説明

アミドメチル置換オキシインドール誘導体およびバソプレッシン依存性疾患の治療へのこれらの使用

本発明は、式(I)


の新規アミドメチル置換オキシインドール誘導体、これらを含有する医薬およびバソプレッシン依存性疾患の治療へのこれらの使用に関する。式(I)において、Rは水素、メトキシまたはエトキシであり;Rは水素またはメトキシであり;Rは水素、メチル、エチル、n−プロピルまたはイソプロピルであり;並びにXおよびXは、XおよびXが両者とも同時にNであることはないという条件で、NまたはCHである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規置換オキシインドール誘導体、これらを含む医薬組成物、およびバソプレッシン依存性障害の治療へのこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
バソプレッシンは器官および組織に対して様々な効果を発揮する内因性ホルモンである。バソプレッシン系が、例えば、心不全および高血圧のような様々な病理学的状態に関与すると推測される。現時点で、バソプレッシンがこの多くの効果を仲介する3つの受容体(V1a、V1bまたはV3およびV2)が公知である。従って、これらの受容体のアンタゴニストが疾患を治療する可能性のある新規治療アプローチとして研究され続けている(M.Thibonnier,Exp.Opin.Invest.Drugs 1998,7(5),729−740)。
【0003】
フェニルスルホニル基を1位に有する新規置換オキシインドールが本明細書で説明される。1−フェニルスルホニル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オンはバソプレッシン受容体のリガンドして従来説明されている。WO 93/15051、WO 95/18105、WO 98/25901、WO 01/55130、WO 01/55134、WO 01/164668およびWO 01/98295もアリールスルホニル基をオキシインドール構造の1位に有する誘導体を記載する。これらの化合物は、本質的に、3位の置換基によって本発明の化合物とは異なる。
【0004】
このように、WO 93/15051およびWO 98/25901は、オキシインドール構造が一緒にシクロアルキルラジカルを形成していてもよい(スピロ結合)2つのアルキルラジカルによって3位で置換される、1−フェニルスルホニル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オンをバソプレッシン受容体のリガンドとして記載する。代替として、スピロ環は酸素および窒素(場合により置換基を有する。)のようなヘテロ原子を含むことができる。
【0005】
WO 95/18105は、3位に窒素原子を有する1−フェニルスルホニル−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オンをバソプレッシン受容体のリガンドとして記載する。加えて、場合により置換されるアルキル、シクロアルキル、フェニルまたはベンジルラジカルから選択されるラジカルが3位に結合する。
【0006】
WO 03/008407は、ピリジルピペラジンがオキシカルボニル基を介してオキシインドールに3位で結合する、1−フェニルスルホニルオキシインドールを記載する。
【0007】
WO 2006/005609は、1−(2,4−ジメトキシフェニルスルホニル)−3−(2−エトキシフェニル)−2−オキソ−3−{2−オキソ−2−[4−(4−プロピルピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボニトリル(実施例194)のような、4−(4−プロピルピペラジン−1−イル)ピペリジン残基が2−オキソエチル基を介してオキシインドールに3位で結合する1−フェニルスルホニルオキシインドールを記載する。
【0008】
バソプレッシンV1b受容体に対する結合親和性の他に、以下のようなさらなる特性がバソプレッシン依存性障害の治療および/または予防に有利であり得る:
1.)バソプレッシンV1a受容体と比較したバソプレッシンV1b受容体に対する選択性、即ち、V1a受容体に対する結合親和性(Ki(V1a)(単位「ナノモル濃度(nM)」で定量される。)およびV1b受容体に対する結合親和性(Ki(V1b))(単位「ナノモル濃度(nM)」で定量される。)の割合。より大きな割合Ki(V1a)/Ki(V1b)はより高いV1b選択性を意味する;
2.)バソプレッシンV2受容体と比較したバソプレッシンV1b受容体に対する選択性、即ち、V2受容体に対する結合親和性(Ki(V2)(単位「ナノモル濃度」(nM))で定量される。)およびV1b受容体に対する結合親和性(Ki(V1b))(単位「ナノモル濃度(nM)」で定量される。)の割合。より大きな割合Ki(V2)/Ki(V1b)はより高いV1b選択性を意味する;
3.)オキシトシンOT受容体と比較したバソプレッシンV1b受容体に対する選択性、即ち、OT受容体に対する結合親和性(Ki(OT)(単位「ナノモル濃度(nM)」で定量される。)およびV1b受容体に対する結合親和性(Ki(V1b))(単位「ナノモル濃度(nM)」で定量される。)の比率。比率Ki(OT)/Ki(V1b)が大きいほど大きいV1b選択性を意味する;
4.)例えば、様々な種(例えば、ラットまたはヒト)からの肝ミクロソームにおいてイン・ビトロで測定される半減期から判定される、代謝安定性;
5.)シトクロムP450(CYP)酵素の阻害なしまたはほんの少しの阻害:シトクロムP450(CYP)は酵素活性(オキシダーゼ)を有するヘムタンパク質のスーパーファミリーの名称である。これらは哺乳動物における薬物または生体異物のような外来物質の分解(代謝)にとって特に重要でもある。人体におけるCYPのタイプおよびサブタイプを代表する主なものは以下の通りである:CYP 1A2、CYP 2C9、CYP 2D6およびCYP 3A4。CYP 3A4阻害剤(例えば、グレープフルーツジュース、シメチジン、エリスロマイシン)が、この酵素系によって分解され、従って、酵素上の同じ結合部位について競合する医用物質と同時に用いられる場合、これらの分解は減速されることがあり、従って、投与される医用物質の作用および副作用が望ましくなく増進され得る;
6.)適切な水中での溶解度(mg/ml);
7.)適切な薬物動態(血漿または脳のような組織内における本発明の化合物の濃度の時間経過)。薬物動態は以下のパラメータによって記述することができる:半減期、分布容積(kg−1)、血漿クリアランス(I・h−1・kg−1)、AUC(曲線下面積、濃度−時間曲線下の面積(ng・h・I−1)、経口バイオアベイラビリティ(経口投与後のAUCおよび静脈内投与後のAUCの用量標準化比)、いわゆる脳−血漿比(脳組織内のAUCおよび血漿中のAUCの比);
8.)hERGチャンネルの遮断なしまたはほんの少しの遮断:hERGチャンネルを遮断する化合物はQT間隔の長期化を生じ、従って、深刻な不整脈(disturbances of cardiac rhythm)(例えば、いわゆる「トルサード・ド・ポワンツ(torsade de pointes)」)につながり得る。hERGチャンネルを遮断する化合物の潜在能力は、文献(G.J.Diaz et al.,Journal of Pharmacological and Toxicological Methods,50(2004),187−199)に記述される、放射性標識ドフェチリドでの置換アッセイによって判定することができる。このドフェチリドアッセイにおけるより小さいIC50が小さいほど強力なhERG遮断の確立が高いことを意味する。加えて、hERGチャンネルの遮断は、hERGチャンネルがトランスフェクトされている細胞に対する電気生理学的実験、いわゆる、全細胞パッチクランプ法によって測定することができる(G.J.Diaz et al.,Journal of Pharmacological and Toxicological Methods,50(2004),187−199)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第93/15051号
【特許文献2】国際公開第95/18105号
【特許文献3】国際公開第98/25901号
【特許文献4】国際公開第01/55130号
【特許文献5】国際公開第01/55134号
【特許文献6】国際公開第01/164668号
【特許文献7】国際公開第01/98295号
【特許文献8】国際公開第03/008407号
【特許文献9】国際公開第2006/005609号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】M.Thibonnier,Exp.Opin.Invest.Drugs 1998,7(5),729−740
【非特許文献2】G.J.Diaz et al.,Journal of Pharmacological and Toxicological Methods,50(2004),187−199
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の目的は、様々なバソプレッシン依存性疾患を治療または予防するための化合物を提供することであった。これらの化合物は高い活性および選択性、特に、バソプレッシンV1b受容体に対する高い親和性および選択性を有することが意図された。加えて、本発明の物質は、上述の利点1.)から8.)のうちの1以上を有することが意図された。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は式Iの化合物
【0013】
【化1】

(式中、
は水素、メトキシまたはエトキシであり;
は水素またはメトキシであり;
は水素、メチル、エチル、n−プロピルまたはイソプロピルであり;
およびXは、XおよびXが同時にはNではないという条件で、NまたはCHである。)
並びにこれらの医薬的に許容される塩およびプロドラッグによって達成される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
従って、本発明は式Iの化合物(以下、同様に「化合物I」)並びに化合物Iの医薬的に許容される塩および化合物Iのプロドラッグに関する。
【0015】
生理学的に寛容される塩とも呼ばれる、式Iの化合物の医薬的に許容される塩は、通常、本発明の化合物Iの(即ち、構造式Iによる化合物Iの)遊離塩基を適切な酸と反応させることによって得ることができる。適切な酸の例は「Fortschritte der Arzneimittelforschung」,1966,Birkhauser Verlag,vol.10,pp.224−285に列挙される。これらには、例えば、塩酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、リン酸、メタンスルホン酸、酢酸、ギ酸、マレイン酸およびフマル酸が含まれる。
【0016】
「プロドラッグ」という用語はイン・ビボで本発明の化合物Iに代謝される化合物を意味する。プロドラッグの典型例はC.G.Wermeth(editor):The Practice of Medicinal Chemistry,Academic Press,San Diego,1996,pages 671−715に記述される。これらには、例えば、ホスフェート、カルバメート、アミノ酸、エステル、アミド、ペプチド、尿素などが含まれる。本発明の場合において適切なプロドラッグは、例えば、外側ピペリジン/ピペラジン環の外側窒素原子が、この窒素原子がC−C−アルキルカルボニル基によって、例えば、アセチル、プロピオニル、n−プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、n−ブチルカルボニルもしくはtert−ブチルカルボニル(ピバロイル)によって、ベンゾイルによって、またはCOを介して結合するアミノ酸残基、例えば、COを介して結合するグリシン、アラニン、セリン、フェニルアラニンなどによって置換されていることにより、ラジカルRの位置でアミド/ペプチド結合を形成する化合物Iであり得る。さらなる適切なプロドラッグは、外側ピペリジン/ピペラジン環の外側窒素原子が、ラジカルRの位置で、式−C(=O)−O−CHR−O−C(=O)−Rの基(式中、RおよびRは互いに独立にC−C−アルキルである。)を有する、アルキルカルボニルオキシアルキルカルバメートである。このようなカルバメートは、例えば、J.Alexander,R.Cargill,S.R.Michelson,H.Schwam,J.Medicinal Chem.1988,31(2),318−322に記載される。その後、これらの基を代謝条件下で除去し、RがHである化合物Iを生じさせることができる。
【0017】
−C−アルキルは、本発明の脈絡においては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチルまたはtert−ブチルのような、1から4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキルラジカルである。
【0018】
−C−アルコキシは、本発明の脈絡においては、酸素原子を介して結合し、1から3個の炭素原子を有する、直鎖または分岐鎖アルキルラジカルである。例はメトキシ、エトキシ、n−プロポキシおよびイソプロポキシである。
【0019】
式Iの本発明の化合物、これらの医薬的に許容される塩およびこれらのプロドラッグは溶媒和物または水和物の形態で存在することもできる。溶媒和物は、本発明の脈絡においては、結晶格子に取り込まれた溶媒分子を含む、化合物Iまたはこれらの医薬的に許容される塩もしくはこれらのプロドラッグの結晶形態を意味する。溶媒分子は、好ましくは、化学量論比で取り込まれる。水和物は溶媒和物の特定の形態である;この場合の溶媒は水である。
【0020】
以下でなされる、本発明の適切で好ましい特徴に関する、特に、化合物IにおけるラジカルR、R、R、XおよびXに関するが本発明の方法および本発明による使用の特徴にも関する記述は、これら自体および、好ましくは、互いのあらゆる可能な組み合わせの両者に対して適用される。
【0021】
化合物Iは、好ましくは、遊離塩基の(即ち、構造式Iによる)形態またはこれらの酸付加塩の形態で提供される。
【0022】
好ましい実施形態において、Rは水素またはメトキシである。
【0023】
さらに好ましい実施形態において、Rは水素、メチルまたはエチルである。
【0024】
さらに好ましい実施形態において、変数X、Xのうちの一方はNであり、他方はCHである。
【0025】
これに関して特に好ましい実施形態においては、XはNであり、XはCHである。
【0026】
代わりの特に好ましい実施形態において、XはCHであり、XはNである。
【0027】
本発明は、好ましくは、
が水素またはメトキシであり;
が水素またはメトキシであり;
が水素、メチル、エチル、n−プロピルまたはイソプロピル、好ましくは、水素、メチルあまたはエチルであり;
がNまたはCHであり;
がNまたはCHであり;
ここで、XおよびXは同時にはNではない;
である式Iの化合物並びにこれらの医薬的に許容される塩およびプロドラッグに関する。特定の実施形態において、変数XおよびXは同時にはCHではなく、即ち、好ましくは、変数XまたはXのうちの一方がNであり、他方がCHである。
【0028】
本発明は、特に好ましくは、
が水素またはメトキシであり;
が水素またはメトキシであり;
が水素、メチルまたはエチルであり;
がNであり;
がCHである;
式Iの化合物並びにこれらの医薬的に許容される塩およびプロドラッグに関する。
【0029】
これらのうち、
がメトキシであり;
がメトキシであり;
がメチルであり;
がNであり;および
がCHである;
化合物I並びに
がメトキシであり;
がメトキシであり;
がエチルであり;
がNであり;および
がCHである;
化合物Iが好ましく、前者の化合物がより好ましい。
【0030】
その代わりに、本発明は、特に好ましくは、
が水素またはメトキシであり;
が水素またはメトキシであり;
が水素、メチルまたはエチルであり;
がCHであり;
がNである;
式Iの化合物並びにこれらの医薬的に許容される塩およびプロドラッグに関する。
【0031】
これらのうち、
がメトキシであり;
がメトキシであり;
がメチルであり;
がCHであり;および
がNである;
化合物I並びに
がメトキシであり;
がメトキシであり;
がエチルであり;
がCHであり;および
がNである;
化合物Iが好ましく、前者の化合物がより好ましい。
【0032】
本発明は、さらに特に好ましくは、
が水素またはメトキシであり;
が水素またはメトキシであり;
が水素、メチルまたはエチルであり;
がCHであり;
がCHである;
式Iの化合物並びにこれらの医薬的に許容される塩およびプロドラッグに関する。
【0033】
これらのうち、
がメトキシであり;
がメトキシであり;
がメチルであり;
がCHであり;および
がCHである;
化合物I並びに
がメトキシであり;
がメトキシであり;
がエチルであり;
がCHであり;および
がCHである;
化合物Iが好ましく、前者の化合物がより好ましい。
【0034】
本発明の好ましい実施形態の例は,ラジカルX、X、R、RおよびRが,各々の場合において、下記表1の各行に挙げられる意味を担う、式Iの化合物並びにこれらの医薬的に許容される塩およびプロドラッグである。
【0035】
【表1】



本発明の化合物Iは2−オキシインドール環の3位にキラリティの中心を有する。従って、本発明の化合物は、鏡像異性体の1:1混合物(ラセミ化合物)、または、直線偏光の振動面を左に回転させる(即ち、マイナス回転)鏡像異性体(以下、(−)鏡像異性体)もしくは直線偏光の振動面を右に回転させる(即ち、プラス回転)鏡像異性体(以下、(+)鏡像異性体)のいずれかである、2種類の鏡像異性体のうちの一方に富む鏡像異性体の非ラセミ混合物、または実質的にエナンチオ純粋な化合物、即ち、実質的にエナンチオ純粋な(−)鏡像異性体もしくは(+)鏡像異性体の形態にあり得る。本発明の化合物は1つの非対称中心を有し、キラリティの軸/面を有していないため、非ラセミ混合物は、RまたはS鏡像異性体のいずれかが優位を占める鏡像異性体の混合物と定義することもできる。従って、実質的にエナンチオ純粋な化合物は実質的にエナンチオ純粋なR鏡像異性体または実質的にエナンチオ純粋なS鏡像異性体と定義することもできる。
【0036】
「実質的にエナンチオ純粋な化合物」は、本発明の脈絡において、少なくとも80%ee、好ましくは少なくとも85%ee、より好ましくは少なくとも90%ee、さらにより好ましくは少なくとも95%ee、特に少なくとも98%eeの鏡像体過剰率(ee;%ee=(R−S)/(R+S)×100または(S−R)/(S+R)×100)を有する化合物を意味する。
【0037】
本発明の一実施形態において、本発明の化合物は実質的にエナンチオ純粋な化合物の形態にある。特に好ましい化合物は、少なくとも85%ee、より好ましくは少なくとも90%ee、さらにより好ましくは少なくとも95%ee、特に少なくとも98%eeの鏡像体過剰率を有する。
【0038】
従って、本発明は、純粋鏡像異性体および、一方の鏡像異性体が豊富な形態で存在する混合物のような、これらの混合物の両者に関するが、ラセミ化合物にも関する。本発明は、化合物Iの純粋鏡像異性体の医薬的に許容される塩およびプロドラッグ、並びに化合物Iの医薬的に許容される塩およびプロドラッグの形態にある鏡像異性体の混合物にも関する。
【0039】
本発明の好ましい実施形態は、これらが光学的に活性の形態にあり、式Iの関連化合物の鏡像異性体が偏光の振動面を左に回転させる(即ち、マイナス回転)ものであることを特徴とする、遊離塩基またはこれらの医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの形態にある、上で定義される式Iの化合物である。化合物Iの左旋性またはマイナス回転を有する鏡像異性体は、以下、(−)鏡像異性体とも呼ぶ。
【0040】
対応する(−)鏡像異性体が50%eeを上回る、特に好ましくは少なくとも80%ee、より好ましくは少なくとも90%ee、さらにより好ましくは少なくとも95%ee、特に少なくとも98%eeの光学純度(鏡像体過剰率、ee)で存在する、上で定義される一般式Iの化合物、医薬的に許容される塩およびこれらのプロドラッグが特に好ましい。
【0041】
本発明の同様に好ましい実施形態は、これらが光学的に不活性な形態、即ち、ラセミ化合物の形態またはラセミ化合物の医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの形態にあることを特徴とする、上で定義される一般式Iの化合物である。
【0042】
偏光の回転の方向に関して本発明の脈絡においてなされる記述は、好ましくは、溶媒としてのクロロホルム中、またはクロロホルム含有溶媒混合液中、特に、クロロホルム中において決定される記号[(+)または(−)]に関する。
【0043】
特に好ましい化合物Iの例は、化合物番号I−1、I−1A、I−1B、I−2、I−2A、I−2B、I−4、I−4A、I−4B、I−5、I−5A、I−5B、I−7、I−7A、I−7B、I−8、I−8A、I−8B、I−10、I−10A、I−10B、I−11、I−11A、I−11B、I−31、I−31A、I−31B、I−32、I−32A、I−32B、I−34、I−34A、I−34B、I−35、I−35A、I−35B、I−37、I−37A、I−37B、I−38、I−38A、I−38B、I−40、I−40A、I−40B、I−41、I−41A、I−41B、I−61、I−61AおよびI−61Bで下記表2に列挙される化合物並びにこれらの医薬的に許容される塩およびプロドラッグである。これに関して、番号によってのみ示される例はそれぞれの化合物のラセミ化合物に相当し、文字「A」が付く例(1A、2A、...)は右旋性(+)鏡像異性体に相当し、および文字「B」が付く例(1B、2B、...)はそれぞれの化合物1、2、...の左旋性(−)鏡像異性体に相当する。
【0044】
【表2】




これらのうち、ラセミ化合物(即ち、化合物1、2、...)並びにこれらの生理学的に寛容される塩およびこれらのプロドラッグが特に好ましい。(−)鏡像異性体(即ち、化合物1B、2B、...)並びにこれらの生理学的に寛容される塩およびこれらのプロドラッグも特に好ましい。前記化合物は、特に、これらの遊離塩基の形態またはこれらの酸付加塩の形態で提供される。
【0045】
本発明のオキシインドール誘導体を調製するための合成経路の例を以下で説明する。
【0046】
本発明のオキシインドールは様々な方法で調製することができ、この調製は合成スキームに概述される。この合成スキームにおける変数は式Iと同じ意味を有する。
【0047】
3−ヒドロキシ−1,3−ジヒドロインドール−2−オンIVは金属化複素環IIIをイサチンIIの3−ケト基に付加することによって得ることができる。例えば対応するグリニヤール(Mg)または有機リチウム(organyllithium)化合物のような金属化複素環は、あらゆる従来の方法で、ハロゲンまたは炭化水素化合物から得ることができる。方法の例はHouben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie,vol.13,1−2,chapter on Mg and Li compounds並びにWO 2005/030755およびWO 2006/2006005609に存在する。イサチンIIは商業的に入手可能であるか、または文献(Advances in Heterocyclic Chemistry,A.R.Katritzky and A.J.Boulton,Academic Press,New York,1975,18,2−58;J.Brazil.Chem.Soc.12,273−324,2001)に記載される方法と同様に調製することができる。
【0048】
例えば5位にインドールを6員芳香族におけるラジカルRとして含有する3−ヒドロキシオキシインドールIVは、KCNまたはZn(CN)をPd(0)触媒と共に用いて、ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフランのような溶媒中、適切であるならば、KCOまたは他のカーボネートもしくはアミンのような塩基を添加して、高温で、類似シアン含有3−ヒドロキシインドールIVに変換することができる。トリス(オルト−トリル)ホスフィンのようなホスフィンを添加することによってPdClまたはPdOAcからその場で調製される遷移金属錯体のようなPd(0)塩として得ることも可能である。例えば触媒テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)のような市販のパラジウム錯体および/またはホスフィン配位子の添加を同様に用いることができる。5−ヨード置換オキシインドールのシアン化の例はWO 2005/030755およびWO 2006/005609に見出される。
【0049】
3−ヒドロキシオキシインドールIVは、脱離基LGを3位に有する化合物Vに変換することができ、ここで脱離基LGは、例えばハライド、メシレートまたはトシレートのような、従来の脱離基であり得る。例えばLG=塩素を有するこの中間体Vは、例えばピリジンのような塩基の存在下、アルコールIVを塩化チオニルで処理することによって調製することができる。
【0050】
酢酸基の導入はWO 2006/005609に記述されるように4段階系列(1.IV中の脱離基LGのマロン酸ジメチルのナトリウム塩による置換、2.第1エスエル基の加水分解、3.熱脱カルボキシル化、4.第2エステル基の加水分解)で行うことができる。
【0051】
アミン側鎖Xは、例えばEDC(塩酸N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド)およびHOBT(1−ヒドロキシベンゾ−トリアゾール)のようなペプチド化学において公知の標準カップリング試薬を用いて、例えばN,N−ジメチルホルムアミドのような溶媒中で、カルボン酸VIIIにカップリングさせることができる。アミンXは購入するか、または文献から公知の方法によって調製することができる。R=Hである本発明の化合物は適切なBoc−保護アミンX(R=Boc)を用いることによって調製することができる。Boc保護基は,スルホニル化の後、例えば、ジクロロメタン中でトリフルオロ酢酸を用いて処理することにより除去することができる。
【0052】
スルホニル化を、例えば水素化ナトリウムまたはカリウムtert−ブトキシドのような強塩基を用いるカップリング生成物IXの脱プロトン化および、それに続く、例えばDMFのような溶媒中での塩化スルホニルXIでの処理によって行い、本発明の化合物Iを導くことができる。用いられる塩化スルホニルXIは購入するか、または公知法と同様に調製することができる(例えば、J.Med.Chem.40,1149(1997)を参照)。
【0053】
合成スキーム
【0054】
【化2】


=メチル、エチル、n−プロピルまたはイソプロピルである本発明の化合物のさらなる調製の可能性は、例えば水素化シアノホウ素ナトリウムまたは水素化アセトキシホウ素ナトリウムのような還元剤の存在下、還元アミノ化の様式での、アルデヒドまたはケトンとの二級ピペリジンまたはピペラジン化合物I(R=H)の反応である(J.March,Advanced Organic Chemistry,1992,4th edition,Wiley,New York,pages 411;898)。
【0055】
本発明のさらなる態様は、上記で詳述される一般式Iの少なくとも1種類の、化合物および/またはこれらの医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグ並びに医薬的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。適切な担体は、とりわけ、組成物の投薬形態に依存し、原則的に当業者に公知である。一部の適切な担体が以下で説明される。
【0056】
本発明のさらなる態様は、バソプレッシン依存性疾患の治療および/または予防のための医薬品を製造するための式Iの化合物および/またはこれらの医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用に関する。
【0057】
バソプレッシン依存性疾患は、疾患の進行が少なくとも部分的にバソプレッシンに依存するもの、即ち、病理学的状態に直接、または間接的に、寄与し得るバソプレッシン濃度の上昇を示す疾患である。換言すると、バソプレッシン依存性疾患は、例えばバソプレッシン受容体リガンド(アゴニスト、アンタゴニスト、部分的アンタゴニスト/アゴニスト、逆アゴニストなど)の投与により、バソプレッシン受容体を調節することによって影響を受け得るものである。
【0058】
好ましい実施形態において、本発明は、糖尿病、インシュリン耐性、夜尿症、失禁および凝血の機能障害が生じる疾患から選択される疾患を治療もしくは予防するための、並びに/または排尿を遅延させるための、医薬品を製造するための式Iの本発明の化合物または医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用に関する。「糖尿病」という用語は糖尿病のすべてのタイプ、特に、真性糖尿病(I型および、特に、II型を含む。)、腎性糖尿病および、特に、尿崩症を意味する。糖尿病のタイプは、好ましくは、II型の真性糖尿病(インシュリン耐性を伴う)または尿崩症である。
【0059】
さらなる好ましい実施形態において、本発明は、高血圧、肺高血圧、心不全、心筋梗塞、冠攣縮、不安定狭心症、PTCA(経皮的冠動脈形成術)、心臓の虚血、腎臓系の機能障害、浮腫、腎血管攣縮、腎皮質の壊死、低ナトリウム血症、低カリウム血症、シュワルツ・バーター(Schwartz−Bartter)症候群、胃腸管の機能障害、胃血管攣縮、肝硬変、胃および腸潰瘍、嘔吐、化学療法の最中に生じる嘔吐並びに乗り物酔いから選択される疾患を治療および/または予防するための医薬品を製造するための式Iの本発明の化合物またはこれらの医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用に関する。
【0060】
式Iの本発明の化合物またはこれらの医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグまたは本発明の医薬組成物は、中枢神経に原因があるか、またはHPA系(視床下部・下垂体・副腎皮質系)に変化がある様々なバソプレッシン依存性愁訴の治療、例えば、うつ障害および双極性障害のような情動障害にも用いることができる。これらには、例えば、気分変調性障害、恐怖症、外傷後ストレス障害、一般的な不安障害、パニック障害、季節性情動障害および睡眠障害が含まれる。
【0061】
式Iの本発明の化合物およびこれらの医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグまたは本発明の医薬組成物は、例えば全般性不安障害、恐怖症、外傷後不安障害、パニック不安障害、強迫性不安障害、急性ストレス依存性不安障害および社会恐怖のような不安障害およびストレス依存性不安障害の治療に同様に用いることができる。
【0062】
本発明の化合物は、さらに、記憶障害、アルツハイマー病、精神病、精神病性障害、睡眠障害および/またはクッシング症候群並びにすべてのストレス依存性疾患の治療に用いることもできる。
【0063】
従って、本発明のさらに好ましい実施形態は、情動性障害を治療するための医薬品を製造するための式Iの本発明の化合物またはこれらの医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用に関する。
【0064】
さらなる好ましい実施形態において、本発明は、不安障害および/またはストレス依存性不安障害を治療するための医薬品を製造するための式Iの本発明の化合物またはこれらの医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用に関する。
【0065】
さらなる好ましい実施形態において、本発明は、記憶障害および/またはアルツハイマー病を治療するための医薬品を製造するための式Iの本発明の化合物またはこれらの医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用に関する。
【0066】
さらなる好ましい実施形態において、本発明は、精神病および/または精神障害を治療するための医薬品を製造するための式Iの本発明の化合物またはこれらの医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用に関する。
【0067】
さらなる好ましい実施形態において、本発明は、クッシング症候群または他のストレス依存性疾患を治療するための医薬品を製造するための式Iの本発明の化合物またはこれらの医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用に関する。
【0068】
さらなる好ましい実施形態において、本発明は、睡眠障害を治療するための医薬品を製造するための式Iの本発明の化合物またはこれらの医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用に関する。
【0069】
さらなる好ましい実施形態において、本発明は、うつ障害を治療するための医薬品を製造するための式Iの本発明の化合物またはこれらの医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用に関する。うつ障害の特定の形態はいわゆる幼児期発症気分障害、即ち、これらの発症が幼児期にある憂鬱気分である。
【0070】
さらなる好ましい実施形態において、本発明は、血管運動症状および/または、例えばほてり症状のような、体温調節機能障害を治療するための医薬品を製造するための式Iの本発明の化合物またはこれらの医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用に関する。
【0071】
さらなる好ましい実施形態において、本発明は、薬物もしくは医薬依存および/または他の因子が介在する依存症を治療および/または予防するための、依存を仲介する1以上の因子の禁断症状によって生じるストレスを治療および/または予防するための、並びに/または薬物もしくは医薬依存および/または他の因子が介在する依存症へのストレス誘導の再発を治療および/または予防するための医薬品を製造するための式Iの本発明の化合物またはこれらの医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用に関する。
【0072】
さらなる好ましい実施形態において、本発明は、精神分裂病および/または精神病を治療および/または予防するための医薬品を製造するための式Iの本発明の化合物またはこれらの医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用に関する。
【0073】
本発明のさらなる態様は、バソプレッシン依存性疾患を治療および/または予防するための方法であって、少なくとも1種類の式Iの本発明の化合物または少なくとも1種類のこれらの医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグまたは本発明の医薬組成物の有効量を患者に投与する方法に関する。
【0074】
バソプレッシン依存性疾患の定義に関しては上の記述を参照のこと。
【0075】
本発明の好ましい実施形態において、本発明の方法は、糖尿病、インシュリン耐性、夜尿症、失禁および凝血の機能障害が生じる疾患から選択される障害の治療および/もしくは予防並びに/または排尿の遅延に役立つ。糖尿病の定義に関しては上の記述を参照のこと。
【0076】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の方法は、高血圧、肺高血圧、心不全、心筋梗塞、冠攣縮、不安定狭心症、PTCA(経皮的冠動脈形成術)、心臓の虚血、腎臓系の機能障害、浮腫、腎血管攣縮、腎皮質の壊死、低ナトリウム血症、低カリウム血症、シュワルツ・バーター症候群、胃腸管の機能障害、胃血管攣縮、肝硬変、胃および腸潰瘍、嘔吐、化学療法の最中に生じる嘔吐並びに乗り物酔いから選択される障害の治療および/または予防に役立つ。
【0077】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の方法は情動性障害の治療および/または予防に役立つ。
【0078】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の方法は不安障害および/またはストレス依存性不安障害の治療および/または予防に役立つ。
【0079】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の方法は記憶障害および/またはアルツハイマー病の治療および/または予防に役立つ。
【0080】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の方法は精神病および/または精神病性障害の治療および/または予防に役立つ。
【0081】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の方法はクッシング症候群の治療および/または予防に役立つ。
【0082】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の方法は患者における睡眠障害の治療および/または予防に役立つ。
【0083】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の方法はうつ障害の治療および/または予防に役立つ。うつ障害の場合、幼児期発症気分障害、即ち、これらの発症が幼児期にある憂鬱気分を具体的に挙げることもできる。
【0084】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の方法は血管運動症状および/または、例えばほてり症状のような、体温調節機能障害の治療および/または予防に役立つ。
【0085】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の方法は薬物もしくは医薬依存および/または他の因子が介在する依存症の治療および/または予防、依存を仲介する1以上の因子の禁断症状によって生じるストレスの治療および/または予防、並びに/または薬物もしくは医薬依存および/または他の因子が介在する依存症へのストレス誘導の再発の治療および/または予防に役立つ。
【0086】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の方法は精神分裂病および/または精神病の治療およびまたは予防に役立つ。
【0087】
本発明の方法で予防的に、または治療的に、処置しようとする患者は、好ましくは、例えばヒトもしくは非ヒト哺乳動物または非ヒトトランスジェニック哺乳動物のような、哺乳動物である。具体的にはヒトである。
【0088】
上で詳述される一般式Iの化合物、これらの医薬的に許容される塩およびプロドラッグは、本発明の技術的教示の知識を有する熟練研究者が、これ自体公知のプロセス工程を実施し、および/または同様に実施することで調製することができる。
【0089】
化合物Iまたはこれらのプロドラッグおよび/もしくはこれらの医薬的に許容される塩は、密接に関連するバソプレッシン/オキシトシン受容体サブタイプ(例えば、バソプレッシンV1a、バソプレッシンV2および/またはオキシトシン)の少なくとも1つに対する、バソプレッシンV1b受容体サブタイプへの選択性を有することによって区別される。
【0090】
その代わりに、または好ましくはそれに加えて、化合物Iまたはこれらのプロドラッグおよび/もしくはこれらの医薬的に許容される塩は改善された代謝安定性を有することによって区別される。
【0091】
化合物の代謝安定性は、例えば、この化合物の溶液を特定の種(例えば、ラット、イヌまたはヒト)からの肝ミクロソームと共にインキュベートし、これらの条件下での化合物の半減期を決定することによって測定することができる(RS Obach,Curr Opin Drug Discov Devel.2001,4,36−44)。これに関しては、観察されたより長い半減期から、化合物の代謝安定性が改善されているものと結論付けることができる。ヒト肝ミクロソームの存在下における安定性は、これがヒト肝臓における化合物の代謝分解を予測することを可能にするため、特に興味深いものである。従って、(肝ミクロソーム試験における測定で)代謝安定性が増加している化合物は,おそらくは、肝臓においてもよりゆっくりと分解する。肝臓におけるより遅い代謝分解は体内における化合物のより高い、および/またはより長期間持続する濃度(活性レベル)につながる可能性があり、本発明の化合物の排除半減期が増加する。活性レベルの増加および/またはより長期間の持続は、様々なバソプレッシン依存性疾患の治療または予防における化合物のより良好な活性につながり得る。加えて、改善された代謝安定性は、腸内での吸収後に化合物が肝臓において受ける代謝分解(いわゆる初回通過効果)がより少ないため、経口投与後のバイオアベイラビリティの増加につながり得る。経口バイオアベイラビリティの増加は、化合物の濃度(活性レベル)の増加のため、経口投与後の化合物のより高い活性につながり得る。
【0092】
本発明の化合物は様々な経路による投与の後に有効である。可能性のある例は、静脈内、筋肉内、皮下、局所、気管内、鼻内、経皮、膣、直腸、舌下、頬または経口投与であり、投与は、頻繁には、静脈内、筋肉内または、特に、経口である。
【0093】
本発明は、本発明の化合物I、これらの医薬的に許容される塩またはプロドラッグの有効用量および適切な医薬担体(薬物担体)を含む医薬組成物にも関する。
【0094】
これらの薬物担体は医薬形態および望ましい投与方式に従って選択され、原則として熟練研究者に公知である。
【0095】
式Iの本発明の化合物または、場合により、これらの化合物の適切な塩を、経口、舌下、頬、皮下、筋肉内、静脈内、局所、気管内、鼻内、経皮、膣または直腸投与用の医薬組成物の製造に用いることができ、上記障害または疾患の予防または治療のため、従来の医薬担体と混合した均一投与形態で動物またはヒトに投与することができる。
【0096】
適切な投与形態(投薬単位)には、錠剤、ゼラチンカプセル、粉末、顆粒および経口摂取用の溶液もしくは懸濁液のような経口投与用の形態、舌下、頬、気管内または鼻内投与用の形態、エアロゾル、インプラント、皮下、筋肉内または静脈内投与の形態並びに直腸投与の形態が含まれる。
【0097】
本発明の化合物は局所投与用のクリーム、軟膏またはローションで用いることができる。
【0098】
望ましい予防または治療効果を達成するため、活性成分の用量は、体重kgあたり、および1日あたり、0.01から50mgで変化し得る。
【0099】
各々の単位用量は、活性成分0.05から5000mg、好ましくは、1から1000mgを医薬担体との組み合わせで含むことができる。この単位用量は、0.5から25000mg、好ましくは、1から5000mgの1日用量が投与されるように、1日に1から5回投与することができる。
【0100】
固体組成物が錠剤の形態で調製される場合、活性成分をゼラチン、デンプン、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、二酸化ケイ素などのような固体医薬担体と混合する。
【0101】
錠剤は、活性の持続または遅延を示し、および活性成分の予め決定された量を連続的に放出するため、スクロース、セルロース誘導体もしくは他の適切な物質でコートすることができ、または他の方法で処理することができる。
【0102】
ゼラチンカプセルの形態にある調製品は、活性成分を増量剤と混合し、得られた混合物をソフトまたはハードゼラチンカプセル内に含めることによって得られる。
【0103】
シロップもしくはエリキシルの形態にある調製品または液滴の形態で投与するための調製品は、活性成分を、好ましくはカロリーゼロの、甘味料、防腐剤としてのメチルパラベンまたはプロピルパラベン、香味料および適切な着色性物質と共に含有することができる。
【0104】
水分散性粉末または顆粒は、ポリビニルピロリドンのような分散剤、湿潤剤または懸濁剤および甘味料またはマスキング香味料と混合された活性成分を含むことができる。
【0105】
直腸または膣投与は、カカオ脂またはポリエチレングリコールのような直腸温度で溶融する結合剤で調製される座剤を用いることによって達成される。非経口投与は、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールのような医薬的に許容される分散剤および/または湿潤剤を含む、水性懸濁液、等張生理食塩水または無菌および注射用溶液を用いることによって達成される。
【0106】
活性成分は、適切であるならば、1種類以上の担体または添加物と共に、マイクロカプセルまたは中心体として配合することができる。
【0107】
本発明の組成物は、本発明の化合物に加えて、上に示される障害または疾患の治療に有益であり得る他の活性成分を含むことができる。
【0108】
従って、本発明は、さらに、複数の活性成分が共に存在する医薬組成物であって、これらのうちの少なくとも1つが本発明の化合物I、これらの塩またはプロドラッグである医薬組成物に関する。
【0109】
本発明を例として以下でより詳細に説明するが、これらの例は制限的と理解されるべきではない。
【0110】
本発明の化合物は様々な合成経路によって調製することができる。言及され、従って、合成スキームにおいて説明された方法を、示される例を用いて、この合成経路または類似法に排他的に制限されることなしに、単に例としてより詳細に説明する。
【0111】
実験の項
用いられる略語:
THF:テトラヒドロフラン
DMSO:ジメチルスルホキシド
TFA:トリフルオロ酢酸
p:偽(例えば、pt 偽三重項)
b:ブロード(例えば、bs ブロード一重項)
s:一重項
d:二重項
t:三重項
m:多重項
dd:二重項の二重項
dt:三重項の二重項
tt:三重項の三重項
【0112】
I.出発化合物Xの調製
a)1−エチル−4−ピペリジン−4−イル−ピペラジン
a.1 tert−ブチル4−(4−エチルピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート
N−エチルピペラジン29.2g(256mmol)をtert−ブチル4−オキソピペリジン−1−カルボキシレート(1−Boc−4−ピペリドンに相当)50.0g(256mmol)と共に、氷で冷却しながら、エタノール800mlに導入した。氷酢酸15.4g(256mmol)を添加した。次に、水素化アセトキシホウ素ナトリウム16.1g(256mmol)をこの冷却反応混合物に少しずつ添加した。最初に僅かな気体形成が観察され、還元剤の2/3の添加の後、泡形成が観察された。この反応混合物を室温で一晩撹拌した。冷却しながら2N水酸化ナトリウム溶液200mlを添加し、溶媒エタノールを留去し、残りの反応混合物を水で希釈することによって反応溶液を後処理した。これをジエチルエーテル(2×)で抽出して飽和塩化ナトリウム溶液(1×)で洗浄し、合わせた有機相を硫酸マグネシウムで脱水させて濾過し、溶媒を真空中で除去した。粗製表題化合物が黄色油として得られ、次にこれを、ジクロロメタンおよび10%メタノールを溶離液として用いて、シリカゲルを充填した4 l吸引ロート(suction funnel)でクロマトグラフィー処理した。合計で、tert−ブチル4−(4−エチルピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート40g(135mmol、53%)が得られた。
【0113】
a.2 塩化物塩としての1−エチル−4−ピペリジン−4−イルピペラジン
例a.1からのtert−ブチル4−(4−エチルピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート40g(135mmol)をメタノール200mlおよびジクロロメタン1.8 lに導入し、イソプロパノール中の5から6M HCl溶液100mlを添加することによって保護基を除去した。懸濁液が生じ、僅かな気体放出も観察することができた。この反応混合物を40℃(水浴温度)で1時間撹拌し,次いで室温で48時間撹拌した。脱保護を完了させるため、イソプロパノール中の5から6M HCl溶液50mlを再度添加し、反応混合物を40℃で撹拌した。ジクロロメタンをロータリーエバポレーターで留去した。メタノール200mlおよびイソプロパノール中の5から6M HCl溶液30mlを再度添加した。この反応混合物を還流下で1時間撹拌したところ、その間に気体の強い放出を伴う白色懸濁液が形成された。その後、流動性懸濁液が生じ、これを室温に冷却した。沈殿を吸引で濾別し、メタノールおよびジエチルエーテルで洗浄した。乾燥後、1−エチル−4−ピペリジン−4−イルピペラジン36g(117mmol、87%)が塩化物塩として単離された。
H−NMR(DO,400MHz)δ[ppm]=3.74−3.47(m,11H)、3.28(q,2H,J=7.3Hz)、3.06(dt,2H,J=2.2Hz,J=13.2Hz)、2.38(m,2H,J=13.6Hz)、1.89(dq,2H,J=4.1Hz,J=13.3Hz)、1.30(t,3H,J=7.3Hz)。
【0114】
II.式Iのラセミ化合物の調製
(実施例1)
(±)−1−フェニルスルホニル−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−3−{2−[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル}−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボニトリル、トリフルオロ酢酸塩(化合物I−34)
1.1 3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−3−ヒドロキシ−5−ヨード−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン
水素化ナトリウム3.22g(80.50mmol、60%w/w)を、撹拌し、氷浴で冷却して温度を0から10℃に保持しながら、無水テトラヒドロフラン(THF)400ml中の5−ヨードイサチン20.86g(76.40mmol)に少しずつ添加した。この懸濁液を、氷浴で冷却しながら、1時間撹拌した。
【0115】
ピリジングリニヤールを調製するため、2−エトキシ−3−ヨードピリジン20g(80.30mmol)を室温で無水THF400mlに溶解した。臭化エチルマグネシウム95.6ml(THF中の1M溶液、95.60mmol)を、22から15℃の温度で冷却しながら、5から10分以内でこの溶液に添加した。この溶液を20分間撹拌したところ、その間に無色から淡黄色がかった色になった。
【0116】
次に、ピリジングリニヤールの溶液を、5から18℃の温度、5から10分以内で、5−ヨードイサチンナトリウム塩の氷浴で冷却した溶液に添加した。ピリジングリニヤールの添加が完了した後、氷浴を取り除いた。反応混合物を室温で2時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム溶液過剰、次いで酢酸エチルを添加した。この混合物をさらに5分間撹拌した。水相を分離し、酢酸エチル(2×)で抽出した。合わせた有機相を水(2×)で洗浄し、溶媒を真空中で除去した。この最中、未反応5−ヨードイサチンが依然として希薄な溶液から最初に沈殿し、これを分離した。さらなる濃縮の後、最後に、表題の化合物も結晶化した。この懸濁液を冷蔵庫内、5℃で,2時間保存した。次に、沈殿した淡黄色固体を濾別し、少量の酢酸エチルで洗浄した。40℃で乾燥させた後、表題の化合物(17.1g、43.16mmol、57%)が得られた。
【0117】
ESI−MS[M+H]=397 C1513INの算出値=396.19
【0118】
1.2 5−シアノ−3−ヒドロキシ−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−1,3−ジヒドロインドール−2−オン
3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−3−ヒドロキシ−5−ヨード−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン7.1g(17.92mmol)を、無水THF 100ml中、窒素雰囲気下、室温で撹拌した。シアン化亜鉛2.1g(17.92mmol)、次いで触媒テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.51g(0.45mmol)を添加した。この反応混合物を100℃の温度の予備加熱油浴に直ちに入れた。混合物を100℃(油浴温度)で撹拌し、30分後、触媒をさらに0.51g(0.45mmol)添加した。混合物を合計で2時間撹拌した。この反応混合物を室温に冷却し、水過剰を添加した。次にこれを酢酸エチル(3×)で抽出し、合わせた有機相を水で3回洗浄した。真空中で乾燥するまで溶媒を蒸発させ、残滓を酢酸エチル小体積でスラリー化した。淡黄色固体を濾別して酢酸エチルで洗浄し、真空乾燥オーブン内で乾燥させた。表題の化合物3.7g(12.44mmol、69.4%)が得られた。
【0119】
ESI−MS[M+H]=296 C1613の算出値=295.30
【0120】
1.3 3−クロロ−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−2−オキソインドリン−5−カルボニトリル
ピリジン2.30ml(28.45mmol)を、無水ジクロロメタン(モレキュラーシーブで乾燥)60ml中の実施例1.2からの5−シアノ−3−ヒドロキシ−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−1,3−ジヒドロインドール−2−オン6.00g(20.32mmol)の懸濁液に窒素の下で添加した。この反応混合物を0℃に冷却した後、未希釈の塩化チオニル2.06ml(28.45mmol)を滴下により(発熱反応)添加した後、反応混合物を室温で1時間撹拌した。黄色懸濁液が形成された。反応の進行は薄層クロマトグラフィー(TLC)(シリカゲル、95:5の比のジクロロメタン/メタノール)によって追跡した。この反応混合物を氷水に慎重に注ぎ入れた。15分間撹拌した後、有機相を分離した。水相をジクロロメタン(2×)で抽出した。すべての有機相を合わせ、硫酸マグネシウムで脱水させて濾過し、溶媒を真空中で除去した。表題の化合物5.70g(18.17mmol、89%)が非晶質固体として得られ、これをさらに精製することなしに次段階において用いた。
【0121】
1.4 ジメチル[5−シアノ−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−3−イル]−マロネート
マロン酸ジメチル5.68ml(49.75mmol)を、ジメチルホルムアミド100ml中の水素化ナトリウム1.808g(45.23mmol、60%w/w)の10℃に冷却した懸濁液に滴下により徐々に添加した。次に、この反応混合物を室温で30分間撹拌した後、実施例1.3からの3−クロロ−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−2−オキソインドリン−5−カルボニトリル4.73g(15.08mmol)を未希釈で少しずつ添加した。反応溶液は色が暗赤色になり、これを室温でさらに15分間撹拌した。反応の進行は薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、ヘプタン/酢酸エチル 1:1)によってチェックした。冷1N HClに撹拌投入し、ジクロロメタンを添加することによって混合物を後処理した。相を分離し、水相をジクロロメタン(1×)で抽出した。合わせた有機相を、最初に水(1×)、次いで飽和塩化ナトリウム溶液(1×)で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水させて濾過し、溶媒を真空中で除去した。この残滓を少量のジクロロメタンに再度部分的に溶解し、ペンタンを添加した。幾つかの結晶画分が得られた。表題の化合物合計6.48g(15.83mmol、100%)が黄色固体として得られ、これは僅かに不純であるだけであった。
【0122】
ESI−MS[M+H]=410 C2119の算出値=409.40
【0123】
1.5 メチル[5−シアノ−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−3−イル]アセテート
2N水酸化ナトリウム溶液60mlをエタノール6ml中の実施例1.4からのジメチル[5−シアノ−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−3−イル]マロネート6.48g(15.83mmol)の溶液に添加し、この混合物を室温で1時間撹拌した。TLCチェック(シリカゲル、ヘプタン/酢酸エチル 1:1)によっては前駆体はもはや検出できなかった。反応混合物を氷冷1N塩酸に撹拌投入し、ジクロロメタンを添加した。相を分離し、水相をジクロロメタンで1回抽出した。合わせた有機相を最初に水(1×)で、次に飽和塩化ナトリウム溶液(1×)で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水させて濾過し、溶媒を真空中で除去した。生じる黄色がかった固体(5.46g)を真空乾燥オーブン内、40℃で乾燥させた。
【0124】
得られる黄色がかった固体(5.46g)を、一首フラスコ内、窒素層の下で150℃に加熱した。この最中、COガスが放出され、メチル[5−シアノ−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−3−イル]アセテートが形成された。反応混合物を室温に冷却し、この物質をメタノールと混合した。形成された結晶を冷蔵庫内、5℃で一晩保存した。固体を吸引で濾別し、少量のメタノールで洗浄した。表題の化合物2.2g(5.95mmol、38%、純度95%)がベージュ色の固体として得られた。
【0125】
ESI−MS[M+H]=352 C1917の算出値=351.37
【0126】
1.6 [5−シアノ−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−3−イル]酢酸
最初に水15ml、次いで2N水酸化ナトリウム溶液9mlを、エタノール6ml中の実施例1.5からのメチル5−シアノ−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−3−イル]アセテート1.557g(4.43mmol)の溶液に添加した。この反応混合物を室温で5時間撹拌した。TLCチェック(シリカゲル、ジクロロメタン/メタノール 9:1)によると、反応は完了まで進行していた。後処理のため、1N塩酸で反応混合物をpH5に調整した後、ロータリーエバポレーターで濃縮した。この残滓をトルエンに取り、乾燥するまで再度濃縮した。生じるベージュ色の固体を真空乾燥オーブン内、40℃で乾燥させた。表題の化合物2.70g(4.43mmol、NaCl塩含有率55%、理論収率99%)が得られた。
【0127】
ES1−MS[M+H]=338 C1815の算出値=337.34
【0128】
1.7 3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−3−{2−[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル}−2−オキソインドリン−5−カルボニトリル
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール200mg(1.48mmol)および塩酸N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド284mg(1.48mmol)を、ジメチルホルムアミド10ml中の実施例1.6からの[5−シアノ−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−3−イル]酢酸907mg(1.48mmol)の溶液に添加した。この混合物を15分間撹拌した後、1−メチル−4−ピペリジン−4−イルピペラジン285mg(1.56mmol)およびトリエチルアミン1.03ml(7.41mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。TLC(シリカゲル、ジクロロメタン/メタノール 15:5)によって反応をチェックした。この反応混合物を水と混合し、酢酸エチルで希釈した。相を分離し、水相を酢酸エチル(1×)で抽出した。合わせた有機相を水(1×)および飽和塩化ナトリウム溶液(1×)で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水させて濾過し、溶媒を真空中で蒸発させた。生じる残滓を、ジクロロメタン/メタノール(10から70%)を溶離液として用いる調製用MPLC(ISCO Companion、12g NPカートリッジ)によって精製した。表題の化合物497mg(0.99mmol、66%)が無色固体として得られた。
【0129】
ESl−MS[M+H]=503 C2834の算出値=502.62
【0130】
1.8 1−フェニルスルホニル−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−3−{2−[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル}−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボニトリル、トリフルオロ酢酸塩
水酸化ナトリウム6.6mg(0.19mmol)および、10分後に、塩化フェニルスルホニル24L(0.19mmol)を、ジメチルホルムアミド2ml中の実施例1.7からの3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−3−{2−[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル}−2−オキソインドリン−5−カルボニトリル80.0mg(0.16mmol)の0℃に冷却した溶液に添加した。この反応混合物を室温まで暖め、30分間撹拌した。反応の進行は薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/メタノール 1:1)によって追跡した。飽和重炭酸ナトリウム溶液および酢酸エチルを反応混合物に添加した。その後、2つの相を分離し、水相を酢酸エチル(1×)でさらに1回抽出した。合わせた有機相を水(1×)および飽和塩化ナトリウム溶液(1×)で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水させて濾過し、溶媒を真空中で蒸発させた。この残滓を調製用HPLC(RP、溶離液アセトニトリル/水 0.01%TFA)によって精製した。表題の化合物54.4mg(0.08mmol、51%、純度95%)が無色固体として得られた。
【0131】
ESI−MS[M+H]=643 C3438ClNSの算出値=642.78
【0132】
実施例2から9による式Iの化合物は、適切な出発化合物を用いて、実施例1を調製するための方法と同様に調製することができる。
【0133】
本発明の化合物Iは、例えば、結晶化、従来の順相カラムクロマトグラフィー(例えば、NP SiOカートリッジ、Chromabondおよび溶離液としてのジクロロメタン/メタノール)および/または調製用HPLC(RP、溶離液アセトニトリル/水、0.1%TFAまたは0.1%酢酸)によって精製することができる。その際、化合物Iはトリフルオロ酢酸塩または酢酸塩として得られる。
【0134】
(実施例2)
(±)−1−(2,4−ジメトキシフェニルスルホニル)−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−3−{2−[4−(4−エチルピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル}−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボニトリル、トリフルオロ酢酸塩(化合物I−37)
ESI−MS[M+H]=717 C3744ClNSの算出値=716.86
【0135】
(実施例3)
(±)−1−フェニルスルホニル−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−3−{2−[4−(4−エチルピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル}−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボニトリル、トリフルオロ酢酸塩(化合物I−40)
ESI−MS[M+H]=657 C3540ClNSの算出値=656.81
【0136】
(実施例4)
(±)−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−3−{2−[4−(4−エチルピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル}−1−(2−メトキシフェニルスルホニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボニトリル、トリフルオロ酢酸塩(化合物I−38)
ESI−MS[M+H]=687 C3642ClNSの算出値=686.84
【0137】
(実施例5)
(±)−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−1−(2−メトキシフェニルスルホニル)−3−{2−[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル}−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボニトリル、トリフルオロ酢酸(化合物I−32)
ESI−MS[M+H]=673 C3540ClNSの算出値=672.81
【0138】
(実施例6)
(±)−1−(2,4−ジメトキシフェニルスルホニル)−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−3−{2−[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル}−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボニトリル、トリフルオロ酢酸塩(化合物1−31)
ESI−MS[M+H]=703 C3642Sの算出値=702.84
【0139】
(実施例7)
(±)−1−フェニルスルホニル−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−3−{2−[4−(1−メチルピペリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]−2−オキソエチル}−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボニトリル、トリフルオロ酢酸塩(化合物I−4)
ESI−MS[M+H]=643 C3438ClNSの算出値=642.78
【0140】
(実施例8)
(±)−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−1−(2−メトキシフェニルスルホニル)−3−{2−[4−(1−メチルピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−2−オキソエチル}−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボニトリル、トリフルオロ酢酸塩(化合物I−2)
ESI−MS[M+H]=673 C3540ClNSの算出値=672.81
【0141】
(実施例9)
(±)−1−(2,4−ジメトキシフェニルスルホニル)−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−3−{2−[4−(1−メチルピペリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]−2−オキソエチル}−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボニトリル、トリフルオロ酢酸塩(化合物I−1)
ESI−MS[M+H]=703 C3642ClNSの算出値=702.84
【0142】
III.一般式Iのキラル化合物の調製
式Iのラセミ化合物は,例えば、調製用キラルカラムでの分離によって分解することができる。
【0143】
(実施例2Aおよび実施例2B)
(±)−1−(2,4−ジメトキシフェニルスルホニル)−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−3−{2−[4−(4−エチルピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル}−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボニトリル、トリフルオロ酢酸塩(化合物I−37)のラセミ分解
実施例2からの(±)−1−(2,4−ジメトキシフェニルスルホニル)−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−3−{2−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル}−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボニトリル、トリフルオロ酢酸塩219mgを、n−ヘプタン/エタノール(7:3)を溶離液として用いて、調製用キラルカラム(Chiralcell OD、流速55ml/分)で分離した。最初に溶出し、正の回転を有する鏡像異性体(実施例2A)41mgおよび後に溶出し、負の回転を有する鏡像異性体(実施例2B)25mgが得られた。
【0144】
(実施例2A)
(+)−(2,4−ジメトキシフェニルスルホニル)−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−3−{2−[4−(4−エチルピペラジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル}−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボニトリル(化合物I−37A)
ESI−MS[M+H]=717
HPLC(Chiralcel OD 0.46cm×25cm;n−ヘプタン/エタノール 7:3) R=11.1分
[α]20=+13(c0.1、CHCl
H−NMR([d]−DMSO,500MHz)δ[ppm]=8.10(1H)、7.95(2H)、7.85(1H)、7.80(1H)、7.60(1H)、7.00(1H)、6.65(2H)、4.10(2H)、3.80−4.05(6H)、3.60(3H)、3.15−3.30(1H)、2.90(1H)、2.25−2.45(11H)、1.70(1H)、1.55(1H)、1.25(2H)、1.00−1.10(3H)、0.98(3H)、0.80(1H)。
【0145】
(実施例2B)
(−)−(2,4−ジメトキシフェニルスルホニル)−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−3−{2−[4−(4−エチルピペラジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル}−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボニトリル(化合物I−37B)
ES1−MS[M+H]=717
HPLC(Chiralcel OD 0.46cm×25cm;n−ヘプタン/エタノール 7:3) R=15.9分
[α]20=−14(c0.1、CHCl
H−NMR([d]−DMSO,500MHz)δ[ppm]=8.10(1H)、7.95(2H)、7.85(1H)、7.80(1H)、7.60(1H)、7.00(1H)、6.65(2H)、4.10(2H)、3.80−4.05(6H)、3.60(3H)、3.15−3.30(1H)、2.90(1H)、2.25−2.45(11H)、1.70(1H)、1.55(1H)、1.25(2H)、1.00−1.10(3H)、0.98(3H)、0.80(1H)。
【0146】
(実施例6Aおよび実施例6B)
1−{2,4−ジメトキシフェニルスルホニル)−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−3−{2−[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル}−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボニトリル、トリフルオロ酢酸塩(化合物I−31)のラセミ分解
実施例6からの(±)−1−(2,4−ジメトキシフェニルスルホニル)−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−3−{2−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル}−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボニトリル、トリフルオロ酢酸塩200mgを、n−ヘプタン/エタノール(7:3)を溶離液として用いて、調製用キラルカラム(Chiralcell OD、流速55ml/分)で分離した。最初に溶出し、正の回転を有する鏡像異性体(実施例6A)13mgおよび後に溶出し、負の回転を有する鏡像異性体(実施例6B)9mgが得られた。
【0147】
(実施例6A)
(+)1−(2,4−ジメトキシフェニルスルホニル)−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−3−{2−[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル}−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボニトリル(化合物I−31A)
ESI−MS[M+H]=703
HPLC(Chiralcel OD 0.46cm×25cm;n−ヘプタン/エタノール 7:3) R=12.9分
[α]20=+13(c0.1、CHCl
H−NMR([d]−DMSO,500MHz)δ[ppm]=8.10(1H)、7.95(2H)、7.85(1H)、7.80(1H)、7.55−7.60(1H)、7.05(1H)、6.65(2H)、4.10(2H)、3.80−4.05(6H)、3.60(3H)、3.15−3.30(1H)、2.90(1H)、2.25−2.50(9H)、2.15(3H)、1.70(1H)、1.55(1H)、1.20(2H)、1.05(3H)、0.80(1H)。
【0148】
(実施例6B)
(−)1−(2,4−ジメトキシフェニルスルホニル)−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−3−{2−[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル}−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボニトリル(化合物I−31B)
ESI−MS[M+H]=703
HPLC(Chiralcel OD 0.46cm×25cm;n−ヘプタン/エタノール 7:3) R=17.3分
H−NMR([d]−DMSO,500MHz)δ[ppm]=8.10(1H)、7.95(2H)、7.85(1H)、7.80(1H)、7.55−7.60(1H)、7.05(1H)、6.65(2H)、4.10(2H)、3.80−4.05(6H)、3.60(3H)、3.15−3.30(1H)、2.90(1H)、2.25−2.50(9H)、2.15(3H)、1.70(1H)、1.55(1H)、1.20(2H)、1.05(3H)、0.80(1H)。
【0149】
(実施例9Aおよび実施例9B)
1−(2,4−ジメトキシフェニルスルホニル)−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−3−{2−[4−(1−メチルピペリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]−2−オキソエチル}−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボニトリル、トリフルオロ酢酸塩(化合物I−1)のラセミ分解
実施例9からの(±)−1−(2,4−ジメトキシフェニルスルホニル)−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−3−{2−[4−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]−2−オキソエチル}−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボニトリル、トリフルオロ酢酸塩200mgを、n−ヘプタン/エタノール(7:3)を溶離液として用いて、調製用キラルカラム(Chiralcell OD、流速55ml/分)で分離した。最初に溶出し、正の回転を有する鏡像異性体(実施例9A)41mgおよび後に溶出し、負の回転を有する鏡像異性体(実施例9B)23mgが得られた。
【0150】
(実施例9A)
(+)−1−(2,4−ジメトキシフェニルスルホニル)−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−3−{2−[4−(1−メチルピペリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]−2−オキソエチル}−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボニトリル(化合物I−1A)
ESI−MS[M+H]=703
HPLC(Chiralcel OD 0.46cm×25cm;n−ヘプタン/エタノール 7:3) R=17.1分
[α]20=+9(c0.1、CHCl
H−NMR([d]−DMSO,500MHz)δ[ppm]=8.10(1H)、7.95(2H)、7.85(1H)、7.80(1H)、7.60(1H)、7.05(1H)、6.65(2H)、4.10(2H)、3.90(1H)、3.85(3H)、3.60(3H)、3.45(2H)、3.25(1H)、3.10(1H)、3.00(1H)、2.75(2H)、2.40(2H)、2.05−2.25(6H)、1.80(2H)、1.65(2H)、1.40(2H)、1.05(3H)。
【0151】
(実施例9B)
(−)−1−(2,4−ジメトキシフェニルスルホニル)−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−3−{2−[4−(1−メチルピペリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]−2−オキソエチル}−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボニトリル(化合物I−1B)
ESI−MS[M+H]=703
HPLC(Chiralcel OD 0.46cm×25cm;n−ヘプタン/エタノール 7:3) R=26.3分
[α]20=−14(c0.1、CHCl
H−NMR([d]−DMSO,500MHz)δ[ppm]=8.10(1H)、7.95(2H)、7.85(1H)、7.80(1H)、7.60(1H)、7.05(1H)、6.65(2H)、4.10(2H)、3.90(1H)、3.85(3H)、3.60(3H)、3.45(2H)、3.25(1H)、3.10(1H)、3.00(1H)、2.75(2H)、2.40(2H)、2.05−2.25(6H)、1.80(2H)、1.65(2H)、1.40(2H)、1.05(3H)。
【0152】
(実施例10B)
(−)1−{2,4−ジメトキシフェニルスルホニル)−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−3−{2−[4−(1−エチルピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−2−オキソエチル}−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボニトリル(化合物I−7B)
実施例10Bは、1−(1−メチルピペリジン−4−イル)ピペラジンの代わりに1−(1−エチルピペリジン−4−イル)ピペラジンをアミンXとして用いて、実施例9Bと同様に調製した。
ESI−MS[M+H]=717
【0153】
(実施例11B)
1−(2,4−ジメトキシフェニルスルホニル)−3−(2−エトキシピリジン−3−イル)−3−[2−(1’−メチル−[4,4’]ビピペリジニル−1−イル)−2−オキソエチル]−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボニトリル(化合物I−61B)
実施例11Bは、1−(1−メチルピペリジン−4−イル)ピペラジンの代わりに1−メチル[4,4’]ビピペリジンをアミンXとして用いて、実施例9Bと同様に調製することができる。
ESI−MS[M+H]=702
【0154】
IV.生物学的活性の決定
1.バソプレッシンV1b受容体結合アッセイ:
物質:
試験物質をDMSO中に10−2Mの濃度で溶解し、5×10−4Mから5×10−9Mまでさらに希釈した。これらの連続DMSO予備希釈をアッセイバッファで1:10に希釈した。この物質濃度をアッセイ混合物(混合物中に2%DMSO)で1:5にさらに希釈した。
【0155】
メンブラン調製:
ヒトバソプレッシンV1b受容体(クローン3H2)が安定に発現するCHO−K1細胞を回収し、50mM Tris−HCl中、プロテアーゼ阻害剤(Rocheコンプリート・ミニ(complete Mini)#1836170)の存在下、中間設定のPolytronホモジナイザを用いて2×10秒間ホモジナイズした後、40000×gで1時間遠心した。メンブランペレットを再度ホモジナイズして説明される通りに遠心した後、50mM Tris−HCl、pH7.4に取り、ホモジナイズし、液体窒素中、−190℃で凍結されたアリコートとして保存した。
【0156】
結合アッセイ:
結合アッセイはTaharaらのもの(Tahara A et al.,Brit.J.Pharmacol.125,1463−1470(1998))に基づく方法によって行った。
【0157】
インキュベーションバッファは以下のものであった:50mM Tris、10mM MgCl、0.1%BSA、pH7.4。
【0158】
アッセイ混合物(250μl)中で、ヒトV1b受容体を安定に発現するCHO−K1細胞(細胞株hV1b_3H2_CHO)からのメンブラン(インキュベーションバッファ中に50μg/mlタンパク質)を、インキュベーションバッファ(50mM Tris、10mM MgCl、0.1%BSA、pH7.4)中で、1.5nM H−AVP(8−Arg−バソプレッシン、PerkinElmer #18479)(全結合)と共に、または、さらに、試験物質の増加する濃度(置換実験)と共にインキュベートした。非特異的結合は1M AVP(Bachem #H1780)で決定した。すべての決定は三重の決定として行った。インキュベーション(室温で60分)の後、フリーの放射性リガンドを真空濾過(Skatronセル・ハーベスター(cell harvester)7000)によりWathman GF/Bガラスファイバー・フィルター・マットを通して濾別し、フィルターをシンチレーションバイアルに移した。液体シンチレーション測定はモデル2000または2200CA Tricarb機器(Packard)において行った。測定cpmのdpmへの変換は標準クエンチ系列の助けを借りて行った。
【0159】
解析:
結合パラメータはSASにおいて非線形回帰によって算出した。このプログラムのアルゴリズムはLIGAND解析プログラム(Munson PJ and Rodbard D,Analytical Biochem.107,220−239(1980))と同様に作動する。組換えヒトV1b受容体に対するH−AVPのKdは0.4nMであり、これをKiの決定に用いた。
【0160】
2.バソプレッシンV1a受容体結合アッセイ:
物質:
試験物質をDMSO中に10―2Mの濃度で溶解した。これらのDMSO溶液のさらなる希釈はインキュベーションバッファ(50mM Tris、10mM MgCl、0.1%BSA、pH7.4)で行った。
【0161】
メンブラン調製:
ヒトバソプレッシンV1a受容体を安定に発現するCHO−K1細胞(クローン5)を回収し、50mM Tris−HCl中、プロテアーゼ阻害剤(Rocheコンプリート・ミニ#1836170)の存在下、中間設定のPolytronホモジナイザを用いて2×10秒間ホモジナイズした後、40000×gで1時間遠心した。メンブランペレットを再度ホモジナイズし、説明される通りに遠心した後、50mM Tris−HCl、pH7.4に取ってホモジナイズし、液体窒素中、−190℃で凍結させたアリコートとして保存した。
【0162】
結合アッセイ:
結合アッセイはTaharaらのもの(Tahara A et al.,Brit.J.Pharmacol.125,1463−1470(1998))に基づく方法によって行った。
【0163】
インキュベーションバッファは以下のものであった:50mM Tris、10mM MgCl、0.1%BSA、pH7.4。
【0164】
アッセイ混合物(250μl)中で、ヒトV1a受容体を安定に発現するCHO−K1細胞(細胞株hV1a_5_CHO)からのメンブラン(インキュベーションバッファ中に20μg/mlタンパク質)を、インキュベーションバッファ(50mM Tris、10mM MgCl、0.1%BSA、pH7.4)中で、0.04nM 125I−AVP(8−Arg−バソプレッシン、NEX128)(全結合)と共に、または、さらに、試験物質の増加する濃度(置換実験)と共にインキュベートした。非特異的結合は1μM AVP(Bachem #H1780)で決定した。三重の決定を行った。インキュベーション(室温で60分)の後、フリーの放射性リガンドを真空濾過(Skatronセル・ハーベスター7000)によりWathman GF/Bガラスファイバー・フィルター・マットを通して濾別し、フィルターをシンチレーションバイアルに移した。
【0165】
液体シンチレーション測定はモデル2000または2200CA Tricarb機器(Packard)において行った。測定cpmのdpmへの変換は標準クエンチ系列の助けを借りて行った。
【0166】
解析:
結合パラメータはSASにおいて非線形回帰によって算出した。このプログラムのアルゴリズムはLIGAND解析プログラム(Munson PJ and Rodbard D,Analytical Biochem.107,220−239(1980))と同様に作動する。組換えhV1a受容体に対する125I−AVPのKdは飽和実験において決定した。1.33nMのKdをKiの決定に用いた。
【0167】
3.バソプレッシンV2受容体結合アッセイ:
物質:
試験物質をDMSO中に10−2Mの濃度で溶解した。これらのDMSO溶液のさらなる希釈はインキュベーションバッファ(50mM Tris、10mM MgCl、0.1%BSA、pH7.4)で行った。
【0168】
メンブラン調製:
ヒトバソプレッシンV2受容体を安定に発現するCHO−K1細胞(クローン23)を回収し、50mM Tris−HCl中、プロテアーゼ阻害剤(Rocheコンプリート・ミニ#1836170)の存在下、中間設定のPolytronホモジナイザを用いて2×10秒間ホモジナイズした後、40000×gで1時間遠心した。メンブランペレットを再度ホモジナイズし、説明される通りに遠心した後、50mM Tris−HCl、pH7.4に取ってホモジナイズし、液体窒素中、−190℃で凍結させたアリコートとして保存した。
【0169】
結合アッセイ:
結合アッセイはTaharaらのもの(Tahara A et al.,Brit.J.Pharmacol.125,1463−1470(1998))に基づく方法によって行った。
【0170】
インキュベーションバッファは以下のものであった:50mM Tris、10mM MgCl、0.1%BSA、pH7.4。
【0171】
アッセイ混合物(250μl)中で、ヒトV2受容体を安定に発現するCHO−K1細胞(細胞株hV2_23_CHO)からのメンブラン(インキュベーションバッファ中に50μg/mlタンパク質)を、インキュベーションバッファ(50mM Tris、10mM MgCl、0.1%BSA、pH7.4)中で、1から2nM H−AVP(8−Arg−バソプレッシン、PerkinElmer #18479)(全結合)と共に、または、さらに、試験化合物の増加する濃度(置換実験)と共にインキュベートした。非特異的結合は1μM AVP(Bachem #H1780)で決定した。三重決定を行った。
【0172】
インキュベーション(室温で60分)の後、フリーの放射性リガンドを真空濾過(Skatronセル・ハーベスター7000)によりWathman GF/Bガラスファイバー・フィルター・マットを通して濾別し、フィルターをシンチレーションバイアルに移した。
【0173】
液体シンチレーション測定はモデル2000または2200CA Tricarb機器(Packard)において行った。測定cpmのdpmへの変換は標準クエンチ系列の助けを借りて行った。
【0174】
解析:
結合パラメータはSASにおいて非線形回帰によって算出した。このプログラムのアルゴリズムはLIGAND解析プログラム(Munson PJ and Rodbard D,Analytical Biochem.107,220−239(1980))と同様に作動する。組換えhV2受容体に対するH−AVPのKdは2.4nMであり、これをKiの決定に用いた。
【0175】
4.オキシトシン受容体結合アッセイ
物質:
物質をDMSO中に10−2Mの濃度で溶解し、インキュベーションバッファ(50mM Tris、10mM MgCl、0.1%BSA、pH7.4)で希釈した。
【0176】
細胞調製:
組換えヒトオキシトシン受容体を一時的に発現する集密HEK−293細胞を室温、750×gで5分間遠心した。この残滓を氷冷溶解バッファ(50mM Tris−HCl、10%グリセロール、pH7.4およびRocheコンプリート・プロテアーゼ・インヒビター(complete protease inhibitor))に取り、4℃で20分間浸透圧衝撃に晒した。その後、溶解した細胞を4℃、750×gで20分間遠心して残滓をインキュベーションバッファに取り、10細胞/mlのアリコートを調製した。これらのアリコートを使用するまで−80℃で凍結した。
【0177】
結合アッセイ:
実験の当日、細胞を解凍してインキュベーションバッファで希釈し、Multipette Combitip(Eppendorf、ハンブルグ)を用いてホモジナイズした。この反応混合物0.250mlは、試験物質(阻害プロット)またはインキュベーションバッファのみ(全結合)の存在下で、2から5×10組換え細胞、3から4nM H−オキシトシン(PerkinElmer、NET858)で構成されていた。非特異的結合は10−6Mオキシトシン(Bachem AG、H2510)で決定した。三重の決定を用意した。結合およびフリー放射性リガンドを、Skatronセル・ハーベスター7000の助けを借りる、真空下でのWhatman GF/Bガラスファイバー・フィルター・マットを用いる濾過によって分離した。結合放射能をTricarbベータ・カウンター(Beta counter)モデル2000または2200CA(Packard)における液体シンチレーション測定によって決定した。
【0178】
解析:
結合パラメータは、MunsonおよびRodbardのLIGANDプログラム(Analytical Biochem 1980;107:220−239)と同様にして、非線形回帰解析(SAS)によって算出した。組換えhOH受容体に対するH−オキシトシンのKdは7.6nMであり、これをKiの決定に用いた。
【0179】
5.ミクロソーム半減期の決定:
本発明の化合物の代謝安定性を以下のアッセイにおいて決定した。
【0180】
試験物質を0.5μMの濃度で以下のようにインキュベートした:
0.5μM試験物質を、pH7.4の0.05Mリン酸カリウムバッファ中、マイクロタイタープレート内、37℃で5分間、異なる種からの(ラット、ヒトまたは他の種からの)肝ミクロソーム(ミクロソームタンパク質0.25mg/ml)と共に予備インキュベートする。反応はNADPH(1mg/mL)を添加することによって開始させる。0、5、10、15、20および30分後、50μlアリコートを取り出し、反応を即座に停止させてアセトニトリル同体積で冷却する。これらのサンプルを解析するまで凍結する。非分解試験物質の残留濃度をMSMSによって決定する。半減期(T1/2)を試験物質シグナル/単位時間プロットの勾配から決定するが、試験物質の半減期は、一次速度則を仮定して、時間に伴う化合物の濃度の減少から算出することができる。ミクロソームクリアランス(mCl)をmCl=ln2/T1/2/(mg/mlでのミクロソームタンパク質の含有率)×1000[ml/分/mg](参考文献:Di,The Society for Biomoleculur Screening,2003,453−462;Obach,DMD,1999 vol 27.N11,1350−1359からの修正)から算出する。
【0181】
6.シトクロムP450(CYP)阻害をイン・ビトロ決定するための方法
2C9および3A4用の発光物質:
0.4mg/mlヒト肝ミクロソームを、pH7.4の0.05Mリン酸カリウムバッファ中、37℃で10分間、調べようとする試験物質(0から20μM)、CYP−特異的物質と共に予備インキュベートする。CYP 2C9用のCYP−特異的物質はルシフェリンHであり、CYP 3A4用はルシフェリンBEである。反応はNADPHを添加することによって開始させる。RTで30分間インキュベートした後、ルシフェリン検出試薬を添加し、生じる発光シグナルを測定する(参考文献:Promega,Technical Bulletin P450−GLOTM Assaysからの修正)。
【0182】
ミダゾラムCYP 3A4時間依存性阻害
このアッセイは2つの部分からなる。まず、試験物質を肝ミクロソームと共に予備インキュベートし(NADPHを用いる=予備インキュベーション)、次いで基質を添加する;第2部においては、基質および試験物質を同時に添加する=共インキュベーション。
【0183】
予備インキュベーション:
0.05mg/mlミクロソームタンパク質(ヒト肝ミクロソーム)を0から10μM(または50μM)試験物質と共に50mMリン酸カリウムバッファ中で5分間予備インキュベートする。NADPHで反応を開始させる。30分後、4μMミダゾラム(最終濃度)を添加し、インキュベーションを10分間継続する。この反応溶液75μlを10分後に取り出し、アセトニトリル溶液150μlで停止させる。
【0184】
共インキュベーション:
0.05mg/mlミクロソームタンパク質(ヒト肝ミクロソーム)を4μmミダゾラム(最終濃度)および0から10μM(または50μM)試験物質と共に50mMリン酸カリウムバッファ中で5分間予備インキュベートする。NADPHで反応を開始させる。この反応溶液75μlを10分後に取り出し、アセトニトリル溶液150μlで停止させる。これらのサンプルをMSMS解析まで凍結させる(参考文献:Obdach,Journal of Pharmacology & Experimental Therapeutics,Vol 316,1,336−348,2006;Walsky,Drug Metabolism and Disposition Vol 32,6,647−660,2004からの修正)。
【0185】
7.(mg/mlでの)水中での溶解度を決定するための方法
本発明の化合物の水中での溶解度は,例えば、(ASTM International:E 1148−02,Standard test methods for measurement of aqueous solubility,Book of Standards Volume 11.05において指定される)いわゆるフラスコ振盪法(shake flask method)によって決定することができる。これは、固体化合物過剰を特定のpHを有するバッファ溶液(例えば、pH7.4のリン酸バッファ)に入れ、生じる混合物を平衡が達成されるまで(典型的には、24から48時間、時折、7日までさえも)振盪または撹拌することを伴う。その後、非溶解固体を濾過または遠心によって除去し、溶解した化合物の濃度を、UV分光法または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、適切なキャリブレーションプロットによって決定する。
【0186】
8.結果
受容体結合研究の結果は受容体結合定数[K(V1b)、K(V1a)、K(V2)、K(OT)]として表す。代謝安定性の研究の結果はミクロソームクリアランス(mCl)として示す。
【0187】
本発明の化合物はこれらのアッセイにおいてV1b受容体に対する非常に高い親和性を示す(最大で300nM、または最大で30nM、頻繁には<3nM)。これらの化合物はV1a受容体に対する高い選択性も示す。加えて、これらは、ミクロソームクリアランスとして測定される、良好な代謝安定性を有する。
【0188】
これらの結果を表2に列挙する。化合物の番号は合成例を指す。
【0189】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化1】

(式中、
は水素、メトキシまたはエトキシであり;
は水素またはメトキシであり;
は水素、メチル、エチル、n−プロピルまたはイソプロピルであり;
およびXは、XおよびXが同時にはNではないという条件で、NまたはCHである。)
並びにこれらの医薬的に許容される塩およびこれらのプロドラッグ。
【請求項2】
が水素またはメトキシである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が水素、メチルまたはエチルである、請求項1から2のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項4】
がNであり、およびXがCHである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
がCHであり、およびXがNである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
がメトキシであり;
がメトキシであり;
がメチルであり;
がCHであり;および
がNである、
請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
がメトキシであり;
がメトキシであり;
がメチルであり;
がNであり;および
がCHである、
請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
がメトキシであり;
がメトキシであり;
がメチルであり;
がCHであり;および
がCHである、
請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
がメトキシであり;
がメトキシであり;
がエチルであり;
がCHであり;および
がNである、
請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
がメトキシであり;
がメトキシであり;
がエチルであり;
がNであり;および
がCHである、
請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
少なくとも50%eeの鏡像異性体純度(enantiomeric purity)にある(−)鏡像異性体である、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
(−)鏡像異性体が少なくとも90%eeの鏡像異性体純度を有する、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
ラセミ化合物である、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
少なくとも1種類の、請求項1から13のいずれか一項において定義される式Iの化合物および/または少なくとも1種類のこれらの医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグ並びに少なくとも1種類の医薬的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項15】
バソプレッシン依存性疾患を治療および/または予防するための医薬品を製造するための、請求項1から13のいずれか一項において定義される式Iの化合物またはこれらの医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用。
【請求項16】
糖尿病、インシュリン耐性、夜尿症、失禁および凝血の機能障害が生じる疾患から選択される疾患を治療および/もしくは予防するための、並びに/または排尿を遅延させるための医薬品を製造するための、請求項1から13のいずれか一項において定義される式Iの化合物またはこれらの医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用。
【請求項17】
高血圧、肺高血圧、心不全、心筋梗塞、冠攣縮、不安定狭心症、PTCA(経皮的冠動脈形成術)、心臓の虚血、腎臓系の機能障害、浮腫、腎血管攣縮、腎皮質の壊死、低ナトリウム血症、低カリウム血症、シュワルツ・バーター(Schwartz−Bartter)症候群、胃腸管の機能障害、胃血管攣縮、肝硬変、胃および腸潰瘍、嘔吐、化学療法の最中に生じる嘔吐並びに乗り物酔いから選択される疾患を治療および/または予防するための医薬品を製造するための、請求項1から13のいずれか一項において定義される式Iの化合物またはこれらの医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用。
【請求項18】
情動性障害から選択される疾患を治療および/または予防するための医薬品を製造するための、請求項1から13のいずれか一項において定義される式Iの化合物またはこれらの医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用。
【請求項19】
不安障害およびストレス依存性不安障害から選択される疾患を治療および/または予防するための医薬品を製造するための、請求項1から13のいずれか一項において定義される式Iの化合物またはこれらの医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用。
【請求項20】
記憶障害およびアルツハイマー病から選択される疾患を治療および/または予防するための医薬品を製造するための、請求項1から13のいずれか一項において定義される式Iの化合物またはこれらの医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用。
【請求項21】
精神病および精神病性障害から選択される疾患を治療および/または予防するための医薬品を製造するための、請求項1から13のいずれか一項において定義される式Iの化合物またはこれらの医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用。
【請求項22】
クッシング症候群および他のストレス依存性疾患から選択される疾患を治療および/または予防するための医薬品を製造するための、請求項1から13のいずれか一項において定義される式Iの化合物またはこれらの医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用。
【請求項23】
睡眠障害から選択される疾患を治療および/または予防するための医薬品を製造するための、請求項1から13のいずれか一項において定義される式Iの化合物またはこれらの医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用。
【請求項24】
うつ障害から選択される疾患を治療および/または予防するための医薬品を製造するための、請求項1から13のいずれか一項において定義される式Iの化合物またはこれらの医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用。
【請求項25】
幼児期発症気分障害の治療および/または予防への、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
血管運動症状および体温調節機能障害を治療および/または予防するための医薬品を製造するための、請求項1から13のいずれか一項において定義される式Iの化合物またはこれらの医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用。
【請求項27】
薬物もしくは医薬依存および/または他の因子が介在する依存症;依存を仲介する1以上の因子の禁断症状によって生じるストレス;並びに/または薬物もしくは医薬依存および/または他の因子が介在する依存症へのストレス誘導の再発を治療および/または予防するための医薬品を製造するための、請求項1から13のいずれか一項において定義される式Iの化合物またはこれらの医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用。
【請求項28】
精神分裂病および精神病から選択される疾患を治療および/または予防するための医薬品を製造するための、請求項1から13のいずれか一項において定義される式Iの化合物またはこれらの医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用。
【請求項29】
請求項15から28のいずれかにおいて定義される障害を治療するための方法であって、少なくとも1種類の、請求項1から13のいずれか一項において定義される式Iの化合物または少なくとも1種類のこれらの医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグまたは請求項14に記載の医薬組成物の有効量を患者に投与する方法。

【公表番号】特表2011−506299(P2011−506299A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536482(P2010−536482)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【国際出願番号】PCT/EP2008/066931
【国際公開番号】WO2009/071687
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(502104228)アボット ゲーエムベーハー ウント カンパニー カーゲー (89)
【Fターム(参考)】