説明

アクティブマウント装置及びそれを搭載した車両

【課題】
振動発生体からの振動変位をアクティブ制御し、伝達力を低減すると共に、省スペース化を実現することができるアクティブマウント装置とそれを搭載した車両を提供する。
【解決手段】
アクティブマウント装置1は、ハウジング(主液室)11と内部が連通し、液体で満たされたベローズ12と、ハウジング11に、ハウジング11とベローズ12との連通部13を摺動するプランジャ21を含む減衰装置20、及び制御システム40を備え、
ハウジング11の内部でハウジング11とベローズ12との連通部13の反対側に、ハウジング11の内部を液体室31と気体室32とに仕切るダイヤフラム33とからなる液圧調整部30を設けて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラックのエンジンなどの内燃機関を基台に固定し、内燃機関などの振動発生体の振動を低減するアクティブマウント装置において、車室内振動を低減すると共に、省スペース化して、車両への搭載性を向上したアクティブマウント装置とそれを搭載した車両に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、エンジンなどの内燃機関を基台に固定するエンジンマウント装置は、エンジン本体の姿勢が変化したりしないようにエンジンを車両基台に支持するものである。エンジンのアイドル時から全力走行時にわたる広いエンジン回転数域で発生するエンジンの振動が車体側へ伝達されることを防ぐと同時に、エンジンを回転させることにより発生するトルクや路面からエンジンへ伝達される振動を低減させる働きを持っている。
【0003】
これらエンジンマウント装置の中に、アクティブマウント装置がある(例えば特許文献1参照)。このアクティブマウント装置はラバーマウントを介して内燃機関を支持し、液体が封入されたマウント内部にプランジャとアクチュエータを備える。内燃機関からアクティブマウント装置に振動が伝わり、封入された液体に振動が伝わり、その振動を感知し、アクチュエータを作動させ、プランジャを摺動させることによって、液体に伝わった振動を打ち消す。
【0004】
しかし、従来のアクティブマウント装置には、エンジンなどの内燃機関の固有振動数よりもやや高周波で比較的レベルの高い振動に対しては、防振領域内であるが、充分に振動を低減しにくいという問題があった。また、マウントを直立に近い姿勢で使用しないとオリフィスに液が流れないため、傾斜状態では使用できないという問題もあった。さらに、外形が大きくなるという、車載上の問題もあった。
【0005】
そこで、本発明の発明者らはそれらの問題点を比較的簡単な構造で解決するアクティブマウント装置を提案した(例えば特許文献2参照)。このアクティブマウント装置を図6に示す。このアクティブマウント装置1Xは、エンジン(振動発生体)2を車体(基台)3に防振支持している。そして、このアクティブマウント装置1Xは、ハウジング(主液室)11、ベローズ12、減衰装置20、アキュムレータ30X及び制御システム40を備える。ハウジング11とベローズ12とは連通部13を介して内部にオイルOLを満たして連通している。
【0006】
ハウジング11には、配線通路16と配線通路16から内部のオイルOLが流れ出ないように密閉するシール部17とを備える。減衰装置20はプランジャ21と、永久磁石22a、22b、電磁コイル23a、23bとからなるボイスコイルモータ(アクチュエータ)を備える。アキュムレータ30Xは、液体室31X、気体室32X、及びダイヤフラム33Xを備える。制御システム40は、アーマチャー41、コイル42、力センサ43、サーボアンプ44、コントローラ装置(制御装置)45及びそれら各装置を繋ぐ信号線を備える。ハウジング11の一端を、力センサ43を介して車体と接合し、ベローズ12の一端を、接合部材14を介してエンジン2と接合する。
【0007】
上記の構成によって、アクティブマウント装置1Xはエンジン2からの起振力による力の変動、又はマウント変位をプランジャ21とアクチュエータ(永久磁石22a、22b、電磁コイル23a、23bとからなるボイスコイルモータ)をアクティブに制御することによって、低減することができる。
【0008】
このアクティブマウント装置1Xに備えたアキュムレータ30Xは、エンジン2の重量はベローズ12内のオイルOL、及び液体室31Xを介してダイヤフラム33Xへ伝わるので、この気体室32X内にはエンジン2の重量を支持できるだけの圧力の気体Gが封入されている。このアキュムレータ30Xは減衰装置20が動き易くするために用いているため、圧力変動吸収用である。
【0009】
しかしながら、アクティブマウント装置1Xの内部の圧力変動吸収用のアキュムレータ30Xが、突出して設けられており、このアキュムレータ30Xが車体3や、エンジン2の一部と干渉する場合があった。そのため、車両に搭載するために車両にある程度のスペースを確保することが必要なっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平5―99263号公報
【特許文献2】特開2003−240045号公報(特許4147783号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、車室内の振動を低減すると共に、車体やエンジンとの干渉を回避することで、省スペース化を実現して、車両への搭載性を向上することができるアクティブマウント装置とそれを搭載した車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を解決するための本発明のアクティブマウント装置は、主液室と、該主液室と内部が連通し、液体で満たされたベローズとを備えると共に、前記主液室にプランジャと、該プランジャを摺動可能にするアクチュエータとを備え、振動発生体又は基台の一方に前記ベローズの一端を、他方に前記主液室の一端を接合して、前記振動発生体を前記基台に支持したアクティブマウント装置において、前記主液室の内部に、前記プランジャと前記アクチュエータの動きを円滑するように前記主液室の内部の液体の圧力を調整する液圧調整部を備えて構成される。
【0013】
液圧調整部は、プランジャとアクチュエータが作動し易いようにその圧力を調整している。この構成によれば、プランジャとアクチュエータが作動し易いように設けていたアキュムレータを取り外すことができる。そのため、アキュムレータを用いていたときに比べて、内燃機関や基台に干渉することがなく、省スペースを実現することができる。
【0014】
また、上記のアクティブマウント装置において、前記液圧調整部として、前記主液室の内部を液体室と気体室とに仕切るダイヤフラムを備え、前記液体室に前記プランジャと前記アクチュエータとを配置する。
【0015】
この構成によれば、プランジャとアクチュエータが作動し易いように圧力変動吸収用に設けていたアキュムレータを取り外すことができる。主液室内を、液体室と気体室に分割するダイヤフラムを設けることにより、アキュムレータの機能を代替えすることができるので、省スペース化を実現することができる。また、従来のアキュムレータには窒素ガスを封入していたが、ダイヤフラムによって仕切られた気体室には窒素ガスなどを封入する必要がなくなる。
【0016】
加えて、上記のアクティブマウント装置において、前記主液室と前記ベローズとの連通
部の反対側に前記ダイヤフラムを備え、前記連通部に前記プランジャを摺動可能に配置する。
【0017】
この構成によれば、ベローズの反対側にダイヤフラムを設けて、プランジャとアクチュエータを動き易くすることができる。
【0018】
一方、上記のアクティブマウント装置において、前記主液室と前記ベローズとの連通部の反対側に前記ダイヤフラムを備え、前記主液室の内部の前記連通部側に前記アクチュエータを配置すると共に、前記主液室の内部の前記気体室側に前記プランジャを配置する。
【0019】
従来のアクティブマウント装置では、ベローズとハウジング室との連通部にプランジャを設け、ハウジング室の下部にアクチュエータと位置センサとを配置していた。上記の構成によれば、アクチュエータ(ボイスコイルモータ、永久磁石)、プランジャ、位置検出センサの配置を上下逆にすることで、プランジャの下部にダイヤフラムを取り付けることができる。これにより、ハウジング室の外部に設けていたアキュムレータの代替えをさせることができる。さらに、位置検出センサを差動変圧器で構成した場合に、上記の構成に比べて、配線を容易にすることができる。
【0020】
上記の問題を解決するための車両は、内燃機関を車体に防振支持する上記のアクティブマウント装置を搭載して構成される。この構成によれば、アクティブマウント装置が、エンジン(内燃機関)の一部や車体(基台)に干渉することがないため、省スペース化を図ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、車室内の振動を低減すると共に、車体やエンジンとの干渉を回避することで、省スペース化を実現して、車両への搭載性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態のアクティブマウント装置を示した断面図である。
【図2】図1のベローズの変位方向に大きな振動が加わった様子を示した断面図である。
【図3】本発明に係る第2の実施の形態のアクティブマウント装置を示した断面図である。
【図4】本発明に係る第3の実施の形態のアクティブマウント装置を示した断面図である。
【図5】本発明に係る第4の実施の形態のアクティブマウント装置を示した断面図である。
【図6】従来のアクティブマウント装置を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る実施の形態のアクティブマウント装置とそれを搭載した車両について、図面を参照しながら説明する。なお、図6に示した従来のアクティブマウント装置1Xと同一の構成及び動作については同一の符号を用いて、その説明を省略する。
【0024】
最初に本発明に係る第1の実施の形態のアクティブマウント装置1について、図1を参照しながら説明する。アクティブマウント装置1は、図6に示した従来のアクティブマウント装置1Xと同様に、図1に示すように、エンジン(振動発生体)2と車体(基台)3との間に配設され、ハウジング(主液室)11、ベローズ12、連通部13、接合部材14、減衰装置20、及び制御装置40を備える。
【0025】
このアクティブマウント装置1の連通部13はプランジャ21との間に隙間を設け、ハウジング11とベローズ12との圧力を静的に釣り合わせてエンジン2の重量が、プランジャ21にかからないようにしている。
【0026】
ここで、図中の横方向をX、ベローズの変位方向である上下方向をYとする。プランジャ21をベローズ12の変位方向Yに移動可能に設け、このプランジャ21を有する減衰装置20は、電磁コイル23a、23bに通電すると、永久磁石22a、22bと電磁コイル23a、23bとのそれぞれの間に電磁力が働き、この電磁力により電磁コイル23a、23bとプランジャ21が上下方向Yに移動する。プランジャ21の移動量及び移動方向は、電磁コイル23a、23bへの電流及び通電方向を変更することで制御できる。
【0027】
アーマチャー41とコイル42とからなる差動変圧器46は、機械的変位を電気信号に変換する検出器の中で、構成部品点数が少ない。また、検出範囲が広く、感度、直線性、応答性に優れた検出器である。コイル42をハウジング11の内壁面に設け、アーマチャー41をプランジャ21と接合する。アーマチャー41がコイル42上を移動すると、磁界に変化が起き、それにより電気信号が変化する。その電気信号の変化から、プランジャ21の変位を検出することができる。
【0028】
本発明に係る第1の実施の形態のアクティブマウント装置1は、上記の従来の構成に加えて、図1に示すように、ハウジング11内に液圧調整部30を備える。
【0029】
液圧調整部30として、ハウジング11の内部をダイヤフラム33によって、液体室31と気体室32とに仕切り、そのダイヤフラム33をハウジング11とベローズ12との連通部13の反対側、つまり基台3側に配置する。ハウジング11の内部に配置する液圧調整部30の場所は、ベローズ12とハウジング11との連通部13の反対側が好ましい。
【0030】
ダイヤフラム33は、液体室31と気体室32とを仕切るものであり、本発明においては、減衰装置20が動き易くするために用いているため、圧力変動吸収用である。このダイヤフラム33は液体室31と気体室32とを仕切ることができ、液体室31内の圧力を調整することができればよく、上記の構成に限定しない。また、ダイヤフラム33によって仕切られた気体室には窒素ガスなどを封入する必要がない。
【0031】
従来のアクティブマウント装置では、アキュムレータを使用していたため、アキュムレータがエンジン2の一部や、車体3に干渉してしまう可能性があり、その分、大きめのスペースが必要であった。上記の構成によれば、ハウジング11の内部をダイヤフラム33により、液体室31と気体室32とに仕切り、これらにより、従来のアキュムレータと同様の効果を得ることができるため、アキュムレータを取り外すことが可能となる。そのため、車両にアクティブマウント装置1を搭載した際に周囲と干渉することなく、省スペース化を実現することができる。
【0032】
また、プランジャ21の下部にダイヤフラム33を配置することで、ダイヤフラム33による圧力変動低減効果を効き易くすることができる。そのため、エンジン2からの振動を低減する際の減衰装置20の減衰運動を円滑に動作させることができる。
【0033】
加えて、従来のアキュムレータでは窒素ガスなどを封入していたが、ダイヤフラム33によって仕切られた気体室32には、別段圧力を高くした気体などを封入する必要がない。
【0034】
このアクティブマウント装置1において、例えば、ベローズ12は、比較的軟らかく(
バネ定数が低い)、充分に追随して大きく伸縮させることができればよく、材質などは問わない。また、減衰装置20はプランジャ21を動作させることができればよく、アクチュエータとして動作する装置をボイスコイルモータに限定せず、ピエゾアクチュエータなどでもよい。
【0035】
加えて、このプランジャ21とベローズ12と連通部13の形状は円状に限らずに、多角形状でもよい。さらに制御システム40についても、連通部13にプランジャ21が位置するようにフィードバック制御を行うことができれば、力センサ43の代わりベローズ12内の圧力を検出するセンサを用いてもよい。また、位置検出センサとして差動変圧器46を用いているが、プランジャ21の位置を検出することができればよく、上記の構成に限定しない。
【0036】
さらに、このアクティブマウント装置1は、マウント変位あるいはエンジン2の起振力による力の変動をキャンセルすることができればよく、上下を逆にした配置でもよい。つまり、気体室32をエンジン2側に、液体室31を車体3側に配置してもよい。
【0037】
次に、上記のアクティブマウント装置1の動作を、図2を参照しながら説明する。エンジン2が作動している場合は、エンジン2からの加振により、アクティブマウント装置1にはY方向からの変位が加わる。この変位に対して、アクティブマウント装置は減衰装置20をアクティブに制御することで振動を低減する。
【0038】
このアクティブ制御について説明する。エンジン2の起振力による振動変位は、図面のY方向へ、接合部材14から、ベローズ12へと伝わる。このとき、ベローズ12内で油圧振幅が発生し、それによる力が、ハウジング11を介して、車体3に伝達する。その伝達力を力センサ43で検出し、その信号をコントローラ装置45に入力し、伝達力が0に近づくようにコントローラ装置45で計算された出力信号をサーボアンプ44に入力する。一方で、差動変圧器46でプランジャ21の位置を検出し、検出した位置データをサーボアンプ44に送る。それらの信号を基にサーボアンプ44が減衰装置20を動作させて、プランジャ21の位置を連通部13に保持して、ベローズ12の油圧変動をキャンセルして、伝達力を低減する。
【0039】
このとき、液圧調整部30のダイヤフラム33の動作によって、液体室31の内部のオイルOLの油圧は、プランジャ21とアクチュエータ(永久磁石22a、22b、電磁コイル23a、23bとからなるボイスコイルモータ)が作動し易い油圧を保つように動作する。
【0040】
この動作によれば、液圧調整部30によって、プランジャ21とアクチュエータが作動し易くなるため、従来では設けていたアキュムレータを取り外して、省スペース化したアクティブマウント装置でも、従来と同様にエンジン2からの振動を低減することができる。
【0041】
次に、本発明の第2の実施の形態のアクティブマウント装置50について図3を参照しながら説明する。このアクティブマウント装置50は、減衰装置20を上下逆に配置する。プランジャ21を連通部13ではなく、ダイヤフラム33側に設けた摺動部15に配置する。また、アクチュエータ(永久磁石22a、22b、電磁コイル23a、23bとからなるボイスコイルモータ)をベローズ側に配置し、差動変圧器46を連通部13に配置する。加えて、連通部13に、配線通路16と配線通路16から内部のオイルOLが流れでないように密閉するシール部17とを備える。
【0042】
減衰装置20の配置が上下逆向きになるだけで、各装置、減衰装置20、液圧調整部3
0、及び制御装置40の動作は第1の実施の形態と同じである。
【0043】
上記の構成によれば、前述と同様の作用効果を得ることができることに加えて、第1の実施の形態のアクティブマウント装置1と比べると、差動変圧器46の配線を容易にすることができる。また、第1の実施の形態と比べると、ダイヤフラム33の取り付けも、アクチュエータ(永久磁石22a、22b、電磁コイル23a、23bとからなるボイスコイルモータ)と差動変圧器46がベローズ12側に配置されるため、容易にすることができる。
【0044】
次に、本発明の第3の実施の形態のアクティブマウント装置60について図4を参照しながら説明する。上記で説明したアクティブマウント装置1は、エンジン2と車体3との間にハウジング11とベローズ12とが直列に配置されていたが、このアクティブマウント装置60は、ハウジング61とベローズ62を油圧変動がL字になるように配置する。L字に配置することによって、アクティブマウント装置60の高さを低くすることができる。そのため、エンジン2と車体3との間隔を狭めることができ、エンジン2を含めた配置スペースをさらに小さくすることができる。ハウジング61とベローズ62の配置がL字型になるだけで、その他の構成は同じになり、その動作も同様であるため、第1及び第2の実施の形態にも適用することができる。
【0045】
次に、本発明の第4の実施の形態のアクティブマウント装置70について図5を参照しながら説明する。アクティブマウント装置70を傾斜した車体3に配置し、ハウジング71の少なくともベローズ12の変位方向と直交する面を平面で形成する。ハウジング71のベローズ12の変位方向の面を、力センサ43を介して車体3と接合していた代わりに、ベローズ12の変位方向と直交する方向の平面を、力センサ43を介して車体3と接合する。また、ハウジング71の一側面にボール、ローラ等を用いたスライド機構72を介してL字型に形成されたスライド部材73を移動自在に取り付ける。このスライド部材73の一端には、ベローズ12に加振する接合部材14を固着する。
【0046】
エンジン2による振動変位により、スライド機構72によってスライド部材73が図面の斜め方向にスライドし、アクティブマウント装置70に振動変位を加える。振動変位が加わったアクティブマウント装置70の動作は前述した動作と同様である。
【0047】
この動作によれば、前述と同様の作用効果を得ることができることに加えて、このアクティブマウント装置70を対にして対称に配置することにより、ハウジング71によってエンジン2の重量を支えることができ、重いエンジン2を支持してもアクティブマウント装置70にはエンジン2の重量が作用しない。一方、スライド部材73がスライド自在とされているので、アクティブマウント装置70にはエンジン2からの起振力のみが作用するので、アクティブマウント装置70を小型化することができる。加えて、この構成は、第1〜第3の実施の形態にも適用することができる。
【0048】
上記のアクティブマウント装置1、50、60、及び70は、エンジン2に接合部材14を介してベローズ12を接合したが、車体3側にベローズ12を接合しても同様の作用効果を得ることができる。
【0049】
上記のアクティブマウント装置1、50、60、及び70を搭載し、エンジン2を防振支持された車両は、エンジン2の振動を低減すると共に、アクティブマウント装置1、50、60、及び70がエンジン2の一部や、車体3に干渉することが無いため、設置するためのスペースを小さくすることができる。
【0050】
また、上記のアクティブマウント装置1、50、60、及び70はエンジン2などの内
燃機関を支持することに限らず、振動を発生する振動発生体を、振動発生体を支持する基台に固定するマウント装置すべてに適用できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明のアクティブマウント装置は、振動を低減すると共に、エンジンや車体と干渉することがなく省スペースを実現することができるため、特に筒内圧力が高くエンジントルク変動も大きいディーゼルエンジンを搭載したトラックなどの車両に利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1、50、60、70 アクティブマウント装置
11 ハウジング(主液室)
12 ベローズ
13 連通部
14 接合部材
16 配線通路
17 シール部
20 減衰装置
30 液圧調整部
31 液体室
32 気体室
33 ダイヤフラム
40 制御システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主液室と、該主液室と内部が連通し、液体で満たされたベローズとを備えると共に、前記主液室にプランジャと、該プランジャを摺動可能にするアクチュエータとを備え、振動発生体又は基台の一方に前記ベローズの一端を、他方に前記主液室の一端を接合して、前記振動発生体を前記基台に支持したアクティブマウント装置において、
前記主液室の内部に、前記プランジャと前記アクチュエータの動きを円滑するように前記主液室の内部の液体の圧力を調整する液圧調整部を備えることを特徴とするアクティブマウント装置。
【請求項2】
前記液圧調整部として、前記主液室の内部を液体室と気体室とに仕切るダイヤフラムを備え、前記液体室に前記プランジャと前記アクチュエータとを配置することを特徴とする請求項1に記載のアクティブマウント装置。
【請求項3】
前記主液室と前記ベローズとの連通部の反対側に前記ダイヤフラムを備え、前記連通部に前記プランジャを摺動可能に配置することを特徴とする請求項2に記載のアクティブマウント装置。
【請求項4】
前記主液室と前記ベローズとの連通部の反対側に前記ダイヤフラムを備え、前記主液室の内部の前記連通部側に前記アクチュエータを配置すると共に、前記主液室の内部の前記気体室側に前記プランジャを配置することを特徴とする請求項2に記載のアクティブマウント装置。
【請求項5】
内燃機関を車体に防振支持する請求項1〜4のいずれか1項に記載のアクティブマウント装置を搭載することを特徴とする車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−36551(P2013−36551A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173624(P2011−173624)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】