説明

うつ病および不安の治療のための3−(1H−インドール−3−イル)インダン−1−イルアミン誘導体

本発明は、情動障害、疼痛性障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、認知障害、薬物乱用、禁煙および腹圧性尿失禁の治療に有用な新規インダン化合物を提供する。前記化合物は、セロトニン、ノルエピネフリンンおよびドーパミン再取り込みの阻害剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、うつ病、不安および他のCNS障害の治療に有用である新規インダン化合物を提供する。
【背景技術】
【0002】
現在利用可能である主要な抗うつ薬は、3つのクラスに分類することができる:
1)モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOIs)、
2)生体アミン神経伝達物質[セロトニン(5-HT)、ノルエピネフリン(NE)およびドーパミン(DA)]トランスポーター再取り込み遮断薬、および
3)モジュレーター、特に5-HTおよび/またはNE受容体のうちの1つまたはそれ以上の遮断薬。
【0003】
うつ病は生体アミンの相対的な不足に関連するので、5-HTおよび/またはNE受容体遮断薬(すなわち5-HTおよび/またはNEアンタゴニスト)の使用によっては、うつ病および不安の治療において大きな成功は示されておらず、好ましく、そして現在最も有効な治療は、シナプス間隙からの再取り込みの遮断による、5-HTおよび/またはNE神経伝達の増強に基づいている(非特許文献1;非特許文献2)。
【0004】
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(以下SSRIと呼ぶ)は、うつ病、特定の形態の不安および対人恐怖症の治療における第一選択の治療になっており、なぜならこれらは該して効果的で、良く許容され、そして古典的な三環系抗うつ剤と比較して良好かつ安全なプロファイルを有するからである。SSRIとされる薬物は、例えばフルオキセチン、セルトラリンおよびパロキセチンである。
【0005】
しかし、うつ病の臨床研究においては、公知のSSRIに対する非応答が30%に至るほどの相当な数であることが示されている。抗うつ剤治療においてしばしば軽視されてしまうもう1つの要素は、SSRIの治療効果において概して遅延が生じてしまうことがあるという事実である。時折、治療の第一週の間でも症状が悪化することさえある。さらに、性機能障害が概してSSRIに共通の副作用である。従って、うつ病およびその他のセロトニン関連疾患の治療を改善することができる化合物の開発が切望されている。
【0006】
より新しい戦略は、二重の(dual)再取り込み阻害剤の開発であり、例えば、うつ病における、5-HT再取り込み阻害およびNE(ノルエピネフリンはノルアドレナリン、NAとも呼ばれる)再取り込み阻害の組み合わせ効果が、デュロキセチン(非特許文献3)およびベンラファクシン(非特許文献4)のような化合物の臨床試験において探究されている。このような二重の効果を有する化合物はSNRI「セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤」またはNSRI「ノルアドレナリンおよびセロトニン再取り込み阻害剤」とも呼ばれる。
【0007】
選択的NE再取り込み阻害剤レボキセチンを用いる治療は、5-HTニューロンを刺激し、脳における5-HTの遊離を調節することが示されているので(非特許文献5)、うつ病または不安の治療においてSNRIを用いることは相乗的な利点を有し得る。
【0008】
SNRIの使用は、疼痛(例えば線維筋肉痛症候群、全身疼痛(overall pain)、背痛、肩痛、頭痛、覚醒中および生活活動中の疼痛(pain while awake and during daily activities))および特にうつ病に伴う疼痛において有益な効果を有することが臨床試験において示されている(非特許文献6;非特許文献7)。
【0009】
SNRIはまた、注意欠陥多動性障害 (ADHD)において有益な効果を有することが臨床試験において示されている(非特許文献8)。
【0010】
さらに、SNRIは腹圧性尿失禁の治療に有効であることが示されている(非特許文献9)。
【0011】
非特許文献10には、中間皮質辺縁系(mesocorticolimbic system)における細胞外ドーパミンの欠失とうつ病の主な症状の1つである無性感症との間の関連性に関する臨床および前臨床の知見が開示されている。
【0012】
いくつかの研究では、セロトニンおよびドーパミンの神経伝達不全が、いくつかの神経精神医学的障害(うつ病、統合失調症および薬物乱用を含む)の病態生理学の一因となっていることが示唆されている(非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14。Esposito, E等(非特許文献15)は、5-HTシステムにおいて作用する薬物(例えば、SSRIおよび5-HT2C受容体アンタゴニスト)が、中脳辺縁系におけるドーパミン作動性伝達によってその抗うつ病性作用を発揮すること、並びに、中脳辺縁DA伝達に影響を及ぼすこのような薬物の使用が重要であり、うつ病治療用の新規抗うつ薬の探索に有用であることを提唱している。
【0013】
さらに、Axford L等は、うつ病の治療のための、三重の5-HT、NEおよびDA再取り込み阻害剤の開発を記載している(非特許文献16)。インビトロおよびインビボにおいてDA再取り込み活性を有するウェルブトリン(ブプロピオン)は、抗うつ薬としての有効性を示す。他の組み合わせに関する研究では、DA取り込み部位における一部のアフィニティーの付加が相当な臨床効果を有することが示されている(非特許文献17;非特許文献18;非特許文献19)。
【0014】
SSRI、およびノルエピネフリンおよびドーパミン再取り込み阻害剤の組み合わせは、SSRI非応答者において良好な効果を有することが示されている(非特許文献20)。
【0015】
SSRI、およびノルエピネフリンおよびドーパミン再取り込み阻害剤の組み合わせが、SSRI単独での治療よりも性機能障害をほとんど誘導しないことを示す臨床上の証拠も存在する(非特許文献21)。
【0016】
三重のセロトニン、ノルエピネフリンおよびドーパミン再取り込み阻害剤の開発は、その有効性の改善および作用遅延の減少に関して、現在多くの製薬会社の関心の的となっている(非特許文献22)。
【0017】
本発明は、セロトニン、ノルエピネフリンおよびドーパミン再取り込みの阻害剤である新規インダン化合物を提供する。従って、本発明化合物は、情動障害, 疼痛性障害, 注意欠陥多動性障害(ADHD)、薬物乱用、認知障害および腹圧性尿失禁の治療に有用である。
【非特許文献1】Slattery, D.A. et al., “The evolution of antidepressant mechanisms”, fundamental and Clinical pharmacology, 2004, 18, 1-21
【非特許文献2】Schloss, P. et al, “new insights into the mechanism of antidepressant therapy”, Pharmacology and therapeutics, 2004, 102, 47-60
【非特許文献3】Wong,“Duloxetine (LY-248686): an inhibitor of serotonin and noradrenaline uptake and an antidepressant drug candidate”, Expert Opinion on Investigational Drugs, 1998, 7, 10, 1691-1699
【非特許文献4】Khan-A et al, 30 “Venlafaxine in depressed outpatients”, Psychopharmacology Bulletin, 1991, 27, 141-144
【非特許文献5】Svensson,T. et al, J. Neural. Transmission, 2004, 111, 127
【非特許文献6】Berk, M. Expert Rev. Neurotherapeutics 2003, 3, 47-451
【非特許文献7】Fishbain, D.A., et al. “Evidence-based data from animal and human experimental studies on pain relief with antidepressants: A structured review”Pain Medicine 2000 1:310-316
【非特許文献8】N. M. Mukaddes; Venlafaxine in attention deficit hyperactivity disorder, European Neuropsychopharmacology, Volume 12, Supplement 3, October 2002, Page 421
【非特許文献9】Dmochowski R.R. et al. “Duloxetine versus placebo for the treatment of North American women with stress uridary incontinence”, Journal of Urology 2003, 170:4, 1259-1263.
【非特許文献10】Naranjo, C. et al. ” The role of the brain reward system in depression” Prog. Neuro-Psychopharmacol. Biol. Psychiatry 2001, 25, 781- 823
【非特許文献11】Fibiger, H.C., et al., “In Depression and Mania: from neurobiology to treatment” Raven Press, New York 1995, pp. 1-17
【非特許文献12】Roth, B.L., et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 1992, 260, pp. 1361-1365
【非特許文献13】Koob, G.F, et al., Trends Pharmacol. Sci. 1992, 13, pp. 177-184
【非特許文献14】Brown, A.S. , et al., J. Neural. Trans. 1993, 91, pp. 75-109)
【非特許文献15】“Serotonin-Dopamine Interaction as focus of Novel Antidepressant Drugs” Curr. Drug Targets 2006, 7, pp177-185
【非特許文献16】2003, Bioorganic & Medical Chemistry Letters, 13, 3277-3280: “Bicyclo[2.2.1.]heptanes as novel triple re-uptake inhibitors for the treatment of depression”
【非特許文献17】Nelson, J. C. J. Clin. Psychiatry 1998, 59, 65
【非特許文献18】Masand, P. S. et al. Depression Anxiety 1998, 7, 89
【非特許文献19】Bodkin, J. A et al. J. Clin. Psychiatry 1997, 58, 137
【非特許文献20】Lam R. W. et al. “Citalopram and Bupropion-SR: Combining Versus Switching in Patients With Treatment-Resistant Depression.” J. Clin. Psychiatry 2004, 65,337-340
【非特許文献21】Kennedy S. H. et al. “Combining Bupropion SR With Venlafaxine, Paroxetine, or Duloxetine: A Preliminary Report on Pharmacokinetic, Therapeutic, and Sexual Dysfunction Effects” J. Clin. Psychiatry 2002,63, 181-186
【非特許文献22】Millan, M. J., et al. “Multi-target strategies for the improvement of depressive states: Conceptual Foundations And Neuronal Substrates, Drug Discovery And Therapeutic Application.” Pharmacology & Therapeutics. 110 (2006), 135-370
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、セロトニン、ノルエピネフリンおよびドーパミン再取り込みの阻害剤であって、以下に定義される式I-Xの化合物を提供することを目的とする。従って、本発明の化合物は、情動障害、疼痛性障害、注意欠陥多動性障害 (ADHD)、認知障害、薬物乱用、禁煙および腹圧性尿失禁の治療に有用である。
【課題を解決するための手段】
【0019】
1つの実施態様において、以下に定義される式I-Xの化合物は情動障害の治療に有用である。本発明を限定することなくさらに例証すると、治療される情動障害は抑うつ障害および不安障害からなる群から選択される。
【0020】
1つの実施態様において、治療される抑うつ障害は、大うつ病性障害、メランコリー、産後うつ病、気分変調、および、双極性障害、アルツハイマー病、精神病またはパーキンソン病に伴ううつ病からなる群から選択される。本発明を限定することなくさらに例証すると、本発明の1つの実施態様は双極性障害に伴ううつ病の治療に関し、別の実施態様はアルツハイマー病に伴ううつ病の治療に関し、別の実施態様は精神病に伴ううつ病の治療に関し、そして、別の実施態様はパーキンソン病に伴ううつ病の治療に関する。
【0021】
別の実施態様において、治療される不安障害は全般性不安障害、社会不安障害、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、恐慌性障害、パニック発作、特定恐怖症、対人恐怖症および広場恐怖症からなる群から選択される。
【0022】
別の実施態様において、本発明の化合物は疼痛性障害の治療に有用である。本発明を限定することなくさらに例証すると、治療される疼痛性障害は、線維筋痛症候群(FMS)、全身疼痛、背痛、肩痛、頭痛、ならびに覚醒中および生活活動中の疼痛からなる群から選択される。本発明を限定することなくさらに例証すると、本発明の1つの実施態様は線維筋痛症候群(FMS)の治療に関し、別の実施態様は全身疼痛の治療に関し、別の実施態様は背痛の治療に関し、別の実施態様は肩痛の治療に関し、別の実施態様は頭痛の治療に関し、別の実施態様は覚醒中および生活活動中の疼痛の治療に関する。
【0023】
別の実施態様において、本発明の化合物は注意欠陥多動性障害(ADHD)および他の認知障害の治療に有用である。
【0024】
別の実施態様において、本発明の化合物は薬物乱用および禁煙の両方の治療に有用である。
【0025】
別の実施態様において、本発明の化合物は腹圧性尿失禁の治療に有用である。
【0026】
第二の態様において、本発明は、情動障害、疼痛性障害、注意欠陥多動性障害 (ADHD)、認知障害、薬物乱用、禁煙および腹圧性尿失禁の治療に有用な薬剤の製造のための、以下に定義される式I-Xの化合物の使用に関する。
【0027】
1つの実施態様において、本発明は、情動障害の治療に有用な薬剤の製造のための、以下に定義される式I-Xの化合物の使用に関する。本発明を限定することなくさらに例証すると、治療される情動障害は、抑うつ障害および不安障害からなる群から選択される。
【0028】
1つの実施態様において、治療される抑うつ障害は、大うつ病性障害、メランコリー、産後うつ病、気分変調、および双極性障害、アルツハイマー病、精神病もしくはパーキンソン病に伴ううつ病からなる群から選択される。本発明を限定することなくさらに例証すると、本発明の1つの実施態様は、双極性障害に伴ううつ病の治療に関し;他の実施態様は、アルツハイマー病に伴ううつ病の治療に関し;他の実施態様は、精神病に伴ううつ病の治療に関し;他の実施態様は、パーキンソン病に伴ううつ病の治療に関する。
【0029】
別の実施態様において、治療される不安障害は、全般性不安障害、社会不安障害、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、恐慌性障害、パニック発作、特定恐怖症、対人恐怖症および広場恐怖症からなる群から選択される。
【0030】
1つの実施態様において、本発明は、疼痛性障害の治療に有用な薬剤の製造のための、以下に定義される式I-Xの化合物の使用に関する。本発明を限定することなくさらに例証すると、治療される疼痛性障害は、線維筋痛症候群(FMS)、全身疼痛、背痛、肩痛、頭痛、ならびに覚醒中および生活活動中の疼痛からなる群から選択される。
【0031】
別の実施態様において、本発明は、注意欠陥多動性障害 (ADHD)および他の認知障害の治療に有用な薬剤の製造のための、以下に定義される式I-Xの化合物の使用に関する。
【0032】
別の実施態様において、本発明は、薬物乱用および禁煙の治療に有用な薬剤の製造のための、以下に定義される式I-Xの化合物の使用に関する。
【0033】
別の実施態様において、本発明は、腹圧性尿失禁の治療に有用な薬剤の製造のための、以下に定義される式I-Xの化合物の使用に関する。
【0034】
第三の態様において、本発明は、1種またはそれ以上の薬学的に許容可能なキャリアーまたは増量剤とともに、以下に定義される式I-Xの化合物を治療的有効量で含む医薬調合物に関する。
【0035】
第四の態様において、本発明は、ヒトを含む哺乳類への、以下に定義される式I-Xの化合物の治療的有効量の投与を含む、セロトニンおよび/またはノルエピネフリンおよび/またはドーパミン再取り込みの阻害が関連する疾患の治療に関する。
【0036】
第五の態様において、本発明は、ヒトを含む哺乳類への、以下に定義される式I-Xの化合物の治療的有効量の投与を含む、情動障害、疼痛性障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、認知障害、薬物乱用、禁煙および腹圧性尿失禁の治療方法に関する。
【0037】
1つの実施態様において、本発明は、ヒトを含む哺乳類への、以下に定義される式I-Xの化合物の治療的有効量の投与を含む、情動障害の治療方法に関する。本発明を限定することなくさらに例証すると、治療される情動障害は、抑うつ障害および不安障害からなる群から選択される。
【0038】
1つの実施態様において、治療される抑うつ障害は、大うつ病性障害、メランコリー、産後うつ病、気分変調、および双極性障害、アルツハイマー病、精神病もしくはパーキンソン病に伴ううつ病からなる群から選択される。本発明を限定することなくさらに例証すると、本発明の1つの実施態様は、双極性障害に伴ううつ病の治療に関し;他の実施態様は、アルツハイマー病に伴ううつ病の治療に関し;他の実施態様は、精神病に伴ううつ病の治療に関し;他の実施態様は、パーキンソン病に伴ううつ病の治療に関する。
【0039】
別の実施態様において、治療される不安障害は、全般性不安障害、社会不安障害、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、恐慌性障害、パニック発作、特定恐怖症、対人恐怖症および広場恐怖症からなる群から選択される。
【0040】
別の実施態様において、治療される抑うつ障害は、大うつ病性障害、メランコリー、産後うつ病、気分変調、および双極性障害、アルツハイマー病、精神病もしくはパーキンソン病に伴ううつ病からなる群から選択される。本発明を限定することなくさらに例証すると、本発明の1つの実施態様は、双極性障害に伴ううつ病の治療に関し;他の実施態様は、アルツハイマー病に伴ううつ病の治療に関し;他の実施態様は、精神病に伴ううつ病の治療に関し;他の実施態様は、パーキンソン病に伴ううつ病の治療に関する。
【0041】
さらに別の実施態様において、本発明は、ヒトを含む哺乳類への、以下に定義される式I-Xの化合物の治療的有効量の投与を含む、不安障害の治療方法に関する。
【0042】
別の実施態様において、治療される不安障害は、全般性不安障害、社会不安障害、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、恐慌性障害、パニック発作、特定恐怖症、対人恐怖症および広場恐怖症からなる群から選択される。
【0043】
別の実施態様において、本発明は、ヒトを含む哺乳類への、以下に定義される式I-Xの化合物の治療的有効量の投与を含む、疼痛性障害の治療方法に関する。本発明を限定することなくさらに例証すると、治療される疼痛性障害は、線維筋痛症候群(FMS)、全身疼痛、背痛、肩痛、頭痛、ならびに覚醒中および生活活動中の疼痛からなる群から選択される。
【0044】
別の実施態様において、本発明は、ヒトを含む哺乳類への、以下に定義される式I-Xの化合物の治療的有効量の投与を含む、注意欠陥多動性障害(ADHD)および他の認知障害の治療方法に関する。
【0045】
別の実施態様において、本発明は、ヒトを含む哺乳類への、以下に定義される式I-Xの化合物の治療的有効量の投与を含む、薬物乱用および禁煙の治療方法に関する。
【0046】
別の実施態様において、本発明は、ヒトを含む哺乳類への、以下に定義される式I-Xの化合物の治療的有効量の投与を含む、腹圧性尿失禁の治療方法に関する。
【0047】
<本発明の詳細な説明>
本発明は、式Iによって表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩であって、
【0048】
【化1】

【0049】
式中、R1およびR2がそれぞれ独立して水素、C1-C8-直鎖または分岐アルキルまたはC3-C8-シクロアルキルであるか;またはR1およびR2およびこれらが連結する窒素がアゼチジン、ピペリジン、ピロリジン、アザパン(azapane)またはモルホリンを形成し;
R3がそれぞれ独立して水素、C1-C8-直鎖または分岐アルキル、C1-C5-アルコキシ、C1-C8-直鎖または分岐ポリフルオロアルキル、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、場合によりメチルで置換されたテトラゾール、またはアミノであるか;または隣接する炭素上における2つのR3基が一緒に組み合わされてメチレンジオキシリンカーを形成し;
R4が水素、C1-C8-直鎖または分岐アルキル、またはC3-C8-シクロアルキルであり;
R5がそれぞれ水素、ハロゲン、C1-C5-アルコキシ、C1-C8-直鎖または分岐アルキル、C1-C8-直鎖または分岐ポリフルオロアルキル、シアノ、またはヒドロキシルであり;
mが1〜4の整数であり;
nが1〜4の整数であり;
R6が水素、C1-C8-直鎖または分岐アルキル、またはフェニルである、
前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0050】
1つの実施態様において、式Iで表される化合物は、純粋なエナンチオマー、ジアステレオマーおよびその混合物である。
【0051】
別の実施態様において、式Iで表される化合物は、式IIおよびIIIのシス異性体であり;別の実施態様において、式Iで表される化合物は、式IVおよびVのトランス異性体である。
【0052】
別の実施態様において、本発明は、式II-Vの化合物(R1、R2、R3、R4、R5、R6、mおよびnは上記に定義されるとおりである)に関する。
【0053】
【化2】

【0054】
1つの実施態様において、R1は水素である。1つの実施態様において、R2はメチルである。1つの実施態様において、R4は水素である。1つの実施態様において、R3は水素、ハロゲンおよびメトキシからなる群から選択される。1つの実施態様において、R3は水素またはハロゲンである。1つの実施態様において、ハロゲンはフッ素または塩素である。1つの実施態様において、R5およびR6は水素である。
【0055】
別の実施態様において、R1は水素であり、R2、R3、R4、R5およびR6は式II〜Vにおいて定義されるとおりである。別の実施態様において、R1は水素であり、R2はメチルであり、R3、R4、R5およびR6は式II〜Vにおいて定義されるとおりである。
【0056】
別の実施態様において、R1は水素であり、R2はメチルであり、R4は水素であり、R3、R5およびR6は式II〜Vにおいて定義されるとおりである。
【0057】
別の実施態様において、R1は水素であり、R2はメチルであり、R4は水素であり、R3は水素、ハロゲンまたはメトキシであり、ハロゲンはフルオロおよびクロロからなる群から選択され、R5およびR6は式II〜Vにおいて定義されるとおりである。
【0058】
別の実施態様において、R1は水素であり、R2はメチルであり、R4は水素であり、R3は水素、ハロゲンまたはメトキシであり、ハロゲンはフルオロおよびクロロからなる群から選択され、R5およびR6は水素である。
【0059】
別の実施態様において、本発明は、式VI〜X
【0060】
【化3】

【0061】
で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩に関する。
【0062】
本明細書で使用される場合に、式I〜Xの化合物が本明細書において例証される全ての実施例を含むことを意味することは理解される。
【0063】
本発明において、ハロゲンという語句は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。
【0064】
本発明において、「C1-C8直鎖または分岐アルキル」という語句は、1〜8個の炭素原子を含む飽和炭化水素を表す。このような置換基の例としては、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、1-ブチル、2-ブチル、2-メチル-2-プロピル、2-メチル-1-プロピル、n-ペンチルおよびn-オクチルが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0065】
さらに、「C3-C8 シクロアルキル」という語句は、3〜8個の炭素原子を含む飽和炭化水素環を表す。シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルおよびシクロオクチルがこの語句に含まれる。
【0066】
「C1-C5-アルコキシ」という語句は、1〜5個の炭素原子(酸素原子上に空の原子価を有する)を有する飽和アルコキシ基を表す。このような置換基の例には、メトキシ、エトキシ、n-ブトキシ、t-ブトキシおよびn-ペンチルオキシが含まれるが、これらに限定はされない。
【0067】
「C1-C8 直鎖または分岐ポリフルオロアルキル」という語句は、1個またはそれ以上のフッ素原子で置換された1〜8個の炭素原子を有する飽和炭化水素を表す。このような置換基の例には、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、1-フルオロエチルおよび1,2-ジフルオロエチルおよび2,3-ジフルオロオクチルが含まれるが、これらに限定はされない。
【0068】
本明細書にいう化合物の「治療的有効量」とは、所与の疾患および/またはその合併症の臨床症状を治癒させ、軽減し、または部分的に抑止するのに十分な量を意味する。これを達成するのに適した量は「治療的有効量」と定義される。各目的に有効な量は疾患または傷害の重症度ならびに対象の体重および全身状態に依存するだろう。適当な投薬量の決定が、値のマトリックスを作成し、そのマトリックス中のさまざまな点を試験することにより、訓練を受けた医師の通常の技術に全て包含される日常的な実験を使って達成されうることは、理解されるだろう。
【0069】
本明細書で使用する「治療」および「治療する」という用語は、疾患または障害などの状態と闘うためになされる患者の管理および医療を意味する。この用語は、例えば症状もしくは合併症を軽減するため、疾患、障害もしくは状態の進行を遅延させるため、症状および合併症を軽減しもしくは緩和するため、および/または疾患、障害もしくは状態を治癒させもしくは排除するための活性化合物の投与など、患者が患っている所与の状態に関する処置の全範囲を包含するものとし、この場合、防止は、疾患、状態、または障害と闘うためになされる患者の管理および医療であると解釈され、症状または合併症の発生を防止するための活性化合物の投与を包含する。それでもなお、予防的(防止的)処置と治療的(治癒的)処置は、本発明の二つの独立した態様である。治療される患者は、好ましくは哺乳動物、特にヒトである。
【0070】
本発明の塩は、酸付加塩であることができる。本発明の酸付加塩は、非毒性の酸で形成する本発明化合物の薬学的に許容可能な塩であることができる。酸付加塩には無機酸ならびに有機酸の塩が含まれる。適当な無機酸の例には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硫酸、スルファミン酸、硝酸等が含まれる。適当な有機酸の例には、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、桂皮酸、クエン酸、フマル酸、グリコール酸、イタコン酸、乳酸、メタンスルホン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、シュウ酸、ピクリン酸、ピルビン酸、サリチル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酒石酸、アスコルビン酸、パモ酸、ビスメチレンサリチル酸、エタンジスルホン酸、グルコン酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、EDTA、グリコール酸、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、テオフィリン酢酸ならびに8-ハロテオフィリン、例えば8-ブロモテオフィリン等が含まれる。薬学的に許容可能な無機または有機酸付加塩のさらなる例には、参照することにより本明細書に組み込まれる「J. Pharm. Sci. 1977,66,2」に記載される薬学的に許容可能な塩が含まれる。
【0071】
金属塩の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム塩等が含まれる。
【0072】
アンモニウムおよびアルキルアンモニウム塩の例には、アンモニウム、メチル-、ジメチル-、トリメチル-、エチル-、ヒドロキシエチル-、ジエチル-、n-ブチル-、sec-ブチル-、tert-ブチル-、テトラメチルアンモニウム塩等が含まれる。
【0073】
さらに、本発明の化合物は、例えば水、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶剤に溶媒和された状態ならびに非溶媒和の状態で存在し得る。該して、本発明の目的においては溶媒和型は非溶媒型と同等であると考えられる。
【0074】
本発明の化合物は1つまたはそれ以上の不斉中心を有していてもよく、分離された、純粋な、または一部精製されたような異性体(すなわち、エナンチオマーまたはジアステレオマー)並びにラセミ混合物およびジアステレオマー混合物、すなわち立体異性体の混合物を含むそれらの混合物はいずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0075】
ラセミ体は公知の方法、例えば、光学活性な酸でそのジアステレオマー塩を分別分離し、塩基処理で光学活性なアミン化合物を遊離させることにより光学対掌体に分割できる。ラセミ体を光学対掌体に分割するもう一つの方法は光学活性マトリックスでのクロマトグラフィーに基づくものである。本発明の化合物は、ジアステレオマー誘導体の形成によっても分割することができる。当業者に公知である光学異性体を分割する別の方法を使用することもできる。前記方法には「”Enantiomers, Racemates, and Resolutions”, John Wiley and Sons, New York (1981)」でJ. Jaques、A. ColletおよびS. Wilenにより論じられたものが含まれる。光学活性化合物は、光学活性な開始物質から、立体選択的合成によりまたは酵素的分割により製造することもできる。
【0076】
本発明の医薬調合物、または本発明に従って製造される医薬調合物は、適当な経路によって、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、シロップ剤等の形態で経口的に、または注射用液剤の形態で非経口的に投与することができる。このような調合物の製造には、当業者に公知の方法を使用することができ、任意の薬学的に許容可能なキャリアー、増量剤、賦形剤、または本技術分野で通常使用される他の添加剤を使用することができる。錠剤は、活性成分を通常の佐剤および/または増量剤と混合し、引き続いて、慣用の打錠機において該混合物を圧縮することにより製造することができる。佐剤または増量剤の例には、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ゼラチン、ラクトース、ゴム(gums)等が含まれる。前記目的のために通常使用される、着色剤(colourings)、フレーバー(flavourings)、防腐剤等のような佐剤または添加剤はいずれも、活性成分と適合することを条件として使用することができる。
【0077】
注射用溶液は、活性成分および可能な添加剤を注射用溶剤、例えば滅菌水の一部分に溶解し、該溶液を所望の容量に調節し、該溶液を滅菌し、適当なアンプルまたはバイアルに充填することにより、製造することができる。本技術分野で通常使用される任意の適当な添加剤(例えば等張化剤、防腐剤、酸化防止剤等)を加えることもできる。
【0078】
都合よくは、本発明化合物は単位投薬形態(unit dosage form)に製剤化することができ、各用量は約0.01〜約1000 mg、または約0.05〜約5000、または約0.1〜約1000 mgを含有するが、実際の用量は、例えば具体的な化合物に応じて変化し得る。「単位投薬形態」という語句は、ヒトの対象および他の哺乳類のための単一の投薬として好適な物理的に離れた単位を表し、各単位は、1種またはそれ以上の薬学的に許容可能なキャリアー、増量剤、賦形剤、または本技術分野で通常使用される他の添加剤とともに、所望の治療効果を付与するように計算された所定量の活性物質を含有する。
【0079】
本発明の化合物は、広い用量範囲にわたって有効である。例えば、1日あたりの用量は、通常、体重1 kgあたり約0.01〜約100 mgの範囲であるか、または約0.1〜約75 mgの範囲である。しかし、実際に投与される化合物の量は、治療される状況、選択される投与経路、投与される実際の化合物、個々の患者の年齢、体重および応答、患者の症状の重篤度を含む、関連の環境に応じて医師によって決定されるものであり、従って、上記の用量範囲は本発明を何ら限定するものではないことは理解されるだろう。ある場合には、上記範囲の下限より低い用量レベルでも十分である一方、他の場合には、有害な副作用を引き起こすことなくより大きい用量を用いることも可能であり、ただし、このような大きい用量は、1日にわたって投与するために、まずいくつかのより小さい用量に分割されることを条件とする。
【0080】
明細書にわたって引用される全ての参照文献は、参照されることにより全体で本明細書に組み込まれる。
【0081】
<本発明化合物の合成用中間体の製造方法の概略>
7-フルオロインドールを「Bartoli, Guiseppe; Palmieri, Gianni; Bosco, Marcella; Dalpozzo, Renato; Tetrahedron Lett., 30, 16, 1989, 2129-2132」に従って合成した。
【0082】
インドール、5-クロロインドールおよび6-メトキシインドールはAldrich社から購入した。
【0083】
方法1:3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オン
3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オンはスキーム1に示すように製造することができる。
【0084】
【化4】

【0085】
スキーム1 R3、R4、R5およびR6 は上記に定義されるとおりである。
【0086】
一般式XIの3-ブロモ-インダン-1-オンを塩基、例えばトリエチルアミンと処理することにより、一般式XIIのインデン-1-オンが形成する。一般式XIIのインデン-1-オンを、ルイス酸触媒、例えば、スカンジウムトリフラートまたは銅トリフラートの存在下で一般式XIIIのインドールで処理することにより、一般式XIVの3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オンが得られる。
【0087】
方法2:cis-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オール
一般式XVのcis-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オールをスキーム2に示すように製造する。
【0088】
【化5】

【0089】
スキーム2 R3〜R6 は上記に定義されるとおりである。
【0090】
一般式XIVの3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オンを還元剤、例えば水素化ホウ素ナトリウムで処理することにより、一般式XVのcis-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オールが得られる。
【0091】
方法3:cis-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オールの酵素的キラル分割
一般式XVのcis-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オールをスキーム3に示すようにエナンチオマーに分割する。
【0092】
【化6】

【0093】
スキーム3 R3〜R6 は上記に定義されるとおりであり、R7はC1-C8 直鎖または分岐アルキル基である。
【0094】
ラセミcis-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オールをリパーゼ、例えばNovozym 435(Novozymes A/S(Krogshoejvej 36, 2880 Bagsvaerd, Denmark)から入手可能)の存在下において、不可逆的なアシルドナー、例えばビニルブチレートで処理することによって、一般式XVのcis-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オールをエナンチオマーに分割する。その後、一方のエナンチオマーをエステル化することにより一般式XVIのエステルを形成させ、他方の一般式XVIIのエナンチオマーは反応させずにおく。一般式XVIおよびXVIIの化合物を標準的なクロマトグラフィー技術によって分離する。
【0095】
方法4:光学活性cis-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オール
一般式XVIIIの光学活性cis-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オールは、スキーム4に示すように、一般式XVIのエステルの加水分解によって、または一般式XVIのエステルのエステル交換剤、例えばメタノールにおけるナトリウムメトキシドでの処理によって得られる。
【0096】
【化7】

【0097】
スキーム4 R3〜R6 は上記に定義されるとおりであり、R7はC1-C8 直鎖または分岐アルキル基である。
【0098】
方法5:光学活性3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オン
スキーム5に示すように、一般式XVIIおよびXVIIIの光学活性cis-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オールを、酸化剤、例えばDess-Martinペルヨージナンによって酸化することにより、一般式XIXおよびXXの光学活性 3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オンが得られる。
【0099】
【化8】

【0100】
スキーム5 R3〜R6 は上記に定義されるとおりである。
【0101】
方法6:trans-3-(3-アジド-インダン-1-イル)-1H-インドール
一般式XXIのtrans-3-(3-アジド-インダン-1-イル)-1H-インドールをスキーム6に示すように製造する。
【0102】
【化9】

【0103】
スキーム6 R3〜R6 は上記に定義されるとおりである。
【0104】
一般式XVのラセミcis-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オールのアジド化剤、例えばジフェニルホスホリルアジドおよび塩基、例えばDBUでの処理、または一般式XVIIもしくはXVIIIの光学活性cis-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オールの処理により、ラセミのまたは光学活性の一般式XXIのtrans-3-(3-アジド-インダン-1-イル)-1H-インドールがそれぞれ得られる。
【0105】
方法7:trans-[3-(3-アジド-インダン-1-イル)-インドール-1-イル]-ホスホン酸ジフェニルエステル
一般式XXIIのtrans-[3-(3-アジド-インダン-1-イル)-インドール-1-イル]-ホスホン酸ジフェニルエステルをスキーム7に示すように製造する。
【0106】
【化10】

【0107】
スキーム7 R3〜R6 は上記に定義されるとおりであり、Pgはインドール保護基、例えばジフェニルホスホリル基である。
【0108】
R4=Hである一般式XVのラセミcis-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オールの過剰量のジフェニルホスホリルアジドおよび塩基、例えばDBUとの処理、またはR4=Hである一般式XVIIもしくはXVIIIの光学活性cis-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オールの処理によって、ラセミまたは光学活性の一般式XXIIのtrans-[3-(3-アジド-インダン-1-イル)-インドール-1-イル]-ホスホン酸ジフェニルエステルがそれぞれ得られる。
【0109】
方法8:N-保護trans-3-(3-アジド-インダン-1-イル)-1H-インドール
一般式XXIIのN-保護trans-3-(3-アジド-インダン-1-イル)-1H-インドールは、スキーム8に示すように、R4=Hである一般式XXIのtrans-3-(3-アジド-インダン-1-イル)-1H-インドールを適当な保護基試薬、例えば、p-トルエンスルホン酸クロリドで処理することにより、製造される。
【0110】
【化11】

【0111】
スキーム8 R3〜R6 は上記に定義されるとおりであり、Pgはインドール保護基、例えばトシル基である。
【0112】
<本発明化合物の製造方法の概要>
【0113】
【化12】

【0114】
方法9:trans-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イルアミン
一般式XXIIIのラセミもしくは光学活性trans-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イルアミンは、スキーム9に示すように、適当な遷移金属触媒、例えば水素下でのPd/Cの存在下における、適当な還元条件、例えば水素化ホウ素ナトリウムの添加下での、一般式XXIのラセミもしくは光学活性trans-3-(3-アジド-インダン-1-イル)-1H-インドール、または一般式XXIIのラセミもしくは光学活性N-保護trans-3-(3-アジド-インダン-1-イル)-1H-インドールの還元により、またはピリジンおよび水性水酸化アンモニウムにおけるトリメチルホスフィンでの処理により、それぞれ製造される。
【0115】
【化13】

【0116】
スキーム9 R3〜R6 は上記に定義されるとおりであり、Pgはインドール保護基、例えばジフェニルホスホリル基である。
【0117】
方法10:cis-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イルアミン
R1=Hである一般式XXVのラセミもしくは光学活性cis-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イルアミンはスキーム10に示すように製造される。
【0118】
【化14】

【0119】
スキーム10 R1=Hであり、R2、R3〜R6 は上記に定義されるとおりである。
【0120】
一般式XIV、XIXもしくはXXのラセミもしくは光学活性3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オンを、アミン(NH2R2)で処理し、乾燥剤、例えばテトラエトキシシランで処理することにより、式XXIVのイミンが得られ、これを還元剤、例えば水素化ホウ素ナトリウムを用いて還元することにより、または遷移金属触媒、例えばPtO2の存在下における水素での処理により、R1=Hである一般式XXVのラセミもしくは光学活性cis-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イルアミンが得られる。
【0121】
方法11:cis-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イルアミン
一般式XXVのラセミもしくは光学活性cis-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イルアミンはスキーム11に示すように製造される。
【0122】
【化15】

【0123】
スキーム11 R1〜R6 は上記に定義されるとおりである。
【0124】
一般式XIV、XIXもしくはXXの3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オンを、適当なpHの酢酸/メタノール溶液においてアミン(NHR1R2)および還元剤、例えばシアノ水素化ホウ素ナトリウムで処理することにより、一般式XXVのラセミもしくは光学活性cis-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イルアミンがそれぞれ得られる。
【0125】
方法12:cis-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イルアミンおよびtrans-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イルアミン
【0126】
【化16】

【0127】
スキーム12 R1〜R6 は上記に定義されるとおりである。
【0128】
スキーム12に示すように、一般式XVのラセミcis-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オールまたは一般式XVIIもしくはXVIIIの光学活性cis-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オールをアルコール-活性化剤および塩基、例えばトリエチルアミンで処理し、その後、アミン(NHR1R2)と反応させることにより、一般式XXVのラセミもしくは光学活性cis-およびtrans-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イルアミン混合物が得られ、これを標準的なクロマトグラフィー方法、例えばHPLCまたはフラッシュクロマトグラフィーによって分離することにより、一般式XXVのラセミもしくは光学活性cis-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イルアミンまたは一般式XXVのラセミもしくは光学活性 trans-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イルアミンが得られる。
【0129】
方法13:trans-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イルアミン
R1、R4=Hである一般式XXVIのtrans-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イルアミンは、スキーム13に示すように、一般式XXIIのN-保護trans-3-(3-アジド-インダン-1-イル)-1H-インドールを(R1)2BBrで処理し、引き続きインドール保護基を除去することにより製造される。
【0130】
【化17】

【0131】
スキーム13 R2、R3、R5およびR6は上記に定義されるとおりであり、Pgはインドール保護基、例えばトシル基またはジフェニルホスホリル基である。
【0132】
方法14:trans-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イルアミン
R1、R4 = Hである一般式XXVIのtrans-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イルアミンは、スキーム14に示すように、R4 = Hである一般式XXIIIのtrans-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イルアミンをクロロギ酸メチルで処理し、引き続き、適当な還元剤、例えば水素化アルミニウムリチウムで還元することにより製造される。
【0133】
【化18】

【0134】
スキーム14 R3、R5およびR6は上記に定義されるとおりである。
【0135】
方法15:光学活性3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イルアミン
一般式XXVおよびXXVIのラセミcis-もしくはtrans-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イルアミンを、クロマトグラフィー技術、例えばキラル超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)およびキラルHPLCによって、それぞれcis-またはtrans-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イルアミンの対に分割する。
【0136】
方法16:光学活性3-(1H-インドリル-3-イル)インダン-1-イルアミン
一般式XXVおよびXXVIのラセミcis-またはtrans-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イルアミンは、光学活性酸を用いるジアステレオマー塩の分別分離によって、それぞれ光学活性cis-またはtrans-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イルアミンの対に分割し、塩基との処理により光学活性アミン化合物を遊離させる。
【実施例】
【0137】
LC-MS方法AおよびB、概要:溶剤系:A=水/TFA(100:0.05)およびB=水/アセトニトリル/TFA(5:95:0.035)(TFA=トリフルオロ酢酸)。純度は、UV (254 nm) およびELSDトレース(trace)の積分(integration)により決定し、保持時間(tR)は分で表す。MS装置は、APPI源を装備したPESciex (API)製のものであり、正イオンモードで操作される。
【0138】
方法A:API 150EXおよびShimadzu LC8/SLC-10A LC システム。カラム:粒子径3.5μmを有する30 X 4.6 mm Waters Symmetry C18を室温で操作。4分間で90% Aから100% Bへ、2 mL/分の流速での直線勾配溶出。
【0139】
方法B:API 150EXおよびShimadzu LC8/SLC-10A LCシステム。カラム:粒子径3.5μmを有する30 X 4.6 mm Waters Symmetry C18を40℃で操作。2.4分間で90% Aから100% Bへ、3.3 mL/分の流速での直線勾配溶出。
【0140】
LC-MS TOF(TOF=飛行時間) 方法C:Waters 2488/Sedex 754検出システムを装備したmicromass LCT 4-ways MUX。カラム:粒子径3.5μmを有する30 X 4.6 mm Waters Symmetry C18を室温で操作。4分間で90% Aから100% Bへ、2 mL/分の流速での直線勾配溶出。純度は、UV (254 nm) およびELSDトレースの積分により決定し、保持時間(RT)は分で表す。
【0141】
1H NMRおよび13C NMRスペクトルはBruker DRX 500 において、それぞれ500.13 MHzおよび125.67で記録した。重水素置換クロロホルム(99.8%D)またはジメチルスルホキシド(99.9%D)を溶剤として使用した。TMSを内部参照標準として使用した。化学シフトはppm値で表す。以下の略語: s =シングレット(singlet)、 d =ダブレット(doublet)、t =トリプレット(triplet)、 q = カルテット(quartet)、 qv = クインテット(quintet)、 h = ヘプテット(heptet)、 dd = ダブルダブレット(double doublet)、 dt =ダブルトリプレット(double triplet)、 dq = ダブルカルテット(double quartet)、 tt = トリプレットのトリプレット(triplet of triplets)、 m = マルチプレット(multiplet)、 b = ブロード(broad)を、NMRシグナルの多重度に対して使用する。
【0142】
<実施例>
3-ブロモ-インダン-1-オンの合成
390g(2.2mol)のN-ブロモスクシンイミド(塊のない粉末)および0.5gの過酸化ベンゾイルを1500 mL CCl4中の264gインダン-1-オンに添加し、機械的に撹拌しながら1.5時間還流した。反応混合物の色が突然黄色に変化し、全てのN-ブロモスクシンイミド(CCl4より重い)がスクシンイミド(CCl4より軽い)に転化した。反応混合物を20℃に冷却し、ろ過し、減圧下で濃縮した。粗製の3-ブロモ-インダン-1-オンを600mLの酢酸エチル/ヘプタン(1:2)に溶解し、氷浴上で2時間冷却し、その後冷凍庫に一晩置くことにより、257gの3-ブロモ-インダン-1-オン結晶(収率62%)が得られた。
【0143】
3-(7-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オンの合成(方法1)
トリエチルアミン(4.5 mL;32 mmol;1.2当量)を100 mL THF中の3-ブロモ-インダン-1-オン(5.6 g;27 mmol)に0℃で添加し、室温で1時間撹拌した。反応混合物をろ過することにより臭化トリエチルアンモニウムを除去し、減圧下で濃縮することによりインデン-1-オンを得た。
【0144】
7-フルオロインドール(3.3g、22mmol)およびSc(OTf)3(550mg、5mol%)を100 mL CH2Cl2中のインデン-1-オンに0℃で添加した。反応混合物を一晩室温に温めた。100mLの酢酸エチルを添加し、混合物をシリカゲルプラグを通してろ過し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル、シリカゲル)後に5.9gの3-(7-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オン(82%)を単離した。
【0145】
以下の化合物を類似の経路で合成した:
3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オン
3-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オン
3-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オン
3-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オン
3-(6-メトキシ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オン
3-(5-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オン
3-(4-クロロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オン
3-(5-クロロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オン
3-(7-クロロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オン
5-フルオロ-3-(7-メチル-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オン
3-(6-ブロモ-1H-インドール-3-イル)-5-フルオロ-インダン-1-オン
3-(4-クロロ-1H-インドール-3-イル)-6-フルオロ-インダン-1-オン
3-(4,6-ジフルオロ-1H-インドール-3-イル)-6-フルオロ-インダン-1-オン
3-(4-クロロ-1H-インドール-3-イル)-6-メトキシ-インダン-1-オン
3-(5,6-ジフルオロ-1H-インドール-3-イル)-6-メトキシ-インダン-1-オン
5-クロロ-3-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オン
3-(6-クロロ-3-オキソ-インダン-1-イル)-1H-インドール-5-カルボニトリル
6-クロロ-3-(5-メトキシ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オン
6-クロロ-3-(7-メトキシ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オン。
【0146】
cis-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オールの合成(方法2)
NaBH4(6.2g、163mmol、2当量)を200mLメタノールおよび100mL THF中の 3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オン(20g、80.9mmol)に0℃で添加した。反応混合物を一晩室温に温めた。水性のワークアップからcis-3-インドリル-インダン-1-オール(定量的)が得られた。
【0147】
以下の化合物を類似の方法で合成した:
cis-3-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オール
cis-3-(6-メトキシ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オール
cis-3-(5-クロロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オール
cis-3-(4-クロロ-1H-インドール-3-イル)-6-フルオロ-インダン-1-オール
cis-6-クロロ-3-(5-メトキシ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オール。
【0148】
酪酸 (1R,3S)-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イルエステルおよび(1S,3R)-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オールの合成(方法3)
Novozym 435(1g)(Novozymes A/S, Krogshoejvej 36, 2880 Bagsvaerd, Denmarkから入手可能)およびビニルブチレート(20.5 mL、162mmol)を200mLのトルエン中におけるラセミcis-3-インドリル-インダン-1-オール(80.9mmol)に添加した。1H -NMRが50%の変換を示すまで、反応混合物をアルゴン下で2日間振とうした。反応混合物をろ過し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル、シリカゲル)後に13.49gの酪酸 (1R,3S)-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イルエステルおよび9.78gの(1S,3R)-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オールを単離した。
【0149】
以下の化合物を類似の方法で合成した:
酪酸 (1R,3S)-3-(7-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イルエステル
(1S,3R)-3-(7-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オール
(1S,3R)-3-(5-クロロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オール
(1S,3R)-3-(6-メトキシ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オール。
【0150】
(1R,3S)-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オールの合成(方法4)
メタノールにおける3mLの30% NaOMeを100mLのメタノールにおける13.49gの酪酸(1R,3S)- 3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イルエステルに添加した。TLCにより、1.5時間後に完全な変換が示された。1.5 gの固体NH4Clおよび50 mLの水を添加した。メタノールを減圧下で濃縮し、水性のワークアップ後に(1R,3S)-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オール(37.9 mmol)を単離した。
【0151】
以下の化合物を類似の方法で合成した:
(1R,3S)-3-(7-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オール。
【0152】
(R)-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オンの合成(方法5)
10mL CH2Cl2におけるDess-Martinペルヨージナン(1.08g、2.55mmol)を10mL CH2Cl2における(1S,3R)- 3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オール(2.52mmol)に0℃で添加した。反応混合物を室温に温め、40分間撹拌した。TLCにより完全な変換が示された。反応混合物に酢酸エチルおよび飽和NaHCO3を添加した。有機相を単離し、2N NaOHおよびブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、そして減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル、シリカゲル)後に定量的な収量の(R)-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オンを単離した。
【0153】
以下の化合物を類似の方法で合成した:
(R)-3-(7-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オン
(S)-3-(7-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オン。
【0154】
3-((1S,3S)-3-アジド-インダン-1-イル)-1H-インドールの合成(方法6)
1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(4.8mL、32.1 mmol、1.45当量)を150mLの乾燥THFにおける(1R,3S)-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オール(22.2mmol)およびジフェニルホスホリルアジド(6.0mL、27.8mmol、1.25当量)に0℃で添加した。反応液を0℃で0.5時間撹拌し、その後室温で2時間撹拌した。TLCにより完全な変換が示された。反応混合物を水に加え、酢酸エチルで抽出した。有機相を100mLの0.5 N HCl、飽和NaHCO3で洗浄し、MgSO4で乾燥し、そして減圧下で濃縮することにより3-((1S,3S)-3-アジド-インダン-1-イル)-1H-インドールを得た。
【0155】
以下の化合物を類似の方法で合成した:
3-((1R,3R)-3-アジド-インダン-1-イル)-6-メトキシ-1H-インドール。
【0156】
[3-((1R,3R)-3-アジド-インダン-1-イル)-5-クロロ-インドール-1-イル]-ホスホン酸ジフェニルエステルの合成(方法7)
ジフェニルホスホリルアジド(23g、85mmol)を150mLの乾燥THFにおける(1S,3R)-3-(5-クロロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オール(10g, 35mmol)に5℃で添加した。1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(13.7mL、92mmol)を0.5時間かけて添加した。反応混合物を室温に温めながら一晩撹拌した。反応混合物をブラインに加え、Et2Oで抽出した。有機相を100mLの0.1 N HCl、0.1 N NaOHで洗浄し、MgSO4で乾燥し、そして減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル、シリカゲル)後に19.1gの [3-((1R,3R)-3-アジド-インダン-1-イル)-5-クロロ-インドール-1-イル]-ホスホン酸ジフェニルエステルを単離した。
【0157】
以下のラセミ化合物を類似の方法で合成した:
[3-(3-アジド-インダン-1-イル)-インドール-1-イル]-ホスホン酸ジフェニルエステル
[3-(3-アジド-インダン-1-イル)-6-フルオロ-インドール-1-イル]-ホスホン酸ジフェニルエステル
[3-(3-アジド-インダン-1-イル)-6-メトキシ-インドール-1-イル]-ホスホン酸ジフェニルエステル
[3-(3-アジド-5-フルオロ-インダン-1-イル)-4-クロロ-インドール-1-イル]-ホスホン酸ジフェニルエステル
[3-(3-アジド-5-クロロ-インダン-1-イル)-5-メトキシ-インドール-1-イル]-ホスホン酸ジフェニルエステル。
【0158】
3-((1R,3R)-3-アジド-インダン-1-イル)-6-メトキシ-1-(トルエン-4-スルホニル)-1H-インドールの合成(方法8)
1gの水素化ナトリウム(鉱油中60%)を50 mL乾燥THFにおける2gの3-((1R,3R)-3-アジド-インダン-1-イル)-6-メトキシ-1H-インドールに5℃で添加し、反応混合物を5℃で1時間撹拌した。2gのp-トルエンスルホン酸クロリドを5℃で少量ずつ添加し、撹拌をさらに4時間継続した。氷を添加し、1時間後に水および酢酸エチルを添加した。有機相を分離し、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、そして減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル、シリカゲル)後に2.5gの 3-((1R,3R)-3-アジド-インダン-1-イル)-6-メトキシ-1-(トルエン-4-スルホニル)-1H-インドールを単離した。
【0159】
以下の化合物を類似の方法で合成した:
3-((1R,3R)-3-アジド-インダン-1-イル)-1-(トルエン-4-スルホニル)-1H-インドール。
【0160】
(1R,3R)-3-(5-クロロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イルアミンの合成(方法9)
32 gのトリメチルホスフィンを、100mLのピリジンおよび36mLの9N 水酸化アンモニウムにおける19gの[3-((1R,3R)-3-アジド-インダン-1-イル)-5-クロロ-インドール-1-イル]-ホスホン酸ジフェニルエステルに室温で2時間かけて添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌し、減圧下で濃縮した。酢酸エチルおよび水を添加した。混合物を水性NaOHで塩基性にし、ろ過した。有機相を減圧下で濃縮し、酢酸エチルに再度溶解した。酢酸エチル溶液を2x250 mLの2N メタンスルホン酸で抽出した。水性相を9N NaOHで塩基性にすることにより、沈殿物を形成させ、これをフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル、メタノール、トリエチルアミン、シリカゲル)に付すことによって、0.6gの(1R,3R)-3-(5-クロロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イルアミンを得た。上記からの酢酸エチル相を減圧下で濃縮し、100mLのメタノールに溶解し、10mLの30% NaOMe(メタノール中)を添加した。反応混合物を2時間室温で撹拌し、減圧下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル、メタノール、トリエチルアミン、シリカゲル)によって精製することにより、さらに0.45gの(1R,3R)-3-(5-クロロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イルアミンを得た。
【0161】
実施例7の合成:[(1S,3R)-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イル]-メチル-アミン(方法10)
【0162】
【化19】

【0163】
Emry Optimizer(登録商標)装置を用いて、マイクロ波照射下、150℃で、10 mLメタノールにおける(R)-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オン, メチルアミン(5mL、THFにおいて2M)および1mL テトラエトキシシランを11分間撹拌した。PtO2(10mg)を添加し、反応混合物を室温において1気圧の水素下で一晩撹拌し、ろ過し、そして減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル、メタノール、トリエチルアミン、シリカゲル)後に、66%の収率で[(1S,3R)-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イル]-メチル-アミンを単離した。
【0164】
以下の化合物を類似の方法で合成した:
実施例1:
ラセミcis-[3-(5-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イル]-メチル-アミン
【0165】
【化20】

【0166】
実施例2:
ラセミcis-[3-(7-メトキシ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イル]-メチル-アミン
【0167】
【化21】

【0168】
実施例3:
ラセミcis-メチル-[3-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イル]-アミン
【0169】
【化22】

【0170】
実施例4:
【0171】
【化23】

【0172】
ラセミcis-[3-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イル]-メチル-アミン
【0173】
実施例5:
ラセミcis-[3-(7-クロロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イル]-メチル-アミン
【0174】
【化24】

【0175】
実施例6:
ラセミcis-[3-(4-クロロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イル]-メチル-アミン
【0176】
【化25】

【0177】
実施例8:
[(1R,3S)-3-(7-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イル]-メチル-アミン
【0178】
【化26】

【0179】
予備スケールのキラルSFC精製(方法15):方法:カラム:Chiralcel OJ-H (2 x 25 cm) を室温で操作。クロマトグラフィーは0.1% (v/v)ジエチルアミンを含む35%メタノールをモディファイヤーとして用いて、CO2(100 bar)中、50 ml/分の流速で行った。
【0180】
分析キラルSFC:方法:カラム:5μMの粒子を有する250 x 4.6 mm Chiralcel AD-Hを室温で操作。クロマトグラフィーは0.1% (v/v)ジエチルアミンを含む40%エタノールをモディファイヤーとして用いて、CO2(100 bar)中、3 ml/分の流速で行った。220 nmで検出。RTmajor = 2.52分、RTminor = 3.29分、>99.5% ee。
【0181】
LC/MS:方法A:RT = 1.85分。UV-純度=99.30%、ELSD純度=96.78%。
【0182】
1H-NMR (臭化水素酸塩; d6-DMSO): δ2.23-2.27 (m, 1H), 2.71 (s, 3H), 2.93-2.95 (m, 1H), 4.62 (dd, J = 7.8Hz, 10.2Hz, 1H), 4.88 (t, J = 8.3Hz, 1H), 6.87-6.96 (m, 3H), 7.12 (d, J = 7.7Hz, 1H), 7.30 (t, J = 14.8Hz, 1H), 7.35-7.38 (m, 2H), 7.72 (d, J = 7.6Hz, 1H), 11.5 (bs, 1H)。
【0183】
実施例9:
[(1S,3R)-3-(7-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イル]-メチル-アミン
【0184】
【化27】

【0185】
予備スケールのキラルSFC精製(方法15):方法:カラム:Chiralcel OJ-H (2 x 25 cm) を室温で操作。クロマトグラフィーは0.1% (v/v)ジエチルアミンを含む35%メタノールをモディファイヤーとして用いて、CO2(100 bar)中、50 ml/分の流速で行った。
【0186】
分析キラルSFC:方法:カラム:5μMの粒子を有する250 x 4.6 mm Chiralcel AD-Hを室温で操作。クロマトグラフィーは0.1% (v/v)ジエチルアミンを含む40%エタノールをモディファイヤーとして用いて、CO2(100 bar)中、3 ml/分の流速で行った。220 nmで検出。RTmajor = 3.36分、RTminor = 2.46分、>99.5% ee。
【0187】
LC/MS:方法B:RT = 0.90分。UV-純度=99.80%、ELSD純度=96.08%。
【0188】
1H-NMR (d6-DMSO): δ 1.89-1.96 (m, 1H), 2.15 (bs, 1H), 2.40 (s, 3H), 2.75-2.80 (m, 1H), 4.17 (dd, J = 7.3Hz, 8.7Hz, 1H), 4.44 (dd, J = 7.5Hz, 10.4Hz, 1H), 6.82-6.90 (m, 3H), 7.07-7.11 (m, 2H), 7.20 (t, J = 7.4Hz, 1H), 7.26 (d, J = 2.2Hz, 1H), 7.42 (d, J = 7.5Hz, 1H), 11.4 (bs, 1H)。
【0189】
13C-NMR (d6-DMSO): δ 33.7, 39.4, 63.3, 106.1 (JCF = 16 Hz), 115.7, 118.5, 118.8, 124.0, 124.1, 124.3, 124.8, 124.9, 126.6, 127.2, 130.8, 145.7, 146.2, 149.7 (JCF= 243 Hz)。
【0190】
実施例11:
ラセミcis-[6-クロロ-3-(7-メトキシ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イル]-メチル-アミン
【0191】
【化28】

【0192】
実施例12:
ラセミcis-[3-(4-クロロ-1H-インドール-3-イル)-6-メトキシ-インダン-1-イル]-メチル-アミン
【0193】
【化29】

【0194】
実施例13:
ラセミcis-[3-(5,6-ジフルオロ-1H-インドール-3-イル)-6-メトキシ-インダン-1-イル]-メチル-アミン
【0195】
【化30】

【0196】
実施例14:
ラセミcis-3-(6-クロロ-3-メチルアミノ-インダン-1-イル)-1H-インドール-5-カルボニトリル
【0197】
【化31】

【0198】
実施例15:
ラセミcis-[5-フルオロ-3-(7-メチル-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イル]-メチル-アミン
【0199】
【化32】

【0200】
実施例16:
ラセミcis-[3-(6-ブロモ-1H-インドール-3-イル)-5-フルオロ-インダン-1-イル]-メチル-アミン
【0201】
【化33】

【0202】
実施例23:
ラセミcis-[3-(4,6-ジフルオロ-1H-インドール-3-イル)-6-フルオロ-インダン-1-イル]-メチル-アミン
【0203】
【化34】

【0204】
実施例24:
ラセミcis-[5-クロロ-3-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イル]-メチル-アミン
【0205】
【化35】

【0206】
実施例19の合成:cis-3-(3-ピペリジン-1-イル-インダン-1-イル)-1H-インドール (方法11)
【0207】
【化36】

【0208】
シアノ水素化ホウ素ナトリウム(61mg;0.97mmol)を3 mLメタノールおよび0.5 mL酢酸中の3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-オン(200mg;0.81mmol)およびピペリジン(344mg;4.05mmol)に添加した。Emry Optimizer(登録商標)装置を用いて、マイクロ波照射下、150℃で、反応混合物を30分間撹拌した。反応混合物を水に加え、27%の水性NaOHで塩基性にした。混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相をMgSO4で乾燥し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル、ヘプタン、トリエチルアミン、シリカゲル)後に、cis-3-(3-ピペリジン-1-イル-インダン-1-イル)-1H-インドールを得た。
【0209】
以下の化合物を類似の方法で合成した:
実施例20:
ラセミcis-3-(3-ピロリジン-1-イル-インダン-1-イル)-1H-インドール
【0210】
【化37】

【0211】
実施例21:
ラセミcis-3-(3-モルホリン-4-イル-インダン-1-イル)-1H-インドール
【0212】
【化38】

【0213】
実施例10の合成:[(1R,3R)-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イル]-メチル-アミン(方法13)
【0214】
【化39】

【0215】
ジメチルブロモボラン(1.77mL、1.05当量)(「Noeth, H., Vahrenkamp, H. Journal of Organometallic Chemistry11(1968), 399-405」に従って合成)を100mLの1,2-ジクロロ-エタンにおける3-((1R,3R)-3-アジド-インダン-1-イル)-1-(トルエン-4-スルホニル)-1H-インドール(17.3mmol)に、アルゴン下0℃で添加した。反応混合物を室温に温め、2.5時間撹拌した。1 mLのエタノールを添加した。反応混合物を酢酸エチルおよび0.5Nの水性NaOHで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧下で濃縮することにより、フラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル、メタノール、トリエチルアミン、シリカゲル)後にメチル-{(1R,3R)-3-[1-(トルエン-4-スルホニル)-1H-インドール-3-イル]-インダン-1-イル}-アミンを得た。メチル-{(1R,3R)-3-[1-(トルエン-4-スルホニル)-1H-インドール-3-イル]-インダン-1-イル}-アミンを8 mLアセトンおよび20 mLメタノールに溶解した。8 mLの28%水性NaOHを添加し、反応混合物をEmry Optimizer(登録商標)装置を用いて、マイクロ波照射下、120℃で10分間、2つに分けて撹拌した。反応混合物を250 mLの水に加え、沈殿物を形成させた。再結晶化により、2.15gの[(1R,3R)-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イル]-メチル-アミンを得た。
【0216】
キラルSFC:方法:カラム:5μMの粒子を有する250 x 4.6 mm Chiralcel OJ-Hを室温で操作。クロマトグラフィーはエタノール中の0.1% (v/v)ジエチルアミンをモディファイヤーとして用いて、20 MPaの圧力下、3 ml/分の流速で行った。230 nmで検出。RTmajor = 2.40分、RTminor= 2.93分、95.9% ee。
LC/MS:方法A:RT=1.63分。UV-純度=98.28%、ELSD純度=99.61%。
1H-NMR (d6-DMSO): δ 2.35 (m, 5H), 4.17 (dd, J = 3.8Hz, 6.6Hz, 1H), 4.75 (t, J= 7.5Hz, 1H), 6.90 (t, J = 7.1Hz, 1H), 7.00 (m, 3H), 7.14 (t, J = 7.3Hz, 1H), 7.19 (t, J = 7.3Hz, 1H), 7.26 (d, J = 8.0Hz, 1H) 7.34 (d, J = 7.3Hz, 1H), 7.38 (d, J = 7.3Hz, 1H), 10.80 (bs, 1H)。
13C-NMR (d6-DMSO): δ 34.2, 39.9, 41.3, 63.6, 111.9, 118.0, 118.5, 119.1, 121.3, 122.4, 124.8, 125.0, 126.4, 126.7, 127.6, 137.1, 145.3, 147.2。
【0217】
以下の化合物を類似の方法で合成した:
実施例27:
[(1R,3R)-3-(6-メトキシ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イル]-メチル-アミン
【0218】
【化40】

【0219】
LC/MS:方法A:RT=1.60分。UV-純度=98.52%、ELSD純度=99.53%。
1H-NMR (CDCl3): δ 2.41 (ddd, J= 3.8Hz, 7.5Hz, 12.8Hz, 1H), 2.50 (t, J = 6.8Hz, 1H), 2.53 (s, 3H), 3.83 (s, 3H), 4.27 (dd, J = 3.8Hz, 6.8Hz, 1H), 4.79 (t, J = 7.5Hz, 1H), 6.72 (m, 2H), 6.85 (s, 1H), 7.2 (m, 4H), 7.40 (d, J = 7.3Hz, 1H), 7.82 (bs, 1H)。
【0220】
実施例25の合成:
ラセミtrans-[6-クロロ-3-(5-メトキシ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イル]-メチル-アミン(方法13)
【0221】
【化41】

【0222】
0.5 mLの乾燥1.2-ジクロロエタンにおける0.15 mmolジメチルブロモボラン(「Noeth, H., Vahrenkamp, H. Journal of Organometallic Chemistry 11(1968), 399-405」に従って合成)を、2 mLの乾燥1,2-ジクロロエタンにおける約0.1 mmolの[3-(3-アジド-6-クロロ-インダン-1-イル)-インドール-1-イル]-ホスホン酸ジフェニルエステルに添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。反応を1 mL 1 N NaOHおよび1 mLブラインの添加によりクエンチした。混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を減圧下で濃縮した。残渣を、室温で3時間、メタノールにおける3 mLの1M ナトリウムメトキシドで処理した。1 mLの酢酸を添加し、分取HPLC後に[6-クロロ-3-(1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イル]-メチル-アミンを単離した。
【0223】
以下の化合物を類似の方法で合成した:
実施例17:
ラセミtrans-[3-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イル]-メチル-アミン
【0224】
【化42】

【0225】
実施例18:
ラセミtrans-[3-(6-メトキシ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イル]-メチル-アミン
【0226】
【化43】

【0227】
実施例22:
ラセミtrans-[3-(4-クロロ-1H-インドール-3-イル)-6-フルオロ-インダン-1-イル]-メチル-アミン
【0228】
【化44】

【0229】
実施例26の合成:[(1R,3R)-3-(5-クロロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イル]-メチル-アミン(方法14)
【0230】
【化45】

【0231】
0.73g (1R,3R)-3-(5-クロロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イルアミンを200mLの1,2-ジクロロ-エタン、100mLの水および0.5mLの9N NaOHに懸濁した。
0.25mLのクロロギ酸メチル(1.2当量)および50mg Bu4NBrを添加した。反応混合物を室温で30分間撹拌した。有機相をMgSO4で乾燥し、減圧下で濃縮することにより、0.6gの[(1R,3R)-3-(5-クロロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イル]-カルバミン酸メチルを水性のワークアップ後に得た。[(1R,3R)-3-(5-クロロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イル]-カルバミン酸メチルエステルを、250 mLの乾燥THFに溶解し、0.6gのLiAlH4を添加した。反応混合物を2時間還流した。2 mLの水で反応をクエンチし、ろ過し、減圧下で濃縮することにより、油状物を得た。油状物を酢酸エチルに溶解し、室温で一晩静置して350mgの[(1R,3R)-3-(5-クロロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イル]-メチル-アミンを沈殿させた。
【0232】
キラルSFC:方法:カラム:5μMの粒子を有する250 x 4.6 mm Chiralcel AD-Hを室温で操作。クロマトグラフィーはエタノール中の0.1% (v/v)ジエチルアミンをモディファイヤーとして用いて、20 MPaの圧力下、3 ml/分の流速で行った。230 nmで検出。RTmajor = 2.89分、RTminor= 3.84分、88.6% ee。
LC/MS:方法C:RT=1.54分。UV-純度=95.21%、ELSD純度=100%。
13H-NMR (CDCl3): δ2.38-2.52 (m, 2H), 2.53 (s, 3H), 4.27 (dd, J = 3.9Hz, 6.6Hz), 4.77 (t, J = 7.4), 6.82 (s, 1H), 7.12 (dd, J= 2.0 hZ, 8.5Hz, 1H), 7.20-7.27 (m, 3H)7.37 (d, J = 2.0 Hz), 7.42 (d, J = 7.4Hz), 8.16 (bs, 1H)。
【0233】
ラセミcis-3-(7-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イル-メチル-アミンのキラル分離(方法15)
20 gのラセミcis-3-(7-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イル-メチル-アミン(方法10から)をキラルSFCによって精製することにより、9.3 gの[(1S,3R)-3-(7-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イル]-メチル-アミン(>99.5% ee)および9.5 gの[(1R,3S)-3-(7-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イル]-メチル-アミン(>99.5% ee)を得た。
【0234】
予備スケールのキラルSFC精製法:カラム:5μMの粒子を有するChiralcel OJ-H (2 x 25 cm) を35℃で操作。クロマトグラフィーは0.1% (v/v)ジエチルアミンを含む35%メタノールをモディファイヤーとして用いて、CO2(100 bar)中、50 ml/分の流速で行った。
【0235】
光学活性酸を用いるラセミcis-3-(7-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イル-メチル-アミンの分別晶出(方法16)
ラセミcis-3-(7-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イル-メチル-アミンの溶液(409mg/ 2ml EtOH)に、ジ-p-トルオイル-D-酒石酸の溶液(1当量;564mg/ 2mlアセトン)を添加した。混合物を50℃に加熱し、15分間撹拌した。溶剤を留去し、アセトンとともに粉砕した(2ml)。白色の固体(84%ee)を回収し、10 mlの熱EtOHとともに30分間撹拌した。残留白色固体を回収し、遊離塩基に変換することにより、[(1S,3R)-3-(7-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-インダン-1-イル]-メチル-アミンを得た(93%ee)。
【0236】
表A:測定分子量(M+H+)、測定HPLC-保持時間(Rt、分)およびUV-およびELSD-純度(%)。
【0237】
【表1】

【0238】
トランスポーター阻害アッセイ
<ラット皮質シナプトソームへの[3H]-5-HT取り込みの測定>
雄ウィスターラット(Wistar rats)(125〜225 g)由来の全脳を、小脳を除いて、ガラス/テフロン・ホモジナイザーを用いて、1mM のニアラミドを加えた0.40 Mショ糖中で均質化(homogenized)した。ホモジネート(homogenate)を4℃ において1000 x gで10分間遠心分離した。ペレット(pellet)を廃棄し、上清を40.000 x g で20分間遠心分離した。最終的に得られたペレットをアッセイ緩衝液中で均質化した(元の組織0.5 mg /ウェル)。試験化合物(または緩衝液)および10 nMの[3H]- 5-HTを96ウェルプレートに添加した。アッセイ緩衝液の組成:123 mM NaCl、4.82 mM KCl、0.973 mM CaCl2、1.12 mM MgSO4、12.66 mM Na2HPO4、2.97 mM NaH2PO4、0.162 mM EDTA、2g/lグルコースおよび0,2g/l アスコルビン酸。緩衝液は、10分間、95% 02/5% C02で処理することにより酸素を包含させた。組織を0.2 mLの最終アッセイ容量に添加することによりインキュベーションを開始した。放射性リガンドとともに37 oCで15分間インキュベーションした後に、サンプルを減圧下、ユニフィルターGF/Cガラスファイバーフィルター(0.1%のポリエチレンイミンで30分浸漬)で直接ろ過し、1 x 0,2 mlのアッセイ緩衝液で直ちに洗浄した。非特異的な取り込みは、シタロプラム(最終濃度10 μM)を用いて測定した。シタロプラムは、用量反応曲線のようなすべての実験において対照基準として含まれる。
【0239】
<ラット皮質シナプトソームへの[3H]ノルアドレナリンの取り込みの測定>
雄ウィスターラット(125〜225 g)由来の新鮮な後頭-、側頭-および頭頂葉皮質を、ガラス/テフロン・ホモジナイザーを用いて、0.4 Mショ糖中で均質化した。ホモジネートを4℃ において1000 x gで10分間遠心分離した。ペレットを廃棄し、上清を40.000 x g で20分間遠心分離した。最終的に得られたペレットを今回のアッセイ緩衝液:123 mM NaCl、4.82 mM KCl、0.973 mM CaCl2、1.12 mM MgSO4、12.66 mM Na2HPO4、2.97 mM NaH2PO4、0.162 mM EDTA、2g/lグルコースおよび0,2g/l アスコルビン酸中で均質化した(元の組織7,2mg/mL = 1 mg /140μl)。緩衝液は、10分間、95% 02/5% C02で処理することにより酸素を包含させた。ペレットを140倍容量のアッセイ緩衝液に懸濁した。組織を試験化合物と混合し、そして10分間のプレインキュベーションの後、10 nM [3H]-ノルアドレナリンを0.2 mLの最終容量まで添加して、混合物を37℃で15分間インキュベーションを行った。15分間インキュベーションした後に、サンプルを減圧下、ユニフィルターGF/Cガラスファイバーフィルター(0.1%のポリエチレンイミンで30分浸漬)で直接ろ過し、1 x 0,2 mLのアッセイ緩衝液で直ちに洗浄した。非特異的な取り込みは、タルスプラム(talsupram)(最終濃度10 μM)を用いて測定した。デュロキセチンが、用量反応曲線のようなすべての実験において対照基準として含まれる。
【0240】
<ラット皮質シナプトソームへの[3H]ドーパミンの取り込みの測定>
組織の調製:雄ウィスターラット(125〜250 g)を断頭により屠殺し、解剖により線条体を直ちに採取して、氷冷0.40 Mショ糖に入れた。該組織を徐々に均質化し(ガラステフロンホモジナイザー)、P2フラクションを遠心分離(1000 g、10分および40000 g、20分, 4℃)により得て、560容量部の改変Krebs-Ringerリン酸緩衝液(pH 7.4)に懸濁した。
【0241】
組織0.25 mg/ウェル(140μl)(初めの組織)を、試験懸濁液と混合した。室温でプレインキュベーションの5分後に、12.5 nMの3H-ドーパミンを添加して、該混合物につき室温(RT)で5分間インキュベーションを行った。最終容量は0.2 mLである。
【0242】
該インキュベーションを、サンプルを減圧下において1 x 0,2mlの緩衝液洗浄液を用いてWhatman GF/Cフィルターを通してろ過することにより終了させた。該フィルターを乾燥し、適当なシンチレーション液(Optiphase Supermix)を添加した。暗所で2時間置いた後に、放射活性含量を液体シンチレーション計測により測定した。100μMのベンズトロピンの存在下で測定した非特異的結合および受動輸送を差し引くことにより取り込み量を求めた。取り込み阻害の測定には、6桁の範囲をカバーする10個の濃度の薬物を使用した。
【0243】
3H-DA = New England Nuclear社製の3,4-(ring-2,5,6-3H)ドーパミン塩酸塩、比放射能30〜50 Ci/mmol。
【0244】
以下の参考文献は、参照することにより全体として本明細書に組み込まれる。
【0245】
Hyttel, Biochem. Pharmacol. 1978, 27, 1063-1068;
Hyttel, Prog. Neuro-Psychopharmacol. & bil. Psychiat. 1982, 6, 277-295;
Hyttel & Larsen, Acta Pharmacol. Tox. 1985, 56, suppl. 1, 146-153。
【0246】
表1に示すように、本発明化合物のモノアミントランスポーターにおける活性(IC50)を測定したところ、0.1〜200 nMの範囲内であった。
【0247】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

によって表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩であって、
式中、R1およびR2がそれぞれ独立して水素、C1-C8-直鎖または分岐アルキルまたはC3-C8-シクロアルキルであるか;またはR1およびR2およびこれらが連結する窒素がアゼチジン、ピペリジン、ピロリジン、アザパンまたはモルホリンを形成し;
R3がそれぞれ独立して水素、C1-C8-直鎖または分岐アルキル、C1-C5-アルコキシ、C1-C8-直鎖または分岐ポリフルオロアルキル、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、場合によりメチルで置換されたテトラゾール、またはアミノであるか;または隣接する炭素上における2つのR3基が一緒に組み合わされてメチレンジオキシリンカーを形成し;
R4が水素、C1-C8-直鎖または分岐アルキル、またはC3-C8-シクロアルキルであり;
R5がそれぞれ水素、ハロゲン、C1-C5-アルコキシ、C1-C8-直鎖または分岐アルキル、C1-C8-直鎖または分岐ポリフルオロアルキル、シアノ、またはヒドロキシルであり;
mが1〜4の整数であり;
nが1〜4の整数であり;そして
R6が水素、C1-C8-直鎖または分岐アルキル、またはフェニルである、
前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
前記化合物がシス異性体である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
前記化合物がトランス異性体である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
以下:
【化2】

からなる群から選択される式II〜Vの請求項1記載の化合物。
【請求項5】
R1が水素である、請求項4記載の式II、III、IVまたはVの化合物。
【請求項6】
R2がメチルである、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
R4が水素である、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
R3が水素、ハロゲンおよびメトキシからなる群から選択される、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
R3が水素またはハロゲンである、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
前記ハロゲンがフッ素または塩素である、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
R5およびR6が水素である、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
以下:
【化3】














からなる群から選択される化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項13】
請求項1、2、3、4または12のいずれか1つに記載の化合物の治療的有効量および薬学的に許容可能なキャリアーを含む医薬調合物。
【請求項14】
請求項1、2、3、4または12のいずれか1つに記載の化合物の治療的有効量を患者に投与することを含む、治療を必要とする患者における情動障害、疼痛性障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、認知障害、薬物乱用、禁煙または腹圧性尿失禁の治療方法。
【請求項15】
治療される情動障害が抑うつ障害および不安障害からなる群から選択される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
治療される抑うつ障害が、大うつ病性障害、メランコリー、産後うつ病、気分変調、双極性障害に伴ううつ病、アルツハイマー病に伴ううつ病、精神病に伴ううつ病、およびパーキンソン病に伴ううつ病からなる群から選択される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
治療される不安障害が、全般性不安障害、社会不安障害、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、恐慌性障害、パニック発作、特定恐怖症、対人恐怖症および広場恐怖症からなる群から選択される、請求項15記載の方法。
【請求項18】
治療される疼痛性障害が、線維筋痛症候群(FMS)、全身疼痛、背痛、肩痛、頭痛、ならびに覚醒中および生活活動中の疼痛からなる群から選択される、請求項14記載の方法。

【公表番号】特表2010−501601(P2010−501601A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525923(P2009−525923)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【国際出願番号】PCT/DK2007/000389
【国際公開番号】WO2008/025361
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(591143065)ハー・ルンドベック・アクチエゼルスカベット (129)
【Fターム(参考)】