際にはパスワードなどを設定することがセキュリティ上好ましい。
【0069】
なお、上述した認証機能付き印鑑10の付加機能として、たとえば、インクタンク42のインク残量やバッテリ46の充電量の残量表示機能やバッテリやインクの補充交換アラーム機能を追加してもよい。また、インクの残量計測に基づき、残りの印影形成可能回数の表示を実施する機能を追加してもよい。
【0070】
また、本実施形態では、認証機能付き印鑑10を単体構造とした場合を説明したが、他の物品と結合させたもよい。たとえば、筆記具と結合させたり、携帯電話と結合させてもよい。特に携帯電話の場合、携帯性に優れているとともに、指紋認証システムやカレンダ時計機能、位置情報取得機能、バッテリ、表示装置など共用できる部材を多く含むので構成上有利な点が多く、コストダウンに寄与できる。
【0071】
また、本実施形態では、認証機能付き印鑑10を図1に示すように、従来の小型の印鑑と同様に、人差し指と親指でつまむようにして保持するタイプを例にとり説明したが、指紋認証を行った上で、適正認証されたことを契機に印影を形成する構成であればよい。たとえば、把持部14を太く形成し、5本の指で鷲掴みにするようにしてもよい。この場合、親指の指紋認証は把持部14の頂部で実施でき、他の4本の指の指紋認証は把持部14の側面で実施することができる。つまり、5本の指で指紋認証が可能になり指紋認証精度が向上できる。なお、この場合も親指のみの認証や人差し指のみの認証、それらの組み合わせでもよい。
【0072】
また、本実施形態では、正規ユーザの指紋認証が適正認証された場合にのみ印影を形成する例を説明したが、複数のユーザの指紋が登録できる場合、複数の指紋認証の結果、全て適正認証が行われた場合に、連帯印を示す印影を形成することも可能である。たとえば、複数人の指紋認証を所定時間内に完了した場合に限り、1つの印影を形成できるようにすることができる。このようにすれば、たとえば部長と課長が同時にその場に居ないと連帯の確認印が形成できないようにすることができる。また、このような場合に、形成する印影に連帯人のマーク、たとえば名字や役職などを付加印影として付加してもよい。
【0073】
なお、本実施形態の図2で示す構成は、様々なオプション機能を盛り込んだもので、最低限、指紋認証を実行する機能と、その指紋認証の結果、正規ユーザが認証された場合に印影を形成できる機能があればよい。つまり、その他のセンサや表示装置は適宜省略または追加可能であり、所望の機能を有する認証機能付き印鑑10を構成できる。
【0074】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0075】
このほかにも、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、本実施形態において示された各機能ブロックの単体もしくはそれらの連係によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【符号の説明】
【0076】
10 認証機能付き印鑑、 12 ケース、 14 把持部、 16 先端部、 18 指紋認証窓、 26 インクジェットユニット、 36 制御部、 38 記憶部、 40 指紋検出センサ、 54 インクジェットプリントヘッド、74 押印対象物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押印するユーザが把持可能なケースと、
押印により形成される印影と対応する正規ユーザの指紋情報を保持させる記憶手段と、
前記ケース内に収納され、押印対象物に印影を形成する印影形成手段と、
前記ケースを把持するユーザの指紋情報を前記ケースに形成された指紋取得面を介して取得する指紋情報取得手段と、
前記指紋情報取得手段が取得した指紋情報と前記記憶手段に保持された正規ユーザの指紋情報とに基づき前記ケースを把持するユーザが正規ユーザであるか否か認証判定する認証手段と、
前記ケースを把持するユーザが正規ユーザであることを示す適正認証が行われたことを条件に、認証された正規ユーザに対応する印影を前記押印対象物上に形成するように前記印影形成手段を制御する制御手段と、
を含み、
前記記憶手段は、前記正規ユーザが認証を受けられる期間を定めた認証許可期間情報を保持し、
前記認証手段は、前記正規ユーザの指紋情報を用いた認証処理を前記認証許可期間情報で認証が許可された期間のみ可能にし、
前記制御手段は、認証に基づき前記印影形成手段に印影を形成させる際に少なくとも印鑑の使用時間と使用場所を含む付加情報を取得する付加情報取得手段を含み、
さらに、前記記憶手段は、前記付加情報取得手段が取得した前記付加情報を履歴として保持することを特徴とする認証機能付き印鑑。
【請求項2】
前記制御手段は、前記適正認証が行われた後、印影形成の有無に拘わらず所定時間経過後にその認証をキャンセルすることを特徴とする請求項1記載の認証機能付き印鑑。
【請求項3】
前記制御手段は、前記押印対象物に前記付加情報に対応する付加印影と前記印影とを合成して形成するように前記印影形成手段を制御することを特徴とする請求項1または請求項2記載の認証機能付き印鑑。
【請求項4】
前記指紋情報取得手段は、前記ケースを把持したときに人差し指の指紋情報を取得する位置に設けられた人差し指用情報取得手段と親指の指紋情報を取得する位置に設けられた親指用情報取得手段を少なくとも有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の認証機能付き印鑑。
【請求項5】
さらに、前記押印対象物上に印影を形成可能か否か検査する検査手段を含み、
前記制御手段は、前記検査手段が印影形成可能であると判定した場合、前記押印対象物に前記印影を形成するように前記印影形成手段を制御することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の認証機能付き印鑑。
【請求項6】
前記記憶手段は、前記正規ユーザとして、印影と対応する本人ユーザの指紋情報と、当該本人ユーザの代わりに本人ユーザの印影の使用を許可された代理ユーザの指紋情報とを保持し、
前記認証許可期間情報は、前記代理ユーザの方が前記本人ユーザよりも短い認証の許可期間を設定することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の認証機能付き印鑑。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−213326(P2010−213326A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100575(P2010−100575)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【分割の表示】特願2009−291911(P2009−291911)の分割
【原出願日】平成18年8月15日(2006.8.15)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)
【Fターム(参考)】