説明

アニオン性水中水型ポリマー分散液、その製造法及びその使用

本発明は、少なくとも1種の微細に分散された、水溶性及び/又は水膨潤性ポリマーAと、連続水性相とを含むアニオン性水中水型ポリマー分散液の製造方法に関する。この水性相は少なくとも1種のポリマー系分散剤Bの一部量を有し、この水性相中に分散されたモノマーがラジカル重合され、重合が完了した後に、反応混合物を次に分散剤Bの残りの量で希釈する。本発明はまた、本方法にしたがって得られるポリマー分散液、それらの使用、特に製紙工業における使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の微細に分散された、水溶性及び/又は水膨潤性ポリマーAと、少なくも1種のポリマー系分散剤Bを含む連続水相とを含むアニオン性水中水型(water-in-water)ポリマー分散液の製造法、それにより得られる水中水型ポリマー分散液、及び製紙の補助剤としての、並びに/又は固体の沈殿のための凝集剤としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
水溶性ポリマー系凝集剤を用いる場合の基本的な問題の1つは、意図する目的のための凝集剤として使用できるように、このポリマー系凝集剤を水に適度に溶解することについての問題である。
【0003】
したがって、ずっと以前に、水溶性ポリマーは、希釈水溶液として入手可能とされるようになった。1970年代初期には、油中水型エマルションが導入された。油中水型エマルション技術を用いて、水に非常に速く溶解する高分子量ポリマーを調製することが可能であり、その結果、この技術は水溶性ポリマーの生産について大いに受けいれられることがわかった。しかし、この油中水型技術の欠点は、これらのエマルションがオイルの形態のかなりの量の炭化水素系液体を含み、通常使用される水溶性ポリマーが用いられる系中にこれらを含むことは、範囲を制限される唯一の可能性であることだった。
【0004】
水溶性ポリマー系凝集剤のさらなる開発は、水溶性カチオン性ポリマーの分散液の製造法への対策を含んでいた。これらのポリマーは、水性塩又は塩溶液として調製され、その中にはポリマーが不溶である。例えば、米国特許第4929655号明細書及び同5006590に記載された、そのような方法の欠点は、これらの方法が、一定割合の疎水性変性カチオン性モノマーを含むカチオンに帯電した水溶性ポリマーの分散液の調製に、事実上制限されることである。
【0005】
それどころか、これらの方法は、アニオンに帯電した水溶性ポリマーの調製に問題なしに転用することはできず、アニオンに帯電した水溶性ポリマーは凝集剤として、並びに製紙工業における脱水剤及び歩留向上剤として通常使用されている。
【0006】
米国特許第5837776号明細書においては、水溶性アニオン性分散ポリマーの製造法が記載され、それを用いて、2〜5のpHにおいて、飽和塩溶液中で、アニオンに帯電した水溶性ポリマー系安定化剤の存在下における重合によって、水溶性の非イオン性及びアニオンに帯電したビニル及びアリル付加ポリマーの水性分散液が得られた。これらの分散液の塩含有量は、分散液の全重量を基準にして5〜40重量%であり、安定化剤の割合は、分散液の全重量を基準にして0.1〜5重量%である。これらのポリマー系のアニオン帯電安定化剤は100000〜500000の分子量をもち、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(AMPS)のポリマーもしくはコポリマーであることが好ましく、AMPSは少なくとも20モル%の範囲でポリマー中に存在する。
【0007】
米国特許第6265477号明細書は、分散性高分子量水溶性アニオンもしくはノニオン性ポリマーの水性分散液を記載しており、これは、5より大きなpHにおいて、水溶性塩の水溶液中において、アニオンに帯電した水溶性ポリマー系安定化剤の存在下で少なくとも1種のアニオン性及びノニオン性モノマーの重合によって得られ、これは1.25〜20モル%のアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸を含み且つ100000〜500000の分子量をもち、これらの分散液の塩含有量は5〜40重量%である。
【0008】
取り扱いが容易な水中水型分散液を得るために、従来技術におけるカチオン性水中水型ポリマー分散液の調製が繰り返し説明されている。例として、ここでは特許明細書WO98/14405、WO98/31748、WO98/31749、及びEP−A−0630909に注意がよび起こされる。これらの水中水型ポリマー分散液の欠点は、25〜50℃より上で変化をうけ、その変化は水中水型分散液の有利な特性を損ね、例えば脱水時間を長くすることをもたらしうる。それに対し、DE−A−10061483に記載された方法に従って調製された水中水型ポリマー分散液は、極端な条件下、例えば、25〜50℃よりも高い温度で貯蔵した後でさえ、実質的な変化のない実用特性を有する。これらの水中水型ポリマー分散液の調製は、ここでは、水溶性分散剤Bを含む水性相中に分散させたモノマー類をフリーラジカル重合させることによって行われ、好ましい場合は水溶性塩を添加し、水中水型分散液の重合が完了したら、水溶性酸を添加する。この酸は、この場合、0.1〜5重量%の量で添加され、塩の量は最高でも3重量%より多くなく(各場合において全分散液を基準とする)、酸と塩はあわせて、全分散液を基準にして、5重量%以下の量で添加される。
【特許文献1】米国特許第4929655号明細書
【特許文献2】米国特許第5006590号明細書
【特許文献3】米国特許第5837776号明細書
【特許文献4】米国特許第6265477号明細書
【特許文献5】国際公開WO98/14405号パンフレット
【特許文献6】国際公開WO98/31748号パンフレット
【特許文献7】国際公開WO98/31749号パンフレット
【特許文献8】欧州特許出願公開第0630909号公報
【特許文献9】ドイツ国特許出願公開第10061483号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、取り扱いが容易であり、直接計量でき、貯蔵中に安定であり、ミネラルオイルを全く必要とせず、少量のみの塩を含むか又は全く塩を含まず、種々の応用分野で固体/液体分離のため、特に、沈殿、ろ過、及び浮遊のための凝集剤もしくは凝集助剤として、好ましくは製紙工業において有利に使用されうる、安定な高分子量の水中水型ポリマー分散液に対するニーズがなお存在する。
【0010】
したがって、そのような方法を提供することが本発明の目的であり、その方法により、アニオン性水中水型ポリマー分散液が得られ、これは貯蔵後でさえも実質的に変化のない使用特性をもち、さらにアルカリ性媒体中での加水分解に対する充分な安定性を有し、かつ特に製紙工業における種々の歩留まり向上システムに使用しうる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、本発明に従い、少なくとも1種の微細に分散された水溶性及び/又は水膨潤性ポリマーAと、連続水性相とを含む、アニオン性の水中水型ポリマー分散液の製造方法によって達成され、この水性相は一部量(アリコート)の少なくとも1種のポリマー系分散剤Bを含み、本方法ではこの水性相中に分散されたモノマー類をフリーラジカル重合させ、重合の完了後、次に反応混合物を前記分散剤Bの残りの量で希釈する。
【0012】
「アニオン性」水中水型ポリマー分散液とは、本発明の目的のためには、その合計電荷がマイナスである水中水型ポリマー分散液を意味するものとして理解される。
【0013】
本発明の水中水型ポリマー分散液を調製するためには、フリーラジカル重合させるモノマー類(好ましくは水性モノマー溶液として)を、少なくとも1種のポリマー系分散剤Bの一部量を含む水性相中に微細に分散する。
【0014】
本発明によれば、これらのポリマー系分散剤は比較的低分子量であり、250000g/モル以下、特に25000〜250000g/モル、好ましくは50000〜100000g/モル、より好ましくは65000g/モルの平均分子量Mを有し、これらはGPC法によって測定される(プルラン標準品に対して、溶出液として1.5%濃度のギ酸を用いたゲル浸透クロマトグラフィー)。
【0015】
さらに、これらのポリマー系分散剤は、エーテル基、カルボキシル基、スルホン基、硫酸エステル基、アミノ基、アミド基、イミド基、tert-アミノ基、及び/又は第四級アンモニウム基から選択される少なくとも1つの官能基を有する。
【0016】
それらの例としては、セルロース誘導体、ポリビニルアセテート類、デンプン、デンプン誘導体、デキストラン、ポリビニルピロリドン類、ポリビニルピリジン類、ポリエチレンイミン類、ポリアミン類、ポリビニルイミダゾール類、ポリビニルコハク酸イミド類、ポリビニル−2−メチルコハク酸イミド類、ポリビニル−1,3−オキサゾリド−2−オン類、ポリビニル−2−メチルイミダゾリン類、並びに/又は、それらと、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸塩類及び/又は(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリルアミド化合物との各コポリマー類、が挙げられる。
【0017】
好ましくは、用いるポリマー系分散剤Bはアニオン性ポリマーであり、これは少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは100重量%のアニオン性モノマー単位から合成され、アニオン性モノマー単位は例えば以下のアニオン性モノマーに由来する:
・ オレフィン性不飽和カルボン酸及びカルボン酸無水物、特に、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、グルタコン酸、マレイン酸及び無水マレイン酸、フマル酸、並びにそれらの水溶性アルカリ金属塩、それらのアルカリ土類金属塩、及びそれらのアンモニウム塩、
・ オレフィン性不飽和スルホン酸類、特に脂肪族及び/又は芳香族ビニルスルホン酸類、例えば、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリル及びメタクリルスルホン酸、特に、スルホエチルアクリレート、スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルスルホン酸、及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、並びにそれらの水溶性アルカリ金属塩、それらのアルカリ土類金属塩、及びそれらのアンモニウム塩、
・ オレフィン性不飽和ホスホン酸類、特に、例えば、ビニル−及びアリル−ホスホン酸、並びにそれらの水溶性アルカリ金属塩、それらのアルカリ土類金属塩、及びそれらのアンモニウム塩、
・ スルホメチル化及び/又はホスホノメチル化アクリルアミド類、並びにそれらの水溶性アルカリ金属塩、それらのアルカリ土類金属塩、及びそれらのアンモニウム塩。
【0018】
好ましくは、用いるポリマー系分散剤Bは、ポリアクリル酸の水溶性アルカリ金属塩であり、本発明によればポリアクリル酸カリウムが特に好ましい。
【0019】
本発明の方法のためには、ポリマー系分散剤Bの一部のみを最初に用いることが本発明には必要であり、これは分散剤の総量に対して好ましくは60〜95%であり、一方、分散剤Bの残りの量は、重合の完了後に続く希釈と反応混合物の冷却のために添加する。全分散液を基準にして5重量%未満の一部量(アリコート)では、本発明のアニオン性水中水型ポリマー分散液を得るためには不充分である。
【0020】
本発明の方法の1つの態様においては、少なくとも1種の水溶性のポリマー系分散剤Bを、水溶性多官能アルコール及び/又はそれと脂肪アミンとの反応生成物とともに用いる。特に、ポリアルキレングリコール類、好ましくは、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類、プロピレンオキシド/エチレンオキシドのブロックコポリマー類(50〜50000、好ましくは1500〜30000の分子量を有するもの)、低分子量多官能アルコール(例えば、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ペンタエリスリトール、及び/又はソルビトール)が、多官能水溶性アルコールとして使用するのに適しており、及び/又はそれらと、アルキルもしくはアルキレン基中に6〜22の炭素原子を含む脂肪アミンとの反応生成物が適している。
【0021】
上記モノマー類を分散させる水性相(好ましくは、水溶液の形態)は、水溶性ポリマー系分散剤Bの充分な一部量と、もし好適ならば、多官能アルコール及び/又はその反応生成物の一部量とを含む必要があり、それは、反応時に形成されるポリマーAを分散されたままにし、且つポリマー粒子の制御不能な成長及び/又は形成されたポリマー粒子の凝集を防止するためである。
【0022】
好ましくは、ポリマー系分散剤Bと任意選択で存在させてもよいさらなる分散剤成分とは、分散液の総重量に対して5〜50重量%、好ましくは5〜30重量%、より好ましくは5〜15重量%の量で用いる。
【0023】
ポリマー系分散剤Bとともにさらなる水溶性分散剤成分を用いる場合は、ポリマー系分散剤Bとそれら成分との重量比は、1.00:0.01の範囲であるべきである。特に、1.00:0.01〜1.00:0.50、好ましくは1.00:0.01〜1.00:0.30の重量比が維持されるべきである。
【0024】
ポリマー系分散剤Bを含む水性相中に微細且つ均一に分散された形態で存在することが好ましいモノマー類は、アニオン性、ノニオン性、両親媒性及びエチレン性不飽和モノマー類ばかりでなく、カチオン性モノマーも含むことができる。この場合、特に、カチオン性モノマーを用いる場合、その濃度は、本発明の方法によって調製される水中水型ポリマー分散液の総電荷がマイナスになるように選択されるべきである。さらに、ある量の非水溶性モノマーが任意選択により存在する場合は、それらは、重合後に得られるポリマーAの水溶性もしくは水への膨潤性が損なわれないように選択される。
【0025】
例として、本発明に従って使用もしくは選択されるアニオン性モノマーは以下に列挙されるものである:
a)オレフィン性不飽和カルボン酸及びカルボン酸無水物、特に、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、グルタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、及び水溶性のそれらのアルカリ金属塩、それらのアルカリ土類金属塩、それらのアンモニウム塩
b)オレフィン性不飽和スルホン酸類、特に脂肪族及び/又は芳香族ビニルスルホン酸類、例えば、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリル及びメタクリルスルホン酸、特に、スルホエチルアクリレート、スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルスルホン酸、及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、並びにそれらの水溶性アルカリ金属塩、それらのアルカリ土類金属塩、及びそれらのアンモニウム塩
c)オレフィン性不飽和ホスホン酸類、特に、例えば、ビニル−及びアリル−ホスホン酸、並びに水溶性のそれらのアルカリ金属塩、それらのアルカリ土類金属塩、及びそれらのアンモニウム塩
d)スルホメチル化及び/又はホスホノメチル化アクリルアミド類、並びに水溶性のそれらのアルカリ金属塩、それらのアルカリ土類金属塩、及びそれらのアンモニウム塩。
【0026】
好ましくは、オレフィン性不飽和カルボン酸及びカルボン酸無水物、特に、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、グルタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、及び水溶性のそれらのアルカリ金属塩、それらのアルカリ土類金属塩、それらのアンモニウム塩が、アニオン性モノマーとして用いられ、アクリル酸の水溶性アルカリ金属塩、特に、アクリル酸のナトリウム及びカリウム塩及びアクリル酸のアンモニウム塩が、特に好ましい。
【0027】
アニオン性モノマーとしての2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)又は水溶性のそのアルカリ金属塩、そのアルカリ土類金属塩、及びそのアンモニウム塩を用いる場合は、高分子量相、すなわちポリマーA中の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びその塩の量が多いほど、本発明の分散液はよりペースト状になり、2重量%を超えるAMPS量は、高温での貯蔵時に分散液のその後の増粘をもたらしうる。
【0028】
ポリマーAを調製するために用いるノニオン性モノマー類は、例えば、下記一般式(I)の化合物である。
【化1】

式中、
は、水素原子又はメチル基を表し、
及びRは、互いに独立して、水素、又は1〜5の炭素原子のアルキルもしくはヒドロキシアルキル基を表し、
又はRは、OH基を表す。
【0029】
好ましくは、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、又はN,N−置換(メタ)アクリルアミド、例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチル(メタ)アクリルアミド、又はN−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、が用いられる。
【0030】
本発明によれば、有利には、用いられるノニオン性モノマーは、特に、アクリル酸及びメタクリル酸の水溶性もしくは水分散性誘導体、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、及びn−アルキル置換アクリルアミドなどであることができる。本発明によれば、アクリルアミドがノニオン性モノマーとして特に非常に好ましい。
【0031】
用いられる両親媒性モノマーは、下記一般式(II)の化合物又は下記一般式(III)の化合物である。
【化2】

式中、
は、O、NH、NRを表し、Rは1〜4の炭素原子を有するアルキルを表し、
は、水素又はメチル基を表し、
は、1〜6の炭素原子を有するアルキレンを表し、
及びRは、1〜6の炭素原子を有するアルキル基を表し、
は、8〜32の炭素原子を有する、アルキル、アリール、及び/又はアラルキル基を表し、
は、ハロゲン、擬ハロゲン、SOCH、又はアセテートを表す。
【0032】
【化3】

式中、
は、O、NH、NRを表し、Rは1〜4の炭素原子を有するアルキルを表し、
は、水素又はメチル基を表し、
は、水素、8〜32の炭素原子を有するアルキル、アリール、及び/又はアラルキルを表し、
は、2〜6の炭素原子を有するアルキレン基を表し、
nは1〜50の整数を表す。
【0033】
好ましくは、これらは(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコール(10〜40のエチレンオキシド単位)との反応生成物であって、脂肪アルコールでエーテル化されているか又は(メタ)アクリルアミドとの対応する反応生成物である。
【0034】
任意選択により同様にポリマーAを調製するために用いることができる好適なカチオン性モノマー(本発明の方法によって調製される水中水型ポリマー分散液の総電荷がマイナスであるという要件のもとでその使用がなされる)は、下記一般式(IV)の化合物である。
【化4】

式中、
は、水素又はメチル基を表し、
は、O、NH、又はNRを表し、Rは1〜4の炭素原子を有するアルキル基を表し、
Yは下記の基:
【化5】

の1つを表し、
式中、
及びYは、2〜6の炭素原子を有するアルキレン基又はヒドロキシアルキレン基を表し、
、Y、Y、Y、Y、Yは、独立して、1〜6の炭素原子を有するアルキル基を表し、
は、ハロゲン、アセテート、又はSOCHを表す。
【0035】
好ましくは、好適なプロトン化又は四級化ジアルキルアミノアルキルは、アルキルもしくはアルキレン基に1〜3の炭素を含む(メタ)アクリレートもしくはジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドであり、より好ましくは、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、及び/又はジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの、塩化メチルで四級化したアンモニウム塩である。
【0036】
ポリマーAの調製のためには、モノマー組成物が用いられ、これは各場合においてモノマーの総重量を基準にして、0〜100重量%、好ましくは5〜70重量%、より好ましくは5〜40重量%のアニオン性モノマーからなる。非常に好ましくは、ポリマーAの調製は、ノニオン性モノマー混合物を用い、好ましくはアクリルアミドと、アニオン性モノマーの混合物、特にオレフィン性不飽和カルボン酸及びカルボン酸無水物、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、グルタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、及び水溶性のそれらのアルカリ金属塩、それらのアルカリ土類金属塩、それらのアンモニウム塩、とを用いて行い、アクリル酸がアニオン性モノマーとして特に好ましい。
【0037】
アクリル酸と、アルキル(メタ)アクリレート及び/又はアルキル(メタ)アクリルアミドとの混合物もまた好ましい。
【0038】
そのようなモノマー組成物中には、アニオン性モノマーの量が少なくとも5重量%であることが好ましい。
【0039】
モノマー又はそれらの水溶液は、その溶液もしくは得られる全分散液の総量を基準にして5〜30重量%、好ましくは10〜30重量%の量で、少なくとも1種の分散剤Bの一部を含む水相中に分散される。例えば、水性モノマー溶液は、全水性モノマー溶液を基準に5〜60重量%、好ましくは10〜50重量%の濃度を有する。高分子量ポリマーAは、次に、重合によってモノマーから形成される。
【0040】
本発明の方法によって調製されるポリマーAは高分子量であるが、水溶性もしくは水膨潤性ポリマーであり、GPC法で測定して、1.0×10g/molより大きな平均分子量Mを有し、ポリマーAの平均分子量Mは常にポリマー系分散剤Bの分子量よりも大きい。
【0041】
しかし、ポリマー系分散剤B及びポリマーAは、互いに異なり、この違いはそれぞれの物理特性、特にそれらの異なる分子量、及び/又はそれらの化学構造、例えば、異なるモノマー組成物の使用によるものである。
【0042】
本発明によれば、好ましい水中水型ポリマー分散液は、分散剤として、約65000g/モルの分子量(ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定)を有するアクリル酸カリウムもしくはナトリウムを含むか、又は高分子量相すなわちポリマーAのためのモノマー単位として、アクリルアミド(80重量%)、アクリル酸カリウム、アクリル酸アンモニウム、もしくはアクリル酸ナトリウム(20重量%)を用いる。
【0043】
重合は、本発明の方法により、任意に、水溶性塩の存在下で、実施しうる。水溶性塩の添加をする場合は、アンモニウム、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属塩、好ましくはアンモニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及び/又はマグネシウム塩を、特に用いることができる。そのような塩は、無機酸又は有機酸の塩、好ましくは有機カルボン酸、有機スルホン酸、有機リン酸、又は無機酸の塩である。脂肪族もしくは芳香族モノ−、ジ−、又はポリカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、特に酢酸、プロピオン酸、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、及び安息香酸、又は硫酸、塩酸、もしくはリン酸の水溶性塩が好ましい。非常に好ましくは、塩化ナトリウム、硫酸アンモニウム、及び/又は硫酸ナトリウムが、水溶性塩として用いられる。
【0044】
系への塩の添加は、重合の前、重合中、又は重合後に行うことができる。モノマーの重合前に塩を添加することが好ましい。
【0045】
水中水型ポリマー分散液の調製に塩を用いる場合、この塩は、各場合において全分散液を基準にして、最大で3.0重量%以下の量、好ましくは0.5〜2.5重量%の量で、より好ましくは0.75〜2.0重量%の量で添加される。
【0046】
本発明の方法を実施するために、ポリマー系分散剤Bの一部と、任意選択により多官能アルコール、及び/又は脂肪アミンとの対応する反応生成物を水に溶解もしくは希釈し、公知の分散方法、好ましくは撹拌によってモノマーもしくはそれらの水溶液を分散させることによって、連続水性相を調製する。
【0047】
ポリマーAのモノマーは連続水性相中に直接そのままで、又は好ましくは水性モノマー溶液として導入する。
【0048】
モノマー溶液は一般に全溶液を基準にして、5〜80重量%、好ましくは10〜50重量%のモノマーを含み、残りの量は任意にその中に存在する助剤、例えば、キレート剤などを含む水である。重合を開始するために、例えば、フリーラジカル開始剤、いわゆる重合開始剤、を用いる。好ましく用いられるフリーラジカル開始剤は、アゾ化合物、例えば、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−アミノプロパン)ジハイドロクロライド、又は好ましくは過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素であり、もし適切な場合は還元剤、例えば、アミンもしくは亜硫酸ナトリウムと組み合わせる。開始剤の量は、重合するモノマーを基準にして、一般に10−3〜1重量%、好ましくは10−2〜0.1重量%である。開始剤は重合の初めに全てを一度に添加するか、あるいは重合を通じて残存量のその後の計量とともに分割して添加することができる。同様に、モノマー又はモノマー溶液は、全てを一度に分散させるか、又は重合の初めに分散剤Bの一部として分散し、モノマーもしくはモノマー溶液の残りは重合を通じて計量分割して添加するか、又は分散液で連続供給して添加できる。さらに、EP−A−0664302の方法に従って、水中水型分散液の調製を行うことができ、この明細書の関連する開示を本明細書に援用する。基本的に、この方法では、水は重合時に除去され、適切な場合は、ポリマー系分散剤Bを添加する。
【0049】
重合温度は一般に0〜120℃であり、好ましくは30〜90℃である。好ましくは、重合は、系が不活性ガスでフラッシュし、反応混合物を不活性ガスの雰囲気下、例えば窒素の雰囲気下で重合する。重合の転化率又は重合の終了は、残存モノマー量を測定することによる簡単な方法で確かめることができる。これを行う方法は、当業者には公知である。
【0050】
重合に続いて、反応混合物は、本発明によれば、次に残りの量の分散剤Bで希釈する。これは反応混合物を冷却(好ましくは35℃以下)し、それらの合計量を基準にして5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、より好ましくは20〜35重量%の分散剤Bで次に希釈することが有利である。この引き続いての希釈段階は必須であり、さもなければ本発明のアニオン性水中水型ポリマー分散液は得られないからである。
【0051】
本発明に従い又はそれらの調製法に従って得られる水中水型ポリマー分散液は、顆粒としてもしくは液体の油中水型エマルションとして調製された公知のアニオン性高分子量ポリアクリルアミド/ポリアクリレートコポリマーの有利な代替物である。この水中水型ポリマー分散液は非常に濃縮された、ミネラルオイル又は界面活性剤を含まない有効な液状システムであり、これは比較的高い環境温度においてさえ良好な貯蔵安定性を有し、しかも不燃性である。揮発性有機化合物(VOC)を全く含まず、化学的もしくは生物学的酸素要求量は、相当するエマルションと比較して非常に低い。本発明による生成物は水への優れた溶解度をもち、適用において直接計量のために希釈しないのに適している。
【0052】
これらの特性により、そして特に本発明の水中水型ポリマー分散液が取り扱い容易であり、直接計量可能であり、貯蔵安定性良好な分散液であり、ミネラルオイルを必要とせず、ごく少量の塩を含むか又は全く塩を含まないという事実により、それらは固体/液体分離のために、特に水性システムで、多様な応用分野で、有利に用いることができる。
【0053】
例えば、それらは、好ましくは水及びプロセス水精製もしくは廃水精製における、原料、特に石炭、アルミニウム、もしくは石油の回収における沈殿、ろ過、及び浮遊のための凝集助剤用の凝集剤として、又は油含有及び/又は脂質含有水混合物の分離における乳化破壊剤として、さらに好ましくは製紙工業における紙製造、特にカチオン性紙パルプにおける助剤として用いることができる。
【0054】
さらに、この水中水型ポリマー分散液は、例えば、単一成分系システム、可溶性2成分システム、及び微粒子システムなどの形態の歩留向上剤システムに用いることができる。ここで用いるべき上記システムの選択は、様々な因子、例えば、繊維の材料組成及びフィラーのタイプなどに左右されるが、特に、紙パルプ中に存在する望ましくない物質の性質と量とに左右される。
【0055】
最も単純な歩留向上剤システムである単一成分システムにおいては、、カチオン性の紙の懸濁液中での本発明のアニオン性水中水型ポリマー分散液は、懸濁液中のカチオン性固形物の凝集を引き起こす。
【0056】
製紙プラントにおける、ますます増加する古紙のバッチと頻繁に起こる水循環の停止とが、いくつかのケースでは、もはや単一成分システムを用いてはコントロールできない絶えず大きくなる望ましくない物質を生じさせるので、いわゆる可溶性2成分システムとして2種の異なる歩留向上剤を計量導入することが知られている。そのような場合に用いられる第一成分は、低分子量ポリマーであり、さらに次に第二成分である高分子量カチオン性もしくはアニオン性ポリアクリルアミドを用いる。さらに、2種の成分があらかじめ混合されて二元システムを与え、紙パルプに一緒に添加されるシステムがある。
【0057】
有利には、本発明の水中水型ポリマー分散液はそれ自体ばかりでなく、いわゆる二元システム(アニオン性/カチオン性、もしくはカチオン性/アニオン性)もまた、そのような紙パルプに計量導入されうる。この場合に、本発明の水中水型分散液は、この特定の目的のためにカスタマイズされた単一製品として注文されることができ、それによって必要な二元システムを作成するために成分を混合することはもはや必要がない。
【0058】
本発明の水中水型分散液の使用については、微粒子システムは、通常は2成分、すなわち、水溶性カチオン性ポリマーとコロイド状に溶解もしくは懸濁したアニオン性微粒子成分とからなり、後者は大きな比表面領域を有していることを、説明のために指摘しうる。製紙においては、次にカチオン性ポリマーを最初に、例えば、フローボックスポンプの上流もしくは下流、又は垂直スクリーンの上流に速やかに添加する。このことは繊維及びフィラーの表面の部分的被覆を引きおこし、これにより全電荷がなおマイナスであることができる。
【0059】
次に、アニオン性微粒子が添加され、添加部位はフローボックスに可能な限り近くであるべきである。それらは繊維上に堆積されたカチオン性ポリマーと反応し、ある種の架橋を形成する。可逆的形成特性を有する微細で緻密な集合体が得られる。
【0060】
好ましくは、本発明のアニオン性水中水型分散液は、耐湿性/高光沢紙品質、例えば、ラミネート紙、ラベル用紙などの生産のために使用される製紙機械に使用されうるが、またある場合にはティッシュペーパー又は特殊紙(例えば、紙幣)にも使用されうる。有利には、本発明の水中水型分散液は、特に粒状に関し、より良いシート形成を可能にする。さらに、特に製紙工業における上記水中水型ポリマー分散液の使用は、非常に経済的であることが発見されている。したがって、本水中水型ポリマー分散液をラベル用紙の生産における凝集剤として用いた工業的な大規模試験は、60kg/日のアニオン性水中水型分散液の消費を示すこの評価において、ホッパーを通じての8〜10t/日のパルプ損失を、1t未満/日に低下させることができた。
【0061】
さらに、本発明の水中水型分散液は、塗装排水の処理に非常に適しており、あるいは、様々なタイプの紙を生産する多くの製紙機械を含む工場の廃水処理設備において用いることができる。
【0062】
さらに、本発明の水中水型ポリマー分散液はまた、原水精製(地上水)に用いることもできる。
【0063】
[方法]
1.溶液粘度の測定
本発明に従って調製した水中水型分散液の溶液粘度の測定のためには、分散液の5%濃度溶液を調製する。340gの5%濃度溶液が測定のために必要である。このためには、必要量の脱イオン水を400mlビーカーに入れる。次に、入れた水をペンシル型撹拌機で、コーンが形成されて、これがビーカーの底まで届くほど激しく撹拌する。5%濃度溶液の調製に必要な量の水中水型分散液を、使い捨てシリンジを用いて、撹拌されている水に一度に注入する。この溶液を次に1時間、300rpm(±10rpm)で撹拌する。10分間の静置時間後、RVT−DVIIブルックフィールド粘度計により、スピンドル2を使用してスピード10でブルックフィールド粘度を測定する。
【0064】
2.塩粘度の測定
完全に脱塩した水289gを400mlビーカー中に秤量する。次に、入れた水をペンシル型撹拌機で、コーンが形成されて、これがビーカーの底まで届くほど激しく撹拌する。本発明に従って調製した水中水型分散液17gを、使い捨てシリンジを用いて、撹拌されている水に一度に注入する。水中水型分散液が溶けた後、34gの塩化ナトリウム(工業グレード)をばらまき入れる。300rpm(±10rpm)で16分間撹拌した後、溶液をさらに10分間静置させる。次に、ブルックフィールド粘度計RVT−DVIIにより、スピンドル1を使用してスピード10でブルックフィールド粘度を測定する。
【0065】
[実施例]
本発明を説明することのみを目的とする以下の例において、溶液粘度又は塩粘度、凝集値及び脱水作用は、上述した方法によって測定した。「溶液」の用語は、常に水溶液を意味するものとして理解されるべきである。
【0066】
(一般手順)
ジエチレントリアミンペンタ酢酸5ナトリウム(40%濃度)0.5g、分散剤(37%強度)210.0g、及び、適当な場合は硫酸アンモニウムを、25%濃度のアンモニア水を用いて(もしくは適切な場合は50%濃度の硫酸を用いて)pHを調整した後、アクリルアミド(50%濃度)272.0gとアクリル酸27.4gの水溶液に添加する。この混合物を撹拌装置(KPGスターラー)を備えた2リットルフラスコに添加し、40℃の温度に加熱する。窒素を吹き込むことにより酸素を除去した後、91ppmのアゾ開始剤(10%濃度溶液として)と73ppmの酸化剤(4%濃度溶液として)を添加する。反応して最高温度Tmaxに到達したときに、さらに364ppmのアゾ開始剤を添加し、次に混合物をこの温度で15分間反応させる。室温に冷却後、混合物を続いて100gのポリアクリル酸カリウム(37%濃度)で希釈する。
【0067】
分散液のポリマー含有量(全分散液を基準にして15.5%の分散相と10.4%の分散剤)を、塩濃度及び分散剤の量などとは独立に、適当な場合は水の量を調節することによって一定に保つ。
【0068】
全てのパーセントデータは、全分散液を基準にした重量%である。
【0069】
室温での貯蔵後の生成物粘度2は、1日後に測定する。
【0070】
5日後、w/w分散液の条件は、40℃で貯蔵後に評価する。反応時の増粘がスターラー及び装置にとって困難になった試験は、時期を早めて終了した。
【0071】
【表1】

【0072】
[結果]
塩濃度の増加はプラスの効果を有しない。約0.9〜1.5%の塩濃度において、室温でのその後の増粘挙動(△)が最低であり、これは全体で比較的低い生成物粘度である。生成物はまた、高温で貯蔵安定である。
【0073】
【表2】

【0074】
[結果]
重合は6〜7のpH領域で行うべきである。
【0075】
【表3】

【0076】
[結果]
たとえ重合後に続けて希釈されるとしても、重合前の添加物としての5重量%未満の分散剤の量は充分ではない。引き続いての希釈(分散剤の量の分割)は必須である。
【0077】
【表4】

【0078】
[結果]
分散剤Bについての最適分子量は、約75000g/モル以下である。
【0079】
【表5】

【0080】
[結果]
全てのカウンターイオン(対イオン)は、ポリマーAに使用されうる。
【0081】
【表6】

【0082】
[結果]
30℃未満で、引き続いての希釈を行うことが特に有利である。
【0083】
【表7】

【0084】
[結果]
残存モノマー量は、分散液の引き続いての処理によって、明らかに低減される。
【0085】
【表8】

【0086】
[結果]
高分子量相中のAMPS Naの割合が高いほど、分散液はよりペースト状になる。2重量%より多いAMPS量は、より高温での貯蔵において、続いて増粘することをもたらす。
【0087】
【表9】

【0088】
[結果]
分散剤Bについては、Kイオンがカウンターイオン(対イオン)として最も適している。
【0089】
表10:(EP0664302Biと同様な)調製時とそれに続く分散剤Bでの希釈時の生成物濃度
実施例61〜63は実施例3のように調製した;しかし、増粘点に達した後、250mbarの真空を適用し、70℃の温度で水を留去する(表10参照)。本反応装置を次に標準圧力に戻し、分散剤Bを対応するように置き換える。室温に冷却した後、混合物を通常通り処理する。
実施例62のポリマー含量(全分散液を基準にして、15.5%の分散相かつ12.1%の分散剤)
実施例63のポリマー含量(全分散液を基準にして、15.5%の分散相かつ13.8%の分散剤)
【表10】

【0090】
[結果]
蒸留によって水を除去し、それを分散剤Bで置換することが有利である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の微細に分散された水溶性及び/又は水膨潤性ポリマーAと、連続水性相とを含む、アニオン性の水中水型ポリマー分散液の製造方法であって、
前記水性相は少なくとも1種のポリマー系分散剤Bの一部量を含み、前記水性相中でこの水性相中に分散されたモノマー類をフリーラジカル重合させ、前記重合の完了後、次に反応混合物が前記分散剤Bの残りの量で希釈される、製造方法。
【請求項2】
前記ポリマー系分散剤Bが、エーテル基、カルボキシル基、スルホン基、硫酸エステル基、アミノ基、アミド基、イミド基、tert-アミノ基、及び/又は第四級アンモニウム基から選択される少なくとも1つの官能基を有することを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項3】
前記ポリマー系分散剤Bが、セルロース誘導体、ポリビニルアセテート類、デンプン、デンプン誘導体、デキストラン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリエチレンイミン、ポリアミン、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルコハク酸イミド、ポリビニル−2−メチルコハク酸イミド、ポリビニル−1,3−オキサゾリド−2−オン、ポリビニル−2−メチルイミダゾリン、並びに/又は、それらと、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、(メタ)アクリル酸、同塩類及び/又は(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリルアミド化合物との各コポリマー類であることを特徴とする、請求項3記載の方法。
【請求項4】
前記分散剤Bが、少なくとも30重量%のアニオン性モノマーから構成されるアニオン性ポリマーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記分散剤Bが、250000g/モル以下の平均分子量Mを有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記の水性相中の前記分散剤Bの一部量が、前記分散剤Bの総重量の60〜95%に等しいことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1種の水溶性ポリマー系分散剤Bが、少なくとも1種の水溶性多官能アルコール及び/又はそれと脂肪アミン類との反応生成物とともに用いられることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
用いられる前記水溶性多官能アルコールが、ポリアルキレングリコール類、50〜50000の分子量を有するプロピレンオキシド/エチレンオキシドのブロックコポリマー類、低分子量多官能アルコール類、及び/又はそれらとアルキルもしくはアルキレン基中に6〜22の炭素原子を含む脂肪アミンとの反応生成物であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリマー系分散剤Bが、全分散液を基準にして5〜50重量%の少なくとも1種の多官能アルコールとともに用いられることを特徴とする、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマー系分散剤Bと前記多官能アルコールとの重量比が、1.00:0.01〜1.00:0.5の範囲であることを特徴とする、請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ポリマーAが、アニオン性、ノニオン性、両親媒性、及び/又はカチオン性モノマー類から構成されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
用いる前記アニオン性モノマーが
a)オレフィン性不飽和カルボン酸、カルボン酸無水物、並びにそれらの水溶性アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及びアンモニウム塩、
b)オレフィン性不飽和スルホン酸類、並びに/又はそれらの水溶性アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及びアンモニウム塩、
c)オレフィン性不飽和ホスホン酸類、並びに/又はそれらの水溶性アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及びアンモニウム塩、
d)スルホメチル化及び/又はホスホノメチル化アクリルアミド類、及び/又はそれらの水溶性アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及びアンモニウム塩であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
用いる前記ノニオン性モノマーが、下記一般式(I)のモノマーであることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【化1】

式中、
は、水素原子又はメチル基を表し、
及びRは、互いに独立して、水素、又は1〜5の炭素原子を有するアルキルもしくはヒドロキシアルキル基を表し、
又はRは、OH基を表す。
【請求項13】
用いられる両親媒性モノマーが、下記一般式(II):
【化2】

(式中、
は、O、NH、NRを表し、Rは1〜4の炭素原子を有するアルキルを表し、
は、水素又はメチル基を表し、
は、1〜6の炭素原子を有するアルキレンを表し、
及びRは、独立して、1〜6の炭素原子を有するアルキル基を表し、
は、8〜32の炭素原子を有する、アルキル、アリール、及び/又はアラルキル基を表し、
は、ハロゲン、擬ハロゲン、SOCH、又はアセテートを表す。)
のモノマーであるか、又は下記一般式(III):
【化3】

(式中、
は、O、NH、NRを表し、Rは1〜4の炭素原子を有するアルキルを表し、
は、水素又はメチル基を表し、
は、水素、8〜32の炭素原子を有するアルキル、アリール、及び/又はアラルキル基を表し、
は、2〜6の炭素原子を有するアルキレン基を表し、
nは1〜50の整数を表す。)
のモノマーであることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項14】
用いられる前記カチオン性モノマーが、下記一般式(IV):
【化4】

[式中、
は、水素又はメチル基を表し、
は、O、NH、又はNRを表し、Rは1〜4の炭素原子を有するアルキル基を表し、
Yは下記の基:
【化5】

(式中、
及びYは、2〜6の炭素原子を有するアルキレン基又はヒドロキシアルキレン基を表し、
、Y、Y、Y、Y、Yは、独立して、1〜6の炭素原子を有するアルキル基を表し、
は、ハロゲン、アセテート、又はSOCHを表す。)
の1つを表す。]
の化合物であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項15】
前記ポリマーAの製造に用いるモノマー組成が、モノマーの総重量を基準にして0〜100重量%の範囲のアニオン性モノマーからなることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ポリマーAが1.0×10g/molより大きな平均分子量Mを有することを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
全分散液を基準にして3.0重量%以下の量の塩の存在下で重合が行われることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記反応混合物が重合に続いて冷却され、次に前記分散剤Bの残りの量で希釈されることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記反応混合物が35℃以下に冷却されることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記反応混合物が、次に前記反応混合物の総重量を基準にして5〜50重量%の前記分散剤Bで希釈されることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれかの一以上の請求項に記載された方法により得られる水中水型ポリマー分散液。
【請求項22】
水性システム中での固体/液体分離のための、請求項21に記載の水中水型ポリマー分散液の使用。
【請求項23】
製紙における助剤としての、請求項21に記載の水中水型ポリマー分散液の使用。
【請求項24】
製紙における歩留向上剤としての、請求項21に記載の水中水型ポリマー分散液の使用。

【公表番号】特表2007−529581(P2007−529581A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503235(P2007−503235)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【国際出願番号】PCT/EP2005/002358
【国際公開番号】WO2005/092954
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(505301103)アシュランド・ライセンシング・アンド・インテレクチュアル・プロパティー・エルエルシー (40)
【Fターム(参考)】