説明

アシルリボヌクレオシドおよびアシルデオキシリボヌクレオシド

本発明は、アシルリボヌクレオシドおよびアシルデオキシリボヌクレオシドに関する。さらに、本発明は、アシルリボヌクレオシドおよびアシルデオキシリボヌクレオシドを製造するための酵素的方法に関する。さらに、本発明は、アシルリボヌクレオシドおよびアシルデオキシリボヌクレオシドの、コスメティック目的および医薬目的のための使用、およびそれらのヒトまたは動物用の補助食品としての使用に関する。さらに、本発明は、アシルリボヌクレオシドおよびアシルデオキシリボヌクレオシドを含有する組成物(これにより、これらの組成物は、コスメティック目的または医薬目的に、あるいは補助食品として適当である)に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アシルリボヌクレオシドおよびアシルデオキシリボヌクレオシドに関する。さらに、本発明は、アシルリボヌクレオシドおよびアシルデオキシリボヌクレオシドを製造するための酵素的方法に関する。さらに、本発明は、アシルリボヌクレオシドおよびアシルデオキシリボヌクレオシドの、コスメティック(cosmetic)目的および医薬目的のための使用、およびそれらのヒトまたは動物用の補助食品としての使用に関する。さらに、本発明は、アシルリボヌクレオシドおよびアシルデオキシリボヌクレオシドを含有する組成物(これにより、これらの組成物は、コスメティック目的に適当である)に関する。
【背景技術】
【0002】
リボヌクレオシドは、核酸塩基が糖D-リボースに結合した既知の化合物である。デオキシリボヌクレオシドにおいて、核酸塩基は、糖2-デソキシ-D-リボースに結合している。核酸塩基は、特にウラシル、シトシン、チミン、アデニンおよびグアニンである。リボヌクレオシドおよびデオキシリボヌクレオシドの名称は、核酸塩基に由来する。含まれる糖に応じて、それらは、ウリジン、シチジン、チミジン、アデノシンおよびグアノシンまたはデオキシ-ウリジン、デオキシ-シチジン、デオキシ-チミジン、デオキシ-アデノシンおよびデオキシ-グアノシンのいずれかである。
【0003】
リボヌクレオシドの糖部分は、3つのOH基を有し、デオキシリボヌクレオシドの糖部分は、2つのOH基を有する。これらのOH基の少なくとも1つがカルボン酸でエステル化される場合、アシルリボヌクレオシドおよびアシルデオキシリボヌクレオシドが得られる。リボヌクレオシドの場合、1、2または3つのOH基がエステル化され得、デオキシリボヌクレオシドの場合、1または2つだけのOH基が存在し、エステル化され得る。
【0004】
本発明の目的のために、これらのO-アシル、ジ-O-アシルおよびトリ-O-アシル化合物は、全てアシルリボヌクレオシドまたはアシルデオキシヌクレオシドといわれる。これには、3つのOH基の1または2つのみがエステル化される場合、および2つのOH基の1つのみがエステル化される場合に生じる異性体が含まれる。すなわち、用語「アシルリボヌクレオシド」は、対応するO-アシル、ジ-O-アシルおよびトリ-O-アシル化合物(これは、エステル化され得る異なるOH基に起因して可能性がある異性体を含む)およびこれらの化合物の混合物を包含する。例えば、本発明の目的のために、ステアロイルウリジンは、3つの可能性のあるモノ-O-ステアロイルウリジンの異性体、3つの可能性のあるジ-O-ステアロイルウリジンおよびトリ-O-ステアロイルウリジンの異性体を包含する。
【0005】
欧州特許EP-B 0 339 075、国際公開WO 89/03837、米国特許出願公開US 20020035086 A1および米国特許US 6 258 795 B1は、ウリジンおよびシチジンのアシル誘導体およびそれらの医薬組成物における使用を開示する。これらの文献並びに米国特許US 6 274 563 B1、US 6 316 426 B1、US 5 470 838 A1およびUS 5 583 117 A1は、動物組織に外因性ウリジンまたはシチジンを送達するための医薬組成物におけるこれらのアシル誘導体の使用を開示する。開示された組成物は、経口懸濁物、タブレット、糖衣錠、注射剤または座薬の形態である。これらの組成物は、肝障害、糖尿病、心疾患、脳血管障害、中枢神経系障害、パーキンソン病、幼児呼吸窮迫症候群の処置およびリン脂質の生合成の増強に有用であると主張されている。これらの文献の請求項に列挙された特定のウリジンまたはシチジン誘導体は、それらのトリ-O-アセチル誘導体、トリ-O-プロピオニル誘導体およびトリ-O-ブチリル誘導体である。
【0006】
これらの文献のいずれも、このようなアシル誘導体のコスメティックにおける使用またはこのようなアシル誘導体のヒト身体または動物の身体への局所投与用組成物における使用を開示していない。
【0007】
欧州特許EP-B 0 339 075、国際公開WO 89/03837、米国特許出願公開US 20020035086 A1および米国特許US 6 258 795 B1は、ウリジンのアシル誘導体を開示する。特に、モノ-O-脂肪酸誘導体およびジ-O-脂肪酸誘導体が開示されている。ここで該脂肪酸は、8〜22個の炭素原子を有する。
【0008】
国際公開WO 2003057894 A1は、トリ-O-アシルリボヌクレオシドの酵素選択的加水分解によるモノ-O-アシル化またはジ-O-アシル化リボヌクレオシドの製造方法を開示する。
【0009】
リパーゼまたはプロテアーゼを使用する特定のアルコール分解による5'-O-アシルリボヌクレオシドの合成も、Nishino S.ら(1985)およびZinni M. A.ら(2002)により記載されている[S. Nishino、A. Rahman、H. Takamura、Y. Ishido、Tetrahedron 41, 1985, 5503-5506;M. A. Zinni、L. E. Iglesias、A. M. Iribarren、「リパーゼ触媒アルコール分解を通じての脂溶性アシル基を有する2',3'-ジ-O-アシルリボヌクレオシドの位置選択的製造」、Biotechnology Letters 24, 2002, 979-983]。
【0010】
リボヌクレオシドの選択的直接酵素的エステル化も、他の著者により記載されている。Uemuraらは、溶媒としてのジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルホルムアミド(DMF)またはジメチルスルホキシド(DMSO)中、アシル供与体として酸無水物を用いる、リパーゼを使用するO-アシルリボヌクレオシドの酵素的合成を記載する。これらの条件下、反応は、市販のカルボン酸およびエステルでは起こらない。良好な収率(81〜96%)は、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)リパーゼを用いて得られた[A. Uemura、K. Nozaki、J.-I. Yamashita、M. Yasumoto、Tetrahedron Letters 30, 1989, 3817-3818]。
【0011】
Ozakiらは、選択的保護およびその後の化学反応のために異なるリパーゼを用いる5-フルオロウリジンまたはウリジンの酵素的エステル化(アシル化)を記載する。反応は、ジオキサン中で行われる。また、THFは、該反応のための良溶媒であることが分かった。アシル化の選択性は、各リパーゼに特異的である[S. Ozaki、K. Yamashita、T. Konishi、T. Maekawa、M. Eshima、A. Uemura、L. Ling、「ヌクレオシドの酵素補助位置選択的アシル化」、Nucleosides & Nucleotides 14(3-5), 1995, 401-404;S. Ozaki、A. Uemura、T. Konishi、K. Yamashita、T. Maekawa、L. Ling、「ヌクレオシドの酵素補助位置選択的アシル化および脱アシル化」、Nucleic Acids Symposium Series 29, 1993, 53-54]。
【0012】
Singh H. K.らは、ピリジン中、プロテアーゼスブチリシンまたは粗プロテアーゼプロレザーを使用する5'-O-アシルリボヌクレオシドの酵素的合成を記載する。溶媒は、反応の位置選択性に影響を及ぼす[H. K. Singh、G. L. Cote、T. M. Hadfield、「溶媒工学による酵素位置選択性操作:5'-O-アシルリボヌクレオシドの酵素的合成」、Tetrahedron Letters 35(9), 1994, 1353-1356]。DMF中のプロテアーゼスブチリシンによる異なる糖のエステル化が57〜85%の変換率とともに記載されている。しかしながら、7日までの長い反応時間を必要とする。プロテアーゼは、位置選択的でなく、5'-、3'-および2'-エステルを合成する[S. Riva、J. Chopineau、A. P. G. Kieboom、A. M. Klibanov、「無水ジメチルホルムアミド中の糖および関連化合物のプロテアーゼ触媒位置選択的エステル化」、J. Am. Chem. Soc. 110, 1988, 584-589]。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の根底をなす問題は、コスメティック用途に使用できる物質に対する要望である。ヒト皮膚の外観および外見を改善するこのような物質に対する要望が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この問題は、以下の式IまたはII:
【0015】
【化1】

【0016】
〔式中、
Bは、核酸塩基部分(好適にはウラシル、シトシン、チミン、アデニンまたはグアニンに由来する)であり、
、RおよびRは、独立して以下からなる群から選択される:
a)水素、
b)ヒドロキシ、ヒドロキシ-アルキル、アミノ、アミノ-アルキル、メルカプト、メルカプト-アルキル、ハロゲンおよびチオラニルからなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよい、3〜22個の炭素原子を有する飽和または不飽和の直鎖状または分枝状アシル基(例えばパルミチン酸、16-ヒドロキシヘキサデカン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、11-メルカプトウンデカン酸およびチオクト酸(チオクト酸は、α-リポ酸または1,2-ジチオラン-3-ペンタン酸である。CAS 62-46-4))、
c)3〜22個の炭素原子を有する飽和または不飽和の直鎖状または分枝状ジカルボン酸基(すなわち、2つのカルボン酸基の1つのみが、リボースまたはデオキシリボースのOH基の1つでエステル化され、他の-COOH基は変性されていない)またはその誘導体であって、リボースまたはデオキシリボースのOH基でエステル化されていない-COOH基は、-CONR'またはCONR'(式中、R'は、水素原子、1〜6個の炭素原子を有する飽和または不飽和の直鎖状または分枝状アルキル基、アリール基、アラルキル基またはアラルキレン基であり、Sは、対イオン(例:Clまたは酢酸イオン)である)または-COHal(式中、Halは、ハロゲン原子である)またはCOSH(式中、Sは、硫黄である)で置換されている、ジカルボン酸基またはその誘導体(例えばヘキサデカン二酸またはアゼライン酸)、
d)3〜22個の炭素原子を有する飽和または不飽和の直鎖状または分枝状ジカルボン酸二基(すなわち、両方のカルボン酸基は、リボースまたはデオキシリボースのOH基でエステル化されている)(例えばヘキサデカン二酸またはアゼライン酸)、
e)ヒドロキシ、ニトロ、アルキル、アルコキシおよびハロゲンからなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよいアリール脂肪族酸基およびその誘導体(例えば桂皮酸、フェニルプロピオン酸、カフェ酸(3,4-ジヒドロキシ桂皮酸)、フェルラ酸(4-ヒドロキシ-3-メトキシ桂皮酸)およびクマリン酸(4-ヒドロキシ桂皮酸))、および
f)ヒドロキシ、ニトロ、アルキル、アルコキシおよびハロゲンからなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよい安息香酸基(例えば没食子酸(3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸)、バニリン酸(4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸)およびプロトカテク酸 (3,4-ジヒドロキシ安息香酸))であり、
ここで式Iの場合、置換基R、RおよびRの少なくとも1つは、水素ではなく、および式IIの場合、置換基RおよびRの少なくとも1つは、水素ではない。〕
を有するアシルリボヌクレオシドまたはアシルデオキシリボヌクレオシドをコスメティック用製剤の製造またはヒト身体のコスメティックトリートメントに使用することにより解消される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
先の段落で定義したアシルリボヌクレオシドおよびアシルデオキシリボヌクレオシドを、定義により本発明のアシルリボヌクレオシドおよびアシルデオキシリボヌクレオシドという。
【0018】
先の段落に定義した2種類の使用は、本発明の主題である。さらなる主題は、先の段落に定義したような使用である。これにより所定の定義に包含されるアシルリボヌクレオシドまたはアシルデオキシリボヌクレオシドは、コスメティック用に一般的な助剤および/または添加剤をさらに含んでなる組成物において使用される。
上記組成物は、本発明のさらなる主題である。
【0019】
本発明のアシルリボヌクレオシドおよびアシルデオキシリボヌクレオシドの幾つかのみが、当該分野において既知である。それらは、薬剤として既知である。
本発明のコスメティック用途に好適であるアシルリボヌクレオシドおよびアシルデオキシリボヌクレオシドは、以下の化合物である:
アシルリボヌクレオシドおよびアシルデオキシヌクレオシドからなる群から選択される化合物。ここで該アシル基は、10〜20個(好適には16〜18個)の炭素原子を有する脂肪酸(好適には非置換、直鎖状、飽和または不飽和カルボン酸)、3-フェニル-プロピオン酸、12-ヒドロキシ-ステアリン酸、オクタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、アゼライン酸またはオクタデセン二酸に由来する。ここでオクタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、アゼライン酸またはオクタデセン二酸の場合、該酸の1つまたは両方のCOOH基は、ヌクレオシドでエステル化されていてよい。
【0020】
これらの化合物のなかでも、以下の化合物が特に好適である:
パルミトイルウリジン、5'-O-パルミトイルウリジン、パルミトイルグアノシン、パルミトイルアデノシン、パルミトイルシチジン、オレイルウリジン、5'-O-オレイルウリジン、オレイルグアノシン、オレイルアデノシン、オレイルシチジン,ステアロイルウリジン、5'-O-ステアロイルウリジン、3-フェニル-プロピオニルウリジン、ウリジンとオクタデセン二酸とのモノエステル、ウリジンとオクタデカン二酸とのジエステル、ウリジンとヘキサデカン二酸とのモノエステル、ウリジンとヘキサデカン二酸とのジエステル、ウリジンとオクタデセン二酸とのモノエステル、ウリジンとオクタデセン二酸とのジエステル、ウリジンとアゼライン酸とのモノエステル、ウリジンとアゼライン酸とのジエステルおよび12-ヒドロキシ-ステアロイルウリジンからなる群から選択される化合物。
【0021】
これらの好適な化合物のいずれも、当該分野の現状では開示されていない。それらは、それらの有利な特性から、コスメティック用途にとりわけ有用である。当該分野の現状の文献中に示されているものは、リボまたはデオキシリボヌクレオシドのアセチル、プロパノイルおよび/またはn-ブタノイル誘導体が組織への外因性リボ-またはデオキシリボヌクレオシドヌクレオシドの良好な送達のために、それらの生体利用性を改善することである。これらの誘導体と比較して、選択された好適な化合物は、特にヒト皮膚の外観および外見を改善するためのコスメティック用途に有用な、および老化防止、ホワイトニングまたはライトニング目的に有用なメラニン形成阻害特性を有する。
【0022】
したがって、これらの好適な化合物は、本発明のさらなる主題である。
本発明のさらなる主題は、UV-A放射線またはUV-B放射線によって損傷を受けたヒト皮膚の処置用薬剤の製造またはヒト皮膚の炎症処置用薬剤の製造のための、本発明のアシルリボヌクレオシドまたはアシルデオキシリボヌクレオシドの使用である。
本発明のさらなる主題は、本発明のアシルリボヌクレオシドまたはアシルデオキシリボヌクレオシドの補助食品としての使用である。
本発明のさらなる主題は、本発明のアシルリボヌクレオシドまたはアシルデオキシリボヌクレオシドの経口投与可能なコスメティックにおける使用である。
【0023】
本発明のアシルリボヌクレオシドまたはアシルデオキシリボヌクレオシドは、老化、光老化から(ヒト)皮膚を保護し、皮膚にホワイトニング効果をもたらし得、および色素異常症を除去し得るという利点を有する。
【0024】
本発明のアシルリボヌクレオシドまたはアシルデオキシリボヌクレオシドの補助食品としての使用は、これらの物質の皮膚への適用に匹敵する効果、すなわち、老化または光老化からの皮膚の保護、皮膚のホワイトニングまたは色素異常症の除去を導くという利点を有する。このタイプの適用は、「経口コスメティック」ということができる。
【0025】
本発明のさらなる主題は、(必要に応じて非毒性溶媒中)、酵素触媒(必要に応じて溶解形態または固定化形態)の存在下、リボヌクレオシドまたはデオキシリボヌクレオシドをアシル基供与体と反応させることを含む、本発明のアシルリボヌクレオシドまたはアシルデオキシリボヌクレオシドの製造方法である。
【0026】
この方法を、本発明の方法という。
本発明の方法の一実施態様において、アシル供与体は対応するカルボン酸である。
本発明の方法の別の実施態様において、アシル供与体は溶媒としても使用される。
【0027】
本発明の方法の別の実施態様において、溶媒は、プロパン-2-オール、ブタン-2-オール、イソブタノール、アセトン、プロパノン、ブタノン、ペンタン-2-オン、1,2-エタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-メチルブタン-2-オール、tert-ブタノール、2-メチルプロパノール、4-ヒドロキシ-2-メチルペンタノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、ヘプタン、ヘキサンおよび2以上のこれらの溶媒の混合物からなる群から選択される。
【0028】
本発明の方法の別の実施態様において、リボヌクレオシドまたはデオキシリボヌクレオシドとアシル供与体とのモル比は、反応の間、該比率が常に0.01〜20.00(好適には0.02と10.00の間)になるように制御される。
【0029】
本発明の方法の別の実施態様において、さらなる量のリボヌクレオシドまたはデオキシリボヌクレオシド、アシル供与体、溶媒、および/または酵素触媒は、反応の間、添加される。
【0030】
本発明の方法の別の実施態様において、得られたエステル(本発明のアシルリボヌクレオシドまたはアシルデオキシリボヌクレオシド)は、酵素粒子を除去すること、および溶媒を除去することによって精製される。
【0031】
本発明の別の実施態様において、本発明の方法は、反応媒体の少なくとも1つの構成成分を間欠的にまたは連続的に取り除くことをさらに含む。
【0032】
本発明の方法の別の実施態様において、反応の間の温度は、20〜100℃に設定される。
本発明の方法の別の実施態様において、上記反応媒体の分圧は10mbar〜1000mbarに設定され、および反応媒体は撹拌される。
【0033】
本発明の別の実施態様において、本発明の方法は、有機溶媒による抽出、超臨界流体、蒸留、結晶化、吸着または沈澱によって、残留するリボヌクレオシド、デオキシリボヌクレオシドまたはアシル供与体を排除することをさらに含む。
【0034】
本発明の別の実施態様において、本発明の方法は、沈澱またはクロマトグラフ分離によって、製造されたアシルリボヌクレオシドおよび/またはデオキシリボヌクレオシドを分画することをさらに含む。
【0035】
本発明の方法の別の実施態様において、酵素触媒は、プロテアーゼおよびリパーゼからなる群から選択される。好適にはプロテアーゼまたはリパーゼは、担体に固定化される。
【0036】
本発明の方法の別の実施態様において、水および/またはアルコールは、共沸蒸留によって反応媒体から除去される。好適には共沸物は、完全またはほぼ完全還流条件下、蒸留カラムを通じて除去される。
【0037】
本発明の方法の別の実施態様において、水および/またはアルコールは、液体反応媒体から蒸発した気相とともに、液体反応媒体と接触する分子篩によって反応媒体から除去される。
【0038】
本発明の方法の別の実施態様において、水および/またはアルコールは、気相または液相における透析蒸発(透析蒸発は、推進力として真空を用いる、膜を使用する分離方法である)によって反応媒体から除去される。
【0039】
本発明の一実施態様は、アシルリボヌクレオシドおよびアシルデオキシヌクレオシドからなる群から選択される化合物である。ここで該アシル基は、10〜20個(好適には16〜18個)の炭素原子を有する脂肪酸(好適には非置換、直鎖状、飽和または不飽和カルボン酸)、3-フェニル-プロピオン酸、12-ヒドロキシ-ステアリン酸、オクタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、アゼライン酸またはオクタデセン二酸に由来する。ここでオクタデセン二酸、アゼライン酸またはオクタデセン二酸の場合、該酸の1つまたは両方のCOOH基は、ヌクレオシドでエステル化されていてよい。また、この化合物の製造および使用も本発明の実施態様である。
【0040】
本発明の一実施態様は、パルミトイルウリジン、その製造およびその使用である。本発明の別の実施態様は、5'-O-パルミトイルウリジン、その製造およびその使用である。本発明の別の実施態様は、パルミトイルグアノシン、その製造およびその使用である。本発明の別の実施態様は、パルミトイルアデノシン、その製造およびその使用である。本発明の別の実施態様は、パルミトイルシチジン、その製造およびその使用である。本発明の別の実施態様は、オレイルウリジン、その製造およびその使用である。本発明の別の実施態様は、5'-O-オレイルウリジン、その製造およびその使用である。本発明の別の実施態様は、オレイルグアノシン、その製造およびその使用である。本発明の別の実施態様は、オレイルアデノシン、その製造およびその使用である。本発明の別の実施態様は、オレイルシチジン、その製造およびその使用である。本発明の別の実施態様は、ステアロイルウリジン、その製造およびその使用である。本発明の別の実施態様は、5'-O-ステアロイルウリジン、その製造およびその使用である。本発明の別の実施態様は、3-フェニル-プロピオニルウリジン、その製造およびその使用である。本発明の別の実施態様は、12-ヒドロキシ-ステアロイルウリジン、その製造およびその使用である。本発明の別の実施態様は、ウリジンとオクタデカン二酸とのモノエステル、その製造およびその使用である。本発明の別の実施態様は、ウリジンとオクタデカン二酸とのジエステル、その製造およびその使用である。本発明の別の実施態様は、ウリジンとヘキサデカン二酸とのモノエステル、その製造およびその使用である。本発明の別の実施態様は、ウリジンとヘキサデカン二酸とのジエステル、その製造およびその使用である。本発明の別の実施態様は、ウリジンとアゼライン酸とのモノエステル、その製造およびその使用である。本発明の別の実施態様は、ウリジンとアゼライン酸とのジエステル、その製造およびその使用である。本発明の別の実施態様は、ウリジンとオクタデセン二酸とのモノエステル、その製造およびその使用である。本発明の別の実施態様は、ウリジンとオクタデセン二酸とのジエステル、その製造およびその使用である。
【0041】
本発明のリボヌクレオシドまたはデオキシリボヌクレオシドのアシル誘導体は、ウリジン、デオキシ-ウリジン、プソイドウリジン、シチジン、デオキシ-シチジン、チミジン、デオキシ-チミジン、アデノシン、デオキシ-アデノシン、グアノシン、デオキシ-グアノシンの、モノ-O-アシル、ジ-O-アシルまたはトリ-O-アシル誘導体であり得る。プソイドウリジン(5-β-D-リボフラノシルウラシル、CAS 1445-07-4)は、幾つかの植物中に見出された天然リボヌクレオシドである。
【0042】
好適なアシルリボヌクレオシドは、パルミトイルウリジンである。別の好適なアシルリボヌクレオシドは、ステアロイルウリジンである。別の好適なアシルリボヌクレオシドは、5'-O-パルミトイル-ウリジンである。別の好適なアシルリボヌクレオシドは、5'-O-ステアロイル-ウリジンである。5'-O-パルミトイル-ウリジンと5'-O-ステアロイル-ウリジンとの組合せも本発明の好適な実施態様である。
【0043】
本発明のアシルリボヌクレオシドまたはアシルデオキシリボヌクレオシドの好適なコスメティック用途は、皮膚老化、外因性要因および/または光老化によってもたらされる老化を防止する、および/またはそれらと闘うためのそれらのコスメティック用途である。
【0044】
本発明のアシルリボヌクレオシドまたはアシルデオキシリボヌクレオシドの好適なコスメティック用途は、ホワイトナーまたはライトナーとしての、毛髪および/または皮膚細胞におけるメラニン合成の阻害のための、および/または色素異常症と闘うための、それらのコスメティック用途である。
本発明の一実施態様は、コスメティック、皮膚医薬または食物処方物における、とりわけ皮膚老化および光老化と闘うための、色素異常症と闘うための、および皮膚を美白するための、本発明のアシルリボヌクレオシドおよび/またはアシルデオキシリボヌクレオシドの使用である。
【0045】
本発明の一実施態様は、穏やかな条件下、反応生成物のコスメティック用途または食物用途における使用と適合可能である溶媒を使用して、良好な収率でO-アシルリボヌクレオシドおよび/またはO-アシルデオキシリボヌクレオシド(これに関してO-アシルは、O-アシル、ジ-O-アシルおよびトリ-O-アシルを意味する)を合成するための酵素的方法である。
【0046】
当該分野の現状の方法は、DMF、THF、ピリジン、ジオキサン、DMAまたはDMSOを溶媒として使用する。このことは、反応生成物を薬剤または補助食品としてコスメティック用途に使用する場合にこれらの溶媒は好ましくないことから、不利である(溶媒の痕跡は、生成物中に不純物として存在し得る)。
【0047】
本発明の方法は、いかなる有害な溶媒も使用しないという利点を有する。したがって、本発明の方法は、溶媒を除去するための複雑な合成後の精製操作を低減する。
【0048】
ヒト表皮および真皮において、経年老化は、例えば、乾燥、荒れ、乾燥しわの形成のような構造的損傷をもたらす。外因性要因、例えばUV光線、化学薬品、酸化剤または環境汚染物質は、蓄積効果を有し、内因性のこの老化工程を促進または増強し得る。表皮および真皮において、これらの外因性要因は、幾つかの目に見える、コウペロシス(couperosis)のような血管拡張、しわの形成、局所色素沈着過度、染みのような異常色素沈着、機械的ストレスに対する増大した感受性をもたらす。
本発明のアシルリボヌクレオシドおよびアシルデオキシリボヌクレオシドは、コスメティックまたは皮膚医薬組成物(または経口投与用組成物)において使用される場合に利点を有する。それらは、自然に年老いた皮膚をケアし、並びに内在性の老化、上記のように外因性要因および/または光老化によりもたらされる老化の障害と闘うか、および/またはそれらを防止する。
【0049】
さらに、本発明のアシルリボヌクレオシドおよびアシルデオキシリボヌクレオシドは、メラニンの合成を阻害する。その結果として、それらは毛髪および皮膚細胞におけるメラニン合成の阻害に使用することができ、皮膚をホワイトニングまたはライトニングすることができる。また、それらは、局所色素沈着過度または染みのような異常色素沈着を防止するか、またはそれらと闘うために使用することができる。
【0050】
本発明の組成物中の本発明のアシルリボヌクレオシドおよびアシルデオキシリボヌクレオシドの量は、好適には0.0001〜10%、さらに、より好適には0.01〜5重量%の範囲である。
【0051】
本発明のアシルリボヌクレオシドおよびアシルデオキシリボヌクレオシドは、当該分野の現状から周知の化学的アシル化方法を使用して合成することができる。アシル供与体は、式RCOOHで示されるカルボン酸、これらの酸のハロゲン誘導体RCOHal、式RCOOCRで示される無水物または式RCOOR'で示されるエステルからなる群から選択することができる。ここで、R'は、C〜Cアルキル基であり、Rは、得られる生成物が本発明のアシルリボヌクレオシドまたはアシルデオキシリボヌクレオシドであるように選択される。
【0052】
反応は、不活性雰囲気下、(好適には無水)溶媒中で行うことができる。溶媒は、トルエン、ピリジン、クロロホルム、テトラヒドロフランおよびアセトンからなる群から選択さすることができる。
【0053】
本発明の方法は、当該分野の現状において既知の化学的合成または酵素的方法よりも穏やかな条件下で行うことができ、したがって、ピリジン、ベンゼン、DMF、THF、ジオキサンのような有毒溶媒および/または高温を使用すること、および/またはさらなる精製工程によって除去しなければならない副産物(例えば、リボヌクレオシドおよび/またはデオキシリボヌクレオシドの分解塩または分解生成物)の生成を避けることができる酵素的合成である。
【0054】
本発明の一実施態様は、O-アシルリボヌクレオシドおよび/またはO-アシルデオキシリボヌクレオシドの酵素的合成のための方法である。ここで該反応は、選択したリボヌクレオシドまたはデオキシリボヌクレオシドおよびアシル供与体を完全にまたは部分的に溶解することができる非毒性溶媒中で行われる。溶媒は、特に、使用されるアシル供与体、プロパン-2-オール、ブタン-2-オール、イソブタノール、アセトン、プロパノン、ブタノン、ペンタン-2-オン、1,2-エタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-メチルブタン-2-オール、tert-ブタノール、2-メチルプロパノールおよび4-ヒドロキシ-2-メチルペンタノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、脂肪族炭化水素(例えばヘプタン、ヘキサン)および2以上のこれらの溶媒の混合物からなる群から選択することができる。
【0055】
本発明の方法は、以下の様に実施できる。所定量のリボヌクレオシドおよび/またはデオキシリボヌクレオシドを、溶媒と一緒に反応器中に導入して反応媒体を形成させ、アシル供与体および酵素触媒を添加し、反応の間に形成された水および/またはアルコールを排除可能な条件下、反応を行う。この水および/またはアルコールは、真空下、分子篩上への吸着によって、蒸留(共沸蒸留を含む)によって、または膜を用いて(例えば透析蒸発によって)除去することができる。この反応は、バッチモードまたは連続モードで、或いは1以上の基質を用いるフェドバッチ法で行うことができる。好適には、水/アルコールの除去は、水/アルコールと共沸物を形成する溶媒を用いる共沸蒸留によって行う。より好適には、共沸物を、完全またはほぼ完全な還流条件下、カラム中に収集する。最後に、得られたO-アシルリボヌクレオシドまたはO-アシルデオキシリボヌクレオシドを、少なくとも酵素粒子を分離し(例えば、デカンテーション、ろ過または遠心分離によって)、および溶媒を分離(例えば、エバポレーション、蒸留または膜ろ過によって)することによって精製する。
【0056】
反応は、高濃度のリボヌクレオシドおよび/またはデオキシリボヌクレオシド、アシル供与体、アルコールおよび/または水の蓄積の存在下で観察される酵素反応の阻害または非活性化が最初に制限されるように行うことができる。基質は、反応過程において、酵素反応を阻害するであろう濃度レベルに到達するのを避けるために、制御した様式で徐々に導入することができる。
【0057】
反応は、リボヌクレオシドまたはデオキシリボヌクレオシド/アシル供与体のモル比が0.01〜20.00、好適には0.02〜10.00になるように行うことができる。合成反応の運転を最適化するため、反応媒体の少なくとも1つの構成成分を間欠的にまたは連続的に取り除くことによって進行させることができる。取り除かれた構成成分は、場合によっては、分画した後、反応器に返送してもよい。
【0058】
本発明の方法を実施するのに使用される反応容器または反応器は、有利には、温度コントロール、水および/またはアルコールコントロールおよび圧力コントロール、試薬添加手段および生成物除去手段が備え付けられる。
【0059】
合成反応が進行中、温度は、有利には20〜100℃に設定し、反応媒体上の分圧は、有利には10mbar(1000Pa)〜1000mbar(100000Pa)に設定し、および該反応媒体は、有利には穏やかな撹拌を受ける。
【0060】
高純度のアシルリボヌクレオシドまたはアシルデオキシリボヌクレオシドをもたらす調製物を得るため、例えば、有機溶媒による抽出、超臨界流体、蒸留または分子蒸留、クロマトグラフ分離、沈澱または結晶化による残留リボヌクレオシドまたはデオキシリボヌクレオシドまたはアシル供与体の除去を通じての、さらなる最終分画操作を実施するための条件がさらに設定され得る。
【0061】
本発明で使用されるリボヌクレオシドおよびデオキシリボヌクレオシドは、ウリジン、デオキシ-ウリジン、プソイドウリジン、シチジン、デオキシ-シチジン、チミジン、デオキシ-チミジン、アデノシン、デオキシ-アデノシン、グアノシンおよびデオキシ-グアノシンからなる群から選択される任意の化合物を含んでなり得る。
【0062】
アシル供与体は、既知の脂肪酸またはそれらのメチル、エチル、プロピルまたはブチルエステル、またはそれらのトリグリセリドから選択することができる。この脂肪酸は、好適には、ヒドロキシ、アミノ、メルカプト、ハロゲン、チオラニルからなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよい3〜22個の炭素原子を有する飽和、不飽和または環式の、直鎖状または分枝状脂肪族酸(例えば、パルミチン酸、16-ヒドロキシヘキサデカン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、11-メルカプトウンデカン酸、チオクト酸)、3〜22個の炭素原子を有する飽和、不飽和の直鎖状または分枝状脂肪族二酸(例えば、ヘキサデカン二酸、アゼライン酸)、ヒドロキシ、ニトロ、アルキル、アルコキシおよびハロゲン原子からなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよい、アリール脂肪族酸およびそれらの誘導体(例えば、フェニル-プロピオン酸、桂皮酸、カフェ酸(3,4-ジヒドロキシ桂皮酸)、フェルラ酸(4-ヒドロキシ-3-メトキシ桂皮酸)、クマリン酸(4-ヒドロキシ桂皮酸))、ヒドロキシ、ニトロ、アルキル、アルコキシおよびハロゲン原子からなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよい安息香酸(例えば、没食子酸(3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸)、バニリン酸(4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸)、プロトカテク酸(3,4-ジヒドロキシ安息香酸))からなる群から選択することができる。脂肪酸エステルは、好適には上記化合物のメチルまたはエチルエステルから選択することができる。
【0063】
使用される酵素触媒は、もちろん、アシル供与体からリボヌクレオシドまたはデオキシリボヌクレオシドへのアシル基の転移をもたらすか、促進しなければならず、および有利には、例えば、サーモマイセス(Thermomyces)、カンジダ・シリンドラセ(Candida cylindracea)、カンジダ・リポリチカ(Candida lipolytica)、カンジダ・ルゴサ(Candida rugosa)、カンジダ・アンタークチカ(Candida antarctica)A、カンジダ・アンタークチカ(Candida antarctica)B、カンジダ・アティリス(Candida utilis)、クロモバクテリウム・ビスコサム(Chromobacterium viscosum)、ゲオトリクム・ビスコサム(Geotrichum viscosum)、ゲオトリクム・カンディダム(Geotrichum candidum)、ムコール・ジャバニクス(Mucor javanicus)、ムコール・ミエヘイ(Mucor miehei)、ブタ膵臓、シュードモナス・スピーシーズ(Pseudomonas species)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・セパシア(Pseudomonas sepacia)、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor meihei)、リゾプス・アリツス(Rhizopus arrhizus)、リゾプス・デレマ(Rhizopus delemar)、リゾプス・デレマ(Rhizopus delemar)、リゾプス・ニベウス(Rhizopus niveus)、リゾプス・オリゼ(Rhizopus oryzae)、アスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger)、ペニシリウム・ロックフォルティ(Penicillium roquefortii)、ペニシリウム・キャンベルティ(Penicillium cambertii)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)由来のプロテアーゼまたはリパーゼ、またはバチルス・エスピー(Bacillus sp.)、バチルス・サーモグルコシダシウス(Bacillus thermoglucosidasius)、ムコール・ミエヘイ(Mucor miehei)、ウマ肝臓、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ブタ肝臓のエステラーゼ由来のものを含み得る。
【0064】
酵素は、個々にまたは1より多くの酵素を組合せて使用することができる。酵素触媒は、その遊離形態であるか、または再利用できるように不活性支持体上に固定化することができる。ムコール・ミエヘイ(Mucor miehei)およびアスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger)由来のリパーゼが好適に使用される。特に、Lipozyme(登録商標) TL IM(固定化サーモマイセス・ラヌギノスス(Thermomyces lanuginosus)リパーゼ)、Lipozyme(登録商標) RM IM(固定化リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)リパーゼ)、Novozym(登録商標) 735 L(遊離のカンジダ・アンタークチカ(Candida antarctica)Bリパーゼ)、Novozym(登録商標) 525 L(遊離のカンジダ・アンタークチカ(Candida antarctica)Bリパーゼ)および/またはNovozym(登録商標) 435(固定化カンジダ・アンタークチカ(Candida antarctica)Bリパーゼ)(これらは、全てNovozymes A/S(デンマーク)の製品である)が使用され得る。酵素は、好適には、リボヌクレオシドまたはデオキシリボヌクレオシドの量に基づいて、0.01〜15重量%、好適には1〜10重量%の量で使用される。
【0065】
本発明のヒト身体のコスメティックトリートメントは、皮膚および/または毛髪および/または皮膚付属物の処置を含む。皮膚付属物は、つめ、脂腺、汗腺などを意味する。
【0066】
コスメティック用に一般的な助剤および添加剤は、油成分、界面活性剤、乳化剤、脂肪、ワックス、真珠光沢ワックス、増粘剤、シックナー、過脂化剤、安定剤、ポリマー、シリコーン化合物、レシチン、リン脂質、生体由来物質、脱臭剤、抗微生物剤、発汗防止剤、皮膜形成剤、ふけ防止剤、膨潤剤、防虫剤、ヒドロトロープ、可溶化剤、防腐剤、香油および染料からなる群から選択することができる。
【0067】
本発明の一実施態様において、コスメティック用に一般的な助剤および添加剤は、界面活性剤、乳化剤、脂肪、ワックス、安定剤、脱臭剤、発汗防止剤、ふけ防止剤および香油からなる群から選択される。
【0068】
助剤および添加剤の総含量は、コスメティック用製剤および/または医薬製剤に基づいて、1〜50重量%、好適には5〜40重量%であり得る。該調製物は、通例のコールドまたはホットプロセスによって製造することができる; 好適には、転相温度法を使用することが挙げられる。
【0069】
本発明の目的のために、コスメティック用製剤はケア剤を意味し得る。ケア剤は、皮膚および毛髪用のケア剤を意味するとして理解される。これらのケア剤は、とりわけ、皮膚および毛髪のための洗浄および修復作用を有する。
【0070】
投与は、タブレット、糖衣錠、カプセル、ジュース、溶液および顆粒の形態での局所または経口投与であり得る。
本発明の組成物およびコスメティック用製剤は、コスメティックおよび/または皮膚医薬製剤、例えば、ヘアシャンプー、ヘアローション、フォームバス、シャワーバス、クリーム、ゲル、ローション、アルコール溶液および水性/アルコール溶液、エマルジョン、ワックス/脂肪組成物、スティック調製物、粉末または軟膏の製造に使用することができる。さらに、本発明の経口投与用製剤は、タブレット、糖衣錠、カプセル、ジュース、溶液および顆粒に組み込むこともできる。
【0071】
また、これらの製剤は、コスメティック用に一般的なさらなる助剤および添加剤として、油成分、界面活性剤、乳化剤、脂肪、ワックス、真珠光沢ワックス、増粘剤、シックナー、過脂化剤、安定剤、ポリマー、シリコーン化合物、レシチン、リン脂質、生体由来物質、脱臭剤、抗微生物剤、発汗防止剤、ふけ防止剤、皮膜形成剤、膨潤剤、防虫剤、ヒドロトロープ、可溶化剤、防腐剤、香油、染料およびコスメティック用に一般的な他の助剤および添加剤を含み得る。
【0072】
存在し得る界面活性剤(すなわち界面活性物質)は、陰イオン性、非イオン性、陽イオン性および/または両性または両性界面活性剤であり、組成物中のそれらの含量は、通常、約1〜70重量%、好適には5〜50重量%および特に10〜30重量%である。
陰イオン性界面活性剤の代表例は、石鹸、アルキルベンゼンスルホネート、アルカンスルホネート、オレフィンスルホネート、アルキルエーテルスルホネート、グリセロールエーテルスルホネート、α-メチルエステルスルホネート、スルホ脂肪酸、アルキルスルフェート、脂肪アルコールエーテルスルフェート、グリセロールエーテルスルフェート、脂肪酸エーテルスルフェート、ヒドロキシ混合エーテルスルフェート、モノグリセリド(エーテル)スルフェート、脂肪酸アミド(エーテル)スルフェート、モノおよびジアルキルスルホスクシネート、モノおよびジアルキルスルホスクシナメート、スルホトリグリセリド、アミド石鹸、エーテルカルボン酸およびその塩、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸タウリド、N-アシルアミノ酸(例えば、アシルラクチレート、アシルタルトレート、アシルグルタメートおよびアシルアスパルテートなど)、アルキルオリゴグルコシドスルフェート、タンパク質脂肪酸縮合物(特に、コムギに基づく植物生成物)、および、アルキル(エーテル)ホスフェートである。陰イオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含有しているときには、これらは通常の同族体分布を有していてよいが、好ましくは狭範囲の同族体分布を有する。
非イオン性界面活性剤の代表例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、脂肪酸ポリグリコールエーテル、脂肪酸アミドポリグリコールエーテル、脂肪アミンポリグリコールエーテル、アルコキシル化トリグリセリド、混合エーテルおよび混合ホルマール、所望により部分的に酸化したアルキル(アルケニル)オリゴグリコシドまたはグルクロン酸誘導体、脂肪酸-N-アルキルグルカミド、タンパク質加水分解物(特に、コムギに基づく植物生成物)、ポリオール脂肪酸エステル、糖エステル、ソルビタンエステル、ポリソルベートおよびアミンオキシドである。非イオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含有しているときには、これらは通常の同族体分布を有していてよいが、好ましくは狭範囲の同族体分布を有する。
陽イオン性界面活性剤の代表例は、第四アンモニウム化合物、例えばジメチルジステアリルアンモニウムクロリド、およびエステルクォート、より具体的には第四級化した脂肪酸トリアルカノールアミンエステル塩である。
両性または双性イオン性界面活性剤の代表例は、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミノプロピオネート、アミノグリシネート、イミダゾリニウムベタインおよびスルホベタインである。上記界面活性剤は、既知の化合物である。これらの物質の構造および製造方法に関して、関連する総説に対して参照がなされ得る。
【0073】
特に適する穏やかな(即ち、特に皮膚に適合する)界面活性剤の代表例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテルスルフェート、モノグリセリドスルフェート、モノおよび/またはジアルキルスルホスクシネート、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸タウリド、脂肪酸グルタメート、α-オレフィンスルホネート、エーテルカルボン酸、アルキルオリゴグルコシド、脂肪酸グルカミド、アルキルアミドベタイン、アンホアセタールおよび/またはタンパク質脂肪酸縮合物(好ましくは、コムギタンパク質に基づく)である。
【0074】
適当な油成分は、例えば、6〜18個、好ましくは8〜10個の炭素原子を含む脂肪アルコールに基づくゲルベアルコール、直鎖状C6-22脂肪酸と直鎖状または分枝状C6-22脂肪アルコールとのエステル、分枝状C6-13カルボン酸と直鎖状または分枝状C6-22脂肪アルコールとのエステル、例えば、ミリスチルミリステート、ミリスチルパルミテート、ミリスチルステアレート、ミリスチルイソステアレート、ミリスチルオレエート、ミリスチルベヘネート、ミリスチルエルケート、セチルミリステート、セチルパルミテート、セチルステアレート、セチルイソステアレート、セチルオレエート、セチルベヘネート、セチルエルケート、ステアリルミリステート、ステアリルパルミテート、ステアリルステアレート、ステアリルイソステアレート、ステアリルオレエート、ステアリルベヘネート、ステアリルエルケート、イソステアリルミリステート、イソステアリルパルミテート、イソステアリルステアレート、イソステアリルイソステアレート、イソステアリルオレエート、イソステアリルベヘネート、イソステアリルエルケート、オレイルミリステート、オレイルパルミテート、オレイルステアレート、オレイルイソステアレート、オレイルオレエート、オレイルベヘネート、オレイルエルケート、ベヘニルミリステート、ベヘニルパルミテート、ベヘニルステアレート、ベヘニルイソステアレート、ベヘニルオレエート、ベヘニルベヘネート、ベヘニルエルケート、エルシルミリステート、エルシルパルミテート、エルシルステアレート、エルシルイソステアレート、エルシルオレエート、エルシルベヘネートおよびエルシルエルケートなどである。また適するのは、直鎖状C6-22脂肪酸と分枝状アルコール(特に2-エチルヘキサノール)とのエステル、C18-38アルキルヒドロキシカルボン酸と直鎖状または分枝状C6-22脂肪アルコールとのエステル(特にジオクチルマレエート)、直鎖状および/または分枝状脂肪酸と多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ダイマージオールまたはトリマートリオール)および/またはゲルベアルコールとのエステル、C6-10脂肪酸に基づくトリグリセリド、C6-18脂肪酸に基づく液体のモノ、ジおよびトリグリセリド混合物、C6-22脂肪アルコールおよび/またはゲルベアルコールと芳香族カルボン酸(特に安息香酸)とのエステル、C2-12ジカルボン酸と1〜22個の炭素原子を含む直鎖状または分枝状アルコールまたは2〜10個の炭素原子および2〜6個のヒドロキシル基を含むポリオールとのエステル、植物油、分枝状の第一アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖状および分枝状のC6-22脂肪アルコールカーボネート(例えば、ジカプリリルカーボネート;Cetiol(登録商標) CC)、C6-18、好ましくはC8-10脂肪アルコールに基づくゲルベカーボネート、安息香酸と直鎖状および/または分枝状C6-22アルコールとのエステル(例えば、Finsolv(登録商標) TN)、アルキル基あたりに6〜22個の炭素原子を含む直鎖状または分枝状の対称または非対称のジアルキルエーテル(例えば、ジカプリリルエーテル;Cetiol(登録商標) OE)、エポキシ化脂肪酸エステルのポリオールによる開環生成物、シリコーン油(シクロメチコーン、ケイ素メチコーン型など)および/または脂肪族またはナフテン系炭化水素(例えば、スクアラン、スクアレンまたはジアルキルシクロヘキサン)である。
【0075】
適当な乳化剤は、例えば、以下の群の少なくとも1つに由来する非イオン性界面活性剤である:
・8〜22個の炭素原子を含む直鎖状脂肪アルコールへの、12〜22個の炭素原子を含む脂肪酸への、アルキル基に8〜15個の炭素原子を含むアルキルフェノールへの、および、アルキル基に8〜22個の炭素原子を含むアルキルアミンへの、エチレンオキシド2〜30モルおよび/またはプロピレンオキシド0〜5モルの付加生成物;
・アルキル(アルケニル)基に8〜22個の炭素原子を含むアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシド、ならびに、そのエトキシル化類似体;
・ヒマシ油および/または水素化ヒマシ油へのエチレンオキシド1〜15モルの付加生成物;
・ヒマシ油および/または水素化ヒマシ油へのエチレンオキシド15〜60モルの付加生成物;
・グリセロールおよび/またはソルビタンと、12〜22個の炭素原子を含む不飽和、直鎖状または飽和、分枝状の脂肪酸および/または3〜18個の炭素原子を含むヒドロキシカルボン酸との部分エステル、ならびに、エチレンオキシド1〜30モルへのその付加生成物;
・ポリグリセロール(平均の自己縮合度2〜8)、ポリエチレングリコール(分子量400〜5000)、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、糖アルコール(例えば、ソルビトール)、アルキルグルコシド(例えば、メチルグルコシド、ブチルグルコシド、ラウリルグルコシド)およびポリグルコシド(例えば、セルロース)と、12〜22個の炭素原子を含む飽和および/または不飽和の直鎖状もしくは分枝状の脂肪酸および/または3〜18個の炭素原子を含むヒドロキシカルボン酸との部分エステル、ならびに、エチレンオキシド1〜30モルを含むその付加生成物;
・ペンタエリトリトール、脂肪酸、クエン酸および脂肪アルコールの混合エステルおよび/または6〜22個の炭素原子を含む脂肪酸、メチルグルコースおよびポリオール(好ましくは、グリセロールまたはポリグリセロール)の混合エステル;
・モノ、ジおよびトリアルキルホスフェートならびにモノ、ジおよび/またはトリ-PEG-アルキルホスフェートおよびその塩;
・羊毛ワックスアルコール;
・ポリシロキサン/ポリアルキル/ポリエーテルコポリマーおよび対応する誘導体;
・ブロックコポリマー、例えば、ポリエチレングリコール-30 ジポリヒドロキシステアレート;
・ポリマー乳化剤、例えば、GoodrichのPemulen型(TR-1、TR-2);
・ポリアルキレングリコール;および
・グリセロールカーボネート。
【0076】
脂肪アルコール、脂肪酸、アルキルフェノールへの、またはヒマシ油への、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの付加生成物は、既知の市販生成物である。これらは同族体混合物であり、その平均のアルコキシル化度は、付加反応を行う基質とエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの量比に対応する。グリセロールへのエチレンオキシドの付加生成物のC12/18脂肪酸モノエステルおよびジエステルは、コスメティック用製剤のための脂質層増強剤として知られている。
【0077】
アルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシド、その製造およびその使用は、従来技術から既知である。これらは、特に、グルコースまたはオリゴ糖と8〜18個の炭素原子を含む第一アルコールとを反応させることによって製造される。グリコシド基に関する限り、モノグリコシド(環状糖基がグリコシド結合によって脂肪アルコールに結合している)ならびにオリゴマーグリコシド(好ましくは約8までのオリゴマー化度を有する)の両方が適している。このオリゴマー化度は、統計学的平均値であり、上記のような工業用製品に一般的な同族体分布はこれに基づいている。
【0078】
適当な部分グリセリドの代表例は、ヒドロキシステアリン酸モノグリセリド、ヒドロキシステアリン酸ジグリセリド、イソステアリン酸モノグリセリド、イソステアリン酸ジグリセリド、オレイン酸モノグリセリド、オレイン酸ジグリセリド、リシノール酸モノグリセリド、リシノール酸ジグリセリド、リノール酸モノグリセリド、リノール酸ジグリセリド、リノレン酸モノグリセリド、リノレン酸ジグリセリド、エルカ酸モノグリセリド、エルカ酸ジグリセリド、酒石酸モノグリセリド、酒石酸ジグリセリド、クエン酸モノグリセリド、クエン酸ジグリセリド、リンゴ酸モノグリセリド、リンゴ酸ジグリセリド、ならびに、これらの工業用混合物(これらは、製造方法に由来して少量のトリグリセリドをなお含んでいることもある)である。また、上記部分グリセリドへのエチレンオキシド1〜30モル、好ましくは5〜10モルの付加生成物も適している。
【0079】
適当なソルビタンエステルは、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンセスキイソステアレート、ソルビタンジイソステアレート、ソルビタントリイソステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンジオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンモノエルケート、ソルビタンセスキエルケート、ソルビタンジエルケート、ソルビタントリエルケート、ソルビタンモノリシノレエート、ソルビタンセスキリシノレエート、ソルビタンジリシノレエート、ソルビタントリリシノレエート、ソルビタンモノヒドロキシステアレート、ソルビタンセスキヒドロキシステアレート、ソルビタンジヒドロキシステアレート、ソルビタントリヒドロキシステアレート、ソルビタンモノタルトレート、ソルビタンセスキタルトレート、ソルビタンジタルトレート、ソルビタントリタルトレート、ソルビタンモノシトレート、ソルビタンセスキシトレート、ソルビタンジシトレート、ソルビタントリシトレート、ソルビタンモノマレエート、ソルビタンセスキマレエート、ソルビタンジマレエート、ソルビタントリマレエートならびにこれらの工業用混合物である。また、上記ソルビタンエステルへのエチレンオキシド1〜30モル、好ましくは5〜10モルの付加生成物も適している。
【0080】
適当なポリグリセロールエステルの代表例は、ポリグリセリル-2 ジポリヒドロキシステアレート(Dehymuls(登録商標) PGPH)、ポリグリセリン-3 ジイソステアレート(Lameform(登録商標) TGI)、ポリグリセリル-4 イソステアレート(Isolan(登録商標) GI 34)、ポリグリセリル-3 オレエート、ジイソステアロイル ポリグリセリル-3 ジイソステアレート(Isolan(登録商標) PDI)、ポリグリセリル-3 メチルグルコース ジステアレート(Tego Care(登録商標) 450)、ポリグリセリル-3 蜜蝋(Cera Bellina(登録商標))、ポリグリセリル-4 カプレート(Polyglycerol Caprate T2010/90)、ポリグリセリル-3 セチルエーテル(Chimexane(登録商標) NL)、ポリグリセリル-3 ジステアレート(Cremophor(登録商標) GS 32)、ポリグリセリル ポリリシノレエート(Admul(登録商標) WOL 1403)、ポリグリセリル ジメレート イソステアレートおよびこれらの混合物である。さらなる適当なポリオールエステルの例は、トリメチロールプロパンまたはペンタエリトリトールと、ラウリン酸、ヤシ油脂肪酸、獣脂脂肪酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸などとの、モノ、ジおよびトリエステルである(これらを、所望によりエチレンオキシド1〜30モルと反応させてもよい)。
【0081】
さらに、双性イオン性界面活性剤は、乳化剤として使用することができる。用語「双性イオン性界面活性剤」は、分子中に少なくとも1つの第四アンモニウム基および少なくとも1つのカルボキシレート基および1つのスルホネート基を含む界面活性化合物である。特に適する双性イオン性界面活性剤はベタインであり、例えばN-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えばヤシ油アルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えばヤシ油アシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート、および2-アルキル-3-カルボキシメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリン(アルキル基またはアシル基に8〜18個の炭素原子を含む)、およびヤシ油アシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。コカミドプロピルベタイン(Cocamidopropyl Betaine)のCTFA名称のもとで既知である脂肪酸アミド誘導体が特に好ましい。
両性界面活性剤も適当な乳化剤である。両性界面活性剤は、分子中にC8/18アルキル基またはアシル基に加えて、少なくとも1つの遊離アミノ基および少なくとも1つの-COOH基または-SOH基を含有し、内部塩を形成することができる界面活性化合物である。適当な両性界面活性剤の例は、N-アルキルグリシン、N-アルキルプロピオン酸、N-アルキルアミノ酪酸、N-アルキルイミノジプロピオン酸、N-ヒドロキシエチル-N-アルキルアミドプロピルグリシン、N-アルキルタウリン、N-アルキルサルコシン、2-アルキルアミノプロピオン酸およびアルキルアミノ酢酸(アルキル基に約8〜18個の炭素原子を含む)である。特に好ましい両性界面活性剤は、N-ヤシ油アルキルアミノプロピオネート、ヤシ油アシルアミノエチルアミノプロピオネートおよびC12/18アシルサルコシンである。
最後に、陽イオン性界面活性剤も適当な乳化剤であり、エステルクォート型の乳化剤、好ましくはメチルで第四級化したジ脂肪酸トリエタノールアミンエステル塩が特に好ましい。
【0082】
使用できる脂肪およびワックスを以下に記載する。脂肪の代表例は、グリセリド、即ち、高級脂肪酸の混合グリセロールエステルから本質的になる固体または液体の植物または動物産物である。
適当なワックスは、特に天然ワックス、例えばカンデリラワックス、カルナバワックス、木蝋、アフリカハネガヤワックス、コルクワックス、グアルマ(guaruma)ワックス、コメ胚油ワックス、サトウキビワックス、オウリキュリー(ouricury)ワックス、モンタンワックス、蜜蝋、セラックワックス、鯨蝋、ラノリン(羊毛ワックス)、尾羽脂、セレシン、オゾケライト(地蝋)、ペトロラタム、パラフィンワックス、微結晶ワックス;化学修飾したワックス(硬ワックス)、例えばモンタンエステルワックス、サゾール(sasol)ワックス、水素化ジョジョバワックス、ならびに、合成ワックス、例えばポリアルキレンワックスおよびポリエチレングリコールワックスである。
脂肪に加えて、他の適当な添加剤は、脂肪様の物質、例えばレシチンおよびリン脂質である。レシチンは、脂肪酸、グリセロール、リン酸およびコリンからエステル化によって生成するグリセロリン脂質であると当業者に理解されている。従って、レシチンは、ホスファチジルコリン(PC)と称されることも多い。天然レシチンの例はケファリンである。これは、ホスファチジン酸としても知られ、1,2-ジアシル-sn-グリセロール-3-リン酸の誘導体である。対照的に、リン脂質は、リン酸とグリセロールとのモノエステル、好ましくはジエステル(グリセロホスフェート)であると通常は理解されており、これは、一般に脂肪と分類されている。さらに、スフィンゴシンおよびスフィンゴ脂質も適している。
【0083】
適当な真珠光沢ワックスは、例えば、アルキレングリコールエステル、特にエチレングリコールジステアレート;脂肪酸アルカノールアミド、特にヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド;部分グリセリド、特にステアリン酸モノグリセリド;多塩基性の所望によりヒドロキシ置換されたカルボン酸と、6〜22個の炭素原子を含む脂肪アルコールとのエステル、特に酒石酸の長鎖エステル;合計して少なくとも24個の炭素原子を含む脂肪化合物、例えば、脂肪アルコール、脂肪ケトン、脂肪アルデヒド、脂肪エーテルおよび脂肪カーボネート、特にラウロンおよびジステアリルエーテル;脂肪酸、例えばステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸またはベヘン酸;12〜22個の炭素原子を含むオレフィンエポキシドの、12〜22個の炭素原子を含む脂肪アルコールおよび/または2〜15個の炭素原子および2〜10個のヒドロキシル基を含むポリオールによる開環生成物;およびこれらの混合物である。
【0084】
使用できる増粘剤およびシックナーを以下に記載する。適当な増粘剤は、主として12〜22個、好ましくは16〜18個の炭素原子を含む脂肪アルコールまたはヒドロキシ脂肪アルコール、さらに部分グリセリド、脂肪酸またはヒドロキシ脂肪酸である。これらの物質と、アルキルオリゴグルコシドおよび/または脂肪酸N-メチルグルカミド(同じ鎖長)および/またはポリグリセロール ポリ-12-ヒドロキシステアレートとの組合せを使用するのが好ましい。適当なシックナーは、例えば、Aerosil(登録商標)型(親水性シリカ)、多糖、特にキサンタンゴム、グアール、寒天、アルギネートおよびチロース(Tylose)、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース、さらに比較的高分子量の脂肪酸ポリエチレングリコールモノエステルおよびジエステル、ポリアクリレート[例えば、Carbopol(登録商標)およびPemulen型(Goodrich);Synthalen(登録商標)(Sigma);Keltrol型(Kelco);Sepigel型(Seppic);Salcare型(Allied Colloids)]、ポリアクリルアミド、ポリマー、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドン、界面活性剤(例えば、エトキシル化脂肪酸グリセリド)、脂肪酸とポリオール(例えば、ペンタエリトリトールまたはトリメチロールプロパン)とのエステル、狭範囲の同族体分布を有する脂肪アルコールエトキシレートまたはアルキルオリゴグルコシド、ならびに、電解質(例えば、塩化ナトリウムおよび塩化アンモニウム)である。である。
【0085】
過脂化剤は、例えば、ラノリンおよびレシチン、さらにポリエトキシル化またはアシル化したラノリンおよびレシチン誘導体、ポリオール脂肪酸エステル、モノグリセリドおよび脂肪酸アルカノールアミドなどの物質から選択することができる。脂肪酸アルカノールアミドは、発泡安定剤としても働く。
【0086】
安定剤として、脂肪酸の金属塩、例えばステアリン酸またはリシノール酸のマグネシウム、アルミニウムおよび/または亜鉛塩を使用することができる。
【0087】
使用できるポリマーを以下に記載する。適当な陽イオン性ポリマーは、例えば、陽イオン性セルロース誘導体、例えば第四級化したヒドロキシエチルセルロース(AmercholからPolymer JR 400(登録商標)の名称で入手できる)、陽イオン性デンプン、ジアリルアンモニウム塩とアクリルアミドのコポリマー、第四級化したビニルピロリドン/ビニルイミダゾールポリマー、例えばLuviquat(登録商標)(BASF)、ポリグリコールとアミンの縮合生成物、第四級化したコラーゲンポリペプチド、例えばラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン(Lamequat(登録商標) L、Gruenau)、第四級化したコムギポリペプチド、ポリエチレンイミン、陽イオン性シリコーンポリマー、例えばアミドメチコーン、アジピン酸とジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンのコポリマー(Cartaretine(登録商標)、Sandoz)、アクリル酸とジメチルジアリルアンモニウムクロリドのコポリマー(Merquat(登録商標) 550、Chemviron)、ポリアミノポリアミドおよびその架橋した水溶性ポリマー、陽イオン性キチン誘導体、例えば第四級化したキトサン(所望により、微結晶分散している)、ジハロアルキル(例えばジブロモブタン)とビス-ジアルキルアミン(例えばビス-ジメチルアミノ-1,3-プロパン)との縮合生成物、陽イオン性グアールゴム(例えば、CelaneseからのJaguar(登録商標) CBS、Jaguar(登録商標) C-17、Jaguar(登録商標) C-16)、第四級化したアンモニウム塩ポリマー(例えば、MiranolからのMirapol(登録商標) A-15、Mirapol(登録商標) AD-1、Mirapol(登録商標) AZ-1)である。
【0088】
適当な陰イオン性、双性イオン性、両性および非イオン性ポリマーは、例えば、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、ビニルピロリドン/アクリル酸ビニルコポリマー、酢酸ビニル/マレイン酸ブチル/アクリル酸イソボルニルコポリマー、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマーおよびそのエステル、非架橋のポリアクリル酸およびポリオール架橋したポリアクリル酸、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/アクリレートコポリマー、オクチルアクリルアミド/メタクリル酸メチル/tert-ブチルアミノエチルメタクリレート/2-ヒドロキシプロピルメタクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート/ビニルカプロラクタムターポリマーおよび所望により誘導体化したセルロースエーテルおよびシリコーンである。
【0089】
適当なシリコーン化合物は、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環式シリコーン、ならびに、アミノ-、脂肪酸-、アルコール-、ポリエーテル-、エポキシ-、フッ素-、グリコシド-および/またはアルキル-修飾したシリコーン化合物である(これらは、室温で液体および樹脂様の両方であることができる)。他の適当なシリコーン化合物は、200〜300のジメチルシロキサン単位の平均鎖長を有するジメチコーンおよび水素化シリケートの混合物であるシメチコーンである。
【0090】
使用できる脱臭剤および抗微生物剤を以下に記載する。コスメティック用脱臭剤は、体臭を相殺するか、遮蔽するか、または除去する。体臭は、アポクリン発汗における皮膚細菌の作用によって生じ、これにより不快臭を有する分解生成物が生成することになる。従って、脱臭剤は、抗微生物剤、酵素阻害剤、臭気吸収剤または臭気遮蔽剤として作用する活性成分を含有する。
適当な抗微生物剤は、グラム陽性細菌に対して作用するあらゆる物質であり、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸およびその塩およびエステル、N-(4-クロロフェニル)-N'-(3,4-ジクロロフェニル)尿素、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、2,2'-メチレン-ビス-(6-ブロモ-4-クロロフェノール)、3-メチル-4-(1-メチルエチル)フェノール、2-ベンジル-4-クロロフェノール、3-(4-クロロフェノキシ)プロパン-1,2-ジオール、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート、クロロヘキシジン、3,4,4'-トリクロロカルバニリド(TTC)、抗細菌芳香物質、チモール、タイム油、オイゲノール、チョウジ油、メントール、ミント油、ファルネソール、フェノキシエタノール、グリセロールモノカプレート、グリセロールモノカプリレート、グリセロールモノラウレート(GML)、ジグリセロールモノカプレート(DMC)、サリチル酸-N-アルキルアミド(例えば、サリチル酸n-オクチルアミドまたはサリチル酸n-デシルアミド)などである。
【0091】
適当な酵素阻害剤は、例えばエステラーゼ阻害剤である。エステラーゼ阻害剤は、好ましくはクエン酸トリアルキル、例えばクエン酸トリメチル、クエン酸トリプロピル、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリブチル、および特に、クエン酸トリエチル(Hydagen(登録商標) CAT)である。該物質は酵素活性を阻害し、こうして臭気の生成を減少させる。エステラーゼ阻害剤として適当な他の物質は、ステロールスルフェートまたはホスフェート(例えば、ラノステロール、コレステロール、カンペステロール、スチグマステロールおよびシトステロールスルフェートまたはホスフェートなど)、ジカルボン酸およびそのエステル(例えば、グルタル酸、グルタル酸モノエチル、グルタル酸ジエチル、アジピン酸、アジピン酸モノエチル、アジピン酸ジエチル、マロン酸およびマロン酸ジエチルなど)、ヒドロキシカルボン酸およびそのエステル(例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸または酒石酸ジエチルなど)、ならびに亜鉛グリシネートである。
【0092】
適当な臭気吸収剤は、臭気生成化合物を吸収することができ、その大部分を保持することができる物質である。これらは、個々の成分の分圧を低下させ、こうしてその拡散速度を低下させる。この点で重要な要件は、芳香物質が損なわれないまま保持されることである。臭気吸収剤は、細菌に対して活性ではない。これらは、例えば主成分として、ラブダナムもしくはエゴノキの抽出物またはある種のアビエチン酸誘導体などの「保留剤」として当業者に知られている特定のほぼ中性臭気の芳香物質またはリシノール酸の錯亜鉛塩を含有する。
臭気遮蔽剤は、その臭気遮蔽機能に加えて、その特定の芳香を脱臭剤に与える芳香物質または香油である。上記香油は、例えば、天然および合成の芳香物質の混合物である。天然の芳香物質には、花、茎および葉、果実、果皮、根、木、ハーブおよび草、針状葉および枝、樹脂およびバルサムの抽出物が含まれる。また、動物原料、例えばジャコウおよびビーバーを使用することもできる。通常の合成芳香化合物は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールおよび炭化水素型の生成物である。エステル型の芳香化合物の例は、酢酸ベンジル、シクロヘキシル酢酸p-tert-ブチル、酢酸リナリル、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、プロピオン酸スチラリルおよびサリチル酸ベンジルである。エーテルには、例えばベンジルエチルエーテルが含まれ、アルデヒドには、例えば8〜18個の炭素原子を含む直鎖状アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアルおよびボルゲオナールが含まれる。適当なケトンの例は、イオノンおよびメチルセドリルケトンである。適当なアルコールは、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコールおよびテルピネオールである。炭化水素には、主にテルペンおよびバルサムが含まれる。しかし、異なる芳香化合物の混合物(これらは一緒になって快い芳香を生じる)を使用するのが好ましい。比較的低揮発性の精油(これらのほとんどは芳香成分として使用される)が香油として適当である。その例は、セージ油、カミツレ油、チョウジ油、メリッサ油、ミント油、シナモン葉油、シナノキ花油、ビャクシン果実油、ベチベルソウ油、オリバヌム油、ガルバヌム油、ラブダナム油およびラベンジン油である。以下のものを、個々にまたは混合物の形態で使用するのが好ましい:即ち、ベルガモット油、ジヒドロミルセノール、リリアル、ライラール(lyral)、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、ボイサムブレン・フォルテ(boisambrene forte)、アムブロキサン(ambroxan)、インドール、ヘジオン(hedione)、サンデリス(sandelice)、柑橘油、マンダリン油、オレンジ油、アリルアミルグリコレート、シクロベルタール(cyclovertal)、ラベンジン油、サルビア油、β-ダマスコーン、ゼラニウム油バーボン、サリチル酸シクロヘキシル、ベルトフィックス・ケウアー(Vertofix Coeur)、イソ-E-スーパー(iso-E-super)、フィクソリド(Fixolide)NP、エベルニル(evernyl)、イラルデイン(iraldein)ガンマ、フェニル酢酸、酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル、ローズオキシド、ロミラット(romilat)、イロチル(irotyl)およびフロラマット(floramat)。
【0093】
発汗防止剤は、エクリン汗腺の活性に影響を及ぼすことによって発汗を減少させ、こうして腋下の湿気および体臭を中和する。通常、水性または無水の発汗防止処方物は、1以上の以下の成分を含有する:
収斂活性成分、油成分、非イオン性乳化剤、共乳化剤、増粘剤、助剤(例えばシックナーまたは錯化剤)、および/または非水性溶媒(例えば、エタノール、プロピレングリコールおよび/またはグリセロール)。
【0094】
適当な収斂性発汗防止活性成分は、特に、アルミニウム、ジルコニウムまたは亜鉛の塩である。この種の適当な抗ヒドロ(antihydrotic)剤は、例えば、アルミニウムクロリド、アルミニウムクロロヒドレート、アルミニウムジクロロヒドレート、アルミニウムセスキクロロヒドレート、および、これらと例えば1,2-プロピレングリコールとの錯化合物、アルミニウムヒドロキシアラントイネート、アルミニウムクロリドタルトレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロヒドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロヒドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロヒドレート、および、これらと例えばアミノ酸(グリシンなど)との錯化合物である。さらに、発汗防止剤において普通に使用される油溶性および水溶性の助剤が、比較的少量で存在していてもよい。このような油溶性の助剤は、例えば、炎症抑制性、皮膚保護性または芳香性の精油、合成の皮膚保護活性成分および/または油溶性の香油であり得る。
【0095】
通常の水溶性の添加剤は、例えば、防腐剤、水溶性芳香物質、pH調節剤、例えば緩衝混合物、水溶性増粘剤、例えば水溶性の天然または合成ポリマー、例えばキサンタンゴム、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドンまたは高分子量ポリエチレンオキシドである。
【0096】
使用できる皮膜形成剤を以下に記載する。通常の皮膜形成剤は、例えば、キトサン、微結晶キトサン、第四級化キトサン、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、アクリル酸系列のポリマー、第四セルロース誘導体、コラーゲン、ヒアルロン酸およびその塩および同様の化合物である。
【0097】
適当なふけ防止剤は、ピロクトン オラミン(pirocton olamin)[1-ヒドロキシ-4-メチル-6-(2,4,4-トリメチルペンチル)-2-(1H)-ピリジノン モノエタノールアミン塩]、Baypival(登録商標)(クリムバゾール;climbazole)、Ketoconazole(登録商標)(4-アセチル-1-{4-[2-(2,4-ジクロロフェニル) r-2-(1H-イミダゾール-1-イルメチル)-1,3-ジオキシラン-c-4-イルメトキシフェニル}ピペラジン、ケトコナゾール、エルビオール、セレンジスルフィド、コロイド状イオウ、イオウポリエチレングリコールソルビタンモノオレエート、イオウリシノールポリエトキシレート、イオウタールジスチレート、サリチル酸(または、ヘキサクロロフェンと組合せて)、ウンデシレン酸 モノエタノールアミド スルホスクシネートNa塩、Lamepon(登録商標) UD(タンパク質/ウンデシレン酸縮合物)、亜鉛ピリチオン、アルミニウムピリチオンおよびマグネシウムピリチオン/ジピリチオンマグネシウムスルフェートである。
【0098】
水相のための膨潤剤は、モンモリロナイト、粘土無機物質、ペムレン(Pemulen)およびアルキル修飾したカルボポール(Carbopol)型(Goodrich)である。
【0099】
適当な防虫剤は、N,N-ジエチル-m-トルアミド、1,2-ペンタンジオールまたはブチルアセチルアミノプロピオン酸エチルである。
【0100】
さらに、流れ挙動を改善するために、ヒドロトロープ、例えばエタノール、イソプロピルアルコールまたはポリオールを使用することができる。適当なポリオールは、好ましくは2〜15個の炭素原子および少なくとも2個のヒドロキシル基を含有する。これらポリオールは、さらなる官能基、特にアミノ基を含有することができ、また、窒素で修飾することもできる。その代表例は、以下の通りである:
・グリセロール;
・アルキレングリコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、および、ポリエチレングリコール(100〜1000ダルトンの平均分子量を有する);
・1.5〜10の自己縮合度を有する工業用オリゴグリセロール混合物、例えば40〜50重量%のジグリセロール含量を有する工業用ジグリセロール混合物;
・メチロール化合物、例えば特にトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリトリトールおよびジペンタエリトリトール;
・低級アルキルグルコシド、特にアルキル基に1〜8個の炭素原子を含むもの、例えばメチルおよびブチルグルコシド;
・5〜12個の炭素原子を含む糖アルコール、例えばソルビトールまたはマンニトール;
・5〜12個の炭素原子を含む糖、例えばグルコースまたはスクロース;
・アミノ糖、例えばグルカミン;
・ジアルコールアミン、例えばジエタノールアミンまたは2-アミノプロパン-1,3-ジオール。
【0101】
適当な防腐剤は、例えば、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド溶液、パラベン、ペンタンジオールまたはソルビン酸およびCosmetics Directiveの付属書6のパートAおよびBに挙げられている他の群の化合物である。
【0102】
使用できる香油は、好適には天然および合成の芳香物質の混合物である。天然の芳香物質には、花(ユリ、ラベンダー、バラ、ジャスミン、ネロリ、イランイラン)、茎および葉(ゼラニウム、パチョリ、プチグレイン)、果実(アニス、コエンドロ、ヒメウイキョウ、ビャクシン)、果皮(ベルガモット、レモン、オレンジ)、根(ニクズク、アンゼリカ、セロリ、カルダモン、コスタス、アイリス、カルムス)、木(マツ、ビャクダン、ユソウボク、シーダー材、シタン)、ハーブおよび草(タラゴン、レモングラス、セージ、タイム)、針状葉および枝(トウヒ、モミ、マツ、低マツ)、樹脂およびバルサム(ガルバヌム、エレミ、ベンゾイン、ミルラ、乳香、オポパナックス)の抽出物が含まれる。また、動物原料、例えばシベットおよび海狸香を使用することもできる。通常の合成芳香化合物は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールおよび炭化水素型の生成物である。エステル型の芳香化合物の例は、酢酸ベンジル、イソ酪酸フェノキシエチル、シクロヘキシル酢酸p-tert-ブチル、酢酸リナリル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、エチル酢酸フェニル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、エチルメチルフェニルグリシネート、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、プロピオン酸スチラリルおよびサリチル酸ベンジルである。エーテルには、例えばベンジルエチルエーテルが含まれ、アルデヒドには、例えば8〜18個の炭素原子を含む直鎖状アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアルおよびボルゲオナールが含まれる。適当なケトンの例は、イオノン、α-イソメチルイオノンおよびメチルセドリルケトンである。適当なアルコールは、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコールおよびテルピネオールである。炭化水素には、主にテルペンおよびバルサムが含まれる。しかし、異なる芳香化合物の混合物(これらは一緒になって快い芳香を生じる)を使用するのが好ましい。また、比較的低揮発性の精油(これらのほとんどは芳香成分として使用される)も香油として適当である。その例は、セージ油、カミツレ油、チョウジ油、メリッサ油、ミント油、シナモン葉油、シナノキ花油、ビャクシン果実油、ベチベルソウ油、オリバヌム油、ガルバヌム油、ラブダナム油およびラベンジン油である。以下のものを、個々にまたは混合物の形態で使用するのが好ましい:即ち、ベルガモット油、ジヒドロミルセノール、リリアル、ライラール(lyral)、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、ボイサムブレン・フォルテ(boisambrene forte)、アムブロキサン(ambroxan)、インドール、ヘジオン(hedione)、サンデリス(sandelice)、柑橘油、マンダリン油、オレンジ油、アリルアミルグリコレート、シクロベルタール(cyclovertal)、ラベンジン油、サルビア油、β-ダマスコーン、ゼラニウム油バーボン、サリチル酸シクロヘキシル、ベルトフィックス・ケウアー(Vertofix Coeur)、イソ-E-スーパー(iso-E-super)、フィクソリド(Fixolide)NP、エベルニル(evernyl)、イラルデイン(iraldein)ガンマ、フェニル酢酸、酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル、ローズオキシド、ロミラット(romilat)、イロチル(irotyl)およびフロラマット(floramat)。
【0103】
適当な染料は、コスメティック目的に認められかつ適している任意の物質である。通常、これらの染料は、混合物全体を基準に、0.001〜0.1重量%の濃度で使用される。
【実施例】
【0104】
実施例において使用した酵素は、市販の酵素である。Novozyme(登録商標)およびLipozyme(登録商標)は、Novozymes A/S(デンマーク)から入手可能である。Novozym(登録商標) 735 Lは、遊離のカンジダ・アンタークチカ(Candida antarctica)Bリパーゼである(すなわち、固定化されていない)。Novozym(登録商標) 435は、固定化カンジダ・アンタークチカ(Candida antarctica)Bリパーゼである。Lipozyme(登録商標) RM IMは、固定化リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)リパーゼである。Lipozyme(登録商標) TL IMは、固定化サーモマイセス・ラヌギノスス(Thermomyces lanuginosus)リパーゼである。リパーゼ AYは、天野社から入手可能である。Lipomod 34は、Biocatalysts社から入手可能である。
実施例において得られた化合物のアシル化度は1である。
【0105】
実施例1:異なるリパーゼを用いるパルミトイルリボヌクレオシドの合成
アシルリボヌクレオシドの合成を、異なるリパーゼを用いて行った。2.5gのウリジン(10mmol)を、5.25gのパルミチン酸(20mmol)で、30mlの2-メチル-2-ブタノール中、0.5gの異なる固定化リパーゼを用いてエステル化した。反応を、3.5gの分子篩を添加するとともに、振盪フラスコ中で60℃にて67時間行った。変換率を、消費された脂肪酸の量を元に算出した。
【0106】
【表1】

【0107】
実施例2:異なるヌクレオシドからのパルミトイルリボヌクレオシドの合成
異なるアシルリボヌクレオシドの合成を、以下のように行った。1gのヌクレオシド(4mmolのウリジン、3.5mmolのグアノシン、4mmolのシチジンおよび3.7mmolのアデノシン)を、2倍量のモル量のパルミチン酸(7〜8mmol)でエステル化した。変換を、触媒として0.2gのNovozym 435を用いて、振盪フラスコ中で、20mlの2-メチル-2-ブタノールによって、60℃にて、2gの分子篩を添加するとともに、68時間行った。変換率を、消費された脂肪酸の量を元に算出した。
【0108】
【表2】

【0109】
実施例3:異なる溶媒中でのステアロイルリボヌクレオシドの合成
アシルリボヌクレオシドの合成を、異なる溶媒中で行った。1gのウリジン(4mmol)を、2.3gのステアリン酸(8mmol)で、20mlの異なる溶媒中、生体触媒として0.2gのNovozym 435を用いてエステル化した。反応を、振盪フラスコ中で、60℃にて、2gの分子篩を添加するとともに68時間行った。変換率を、消費された脂肪酸の量を元に算出した。
【0110】
【表3】

【0111】
実施例4:異なるアシル供与体を用いるアシルウリジンの合成
ウリジンエステル(アシルウリジン)の合成を、異なるアシル供与体を用いて行った。1gのウリジン(4mmol)を、8mmolの3-フェニルプロピオン酸、オクタデカン二酸、オクタデカン二酸またはアゼライン酸で、20mlの2-メチル-2-ブタノール中、生体触媒として0.2gのNovozym 435を用いてエステル化した。反応を、2gの分子篩を添加するとともに、振盪フラスコ中で60℃にて68時間行った。変換率を、消費されたアシル供与体の量を元に算出した。
【0112】
【表4】

【0113】
実施例5:アシル供与体とウリジンとを異なる比率で用いる12-ヒドロキシステアロイルウリジンの合成
ウリジンエステルの合成を、異なる量のアシル供与体を用いて行った。0.5gのウリジン(2mmol)を、異なる量の12-ヒドロキシステアリン酸(2〜10mmol)(HAS)で、20mlのt-ブタノール中、生体触媒として1gのNovozym 435を用いてエステル化した。反応を、3gの分子篩を添加するとともに、振盪フラスコ中、60℃で48時間行った。変換率をHPLC分析に基づいて算出した。
【0114】
【表5】

【0115】
実施例6:共沸蒸留による水除去を伴うステアロイルウリジンの合成
ウリジンエステルの合成を、生成された水を共沸除去しながら行った。25gのウリジン(0.1mol)を、58gのステアリン酸(0.2mol)で、150mlの2-メチル-2-ブタノール中、生体触媒として5gのNovozym 435を用いてエステル化した。反応を、60℃で110〜120mbarの真空を用いて行った。溶媒/共沸物を、カラムを通して蒸発させた。共沸物をカラムの頂上に収集した。反応の最初の6時間、共沸物を時折取り除いた。その後、反応を完全還流条件下で行った。蒸発した溶媒/共沸物を新鮮な溶媒で置き換えて一定の液量を保持した。変換率を、脂肪酸の消費量に基づいて算出した。
【0116】
【表6】

【0117】
実施例7:油/トリグリセリドからのエステル交換によるアシルウリジンの合成
アシルリボヌクレオシドの合成を、トリグリセリドを用いて行った。2.5gのウリジン(10mmol)を、5.1gのMyritol(登録商標) 318(C8/C10トリグリセリド混合物、10mmol)で、30mlの2-メチル-2-ブタノール中、生体触媒として0.5gのNovozym 435を用いてエステル交換した。反応を、60℃で115時間行った。ウリジンの変換率をGC分析を元に算出した。
【0118】
【表7】

【0119】
実施例8:ウリジンステアレート(モノ-O-ステアロイルウリジン)の合成
ウリジンステアレートの合成を、4.9gのウリジン(20mmol)、28.5gのステアリン酸(100mmol)、10gのNovozym 435、30gの分子篩を用いて、200mlのt-ブタノール中で行った。ウリジン(No. 94320)をFluka(スイス)から購入し、ステアリン酸を、Cognis GmbH & Co. KG(独国)から購入し、分子篩(No. 1.057041.000)およびt-ブタノール(No. 8.22264.1000)をMerck KGaA(独国)から購入した。Novozym 435を、Novozymes A/S(デンマーク)から購入した。反応を、60℃にて振盪器中で行った。48時間の反応時間後、該溶液をろ過して生体触媒を除去した。該溶液を蒸発させ、次いで、生成物をヘキサンおよび水で抽出して所望の純度にした。ヘキサンで2回抽出し、水で1回抽出した後、ウリジンステアレート(モノ-O-ステアロイルウリジン)のGCによる純度は、70%よりも高かった。
【0120】
実施例9:ウリジンパルミテート(モノ-O-パルミトイルウリジン)の合成
ウリジンパルミテートの合成を、4.9gのウリジン(20mmol)、14.9gのパルミチン酸(60mmol)、10gのNovozym 435、30gの分子篩を用いて、200mlのt-ブタノール中で行った。ウリジン(No. 94320)をFluka(スイス)から購入し、パルミチン酸をCognis GmbH & Co. KG(独国)から購入し、分子篩(No. 1.057041.000)およびt-ブタノール(No. 8.22264.1000)をMerck KGaA(独国)から購入した。Novozym 435をNovozymes A/S(デンマーク)から購入した。反応を、60℃にて振盪器中で行った。48時間の反応時間後、該溶液をろ過して生体触媒を除去した。該溶液を蒸発させ、次いで、生成物をヘキサンおよび水で抽出して所望の純度にした。ヘキサンで2回抽出し、水で1回抽出した後、ウリジンパルミテート(モノ-O-パルミトイルウリジン)のGCによる純度は、65よりも高かった。
【0121】
実施例9a:アセチル-およびブチリル-ウリジンの合成
O-アセチル-ウリジンおよびO-ブチリル-ウリジンを、Zinniら、Biotechnoloy Letters 24, 2002, 979-983にしたがって合成した。
【0122】
分析は、ガスクロマトグラフィーおよび薄層クロマトグラフィーによって行った。
【0123】
【表8】

【0124】
以下の実施例において、使用したウリジンは、Fluka(スイス)から購入し(No. 94320)、ウリジンステアレートおよびウリジンパルミテートを実施例8および9にしたがって合成し、精製した。
【0125】
実施例10:インビトロでの線維芽細胞培養物に対するアシルリボヌクレオシドの非毒性
第1の実験において、ヒト繊維芽細胞を、ウシ胎仔血清(すなわちFCS)の標準細胞培地中に接種した。5%の二酸化炭素含量に高めた空気雰囲気下、37℃での1日間のインキュベーション後、成長培地を一連の濃度のウリジン、ウリジンパルミテートおよびウリジンステアレートを有する標準培地に取り替えた。ウリジンパルミテートおよびウリジンステアレートを、DMSO中の1%(w/v)(1%w/vは、100mlの溶液中の1gのウリジンなどを意味する)の保存溶液から出発した培地に添加した。3日間のインキュベーション後、生存細胞数を、Bradford(Bradford M. M.、「タンパク質-色素結合の原理を利用する、μg量のタンパク質の定量化のための迅速および高感度方法」、Anal. Biochem. (1977) vol 72, pp. 248-254)にしたがって、細胞タンパク質量を評価することにより決定し、およびLD50を算出した。その結果を表1に示す。
【0126】
第2の実験において、ヒト繊維芽細胞を、ウシ胎仔血清(すなわちFCS)の標準細胞培地中に接種した。3日間のインキュベーション後、細胞が静止期になったので、成長培地を一連の濃度のウリジン、ウリジンパルミテートおよびウリジンステアレートを有する標準培地に取り替えた。ウリジンパルミテートおよびウリジンステアレートを、DMSO中の1%(w/v)の保存溶液から出発した培地に添加した。3日間のインキュベーション後、生存細胞数を、細胞DNA量(蛍光プローブ)、ATP量、タンパク質量(Bradford法)および細胞タンパク質量に対して標準化された細胞GSHの割合(GSHはグルタチオンである)を評価することによって決定した。その結果を表2に示す。
【0127】
【表9】

【0128】
【表10】

【0129】
0.01%の濃度まで、該アシルリボヌクレオシドウリジンパルミテートおよびウリジンステアレートは、インビトロで培養したヒト繊維芽細胞の成長にいかなる有毒効果も示さなかった。それらは、繊維芽細胞の成長を変化させず、繊維芽細胞のエネルギー代謝または繊維芽細胞のタンパク質代謝のいずれも変化させなかった。
【0130】
実施例12:メラニン合成の阻害
メラニンは、皮膚および毛髪の色の原因である色素である。メラニン合成は、ヒト表皮基底層に位置するヒトメラノサイト中の特定の細胞小器官、いわゆるメラノソーム中で起こる。この合成は、チロシナーゼによるチロシンのDOPA(ジヒドロキシ-フェニル-アラニン)への酸化により開始し、次いで、DOPAは、メラニンに重合する。これは、メラノソーム中に貯蔵される。
【0131】
メラノサイト(B16細胞株:B16は、この試験に使用したマウスメラノーマ細胞の名称である)を、ウシ胎仔血清(FCS)の標準細胞培地に接種した。37℃およびCO=5%での3日間のインキュベーション後、成長培地を一連の濃度のウリジン、ウリジンパルミテートおよびウリジンステアレートを有する標準培地に取り替えた。ウリジンパルミテートおよびウリジンステアレートを、DMSO中の1%(w/v)の保存溶液から出発した培地に添加した。3日間のインキュベーション後、生存細胞数を細胞タンパク質量(Bradford法)を評価することによって決定し、および細胞ホモジネートの475nmでの光学密度を記録することによって合成されたメラニン量を測定した。その結果を表4に示す。
【0132】
【表11】

【0133】
アシルリボヌクレオシドウリジンパルミテートおよびウリジンステアレートは、インビトロで培養されたヒト繊維芽細胞に対していかなる有毒効果も示さない濃度にて、放出メラニンの割合を強く低減させた。これに対して、ウリジン、ウリジンアセテートおよびウリジンブタノエートは、メラニン合成の阻害に何ら影響を及ぼさなかったか、非常に乏しい影響しか及ぼさなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アシルリボヌクレオシドおよびアシルデオキシリボヌクレオシドからなる群から選択される化合物であって、
該アシル基は、10〜20個(好適には16〜18個)の炭素原子を有する脂肪酸(好適には非置換、直鎖状、飽和または不飽和カルボン酸)、3-フェニル-プロピオン酸、12-ヒドロキシ-ステアリン酸、オクタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、アゼライン酸またはオクタデセン二酸に由来するものであり、
ここでオクタデカン二酸、ヘキサデカン酸、アゼライン酸またはオクタデセン二酸の場合、該酸の1つまたは両方のCOOH基は、ヌクレオシドでエステル化されていてよい、化合物。
【請求項2】
パルミトイルウリジン、5'-O-パルミトイルウリジン、パルミトイルグアノシン、パルミトイルアデノシン、パルミトイルシチジン、オレイルウリジン、5'-O-オレイルウリジン、オレイルグアノシン、オレイルアデノシン、オレイルシチジン、ステアロイルウリジン、5'-O-ステアロイルウリジン、3-フェニル-プロピオニルウリジン、ウリジンとオクタデカン二酸とのモノエステル、ウリジンとオクタデカン二酸とのジエステル、ウリジンとヘキサデカン二酸とのモノエステル、ウリジンとヘキサデカン二酸とのジエステル、ウリジンとアゼライン酸とのモノエステル、ウリジンとアゼライン酸とのジエステル、ウリジンとオクタデセン二酸とのモノエステル、ウリジンとオクタデセン二酸とのジエステルおよび12-ヒドロキシ-ステアロイルウリジンからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
3.1.以下の式IまたはII
【化1】

〔式中、
Bは、核酸塩基部分であり、
、RおよびRは、独立して以下からなる群から選択される:
a)水素、
b)ヒドロキシ、ヒドロキシ-アルキル、アミノ、アミノ-アルキル、メルカプト、メルカプト-アルキル、ハロゲンおよびチオラニルからなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよい、3〜22個の炭素原子を有する飽和または不飽和の直鎖状または分枝状アシル基、
c)3〜22個の炭素原子を有する飽和または不飽和の直鎖状または分枝状ジカルボン酸基またはその誘導体であって、リボースまたはデオキシリボースのOH基でエステル化されていない-COOH基は、-CONR'またはCONR'(式中、R'は、水素原子、1〜6個の炭素原子を有する飽和または不飽和の直鎖状または分枝状アルキル基、アリール基、アラルキル基またはアラルキレン基であり、Sは対イオンである)またはCOHal(式中、Halは、ハロゲン原子である)またはCOSH(式中、Sは硫黄である)で置換されている、ジカルボン酸基またはその誘導体、
d)3〜22個の炭素原子を有する飽和または不飽和の直鎖状または分枝状ジカルボン酸二基、
e)ヒドロキシ、ニトロ、アルキル、アルコキシおよびハロゲンからなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよいアリール脂肪族酸基およびその誘導体、および
f)ヒドロキシ、ニトロ、アルキル、アルコキシおよびハロゲンからなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよい安息香酸基であり、
ここで式Iの場合、置換基R、RおよびRの少なくとも1つは、水素ではなく、および式IIの場合、置換基RおよびRの少なくとも1つは、水素ではない。〕
で示されるアシルリボヌクレオシドまたはアシルデオキシリボヌクレオシド、および
3.2.コスメティック用に一般的な助剤および/または添加剤
を含んでなる組成物。
【請求項4】
請求項1または2に記載の化合物の、または請求項3の段落3.1に定義されるアシルリボヌクレオシドまたはアシルデオキシリボヌクレオシドの、または請求項3に記載の組成物の、コスメティック用製剤の製造のための使用。
【請求項5】
請求項1または2に記載の化合物の、または請求項3の段落3.1に定義されるアシルリボヌクレオシドまたはアシルデオキシリボヌクレオシドの、または請求項3に記載の組成物の、ヒト身体のコスメティックトリートメントのための使用。
【請求項6】
請求項1または2に記載の化合物の、または請求項3の段落3.1に定義されるアシルリボヌクレオシドまたはアシルデオキシリボヌクレオシドの、UV-A放射線またはUV-B放射線によって損傷を受けたヒト皮膚の処置用薬剤の製造のための、またはヒト皮膚の炎症処置用薬剤の製造のための使用。
【請求項7】
請求項1または2に記載の化合物の、または請求項3の段落3.1に定義されるアシルリボヌクレオシドまたはアシルデオキシリボヌクレオシドの、補助食品としての使用。
【請求項8】
請求項3の段落3.1に定義されるアシルリボヌクレオシドまたはアシルデオキシリボヌクレオシドの製造方法であって、(必要に応じて非毒性溶媒中)リボヌクレオシドまたはデオキシリボヌクレオシドを、アシル基供与体と、(必要に応じて溶解形態または固定化形態の)酵素触媒の存在下、反応させることを含む、方法。
【請求項9】
アシル供与体は対応するカルボン酸である、請求項8に記載の方法。

【公表番号】特表2007−509994(P2007−509994A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538688(P2006−538688)
【出願日】平成16年10月23日(2004.10.23)
【国際出願番号】PCT/EP2004/011990
【国際公開番号】WO2005/049633
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(505066718)コグニス・アイピー・マネージメント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (191)
【氏名又は名称原語表記】Cognis IP Management GmbH
【出願人】(502021660)コグニス・フランス・ソシエテ・パール・アクシオン・サンプリフィエ (21)
【氏名又は名称原語表記】COGNIS FRANCE, S.A.S
【Fターム(参考)】