説明

しわ取り要素を備える包袋及びその製造装置

【目的】被包装物を収容する包袋の開口縁に皺を発生させない製袋装置。
【構成】シール台11に向けて下動するシールバー12に、エンドレスチェン26を横長に設置し、該チェン26に、帯状台紙29の折り返し箆30と、滑車31とを備えるスライダー28を連結する。前記シールバー12の下動でシール台11上のチューブフイルム20を溶着しかつ切断している間、前記チェン26は前記のスライダー28を、前記チューブフイルム20の切断縁に沿って往復動させるが、この場合、前記箆30はその前進作用で前記の帯状台紙29を引き出し、同後退時、巻き取りロール43による前記台紙29の巻き取作用で、前記箆30の端縁部分で裏返る帯状台紙29から剥離する軟質テープの感圧接着面を、滑車31でもって前記チューブフイルムの開口縁に沿って接着する構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部分に皺を発生させない包袋及び、この包袋を製造する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被包装物を充填する例えば軟質プラスティック製などの包袋内部に嵩高い被包装物を収容し、その開口縁をシールバーで挟圧して溶着する場合、前記被包装物によって前記包袋は膨らみ、その開口縁には皺が形成される。特に前記被包装物を真空包装する場合、前記皺はしばしば気密を損なうという問題を発生させるので、一般には下記の特許文献1に開示するように、包袋への被包装物の充填と同時に前記開口縁に挿入した一対の開閉へらで同包袋の開口部を両側に緊張させて溶着しなければならないという作業能率面での問題がある。
【0003】
【特許文献1】特開2004−106934
【発明の開示】
【0004】
本発明は、包袋そのものに皺の発生がない要素を設けたもので、軟質材料により形成した包袋の開口縁に沿って、前記軟質材質の厚み同等、又はそれ以上の厚みの軟質テープを、前記開口幅とほぼ同等の長さに貼り付けて構成したものである。かかる包袋の開口縁における同包袋の構成材料の厚み同等、又はそれ以上の軟質テープの貼り付けにより剛性が付加され、かかる剛性は、強制的な前記開口縁の開閉に支障はないが、同開口縁での自然な小皺の発生を防止するのである。
【0005】
また前記テープの貼り付け装置は、平たいチューブフイルムを長手方向に間歇移送する運搬軌道に設置したシール台に向けて上域からシールバーを下動し、前記チューブフイルム停止中に、前記シールバーが備えるカット刃により前記チューブフイルムを切断してこの切断部の一側の切断端縁を開口状態に維持が、対向する他側の切断端縁全域を溶着する製袋シール装置において、前記シールバーにおける前記チューブフイルム開口縁と対向する側の面に、前記チューブフイルムの運搬軌道と平行なガイドレールを形成すると共に、前記シールバーが前記シール台に圧接している間に、帯状台紙の折り返し箆を備えるスライダーを前記ガイドレールに沿って一往復動させる動力機構と、前記折り返し箆に引っ掛けた前記帯状台紙の繰り出しロールと、同巻き取りロールとを前記シールバーの側域に設置し、前記スライダーと一体に移動する前記箆が前記両ロール群から離反する方向に移動するとき前記繰り出しロール及び前記巻取りロールの逆転作用でもって、前記箆の移動量と同量の前記帯状台紙の送り出しを許容する機構と、前記スライダーと一体に前記箆が前記両ロール群に接近する方向に移動するとき、前記巻取りロールでもって前記帯状台紙を緊張した状態で巻き取り、前記箆の端縁を裏返る帯状台から剥離する軟質テープの感圧接着面を、前記チューブフイルムの開口縁に沿って接着すると共に、前記箆を追跡する押圧子により前記テープを前記のチューブフイルムに圧着する機構とにより構成するもので、前記のシールバーでチューブフイルムを溶着、切断して製袋する作業と同時に、その開口縁にテープが張り付くから、別箇の作業工程を必要とせず、効率的であり、また包袋開口縁にテープを常に平行に貼り付け得る効果がある。
【0006】
前項に記載する装置は、シール台上の包袋に対してテープを貼り付ける構成、つまり前記包袋の片面のみにテープを貼り付ける構成である。しかしかかる構成を、シールバーとシール台とに上下対称に設置することにより、包袋の両面にテープを対称に貼り付ける構成が容易に成り立つから、前記装置は包袋の片面のみにテープを貼り付ける構成以外に、包袋の両面にテープを貼り付ける構成をも含み持つ構成であることを宣言するものである。
【実施例1】
【0007】
図1は装置全体の正面図で、該装置は、平坦な機台10上に固定したシール台11の上域にシールバー12を配置し、細長き同シールバー両端それぞれのボス13を、前記機台に立設したガイド棒14にスライド自在に支持し、ロッド15から加わる動力により前記シールバー12を、下域のシール台11に対して所定の時間間隔で圧接する構成である。
【0008】
前図の横向き平面を示す図2は、チューブフイルム20の運搬軌道16にベトコンベヤ17を配置し、同コンベヤは上下から前記のチューブフイルム20を挟持して長手方向に間歇移送する。
【0009】
図1において前記シールバー12の上面に設置する複数の流体シリンダー21は、図3に示すごとくシールバー12内部のカット刃22を上下に操作する動力体であり、図5に断面で示す前記シール台11に対して前記のシールバー12を押し付けたとき、前記カット刃22を溝23内に突入させて前記のチューブフイルム20を切断するのである。この場合シールバー12に設置した発熱フィラメント24へのインパルス電流印加により、前記チューブフイルム20における一側の切断端を溶着するのである。
【0010】
図1において前記シールバー12の前面に、複数のチェンブロック25に支持したエンドレスチェン26を横長に配置し、正逆転モータに連結する歯車27の回転によって、前記チェンに支持したスライダー28を往復動させることができ、図4のごとく前記スライダー28は、帯状台紙29折り返し用の楔型の箆30と、滑車により形成する押圧子31とを備えている。
【0011】
図5において、前記スライダー28の下部にに備わる軸受け32は、押圧子である前記滑車31の軸33を回転自在に支持する一方、前記スライダー28は前記のエンドレスチェン26でもって、シールバーに固定する一対のガイドレール34に沿って変位する構成であり、前記スライダー28の上面が接する定規板36を、その上の調整ねじ38との間に介設したコイルスプリング37の張力により押し下げ、同時に押圧子を形成する前記滑車31を下方向に押し勝手に設定する構成である。
【0012】
図1においてシールバー12の側域に配置するロール群40の詳細は図6に示すごとくであり、上域のリール41に支持するプラスティック製の帯状台紙29は、巻き戻しロール42によって前記の折り返し箆30に向けて送り出され、同箆30の先端で急角度に折り返される前記帯状台紙29は、巻き取りロール43を介して下域のリール44により巻き取る構成であって、スライダー28が矢印方向45に移動するとき、巻き戻しロール42の逆時計方向の回転で、リール41から台紙29を前記スライダー28の移動量と同量分だけ送り出し、一方巻き取りロール43は本来の回転方向とは逆方向への回転でテンションロール46を吊り上げ、同テンションロール46の重力で撓んだ台紙29を送り出す。この結果、前記箆30に対して、帯状台紙29に張り付く軟質テープ50の位置を変更することなく、スライダー28によって台紙29及びテープ50を一体に引き出すことが可能になるのである。
【0013】
その後、図7に示すごとく巻取りロール43で帯状台紙29を巻き取りながら、スライダー28を矢印方向47に変位させることで、前記箆30の部分で折り返される台紙29からテープ50は剥離して包袋20の上面に張り付き、前記箆30と同調移動で同箆を追跡する滑車31が、前記テープ50の下面の感圧接着面を、包袋20の開口縁に沿って圧着することになるのである(図8参照のこと)。
【0014】
図5におけるコイルスブリング37の張力により、前記押圧子である滑車31は常にテープ50への押圧力として作用するので、シールバー12を上動するまでは同滑車12は包袋20を機台11に押し付け付け、包袋の自由性を損なうことになる。その対策としては、調整ねじ38を貫通するピン49を電磁石(図示省略)によって吊り上げ、定規板36を浮上させて押圧子31の包袋20への干渉を取り除くことができる。
【0015】
なお図9は、スライダー28に対してピン60を介して支持したベルクランク61の押圧子62を、コイルスプリング63の張力でテープ50に押し付け、前記バネ63の張力に対して流体シリンダー64のピストン65の押力を作用させるこの実施例は、前記と同じ効果をもたらす構成である。
【実施例2】
【0016】
図5では包袋20の片面のみにテープ50を貼り付ける構成であるが、シールバー12に設けたスライダー28を、下域のシール台11にも対称的な状態で設置して包袋の両面にテープを貼り付ける構成を得ることができる。かかる構造では上下2個の押圧子である2つの滑車31が包袋20を隔てて向き合う。この場合、図6の帯状台紙29の巻き戻しロール42及び巻き取りロール79と2個のリールとからなる軟質テープの剥離装置を、上下に2組対称に配置して、包袋20の上下両面に軟質テープを貼り付けることを可能にするのである。
【0017】
図10に示すごとく包袋20に軟質テープ50を貼り付けた結果、前記包袋は、同包袋の構成材料が備える剛性に加えて、テープ50が備える剛性が加算される結果、開口部の緊張度が高まる。このため被包装物70を収容したことによる袋口の歪が少なくなり、仮想線のような加熱シール71をするを行う場合、予め特定の機械的しわ取り装置を用いて皺を取り除く必要がなくなり、シール能率を向上できるのである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】装置全体の簡略正面図
【図2】前図の平面図
【図3】図1の部分的断面拡大図
【図4】図1の部分的拡大図
【図5】前図におけるIV−IV視線図
【図6】帯状台紙に貼り付けたテープ剥離機構の説明図
【図7】帯状台紙に貼り付けたテープ剥離機構の説明図
【図8】帯状台紙に貼り付けたテープ剥離の説明図
【図9】スライダーの説明図
【図10】包装体の説明図
【符号の説明】
【0019】
12‥‥シールバー
16‥‥運搬軌道
20‥‥チューブフイルム
22‥‥カット刃
24‥‥加熱フイラメント
26、27‥‥往復動の動力機構
28‥‥スライダー
29‥‥帯状台紙
31‥‥押圧子
34‥‥ガイドレール
30‥‥折り返し箆
43‥‥台紙の繰り出しロール
46‥‥台紙の巻き取りロール
50‥‥軟質テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟質材料により形成した包袋の開口縁に沿って、前記軟質材質の厚み同等、又はそれ以上の厚みの軟質テープを、前記開口部の幅とほぼ同等長さに貼り付けて構成した包袋。
【請求項2】
平たいチューブフイルムを長手方向に間歇移送する運搬軌道に設置したシール台に向けて上域からシールバーを下動し、前記チューブフイルム停止中に、前記シールバーが備えるカット刃により前記チューブフイルムを切断してこの切断部の一側の切断端縁を開口状態に維持が、対向する他側の切断端縁全域を溶着する製袋シール装置において、
前記シールバーにおける前記チューブフイルム開口縁と対向する側の面に、前記チューブフイルムの運搬軌道と平行なガイドレールを形成すると共に、前記シールバーが前記シール台に圧接している間に、帯状台紙の折り返し箆を備えるスライダーを前記ガイドレールに沿って一往復動させる動力機構と、前記折り返し箆に引っ掛けた前記帯状台紙の繰り出しロールと、同巻き取りロールとを前記シールバーの側域に設置し、前記スライダーと一体に移動する前記箆が前記両ロール群から離反する方向に移動するとき前記繰り出しロール及び前記巻取りロールの逆転作用でもって、前記箆の移動量と同量の前記帯状台紙の送り出しを許容する機構と、前記スライダーと一体に前記箆が前記両ロール群に接近する方向に移動するとき、前記巻取りロールでもって前記帯状台紙を緊張した状態で巻き取り、前記箆の端縁を裏返る帯状台から剥離する軟質テープの感圧接着面を、前記チューブフイルムの開口縁に沿って接着すると共に、前記箆を追跡する押圧子により前記テープを前記のチューブフイルムに圧着する機構とからなる装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−137486(P2007−137486A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−335455(P2005−335455)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(000142850)株式会社古川製作所 (76)
【Fターム(参考)】