ひずみの測定方法及び測定システム
【課題】再帰反射性ビーズを有効に活用して、木材、金属材、樹脂材などのひずみ(変形)を簡便に測定できる方法を提供する。
【解決手段】物体のひずみを測定するに当り、被測定物体の測定面に再帰反射性ビーズを均一に付着させ、当該付着面に光を照射して、その反射量をひずみの発生前と発生後とで対比することにより、ひずみを測定する。
【解決手段】物体のひずみを測定するに当り、被測定物体の測定面に再帰反射性ビーズを均一に付着させ、当該付着面に光を照射して、その反射量をひずみの発生前と発生後とで対比することにより、ひずみを測定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材、金属あるいはその他の材料からなる各種物体のひずみ(変形)を測定する方法及びそれを行うためのシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築物やその他の構造物あるいはその部材などにおいて、用いられている木材、金属材、合成樹脂材、コンクリート材あるいはその他の材料が、外力などによって、時間と共にクリープ変形し、ついには破壊に至るため、使用中のひずみ(変形)の状態を知ること、さらには破壊に至るまでの余寿命を知ることは、長期的な安定使用のためには極めて重要である。
【0003】
物体のひずみ測定法としては様々な測定方法が知られている。最も一般的なひずみ(変形)の測定方法は、その寸法変化を実測する方法であり、物体の表面上に目印を2ヶ所以上刻印しておき、目印間の距離の変化を測定する方法が古くから採用されてきた。しかし、これらの寸法測定では、局所的な変形を測定することが困難なため、微小部分のひずみ測定方法として、材料の被測定部分の表面を研磨しその面の炭化物などを抽出し、その分布状態を電子顕微鏡にて観察し測定する方法もあるが、材質により変化の現れ方が異なるとか、寿命の終期に近づかなければ十分な確度で測定できないなどの難点がある。
【0004】
これに対し、スペックルパターンによる微小部分の変形測定方法を、このクリープ変形のひずみ量の測定に利用しようという提案がある。このスペックルパターンによるひずみ測定方法とは、例えば、物体の表面に細かい凹凸を付け、それによる反射光映像をあらかじめ撮影しておき、応力が加えられ変形した後、再度反射光映像を撮影し、両者の映像の差からデジタル画像処理技術により変位を測定して、ひずみの大きさやその分布を知る方法である。しかし、この方法は、材料によっては長期間の使用でその表面状態が大きく変化して反射光も大きく影響を受ける。そこで、表面変化の影響を避けるため、被測定部分の表面に環境により影響されない安定な薄い皮膜(例えば白金箔など)を取り付け、その皮膜のスペックルパターン変化の測定により目的とする部分の微少ひずみを測定する方法も提案されている。(下記特許文献1及び非特許文献1参照)。この場合、被測定部分に白金箔を溶接しておき、この白金箔の表面凹凸によるスペックルパターンを利用する。白金は高温長時間の使用の間表面が酸化することなく、箔にして被測定金属部材などの表面に溶接すれば部材の変形に応じて変形し、部材のひずみ及びその分布は上記スペックルパターン測定の方法にて測定が可能であると説明されている。
【0005】
また、試験体の伸びや縮みを電気的に測定するひずみゲージによる方法もよく知られている。例えば、試験片のひずみ量を測定するひずみセンサにおいて、試験片のひずみ量を測定する部分に設置された超磁歪材料と、前記超磁歪材料の近傍に前記超磁歪材料と、非接触状態で設置された前記超磁歪材料が前記試験片に追従して変形することで発生する磁界の電磁誘導によって電流を誘起するコイルとを設け、前記電流の電流値を測定し、この電流値と既知の超磁歪材料のひずみ量と電流値との関係とから試験片のひずみ量を算出する方法が知られている(下記特許文献2参照)。これは、静的・動的・衝撃的応力測定を可能とするが、弾性領域を越えてしまうとひずみ測定が行えない。
【0006】
弾性領域を越えたひずみ測定には、高精度、非接触、高速、全視野測定の利点を有する光学的測定方法を用いるのが好ましいとされている。かかる光学的測定方法の一例として、試験材料に固定する固定部と該固定部と一体的に形成された測定部とを備えた少なくとも2個の測定治具と、該測定治具の対向する測定部間の変位をレーザ光によって測定する測定手段(レーザ測長機)とからなる測定装置を用い、試験片の標点位置に測定治具の固定部を取り付け、レーザ測長機のレーザ発振機から測定部に側方からレーザ光を照射し、検出器により受光・検出して測定部間の変位を測定することにより、試験片の標点間の変位を測定する方法が提案されている(下記特許文献3参照)。しかし、一般に、光学的測定方法は原理理解に時間を要すこと、使いやすい装置が市販されていないこともあって普及していない。
【0007】
【特許文献1】 特開2005−291979号公報
【特許文献2】 特開2004−219105号公報
【特許文献3】 特開平10−89950号公報
【非特許文献1】 アール、ヴァンヴルペン(R.van Vulpen)他著「高温用部材における補修溶接部のクリープひずみ測定(Creep Monitoring of Repair Welds in High Temperature Components)」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上の如き従来の測定方法は、局所ごとの正確な変形量を測定することが困難であるとか、白金箔のような高価な測定手段を要するとか、あるいは測定のために大掛かりな器具、装置を要するなどの問題がある。
本発明の目的は、このような従来の測定法の問題を解決し、簡単に材料のひずみを簡便にかつ正確に測定できる、精度の高い測定法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記の目的を達成すべく鋭意研究の結果、再帰反射性ビーズに着目した。ここで「再帰反射性」とは、反射材を塗布した表面において光源から発した光が再び光源に向かって戻ってくる反射現象をいう。かかる再帰反射性ビーズはロードマーキングや道路標識などに広く使用されているが、本発明では、そのような性質の再帰反射性ビーズ(以下、単に「反射ビーズ」ということがある)を塗布した木材などの材料に荷重を与えて横圧縮変形を観察し、該木材などが弾性領域を越えても、その表面に塗布した反射ビーズからの反射光の変化を観察することで、木材などのひずみ(変形)の測定を行うことが可能であることを見出した。
そして、かかる知見に基づきさらに研究を重ね、ひずみ(変形)を簡単かつ正確に測定できる本発明の方法を完成した。
すなわち、観察している箇所と木材などの被測定物体全体のひずみとの間に誤差が生じると予想し、試験機が表示する被測定物体全体のひずみと反射ビーズによる反射光の変化との関係を検討したところ、被測定物体表面に均一に付着させた反射ビーズの挙動は該物体の変形(ひずみ)と連動し、圧縮荷重が加わり物体の表面に収縮が起きたときは、その表面に塗布されている反射ビーズの間隔が狭まり、その表面の単位面積当りに存在する反射ビーズが占める総面積は大きくなり、分布密度が高くなる。したがって反射光の強さ(反射光量)も増加する。その結果として、物体に光が照射され圧縮が進行していくと圧縮部分の反射光の強さ(反射光量)も増えるので、それを測定すればひずみを定量的に測定できることになる。また、曲げ変形が生じたときは、変形に応じて局所的に単位面積当りの反射ビーズの総面積が変わるため、これを測定すれば、曲げによるひずみの状態を知ることができる。
【0010】
かくして、本発明によれば、以下のような測定方法が提供される。
(1)物体のひずみを測定するに当り、被測定物体の表面に再帰反射性ビーズを均一に付着させ、その面に光を照射して、該再帰反射性ビーズからの反射光の変化を調べることにより、ひずみを測定することを特徴とするひずみの測定方法。
(2)被測定物体の表面に接着剤を均一に塗布し、再帰反射性ビーズを分散させた気体を接着剤塗布面に接触させることにより、被測定物体の表面に再帰反射性ビーズを均一に付着させることを特徴とする請求項1記載のひずみの測定方法。
(3)ひずみ発生時にデジタルカメラで反射ビーズ付着面からの反射光を撮影し、その撮影画像から単位面積当りの反射ビーズの総面積を算出することにより、反射光の変化を調べることを特徴とする請求項1記載のひずみの測定方法。
(4)ひずみ発生前及び発生時にデジタルカメラで反射ビーズからの反射光を撮影し、各撮影画像を合成して、ひずみの経緯を観察することを特徴とする請求項1記載のひずみの測定方法。
さらに、本発明によれば、上記の方法を実施する手段として、以下のような測定システムが提供される。
(5)再帰反射性ビーズを付着させた被測定物体の表面に光を照射する手段と、該再帰反射性ビーズからの反射光を撮影してデジタル画像にする手段と、撮影したデジタル画像を解析して単位面積当たりの反射ビーズの総面積を算出する手段とを備えることを特徴とするひずみの測定システム。
(6)再帰反射性ビーズを付着させた被測定物体の表面に光を照射する手段と、該再帰反射性ビーズからの反射光を撮影してデジタル画像にする手段と、撮影したデジタル画像を合成してひずみの経緯を画像表示する手段とを備えることを特徴とするひずみの測定システム。
【発明の効果】
【0011】
本発明の方法及びシステムによれば、再帰反射性ビーズを有効に活用することにより、簡単にかつ正確に物体のひずみを測定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<被測定材料について>
本発明による測定法は、木材、金属材、合成樹脂材などの材料において、外力によって生じたひずみ(変形)を正確に測定することが可能であり、被測定材料の大きさや材質には制限がない。
【0013】
<再帰反射性ビーズの被測定材料への付与について>
本発明の方法によれば、まず、被測定材料の表面に再帰反射性ビーズを均一付着させる。この再帰反射性ビーズ(以下、単に「反射ビーズ」ということがある)としては、透明ガラスビーズ単体又は部分的に埋設した部分に反射膜を備えるガラスビーズが使用できる。該反射ビーズの直径は、通常40〜200μm、好適には50〜150μmの範囲である。かかる再帰反射性ビーズは、ロードマーキングや道路標識などに広く使用されているもので、容易に入手可能である。
反射ビーズは、入射光がその方向へ反射が可能なように、被測定材料の表面に部分的に埋設させて接着される。
このため、被測定材料の表面に接着剤を均一に塗布し、接着剤塗布面に反射ビーズを均一に散布して接着させる方法や、その面を反射ビーズが飛散している反射ビーズ分散気体と接触させて、反射ビーズを付着させる方法などが採用される。
反射ビーズの付着密度は、被測定材料に応じて適宜選択すべきであるが、多くの場合、被測定材料の表面積1cm2当り、約1000個〜10000個の範囲が適当である。
【0014】
<光照射及び反射光の測定について>
本発明では、通常、少なくともひずみ発生前と発生後に2回にわたり、被測定物体の反射ビーズを付与した面に光を照射し、その反射光を測定する。反射光の測定では各箇所における反射光量を見るが、これは、単位面積当りの反射ビーズの総面積と比例するので、該総面積を求めることで反射光量を知ることもできる。
光の照射手段としては、例えば垂直落射照明装置(LSGA斜照明装置、SZ−VIA/垂直落射装置アタッチメント、TL−3−100 6V20W型トランス)などが採用されるが、これらに限定されるものではない。光の照射に際しては、光線が被測定物体の反射ビーズ付着面に対して直角に入射するよう調整する。
反射光量を見るには、光照射した面をデジタルカメラで撮影するのが好ましい。デジタルカメラで撮影する際、各試験片における反射ビーズの付着面積、圧縮で変化する単位面積当りの反射ビーズ総面積で反射光量が変わるため、そのような微妙な色合いの変化を一定に保つことは難しい。そこで、毎回圧縮前の試験片で、実際の撮影状況に適切なホワイトバランスをデジタルカメラに記憶させておき、色合いを調整するのが好ましい。
これらの撮影作業は、試験片のひずみ発生途中で行うこともでき、例えば、被測定物体に段階的に増大する荷重を加えつつ、荷重ごとに撮影してひずみを測定することもできる。
【0015】
<ひずみの測定について>
ひずみの測定は、反射光から単位面積当りの反射光量(換言すれば、反射ビーズの総面積)を測定することで行う。例えば、測定前工程として、デジタルカメラにてプログラムモードで撮影した画像をPCに取り込み、画像解析ソフト(Adobe Photoshop 6.0など)で加工し、各画像をグレースケール化する。その後、画像解析ソフト(Scion Imageなど)を用いて、撮影範囲内の反射ビーズ総面積を測定することで、反射光の強さを間接的に定量化することができる。この方法は、例えば、変形前の画像撮影時と変形後の画像撮影時にかなりの時間差があった場合には、このようにして面積を測定して反射光の強さ(反射光の量)を求めた方が照明光の強さや環境条件の変化の影響を受けにくいという利点がある。
図6〜図9は、このように撮影した画像であり、図6及び図7は圧縮変形前後の画像、図8及び図9は曲げ変形前後の画像である。変形前後の画像における単位面積当り反射ビーズの占める総面積、すなわち反射ビーズの密度を測定・対比することによって各部分のひずみを知ることができる。
【0016】
<画像合成によるひずみ変化の画像表示について>
反射ビーズを用いた変形測定を違う視点でとらえると、反射ビーズの挙動そのものに着目し、ひずみ発生時の力の分布を画像化することができる。
例えば、材料の圧縮試験を行い、圧縮条件ごとにデジタルカメラで撮影して得られた複数の画像を、Adobe Photoshop 6.0などのレイヤー機能を用い重ね合わせて合成すると、反射ビーズが木材の変形に伴い、その力の分布を示すかのように様々な模様を作り出す。
【0017】
その一例として、図10に、圧縮前の木材とある程度ひずませた木材の中心を基準として合成した写真画像を示す。図10には、反射ビーズが模様を描かない部分も確認できるが、その部分は木材の変形が起こっていないと考えてよい。この写真画像では、横圧縮の場合、荷重側の軟らかい早材から圧縮され硬い晩材に力が伝達され、次の年輪界に力が伝達されていくことがわかる。また、図10の合成写真画像では左上から右下に年輪界が走っている。それとは相反する形で反射ビーズの挙動が確認できない部分がある。この部分は、荷重方向に対して年輪界が直交していないので各年輪に対して力が伝わる時間が異なると考えられる。つまり、反射ビーズの挙動が起きなかった部分は荷重を与えても力が伝達するのに時間がかかり、反射ビーズの挙動が大きい部分は力の伝達が早くひずみが起こっていると推定できる。
【0018】
また、図13の写真は、曲げ試験を行った板目面を撮影し、荷重を与える前と破壊寸前の画像を合成したもので、この画像も試験片の中央で重ね合わせて合成したものである。図13の合成写真では、中心部では反射ビーズの挙動は見られず、中心部を避けるように引張り側から荷重側に弧を描きながら移動しているように見える。これらは、木材にかかる力の分布を示していると考えられる。この写真合成による方法を確立することで木材以外の材料にも応用でき、光弾性実験のような高額で手間のかかる方法にかわる新しい変形測定になり得る。
【実施例】
【0019】
以下、本発明方法に従って、測定した実験例について詳述する。ただし、本発明の範囲はこれらの実験例によって限定されるものではない。
【0020】
[実施例1]
<実験装置>
実験装置として、図1に示すように、島津万能試験機(島津製作所、AGS−H)のクロスヘッド部にデジタルカメラ(オリンパスE−300)を取付けて使用した。試験機が圧縮を始めるとデジタルカメラはクロスヘッドの動きに伴って移動するが、その際、最初の観察位置とクロスヘッド移動後の観察位置がずれても常に定点観察を行えるように上下移動機構を取り付けた。デジタルカメラに接写レンズ、垂直落射照明装置(LSGA 斜照明装置、SZ−VIA/垂直落射装置アタッチメント、TL−3−100 6V20W型トランス)を取付け、反射ビーズの再帰性反射光を撮影できるようにした。予備実験より試験片を圧縮していくと試験片自体が接線方向に大きく変形することが分かったので、アルミ枠で変形を拘束した(内寸40×40×40mm,厚さ10mm)。
【0021】
<供試材料>
供試材料としてはスギ(Cryptomeria japonica D.Don)を用いた。試験片の寸法は図2に示すように、(a)繊維方向40mm、接線方向39.5mm、放射方向39mmのものと(b)繊維方向40mm、接線方向39mm、放射方向39mmのものとの2種類用意した(寸法aの試験片をRED、寸法bの試験片をBLUEとし、試験片の区別した)。放射方向をアルミ枠の内寸よりも1mm小さくしたのは、圧縮治具をスムーズに誘導するためである。試験片を2種類用意したのは、接線方向の寸法を変えると圧縮治具との摩擦に変化が生じると予想し、荷重−ひずみ曲線に違いが現れるかを知るためである。また、アルミ枠具との空間は狭い方が撮影時ピントの一定に都合が良いことがわかったので、狭い隙間で生ずる摩擦を小さくするため、治具内側面にシリコンパットエアゾールを噴霧した。
上記各試験片の木口面表面にスプレーのり(住友スリーエム株式会社製、「スリーエムスプレーのり55」)を約1秒むらなく塗布し、試験片と再帰性反射ビーズの1種である自反射型ガラスビーズ(株式会社ユニオン製、自反射ユニオンビーズUB−24MSJ、平均径45μm、組成BaO−SiO2−TiO系ガラス、屈折率1.93±0.01、比重4.02±0.1)を、図3に示すボール型吹き付け装置に収め、エアスプレーで反射ビーズを巻き上げ、反射ビーズが試験片上面に降りかかるようにして付着させた。
【0022】
<圧縮試験>
島津万能試験機(島津製作所、AGS−H)を用い、試験片の放射方向に横圧縮荷重を与えた。圧縮速度は0.5mm/分で一定とし、ひずみ0〜50%当りまでの横圧縮試験を実施した。
【0023】
<写真撮影>
前記の圧縮試験と並行して、反射ビーズを付着させた試験片表面を、接写レンズを取り付けたデジタルカメラで、ひずみ5%ごとに撮影した。撮影箇所は木口面の中央部を設定した。撮影面は垂直落射照明装置(LSGA斜照明装置、SZ−VIA/垂直落射装置アタッチメント、TL−3−100 6V20W型トランス)で照射し、明るさの調節目盛は、肉眼でも反射光が確認しやすい6に設定した。無負荷状態でカメラのピントを合わせ、縦11.5mm、横15.5mmを撮影範囲とした。画像解析時マイクロメータが読み取れる限界の接写倍率(1pixel:0.216μm)とした。
デジタルカメラで撮影する際、各試験片における反射ビーズの総面積、圧縮で変化する反射ビーズ総面積で反射光量が変わるため、そのような微妙な色合いの変化を一定に保つことは難しい。そこで毎回圧縮前の試験片で、実際の撮影状況に適切なホワイトバランスをデジタルカメラに記憶させた。
圧縮が進行すると試験片上面の単位面積当りの反射ビーズの総面積が増え、反射光の量も増加する。その際、反射光を純粋に目で確認できるようにするため、絞りとシャッター速度を自ら設定できるマニュアル(M)モードで撮影した。そして、反射光が増えても絞りとシャッター速度を変えずに撮影し、その画像の光の強さを肉眼で判断した。次に、マニュアル(M)モードで撮影後すぐ、被写体の明るさに応じて適正な絞りとシャッター速度をカメラが自動的に設定するプログラム(P)モードでも撮影を行った。反射光が増えても適正露出で撮影することで、後に画像解析を行うに当り反射ビーズ総面積を正確に計算できる。前記2つのモードを時間差なく撮影し、ひずみごとの画像として保存した。
【0024】
<ひずみの測定>
測定の前工程として、プログラム(P)モードで撮影した画像をPCに取り込み、画像解析ソフト(Adobe Photoshop 6.0)で加工した。各画像をグレースケール化し、十字に4分割してそれぞれをTIFF形式で保存した。続いて画像解析ソフト(Scion Image)を用いて、撮影範囲内のガラスビーズ総面積を測定した。分割した4ヶ所での測定結果を合算し総面積とした(図4のフローチャート参照)。
【0025】
<画像解析ソフトの条件設定>
画像解析を行うに当たっては、画像から反射ビーズの部分だけを選択しなければならない。このため明度分布範囲(Density Slice値)の設定を行った。これは対象画像中の特定の明度分布範囲を画像上で指定する作業で、明度分布の上限、下限を指定することによって、ある明度の範囲だけを抽出することができる。
ランダムに選んだ試験片(BLUE 17)を用いて、Lower値を1に固定しUpper値を8階調ごとに変化させ、ひずみ0%、25%、51.61%(最大荷重)時の反射ビーズ層面積の変化を測定した。その結果を表1に示す。測定した数値をグラフで確認したところ、図5に示すとおり、各ひずみにおける反射ビーズ面積はUpper値96当りまで安定して増加した。しかし、それを過ぎると急激に反射ビーズ面積は増加の傾向をたどった。ここでは、反射ビーズ以外の明度分布を選択していると推定できる。従って、明度256階調のうち1(黒側)〜96(白側)の範囲内で抽出された画素を反射ビーズによる反射光とした。
【0026】
【表1】
【0027】
<反射ビーズ総面積の測定>
画像は画素から構成され、反射したビーズ部分の画素の面積を測定し、反射ビーズ面積に換算した。反射ビーズの反射光は反射膜の角度によって異なるため、最小のビーズ反射光面積の画素数を1pixelとし、同様にひずみが進行すると共に反射ビーズ同士が密集しその面積も大きくなるので、最大のビーズ反射光面積の画素数を99999pixelに設定した。
【0028】
<試験片の観察>
図8、図9及び図11、図12は、試験片BLUE2、13RED6の木口面(マニュアルモード(M)、グレースケール化後)にビーズを付着させ、その面に光を当ててデジタルカメラで撮影した写真画像であって、図8と図9は圧縮試験の前と後の写真画像であり、図11と図12は、曲げ試験の前と後の写真画像である。このような画像を用いて反射ビーズの総面積を測定した。ひずみが大きくなると早材部が圧縮され、反射ビーズが密集し、年輪に沿って縞状の模様が現れた。また、その模様が画像内で均一に現れるのではなく、試験片上部から段階的に発生するのが分かった。今回、試験片木口面の中心を定点観察したので試験片上部から順々にひずみ、密集した反射ビーズが画像内に入り込んできたといえる。ひずみが進み、反射ビーズが密集してくると反射光も明るくなることが肉眼でもはっきり確認できた。
【0029】
<解析結果>
まず、画像内で目印となる反射ビーズを上下2ヶ所選定し、ひずみごとにビーズ間の距離を測定した。ひずみが生じていないときの距離をA0、ひずみが生じたときの距離をAnとし(A0−An)×100/A0から撮影範囲ひずみを算出した。その結果図6(試験機表示ひずみに対するビーズ面積増加率と撮影範囲ひずみの関係)に示すように全体のひずみと撮影範囲のひずみにはいくらか誤差が生じていることが分かった。一方ひずみが生じていないときの反射ビーズ面積をB0、ひずみが生じたときのガラスビーズ面積をBnとし(Bn−B0)×100/B0から反射ビーズ面積増加率を算出した(下記の表2参照)。なお、試験機表示ひずみは万能試験機が表示した試験片全体の平均ひずみである。
【0030】
図6に示すように反射ビーズも総面積(以下「ビーズ面積」と略す)は圧縮が始まっても万能試験機が表示する試験片全体のひずみが小さい時点ではほとんど変化をみせなかった。しかし、ひずみが10%を越えるとビーズ面積は徐々に増加し、約20%を過ぎると急激に増加した。これは圧縮側から順々にひずみ、密集したガラスビーズが画像内に入り込んできたことを証明するものである。つまり全体のひずみと局所的なひずみには時間差が生じることがいえる。
【0031】
次に、観察範囲ひずみとビーズ面積増加率との関係を調べると、表2及び図7(撮影範囲のひずみと反射ビーズ総面積との関係)に示す通りであった。この2つの関係に近似曲線を与えると、比例関係にはならず2次関数曲線を描いた。
圧縮試験結果から、つぶれる早材の順序は予測不可能であるが、2次関数曲線の傾向、又は数式より解析することで、ひずみごとの詳細なデータを得ることができると考える。
しかし、いくつかの試験片では木材の弾性領域を越えると、圧縮治具を併用しているため接線方向に膨張する。このため圧縮が進むとカメラのピントがずれてしまい正しい解析ができない問題が発生することがあった。この解決策として弾性領域内はひずみゲージを併用し、弾性領域を越えた時にカメラのピントを合わせ撮影する方法を採用した。
【0032】
【表2】
【0033】
以上詳述した一連の実験により、次のことが確認できた。
1)撮影画像より、早材がつぶれ反射ビーズが密集して縞状の模様が試験片上部から観察できる。
2)画像解析の結果より、試験片の圧縮が進行すると反射ビーズ面積が増加する。また、全体のひずみと局所的なひずみには時間差が生じる。
【0034】
[実施例2]
反射ビーズを用いた木材の変形測定を違う視点で考えると、反射ビーズの挙動そのものに着目することができると考え、以下の実験を行った。
すなわち、上記と同様に圧縮試験を行い、同時にデジタルカメラで撮影した。得られた画像を、Adobe Photoshop 6.0のレイヤー機能を用い重ね合わせたところ、反射ビーズが木材の変形に伴い、その力の分布を示すかのように様々な模様を作り出した。試験片はスギ(Cryptomeria japonica D.Don)を用い、寸法は繊維方向1mm、接線方向1mm、放射方向2mmに設定した。圧縮前の木材とある程度ひずませた木材の中心を基準とし合成した画像が図10の写真である。この写真には反射ビーズが模様を描かない部分が確認できるが、その部分は木材変形が起っていないと考えられる。横圧縮の場合、荷重側の軟らかい早材から圧縮され硬い晩材に力が伝達され、次の年輪界に力が伝達されていくと考えられる。また、図10の写真では左上から右下に年輪界が走っている。それとは相反する形で反射ビーズの挙動が確認できない部分がある。つまり、荷重方向に対して年輪界が直交していないので各年輪に対して力が伝わる時間が異なると考えられる。反射ビーズの挙動が起きなかった部分には荷重を与えて力が伝達するのに時間がかかり、反射ビーズの挙動が大きい部分は力の伝達が早くひずみが起こっていると推定できる。
【0035】
一方、図13の写真は、曲げ試験において板目面を撮影し、荷重を与える前と破壊寸前との画像を合成したもので、この画像も試験片の中央で重ね合わせた。試験片にスギ(Cryptomeria japonica D.Don)を用い、寸法は繊維方向300mm、接線方向12mm、放射方向12mmに設定した。スパンは280mmに設定した。興味深いことに、中心部では反射ビーズの挙動は見られず、中心部を避けるように引張り側から荷重側に弧を描きながら移動しているのが見える。これらは、木材にかかる力の分布を示しているようで大変興味深い。
以上の実験より、反射ビーズの挙動を合成画像で観察することにより、材料にかかる力分布をあらわす模様を確認することができることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明によれば、反射ビーズをうまく利用することにより、木材、金属、プラスチックスからなる構造材や部材などのひずみを簡便に測定することができ、特に、写真画像を合成することにより局所的なひずみの生じ方を知ることができるので、予め使用しようとする部材についてひずみの発生具合を確認したり、既に構造物などを構成している構造材に生じたひずみなどを容易にかつ低コストで測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施例で使用した実験装置の模式図
【図2】実施例で使用した試験片の形状・寸法の説明図
【図3】実施例で使用したボール型反射ビーズ吹き付け装置の模式図
【図4】反射ビーズの総面積を算出する画像解析のフローチャート
【図5】特定濃度分布範囲と反射ビーズ面積の関係を表わすグラフ
【図6】試験機表示ひずみに対するビーズ面積増加率と撮影範囲ひずみの関係を表わすグラフ
【図7】撮影範囲ひずみとビーズ面積の関係を表わすグラフ
【図8】圧縮前の試験片のデジタル写真
【図9】圧縮後の試験片のデジタル写真
【図10】圧縮試験片測定時の合成実体写真
【図11】曲げ試験前の試験片のデジタル写真
【図12】曲げ試験後の試験片のデジタル写真
【図13】曲げ試験片測定時の合成実体写真
【符号の説明】
【0038】
1 万能試験機
2 上下・前後移動装置
3 アングル
4 試験片・圧縮治具
5 デジタルカメラ
6 垂直落射照明装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材、金属あるいはその他の材料からなる各種物体のひずみ(変形)を測定する方法及びそれを行うためのシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築物やその他の構造物あるいはその部材などにおいて、用いられている木材、金属材、合成樹脂材、コンクリート材あるいはその他の材料が、外力などによって、時間と共にクリープ変形し、ついには破壊に至るため、使用中のひずみ(変形)の状態を知ること、さらには破壊に至るまでの余寿命を知ることは、長期的な安定使用のためには極めて重要である。
【0003】
物体のひずみ測定法としては様々な測定方法が知られている。最も一般的なひずみ(変形)の測定方法は、その寸法変化を実測する方法であり、物体の表面上に目印を2ヶ所以上刻印しておき、目印間の距離の変化を測定する方法が古くから採用されてきた。しかし、これらの寸法測定では、局所的な変形を測定することが困難なため、微小部分のひずみ測定方法として、材料の被測定部分の表面を研磨しその面の炭化物などを抽出し、その分布状態を電子顕微鏡にて観察し測定する方法もあるが、材質により変化の現れ方が異なるとか、寿命の終期に近づかなければ十分な確度で測定できないなどの難点がある。
【0004】
これに対し、スペックルパターンによる微小部分の変形測定方法を、このクリープ変形のひずみ量の測定に利用しようという提案がある。このスペックルパターンによるひずみ測定方法とは、例えば、物体の表面に細かい凹凸を付け、それによる反射光映像をあらかじめ撮影しておき、応力が加えられ変形した後、再度反射光映像を撮影し、両者の映像の差からデジタル画像処理技術により変位を測定して、ひずみの大きさやその分布を知る方法である。しかし、この方法は、材料によっては長期間の使用でその表面状態が大きく変化して反射光も大きく影響を受ける。そこで、表面変化の影響を避けるため、被測定部分の表面に環境により影響されない安定な薄い皮膜(例えば白金箔など)を取り付け、その皮膜のスペックルパターン変化の測定により目的とする部分の微少ひずみを測定する方法も提案されている。(下記特許文献1及び非特許文献1参照)。この場合、被測定部分に白金箔を溶接しておき、この白金箔の表面凹凸によるスペックルパターンを利用する。白金は高温長時間の使用の間表面が酸化することなく、箔にして被測定金属部材などの表面に溶接すれば部材の変形に応じて変形し、部材のひずみ及びその分布は上記スペックルパターン測定の方法にて測定が可能であると説明されている。
【0005】
また、試験体の伸びや縮みを電気的に測定するひずみゲージによる方法もよく知られている。例えば、試験片のひずみ量を測定するひずみセンサにおいて、試験片のひずみ量を測定する部分に設置された超磁歪材料と、前記超磁歪材料の近傍に前記超磁歪材料と、非接触状態で設置された前記超磁歪材料が前記試験片に追従して変形することで発生する磁界の電磁誘導によって電流を誘起するコイルとを設け、前記電流の電流値を測定し、この電流値と既知の超磁歪材料のひずみ量と電流値との関係とから試験片のひずみ量を算出する方法が知られている(下記特許文献2参照)。これは、静的・動的・衝撃的応力測定を可能とするが、弾性領域を越えてしまうとひずみ測定が行えない。
【0006】
弾性領域を越えたひずみ測定には、高精度、非接触、高速、全視野測定の利点を有する光学的測定方法を用いるのが好ましいとされている。かかる光学的測定方法の一例として、試験材料に固定する固定部と該固定部と一体的に形成された測定部とを備えた少なくとも2個の測定治具と、該測定治具の対向する測定部間の変位をレーザ光によって測定する測定手段(レーザ測長機)とからなる測定装置を用い、試験片の標点位置に測定治具の固定部を取り付け、レーザ測長機のレーザ発振機から測定部に側方からレーザ光を照射し、検出器により受光・検出して測定部間の変位を測定することにより、試験片の標点間の変位を測定する方法が提案されている(下記特許文献3参照)。しかし、一般に、光学的測定方法は原理理解に時間を要すこと、使いやすい装置が市販されていないこともあって普及していない。
【0007】
【特許文献1】 特開2005−291979号公報
【特許文献2】 特開2004−219105号公報
【特許文献3】 特開平10−89950号公報
【非特許文献1】 アール、ヴァンヴルペン(R.van Vulpen)他著「高温用部材における補修溶接部のクリープひずみ測定(Creep Monitoring of Repair Welds in High Temperature Components)」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上の如き従来の測定方法は、局所ごとの正確な変形量を測定することが困難であるとか、白金箔のような高価な測定手段を要するとか、あるいは測定のために大掛かりな器具、装置を要するなどの問題がある。
本発明の目的は、このような従来の測定法の問題を解決し、簡単に材料のひずみを簡便にかつ正確に測定できる、精度の高い測定法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記の目的を達成すべく鋭意研究の結果、再帰反射性ビーズに着目した。ここで「再帰反射性」とは、反射材を塗布した表面において光源から発した光が再び光源に向かって戻ってくる反射現象をいう。かかる再帰反射性ビーズはロードマーキングや道路標識などに広く使用されているが、本発明では、そのような性質の再帰反射性ビーズ(以下、単に「反射ビーズ」ということがある)を塗布した木材などの材料に荷重を与えて横圧縮変形を観察し、該木材などが弾性領域を越えても、その表面に塗布した反射ビーズからの反射光の変化を観察することで、木材などのひずみ(変形)の測定を行うことが可能であることを見出した。
そして、かかる知見に基づきさらに研究を重ね、ひずみ(変形)を簡単かつ正確に測定できる本発明の方法を完成した。
すなわち、観察している箇所と木材などの被測定物体全体のひずみとの間に誤差が生じると予想し、試験機が表示する被測定物体全体のひずみと反射ビーズによる反射光の変化との関係を検討したところ、被測定物体表面に均一に付着させた反射ビーズの挙動は該物体の変形(ひずみ)と連動し、圧縮荷重が加わり物体の表面に収縮が起きたときは、その表面に塗布されている反射ビーズの間隔が狭まり、その表面の単位面積当りに存在する反射ビーズが占める総面積は大きくなり、分布密度が高くなる。したがって反射光の強さ(反射光量)も増加する。その結果として、物体に光が照射され圧縮が進行していくと圧縮部分の反射光の強さ(反射光量)も増えるので、それを測定すればひずみを定量的に測定できることになる。また、曲げ変形が生じたときは、変形に応じて局所的に単位面積当りの反射ビーズの総面積が変わるため、これを測定すれば、曲げによるひずみの状態を知ることができる。
【0010】
かくして、本発明によれば、以下のような測定方法が提供される。
(1)物体のひずみを測定するに当り、被測定物体の表面に再帰反射性ビーズを均一に付着させ、その面に光を照射して、該再帰反射性ビーズからの反射光の変化を調べることにより、ひずみを測定することを特徴とするひずみの測定方法。
(2)被測定物体の表面に接着剤を均一に塗布し、再帰反射性ビーズを分散させた気体を接着剤塗布面に接触させることにより、被測定物体の表面に再帰反射性ビーズを均一に付着させることを特徴とする請求項1記載のひずみの測定方法。
(3)ひずみ発生時にデジタルカメラで反射ビーズ付着面からの反射光を撮影し、その撮影画像から単位面積当りの反射ビーズの総面積を算出することにより、反射光の変化を調べることを特徴とする請求項1記載のひずみの測定方法。
(4)ひずみ発生前及び発生時にデジタルカメラで反射ビーズからの反射光を撮影し、各撮影画像を合成して、ひずみの経緯を観察することを特徴とする請求項1記載のひずみの測定方法。
さらに、本発明によれば、上記の方法を実施する手段として、以下のような測定システムが提供される。
(5)再帰反射性ビーズを付着させた被測定物体の表面に光を照射する手段と、該再帰反射性ビーズからの反射光を撮影してデジタル画像にする手段と、撮影したデジタル画像を解析して単位面積当たりの反射ビーズの総面積を算出する手段とを備えることを特徴とするひずみの測定システム。
(6)再帰反射性ビーズを付着させた被測定物体の表面に光を照射する手段と、該再帰反射性ビーズからの反射光を撮影してデジタル画像にする手段と、撮影したデジタル画像を合成してひずみの経緯を画像表示する手段とを備えることを特徴とするひずみの測定システム。
【発明の効果】
【0011】
本発明の方法及びシステムによれば、再帰反射性ビーズを有効に活用することにより、簡単にかつ正確に物体のひずみを測定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<被測定材料について>
本発明による測定法は、木材、金属材、合成樹脂材などの材料において、外力によって生じたひずみ(変形)を正確に測定することが可能であり、被測定材料の大きさや材質には制限がない。
【0013】
<再帰反射性ビーズの被測定材料への付与について>
本発明の方法によれば、まず、被測定材料の表面に再帰反射性ビーズを均一付着させる。この再帰反射性ビーズ(以下、単に「反射ビーズ」ということがある)としては、透明ガラスビーズ単体又は部分的に埋設した部分に反射膜を備えるガラスビーズが使用できる。該反射ビーズの直径は、通常40〜200μm、好適には50〜150μmの範囲である。かかる再帰反射性ビーズは、ロードマーキングや道路標識などに広く使用されているもので、容易に入手可能である。
反射ビーズは、入射光がその方向へ反射が可能なように、被測定材料の表面に部分的に埋設させて接着される。
このため、被測定材料の表面に接着剤を均一に塗布し、接着剤塗布面に反射ビーズを均一に散布して接着させる方法や、その面を反射ビーズが飛散している反射ビーズ分散気体と接触させて、反射ビーズを付着させる方法などが採用される。
反射ビーズの付着密度は、被測定材料に応じて適宜選択すべきであるが、多くの場合、被測定材料の表面積1cm2当り、約1000個〜10000個の範囲が適当である。
【0014】
<光照射及び反射光の測定について>
本発明では、通常、少なくともひずみ発生前と発生後に2回にわたり、被測定物体の反射ビーズを付与した面に光を照射し、その反射光を測定する。反射光の測定では各箇所における反射光量を見るが、これは、単位面積当りの反射ビーズの総面積と比例するので、該総面積を求めることで反射光量を知ることもできる。
光の照射手段としては、例えば垂直落射照明装置(LSGA斜照明装置、SZ−VIA/垂直落射装置アタッチメント、TL−3−100 6V20W型トランス)などが採用されるが、これらに限定されるものではない。光の照射に際しては、光線が被測定物体の反射ビーズ付着面に対して直角に入射するよう調整する。
反射光量を見るには、光照射した面をデジタルカメラで撮影するのが好ましい。デジタルカメラで撮影する際、各試験片における反射ビーズの付着面積、圧縮で変化する単位面積当りの反射ビーズ総面積で反射光量が変わるため、そのような微妙な色合いの変化を一定に保つことは難しい。そこで、毎回圧縮前の試験片で、実際の撮影状況に適切なホワイトバランスをデジタルカメラに記憶させておき、色合いを調整するのが好ましい。
これらの撮影作業は、試験片のひずみ発生途中で行うこともでき、例えば、被測定物体に段階的に増大する荷重を加えつつ、荷重ごとに撮影してひずみを測定することもできる。
【0015】
<ひずみの測定について>
ひずみの測定は、反射光から単位面積当りの反射光量(換言すれば、反射ビーズの総面積)を測定することで行う。例えば、測定前工程として、デジタルカメラにてプログラムモードで撮影した画像をPCに取り込み、画像解析ソフト(Adobe Photoshop 6.0など)で加工し、各画像をグレースケール化する。その後、画像解析ソフト(Scion Imageなど)を用いて、撮影範囲内の反射ビーズ総面積を測定することで、反射光の強さを間接的に定量化することができる。この方法は、例えば、変形前の画像撮影時と変形後の画像撮影時にかなりの時間差があった場合には、このようにして面積を測定して反射光の強さ(反射光の量)を求めた方が照明光の強さや環境条件の変化の影響を受けにくいという利点がある。
図6〜図9は、このように撮影した画像であり、図6及び図7は圧縮変形前後の画像、図8及び図9は曲げ変形前後の画像である。変形前後の画像における単位面積当り反射ビーズの占める総面積、すなわち反射ビーズの密度を測定・対比することによって各部分のひずみを知ることができる。
【0016】
<画像合成によるひずみ変化の画像表示について>
反射ビーズを用いた変形測定を違う視点でとらえると、反射ビーズの挙動そのものに着目し、ひずみ発生時の力の分布を画像化することができる。
例えば、材料の圧縮試験を行い、圧縮条件ごとにデジタルカメラで撮影して得られた複数の画像を、Adobe Photoshop 6.0などのレイヤー機能を用い重ね合わせて合成すると、反射ビーズが木材の変形に伴い、その力の分布を示すかのように様々な模様を作り出す。
【0017】
その一例として、図10に、圧縮前の木材とある程度ひずませた木材の中心を基準として合成した写真画像を示す。図10には、反射ビーズが模様を描かない部分も確認できるが、その部分は木材の変形が起こっていないと考えてよい。この写真画像では、横圧縮の場合、荷重側の軟らかい早材から圧縮され硬い晩材に力が伝達され、次の年輪界に力が伝達されていくことがわかる。また、図10の合成写真画像では左上から右下に年輪界が走っている。それとは相反する形で反射ビーズの挙動が確認できない部分がある。この部分は、荷重方向に対して年輪界が直交していないので各年輪に対して力が伝わる時間が異なると考えられる。つまり、反射ビーズの挙動が起きなかった部分は荷重を与えても力が伝達するのに時間がかかり、反射ビーズの挙動が大きい部分は力の伝達が早くひずみが起こっていると推定できる。
【0018】
また、図13の写真は、曲げ試験を行った板目面を撮影し、荷重を与える前と破壊寸前の画像を合成したもので、この画像も試験片の中央で重ね合わせて合成したものである。図13の合成写真では、中心部では反射ビーズの挙動は見られず、中心部を避けるように引張り側から荷重側に弧を描きながら移動しているように見える。これらは、木材にかかる力の分布を示していると考えられる。この写真合成による方法を確立することで木材以外の材料にも応用でき、光弾性実験のような高額で手間のかかる方法にかわる新しい変形測定になり得る。
【実施例】
【0019】
以下、本発明方法に従って、測定した実験例について詳述する。ただし、本発明の範囲はこれらの実験例によって限定されるものではない。
【0020】
[実施例1]
<実験装置>
実験装置として、図1に示すように、島津万能試験機(島津製作所、AGS−H)のクロスヘッド部にデジタルカメラ(オリンパスE−300)を取付けて使用した。試験機が圧縮を始めるとデジタルカメラはクロスヘッドの動きに伴って移動するが、その際、最初の観察位置とクロスヘッド移動後の観察位置がずれても常に定点観察を行えるように上下移動機構を取り付けた。デジタルカメラに接写レンズ、垂直落射照明装置(LSGA 斜照明装置、SZ−VIA/垂直落射装置アタッチメント、TL−3−100 6V20W型トランス)を取付け、反射ビーズの再帰性反射光を撮影できるようにした。予備実験より試験片を圧縮していくと試験片自体が接線方向に大きく変形することが分かったので、アルミ枠で変形を拘束した(内寸40×40×40mm,厚さ10mm)。
【0021】
<供試材料>
供試材料としてはスギ(Cryptomeria japonica D.Don)を用いた。試験片の寸法は図2に示すように、(a)繊維方向40mm、接線方向39.5mm、放射方向39mmのものと(b)繊維方向40mm、接線方向39mm、放射方向39mmのものとの2種類用意した(寸法aの試験片をRED、寸法bの試験片をBLUEとし、試験片の区別した)。放射方向をアルミ枠の内寸よりも1mm小さくしたのは、圧縮治具をスムーズに誘導するためである。試験片を2種類用意したのは、接線方向の寸法を変えると圧縮治具との摩擦に変化が生じると予想し、荷重−ひずみ曲線に違いが現れるかを知るためである。また、アルミ枠具との空間は狭い方が撮影時ピントの一定に都合が良いことがわかったので、狭い隙間で生ずる摩擦を小さくするため、治具内側面にシリコンパットエアゾールを噴霧した。
上記各試験片の木口面表面にスプレーのり(住友スリーエム株式会社製、「スリーエムスプレーのり55」)を約1秒むらなく塗布し、試験片と再帰性反射ビーズの1種である自反射型ガラスビーズ(株式会社ユニオン製、自反射ユニオンビーズUB−24MSJ、平均径45μm、組成BaO−SiO2−TiO系ガラス、屈折率1.93±0.01、比重4.02±0.1)を、図3に示すボール型吹き付け装置に収め、エアスプレーで反射ビーズを巻き上げ、反射ビーズが試験片上面に降りかかるようにして付着させた。
【0022】
<圧縮試験>
島津万能試験機(島津製作所、AGS−H)を用い、試験片の放射方向に横圧縮荷重を与えた。圧縮速度は0.5mm/分で一定とし、ひずみ0〜50%当りまでの横圧縮試験を実施した。
【0023】
<写真撮影>
前記の圧縮試験と並行して、反射ビーズを付着させた試験片表面を、接写レンズを取り付けたデジタルカメラで、ひずみ5%ごとに撮影した。撮影箇所は木口面の中央部を設定した。撮影面は垂直落射照明装置(LSGA斜照明装置、SZ−VIA/垂直落射装置アタッチメント、TL−3−100 6V20W型トランス)で照射し、明るさの調節目盛は、肉眼でも反射光が確認しやすい6に設定した。無負荷状態でカメラのピントを合わせ、縦11.5mm、横15.5mmを撮影範囲とした。画像解析時マイクロメータが読み取れる限界の接写倍率(1pixel:0.216μm)とした。
デジタルカメラで撮影する際、各試験片における反射ビーズの総面積、圧縮で変化する反射ビーズ総面積で反射光量が変わるため、そのような微妙な色合いの変化を一定に保つことは難しい。そこで毎回圧縮前の試験片で、実際の撮影状況に適切なホワイトバランスをデジタルカメラに記憶させた。
圧縮が進行すると試験片上面の単位面積当りの反射ビーズの総面積が増え、反射光の量も増加する。その際、反射光を純粋に目で確認できるようにするため、絞りとシャッター速度を自ら設定できるマニュアル(M)モードで撮影した。そして、反射光が増えても絞りとシャッター速度を変えずに撮影し、その画像の光の強さを肉眼で判断した。次に、マニュアル(M)モードで撮影後すぐ、被写体の明るさに応じて適正な絞りとシャッター速度をカメラが自動的に設定するプログラム(P)モードでも撮影を行った。反射光が増えても適正露出で撮影することで、後に画像解析を行うに当り反射ビーズ総面積を正確に計算できる。前記2つのモードを時間差なく撮影し、ひずみごとの画像として保存した。
【0024】
<ひずみの測定>
測定の前工程として、プログラム(P)モードで撮影した画像をPCに取り込み、画像解析ソフト(Adobe Photoshop 6.0)で加工した。各画像をグレースケール化し、十字に4分割してそれぞれをTIFF形式で保存した。続いて画像解析ソフト(Scion Image)を用いて、撮影範囲内のガラスビーズ総面積を測定した。分割した4ヶ所での測定結果を合算し総面積とした(図4のフローチャート参照)。
【0025】
<画像解析ソフトの条件設定>
画像解析を行うに当たっては、画像から反射ビーズの部分だけを選択しなければならない。このため明度分布範囲(Density Slice値)の設定を行った。これは対象画像中の特定の明度分布範囲を画像上で指定する作業で、明度分布の上限、下限を指定することによって、ある明度の範囲だけを抽出することができる。
ランダムに選んだ試験片(BLUE 17)を用いて、Lower値を1に固定しUpper値を8階調ごとに変化させ、ひずみ0%、25%、51.61%(最大荷重)時の反射ビーズ層面積の変化を測定した。その結果を表1に示す。測定した数値をグラフで確認したところ、図5に示すとおり、各ひずみにおける反射ビーズ面積はUpper値96当りまで安定して増加した。しかし、それを過ぎると急激に反射ビーズ面積は増加の傾向をたどった。ここでは、反射ビーズ以外の明度分布を選択していると推定できる。従って、明度256階調のうち1(黒側)〜96(白側)の範囲内で抽出された画素を反射ビーズによる反射光とした。
【0026】
【表1】
【0027】
<反射ビーズ総面積の測定>
画像は画素から構成され、反射したビーズ部分の画素の面積を測定し、反射ビーズ面積に換算した。反射ビーズの反射光は反射膜の角度によって異なるため、最小のビーズ反射光面積の画素数を1pixelとし、同様にひずみが進行すると共に反射ビーズ同士が密集しその面積も大きくなるので、最大のビーズ反射光面積の画素数を99999pixelに設定した。
【0028】
<試験片の観察>
図8、図9及び図11、図12は、試験片BLUE2、13RED6の木口面(マニュアルモード(M)、グレースケール化後)にビーズを付着させ、その面に光を当ててデジタルカメラで撮影した写真画像であって、図8と図9は圧縮試験の前と後の写真画像であり、図11と図12は、曲げ試験の前と後の写真画像である。このような画像を用いて反射ビーズの総面積を測定した。ひずみが大きくなると早材部が圧縮され、反射ビーズが密集し、年輪に沿って縞状の模様が現れた。また、その模様が画像内で均一に現れるのではなく、試験片上部から段階的に発生するのが分かった。今回、試験片木口面の中心を定点観察したので試験片上部から順々にひずみ、密集した反射ビーズが画像内に入り込んできたといえる。ひずみが進み、反射ビーズが密集してくると反射光も明るくなることが肉眼でもはっきり確認できた。
【0029】
<解析結果>
まず、画像内で目印となる反射ビーズを上下2ヶ所選定し、ひずみごとにビーズ間の距離を測定した。ひずみが生じていないときの距離をA0、ひずみが生じたときの距離をAnとし(A0−An)×100/A0から撮影範囲ひずみを算出した。その結果図6(試験機表示ひずみに対するビーズ面積増加率と撮影範囲ひずみの関係)に示すように全体のひずみと撮影範囲のひずみにはいくらか誤差が生じていることが分かった。一方ひずみが生じていないときの反射ビーズ面積をB0、ひずみが生じたときのガラスビーズ面積をBnとし(Bn−B0)×100/B0から反射ビーズ面積増加率を算出した(下記の表2参照)。なお、試験機表示ひずみは万能試験機が表示した試験片全体の平均ひずみである。
【0030】
図6に示すように反射ビーズも総面積(以下「ビーズ面積」と略す)は圧縮が始まっても万能試験機が表示する試験片全体のひずみが小さい時点ではほとんど変化をみせなかった。しかし、ひずみが10%を越えるとビーズ面積は徐々に増加し、約20%を過ぎると急激に増加した。これは圧縮側から順々にひずみ、密集したガラスビーズが画像内に入り込んできたことを証明するものである。つまり全体のひずみと局所的なひずみには時間差が生じることがいえる。
【0031】
次に、観察範囲ひずみとビーズ面積増加率との関係を調べると、表2及び図7(撮影範囲のひずみと反射ビーズ総面積との関係)に示す通りであった。この2つの関係に近似曲線を与えると、比例関係にはならず2次関数曲線を描いた。
圧縮試験結果から、つぶれる早材の順序は予測不可能であるが、2次関数曲線の傾向、又は数式より解析することで、ひずみごとの詳細なデータを得ることができると考える。
しかし、いくつかの試験片では木材の弾性領域を越えると、圧縮治具を併用しているため接線方向に膨張する。このため圧縮が進むとカメラのピントがずれてしまい正しい解析ができない問題が発生することがあった。この解決策として弾性領域内はひずみゲージを併用し、弾性領域を越えた時にカメラのピントを合わせ撮影する方法を採用した。
【0032】
【表2】
【0033】
以上詳述した一連の実験により、次のことが確認できた。
1)撮影画像より、早材がつぶれ反射ビーズが密集して縞状の模様が試験片上部から観察できる。
2)画像解析の結果より、試験片の圧縮が進行すると反射ビーズ面積が増加する。また、全体のひずみと局所的なひずみには時間差が生じる。
【0034】
[実施例2]
反射ビーズを用いた木材の変形測定を違う視点で考えると、反射ビーズの挙動そのものに着目することができると考え、以下の実験を行った。
すなわち、上記と同様に圧縮試験を行い、同時にデジタルカメラで撮影した。得られた画像を、Adobe Photoshop 6.0のレイヤー機能を用い重ね合わせたところ、反射ビーズが木材の変形に伴い、その力の分布を示すかのように様々な模様を作り出した。試験片はスギ(Cryptomeria japonica D.Don)を用い、寸法は繊維方向1mm、接線方向1mm、放射方向2mmに設定した。圧縮前の木材とある程度ひずませた木材の中心を基準とし合成した画像が図10の写真である。この写真には反射ビーズが模様を描かない部分が確認できるが、その部分は木材変形が起っていないと考えられる。横圧縮の場合、荷重側の軟らかい早材から圧縮され硬い晩材に力が伝達され、次の年輪界に力が伝達されていくと考えられる。また、図10の写真では左上から右下に年輪界が走っている。それとは相反する形で反射ビーズの挙動が確認できない部分がある。つまり、荷重方向に対して年輪界が直交していないので各年輪に対して力が伝わる時間が異なると考えられる。反射ビーズの挙動が起きなかった部分には荷重を与えて力が伝達するのに時間がかかり、反射ビーズの挙動が大きい部分は力の伝達が早くひずみが起こっていると推定できる。
【0035】
一方、図13の写真は、曲げ試験において板目面を撮影し、荷重を与える前と破壊寸前との画像を合成したもので、この画像も試験片の中央で重ね合わせた。試験片にスギ(Cryptomeria japonica D.Don)を用い、寸法は繊維方向300mm、接線方向12mm、放射方向12mmに設定した。スパンは280mmに設定した。興味深いことに、中心部では反射ビーズの挙動は見られず、中心部を避けるように引張り側から荷重側に弧を描きながら移動しているのが見える。これらは、木材にかかる力の分布を示しているようで大変興味深い。
以上の実験より、反射ビーズの挙動を合成画像で観察することにより、材料にかかる力分布をあらわす模様を確認することができることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明によれば、反射ビーズをうまく利用することにより、木材、金属、プラスチックスからなる構造材や部材などのひずみを簡便に測定することができ、特に、写真画像を合成することにより局所的なひずみの生じ方を知ることができるので、予め使用しようとする部材についてひずみの発生具合を確認したり、既に構造物などを構成している構造材に生じたひずみなどを容易にかつ低コストで測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施例で使用した実験装置の模式図
【図2】実施例で使用した試験片の形状・寸法の説明図
【図3】実施例で使用したボール型反射ビーズ吹き付け装置の模式図
【図4】反射ビーズの総面積を算出する画像解析のフローチャート
【図5】特定濃度分布範囲と反射ビーズ面積の関係を表わすグラフ
【図6】試験機表示ひずみに対するビーズ面積増加率と撮影範囲ひずみの関係を表わすグラフ
【図7】撮影範囲ひずみとビーズ面積の関係を表わすグラフ
【図8】圧縮前の試験片のデジタル写真
【図9】圧縮後の試験片のデジタル写真
【図10】圧縮試験片測定時の合成実体写真
【図11】曲げ試験前の試験片のデジタル写真
【図12】曲げ試験後の試験片のデジタル写真
【図13】曲げ試験片測定時の合成実体写真
【符号の説明】
【0038】
1 万能試験機
2 上下・前後移動装置
3 アングル
4 試験片・圧縮治具
5 デジタルカメラ
6 垂直落射照明装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体のひずみを測定するに当り、被測定物体の表面に再帰反射性ビーズを均一に付着させ、その面に光を照射して、該再帰反射性ビーズからの反射光の変化を調べることにより、ひずみを測定することを特徴とするひずみの測定方法。
【請求項2】
被測定物体の表面に接着剤を均一に塗布し、再帰反射性ビーズを分散させた気体を接着剤塗布面に接触させることにより、被測定物体の表面に再帰反射性ビーズを均一に付着させることを特徴とする請求項1記載のひずみの測定方法。
【請求項3】
ひずみ発生時にデジタルカメラで反射ビーズ付着面からの反射光を撮影し、その撮影画像から単位面積当りの反射ビーズの総面積を算出することにより、反射光の変化を調べることを特徴とする請求項1記載のひずみの測定方法。
【請求項4】
ひずみ発生前及び発生時にデジタルカメラで反射ビーズからの反射光を撮影し、各撮影画像を合成して、ひずみの経緯を観察することを特徴とする請求項1記載のひずみの測定方法。
【請求項5】
再帰反射性ビーズを付着させた被測定物体の表面に光を照射する手段と、該再帰反射性ビーズからの反射光を撮影してデジタル画像にする手段と、撮影したデジタル画像を解析して単位面積当たりの反射ビーズの総面積を算出する手段とを備えることを特徴とするひずみの測定システム。
【請求項6】
再帰反射性ビーズを付着させた被測定物体の表面に光を照射する手段と、該再帰反射性ビーズからの反射光を撮影してデジタル画像にする手段と、撮影したデジタル画像を合成してひずみの経緯を画像表示する手段とを備えることを特徴とするひずみの測定システム。
【請求項1】
物体のひずみを測定するに当り、被測定物体の表面に再帰反射性ビーズを均一に付着させ、その面に光を照射して、該再帰反射性ビーズからの反射光の変化を調べることにより、ひずみを測定することを特徴とするひずみの測定方法。
【請求項2】
被測定物体の表面に接着剤を均一に塗布し、再帰反射性ビーズを分散させた気体を接着剤塗布面に接触させることにより、被測定物体の表面に再帰反射性ビーズを均一に付着させることを特徴とする請求項1記載のひずみの測定方法。
【請求項3】
ひずみ発生時にデジタルカメラで反射ビーズ付着面からの反射光を撮影し、その撮影画像から単位面積当りの反射ビーズの総面積を算出することにより、反射光の変化を調べることを特徴とする請求項1記載のひずみの測定方法。
【請求項4】
ひずみ発生前及び発生時にデジタルカメラで反射ビーズからの反射光を撮影し、各撮影画像を合成して、ひずみの経緯を観察することを特徴とする請求項1記載のひずみの測定方法。
【請求項5】
再帰反射性ビーズを付着させた被測定物体の表面に光を照射する手段と、該再帰反射性ビーズからの反射光を撮影してデジタル画像にする手段と、撮影したデジタル画像を解析して単位面積当たりの反射ビーズの総面積を算出する手段とを備えることを特徴とするひずみの測定システム。
【請求項6】
再帰反射性ビーズを付着させた被測定物体の表面に光を照射する手段と、該再帰反射性ビーズからの反射光を撮影してデジタル画像にする手段と、撮影したデジタル画像を合成してひずみの経緯を画像表示する手段とを備えることを特徴とするひずみの測定システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−139273(P2008−139273A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2006−357309(P2006−357309)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(598096991)学校法人東京農業大学 (85)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−357309(P2006−357309)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(598096991)学校法人東京農業大学 (85)
【Fターム(参考)】
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