説明

β−グルカン製品および穀類からの抽出方法

【課題】β−グルカン製品を提供すること、およびβ−グリカンを抽出する簡単且つ効率的方法を提供すること、または公衆に有用な代替物を少なくとも提供すること。
【解決手段】穀物に含まれる酵素を失活することなく、水で抽出することにより、穀物からβ−グルカンを得る方法。抽出時間を制御することにより、穀類から抽出されたβ−グルカンの分子量を制御する方法。β−グルカンの水溶液を凍結し、そして解凍し、得られた懸濁液から固体分を分離することからなるβ−グルカンの水溶液からβ−グルカンを回収する方法。これらの方法により得られたβ−グルカン。加熱されたβ−グルカンの溶液が冷却するとゲルが形成される。種々の疾病の治療、化粧品及び食品への添加剤、及びフィルム形成剤としてのβ−グルカンの使用。動物飼料として又は醸造において使用するための、β−グルカンが抽出された穀類。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、穀類から抽出する新規物質、新規な抽出方法、及び治療薬、生体適合性フィルム、食品や化粧品の添加剤としての製品用途に関するものである。
【背景技術】
【0002】
背景
穀類中に存在するβ−グルカン多糖類は、D−グルコピラノシル単位から構成される。この単位は、(1−>3)または(1−>4)β−結合によって、相互に結合している。この型のβ−グルカンは、オート麦と大麦穀類中に約15%迄の量で存在する。通常、このβ−グルカンは、約2,500,000の分子量をもっている。
【0003】
β−グルカンは、可溶性食用繊維として有用である。可溶性繊維は、下部腸で結腸微小菌による以外は、未消化のまま残る。これは、健康に有利な細菌の成長を高める。可溶性食用繊維は、結腸ガンを含む或る種の病気の予防と、高血清コレステロール水準に関係する病気の予防に役立つとされている。可溶性繊維は、整腸作用の向上、及び多くの物質の消化に関連するグリカエミック反応の調整を期待して、便秘の治療と予防に使われている。
【0004】
β−グルカンは、低コレステロール血症活性をもつと考えられる。また、β−グルカンは、食品成分としても有用である。β−グルカンは、中性の風味をもち、望ましい口当たりと感触特性をもっていることに加え、量感を与える。この関係で、β−グルカンは、幾つかの食品で脂肪代替物としてよく知られている。
【0005】
穀類からβ−グルカン抽出の報告された方法は、多くの工程を含む。先ず、粉砕した穀類を処理して、穀類に関連する酵素を不活性化する。その後に、β−グルカンを穀類から温水中に抽出し、そして固体を溶液から除去する。
【0006】
大量の水−混和性有機溶剤を溶液に添加して、β−グルカンを、通常他の多糖類と共に沈殿させる。このβ−グルカンは、低純度かつ通常高分子量である。また、酵素不活性化工程を、最初の工程としてではなく、水抽出後に実施することが知られている。不活性化工程は、β−グルカンの加水分解を抑制し、それによりβ−グルカンの高い平均分子量を維持している。
【0007】
既知の方法により得たβ−グルカンの水溶液は、温度に関しては最低の官能性を示す。これらのβ−グルカンは、通常高分子量のガムであり、水には容易に溶解しないが粘稠な水溶液を生成する。
【0008】
報告された方法により得たβ−グルカンは、アラビノキシランと澱粉を含んでいる。これらの不純物は、粘稠な水溶液を生成する原因になり、抽出工程を困難なものにする。固体を乾燥製品として回収する時に、ガム状または粘着性固体が生じやすい。これらの製品は、たとえ高温度にしても、再溶解が困難である。
【0009】
水溶液からβ−グルカンを回収する既知の方法には、水−混和性有機溶剤(例えばエタノール)を添加してβ−グルカンを沈殿させた後、沈殿物をろ過、スプレーまたはフリズドライする方法がある。
【0010】
先行技術が示唆する抽出方法は、多くの工程を要し且つそのためにコスト高となる観点から工業的適応性に制約を受ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
発明の概要
本発明の目的は、β−グルカン製品を提供すること、およびβ−グルカンを抽出する簡単且つ効率的方法を提供すること、または公衆に有用な代替物を少なくとも提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の観点では、天然の状態のものより低い平均分子量を有するβ−グルカンを穀類から得る方法を提供し、前記方法は、
・穀類を水と混合して、β−グルカン水溶液と固体残渣のスラリーを作成し、β−グルカンを穀類に関連する1種またはそれ以上の酵素の作用で部分加水分解して、その天然の状態のものより低平均分子量を有するβ−グルカンを生成させ、
・水溶液と固体残渣を分離し、そして
・水溶液からβ−グルカンを回収する
ことから成り、この工程中で1種またはそれ以上の酵素の不活性化工程は存在しない。
【0013】
本発明の第2の観点では、β−グルカン水溶液からβ−グルカンを回収する方法を提供し、前記方法は、
・溶液を凍結させる、
・溶液を解氷して水中で沈殿を形成させ、そして
・沈殿と水を分離する
ことから成り、この沈殿物の主要な非水性成分がβ−グルカンである。
【0014】
本発明は、発明の第1と第2の観点のすべての方法に従って製造されるβ−グルカンを提供する。
【0015】
また、本発明は、穀類から抽出されたβ−グルカンを提供し、このβ−グルカンは加熱水に溶解した後、冷却時にゲルを形成する。
【0016】
本発明のさらなる特徴として、低コレステロール血症剤として用途のあるβ−グルカンを含有する組成物を提供する。また、β−グルカンを含有する組成物は、便秘治療または予防用、整腸活性用またはグリカエミック反応調節用に提供される。
【0017】
また、本発明は、患者の低コレステロール血症治療方法を提供するもので、この治療法は、必要に応じて患者に有効量のβ−グルカンを投与することを含む。
【0018】
さらに、本発明は、便秘治療または予防方法、整腸活性化方法、およびグリカエミック反応調節を提供し、そしてこれらの各方法は、患者に対して必要に応じて有効量のβ−グルカンを投与することを含む。
【0019】
本発明は、食品成分、化粧品組成物の添加剤、傷の包帯と食品コーテイング用のフィルム形成剤、マトリックス中に収容した薬剤の徐放性マトリックス成分、および他の多糖類の特性変成剤としての、β−グルカンの用途を提供する。
【0020】
また、本発明は、穀類より成る動物飼料を提供するもので、この飼料から実質的には、β−グルカンが抽出されている。さらに、本発明は、醸造工程で使用する穀類を提供するもので、β−グルカンがこの穀類から抽出されている。
【0021】
詳細な記載
この発明において使用される穀類はオオムギ、オートムギ、米、ライムギ、小麦類(triticale)、とうもろこしおよび小麦を包含するがしかしそれらに限定されない、任意のβ−グルカン含有穀物または植物材料であってよい。好ましい穀類はオオムギである。また、ろう質穀類は、でんぷん粒から抽出溶液中へのアミロースの浸出が起こるのが少ない非ろう質の穀類以上の利点を有する。
【0022】
β−グルカン類の物理的性質はそれらの平均分子量により大きく左右される。本明細書において使用されるものとして表現“高分子量β−グルカン”は穀類に見い出されるβ−グルカンの平均分子量と実質的に同様の平均分子量(典型的には2×10〜3×10)を有するβ−グルカンを意味する。本明細書において使用されるものとして表現“低分子量β−グルカン”は穀類において見い出されるβ−グルカンの平均分子量に対して一層低い平均分子量(5×10〜1.5×10)を有するβ−グルカンを意味する。
【0023】
穀類から抽出されたβ−グルカンの平均分子量は、β−グルカンが、穀類と組み合わさっている1種またはそれ以上の加水分解酵素と接触している時間の量の関数である。したがって、穀類が水と混合されている場合、1種またはそれ以上の加水分解酵素は、β−グルカンとの反応に関して活性化されると信じられる。β−グルカン分子の一部分が小さな単位に加水分解されて、低分子量を有する、抽出処理から回収されたβ−グルカンに導く。
【0024】
穀類と組み合わさっている加水分解酵素は穀類に対して内因性(endogenous)の酵素そしてまた、穀類に付着している可能性がある微生物に存在するかまたはその微生物により生産された酵素を包含する。
【0025】
加水分解酵素の不活化なしに、穀類の水性抽出により得られたβ−グルカンの平均分子量は抽出の時間を制御することにより制御されることができる。本発明の第1面の方法において、β−グルカンが穀類から溶液中に抽出されるように、穀類は水と混合されてスラリを形成する。抽出時間が長けれは長いほど、β−グルカンの加水分解の量がそれだけ一層大きくなる。したがって、酵素の不活化が起こらなければ、低分子量β−グルカンを得ることが出来る。さらに、抽出時間を予め決定することにより所定の平均分子量のβ−グルカンを得ることが出来る。
【0026】
穀類は0〜80℃、好ましくは30〜70℃、または一層好ましくは、45〜60℃の範囲の任意の温度で水で抽出されることが出来る。約80℃以上の温度で、穀類と組み合わさっている酵素は不活化されると考えられる。
【0027】
穀類から回収されるβ−グルカンの収量は抽出処理中の水の温度で変わることが認識されよう。より高い温度は一般により高い収量を提供する。
【0028】
穀類は1〜10、好ましくは5〜8の範囲のPHに調節された水と混合されてよい。
【0029】
抽出時間を制御することによるβ−グルカンの平均分子量の制御に加えて、β−グルカンの部分的加水分解が混合物に外因性(exogenous)β−グルカン加水分解用酵素の添加によりあるいは混合物に酸の添加により助力されることが予期される。
【0030】
キシラナーゼのようなアラビノキシラン分解用酵素またはアミラーゼのようなでんぷん分解用酵素を用いての水性混合物の処理は改良された純度のβ−グルカン生成物に導ぐことがまた予期される。
【0031】
約0〜10℃の温度にβ−グルカンの水溶液を冷却するとゲルの形成に導くことが出来るであろう。
【0032】
水溶液からβ−グルカンを回収するための既知の方法またはこの発明の第2の面の方法のいずれかは低分子量β−グルカンを回収するために使用出来る。
【0033】
全粒、ぬか(bran)、ポラルド(pollard)、粉末または所望の粒子寸法に粉砕された他の粉末は、所望量のβ−グルカンが溶液中に抽出されるまで、例えば48時間まで、好ましくは10時間まで、さらに好ましくは3時間まで、約50℃で水とかき混ぜられることが出来る。
【0034】
次に、水性相は遠心分離、その次に傾瀉またはろ過によりすべての残留固体物質から分離されることが出来る。水溶液中に存在するβ−グルカンは、次に好ましくこの発明の第2の面の方法により、回収される。
【0035】
回収される低分子量β−グルカンの平均分子量は1,500,000まで、好ましくは600,000まで、さらに好ましくは300,000まで、例えば5,000〜50,000の範囲にあることが出来る。回収されるβ−グルカンの平均分子量は穀類ごとに変化する可能性がありそして穀類の形に依存して変化する可能性があることが認識されよう。したがって、一定の混合時間について生成物の平均分子量を予め決定するために多少の実験が必要であろう。
【0036】
本発明の第2の面の方法は、溶液を凍結−解凍することによる、β−グルカンの水溶液からのβ−グルカンの回収に関する。
【0037】
この方法において、水溶液はこの発明の第1の面の方法によりあるいは低分子量β−グルカン生成物を生ずる任意の既知の方法により形成されることが出来る。既知の方法は一般に、β−グルカンの水性抽出の前に穀粒に存在する酵素の不活化を必要とする。次にβ−グルカンは酵素的にあるいは酸を用いての処理により部分的に加水分解されて低分子量β−グルカンを提供する。
【0038】
水溶液は0℃以下の温度、好ましくは−20℃〜−10℃の温度で凍結される。溶液をどのぐらいの長さの時間凍結状態に維持するかは重要であるとは思われない。凍結された溶液は、次に好ましくは室温(15℃〜25℃)で放置することにより解凍させる。
【0039】
β−グルカン生成物は、溶液から沈殿した白色がかった固体粒子、ゼラチン状または繊維質の物質として回収される。これは水性相からろ過または他の手段により分離されそして冷水中に本質的に不液性である。次にβ−グルカン生成物は乾燥される。乾燥は沈殿物を凍結させそして次にそれを放置して解凍することにより助力される。この方法は固体物質から水をさらに除去する。
【0040】
沈殿物は、空気乾燥、プレス、アルコールを用いての洗浄、加熱または凍結乾燥を包含する任意の既知の手段により乾燥されてもよい。
【0041】
得られたβ−グルカン生成物は、高い純度、一般に全固形分の70重量%またはそれより高い純度のものであることが分かった。β−グルカン含有生成物を水中に再溶解し、次に凍結および解凍工程を繰り返すと、一層高い純度、例えば90%より高い純度のβ−グルカン生成物を提供する。
【0042】
その方法が高い純度のβ−グルカン生成物を提供する一方で、キシラナーゼのようなアラビノキシラン分解酵素および(または)アミラーゼのようなでんぷん分解酵素の使用は、容易に溶解出来るオリゴ糖として、望ましくないアラビノキシランおよびでんぷんを除去するのをそれが一層容易にすることによりβ−グルカンの純度を改良することが予期される。分解用酵素は凍結および解凍工程のまえに使用されてよくあるいは凍結および解凍工程の後に回収されたβ−グルカン生成物は水中に再溶解されそして1種またはそれ以上のそのような分解用酵素で処理されてもよい。
【0043】
そのようにして単離されたβ−グルカンは新規な機能的な性質を有する。既知の方法により得られた生成物は、0〜100℃の温度範囲にわたって構造をほとんど有しないかまたは全く有しない粘稠な溶液を形成する。本発明により生成されたβ−グルカンは注目すべき構造に発展出来る自由流動性の溶液を形成する。約60℃以下の温度および約0.5%(重量/重量)以上、好ましくは1%(重量/重量)以上の濃度でゲルが形成出来る。
【0044】
本発明の好ましい態様において、約0.5%(重量/重量)以上の濃度で軟質ゲルを形成するβ−グルカン生成物が提供される。
【0045】
好ましくは、β−グルカン生成物は、水が約60℃以上に加熱されたとき、溶解される。その溶液を冷却したときにゲルが形成する。
【0046】
一般に、一層低い分子量のβ−グルカンは迅速にゲルを形成する。例えば、30,000の分子量のβ−グルカンは約15分後に固化しはじめることが出来るのに対して、400,000の分子量のβ−グルカンはゲルを形成するのに約2時間かかる可能性がある。これらのβ−グルカン類の中で、一層高い分子量を有するβ−グルカンは、典型的には一層堅いゲルを形成する。
【0047】
本発明の他の特徴は、他の多糖類、例えば他の高分子量β−グルカン類の性質を変性するための低分子量β−グルカンの使用である。
【0048】
この発明のβ−グルカン生成物は血中コレステロール低下剤として使用されることが出来る。それはまた、便秘症を治療または予防するためにそして腸活動の調節のために有用である。また、β−グルカン生成物は血糖症的応答、即ち或る種の食品の消化後の、増大し血糖値を調節するために使用されることが出来る。
【0049】
本発明の治療薬は、錠剤、カプセル、溶液、懸濁液または他のタイプの組成物として利用されるための組成物形で造られることが出来る。これらの組成物は任意の既知の方法により形成されることが出来る。
【0050】
本発明の低分子量β−グルカンは血中コレステロール低下薬として以外の目的のために使用されることが出来る。そのユニークな機能的性質は、特に加工食品において種々の用途を有する。食品にβ−グルカンを単に加えることが本発明に従って好ましい。β−グルカン類は天然の食品成分であるので、変性されたまたは非天然の食品添加剤に対する消費者の抵抗性は広がらないと信じられる。
【0051】
この発明の低分子量β−グルカン類の1つの品質はそれらが良好な口内感触を有することである。これは食品の脂肪模擬品としてこれらを適当なものとする。食べることが出来るフイルムを形成するそれらの能力は、食品コーテイング、例えばつや出し加工としてこれらを濳在的に有用なものにする。β−グルカン類のフイルム形生性の性質はまた、創傷包帯のためのフイルムとしてこれらを有用であるようにすることが出来る。β−グルカン類は凍結された食品において氷結晶の形成を防止すると思われる。したがって、それらは滑らかな口内感触が所望される凍結食品、例えばアイスクリームにおいて有用である。
【0052】
さらに、この発明のゲル化または乾燥されたβ−グルカン生成物の固体構造中の細孔は医薬品のための遅延化放出剤としてそして例えば食品中の着香料のために、β−グルカン類が使用されることが出来るようにすることが予期される。
【0053】
β−グルカンを含有する穀類は原料飼料として、特に飼鳥類または豚の飼料として使用される。それらは、β−グルカン類の抗栄養活性の点からみて、栄養物ほどは有効でない。β−グルカンを抽出することにより、その残っている固形材料は動物飼料として高められた価値を有するであろう。これは特に、オオムギを用いた場合であろう。
【0054】
本発明はさらに、β−グルカン類を水溶液中に溶解化しそして動物飼料として固形材料を取り出すことを包含する方法により、β−グルカンが取り除かれてしまった穀類を含有する動物飼料を提供する。固形材料はまた、処理中に溶液からのβ−グルカン類の沈殿により生じた、詰まった導管のような問題を減少させるために醸造方法において使用されることが出来る。典型的には少なくとも30%のβ−グルカンが穀類から取り除かれた。好ましくは少なくとも50%が取り除かれた。さらに好ましくは少なくとも80%のβ−グルカンが取り除かれた。
【0055】
以下の実施例は本発明を説明するものであって、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0056】
実施例1:
モミガラ粉末部分に加工仕上げされた大麦1キログラムを、5リットルの水で、55℃で3時間静かに撹拌した。固形分を遠心分離しそして上澄み液を−20℃で凍らせた。溶液を解かし、解かした溶液中に残っているβ−グルカン固形分を濾過しそして乾燥した。得られたβ−グルカンの収量は26gであった。
生成物の特性を13C溶液NMRで測定した(表1)。
【表1】


*β−グルカン生成物の13C NMRスペクトルは、70℃でDO中に記録された。ピークの位置は水中のDMSOとして示される(=39.47ppm)。
【0057】
実施例2:
3.9%のβ−グルカンを含む、モミガラ粉末部分に加工仕上げされた大麦5グラムを、55℃で25mlの水と混合した。混合物を時折撹拌した。2時間後、固形分を遠心分離して除去し、そして上澄み液を12時間の間、−20℃で凍らせた。凍った溶液を室温で解かし、そして沈殿したβ−グルカン生成物を濾過し、80℃でオーブン乾燥した。β−グルカン生成物の総収量は0.19gであった。
【0058】
実施例3:
5グラムの大麦のぬか粉末部分を、55℃で25mlの水と混合した。混合物を時々撹拌した。2時間後、固形分を遠心分離、そして上澄み液を−20℃で12時間凍らせた。凍らせた溶液を室温で解かし、そして沈殿したβ−グルカン生成物を濾過しそして80℃でオーブン乾燥した。β−グルカン生成物の総収量は0.065gであった。
【0059】
実施例4
モミガラ粉末部分の大麦5gを55℃で25mlの水と混合した。混合物を時折撹拌した。2時間後、固形分を遠心分離し、そして上澄み液を−20℃で12時間凍らせた。凍らせた溶液を室温で解かしそして沈殿したβ−グルカン生成物を濾過し、そして80℃でオーブン乾燥した。遠心分離後に残った固形分を第一の抽出手順と同一の他の抽出手順で処理した。回収されたβ−グルカン生成物の総収量は0.19gであった。
【0060】
実施例5
5グラムの加工仕上げされたモミガラ大麦粉末部分を25mlの蒸留水中で時折撹拌しつつ55℃で1/2時間加熱した。固形分を遠心分離し、上澄み液を−10℃で凍らせた。凍らせた溶液を解かし沈殿したβ−グルカン生成物を濾過し、そして乾燥した。β−グルカン生成物の収量は、約0.16gであった。生成物の分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。結果は、この生成物の平均分子量が約560、000であることを示唆している。
【0061】
実施例6
140グラムの大麦のモミガラ粉末部分を、時折撹拌しつつ700mlの水中で50℃に加熱した。0.5時間後、固形分を遠心分離で除去した。回収上澄み液をその後−10℃で凍らせた。1日後に凍らせた上澄み液を室温で解かした。解けた溶液は、遠心分離で除去されたβ−グルカン生成物のゼラチン状沈殿物から成っている。ゼラチン状β−グルカン生成物は洗浄されそれから二回目の凍結、解凍にさらされて、更に繊維質のβ−グルカン生成物を与える。この生成物は過剰の水が押し出され、エタノールで洗浄され、それから空気中で乾燥されて更に脱水する事ができる。繊維質のβ−グルカン生成物の収量は約3gであった。
【0062】
実施例7
非常に純粋なβ−グルカン生成物は次の如くに調製される。100gのモミガラ粉末部分の大麦を55℃で500mlの水と混合する。2時間後、固形分を遠心分離しそして上澄み液をその後−10℃で1日凍らせる。凍らせた上澄み液を解かし、そして沈殿したβ−グルカン生成物を濾過して取り除いた。回収された物質をそれから80℃で水中に溶解する。β−グルカン溶液を再び−10℃で1日間凍らせ、そして解かした。β−グルカン生成物が溶液から濾過することによって回収され、そして水で洗浄される。濾過物はそれからオーブン乾燥される。β−グルカン生成物の収量は3gであり、そしてMcClearyの分析結果[1]は純度が95%であることを示した。
【0063】
実施例8
一連の実験において大麦のモミガラ部分は、異なる温度及び色々な時間で抽出された。抽出温度は室温(25℃)から55℃に変化させ、そして抽出時間は0.5時間から5時間の間に変化させた。分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定された。それぞれの実験において、β−グルカンを5gの大麦のモミガラ部分から時間と抽出温度を変えて25mlの水中に抽出した。固形分は遠心分離され、そして上澄み液はそれから−10℃で1日間凍らせた。その後溶液を室温で解かした。沈殿したβ−グルカンを濾過し乾燥した。収量を記録しそして分子量プロフィールをGPCで測定した。結果を表2に示す。表2に与えられた収量パーセントは、乾燥大麦モミガラ[1]中の総β−グルカン含有量(6.8%)を基準にしている。収量は、遠心分離後固形分中に残っている液体の量に対し、そして凍結/溶解沈殿物のβ−グルカンの含有量が80%であると推測することによって(さもなければ実際に測定して)補正されている。
【0064】
一般に、収量は抽出過程の温度にのみ依存するのに反し、最大GPCピークでの分子量は抽出時間のみに依存することが見いだされた。
【表2】


1.計算は大麦モミガラのβ−グルカン総含有量を基準
2.β−グルカン[1]に対するMcClearyの分析評価結果
[1]McCleary,B.V.及びCodd,R.(1991)Journal of the Science of Food and Agriculture,55,303・312.
【0065】
実施例9
5gの大麦の加工済みモミガラ粉末を0.02モル/リットルの塩酸溶液と混合し、そして混合物を0.5時間放置した。それから酸を遠心分離除去しそして残った粉末を2回に分けて水で洗浄した。任意の残余の水を遠心分離で除去する。湿った粉末をそれから25mlの水と混合し、そして水粉末混合物を55℃に2時間加熱した。固形分を遠心分離で除去し、上澄み液を−10℃で12時間凍らせた。凍った溶液をそれから解かし、そしてゼラチン状沈殿物を集め、乾燥した。β−グルカン生成物の収量は0.07gであった。
【0066】
実施例10
モミガラ粉末仕上げされた大麦5gを25mlの水と混合した。混合物を、炭酸ナトリウム溶液でpH=10に調節した。混合物をそれから45℃に2時間加熱した。固形分を遠心分離除去し、そして上澄み液をその後−10℃で12時間凍らせた。凍らせた溶液をその後、解かしそして繊維状の沈殿物を集めそして乾燥した。β−グルカン生成物の収量は0.15gであった。
【0067】
実施例11
高品質β−グルカン生成物は7工程パイロットプラント抽出によって作られた。
1.抽出
78.9kgの黒色大麦のモミガラを400.2kgの水道水と50℃で混合した。大麦/水のスラリーを50℃に30分間保った。
2.固形分の除去
その後、スラリーを2.96kg/分の速度でAPVスクロールデカンター遠心分離機を通して供給した。
3.透明化
スクロールデカンターからの上澄み液は、1.9kg/分の速度でWestfalia SAOH Disc Stack遠心分離機を通して供給された。303.2kgの上澄み液が集められた。
4.凍結溶解1
透明にされた上澄み液を凍らせそして−18℃で2日間保つ。凍らせた上澄み液はそれから室温で3日間かけて解かされた。
5.凍結溶解1から沈殿したβ−グルカンの濃度
ぜん動ポンプを用いて上澄み液をデカントした。60kgの沈殿物スラリーがデカント後に残った。
6.再溶解したβ−グルカンの透明化
沈殿スラリーを80℃に30分間加熱して、沈殿したβ−グルカン生成物を再溶解した。溶液をその後80℃でWestfalia SAOH遠心分離機に通して、微粒子を除去した。56.1kgの透明な上澄み液が得られた。
7.凍結溶解2
再溶解したβ−グルカンを−18℃で2日間凍らせた。凍結β−グルカンを室温で3日間かけて解かした。β−グルカン生成物のスラリー及び第2の凍結溶解からの上澄み液をその後、1リットル/分の速度でSharpies basket遠心分離機を通過させた。ゼラチン質のβ−グルカン生成物をその後凍結−乾燥して残った水分を除去した。
8.収量
この方法によるβ−グルカン生成物の収量は、1.64kgであった。
【0068】
実施例12
次の通り、実施例6で調製されたβ−グルカン生成物からフィルムを形成した。17mgのβ−グルカン生成物を0.5mlの水に80℃で溶解し、透明な溶液を形成した。それから2.5cm丸の溶液の水たまりを、ポリエチレン型板上で乾燥した。グルカン生成物の乾燥フィルムは良好な透明性と引っ張り強さを有していることが分かった。
【0069】
実施例13
湿気を与えるクリームを、以下の成分及び実施例11で調製したβ−グルカン生成物から製造した。
混合物A
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成分 量
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小麦胚芽オイル 5ml
ツイーン65 1.5g
ソルビトールステアレート 1.5g
セチルアルコール 1g
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混合物B
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成分 量
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ポリエチレングリコール 5ml
β−グルカン 0.75g
水 35ml
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混合物Bを、全てのβ−グルカン生成物が溶解するまで、70℃に加熱した。その後、0.2gのn−プロピル−4−ヒドロキシベンゾエートと一緒に混合物Bを、70℃で混合物Aと素早く撹拌した。調合物をその後放冷し、湿気を与えるクリームを与えた。
【0070】
実施例14
イタリアンスタイルのドレッシングを以下の成分及び実施例11で得られたβ−グルカン生成物から調製した。
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成分 量
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水 60ml
白ワインビネガー 40ml
さとう 8g
塩 2g
ガーリック 2g
乾燥パプリカ 1g
乾燥マヨナラ 0.2g
乾燥バジル 0.2g
β−グルカン生成物 2g
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β−グルカン生成物を80℃の温度で水に溶解した。全ての成分を直接に混ぜ合わせ、ブレードアタッチメントが取りつけられたフードプロセッサー中で3分間混合した。それから混合物を放冷し、4℃の温度でゼリー状にしてドレッシングを与える。
【0071】
実施例15
次の成分、及び実施例11で調製したβ−グルカン生成物を用いてアイスクリームを製造した。
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成分 量
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水 60ml
濃厚なクリーム 20ml
砂糖 12g
脱脂ミルク粉末 15g
バニラ 2ml
β−グルカン生成物 5g
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β−グルカン生成物を80℃で水に溶解し、それからブレードアタッチメントが取りつけられたフードプロセッサー中で他の成分と共に直接混合した。混合物を5分間処理した。処理した混合物をその後−15℃の温度で凍らせて、氷の結晶の形成が殆どない或いは全くないアイスクリームを製造した。
【0072】
実施例16
添加脂肪を含まないオレンジケーキを、次の成分及び実施例11で調製したβ−グルカン生成物から製造した。
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成分 量
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ケーキ小麦粉末 180g
卵(サイズ7) 2
砂糖 85g
新鮮に絞り出したオレンジジュース 25ml
水 60ml
ベーキングソーダ 1g
酒石酸 1g
β−グルカン生成物 5g
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オレンジジュースと水を混ぜ合わせ、それから80℃の温度に加熱した。その後、β−グルカン生成物を80℃の温度で水とオレンジの混合物中に溶解する。それから、混合物を約20分間放置して、冷却、そしてゼリー状にする。卵、及び砂糖をケーキミキサー中で5分間混ぜ合わせる。乾燥成分を一緒にしそして卵と砂糖の混合物と混ぜ合わせる。ゼリー状のオレンジと水の混合物を、それからこの混合物に混ぜ合わせる。得られたこれらの混合物を160℃、20分間、オーブン中で焼く。
【0073】
本発明を実施例として記載したけれども、特許項目に定義した如く、本発明の範囲から逸脱することなしに、これに各種変形及び修正を行うことができることを認識すべきである。更に、ここに与えられた特定の特徴が存在する公知の均等物、このような均等物はここに明確に明らかであるかのように組み入れられる。
【0074】
本発明は下記を含む。
1. β−グルカンが穀類に含まれる一種以上の酵素によって部分的に加水分解されネイチブ(native)の状態におけるよりも小さい平均分子量を有するβ−グルカンが生成するように、穀類を水と混合して、β−グルカンの水溶液と固体残分とのスラリーを形成し、該水溶液を固体残分から分離し、前記一種以上の酵素を失活せしめることなく、水溶液からβ−グルカンを回収することからなる、ネイチブ(native)の状態におけるよりも小さい平均分子量を有するβ−グルカンを穀類から得る方法。
2. 穀類を水と混合し、水性成分と固体残分とのスラリーを形成し、β−グルカンを穀類から抽出してβ−グルカンの水溶液を形成し、β−グルカンが穀類に含まれる一種以上の酵素によって部分的に加水分解され所定の平均分子量を有するβ−グルカンが得られるように抽出時間を制御し、該水溶液を固体残分から分離し、水溶液からβ−グルカンを回収することからなる、所定の平均分子量を有するβ−グルカンを穀類から得る方法。
3. 固体残分から分離した水溶液を約0−10℃に冷却して、ゲルを形成せしめ、該ゲルからβ−グルカンを回収する項目1又は2項に記載の方法。
4. 穀物が加工されたものであるか、穀粒又は穀物植物の破砕物である項目1又は2項に記載の方法。
5. 穀物を約0−80℃の温度で水と混合する項目1又は2項に記載の方法。
6. 温度が約45−60℃である項目1又は2項に記載の方法。
7. 約1−10のpHにおいて穀物を水と混合する上記項目のいずれかに記載の方法。
8. 更に、スラリー又は分離工程から得られた水溶液に一種以上の酵素を加えてβ−グルカンの部分加水分解を促進する工程を含む上記項目のいずれかに記載の方法。
9. 更に、スラリー又は分離工程から得られた水溶液に酸を加えてβ−グルカンの部分加水分解を促進する工程を含む上記項目のいずれかに記載の方法。
10. 得られたβ−グルカン中のアラビノキシラン又は澱粉不純物の量が減少するように、スラリー又は分離工程から得られた水溶液をアラビノキシラン分解酵素又は澱粉分解酵素で処理する工程を含む上記項目のいずれかに記載の方法。
11. アラビノキシラン分解酵素がキシラナーゼである項目10項に記載の方法。
12. 澱粉分解酵素がアミラーゼである項目10項に記載の方法。
13. β−グルカンの平均分子量が約1.5×10より小さい上記項目のいずれかに記載の方法。
14. β−グルカンの平均分子量が約6.0×10より小さい上記項目のいずれかに記載の方法。
15. β−グルカンの平均分子量が約3.0×10より小さい上記項目のいずれかに記載の方法。
16. β−グルカンの平均分子量が約5×10−5×10の範囲内である上記項目のいずれかに記載の方法。
17. 水溶液を凍結し、つぎにこれを解凍して水中に沈殿物を形成し、水から沈殿物を分離することからなり、該沈殿物の主な非水性成分がβ−グルカンである、β−グルカンの水溶液からβ−グルカンを回収する方法。
18. 水溶液を約−20℃−0℃の温度で凍結する項目17項記載の方法。
19. 水溶液を約15−25℃の温度で解凍する項目17項記載の方法。
20. 沈殿物を濾過又は遠心分離により水から分離し、つぎに乾燥する項目17項記載の方法。
21. 水から回収した沈殿物を水中に再溶解し、凍結、解凍及び分離工程を繰り返すことをさらに含む項目17項記載の方法。
22. 沈殿物を再び凍結、解凍して沈殿物から水をさらに除去する項目17項記載の方法。
23. β−グルカンが全沈殿物に対し約30重量%よりも多量である項目17−22項のいずれかに記載の方法。
24. β−グルカンが全沈殿物に対し約70重量%よりも多量である項目17−22項のいずれかに記載の方法。
25. β−グルカンが全沈殿物に対し約90重量%よりも多量である項目17−22項のいずれかに記載の方法。
26. 水溶液を凍結する前に、β−グルカンを含有する水溶液にアラビノキシラン分解酵素又は澱粉分解酵素を加えて不要なアラビノキシラン又は澱粉を分解し、懸濁液から回収した固体中のアラビノキシラン又は澱粉不純物の量を減少させる項目17項に記載の方法。
27. 懸濁液から回収した固体を水に再溶解し、アラビノキシラン分解酵素又は澱粉分解酵素で処理し、次に、凍結、解凍及び分離工程を繰り返し、アラビノキシラン又は澱粉不純物の量の減少した沈殿物を生成する項目17項に記載の方法。
28. アラビノキシラン分解酵素がキシラナーゼである項目26又は27項に記載の方法。
29. 澱粉分解酵素がアミラーゼである項目26又は27項に記載の方法。
30. 穀物が大麦、燕麦、米、ライムギ、ライ小麦、トウモロコシ又は小麦である上記項目のいずれかに記載の方法。
31. 上記項目のいずれかに記載の方法によって得られたβ−グルカン。
32. 加熱水に溶解し、次に冷却した時、β−グルカンがゲルを形成する、穀物から抽出したβ−グルカン。
33. 約1.5×10より小さい平均分子量を有する項目31又は32に記載のβ−グルカン。
34. 約6.0×10より小さい平均分子量を有する項目31又は32に記載のβ−グルカン。
35. 約3.0×10より小さい平均分子量を有する項目31又は32に記載のβ−グルカン。
36. 約1.5×10の範囲の平均分子量を有する項目31又は32に記載のβ−グルカン。
37. 水中において約0.5重量%よりも高い濃度でゲルを形成する項目32項に記載のβ−グルカン。
38. 水を約60℃よりも高温に加熱してβ−グルカンを溶解する項目32項に記載のβ−グルカン。
39. 許容し得る担体とともにβ−グルカンを含有する、低コレステロール血症治療剤として使用する組成物。
40. 許容し得る担体とともにβ−グルカンを含有する、便秘の治療又は予防に使用する組成物。
41. 許容し得る担体とともにβ−グルカンを含有する、腸の活動の調整に使用する組成物。
42. 許容し得る担体とともにβ−グルカンを含有する、血糖反応の調整に使用する組成物。
43. 有効量のβ−グルカンを患者に投与することよりなる、必要時に患者の低コレステロ−ル血症を治療する方法。
44. 有効量のβ−グルカンを患者に投与することよりなる、必要時に患者の便秘の治療又は予防方法。
45. 有効量のβ−グルカンを患者に投与することよりなる、必要時に患者の腸の活動を調整する方法。
46. 有効量のβ−グルカンを患者に投与することよりなる、必要時に患者の血糖反応を調整する方法。
47. 項目31−38項のいずれかに記載のβ−グルカンの、食品成分としての使用。
48. 項目31−38項のいずれかに記載のβ−グルカンの、化粧品組成物への添加剤としての使用。
49. 項目31−38項のいずれかに記載のβ−グルカンの、傷の手当て及び食品被覆におけるフィルム形成剤としての使用。
50. 項目31−38項のいずれかに記載のβ−グルカンの、基質中に担持された薬剤を徐放するための基質としての使用。
51. 項目31−38項のいずれかに記載のβ−グルカンの、他の多糖類の性質を変えるための使用。
52. 項目31−38項のいずれかに記載のβ−グルカンの、冷凍食品の調製における氷晶形成の防止剤としての使用。
53. β−グルカンを抽出した穀物よりなる動物飼料。
54. 少なくとも約30%のβ−グルカンを穀物から抽出した項目53項に記載の動物飼料。
55. 少なくとも約50%のβ−グルカンを穀物から抽出した項目53項に記載の動物飼料。
56. 少なくとも約80%のβ−グルカンを穀物から除去した項目53項に記載の動物飼料。
57. β−グルカンが抽出された、醸造に使用される穀物。
58. 少なくとも約30%のβ−グルカンが抽出された項目57項に記載の穀物。
59. 少なくとも約50%のβ−グルカンが抽出された項目57項に記載の穀物。
60. 少なくとも約80%のβ−グルカンが抽出された項目57項に記載の穀物。
61. 実施例1−11のいずれかに実質的に記載された、穀物からβ−グルカンを得る方法。
62 実施例1−11のいずれかに実質的に記載された、β−グルカンの水溶液からのβ−グルカンの回収方法。
63. 実施例1−11のいずれかに実質的に記載された項目1−29項の方法によって得られたβ−グルカン生成物。
64. 実施例12−16のいずれかに実質的に記載された、β−グルカンの使用。
【産業上の利用可能性】
【0075】
工業的な適応性
本発明のβ−グルカン生成物は各種の用途を有している。そのゲルを形成する特質によって食品や化粧品の添加剤として有用である。β−グルカンはフィルムを形成し、例えば、食品用の食べられるフィルムや包帯に用いるフィルムとして生体適合性を有するフィルムとして有用であることを意味する。β−グルカン生成物はまた、医薬品として、特にコレステロール低下剤としての適用性を有している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
β−グルカンが穀類に含まれる一種以上の酵素によって部分的に加水分解されネイチブ(native)の状態におけるよりも小さい平均分子量を有するβ−グルカンが生成するように、穀類を水と混合して、β−グルカンの水溶液と固体残分とのスラリーを形成し、該水溶液を固体残分から分離し、水溶液からβ−グルカンを回収することからなり、一種以上の酵素の失活の工程が存在しない、ネイチブ(native)の状態におけるよりも小さい平均分子量を有するβ−グルカンを穀類から得る方法。
【請求項2】
固体残分から分離した水溶液を0−10℃に冷却して、ゲルを形成せしめ、該ゲルからβ−グルカンを回収する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
穀物が加工されたものであるか、穀粒又は穀物植物の破砕物である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
穀物を0−80℃の温度で水と混合する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
温度が45−60℃である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
1−10のpHにおいて穀物を水と混合する請求項1−5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
更に、スラリー又は分離工程から得られた水溶液に一種以上の酵素を加えてβ−グルカンの部分加水分解を促進する工程を含む請求項1−6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
更に、スラリー又は分離工程から得られた水溶液に酸を加えてβ−グルカンの部分加水分解を促進する工程を含む請求項1−7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
得られたβ−グルカン中のアラビノキシラン又は澱粉不純物の量が減少するように、スラリー又は分離工程から得られた水溶液をアラビノキシラン分解酵素又は澱粉分解酵素で処理する工程を含む請求項1−8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
アラビノキシラン分解酵素がキシラナーゼである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
澱粉分解酵素がアミラーゼである請求項9に記載の方法。
【請求項12】
β−グルカンの平均分子量が1.5×10より小さい請求項9−11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
β−グルカンの平均分子量が6.0×10より小さい請求項9−12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
β−グルカンの平均分子量が3.0×10より小さい請求項9−13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
β−グルカンの平均分子量が5×10−5×10の範囲内である請求項9−14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
水溶液を凍結し、つぎにこれを解凍して水中に沈殿物を形成し、水から沈殿物を分離することからなり、該沈殿物の主な非水性成分がβ−グルカンである、β−グルカンの水溶液からβ−グルカンを回収する方法。
【請求項17】
水溶液を−20℃−0℃の温度で凍結する請求項16記載の方法。
【請求項18】
水溶液を15−25℃の温度で解凍する請求項16記載の方法。
【請求項19】
沈殿物を濾過又は遠心分離により水から分離し、つぎに乾燥する請求項16記載の方法。
【請求項20】
水から回収した沈殿物を水中に再溶解し、凍結、解凍及び分離工程を繰り返すことをさらに含む請求項16記載の方法。
【請求項21】
沈殿物を再び凍結、解凍して沈殿物から水をさらに除去する請求項16記載の方法。
【請求項22】
β−グルカンが全沈殿物に対し30重量%よりも多量である請求項16−21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
β−グルカンが全沈殿物に対し70重量%よりも多量である請求項16−21のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
β−グルカンが全沈殿物に対し90重量%よりも多量である請求項16−21のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
水溶液を凍結する前に、β−グルカンを含有する水溶液にアラビノキシラン分解酵素又は澱粉分解酵素を加えて不要なアラビノキシラン又は澱粉を分解し、懸濁液から回収した固体中のアラビノキシラン又は澱粉不純物の量を減少させる請求項16に記載の方法。
【請求項26】
懸濁液から回収した固体を水に再溶解し、アラビノキシラン分解酵素又は澱粉分解酵素で処理し、次に、凍結、解凍及び分離工程を繰り返し、アラビノキシラン又は澱粉不純物の量の減少した沈殿物を生成する請求項16に記載の方法。
【請求項27】
アラビノキシラン分解酵素がキシラナーゼである請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
澱粉分解酵素がアミラーゼである請求項25又は26に記載の方法。
【請求項29】
穀物が大麦、燕麦、米、ライムギ、ライ小麦、トウモロコシ又は小麦である請求項16−28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
請求項1−29のいずれかに記載の方法によって得られたβ−グルカン。
【請求項31】
45℃より高温で水に溶解し、次に冷却した時、β−グルカンがゲルを形成する、穀物から抽出したβ−グルカン。
【請求項32】
1.5×10より小さい平均分子量を有する請求項30又は31に記載のβ−グルカン。
【請求項33】
6.0×10より小さい平均分子量を有する請求項30又は31に記載のβ−グルカン。
【請求項34】
3.0×10より小さい平均分子量を有する請求項30又は31に記載のβ−グルカン。
【請求項35】
1.5×10の範囲の平均分子量を有する請求項30又は31に記載のβ−グルカン。
【請求項36】
水中において約0.5重量%よりも高い濃度でゲルを形成する請求項31に記載のβ−グルカン。
【請求項37】
水を60℃よりも高温に加熱してβ−グルカンを溶解する請求項31に記載のβ−グルカン。
【請求項38】
許容し得る担体とともに請求項30−37のいずれかに記載のβ−グルカンを含有する、低コレステロ−ル血症治療剤として使用する組成物。
【請求項39】
許容し得る担体とともに請求項30−37のいずれかに記載のβ−グルカンを含有する、便秘の治療又は予防に使用する組成物。
【請求項40】
許容し得る担体とともに請求項30−37のいずれかに記載のβ−グルカンを含有する、腸の活動の調整に使用する組成物。
【請求項41】
許容し得る担体とともに請求項30−37のいずれかに記載のβ−グルカンを含有する、血糖反応の調整に使用する組成物。
【請求項42】
請求項30−37のいずれかに記載のβ−グルカンの、食品成分としての使用。
【請求項43】
請求項30−37のいずれかに記載のβ−グルカンの、化粧品組成物への添加剤としての使用。
【請求項44】
請求項30−37のいずれかに記載のβ−グルカンの、傷の手当て及び食品被覆におけるフィルム形成剤としての使用。
【請求項45】
請求項30−37のいずれかに記載のβ−グルカンの、基質中に担持された薬剤を徐放するための基質としての使用。
【請求項46】
請求項30−37のいずれかに記載のβ−グルカンの、冷凍食品の調製における氷晶形成の防止剤としての使用。
【請求項47】
請求項1−29のいずれかに記載の方法によりβ−グルカンを抽出した穀物よりなる動物飼料。
【請求項48】
少なくとも30%のβ−グルカンを穀物から抽出した請求項47に記載の動物飼料。
【請求項49】
少なくとも50%のβ−グルカンを穀物から抽出した請求項47に記載の動物飼料。
【請求項50】
少なくとも80%のβ−グルカンを穀物から除去した請求項47に記載の動物飼料。
【請求項51】
請求項1−29のいずれかに記載の方法によりβ−グルカンが抽出された、醸造に使用される穀物。
【請求項52】
少なくとも30%のβ−グルカンが抽出された請求項51に記載の穀物。
【請求項53】
少なくとも50%のβ−グルカンが抽出された請求項51に記載の穀物。
【請求項54】
少なくとも80%のβ−グルカンが抽出された請求項51に記載の穀物。

【公開番号】特開2009−144165(P2009−144165A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7588(P2009−7588)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【分割の表示】特願平10−515537の分割
【原出願日】平成9年9月25日(1997.9.25)
【出願人】(509005627)グレースリンク リミテッド (1)
【Fターム(参考)】