説明

アクティブマトリックス型表示装置及びアクティブマトリックス型表示装置の製造方法

【課題】アクティブマトリックス型表示装置の生産性を向上させるとともに、接続不良を確実に防止し、発光素子の点灯不良を改善できるようにする。
【解決手段】第2金属層36b上に積層された絶縁保護膜61及び絶縁保護膜上61に積層された絶縁平坦化膜62は、第2金属層36bとアノード電極21とを電気的に接続する接続コンタクト63を上下方向に通す穴状のコンタクトホール60aを備え、コンタクトホール60aは、絶縁保護膜61の内周面と絶縁平坦化膜62の内周面とが段差なくつながって形成された下に凸の錐形状となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マトリックス状に配列された発光素子を備え、発光素子ごとに駆動されるアクティブマトリックス型表示装置及びアクティブマトリックス型表示装置の製造方法に係るものである。より詳しくは、アクティブマトリックス型表示装置において、その生産性を向上させるとともに、発光素子の点灯不良を改善できるようにした技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自発光のアクティブマトリックス型表示装置において、その発光素子として有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」という)を使用した有機ELディスプレイが知られている。すなわち、有機ELディスプレイは、有機EL素子をマトリックス状に配列するとともに、有機EL素子ごとに駆動手段を設けたものであり、有機EL素子は、アノード電極とカソード電極との間に、有機物の正孔輸送層や有機物の発光層を積層した有機物層を配置し、有機物層に電子と正孔とを注入することによって発光させる電流発光素子である。そのため、有機ELディスプレイは、有機EL素子に流れる電流値を駆動手段によってコントロールすることにより、発色の階調を得ている。
【0003】
ここで、有機EL素子を駆動する駆動手段は、TFT(薄膜トランジスタ)やキャパシタ(容量素子)等であり、これらは、絶縁膜を介して有機EL素子の下側に配置されている。すなわち、ガラス基板上にTFT等が配置され、TFT等の上に絶縁膜が積層され、この絶縁膜の上に有機EL素子が配列されている。そして、有機EL素子を駆動するために、例えば、有機EL素子のアノード電極とTFTのソース電極とが電気的に接続されている。
【0004】
また、有機ELディスプレイには、TFT等に接続される信号線、走査線、電源線等が配線されている。この信号線は、例えば、マトリックス状に配列された有機EL素子の各列ごとに配線され、走査線及び電源線は、例えば、有機EL素子の各行ごとに配線されたものである。そして、信号線は、走査線及び電源線と交差する位置で、それぞれ上下に重なり合うが、信号線と走査線及び電源線とは、絶縁膜によって絶縁されている。
【0005】
このように、有機EL素子とTFT等との間や、信号線、走査線、電源線等は、絶縁膜によって同層間及び異層間のショートが発生しないようになされており、有機EL素子の点欠陥や、横一列又は縦一列の線欠陥を防止している。そして、この絶縁膜は、TFTや信号線等の上に積層される絶縁保護膜と、絶縁保護膜上に積層され、有機EL素子が配列される表面を平坦化するための絶縁平坦化膜とによって構成されている。
【0006】
このような有機ELディスプレイでは、絶縁膜の上層に存在する有機EL素子のアノード電極と、絶縁膜の下層に存在するTFTのソース電極とを接続するために、絶縁保護膜及び絶縁平坦化膜に穴状のコンタクトホールが設けられている。このコンタクトホールの形成方法は、最初に、TFTや信号線等の上に絶縁保護膜を積層し、その後、フォトマスクを用いてエッチングすることにより、絶縁保護膜に穴を設ける。次に、絶縁保護膜の上に絶縁平坦化膜を積層し、再びフォトマスクを用いてエッチングすることにより、絶縁平坦化膜にも穴を設けるようにしている。すると、絶縁保護膜の穴と絶縁平坦化膜の穴とがコンタクトホールになる。そして、コンタクトホールに接続コンタクトを通せば、有機EL素子のアノード電極とTFTのソース電極とが電気的に接続されることとなる。
【0007】
しかしながら、絶縁保護膜に穴を形成するためのフォトマスクと、絶縁平坦化膜に穴を形成するためのフォトマスクとで別々のものを用いると、フォトマスクが2枚必要となってしまう。そこで、両者のフォトマスクを共通化し、同じフォトマスクを使用してエッチングすることにより、フォトマスクの枚数を削減するようにした技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−7722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記した特許文献1の技術では、フォトマスクの枚数を削減できるものの、コンタクトホールの形成工程において、絶縁保護膜に穴を形成する工程と、絶縁平坦化膜に穴を形成する工程との両方が必要になる点に変わりはない。そのため、有機ELディスプレイの製造工程が煩雑なものとなり、生産性の向上を図ることができない。
【0009】
また、エッチングによって形成された穴の大きさや形状等は、同一のフォトマスクを用いたとしても、エッチングの際の様々な要因(エッチング条件等)によって異なったものとなる。そのため、絶縁保護膜に形成された穴と、絶縁平坦化膜に形成された穴とでは、その大きさや形状等が一致せず、コンタクトホール内に段差等のずれが生じてしまう。すると、絶縁平坦化膜の上面とコンタクトホールの内面とに金属層を成膜し、アノード電極及び接続コンタクトを形成した際に、コンタクトホール内の段差等の部分において、接続コンタクトに接続不良が発生することがある。
【0010】
図19は、参考例の有機ELディスプレイ110を示す断面図であり、接続コンタクトに接続不良が発生した状態を示している。
図19に示すように、有機ELディスプレイ110には、有機EL素子を駆動するための各種の配線パターンが形成されている。すなわち、ガラス基板111上に、第1金属層131a,131bからなる配線パターンが形成され、さらに、第2金属層136a,136bからなる配線パターンも形成されている。そして、第2金属層136a,136bは、ゲート絶縁膜132上に設けられ、第2金属層136aは、信号線151として、第1金属層131aと電気的に接続されている。
【0011】
また、有機EL素子を構成するアノード電極121とカソード電極122との間は、図19に示す断面では、開口規定絶縁膜124によって電気的に絶縁されている。そして、アノード電極121と第2金属層136a,136bとの間は、接続コンタクト163の部分を除き、絶縁膜160によって電気的に絶縁されている。そのため、有機ELディスプレイ110は、開口規定絶縁膜124、ゲート絶縁膜132、及び絶縁膜160によって同層間や異層間のショートが防止されることとなる。
【0012】
ここで、絶縁膜160は、第2金属層136a,136b上に積層された絶縁保護膜161と、絶縁保護膜161上に積層され、表面を平坦化するための絶縁平坦化膜162とによって構成されている。そして、絶縁膜160(絶縁保護膜161及び絶縁平坦化膜162)に穴状のコンタクトホール160aが形成され、このコンタクトホール160aには、アノード電極121と第2金属層136bとを電気的に接続する接続コンタクト163が通されている。
【0013】
ところが、コンタクトホール160aにおいて、図19に示すように、絶縁保護膜161の穴の周辺部が絶縁平坦化膜162の穴の内側に飛び出していると、その部分が段差161aとなる。このような段差161aの発生は、コンタクトホール160aの形成方法に起因している。すなわち、コンタクトホール160aを形成するには、最初に、第2金属層136b等の上に絶縁保護膜161を成膜して穴を開け、その後、絶縁保護膜161の上に絶縁平坦化膜162を成膜して穴を開けることにより、絶縁保護膜161の穴と絶縁保護膜161の穴とをつなげてコンタクトホール160aとする。
【0014】
具体的には、最初に、第2金属層136b等の上にSi3N4(窒化ケイ素)又はSiO2(二酸化ケイ素)をCVD法(化学蒸着法)によって成膜し、絶縁保護膜161を形成する。そして、ノボラック系樹脂のレジストを塗布し、露光(露光時間は、例えば、800msec程度)及び現像(現像液は、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド))を行い、エッチング(CF4(四フッ化炭素)等のフッ素系ガスを用いたドライエッチング)によって絶縁保護膜161に穴を開ける。その後、絶縁保護膜161の上に感光性のポリイミド樹脂、ポリベンズオキサゾール樹脂、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン又はアクリル樹脂等をスピンコート法又はスリットコート法によって塗布し、絶縁平坦化膜162を形成してパターニングすることにより、絶縁保護膜161の穴の上の絶縁平坦化膜162にも穴を開ける。そのため、絶縁保護膜161の穴と絶縁平坦化膜162の穴とにより、コンタクトホール160aが形成されることとなる。
【0015】
このように、絶縁保護膜161と絶縁平坦化膜162とで別々の工程でコンタクトホール160aを形成すると、絶縁保護膜161の内周面形状と絶縁平坦化膜162の内周面形状とが一致せず、段差161aが発生する。すると、絶縁平坦化膜162の上面とコンタクトホール160aの内面とに金属層を成膜してアノード電極121及び接続コンタクト163を形成する際に、段差161aの角部で成膜が不十分となる。その結果、図19に示すように、接続コンタクト163に接続不良が発生し、有機EL素子の点灯欠陥(例えば、接続不良によって画素が発光しない滅点欠陥となったり、電流が流れにくくなるために輝度が落ちる等)となる。そして、このような点灯欠陥は、液晶ディスプレイと比較して画素構造が非常に複雑な有機ELディスプレイで多く発生し、特に、有機ELディスプレイの大型化につれ、歩留まりを低下させる要因となる。
【0016】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、有機ELディスプレイのようなアクティブマトリックス型表示装置の生産性を向上させるとともに、絶縁膜のコンタクトホールに通す接続コンタクトの接続不良を確実に防止し、有機EL素子等の発光素子の点灯不良を改善できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、以下の解決手段によって、上述の課題を解決する。
本発明の請求項1に記載の発明は、基板の上側に設けられた配線パターンと、前記配線パターン上に積層された絶縁保護膜と、前記絶縁保護膜上に積層され、表面を平坦化するための絶縁平坦化膜と、前記絶縁平坦化膜の上側にマトリックス状に配列され、上部電極と下部電極との間に発光層を有する発光素子と、前記配線パターンと前記下部電極とを電気的に接続する接続コンタクトとを備え、前記発光素子ごとに駆動されるアクティブマトリックス型表示装置であって、前記絶縁保護膜及び前記絶縁平坦化膜は、前記接続コンタクトを上下方向に通す穴状のコンタクトホールを備え、前記コンタクトホールは、前記絶縁保護膜の内周面と前記絶縁平坦化膜の内周面とが段差なくつながって形成された下に凸の錐形状となっていることを特徴とする。
【0018】
(作用)
上記の請求項1に記載の発明は、絶縁保護膜及び絶縁平坦化膜に、接続コンタクトを上下方向に通す穴状のコンタクトホールを備えている。そして、このコンタクトホールは、絶縁保護膜の内周面と絶縁平坦化膜の内周面とが段差なくつながって形成された下に凸の錐形状となっている。そのため、接続コンタクトがコンタクトホールの内周面に接続不良なく形成される。
【0019】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、基板の上側に設けられた配線パターンと、前記配線パターン上に積層された絶縁保護膜と、前記絶縁保護膜上に積層され、表面を平坦化するための絶縁平坦化膜と、前記絶縁平坦化膜の上側にマトリックス状に配列され、上部電極と下部電極との間に発光層を有する発光素子と、前記配線パターンと前記下部電極とを電気的に接続する接続コンタクトとを備え、前記発光素子ごとに駆動されるアクティブマトリックス型表示装置の製造方法であって、前記配線パターン上に、前記絶縁保護膜を積層形成する絶縁保護膜形成工程と、前記絶縁保護膜形成工程の後、前記絶縁保護膜上に、前記絶縁平坦化膜を積層形成する絶縁平坦化膜形成工程と、前記絶縁平坦化膜形成工程の後、前記絶縁保護膜及び前記絶縁平坦化膜に、前記接続コンタクトを上下方向に通す穴状のコンタクトホールを形成するコンタクトホール形成工程とを含み、前記コンタクトホール形成工程は、前記絶縁平坦化膜の上側に、前記接続コンタクトの位置に合わせたパターンが形成されたマスキング部材を配置し、前記マスキング部材により、前記絶縁保護膜及び前記絶縁平坦化膜に対して前記コンタクトホールを形成することを特徴とする。
【0020】
(作用)
上記の請求項3に記載の発明は、配線パターン上に、絶縁保護膜を積層形成する絶縁保護膜形成工程と、絶縁保護膜形成工程の後、絶縁保護膜上に、絶縁平坦化膜を積層形成する絶縁平坦化膜形成工程と、絶縁平坦化膜形成工程の後、絶縁保護膜及び絶縁平坦化膜に、接続コンタクトを上下方向に通す穴状のコンタクトホールを形成するコンタクトホール形成工程とを含む。そして、コンタクトホール形成工程は、絶縁平坦化膜の上側に、接続コンタクトの位置に合わせたパターンが形成されたマスキング部材を配置し、マスキング部材により、絶縁保護膜及び絶縁平坦化膜に対してコンタクトホールを形成する。そのため、絶縁保護膜及び絶縁平坦化膜に対し、1つのマスキング部材で1回でコンタクトホールを形成できるようになる。また、このようにして形成されたコンタクトホールは、絶縁保護膜の内周面と絶縁平坦化膜の内周面とが段差なくつながった下に凸の錐形状となる。
【発明の効果】
【0021】
上記の発明によれば、コンタクトホールは、絶縁保護膜の内周面と絶縁平坦化膜の内周面とが段差なくつながって形成された下に凸の錐形状となるので、接続コンタクトがコンタクトホールの内周面に接続不良なく形成される。そのため、接続コンタクトの接続不良に起因する発光素子の点灯欠陥がなくなり、アクティブマトリックス型表示装置における歩留りの向上を図ることができる。また、絶縁保護膜及び絶縁平坦化膜に対し、1つのマスキング部材で1回でコンタクトホールを形成できるので、マスキング部材の数を削減でき、製造工程が簡素化される結果、生産性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面等を参照して、本発明の各実施形態について説明する。
図1は、本発明のアクティブマトリックス型表示装置の一例として、第1実施形態の有機ELディスプレイ10を示す平面図である。
また、図2は、図1に示す有機ELディスプレイ10の等価回路図である。
図1に示すように、有機ELディスプレイ10は、アノード電極21(本発明における下部電極に相当するもの)、カソード電極22(本発明における上部電極に相当するもの)、及び有機物層23(本発明における発光層に相当するもの)によって構成される有機EL素子20(本発明における発光素子に相当するもの)を備えている。そして、有機EL素子20は、駆動TFT30a、書込みTFT30b、及びキャパシタ40によって駆動される。なお、カソード電極22は、透明電極となっている。
【0023】
また、有機ELディスプレイ10には、このような有機EL素子20がM行×N列のマトリックス状に配列されており、有機EL素子20ごとにそれぞれ設けられた駆動TFT30aや書込みTFT30b等によって駆動されるアクティブマトリックス型表示装置となっている。
【0024】
このような有機ELディスプレイ10において、有機EL素子20は、図2に示すように、例えば、カソード電極22がGND(グラウンド)に接続され、アノード電極21が駆動TFT30aのソース電極35aに接続されている。なお、アノード電極21とソース電極35aとは、接続コンタクト63(図1参照)を介して接続されている。
【0025】
また、駆動TFT30aのドレイン電極36aは、正電位(Vcc)の電源線53に接続され、ゲート電極31aと電源線53との間には、キャパシタ40が接続されている。さらにまた、駆動TFT30aのゲート電極31aは、書込みTFT30bのソース電極35bと接続され、書込みTFT30bのゲート電極31bは、走査線52と接続され、ドレイン電極36bは、信号線51と接続されている。
【0026】
ここで、走査線52に書込み信号を印加し、書込みTFT30bのゲート電極31bの電位を制御すると、信号線51の信号電圧が駆動TFT30aのゲート電極31aに印加される。この際、ゲート電極31aの電位は、次に走査線52に書込み信号が印加されるまでの間、キャパシタ40によって安定的に保持される。すると、この間は、駆動TFT30aのゲート電極31aとソース電極35aとの間の電圧に応じた電流が有機EL素子20に流れ、有機EL素子20は、この電流値に応じた輝度で発光し続ける。
【0027】
このように、有機ELディスプレイ10は、有機EL素子20に流れる電流値をコントロールして発光させる。また、電源線53をパルス駆動することによって各有機EL素子20を駆動しているので、電源線53が共通ではなく、マトリックス状に配列された有機EL素子20の各行で別々のパルスが入力されるようになっている。そして、回路動作が正確に行われれば、有機EL素子20の発光時の電圧に、駆動TFT30aの特性バラツキである閾値電圧や、移動度の補正項が含まれ、有機EL素子20の電流−電圧特性に影響を受ける項が含まれなくなるため、有機EL素子20の経時劣化や駆動TFT30aの特性のバラツキを抑制することが可能となっている。
【0028】
また、有機EL素子20から発生した光は、図1に示す開口規定絶縁膜24の露出部分(中央部)から取り出される。すなわち、開口規定絶縁膜24は、アノード電極21及び有機物層23の周囲に設けられたものであり、中央部が開口している。そのため、有機EL素子20の発生光は、開口規定絶縁膜24の露出した中央部で、透明なカソード電極22を通って外部に出ることとなる。なお、カソード電極22を構成している光透過率の高い導電性材料は、抵抗値が高いものである。そのため、カソード電極22の電気抵抗を調整し、カソード電極22の低抵抗化を図るため、カソード電極22には、補助配線54が接続されている。そして、この補助配線54は、アノード電極21の周囲に配線されており、カソード電極22と同電位で、例えば、GND(図2参照)に接地されている。
【0029】
次に、第1実施形態の有機ELディスプレイ10の断面構造について説明する。
図3は、図1に示す有機ELディスプレイ10におけるa−a’断面図である。
図3に示すように、有機ELディスプレイ10は、ガラス基板11(本発明における基板に相当するもの)の上に、有機EL素子20を駆動する書込みTFT30b等を設けたものである。
【0030】
この書込みTFT30bは、ガラス基板11上に形成されたゲート電極31bの上に、ゲート絶縁膜32、a−Si層33、保護膜34をそれぞれ積層し、a−Si層33の左側にソース電極35b、a−Si層33の右側にドレイン電極36bを配置したものである。そして、a−Si層33とソース電極35bとの間及びa−Si層33とドレイン電極36bとの間には、ソース電極35b又はドレイン電極36bとのオーミックコンタクトを良好にするために、n型の不純物を適量含んだn+型a−Si層37が設けられている。なお、ソース電極35bの端部は、信号線51と一体になっている。
【0031】
また、ソース電極35b、ドレイン電極36b、及び保護膜34の上には、絶縁保護膜61が積層されている。そして、この絶縁保護膜61上に絶縁平坦化膜62が積層され、表面が平坦な絶縁膜60となっている。さらにまた、絶縁膜60の上には、アノード電極21及び補助配線54が積層され、補助配線54の上や補助配線54とアノード電極21との間に開口規定絶縁膜24が設けられている。さらに、アノード電極21の上には、有機物層23及びカソード電極22が順次積層され、有機EL素子20を構成している。
【0032】
このように、有機ELディスプレイ10のa−a’断面では、同層であるソース電極35bとドレイン電極36bとの間が絶縁保護膜61によって電気的に絶縁され、補助配線54とアノード電極21との間が開口規定絶縁膜24によって電気的に絶縁されている。また、異層であるソース電極35b及びドレイン電極36bとアノード電極21及び補助配線54との間は、絶縁膜60(絶縁保護膜61及び絶縁平坦化膜62)によって電気的に絶縁されている。なお、駆動TFT30a(図1参照)の断面構造も、図3に示す書込みTFT30bと同様の構成となっている。
【0033】
図4は、図1に示す有機ELディスプレイ10におけるb−b’断面図である。
図4に示すように、有機ELディスプレイ10のb−b’断面では、ガラス基板11上に第1金属層31が形成されている。そして、ガラス基板11及び第1金属層31の上にゲート絶縁膜32が積層され、このゲート絶縁膜32上には、配線パターンとして、第2金属層36a,36b,36cが設けられている。なお、第2金属層36aは、信号線51となり、第2金属層36bは、第1金属層31とキャパシタ40を構成し、第2金属層36cは、電源線53となる。
【0034】
また、第2金属層36a,36b,36c及びゲート絶縁膜32の上には、絶縁保護膜61が積層されている。そして、この絶縁保護膜61上に絶縁平坦化膜62が積層され、表面が平坦な絶縁膜60となっている。さらにまた、絶縁膜60の上には、アノード電極21及び補助配線54が積層され、補助配線54の上や補助配線54とアノード電極21との間に開口規定絶縁膜24が設けられている。さらに、アノード電極21の上には、有機物層23及びカソード電極22が順次積層され、有機EL素子20を構成している。
【0035】
このように、有機ELディスプレイ10のb−b’断面では、同層である第2金属層36a,36b,36cの間が絶縁保護膜61によって電気的に絶縁され、補助配線54とアノード電極21との間が開口規定絶縁膜24によって電気的に絶縁されている。また、異層である第2金属層36a,36b,36cとアノード電極21及び補助配線54との間は、絶縁膜60(絶縁保護膜61及び絶縁平坦化膜62)によって電気的に絶縁されている。
【0036】
図5は、図1に示す有機ELディスプレイ10におけるc−c’断面図である。
図5に示すように、有機ELディスプレイ10のc−c’断面では、ガラス基板11上に第1金属層31a,31bが形成されている。そして、ガラス基板11及び第1金属層31a,31bの上にゲート絶縁膜32が積層され、このゲート絶縁膜32上には、配線パターンとして、第2金属層36a,36bが設けられている。なお、第2金属層36aは、信号線51となるが、図5に示す断面(図1のc−c’断面)では、第1金属層31aと電気的に接続されており、走査線52(図1参照)と交差する部分で第1金属層31aが走査線52の下側を通るようにすることで、信号線51と走査線52との電位差によるショート(短絡欠陥)が発生しないようにしている。一方、第1金属層31bは、走査線52とゲート電極31b(図1参照)とを電気的に接続するためのものであり、第2金属層36bは、ソース電極35a(図1参照)と一体になっている。
【0037】
また、第2金属層36a,36b及びゲート絶縁膜32の上には、絶縁保護膜61が積層されている。そして、この絶縁保護膜61上に絶縁平坦化膜62が積層され、表面が平坦な絶縁膜60となっている。さらにまた、絶縁膜60の上には、アノード電極21及び補助配線54が積層され、補助配線54の上、アノード電極21の上、及び補助配線54とアノード電極21との間に開口規定絶縁膜24が設けられている。さらに、開口規定絶縁膜24の上には、カソード電極22が積層されている。
【0038】
このように、有機ELディスプレイ10のc−c’断面では、同層である第1金属層31a,31bの間がゲート絶縁膜32によって電気的に絶縁され、第2金属層36a,36bの間が絶縁保護膜61によって電気的に絶縁され、補助配線54とアノード電極21との間が開口規定絶縁膜24によって電気的に絶縁されている。また、異層である第1金属層31a,31bと第2金属層36bとの間は、ゲート絶縁膜32によって絶縁され、第2金属層36aとアノード電極21及び補助配線54との間は、絶縁膜60(絶縁保護膜61及び絶縁平坦化膜62)によって絶縁され、アノード電極21とカソード電極22との間は、開口規定絶縁膜24によって絶縁されている。
【0039】
ここで、アノード電極21は、図2に示すように、駆動TFT30aのソース電極35aと接続されるようになっている。そのため、絶縁膜60(絶縁保護膜61及び絶縁平坦化膜62)は、図5に示すように、有機ELディスプレイ10のc−c’断面においてコンタクトホール60aを備えており、接続コンタクト63によって異層であるアノード電極21と第2金属層36b(図1に示すソース電極35aと一体化されたもの)とを電気的に接続している。
【0040】
このコンタクトホール60aは、接続コンタクト63を上下方向に通す穴状のものであり、絶縁保護膜61の内周面と絶縁平坦化膜62の内周面とが段差なくつながって形成された下に凸の錐形状となっている。そのため、絶縁平坦化膜62上にアノード電極21及び接続コンタクト63を成膜した場合であっても、接続コンタクト63がコンタクトホール60aの内周面に接続不良なく形成され、アノード電極21と第2金属層36b(図1に示すソース電極35a)とを確実に導通させることができる。
【0041】
次に、第1実施形態の有機ELディスプレイ10の製造方法について説明する。
図6から図9は、有機ELディスプレイ10における書込みTFT30bの部分(図1に示すa−a’断面であり、図3に示す書込みTFT30bの部分)の製造工程を示す断面図である。
ここで、図6は、ゲート電極形成工程及びゲート絶縁膜形成工程を示し、図7は、a−Si層形成工程及び保護膜形成工程を示し、図8は、n+型a−Si層形成工程、パターニング工程、及びソース電極・ドレイン電極形成工程を示し、図9は、絶縁保護膜形成工程及び絶縁平坦化膜形成工程を示している。
【0042】
第1実施形態の有機ELディスプレイ10において、書込みTFT30b(図3参照)の部分を製造するには、最初に、図6(a)に示すように、ガラス基板11上にゲート電極31bを形成する。すなわち、Mo(モリブデン)等の導電性材料により、ゲート電極31bとなるように、ガラス基板11上に第1金属層31を形成する(ゲート電極形成工程)。その後、図6(b)に示すように、ガラス基板11及びゲート電極31bの上を覆うようにして、ゲート絶縁膜32を成膜する(ゲート絶縁膜形成工程)。
【0043】
次に、図7(a)に示すように、ゲート電極31bの上方のゲート絶縁膜32の上に、a−Si層33を形成する(a−Si層形成工程)。そして、図7(b)に示すように、a−Si層33の中央部(ゲート電極31bの上方)に、保護膜34を形成する(保護膜形成工程)。また、図8(a)に示すように、a−Si層33及び保護膜34の上に、n+型a−Si層37を形成する(n+型a−Si層形成工程)。さらにまた、図8(b)に示すように、a−Si層33及びn+型a−Si層37を同時に島状にパターニングする(パターニング工程)。さらに、図8(c)に示すように、ゲート絶縁膜32及びn+型a−Si層37の上に、Al(アルミニウム)等の金属材料を形成し、ソース電極35b及びドレイン電極36bとする(ソース電極・ドレイン電極形成工程)。
【0044】
このようにして書込みTFT30bを形成した後、図9(a)に示すように、露出している部分のゲート絶縁膜32、保護膜34、ソース電極35b、及びドレイン電極36bの上に、絶縁保護膜61を形成する(絶縁保護膜形成工程)。この絶縁保護膜61は、Si3N4(窒化ケイ素)又はSiO2(二酸化ケイ素)をCVD法(化学蒸着法)によって成膜して形成するが、絶縁保護膜61を形成した段階(図9(a)に示す絶縁保護膜形成工程までの段階)では、絶縁保護膜61の表面が下層のソース電極35bやドレイン電極36b等によって凹凸になってしまう。そこで、図9(b)に示すように、絶縁保護膜61の上に、無機系薄膜(SOG:Spin on Glass)で絶縁平坦化膜62を形成する(絶縁平坦化膜形成工程)。すると、絶縁保護膜61上に絶縁平坦化膜62が積層され、絶縁平坦化膜62の表面では、凹凸のない平坦面となる。なお、駆動TFT30a(図1参照)の部分も同様にして製造される。
【0045】
図10から図13は、有機ELディスプレイ10におけるキャパシタ40の部分(図1に示すb−b’断面であり、図4に示すキャパシタ40の部分)の製造工程を示す断面図である。
ここで、図10は、第2金属層形成工程及び絶縁保護膜形成工程を示し、図11は、絶縁平坦化膜形成工程及びアノード電極・補助配線形成工程を示し、図12は、開口規定絶縁膜形成工程及びパターニング工程を示し、図13は、有機物層形成工程及びカソード電極形成工程を示している。
【0046】
第1実施形態の有機ELディスプレイ10において、キャパシタ40(図4参照)の部分を製造するには、最初に、書込みTFT30b(図3参照)の製造工程と同様にして、ガラス基板11上に第1金属層31を形成する(図6(a)参照)。また、ガラス基板11及び第1金属層31の上を覆うようにして、ゲート絶縁膜32を成膜する(図6(b)参照)。なお、第1金属層31は、図6(a)のゲート電極31bと同時に形成し、ゲート絶縁膜32は、図6(b)のゲート絶縁膜32と同時に形成する。
【0047】
次に、図10(a)に示すように、ゲート絶縁膜32の上に、配線パターンとして、第2金属層36a,36b,36cを形成する(第2金属層形成工程)。この第2金属層36a,36b,36cは、図1に示す有機ELディスプレイ10のb−b’断面では、第2金属層36aが信号線51となり、第2金属層36bが第1金属層31とキャパシタ40(図4参照)を構成し、第2金属層36cが電源線53となる。そして、図10(b)に示すように、露出しているゲート絶縁膜32及び第2金属層36a,36b,36cの上に、絶縁保護膜61を積層する(絶縁保護膜形成工程)。なお、絶縁保護膜61は、図9(a)の絶縁保護膜61と同時に形成する。
【0048】
ここで、絶縁保護膜61を積層した段階(図10(b)に示す絶縁保護膜形成工程までの段階)では、絶縁保護膜61の表面が下層の第2金属層36a,36b,36c等によって凹凸になっている。そこで、図11(a)に示すように、絶縁保護膜61の上に、絶縁平坦化膜62を積層する(絶縁平坦化膜形成工程)。すると、表面が凹凸のない平坦面となる。なお、絶縁平坦化膜62は、図9(b)の絶縁平坦化膜62と同時に形成する。
【0049】
このようにして表面が平坦面の絶縁平坦化膜62を形成した後は、図11(b)に示すように、アノード電極21及び補助配線54を形成する(アノード電極・補助配線形成工程)。すなわち、絶縁平坦化膜62上にAl(アルミニウム)等の金属材料を形成し、その後、パターニングすることにより、アノード電極21及び補助配線54とする。
【0050】
続いて、図12(a)に示すように、アノード電極21、補助配線54、及び露出した絶縁平坦化膜62の上に、開口規定絶縁膜24を積層する(開口規定絶縁膜形成工程)。そして、図12(b)に示すように、開口規定絶縁膜24をパターニングして、アノード電極21を露出させる(パターニング工程)。その後、図13(a)に示すように、露出したアノード電極21上に有機物層23を設け(有機物層形成工程)、さらに、図13(b)に示すように、有機物層23及び開口規定絶縁膜24の上に、Al(アルミニウム)等の金属材料を形成してカソード電極22とする(カソード電極形成工程)。なお、有機物層23は、注入された電子と正孔との再結合によって発光する有機物からなるものである。
【0051】
このようにしてカソード電極22が形成されると、アノード電極21、カソード電極22、及び有機物層23により、有機EL素子20(図4参照)が構成される。すなわち、アノード電極21とカソード電極22との間に有機物層23を配置した有機EL素子20が絶縁平坦化膜62上に配列された状態となる。
【0052】
この有機EL素子20(有機物層23)が発する光は、アノード電極21の周囲を覆う開口規定絶縁膜24から露出した中央部から取り出される。すなわち、アノード電極21に反射率が高いAl(アルミニウム)等の金属が用いられる一方、カソード電極22は、光透過率の高い導電性材料の透明電極となっている。そのため、有機物層23が発する光は、ガラス基板11と反対側から取り出されることとなる。そして、このようなトップエミッション方式の有機ELディスプレイ10は、有機EL素子20の開口率を確保する上で有効なものとなる。
【0053】
図14から図17は、有機ELディスプレイ10における接続コンタクト63の部分(図1に示すc−c’断面であり、図5に示す接続コンタクト63の部分)の製造工程を示す断面図である。
ここで、図14は、ゲート絶縁膜形成工程及びパターニング工程を示し、図15は、第2金属層形成工程及び絶縁保護膜形成工程を示し、図16は、絶縁平坦化膜形成工程及びコンタクトホール形成工程を示し、図17は、アノード電極・接続コンタクト・補助配線形成工程及び開口規定絶縁膜形成工程を示している。
【0054】
第1実施形態の有機ELディスプレイ10において、接続コンタクト63(図5参照)の部分を製造するには、最初に、書込みTFT30b(図3参照)の製造工程と同様にして、ガラス基板11上に第1金属層31を形成する(図6(a)参照)。この際、図1に示す有機ELディスプレイ10のc−c’断面においては、第1金属層31が2列(第1金属層31a及び第1金属層31b)となるように、後からパターニングする。そして、図14(a)に示すように、ガラス基板11及び第1金属層31の上を覆うようにして、ゲート絶縁膜32を成膜する(ゲート絶縁膜形成工程)。また、その後、図14(b)に示すように、ゲート絶縁膜32をパターニングして、第1金属層31aの上面を露出させる(パターニング工程)。なお、第1金属層31は、図6(a)のゲート電極31bと同時に形成し、ゲート絶縁膜32は、図6(b)のゲート絶縁膜32と同時に形成する。
【0055】
次に、図15(a)に示すように、ゲート絶縁膜32の上に、配線パターンとして、第2金属層36a,36bを形成する(第2金属層形成工程)。この第2金属層36a,36bは、図1に示す有機ELディスプレイ10のc−c’断面では、第2金属層36aが信号線51となり、第2金属層36bは、ソース電極35a(図1参照)と一体化されている。そして、信号線51となる第2金属層36aは、走査線52(図1参照)と交差する部分で走査線52の下側を通る第1金属層31aと電気的に接続され(図14(b)に示すゲート絶縁膜32のパターニング工程によって露出した第1金属層31aの上面と接続され)、信号線51と走査線52との電位差によるショート(短絡欠陥)が発生しないようになされる。また、図15(b)に示すように、露出しているゲート絶縁膜32及び第2金属層36a,36bの上には、絶縁保護膜61が積層される(絶縁保護膜形成工程)。なお、絶縁保護膜61は、図9(a)及び図10(b)の絶縁保護膜61と同時に形成する。
【0056】
ここで、第2金属層36bは、ソース電極35a(図1参照)と一体化されたものであり、図1に示す有機ELディスプレイ10のc−c’断面では、図5に示すように、接続コンタクト63によってアノード電極21と電気的に接続される。そのため、第2金属層36b上の絶縁保護膜61にコンタクトホール60aを形成する必要があるが、絶縁保護膜61を積層した段階(図15(b)に示す絶縁保護膜形成工程までの段階)では、コンタクトホール60aを形成しない。そして、図16(a)に示すように、絶縁保護膜61上に絶縁平坦化膜62を積層し(絶縁平坦化膜形成工程)、表面に凹凸のない平坦面とする。なお、絶縁平坦化膜62は、図9(b)及び図11(a)の絶縁平坦化膜62と同時に形成する。
【0057】
このようにして絶縁保護膜61上に絶縁平坦化膜62を形成した後、図16(b)に示すように、絶縁保護膜61及び絶縁平坦化膜62に対してコンタクトホール60aを形成する(コンタクトホール形成工程)。すなわち、図16(a)に示す絶縁平坦化膜形成工程の後、絶縁保護膜61及び絶縁平坦化膜62に、接続コンタクト63(図5参照)を上下方向に通す穴状のコンタクトホール60aを形成する。
【0058】
この際、図16(b)に示すコンタクトホール形成工程では、最初に、絶縁平坦化膜62の上側に、接続コンタクト63(図5参照)の位置に合わせたパターンが形成されたマスキング部材(図示せず)を配置し、その後、このマスキング部材により、絶縁保護膜61及び絶縁平坦化膜62に対してコンタクトホール60aを形成する。すなわち、絶縁保護膜61をSi3N4(窒化ケイ素)又はSiO2(二酸化ケイ素)で形成し、絶縁平坦化膜62を無機系薄膜(SOG:Spin on Glass)で形成して、フォトリソプロセスの後、一括エッチング(CF4(四フッ化炭素)等のフッ素系ガスを用いたドライエッチング)を行なってコンタクトホール60aを形成する。
【0059】
したがって、図5に示す第1実施形態の有機ELディスプレイ10では、1つのマスキング部材を用いて1回でコンタクトホール60aを形成でき、製造工程が簡素化されたものとなっている。そして、このようにして形成されたコンタクトホール60aは、図16(b)に示すように、絶縁保護膜61の内周面と絶縁平坦化膜62の内周面とが段差なくつながった下に凸の錐形状となる。
【0060】
次に、図17(a)に示すように、アノード電極21、接続コンタクト63、及び補助配線54を形成する(アノード電極・接続コンタクト・補助配線形成工程)。すなわち、絶縁平坦化膜62上及びコンタクトホール60a内に、Al(アルミニウム)等の金属材料を形成し、その後、パターニングすることにより、アノード電極21、接続コンタクト63、及び補助配線54とする。
【0061】
このようにして形成された接続コンタクト63は、コンタクトホール60a内の第2金属層36bと不良なく接続される。すなわち、コンタクトホール60aは、下に凸の錐形状であり、絶縁保護膜61の内周面と絶縁平坦化膜62の内周面とが段差なくつながっているので、接続コンタクト63を形成する際に接続不良が生じない。そのため、アノード電極21は、接続コンタクト63及び第2金属層36bを介して確実にソース電極35a(図1参照)と接続されることとなる。
【0062】
さらに、図17(b)に示すように、アノード電極21、接続コンタクト63、補助配線54、及び露出した絶縁平坦化膜62の上に、開口規定絶縁膜24を積層する(開口規定絶縁膜形成工程)。なお、開口規定絶縁膜24は、図12(a)の開口規定絶縁膜24と同時に形成する。また、キャパシタ40(図4参照)の部分の製造工程と同様にして、開口規定絶縁膜24上にAl(アルミニウム)等の金属材料を形成し、カソード電極22とする(図13(b)参照)。
【0063】
ところで、図17(a)に示すアノード電極・接続コンタクト・補助配線形成工程において、接続コンタクト63は、コンタクトホール60a内で接続不良なく形成されるが、コンタクトホール60aが開口する絶縁平坦化膜62の角部62aでは、角部62aが急でコンタクトホール60aが深い場合には、アノード電極21及び接続コンタクト63を成膜する際に角部62aで形成が不十分となり、接続不良が発生することがある。
【0064】
そこで次に、角部62aでの接続不良を確実に防止できるようにした第2実施形態の有機ELディスプレイ70の断面構造について説明する。
図18は、第2実施形態の有機ELディスプレイ70を示す断面図(図1のc−c’断面)である。
図18に示すように、有機ELディスプレイ70は、コンタクトホール60aが浅くなるように、接続コンタクト63と電気的に接続される第2金属層36bの位置が高くなっている。すなわち、ガラス基板11と第2金属層36bとの間に、第2金属層36bを持ち上げてアノード電極21との間の上下方向の間隔を小さくするための土台層として、第1金属層36c、a−Si層33a、及び保護膜34aを設けている。そのため、保護膜34a上に形成される第2金属層36bの位置が高くなる。
【0065】
ここで、第1金属層36c、a−Si層33a、及び保護膜34aは、書込みTFT30b(図3参照)の製造工程と同様にして形成することができる。すなわち、第1金属層36cは、図6(a)に示すゲート電極形成工程のゲート電極31bと同時に形成し、a−Si層33aは、図7(a)に示すa−Si層形成工程のa−Si層33と同時に形成し、保護膜34aは、図7(b)に示す保護膜形成工程の保護膜34と同時に形成する。そのため、図18に示す第2実施形態の有機ELディスプレイ70は、製造工程を複雑化することなく、保護膜34a上の高い位置に第2金属層36bを形成できる。なお、第1金属層36c、a−Si層33a、及び保護膜34aは、第2金属層36bよりも幅広く形成する。
【0066】
このような第2金属層36bは、第1金属層36c、a−Si層33a、及び保護膜34aの厚さ分だけ位置が高くなる。そのため、第2金属層36b上では、絶縁膜60(絶縁保護膜61及び絶縁平坦化膜62)の厚さが薄くなる。そして、図18に示す第2実施形態の有機ELディスプレイ70も、1つのマスキング部材を用いて1回で絶縁膜60にコンタクトホール60bを形成できるので、製造工程が簡素化される。
【0067】
また、このコンタクトホール60bは、絶縁保護膜61の内周面と絶縁平坦化膜62の内周面とが段差なくつながった下に凸の錐形状となるだけでなく、図5に示す第1実施形態の有機ELディスプレイ10のコンタクトホール60aよりも浅いものとなる。その結果、図18に示す第2実施形態の有機ELディスプレイ70では、絶縁平坦化膜62の角部62aにもしっかりと接続コンタクト63が形成され、角部62aにおける接続コンタクト63の接続不良が確実に防止される。
【0068】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、例えば、以下のような種々の変形が可能である。
(1)各実施形態では、有機EL素子20(発光素子)が発した光を基板11と反対側から取り出すようにしたトップエミッション方式について説明しているが、有機EL素子20(発光素子)が発した光を基板11と同じ側から取り出すようにしたボトムゲート方式にも適用できる。
【0069】
(2)各実施形態では、例えば、駆動TFT30a及び書込みTFT30bにa−Si(アモルファスシリコン)層33を用いているが、Poly−Si(ポリシリコン)を用いたり、酸化物半導体層としても良い。また、各実施形態では、発光素子に有機EL素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)20を用いているが、無機エレクトロルミネッセンス素子や発光ダイオード等、上部電極と下部電極との間に発光層を形成することができる発光素子であれば広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】第1実施形態の有機ELディスプレイを示す平面図である。
【図2】図1に示す有機ELディスプレイの等価回路図である。
【図3】図1に示す有機ELディスプレイにおけるa−a’断面図である。
【図4】図1に示す有機ELディスプレイにおけるb−b’断面図である。
【図5】図1に示す有機ELディスプレイにおけるc−c’断面図である。
【図6】有機ELディスプレイにおける書込みTFTの部分(図1に示すa−a’断面であり、図3に示す書込みTFTの部分)の製造工程(ゲート電極形成工程及びゲート絶縁膜形成工程)を示す断面図である。
【図7】有機ELディスプレイにおける書込みTFTの部分(図1に示すa−a’断面であり、図3に示す書込みTFTの部分)の製造工程(a−Si層形成工程及び保護膜形成工程)を示す断面図である。
【図8】有機ELディスプレイにおける書込みTFTの部分(図1に示すa−a’断面であり、図3に示す書込みTFTの部分)の製造工程(n+型a−Si層形成工程及びソース電極・ドレイン電極形成工程)を示す断面図である。
【図9】有機ELディスプレイにおける書込みTFTの部分(図1に示すa−a’断面であり、図3に示す書込みTFTの部分)の製造工程(絶縁保護膜形成工程及び絶縁平坦化膜形成工程)を示す断面図である。
【図10】有機ELディスプレイにおけるキャパシタの部分(図1に示すb−b’断面であり、図4に示すキャパシタの部分)の製造工程(第2金属層形成工程及び絶縁保護膜形成工程)を示す断面図である。
【図11】有機ELディスプレイにおけるキャパシタの部分(図1に示すb−b’断面であり、図4に示すキャパシタの部分)の製造工程(絶縁平坦化膜形成工程及びアノード電極・補助配線形成工程)を示す断面図である。
【図12】有機ELディスプレイにおけるキャパシタの部分(図1に示すb−b’断面であり、図4に示すキャパシタの部分)の製造工程(開口規定絶縁膜形成工程及びパターニング工程)を示す断面図である。
【図13】有機ELディスプレイにおけるキャパシタの部分(図1に示すb−b’断面であり、図4に示すキャパシタの部分)の製造工程(有機物層形成工程及びカソード電極形成工程)を示す断面図である。
【図14】有機ELディスプレイにおける接続コンタクトの部分(図1に示すc−c’断面であり、図5に示す接続コンタクトの部分)の製造工程(ゲート絶縁膜形成工程及びパターニング工程)を示す断面図である。
【図15】有機ELディスプレイにおける接続コンタクトの部分(図1に示すc−c’断面であり、図5に示す接続コンタクトの部分)の製造工程(第2金属層形成工程及び絶縁保護膜形成工程)を示す断面図である。
【図16】有機ELディスプレイにおける接続コンタクトの部分(図1に示すc−c’断面であり、図5に示す接続コンタクトの部分)の製造工程(絶縁平坦化膜形成工程及びコンタクトホール形成工程)を示す断面図である。
【図17】有機ELディスプレイにおける接続コンタクトの部分(図1に示すc−c’断面であり、図5に示す接続コンタクトの部分)の製造工程(アノード電極・接続コンタクト・補助配線形成工程及び開口規定絶縁膜形成工程)を示す断面図である。
【図18】第2実施形態の有機ELディスプレイを示す断面図(図1のc−c’断面)である。
【図19】参考例の有機ELディスプレイを示す断面図である。
【符号の説明】
【0071】
10 有機ELディスプレイ(アクティブマトリックス型表示装置)
11 ガラス基板(基板)
20 有機EL素子(発光素子)
21 アノード電極(下部電極)
22 カソード電極(上部電極)
23 有機物層
33a a−Si層(土台層)
34a 保護膜(土台層)
36c 第1金属層(土台層)
36b 第2金属層(配線パターン)
60a,60b コンタクトホール
61 絶縁保護膜
62 絶縁平坦化膜
63 接続コンタクト
70 有機ELディスプレイ(アクティブマトリックス型表示装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上側に設けられた配線パターンと、
前記配線パターン上に積層された絶縁保護膜と、
前記絶縁保護膜上に積層され、表面を平坦化するための絶縁平坦化膜と、
前記絶縁平坦化膜の上側にマトリックス状に配列され、上部電極と下部電極との間に発光層を有する発光素子と、
前記配線パターンと前記下部電極とを電気的に接続する接続コンタクトと
を備え、
前記発光素子ごとに駆動されるアクティブマトリックス型表示装置であって、
前記絶縁保護膜及び前記絶縁平坦化膜は、前記接続コンタクトを上下方向に通す穴状のコンタクトホールを備え、
前記コンタクトホールは、前記絶縁保護膜の内周面と前記絶縁平坦化膜の内周面とが段差なくつながって形成された下に凸の錐形状となっている
ことを特徴とするアクティブマトリックス型表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアクティブマトリックス型表示装置において、
前記基板と前記配線パターンとの間に、前記配線パターンを持ち上げて前記下部電極との間の上下方向の間隔を小さくするための土台層を備える
ことを特徴とするアクティブマトリックス型表示装置。
【請求項3】
基板の上側に設けられた配線パターンと、
前記配線パターン上に積層された絶縁保護膜と、
前記絶縁保護膜上に積層され、表面を平坦化するための絶縁平坦化膜と、
前記絶縁平坦化膜の上側にマトリックス状に配列され、上部電極と下部電極との間に発光層を有する発光素子と、
前記配線パターンと前記下部電極とを電気的に接続する接続コンタクトと
を備え、
前記発光素子ごとに駆動されるアクティブマトリックス型表示装置の製造方法であって、
前記配線パターン上に、前記絶縁保護膜を積層形成する絶縁保護膜形成工程と、
前記絶縁保護膜形成工程の後、前記絶縁保護膜上に、前記絶縁平坦化膜を積層形成する絶縁平坦化膜形成工程と、
前記絶縁平坦化膜形成工程の後、前記絶縁保護膜及び前記絶縁平坦化膜に、前記接続コンタクトを上下方向に通す穴状のコンタクトホールを形成するコンタクトホール形成工程と
を含み、
前記コンタクトホール形成工程は、前記絶縁平坦化膜の上側に、前記接続コンタクトの位置に合わせたパターンが形成されたマスキング部材を配置し、前記マスキング部材により、前記絶縁保護膜及び前記絶縁平坦化膜に対して前記コンタクトホールを形成する
ことを特徴とするアクティブマトリックス型表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−229941(P2009−229941A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−76882(P2008−76882)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】