α7受容体結合コリン作動性アゴニストを用いる炎症の阻害
【課題】α7ニコチン性受容体に選択性のあるコリン作動性アゴニストを使用する、種々の状態の治療の提供。
【解決手段】炎症性状態を治療するための医薬の調製における、マクロファージから放出される炎症性サイトカインの量を減少させるのに十分な量でのα7ニコチン性受容体に選択性のあるコリン作動性アゴニストの使用であって、該状態が、虫垂炎、消化器官性潰瘍、胃潰瘍および十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵臓炎、喉頭蓋炎、無弛緩症、胆管炎、胆嚢炎、肝炎、ホウィップル病、喘息、アレルギー、アナフィラキシーショック、免疫複合体病、臓器壊死、枯草熱、セプシス(sepsis)、敗血症(septicemia)、内毒素性ショック、悪質液、異常高熱、好酸球性肉芽腫、肉芽腫症、類肉腫症、敗血性流産、精巣上体炎、膣炎、前立腺炎、尿道炎、気管支炎、肺気腫、鼻炎、嚢胞性線維症、肺炎等、からなる群より選ばれる、使用。
【解決手段】炎症性状態を治療するための医薬の調製における、マクロファージから放出される炎症性サイトカインの量を減少させるのに十分な量でのα7ニコチン性受容体に選択性のあるコリン作動性アゴニストの使用であって、該状態が、虫垂炎、消化器官性潰瘍、胃潰瘍および十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵臓炎、喉頭蓋炎、無弛緩症、胆管炎、胆嚢炎、肝炎、ホウィップル病、喘息、アレルギー、アナフィラキシーショック、免疫複合体病、臓器壊死、枯草熱、セプシス(sepsis)、敗血症(septicemia)、内毒素性ショック、悪質液、異常高熱、好酸球性肉芽腫、肉芽腫症、類肉腫症、敗血性流産、精巣上体炎、膣炎、前立腺炎、尿道炎、気管支炎、肺気腫、鼻炎、嚢胞性線維症、肺炎等、からなる群より選ばれる、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、α7ニコチン性受容体に選択性のあるコリン作動性アゴニストを使用する種々の状態の治療に関する。
【0002】
関連出願
本出願は、2002年12月6日に出願された米国仮出願番号60/431,650号の利益を主張する。上記出願の全教示は、参照して本明細書に組込まれる。
【0003】
政府支援
本発明は、国立衛生研究所から交付GM57226によって、全体的に、または部分的に支援された。政府は、本発明に特定の権利を有する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
本発明は、一般に、炎症を減少させる方法に関する。さらに詳細には、本発明は、α7受容体結合コリン作動性アゴニストを用いて炎症を減少させる方法に関する。
【0005】
脊椎動物は、前炎症経路および抗炎症経路の活性を平衡させることによって、感染または傷害の間の内部恒常性を達成する。しかし、多くの疾患状態で、この内部恒常性は、平衡を失う。例えば、全てのグラム陰性細菌によって産生される内毒素(リポ多糖、LPS)は、強力に致死性であるサイトカインを放出するマクロファージを活性化させる(Traceyら、1986年;Wangら、1999年;Nathanら、1987年;Dinarello、1994年)。
【0006】
炎症および他の破壊的状態(内毒素に曝されることによって引き起こされる敗血症ショックのような)は、腫瘍壊死因子(TNF;TNFαまたはカチェクチンとしても知られる)、インターロイキン(IL)-1α、IL-1β、IL-6、IL-8、IL-18、インターフェロンγ、血小板活性化因子(PAF)、マクロファージ移動阻害因子(MIF)、および他の化合物のような前炎症性サイトカインによってしばしば誘発される(Thompson、1998年)。特定の他の化合物、例えば高運動性群プロテイン1(HMG-1)は、敗血症のような種々の状態を通して誘発され、そして前炎症性サイトカインとしても役割を果たしうる(特許文献1)。これらの前炎症性サイトカインは、数種の異なる細胞型、最も重要には、免疫細胞(例えば、単細胞、マクロファージおよび好中球)によって産生されるが、しかし繊維芽細胞、骨芽細胞、平滑筋細胞、上皮細胞、およびニューロンのような非免疫細胞によっても産生される(ZhangおよびTracey、1998年)。前炎症性サイトカインは、炎症性サイトカインカスケードの間にそれらの放出を通して、種々の障害、特に敗血症に寄与する。
【0007】
炎症性サイトカインカスケードは、膨大な障害の炎症およびアポトーシス(Pulkki、1997年)を含む破壊的特徴に寄与する。含まれるのは、局所および全身の両方の反応により特徴づけられる障害であり、そしてそれに限定されないが、胃腸管および関連組織に関する疾患(虫垂炎、消化器、胃および十二指腸の潰瘍、腹膜炎、膵臓炎、潰瘍性結腸炎、偽膜、急性および虚血性結腸炎、憩室炎、喉頭蓋炎、無弛緩症、胆管炎、セリアック病、胆嚢炎、肝炎、クローン病、腸炎、およびホウィップル病のような);全身性または局所性炎症疾患および状態(喘息、アレルギー、アナフィラキシー性ショック、免疫複合疾患、臓器虚血、再灌流障害、臓器壊死、枯草熱、セプシス(sepsis)、敗血症(septicemia)、内毒素ショック、悪質液、異常高熱、エオシン好性肉芽腫、肉芽腫症、および類肉芽腫症のような);尿生殖系および関連組織に関与する疾患(敗血性流産、精巣上体炎、膣炎、前立腺炎および尿道炎のような);呼吸器系および関連組織に関与する疾患(気管支炎、肺気腫、鼻炎、嚢胞性線維症、成人呼吸促進症候群、肺炎、珪性肺塵症(pneumoultramicroscopic silicovolcanoconiosis)、肺胞炎、細気管支炎、咽頭炎、胸膜炎、および静脈洞炎のような);種々のウイルス(インフルエンザ、呼吸器シンシチュームウイルス、HIV、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスおよびヘルペスのような)、細菌(播種性菌血症、デング熱のような)、真菌(カンディディアシスのような)およびプロトゾアおよび多細胞寄生虫(マラリア、フィラリア、赤痢アメーバーおよび胞虫のような)による感染から生じる疾患;皮膚の皮膚科学上の疾患および状態(火傷、皮膚炎、皮膚筋炎、日焼け、蕁麻疹性ゆう贅、およびみみず腫れのような);心臓血管系および関連組織に関与する疾患(脈管炎、血管炎、心内膜炎、動脈炎、アテローム性動脈硬化症、血栓性静脈炎、心膜炎、心筋炎、心筋虚血、うっ血性心不全、結節性心房周囲炎、およびリューマチ熱のような);中枢または末梢神経系および関連組織に関与する疾患(アルツハイマー病、髄膜炎、脳炎、多発性硬化症、脳梗塞、脳塞栓症、ギラン-バレー症候群、神経炎、神経痛、脊髄損傷、麻痺およびぶどう膜炎のような);骨、関節、筋肉および結合組織の疾患(種々の関節炎、関節痛、骨髄炎、筋膜炎、ページェット病、痛風、歯根膜疾患、リューマチ様関節炎、および滑膜炎のような);他の自律および炎症性障害(重症筋無力症、甲状腺炎(thryoiditis)、全身性紅斑狼瘡、グッドパスチャー症候群、ベチェット症候群、同種移植拒絶、移植片対宿主疾患、I型糖尿病、強直性脊椎炎、バーガー病、I型糖尿病、強直性脊椎炎、バーガー病、およびリタイヤー症候群のような);並びに種々の癌、腫瘍および増殖性障害(ホジキン病のような);およびどんな場合でも、あらゆる一次疾患に対する炎症または免疫宿主反応が挙げられる(Gattornoら、2000年;YehおよびSchuster、1999年;McGuinnessら、2000年;Hsuら、1999年;PrystowskyおよびRege、1997年;Kimmingsら、2000年;Hirano、1999年;Leeら、1995年;Wasermanら、2000年;Katagiriら、1997年;BumgardnerおよびOrosz、1999年;Dibbsら、1999年;BlumおよびMiller、1998年;BlackwellおよびChristman、1996年;Fox、2000年;Carteron、2000年;Hommesおよびvan Deventer、2000年;Gracieら、1999年;Kanaiら、2001年;JanderおよびStoll、2001年;Watanabeら、1997年;Raynerら、2000年;Amraniら、2000年)。
【0008】
哺乳動物は、部分的に中枢神経系調節を通して炎症性サイトカインカスケードによって引き起こされる炎症に応答する。この応答は、内毒素に対する炎症性応答の間に全身性体液性応答機構に関して詳細に特徴づけられた(Besedovsky,1986年、Woiciechowskyら、1998年、Huら、1991年、LiptonおよびCatania、1997年)。一組の応答で、求心性迷走神経線維は、内毒素またはサイトカインにより活性化され、そして糖質コルチコイドホルモン放出を介して体液性抗炎症性応答の放出を刺激する(WatkinsおよびMaier、1999年、Sternberg、1997年、Scheinmanら、1995年)。先の研究は、全身性内毒素血症およびサイトカイン血症(cytokinemia)に対するアドレノコルチコトロピンおよび熱応答を調節する求心性ループにおける必須成分として迷走神経シグナル伝達についての役割を解明した(Gaykemaら、1995年、Fleshnerら、1998年、Watkinsら、1995年、Romanovskyら、1997年)。
【0009】
別の組の応答は、「コリン作動性抗炎症性経路」と称される、求心性迷走神経シグナル伝達を介してである(Borovikovaら、2000年)。求心性迷走神経の刺激は、全身性炎症応答を弱め、そしてTNF放出を阻害する(すなわち、Bernikら、2002年;Traceyら、2001年;特許文献2)。迷走神経の原則的神経伝達物質であるアセチルコリンは、α-バンガロトキシン感受性ニコチン性アセチルコリン受容体を介してシグナル伝達させることによってマクロファージサイトカイン合成を弱めるが、しかし必須のマクロファージ受容体の同定は、知られていない。
【0010】
ニコチン性アセチルコリン受容体は、リガンド型五量体イオンチャンネルのファミリーである。ヒトでは、固有の構造および薬理学上の特性を有する多数のホモおよびヘテロ-五量体受容体を形成する16の異なるサブユニット(α1-7、α9-10、β1-4、δ、εおよびγ)が、同定された(Lindstrom、1995年;LeonardおよびBertrand、2001年;Le NovereおよびChangeux、1995年)。この受容体ファミリーの主要な既知の機能は、神経筋肉連結で、そして中枢および末梢神経系中で神経伝達物質アセチルコリンについてのシグナルを伝達することである(Lindstrom、1995年;LeonardおよびBertrand、2001年;Le NovereおよびChangeux、1995年;MarubioおよびChangeux、2000年;Steinlein、1998年)。本発明者らの先の研究は、一次ヒトマクロファージでのα-ブンガロトキシン感受性ニコチン性受容体の存在を示した(Borovikovaら、2000年)が、特異的受容体サブユニットの同一性は、知られていなかった。
【0011】
炎症を阻害する原因である特定のニコチン性受容体の知識は、炎症を阻害する受容体の特異的アゴニストを同定するのに有用である。このようなアゴニストは、比較的非特異的である最近同定されたアゴニストより少ない副作用を示すように見える。抗炎症性受容体によって影響される他の生理学的効果の同定も促進される。
【0012】
関連技術の説明
引用文献
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【数5】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際出願公開公報第00/47104号
【特許文献2】米国特許出願番号09/855,446号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は、α7ニコチン性受容体に選択性のあるコリン作動性アゴニストを使用して、種々の状態を治療することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕炎症性状態を治療するための医薬の調製における、マクロファージから放出される炎症性サイトカインの量を減少させるのに十分な量でのα7ニコチン性受容体に選択性のあるコリン作動性アゴニストの使用であって、該状態が、虫垂炎、消化器官性潰瘍、胃潰瘍および十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵臓炎、喉頭蓋炎、無弛緩症、胆管炎、胆嚢炎、肝炎、ホウィップル病、喘息、アレルギー、アナフィラキシーショック、免疫複合体病、臓器壊死、枯草熱、セプシス(sepsis)、敗血症(septicemia)、内毒素性ショック、悪質液、異常高熱、好酸球性肉芽腫、肉芽腫症、類肉腫症、敗血性流産、精巣上体炎、膣炎、前立腺炎、尿道炎、気管支炎、肺気腫、鼻炎、嚢胞性線維症、肺炎、珪性肺塵症(pneumoultramicroscopic silicovolcanoconiosis)、肺胞炎、細気管支炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈洞炎、インフルエンザ、呼吸器合胞体ウイルス感染、ヘルペス感染、HIV感染、B型肝炎ウイルス感染、C型肝炎ウイルス感染、播種性菌血症、デング熱、カンジダ症、マラリア、フィラリア症、アメーバー症、包虫嚢胞、火傷、脈管炎、血管炎、心内膜炎、動脈炎、アテローム性動脈硬化症、血栓性静脈炎、心膜炎、心筋炎、結節性動脈周囲炎、リウマチ熱、セリアック病、うっ血性心不全、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、髄膜炎、脳炎、神経炎、神経痛、脊髄損傷、麻痺、ぶどう膜炎、関節炎、関節痛、骨髄炎、筋膜炎、パジェット病、痛風、歯周疾患、関節リウマチ、滑膜炎、重症筋無力症、甲状腺炎、全身性紅斑性狼瘡、グッドパスチャー症候群、ベーチェット症候群、同種移植拒絶、対宿主性移植片病、強直性脊椎炎、バージャー病、リタイヤー症候群、ならびにホジキン病からなる群より選ばれる、使用、
〔2〕膵臓炎、喘息、成人呼吸窮迫症候群、および関節リウマチからなる群より選ばれる状態を患う患者を治療するための医薬の製造における、マクロファージから放出される炎症性サイトカインの量を減少させるのに十分な量でのα7ニコチン性受容体に選択性のあるコリン作動性アゴニストの使用、
〔3〕膵臓炎、喘息、成人呼吸窮迫症候群、および関節リウマチからなる群より選ばれる状態を患う患者を治療するための医薬の製造における、マクロファージから放出される炎症性サイトカインの量を減少させるのに十分な量でのα7ニコチン性受容体に選択性のあるコリン作動性アゴニストの使用であって、該コリン作動性アゴニストは、少なくとも1つの他のニコチン性受容体より、少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも5倍、さらにより好ましくは少なくとも10倍、そして最も好ましくは少なくとも50倍、α7受容体を活性化できる、使用、
〔4〕コリン作動性アゴニストが、コカインの第4アナログ;(1-アザ-ビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)-カルバミン酸1-(2-フルオロフェニル)-エチルエステル;式I:
【化1−1】
(式中、Rは水素またはメチルを表し、
nは0または1を表す)
の化合物;式Iの化合物の薬学的に許容されうる塩;式II:
【化1−2】
(式中:
mは、1または2である;
nは、0または1である;
Yは、CH、NまたはNOである;
Xは、酸素または硫黄である;
Wは、酸素、H2またはF2である;
Aは、NまたはC(R2)である;
Gは、NまたはC(R3)である;
Dは、NまたはC(R4)である;
ただし、A、GおよびDの内のわずか1つが、窒素であるが、Y、A、GおよびDの内の少なくとも1つは、窒素またはNOである;
R1は、水素またはC1〜C4アルキルである;
R2、R3およびR4は、独立して、水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OH、OC1〜C4アルキル、CO2R1、-CN、-NO2、-NR5R6、-CF3もしくは-OSO2CF3であるか、またはR2およびR3、R3およびR4は、それぞれ、AおよびG、もしくはGおよびDをそれぞれ共有し、0〜2個の窒素原子を含む別の6員芳香族もしくはヘテロ芳香族環を一緒に形成し得、以下の置換基:独立して、水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OH、OC1〜C4アルキル、CO2R1、-CN、-NO2、-NR5R6、-CF3もしくは-OSO2CF3の1つから2つで置換されうる;
R5およびR6は、独立して、水素、C1〜C4アルキル、C(O)R7、C(O)NHR8、C(O)OR9、もしくはSO2R10であるか、または一緒に、(CH2)jQ(CH2)k(式中、QはO、S、NR11、または結合である)でありうる;
jは、2から7である;
kは、0から2である;
R7、R8、R9、R10およびR11は、独立して、C1〜C4アルキル、アリール、もしくはヘテロアリールであるか、またはそのエナンチオマーである)
の化合物;式IIの化合物の薬学的に許容されうる塩;式III:
【化1−3】
(式中、R1、R6およびR7は、水素またはC1〜C4アルキルである;R2は、
【化1−4】
(式中、R3、R4およびR5は、水素、アルキルの各々に1〜4個の炭素を有するN,N-ジアルキルアミノで任意に置換されたC1〜C4アルキル、アルキルの各々に1〜4個の炭素を有するN,N-ジアルキルアミノで任意に置換されたC1〜C6アルコキシ、アルコキシに1〜4個の炭素を有するカルボアルコキシ、アミノ、アシルに1〜4個の炭素を有するアミド、シアノ、およびアルキルの各々に1〜4個の炭素を有するN,N-ジアルキルアミノ、ハロ、ヒドロキシルならびにニトロから選ばれる)
の群から選ばれる)
の化合物;および式IV:
【化1−5】
(式中、Xは、OまたはSであり、Rは、H、OR1、NHC(O)R1、およびハロゲンからなる群より選ばれ、R1はC1-C4アルキルである)
の化合物から選ばれる、〔1〕〜〔3〕いずれか記載の使用、
〔5〕コリン作動性アゴニストが、式I:
【化1−6】
(式中、Rは水素またはメチルを表し、
nは0または1を表す)
の化合物;
またはその薬学的に許容されうる塩である、〔1〕〜〔3〕いずれか記載の使用、
〔6〕コリン作動性アゴニストが(-)-スピロ[1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3,5'-オキサゾリジン-2'-オン]である、〔5〕記載の使用、
〔7〕コリン作動性アゴニストが、式II:
【化1−7】
(式中:mは、1または2である;
nは、0または1である;
Yは、CH、NまたはNOである;
Xは、酸素または硫黄である;
Wは、酸素、H2またはF2である;
Aは、NまたはC(R2)である;
Gは、NまたはC(R3)である;
Dは、NまたはC(R4)である;
ただし、A、GおよびDの内のわずか1つが、窒素であるが、Y、A、GおよびDの内の少なくとも1つは、窒素またはNOである;
R1は、水素またはC1〜C4アルキルである;
R2、R3およびR4は、独立して、水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OH、OC1〜C4アルキル、CO2R1、-CN、-NO2、-NR5R6、-CF3もしくは-OSO2CF3であるか、またはR2およびR3、R3およびR4は、それぞれ、AおよびG、もしくはGおよびDをそれぞれ共有し、0〜2個の窒素原子を含む別の6員芳香族もしくはヘテロ芳香族環を一緒に形成し得、以下の置換基:独立して、水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OH、OC1〜C4アルキル、CO2R1、-CN、-NO2、-NR5R6、-CF3もしくは-OSO2CF3の1つから2つで置換されうる;
R5およびR6は、独立して、水素、C1〜C4アルキル、C(O)R7、C(O)NHR8、C(O)OR9、もしくはSO2R10であるか、または一緒に、(CH2)jQ(CH2)k(式中、QはO、S、NR11、または結合である)でありうる;
jは、2から7である;
kは、0から2である;
R7、R8、R9、R10およびR11は、独立して、C1〜C4アルキル、アリール、もしくはヘテロアリールであるか、またはそのエナンチオマーである)
の化合物またはその薬学的に許容されうる塩である、〔1〕〜〔3〕いずれか記載の使用、
〔8〕コリン作動性アゴニストが式IIの化合物であり、式中、mは1であり;nは0であり;pは0であり;xは酸素であり;AはC(R2)であり;GはC(R3)であり;DはC(R4)である、〔7〕記載の使用、
〔9〕コリン作動性アゴニストが5'-フェニルスピロ[1-アザビシクロ(2.2.2)オクタン-3,2'-(3'H)-フロ(2,3-b)ピリジン]である、〔8〕記載の使用、
〔10〕コリン作動性アゴニストが式III:
【化1−8】
(式中、R1、R6およびR7は、水素またはC1〜C4アルキルである;R2は、
【化1−9】
(式中、R3、R4およびR5は、水素、アルキルの各々に1〜4個の炭素を有するN,N-ジアルキルアミノで任意に置換されたC1〜C4アルキル、アルキルの各々に1〜4個の炭素を有するN,N-ジアルキルアミノで任意に置換されたC1〜C6アルコキシ、アルコキシに1〜4個の炭素を有するカルボアルコキシ、アミノ、アシルに1〜4個の炭素を有するアミド、シアノ、およびアルキルの各々に1〜4個の炭素を有するN,N-ジアルキルアミノ、ハロ、ヒドロキシルならびにニトロから選ばれる)
の群から選ばれる)
の化合物である、〔1〕〜〔3〕いずれか記載の使用、
〔11〕コリン作動性アゴニストが式IIIの化合物であり、式中、R2は、テトラヒドロピリジン環の3位に結合され、さらにフェニル環の4または2位に結合されるR3は、アミノ、ヒドロキシル、クロロ、シアノ、ジメチルアミノ、メチル、メトキシ、アセチルアミノ、アセトキシ、およびニトロからなる群より選ばれる、〔10〕記載の使用、
〔12〕コリン作動性アゴニストが、
式III(式中、R3はヒドロキシルであり、R1、R4およびR5は水素である);
式III(式中、R3は、アセチルアミノであり、R1、R4およびR5は、水素である);
式III(式中、R3は、アセトキシであり、R1、R4およびR5は、水素である);
式III(式中、R3は、メトキシであり、R1、R4およびR5は、水素である);
式III(式中、R3は、メトキシであり、R1およびR4は、水素であり、さらに式中R3は、フェニル環の2位に結合され、フェニル環の4位に結合されるR5はメトキシまたはヒドロキシである)
から選ばれる化合物である、〔10〕記載の使用、
〔13〕コリン作動性アゴニストが、3-2,4-ジメトキシベンジリジンアナバセイン(DMXB-A)、3-(4-ヒドロキシベンジリデン)アナバセイン、3-(4-メトキシベンジリデン)アナバセイン、3-(4-アミノベンジリデン)アナバセイン、3-(4-ヒドロキシ-2-メトキシベンジリデン)アナバセイン、3-(4-メトキシ-2-ヒドロキシベンジリデン)アナバセイン、トランス-3-シンナミリデンアナバセイン、トランス-3-(2-メトキシ-シンナミリデン)アナバセインおよびトランス-3-(4-メトキシシンナミリデン)アナバセインから選ばれる、〔10〕記載の使用、
〔14〕コリン作動性アゴニストが3-(4-ヒドロキシ-2-メトキシベンジリデン)アナバセインである、〔10〕記載の使用、
〔15〕コリン作動性アゴニストが3-(2,4-ジメトキシベンジリデン)アナバセインである、〔10〕記載の使用、
〔16〕コリン作動性アゴニストが式IV:
【化1−10】
(式中、XはO、SまたはSO2である;
RはH、OR1、NHC(O)R1およびハロゲンから選ばれ、R1はHまたはC1-C4アルキルである)
の化合物である、〔1〕〜〔3〕いずれか記載の使用、
〔17〕コリン作動性アゴニストが、N-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル]-4-(4-ヒドロキシフェノキシ)ベンズアミド、N-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル]-4-(4-アセトアミドフェノキシ)ベンズアミド、N-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル]-4-(フェニルスルファニル)ベンズアミド、およびN-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル]-4-(3-クロロフェニルスルホニル)ベンズアミドから選ばれる、〔15〕記載の使用、
〔18〕コリン作動性アゴニストが、N-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル]-4-(フェニルスルファニル)ベンズアミドである、〔15〕記載の使用、
〔19〕コリン作動性アゴニストがコカインメチオジドである〔1〕〜〔3〕いずれか記載の使用、
〔20〕状態が、虫垂炎、消化器官性潰瘍、胃潰瘍および十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵臓炎、肝炎、喘息、アレルギー、アナフィラキシーショック、臓器壊死、枯草熱、セプシス(sepsis)、敗血症(septicemia)、内毒素性ショック、悪質液、敗血性流産、播種性菌血症、火傷、セリアック病、うっ血性心不全、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、脊髄損傷、麻痺、同種移植拒絶および対宿主性移植片病から選ばれる〔1〕記載の使用、
〔21〕状態が、虫垂炎、消化器官性潰瘍、胃潰瘍または十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵臓炎、肝炎、喘息、アレルギー、アナフィラキシーショック、臓器壊死、枯草熱、セプシス(sepsis)、敗血症(septicemia)、内毒素性ショック、悪質液、敗血性流産、播種性菌血症、火傷、うっ血性心不全、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、脊髄損傷、麻痺、同種移植拒絶および対宿主性移植片病から選ばれる〔1〕記載の使用、
〔22〕状態が、腹膜炎、膵臓炎、セプシス(sepsis)、内毒素性ショック、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、同種移植拒絶、喘息、対宿主性移植片病、うっ血性心不全および嚢胞性線維症から選ばれる〔1〕記載の使用、
〔23〕状態が、腹膜炎、膵臓炎、セプシス(sepsis)、内毒素性ショック、悪液質、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、および同種移植拒絶から選ばれる〔1〕記載の使用、
〔24〕状態がセプシス(sepsis)である〔1〕記載の使用
に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、α7ニコチン性受容体に選択性のあるコリン作動性アゴニストを使用する、種々の状態の治療が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、α-ブンガロトキシン結合ニコチン性受容体が、マクロファージの表面に密集することを立証する蛍光顕微鏡写真である。一次ヒトマクロファージを、FITC標識α-ブンガロトキシン(α-bgt、1.5μg/ml)で染色し、そして蛍光共焦点顕微鏡で観察した。パネル1aおよびbは、低倍率顕微鏡写真を示す。a.細胞を、α-ブンガロトキシン単独で染色した。b.α-ブンガロトキシンの添加の前に、500μMのニコチンを添加した。パネル1cおよび1dは、受容体クラスターを示す高倍率顕微鏡写真を示す。c.焦点プレートは、細胞の中央(3つの下部細胞)に近いか、または表面(上部細胞)に近い内側層にあった。d.焦点平面は、細胞の上部表面にあった。
【図2】図2は、一次ヒトマクロファージにおけるα7およびα1ニコチン性受容体のmRNAおよびタンパク質発現を示すゲルおよびウエスタンブロットの写真である。パネルaは、α7特異的プライマーを用いたRT-PCRの結果を示し、そして843bpα7バンドを生じる。PCR産物は、配列決定により立証された(データは示されず)。MAC1およびMAC2:2つの未関連ドナーから由来したマクロファージ。パネルbは、ウエスタンブロットを示す。PC12細胞またはヒトマクロファージ(MAC)から得られる細胞溶解物を、対照セファロースビーズまたはα-ブンガロトキシンと接合したセファロースビーズのいずれかとインキュベートした。その後、結合したタンパク質を、示されるとおりにα7特異的ポリクローナルおよびモノクローナル抗体によって分析した。
【図3】図3は、ニコチン性アセチルコリン受容体のα7サブユニットに対するアンチセンス・オリゴヌクレオチドが、TNF放出におけるニコチンの効果を阻害することを立証するグラフおよび顕微鏡写真を示す。パネルa-cは、ニコチン性受容体の種々のサブユニットに、アンチセンス・オリゴヌクレオチドで予備処理した一次ヒトマクロファージからのLPC刺激TNF放出を示す実験結果を要約するグラフである。示される場合、ニコチン(Nic、1μM)を、LPS誘発(100ng/ml)の5-10分前に添加した。細胞培養培地におけるTNFレベルを、L929アッセイによって測定した。CT:対照(未刺激)マクロファージ培養。ASα7、ASα1、およびASα10:それぞれ、α7、α1、およびα10サブユニットに対するアンチセンス・オリゴヌクレオチド。パネルdおよびeは、α7アンチセンス・オリゴヌクレオチド(ASα7)で処理される(e)か、または処理されず(d)、そして蛍光共焦点顕微鏡によって観察された一次ヒトマクロファージのFITC-α-バンガロトキシン染色を示す蛍光顕微鏡写真である。
【図4】図4は、内毒素血症の間にα7欠損マウスでのサイトカイン産生が増大したことを示す実験を要約するグラフである。α7サブユニット欠損マウス(-/-)または年齢および性別が合致した野生型マウス(+/+)に、LPS(0.1mg/kg腹腔内)で注入した。LPS刺激の1時間後(TNFについては)、または4時間後(IL-1βおよびIL-6については)のいずれかに、血液および臓器を得た。血清または臓器中のTNF、IL-1βおよびIL-6のレベルは、ELISAで測定した。パネルa:血清でのTNFレベル。n=群当たり10。パネルb:肝臓でのTNFレベル。n=群当たり6。パネルc:脾臓でのTNFレベル。n=群当たり6。パネルd:血清でのIL-1βレベル。n=群当たり8。パネルe:血清中のIL-6濃度。n=群当たり9。*=P<0.05対野生型対照。
【図5】図5は、迷走神経刺激が、ニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニット欠損マウスでTNFを阻害しないことを示すグラフである。α7サブユニット欠損マウス(-/-)または年齢および性別が一致した野生型マウス(+/+)を、偽操作(SHAM)または迷走神経刺激(VNS、左迷走神経、1ボルト、2ms、1Hz)のいずれかにかけた;LPS投与の2時間後に、血液を収集した。ELISAにより血清TNF濃度を測定した。n=10(SHAMα7+/+)。n=11(VNSα7+/+、SHAMα7-/-、VNSα7-/-)。*=P<0.05対SHAMα7+/+。
【図6】図6は、盲腸の連結および穿刺モデルを使用した敗血症の誘発に続く化合物(V)または化合物(VI)のいずれかの投与の経路におけるマウスの運動性(生存率)を示すプロットである。
【図7】図7は、化合物(V)またはニコチンの濃度の関数として、これらの化合物のいずれかの増大濃度で処理したマウスRAW264.7マクロファージ様細胞のTNF-αのLPS誘発放出の測定量を表すプロットの段階的比較である。
【図8】図8Aは、予備インキュベーション時間の関数として、化合物(VI)の増大濃度で処理したマウスRAW264.7マクロファージ様細胞からのTNF-αのLPS-誘発放出の阻害率を示すプロットである。図8Bは、化合物(VI)の濃度の関数として、化合物(VI)の増大濃度で処理したマウスRAW264.7マクロファージ様細胞からのTNF-αのLPS-誘発放出の阻害率を示すプロットである。
【図9】図9は、化合物(VI)を予備投与されたマウスに対するLPSの投与に続くTNF-αの測定血流濃度の棒線プロットである。
【図10】図10は、硫酸デキストランナトリウムによる結腸炎の誘発に続き化合物(VI)を投与したマウスの結腸重量(A)および結腸長さ(B)を表す棒線プロットの段階的比較である。
【図11】図11は、増大量の化合物(VII)を用いた予備インキュベーションに続くLPS-刺激されたマウスRAW264.7マクロファージ様細胞から放出されるTNF-αの測定濃度を示す棒線プロットである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明の要旨
したがって、本発明は、α7受容体が、マクロファージからの前炎症性サイトカインの放出に影響するα-ブンガロトキシン感受性受容体であるという知見に基づいている。その知識で、種々の方法および組成物は、炎症性状態の治療およびその治療に有用な化合物の同定に有用であると分かる。コリン作動性アゴニストおよびアンタゴニストに対するマクロファージ応答の研究も、この知識によって促進される。
【0019】
したがって、本発明は、マクロファージからの前炎症性サイトカインの放出を阻害する方法に関する。この方法は、マクロファージから放出される前炎症性サイトカインの量を減少させるのに十分な量で、マクロファージを、コリン作動性アゴニストで処理することを含み、コリン作動性アゴニストが、α7ニコチン性受容体に感受性があるものである。
【0020】
他の実施態様では、本発明は、患者における炎症性サイトカインカスケードを阻害する方法に関する。この方法は、炎症性サイトカインカスケードを阻害するのに十分な量で、患者を、コリン作動性アゴニストで処理することを含み、コリン作動性アゴニストが、α7ニコチン性受容体に選択性があるものである。これらの実施態様では、患者は、好ましくは、炎症性サイトカインカスケードによりもたらされる状態に罹患しているか、またはその危険がある。
【0021】
さらに、本発明は、化合物が、α7ニコチン性受容体に選択性のあるコリン作動性アゴニストであるかどうかを決定する方法に関する。この方法は、化合物が、哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害するかどうかを決定すること、そしてその化合物が、α7でない少なくとも1つのニコチン性受容体と反応性のあるコリン作動性アゴニストであるかどうかを決定することを含む。これらの方法では、哺乳動物細胞から前炎症性サイトカインの放出を阻害するが、α7でない少なくとも1つのニコチン性受容体と反応性のあるコリン作動性アゴニストでない化合物は、α7ニコチン性受容体に選択性のあるコリン作動性アゴニストである。
【0022】
関連の実施態様では、本発明は、化合物が、α7ニコチン性受容体に反応性のあるコリン作動性アゴニストであるかどうかを決定する方法に関する。これらの方法は、化合物が、哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害するコリン作動性アゴニストの能力を減じるかどうかを決定することを含む。これらの方法では、哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害するコリン作動性アゴニストの能力を減じる化合物は、α7受容体と反応性のあるコリン作動性アンタゴニストである。
【0023】
さらなる実施態様では、本発明は、試験化合物が、炎症を阻害する能力を有するかどうかを測定する方法に関する。これらの方法は、試験化合物が、α7ニコチン性受容体と反応性のあるコリン作動性アゴニストであるかどうかを測定することを含む。
【0024】
試験化合物が、炎症を阻害する能力を有するかどうかを測定する他の方法も、本発明の一部である。これらの方法は、試験化合物が、α7ニコチン性受容体に対するアンタゴニストの結合を阻害するかどうかを測定することを含む。
【0025】
本発明は、コリン作動性アゴニストへのマクロファージの暴露により、リポ多糖で誘導される哺乳動物マクロファージからのTNF放出の低下を阻害する能力のあるオリゴヌクレオチドまたは模倣物にも関する。オリゴヌクレオチドまたは模倣物は、基本的に、α7受容体のRNAに相補性である5ヌクレオチド長より大きな配列からなる。
【0026】
さらに、本発明は、コリン作動性アゴニストへのマクロファージの暴露により、哺乳動物マクロファージからのTNF放出の低下を阻害する方法に関する。これらの方法は、マクロファージを、上に記述されるオリゴヌクレオチドまたは模倣物で処理することを含む。
【0027】
本発明の先述および他の目的、特性および利点は、文献のように、特徴が、様々の所見を通して同じ部分に該当する付随の図面で示されるとおり、本発明の好ましい実施態様の以下のさらに特定の説明から明らかであろう。その図面は、比べる必要がなくて、その代わりに、本発明の原則を示すために入れられることを強調する。
【0028】
発明の詳細な説明
本発明の好ましい実施態様の説明が続く。
置換基の定義
特に示されない限り、本明細書で使用される場合、用語「アルキル」は、直鎖または分岐鎖部分、典型的にはC1-C10、好ましくはC1-C6を有する飽和一価炭化水素基を含む。アルキル基の例は、それに限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、およびt-ブチルが挙げられる。
【0029】
特に示されない限り、本明細書で使用される場合、用語「アルケニル」は、アルキルが上で定義されるとおりである、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有するアルキル部分が挙げられる。アルケニルの例は、それに限定されないが、エテニルおよびプロペニルが挙げられる。
【0030】
特に示されない限り、本明細書で使用される場合、用語「アルキニル」は、アルキルが上で定義されるとおりである、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有するアルキル部分が挙げられる。アルキニルの例は、それに限定されないが、エチニルおよび2-プロピニルが挙げられる。
【0031】
本明細書で使用される場合、用語「アルコキシ」は、アルキルが上に定義されるとおりである「アルキル-O-」基を意味する。
【0032】
特に示されない限り、本明細書で使用される場合、用語「シクロアルキル」は、アルキルが上に定義されるとおりである非芳香族性飽和環状アルキル部分が挙げられる。シクロアルキルの例としては、それに限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが挙げられる。「ビシクロアルキル」基は、2つの環からなる非芳香族性飽和炭素環基である。ビシクロアルキル基の例としては、それに限定されないが、ビシクロ-[2.2.2]-オクチルおよびノルボニルが挙げられる。用語「シクロアルケニル」および「ビシクロアルケニル」は、炭素環構成員を結合する1つまたはそれより多くの炭素-炭素二重結合(「環内」二重結合)、および/または炭素環構成員および隣接非環炭素を結合する1つまたはそれより多くの炭素-炭素二重結合(「環外」二重結合)からなる以外は上に定義されるとおりの非芳香族性炭素環シクロアルキルおよびビシクロアルキル部分が挙げられる。シクロアルケニル基の例としては、それに限定されないが、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルが挙げられる。ビシクロアルケニル基の非限定例は、ノルボレニルである。シクロアルキル、シクロアルケニル、ビシクロアルキル、およびビシクロアルケニル基も、これらの個々のカテゴリーの各々について上に記述されるものに類似の基を含むが、しかしそれは、1つまたはそれより多くのオキソ部分で置換される。オキソ部分を有するこのような基の例としては、それに限定されないが、オキソシクロペンチル、オキソシクロブチル、オキソシクロペンテニル、およびノルカムホリルが挙げられる。
【0033】
特に示されない限り、本明細書で使用される場合、用語「シクロアルコキシ」は、シクロアルキルが上に定義される「シクロアルキル-O-」基が挙げられる。
【0034】
本明細書で使用される場合、用語「アリール」は、カルボ環基に該当する。アリール基の例としては、それに限定されないが、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0035】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロアリール」は、1つまたはそれより多くの異種原子(O、S、またはN)を含有する芳香族基をいう。本発明のヘテロアリール基は、単環または多環でありうる。本発明のヘテロアリール基は、1つまたはそれより多くのオキソ部分で置換された環系を含みうる。ヘテロアリール基の例としては、それに限定されないが、ピリジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、キノリル、イソキノリル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソキサゾイル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、ヨードリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、シノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プリニル、オキサジアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、ジヒドロキノリル、テトラヒドロキノリル、ジヒドロイソキノリル、テトラヒドロイソキノリル、ベンゾフリル、フロピリジニル、ピロロピリミジニル、およびアザインドリルが挙げられる。
【0036】
前述のヘテロアリール基は、C付着またはN付着(このようなものが可能である)でありうる。例えば、ピロルから誘導される基は、ピロル-1-イル(N付着)またはピロル-3-イル(C付着)でありうる。
【0037】
本発明の文脈で、二環カルボ環基は、環原子として炭素のみを保持する二環化合物である。環構造は、特に、芳香族、飽和、または部分的に飽和でありうる。このような化合物の例としては、それに限定されないが、インダニル、ナフタレニル、アズレニルが挙げられる。
【0038】
本発明の文脈で、アミノ基は、一級(-NH2)、二級(-NHRa)、または三級(-NRaRb)(式中、RaおよびRbは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、および二環カルボ環基のいずれかでありうる。
【0039】
本発明の実施は、特に指示されない限り、細胞培養、分子生物学、微生物学、細胞生物学、および免疫学の従来の記述を使用し、そしてそれは、十分に当業界の技術内である。このような技術は、文献で十分に説明されている。例えば、Sambrookら、1989年「Molecular Cloning: A Laboratory Manual(分子クローニング:実験室マニュアル)」、Cold Spring Harbor Laboratory Press(コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス);Ausubelら、(1995年)、「Short Protocols in Molecular Biology(分子生物学における簡潔プロトコール)」、John wiley and Sons(ジョン・ウィリー・アンド・サンズ);Methods in Enzymology(酵素学における方法)(いくつかの号);Methods in Cell Biology(細胞生物学における方法)(いくつかの号);およびMethods in Molecular Biology(分子生物学における方法)(いくつかの号)を参照。
【0040】
本明細書に開示される化合物の薬学的に許容されうる塩は、本発明を実施するために使用されうる。本明細書で使用される場合、開示された化合物の「薬学的に許容されうる塩」は、本発明の化合物と、被験体に投与するのに適切な酸または塩基のいずれかとを反応させたものであるイオン結合含有生成物である。例えば、アミンまたは他の塩基性基を含有する化合物の酸塩は、塩化水素、臭化水素、酢酸、過塩酸等のような適切な有機酸または無機酸と化合物を反応させることによって得られうる。このような塩の他の例としては、塩化水素酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩(例えば、(+)酒石酸塩、(-)酒石酸塩またはラセミ体混合物を含めたそれの混合物)、コハク酸塩、安息香酸塩、およびグルタミン酸のようなアミノ酸を有する塩が挙げられる。化合物が、-COOHまたは-SO3Hのような酸官能基を含むときに、塩はまた、適切な有機塩基でも形成されうる。本発明の化合物を用いて薬学的に許容されうる塩基付加塩の形成のために適切なこのような塩基としては、非毒性であり、そして酸官能基と反応するのに十分に強い有機塩基が挙げられる。このような有機塩基は、当業界で周知であり、そしてアルギニンおよびリシンのようなアミノ酸、モノ-、ジ-およびトリエタノールアミン、コリン;メチルアミン、ジメチルアミン、およびトリメチルアミンのようなモノ-、ジ-、およびトリアルキルアミン;グアニジン、N-ベンジルフェネチルアミン、N-エチルグルコサミン、N-メチルピペラジン、モルホリン、エチレンジアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン等が挙げられる。
【0041】
本明細書で使用される場合、「医薬組成物」は、被験体に投与するのに適した形態で、開示された化合物および医薬上許容しうる希釈剤または担体を含有する製剤である。医薬組成物は、塊状であるか、または単位用量形態でありうる。単位用量形態は、多様な形態のもののいずれかであり得て、そして例えば、カプセル、IVバッグ、錠剤、エアゾル吸入器での単回押出し、またはバイアルが挙げられる。組成物の単位用量における活性成分の量(すなわち、開示された化合物またはそれの塩の製剤)は、有効量であり、そして関与した特定の治療によって変化されうる。投与量に対する日常の変動を、患者の年齢および状態に依存させることが必要でありうると考えうる。投与量は、投与の経路にもよる。局所、経口、肺性、直腸、膣、非経口を含め、そして経皮、皮下、静脈内、筋肉内、腹膜内、および鼻内を含めた多様な経路が、意図される。
【0042】
本明細書に記述される化合物、およびそれの薬学的に許容されうる塩は、医薬上許容しうる担体または希釈剤と組み合わせて、医薬製剤で使用されうる。適切な医薬上許容しうる担体としては、不活性固形フィラーまたは希釈剤および滅菌水性または有機溶液が挙げられる。化合物は、本明細書に記述される範囲内で、所望の投与量を提供するのに十分な量で、このような医薬組成物に存在する。本発明の化合物の処方および投与についての技術は、Remingtonの「the Science and Practice of Pharmacy(薬学科学および実践)」、19版、Mack Publishing Co.、ペンシルベニア州イーストン(1995年)で見られうる。
【0043】
本明細書で使用される場合、「被験体」としては、哺乳動物、例えばヒト、愛玩動物(例えば、イヌ、ネコ、トリ等)、家畜動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ニワトリ等)および実験用動物(例えば、ラット、マウス、モルモット等)が挙げられる。開示される方法の好ましい態様では、被験体は、ヒトである。
【0044】
本明細書で使用される場合、開示される発明の化合物の「治療上有効な量」は、治療を必要とする被験体に投与されるとき、被験体の予後を改善する、例えば真菌感染に関連した被験体の状態の1つ以上の開始を遅延させ、および/または重篤度を減じる量である。被験体に投与されるべき開示された化合物の量は、特定の疾患、投与の方法、および全般的健康、他の疾患、年齢、性別、遺伝子型、体重および薬に対する寛容性のような被験体の特徴に依る。当業者は、これらおよび他の因子によって適切な投与量を決定できる。開示された化合物の有効量は、一般に、日当たり約0.1mg/kg体重と、日当たり約1000mg/kg体重の間、そして好ましくは、日当たり1mg/kg体重と、日当たり100mg/kg体重の間の範囲にある。
【0045】
本発明は、マクロファージが別途に刺激されて炎症性サイトカインを放出しているとき、α-バンガロトキシン感受性受容体がその受容体のアゴニストに曝露されると、マクロファージからの前炎症性サイトカインの放出を阻害する、α-バンガロトキシン感受性受容体の同定に基づく。この阻害の原因である受容体は、α7受容体である。したがって、マクロファージが、前炎症性サイトカインを放出するために、別の方法で刺激、例えば細菌性リポ多糖(LPS)で刺激される場合、α7受容体に対するアゴニストを用いたマクロファージの治療は、マクロファージが、前炎症性サイトカイン、特にTNFを放出することを阻害する。
【0046】
したがって、ある種の態様では、本発明は、哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害する方法に関する。その方法は、細胞から放出される前炎症性サイトカインの量を減少させるのに十分な量で、コリン作動性アゴニストで細胞を処理することを含み、ここで、コリン作動性アゴニストはα7ニコチン性受容体に選択性があるものである。
【0047】
本明細書で使用される場合、サイトカインは、哺乳動物細胞によって天然に産生され、そしてマイクロからピコモルまでの濃度で、体液性調節因子としてインビボで作用する可溶性のタンパク質またはペプチドである。サイトカインは、正常または病原性の状態でのいずれかで、個々の細胞および組織の機能的活性を調節しうる。前炎症性サイトカインは、炎症に関連した以下の生理学的反応のいずれかを引起す能力があるサイトカインである:血管拡張、充血、浮腫と関連した血管透過性の増大、顆粒球および単核食細胞の蓄積、またはフィブリンの沈着。ある種の場合には、前炎症性サイトカインは、TNFが心筋アポトーシスを刺激することが示された慢性心不全でのようにアポトーシスをも引起しうる(Pulkki、1997年;Tsutsuiら、2000年)。前炎症性サイトカインの限定されない例は、腫瘍壊死因子(TNF)、インターロイキン(IL)-1α、IL-1β、IL-6、IL-8、IL-18、インターフェロンγ、HMG-1、血小板活性化因子(PAF)、およびマクロファージ遊走阻止因子(MIF)である。本発明の好ましい態様では、コリン作動性アゴニスト治療により阻害される前炎症性サイトカインは、これらのサイトカインが、マクロファージにより産生され、そして多くの重要な疾患についての破壊的状態、例えば、内毒素ショック、喘息、リューマチ性関節炎、炎症性胆汁疾患、心不全、および同種移植拒絶をもたらすので、TNF、IL-1、IL-6またはIL-18である。最も好ましい態様では、前炎症性サイトカインは、TNFである。
【0048】
前炎症性サイトカインは、IL-4、IL-10、およびIL-13のような、炎症の媒介物質でない抗炎症性サイトカインと区別されるべきである。好ましい態様では、抗炎症性サイトカインの放出は、コリン作動性アゴニストによって阻害されない。
【0049】
多くの例で、前炎症性サイトカインは、サイトカイン放出が哺乳動物の生理学的状態に影響を及ぼすものである哺乳動物における少なくとも1つの前炎症性サイトカインのインビボ放出として本明細書で定義される炎症性サイトカインカスケードで産生される。したがって、前炎症性サイトカイン放出が破壊的な生理学上の状態を引起す炎症性サイトカインカスケードは、本発明の態様において阻害される。
【0050】
前炎症性サイトカインを産生するあらゆる哺乳動物細胞は、本発明の実施に有用である。限定されない例は、単細胞、マクロファージ、マスト細胞、好中球、上皮細胞、骨芽細胞、線維芽細胞、平滑筋細胞、およびニューロンである。好ましい態様では、細胞は、マクロファージである。
【0051】
本明細書で使用される場合、「α7コリン作動性受容体」は、α7サブユニットを含有する受容体である。受容体は、α7サブユニットのみを含有し得る;あるいはまた、受容体は、α7サブユニットおよび他のコリン作動性受容体サブタイプ由来のサブユニットを含有する。1つの態様では、受容体は、ホモ五量体である。別の態様では、受容体は、ヘテロ五量体である。
【0052】
本明細書で使用される場合、「α7コリン作動性受容体アゴニスト」は、インビボまたはインビトロでα7サブユニットを含有する受容体に結合する化合物であり、該受容体にその生理学的機能を発揮させる。1つの態様では、コリン作動性受容体アゴニストは、α7サブユニットを含むコリン作動性受容体を発現する細胞が別途に刺激されて前炎症性サイトカインを放出しているとき、該細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害する。当業者は、任意の特定の化合物が、いくつかの周知方法のいずれかによって、例えば下の実施例1で提供される方法によって、α7受容体アゴニストであるかどうかを決定しうる。
【0053】
前炎症性サイトカインの放出または炎症性サイトカインカスケードにおけるコリン作動性アゴニストの影響、あるいは炎症性サイトカインカスケードにおける迷走神経刺激の影響に注目した場合、用語「阻害」または「減少」の使用は、前炎症性サイトカイン放出での、少なくとも小さいが測定可能な減少を含む。好ましい態様では、前炎症性サイトカインの放出は、非処理対照より少なくとも20%だけ阻害される;さらに好ましい態様では、阻害は、少なくとも50%である;さらにいっそう好ましい態様では、阻害は、少なくとも70%であり、そしてもっとも好ましい態様では、阻害は、少なくとも80%である。前炎症性サイトカイン放出でのこのような減少は、インビボ態様での炎症性サイトカインカスケードの破壊的影響を減少させる能力がある。
【0054】
現在知られているかまたは後に知見される任意のα7アゴニストは、哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害することが予想される。好ましい態様では、コリン作動性アゴニストは、別の状況では、有用な濃度で細胞に対して毒性でない。さらに好ましい態様では、コリン作動性アゴニストは、治療上インビボで使用されてきたか、または哺乳動物細胞によって天然に産生される。限定されない例としては、アセチルコリン、ムスカリン、ニコチン、3-2,4-ジメトキシベンジリデン・アナバセイン(DMXB-A、GTS-21としても知られる)(Kemら、1997年;Simoskyら、2001年)、コリン、コカインメチオダイドが挙げられる(Francisら、2001年)。
【0055】
最も好ましい態様では、コリン作動性アゴニストは、そのようなアゴニストが、炎症について治療される予定である患者に対して、非特異的コリン作動性アゴニスト(例えば、ニコチン)より少ない副作用を引起すことが予想されるので、α7に選択性または特異的であるアゴニストである。本明細書で使用される場合、アゴニストは、アゴニストが少なくとも1つの他のニコチン性受容体を活性化するアゴニストより大きな範囲までα7を活性化するアゴニストである場合、α7に選択性がある。このような活性化の差は、ノバスクリーン・バイオサイエンシズ・コーポレーション(NovaScreen Biosciences Corporation)(メリーランド州ハノーバー(Hanover,MD))により作り出されたもののようなあらゆる既知方法、例えばインビトロ受容体結合アッセイを使用するものにより、あるいは、国際公開公報WO02/44176(試験されたα4β2)、米国特許第6,407,095号(ガングリオン型の末梢ニコチン性受容体)、米国特許出願公開第2002/0086871号(興味があれば、受容体で形質移入されたGH4Cl細胞から作製される膜に対する標識リガンドの結合)、米国特許出願第2002/0086871号(α1およびα4)、および国際特許公開公報WO97/30998に開示の方法によって、種々の受容体の活性化を比較することによって測定されうる。α7受容体について選択性があるアゴニストを測定する方法を記述する文献としては、米国特許第5,977,144号(表1)、国際特許公開公報WO02/057275(41-42頁)およびHolladayら(1997年)が挙げられる。これらの文献の教示は、参照して本明細書に組込まれる。他のニコチン性受容体サブタイプについてのアッセイは、当業者に知られている。
【0056】
好ましい方法では、アフリカツメガエル(Xenopus)卵母細胞の結合または活性(電流(current)応答)は、アゴニストの投与後、α7受容体サブタイプまたは別の受容体サブタイプ(例えば、α4β2)のいずれかを発現する。α7受容体サブタイプのより大きな活性化を生じるアゴニストは、α7選択性アゴニストであると断定される。上の方法または等価な方法の内のいずれかを使用して、選択性α7アゴニストは、少なくとも1つの他のニコチン性受容体より少なくとも2倍、さらに好ましくは少なくとも5倍、さらにいっそう好ましくは少なくとも10倍、そして最も好ましくは少なくとも50倍、α7受容体を活性化できるのが好ましい。
【0057】
アゴニストは、アゴニストが他のあらゆるニコチン性受容体より非常に大きな程度(すなわち、少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、さらに好ましくは少なくとも50倍)までα7受容体を活性化させるときはいつでも、α7に特異的である。最も好ましくは、特異的アゴニストは、あらゆる測定可能な程度(すなわち、十分に制御された比較で、P=0.05対未処理受容体で有意である)まで別のニコチン性受容体を活性化させない。特異的α7アゴニストの限定されない例は、DMXB-A(化合物(V))およびコカインメチオダイドである。
【0058】
ある種の態様では、ニコチン性コリン作動性アゴニストは、式I:
【0059】
【化1−11】
【0060】
(式中、Rは、水素またはメチルを表し、そして
nは、0または1を表す)
で表される化合物またはそれの薬学的に許容されうる塩である。特に好ましい態様では、ニコチン性コリン作動性アゴニストは、(-)-スピロ[1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3,5’-オキサゾリジン-2’-オン](化合物(VII))である。式Iの化合物の製造の方法は、米国特許第5,902,814号で記述され、その教示は、全体に参照して本明細書に組込まれる。
【0061】
他の態様では、ニコチン性コリン作動性アゴニストは、式II:
【0062】
【化2】
【0063】
(式中、
mは、1または2である;
nは、0または1である;
Yは、CH、NまたはNOである;
Xは、酸素または硫黄である;
Wは、酸素、H2またはF2である;
Aは、NまたはC(R2)である;
Gは、NまたはC(R3)である;
Dは、NまたはC(R4)である;
ただし、A、GおよびDの内のわずか1つが、窒素であるが、Y、A、GおよびDの内の少なくとも1つは、窒素またはNOである;
R1は、水素またはC1〜C4アルキルである;
R2、R3およびR4は、独立して水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OH、OC1〜C4アルキル、CO2R1、-CN、-NO2、-NR5R6、-CF3または-OSO2CF3であるか、またはR2およびR3、R3およびR4は、それぞれ、AおよびG、またはGおよびDをそれぞれ共有し、ゼロと2の間の窒素原子を含有する別の6員芳香族またはヘテロ芳香族環を一緒に形成し得て、そして以下の置換基:水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OH、OC1〜C4アルキル、CO2R1、-CN、-NO2、-NR5R6、-CF3または-OSO2CF3の1つから2つまでで置換されうる;
R5およびR6は、独立して、水素、C1〜C4アルキル、C(O)R7、C(O)NHR8、C(O)OR9、SO2R10であるか、または一緒に、(CH2)jQ(CH2)k(式中、QはO、S、NR11である)、
または結合でありうる;
jは、2から7までである;
kは、0から2までである;
R7、R8、R9、R10およびR11は、独立して、C1〜C4アルキル、アリール、またはヘテロアリールであるか、またはそれのエナンチオマーである)
で表される化合物、または医薬上許容しうるそれの塩である。好ましい態様では、コリン作動性アゴニストは、式II(式中、mは、1である;nは、0である;pは、0である;xは、酸素である;Aは、C(R2)である;Gは、C(R3)である;そしてDは、C(R4)である)で表される化合物である。特に好ましい態様では、ニコチン性コリン作動性アゴニストは、(R)-(-)-5’-フェニルスピロ[1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3,2’-(3’H)-フロ[2,3-b]ピリジン]である。式IIで表される化合物の製造の方法は、米国特許第6,110,914号で記述され、それの教示は、全体に参照して本明細書に組込まれる。
【0064】
別の態様では、ニコチン性コリン作動性アゴニストは、式III:
【0065】
【化3】
【0066】
(式中、R1、R6およびR7は、水素またはC1〜C4アルキルである;そしてR2は、
【0067】
【化4】
【0068】
(式中、R3、R4およびR5は、水素;アルキルの各々で1から4個までの炭素を有する、N,N-ジアルキルアミノで任意に置換されたC1〜C4アルキル;アルキルの各々で1から4個までの炭素を有する、N,N-ジアルキルアミノで任意に置換されたC1〜C6アルコキシ;アルコキシ中に1から4個までの炭素を有するカルボアルコキシ;アミノ、アシル中に1から4個までの炭素を有するアミド;シアノ、および各々のアルキル中に1から4個までの炭素を有する、N,N-ジアルキルアミノ;ハロ;ヒドロキシまたはニトロからなる群から選択される)
で表される群から選択される)
で表される化合物である。
【0069】
好ましい態様では、アゴニストは、式III(式中、R2は、テトラヒドロピリジン環の3位置に結合され、さらにフェニル環の4-または2-位置に結合されるR3は、アミノ、ヒドロキシ、クロロ、シアノ、ジメチルアミノ、メチル、メトキシ、アセチルアミノ、アセトキシ、およびニトロからなる群から選択される)で表される化合物である。1つの特に好ましい態様では、アゴニストは、式III(式中、R3は、ヒドロキシであり、そしてR1、R4およびR5は、水素である)で表される化合物である。別の特に好ましい態様では、アゴニストは、式III(式中、R3は、アセチルアミノであり、そしてR1、R4およびR5は、水素である)で表される化合物である。別の特に好ましい態様では、アゴニストは、式III(式中、R3は、アセトキシであり、そしてR1、R4およびR5は、水素である)で表される化合物である。別の特に好ましい態様では、アゴニストは、式III(式中、R3は、メトキシであり、そしてR1、R4およびR5は、水素である)で表される化合物である。さらに別の特に好ましい態様では、アゴニストは、式III(式中、R3は、メトキシであり、そしてR1およびR4は、水素であり、そしてさらにR3は、フェニル環の2位置に結合され、そしてフェニル環の4位に結合されるR5は、メトキシまたはヒドロキシである)で表される化合物である。特に好ましい態様では、ニコチン性コリン作動性アゴニストは、3-2,4-ジメトキシベンジリジン・アナバセイン(DMXB-4;化合物(V))、3-(4-ヒドロキシベンジリデン)アナバセイン、3-(4-メトキシベンジリデン)アナバセイン、3-(4-アミノベンジリデン)アナバセイン、3-(4-ヒドロキシ-2-メトキシベンジリデン)アナバセイン(化合物(VI))、3-(4-メトキシ-2-ヒドロキシベンジリデン)アナバセイン、trans-3-シンナミリデン・アナバセイン、trans-3-(2-メトキシ-シンナミリデン)アナバセインおよびtrans-3-(4-メトキシシンナミリデン)アナバセインからなる群から選択される。式IIIで表される化合物の製造の方法は、米国特許第5,977,144号に記述され、そしてその教示は、全体に参照して本明細書に組込まれる。
【0070】
さらなる態様では、アゴニストは、式IV:
【0071】
【化5】
【0072】
(式中、Xは、OまたはSである;そして
Rは、H、OR1、NHC(O)R1(式中、R1は水素またはC1〜C4アルキルである)およびハロゲンからなる群から選択される)
で表される化合物である。特に好ましい態様では、ニコチン性コリン作動性アゴニストは、N-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3-イル]-4-(4-ヒドロキシフェノキシ)ベンズアミド、N-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3-イル]-4-(4-アセトアミドフェノキシ)ベンズアミド、N-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3-イル]-4-(フェニルスルファニル)ベンズアミド、およびN-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3-イル]-4-(3-クロロフェニルスルホニル)ベンズアミドからなる群から選択される。式IVで表される化合物の製造の方法は、国際特許出願公開公報WO01/85727に記述されており、そしてその教示は、全体に参照して本明細書に組込まれる。
【0073】
さらに他の態様では、アゴニストは、(1-アザ-ビシクロ[2.2.2]オクト-3-イル)-カルバミン酸1-(2-フルオロフェニル)-エチルエステルである。この化合物の製造の方法は、米国特許出願公開第2002/0040035号に記述されており、そしてその教示は、全体に参照して本明細書に組込まれる。
【0074】
さらに他の態様では、α7アゴニストは、α7ニコチン性受容体の選択的アゴニスト(最も好ましくは特異的アゴニスト)である抗体である。抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルでありうる;多数のヒト、非ヒト真核、細胞、真菌または細菌の源のいずれかから得られうる;ゲノムまたはベクター由来のコーディング配列によってコードされうる;そして、アジュバントの使用を伴って、または伴わずに、天然または組換え体α7またはそれのフラグメントに対して惹起され得て、全ては、抗体を発生および産生することについての業界で周知である種々の方法および手段による。このような有用な抗体の他の例としては、それに限定されないが、キメラ、単鎖、および種々のヒトまたはヒト化型の抗体、並びに、Fabフラグメントおよび特化された発現系から産生されるフラグメントのようなそれの種々のフラグメントが挙げられる。
【0075】
本発明は、上に記述されるとおり、α7アゴニストである抗体にも関する。
【0076】
α7ニコチン性受容体のための抗体を産生するための方法の限定されない例は、α7受容体またはそれのフラグメントで、適切な実験用動物を免疫化すること、および免疫化によって惹起された、α7に結合する抗体を単離することである。免疫化および単離手段は、当業者に周知である。アゴニストである抗体は、例えば、単離抗体を、刺激されて前炎症性サイトカインを放出するマクロファージと合わせることによって本明細書に開示される手段、またはα7受容体活性を評価するためのあらゆる他の適切な方法によって同定されうる。サイトカイン放出の阻害は、アゴニスト活性の指標である。α7についての選択性は、先に検討されたとおり、少なくとも1つの他のニコチン性またはコリン作動性受容体に対する活性についてスクリーニングすることによって評価されうる。α7受容体について選択的なアゴニストであると見なされる抗体は、さらに、本明細書に記述される1つまたはそれより多くの炎症性疾患を治療する上で、例えば動物モデルでのさらなるインビトロ試験またはインビボ試験でのそれらの効率について評価されうる。本発明は、この方法によって識別されるα7選択性抗体アゴニストも含む。
【0077】
本発明は、培養細胞を研究する、例えば、マクロファージの生物学での炎症性サイトカイン放出の効果を研究するか、またはコリン作動性アゴニスト活性について化合物を試験するのに有用である。しかし、インビボ用途は、多くの好ましい態様を実行する。それらの態様では、細胞は、炎症性サイトカインカスケードによって引き起こされる状態に罹患しているか、またはその危険のある患者にある。本明細書で使用される場合、患者は、任意の哺乳動物でありうる。しかし、好ましい態様では、患者は、ヒトである。
【0078】
したがって、ある種の態様では、本発明は、患者における炎症性サイトカインカスケードを阻害する方法に関する。その方法は、炎症性サイトカインカスケードを阻害するのに十分な量で、患者を、コリン作動性アゴニストで処置すること、そして患者が、炎症性サイトカインカスケードによって引き起こされる状態に罹患しているか、またはその危険のあることを含む。好ましくは、コリン作動性アゴニストは、α7ニコチン性受容体に対して選択性である。
【0079】
炎症性サイトカインカスケードによって引き起こされるあらゆる状態の治療は、本発明の範囲内にある。好ましい態様では、状態は、炎症性サイトカインカスケードが、マクロファージからの前炎症性サイトカインの放出を介して影響されるものである。その状態は、炎症性サイトカインカスケードが、敗血症ショックのような全身性反応を引起すものである。あるいはまた、その状態は、リューマチ性関節炎でのように局在化炎症性サイトカインカスケードによって引き起こされうる。
【0080】
本発明を使用して有用に処置されうる状態の限定されない例は、この明細書の背景の節で列挙される状態のものが挙げられる。好ましくは、その状態は、虫垂炎、消化器官、胃または十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵臓炎、急性または虚血性結腸炎、憩室炎、喉頭蓋炎、無弛緩症、胆管炎、胆嚢炎、肝炎、クローン病、腸炎、ホウィップル病、喘息、アレルギー、アナフィラキシー性ショック、免疫複合疾患、臓器虚血、再灌流障害、臓器壊死、枯草熱、セプシス(sepsis)、敗血症(septicemia)、内毒素ショック、悪質液、異常高熱、エオシン好性肉芽腫、肉芽腫症、類肉芽腫症、敗血性流産、精巣上体炎、膣炎、前立腺炎、尿道炎、気管支炎、肺気腫、鼻炎、嚢胞性線維症、肺炎、珪性肺塵症、肺胞炎、細気管支炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈洞炎、インフルエンザ、呼吸器シンシチュームウイルス、ヘルペス、播種性菌血症、デング熱、カンディディアシス、マラリア、フィラリア、赤痢アメーバー、胞虫、火傷、皮膚炎、皮膚筋炎、日焼け、蕁麻疹性ゆう贅、みみず腫れ、脈管炎、血管炎、心内膜炎、動脈炎、アテローム性動脈硬化症、血栓性静脈炎、心膜炎、心筋炎、心筋虚血、結節性心房周囲炎、リューマチ熱、アルツハイマー病、セリアック病(coeliac disease)、うっ血性心不全、成人呼吸促進症候群、髄膜炎、脳炎、多発性硬化症、脳梗塞、脳塞栓症、ギラン-バレー症候群、神経炎、神経痛、脊髄損傷、麻痺、ぶどう膜炎、関節炎、関節痛、骨髄炎、筋膜炎、ページェット病、痛風、歯根膜疾患、リューマチ様関節炎、滑膜炎、重症筋無力症、甲状腺炎(thryoiditis)、全身性紅斑狼瘡、グッドパスチャー症候群、ベチェット症候群、同種移植拒絶、移植片対宿主疾患、I型糖尿病、強直性脊椎炎、バーガー病、II型糖尿病、強直性脊椎炎、バーガー病、リタイヤー症候群またはホジキン病である。
【0081】
代替の態様では、状態は、上に列挙された状態のいずれかであるが、だたし、その状態は、潰瘍性結腸炎、脳卒中、II型糖尿病、クローン病、アルツハイマー病または炎症性皮膚状態ではない。
【0082】
1つの態様では、状態は、虫垂炎、消化器官、胃または十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵臓炎、肝炎、クローン病、喘息、アレルギー、アナフィラキシー性ショック、臓器虚血、再灌流障害、臓器壊死、枯草熱、セプシス(sepsis)、敗血症(septicemia)、内毒素ショック、悪質液、敗血性流産、播種性菌血症、火傷、アルツハイマー病、セリアック病、うっ血性心不全、成人呼吸促進症候群、脳梗塞、脳塞栓症、脊髄損傷、麻痺、同種移植拒絶または移植片対宿主疾患である。
【0083】
別の態様では、状態は、虫垂炎、消化器官、胃または十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵臓炎、肝炎、喘息、アレルギー、アナフィラキシー性ショック、臓器虚血、再灌流障害、臓器壊死、枯草熱、セプシス(sepsis)、敗血症(septicemia)、内毒素ショック、悪質液、敗血性流産、播種性菌血症、火傷、うっ血性心不全、成人呼吸促進症候群、脳梗塞、脳塞栓症、脊髄損傷、麻痺、同種移植拒絶または移植片対宿主疾患である。1つの態様では、状態は、敗血症である。
【0084】
さらに別の態様では、状態は、前立腺炎、膵臓炎、臓器虚血、再灌流障害、臓器壊死、セプシス、内毒素ショック、悪質液、火傷、成人呼吸促進症候群、慢性閉塞性肺性疾患、乾癬、リューマチ様関節炎、全身性紅斑狼瘡、心筋虚血、および同種移植拒絶からなる群から選択される。
【0085】
代替の態様では、状態は、腹膜炎、膵臓炎、セプシス、内毒素ショック、成人呼吸促進症候群、慢性閉塞性肺性疾患、リューマチ様関節炎、全身性紅斑狼瘡、心筋虚血、同種移植拒絶、喘息、移植片対宿主疾患、うっ血性心不全および嚢胞性線維症からなる群から選択される。
【0086】
これらの状態は、好ましくは、化合物I-VIIまたはそれの薬学的に許容されうる塩のいずれかで処置される。
【0087】
コリン作動性アゴニストの投与の経路は、治療されるべき状態による。例えば、静脈内注射は、敗血症ショックのような全身性障害の治療のために好ましく、そして経口投与は、胃潰瘍のような胃腸障害を治療するために好ましい可能性がある。投与されるべきコリン作動性アゴニストの投与の経路および投与量は、標準用量応答研究と関連させて、過度の実験なしに当業者によって決定されうる。それらの決定をする上で考慮すべき関連の事柄としては、治療されるべき状態または複数の状態、投与されるべき組成物の選択、個々の患者の年齢、体重および応答、および患者の兆候の重篤度が挙げられる。したがって、状態によって、コリン作動性アゴニストは、患者に、経口で、非経口で、鼻内に、膣に、直腸に、舌に、舌下に、頬に、頬内におよび経皮に投与されうる。
【0088】
したがって、経口、舌、舌下、頬、および頬内投与のために設計されるコリン作動性アゴニスト組成物は、当業界で周知の手段によって、過度の実験なしに、例えば不活性希釈剤と、または食用担体と共に作製されうる。組成物は、ゼラチンカプセルに含まれるか、錠剤に圧縮されうる。経口の治療的投与の目的のために、本発明の医薬組成物は、賦形剤と共に組込まれ、そして錠剤、トローチ剤、カプセル、エリキシール、懸濁液、シロップ、ウエハース、チューインガム等の形態で使用されうる。
【0089】
錠剤、丸剤、カプセル、トローチ剤等は、結合剤、賦形剤(recipient)、崩壊剤、滑剤、甘味剤、および風味剤も含有しうる。結合剤のある種の例としては、微細結晶性セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチンが挙げられる。賦形剤の例としては、スターチまたはラクトースが挙げられる。崩壊剤のある種の例としては、アルギン酸、コーンスターチ等が挙げられる。滑剤の例としては、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カリウムが挙げられる。流動促進剤の例は、コロイド状二酸化ケイ素である。甘味剤のある種の例としては、ショ糖、サッカリン等が挙げられる。風味剤の例としては、ペパーミント、サリチル酸メチル、オレンジ風味剤等が挙げられる。これらの種々の組成物を製造する上で使用される材料は、使用される量で、医薬上純粋で、そして毒性がないべきである。
【0090】
本発明のコリン作動性アゴニスト組成物は、例えば、静脈内、筋肉内、髄腔内または皮下注射のような非経口で容易に投与されうる。非経口投与は、本発明のコリン作動性アゴニスト組成物を、溶液または懸濁液に組込むことによって達成されうる。このような溶液または懸濁液としては、注射用の水、生理食塩水溶液、固化油状物、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒のような滅菌希釈剤も挙げられうる。非経口処方は、例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗細菌剤、例えばアスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムのような抗酸化剤、およびEDTAのようなキレート剤も挙げられうる。酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩のような緩衝剤、および塩化ナトリウムまたはデキストロースのような張力の調整のための剤も添加されうる。非経口薬剤は、ガラスまたはプラスチックで作られたアンプル、使い捨てシリンジ、または多回用量バイアルに含まれうる。
【0091】
直腸投与としては、医薬組成物を、直腸または結腸に投与することを含む。これは、坐剤または浣腸を使用して達成されうる。坐剤処方は、当業界で知られる方法によって容易に製剤されうる。例えば、坐剤処方は、約120℃までグリセリンを加熱し、グリセリンにコリン作動性アゴニストを溶解させ、加熱されたグリセリンを混合し、その後、精製水を添加してもよく、そして熱混合液を、坐剤型に注ぐことによって調製されうる。
【0092】
経皮投与としては、皮膚を介したコリン作動性アゴニストの皮膚を通しての吸収が挙げられる。経皮処方は、パッチ(周知のニコチンパッチのような)、軟膏、クリーム、ゲル、膏薬等が挙げられる。
【0093】
本発明は、治療上有用な量のコリン作動性アゴニストを、哺乳動物に鼻内投与することを含む。本明細書で使用される場合、鼻内に投与すること、または鼻内投与は、患者の鼻の通路または鼻の空洞の粘膜にコリン作動性アゴニストを投与することを含む。本明細書で使用される場合、コリン作動性アゴニストの鼻内投与のための医薬組成物は、例えば、鼻のスプレー、鼻の滴下、懸濁液、ゲル、軟膏、クリームまたは粉末として、治投与されるべき、周知方法によって製剤される治療上有効な量のアゴニストを含む。コリン作動性アゴニストの投与は、鼻用タンポンまた鼻用スポンジを使用しても行われうる。
【0094】
先に検討されたとおり、これらの方法についての好ましいコリン作動性アゴニストは、例えば、DMXB-A(化合物(V))、コカインメチオダイドを含めたα7受容体に選択性または特異的である。
【0095】
本発明は、化合物が、α7ニコチン性受容体と反応性のあるコリン作動性アゴニストであるかどうかを決定する方法にも関する。その方法は、その化合物が、哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害するかどうかを決定することを含む。これらの方法で、哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害する化合物は、α7ニコチン性受容体と反応性のあるコリン作動性アゴニストである。
【0096】
これらの方法は、好ましくは、前炎症性サイトカインカスケードを刺激する剤と一緒に、哺乳動物細胞を、化合物で治療することを含む。好ましい剤は、細菌性リポ多糖(LPS)である。化合物は、剤の前に、剤と同時に、または剤の後にのいずれかに、哺乳動物細胞に投与されうる。好ましくは、化合物は、剤の前に投与される。例えば、米国特許出願第09/855,446号を参照。
【0097】
好ましい態様では、α7アゴニストであると見なされる化合物は、さらに、α7アゴニストは選択性または特異的であるかどうかを判断するために、少なくとも1つの他のニコチン性受容体サブタイプを活性化させる能力について試験される。α7サブタイプを選択的に、または特異的に活性化する試験化合物は、さらに、動物モデルで、さらに進んだ試験、例えばさらにインビトロ試験またはインビボ試験に供し、炎症性障害を有する試験被験体についての化合物適合性をさらに評価されうる。
【0098】
これらの方法は、試験されるべきどんな特定の化合物にも狭く限定されない。現時点で知られるほとんどのコリン作動性アゴニストは、小型分子であるが、α7アゴニスト活性は、タンパク質(例えば、先に検討されるとおり抗体)、オリゴヌクレオチドまたは擬態(例えば、アプタマー)または他のあらゆる化合物中に存在しうる。これらの方法は、潜在的なα7アゴニストのいずれかを試験するのに適している。
【0099】
これらの方法については、細胞は、前炎症性サイトカインを産生するために誘発されうるあらゆる細胞でありうる。好ましい実施態様では、細胞は、免疫細胞、例えばマクロファージ、単細胞、または好中球である。最も好ましい実施態様では、細胞は、マクロファージである。
【0100】
阻害について測定されるべき前炎症性サイトカインは、細胞から放出されるように誘発されうるあらゆる前炎症性サイトカインでありうる。好ましい実施態様では、サイトカインは、TNFである。
【0101】
サイトカイン生産の阻害の評価は、サイトカインの定量(例えば、ELISAを用いた)を含めて知られるあらゆる手段により、またはバイオアッセイ(例えば、前炎症性サイトカイン活性が減じられるかどうかを決定すること)によるか、または前炎症性サイトカインmRNAの測定によりうる。当業者は、過度の実験なしに、これらのアッセイのいずれかを利用しうる。この点で有用な数種のアッセイの例として米国特許出願番号第09/855,446号も参照。
【0102】
これらの方法は、動物、例えばラットが、前炎症性サイトカインカスケードを刺激する剤と一緒に化合物で処置され、そして前炎症性サイトカインカスケードの誘発におけるその剤の影響が、例えば、血清TNF濃度を測定することによって測定されるものであるインビボで行われうる。しかし、丸ごとの動物を用いるよりむしろ細胞培養物を用いてこれらの型のアッセイを行うことの相対的容易さにより、その方法は、好ましくは、例えば、マクロファージ培養物を使用してインビトロで行われる。
【0103】
関連する態様では、本発明は、化合物が、α7ニコチン性受容体と反応性のあるコリン作動性アンタゴニストであるかどうかを決定する方法に関する。これらの方法は、化合物が、哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害するコリン作動性アゴニストの能力を減じるかどうかを決定することを含む。これらの実施態様では、哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害するコリン作動性アゴニストの能力を減じる化合物は、α7受容体と反応性があるコリン作動性アンタゴニストである。
【0104】
これらの方法は、好ましくは、α7アゴニストと、前炎症性サイトカインカスケードを刺激する剤と一緒に、化合物で哺乳動物細胞を処置することを含む。したがって、これらの方法は、先のアッセイの化合物が、その剤によって別の状況では誘発される細胞からの前炎症性サイトカイン放出を阻害するα7アゴニストであることを除き、直前に記述される方法と必然的に同様である。試験化合物は、α7アゴニストが、剤(例えば、LPS)によって引き起こされる前炎症性サイトカインカスケードを阻害することを防止できるかどうかを判断するために評価される。細胞および剤は、直前の方法について記述されるとおりでありうる;α7アゴニストは、例えばニコチンまたはDMXB-Aとして知られる任意の非特異的、選択的、または特異的なα7アゴニストでありうる。さらに、直前の方法を用いた場合、これらの方法は、インビボで行われうるが、好ましくは、インビトロで行われる。
【0105】
直前の方法を用いた場合、α7アンタゴニスト活性について試験されるべき化合物は、小分子量化合物に限定されないが、しかし、タンパク質、オリゴペプチド、またはオリゴペプチド模倣物を含めたあらゆる化合物が挙げられる。さらに、直前の方法を用いた場合、サイトカイン生産の阻害を測定することによって、試験化合物の効率の評価は、サイトカインの定量を含めたあらゆる既知手段(例えば、ELISAなど)により、またはバイオアッセイ(例えば、前炎症性サイトカイン活性が減じられるかどうかを決定すること)により、または前炎症性サイトカインmRNAの測定によりうる。当業者は、過度の実験なしにこれらのアッセイのいずれかを利用しうる。
【0106】
他の実施態様では、本発明は、試験化合物が、炎症を阻害する能力を有するかどうかを決定する方法に関する。いくつかの局面では、これらの方法は、試験化合物が、α7ニコチン性受容体と反応性があるコリン作動性アゴニストであるかどうかを決定することを含む。好ましくは、その方法は、さらに、試験化合物が、少なくとも1つの他のニコチン性受容体を活性化させるそれの能力について試験化合物を試験することによって、α7に選択性があるかどうかを決定することを含む。これらの決定は、例えば、化合物が、哺乳動物細胞、好ましくはマクロファージからの前炎症性サイトカインの放出を阻害するかどうかを決定することによって、先に記述されるとおり行われ得る。
【0107】
他の局面では、試験化合物が、炎症を阻害する能力を有するかどうかを決定するための方法は、例えば、試験化合物がマクロファージからのFITC-α-ブンガロトキシンの結合を阻害するかどうかを決定することによって、試験化合物が、α7ニコチン性受容体に対するアンタゴニストの結合を阻害するかどうかを決定することを含む。ある種の実施態様では、試験化合物が、化合物が、マクロファージに対するα-ブンガロトキシンの結合を阻害するかどうかを決定するために添加されることを除いて、その方法は、α-ブンガロトキシン染色および共焦点顕微鏡法を利用するものである実施例1を参照。
【0108】
ある種の場合には、前炎症性サイトカイン放出を阻害する哺乳動物細胞の能力を限定することが望ましい可能性がある。このような場合の例は、前炎症性サイトカインが、癌を防止するか、それと戦うことが望まれる場合、またはα7受容体の生理学上の効果が、研究される予定である場合である。したがって、本発明は、コリン作動性アゴニストへの細胞の暴露により、哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を弱めることを阻害する方法にも関する。その方法は、細胞を、α受容体に対するコリン作動性アゴニストの結合を阻害する剤で処置することを含む。先に記述される方法を用いた場合、これらの方法についての好ましい細胞は、マクロファージである。
【0109】
当業者は、細胞でのα7受容体に対するコリン作動性アゴニストの結合が、阻害されうるいくつかの方法を予見しうる。例としては、α7アンタゴニストでの細胞の処置を含む;α7受容体に結合する抗体またはアプタマアー(aptamer)で細胞を処置すること;受容体へのコリン作動性アゴニストの結合を防止すること;または好ましくは、α7mRNAに相補的であり、そしてα7受容体に対するmRNAの翻訳を阻害する能力があるアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは模倣物で、細胞を処置すること。このようなアンチセンス模倣物の効率の証拠として実施例1を参照。本明細書で使用される場合、模倣物は、天然に生じるオリゴヌクレオチドと化学的に異なるが、しかし相補的ヌクレオチド配列に対してオリゴヌクレオチド様非共有結合する能力があるオリゴヌクレオチド類似体である。例えば、有用な模倣物の検討については米国特許番号第6,436,909号を参照。好ましい実施態様では、剤は、相応のα7遺伝子に相補であるホスホロチオネート・オリゴヌクレオチド模倣物である。α7遺伝子は、例えば、Pengら、1994年で提供される。有用なアンチセンス配列の例は、5’-gcagcgcatgttgagtcccg-3’(実施例1を参照)または類似の配列であり、そして好ましくは、ヒトα7サブユニット遺伝子の翻訳開始コドンを囲む。
【0110】
したがって、本発明は、コリン作動性アゴニストへのマクロファージの暴露により、哺乳動物マクロファージからのリポ多糖誘発TNF放出の低下を阻害する能力のあるオリゴヌクレオチドまたは模倣物にも関する。オリゴヌクレオチドまたは模倣物は、α7受容体のmRNAに相補的である5ヌクレオチド長より大きな配列を含む。好ましくは、オリゴヌクレオチドまたは模倣物は、α7mRNAの転写開始領域に相補的である。最も好ましくは、オリゴヌクレオチドまたは模倣物は、配列5’-gcagcgcatgttgagtcccg-3’を含む。
【0111】
本発明の好ましい実施態様は、以下の実施例で記述される。ここに請求項の範囲内の他の実施態様は、ここに開示されるとおり本発明の明細書または実施を考慮して当業者に明らかである。実施例と一緒に明細書は、例としてのみ考慮され、そして本発明の範囲および概念は、実施例に続く請求項によって示されることが意図される。
【実施例】
【0112】
実施例1.神経-免疫シナプスの分子基質としてのα7ニコチン性受容体
実施例要旨
ここで、本発明者らは、ニコチン性受容体α7サブユニットが、マクロファージTNF放出のアセチルコリン阻害について要求されることを報告する。固有の受容体クラスターに結合したα-ブンガロトキシンは、一次ヒトマクロファージの表面で発現した。α7特異的抗体を用いた免疫ブロッティングは、α-ブンガロトキシン接合ビーズに対する付着により単離されたタンパク質中のα7サブユニットの同一性を確認した。α7アンチセンス・オリゴヌクレオチドへのマクロファージの暴露は、α-ブンガロトキシン結合を減少させ、そしてニコチンの存在下でTNF放出を保存した。ニコチン性受容体α7サブユニットに欠損しているマウスは、野生型マウスと比較した場合、内毒素血症の間、明らかにいっそうTNF、IL-1βおよびIL-6を産生した。α7ノックアウトマウスから単離されたマクロファージは、コリン作動性アゴニストに反応し、そしてTNFを産生し続けることができなかった。最後に、野生型マウスでTNF放出を阻害したプロトコールを用いた、迷走神経の電気刺激は、α7欠損マウスではTNF放出を阻害しなかった。したがって、ニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニットは、前炎症性サイトカインのコリン作動性阻害に必須である。
【0113】
結果および考察
前炎症性サイトカイン放出の阻害に関与したマクロファージ受容体を識別する上で最初の段階として、第一のヒトマクロファージを、コリン作動性受容体のサブユニットに結合するペプチドアンタゴニストであるFITC-α-ブンガロトキシンで標識した(Lindstrom,1995年;LeonardおよびBertrand、2001年)。α-ブンガロトキシンの強力な結合は、マクロファージ表面で観察された(図1a)。ニコチン性予備処置は、結合の強度を明らかに減少させた(図1b)。神経-筋肉接点と神経シナプスで、ニコチン性受容体は、素早い信号伝達を促進する受容体凝集体またはクラスターを形成する(Linら、2001年;Fengら、1998年;Shoopら、2000年)。α-ブンガロトキシン結合の固有のクラスターは、特に細胞本体の表面で濃縮されたマクロファージの表面に高倍率下で、明らかに観察されうる(図1c、d)。
【0114】
現在まで、α1、α7およびα9は、ヒト細胞で知られるα-ブンガロトキシン-結合ニコチン性受容体サブユニットである(Lindstrom,1995年;LeonardおよびBertrand、2001年)。α1と一緒にβ1、δ、およびε(成人)またはγ(胎児)サブユニットのいずれかは、筋肉収縮を調節する異種五量体ニコチン性受容体を形成する;α7およびα9は、各々、同種五量体ニコチン性受容体を形成しうる(Lindstrom、1995年;LeonardおよびBertrand、2001年)。これらの受容体サブユニットが、マクロファージで発現されるかどうかを決定するために、本発明者らは、RNAを、末梢血単核細胞(PBMC)からインビトロで分化された一次ヒトマクロファージから単離し、そしてRT-PCR分析を行った。実験の感度および特異性を増大させるために、本発明者らは、各サブユニットに特異的な入れ子プライマーを使用して、逆転写の後に2ラウンドのPCRを行った。PCR産物の同定は、配列決定により確認された。α1、α10(データは示されず)およびα7(図2a)mRNAの両方の発現は、未関連血液提供者から由来したヒトマクロファージで検出された。同じRT-PCR攻略法は、マクロファージでのα9サブユニットmRNAの発現を検出しなかった(データは示されず)。
【0115】
α1およびα7サブユニットのタンパク質発現は、ウエスタンブロッティングによって次に試験された。α7特異的抗体は、分化一次マクロファージから、および未分化PBMC(データは示されず)から得られる(α7タンパク質について公表された分子量[Pengら、1994年;DrisdelおよびGreen、2000年]に類似の)約55kDの見掛けの分子量で明らかなバンドを認識した。α1タンパク質発現は、マクロファージに対するPBMCのインビトロ分化の間じゅう、検出可能でない濃度まで下方調節された(データは示されず)。α1ヘテロ五量体ニコチン性アセチルコリン受容体の必須の構成要素であるδサブユニットは、この入れ子RT-PCR攻略法によって検出されないであろう(データは示されず)。マクロファージでの陽性信号が、α-ブンガロトキシンを結合するα7ニコチン性受容体を表したことを確認するために、本発明者らは、ヒトマクロファージまたはPC12細胞(α7ホモ五量体を発現することが示されたラットの褐色細胞腫細胞[DrisdelおよびGreen、2000年])のいずれかから作製されたタンパク質を引き下げるためにα-ブンガロトキシン接合ビーズを使用した。保有タンパク質は、ヒトおよびラットの両方のα7タンパク質(ヒトおよびラットα7タンパク質は、同じ数のアミノ酸を含有し、そして94%同一である[Pengら、1994年;Seguelaら、1993年])を識別するポリクローナルまたはモノクローナルα7特異的抗体を使用したウエスタンブロッティングによって分析された。結果は、明らかに、ヒトマクロファージが、PC12細胞中のα7サブユニットに類似である見掛けの分子量を示すα-ブンガロトキシン結合α7タンパク質を発現することを示した(図2b)。マクロファージα7サブユニットの同一性は、RT-PCR法による全長マクロファージで発現されたα7のクローニングによって確認された。マクロファージ中の全長ニコチン性アセチルコリンα7サブユニットは、ニューロンで発現されるニコチン性アセチルコリンα7サブユニットと一致するエキソン1から10までを含む(Gaultら、1998年)。一緒に、これらのデータは、ヒトマクロファージの表面で発現されたαブンガロトキシン結合受容体としてニコチン性アセチルコリンα7サブユニットを同定する。
【0116】
α7受容体が、TNF放出のコリン作動性阻害について要求されるかどうかを研究するために、本発明者らは、ヒトα7サブユニット遺伝子の翻訳開始コドンを囲むホスホロチオエート・アンチセンスオリゴヌクレオチドを合成した。α1とα10サブユニット遺伝子の類似領域に対するアンチセンス・オリゴヌクレオチドは、対照として合成された。α7に特異的なアンチセンス・オリゴヌクレオチド(ASα7)にさらされたマクロファージは、ニコチンのTNF阻害作用に明らかに低い反応性があった(図3a)。ニコチン性アセチルコリンα7サブユニットに対するアンチセンス・オリゴヌクレオチドは、ニコチンの存在下で、マクロファージTNF放出を保持した。ASα7へのマクロファージの暴露は、LPSおよびニコチンの不在下で、TNF合成を刺激しなかった。類似の条件下で、α1(ASα1)およびα10(ASα10)サブユニットに対するアンチセンス・オリゴヌクレオチドは、LPS誘発TNF放出(図3b、c)でのニコチンの効果を明らかに変化させず、そしてニコチンによるTNFの抑制は、ニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニットに特異的であることを示した。α7、α1およびα10に対する別の組のアンチセンス・オリゴヌクレオチドは、類似の結果を示した(データは示されず)。マクロファージ培養物にニコチン性アセチルコリンα7サブユニット・アンチセンス・オリゴヌクレオチドを添加することが、FITC標識α-ブンガロトキシンの表面結合を減少させた(図3d、e)。一緒になってこれらのデータは、ニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニットニコチン性受容体が、マクロファージ中のTNF放出のコリン作動性抗炎症性経路依存阻害に必須であることを示す。
【0117】
マクロファージは、インビボでの細菌の内毒素に対する応答で産生されるTNFの主要な源である(Bianchiら、1995年;Kuminsら、1996年)。ニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニットが、インビボでのコリン作動性抗炎症性経路に必須であるかどうかを調査するために、本発明者らは、ジェネティックノックアウト技術(Orr-Urtregerら、1997年)により発生されるα7遺伝子で欠損したマウスでのTNF産生を測定した。α7受容体サブユニットを欠くマウスが、正常に発育し、そして総解剖学上の欠点を示さない(同上;Franceschiniら、2000年)。内毒素にさらされたα7サブユニット欠損マウスでの血清TNFレベルは、野生型対照マウスより5倍以上高かった(野生型血清TNF=2.3±0.3ng ml-1対α7ノックアウトマウス血清TNF=12.2±4.7ng ml-1、p<0.05(2尾部t検定)(図4a)。肝臓および脾臓でのTNF産生は、ノックアウトマウスでも高く(図4b、c)、そしてインビボでの炎症性応答の調節で、ニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニットの臨界関数を示した。内毒素性α7サブユニット欠損マウスも、野生型マウスと比較した場合、有意に高濃度のIL-1β(図4d)およびIL-6(図4e)を産生した。α7サブユニットノックアウトマウスから誘導されるマクロファージは、コリン作動性アゴニストに無反応であり、そしてニコチンまたはアセチルコリンの存在下で正常にTNFを産生した(表1)。したがって、マクロファージでのニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニット発現は、TNFのコリン作動性調節に必須である。
【0118】
【表1】
【0119】
チオグリコレート誘引野生型マウスまたはニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニット・ノックアウトマウスから単離された腹膜マクロファージを、培養中に4時間、LPS(100ng/ml)で刺激した。対照:未刺激マクロファージ培養物。示される場合、ニコチンまたはアセチルコリン(Ach)を、LPSの5-10分前に添加した。TNF濃度は、ELISAによって測定された;示されたデータは、平均±s.e.mである。n=群当たり8。*=2尾部t検定によるp<0.05で、LPSから有意な差。
【0120】
ニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニットが、全身性TNFの迷走阻害のために必要とされるかどうかを決定するために、本発明者らは、内毒素の野生型またはβ7サブユニット欠損マウスの迷走神経に対する電気刺激(Borovikovaら、2000年)を使用した。迷走神経の電気刺激は、野生型マウスでの内毒素誘発血清TNF濃度を有意に低下させた(図5)。しかし、ニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニット欠損マウスでのこのプロトコールを使用した迷走神経刺激は、内毒素血症の間の血清TNF濃度を減少させることができなかった(図5)。したがって、インビボでの迷走神経刺激に対する官能性反応は、TNF放出を阻害するニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニットを要求する。
【0121】
これらの観察は、炎症およびTNF放出の調節を理解することに、そして別の治療法の設計にいくつかの密接な関係を示す。先のデータは、ニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニットは、細胞の間の迅速な化学的信号伝達に関与するホモ五量体受容体を形成することを示す(Lindstrom、1995年;LeonardおよびBertrand、2001年;Le NovereおよびChangeux、1995年)。神経のニコチン性アセチルコリンα7受容体は、カルシウムに対して非常に透過性があり(Vijayaraghavanら、1992年;Shoopら、2001年)、そして本発明者らは、ニコチンが、マクロファージ中で一過性のカルシウム流入を誘発することを観察した(データは示されず)。この増大したカルシウム流入と、TNF放出を阻害する細胞内機構の役割は、さらなる研究を必要とする。インビボでのニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニット発現の崩壊は、内毒素で誘発されたTNF放出を有意に増大させ、そしてTNF放出を阻害する方法として、迷走神経刺激物質を不十分にさせた。これは、ニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニット遺伝子の産生が、内毒素血症に対する全身性炎症性反応の間に、急性TNF放出の迷走神経調節に必須であることを示す。迷走神経末端、またはおそらく他の源(例えば、リンパ球または上皮細胞)からのアセチルコリン放出は、マクロファージ活性を特に阻害しうることは明らかである。TNF放出を阻害する抗炎症性剤として使用するための末梢免疫細胞でのニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニットを標的にするコリン作動性アゴニストを開発する可能性が存在する。抗炎症性活性を有する迷走神経刺激物質を開発する可能性もありうる;類似のデバイスは、臨床上安全であり、そして発作障害を有する数名の患者の治療に使用される。TNFは、リューマチ性関節炎およびクローン病のための臨床的に有効な薬剤標的であり、そのため、ニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニットを標的にするTNF阻害攻略法と見なすのが合理的であるように思われる。
【0122】
方法
α-ブンガロトキシン染色および共焦点顕微鏡法。ヒトマクロファージの単離および培養は、先に記述されたとおりに行われた(Borovikovaら、2000年)。細胞を、完全培養培地(10%熱不活性化ヒト血清を含むRPMI1640)中で、MCSF(2ng/ml)の存在下で7日間分化させた。分化マクロファージを、15分間、4Cで、細胞培養培地中で1.5μgml-1の、FITC標識α-ブンガロトキシン(シグマ(SIGMA))とインキュベートした。示されたところで、ニコチンを、α-ブンガロトキシンの添加の前に、500μMの最終濃度まで添加した。細胞を、RPMI培地(ギブコ(GIBCO))で三回洗浄し、そしてその後、4%パラホルムアルデヒド-PBS溶液(pH7.2)中で、室温で、15分間固定した。固定後、細胞を、PBSで一回洗浄し、そして蛍光共焦点顕微鏡で観察するために載せた。
【0123】
RT-PCR。総RNAを、TRIゾル試薬を使用してインビトロ分化ヒトマクロファージから作製した。製造業者のプロトコールにに従い、Titan One Tube RT-PCR Kit(ロシェ・モレキュラー・バイオケミカル(Roche Molecular Biochemicals))を使用して、逆転写および第一ラウンドのPCRを行った。プロメガ2×PCRマスターミックスを使用して、第二ラウンドの入れ子PCR(nested PCR)を行った。入れ子PCRからのPCR産物を、アガロースゲル上で電気泳動させ、そしてGene Clean III Kit(バイオラボ(Biolab))を使用して回収し、そして配列決定を取って、結果を確認した。逆転写および第一ラウンドのPCRのためのプライマーの組は、α1:センスプライマー5’-CCAGACCTGAGCAACTTCATGG-3’、アンチセンスプライマー5’-AATGAGTCGACCTGCAAACACG-3’;α:センスプライマー5’-GACTGTTCGTTTCCCAGATGG-3’、アンチセンスプライマー5’-ACGAAGTTGGGAGCCGACATCA-3’;α9:センスプライマー5’-CGAGATCAGTACGATGGCCTAG-3’、アンチセンスプライマー5’-TCTGTGACTAATCCGCTCTTGC-3’。入れ子PCRのためのプライマーの組は、α1:センスプライマー5’-ATCACCTACCACTTCGTCATGC-3’、アンチセンスプライマー5’-GTATGTGGTCCATCACCATTGC-3’;α7:センスプライマー5’-CCCGGCAAGAGGAGTGAAAGGT-3’;アンチセンスプライマー5’-TGCAGATGATGGTGAAGACC-3’;α:センスプライマー5’-AGAGCCTGTGAACACCAATGTGG-3’、アンチセンスプライマー5’-ATGACTTTCGCCACCTTCTTCC-3’。全長α7cDNAのクローニングについては、以下のプライマーを使用した:5’AGGTGCCTCTGTGGCCGCA3’と共に、5’GACTACTCAG-TGGCCCTG3’;5’CGACACGGAGACGTGGAG3’と共に、5’GGTACGGATG-TGCCAAGGAGT3’;5’CAAGGATCCGGACTCAACATGCGCTGCTCG3’と共に、
5’CGGCTCGAGTCACCAGTGTGGTTACGCAAAGTC3’。
【0124】
ウエスタンブロッティングおよびα-ブンガロトキシン複合体共沈法。PC12または一次ヒトマクロファージを、90分間、氷上で、溶解緩衝液(150mM NaCl、5mM EDTA、50mMトリス(pH7.4)、0.02%アジ化ナトリウム、1%トリトンX-100およびプロテアーゼ阻害剤カクテル)とインキュベートすることによって、細胞溶解液を作製した。等量の総タンパク質を、α7特異的抗体(Santa Cruz sc-1447)またはα1モノクローナル抗体(オンゴジーン)のいずれかを用いたウエスタンブロッティングのためのSDS PAGEゲルに載せた。α―ブンガロトキシン引抜アッセイについては、α-ブンガロトキシン(シグマ)を、CNBr活性化セファロースビーズ(ファルマシア(Pharmacia))に接合させ、そしてその後、4℃で、一夜、細胞溶解液とインキュベートした。ビーズおよび結合タンパク質を、溶解緩衝液で4回洗浄し、そしてα7特異的抗体(ポリクローナル:Santa Cruz H-302、モノクローナル:シグマM-220)を用いたウエスタンブロッティングによって分析した。
【0125】
アンチセンス・オリゴヌクレオチド実験。ホスホロチオエート・アンチセンス・オリゴヌクレオチドをGenosysで合成し、そして精製した。オリゴヌクレオチドの配列は、ASα7:5’−gcagcgcatgttgagtcccg−3’;ASα1:5’−gggctccatgggctaccgga−3’;ASα10:5’−ccccatggccctggcactgc− 3’である。これらの配列は、α7、α1およびα10遺伝子の拡散的な翻訳開始領域を網羅する。アンチセンス・オリゴヌクレオチドの送出は、24時間、1μM濃度のオリゴヌクレオチドで、Cohenら(1997年)でのとおり行われた。細胞培養実験については、オリゴヌクレオチド予備処理されたマクロファージ培養物を、新たな培地で洗浄し、そしてニコチン(1μM、LPSの5−10分前に添加)を伴うか、または伴わない100ng ml−1LPSで刺激した。LPSの4時間後、放出されたTNFの量を、L929アッセイによって測定し、そしてその後、TNF ELISAによって立証した。α−ブンガロトキシン染色については、予備処理した細胞を洗浄し、そして上に記述されるとおりFITC−α−ブンガロトキシン染色を進行させた。ニコチンおよび他のニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニットアゴニストも、マウスのマクロファージ様細胞株RAW264.7でLPS誘発TNF放出を有意に阻害する(データは示されず)。
【0126】
α7ニコチン性受容体欠損マウス。α7ニコチン性受容体欠損マウス(C57BL/6バックグランド)および野生型一腹のマウスを、ザ・ジャクソン・ラボラトリー(The Jackson Laboratory)(B6.1297−Chrna7tmlBay、番号003232)から購入した。ホモ接合体ノックアウトマウスまたは野生型マウスの交配を樹立して子孫を得た。オスまたはメスの約8から12週齢までのマウス(年齢および性別の合致した野生型対照と一緒に)を、内毒素実験のために使用した。マウスを個々に秤量し、それに応じて0.1mg kg−1LPSを(腹腔内に)与えた。TNF実験については、血液、肝臓および脾臓をLPSの1時間後に収集した。IL-1βおよびIL−6実験については、血液サンプルを、LPSの4時間後に収集した。TNF、IL−1βおよびIL−6の量を、ELISAによって測定した。マウスの遺伝子型を、ゲノムPCR戦略によって確認した。腹膜のマクロファージを、チオグリコレートで誘引された(48時間)α7ノックアウトおよび野生型のオスおよびメスの約8週齢のマウス(n=8匹/群)から単離した。マクロファージを、各群について貯蔵し、そして一夜培養した。ニコチンおよびアセチルコリンを、LPSの5−10分前に添加した(100ng ml−1)。臭化ピリドスチグミン(100μM)をアセチルコリンと共に添加した。LPS誘発の4時間後、TNF濃度を、ELISAによって測定した。
【0127】
迷走神経刺激。α7ニコチン性受容体欠損マウス(C57BL/6バックグランド、オスおよびメス)ならびに年齢および性別の合致した野生型C57BL/6マウスを、ケタミン(100mg kg−1、筋肉内で)およびキシラジン(10mg kg−1、筋肉内で)で麻酔をかけた。マウスを、偽操作または電気刺激測定基準(STM100A、ハーバード・アパレイタス(Harvard Apparatus)を用いた迷走神経刺激(左迷走、1ボルト、2ms、1Hz)にかけた。20分間(LPS投与の10分前および10分後)、刺激を行った。LPSは、致死用量(75mg kg−1、腹膜内で)で与えた。LPS投与の2時間後、血液を収集した。TNF濃度は、ELISAによって測定した。
【0128】
統計的分析。示される場合、両側t検定を使用して、統計的分析を行った;P<0.05は、有意であると見なされる。二連または三連で実験を行った;インビボおよびエキソビボ実験については、「n」は、各条件下での動物の数に該当する。
【0129】
実施例2:化合物(V)および(VI)は、敗血症のマウスの盲腸結紮および穿刺モデルで保護的である。
式(V)および(VI)で表される化合物は、盲腸結紮および穿刺マウスモデルでの敗血症の治療で、特に有効であることが示された。
【0130】
【化6】
【0131】
【化7】
【0132】
FinkおよびHeard,J.のSurg.Res.49巻:186−196頁(1990年)、Wichmanら、Crit.Care Med.26巻:2078−2086頁(1998年)およびRemickら、Shock 4巻:89−95頁(1995年)で記述されるとおり、盲腸結紮および穿刺(CLP)を行った。簡潔には、Balb/cマウスを、筋肉内で、75mg/kgケタミン(フォート・ドッジ、アイオワ州フォートドッジ(Fort Dodge,Iowa))および20mg/kgのキシラジン(ボーリンガー・インゲルハイム(Bohringer Ingelheim)、ミズーリー州セントヨゼフ(St.Joseph,MO))で麻酔した。正中線切開を行い、そして盲腸を取り出した。6−0プロレン縫合糸結紮を、回盲部弁から離れて盲腸先端から5.0mmレベルで行った。
【0133】
その後、結紮された盲腸の断端を、便の直接的排出なしに、22ゲージの針で一度刺した。その後、盲腸を、それの正常な腹部内の位置に戻した。その後、腹を、流動体の漏れを防止するために、別々に腹膜および筋膜の2層で6−0プロレンのランニング縫合で閉じた。全ての動物を、体重の20ml/kgで、皮下に投与される正常な生理食塩水溶液で蘇生させた。各マウスは、手術の30分後に、皮下注射のイミペネム(0.5mg/マウス)(プライマキシン、メルク・アンド・シーオー.,インク.(Primaxin,Merck&Co.,Inc.)、ペンシルベニア州ウエストポイント(West Point,PA))を受けた。その後、動物を、回復させた。
【0134】
マウスを、4mg/kgで3−2,4−ジメトキシベンジリデン・アナバセイン(化合物(V))、または4mg/kgで3−(4−ヒドロキシ−2−メトキシベンジリデン・アナバセイン(化合物(VI))のいずれかで、あるいは媒体対照で処置した。化合物および媒体対照を、一日目および二日目(それぞれ、術後24時間および48時間)に日に2回、腹膜内(i.p.)で投与し、そして3日目に一回投与した。手術の後の14日間、毎日、死亡率を監視した。結果は、図6に表され、そしてそれは、化合物(V)、化合物(IV)または媒体対照のいずれかでの処置に続いて生存している動物の率を示す。14日目に、化合物(V)で処置したマウスの91%(p<0.01)および化合物(VI)で処置されたマウスの82%(p<0.02)が生存したのに対して、媒体対照で処置したマウスの30%のみが、生存した。これらの結果は、化合物(V)および(VI)が、敗血症のマウスCLPモデルでの生存を有意に改善したことを示す。
【0135】
実施例3:化合物(V)およびニコチンは、マウスRAW264.7マクロファージ様細胞からのLPSで誘発されたTNF−α放出を阻害する
マウスRAW264.7マクロファージ様細胞(American Type Tissue Culture Collection、米国メリーランド州ロックビル(Rockville,Md.,USA))を、10%胎仔ウシ血清、ペニシリンおよびストレプトマイシンで補足されたDMEM下で育成した。その細胞を、Opti−MEM1培地中の24穴組織培養プレートに播き、そして90%コンフルエンスで使用した。その細胞を、0.001、0.01、0.1、1、10または100μMで化合物(V)またはニコチン(シグマ)のいずれかで処置した。化合物(V)またはニコチンの添加の5分後に、細胞を、LPS(500ng/ml)で処置した。上清を、4時間後に収集し、そしてTNF−αを、ELISA(R & D Systems Inc.、ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis,MN)から得られるマウスELISAキット)により測定した。
【0136】
結果は、図7に示され、そしてそれは、ニコチンのように、化合物(V)は、RAW264.7細胞からのTNF−α放出を用量依存的に阻害することを示す。
【0137】
実施例4:化合物(VI)は、マウスRAW264.7マクロファージ様細胞からのLPS誘発TNF−α放出を阻害する
マウスRAW264.7マクロファージ様細胞(American Type Tissue Culture Collection、米国メリーランド州ロックビル(Rockville,Md.,USA))を、10%胎仔ウシ血清、ペニシリンおよびストレプトマイシンで補足されたDMEM下で育成した。その細胞を、Opti−MEM1培地中の24穴組織培養プレートに播き、そして90%コンフルエンスで使用した。
【0138】
図8Aで、細胞を、0.1、1および10uMで化合物(VI)で処置した。化合物(VI)を用いた予備インキュベーションの0、1、4または24時間後に、細胞を、LPS(500ng/ml)で処置した。上清を、4時間後に収集し、そしてTNF−αを、ELISA(R & D Systems Inc.、ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis,MN)から得られるマウスELISAキット)により測定した。図8Aに示された結果は、TNF−αの阻害率として表される。化合物(VI)は、TNF−αを用量依存的に阻害する。
【0139】
図8Bは、図8Aの0時間予備インキュベーション条件の結果を表し、そしてTNF−αの阻害率として表される。化合物(VI)についての概算されたIC50は、0.9uMである。
【0140】
実施例5:LPS攻撃の前の化合物(VI)処置は、マウスでの循環TNFを阻害する
C57B/6マウスを、腹膜内(i.p.)で、4mg/kg化合物(VI)または媒体対照で処置した。化合物(VI)または媒体対照での処置の5分後、マウスに、腹膜内(i.p.)で、100ugLPSを注射した。マウスを、LPS処置の2時間後に屠殺し、そして血液サンプルを、TNF−α測定について収集した。TNF−αを、上に記述されるとおりELISAにより測定した。
【0141】
図9に示されるとおり、LPS攻撃の前の化合物(VI)を用いた処置は、媒体対照で処置したマウスと比較しておよそ50%まで循環中のTNF−αの濃度を減少させた。
【0142】
実施例6:化合物(VI)は、マウスDSS結腸炎での結腸炎症を減少させる
硫酸デキストランナトリウム誘発(DSS)結腸炎を、Hoveら、Dig.Dis,Sci.47(9)巻:2056−2063頁(2002年)で記述されるとおりに行った。C57B/6マウスを、7日間、それらの飲料水中に3%(w/v)DSS(分子量40kDa;TdB Consultancy、スウェーデン国アップサラ(Uppsala,Sweden))で与えた。DSS投与の開始の12時間後、マウスに、7日間、日に二回、腹膜内に(i.p.),4mg/kg化合物(VI)を注射した。マウスを、7日目に屠殺した。
【0143】
死亡後、結腸を回収し、そして正中線切開によって取り出した。結腸の全長を、測定し、そして結果は、図10(B)に表される。結腸の短縮は、結腸炎の重篤度がより大きいことを示す。化合物(VI)で処置したマウスは、対照マウスより僅かに大きな結腸の長さを示し(p=0.07)、化合物(VI)で処置したマウスでの結腸炎のより少ない重篤度を示す。疾患重度の別の指標である結腸の重量も測定した。結腸の湿潤重量を記録し、そして炎症性浮腫の指標として使用した。結果は、図10(A)で示される。化合物(VI)で処置されたマウスでの結腸重量は、対照条件でのマウスと比較して減少された。これらの結果は、化合物(VI)が、マウスDSS結腸炎での結腸炎症を減少させることを示唆する。
【0144】
実施例7:化合物(VII)は、LPS−刺激マウスRAW264.7マクロファージ様細胞からのTNF−α放出を阻害する
化合物(VII)は、TNF−αの放出を阻害する上で有意な効果を示した。
【0145】
【化8】
【0146】
マウスRAW264.7マクロファージ様細胞(American Type Tissue Culture Collection、米国メリーランド州ロックビル)を、実施例3で上に記述されるとおり生育した。細胞を、0、0.01、0.1、1、10および100uMで、(−)−スピロ[1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3,5’−オキサゾリジン−2’−オン](化合物(VII))で処置した。化合物(VII)の添加の5分後、細胞を、LPS(500ng/ml)で処置した。TNF−αを、上に記述されるとおりELISAで測定した。
【0147】
結果は、図11に示され、そしてそれは、高濃度の化合物(VII)が、RAW264.7細胞からのTNF−α放出を阻害することを示す。TNF−α放出は、対照細胞と比べて、100uM化合物(VII)で処置した細胞で4倍を超えるまで減少された。
【0148】
上の所見で、本発明のいくつかの利点は、達成され、そして他の利点は保持されたことが分かる。
【0149】
種々の変化が、本発明の範囲から逸脱することなく、上の方法および組成物で行われうるので、上の説明に含まれ、そして付随の図面で示される全てのことは、例示として解釈されるべきであり、そして限定の意味でないことが意図される。
【0150】
この明細書で引用される全ての文献は、参照により本明細書に組込まれる。本明細書での文献の検討は、著者によってなされた主張を単に要約することが意図され、そしていずれの文献が先行技術を構成することを許すものでない。出願人らは、引用文献の厳密性および妥当性を検証する権利を保持する。
【0151】
本発明が、それの好ましい実施態様に関連して特に示され、そして記述される一方で、形態および詳細における種々の変化は、付随の特許請求の範囲に含まれる本発明の範囲から逸脱することなくここになされ得ることが当業者に理解される。
【0152】
本発明の態様として、以下のものが挙げられる。
[1]前炎症性サイトカインの放出により媒介される状態を患う患者を、マクロファージから放出される前炎症性サイトカインの量を減少させるのに十分な量のα7ニコチン性受容体に感受性であるコリン作動性アゴニストで処置することを含み、
該状態が、虫垂炎、消化器官、胃または十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵臓炎、喉頭蓋炎、無弛緩症、胆管炎、胆嚢炎、肝炎、ホウィップル病、喘息、アレルギー、アナフィラキシー性ショック、免疫複合疾患、臓器虚血、再灌流障害、臓器壊死、枯草熱、セプシス、敗血症、内毒素ショック、悪質液、異常高熱、エオシン好性肉芽腫、肉芽腫症、類肉芽腫症、敗血性流産、精巣上体炎、膣炎、前立腺炎、尿道炎、気管支炎、肺気腫、鼻炎、嚢胞性線維症、肺炎、珪性肺塵症、肺胞炎、細気管支炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈洞炎、インフルエンザ、呼吸器合胞体ウイルス感染、ヘルペス感染、HIV感染、B型肝炎ウイルス感染、C型肝炎ウイルス感染、播種性菌血症、デング熱、カンディディアシス、マラリア、フィラリア、アメーバー症、包虫嚢胞、火傷、脈管炎、血管炎、心内膜炎、動脈炎、アテローム性動脈硬化症、血栓性静脈炎、心膜炎、心筋炎、心筋虚血、結節性動脈周囲炎、リューマチ熱、セリアック病、うっ血性心不全、成人呼吸促進症候群、慢性閉塞性肺性疾患、髄膜炎、脳炎、神経炎、神経痛、脊髄損傷、麻痺、ぶどう膜炎、関節炎、関節痛、骨髄炎、筋膜炎、ページェット病、痛風、歯周疾患、リューマチ様関節炎、滑膜炎、重症筋無力症、甲状腺炎、全身性紅斑狼瘡、グッドパスチャー症候群、ベチェット症候群、同種移植拒絶、移植片対宿主疾患、強直性脊椎炎、バーガー病、強直性脊椎炎、バーガー病、リタイヤー症候群またはホジキン病からなる群より選ばれる、前炎症性サイトカインの放出により媒介される状態を患う患者の処置方法。
[2]前炎症性サイトカインが、腫瘍壊死因子(TNF)、インターロイキン(IL)-1β、IL-6、IL-18およびHMG-1からなる群より選ばれる[1]記載の方法。
[3]前炎症性サイトカインがTNFである[1]記載の方法。
[4]コリン作動性アゴニストが、コカインの第4アナログ;(1-アザ-ビシクロ[2.2.2]オクチ-3-イル)-カルバミン酸1-(2-フルオロフェニル)-エチルエステル;式I:
【化9−1】
(式中、Rは水素またはメチルを表し、
nは0または1を表す)
の化合物;式Iの化合物の薬学的に許容されうる塩;式II:
【化9−2】
(式中:
mは、1または2である;
nは、0または1である;
Yは、CH、NまたはNOである;
Xは、酸素または硫黄である;
Wは、酸素、H2またはF2である;
Aは、NまたはC(R2)である;
Gは、NまたはC(R3)である;
Dは、NまたはC(R4)である;
ただし、A、GおよびDの内のわずか1つが、窒素であるが、Y、A、GおよびDの内の少なくとも1つは、窒素またはNOである;
R1は、水素またはC1〜C4アルキルである;
R2、R3およびR4は、独立して水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OH、OC1〜C4アルキル、CO2R1、-CN、-NO2、-NR5R6、-CF3または-OSO2CF3であるか、またはR2およびR3、R3およびR4は、それぞれ、AおよびG、またはGおよびDをそれぞれ共有し、0〜2の間の窒素原子を含有する別の6員芳香族またはヘテロ芳香族環を一緒に形成し得、以下の置換基:水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OH、OC1〜C4アルキル、CO2R1、-CN、-NO2、-NR5R6、-CF3または-OSO2CF3の1つから2つまでで置換されうる;
R5およびR6は、独立して、水素、C1〜C4アルキル、C(O)R7、C(O)NHR8、C(O)OR9、SO2R10であるか、または一緒に、(CH2)jQ(CH2)k(式中、QはO、S、NR11である)、
または結合でありうる;
jは、2から7までである;
kは、0から2までである;
R7、R8、R9、R10およびR11は、独立して、C1〜C4アルキル、アリール、またはヘテロアリールであるか、またはそのエナンチオマーである)
の化合物;式IIの化合物の薬学的に許容されうる塩;式III:
【化9−3】
(式中、R1、R6およびR7は、水素またはC1〜C4アルキルである;R2は、
【化9−4】
(式中、R3、R4およびR5は、水素、アルキルの各々で1〜4個の炭素を有する、N,N-ジアルキルアミノで任意に置換されたC1〜C4アルキル、アルキルの各々に1〜4個の炭素を有する、N,N-ジアルキルアミノで任意に置換されたC1〜C6アルコキシ、アルコキシに1〜4個の炭素を有するカルボアルコキシ、アミノ、アシルに1〜4個の炭素を有するアミド;シアノ、および各々のアルキルに1〜4個の炭素を有するN,N-ジアルキルアミノ;ハロ;ヒドロキシルまたはニトロからなる群から選ばれる)
から選ばれる)
の化合物;および式IV:
【化9−5】
(式中、Xは、OまたはSであり、Rは、H、OR1、NHC(O)R1、およびハロゲンからなる群より選ばれ、R1はC1-C4アルキルである)
の化合物からなる群より選ばれる[1]記載の方法。
[5]コリン作動性アゴニストが式I:
【化9−6】
(式中、Rは水素またはメチルを表し、
nは0または1である)
の化合物;
またはその薬学的に許容されうる塩である[1]記載の方法。
[6]コリン作動性アゴニストが(-)-スピロ[1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3,5'-オキサゾリジン-2'-オン]
【化9−7】
である[5]記載の方法。
[7]コリン作動性アゴニストが式II:
【化9−8】
(式中:mは、1または2である;
nは、0または1である;
Yは、CH、NまたはNOである;
Xは、酸素または硫黄である;
Wは、酸素、H2またはF2である;
Aは、NまたはC(R2)である;
Gは、NまたはC(R3)である;
Dは、NまたはC(R4)である;
ただし、A、GおよびDの内のわずか1つが、窒素であるが、Y、A、GおよびDの内の少なくとも1つは、窒素またはNOである;
R1は、水素またはC1〜C4アルキルである;
R2、R3およびR4は、独立して水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OH、OC1〜C4アルキル、CO2R1、-CN、-NO2、-NR5R6、-CF3または-OSO2CF3であるか、またはR2およびR3、R3およびR4は、それぞれ、AおよびG、またはGおよびDをそれぞれ共有し、0〜2の間の窒素原子を含有する別の6員芳香族またはヘテロ芳香族環を一緒に形成し得、以下の置換基:水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OH、OC1〜C4アルキル、CO2R1、-CN、-NO2、-NR5R6、-CF3または-OSO2CF3の1つから2つまでで置換されうる;
R5およびR6は、独立して、水素、C1〜C4アルキル、C(O)R7、C(O)NHR8、C(O)OR9、SO2R10であるか、または一緒に、(CH2)jQ(CH2)k(式中、QはO、S、NR11である)、
または結合でありうる;
jは、2から7までである;
kは、0から2までである;
R7、R8、R9、R10およびR11は、独立して、C1〜C4アルキル、アリール、またはヘテロアリールであるか、またはそのエナンチオマーである)
の化合物またはその薬学的に許容されうる塩である[1]記載の方法。
[8]コリン作動性アゴニストが式IIの化合物であり、式中、mが1である;nは0である;pは0である;xは酸素である;AはC(R2)である;GはC(R3)である;DはC(R4)である、[7]記載の方法。
[9]コリン作動性アゴニストが5'-フェニルスピロ[1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3,2'-(3'H)-フロ[2,3-b]ピリジン]である[7]記載の方法。
[10]コリン作動性アゴニストが式III:
【化9−9】
(式中、R1、R6およびR7は、水素またはC1〜C4アルキルである;R2は、
【化9−10】
(式中、R3、R4およびR5は、水素、アルキルの各々で1〜4個の炭素を有する、N,N-ジアルキルアミノで任意に置換されたC1〜C4アルキル、アルキルの各々に1〜4個の炭素を有する、N,N-ジアルキルアミノで任意に置換されたC1〜C6アルコキシ、アルコキシに1〜4個の炭素を有するカルボアルコキシ、アミノ、アシルに1〜4個の炭素を有するアミド;シアノ、および各々のアルキルに1〜4個の炭素を有するN,N-ジアルキルアミノ;ハロ;ヒドロキシルまたはニトロからなる群から選ばれる)
から選ばれる)
の化合物である[1]記載の方法。
[11]コリン作動性アゴニストが式IIIの化合物であり、式中、R2は、テトラヒドロピリジン環の3位置に結合され、さらにフェニル環の4-または2-位置に結合されるR3は、アミノ、ヒドロキシ、クロロ、シアノ、ジメチルアミノ、メチル、メトキシ、アセチルアミノ、アセトキシ、およびニトロからなる群より選ばれる[10]記載の方法。
[12]式III、式中、R3はヒドロキシであり、R1、R4およびR5は水素である;式III、式中、R3は、アセチルアミノであり、R1、R4およびR5は、水素である;式III、式中、R3は、アセトキシであり、R1、R4およびR5は、水素である;式III、式中、R3は、メトキシであり、R1、R4およびR5は、水素である、式III、式中、R3は、メトキシであり、R1およびR4は、水素であり、さらに式中R3は、フェニル環の2位置に結合され、フェニル環の4位に結合されるR5はメトキシまたはヒドロキシである[10]記載の方法。
[13]コリン作動性アゴニストが、3-2,4-ジメトキシベンジリジンアナバセイン(DMXB-A)、3-(4-ヒドロキシベンジリデン)アナバセイン、3-(4-メトキシベンジリデン)アナバセイン、3-(4-アミノベンジリデン)アナバセイン、3-(4-ヒドロキシ-2-メトキシベンジリデン)アナバセイン、3-(4-メトキシ-2-ヒドロキシベンジリデン)アナバセイン、トランス-3-シンナミリデンアナバセイン、トランス-3-(2-メトキシ-シンナミリデン)アナバセインおよびトランス-3-(4-メトキシシンナミリデン)アナバセインからなる群より選ばれる[10]記載の方法。
[14]コリン作動性アゴニストが3-(4-ヒドロキシ-2-メトキシベンジリデン)アナバシン
【化9−11】
である[10]記載の方法。
[15]コリン作動性アゴニストが3-(2,4-ジメトキシベンジリデン)アナバセイン
【化9−12】
である[10]記載の方法。
[16]コリン作動性アゴニストが式IV:
【化9−13】
(式中、XはOまたはSである;
RはH、OR1、NHC(O)R1およびハロゲンからなる群から選ばれ、R1は水素またはC1-C4アルキルである)
の化合物である[1]記載の方法。
[17]コリン作動性アゴニストが、N-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクチ-3-イル]-4-(4-ヒドロキシフェノキシ)ベンズアミド、N-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクチ-3-イル]-4-(4-アセトアミドフェノキシ)ベンズアミド、N-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクチ-3-イル]-4-(フェニルスルホニル)ベンズアミド、およびN-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクチ-3-イル]-4-(3-クロロフェニルスルホニル)ベンズアミドからなる群より選ばれる[15]記載の方法。
[18]N-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクチ-3-イル]-4-(フェニルスルファニル)ベンズアミドである[15]記載の方法。
[19]コリン作動性アゴニストがコカインメチオダイドである[1]記載の方法。
[20]状態が、虫垂炎、消化器官、胃または十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵臓炎、肝炎、喘息、アレルギー、アナフィラキシー性ショック、臓器虚血、枯草熱、セプシス、敗血症、内毒素ショック、悪質液、敗血性流産、播種性菌血症、火傷、セリアック病、うっ血性心不全、成人呼吸促進症候群、慢性閉塞性肺性疾患、リューマチ様関節炎、全身性紅斑狼瘡、心筋虚血、脊髄損傷、麻痺、同種移植拒絶および移植片対宿主疾患からなる群より選ばれる[1]記載の方法。
[21]状態が、虫垂炎、消化器官、胃または十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵臓炎、肝炎、喘息、アレルギー、アナフィラキシー性ショック、臓器虚血、枯草熱、セプシス、敗血症、内毒素ショック、悪質液、敗血性流産、播種性菌血症、火傷、うっ血性心不全、成人呼吸促進症候群、慢性閉塞性肺性疾患、リューマチ様関節炎、全身性紅斑狼瘡、心筋虚血、脳梗塞、脊髄損傷、麻痺、同種移植拒絶または移植片対宿主疾患からなる群より選ばれる[1]記載の方法。
[22]状態が、腹膜炎、膵臓炎、セプシス、内毒素ショック、成人呼吸促進症候群、慢性閉塞性肺性疾患、リューマチ様関節炎、全身性紅斑狼瘡、心筋虚血、同種移植拒絶、喘息、移植片対宿主疾患、うっ血性心不全および嚢胞性線維症からなる群より選ばれる[1]記載の方法。
[23]状態が、腹膜炎、膵臓炎、セプシス、内毒素ショック、成人呼吸促進症候群、慢性閉塞性肺性疾患、リューマチ様関節炎、全身性紅斑狼瘡、心筋虚血、同種移植拒絶、喘息、移植片対宿主疾患、うっ血性心不全および嚢胞性線維症からなる群より選ばれる[1]記載の方法。
[24]状態がセプシスである[1]記載の方法。
[25]化合物が哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害するかどうかを決定する工程、および
化合物がα7でない少なくとも1つのニコチン性受容体と反応性のあるコリン作動性アゴニストであるかどうかを決定する工程、
を含み、哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害するが、α7でない少なくとも1つのニコチン性受容体と反応性であるコリン作動性アゴニストでない化合物は、α7ニコチン性受容体に対して選択性のあるコリン作動性アゴニストである、
化合物がα7ニコチン性受容体に対して選択性のあるコリン作動性アゴニストであるかどうかを決定する方法。
[26]前炎症性サイトカインが腫瘍壊死因子(TNF)、インターロイキン(IL)-1β、IL-6、IL-18およびHMG-1からなる群より選ばれる[25]記載の方法。
[27]前炎症性サイトカインがTNFである[25]記載の方法。
[28]哺乳動物細胞が免疫細胞である[25]記載の方法。
[29]哺乳動物細胞がマクロファージである[25]記載の方法。
[30]前炎症性サイトカインカスケードを刺激する薬剤で哺乳動物細胞を処置することをさらに含む[25]記載の方法。
[31]薬剤がLPSである[30]記載の方法。
[32]前炎症性サイトカイン放出の阻害の決定が前炎症性サイトカインのmRNAの測定を含む[25]記載の方法。
[33]前炎症性サイトカイン放出の阻害の決定が前炎症性サイトカインタンパク質の測定を含む[25]記載の方法。
[34]前炎症性サイトカイン放出の阻害の決定が前炎症性サイトカイン活性の測定を含む[25]記載の方法。
[35]化合物が哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害するコリン作動性アゴニストの能力を減じるかどうかを決定すること含み、哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害するコリン作動性アゴニストの能力を減じる化合物はα7受容体と反応性のあるコリン作動性アンタゴニストである、
化合物がα7ニコチン性受容体に反応性のあるコリン作動性アゴニストであるかどうかを決定する方法。
[36]前縁掌性サイトカインが腫瘍壊死因子(TNF)、インターロイキン(IL)-1β、IL-6、IL-18およびHMG-1からなる群より選ばれる[35]記載の方法。
[37]前炎症性サイトカインがTNFである[35]記載の方法。
[38]哺乳動物細胞が免疫細胞である[35]記載の方法。
[39]哺乳動物細胞がマクロファージである[35]記載の方法。
[40]前炎症性サイトカインンカスケードを刺激する薬剤で哺乳動物細胞を処置することをさらに含む[35]記載の方法。
[41]薬剤がLPSである[40]記載の方法。
[42]化合物が哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害するコリン作動性アゴニストの能力を減じるかどうかの決定が、前炎症性サイトカインのmRNAの測定を含む[35]記載の方法。
[43]化合物が哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害する作動性アゴニストの能力を減じるかどうかの決定が、前炎症性サイトカインタンパク質の測定を含む[35]記載の方法。
[44]化合物が哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害するコリン作動性アゴニストの活性を減じるかどうかの決定が、前炎症性サイトカイン活性の測定を含む[35]記載の方法。
[45]試験化合物がα7ニコチン性受容体と反応性のあるコリン作動性アゴニストであるかどうかを決定する工程を含む、試験化合物が炎症を阻害する能力を有するかどうかを決定する方法。
[46]受容体がマクロファージ上にある[45]記載の方法。
[47]試験化合物がα7ニコチン性受容体に対するアンタゴニストの結合を阻害するかどうかを決定する工程を含む、試験化合物が炎症を阻害する能力を有するかどうかを決定する方法。
[48]α7受容体に対するアンタゴニストがブンガロトキシンである[47]記載の方法。
[49]コリン作動性アゴニストへのマクロファージの暴露により、哺乳動物マクロファージからのリポ多糖誘発性TNF放出の低下を阻害することができるオリゴヌクレオチドまたは模倣物であって、α7受容体のmRNAに相補的である5ヌクレオチド長より大きな配列から本質的になるオリゴヌクレオチドまたは模倣物。
[50]配列がmRNAの転写開始領域に対して相補的である[49]記載のオリゴヌクレオチドまたは模倣物。
[51]配列が5'-gcagcgcatgttgagtcccg-3'を含む[49]記載のオリゴヌクレオチド。
[52]配列が5'-gcagcgcatgttgagtcccg-3'から本質的になる[49]記載のオリゴヌクレオチドまたは模倣物。
[53]マクロファージを[49]記載のオリゴヌクレオチドまたは模倣物で処置することを含む、コリン作動性アゴニストへのマクロファージの暴露により、哺乳動物マクロファージからのTNF放出の低下を阻害する方法。
[54]マクロファージが哺乳動物内にある[54]記載の方法。
[55]哺乳動物がヒトである[54]記載の方法。
【技術分野】
【0001】
本発明は、α7ニコチン性受容体に選択性のあるコリン作動性アゴニストを使用する種々の状態の治療に関する。
【0002】
関連出願
本出願は、2002年12月6日に出願された米国仮出願番号60/431,650号の利益を主張する。上記出願の全教示は、参照して本明細書に組込まれる。
【0003】
政府支援
本発明は、国立衛生研究所から交付GM57226によって、全体的に、または部分的に支援された。政府は、本発明に特定の権利を有する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
本発明は、一般に、炎症を減少させる方法に関する。さらに詳細には、本発明は、α7受容体結合コリン作動性アゴニストを用いて炎症を減少させる方法に関する。
【0005】
脊椎動物は、前炎症経路および抗炎症経路の活性を平衡させることによって、感染または傷害の間の内部恒常性を達成する。しかし、多くの疾患状態で、この内部恒常性は、平衡を失う。例えば、全てのグラム陰性細菌によって産生される内毒素(リポ多糖、LPS)は、強力に致死性であるサイトカインを放出するマクロファージを活性化させる(Traceyら、1986年;Wangら、1999年;Nathanら、1987年;Dinarello、1994年)。
【0006】
炎症および他の破壊的状態(内毒素に曝されることによって引き起こされる敗血症ショックのような)は、腫瘍壊死因子(TNF;TNFαまたはカチェクチンとしても知られる)、インターロイキン(IL)-1α、IL-1β、IL-6、IL-8、IL-18、インターフェロンγ、血小板活性化因子(PAF)、マクロファージ移動阻害因子(MIF)、および他の化合物のような前炎症性サイトカインによってしばしば誘発される(Thompson、1998年)。特定の他の化合物、例えば高運動性群プロテイン1(HMG-1)は、敗血症のような種々の状態を通して誘発され、そして前炎症性サイトカインとしても役割を果たしうる(特許文献1)。これらの前炎症性サイトカインは、数種の異なる細胞型、最も重要には、免疫細胞(例えば、単細胞、マクロファージおよび好中球)によって産生されるが、しかし繊維芽細胞、骨芽細胞、平滑筋細胞、上皮細胞、およびニューロンのような非免疫細胞によっても産生される(ZhangおよびTracey、1998年)。前炎症性サイトカインは、炎症性サイトカインカスケードの間にそれらの放出を通して、種々の障害、特に敗血症に寄与する。
【0007】
炎症性サイトカインカスケードは、膨大な障害の炎症およびアポトーシス(Pulkki、1997年)を含む破壊的特徴に寄与する。含まれるのは、局所および全身の両方の反応により特徴づけられる障害であり、そしてそれに限定されないが、胃腸管および関連組織に関する疾患(虫垂炎、消化器、胃および十二指腸の潰瘍、腹膜炎、膵臓炎、潰瘍性結腸炎、偽膜、急性および虚血性結腸炎、憩室炎、喉頭蓋炎、無弛緩症、胆管炎、セリアック病、胆嚢炎、肝炎、クローン病、腸炎、およびホウィップル病のような);全身性または局所性炎症疾患および状態(喘息、アレルギー、アナフィラキシー性ショック、免疫複合疾患、臓器虚血、再灌流障害、臓器壊死、枯草熱、セプシス(sepsis)、敗血症(septicemia)、内毒素ショック、悪質液、異常高熱、エオシン好性肉芽腫、肉芽腫症、および類肉芽腫症のような);尿生殖系および関連組織に関与する疾患(敗血性流産、精巣上体炎、膣炎、前立腺炎および尿道炎のような);呼吸器系および関連組織に関与する疾患(気管支炎、肺気腫、鼻炎、嚢胞性線維症、成人呼吸促進症候群、肺炎、珪性肺塵症(pneumoultramicroscopic silicovolcanoconiosis)、肺胞炎、細気管支炎、咽頭炎、胸膜炎、および静脈洞炎のような);種々のウイルス(インフルエンザ、呼吸器シンシチュームウイルス、HIV、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスおよびヘルペスのような)、細菌(播種性菌血症、デング熱のような)、真菌(カンディディアシスのような)およびプロトゾアおよび多細胞寄生虫(マラリア、フィラリア、赤痢アメーバーおよび胞虫のような)による感染から生じる疾患;皮膚の皮膚科学上の疾患および状態(火傷、皮膚炎、皮膚筋炎、日焼け、蕁麻疹性ゆう贅、およびみみず腫れのような);心臓血管系および関連組織に関与する疾患(脈管炎、血管炎、心内膜炎、動脈炎、アテローム性動脈硬化症、血栓性静脈炎、心膜炎、心筋炎、心筋虚血、うっ血性心不全、結節性心房周囲炎、およびリューマチ熱のような);中枢または末梢神経系および関連組織に関与する疾患(アルツハイマー病、髄膜炎、脳炎、多発性硬化症、脳梗塞、脳塞栓症、ギラン-バレー症候群、神経炎、神経痛、脊髄損傷、麻痺およびぶどう膜炎のような);骨、関節、筋肉および結合組織の疾患(種々の関節炎、関節痛、骨髄炎、筋膜炎、ページェット病、痛風、歯根膜疾患、リューマチ様関節炎、および滑膜炎のような);他の自律および炎症性障害(重症筋無力症、甲状腺炎(thryoiditis)、全身性紅斑狼瘡、グッドパスチャー症候群、ベチェット症候群、同種移植拒絶、移植片対宿主疾患、I型糖尿病、強直性脊椎炎、バーガー病、I型糖尿病、強直性脊椎炎、バーガー病、およびリタイヤー症候群のような);並びに種々の癌、腫瘍および増殖性障害(ホジキン病のような);およびどんな場合でも、あらゆる一次疾患に対する炎症または免疫宿主反応が挙げられる(Gattornoら、2000年;YehおよびSchuster、1999年;McGuinnessら、2000年;Hsuら、1999年;PrystowskyおよびRege、1997年;Kimmingsら、2000年;Hirano、1999年;Leeら、1995年;Wasermanら、2000年;Katagiriら、1997年;BumgardnerおよびOrosz、1999年;Dibbsら、1999年;BlumおよびMiller、1998年;BlackwellおよびChristman、1996年;Fox、2000年;Carteron、2000年;Hommesおよびvan Deventer、2000年;Gracieら、1999年;Kanaiら、2001年;JanderおよびStoll、2001年;Watanabeら、1997年;Raynerら、2000年;Amraniら、2000年)。
【0008】
哺乳動物は、部分的に中枢神経系調節を通して炎症性サイトカインカスケードによって引き起こされる炎症に応答する。この応答は、内毒素に対する炎症性応答の間に全身性体液性応答機構に関して詳細に特徴づけられた(Besedovsky,1986年、Woiciechowskyら、1998年、Huら、1991年、LiptonおよびCatania、1997年)。一組の応答で、求心性迷走神経線維は、内毒素またはサイトカインにより活性化され、そして糖質コルチコイドホルモン放出を介して体液性抗炎症性応答の放出を刺激する(WatkinsおよびMaier、1999年、Sternberg、1997年、Scheinmanら、1995年)。先の研究は、全身性内毒素血症およびサイトカイン血症(cytokinemia)に対するアドレノコルチコトロピンおよび熱応答を調節する求心性ループにおける必須成分として迷走神経シグナル伝達についての役割を解明した(Gaykemaら、1995年、Fleshnerら、1998年、Watkinsら、1995年、Romanovskyら、1997年)。
【0009】
別の組の応答は、「コリン作動性抗炎症性経路」と称される、求心性迷走神経シグナル伝達を介してである(Borovikovaら、2000年)。求心性迷走神経の刺激は、全身性炎症応答を弱め、そしてTNF放出を阻害する(すなわち、Bernikら、2002年;Traceyら、2001年;特許文献2)。迷走神経の原則的神経伝達物質であるアセチルコリンは、α-バンガロトキシン感受性ニコチン性アセチルコリン受容体を介してシグナル伝達させることによってマクロファージサイトカイン合成を弱めるが、しかし必須のマクロファージ受容体の同定は、知られていない。
【0010】
ニコチン性アセチルコリン受容体は、リガンド型五量体イオンチャンネルのファミリーである。ヒトでは、固有の構造および薬理学上の特性を有する多数のホモおよびヘテロ-五量体受容体を形成する16の異なるサブユニット(α1-7、α9-10、β1-4、δ、εおよびγ)が、同定された(Lindstrom、1995年;LeonardおよびBertrand、2001年;Le NovereおよびChangeux、1995年)。この受容体ファミリーの主要な既知の機能は、神経筋肉連結で、そして中枢および末梢神経系中で神経伝達物質アセチルコリンについてのシグナルを伝達することである(Lindstrom、1995年;LeonardおよびBertrand、2001年;Le NovereおよびChangeux、1995年;MarubioおよびChangeux、2000年;Steinlein、1998年)。本発明者らの先の研究は、一次ヒトマクロファージでのα-ブンガロトキシン感受性ニコチン性受容体の存在を示した(Borovikovaら、2000年)が、特異的受容体サブユニットの同一性は、知られていなかった。
【0011】
炎症を阻害する原因である特定のニコチン性受容体の知識は、炎症を阻害する受容体の特異的アゴニストを同定するのに有用である。このようなアゴニストは、比較的非特異的である最近同定されたアゴニストより少ない副作用を示すように見える。抗炎症性受容体によって影響される他の生理学的効果の同定も促進される。
【0012】
関連技術の説明
引用文献
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【数5】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際出願公開公報第00/47104号
【特許文献2】米国特許出願番号09/855,446号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は、α7ニコチン性受容体に選択性のあるコリン作動性アゴニストを使用して、種々の状態を治療することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕炎症性状態を治療するための医薬の調製における、マクロファージから放出される炎症性サイトカインの量を減少させるのに十分な量でのα7ニコチン性受容体に選択性のあるコリン作動性アゴニストの使用であって、該状態が、虫垂炎、消化器官性潰瘍、胃潰瘍および十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵臓炎、喉頭蓋炎、無弛緩症、胆管炎、胆嚢炎、肝炎、ホウィップル病、喘息、アレルギー、アナフィラキシーショック、免疫複合体病、臓器壊死、枯草熱、セプシス(sepsis)、敗血症(septicemia)、内毒素性ショック、悪質液、異常高熱、好酸球性肉芽腫、肉芽腫症、類肉腫症、敗血性流産、精巣上体炎、膣炎、前立腺炎、尿道炎、気管支炎、肺気腫、鼻炎、嚢胞性線維症、肺炎、珪性肺塵症(pneumoultramicroscopic silicovolcanoconiosis)、肺胞炎、細気管支炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈洞炎、インフルエンザ、呼吸器合胞体ウイルス感染、ヘルペス感染、HIV感染、B型肝炎ウイルス感染、C型肝炎ウイルス感染、播種性菌血症、デング熱、カンジダ症、マラリア、フィラリア症、アメーバー症、包虫嚢胞、火傷、脈管炎、血管炎、心内膜炎、動脈炎、アテローム性動脈硬化症、血栓性静脈炎、心膜炎、心筋炎、結節性動脈周囲炎、リウマチ熱、セリアック病、うっ血性心不全、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、髄膜炎、脳炎、神経炎、神経痛、脊髄損傷、麻痺、ぶどう膜炎、関節炎、関節痛、骨髄炎、筋膜炎、パジェット病、痛風、歯周疾患、関節リウマチ、滑膜炎、重症筋無力症、甲状腺炎、全身性紅斑性狼瘡、グッドパスチャー症候群、ベーチェット症候群、同種移植拒絶、対宿主性移植片病、強直性脊椎炎、バージャー病、リタイヤー症候群、ならびにホジキン病からなる群より選ばれる、使用、
〔2〕膵臓炎、喘息、成人呼吸窮迫症候群、および関節リウマチからなる群より選ばれる状態を患う患者を治療するための医薬の製造における、マクロファージから放出される炎症性サイトカインの量を減少させるのに十分な量でのα7ニコチン性受容体に選択性のあるコリン作動性アゴニストの使用、
〔3〕膵臓炎、喘息、成人呼吸窮迫症候群、および関節リウマチからなる群より選ばれる状態を患う患者を治療するための医薬の製造における、マクロファージから放出される炎症性サイトカインの量を減少させるのに十分な量でのα7ニコチン性受容体に選択性のあるコリン作動性アゴニストの使用であって、該コリン作動性アゴニストは、少なくとも1つの他のニコチン性受容体より、少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも5倍、さらにより好ましくは少なくとも10倍、そして最も好ましくは少なくとも50倍、α7受容体を活性化できる、使用、
〔4〕コリン作動性アゴニストが、コカインの第4アナログ;(1-アザ-ビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)-カルバミン酸1-(2-フルオロフェニル)-エチルエステル;式I:
【化1−1】
(式中、Rは水素またはメチルを表し、
nは0または1を表す)
の化合物;式Iの化合物の薬学的に許容されうる塩;式II:
【化1−2】
(式中:
mは、1または2である;
nは、0または1である;
Yは、CH、NまたはNOである;
Xは、酸素または硫黄である;
Wは、酸素、H2またはF2である;
Aは、NまたはC(R2)である;
Gは、NまたはC(R3)である;
Dは、NまたはC(R4)である;
ただし、A、GおよびDの内のわずか1つが、窒素であるが、Y、A、GおよびDの内の少なくとも1つは、窒素またはNOである;
R1は、水素またはC1〜C4アルキルである;
R2、R3およびR4は、独立して、水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OH、OC1〜C4アルキル、CO2R1、-CN、-NO2、-NR5R6、-CF3もしくは-OSO2CF3であるか、またはR2およびR3、R3およびR4は、それぞれ、AおよびG、もしくはGおよびDをそれぞれ共有し、0〜2個の窒素原子を含む別の6員芳香族もしくはヘテロ芳香族環を一緒に形成し得、以下の置換基:独立して、水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OH、OC1〜C4アルキル、CO2R1、-CN、-NO2、-NR5R6、-CF3もしくは-OSO2CF3の1つから2つで置換されうる;
R5およびR6は、独立して、水素、C1〜C4アルキル、C(O)R7、C(O)NHR8、C(O)OR9、もしくはSO2R10であるか、または一緒に、(CH2)jQ(CH2)k(式中、QはO、S、NR11、または結合である)でありうる;
jは、2から7である;
kは、0から2である;
R7、R8、R9、R10およびR11は、独立して、C1〜C4アルキル、アリール、もしくはヘテロアリールであるか、またはそのエナンチオマーである)
の化合物;式IIの化合物の薬学的に許容されうる塩;式III:
【化1−3】
(式中、R1、R6およびR7は、水素またはC1〜C4アルキルである;R2は、
【化1−4】
(式中、R3、R4およびR5は、水素、アルキルの各々に1〜4個の炭素を有するN,N-ジアルキルアミノで任意に置換されたC1〜C4アルキル、アルキルの各々に1〜4個の炭素を有するN,N-ジアルキルアミノで任意に置換されたC1〜C6アルコキシ、アルコキシに1〜4個の炭素を有するカルボアルコキシ、アミノ、アシルに1〜4個の炭素を有するアミド、シアノ、およびアルキルの各々に1〜4個の炭素を有するN,N-ジアルキルアミノ、ハロ、ヒドロキシルならびにニトロから選ばれる)
の群から選ばれる)
の化合物;および式IV:
【化1−5】
(式中、Xは、OまたはSであり、Rは、H、OR1、NHC(O)R1、およびハロゲンからなる群より選ばれ、R1はC1-C4アルキルである)
の化合物から選ばれる、〔1〕〜〔3〕いずれか記載の使用、
〔5〕コリン作動性アゴニストが、式I:
【化1−6】
(式中、Rは水素またはメチルを表し、
nは0または1を表す)
の化合物;
またはその薬学的に許容されうる塩である、〔1〕〜〔3〕いずれか記載の使用、
〔6〕コリン作動性アゴニストが(-)-スピロ[1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3,5'-オキサゾリジン-2'-オン]である、〔5〕記載の使用、
〔7〕コリン作動性アゴニストが、式II:
【化1−7】
(式中:mは、1または2である;
nは、0または1である;
Yは、CH、NまたはNOである;
Xは、酸素または硫黄である;
Wは、酸素、H2またはF2である;
Aは、NまたはC(R2)である;
Gは、NまたはC(R3)である;
Dは、NまたはC(R4)である;
ただし、A、GおよびDの内のわずか1つが、窒素であるが、Y、A、GおよびDの内の少なくとも1つは、窒素またはNOである;
R1は、水素またはC1〜C4アルキルである;
R2、R3およびR4は、独立して、水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OH、OC1〜C4アルキル、CO2R1、-CN、-NO2、-NR5R6、-CF3もしくは-OSO2CF3であるか、またはR2およびR3、R3およびR4は、それぞれ、AおよびG、もしくはGおよびDをそれぞれ共有し、0〜2個の窒素原子を含む別の6員芳香族もしくはヘテロ芳香族環を一緒に形成し得、以下の置換基:独立して、水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OH、OC1〜C4アルキル、CO2R1、-CN、-NO2、-NR5R6、-CF3もしくは-OSO2CF3の1つから2つで置換されうる;
R5およびR6は、独立して、水素、C1〜C4アルキル、C(O)R7、C(O)NHR8、C(O)OR9、もしくはSO2R10であるか、または一緒に、(CH2)jQ(CH2)k(式中、QはO、S、NR11、または結合である)でありうる;
jは、2から7である;
kは、0から2である;
R7、R8、R9、R10およびR11は、独立して、C1〜C4アルキル、アリール、もしくはヘテロアリールであるか、またはそのエナンチオマーである)
の化合物またはその薬学的に許容されうる塩である、〔1〕〜〔3〕いずれか記載の使用、
〔8〕コリン作動性アゴニストが式IIの化合物であり、式中、mは1であり;nは0であり;pは0であり;xは酸素であり;AはC(R2)であり;GはC(R3)であり;DはC(R4)である、〔7〕記載の使用、
〔9〕コリン作動性アゴニストが5'-フェニルスピロ[1-アザビシクロ(2.2.2)オクタン-3,2'-(3'H)-フロ(2,3-b)ピリジン]である、〔8〕記載の使用、
〔10〕コリン作動性アゴニストが式III:
【化1−8】
(式中、R1、R6およびR7は、水素またはC1〜C4アルキルである;R2は、
【化1−9】
(式中、R3、R4およびR5は、水素、アルキルの各々に1〜4個の炭素を有するN,N-ジアルキルアミノで任意に置換されたC1〜C4アルキル、アルキルの各々に1〜4個の炭素を有するN,N-ジアルキルアミノで任意に置換されたC1〜C6アルコキシ、アルコキシに1〜4個の炭素を有するカルボアルコキシ、アミノ、アシルに1〜4個の炭素を有するアミド、シアノ、およびアルキルの各々に1〜4個の炭素を有するN,N-ジアルキルアミノ、ハロ、ヒドロキシルならびにニトロから選ばれる)
の群から選ばれる)
の化合物である、〔1〕〜〔3〕いずれか記載の使用、
〔11〕コリン作動性アゴニストが式IIIの化合物であり、式中、R2は、テトラヒドロピリジン環の3位に結合され、さらにフェニル環の4または2位に結合されるR3は、アミノ、ヒドロキシル、クロロ、シアノ、ジメチルアミノ、メチル、メトキシ、アセチルアミノ、アセトキシ、およびニトロからなる群より選ばれる、〔10〕記載の使用、
〔12〕コリン作動性アゴニストが、
式III(式中、R3はヒドロキシルであり、R1、R4およびR5は水素である);
式III(式中、R3は、アセチルアミノであり、R1、R4およびR5は、水素である);
式III(式中、R3は、アセトキシであり、R1、R4およびR5は、水素である);
式III(式中、R3は、メトキシであり、R1、R4およびR5は、水素である);
式III(式中、R3は、メトキシであり、R1およびR4は、水素であり、さらに式中R3は、フェニル環の2位に結合され、フェニル環の4位に結合されるR5はメトキシまたはヒドロキシである)
から選ばれる化合物である、〔10〕記載の使用、
〔13〕コリン作動性アゴニストが、3-2,4-ジメトキシベンジリジンアナバセイン(DMXB-A)、3-(4-ヒドロキシベンジリデン)アナバセイン、3-(4-メトキシベンジリデン)アナバセイン、3-(4-アミノベンジリデン)アナバセイン、3-(4-ヒドロキシ-2-メトキシベンジリデン)アナバセイン、3-(4-メトキシ-2-ヒドロキシベンジリデン)アナバセイン、トランス-3-シンナミリデンアナバセイン、トランス-3-(2-メトキシ-シンナミリデン)アナバセインおよびトランス-3-(4-メトキシシンナミリデン)アナバセインから選ばれる、〔10〕記載の使用、
〔14〕コリン作動性アゴニストが3-(4-ヒドロキシ-2-メトキシベンジリデン)アナバセインである、〔10〕記載の使用、
〔15〕コリン作動性アゴニストが3-(2,4-ジメトキシベンジリデン)アナバセインである、〔10〕記載の使用、
〔16〕コリン作動性アゴニストが式IV:
【化1−10】
(式中、XはO、SまたはSO2である;
RはH、OR1、NHC(O)R1およびハロゲンから選ばれ、R1はHまたはC1-C4アルキルである)
の化合物である、〔1〕〜〔3〕いずれか記載の使用、
〔17〕コリン作動性アゴニストが、N-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル]-4-(4-ヒドロキシフェノキシ)ベンズアミド、N-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル]-4-(4-アセトアミドフェノキシ)ベンズアミド、N-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル]-4-(フェニルスルファニル)ベンズアミド、およびN-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル]-4-(3-クロロフェニルスルホニル)ベンズアミドから選ばれる、〔15〕記載の使用、
〔18〕コリン作動性アゴニストが、N-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル]-4-(フェニルスルファニル)ベンズアミドである、〔15〕記載の使用、
〔19〕コリン作動性アゴニストがコカインメチオジドである〔1〕〜〔3〕いずれか記載の使用、
〔20〕状態が、虫垂炎、消化器官性潰瘍、胃潰瘍および十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵臓炎、肝炎、喘息、アレルギー、アナフィラキシーショック、臓器壊死、枯草熱、セプシス(sepsis)、敗血症(septicemia)、内毒素性ショック、悪質液、敗血性流産、播種性菌血症、火傷、セリアック病、うっ血性心不全、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、脊髄損傷、麻痺、同種移植拒絶および対宿主性移植片病から選ばれる〔1〕記載の使用、
〔21〕状態が、虫垂炎、消化器官性潰瘍、胃潰瘍または十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵臓炎、肝炎、喘息、アレルギー、アナフィラキシーショック、臓器壊死、枯草熱、セプシス(sepsis)、敗血症(septicemia)、内毒素性ショック、悪質液、敗血性流産、播種性菌血症、火傷、うっ血性心不全、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、脊髄損傷、麻痺、同種移植拒絶および対宿主性移植片病から選ばれる〔1〕記載の使用、
〔22〕状態が、腹膜炎、膵臓炎、セプシス(sepsis)、内毒素性ショック、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、同種移植拒絶、喘息、対宿主性移植片病、うっ血性心不全および嚢胞性線維症から選ばれる〔1〕記載の使用、
〔23〕状態が、腹膜炎、膵臓炎、セプシス(sepsis)、内毒素性ショック、悪液質、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、および同種移植拒絶から選ばれる〔1〕記載の使用、
〔24〕状態がセプシス(sepsis)である〔1〕記載の使用
に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、α7ニコチン性受容体に選択性のあるコリン作動性アゴニストを使用する、種々の状態の治療が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、α-ブンガロトキシン結合ニコチン性受容体が、マクロファージの表面に密集することを立証する蛍光顕微鏡写真である。一次ヒトマクロファージを、FITC標識α-ブンガロトキシン(α-bgt、1.5μg/ml)で染色し、そして蛍光共焦点顕微鏡で観察した。パネル1aおよびbは、低倍率顕微鏡写真を示す。a.細胞を、α-ブンガロトキシン単独で染色した。b.α-ブンガロトキシンの添加の前に、500μMのニコチンを添加した。パネル1cおよび1dは、受容体クラスターを示す高倍率顕微鏡写真を示す。c.焦点プレートは、細胞の中央(3つの下部細胞)に近いか、または表面(上部細胞)に近い内側層にあった。d.焦点平面は、細胞の上部表面にあった。
【図2】図2は、一次ヒトマクロファージにおけるα7およびα1ニコチン性受容体のmRNAおよびタンパク質発現を示すゲルおよびウエスタンブロットの写真である。パネルaは、α7特異的プライマーを用いたRT-PCRの結果を示し、そして843bpα7バンドを生じる。PCR産物は、配列決定により立証された(データは示されず)。MAC1およびMAC2:2つの未関連ドナーから由来したマクロファージ。パネルbは、ウエスタンブロットを示す。PC12細胞またはヒトマクロファージ(MAC)から得られる細胞溶解物を、対照セファロースビーズまたはα-ブンガロトキシンと接合したセファロースビーズのいずれかとインキュベートした。その後、結合したタンパク質を、示されるとおりにα7特異的ポリクローナルおよびモノクローナル抗体によって分析した。
【図3】図3は、ニコチン性アセチルコリン受容体のα7サブユニットに対するアンチセンス・オリゴヌクレオチドが、TNF放出におけるニコチンの効果を阻害することを立証するグラフおよび顕微鏡写真を示す。パネルa-cは、ニコチン性受容体の種々のサブユニットに、アンチセンス・オリゴヌクレオチドで予備処理した一次ヒトマクロファージからのLPC刺激TNF放出を示す実験結果を要約するグラフである。示される場合、ニコチン(Nic、1μM)を、LPS誘発(100ng/ml)の5-10分前に添加した。細胞培養培地におけるTNFレベルを、L929アッセイによって測定した。CT:対照(未刺激)マクロファージ培養。ASα7、ASα1、およびASα10:それぞれ、α7、α1、およびα10サブユニットに対するアンチセンス・オリゴヌクレオチド。パネルdおよびeは、α7アンチセンス・オリゴヌクレオチド(ASα7)で処理される(e)か、または処理されず(d)、そして蛍光共焦点顕微鏡によって観察された一次ヒトマクロファージのFITC-α-バンガロトキシン染色を示す蛍光顕微鏡写真である。
【図4】図4は、内毒素血症の間にα7欠損マウスでのサイトカイン産生が増大したことを示す実験を要約するグラフである。α7サブユニット欠損マウス(-/-)または年齢および性別が合致した野生型マウス(+/+)に、LPS(0.1mg/kg腹腔内)で注入した。LPS刺激の1時間後(TNFについては)、または4時間後(IL-1βおよびIL-6については)のいずれかに、血液および臓器を得た。血清または臓器中のTNF、IL-1βおよびIL-6のレベルは、ELISAで測定した。パネルa:血清でのTNFレベル。n=群当たり10。パネルb:肝臓でのTNFレベル。n=群当たり6。パネルc:脾臓でのTNFレベル。n=群当たり6。パネルd:血清でのIL-1βレベル。n=群当たり8。パネルe:血清中のIL-6濃度。n=群当たり9。*=P<0.05対野生型対照。
【図5】図5は、迷走神経刺激が、ニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニット欠損マウスでTNFを阻害しないことを示すグラフである。α7サブユニット欠損マウス(-/-)または年齢および性別が一致した野生型マウス(+/+)を、偽操作(SHAM)または迷走神経刺激(VNS、左迷走神経、1ボルト、2ms、1Hz)のいずれかにかけた;LPS投与の2時間後に、血液を収集した。ELISAにより血清TNF濃度を測定した。n=10(SHAMα7+/+)。n=11(VNSα7+/+、SHAMα7-/-、VNSα7-/-)。*=P<0.05対SHAMα7+/+。
【図6】図6は、盲腸の連結および穿刺モデルを使用した敗血症の誘発に続く化合物(V)または化合物(VI)のいずれかの投与の経路におけるマウスの運動性(生存率)を示すプロットである。
【図7】図7は、化合物(V)またはニコチンの濃度の関数として、これらの化合物のいずれかの増大濃度で処理したマウスRAW264.7マクロファージ様細胞のTNF-αのLPS誘発放出の測定量を表すプロットの段階的比較である。
【図8】図8Aは、予備インキュベーション時間の関数として、化合物(VI)の増大濃度で処理したマウスRAW264.7マクロファージ様細胞からのTNF-αのLPS-誘発放出の阻害率を示すプロットである。図8Bは、化合物(VI)の濃度の関数として、化合物(VI)の増大濃度で処理したマウスRAW264.7マクロファージ様細胞からのTNF-αのLPS-誘発放出の阻害率を示すプロットである。
【図9】図9は、化合物(VI)を予備投与されたマウスに対するLPSの投与に続くTNF-αの測定血流濃度の棒線プロットである。
【図10】図10は、硫酸デキストランナトリウムによる結腸炎の誘発に続き化合物(VI)を投与したマウスの結腸重量(A)および結腸長さ(B)を表す棒線プロットの段階的比較である。
【図11】図11は、増大量の化合物(VII)を用いた予備インキュベーションに続くLPS-刺激されたマウスRAW264.7マクロファージ様細胞から放出されるTNF-αの測定濃度を示す棒線プロットである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明の要旨
したがって、本発明は、α7受容体が、マクロファージからの前炎症性サイトカインの放出に影響するα-ブンガロトキシン感受性受容体であるという知見に基づいている。その知識で、種々の方法および組成物は、炎症性状態の治療およびその治療に有用な化合物の同定に有用であると分かる。コリン作動性アゴニストおよびアンタゴニストに対するマクロファージ応答の研究も、この知識によって促進される。
【0019】
したがって、本発明は、マクロファージからの前炎症性サイトカインの放出を阻害する方法に関する。この方法は、マクロファージから放出される前炎症性サイトカインの量を減少させるのに十分な量で、マクロファージを、コリン作動性アゴニストで処理することを含み、コリン作動性アゴニストが、α7ニコチン性受容体に感受性があるものである。
【0020】
他の実施態様では、本発明は、患者における炎症性サイトカインカスケードを阻害する方法に関する。この方法は、炎症性サイトカインカスケードを阻害するのに十分な量で、患者を、コリン作動性アゴニストで処理することを含み、コリン作動性アゴニストが、α7ニコチン性受容体に選択性があるものである。これらの実施態様では、患者は、好ましくは、炎症性サイトカインカスケードによりもたらされる状態に罹患しているか、またはその危険がある。
【0021】
さらに、本発明は、化合物が、α7ニコチン性受容体に選択性のあるコリン作動性アゴニストであるかどうかを決定する方法に関する。この方法は、化合物が、哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害するかどうかを決定すること、そしてその化合物が、α7でない少なくとも1つのニコチン性受容体と反応性のあるコリン作動性アゴニストであるかどうかを決定することを含む。これらの方法では、哺乳動物細胞から前炎症性サイトカインの放出を阻害するが、α7でない少なくとも1つのニコチン性受容体と反応性のあるコリン作動性アゴニストでない化合物は、α7ニコチン性受容体に選択性のあるコリン作動性アゴニストである。
【0022】
関連の実施態様では、本発明は、化合物が、α7ニコチン性受容体に反応性のあるコリン作動性アゴニストであるかどうかを決定する方法に関する。これらの方法は、化合物が、哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害するコリン作動性アゴニストの能力を減じるかどうかを決定することを含む。これらの方法では、哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害するコリン作動性アゴニストの能力を減じる化合物は、α7受容体と反応性のあるコリン作動性アンタゴニストである。
【0023】
さらなる実施態様では、本発明は、試験化合物が、炎症を阻害する能力を有するかどうかを測定する方法に関する。これらの方法は、試験化合物が、α7ニコチン性受容体と反応性のあるコリン作動性アゴニストであるかどうかを測定することを含む。
【0024】
試験化合物が、炎症を阻害する能力を有するかどうかを測定する他の方法も、本発明の一部である。これらの方法は、試験化合物が、α7ニコチン性受容体に対するアンタゴニストの結合を阻害するかどうかを測定することを含む。
【0025】
本発明は、コリン作動性アゴニストへのマクロファージの暴露により、リポ多糖で誘導される哺乳動物マクロファージからのTNF放出の低下を阻害する能力のあるオリゴヌクレオチドまたは模倣物にも関する。オリゴヌクレオチドまたは模倣物は、基本的に、α7受容体のRNAに相補性である5ヌクレオチド長より大きな配列からなる。
【0026】
さらに、本発明は、コリン作動性アゴニストへのマクロファージの暴露により、哺乳動物マクロファージからのTNF放出の低下を阻害する方法に関する。これらの方法は、マクロファージを、上に記述されるオリゴヌクレオチドまたは模倣物で処理することを含む。
【0027】
本発明の先述および他の目的、特性および利点は、文献のように、特徴が、様々の所見を通して同じ部分に該当する付随の図面で示されるとおり、本発明の好ましい実施態様の以下のさらに特定の説明から明らかであろう。その図面は、比べる必要がなくて、その代わりに、本発明の原則を示すために入れられることを強調する。
【0028】
発明の詳細な説明
本発明の好ましい実施態様の説明が続く。
置換基の定義
特に示されない限り、本明細書で使用される場合、用語「アルキル」は、直鎖または分岐鎖部分、典型的にはC1-C10、好ましくはC1-C6を有する飽和一価炭化水素基を含む。アルキル基の例は、それに限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、およびt-ブチルが挙げられる。
【0029】
特に示されない限り、本明細書で使用される場合、用語「アルケニル」は、アルキルが上で定義されるとおりである、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有するアルキル部分が挙げられる。アルケニルの例は、それに限定されないが、エテニルおよびプロペニルが挙げられる。
【0030】
特に示されない限り、本明細書で使用される場合、用語「アルキニル」は、アルキルが上で定義されるとおりである、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有するアルキル部分が挙げられる。アルキニルの例は、それに限定されないが、エチニルおよび2-プロピニルが挙げられる。
【0031】
本明細書で使用される場合、用語「アルコキシ」は、アルキルが上に定義されるとおりである「アルキル-O-」基を意味する。
【0032】
特に示されない限り、本明細書で使用される場合、用語「シクロアルキル」は、アルキルが上に定義されるとおりである非芳香族性飽和環状アルキル部分が挙げられる。シクロアルキルの例としては、それに限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが挙げられる。「ビシクロアルキル」基は、2つの環からなる非芳香族性飽和炭素環基である。ビシクロアルキル基の例としては、それに限定されないが、ビシクロ-[2.2.2]-オクチルおよびノルボニルが挙げられる。用語「シクロアルケニル」および「ビシクロアルケニル」は、炭素環構成員を結合する1つまたはそれより多くの炭素-炭素二重結合(「環内」二重結合)、および/または炭素環構成員および隣接非環炭素を結合する1つまたはそれより多くの炭素-炭素二重結合(「環外」二重結合)からなる以外は上に定義されるとおりの非芳香族性炭素環シクロアルキルおよびビシクロアルキル部分が挙げられる。シクロアルケニル基の例としては、それに限定されないが、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルが挙げられる。ビシクロアルケニル基の非限定例は、ノルボレニルである。シクロアルキル、シクロアルケニル、ビシクロアルキル、およびビシクロアルケニル基も、これらの個々のカテゴリーの各々について上に記述されるものに類似の基を含むが、しかしそれは、1つまたはそれより多くのオキソ部分で置換される。オキソ部分を有するこのような基の例としては、それに限定されないが、オキソシクロペンチル、オキソシクロブチル、オキソシクロペンテニル、およびノルカムホリルが挙げられる。
【0033】
特に示されない限り、本明細書で使用される場合、用語「シクロアルコキシ」は、シクロアルキルが上に定義される「シクロアルキル-O-」基が挙げられる。
【0034】
本明細書で使用される場合、用語「アリール」は、カルボ環基に該当する。アリール基の例としては、それに限定されないが、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0035】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロアリール」は、1つまたはそれより多くの異種原子(O、S、またはN)を含有する芳香族基をいう。本発明のヘテロアリール基は、単環または多環でありうる。本発明のヘテロアリール基は、1つまたはそれより多くのオキソ部分で置換された環系を含みうる。ヘテロアリール基の例としては、それに限定されないが、ピリジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、キノリル、イソキノリル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソキサゾイル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、ヨードリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、シノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プリニル、オキサジアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、ジヒドロキノリル、テトラヒドロキノリル、ジヒドロイソキノリル、テトラヒドロイソキノリル、ベンゾフリル、フロピリジニル、ピロロピリミジニル、およびアザインドリルが挙げられる。
【0036】
前述のヘテロアリール基は、C付着またはN付着(このようなものが可能である)でありうる。例えば、ピロルから誘導される基は、ピロル-1-イル(N付着)またはピロル-3-イル(C付着)でありうる。
【0037】
本発明の文脈で、二環カルボ環基は、環原子として炭素のみを保持する二環化合物である。環構造は、特に、芳香族、飽和、または部分的に飽和でありうる。このような化合物の例としては、それに限定されないが、インダニル、ナフタレニル、アズレニルが挙げられる。
【0038】
本発明の文脈で、アミノ基は、一級(-NH2)、二級(-NHRa)、または三級(-NRaRb)(式中、RaおよびRbは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、および二環カルボ環基のいずれかでありうる。
【0039】
本発明の実施は、特に指示されない限り、細胞培養、分子生物学、微生物学、細胞生物学、および免疫学の従来の記述を使用し、そしてそれは、十分に当業界の技術内である。このような技術は、文献で十分に説明されている。例えば、Sambrookら、1989年「Molecular Cloning: A Laboratory Manual(分子クローニング:実験室マニュアル)」、Cold Spring Harbor Laboratory Press(コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス);Ausubelら、(1995年)、「Short Protocols in Molecular Biology(分子生物学における簡潔プロトコール)」、John wiley and Sons(ジョン・ウィリー・アンド・サンズ);Methods in Enzymology(酵素学における方法)(いくつかの号);Methods in Cell Biology(細胞生物学における方法)(いくつかの号);およびMethods in Molecular Biology(分子生物学における方法)(いくつかの号)を参照。
【0040】
本明細書に開示される化合物の薬学的に許容されうる塩は、本発明を実施するために使用されうる。本明細書で使用される場合、開示された化合物の「薬学的に許容されうる塩」は、本発明の化合物と、被験体に投与するのに適切な酸または塩基のいずれかとを反応させたものであるイオン結合含有生成物である。例えば、アミンまたは他の塩基性基を含有する化合物の酸塩は、塩化水素、臭化水素、酢酸、過塩酸等のような適切な有機酸または無機酸と化合物を反応させることによって得られうる。このような塩の他の例としては、塩化水素酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩(例えば、(+)酒石酸塩、(-)酒石酸塩またはラセミ体混合物を含めたそれの混合物)、コハク酸塩、安息香酸塩、およびグルタミン酸のようなアミノ酸を有する塩が挙げられる。化合物が、-COOHまたは-SO3Hのような酸官能基を含むときに、塩はまた、適切な有機塩基でも形成されうる。本発明の化合物を用いて薬学的に許容されうる塩基付加塩の形成のために適切なこのような塩基としては、非毒性であり、そして酸官能基と反応するのに十分に強い有機塩基が挙げられる。このような有機塩基は、当業界で周知であり、そしてアルギニンおよびリシンのようなアミノ酸、モノ-、ジ-およびトリエタノールアミン、コリン;メチルアミン、ジメチルアミン、およびトリメチルアミンのようなモノ-、ジ-、およびトリアルキルアミン;グアニジン、N-ベンジルフェネチルアミン、N-エチルグルコサミン、N-メチルピペラジン、モルホリン、エチレンジアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン等が挙げられる。
【0041】
本明細書で使用される場合、「医薬組成物」は、被験体に投与するのに適した形態で、開示された化合物および医薬上許容しうる希釈剤または担体を含有する製剤である。医薬組成物は、塊状であるか、または単位用量形態でありうる。単位用量形態は、多様な形態のもののいずれかであり得て、そして例えば、カプセル、IVバッグ、錠剤、エアゾル吸入器での単回押出し、またはバイアルが挙げられる。組成物の単位用量における活性成分の量(すなわち、開示された化合物またはそれの塩の製剤)は、有効量であり、そして関与した特定の治療によって変化されうる。投与量に対する日常の変動を、患者の年齢および状態に依存させることが必要でありうると考えうる。投与量は、投与の経路にもよる。局所、経口、肺性、直腸、膣、非経口を含め、そして経皮、皮下、静脈内、筋肉内、腹膜内、および鼻内を含めた多様な経路が、意図される。
【0042】
本明細書に記述される化合物、およびそれの薬学的に許容されうる塩は、医薬上許容しうる担体または希釈剤と組み合わせて、医薬製剤で使用されうる。適切な医薬上許容しうる担体としては、不活性固形フィラーまたは希釈剤および滅菌水性または有機溶液が挙げられる。化合物は、本明細書に記述される範囲内で、所望の投与量を提供するのに十分な量で、このような医薬組成物に存在する。本発明の化合物の処方および投与についての技術は、Remingtonの「the Science and Practice of Pharmacy(薬学科学および実践)」、19版、Mack Publishing Co.、ペンシルベニア州イーストン(1995年)で見られうる。
【0043】
本明細書で使用される場合、「被験体」としては、哺乳動物、例えばヒト、愛玩動物(例えば、イヌ、ネコ、トリ等)、家畜動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ニワトリ等)および実験用動物(例えば、ラット、マウス、モルモット等)が挙げられる。開示される方法の好ましい態様では、被験体は、ヒトである。
【0044】
本明細書で使用される場合、開示される発明の化合物の「治療上有効な量」は、治療を必要とする被験体に投与されるとき、被験体の予後を改善する、例えば真菌感染に関連した被験体の状態の1つ以上の開始を遅延させ、および/または重篤度を減じる量である。被験体に投与されるべき開示された化合物の量は、特定の疾患、投与の方法、および全般的健康、他の疾患、年齢、性別、遺伝子型、体重および薬に対する寛容性のような被験体の特徴に依る。当業者は、これらおよび他の因子によって適切な投与量を決定できる。開示された化合物の有効量は、一般に、日当たり約0.1mg/kg体重と、日当たり約1000mg/kg体重の間、そして好ましくは、日当たり1mg/kg体重と、日当たり100mg/kg体重の間の範囲にある。
【0045】
本発明は、マクロファージが別途に刺激されて炎症性サイトカインを放出しているとき、α-バンガロトキシン感受性受容体がその受容体のアゴニストに曝露されると、マクロファージからの前炎症性サイトカインの放出を阻害する、α-バンガロトキシン感受性受容体の同定に基づく。この阻害の原因である受容体は、α7受容体である。したがって、マクロファージが、前炎症性サイトカインを放出するために、別の方法で刺激、例えば細菌性リポ多糖(LPS)で刺激される場合、α7受容体に対するアゴニストを用いたマクロファージの治療は、マクロファージが、前炎症性サイトカイン、特にTNFを放出することを阻害する。
【0046】
したがって、ある種の態様では、本発明は、哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害する方法に関する。その方法は、細胞から放出される前炎症性サイトカインの量を減少させるのに十分な量で、コリン作動性アゴニストで細胞を処理することを含み、ここで、コリン作動性アゴニストはα7ニコチン性受容体に選択性があるものである。
【0047】
本明細書で使用される場合、サイトカインは、哺乳動物細胞によって天然に産生され、そしてマイクロからピコモルまでの濃度で、体液性調節因子としてインビボで作用する可溶性のタンパク質またはペプチドである。サイトカインは、正常または病原性の状態でのいずれかで、個々の細胞および組織の機能的活性を調節しうる。前炎症性サイトカインは、炎症に関連した以下の生理学的反応のいずれかを引起す能力があるサイトカインである:血管拡張、充血、浮腫と関連した血管透過性の増大、顆粒球および単核食細胞の蓄積、またはフィブリンの沈着。ある種の場合には、前炎症性サイトカインは、TNFが心筋アポトーシスを刺激することが示された慢性心不全でのようにアポトーシスをも引起しうる(Pulkki、1997年;Tsutsuiら、2000年)。前炎症性サイトカインの限定されない例は、腫瘍壊死因子(TNF)、インターロイキン(IL)-1α、IL-1β、IL-6、IL-8、IL-18、インターフェロンγ、HMG-1、血小板活性化因子(PAF)、およびマクロファージ遊走阻止因子(MIF)である。本発明の好ましい態様では、コリン作動性アゴニスト治療により阻害される前炎症性サイトカインは、これらのサイトカインが、マクロファージにより産生され、そして多くの重要な疾患についての破壊的状態、例えば、内毒素ショック、喘息、リューマチ性関節炎、炎症性胆汁疾患、心不全、および同種移植拒絶をもたらすので、TNF、IL-1、IL-6またはIL-18である。最も好ましい態様では、前炎症性サイトカインは、TNFである。
【0048】
前炎症性サイトカインは、IL-4、IL-10、およびIL-13のような、炎症の媒介物質でない抗炎症性サイトカインと区別されるべきである。好ましい態様では、抗炎症性サイトカインの放出は、コリン作動性アゴニストによって阻害されない。
【0049】
多くの例で、前炎症性サイトカインは、サイトカイン放出が哺乳動物の生理学的状態に影響を及ぼすものである哺乳動物における少なくとも1つの前炎症性サイトカインのインビボ放出として本明細書で定義される炎症性サイトカインカスケードで産生される。したがって、前炎症性サイトカイン放出が破壊的な生理学上の状態を引起す炎症性サイトカインカスケードは、本発明の態様において阻害される。
【0050】
前炎症性サイトカインを産生するあらゆる哺乳動物細胞は、本発明の実施に有用である。限定されない例は、単細胞、マクロファージ、マスト細胞、好中球、上皮細胞、骨芽細胞、線維芽細胞、平滑筋細胞、およびニューロンである。好ましい態様では、細胞は、マクロファージである。
【0051】
本明細書で使用される場合、「α7コリン作動性受容体」は、α7サブユニットを含有する受容体である。受容体は、α7サブユニットのみを含有し得る;あるいはまた、受容体は、α7サブユニットおよび他のコリン作動性受容体サブタイプ由来のサブユニットを含有する。1つの態様では、受容体は、ホモ五量体である。別の態様では、受容体は、ヘテロ五量体である。
【0052】
本明細書で使用される場合、「α7コリン作動性受容体アゴニスト」は、インビボまたはインビトロでα7サブユニットを含有する受容体に結合する化合物であり、該受容体にその生理学的機能を発揮させる。1つの態様では、コリン作動性受容体アゴニストは、α7サブユニットを含むコリン作動性受容体を発現する細胞が別途に刺激されて前炎症性サイトカインを放出しているとき、該細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害する。当業者は、任意の特定の化合物が、いくつかの周知方法のいずれかによって、例えば下の実施例1で提供される方法によって、α7受容体アゴニストであるかどうかを決定しうる。
【0053】
前炎症性サイトカインの放出または炎症性サイトカインカスケードにおけるコリン作動性アゴニストの影響、あるいは炎症性サイトカインカスケードにおける迷走神経刺激の影響に注目した場合、用語「阻害」または「減少」の使用は、前炎症性サイトカイン放出での、少なくとも小さいが測定可能な減少を含む。好ましい態様では、前炎症性サイトカインの放出は、非処理対照より少なくとも20%だけ阻害される;さらに好ましい態様では、阻害は、少なくとも50%である;さらにいっそう好ましい態様では、阻害は、少なくとも70%であり、そしてもっとも好ましい態様では、阻害は、少なくとも80%である。前炎症性サイトカイン放出でのこのような減少は、インビボ態様での炎症性サイトカインカスケードの破壊的影響を減少させる能力がある。
【0054】
現在知られているかまたは後に知見される任意のα7アゴニストは、哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害することが予想される。好ましい態様では、コリン作動性アゴニストは、別の状況では、有用な濃度で細胞に対して毒性でない。さらに好ましい態様では、コリン作動性アゴニストは、治療上インビボで使用されてきたか、または哺乳動物細胞によって天然に産生される。限定されない例としては、アセチルコリン、ムスカリン、ニコチン、3-2,4-ジメトキシベンジリデン・アナバセイン(DMXB-A、GTS-21としても知られる)(Kemら、1997年;Simoskyら、2001年)、コリン、コカインメチオダイドが挙げられる(Francisら、2001年)。
【0055】
最も好ましい態様では、コリン作動性アゴニストは、そのようなアゴニストが、炎症について治療される予定である患者に対して、非特異的コリン作動性アゴニスト(例えば、ニコチン)より少ない副作用を引起すことが予想されるので、α7に選択性または特異的であるアゴニストである。本明細書で使用される場合、アゴニストは、アゴニストが少なくとも1つの他のニコチン性受容体を活性化するアゴニストより大きな範囲までα7を活性化するアゴニストである場合、α7に選択性がある。このような活性化の差は、ノバスクリーン・バイオサイエンシズ・コーポレーション(NovaScreen Biosciences Corporation)(メリーランド州ハノーバー(Hanover,MD))により作り出されたもののようなあらゆる既知方法、例えばインビトロ受容体結合アッセイを使用するものにより、あるいは、国際公開公報WO02/44176(試験されたα4β2)、米国特許第6,407,095号(ガングリオン型の末梢ニコチン性受容体)、米国特許出願公開第2002/0086871号(興味があれば、受容体で形質移入されたGH4Cl細胞から作製される膜に対する標識リガンドの結合)、米国特許出願第2002/0086871号(α1およびα4)、および国際特許公開公報WO97/30998に開示の方法によって、種々の受容体の活性化を比較することによって測定されうる。α7受容体について選択性があるアゴニストを測定する方法を記述する文献としては、米国特許第5,977,144号(表1)、国際特許公開公報WO02/057275(41-42頁)およびHolladayら(1997年)が挙げられる。これらの文献の教示は、参照して本明細書に組込まれる。他のニコチン性受容体サブタイプについてのアッセイは、当業者に知られている。
【0056】
好ましい方法では、アフリカツメガエル(Xenopus)卵母細胞の結合または活性(電流(current)応答)は、アゴニストの投与後、α7受容体サブタイプまたは別の受容体サブタイプ(例えば、α4β2)のいずれかを発現する。α7受容体サブタイプのより大きな活性化を生じるアゴニストは、α7選択性アゴニストであると断定される。上の方法または等価な方法の内のいずれかを使用して、選択性α7アゴニストは、少なくとも1つの他のニコチン性受容体より少なくとも2倍、さらに好ましくは少なくとも5倍、さらにいっそう好ましくは少なくとも10倍、そして最も好ましくは少なくとも50倍、α7受容体を活性化できるのが好ましい。
【0057】
アゴニストは、アゴニストが他のあらゆるニコチン性受容体より非常に大きな程度(すなわち、少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、さらに好ましくは少なくとも50倍)までα7受容体を活性化させるときはいつでも、α7に特異的である。最も好ましくは、特異的アゴニストは、あらゆる測定可能な程度(すなわち、十分に制御された比較で、P=0.05対未処理受容体で有意である)まで別のニコチン性受容体を活性化させない。特異的α7アゴニストの限定されない例は、DMXB-A(化合物(V))およびコカインメチオダイドである。
【0058】
ある種の態様では、ニコチン性コリン作動性アゴニストは、式I:
【0059】
【化1−11】
【0060】
(式中、Rは、水素またはメチルを表し、そして
nは、0または1を表す)
で表される化合物またはそれの薬学的に許容されうる塩である。特に好ましい態様では、ニコチン性コリン作動性アゴニストは、(-)-スピロ[1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3,5’-オキサゾリジン-2’-オン](化合物(VII))である。式Iの化合物の製造の方法は、米国特許第5,902,814号で記述され、その教示は、全体に参照して本明細書に組込まれる。
【0061】
他の態様では、ニコチン性コリン作動性アゴニストは、式II:
【0062】
【化2】
【0063】
(式中、
mは、1または2である;
nは、0または1である;
Yは、CH、NまたはNOである;
Xは、酸素または硫黄である;
Wは、酸素、H2またはF2である;
Aは、NまたはC(R2)である;
Gは、NまたはC(R3)である;
Dは、NまたはC(R4)である;
ただし、A、GおよびDの内のわずか1つが、窒素であるが、Y、A、GおよびDの内の少なくとも1つは、窒素またはNOである;
R1は、水素またはC1〜C4アルキルである;
R2、R3およびR4は、独立して水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OH、OC1〜C4アルキル、CO2R1、-CN、-NO2、-NR5R6、-CF3または-OSO2CF3であるか、またはR2およびR3、R3およびR4は、それぞれ、AおよびG、またはGおよびDをそれぞれ共有し、ゼロと2の間の窒素原子を含有する別の6員芳香族またはヘテロ芳香族環を一緒に形成し得て、そして以下の置換基:水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OH、OC1〜C4アルキル、CO2R1、-CN、-NO2、-NR5R6、-CF3または-OSO2CF3の1つから2つまでで置換されうる;
R5およびR6は、独立して、水素、C1〜C4アルキル、C(O)R7、C(O)NHR8、C(O)OR9、SO2R10であるか、または一緒に、(CH2)jQ(CH2)k(式中、QはO、S、NR11である)、
または結合でありうる;
jは、2から7までである;
kは、0から2までである;
R7、R8、R9、R10およびR11は、独立して、C1〜C4アルキル、アリール、またはヘテロアリールであるか、またはそれのエナンチオマーである)
で表される化合物、または医薬上許容しうるそれの塩である。好ましい態様では、コリン作動性アゴニストは、式II(式中、mは、1である;nは、0である;pは、0である;xは、酸素である;Aは、C(R2)である;Gは、C(R3)である;そしてDは、C(R4)である)で表される化合物である。特に好ましい態様では、ニコチン性コリン作動性アゴニストは、(R)-(-)-5’-フェニルスピロ[1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3,2’-(3’H)-フロ[2,3-b]ピリジン]である。式IIで表される化合物の製造の方法は、米国特許第6,110,914号で記述され、それの教示は、全体に参照して本明細書に組込まれる。
【0064】
別の態様では、ニコチン性コリン作動性アゴニストは、式III:
【0065】
【化3】
【0066】
(式中、R1、R6およびR7は、水素またはC1〜C4アルキルである;そしてR2は、
【0067】
【化4】
【0068】
(式中、R3、R4およびR5は、水素;アルキルの各々で1から4個までの炭素を有する、N,N-ジアルキルアミノで任意に置換されたC1〜C4アルキル;アルキルの各々で1から4個までの炭素を有する、N,N-ジアルキルアミノで任意に置換されたC1〜C6アルコキシ;アルコキシ中に1から4個までの炭素を有するカルボアルコキシ;アミノ、アシル中に1から4個までの炭素を有するアミド;シアノ、および各々のアルキル中に1から4個までの炭素を有する、N,N-ジアルキルアミノ;ハロ;ヒドロキシまたはニトロからなる群から選択される)
で表される群から選択される)
で表される化合物である。
【0069】
好ましい態様では、アゴニストは、式III(式中、R2は、テトラヒドロピリジン環の3位置に結合され、さらにフェニル環の4-または2-位置に結合されるR3は、アミノ、ヒドロキシ、クロロ、シアノ、ジメチルアミノ、メチル、メトキシ、アセチルアミノ、アセトキシ、およびニトロからなる群から選択される)で表される化合物である。1つの特に好ましい態様では、アゴニストは、式III(式中、R3は、ヒドロキシであり、そしてR1、R4およびR5は、水素である)で表される化合物である。別の特に好ましい態様では、アゴニストは、式III(式中、R3は、アセチルアミノであり、そしてR1、R4およびR5は、水素である)で表される化合物である。別の特に好ましい態様では、アゴニストは、式III(式中、R3は、アセトキシであり、そしてR1、R4およびR5は、水素である)で表される化合物である。別の特に好ましい態様では、アゴニストは、式III(式中、R3は、メトキシであり、そしてR1、R4およびR5は、水素である)で表される化合物である。さらに別の特に好ましい態様では、アゴニストは、式III(式中、R3は、メトキシであり、そしてR1およびR4は、水素であり、そしてさらにR3は、フェニル環の2位置に結合され、そしてフェニル環の4位に結合されるR5は、メトキシまたはヒドロキシである)で表される化合物である。特に好ましい態様では、ニコチン性コリン作動性アゴニストは、3-2,4-ジメトキシベンジリジン・アナバセイン(DMXB-4;化合物(V))、3-(4-ヒドロキシベンジリデン)アナバセイン、3-(4-メトキシベンジリデン)アナバセイン、3-(4-アミノベンジリデン)アナバセイン、3-(4-ヒドロキシ-2-メトキシベンジリデン)アナバセイン(化合物(VI))、3-(4-メトキシ-2-ヒドロキシベンジリデン)アナバセイン、trans-3-シンナミリデン・アナバセイン、trans-3-(2-メトキシ-シンナミリデン)アナバセインおよびtrans-3-(4-メトキシシンナミリデン)アナバセインからなる群から選択される。式IIIで表される化合物の製造の方法は、米国特許第5,977,144号に記述され、そしてその教示は、全体に参照して本明細書に組込まれる。
【0070】
さらなる態様では、アゴニストは、式IV:
【0071】
【化5】
【0072】
(式中、Xは、OまたはSである;そして
Rは、H、OR1、NHC(O)R1(式中、R1は水素またはC1〜C4アルキルである)およびハロゲンからなる群から選択される)
で表される化合物である。特に好ましい態様では、ニコチン性コリン作動性アゴニストは、N-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3-イル]-4-(4-ヒドロキシフェノキシ)ベンズアミド、N-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3-イル]-4-(4-アセトアミドフェノキシ)ベンズアミド、N-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3-イル]-4-(フェニルスルファニル)ベンズアミド、およびN-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3-イル]-4-(3-クロロフェニルスルホニル)ベンズアミドからなる群から選択される。式IVで表される化合物の製造の方法は、国際特許出願公開公報WO01/85727に記述されており、そしてその教示は、全体に参照して本明細書に組込まれる。
【0073】
さらに他の態様では、アゴニストは、(1-アザ-ビシクロ[2.2.2]オクト-3-イル)-カルバミン酸1-(2-フルオロフェニル)-エチルエステルである。この化合物の製造の方法は、米国特許出願公開第2002/0040035号に記述されており、そしてその教示は、全体に参照して本明細書に組込まれる。
【0074】
さらに他の態様では、α7アゴニストは、α7ニコチン性受容体の選択的アゴニスト(最も好ましくは特異的アゴニスト)である抗体である。抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルでありうる;多数のヒト、非ヒト真核、細胞、真菌または細菌の源のいずれかから得られうる;ゲノムまたはベクター由来のコーディング配列によってコードされうる;そして、アジュバントの使用を伴って、または伴わずに、天然または組換え体α7またはそれのフラグメントに対して惹起され得て、全ては、抗体を発生および産生することについての業界で周知である種々の方法および手段による。このような有用な抗体の他の例としては、それに限定されないが、キメラ、単鎖、および種々のヒトまたはヒト化型の抗体、並びに、Fabフラグメントおよび特化された発現系から産生されるフラグメントのようなそれの種々のフラグメントが挙げられる。
【0075】
本発明は、上に記述されるとおり、α7アゴニストである抗体にも関する。
【0076】
α7ニコチン性受容体のための抗体を産生するための方法の限定されない例は、α7受容体またはそれのフラグメントで、適切な実験用動物を免疫化すること、および免疫化によって惹起された、α7に結合する抗体を単離することである。免疫化および単離手段は、当業者に周知である。アゴニストである抗体は、例えば、単離抗体を、刺激されて前炎症性サイトカインを放出するマクロファージと合わせることによって本明細書に開示される手段、またはα7受容体活性を評価するためのあらゆる他の適切な方法によって同定されうる。サイトカイン放出の阻害は、アゴニスト活性の指標である。α7についての選択性は、先に検討されたとおり、少なくとも1つの他のニコチン性またはコリン作動性受容体に対する活性についてスクリーニングすることによって評価されうる。α7受容体について選択的なアゴニストであると見なされる抗体は、さらに、本明細書に記述される1つまたはそれより多くの炎症性疾患を治療する上で、例えば動物モデルでのさらなるインビトロ試験またはインビボ試験でのそれらの効率について評価されうる。本発明は、この方法によって識別されるα7選択性抗体アゴニストも含む。
【0077】
本発明は、培養細胞を研究する、例えば、マクロファージの生物学での炎症性サイトカイン放出の効果を研究するか、またはコリン作動性アゴニスト活性について化合物を試験するのに有用である。しかし、インビボ用途は、多くの好ましい態様を実行する。それらの態様では、細胞は、炎症性サイトカインカスケードによって引き起こされる状態に罹患しているか、またはその危険のある患者にある。本明細書で使用される場合、患者は、任意の哺乳動物でありうる。しかし、好ましい態様では、患者は、ヒトである。
【0078】
したがって、ある種の態様では、本発明は、患者における炎症性サイトカインカスケードを阻害する方法に関する。その方法は、炎症性サイトカインカスケードを阻害するのに十分な量で、患者を、コリン作動性アゴニストで処置すること、そして患者が、炎症性サイトカインカスケードによって引き起こされる状態に罹患しているか、またはその危険のあることを含む。好ましくは、コリン作動性アゴニストは、α7ニコチン性受容体に対して選択性である。
【0079】
炎症性サイトカインカスケードによって引き起こされるあらゆる状態の治療は、本発明の範囲内にある。好ましい態様では、状態は、炎症性サイトカインカスケードが、マクロファージからの前炎症性サイトカインの放出を介して影響されるものである。その状態は、炎症性サイトカインカスケードが、敗血症ショックのような全身性反応を引起すものである。あるいはまた、その状態は、リューマチ性関節炎でのように局在化炎症性サイトカインカスケードによって引き起こされうる。
【0080】
本発明を使用して有用に処置されうる状態の限定されない例は、この明細書の背景の節で列挙される状態のものが挙げられる。好ましくは、その状態は、虫垂炎、消化器官、胃または十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵臓炎、急性または虚血性結腸炎、憩室炎、喉頭蓋炎、無弛緩症、胆管炎、胆嚢炎、肝炎、クローン病、腸炎、ホウィップル病、喘息、アレルギー、アナフィラキシー性ショック、免疫複合疾患、臓器虚血、再灌流障害、臓器壊死、枯草熱、セプシス(sepsis)、敗血症(septicemia)、内毒素ショック、悪質液、異常高熱、エオシン好性肉芽腫、肉芽腫症、類肉芽腫症、敗血性流産、精巣上体炎、膣炎、前立腺炎、尿道炎、気管支炎、肺気腫、鼻炎、嚢胞性線維症、肺炎、珪性肺塵症、肺胞炎、細気管支炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈洞炎、インフルエンザ、呼吸器シンシチュームウイルス、ヘルペス、播種性菌血症、デング熱、カンディディアシス、マラリア、フィラリア、赤痢アメーバー、胞虫、火傷、皮膚炎、皮膚筋炎、日焼け、蕁麻疹性ゆう贅、みみず腫れ、脈管炎、血管炎、心内膜炎、動脈炎、アテローム性動脈硬化症、血栓性静脈炎、心膜炎、心筋炎、心筋虚血、結節性心房周囲炎、リューマチ熱、アルツハイマー病、セリアック病(coeliac disease)、うっ血性心不全、成人呼吸促進症候群、髄膜炎、脳炎、多発性硬化症、脳梗塞、脳塞栓症、ギラン-バレー症候群、神経炎、神経痛、脊髄損傷、麻痺、ぶどう膜炎、関節炎、関節痛、骨髄炎、筋膜炎、ページェット病、痛風、歯根膜疾患、リューマチ様関節炎、滑膜炎、重症筋無力症、甲状腺炎(thryoiditis)、全身性紅斑狼瘡、グッドパスチャー症候群、ベチェット症候群、同種移植拒絶、移植片対宿主疾患、I型糖尿病、強直性脊椎炎、バーガー病、II型糖尿病、強直性脊椎炎、バーガー病、リタイヤー症候群またはホジキン病である。
【0081】
代替の態様では、状態は、上に列挙された状態のいずれかであるが、だたし、その状態は、潰瘍性結腸炎、脳卒中、II型糖尿病、クローン病、アルツハイマー病または炎症性皮膚状態ではない。
【0082】
1つの態様では、状態は、虫垂炎、消化器官、胃または十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵臓炎、肝炎、クローン病、喘息、アレルギー、アナフィラキシー性ショック、臓器虚血、再灌流障害、臓器壊死、枯草熱、セプシス(sepsis)、敗血症(septicemia)、内毒素ショック、悪質液、敗血性流産、播種性菌血症、火傷、アルツハイマー病、セリアック病、うっ血性心不全、成人呼吸促進症候群、脳梗塞、脳塞栓症、脊髄損傷、麻痺、同種移植拒絶または移植片対宿主疾患である。
【0083】
別の態様では、状態は、虫垂炎、消化器官、胃または十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵臓炎、肝炎、喘息、アレルギー、アナフィラキシー性ショック、臓器虚血、再灌流障害、臓器壊死、枯草熱、セプシス(sepsis)、敗血症(septicemia)、内毒素ショック、悪質液、敗血性流産、播種性菌血症、火傷、うっ血性心不全、成人呼吸促進症候群、脳梗塞、脳塞栓症、脊髄損傷、麻痺、同種移植拒絶または移植片対宿主疾患である。1つの態様では、状態は、敗血症である。
【0084】
さらに別の態様では、状態は、前立腺炎、膵臓炎、臓器虚血、再灌流障害、臓器壊死、セプシス、内毒素ショック、悪質液、火傷、成人呼吸促進症候群、慢性閉塞性肺性疾患、乾癬、リューマチ様関節炎、全身性紅斑狼瘡、心筋虚血、および同種移植拒絶からなる群から選択される。
【0085】
代替の態様では、状態は、腹膜炎、膵臓炎、セプシス、内毒素ショック、成人呼吸促進症候群、慢性閉塞性肺性疾患、リューマチ様関節炎、全身性紅斑狼瘡、心筋虚血、同種移植拒絶、喘息、移植片対宿主疾患、うっ血性心不全および嚢胞性線維症からなる群から選択される。
【0086】
これらの状態は、好ましくは、化合物I-VIIまたはそれの薬学的に許容されうる塩のいずれかで処置される。
【0087】
コリン作動性アゴニストの投与の経路は、治療されるべき状態による。例えば、静脈内注射は、敗血症ショックのような全身性障害の治療のために好ましく、そして経口投与は、胃潰瘍のような胃腸障害を治療するために好ましい可能性がある。投与されるべきコリン作動性アゴニストの投与の経路および投与量は、標準用量応答研究と関連させて、過度の実験なしに当業者によって決定されうる。それらの決定をする上で考慮すべき関連の事柄としては、治療されるべき状態または複数の状態、投与されるべき組成物の選択、個々の患者の年齢、体重および応答、および患者の兆候の重篤度が挙げられる。したがって、状態によって、コリン作動性アゴニストは、患者に、経口で、非経口で、鼻内に、膣に、直腸に、舌に、舌下に、頬に、頬内におよび経皮に投与されうる。
【0088】
したがって、経口、舌、舌下、頬、および頬内投与のために設計されるコリン作動性アゴニスト組成物は、当業界で周知の手段によって、過度の実験なしに、例えば不活性希釈剤と、または食用担体と共に作製されうる。組成物は、ゼラチンカプセルに含まれるか、錠剤に圧縮されうる。経口の治療的投与の目的のために、本発明の医薬組成物は、賦形剤と共に組込まれ、そして錠剤、トローチ剤、カプセル、エリキシール、懸濁液、シロップ、ウエハース、チューインガム等の形態で使用されうる。
【0089】
錠剤、丸剤、カプセル、トローチ剤等は、結合剤、賦形剤(recipient)、崩壊剤、滑剤、甘味剤、および風味剤も含有しうる。結合剤のある種の例としては、微細結晶性セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチンが挙げられる。賦形剤の例としては、スターチまたはラクトースが挙げられる。崩壊剤のある種の例としては、アルギン酸、コーンスターチ等が挙げられる。滑剤の例としては、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カリウムが挙げられる。流動促進剤の例は、コロイド状二酸化ケイ素である。甘味剤のある種の例としては、ショ糖、サッカリン等が挙げられる。風味剤の例としては、ペパーミント、サリチル酸メチル、オレンジ風味剤等が挙げられる。これらの種々の組成物を製造する上で使用される材料は、使用される量で、医薬上純粋で、そして毒性がないべきである。
【0090】
本発明のコリン作動性アゴニスト組成物は、例えば、静脈内、筋肉内、髄腔内または皮下注射のような非経口で容易に投与されうる。非経口投与は、本発明のコリン作動性アゴニスト組成物を、溶液または懸濁液に組込むことによって達成されうる。このような溶液または懸濁液としては、注射用の水、生理食塩水溶液、固化油状物、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒のような滅菌希釈剤も挙げられうる。非経口処方は、例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗細菌剤、例えばアスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムのような抗酸化剤、およびEDTAのようなキレート剤も挙げられうる。酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩のような緩衝剤、および塩化ナトリウムまたはデキストロースのような張力の調整のための剤も添加されうる。非経口薬剤は、ガラスまたはプラスチックで作られたアンプル、使い捨てシリンジ、または多回用量バイアルに含まれうる。
【0091】
直腸投与としては、医薬組成物を、直腸または結腸に投与することを含む。これは、坐剤または浣腸を使用して達成されうる。坐剤処方は、当業界で知られる方法によって容易に製剤されうる。例えば、坐剤処方は、約120℃までグリセリンを加熱し、グリセリンにコリン作動性アゴニストを溶解させ、加熱されたグリセリンを混合し、その後、精製水を添加してもよく、そして熱混合液を、坐剤型に注ぐことによって調製されうる。
【0092】
経皮投与としては、皮膚を介したコリン作動性アゴニストの皮膚を通しての吸収が挙げられる。経皮処方は、パッチ(周知のニコチンパッチのような)、軟膏、クリーム、ゲル、膏薬等が挙げられる。
【0093】
本発明は、治療上有用な量のコリン作動性アゴニストを、哺乳動物に鼻内投与することを含む。本明細書で使用される場合、鼻内に投与すること、または鼻内投与は、患者の鼻の通路または鼻の空洞の粘膜にコリン作動性アゴニストを投与することを含む。本明細書で使用される場合、コリン作動性アゴニストの鼻内投与のための医薬組成物は、例えば、鼻のスプレー、鼻の滴下、懸濁液、ゲル、軟膏、クリームまたは粉末として、治投与されるべき、周知方法によって製剤される治療上有効な量のアゴニストを含む。コリン作動性アゴニストの投与は、鼻用タンポンまた鼻用スポンジを使用しても行われうる。
【0094】
先に検討されたとおり、これらの方法についての好ましいコリン作動性アゴニストは、例えば、DMXB-A(化合物(V))、コカインメチオダイドを含めたα7受容体に選択性または特異的である。
【0095】
本発明は、化合物が、α7ニコチン性受容体と反応性のあるコリン作動性アゴニストであるかどうかを決定する方法にも関する。その方法は、その化合物が、哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害するかどうかを決定することを含む。これらの方法で、哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害する化合物は、α7ニコチン性受容体と反応性のあるコリン作動性アゴニストである。
【0096】
これらの方法は、好ましくは、前炎症性サイトカインカスケードを刺激する剤と一緒に、哺乳動物細胞を、化合物で治療することを含む。好ましい剤は、細菌性リポ多糖(LPS)である。化合物は、剤の前に、剤と同時に、または剤の後にのいずれかに、哺乳動物細胞に投与されうる。好ましくは、化合物は、剤の前に投与される。例えば、米国特許出願第09/855,446号を参照。
【0097】
好ましい態様では、α7アゴニストであると見なされる化合物は、さらに、α7アゴニストは選択性または特異的であるかどうかを判断するために、少なくとも1つの他のニコチン性受容体サブタイプを活性化させる能力について試験される。α7サブタイプを選択的に、または特異的に活性化する試験化合物は、さらに、動物モデルで、さらに進んだ試験、例えばさらにインビトロ試験またはインビボ試験に供し、炎症性障害を有する試験被験体についての化合物適合性をさらに評価されうる。
【0098】
これらの方法は、試験されるべきどんな特定の化合物にも狭く限定されない。現時点で知られるほとんどのコリン作動性アゴニストは、小型分子であるが、α7アゴニスト活性は、タンパク質(例えば、先に検討されるとおり抗体)、オリゴヌクレオチドまたは擬態(例えば、アプタマー)または他のあらゆる化合物中に存在しうる。これらの方法は、潜在的なα7アゴニストのいずれかを試験するのに適している。
【0099】
これらの方法については、細胞は、前炎症性サイトカインを産生するために誘発されうるあらゆる細胞でありうる。好ましい実施態様では、細胞は、免疫細胞、例えばマクロファージ、単細胞、または好中球である。最も好ましい実施態様では、細胞は、マクロファージである。
【0100】
阻害について測定されるべき前炎症性サイトカインは、細胞から放出されるように誘発されうるあらゆる前炎症性サイトカインでありうる。好ましい実施態様では、サイトカインは、TNFである。
【0101】
サイトカイン生産の阻害の評価は、サイトカインの定量(例えば、ELISAを用いた)を含めて知られるあらゆる手段により、またはバイオアッセイ(例えば、前炎症性サイトカイン活性が減じられるかどうかを決定すること)によるか、または前炎症性サイトカインmRNAの測定によりうる。当業者は、過度の実験なしに、これらのアッセイのいずれかを利用しうる。この点で有用な数種のアッセイの例として米国特許出願番号第09/855,446号も参照。
【0102】
これらの方法は、動物、例えばラットが、前炎症性サイトカインカスケードを刺激する剤と一緒に化合物で処置され、そして前炎症性サイトカインカスケードの誘発におけるその剤の影響が、例えば、血清TNF濃度を測定することによって測定されるものであるインビボで行われうる。しかし、丸ごとの動物を用いるよりむしろ細胞培養物を用いてこれらの型のアッセイを行うことの相対的容易さにより、その方法は、好ましくは、例えば、マクロファージ培養物を使用してインビトロで行われる。
【0103】
関連する態様では、本発明は、化合物が、α7ニコチン性受容体と反応性のあるコリン作動性アンタゴニストであるかどうかを決定する方法に関する。これらの方法は、化合物が、哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害するコリン作動性アゴニストの能力を減じるかどうかを決定することを含む。これらの実施態様では、哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害するコリン作動性アゴニストの能力を減じる化合物は、α7受容体と反応性があるコリン作動性アンタゴニストである。
【0104】
これらの方法は、好ましくは、α7アゴニストと、前炎症性サイトカインカスケードを刺激する剤と一緒に、化合物で哺乳動物細胞を処置することを含む。したがって、これらの方法は、先のアッセイの化合物が、その剤によって別の状況では誘発される細胞からの前炎症性サイトカイン放出を阻害するα7アゴニストであることを除き、直前に記述される方法と必然的に同様である。試験化合物は、α7アゴニストが、剤(例えば、LPS)によって引き起こされる前炎症性サイトカインカスケードを阻害することを防止できるかどうかを判断するために評価される。細胞および剤は、直前の方法について記述されるとおりでありうる;α7アゴニストは、例えばニコチンまたはDMXB-Aとして知られる任意の非特異的、選択的、または特異的なα7アゴニストでありうる。さらに、直前の方法を用いた場合、これらの方法は、インビボで行われうるが、好ましくは、インビトロで行われる。
【0105】
直前の方法を用いた場合、α7アンタゴニスト活性について試験されるべき化合物は、小分子量化合物に限定されないが、しかし、タンパク質、オリゴペプチド、またはオリゴペプチド模倣物を含めたあらゆる化合物が挙げられる。さらに、直前の方法を用いた場合、サイトカイン生産の阻害を測定することによって、試験化合物の効率の評価は、サイトカインの定量を含めたあらゆる既知手段(例えば、ELISAなど)により、またはバイオアッセイ(例えば、前炎症性サイトカイン活性が減じられるかどうかを決定すること)により、または前炎症性サイトカインmRNAの測定によりうる。当業者は、過度の実験なしにこれらのアッセイのいずれかを利用しうる。
【0106】
他の実施態様では、本発明は、試験化合物が、炎症を阻害する能力を有するかどうかを決定する方法に関する。いくつかの局面では、これらの方法は、試験化合物が、α7ニコチン性受容体と反応性があるコリン作動性アゴニストであるかどうかを決定することを含む。好ましくは、その方法は、さらに、試験化合物が、少なくとも1つの他のニコチン性受容体を活性化させるそれの能力について試験化合物を試験することによって、α7に選択性があるかどうかを決定することを含む。これらの決定は、例えば、化合物が、哺乳動物細胞、好ましくはマクロファージからの前炎症性サイトカインの放出を阻害するかどうかを決定することによって、先に記述されるとおり行われ得る。
【0107】
他の局面では、試験化合物が、炎症を阻害する能力を有するかどうかを決定するための方法は、例えば、試験化合物がマクロファージからのFITC-α-ブンガロトキシンの結合を阻害するかどうかを決定することによって、試験化合物が、α7ニコチン性受容体に対するアンタゴニストの結合を阻害するかどうかを決定することを含む。ある種の実施態様では、試験化合物が、化合物が、マクロファージに対するα-ブンガロトキシンの結合を阻害するかどうかを決定するために添加されることを除いて、その方法は、α-ブンガロトキシン染色および共焦点顕微鏡法を利用するものである実施例1を参照。
【0108】
ある種の場合には、前炎症性サイトカイン放出を阻害する哺乳動物細胞の能力を限定することが望ましい可能性がある。このような場合の例は、前炎症性サイトカインが、癌を防止するか、それと戦うことが望まれる場合、またはα7受容体の生理学上の効果が、研究される予定である場合である。したがって、本発明は、コリン作動性アゴニストへの細胞の暴露により、哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を弱めることを阻害する方法にも関する。その方法は、細胞を、α受容体に対するコリン作動性アゴニストの結合を阻害する剤で処置することを含む。先に記述される方法を用いた場合、これらの方法についての好ましい細胞は、マクロファージである。
【0109】
当業者は、細胞でのα7受容体に対するコリン作動性アゴニストの結合が、阻害されうるいくつかの方法を予見しうる。例としては、α7アンタゴニストでの細胞の処置を含む;α7受容体に結合する抗体またはアプタマアー(aptamer)で細胞を処置すること;受容体へのコリン作動性アゴニストの結合を防止すること;または好ましくは、α7mRNAに相補的であり、そしてα7受容体に対するmRNAの翻訳を阻害する能力があるアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは模倣物で、細胞を処置すること。このようなアンチセンス模倣物の効率の証拠として実施例1を参照。本明細書で使用される場合、模倣物は、天然に生じるオリゴヌクレオチドと化学的に異なるが、しかし相補的ヌクレオチド配列に対してオリゴヌクレオチド様非共有結合する能力があるオリゴヌクレオチド類似体である。例えば、有用な模倣物の検討については米国特許番号第6,436,909号を参照。好ましい実施態様では、剤は、相応のα7遺伝子に相補であるホスホロチオネート・オリゴヌクレオチド模倣物である。α7遺伝子は、例えば、Pengら、1994年で提供される。有用なアンチセンス配列の例は、5’-gcagcgcatgttgagtcccg-3’(実施例1を参照)または類似の配列であり、そして好ましくは、ヒトα7サブユニット遺伝子の翻訳開始コドンを囲む。
【0110】
したがって、本発明は、コリン作動性アゴニストへのマクロファージの暴露により、哺乳動物マクロファージからのリポ多糖誘発TNF放出の低下を阻害する能力のあるオリゴヌクレオチドまたは模倣物にも関する。オリゴヌクレオチドまたは模倣物は、α7受容体のmRNAに相補的である5ヌクレオチド長より大きな配列を含む。好ましくは、オリゴヌクレオチドまたは模倣物は、α7mRNAの転写開始領域に相補的である。最も好ましくは、オリゴヌクレオチドまたは模倣物は、配列5’-gcagcgcatgttgagtcccg-3’を含む。
【0111】
本発明の好ましい実施態様は、以下の実施例で記述される。ここに請求項の範囲内の他の実施態様は、ここに開示されるとおり本発明の明細書または実施を考慮して当業者に明らかである。実施例と一緒に明細書は、例としてのみ考慮され、そして本発明の範囲および概念は、実施例に続く請求項によって示されることが意図される。
【実施例】
【0112】
実施例1.神経-免疫シナプスの分子基質としてのα7ニコチン性受容体
実施例要旨
ここで、本発明者らは、ニコチン性受容体α7サブユニットが、マクロファージTNF放出のアセチルコリン阻害について要求されることを報告する。固有の受容体クラスターに結合したα-ブンガロトキシンは、一次ヒトマクロファージの表面で発現した。α7特異的抗体を用いた免疫ブロッティングは、α-ブンガロトキシン接合ビーズに対する付着により単離されたタンパク質中のα7サブユニットの同一性を確認した。α7アンチセンス・オリゴヌクレオチドへのマクロファージの暴露は、α-ブンガロトキシン結合を減少させ、そしてニコチンの存在下でTNF放出を保存した。ニコチン性受容体α7サブユニットに欠損しているマウスは、野生型マウスと比較した場合、内毒素血症の間、明らかにいっそうTNF、IL-1βおよびIL-6を産生した。α7ノックアウトマウスから単離されたマクロファージは、コリン作動性アゴニストに反応し、そしてTNFを産生し続けることができなかった。最後に、野生型マウスでTNF放出を阻害したプロトコールを用いた、迷走神経の電気刺激は、α7欠損マウスではTNF放出を阻害しなかった。したがって、ニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニットは、前炎症性サイトカインのコリン作動性阻害に必須である。
【0113】
結果および考察
前炎症性サイトカイン放出の阻害に関与したマクロファージ受容体を識別する上で最初の段階として、第一のヒトマクロファージを、コリン作動性受容体のサブユニットに結合するペプチドアンタゴニストであるFITC-α-ブンガロトキシンで標識した(Lindstrom,1995年;LeonardおよびBertrand、2001年)。α-ブンガロトキシンの強力な結合は、マクロファージ表面で観察された(図1a)。ニコチン性予備処置は、結合の強度を明らかに減少させた(図1b)。神経-筋肉接点と神経シナプスで、ニコチン性受容体は、素早い信号伝達を促進する受容体凝集体またはクラスターを形成する(Linら、2001年;Fengら、1998年;Shoopら、2000年)。α-ブンガロトキシン結合の固有のクラスターは、特に細胞本体の表面で濃縮されたマクロファージの表面に高倍率下で、明らかに観察されうる(図1c、d)。
【0114】
現在まで、α1、α7およびα9は、ヒト細胞で知られるα-ブンガロトキシン-結合ニコチン性受容体サブユニットである(Lindstrom,1995年;LeonardおよびBertrand、2001年)。α1と一緒にβ1、δ、およびε(成人)またはγ(胎児)サブユニットのいずれかは、筋肉収縮を調節する異種五量体ニコチン性受容体を形成する;α7およびα9は、各々、同種五量体ニコチン性受容体を形成しうる(Lindstrom、1995年;LeonardおよびBertrand、2001年)。これらの受容体サブユニットが、マクロファージで発現されるかどうかを決定するために、本発明者らは、RNAを、末梢血単核細胞(PBMC)からインビトロで分化された一次ヒトマクロファージから単離し、そしてRT-PCR分析を行った。実験の感度および特異性を増大させるために、本発明者らは、各サブユニットに特異的な入れ子プライマーを使用して、逆転写の後に2ラウンドのPCRを行った。PCR産物の同定は、配列決定により確認された。α1、α10(データは示されず)およびα7(図2a)mRNAの両方の発現は、未関連血液提供者から由来したヒトマクロファージで検出された。同じRT-PCR攻略法は、マクロファージでのα9サブユニットmRNAの発現を検出しなかった(データは示されず)。
【0115】
α1およびα7サブユニットのタンパク質発現は、ウエスタンブロッティングによって次に試験された。α7特異的抗体は、分化一次マクロファージから、および未分化PBMC(データは示されず)から得られる(α7タンパク質について公表された分子量[Pengら、1994年;DrisdelおよびGreen、2000年]に類似の)約55kDの見掛けの分子量で明らかなバンドを認識した。α1タンパク質発現は、マクロファージに対するPBMCのインビトロ分化の間じゅう、検出可能でない濃度まで下方調節された(データは示されず)。α1ヘテロ五量体ニコチン性アセチルコリン受容体の必須の構成要素であるδサブユニットは、この入れ子RT-PCR攻略法によって検出されないであろう(データは示されず)。マクロファージでの陽性信号が、α-ブンガロトキシンを結合するα7ニコチン性受容体を表したことを確認するために、本発明者らは、ヒトマクロファージまたはPC12細胞(α7ホモ五量体を発現することが示されたラットの褐色細胞腫細胞[DrisdelおよびGreen、2000年])のいずれかから作製されたタンパク質を引き下げるためにα-ブンガロトキシン接合ビーズを使用した。保有タンパク質は、ヒトおよびラットの両方のα7タンパク質(ヒトおよびラットα7タンパク質は、同じ数のアミノ酸を含有し、そして94%同一である[Pengら、1994年;Seguelaら、1993年])を識別するポリクローナルまたはモノクローナルα7特異的抗体を使用したウエスタンブロッティングによって分析された。結果は、明らかに、ヒトマクロファージが、PC12細胞中のα7サブユニットに類似である見掛けの分子量を示すα-ブンガロトキシン結合α7タンパク質を発現することを示した(図2b)。マクロファージα7サブユニットの同一性は、RT-PCR法による全長マクロファージで発現されたα7のクローニングによって確認された。マクロファージ中の全長ニコチン性アセチルコリンα7サブユニットは、ニューロンで発現されるニコチン性アセチルコリンα7サブユニットと一致するエキソン1から10までを含む(Gaultら、1998年)。一緒に、これらのデータは、ヒトマクロファージの表面で発現されたαブンガロトキシン結合受容体としてニコチン性アセチルコリンα7サブユニットを同定する。
【0116】
α7受容体が、TNF放出のコリン作動性阻害について要求されるかどうかを研究するために、本発明者らは、ヒトα7サブユニット遺伝子の翻訳開始コドンを囲むホスホロチオエート・アンチセンスオリゴヌクレオチドを合成した。α1とα10サブユニット遺伝子の類似領域に対するアンチセンス・オリゴヌクレオチドは、対照として合成された。α7に特異的なアンチセンス・オリゴヌクレオチド(ASα7)にさらされたマクロファージは、ニコチンのTNF阻害作用に明らかに低い反応性があった(図3a)。ニコチン性アセチルコリンα7サブユニットに対するアンチセンス・オリゴヌクレオチドは、ニコチンの存在下で、マクロファージTNF放出を保持した。ASα7へのマクロファージの暴露は、LPSおよびニコチンの不在下で、TNF合成を刺激しなかった。類似の条件下で、α1(ASα1)およびα10(ASα10)サブユニットに対するアンチセンス・オリゴヌクレオチドは、LPS誘発TNF放出(図3b、c)でのニコチンの効果を明らかに変化させず、そしてニコチンによるTNFの抑制は、ニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニットに特異的であることを示した。α7、α1およびα10に対する別の組のアンチセンス・オリゴヌクレオチドは、類似の結果を示した(データは示されず)。マクロファージ培養物にニコチン性アセチルコリンα7サブユニット・アンチセンス・オリゴヌクレオチドを添加することが、FITC標識α-ブンガロトキシンの表面結合を減少させた(図3d、e)。一緒になってこれらのデータは、ニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニットニコチン性受容体が、マクロファージ中のTNF放出のコリン作動性抗炎症性経路依存阻害に必須であることを示す。
【0117】
マクロファージは、インビボでの細菌の内毒素に対する応答で産生されるTNFの主要な源である(Bianchiら、1995年;Kuminsら、1996年)。ニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニットが、インビボでのコリン作動性抗炎症性経路に必須であるかどうかを調査するために、本発明者らは、ジェネティックノックアウト技術(Orr-Urtregerら、1997年)により発生されるα7遺伝子で欠損したマウスでのTNF産生を測定した。α7受容体サブユニットを欠くマウスが、正常に発育し、そして総解剖学上の欠点を示さない(同上;Franceschiniら、2000年)。内毒素にさらされたα7サブユニット欠損マウスでの血清TNFレベルは、野生型対照マウスより5倍以上高かった(野生型血清TNF=2.3±0.3ng ml-1対α7ノックアウトマウス血清TNF=12.2±4.7ng ml-1、p<0.05(2尾部t検定)(図4a)。肝臓および脾臓でのTNF産生は、ノックアウトマウスでも高く(図4b、c)、そしてインビボでの炎症性応答の調節で、ニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニットの臨界関数を示した。内毒素性α7サブユニット欠損マウスも、野生型マウスと比較した場合、有意に高濃度のIL-1β(図4d)およびIL-6(図4e)を産生した。α7サブユニットノックアウトマウスから誘導されるマクロファージは、コリン作動性アゴニストに無反応であり、そしてニコチンまたはアセチルコリンの存在下で正常にTNFを産生した(表1)。したがって、マクロファージでのニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニット発現は、TNFのコリン作動性調節に必須である。
【0118】
【表1】
【0119】
チオグリコレート誘引野生型マウスまたはニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニット・ノックアウトマウスから単離された腹膜マクロファージを、培養中に4時間、LPS(100ng/ml)で刺激した。対照:未刺激マクロファージ培養物。示される場合、ニコチンまたはアセチルコリン(Ach)を、LPSの5-10分前に添加した。TNF濃度は、ELISAによって測定された;示されたデータは、平均±s.e.mである。n=群当たり8。*=2尾部t検定によるp<0.05で、LPSから有意な差。
【0120】
ニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニットが、全身性TNFの迷走阻害のために必要とされるかどうかを決定するために、本発明者らは、内毒素の野生型またはβ7サブユニット欠損マウスの迷走神経に対する電気刺激(Borovikovaら、2000年)を使用した。迷走神経の電気刺激は、野生型マウスでの内毒素誘発血清TNF濃度を有意に低下させた(図5)。しかし、ニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニット欠損マウスでのこのプロトコールを使用した迷走神経刺激は、内毒素血症の間の血清TNF濃度を減少させることができなかった(図5)。したがって、インビボでの迷走神経刺激に対する官能性反応は、TNF放出を阻害するニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニットを要求する。
【0121】
これらの観察は、炎症およびTNF放出の調節を理解することに、そして別の治療法の設計にいくつかの密接な関係を示す。先のデータは、ニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニットは、細胞の間の迅速な化学的信号伝達に関与するホモ五量体受容体を形成することを示す(Lindstrom、1995年;LeonardおよびBertrand、2001年;Le NovereおよびChangeux、1995年)。神経のニコチン性アセチルコリンα7受容体は、カルシウムに対して非常に透過性があり(Vijayaraghavanら、1992年;Shoopら、2001年)、そして本発明者らは、ニコチンが、マクロファージ中で一過性のカルシウム流入を誘発することを観察した(データは示されず)。この増大したカルシウム流入と、TNF放出を阻害する細胞内機構の役割は、さらなる研究を必要とする。インビボでのニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニット発現の崩壊は、内毒素で誘発されたTNF放出を有意に増大させ、そしてTNF放出を阻害する方法として、迷走神経刺激物質を不十分にさせた。これは、ニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニット遺伝子の産生が、内毒素血症に対する全身性炎症性反応の間に、急性TNF放出の迷走神経調節に必須であることを示す。迷走神経末端、またはおそらく他の源(例えば、リンパ球または上皮細胞)からのアセチルコリン放出は、マクロファージ活性を特に阻害しうることは明らかである。TNF放出を阻害する抗炎症性剤として使用するための末梢免疫細胞でのニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニットを標的にするコリン作動性アゴニストを開発する可能性が存在する。抗炎症性活性を有する迷走神経刺激物質を開発する可能性もありうる;類似のデバイスは、臨床上安全であり、そして発作障害を有する数名の患者の治療に使用される。TNFは、リューマチ性関節炎およびクローン病のための臨床的に有効な薬剤標的であり、そのため、ニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニットを標的にするTNF阻害攻略法と見なすのが合理的であるように思われる。
【0122】
方法
α-ブンガロトキシン染色および共焦点顕微鏡法。ヒトマクロファージの単離および培養は、先に記述されたとおりに行われた(Borovikovaら、2000年)。細胞を、完全培養培地(10%熱不活性化ヒト血清を含むRPMI1640)中で、MCSF(2ng/ml)の存在下で7日間分化させた。分化マクロファージを、15分間、4Cで、細胞培養培地中で1.5μgml-1の、FITC標識α-ブンガロトキシン(シグマ(SIGMA))とインキュベートした。示されたところで、ニコチンを、α-ブンガロトキシンの添加の前に、500μMの最終濃度まで添加した。細胞を、RPMI培地(ギブコ(GIBCO))で三回洗浄し、そしてその後、4%パラホルムアルデヒド-PBS溶液(pH7.2)中で、室温で、15分間固定した。固定後、細胞を、PBSで一回洗浄し、そして蛍光共焦点顕微鏡で観察するために載せた。
【0123】
RT-PCR。総RNAを、TRIゾル試薬を使用してインビトロ分化ヒトマクロファージから作製した。製造業者のプロトコールにに従い、Titan One Tube RT-PCR Kit(ロシェ・モレキュラー・バイオケミカル(Roche Molecular Biochemicals))を使用して、逆転写および第一ラウンドのPCRを行った。プロメガ2×PCRマスターミックスを使用して、第二ラウンドの入れ子PCR(nested PCR)を行った。入れ子PCRからのPCR産物を、アガロースゲル上で電気泳動させ、そしてGene Clean III Kit(バイオラボ(Biolab))を使用して回収し、そして配列決定を取って、結果を確認した。逆転写および第一ラウンドのPCRのためのプライマーの組は、α1:センスプライマー5’-CCAGACCTGAGCAACTTCATGG-3’、アンチセンスプライマー5’-AATGAGTCGACCTGCAAACACG-3’;α:センスプライマー5’-GACTGTTCGTTTCCCAGATGG-3’、アンチセンスプライマー5’-ACGAAGTTGGGAGCCGACATCA-3’;α9:センスプライマー5’-CGAGATCAGTACGATGGCCTAG-3’、アンチセンスプライマー5’-TCTGTGACTAATCCGCTCTTGC-3’。入れ子PCRのためのプライマーの組は、α1:センスプライマー5’-ATCACCTACCACTTCGTCATGC-3’、アンチセンスプライマー5’-GTATGTGGTCCATCACCATTGC-3’;α7:センスプライマー5’-CCCGGCAAGAGGAGTGAAAGGT-3’;アンチセンスプライマー5’-TGCAGATGATGGTGAAGACC-3’;α:センスプライマー5’-AGAGCCTGTGAACACCAATGTGG-3’、アンチセンスプライマー5’-ATGACTTTCGCCACCTTCTTCC-3’。全長α7cDNAのクローニングについては、以下のプライマーを使用した:5’AGGTGCCTCTGTGGCCGCA3’と共に、5’GACTACTCAG-TGGCCCTG3’;5’CGACACGGAGACGTGGAG3’と共に、5’GGTACGGATG-TGCCAAGGAGT3’;5’CAAGGATCCGGACTCAACATGCGCTGCTCG3’と共に、
5’CGGCTCGAGTCACCAGTGTGGTTACGCAAAGTC3’。
【0124】
ウエスタンブロッティングおよびα-ブンガロトキシン複合体共沈法。PC12または一次ヒトマクロファージを、90分間、氷上で、溶解緩衝液(150mM NaCl、5mM EDTA、50mMトリス(pH7.4)、0.02%アジ化ナトリウム、1%トリトンX-100およびプロテアーゼ阻害剤カクテル)とインキュベートすることによって、細胞溶解液を作製した。等量の総タンパク質を、α7特異的抗体(Santa Cruz sc-1447)またはα1モノクローナル抗体(オンゴジーン)のいずれかを用いたウエスタンブロッティングのためのSDS PAGEゲルに載せた。α―ブンガロトキシン引抜アッセイについては、α-ブンガロトキシン(シグマ)を、CNBr活性化セファロースビーズ(ファルマシア(Pharmacia))に接合させ、そしてその後、4℃で、一夜、細胞溶解液とインキュベートした。ビーズおよび結合タンパク質を、溶解緩衝液で4回洗浄し、そしてα7特異的抗体(ポリクローナル:Santa Cruz H-302、モノクローナル:シグマM-220)を用いたウエスタンブロッティングによって分析した。
【0125】
アンチセンス・オリゴヌクレオチド実験。ホスホロチオエート・アンチセンス・オリゴヌクレオチドをGenosysで合成し、そして精製した。オリゴヌクレオチドの配列は、ASα7:5’−gcagcgcatgttgagtcccg−3’;ASα1:5’−gggctccatgggctaccgga−3’;ASα10:5’−ccccatggccctggcactgc− 3’である。これらの配列は、α7、α1およびα10遺伝子の拡散的な翻訳開始領域を網羅する。アンチセンス・オリゴヌクレオチドの送出は、24時間、1μM濃度のオリゴヌクレオチドで、Cohenら(1997年)でのとおり行われた。細胞培養実験については、オリゴヌクレオチド予備処理されたマクロファージ培養物を、新たな培地で洗浄し、そしてニコチン(1μM、LPSの5−10分前に添加)を伴うか、または伴わない100ng ml−1LPSで刺激した。LPSの4時間後、放出されたTNFの量を、L929アッセイによって測定し、そしてその後、TNF ELISAによって立証した。α−ブンガロトキシン染色については、予備処理した細胞を洗浄し、そして上に記述されるとおりFITC−α−ブンガロトキシン染色を進行させた。ニコチンおよび他のニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニットアゴニストも、マウスのマクロファージ様細胞株RAW264.7でLPS誘発TNF放出を有意に阻害する(データは示されず)。
【0126】
α7ニコチン性受容体欠損マウス。α7ニコチン性受容体欠損マウス(C57BL/6バックグランド)および野生型一腹のマウスを、ザ・ジャクソン・ラボラトリー(The Jackson Laboratory)(B6.1297−Chrna7tmlBay、番号003232)から購入した。ホモ接合体ノックアウトマウスまたは野生型マウスの交配を樹立して子孫を得た。オスまたはメスの約8から12週齢までのマウス(年齢および性別の合致した野生型対照と一緒に)を、内毒素実験のために使用した。マウスを個々に秤量し、それに応じて0.1mg kg−1LPSを(腹腔内に)与えた。TNF実験については、血液、肝臓および脾臓をLPSの1時間後に収集した。IL-1βおよびIL−6実験については、血液サンプルを、LPSの4時間後に収集した。TNF、IL−1βおよびIL−6の量を、ELISAによって測定した。マウスの遺伝子型を、ゲノムPCR戦略によって確認した。腹膜のマクロファージを、チオグリコレートで誘引された(48時間)α7ノックアウトおよび野生型のオスおよびメスの約8週齢のマウス(n=8匹/群)から単離した。マクロファージを、各群について貯蔵し、そして一夜培養した。ニコチンおよびアセチルコリンを、LPSの5−10分前に添加した(100ng ml−1)。臭化ピリドスチグミン(100μM)をアセチルコリンと共に添加した。LPS誘発の4時間後、TNF濃度を、ELISAによって測定した。
【0127】
迷走神経刺激。α7ニコチン性受容体欠損マウス(C57BL/6バックグランド、オスおよびメス)ならびに年齢および性別の合致した野生型C57BL/6マウスを、ケタミン(100mg kg−1、筋肉内で)およびキシラジン(10mg kg−1、筋肉内で)で麻酔をかけた。マウスを、偽操作または電気刺激測定基準(STM100A、ハーバード・アパレイタス(Harvard Apparatus)を用いた迷走神経刺激(左迷走、1ボルト、2ms、1Hz)にかけた。20分間(LPS投与の10分前および10分後)、刺激を行った。LPSは、致死用量(75mg kg−1、腹膜内で)で与えた。LPS投与の2時間後、血液を収集した。TNF濃度は、ELISAによって測定した。
【0128】
統計的分析。示される場合、両側t検定を使用して、統計的分析を行った;P<0.05は、有意であると見なされる。二連または三連で実験を行った;インビボおよびエキソビボ実験については、「n」は、各条件下での動物の数に該当する。
【0129】
実施例2:化合物(V)および(VI)は、敗血症のマウスの盲腸結紮および穿刺モデルで保護的である。
式(V)および(VI)で表される化合物は、盲腸結紮および穿刺マウスモデルでの敗血症の治療で、特に有効であることが示された。
【0130】
【化6】
【0131】
【化7】
【0132】
FinkおよびHeard,J.のSurg.Res.49巻:186−196頁(1990年)、Wichmanら、Crit.Care Med.26巻:2078−2086頁(1998年)およびRemickら、Shock 4巻:89−95頁(1995年)で記述されるとおり、盲腸結紮および穿刺(CLP)を行った。簡潔には、Balb/cマウスを、筋肉内で、75mg/kgケタミン(フォート・ドッジ、アイオワ州フォートドッジ(Fort Dodge,Iowa))および20mg/kgのキシラジン(ボーリンガー・インゲルハイム(Bohringer Ingelheim)、ミズーリー州セントヨゼフ(St.Joseph,MO))で麻酔した。正中線切開を行い、そして盲腸を取り出した。6−0プロレン縫合糸結紮を、回盲部弁から離れて盲腸先端から5.0mmレベルで行った。
【0133】
その後、結紮された盲腸の断端を、便の直接的排出なしに、22ゲージの針で一度刺した。その後、盲腸を、それの正常な腹部内の位置に戻した。その後、腹を、流動体の漏れを防止するために、別々に腹膜および筋膜の2層で6−0プロレンのランニング縫合で閉じた。全ての動物を、体重の20ml/kgで、皮下に投与される正常な生理食塩水溶液で蘇生させた。各マウスは、手術の30分後に、皮下注射のイミペネム(0.5mg/マウス)(プライマキシン、メルク・アンド・シーオー.,インク.(Primaxin,Merck&Co.,Inc.)、ペンシルベニア州ウエストポイント(West Point,PA))を受けた。その後、動物を、回復させた。
【0134】
マウスを、4mg/kgで3−2,4−ジメトキシベンジリデン・アナバセイン(化合物(V))、または4mg/kgで3−(4−ヒドロキシ−2−メトキシベンジリデン・アナバセイン(化合物(VI))のいずれかで、あるいは媒体対照で処置した。化合物および媒体対照を、一日目および二日目(それぞれ、術後24時間および48時間)に日に2回、腹膜内(i.p.)で投与し、そして3日目に一回投与した。手術の後の14日間、毎日、死亡率を監視した。結果は、図6に表され、そしてそれは、化合物(V)、化合物(IV)または媒体対照のいずれかでの処置に続いて生存している動物の率を示す。14日目に、化合物(V)で処置したマウスの91%(p<0.01)および化合物(VI)で処置されたマウスの82%(p<0.02)が生存したのに対して、媒体対照で処置したマウスの30%のみが、生存した。これらの結果は、化合物(V)および(VI)が、敗血症のマウスCLPモデルでの生存を有意に改善したことを示す。
【0135】
実施例3:化合物(V)およびニコチンは、マウスRAW264.7マクロファージ様細胞からのLPSで誘発されたTNF−α放出を阻害する
マウスRAW264.7マクロファージ様細胞(American Type Tissue Culture Collection、米国メリーランド州ロックビル(Rockville,Md.,USA))を、10%胎仔ウシ血清、ペニシリンおよびストレプトマイシンで補足されたDMEM下で育成した。その細胞を、Opti−MEM1培地中の24穴組織培養プレートに播き、そして90%コンフルエンスで使用した。その細胞を、0.001、0.01、0.1、1、10または100μMで化合物(V)またはニコチン(シグマ)のいずれかで処置した。化合物(V)またはニコチンの添加の5分後に、細胞を、LPS(500ng/ml)で処置した。上清を、4時間後に収集し、そしてTNF−αを、ELISA(R & D Systems Inc.、ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis,MN)から得られるマウスELISAキット)により測定した。
【0136】
結果は、図7に示され、そしてそれは、ニコチンのように、化合物(V)は、RAW264.7細胞からのTNF−α放出を用量依存的に阻害することを示す。
【0137】
実施例4:化合物(VI)は、マウスRAW264.7マクロファージ様細胞からのLPS誘発TNF−α放出を阻害する
マウスRAW264.7マクロファージ様細胞(American Type Tissue Culture Collection、米国メリーランド州ロックビル(Rockville,Md.,USA))を、10%胎仔ウシ血清、ペニシリンおよびストレプトマイシンで補足されたDMEM下で育成した。その細胞を、Opti−MEM1培地中の24穴組織培養プレートに播き、そして90%コンフルエンスで使用した。
【0138】
図8Aで、細胞を、0.1、1および10uMで化合物(VI)で処置した。化合物(VI)を用いた予備インキュベーションの0、1、4または24時間後に、細胞を、LPS(500ng/ml)で処置した。上清を、4時間後に収集し、そしてTNF−αを、ELISA(R & D Systems Inc.、ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis,MN)から得られるマウスELISAキット)により測定した。図8Aに示された結果は、TNF−αの阻害率として表される。化合物(VI)は、TNF−αを用量依存的に阻害する。
【0139】
図8Bは、図8Aの0時間予備インキュベーション条件の結果を表し、そしてTNF−αの阻害率として表される。化合物(VI)についての概算されたIC50は、0.9uMである。
【0140】
実施例5:LPS攻撃の前の化合物(VI)処置は、マウスでの循環TNFを阻害する
C57B/6マウスを、腹膜内(i.p.)で、4mg/kg化合物(VI)または媒体対照で処置した。化合物(VI)または媒体対照での処置の5分後、マウスに、腹膜内(i.p.)で、100ugLPSを注射した。マウスを、LPS処置の2時間後に屠殺し、そして血液サンプルを、TNF−α測定について収集した。TNF−αを、上に記述されるとおりELISAにより測定した。
【0141】
図9に示されるとおり、LPS攻撃の前の化合物(VI)を用いた処置は、媒体対照で処置したマウスと比較しておよそ50%まで循環中のTNF−αの濃度を減少させた。
【0142】
実施例6:化合物(VI)は、マウスDSS結腸炎での結腸炎症を減少させる
硫酸デキストランナトリウム誘発(DSS)結腸炎を、Hoveら、Dig.Dis,Sci.47(9)巻:2056−2063頁(2002年)で記述されるとおりに行った。C57B/6マウスを、7日間、それらの飲料水中に3%(w/v)DSS(分子量40kDa;TdB Consultancy、スウェーデン国アップサラ(Uppsala,Sweden))で与えた。DSS投与の開始の12時間後、マウスに、7日間、日に二回、腹膜内に(i.p.),4mg/kg化合物(VI)を注射した。マウスを、7日目に屠殺した。
【0143】
死亡後、結腸を回収し、そして正中線切開によって取り出した。結腸の全長を、測定し、そして結果は、図10(B)に表される。結腸の短縮は、結腸炎の重篤度がより大きいことを示す。化合物(VI)で処置したマウスは、対照マウスより僅かに大きな結腸の長さを示し(p=0.07)、化合物(VI)で処置したマウスでの結腸炎のより少ない重篤度を示す。疾患重度の別の指標である結腸の重量も測定した。結腸の湿潤重量を記録し、そして炎症性浮腫の指標として使用した。結果は、図10(A)で示される。化合物(VI)で処置されたマウスでの結腸重量は、対照条件でのマウスと比較して減少された。これらの結果は、化合物(VI)が、マウスDSS結腸炎での結腸炎症を減少させることを示唆する。
【0144】
実施例7:化合物(VII)は、LPS−刺激マウスRAW264.7マクロファージ様細胞からのTNF−α放出を阻害する
化合物(VII)は、TNF−αの放出を阻害する上で有意な効果を示した。
【0145】
【化8】
【0146】
マウスRAW264.7マクロファージ様細胞(American Type Tissue Culture Collection、米国メリーランド州ロックビル)を、実施例3で上に記述されるとおり生育した。細胞を、0、0.01、0.1、1、10および100uMで、(−)−スピロ[1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3,5’−オキサゾリジン−2’−オン](化合物(VII))で処置した。化合物(VII)の添加の5分後、細胞を、LPS(500ng/ml)で処置した。TNF−αを、上に記述されるとおりELISAで測定した。
【0147】
結果は、図11に示され、そしてそれは、高濃度の化合物(VII)が、RAW264.7細胞からのTNF−α放出を阻害することを示す。TNF−α放出は、対照細胞と比べて、100uM化合物(VII)で処置した細胞で4倍を超えるまで減少された。
【0148】
上の所見で、本発明のいくつかの利点は、達成され、そして他の利点は保持されたことが分かる。
【0149】
種々の変化が、本発明の範囲から逸脱することなく、上の方法および組成物で行われうるので、上の説明に含まれ、そして付随の図面で示される全てのことは、例示として解釈されるべきであり、そして限定の意味でないことが意図される。
【0150】
この明細書で引用される全ての文献は、参照により本明細書に組込まれる。本明細書での文献の検討は、著者によってなされた主張を単に要約することが意図され、そしていずれの文献が先行技術を構成することを許すものでない。出願人らは、引用文献の厳密性および妥当性を検証する権利を保持する。
【0151】
本発明が、それの好ましい実施態様に関連して特に示され、そして記述される一方で、形態および詳細における種々の変化は、付随の特許請求の範囲に含まれる本発明の範囲から逸脱することなくここになされ得ることが当業者に理解される。
【0152】
本発明の態様として、以下のものが挙げられる。
[1]前炎症性サイトカインの放出により媒介される状態を患う患者を、マクロファージから放出される前炎症性サイトカインの量を減少させるのに十分な量のα7ニコチン性受容体に感受性であるコリン作動性アゴニストで処置することを含み、
該状態が、虫垂炎、消化器官、胃または十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵臓炎、喉頭蓋炎、無弛緩症、胆管炎、胆嚢炎、肝炎、ホウィップル病、喘息、アレルギー、アナフィラキシー性ショック、免疫複合疾患、臓器虚血、再灌流障害、臓器壊死、枯草熱、セプシス、敗血症、内毒素ショック、悪質液、異常高熱、エオシン好性肉芽腫、肉芽腫症、類肉芽腫症、敗血性流産、精巣上体炎、膣炎、前立腺炎、尿道炎、気管支炎、肺気腫、鼻炎、嚢胞性線維症、肺炎、珪性肺塵症、肺胞炎、細気管支炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈洞炎、インフルエンザ、呼吸器合胞体ウイルス感染、ヘルペス感染、HIV感染、B型肝炎ウイルス感染、C型肝炎ウイルス感染、播種性菌血症、デング熱、カンディディアシス、マラリア、フィラリア、アメーバー症、包虫嚢胞、火傷、脈管炎、血管炎、心内膜炎、動脈炎、アテローム性動脈硬化症、血栓性静脈炎、心膜炎、心筋炎、心筋虚血、結節性動脈周囲炎、リューマチ熱、セリアック病、うっ血性心不全、成人呼吸促進症候群、慢性閉塞性肺性疾患、髄膜炎、脳炎、神経炎、神経痛、脊髄損傷、麻痺、ぶどう膜炎、関節炎、関節痛、骨髄炎、筋膜炎、ページェット病、痛風、歯周疾患、リューマチ様関節炎、滑膜炎、重症筋無力症、甲状腺炎、全身性紅斑狼瘡、グッドパスチャー症候群、ベチェット症候群、同種移植拒絶、移植片対宿主疾患、強直性脊椎炎、バーガー病、強直性脊椎炎、バーガー病、リタイヤー症候群またはホジキン病からなる群より選ばれる、前炎症性サイトカインの放出により媒介される状態を患う患者の処置方法。
[2]前炎症性サイトカインが、腫瘍壊死因子(TNF)、インターロイキン(IL)-1β、IL-6、IL-18およびHMG-1からなる群より選ばれる[1]記載の方法。
[3]前炎症性サイトカインがTNFである[1]記載の方法。
[4]コリン作動性アゴニストが、コカインの第4アナログ;(1-アザ-ビシクロ[2.2.2]オクチ-3-イル)-カルバミン酸1-(2-フルオロフェニル)-エチルエステル;式I:
【化9−1】
(式中、Rは水素またはメチルを表し、
nは0または1を表す)
の化合物;式Iの化合物の薬学的に許容されうる塩;式II:
【化9−2】
(式中:
mは、1または2である;
nは、0または1である;
Yは、CH、NまたはNOである;
Xは、酸素または硫黄である;
Wは、酸素、H2またはF2である;
Aは、NまたはC(R2)である;
Gは、NまたはC(R3)である;
Dは、NまたはC(R4)である;
ただし、A、GおよびDの内のわずか1つが、窒素であるが、Y、A、GおよびDの内の少なくとも1つは、窒素またはNOである;
R1は、水素またはC1〜C4アルキルである;
R2、R3およびR4は、独立して水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OH、OC1〜C4アルキル、CO2R1、-CN、-NO2、-NR5R6、-CF3または-OSO2CF3であるか、またはR2およびR3、R3およびR4は、それぞれ、AおよびG、またはGおよびDをそれぞれ共有し、0〜2の間の窒素原子を含有する別の6員芳香族またはヘテロ芳香族環を一緒に形成し得、以下の置換基:水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OH、OC1〜C4アルキル、CO2R1、-CN、-NO2、-NR5R6、-CF3または-OSO2CF3の1つから2つまでで置換されうる;
R5およびR6は、独立して、水素、C1〜C4アルキル、C(O)R7、C(O)NHR8、C(O)OR9、SO2R10であるか、または一緒に、(CH2)jQ(CH2)k(式中、QはO、S、NR11である)、
または結合でありうる;
jは、2から7までである;
kは、0から2までである;
R7、R8、R9、R10およびR11は、独立して、C1〜C4アルキル、アリール、またはヘテロアリールであるか、またはそのエナンチオマーである)
の化合物;式IIの化合物の薬学的に許容されうる塩;式III:
【化9−3】
(式中、R1、R6およびR7は、水素またはC1〜C4アルキルである;R2は、
【化9−4】
(式中、R3、R4およびR5は、水素、アルキルの各々で1〜4個の炭素を有する、N,N-ジアルキルアミノで任意に置換されたC1〜C4アルキル、アルキルの各々に1〜4個の炭素を有する、N,N-ジアルキルアミノで任意に置換されたC1〜C6アルコキシ、アルコキシに1〜4個の炭素を有するカルボアルコキシ、アミノ、アシルに1〜4個の炭素を有するアミド;シアノ、および各々のアルキルに1〜4個の炭素を有するN,N-ジアルキルアミノ;ハロ;ヒドロキシルまたはニトロからなる群から選ばれる)
から選ばれる)
の化合物;および式IV:
【化9−5】
(式中、Xは、OまたはSであり、Rは、H、OR1、NHC(O)R1、およびハロゲンからなる群より選ばれ、R1はC1-C4アルキルである)
の化合物からなる群より選ばれる[1]記載の方法。
[5]コリン作動性アゴニストが式I:
【化9−6】
(式中、Rは水素またはメチルを表し、
nは0または1である)
の化合物;
またはその薬学的に許容されうる塩である[1]記載の方法。
[6]コリン作動性アゴニストが(-)-スピロ[1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3,5'-オキサゾリジン-2'-オン]
【化9−7】
である[5]記載の方法。
[7]コリン作動性アゴニストが式II:
【化9−8】
(式中:mは、1または2である;
nは、0または1である;
Yは、CH、NまたはNOである;
Xは、酸素または硫黄である;
Wは、酸素、H2またはF2である;
Aは、NまたはC(R2)である;
Gは、NまたはC(R3)である;
Dは、NまたはC(R4)である;
ただし、A、GおよびDの内のわずか1つが、窒素であるが、Y、A、GおよびDの内の少なくとも1つは、窒素またはNOである;
R1は、水素またはC1〜C4アルキルである;
R2、R3およびR4は、独立して水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OH、OC1〜C4アルキル、CO2R1、-CN、-NO2、-NR5R6、-CF3または-OSO2CF3であるか、またはR2およびR3、R3およびR4は、それぞれ、AおよびG、またはGおよびDをそれぞれ共有し、0〜2の間の窒素原子を含有する別の6員芳香族またはヘテロ芳香族環を一緒に形成し得、以下の置換基:水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OH、OC1〜C4アルキル、CO2R1、-CN、-NO2、-NR5R6、-CF3または-OSO2CF3の1つから2つまでで置換されうる;
R5およびR6は、独立して、水素、C1〜C4アルキル、C(O)R7、C(O)NHR8、C(O)OR9、SO2R10であるか、または一緒に、(CH2)jQ(CH2)k(式中、QはO、S、NR11である)、
または結合でありうる;
jは、2から7までである;
kは、0から2までである;
R7、R8、R9、R10およびR11は、独立して、C1〜C4アルキル、アリール、またはヘテロアリールであるか、またはそのエナンチオマーである)
の化合物またはその薬学的に許容されうる塩である[1]記載の方法。
[8]コリン作動性アゴニストが式IIの化合物であり、式中、mが1である;nは0である;pは0である;xは酸素である;AはC(R2)である;GはC(R3)である;DはC(R4)である、[7]記載の方法。
[9]コリン作動性アゴニストが5'-フェニルスピロ[1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3,2'-(3'H)-フロ[2,3-b]ピリジン]である[7]記載の方法。
[10]コリン作動性アゴニストが式III:
【化9−9】
(式中、R1、R6およびR7は、水素またはC1〜C4アルキルである;R2は、
【化9−10】
(式中、R3、R4およびR5は、水素、アルキルの各々で1〜4個の炭素を有する、N,N-ジアルキルアミノで任意に置換されたC1〜C4アルキル、アルキルの各々に1〜4個の炭素を有する、N,N-ジアルキルアミノで任意に置換されたC1〜C6アルコキシ、アルコキシに1〜4個の炭素を有するカルボアルコキシ、アミノ、アシルに1〜4個の炭素を有するアミド;シアノ、および各々のアルキルに1〜4個の炭素を有するN,N-ジアルキルアミノ;ハロ;ヒドロキシルまたはニトロからなる群から選ばれる)
から選ばれる)
の化合物である[1]記載の方法。
[11]コリン作動性アゴニストが式IIIの化合物であり、式中、R2は、テトラヒドロピリジン環の3位置に結合され、さらにフェニル環の4-または2-位置に結合されるR3は、アミノ、ヒドロキシ、クロロ、シアノ、ジメチルアミノ、メチル、メトキシ、アセチルアミノ、アセトキシ、およびニトロからなる群より選ばれる[10]記載の方法。
[12]式III、式中、R3はヒドロキシであり、R1、R4およびR5は水素である;式III、式中、R3は、アセチルアミノであり、R1、R4およびR5は、水素である;式III、式中、R3は、アセトキシであり、R1、R4およびR5は、水素である;式III、式中、R3は、メトキシであり、R1、R4およびR5は、水素である、式III、式中、R3は、メトキシであり、R1およびR4は、水素であり、さらに式中R3は、フェニル環の2位置に結合され、フェニル環の4位に結合されるR5はメトキシまたはヒドロキシである[10]記載の方法。
[13]コリン作動性アゴニストが、3-2,4-ジメトキシベンジリジンアナバセイン(DMXB-A)、3-(4-ヒドロキシベンジリデン)アナバセイン、3-(4-メトキシベンジリデン)アナバセイン、3-(4-アミノベンジリデン)アナバセイン、3-(4-ヒドロキシ-2-メトキシベンジリデン)アナバセイン、3-(4-メトキシ-2-ヒドロキシベンジリデン)アナバセイン、トランス-3-シンナミリデンアナバセイン、トランス-3-(2-メトキシ-シンナミリデン)アナバセインおよびトランス-3-(4-メトキシシンナミリデン)アナバセインからなる群より選ばれる[10]記載の方法。
[14]コリン作動性アゴニストが3-(4-ヒドロキシ-2-メトキシベンジリデン)アナバシン
【化9−11】
である[10]記載の方法。
[15]コリン作動性アゴニストが3-(2,4-ジメトキシベンジリデン)アナバセイン
【化9−12】
である[10]記載の方法。
[16]コリン作動性アゴニストが式IV:
【化9−13】
(式中、XはOまたはSである;
RはH、OR1、NHC(O)R1およびハロゲンからなる群から選ばれ、R1は水素またはC1-C4アルキルである)
の化合物である[1]記載の方法。
[17]コリン作動性アゴニストが、N-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクチ-3-イル]-4-(4-ヒドロキシフェノキシ)ベンズアミド、N-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクチ-3-イル]-4-(4-アセトアミドフェノキシ)ベンズアミド、N-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクチ-3-イル]-4-(フェニルスルホニル)ベンズアミド、およびN-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクチ-3-イル]-4-(3-クロロフェニルスルホニル)ベンズアミドからなる群より選ばれる[15]記載の方法。
[18]N-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクチ-3-イル]-4-(フェニルスルファニル)ベンズアミドである[15]記載の方法。
[19]コリン作動性アゴニストがコカインメチオダイドである[1]記載の方法。
[20]状態が、虫垂炎、消化器官、胃または十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵臓炎、肝炎、喘息、アレルギー、アナフィラキシー性ショック、臓器虚血、枯草熱、セプシス、敗血症、内毒素ショック、悪質液、敗血性流産、播種性菌血症、火傷、セリアック病、うっ血性心不全、成人呼吸促進症候群、慢性閉塞性肺性疾患、リューマチ様関節炎、全身性紅斑狼瘡、心筋虚血、脊髄損傷、麻痺、同種移植拒絶および移植片対宿主疾患からなる群より選ばれる[1]記載の方法。
[21]状態が、虫垂炎、消化器官、胃または十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵臓炎、肝炎、喘息、アレルギー、アナフィラキシー性ショック、臓器虚血、枯草熱、セプシス、敗血症、内毒素ショック、悪質液、敗血性流産、播種性菌血症、火傷、うっ血性心不全、成人呼吸促進症候群、慢性閉塞性肺性疾患、リューマチ様関節炎、全身性紅斑狼瘡、心筋虚血、脳梗塞、脊髄損傷、麻痺、同種移植拒絶または移植片対宿主疾患からなる群より選ばれる[1]記載の方法。
[22]状態が、腹膜炎、膵臓炎、セプシス、内毒素ショック、成人呼吸促進症候群、慢性閉塞性肺性疾患、リューマチ様関節炎、全身性紅斑狼瘡、心筋虚血、同種移植拒絶、喘息、移植片対宿主疾患、うっ血性心不全および嚢胞性線維症からなる群より選ばれる[1]記載の方法。
[23]状態が、腹膜炎、膵臓炎、セプシス、内毒素ショック、成人呼吸促進症候群、慢性閉塞性肺性疾患、リューマチ様関節炎、全身性紅斑狼瘡、心筋虚血、同種移植拒絶、喘息、移植片対宿主疾患、うっ血性心不全および嚢胞性線維症からなる群より選ばれる[1]記載の方法。
[24]状態がセプシスである[1]記載の方法。
[25]化合物が哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害するかどうかを決定する工程、および
化合物がα7でない少なくとも1つのニコチン性受容体と反応性のあるコリン作動性アゴニストであるかどうかを決定する工程、
を含み、哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害するが、α7でない少なくとも1つのニコチン性受容体と反応性であるコリン作動性アゴニストでない化合物は、α7ニコチン性受容体に対して選択性のあるコリン作動性アゴニストである、
化合物がα7ニコチン性受容体に対して選択性のあるコリン作動性アゴニストであるかどうかを決定する方法。
[26]前炎症性サイトカインが腫瘍壊死因子(TNF)、インターロイキン(IL)-1β、IL-6、IL-18およびHMG-1からなる群より選ばれる[25]記載の方法。
[27]前炎症性サイトカインがTNFである[25]記載の方法。
[28]哺乳動物細胞が免疫細胞である[25]記載の方法。
[29]哺乳動物細胞がマクロファージである[25]記載の方法。
[30]前炎症性サイトカインカスケードを刺激する薬剤で哺乳動物細胞を処置することをさらに含む[25]記載の方法。
[31]薬剤がLPSである[30]記載の方法。
[32]前炎症性サイトカイン放出の阻害の決定が前炎症性サイトカインのmRNAの測定を含む[25]記載の方法。
[33]前炎症性サイトカイン放出の阻害の決定が前炎症性サイトカインタンパク質の測定を含む[25]記載の方法。
[34]前炎症性サイトカイン放出の阻害の決定が前炎症性サイトカイン活性の測定を含む[25]記載の方法。
[35]化合物が哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害するコリン作動性アゴニストの能力を減じるかどうかを決定すること含み、哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害するコリン作動性アゴニストの能力を減じる化合物はα7受容体と反応性のあるコリン作動性アンタゴニストである、
化合物がα7ニコチン性受容体に反応性のあるコリン作動性アゴニストであるかどうかを決定する方法。
[36]前縁掌性サイトカインが腫瘍壊死因子(TNF)、インターロイキン(IL)-1β、IL-6、IL-18およびHMG-1からなる群より選ばれる[35]記載の方法。
[37]前炎症性サイトカインがTNFである[35]記載の方法。
[38]哺乳動物細胞が免疫細胞である[35]記載の方法。
[39]哺乳動物細胞がマクロファージである[35]記載の方法。
[40]前炎症性サイトカインンカスケードを刺激する薬剤で哺乳動物細胞を処置することをさらに含む[35]記載の方法。
[41]薬剤がLPSである[40]記載の方法。
[42]化合物が哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害するコリン作動性アゴニストの能力を減じるかどうかの決定が、前炎症性サイトカインのmRNAの測定を含む[35]記載の方法。
[43]化合物が哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害する作動性アゴニストの能力を減じるかどうかの決定が、前炎症性サイトカインタンパク質の測定を含む[35]記載の方法。
[44]化合物が哺乳動物細胞からの前炎症性サイトカインの放出を阻害するコリン作動性アゴニストの活性を減じるかどうかの決定が、前炎症性サイトカイン活性の測定を含む[35]記載の方法。
[45]試験化合物がα7ニコチン性受容体と反応性のあるコリン作動性アゴニストであるかどうかを決定する工程を含む、試験化合物が炎症を阻害する能力を有するかどうかを決定する方法。
[46]受容体がマクロファージ上にある[45]記載の方法。
[47]試験化合物がα7ニコチン性受容体に対するアンタゴニストの結合を阻害するかどうかを決定する工程を含む、試験化合物が炎症を阻害する能力を有するかどうかを決定する方法。
[48]α7受容体に対するアンタゴニストがブンガロトキシンである[47]記載の方法。
[49]コリン作動性アゴニストへのマクロファージの暴露により、哺乳動物マクロファージからのリポ多糖誘発性TNF放出の低下を阻害することができるオリゴヌクレオチドまたは模倣物であって、α7受容体のmRNAに相補的である5ヌクレオチド長より大きな配列から本質的になるオリゴヌクレオチドまたは模倣物。
[50]配列がmRNAの転写開始領域に対して相補的である[49]記載のオリゴヌクレオチドまたは模倣物。
[51]配列が5'-gcagcgcatgttgagtcccg-3'を含む[49]記載のオリゴヌクレオチド。
[52]配列が5'-gcagcgcatgttgagtcccg-3'から本質的になる[49]記載のオリゴヌクレオチドまたは模倣物。
[53]マクロファージを[49]記載のオリゴヌクレオチドまたは模倣物で処置することを含む、コリン作動性アゴニストへのマクロファージの暴露により、哺乳動物マクロファージからのTNF放出の低下を阻害する方法。
[54]マクロファージが哺乳動物内にある[54]記載の方法。
[55]哺乳動物がヒトである[54]記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症性状態を治療するための医薬の調製における、マクロファージから放出される炎症性サイトカインの量を減少させるのに十分な量でのα7ニコチン性受容体に選択性のあるコリン作動性アゴニストの使用であって、該状態が、虫垂炎、消化器官性潰瘍、胃潰瘍および十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵臓炎、喉頭蓋炎、無弛緩症、胆管炎、胆嚢炎、肝炎、ホウィップル病、喘息、アレルギー、アナフィラキシーショック、免疫複合体病、臓器壊死、枯草熱、セプシス(sepsis)、敗血症(septicemia)、内毒素性ショック、悪質液、異常高熱、好酸球性肉芽腫、肉芽腫症、類肉腫症、敗血性流産、精巣上体炎、膣炎、前立腺炎、尿道炎、気管支炎、肺気腫、鼻炎、嚢胞性線維症、肺炎、珪性肺塵症(pneumoultramicroscopic silicovolcanoconiosis)、肺胞炎、細気管支炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈洞炎、インフルエンザ、呼吸器合胞体ウイルス感染、ヘルペス感染、HIV感染、B型肝炎ウイルス感染、C型肝炎ウイルス感染、播種性菌血症、デング熱、カンジダ症、マラリア、フィラリア症、アメーバー症、包虫嚢胞、火傷、脈管炎、血管炎、心内膜炎、動脈炎、アテローム性動脈硬化症、血栓性静脈炎、心膜炎、心筋炎、結節性動脈周囲炎、リウマチ熱、セリアック病、うっ血性心不全、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、髄膜炎、脳炎、神経炎、神経痛、脊髄損傷、麻痺、ぶどう膜炎、関節炎、関節痛、骨髄炎、筋膜炎、パジェット病、痛風、歯周疾患、関節リウマチ、滑膜炎、重症筋無力症、甲状腺炎、全身性紅斑性狼瘡、グッドパスチャー症候群、ベーチェット症候群、同種移植拒絶、対宿主性移植片病、強直性脊椎炎、バージャー病、リタイヤー症候群、ならびにホジキン病からなる群より選ばれる、使用。
【請求項2】
膵臓炎、喘息、成人呼吸窮迫症候群、および関節リウマチからなる群より選ばれる状態を患う患者を治療するための医薬の製造における、マクロファージから放出される炎症性サイトカインの量を減少させるのに十分な量でのα7ニコチン性受容体に選択性のあるコリン作動性アゴニストの使用。
【請求項3】
膵臓炎、喘息、成人呼吸窮迫症候群、および関節リウマチからなる群より選ばれる状態を患う患者を治療するための医薬の製造における、マクロファージから放出される炎症性サイトカインの量を減少させるのに十分な量でのα7ニコチン性受容体に選択性のあるコリン作動性アゴニストの使用であって、該コリン作動性アゴニストは、少なくとも1つの他のニコチン性受容体より、少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも5倍、さらにより好ましくは少なくとも10倍、そして最も好ましくは少なくとも50倍、α7受容体を活性化できる、使用。
【請求項4】
コリン作動性アゴニストが、コカインの第4アナログ;(1-アザ-ビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)-カルバミン酸1-(2-フルオロフェニル)-エチルエステル;式I:
【化1】
(式中、Rは水素またはメチルを表し、
nは0または1を表す)
の化合物;式Iの化合物の薬学的に許容されうる塩;式II:
【化2】
(式中:
mは、1または2である;
nは、0または1である;
Yは、CH、NまたはNOである;
Xは、酸素または硫黄である;
Wは、酸素、H2またはF2である;
Aは、NまたはC(R2)である;
Gは、NまたはC(R3)である;
Dは、NまたはC(R4)である;
ただし、A、GおよびDの内のわずか1つが、窒素であるが、Y、A、GおよびDの内の少なくとも1つは、窒素またはNOである;
R1は、水素またはC1〜C4アルキルである;
R2、R3およびR4は、独立して、水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OH、OC1〜C4アルキル、CO2R1、-CN、-NO2、-NR5R6、-CF3もしくは-OSO2CF3であるか、またはR2およびR3、R3およびR4は、それぞれ、AおよびG、もしくはGおよびDをそれぞれ共有し、0〜2個の窒素原子を含む別の6員芳香族もしくはヘテロ芳香族環を一緒に形成し得、以下の置換基:独立して、水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OH、OC1〜C4アルキル、CO2R1、-CN、-NO2、-NR5R6、-CF3もしくは-OSO2CF3の1つから2つで置換されうる;
R5およびR6は、独立して、水素、C1〜C4アルキル、C(O)R7、C(O)NHR8、C(O)OR9、もしくはSO2R10であるか、または一緒に、(CH2)jQ(CH2)k(式中、QはO、S、NR11、または結合である)でありうる;
jは、2から7である;
kは、0から2である;
R7、R8、R9、R10およびR11は、独立して、C1〜C4アルキル、アリール、もしくはヘテロアリールであるか、またはそのエナンチオマーである)
の化合物;式IIの化合物の薬学的に許容されうる塩;式III:
【化3】
(式中、R1、R6およびR7は、水素またはC1〜C4アルキルである;R2は、
【化4】
(式中、R3、R4およびR5は、水素、アルキルの各々に1〜4個の炭素を有するN,N-ジアルキルアミノで任意に置換されたC1〜C4アルキル、アルキルの各々に1〜4個の炭素を有するN,N-ジアルキルアミノで任意に置換されたC1〜C6アルコキシ、アルコキシに1〜4個の炭素を有するカルボアルコキシ、アミノ、アシルに1〜4個の炭素を有するアミド、シアノ、およびアルキルの各々に1〜4個の炭素を有するN,N-ジアルキルアミノ、ハロ、ヒドロキシルならびにニトロから選ばれる)
の群から選ばれる)
の化合物;および式IV:
【化5】
(式中、Xは、OまたはSであり、Rは、H、OR1、NHC(O)R1、およびハロゲンからなる群より選ばれ、R1はC1-C4アルキルである)
の化合物から選ばれる、請求項1〜3いずれか記載の使用。
【請求項5】
コリン作動性アゴニストが、式I:
【化6】
(式中、Rは水素またはメチルを表し、
nは0または1を表す)
の化合物;
またはその薬学的に許容されうる塩である、請求項1〜3いずれか記載の使用。
【請求項6】
コリン作動性アゴニストが(-)-スピロ[1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3,5'-オキサゾリジン-2'-オン]である、請求項5記載の使用。
【請求項7】
コリン作動性アゴニストが、式II:
【化7】
(式中:mは、1または2である;
nは、0または1である;
Yは、CH、NまたはNOである;
Xは、酸素または硫黄である;
Wは、酸素、H2またはF2である;
Aは、NまたはC(R2)である;
Gは、NまたはC(R3)である;
Dは、NまたはC(R4)である;
ただし、A、GおよびDの内のわずか1つが、窒素であるが、Y、A、GおよびDの内の少なくとも1つは、窒素またはNOである;
R1は、水素またはC1〜C4アルキルである;
R2、R3およびR4は、独立して、水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OH、OC1〜C4アルキル、CO2R1、-CN、-NO2、-NR5R6、-CF3もしくは-OSO2CF3であるか、またはR2およびR3、R3およびR4は、それぞれ、AおよびG、もしくはGおよびDをそれぞれ共有し、0〜2個の窒素原子を含む別の6員芳香族もしくはヘテロ芳香族環を一緒に形成し得、以下の置換基:独立して、水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OH、OC1〜C4アルキル、CO2R1、-CN、-NO2、-NR5R6、-CF3もしくは-OSO2CF3の1つから2つで置換されうる;
R5およびR6は、独立して、水素、C1〜C4アルキル、C(O)R7、C(O)NHR8、C(O)OR9、もしくはSO2R10であるか、または一緒に、(CH2)jQ(CH2)k(式中、QはO、S、NR11、または結合である)でありうる;
jは、2から7である;
kは、0から2である;
R7、R8、R9、R10およびR11は、独立して、C1〜C4アルキル、アリール、もしくはヘテロアリールであるか、またはそのエナンチオマーである)
の化合物またはその薬学的に許容されうる塩である、請求項1〜3いずれか記載の使用。
【請求項8】
コリン作動性アゴニストが式IIの化合物であり、式中、mは1であり;nは0であり;pは0であり;xは酸素であり;AはC(R2)であり;GはC(R3)であり;DはC(R4)である、請求項7記載の使用。
【請求項9】
コリン作動性アゴニストが5'-フェニルスピロ[1-アザビシクロ(2.2.2)オクタン-3,2'-(3'H)-フロ(2,3-b)ピリジン]である、請求項8記載の使用。
【請求項10】
コリン作動性アゴニストが式III:
【化8】
(式中、R1、R6およびR7は、水素またはC1〜C4アルキルである;R2は、
【化9】
(式中、R3、R4およびR5は、水素、アルキルの各々に1〜4個の炭素を有するN,N-ジアルキルアミノで任意に置換されたC1〜C4アルキル、アルキルの各々に1〜4個の炭素を有するN,N-ジアルキルアミノで任意に置換されたC1〜C6アルコキシ、アルコキシに1〜4個の炭素を有するカルボアルコキシ、アミノ、アシルに1〜4個の炭素を有するアミド、シアノ、およびアルキルの各々に1〜4個の炭素を有するN,N-ジアルキルアミノ、ハロ、ヒドロキシルならびにニトロから選ばれる)
の群から選ばれる)
の化合物である、請求項1〜3いずれか記載の使用。
【請求項11】
コリン作動性アゴニストが式IIIの化合物であり、式中、R2は、テトラヒドロピリジン環の3位に結合され、さらにフェニル環の4または2位に結合されるR3は、アミノ、ヒドロキシル、クロロ、シアノ、ジメチルアミノ、メチル、メトキシ、アセチルアミノ、アセトキシ、およびニトロからなる群より選ばれる、請求項10記載の使用。
【請求項12】
コリン作動性アゴニストが、
式III(式中、R3はヒドロキシルであり、R1、R4およびR5は水素である);
式III(式中、R3は、アセチルアミノであり、R1、R4およびR5は、水素である);
式III(式中、R3は、アセトキシであり、R1、R4およびR5は、水素である);
式III(式中、R3は、メトキシであり、R1、R4およびR5は、水素である);
式III(式中、R3は、メトキシであり、R1およびR4は、水素であり、さらに式中R3は、フェニル環の2位に結合され、フェニル環の4位に結合されるR5はメトキシまたはヒドロキシである)
から選ばれる化合物である、請求項10記載の使用。
【請求項13】
コリン作動性アゴニストが、3-2,4-ジメトキシベンジリジンアナバセイン(DMXB-A)、3-(4-ヒドロキシベンジリデン)アナバセイン、3-(4-メトキシベンジリデン)アナバセイン、3-(4-アミノベンジリデン)アナバセイン、3-(4-ヒドロキシ-2-メトキシベンジリデン)アナバセイン、3-(4-メトキシ-2-ヒドロキシベンジリデン)アナバセイン、トランス-3-シンナミリデンアナバセイン、トランス-3-(2-メトキシ-シンナミリデン)アナバセインおよびトランス-3-(4-メトキシシンナミリデン)アナバセインから選ばれる、請求項10記載の使用。
【請求項14】
コリン作動性アゴニストが3-(4-ヒドロキシ-2-メトキシベンジリデン)アナバセインである、請求項10記載の使用。
【請求項15】
コリン作動性アゴニストが3-(2,4-ジメトキシベンジリデン)アナバセインである、請求項10記載の使用。
【請求項16】
コリン作動性アゴニストが式IV:
【化10】
(式中、XはO、SまたはSO2である;
RはH、OR1、NHC(O)R1およびハロゲンから選ばれ、R1はHまたはC1-C4アルキルである)
の化合物である、請求項1〜3いずれか記載の使用。
【請求項17】
コリン作動性アゴニストが、N-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル]-4-(4-ヒドロキシフェノキシ)ベンズアミド、N-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル]-4-(4-アセトアミドフェノキシ)ベンズアミド、N-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル]-4-(フェニルスルファニル)ベンズアミド、およびN-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル]-4-(3-クロロフェニルスルホニル)ベンズアミドから選ばれる、請求項15記載の使用。
【請求項18】
コリン作動性アゴニストが、N-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル]-4-(フェニルスルファニル)ベンズアミドである、請求項15記載の使用。
【請求項19】
コリン作動性アゴニストがコカインメチオジドである請求項1〜3いずれか記載の使用。
【請求項20】
状態が、虫垂炎、消化器官性潰瘍、胃潰瘍および十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵臓炎、肝炎、喘息、アレルギー、アナフィラキシーショック、臓器壊死、枯草熱、セプシス(sepsis)、敗血症(septicemia)、内毒素性ショック、悪質液、敗血性流産、播種性菌血症、火傷、セリアック病、うっ血性心不全、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、脊髄損傷、麻痺、同種移植拒絶および対宿主性移植片病から選ばれる請求項1記載の使用。
【請求項21】
状態が、虫垂炎、消化器官性潰瘍、胃潰瘍または十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵臓炎、肝炎、喘息、アレルギー、アナフィラキシーショック、臓器壊死、枯草熱、セプシス(sepsis)、敗血症(septicemia)、内毒素性ショック、悪質液、敗血性流産、播種性菌血症、火傷、うっ血性心不全、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、脊髄損傷、麻痺、同種移植拒絶および対宿主性移植片病から選ばれる請求項1記載の使用。
【請求項22】
状態が、腹膜炎、膵臓炎、セプシス(sepsis)、内毒素性ショック、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、同種移植拒絶、喘息、対宿主性移植片病、うっ血性心不全および嚢胞性線維症から選ばれる請求項1記載の使用。
【請求項23】
状態が、腹膜炎、膵臓炎、セプシス(sepsis)、内毒素性ショック、悪液質、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、および同種移植拒絶から選ばれる請求項1記載の使用。
【請求項24】
状態がセプシス(sepsis)である請求項1記載の使用。
【請求項1】
炎症性状態を治療するための医薬の調製における、マクロファージから放出される炎症性サイトカインの量を減少させるのに十分な量でのα7ニコチン性受容体に選択性のあるコリン作動性アゴニストの使用であって、該状態が、虫垂炎、消化器官性潰瘍、胃潰瘍および十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵臓炎、喉頭蓋炎、無弛緩症、胆管炎、胆嚢炎、肝炎、ホウィップル病、喘息、アレルギー、アナフィラキシーショック、免疫複合体病、臓器壊死、枯草熱、セプシス(sepsis)、敗血症(septicemia)、内毒素性ショック、悪質液、異常高熱、好酸球性肉芽腫、肉芽腫症、類肉腫症、敗血性流産、精巣上体炎、膣炎、前立腺炎、尿道炎、気管支炎、肺気腫、鼻炎、嚢胞性線維症、肺炎、珪性肺塵症(pneumoultramicroscopic silicovolcanoconiosis)、肺胞炎、細気管支炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈洞炎、インフルエンザ、呼吸器合胞体ウイルス感染、ヘルペス感染、HIV感染、B型肝炎ウイルス感染、C型肝炎ウイルス感染、播種性菌血症、デング熱、カンジダ症、マラリア、フィラリア症、アメーバー症、包虫嚢胞、火傷、脈管炎、血管炎、心内膜炎、動脈炎、アテローム性動脈硬化症、血栓性静脈炎、心膜炎、心筋炎、結節性動脈周囲炎、リウマチ熱、セリアック病、うっ血性心不全、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、髄膜炎、脳炎、神経炎、神経痛、脊髄損傷、麻痺、ぶどう膜炎、関節炎、関節痛、骨髄炎、筋膜炎、パジェット病、痛風、歯周疾患、関節リウマチ、滑膜炎、重症筋無力症、甲状腺炎、全身性紅斑性狼瘡、グッドパスチャー症候群、ベーチェット症候群、同種移植拒絶、対宿主性移植片病、強直性脊椎炎、バージャー病、リタイヤー症候群、ならびにホジキン病からなる群より選ばれる、使用。
【請求項2】
膵臓炎、喘息、成人呼吸窮迫症候群、および関節リウマチからなる群より選ばれる状態を患う患者を治療するための医薬の製造における、マクロファージから放出される炎症性サイトカインの量を減少させるのに十分な量でのα7ニコチン性受容体に選択性のあるコリン作動性アゴニストの使用。
【請求項3】
膵臓炎、喘息、成人呼吸窮迫症候群、および関節リウマチからなる群より選ばれる状態を患う患者を治療するための医薬の製造における、マクロファージから放出される炎症性サイトカインの量を減少させるのに十分な量でのα7ニコチン性受容体に選択性のあるコリン作動性アゴニストの使用であって、該コリン作動性アゴニストは、少なくとも1つの他のニコチン性受容体より、少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも5倍、さらにより好ましくは少なくとも10倍、そして最も好ましくは少なくとも50倍、α7受容体を活性化できる、使用。
【請求項4】
コリン作動性アゴニストが、コカインの第4アナログ;(1-アザ-ビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)-カルバミン酸1-(2-フルオロフェニル)-エチルエステル;式I:
【化1】
(式中、Rは水素またはメチルを表し、
nは0または1を表す)
の化合物;式Iの化合物の薬学的に許容されうる塩;式II:
【化2】
(式中:
mは、1または2である;
nは、0または1である;
Yは、CH、NまたはNOである;
Xは、酸素または硫黄である;
Wは、酸素、H2またはF2である;
Aは、NまたはC(R2)である;
Gは、NまたはC(R3)である;
Dは、NまたはC(R4)である;
ただし、A、GおよびDの内のわずか1つが、窒素であるが、Y、A、GおよびDの内の少なくとも1つは、窒素またはNOである;
R1は、水素またはC1〜C4アルキルである;
R2、R3およびR4は、独立して、水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OH、OC1〜C4アルキル、CO2R1、-CN、-NO2、-NR5R6、-CF3もしくは-OSO2CF3であるか、またはR2およびR3、R3およびR4は、それぞれ、AおよびG、もしくはGおよびDをそれぞれ共有し、0〜2個の窒素原子を含む別の6員芳香族もしくはヘテロ芳香族環を一緒に形成し得、以下の置換基:独立して、水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OH、OC1〜C4アルキル、CO2R1、-CN、-NO2、-NR5R6、-CF3もしくは-OSO2CF3の1つから2つで置換されうる;
R5およびR6は、独立して、水素、C1〜C4アルキル、C(O)R7、C(O)NHR8、C(O)OR9、もしくはSO2R10であるか、または一緒に、(CH2)jQ(CH2)k(式中、QはO、S、NR11、または結合である)でありうる;
jは、2から7である;
kは、0から2である;
R7、R8、R9、R10およびR11は、独立して、C1〜C4アルキル、アリール、もしくはヘテロアリールであるか、またはそのエナンチオマーである)
の化合物;式IIの化合物の薬学的に許容されうる塩;式III:
【化3】
(式中、R1、R6およびR7は、水素またはC1〜C4アルキルである;R2は、
【化4】
(式中、R3、R4およびR5は、水素、アルキルの各々に1〜4個の炭素を有するN,N-ジアルキルアミノで任意に置換されたC1〜C4アルキル、アルキルの各々に1〜4個の炭素を有するN,N-ジアルキルアミノで任意に置換されたC1〜C6アルコキシ、アルコキシに1〜4個の炭素を有するカルボアルコキシ、アミノ、アシルに1〜4個の炭素を有するアミド、シアノ、およびアルキルの各々に1〜4個の炭素を有するN,N-ジアルキルアミノ、ハロ、ヒドロキシルならびにニトロから選ばれる)
の群から選ばれる)
の化合物;および式IV:
【化5】
(式中、Xは、OまたはSであり、Rは、H、OR1、NHC(O)R1、およびハロゲンからなる群より選ばれ、R1はC1-C4アルキルである)
の化合物から選ばれる、請求項1〜3いずれか記載の使用。
【請求項5】
コリン作動性アゴニストが、式I:
【化6】
(式中、Rは水素またはメチルを表し、
nは0または1を表す)
の化合物;
またはその薬学的に許容されうる塩である、請求項1〜3いずれか記載の使用。
【請求項6】
コリン作動性アゴニストが(-)-スピロ[1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3,5'-オキサゾリジン-2'-オン]である、請求項5記載の使用。
【請求項7】
コリン作動性アゴニストが、式II:
【化7】
(式中:mは、1または2である;
nは、0または1である;
Yは、CH、NまたはNOである;
Xは、酸素または硫黄である;
Wは、酸素、H2またはF2である;
Aは、NまたはC(R2)である;
Gは、NまたはC(R3)である;
Dは、NまたはC(R4)である;
ただし、A、GおよびDの内のわずか1つが、窒素であるが、Y、A、GおよびDの内の少なくとも1つは、窒素またはNOである;
R1は、水素またはC1〜C4アルキルである;
R2、R3およびR4は、独立して、水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OH、OC1〜C4アルキル、CO2R1、-CN、-NO2、-NR5R6、-CF3もしくは-OSO2CF3であるか、またはR2およびR3、R3およびR4は、それぞれ、AおよびG、もしくはGおよびDをそれぞれ共有し、0〜2個の窒素原子を含む別の6員芳香族もしくはヘテロ芳香族環を一緒に形成し得、以下の置換基:独立して、水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OH、OC1〜C4アルキル、CO2R1、-CN、-NO2、-NR5R6、-CF3もしくは-OSO2CF3の1つから2つで置換されうる;
R5およびR6は、独立して、水素、C1〜C4アルキル、C(O)R7、C(O)NHR8、C(O)OR9、もしくはSO2R10であるか、または一緒に、(CH2)jQ(CH2)k(式中、QはO、S、NR11、または結合である)でありうる;
jは、2から7である;
kは、0から2である;
R7、R8、R9、R10およびR11は、独立して、C1〜C4アルキル、アリール、もしくはヘテロアリールであるか、またはそのエナンチオマーである)
の化合物またはその薬学的に許容されうる塩である、請求項1〜3いずれか記載の使用。
【請求項8】
コリン作動性アゴニストが式IIの化合物であり、式中、mは1であり;nは0であり;pは0であり;xは酸素であり;AはC(R2)であり;GはC(R3)であり;DはC(R4)である、請求項7記載の使用。
【請求項9】
コリン作動性アゴニストが5'-フェニルスピロ[1-アザビシクロ(2.2.2)オクタン-3,2'-(3'H)-フロ(2,3-b)ピリジン]である、請求項8記載の使用。
【請求項10】
コリン作動性アゴニストが式III:
【化8】
(式中、R1、R6およびR7は、水素またはC1〜C4アルキルである;R2は、
【化9】
(式中、R3、R4およびR5は、水素、アルキルの各々に1〜4個の炭素を有するN,N-ジアルキルアミノで任意に置換されたC1〜C4アルキル、アルキルの各々に1〜4個の炭素を有するN,N-ジアルキルアミノで任意に置換されたC1〜C6アルコキシ、アルコキシに1〜4個の炭素を有するカルボアルコキシ、アミノ、アシルに1〜4個の炭素を有するアミド、シアノ、およびアルキルの各々に1〜4個の炭素を有するN,N-ジアルキルアミノ、ハロ、ヒドロキシルならびにニトロから選ばれる)
の群から選ばれる)
の化合物である、請求項1〜3いずれか記載の使用。
【請求項11】
コリン作動性アゴニストが式IIIの化合物であり、式中、R2は、テトラヒドロピリジン環の3位に結合され、さらにフェニル環の4または2位に結合されるR3は、アミノ、ヒドロキシル、クロロ、シアノ、ジメチルアミノ、メチル、メトキシ、アセチルアミノ、アセトキシ、およびニトロからなる群より選ばれる、請求項10記載の使用。
【請求項12】
コリン作動性アゴニストが、
式III(式中、R3はヒドロキシルであり、R1、R4およびR5は水素である);
式III(式中、R3は、アセチルアミノであり、R1、R4およびR5は、水素である);
式III(式中、R3は、アセトキシであり、R1、R4およびR5は、水素である);
式III(式中、R3は、メトキシであり、R1、R4およびR5は、水素である);
式III(式中、R3は、メトキシであり、R1およびR4は、水素であり、さらに式中R3は、フェニル環の2位に結合され、フェニル環の4位に結合されるR5はメトキシまたはヒドロキシである)
から選ばれる化合物である、請求項10記載の使用。
【請求項13】
コリン作動性アゴニストが、3-2,4-ジメトキシベンジリジンアナバセイン(DMXB-A)、3-(4-ヒドロキシベンジリデン)アナバセイン、3-(4-メトキシベンジリデン)アナバセイン、3-(4-アミノベンジリデン)アナバセイン、3-(4-ヒドロキシ-2-メトキシベンジリデン)アナバセイン、3-(4-メトキシ-2-ヒドロキシベンジリデン)アナバセイン、トランス-3-シンナミリデンアナバセイン、トランス-3-(2-メトキシ-シンナミリデン)アナバセインおよびトランス-3-(4-メトキシシンナミリデン)アナバセインから選ばれる、請求項10記載の使用。
【請求項14】
コリン作動性アゴニストが3-(4-ヒドロキシ-2-メトキシベンジリデン)アナバセインである、請求項10記載の使用。
【請求項15】
コリン作動性アゴニストが3-(2,4-ジメトキシベンジリデン)アナバセインである、請求項10記載の使用。
【請求項16】
コリン作動性アゴニストが式IV:
【化10】
(式中、XはO、SまたはSO2である;
RはH、OR1、NHC(O)R1およびハロゲンから選ばれ、R1はHまたはC1-C4アルキルである)
の化合物である、請求項1〜3いずれか記載の使用。
【請求項17】
コリン作動性アゴニストが、N-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル]-4-(4-ヒドロキシフェノキシ)ベンズアミド、N-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル]-4-(4-アセトアミドフェノキシ)ベンズアミド、N-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル]-4-(フェニルスルファニル)ベンズアミド、およびN-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル]-4-(3-クロロフェニルスルホニル)ベンズアミドから選ばれる、請求項15記載の使用。
【請求項18】
コリン作動性アゴニストが、N-[(3R)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル]-4-(フェニルスルファニル)ベンズアミドである、請求項15記載の使用。
【請求項19】
コリン作動性アゴニストがコカインメチオジドである請求項1〜3いずれか記載の使用。
【請求項20】
状態が、虫垂炎、消化器官性潰瘍、胃潰瘍および十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵臓炎、肝炎、喘息、アレルギー、アナフィラキシーショック、臓器壊死、枯草熱、セプシス(sepsis)、敗血症(septicemia)、内毒素性ショック、悪質液、敗血性流産、播種性菌血症、火傷、セリアック病、うっ血性心不全、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、脊髄損傷、麻痺、同種移植拒絶および対宿主性移植片病から選ばれる請求項1記載の使用。
【請求項21】
状態が、虫垂炎、消化器官性潰瘍、胃潰瘍または十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵臓炎、肝炎、喘息、アレルギー、アナフィラキシーショック、臓器壊死、枯草熱、セプシス(sepsis)、敗血症(septicemia)、内毒素性ショック、悪質液、敗血性流産、播種性菌血症、火傷、うっ血性心不全、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、脊髄損傷、麻痺、同種移植拒絶および対宿主性移植片病から選ばれる請求項1記載の使用。
【請求項22】
状態が、腹膜炎、膵臓炎、セプシス(sepsis)、内毒素性ショック、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、同種移植拒絶、喘息、対宿主性移植片病、うっ血性心不全および嚢胞性線維症から選ばれる請求項1記載の使用。
【請求項23】
状態が、腹膜炎、膵臓炎、セプシス(sepsis)、内毒素性ショック、悪液質、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、および同種移植拒絶から選ばれる請求項1記載の使用。
【請求項24】
状態がセプシス(sepsis)である請求項1記載の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−105745(P2011−105745A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14401(P2011−14401)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【分割の表示】特願2004−559325(P2004−559325)の分割
【原出願日】平成15年12月5日(2003.12.5)
【出願人】(305054418)ノース ショア−ロング アイランド ジュ−イッシュ リサ−チ インスティチュ−ト (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【分割の表示】特願2004−559325(P2004−559325)の分割
【原出願日】平成15年12月5日(2003.12.5)
【出願人】(305054418)ノース ショア−ロング アイランド ジュ−イッシュ リサ−チ インスティチュ−ト (2)
【Fターム(参考)】
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