説明

アウトサイドミラー組み立て用粘着シート

【課題】基材層と粘着剤層の密着性に優れ、薄型でありながら十分な衝撃吸収性及び止水性を有するとともに、高温下、及び温度変化環境下においてもそれらの物性を保つことのできるアウトサイドミラー組み立て用粘着シートを提供する。
【解決手段】基材層の両面にアクリル系粘着剤層が積層一体化されており、ミラーホルダの収容部に収容されるミラー又はミラー積層体と、前記収容部の内壁面と、の間に介在させてミラー又はミラー積層体をミラーホルダに固定するアウトサイドミラー組み立て用粘着シートであって、前記基材層は、架橋度が5〜60重量%でありかつ気泡のシート面方向アスペクト比が0.25〜1である架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートであり、前記アクリル系粘着剤層は、アクリル系重合体100重量部に対し、軟化点が130℃以上である粘着付与樹脂を1〜30重量部含有するアクリル系粘着剤からなることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アウトサイドミラー組み立て用粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
アウトサイドミラー、すなわち、車外取り付け用のドアミラー、フェンダーミラーとして、ミラー基板と、前記ミラー基板の裏面に設けられた面発熱体とからなるミラー積層体を、EPDMとブチルとの混合物発泡体か、アクリルフォームか、ウレタンフォームをテープ基材として使用した粘着テープを介してミラーホルダに固定するようにしたミラーが提案されている(特許文献1参照)。
すなわち、このようなミラーは、ミラー基板の裏面に面発熱体を備えているので、ミラー基板の鏡面が結露による水滴や雪によって曇った場合、面発熱体を発熱させることによって、水滴や雪を蒸散させてことができるようになっている。
【0003】
また、従来のアウトサイドミラーは、図1に示すように、ミラー基板と面発熱体とからなるミラー積層体1がミラーホルダ2aに粘着テープ3を介して固定されるとともに、積層体1のミラー基板周縁部がミラーホルダ2aに設けられた鍔状係止部21によって水密に受けられることによってミラーホルダ2a内への雨水等の浸入が防止されている(特許文献1の図2参照)。
【0004】
一方、近年、自動車部材の軽量化に対する要望が年々高まっており、このため、ミラーホルダにおいても軽量化の要求が高まりつつある。このような要求に答えるための一つの手段としては、図2に示すように、ミラーホルダ2bを鍔状係止部21のない、ミラー積層体1の略断面形状をした収容部となる凹部22のみを備える単純な断面形状とすることが考えられる。しかしながら、上記ミラーホルダ2bを使用し、従来公知の接着剤や粘着テープ3等を用いてミラー積層体1を凹部22の内壁面に固定した場合、振動等の衝撃で接着剤や粘着テープ3のはがれが生じたり、外気温の変化に繰り返しさらされることにより粘着テープ3の粘着力が不足してはがれやすくなったり、止水性が不足してミラーホルダ2bの凹部22内に水分が溜まり、テープ粘着不良を招いたり、ミラーホルダ2b内部の電気回路にショート等の不具合が生じたりするおそれがある。
【0005】
【特許文献1】特開平9-048329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みて、基材層と粘着剤層の密着性に優れ、薄型軽量でありながら十分な衝撃吸収性及び止水性を有するとともに、高温下、及び温度変化環境下においてもそれらの物性を保つことのできるアウトサイドミラー組み立て用粘着シートを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の樹脂発泡シートを基材層として用いるとともに、特定の組成のアクリル系粘着剤を粘着剤層に用いることにより、薄型にしても優れた衝撃吸収性及び止水性を有するとともに、高温下でもそれらの物性が損なわれないアウトサイドミラー組み立て用粘着シートが得られることを見出し、本願発明を完成させるにいたった。
【0008】
すなわち、本発明にかかるアウトサイドミラー組み立て用粘着シートは、基材層の両面にアクリル系粘着剤層が積層一体化されており、ミラーホルダの収容部に収容されるミラー又はミラー積層体と、前記収容部の内壁面と、の間に介在させてミラー又はミラー積層体をミラーホルダに固定するアウトサイドミラー組み立て用粘着シートであって、前記基材層は、架橋度が5〜60重量%でありかつ気泡のシート面方向アスペクト比が0.25〜1である架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートであり、前記アクリル系粘着剤層は、アクリル系重合体100重量部に対し、軟化点が130℃以上である粘着付与樹脂を1〜30重量部含有するアクリル系粘着剤からなることを特徴としている。
上記本発明を以下に詳細に説明する。
【0009】
(ポリオレフィン系発泡樹脂シート)
本発明のアウトサイドミラー組み立て用粘着シートは、架橋度が5〜60重量%でありかつ気泡のシート面方向アスペクト比(MDの平均気泡径/CDの平均気泡径)が0.25〜1である架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートからなる基材層を有する。
このような架橋ポリオレフィン系発泡樹脂シートを基材層として用いることにより、本発明のアウトサイドミラー組み立て用粘着シートは、薄型であっても極めて優れた衝撃吸収性を有し、かつ、止水性にも優れたものとなる。
【0010】
すなわち、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの架橋度が、小さ過ぎると、発泡シートを延伸する際に発泡シートの表面近傍部の気泡が破泡して表面荒れを生じ、粘着剤層との密着が充分に得られない場合があり、大き過ぎると、発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物の溶融粘度が大きくなり過ぎて、発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物を加熱発泡する際に発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物が発泡に追従し難くなって所望の発泡倍率を有する架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートが得られず、その結果、衝撃吸収性が劣ってしまうため、5〜60重量%に限定され、10〜40重量%が好ましい。
【0011】
なお、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの架橋度は下記の要領で測定されたものをいう。架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートから約100mgの試験片を採取し、試験片の重量A(mg)を精秤する。次に、この試験片を120℃のキシレン30cm3中に浸漬して24時間放置した後、200メッシュの金網で濾過して金網上の不溶解分を採取、真空乾燥し、不溶解分の重量B(mg)を精秤する。得られた値から、下記式により架橋度(重量%)を算出する。
架橋度(重量%)=100×(B/A)
【0012】
更に、上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートは、MDの平均気泡径とCDの平均気泡径との比、即ち、気泡のシート面方向アスペクト比(MDの平均気泡径/CDの平均気泡径)が、小さ過ぎると、発泡倍率が低下して柔軟性が低下したり或いは架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの厚み、柔軟性及び引張強度にばらつきが発生することがある一方、大き過ぎると、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの柔軟性が低下するので、0.25〜1に限定され、0.25〜0.60が好ましい。
【0013】
又、上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートにおけるCDの平均気泡径とVDの平均気泡径との比、即ち、気泡のシート厚み方向アスペクト比(CDの平均気泡径/VDの平均気泡径)を2〜18とすることが好ましく、2.5〜15がより好ましい。
すなわち、シート厚み方向アスペクト比が、小さ過ぎると、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの柔軟性が低下する一方、大き過ぎると、発泡倍率が低下して柔軟性が低下する、或いは、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの厚み、柔軟性及び引張強度にばらつきが発生するおそれがある。
【0014】
なお、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのMD〔machine direction〕とは押出方向をいい、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのCD〔crossing direction〕とは、MD(machine direction)に直交し且つ架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シート1の表面に沿った方向をいい、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シート1のVD〔vertical(thickness)direction)とは、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの表面に対して直交する方向をいう。
【0015】
次に、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのMDの平均気泡径は下記の要領で測定されたものをいう。即ち、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートをそのCDにおける略中央部においてVDに平行な面で全長に亘って切断する。
しかる後、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの切断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて60倍に拡大し、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのVDの全長が収まるように写真撮影する。
【0016】
得られた写真における、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのVDの中央部に対応する部分に、写真上での長さが15cm(拡大前の実際の長さ2500μm)の直線を、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シート表面と平行になるように描く。
次に、上記直線上に位置する気泡数を目視により数え、下記式に基づいて気泡のMDの平均気泡径を算出する。
MDの平均気泡径(μm)=2500(μm)/気泡数(個)
【0017】
又、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのVDの平均気泡径は下記の要領で測定されたものをいう。即ち、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのMDの平均気泡径を算出する際の要領と同様の要領で写真撮影を行なう。
得られた写真において、写真撮影された架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの切断面をMDに四分割する三本の直線を、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの表面に対して直交する方向(VD)に発泡シートの全長に亘って描く。
しかる後、各直線の長さを測定するとともに各直線上に位置する気泡数を目視により数え、下記式に基づいて各直線毎に気泡のVDの平均気泡径を算出し、これらの相加平均を気泡のVDの平均気泡径とする。
VDの平均気泡径(μm)=写真上における直線の長さ(μm)
/(60×気泡数(個))
【0018】
次に、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのCDの平均気泡径は下記の要領で測定されたものをいう。即ち、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートをそのCDに平行で且つ架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの表面に対して直交する方向(VD)に平行な面で厚み方向の全長に亘って切断する。
しかる後、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの切断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて60倍に拡大し、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの厚み方向の全長が収まるように写真撮影する。
そして、得られた写真に基づいて、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのMDの平均気泡径を測定した時と同様の要領で、CDの平均気泡径を算出する。
【0019】
なお、上述の平均気泡径を測定する要領において、直線上に位置する気泡数を数えるにあたっては、写真上に表れた気泡断面のみに基づいて気泡径を判断する。
即ち、気泡同士は、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの切断面においては気泡壁によって互いに完全に分離しているように見えても、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの切断面以外の部分において互いに連通しているような場合もあるが、本発明においては、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの切断面以外の部分において互いに連通しているか否かについて考慮せず、写真上に表れた気泡膜断面のみに基づいて気泡形態を判断し、写真上に表れた気泡膜断面により完全に囲まれた一個の空隙部分を一個の気泡として判断する。
【0020】
そして、直線上に位置するとは、直線が気泡を該気泡の任意の部分において完全に貫通している場合をいい、又、直線の両端部においては、直線が気泡を完全に貫通することなく直線の端部が気泡内に位置した状態となっているような場合には、この気泡を0.5個として数えた。
なお、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの切断面を写真撮影する際、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの切断面を着色すると気泡の判別が容易になるとともに、2500μmの目盛りを一緒に拡大して写真撮影しておくと、写真上における直線長さを特定し易くなる。
【0021】
上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを構成するポリオレフィン系樹脂は、重合触媒として四価の遷移金属を含むメタロセン化合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂を40重量%以上含有するものが好ましく、50重量%以上がより好ましく、60重量%以上がさらに好ましく、100重量%が特に好ましい。
すなわち、ポリオレフィン系樹脂として、上記メタロセン化合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂を40重量%以上含有するものを用いることによって、ポリオレフィン系樹脂に粘着性を増加させることなく柔軟性を付与し、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの気泡のアスペクト比を所定範囲内として機械的強度を向上させているとともに柔軟性を優れたものとすることができる。
【0022】
又、上記メタロセン化合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂は、その分子量分布が狭く、共重合体の場合、どの分子量成分にも共重合体成分がほぼ等しい割合で導入されている。従って、発泡シートを均一に架橋させることができる。
そして、発泡シートを均一に架橋させていることから発泡シートを均一に延伸させることができ、得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの厚みを全体的に均一なものとすることができるからである。
なお、上記メタロセン化合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂の含有量が100重量%とは、ポリオレフィン系樹脂として、上記メタロセン化合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂のみを用いた場合を意味する。
【0023】
架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートは、後述するように、発泡シートを発泡させつつ或いは加熱下にて所定方向に延伸することによって製造される。この発泡シートの延伸時においては、発泡シートの気泡は延伸方向に延ばされて気泡壁同士が近接した状態となるので、ポリオレフィン系樹脂に粘着性を有する樹脂(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体)を用いると、気泡壁同士が互いに密着一体化してしまい、所望範囲の気泡のアスペクト比を得ることができない。一方、本発明の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートには柔軟性が求められている。
【0024】
上記重合触媒として四価の遷移金属を含むメタロセン化合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂としては、重合触媒として四価の遷移金属を含むメタロセン化合物を用いて、エチレンと少量のα−オレフィンとを共重合することにより得られる直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
なお、上記α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなどが挙げられる。
又、メタロセン化合物とは、一般に、遷移金属をπ電子系の不飽和化合物で挟んだ構造の化合物をいい、ビス(シクロペンタジエニル)金属錯体が代表的なものである。
【0025】
そして、本発明における四価の遷移金属を含むメタロセン化合物としては、具体的には、チタン、ジルコニウム、ニッケル、パラジウム、ハフニウム、白金などの四価の遷移金属に、1又は2以上のシクロペンタジエニル環又はその類縁体がリガンド(配位子)として存在する化合物が挙げられる。
このような四価の遷移金属を含むメタロセン化合物としては、例えば、シクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、メチルシクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−t−ブチルアミドジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−t−ブチルアミドハフニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−p−n−ブチルフェニルアミドジルコニウムクロリド、メチルフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−t−ブチルアミドハフニウムジクロリド、インデニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、インデニルチタニウムトリス(ジエチルアミド)、インデニルチタニウムトリス(ジ−n−プロピルアミド)、インデニルチタニウムビス(ジ−n−ブチルアミド)(ジ−n−プロピルアミド)などが挙げられる。
【0026】
上記メタロセン化合物は、金属の種類や配位子の構造を変え、特定の共触媒(助触媒)と組み合わせることにより、各種オレフィンの重合の際、触媒としての作用を発揮する。
具体的には、重合は、通常、これらメタロセン化合物に共触媒としてメチルアルミノキサン(MAO)、ホウ素系化合物などを加えた触媒系で行われる。なお、メタロセン化合物に対する共触媒の使用割合は、10〜1,000,000モル倍が好ましく、50〜5,000モル倍がより好ましい。
そして、ポリエチレン系樹脂の重合方法としては、特に限定されず、例えば、不活性媒体を用いる溶液重合法、実質的に不活性媒体の存在しない塊状重合法、気相重合法などが挙げられる。なお、重合温度は、通常、−100℃〜300℃で行なわれ、重合圧力は、通常、常圧〜100kg/cm2で行なわれる。
【0027】
メタロセン化合物は、活性点の性質が均一であり各活性点が同じ活性度を備えているため、合成するポリマーの分子量、分子量分布、組成、組成分布などの均一性が高まる。従って、これらメタロセン化合物を重合触媒として用いて重合されたポリオレフィン系樹脂は、分子量分布が狭く、共重合体の場合、どの分子量成分にも共重合体成分がほぼ等しい割合で導入されているという特徴を有する。
更に、重合触媒として四価の遷移金属を含むメタロセン化合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などが挙げられる。
【0028】
上記ポリエチレン系樹脂としては、重合触媒として四価の遷移金属を含むメタロセン化合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂以外であれば、特には限定されず、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレンを50重量%以上含有するエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレンを50重量%以上含有するエチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられ、これらは単独で使用されても二種以上が併用されてもよい。エチレン−α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなどが挙げられる。
【0029】
又、上記ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、プロピレンを50重量%以上含有するプロピレン−α−オレフィン共重合体などが挙げられ、これらは単独で使用されても二種以上が併用されてもよい。プロピレン−α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなどが挙げられる。
【0030】
又、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのJIS K6767に準拠した25%圧縮強度は、大きいと、衝撃吸収性が低下することがあるので、4.9×104Pa以下が好ましく、小さ過ぎると、製造段階において厚み一定性に劣ることがあるので、2×104〜4×104Paがより好ましい。
更に、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートにおけるMD又はCDの少なくとも一方向における23℃での引張強度は、小さ過ぎると、貼り合せ作業中に架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートが切断するおそれがあるので、1.96×106Pa以上が好ましく、大き過ぎると、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートをアウトサイドミラー組み立て用粘着シートの基材層として用いた場合に、取り扱い性が低下することがあるので、2.2×106〜8.0×106Paがより好ましい。
なお、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのMD又はCDにおける23℃での引張強度は、JIS K6767に準拠して測定されたものをいう。
【0031】
次に、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの製造方法について説明する。上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの製造方法としては、特に限定されず、例えば、重合触媒として四価の遷移金属を含むメタロセン化合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂を40重量%以上含有するポリオレフィン系樹脂及び熱分解型発泡剤を押出機に供給して溶融混練し、押出機からシート状に押出すことによって発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを製造する工程と、この発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを5〜60重量%の架橋度に架橋させる工程と、得られた発泡樹脂シートを溶融又は軟化させ、MD或いはCDの何れか一方又は双方の方向に向かって延伸させて発泡シートの気泡を延伸し、気泡のシート面方向アスペクト比(MDの平均気泡径/CDの平均気泡径)が0.25〜1(好ましくは更に気泡のシート厚み方向アスペクト比(CDの平均気泡径/VDの平均気泡径)が2〜18)である架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを製造する工程とを含有する方法が挙げられる。
【0032】
そして、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを架橋する方法としては、例えば、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートに電子線、α線、β線、γ線などの電離性放射線を照射する方法、発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物に予め有機過酸化物を配合しておき、得られた発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを加熱して有機過酸化物を分解させる方法などが挙げられ、これらの方法は併用されてもよい。
【0033】
発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物中における熱分解型発泡剤の添加量は、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの発泡倍率に応じて適宜決定してよいが、少な過ぎると、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの発泡性が低下し、所望発泡倍率を有する架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを得ることができないことがある一方、多過ぎると、得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの引張強度及び圧縮回復性が低下することがあるので、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して1〜40重量部が好ましく、1〜30重量部がより好ましい。
【0034】
なお、発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、酸化亜鉛などの発泡助剤、気泡核調整材、熱安定剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、充填材などが、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの物性を損なわない範囲で添加されていてもよい。
【0035】
上記有機過酸化物としては、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネートなどが挙げられ、これらは単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0036】
有機過酸化物の添加量は、少な過ぎると、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの架橋が不充分となることがある一方、多過ぎると、得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シート中に有機過酸化物の分解残渣が残留することがあるので、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、0.01〜5重量部が好ましく、0.1〜3重量部がより好ましい。
【0037】
又、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを発泡させる方法としては、特には限定されず、例えば、熱風により加熱する方法、赤外線により加熱する方法、塩浴による方法、オイルバスによる方法などが挙げられ、これらは併用してもよい。
【0038】
そして、上記発泡シートの延伸は、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを発泡させて発泡シートを得た後に行ってもよいし、或いは、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを発泡させつつ行ってもよい。なお、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを発泡させて発泡シートを得た後、発泡シートを延伸する場合には、発泡シートを冷却することなく発泡時の溶融状態を維持したまま続けて発泡シートを延伸しても、或いは、発泡シートを冷却した後、再度、発泡シートを加熱して溶融又は軟化状態とした上で発泡シートを延伸してもよい。
【0039】
ここで、発泡シートの溶融状態とは、発泡シートをその両面温度が、発泡シートを構成しているポリオレフィン系樹脂の融点以上に加熱した状態をいう。
上記発泡シートを延伸することによって、発泡シートの気泡を所定方向に延伸し変形させて、気泡のアスペクト比が所定範囲内となった架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを製造することができる。
【0040】
更に、発泡シートの延伸方向にあたっては、長尺状の発泡性ポリオレフィン系樹脂シートのMD若しくはCDに向かって、又は、MD及びCDに向かって延伸させる。なお、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートをMD及びCDに向かって延伸させる場合、発泡シートをMD及びCDに向かって同時に延伸してもよいし、一方向ずつ別々に延伸してもよい。
【0041】
上記発泡シートをMDに延伸する方法としては、例えば、長尺状の発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを発泡工程に供給する速度(供給速度)よりも、発泡後に長尺状の発泡シートを冷却しながら巻き取る速度(巻取速度)を速くすることによって発泡シートをMDに延伸する方法、得られた発泡シートを延伸工程に供給する速度(供給速度)よりも、発泡シートを巻き取る速度(巻取速度)を速くすることによって発泡シートをMDに延伸する方法などが挙げられる。
【0042】
なお、前者の方法において、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートは、それ自身の発泡によってMDに膨張するので、発泡シートをMDに延伸する場合には、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの発泡によるMDへの膨張分を考慮した上で、その膨張分以上に発泡シートがMDに延伸されるように、シートの供給速度と巻取り速度とを調整する必要がある。
【0043】
又、上記発泡シートをCDに延伸する方法としては、発泡シートのCDの両端部を一対の把持部材によって把持し、この一対の把持部材を互いに離間する方向に徐々に移動させることによって発泡シートをCDに延伸する方法が好ましい。なお、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートは、それ自身の発泡によってCDに膨張するので、発泡シートをCDに延伸する場合には、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの発泡によるCDへの膨張分を考慮した上で、その膨張分以上に発泡シートがCDに延伸されるように調整する必要がある。
【0044】
ここで、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのMDにおける延伸倍率は、小さ過ぎると、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの柔軟性及び引張強度が低下することがある一方、大きいと、発泡シートが延伸中に切断したり或いは発泡中の発泡シートから発泡ガスが抜けてしまって、得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの発泡倍率が著しく低下し、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの柔軟性及び引張強度が低下したり品質が不均一となったりすることがあるので、1.1〜2.0倍が好ましく、1.2〜1.5倍がより好ましい。
【0045】
なお、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのMDにおける延伸倍率は下記要領で算出される。即ち、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの発泡倍率の三乗根Fを求める一方、巻取速度と供給速度の比(巻取速度/供給速度)Vを求め、下記式に基づいて架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのMDにおける延伸倍率を算出することができる。但し、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの発泡倍率は、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの比重を架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの比重で除したものをいう。
発泡シートのMDにおける延伸倍率(倍)=V/F
【0046】
又、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのCDにおける延伸倍率は、小さいと、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの柔軟性及び引張強度が低下することがある一方、大きいと、発泡シートが延伸中に切断したり或いは発泡中の発泡シートから発泡ガスが抜けてしまって、得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの発泡倍率が著しく低下し、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの柔軟性及び引張強度が低下したり品質が不均一となったりすることがあるので、1.2〜4.5倍が好ましく、1.5〜3.5倍がより好ましい。
【0047】
なお、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートにおけるCDの延伸倍率は、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートをそのMD及びCDに延伸させずに加熱、発泡させて得られた架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのCDの長さをW1とする一方、CDに延伸させた架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのCDの長さをW2とし、下記式に基づいて算出することができる。
発泡シートのCDにおける延伸倍率(倍)=W2/W1
【0048】
(厚み)
そして、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートからなる基材層の厚みとしては特に限定はされないが、薄いと、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの、柔軟性や引張強さなどが低下して、得られるアウトサイドミラー組み立て用粘着シートの衝撃吸収性、風合いや機械的強度などが低下する一方、厚くしても、アウトサイドミラー組み立て用粘着シートの性能の向上を見込めず、経済性が低下するので、0.1〜3mmが好ましい。
【0049】
(アクリル系粘着剤層)
本発明のアウトサイドミラー組み立て用粘着シートは、アクリル系粘着剤層がアクリル系重合体100重量部に対し、軟化点が130℃以上である粘着付与樹脂を1〜30重量部含有するアクリル系粘着剤からなる必要がある。すなわち、軟化点が130℃未満の粘着付与樹脂を配合した場合、粘着剤層の耐熱性が劣ってしまい、例えば温度サイクル試験を行った場合に、粘着力が不足したり、粘着剤層がへたってしまう場合がある。粘着力の不足や粘着剤層のへたりが生じると、被着体間に隙間ができてしまう場合があり、結果、温度サイクルをかけた場合等に衝撃吸収性が著しく劣ってしまったり、止水性が著しく低下する場合がある。軟化点は、好ましくは135〜150℃である。
なお、粘着付与樹脂の軟化点は、JIS K2871に記載の環球法に準拠して測定されたものをいう。
【0050】
又、粘着付与樹脂は、その添加量が、多過ぎると、粘着剤層が固くなり、温度変化におけるアウトサイドミラーのミラーホルダと、ミラー又はミラー積層体との収縮率の差に起因する歪みを緩和できなかったり、又、ミラーホルダの物理的な歪み等に追随できなかったりし、長期使用によってミラーホルダの収容部内壁面とミラー又はミラー積層体と間に隙間ができてしまう場合がある。このように隙間ができてしまうと衝撃吸収性が著しく劣ってしまったり、止水性が著しく低下してしまったりする。又少ないと、粘着力が不足する場合がある。
このため、粘着付与樹脂は、アクリル系重合体100重量部に対して1〜30重量部に限定され、好ましくは5〜30重量部であり、特に好ましくは10〜20重量部である。
【0051】
上記粘着付与樹脂としては、例えば、重合ロジンエステル、水添ロジンエステル樹脂類、不均化ロジンエステル樹脂類などのロジンエステル化合物、ロジン樹脂、重合ロジン樹脂、水添ロジン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂類、クマロンインデン樹脂、アルキルフェノール樹脂、石油樹脂類などが挙げられる。中でも、低分子量成分を除去可能であるので、ロジンエステル化合物、ロジン樹脂、重合ロジン樹脂、石油樹脂類が好ましく、ロジンエステル化合物がより好ましい。
又、粘着付与樹脂は、重量平均分子量が600以下の揮発性成分の含有量が13重量%以下であることが好ましい。このような粘着付与樹脂を用いることによって、粘着物性を損なうことなく粘着付与樹脂によって生じる揮発性成分を低く抑えることができ、粘着物性を改善し且つアウトガス発生を極力抑えたアクリル系粘着剤を得ることができる。しかも、基材層との密着性を高め、結果、止水性のより高いテープを得る事ができる。なお、上記粘着付与樹脂の重量平均分子量及びその含有量はGPCにより測定し、ポリスチレン換算値及び面積比により算出できる。
【0052】
上記粘着付与樹脂から重量平均分子量が600以下の揮発性成分を除去する方法としては、例えば、粘着付与樹脂を軟化点以上に加熱溶融する方法、水蒸気を吹き込む方法などが挙げられる。
粘着付与樹脂を加熱溶融する場合には、空気中の酸素との酸化反応を防ぐために、窒素、ヘリウムなどの不活性ガス中で加熱することが好ましく、又、加熱時間は、加熱による粘着付与樹脂の分解を避けるために1〜5時間が好ましい。
【0053】
水蒸気を吹き込む場合には、粘着付与樹脂を加熱溶融後に1〜50kPaに減圧してから水蒸気を吹き込むと、揮発性成分の低減を効果的に行うことができる。水蒸気を吹き込む時間としては、短いと、揮発性成分の低減を図ることができないことがある一方、長くても、揮発性成分の低減効果に差がないので、1〜5時間が好ましい。
【0054】
上記アクリル系粘着剤に用いられるアクリル系重合体としては、特に限定されないが、(メタ)アクリル酸エステルモノマーの単独重合体や、(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、これと共重合可能な他のモノマーとの共重合体が挙げられ、共重合体であることが好ましい。なお、(メタ)アクリル酸とは、メタクリル酸又はアクリル酸を意味する。
【0055】
上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリルなどが挙げられ、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、アルキル基の炭素数が4以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステルがより好ましく、アルキル基の炭素数が4〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが特に好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基含有モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、n−メチロールアクリルアミドなどの水酸基含有モノマー;グリシジルアクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有モノマーなどが挙げられ、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
【0056】
アクリル系重合体としては、(メタ)アクリル酸と、アルキル基の炭素数が4〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを含有するモノマーを重合させてなる共重合体が好ましく、(メタ)アクリル酸と、アルキル基の炭素数が4〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを総量として50重量%以上含有するモノマーを重合させてなる共重合体がより好ましく、(メタ)アクリル酸と、アルキル基の炭素数が4〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、を総量として50〜100重量%含有するモノマーを重合させてなる共重合体が特に好ましい。
【0057】
アクリル系重合体の重量平均分子量は、小さいと、流動性が良好で初期タックに優れているものの、凝集力が小さく、耐熱性が低下し、糊残りが発生することがあり、又、大きいと、耐熱性に優れているものの、流動性が悪く初期タックが小さいことがあるので、30万〜80万が好ましい。
なお、アクリル系重合体の重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法によりポリスチレン換算分子量として測定されたものをいう。
具体的には、アクリル系重合体の重量平均分子量は、アクリル系重合体をテトラヒドロフラン(THF)によって50倍希釈して得られた希釈液をフィルターで濾過し、得られた濾液に基づいて、アクリル系重合体のポリスチレン換算分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフによって測定することにより得ることができる。上記ゲルパーミエーションクロマトグラフとしては、例えば、Water社から商品名「2690 Separations Model」で市販されているものなどが使用できる。
【0058】
そして、アクリル系重合体は、モノマーを重合開始剤の存在下にて汎用の要領で重合させて製造されるが、このような重合開始剤としては、特に限定されず、例えば、パーオキサイド系重合開始剤、アゾ系重合開始剤などが挙げられ、得られるアクリル系粘着剤中に重合開始剤やその残渣が残存しないように、10時間半減期温度が80℃以下であるものが好ましい。なお、重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0059】
更に、アクリル系重合体を重合によって製造するにあたっては、特に、重合開始剤やその残渣が揮発性成分として反応溶液中に残存しないように、重合開始剤として10時間半減期温度が80℃以下であるものを選択し且つ重合温度を重合開始剤の10時間半減期温度よりも高い温度とし、できる限り長時間に亘って重合させることが好ましい。更に、重合後における反応溶液中に残存する重合開始剤を低減し且つ重合反応を速やかに完全に進行させるために、重合終期での重合温度Tを、下記式(1)を満たすように調整し、この重合温度Tを長時間に亘って保持することが好ましい。
1/2+5≦T≦t1/2+25・・・式(1)
(t1/2:重合開始剤の10時間半減期温度)
【0060】
又、アクリル系重合体中に、残存モノマー、残存重合開始剤及びその他の不純物が少ないほど好ましく、重合中或いは重合終了後に必要に応じて残存モノマー、残存重合開始剤及びその他の不純物を除去して低減させることが好ましい。
【0061】
重合時に反応溶液中の残存モノマーを低減する方法としては、例えば、反応溶液の還流液を新しい溶媒で置換する方法;重合率が95%以上、好ましくは98%以上になった時点で、酢酸ビニル、ビニルブチルエーテル、アクリル酸メチル、スチレンなどの比較的低沸点のスキャベンジャーモノマーを添加し、残存モノマーをスキャベンジャーモノマーと反応させてスキャベンジャーモノマーとともに残存モノマーを除去する方法;重合終了時に、アクリル系粘着剤に対する貧溶媒、例えば、メタノール、エタノール、n−ヘキサン、n−へプタンなどの低沸点溶媒を用いてアクリル系粘着剤を洗浄する方法などが挙げられる。
【0062】
更に、アクリル系粘着剤には、必要に応じて、架橋剤、可塑剤、乳化剤、軟化剤、充填剤、顔料、染料などの添加剤を添加してもよい。なお、これらの添加剤も揮発性成分が可能な限り除去されていることが好ましい。
【0063】
上記架橋剤としては、特に限定されず、例えば、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート型架橋剤などが挙げられる。更に、アクリル系粘着剤には、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化マグネシウム、シリカ、マグネシア、セラミックス粉末などの熱伝導性フィラーが添加されていてもよい。
【0064】
また、アクリル系粘着剤には、熱伝導性フィラーを添加することが好ましい。すなわち、熱伝導性フィラーによってアウトサイドミラー組み立て用粘着シートの熱伝導性を向上させて、ミラーと面状発熱体とを積層した場合に、面状発熱体の熱を収納空間部に円滑に伝達しミラーの視認性を一様にすることができる。
【0065】
そして、粘着剤層の厚みは、薄過ぎると、アウトサイドミラー組み立て用粘着シートの粘着性が低下することがあり、又、厚過ぎると、テープの加工性が劣ってしまったり、本発明のアウトサイドミラー組み立て用粘着シートを用いて閉じた空間を形成した場合にアウトガスが問題となってしまったりするおそれがあるので、10〜150μmが好ましく、20〜100μmがより好ましく、30〜60μmが更に好ましい。
【0066】
(テープVOC)
本発明のアウトサイドミラー組み立て用粘着シートは、これを90℃で30分間に亘って加熱した際に、下記式(2)により算出される揮発成分濃度が500ppm未満であることが好ましい。すなわち、揮発成分濃度が500ppm未満であると、粘着テープから発生する揮発成分量は劇的に少ないと評価でき、ミラー内での結露等の問題や、揮発成分を原因とする粘着シートのはがれを防止することができる。又、上述した基材層との密着性に非常に優れたものとなる。
揮発成分濃度(ppm)
=揮発成分重量X(μg)/加熱前のアウトサイドミラー組み立て用粘着シート重量(g)・・式(2)
(但し、式(2)中、揮発成分重量Xはヘキサデカン換算重量を表す。)
【0067】
揮発成分重量Xは、アウトサイドミラー組み立て用粘着シートを90℃にて30分間に亘って加熱した際に放出された揮発成分の重量を熱脱着装置を用いて濃縮しGC−MS装置を用いることによって測定することができる。そして、測定された揮発成分重量Xをアウトサイドミラー組み立て用粘着シートの重量で除することによって揮発成分濃度を算出することができる。
【0068】
具体的には、上記揮発成分濃度の測定方法としては、具体的には、アウトサイドミラー組み立て用粘着シートを構成しているアクリル系粘着剤を用意し、このアクリル系粘着剤約20mgをサンプルチューブ(内径:約5mm、長さ:約10cm)に入れて90℃に加熱保持しながら、ヘリウムガスを1.5ミリリットル/分の流速にて30分間に亘ってサンプルチューブ内に流して得られた揮発成分を熱脱着装置に内蔵されたトラップチューブに捕集して濃縮した後、トラップチューブを280℃にて10分間に亘って加熱してGC−MS装置に供給する。
GC−MS装置において、無極性のキャピラリーカラム(アジレントテクノロジー社製商品名「HP−1」、0.32mm×60m×0.25μm)を使用し、キャピラリーカラムの温度を40℃にて4分間に亘って維持した後、キャピラリーカラムを毎分5℃の昇温速度にて100℃まで昇温し、しかる後、キャピラリーカラムを毎分10℃の昇温速度にて320℃まで昇温した後、320℃にて3分間に亘って保持する。なお、MS測定範囲は30〜400amu(原子質量単位)、ヘリウム流量は1.5ミリリットル/分、イオン化電圧は70eV、イオン源は230℃、インターフェイスは250℃、トランスファーラインは225℃とする。揮発成分の重量は、得られたピーク面積を、n−ヘキサデカンにより作成した絶対検量線に基づいて重量換算することによって算出することができる。
【0069】
そして、測定された揮発成分の重量を、測定対象となるアウトサイドミラー組み立て用粘着シートを構成しているアクリル系粘着剤の重量に比例換算し、この比例換算された揮発成分重量Xをアウトサイドミラー組み立て用粘着シートの重量で除することによって揮発成分濃度を算出することができる。
なお、熱脱着装置は、例えば、パーキンエルマー社から商品名「ATD−400」にて市販されており、GC−MS装置は、例えば、日本電子社から商品名「AutomassII−15」にて市販されている。
【0070】
更に、本発明のアウトサイドミラー組み立て用粘着シートは、これを90℃で30分間に亘って加熱した際に、下記式(3)により算出される揮発トルエン濃度が50ppm未満であることがより好ましい。このように、揮発トルエン濃度が50ppm未満であれば、温度が高くなった場合にあってもアウトサイドミラー組み立て用粘着シートから発生するトルエン量を低く抑えることができ、臭気の発生を抑制することができる。
揮発トルエン濃度(ppm)
=揮発トルエン重量Y(μg)/加熱前のアウトサイドミラー組み立て用粘着シート(g)・・式(3)
(但し、式(3)中、揮発トルエン重量Yはヘキサデカン換算重量を表す。)
なお、揮発トルエン濃度は、揮発成分重量Xと同様の要領にて揮発トルエン重量Yを測定し、この揮発トルエン重量Yを両面粘着テープの重量で除することによって算出することができる。
【0071】
このようなアクリル系粘着剤は、残留モノマーなどの低分子量成分を極力低減させたり、アクリル系重合体の重量平均分子量を一定の範囲に調整したり、粘着付与樹脂の軟化点を調整することで達成可能である。
【0072】
(アウトサイドミラー組み立て用粘着シートの製造方法)
本発明のアウトサイドミラー組み立て用粘着シートの製造方法としては、特に限定されないが、たとえば、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートからなる基材層の少なくとも一面に粘着剤を塗布して粘着剤層を積層一体化させる方法が挙げられる。
塗布して粘着剤層を積層一体化させる方法としては、例えば、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの少なくとも一面にコーターなどの塗工機を用いて粘着剤を塗布する方法、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの少なくとも一面にスプレーを用いて粘着剤を噴霧、塗布する方法、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの少なくとも一面に刷毛を用いて粘着剤を塗布する方法などが挙げられる。
【発明の効果】
【0073】
本発明にかかるアウトサイドミラー組み立て用粘着シートは、以上のように構成されているので、薄型でありながら十分な衝撃吸収性及び止水性を有するとともに、高温下、及び温度変化環境下においてもそれらの物性を保つことができる。したがって、薄型で耐久性に優れたアウトサイドミラーを提供することができる。
【0074】
又、粘着付与樹脂として、重量平均分子量が600以下の成分の含有量が13%以下であるものを用いれば、揮発分の量を極めて少量に押さえられるため、狭い内部空間でも揮発成分がヒーターの制御機器等の電子部品に悪影響を及ぼすことはない。
【0075】
そして、90℃で30分間に亘って加熱した際に、上記式(2)により算出される揮発成分濃度が500ppm未満であれば、アウトサイドミラー組み立て用粘着シートから発生する揮発成分量は劇的に少ないと評価でき、ミラー内での結露等の問題や、揮発成分を原因とする粘着シートのはがれを防止することができる。
【0076】
さらに、アクリル系粘着剤として、重合開始剤として10時間半減期温度が80℃以下であるものを選択し且つ重合温度を重合開始剤の10時間半減期温度よりも高い温度として共重合されたアクリル系重合体を含むものを用いれば重合開始剤やその残渣が揮発性成分として反応溶液中に残存しないので、より揮発成分の少ないものとすることができる。
また、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの厚みを0.1〜3mm、アクリル系粘着剤層の厚みを10〜150μmとすれば、十分な柔軟性や引張強さ、衝撃吸収性、風合いや機械的強度などを安定して得られるとともに、経済的にも有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0077】
以下に、本発明の実施例を詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0078】
(実施例1)
(アクリル系粘着剤の作製)
温度計、攪拌機、冷却管、滴下漏斗及び窒素ガス導入管を備えた反応器に、n−ブチルアクリレート70重量部、2-エチルヘキシルアクリレート27重量部、アクリル酸3重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート0.1重量部及びドデカンチオール0.05重量部からなるモノマー混合物と、酢酸エチル80重量部とを供給した上で攪拌することによって、酢酸エチルにモノマー混合物を溶解させてモノマー混合溶液を作製した。
還流点において、重合開始剤としてラウロイルパーオキサイド(10時間半減期温度:62℃)4mmolを重合開始〜4時間に加え、重合させた。
【0079】
4時間後、更に重合開始剤4mmolを4〜6時間にかけて加えた後、10時間に亘って重合させた。その後酢酸ビニルモノマー5gを投入してアクリル系重合体を得た。
得られたアクリル系重合体(固体)100重量部に、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製 商品名「コロネートL」、有効成分:55重量%)1.6重量部と、粘着付与樹脂として重量平均分子量が600以下の揮発性成分を除去した(油脂等の低分子量揮発性成分の含有量9.6重量%)である、軟化点140℃のロジンエステル化合物19重量部とを加えて攪拌してアクリル系粘着剤Aを得た。
【0080】
(基材の作製)
重合触媒として四価の遷移金属を含むメタロセン化合物を用いて得られた直鎖状低密度ポリエチレン(エクソン・ケミカル社製、商品名「EXACT3027」、密度:0.900g/cm3、重量平均分子量:2.0、融点:98℃、軟化点:85℃)100重量部、アゾジカルボンアミド5重量部、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.3重量部及び酸化亜鉛1重量部からなる発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物を押出機に供給して130℃で溶融混練し、幅が200mmで且つ厚さが1.0mmの長尺状の発泡性ポリオレフィン系樹脂シートに押出した。
【0081】
次に、上記長尺状の発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの両面に加速電圧800kVの電子線を5Mrad照射して発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを架橋した後、この発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを熱風及び赤外線ヒーターにより250℃に保持された発泡炉内に連続的に送り込んで加熱、発泡させた。
しかる後、得られた発泡シートを発泡炉から連続的に送り出した後、この発泡シートをその両面の温度が200〜250℃となるように維持した状態で、そのCDに延伸させるとともに、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの発泡炉への送り込み速度(供給速度)よりも速い巻取速度でもって発泡シートを巻き取ることによって発泡シートをMDに延伸させて、発泡シートの気泡をCD及びMDに延伸して変形させ、幅1050mm、厚み1.0mm、架橋度25重量%、発泡倍率4.7倍の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートからなる基材Aを得た。
【0082】
(アウトサイドミラー組み立て用粘着シートの作製)
基材Aの両面に上記アクリル系粘着剤Aを乾燥後厚みが50μmになるよう塗布し、105℃で5分間に亘って乾燥させて、基材Aの両面にアクリル系粘着剤Aからなる厚み50μmの粘着剤層がそれぞれ積層一体化されてなるアウトサイドミラー組み立て用粘着シートを作製した。
【0083】
(実施例2)
架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの厚みを、巻取速度を調整することにより0.2mmにした以外は実施例1と同様にして基材Bを得た。そして、基材Aに代えて基材Bを用いた以外は実施例1同様にしてアウトサイドミラー組み立て用粘着シートを作製した。
【0084】
(実施例3)
実施例1で用いたロジンエステル化合物の配合量を25重量部としたこと以外は実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤Bを得た。そして、アクリル系粘着剤Aに代えてアクリル系粘着剤Bを用いた以外は実施例1と同様にして、アウトサイドミラー組み立て用粘着シートを作製した。
【0085】
(実施例4)
粘着付与樹脂として重量平均分子量が600以下の揮発性成分を除去したものに代えて除去していない軟化点140℃のロジンエステル化合物を用いた以外は実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤Cを得た。そして、アクリル系粘着剤Aに代えてアクリル系粘着剤Cを用いた以外は実施例1と同様にして、アウトサイドミラー組み立て用粘着シートを作製した。
(実施例5)
揮発成分を除去していない軟化点140℃のロジンエステル化合物の配合量を2重量部とした以外は実施例4と同様にして、アクリル系粘着剤Dを得た。そして、アクリル系粘着剤Aに代えてアクリル系粘着剤Dを用いた以外は実施例1と同様にして、アウトサイドミラー組み立て用粘着シートを作製した。
【0086】
(比較例1)
基材Aの代わりに、ポリウレタンフォーム(イノアック社製「ポロンSR」、厚み0.2mm)を基材Cとして用いた以外は実施例1と同様にして、アウトサイドミラー組み立て用粘着シートを作製した。
【0087】
(比較例2)
実施例1で用いたロジンエステル化合物の配合量を32重量部としたこと以外は実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤Eを得た。そして、アクリル系粘着剤Aに代えてアクリル系粘着剤Eを用いた以外は実施例1と同様にして、アウトサイドミラー組み立て用粘着シートを作製した。
【0088】
(比較例3)
実施例1で用いたロジンエステル化合物に代えて、軟化点が125℃の粘着付与樹脂(編成テルペン重合物、ヤスハラケミカル社製「YSレジンPX」)を19重量部配合したこと以外は実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤Fを得た。そして、アクリル系粘着剤Aに代えてアクリル系粘着剤Fを用いた以外は実施例1と同様にして、アウトサイドミラー組み立て用粘着シートを作製した。
【0089】
上記実施例1〜5及び比較例1〜3で得られたアウトサイドミラー組み立て用粘着シートのそれぞれについて、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのアスペクト比(MDの平均気泡径/CDの平均気泡径)、25%圧縮強度、止水性、衝撃伝導率、耐冷熱サイクル性、VOC、くもりを調べ、その結果を表1に示した。
なお、シート面方向アスペクト比、25%圧縮強度、止水性、衝撃伝導率、耐冷熱サイクル性、VOC、くもりについては、以下の評価方法によって評価した。
【0090】
(評価方法)
〔シート面方向アスペクト比〕
上記した方法で得られた架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートにおけるMD、CDの平均気泡径を求めたのち、以下の式により算出した。
シート面方向アスペクト比=MDの平均気泡径/CDの平均気泡径
【0091】
〔25%圧縮強度〕
JIS K6767に準拠した25%圧縮強度を求めた。
【0092】
〔止水性評価〕
150mm×150mm×5mmのアクリル板を2枚用意した。一方のアクリル板には、直径7mmの孔を設けた。
実施例及び比較例で得られたアウトサイドミラー組み立て用粘着シートを、外径60mm、内径50mmのドーナツ型に切り出し、サンプル片とした。
そして、このドーナツ型のサンプル片を用いて2枚のアクリル板を貼り合せた後、孔にホースを取り付け、基材層を構成する架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの圧縮率が20%になるように圧縮した状態で、ドーナツ内径にあたる部分に水を10kPaの圧になるように満たした。そして、10kPaの圧をかけたままで、JISC0920 IPX7に準拠し、漏水を評価した。
【0093】
〔耐冷熱サイクル性〕
アウトサイドミラー組み立て用粘着シートから、外側が80mm×80mmの長方形であり、内部から50mm×50mmの長方形がくりぬかれた形状であり、幅が25mmの粘着シート枠片を作製した。
100×100mm×(厚み5mm)のアクリル樹脂透明板とアルミニウム板を2枚用意した。一方の板の中央部に、粘着シート片の粘着剤層を貼り付け、他方の板を基材層側から粘着シート片に積層した。そして、12本のボルトを用いて、発泡基材の圧縮率が20%になる厚さで2枚の板を固定し、試験片を作製した。
この試験片を、冷熱サイクル試験機にて−20℃2時間/80℃2時間を1サイクルとして30サイクル行った。
30サイクルの後、深さ20cmまで40℃の水が入った水層に試験片を漬けた。水温を40℃に保ち、24時間浸漬させた。その後試験片を取り出して、目視で粘着シート枠片の内側に水が侵入しているかどうか確認し、水が侵入しているものを×、水が侵入していないものを○とした。
【0094】
〔揮発成分濃度測定〕
得られたアウトサイドミラー組み立て用粘着シートについて、前述の式(2)により算出される揮発成分濃度及び式(3)により算出される揮発トルエン濃度を上述の要領で測定した。揮発分の揮発を促進する目的で、90℃にて測定を行った。
【0095】
〔くもりの評価〕
内容量100mlのガラス瓶中に約20gのアウトサイドミラー組み立て用粘着シートを入れ、ガラス板で蓋をし、120℃で24時間加熱し、ガラス板の変化を目視により評価した。なお、評価の判断基準は以下の通りである。
○:変化無し。
△:微量の曇りがある。
×:はっきりと確認できる曇りがある。
【0096】
〔平面引っ張り試験:ミラー固定性代用評価〕
横50mm×縦125mm×厚3mmのミラーを用意した。ミラーホルダ代替として、横50mm×縦125mm×厚3mm製の樹脂板を準備した。
実施例及び比較例で作製したアウトサイドミラー組み立て用粘着シートを20mm×20mmの大きさに切り出した。そして、切り出した粘着シートを用いてミラー背面と樹脂板を固定し、試験片を作製した。
作製した試験片を、24時間23℃温度下で放置し、平面引っ張り試験強度にて固定の度合いを評価した。
【0097】
【表1】

【0098】
上記表1に示すように、本発明のアウトサイドミラー組み立て用粘着シートは、止水性、衝撃性に優れるとともに、耐熱性に優れていることが分かる。また、固定性評価でも優れた結果が得られている。
また、実施例1〜3,5のように、粘着付与樹脂中の重量平均分子量が600以下の揮発性成分を除去するようにすれば、VOCの発生も少なく抑えられることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】従来のアウトサイドミラーの構造を模式的にあらわす断面図である。
【図2】薄型化のためのアウトサイドミラーの構造を模式的にあらわす断面図である。
【符号の説明】
【0100】
1 ミラー積層体
2a,2b ミラーホルダ
3 粘着テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層の両面にアクリル系粘着剤層が積層一体化されており、
ミラーホルダの収容部に収容されるミラー又はミラー積層体と、前記収容部の内壁面と、の間に介在させてミラー又はミラー積層体をミラーホルダに固定するアウトサイドミラー組み立て用粘着シートであって、
前記基材層は、架橋度が5〜60重量%でありかつ気泡のシート面方向アスペクト比が0.25〜1である架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートであり、
前記アクリル系粘着剤層は、アクリル系重合体100重量部に対し、軟化点が130℃以上である粘着付与樹脂を1〜30重量部含有するアクリル系粘着剤からなることを特徴とする、アウトサイドミラー組み立て用粘着シート。
【請求項2】
粘着付与樹脂は、重量平均分子量が600以下の成分の含有量が13%以下である、請求項1記載のアウトサイドミラー組み立て用粘着シート。
【請求項3】
90℃で30分間に亘って加熱した際に、式(1)により算出される揮発成分濃度が500ppm未満である、請求項1又は請求項2に記載のアウトサイドミラー組み立て用粘着シート。
揮発成分濃度(ppm)
=揮発成分重量X(μg)/加熱前のアウトサイドミラー組み立て用粘着シート重量(g)・・式(1)
(但し、式(1)中、揮発成分重量Xはヘキサデカン換算重量を表す。)
【請求項4】
アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸と、アルキル基の炭素数が4〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを含有するモノマーを重合させてなる共重合体を含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のアウトサイドミラー組み立て用粘着シート。
【請求項5】
アクリル系重合体は、重合開始剤として10時間半減期温度が80℃以下であるものを選択し且つ重合温度を重合開始剤の10時間半減期温度よりも高い温度として共重合されたものである、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のアウトサイドミラー組み立て用粘着シート。
【請求項6】
架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの厚みが0.1〜3mmであり、アクリル系粘着剤層の厚みが10〜150μmである、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のアウトサイドミラー組み立て用粘着シート。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−13592(P2010−13592A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−176541(P2008−176541)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】