Δ−9−THC−アミノ酸エステルを含む組成物及び調製方法
式
の組成物。
式中、R1、R2、及びR3がアミノ酸残基、例えばバリン、サルコシン、ロイシン、グルタミン、トリプトファン、チロシン、アラニン、及び4(4-アミノフェニル)酪酸又はこれらの組み合わせ、並びにこれらの塩である。これらの組成物の調製方法及び医薬として許容し得る製剤を用いて、医薬として許容し得る担体における少なくとも1つのこれらの組成物の投与を含む、THCに応答性のある任意の疾患容態を治療する方法。
の組成物。
式中、R1、R2、及びR3がアミノ酸残基、例えばバリン、サルコシン、ロイシン、グルタミン、トリプトファン、チロシン、アラニン、及び4(4-アミノフェニル)酪酸又はこれらの組み合わせ、並びにこれらの塩である。これらの組成物の調製方法及び医薬として許容し得る製剤を用いて、医薬として許容し得る担体における少なくとも1つのこれらの組成物の投与を含む、THCに応答性のある任意の疾患容態を治療する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Δ-9-THC-アミノ酸エステルを含む組成物及び該エステルの調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
【化1】
I:Δ9−テトラヒドロカンナビノール(THC)の構造
Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC,I)は、インドアサ植物(マリファナ)の主要活性成分であり、薬理学的作用の大部分の原因である。人々は、古代以来、医学的目的のために、及びその中毒特性のために、該植物(数多くのカンナビノイドを含む)を利用してきた。マリファナは主として、乱用薬物として公知であるが、本発明者は、適切な送達機序を考慮すると、特異的治療効果に向けることが可能な、活性成分THCの重要な薬理学的特性があると考えている。今日まで、食品医薬品局(FDA)によって認可された最も有望な臨床適用は、化学療法に伴う悪心及び嘔吐の制御のため、並びに食欲不振及びるいそう症候群を罹患しているエイズ患者の食欲刺激のためである[1,2]。
【0003】
しかしながら、THCは、さらなる治療適用が可能となる他の生物活性を示している。該生物活性には、緑内障[3]、片頭痛[4,5]、痙縮/てんかん発作[6,7]、不安[8]、及び化学物質依存離脱症候群が含まれる。また、より近年では、THCは、鎮痛薬としての認識が高まってきている[1,2,6,7]。これらの有望な生物活性により、THCには、複数の医学的用途の可能性がある。
【0004】
THCの全身性送達における挑戦:
研究された非経口製剤には、筋肉内調製物[9]及び静脈内剤形が含まれる(いずれもFDAによって認可されていない)。注射可能な製剤は、侵襲性であること及び専門的補助を必要とすることという問題に満ちており、それゆえ、多くの場合、自己投薬することができない。さらに、これらの非経口経路は、本質的に乱用されやすい。
【0005】
このように、THCのための非経口送達系についての探究が続いている。THCの物理化学的特徴は、多くの他の親油性剤のように、薬剤送達科学者に大きな挑戦を課す。THCのlogP(logオクタノール/水分配係数)は約4.0であり、高い親油性化合物であることを示している。結果的に、胃腸液におけるTHCの溶解度及び消化器系膜から全身性循環への分配は、著しく限定されるであろう。さらに、THCは、肝チトクロムP450酵素によってTHCの望ましくない副作用の原因である11-ヒドロキシ代謝産物(11-OH-THC)へと迅速に代謝される[9,10]。望ましい血漿レベルは、10ng/mLの範囲であり、これは有意に「高い」(100ng/mL超の)血漿レベルを生成しないで治療効果を提供するのに十分である[11,12]。THCの胃腸安定度が乏しいことはさらに、経口吸収を妨げる。これらの因子はともに、最も好ましい投与経路である経口投与後のTHCの全身利用度を最小化するよう作用し、治療用のマリファナの支持者によって公開討論に持ち込まれた主要問題の1つ、すなわち現に利用可能な軟質ゼラチン製剤が高価であり、その治療作用及び薬物動態特性における一貫性を欠失しているという事実の基礎を形成する。しかしながら、FDAによって現に認可されている唯一のTHC剤形が経口軟質ゼラチンカプセル(Marinol(登録商標))であることに留意することが重要である。
【0006】
腸での吸収及び代謝における挑戦を考慮すると、鼻経路及び吸入経路を通じてTHCを送達する試みがなされてきた[13-15]。GW Pharmaceuticals, UKによって実施された近年の第1相薬物動態研究[16]において、カンナビス系抽出物を舌下、頬側、及び中咽頭の3つの異なる投与経路によって試験した。舌下ドロップ及びポンプ作用舌下スプレー(PASS)の形態で製剤を投与した。本研究において、舌下経路及び中咽頭経路と比較した場合、PASS試験治療薬の頬側投与が、より遅いTmaxだがより大きなCmaxを結果的に生じることが報告された。しかしながら、AUは、中咽頭経路後に最大であることが報告された。舌下経路及び中咽頭経路と比較して、頬側投与後の生物学的利用度(AUCで測定)がより低いことは、頬の内側への噴霧の困難さ及びその後の噴霧の損失と最も関連しそうである。
【0007】
有望だが、鼻経路及び中咽頭経路には問題がある。その問題とは、例えば、可能性のある刺激作用及び、鼻剤形の慢性適用に由来する鼻腔の線毛作用に対する不可逆的損傷、並びにこの部位からの薬剤吸収に有意に影響を及ぼし得る鼻粘膜における粘液分泌の被験者内の変動性及び被験者間の変動性である。また、投与の吸入経路は、高い乱用特徴を有する。さらに、THCの噴霧製剤は、喉の刺激作用の剤形と関連した有害作用を有することが示されている[16]。検討した他の非経口経路には、舌下[17]、直腸[17〜20]、及び膣[21]が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、Δ-9-THC-アミノ酸エステルを含む組成物、その調製方法、及び異なる疾患容態の治療におけるそれらの使用を含む。
また、本発明は、Δ-9-THC-アミノ酸エステルの調製方法も記載する。本発明の組成物はこれまでにまだ記載されていない。
本発明の化合物は、一群のアミノ酸エステルを表しており、THCの製剤特徴及び生物学的利用度を高めるものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
アミノ酸抱合体は、有意により親水性でありかつより大きな熱安定性、化学的安定性、及び酵素的安定性を呈するTHCプロドラッグを生じることができる。これらの組成物は、化学療法による嘔吐、HIV患者のるいそう候群、多発性硬化症、緑内障、痙縮、及び疼痛を含む、THCによって寛解することが公知の多くの疾患状態のための有意な治療選択肢を提供するであろう。適切な製剤で投与されると、これらの組成物は、THC治療法に関する有害作用を低下させるであろう(すなわち、11-OH-THC代謝産物のレベルを減少させる)。
【0010】
THCのためのプロドラッグとしてのTHC-アミノ酸エステルを、本発明において、THCとアリル保護した異なるアミノ酸とのカップリングによって、THC-アリル保護したアミノ酸エステルを生成し、これを脱保護してTHC-アミノ酸エステルを生成した。THC(図1)を、すべてのTHC-アミノ酸エステルの出発材料として用いる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】プロドラッグ/TMPシステムの概念の有用性に関する模式図。TMPシステムと組み合わせた、親ドラッグTHC(D)のプロドラッグ(PD)への誘導化は、全体的な透過性を高める。経頬透過性及び生物反転(bioreversion)を矢印によって示す。線の太さは、透過性の程度及びより高い又はより低い速度を表す。
【図2】化合物6のLC/MS(ポジティブモード)M+H=414
【図3】化合物6についての炭素分光法における代表的なピーク
【図4】Δ9-THC誘導体を確認する化合物6の加水分解生成物のGC/MS分析
【図5】化合物7のLC/MS(ポジティブモード)M+H=386
【図6】化合物8のLC/MS(ポジティブモード)M+H=428
【図7】化合物9のHREIMS(ポジティブモード)M+H=443.29及びM+Na=465.27
【図8】化合物9についての炭素分光法における代表的なピーク
【図9】化合物10のHREIMS(ポジティブモード)M+H=501.6、M+Na=523.6及びM+K=539.3
【図10】化合物10についての炭素分光法における代表的なピーク
【図11】化合物11のLC/MS(ポジティブモード)M+H=478.3
【図12】化合物12のHREIMS(ポジティブモード)M+H=
【図13】化合物13のLCMS(ポジティブモード)M+H=476
【図14】化合物13についての炭素分光法における代表的なピーク
【図15】化合物14のLCMS(ポジティブモード)M+NH4+=593.7
【図16】化合物14についての炭素分光法における代表的なピーク
【図17】化合物15のLCMS(ポジティブモード)M+NH4+=531.7
【図18】化合物15についての炭素分光法における代表的なピーク
【発明を実施するための形態】
【0012】
THCプロドラッグ:
プロドラッグ設計による治療薬の化学的修飾は、重要な薬剤送達ツールとなっている[22〜24]。このことは、物理化学的特徴、水への溶解度、化学的及び酵素的安定性、並びに適切なプロモイエティの連結を通じての薬剤候補の粘膜透過性を修飾するための、最も広く受け入れられておりかつ成功する戦略のうちの1つである。プロドラッグアプローチに関する有意な肯定的観点は、膜構造、流動性、又は特徴における変化を全く誘導しないことである。プロドラッグは、インビボで開裂して、活性薬剤及び無害なプロモイエティを生成し、後者は身体から排出される(図1)。
【0013】
アミノ酸プロドラッグ:
過去数十年において、アミノ酸は、親水性薬剤分子の、トランスポーターを標的とするプロドラッグの誘導体化のためのプロモイエティとして注目を集めている[25〜31]。また、エフラックスタンパク質の回避についてのこの機序を活用するいくつかの研究も刊行されている[32〜35]。また、親油性分子の親水性を高め、経口吸収を改善する、単一のアミノ酸ベースのプロドラッグの誘導体化の使用を探究するいくつかの研究も報告されている[28, 36〜46]。しかしながら、今日まで、親油性化合物の一アミノ酸、二アミノ酸、又は三アミノ酸抱合プロドラッグの経頬送達は研究されていない。実際、任意の分子が経頬浸透するのに必要な構造特徴及び物理化学的特徴を理解する上で大きなギャップが存在する。この投与経路は、透過性及び代謝安定性の制限された多くの治療薬の送達のための甚だしい未開発の可能性を保持している。THCの場合のように、全身的な生物利用可能性が肝代謝によって制限されている化合物は、ある程度の利点を有する経粘膜マトリックスパッチ(TMP)システムなどの非経口製剤において製剤化されている一アミノ酸エステル、二アミノ酸エステル、及び三アミノ酸エステルなどのより透過性のあるプロドラッグの調製を必要とするであろう。しかしながら、上記に引用したプロドラッグはまた、生物学的利用度を高めるための熱融解押し出し成形を含むがこれに限定されない加工技術を用いて経口送達系及び他の組成物へと組み込まれ得る。本発明の最重要点は、THCの基本構造に影響を及ぼさずにTHCのアミノ酸エステルを初めて調製する能力である。
【0014】
アミノ酸エステルプロドラッグの使用を通じてのTHCの生物学的利用度の増大、及び経粘膜マトリックスパッチ(TMP)などの製剤又はより効率的な経口送達系においてこれらのプロドラッグを組み込むことは、化学療法を受けているHIVウイルス感染患者などの多くの慢性疾患患者、並びに疼痛、痙縮、及び多発性硬化症などのTHCによって寛解することが公知の他の容態に有意な影響を及ぼし得る。
【0015】
本発明の薬理学的に許容し得る化合物は、例えば、THCで治療可能な慢性状態の治療において有用な。かつ有効量の活性物質を無機若しくは有機、固体若しくは液体の医薬として許容し得る担体と共に、つまり混合して含む医薬組成物の製造に用いることができる。
【0016】
本発明に従った医薬組成物は、温血動物、特にヒトへの経口投与など腸に、及び皮下などの非経口に適したものであり、それ自体に関して薬理学的に活性のある物質を又は医薬として許容し得る担体とともに含む。本組成物についての使用の好ましい方法は、経粘膜パッチによるものである。活性物質の薬用量は、温血動物の種、並びに齢及び治療されている疾患の個々の容態、また投与の様式による。
【0017】
THC-アミノ酸プロドラッグ:
アミノ酸ベースのTHCプロドラッグの計算上の分析:先行知見に基づいて、分子モデリングPro(登録商標)ソフトウェアを用いた計算分析を利用して、種々のプロモイエティの候補に関する物理化学的特性を予想した。
【0018】
計算分析をその後、疎水性アミノ酸群として分類されたアミノ酸(例えば、アラニン、ロイシン、バリン)のいくつかを用いて、及び親水性アミノ酸(例えば、グリシン、セリン、サルコシン、アスパラギン酸、チロシン、及びグルタミン)を用いて、並びにこれらの組み合わせを用いて実施した。これらの結果を表1に示す。
【表1】
【0019】
本結果は、logP値における有意な減少並びに、評価された親水性及び疎水性のアミノ酸プロドラッグの双方による親水性の増大を予想する。また、極性表面積及び%親水性表面積も有意に高まる。さらに、二アミノ酸及び三アミノ酸(ペプチド)連結によって、物理化学的特性の有意な修飾が可能となるであろう。このように、選択されたアミノ酸の種類及びTHCに連結したアミノ酸数に応じて、広範な範囲の疎水性が生じ得、透過性が決定され得る。このように、logPと透過性との相関が決定できる。
【0020】
THC-アミノ酸エステル合成:
t-boc基及びF-moc基で保護されたアミノ酸を用いたΔ9-THCアミノ酸誘導体の調製についていくつかの手順を試みた。保護されたアミノ基を用いたエステルの形成が、試みたすべてのアミノ酸誘導体について問題なかったが、種々の脱保護条件下でのt-boc基又はF-moc基の脱保護は常に、t-bocの場合、Δ9-THC(少なくとも一部)からΔ8-THCへの変換、又はF-mocの場合、Δ9-THCへの反転を結果として生じた。本発明において、本発明者は、社内で調製したアリル保護されたアミノ酸を開発して(スキームI)、一般に利用可能な保護されたアミノ酸と関連する問題を克服した。このアプローチは、Δ9-THCの残りの構造に何ら影響を及ぼさずに、Δ9-THCの任意のアミノ酸誘導体又は短鎖ペプチド誘導体の調製において成功することを立証し、実行可能性を約束する。一誘導体から二誘導体への変換の手順と同じ手順に従って、二アミノ酸誘導体は三アミノ酸誘導体へと変換され得る。
【化2】
【0021】
スキームIに従って調製されるアミノ酸エステルの例は下記のとおりである:Δ9-THC-バリナート(6)、THC-サルコシナート(7)、THC-ロイシナート(8)、THC-グルタミナート(9)、THC-トリプトフィナート(10)、THC-チロシナート(11)、及びTHC-B-アラニナート(12)を調製した。スキームIIを用いて、化合物THC-4-(4-アミノ-フェニル)ブチラート)(13)、及びTHC-4-(4-アミノ-フェニル)ブチラート)ヘミスクシナート(14)、及びTHC-バリナート-ヘミスクシナート(15)を調製した。
これらの構造を質量分析(LC/MS及びHREIMS)並びに分光分析(1H-NMR及び13C-NMR)によって確認した。
【化3】
【化4】
【0022】
実施例(化合物6〜15)
実施例1:Δ9-THC-バリナート(6)の調製:
化合物1がバリンであるスキームIにおいて概略される一般的な手順に従って、Δ9-THC-バリナート6を合成して、合成プロトコールの妥当性を試験した。バリン(5g)を34mLの蒸留水に溶解し、5.8gの炭酸ナトリウムをいくつかの部分に分けて添加した。発泡が停止した後、クロロギ酸アリル(10mL)を一度に添加した。溶液を22℃で24時間撹拌した。次に、濃塩酸を用いてpHを1に調整した。溶液を酢酸エチルで8回抽出し、有機層を鹹水ですすぎ、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を乾燥するまで蒸発させて、6.5gの粗生成物を無色のシロップとして得た。
【0023】
1.1当量の本生成物をジクロロメタンに溶解し、1.1当量のDCCをそれに添加した(溶液A)。Δ9-THC(1当量)を触媒量のDMAP(ジメチルアミノピリジン)とともにジクロロメタンにおいて溶解し、該DMAPは、溶液Aに滴下して添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、反応の進行を、TLCでモニターした。1時間後、反応混合物の処理を終了し、生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製した。生成物を有する画分を合わせ、保護されたΔ9-THC-バリンエステル(95%収率)を得るまで蒸発させ、これを質量分析によって確認した。
【0024】
後者をジクロロメタンに溶解し、0.05mmolのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを0.01mmolのフェニルシランとともに添加した。反応物を室温で30分間撹拌し続けた。次に、溶媒を蒸発させ、生成物6をカラムクロマトグラフィーを用いて精製し(87%超の収率)、正イオン化モードでの質量分析によって確認した(M+H=414.5)(図2)。また、生成物6の構造をスペクトル分析1H-NMR及び13C-NMRによって確認した(13C-NMRの帰属については図3参照)。
【0025】
生成物6がΔ9-THCの誘導体であり、Δ8-THCに変換されていないことを確認するために、化合物6を塩基加水分解した後、加水分解産物をGC/MS分析した。該分析は、化合物6が図4に示されるように純粋なΔ9-THCであることを確認した。
【0026】
実施例2:Δ9-THC-サルコシナート(7)の調製:
化合物1がサルコシンであるスキームIに概略される一般的な手順に従って、Δ9-THC-サルコシナート7を合成した。カラムクロマトグラフィーを用いて生成物7を精製し(80%超の収率)、正イオン化モードで質量分析によって確認した(M+H=386)(図5)。また、生成物7の構造をスペクトル分析1H-NMR及び13C-NMRによって確認した。
【0027】
実施例3:Δ9-THC-ロイシナート(8)の調製:
化合物1がロイシニン(leucinine)であるスキームIに概略される一般的な手順に従って、Δ9-THC-ロイシナート8を合成した。生成物8を、カラムクロマトグラフィーを用いて精製し(81%超の収率)、正イオン化モードで質量分析によって確認した(M+H=428)(図6)。また、生成物6の構造をスペクトル分析1H-NMR及び13C-NMRによって確認した。
【0028】
実施例4:Δ9-THC-グルタミナート(9)の調製:
化合物1がグルタミンであるスキームIに概略される一般的な手順に従って、Δ9-THC-グルタミナート9を合成した。生成物9を、カラムクロマトグラフィーを用いて精製し(85%超の収率)、正イオン化モードで質量分析によって確認した(M+H=443)(図7)。また、生成物9の構造をスペクトル分析によって確認した(1H-NMR及び13C-NMR(13C-NMRの帰属については図8参照))。
【0029】
実施例5:Δ9-THC-トリプトフィナート(10)の調製
化合物1がトリプトファンであるスキームIに概略される一般的な手順に従って、Δ9-THC-トリプトフィナート10を合成した。生成物10を、カラムクロマトグラフィーを用いて精製し(86%超の収率)、正イオン化モードで質量分析によって確認した(M+H=501)(図9)。また、生成物10の構造をスペクトル分析1H-NMR及び13C-NMRによって確認した(13C-NMR帰属については図10参照)。
【0030】
実施例6:Δ9-THC-チロシナート(11)の調製
化合物1がチロシンであるスキームIに概略される一般的な手順に従って、Δ9-THC-チロシナート11を合成した。生成物11を、カラムクロマトグラフィーを用いて精製し(82%超の収率)、正イオン化モードで質量分析によって確認した(M+H=478.3)(図11)。また、生成物10の構造は、スペクトル分析1H-NMR及び13C-NMRによって確認した。
【0031】
実施例7:Δ9-THC-β-アラニナート(12)の調製
化合物1がB-アラニンであるスキームIに概略される一般的な手順に従って、Δ9-THC-β-アラニナート12を合成した。生成物12を、カラムクロマトグラフィーを用いて精製し(82%超の収率)、正イオン化モードで質量分析によって確認した(M+H=386.3)(図12)。また、生成物6の構造を、スペクトル分析1H-NMR及び13C-NMRによって確認した。
【0032】
実施例8:Δ9-THC-4-(4-アミノフェニル)ブチラート(12)の調製:
スキームIに概略される一般的な手順に従って化合物12を合成し、ここで化合物1は、4-(4-アミノフェニル)ブチラートであり、何ら保護せずに用いた。生成物12を、カラムクロマトグラフィーを用いて精製し(90%超の収率)、正イオン化モードで質量分析によって確認した(M+H=476)(図13)。また、生成物12の構造を、スペクトル分析1H-NMR及び13C-NMRによって確認した(13C-NMR帰属については図14参照)。
スキームII:
【化5】
【0033】
実施例9:THC-4(4-アミノフェニル)ブチラート-ヘミスクシナート(14)の調製:
THC-4(4-アミノフェニル)ブチラート(13)を50mLのジクロロメタンに溶解し、1.1当量の無水コハク酸を触媒量のDMAP(ジメチルアミノピリジン)とともに添加した。1.1当量のトリエチルアミンをシリンジで滴下して添加し、反応を室温で一晩行わせておいた。
【0034】
翌朝、TLCによって、出発材料から生成物への完全な変換が示された。溶媒を回転蒸発機においておよそ1/3の容積になるまで蒸発させた後、1mLのDCMをそれに添加した。
【0035】
カラムをDCM中のシリカゲル(10当量)で充填し、DCMに溶解した反応混合物をカラムの上部に装填した。画分をまずDCM中に回収し、次に、50%EtOAcまで増大させた。生成物はDCM中の40%EtOAcに現れた。純粋な生成物を含む画分を合わせて、溶媒を乾燥するまで蒸発させて、生成物(14)を得た(95%収率)。
【0036】
正イオン化モードで質量分析(M+NH4+=593)によって、生成物14を確認した(図15)。また、生成物14の構造をスペクトル分析1H-NMR及び13C-NMRによって確認した(13C-NMRの帰属については図16を参照)。
【0037】
実施例10:THC-バリナート-ヘミスクシナート(15)の調製:
また、出発材料が化合物6(THC-バリナート)であるスキームIIを用いて、化合物15を調製した。生成物15を、カラムクロマトグラフィーを用いて精製し(85%超の収率)、正イオン化モードで質量分析によって確認した(M+NH4+=531)(図17)。また、生成物15の構造をスペクトル分析1H-NMR及び13C-NMRによって確認した(13C NMRの帰属については図18参照)。
【0038】
上記に調製したΔ9-THCプロドラッグのスペクトル分析:合成したプロドラッグの同定及び純度を、COSY、HMQC、HMBCなどの1H-NMR、13C-NMR、及び2D-NMRを含むスペクトル手段、並びに他の分光手段(IR、UV、及びMS)によって確立した。上記に概略した合成プロトコールは、95%以上の純度でプロドラッグを生じた。
【0039】
実施例11:THCプロドラッグの製剤化前のデータ
A.溶解度
a.水性溶解度(μM)
【表2】
(表2続き)
b.水性溶解度(μg/mL)
【表3】
(表3続き)
B.25℃におけるpH依存的な化学的安定性
【表4】
(表4続き)
C.熱安定性−120℃、10分間
【表5】
D.生物反転
a.血漿の安定性
【表6】
b.ブタ頬組織均質液安定性
タンパク質濃度2mg/mL
【表7】
【0040】
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【技術分野】
【0001】
本発明は、Δ-9-THC-アミノ酸エステルを含む組成物及び該エステルの調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
【化1】
I:Δ9−テトラヒドロカンナビノール(THC)の構造
Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC,I)は、インドアサ植物(マリファナ)の主要活性成分であり、薬理学的作用の大部分の原因である。人々は、古代以来、医学的目的のために、及びその中毒特性のために、該植物(数多くのカンナビノイドを含む)を利用してきた。マリファナは主として、乱用薬物として公知であるが、本発明者は、適切な送達機序を考慮すると、特異的治療効果に向けることが可能な、活性成分THCの重要な薬理学的特性があると考えている。今日まで、食品医薬品局(FDA)によって認可された最も有望な臨床適用は、化学療法に伴う悪心及び嘔吐の制御のため、並びに食欲不振及びるいそう症候群を罹患しているエイズ患者の食欲刺激のためである[1,2]。
【0003】
しかしながら、THCは、さらなる治療適用が可能となる他の生物活性を示している。該生物活性には、緑内障[3]、片頭痛[4,5]、痙縮/てんかん発作[6,7]、不安[8]、及び化学物質依存離脱症候群が含まれる。また、より近年では、THCは、鎮痛薬としての認識が高まってきている[1,2,6,7]。これらの有望な生物活性により、THCには、複数の医学的用途の可能性がある。
【0004】
THCの全身性送達における挑戦:
研究された非経口製剤には、筋肉内調製物[9]及び静脈内剤形が含まれる(いずれもFDAによって認可されていない)。注射可能な製剤は、侵襲性であること及び専門的補助を必要とすることという問題に満ちており、それゆえ、多くの場合、自己投薬することができない。さらに、これらの非経口経路は、本質的に乱用されやすい。
【0005】
このように、THCのための非経口送達系についての探究が続いている。THCの物理化学的特徴は、多くの他の親油性剤のように、薬剤送達科学者に大きな挑戦を課す。THCのlogP(logオクタノール/水分配係数)は約4.0であり、高い親油性化合物であることを示している。結果的に、胃腸液におけるTHCの溶解度及び消化器系膜から全身性循環への分配は、著しく限定されるであろう。さらに、THCは、肝チトクロムP450酵素によってTHCの望ましくない副作用の原因である11-ヒドロキシ代謝産物(11-OH-THC)へと迅速に代謝される[9,10]。望ましい血漿レベルは、10ng/mLの範囲であり、これは有意に「高い」(100ng/mL超の)血漿レベルを生成しないで治療効果を提供するのに十分である[11,12]。THCの胃腸安定度が乏しいことはさらに、経口吸収を妨げる。これらの因子はともに、最も好ましい投与経路である経口投与後のTHCの全身利用度を最小化するよう作用し、治療用のマリファナの支持者によって公開討論に持ち込まれた主要問題の1つ、すなわち現に利用可能な軟質ゼラチン製剤が高価であり、その治療作用及び薬物動態特性における一貫性を欠失しているという事実の基礎を形成する。しかしながら、FDAによって現に認可されている唯一のTHC剤形が経口軟質ゼラチンカプセル(Marinol(登録商標))であることに留意することが重要である。
【0006】
腸での吸収及び代謝における挑戦を考慮すると、鼻経路及び吸入経路を通じてTHCを送達する試みがなされてきた[13-15]。GW Pharmaceuticals, UKによって実施された近年の第1相薬物動態研究[16]において、カンナビス系抽出物を舌下、頬側、及び中咽頭の3つの異なる投与経路によって試験した。舌下ドロップ及びポンプ作用舌下スプレー(PASS)の形態で製剤を投与した。本研究において、舌下経路及び中咽頭経路と比較した場合、PASS試験治療薬の頬側投与が、より遅いTmaxだがより大きなCmaxを結果的に生じることが報告された。しかしながら、AUは、中咽頭経路後に最大であることが報告された。舌下経路及び中咽頭経路と比較して、頬側投与後の生物学的利用度(AUCで測定)がより低いことは、頬の内側への噴霧の困難さ及びその後の噴霧の損失と最も関連しそうである。
【0007】
有望だが、鼻経路及び中咽頭経路には問題がある。その問題とは、例えば、可能性のある刺激作用及び、鼻剤形の慢性適用に由来する鼻腔の線毛作用に対する不可逆的損傷、並びにこの部位からの薬剤吸収に有意に影響を及ぼし得る鼻粘膜における粘液分泌の被験者内の変動性及び被験者間の変動性である。また、投与の吸入経路は、高い乱用特徴を有する。さらに、THCの噴霧製剤は、喉の刺激作用の剤形と関連した有害作用を有することが示されている[16]。検討した他の非経口経路には、舌下[17]、直腸[17〜20]、及び膣[21]が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、Δ-9-THC-アミノ酸エステルを含む組成物、その調製方法、及び異なる疾患容態の治療におけるそれらの使用を含む。
また、本発明は、Δ-9-THC-アミノ酸エステルの調製方法も記載する。本発明の組成物はこれまでにまだ記載されていない。
本発明の化合物は、一群のアミノ酸エステルを表しており、THCの製剤特徴及び生物学的利用度を高めるものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
アミノ酸抱合体は、有意により親水性でありかつより大きな熱安定性、化学的安定性、及び酵素的安定性を呈するTHCプロドラッグを生じることができる。これらの組成物は、化学療法による嘔吐、HIV患者のるいそう候群、多発性硬化症、緑内障、痙縮、及び疼痛を含む、THCによって寛解することが公知の多くの疾患状態のための有意な治療選択肢を提供するであろう。適切な製剤で投与されると、これらの組成物は、THC治療法に関する有害作用を低下させるであろう(すなわち、11-OH-THC代謝産物のレベルを減少させる)。
【0010】
THCのためのプロドラッグとしてのTHC-アミノ酸エステルを、本発明において、THCとアリル保護した異なるアミノ酸とのカップリングによって、THC-アリル保護したアミノ酸エステルを生成し、これを脱保護してTHC-アミノ酸エステルを生成した。THC(図1)を、すべてのTHC-アミノ酸エステルの出発材料として用いる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】プロドラッグ/TMPシステムの概念の有用性に関する模式図。TMPシステムと組み合わせた、親ドラッグTHC(D)のプロドラッグ(PD)への誘導化は、全体的な透過性を高める。経頬透過性及び生物反転(bioreversion)を矢印によって示す。線の太さは、透過性の程度及びより高い又はより低い速度を表す。
【図2】化合物6のLC/MS(ポジティブモード)M+H=414
【図3】化合物6についての炭素分光法における代表的なピーク
【図4】Δ9-THC誘導体を確認する化合物6の加水分解生成物のGC/MS分析
【図5】化合物7のLC/MS(ポジティブモード)M+H=386
【図6】化合物8のLC/MS(ポジティブモード)M+H=428
【図7】化合物9のHREIMS(ポジティブモード)M+H=443.29及びM+Na=465.27
【図8】化合物9についての炭素分光法における代表的なピーク
【図9】化合物10のHREIMS(ポジティブモード)M+H=501.6、M+Na=523.6及びM+K=539.3
【図10】化合物10についての炭素分光法における代表的なピーク
【図11】化合物11のLC/MS(ポジティブモード)M+H=478.3
【図12】化合物12のHREIMS(ポジティブモード)M+H=
【図13】化合物13のLCMS(ポジティブモード)M+H=476
【図14】化合物13についての炭素分光法における代表的なピーク
【図15】化合物14のLCMS(ポジティブモード)M+NH4+=593.7
【図16】化合物14についての炭素分光法における代表的なピーク
【図17】化合物15のLCMS(ポジティブモード)M+NH4+=531.7
【図18】化合物15についての炭素分光法における代表的なピーク
【発明を実施するための形態】
【0012】
THCプロドラッグ:
プロドラッグ設計による治療薬の化学的修飾は、重要な薬剤送達ツールとなっている[22〜24]。このことは、物理化学的特徴、水への溶解度、化学的及び酵素的安定性、並びに適切なプロモイエティの連結を通じての薬剤候補の粘膜透過性を修飾するための、最も広く受け入れられておりかつ成功する戦略のうちの1つである。プロドラッグアプローチに関する有意な肯定的観点は、膜構造、流動性、又は特徴における変化を全く誘導しないことである。プロドラッグは、インビボで開裂して、活性薬剤及び無害なプロモイエティを生成し、後者は身体から排出される(図1)。
【0013】
アミノ酸プロドラッグ:
過去数十年において、アミノ酸は、親水性薬剤分子の、トランスポーターを標的とするプロドラッグの誘導体化のためのプロモイエティとして注目を集めている[25〜31]。また、エフラックスタンパク質の回避についてのこの機序を活用するいくつかの研究も刊行されている[32〜35]。また、親油性分子の親水性を高め、経口吸収を改善する、単一のアミノ酸ベースのプロドラッグの誘導体化の使用を探究するいくつかの研究も報告されている[28, 36〜46]。しかしながら、今日まで、親油性化合物の一アミノ酸、二アミノ酸、又は三アミノ酸抱合プロドラッグの経頬送達は研究されていない。実際、任意の分子が経頬浸透するのに必要な構造特徴及び物理化学的特徴を理解する上で大きなギャップが存在する。この投与経路は、透過性及び代謝安定性の制限された多くの治療薬の送達のための甚だしい未開発の可能性を保持している。THCの場合のように、全身的な生物利用可能性が肝代謝によって制限されている化合物は、ある程度の利点を有する経粘膜マトリックスパッチ(TMP)システムなどの非経口製剤において製剤化されている一アミノ酸エステル、二アミノ酸エステル、及び三アミノ酸エステルなどのより透過性のあるプロドラッグの調製を必要とするであろう。しかしながら、上記に引用したプロドラッグはまた、生物学的利用度を高めるための熱融解押し出し成形を含むがこれに限定されない加工技術を用いて経口送達系及び他の組成物へと組み込まれ得る。本発明の最重要点は、THCの基本構造に影響を及ぼさずにTHCのアミノ酸エステルを初めて調製する能力である。
【0014】
アミノ酸エステルプロドラッグの使用を通じてのTHCの生物学的利用度の増大、及び経粘膜マトリックスパッチ(TMP)などの製剤又はより効率的な経口送達系においてこれらのプロドラッグを組み込むことは、化学療法を受けているHIVウイルス感染患者などの多くの慢性疾患患者、並びに疼痛、痙縮、及び多発性硬化症などのTHCによって寛解することが公知の他の容態に有意な影響を及ぼし得る。
【0015】
本発明の薬理学的に許容し得る化合物は、例えば、THCで治療可能な慢性状態の治療において有用な。かつ有効量の活性物質を無機若しくは有機、固体若しくは液体の医薬として許容し得る担体と共に、つまり混合して含む医薬組成物の製造に用いることができる。
【0016】
本発明に従った医薬組成物は、温血動物、特にヒトへの経口投与など腸に、及び皮下などの非経口に適したものであり、それ自体に関して薬理学的に活性のある物質を又は医薬として許容し得る担体とともに含む。本組成物についての使用の好ましい方法は、経粘膜パッチによるものである。活性物質の薬用量は、温血動物の種、並びに齢及び治療されている疾患の個々の容態、また投与の様式による。
【0017】
THC-アミノ酸プロドラッグ:
アミノ酸ベースのTHCプロドラッグの計算上の分析:先行知見に基づいて、分子モデリングPro(登録商標)ソフトウェアを用いた計算分析を利用して、種々のプロモイエティの候補に関する物理化学的特性を予想した。
【0018】
計算分析をその後、疎水性アミノ酸群として分類されたアミノ酸(例えば、アラニン、ロイシン、バリン)のいくつかを用いて、及び親水性アミノ酸(例えば、グリシン、セリン、サルコシン、アスパラギン酸、チロシン、及びグルタミン)を用いて、並びにこれらの組み合わせを用いて実施した。これらの結果を表1に示す。
【表1】
【0019】
本結果は、logP値における有意な減少並びに、評価された親水性及び疎水性のアミノ酸プロドラッグの双方による親水性の増大を予想する。また、極性表面積及び%親水性表面積も有意に高まる。さらに、二アミノ酸及び三アミノ酸(ペプチド)連結によって、物理化学的特性の有意な修飾が可能となるであろう。このように、選択されたアミノ酸の種類及びTHCに連結したアミノ酸数に応じて、広範な範囲の疎水性が生じ得、透過性が決定され得る。このように、logPと透過性との相関が決定できる。
【0020】
THC-アミノ酸エステル合成:
t-boc基及びF-moc基で保護されたアミノ酸を用いたΔ9-THCアミノ酸誘導体の調製についていくつかの手順を試みた。保護されたアミノ基を用いたエステルの形成が、試みたすべてのアミノ酸誘導体について問題なかったが、種々の脱保護条件下でのt-boc基又はF-moc基の脱保護は常に、t-bocの場合、Δ9-THC(少なくとも一部)からΔ8-THCへの変換、又はF-mocの場合、Δ9-THCへの反転を結果として生じた。本発明において、本発明者は、社内で調製したアリル保護されたアミノ酸を開発して(スキームI)、一般に利用可能な保護されたアミノ酸と関連する問題を克服した。このアプローチは、Δ9-THCの残りの構造に何ら影響を及ぼさずに、Δ9-THCの任意のアミノ酸誘導体又は短鎖ペプチド誘導体の調製において成功することを立証し、実行可能性を約束する。一誘導体から二誘導体への変換の手順と同じ手順に従って、二アミノ酸誘導体は三アミノ酸誘導体へと変換され得る。
【化2】
【0021】
スキームIに従って調製されるアミノ酸エステルの例は下記のとおりである:Δ9-THC-バリナート(6)、THC-サルコシナート(7)、THC-ロイシナート(8)、THC-グルタミナート(9)、THC-トリプトフィナート(10)、THC-チロシナート(11)、及びTHC-B-アラニナート(12)を調製した。スキームIIを用いて、化合物THC-4-(4-アミノ-フェニル)ブチラート)(13)、及びTHC-4-(4-アミノ-フェニル)ブチラート)ヘミスクシナート(14)、及びTHC-バリナート-ヘミスクシナート(15)を調製した。
これらの構造を質量分析(LC/MS及びHREIMS)並びに分光分析(1H-NMR及び13C-NMR)によって確認した。
【化3】
【化4】
【0022】
実施例(化合物6〜15)
実施例1:Δ9-THC-バリナート(6)の調製:
化合物1がバリンであるスキームIにおいて概略される一般的な手順に従って、Δ9-THC-バリナート6を合成して、合成プロトコールの妥当性を試験した。バリン(5g)を34mLの蒸留水に溶解し、5.8gの炭酸ナトリウムをいくつかの部分に分けて添加した。発泡が停止した後、クロロギ酸アリル(10mL)を一度に添加した。溶液を22℃で24時間撹拌した。次に、濃塩酸を用いてpHを1に調整した。溶液を酢酸エチルで8回抽出し、有機層を鹹水ですすぎ、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を乾燥するまで蒸発させて、6.5gの粗生成物を無色のシロップとして得た。
【0023】
1.1当量の本生成物をジクロロメタンに溶解し、1.1当量のDCCをそれに添加した(溶液A)。Δ9-THC(1当量)を触媒量のDMAP(ジメチルアミノピリジン)とともにジクロロメタンにおいて溶解し、該DMAPは、溶液Aに滴下して添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、反応の進行を、TLCでモニターした。1時間後、反応混合物の処理を終了し、生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製した。生成物を有する画分を合わせ、保護されたΔ9-THC-バリンエステル(95%収率)を得るまで蒸発させ、これを質量分析によって確認した。
【0024】
後者をジクロロメタンに溶解し、0.05mmolのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを0.01mmolのフェニルシランとともに添加した。反応物を室温で30分間撹拌し続けた。次に、溶媒を蒸発させ、生成物6をカラムクロマトグラフィーを用いて精製し(87%超の収率)、正イオン化モードでの質量分析によって確認した(M+H=414.5)(図2)。また、生成物6の構造をスペクトル分析1H-NMR及び13C-NMRによって確認した(13C-NMRの帰属については図3参照)。
【0025】
生成物6がΔ9-THCの誘導体であり、Δ8-THCに変換されていないことを確認するために、化合物6を塩基加水分解した後、加水分解産物をGC/MS分析した。該分析は、化合物6が図4に示されるように純粋なΔ9-THCであることを確認した。
【0026】
実施例2:Δ9-THC-サルコシナート(7)の調製:
化合物1がサルコシンであるスキームIに概略される一般的な手順に従って、Δ9-THC-サルコシナート7を合成した。カラムクロマトグラフィーを用いて生成物7を精製し(80%超の収率)、正イオン化モードで質量分析によって確認した(M+H=386)(図5)。また、生成物7の構造をスペクトル分析1H-NMR及び13C-NMRによって確認した。
【0027】
実施例3:Δ9-THC-ロイシナート(8)の調製:
化合物1がロイシニン(leucinine)であるスキームIに概略される一般的な手順に従って、Δ9-THC-ロイシナート8を合成した。生成物8を、カラムクロマトグラフィーを用いて精製し(81%超の収率)、正イオン化モードで質量分析によって確認した(M+H=428)(図6)。また、生成物6の構造をスペクトル分析1H-NMR及び13C-NMRによって確認した。
【0028】
実施例4:Δ9-THC-グルタミナート(9)の調製:
化合物1がグルタミンであるスキームIに概略される一般的な手順に従って、Δ9-THC-グルタミナート9を合成した。生成物9を、カラムクロマトグラフィーを用いて精製し(85%超の収率)、正イオン化モードで質量分析によって確認した(M+H=443)(図7)。また、生成物9の構造をスペクトル分析によって確認した(1H-NMR及び13C-NMR(13C-NMRの帰属については図8参照))。
【0029】
実施例5:Δ9-THC-トリプトフィナート(10)の調製
化合物1がトリプトファンであるスキームIに概略される一般的な手順に従って、Δ9-THC-トリプトフィナート10を合成した。生成物10を、カラムクロマトグラフィーを用いて精製し(86%超の収率)、正イオン化モードで質量分析によって確認した(M+H=501)(図9)。また、生成物10の構造をスペクトル分析1H-NMR及び13C-NMRによって確認した(13C-NMR帰属については図10参照)。
【0030】
実施例6:Δ9-THC-チロシナート(11)の調製
化合物1がチロシンであるスキームIに概略される一般的な手順に従って、Δ9-THC-チロシナート11を合成した。生成物11を、カラムクロマトグラフィーを用いて精製し(82%超の収率)、正イオン化モードで質量分析によって確認した(M+H=478.3)(図11)。また、生成物10の構造は、スペクトル分析1H-NMR及び13C-NMRによって確認した。
【0031】
実施例7:Δ9-THC-β-アラニナート(12)の調製
化合物1がB-アラニンであるスキームIに概略される一般的な手順に従って、Δ9-THC-β-アラニナート12を合成した。生成物12を、カラムクロマトグラフィーを用いて精製し(82%超の収率)、正イオン化モードで質量分析によって確認した(M+H=386.3)(図12)。また、生成物6の構造を、スペクトル分析1H-NMR及び13C-NMRによって確認した。
【0032】
実施例8:Δ9-THC-4-(4-アミノフェニル)ブチラート(12)の調製:
スキームIに概略される一般的な手順に従って化合物12を合成し、ここで化合物1は、4-(4-アミノフェニル)ブチラートであり、何ら保護せずに用いた。生成物12を、カラムクロマトグラフィーを用いて精製し(90%超の収率)、正イオン化モードで質量分析によって確認した(M+H=476)(図13)。また、生成物12の構造を、スペクトル分析1H-NMR及び13C-NMRによって確認した(13C-NMR帰属については図14参照)。
スキームII:
【化5】
【0033】
実施例9:THC-4(4-アミノフェニル)ブチラート-ヘミスクシナート(14)の調製:
THC-4(4-アミノフェニル)ブチラート(13)を50mLのジクロロメタンに溶解し、1.1当量の無水コハク酸を触媒量のDMAP(ジメチルアミノピリジン)とともに添加した。1.1当量のトリエチルアミンをシリンジで滴下して添加し、反応を室温で一晩行わせておいた。
【0034】
翌朝、TLCによって、出発材料から生成物への完全な変換が示された。溶媒を回転蒸発機においておよそ1/3の容積になるまで蒸発させた後、1mLのDCMをそれに添加した。
【0035】
カラムをDCM中のシリカゲル(10当量)で充填し、DCMに溶解した反応混合物をカラムの上部に装填した。画分をまずDCM中に回収し、次に、50%EtOAcまで増大させた。生成物はDCM中の40%EtOAcに現れた。純粋な生成物を含む画分を合わせて、溶媒を乾燥するまで蒸発させて、生成物(14)を得た(95%収率)。
【0036】
正イオン化モードで質量分析(M+NH4+=593)によって、生成物14を確認した(図15)。また、生成物14の構造をスペクトル分析1H-NMR及び13C-NMRによって確認した(13C-NMRの帰属については図16を参照)。
【0037】
実施例10:THC-バリナート-ヘミスクシナート(15)の調製:
また、出発材料が化合物6(THC-バリナート)であるスキームIIを用いて、化合物15を調製した。生成物15を、カラムクロマトグラフィーを用いて精製し(85%超の収率)、正イオン化モードで質量分析によって確認した(M+NH4+=531)(図17)。また、生成物15の構造をスペクトル分析1H-NMR及び13C-NMRによって確認した(13C NMRの帰属については図18参照)。
【0038】
上記に調製したΔ9-THCプロドラッグのスペクトル分析:合成したプロドラッグの同定及び純度を、COSY、HMQC、HMBCなどの1H-NMR、13C-NMR、及び2D-NMRを含むスペクトル手段、並びに他の分光手段(IR、UV、及びMS)によって確立した。上記に概略した合成プロトコールは、95%以上の純度でプロドラッグを生じた。
【0039】
実施例11:THCプロドラッグの製剤化前のデータ
A.溶解度
a.水性溶解度(μM)
【表2】
(表2続き)
b.水性溶解度(μg/mL)
【表3】
(表3続き)
B.25℃におけるpH依存的な化学的安定性
【表4】
(表4続き)
C.熱安定性−120℃、10分間
【表5】
D.生物反転
a.血漿の安定性
【表6】
b.ブタ頬組織均質液安定性
タンパク質濃度2mg/mL
【表7】
【0040】
参考文献:
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
式
【化1】
の組成物(式中、R1がアミノ酸残基、例えばバリン、サルコシン、ロイシン、グルタミン、トリプトファン、チロシン、アラニン、及び4(4-アミノフェニル)酪酸並びにこれらの塩である。)
【請求項2】
1)前記アミノ酸のギ酸アリル誘導体を調製する工程、2)前記アミノ酸のギ酸アリル誘導体をTHCと反応させる工程、3)前記アミノ酸のTHCギ酸アリル誘導体を脱保護する工程、4)THCのアミノ酸エステルの水溶性塩を調製する工程を含む、スキームIに示される請求項1記載の組成物の調製方法。
【請求項3】
医薬として許容し得る製剤及び投与方法を用いて、医薬として許容し得る担体における請求項1記載の少なくとも1つの組成物の投与を含む、THCに対して応答性のある任意の疾患容態を治療する方法。
【請求項4】
式
【化2】
の組成物(式中、R1及びR2がアミノ酸残基、例えばバリン、サルコシン、ロイシン、グルタミン、トリプトファン、チロシン、アラニン、及び4(4-アミノフェニル)酪酸又はこれらの組み合わせ、並びにこれらの塩である。)
【請求項5】
1)前記アミノ酸のギ酸アリル誘導体を調製する工程、2)前記アミノ酸のギ酸アリル誘導体をTHCと反応させる工程、3)前記アミノ酸のTHCギ酸アリル誘導体を脱保護する工程、4)前記第二のアミノ酸のギ酸アリル誘導体をTHC-アミノ酸と反応させる工程、5)前記ギ酸アリル誘導体を脱保護して、THCの二アミノ酸誘導体を生成する工程、6)THCのアミノ酸エステルの水溶性塩を調製する工程を含む、スキームIに示される請求項4記載の組成物の調製方法。
【請求項6】
医薬として許容し得る製剤及び投与方法を用いて、医薬として許容し得る担体における請求項4記載の少なくとも1つの組成物の投与を含む、THCに応答性のある任意の疾患容態を治療する方法。
【請求項7】
式
【化3】
の組成物(式中、R1、R2及びR3がアミノ酸残基、例えばバリン、サルコシン、ロイシン、グルタミン、トリプトファン、チロシン、アラニン、及び4(4-アミノフェニル)酪酸又はこれらの組み合わせ、並びにこれらの塩である。)
【請求項8】
1)前記アミノ酸のギ酸アリル誘導体を調製する工程、2)前記アミノ酸のギ酸アリル誘導体をTHCと反応させる工程、3)前記アミノ酸のTHCギ酸アリル誘導体を脱保護する工程、4)前記アミノ酸のギ酸アリル誘導体をTHC-アミノ酸と反応させる工程、5)前記アミノ酸のギ酸アリル誘導体と結合したTHCアミノ酸を脱保護する工程、6)前記アミノ酸のギ酸アリル誘導体をTHC二アミノ酸と反応させる工程、7)前記ギ酸アリル誘導体を脱保護して、THCの三アミノ酸誘導体を生成する工程、8)THCのアミノ酸エステルの水溶性塩を調製する工程を含む、スキームIに示される請求項7記載の組成物の調製方法。
【請求項9】
医薬として許容し得る製剤及び投与方法を用いて、医薬として許容し得る担体における請求項7記載の少なくとも1つの組成物の投与を含む、THCに応答性のある任意の疾患容態を治療する方法。
【請求項10】
請求項1記載の化合物のヘミスクシナート誘導体又はヘミグルツラート(hemigluturate)誘導体を含む組成物。
【請求項11】
塩基触媒、例えばジメチルアミノピリジンとトリエチルアミンとの混合物の存在下で、請求項1記載の化合物を無水コハク酸又は無水グルタル酸と反応させた後、該反応混合物を精製することによって、請求項1記載の化合物(請求項10記載の組成物)のヘミスクシナートエステル及びヘミグルツラートエステルを調製する方法。
【請求項12】
医薬として許容し得る製剤及び投与方法を用いて、医薬として許容し得る担体における請求項10記載の少なくとも1つの組成物の投与を含む、THCに応答性のある任意の疾患容態を治療する方法。
【請求項13】
請求項4記載の化合物のヘミスクシナート誘導体又はヘミグルツラート誘導体を含む組成物。
【請求項14】
塩基触媒、例えばジメチルアミノピリジンとトリエチルアミンとの混合物の存在下で、請求項4記載の化合物を無水コハク酸又は無水グルタル酸と反応させた後、該反応混合物を精製することによって、請求項4記載の化合物(請求項13記載の組成物)のヘミスクシナートエステル及びヘミグルツラートエステルを調製する方法。
【請求項15】
医薬として許容し得る製剤及び投与方法を用いて、医薬として許容し得る担体における請求項13記載の少なくとも1つの組成物の投与を含む、THCに応答性のある任意の疾患容態を治療する方法。
【請求項16】
請求項7記載の化合物のヘミスクシナート誘導体又はヘミグルツラート誘導体を含む組成物。
【請求項17】
塩基触媒、例えばジメチルアミノピリジンとトリエチルアミンとの混合物の存在下で、請求項4記載の化合物を無水コハク酸又は無水グルタル酸と反応させた後、該反応混合物を精製することによって、請求項7記載の化合物(請求項16の組成物)のヘミスクシナートエステル及びヘミグルツラートエステルを調製する方法。
【請求項18】
医薬として許容し得る製剤及び投与方法を用いて、医薬として許容し得る担体における請求項16記載の少なくとも1つの組成物の投与を含む、THCに応答性のある任意の疾患容態を治療する方法。
【請求項1】
式
【化1】
の組成物(式中、R1がアミノ酸残基、例えばバリン、サルコシン、ロイシン、グルタミン、トリプトファン、チロシン、アラニン、及び4(4-アミノフェニル)酪酸並びにこれらの塩である。)
【請求項2】
1)前記アミノ酸のギ酸アリル誘導体を調製する工程、2)前記アミノ酸のギ酸アリル誘導体をTHCと反応させる工程、3)前記アミノ酸のTHCギ酸アリル誘導体を脱保護する工程、4)THCのアミノ酸エステルの水溶性塩を調製する工程を含む、スキームIに示される請求項1記載の組成物の調製方法。
【請求項3】
医薬として許容し得る製剤及び投与方法を用いて、医薬として許容し得る担体における請求項1記載の少なくとも1つの組成物の投与を含む、THCに対して応答性のある任意の疾患容態を治療する方法。
【請求項4】
式
【化2】
の組成物(式中、R1及びR2がアミノ酸残基、例えばバリン、サルコシン、ロイシン、グルタミン、トリプトファン、チロシン、アラニン、及び4(4-アミノフェニル)酪酸又はこれらの組み合わせ、並びにこれらの塩である。)
【請求項5】
1)前記アミノ酸のギ酸アリル誘導体を調製する工程、2)前記アミノ酸のギ酸アリル誘導体をTHCと反応させる工程、3)前記アミノ酸のTHCギ酸アリル誘導体を脱保護する工程、4)前記第二のアミノ酸のギ酸アリル誘導体をTHC-アミノ酸と反応させる工程、5)前記ギ酸アリル誘導体を脱保護して、THCの二アミノ酸誘導体を生成する工程、6)THCのアミノ酸エステルの水溶性塩を調製する工程を含む、スキームIに示される請求項4記載の組成物の調製方法。
【請求項6】
医薬として許容し得る製剤及び投与方法を用いて、医薬として許容し得る担体における請求項4記載の少なくとも1つの組成物の投与を含む、THCに応答性のある任意の疾患容態を治療する方法。
【請求項7】
式
【化3】
の組成物(式中、R1、R2及びR3がアミノ酸残基、例えばバリン、サルコシン、ロイシン、グルタミン、トリプトファン、チロシン、アラニン、及び4(4-アミノフェニル)酪酸又はこれらの組み合わせ、並びにこれらの塩である。)
【請求項8】
1)前記アミノ酸のギ酸アリル誘導体を調製する工程、2)前記アミノ酸のギ酸アリル誘導体をTHCと反応させる工程、3)前記アミノ酸のTHCギ酸アリル誘導体を脱保護する工程、4)前記アミノ酸のギ酸アリル誘導体をTHC-アミノ酸と反応させる工程、5)前記アミノ酸のギ酸アリル誘導体と結合したTHCアミノ酸を脱保護する工程、6)前記アミノ酸のギ酸アリル誘導体をTHC二アミノ酸と反応させる工程、7)前記ギ酸アリル誘導体を脱保護して、THCの三アミノ酸誘導体を生成する工程、8)THCのアミノ酸エステルの水溶性塩を調製する工程を含む、スキームIに示される請求項7記載の組成物の調製方法。
【請求項9】
医薬として許容し得る製剤及び投与方法を用いて、医薬として許容し得る担体における請求項7記載の少なくとも1つの組成物の投与を含む、THCに応答性のある任意の疾患容態を治療する方法。
【請求項10】
請求項1記載の化合物のヘミスクシナート誘導体又はヘミグルツラート(hemigluturate)誘導体を含む組成物。
【請求項11】
塩基触媒、例えばジメチルアミノピリジンとトリエチルアミンとの混合物の存在下で、請求項1記載の化合物を無水コハク酸又は無水グルタル酸と反応させた後、該反応混合物を精製することによって、請求項1記載の化合物(請求項10記載の組成物)のヘミスクシナートエステル及びヘミグルツラートエステルを調製する方法。
【請求項12】
医薬として許容し得る製剤及び投与方法を用いて、医薬として許容し得る担体における請求項10記載の少なくとも1つの組成物の投与を含む、THCに応答性のある任意の疾患容態を治療する方法。
【請求項13】
請求項4記載の化合物のヘミスクシナート誘導体又はヘミグルツラート誘導体を含む組成物。
【請求項14】
塩基触媒、例えばジメチルアミノピリジンとトリエチルアミンとの混合物の存在下で、請求項4記載の化合物を無水コハク酸又は無水グルタル酸と反応させた後、該反応混合物を精製することによって、請求項4記載の化合物(請求項13記載の組成物)のヘミスクシナートエステル及びヘミグルツラートエステルを調製する方法。
【請求項15】
医薬として許容し得る製剤及び投与方法を用いて、医薬として許容し得る担体における請求項13記載の少なくとも1つの組成物の投与を含む、THCに応答性のある任意の疾患容態を治療する方法。
【請求項16】
請求項7記載の化合物のヘミスクシナート誘導体又はヘミグルツラート誘導体を含む組成物。
【請求項17】
塩基触媒、例えばジメチルアミノピリジンとトリエチルアミンとの混合物の存在下で、請求項4記載の化合物を無水コハク酸又は無水グルタル酸と反応させた後、該反応混合物を精製することによって、請求項7記載の化合物(請求項16の組成物)のヘミスクシナートエステル及びヘミグルツラートエステルを調製する方法。
【請求項18】
医薬として許容し得る製剤及び投与方法を用いて、医薬として許容し得る担体における請求項16記載の少なくとも1つの組成物の投与を含む、THCに応答性のある任意の疾患容態を治療する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2012−507568(P2012−507568A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534860(P2011−534860)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/062998
【国際公開番号】WO2010/051541
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(511107865)エルソウリー ラボラトリーズ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/062998
【国際公開番号】WO2010/051541
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(511107865)エルソウリー ラボラトリーズ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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