説明

アミノイソインドリン化合物を使用した皮膚狼瘡治療方法

ヒトにおける皮膚狼瘡を治療する方法を開示している。具体的方法は、(+)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4-アセチルアミノイソインドリン-1,3-ジオン、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン(ACTIMID(商標))、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(REVILIMID(登録商標))又はシクロプロピル{2-[(1S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]-3-オキソイソインドリン-4-イル}カルボキサミドを単独で、或いは別法として第二活性物質と組み合わせて投与することを包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年12月29日に出願された米国特許仮出願第60/754795号、2005年12月29日に出願された第60/755246号及び2006年3月30日に出願された第60/787436号の利益を主張するものであり、これらの内容は、それらの全体が本明細書に引用により組み込まれている。
【0002】
(1.発明の分野)
本発明は、(+)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4-アセチルアミノイソインドリン-1,3-ジオン、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン(ACTIMID(商標))、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(REVILIMID(登録商標))又はシクロプロピル2-[(1S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]-3-オキソイソインドリン-4-イル}カルボキサミドを単独で、或いは代替的実施態様において別の治療薬と組み合わせて投与することによって、皮膚狼瘡を治療、予防及び/又は管理する方法を提供する。
【0003】
本発明は又、皮膚狼瘡を治療、予防及び/又は管理する方法において使用するための、(+)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4-アセチルアミノイソインドリン-1,3-ジオン、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン又はシクロプロピル{2-[(1S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]-3-オキソイソインドリン-4-イル}カルボキサミドを単独で、或いは別の治療薬と組み合わせて含む医薬組成物及び剤形をも提供する。
【背景技術】
【0004】
(2.発明の背景)
狼瘡又はループス・エリテマトーデスは、体の様々な部分、特に皮膚、関節、血液、及び腎臓において慢性炎症を引き起こし得る自己免疫疾患である。体の免疫系は、通常、抗体と称されるタンパク質を産生し、ウイルス、細菌及び他の外来物質(すなわち抗原)に対し体を保護する。狼瘡などの自己免疫疾患において、免疫系は、抗原と自身の細胞及び組織との間の違いを示す能力を喪失し、自身の細胞及び組織に対する抗体を産生して、免疫複合体を形成することができる。これらの免疫複合体は、組織において増成され、炎症、組織損傷及び/又は疼痛を引き起こし得る。狼瘡の3種の最も一般的な型は、全身性エリテマトーデス(SLE)、皮膚ループス・エリテマトーデス(CLE)及び薬剤誘発性狼瘡を含む。狼瘡又はループス・エリテマトーデスのより詳細な説明は、Wallaceの著書「狼瘡:患者とその家族への指針(The Lupus Book: A Guide for Patients and Their Families)」(Oxford University Press、改訂増補版、2000年)に認めることができ、これは全体が本明細書に引用により組み込まれている。
【0005】
全身性エリテマトーデス(SLE)は、臨床的に規定され且つ細胞核に対する抗体に関連した多臓器系が関与する自己免疫疾患である。SLEは、関節、皮膚、肺、心臓、血液、腎臓、又は神経系を含む、体のあらゆる系又は臓器に影響を及ぼし得る。SLEの症状は、軽度の不自由さから、非常に重篤で生命を脅かしさえするまで範囲がある。例えばSLE患者は、(a)特に関節で、無痛又は激痛;(b)皮膚症状発現なし又は外観を損なう発疹;及び/又は、(c)臓器の関与なし又は重度の臓器損傷;を経験することがある。前述のように、SLEの多くの臨床症状発現は、様々な組織又は細胞表面成分上の免疫複合体の作用により引き起こされる。しかし、ポリクローナルB細胞の活性化又は特異的抗原に対する応答が存在するかどうかは、依然不明である。それにもかかわらず、SLEの発症に対する遺伝的素因は存在し得る。SLEのより詳細な説明は、Lahitaの著書「全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythematosus)」(Academic Press、第3版、1999年)に認めることができ、これは全体が本明細書に引用により組み込まれている。
【0006】
薬剤誘発性狼瘡は一般に、ある種の処方薬の使用後に発生する。薬剤誘発性狼瘡の症状は、SLEの症状に類似している。薬剤誘発性狼瘡に最もよく関連している薬物は、ヒドララジン(高めの血圧又は高血圧の治療に使用される)及びプロカインアミド(不規則な心調律の治療に使用される)である。しかしこれらの薬物を服用する症例の極わずかな数のみが、顕性の薬剤誘発性狼瘡を発症し得る。この症状は、この投薬が中断されると、通常次第に消える。
【0007】
皮膚狼瘡又は皮膚ループス・エリテマトーデスは、主に皮膚に影響を及ぼし、且つ一般に皮膚炎症、皮膚発疹及び皮内出血を特徴としている。皮膚狼瘡は、毛髪及び粘膜にも影響を及ぼすが、通常、SLEのように内臓には関与しない。皮膚狼瘡は、急性皮膚ループス・エリテマトーデス(ACLE)、亜急性皮膚ループス・エリテマトーデス(SCLE)、慢性皮膚ループス・エリテマトーデス(CCLE)又は円板状ループス・エリテマトーデス(DLE)及び新生児ループス・エリテマトーデス(NLE)などの群に分類することができる。皮膚狼瘡又は皮膚ループス・エリテマトーデスのより詳細な説明は、Kuhnらの著書「皮膚ループス・エリテマトーデス(Cutaneous Lupus Erythematosus)」(Springer、初版、2004年)に認めることができ、これは全体が本明細書に引用により組み込まれている。
【0008】
ACLEは一般に、光感受性皮膚病である。これは、持続性の日焼けに似ているか又は発疹様の外観を有する皮膚発赤の平板化された領域として出現する。ACLEは、顔の中心部分に局在化された蝶形、並びに/又は腕、足及び体などの他の領域を含む全身化された形で発病し得る。ACLEの病因は、多因性であり、遺伝的要因、環境要因及びホルモン性要因が関与していると考えられる。遺伝的素因のある患者において、ACLEは、ウイルス(例えばEBV)及び紫外線への曝露により引き起こされ得る。
【0009】
SCLEは、非-瘢痕性の非萎縮形成性光感受性皮膚病である。一部の症例において、SCLEは、しばしば日光曝露後に、背中上部及び胸にかゆみのない環形の乾燥発疹として出現する。SCLEは、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群及び補体第2成分(C2d)欠乏症の患者において生じることがあり、又はSCLEは、薬物により誘導され得る。SCLEは通常、遺伝的素因のある個人において生じ、最も頻繁には、ヒト白血球抗原B8(HLA-B8)、ヒト白血球抗原DR3(HLA-DR3)、ヒト白血球抗原DRw52(HLA-DRw52)及びヒト白血球抗原DQ1(HLA-DQ1)を有する患者において生じる。SCLEは、抗-Ro(SS-A)自己抗体に強力に関連している。通常、SCLEは、紫外線曝露後に顕在化するが、他のトリガー又は誘発因子も関与している。
【0010】
CCLE又はDLEは、慢性の瘢痕性萎縮形成性の光感受性皮膚病である。DLEは、通常赤い鱗屑斑として出現し、これは白色瘢痕を残す。DLEは主に、頬及び鼻に影響を及ぼすが、時には背中上部、首、手の裏側、禿頭領域及び唇に関与する。DLEは、全身性エリテマトーデス(SLE)患者において生じることがある。一部の患者は、SCLEの病変も有し、時には頬部発疹も有することがある。日焼け止め、局所的コルチコステロイド及び抗マラリア薬による療法が、有効であることがある。DLEは恐らく、遺伝的素因のある個人において生じるが、正確な遺伝的関係は決定されていない。DLEの病態生理は、十分に分かっていない。紫外線曝露又はストレスの後に熱ショックタンパク質が角質細胞において誘導され、該タンパク質が、γδT細胞媒介型表皮細胞の細胞傷害の標的として作用し得ることが示唆されている。
【0011】
疣贅状DLE、深在性ループス、粘膜性DLE、手掌-足裏DLE及び肥大性狼瘡は、DLEの特定の型の一部である。疣贅状DLEは、非常に厚い鱗屑へと発展し得る病変を有するDLEを意味する。深在性ループスは、皮膚の下側の脂肪組織内の固い結節を伴い生じ得る病変を有するDLEを意味する。粘膜性DLEは、時には口、鼻及び眼の粘膜に生じる病変を意味する。手掌-足裏DLEは、時には手及び足に生じる病変を意味する。肥大性狼瘡は、掻痒があり且つ細かい鱗屑を有する、頭部及び頸部に滑らかな光沢のある赤紫色のプラークとして出現する。肥大性狼瘡病変は通常、瘢痕化を伴わずに消失し、それらの当初の分布で再発し得る。
【0012】
NLEは、小児における稀な状態であり、通常、瘢痕化せず萎縮非形成性の病変として出現する。一部の症例において、SCLEの母親から生まれた新生児は、一時的に環状又は輪状の発疹を伴うNLEを発症することがある。NLEは、遺伝的素因、ウイルス感染症及び他の未知の要因を含む、様々な要因に関連していると考えられる。NLEは、皮膚、心臓、肝臓、血液-形成要素又は脾臓に影響を及ぼすことがある。
小児のループス・エリテマトーデス(LE)は、遺伝因子に関連し、且つ恐らく他の環境的事象に関連しているであろう。小児LEは、皮膚に影響を及ぼし、これは全身性LEとして顕在化し、体内のあらゆる臓器系、最も一般的には腎臓、関節及び血液に影響を及ぼす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
皮膚狼瘡は、抗マラリア薬及びコルチコステロイドを使用することにより、通常、治療される。しかし、これらの薬物は、一部の皮膚狼瘡を治療するのに有効でない恐れがあり、又は時間的長期間にわたり連続使用する場合、重大な副作用を有する恐れがある。したがって、皮膚狼瘡を治療する新たな治療方法を開発することが所望されている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(3.発明の要旨)
一態様において、本発明は、限定されるものではないが、急性皮膚ループス・エリテマトーデス(acute cutaneous lupus erythematosus)(ACLE)、亜急性皮膚ループス・エリテマトーデス(subacute cutaneous lupus erythematosus) (SCLE)、新生児ループス・エリテマトーデス(neonatal lupus erythematosus) (NLE)、小児期のループス・エリテマトーデス及び慢性皮膚ループス・エリテマトーデス(chronic cutaneous lupus erythematosus) (CCLE)又は円板状ループス・エリテマトーデス(discoid lupus erythematosus)(DLE)(例えば、疣贅状DLE、深在性ループス、粘膜性DLE、手掌-足裏DLE及び肥大性狼瘡)などのヒトにおける皮膚狼瘡を治療、予防及び/又は管理する方法を提供する。本発明は、男性、女性及び小児を含むがこれらに限定されるものではないヒトにおける皮膚狼瘡を治療、予防及び/又は管理する方法を提供する。
【0015】
一態様においてこの方法は、このような治療、予防又は管理を必要とする患者に、(-)鏡像異性体を実質的に含まない治療的若しくは予防的有効量の(+)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4-アセチルアミノイソインドリン-1,3-ジオン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物(例えば水和物)を投与することを含む。好ましい実施態様において、この化合物の塩若しくは溶媒和物が、遊離化合物でなくとも使用される。
【0016】
一態様において本発明は、このような治療、予防又は管理を必要とする患者に、治療的若しくは予防的有効量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又はその医薬として許容し得るプロドラッグ、代謝産物、多形、塩、溶媒和物(例えば水和物)、立体異性体若しくはクラスレートを投与することを含む方法を提供する。好ましい実施態様において、この化合物の塩若しくは溶媒和物が使用される。
【0017】
一態様において本発明は、このような治療、予防又は管理を必要とする患者に、治療的若しくは予防的有効量の3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン又はその医薬として許容し得るプロドラッグ、代謝産物、多形、塩、溶媒和物(例えば水和物)、立体異性体若しくはクラスレートを投与することを含む方法を提供する。好ましい実施態様において、この化合物の塩若しくは溶媒和物が使用される。
【0018】
一態様において本発明は、(R)-鏡像異性体を実質的に含まない、シクロプロピル{2-[(1S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]-3-オキソイソインドリン-4-イル}カルボキサミド又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物(例えば水和物)による、皮膚狼瘡を治療、予防及び/又は管理する方法を提供する。別の実施態様において、この化合物の塩若しくは溶媒和物が、遊離化合物でなくとも使用される。
一部の実施態様において、これらの方法は、治療的有効量の少なくとも1つの第二活性物質の投与を更に含み、該物質は、非ステロイド剤(例えばサリチレート)又はコルチコステロイド(例えばデキサメタゾン)などの抗炎症薬、抗マラリア薬、免疫抑制薬、抗生物質、抗ウイルス薬、免疫増強薬、ホルモン、PGE2或いはそれらの組合せとすることができる。
【0019】
別の実施態様において、本発明の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物又は立体異性体は、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、糊状剤、粉剤、ローション剤、噴霧剤、塗布剤、パップ剤、エアロゾル剤、液剤、乳剤、懸濁剤及びそれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない剤形で局所的に投与される。
更なる実施態様において、本発明の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物又は立体異性体は、非経口的に若しくは経口的に、又は制御放出方法で投与される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(5.発明の詳細な説明)
本発明の一態様は、(-)鏡像異性体を実質的に含まない治療的又は予防的有効量の(+)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4-アセチルアミノイソインドリン-1,3-ジオン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を皮膚狼瘡を有する患者に投与することを含む、皮膚狼瘡を治療、管理及び/又は予防する方法を包含する。
本発明の別の態様は、治療的又は予防的有効量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又はその医薬として許容し得るプロドラッグ、代謝産物、多形、塩、溶媒和物(例えば水和物)、立体異性体若しくはクラスレートを皮膚狼瘡を有する患者に投与することを含む、皮膚狼瘡を治療、管理及び/又は予防する方法を包含する。
【0021】
本発明の別の態様は、治療的又は予防的有効量の3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン又はその医薬として許容し得るプロドラッグ、代謝産物、多形、塩、溶媒和物(例えば水和物)、立体異性体若しくはクラスレートを皮膚狼瘡を有する患者に投与することを含む、皮膚狼瘡を治療、管理及び/又は予防する方法を包含する。
本発明の別の態様は、(R)-鏡像異性体を実質的に含まない治療的又は予防的有効量のシクロプロピル{2-[(1S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]-3-オキソイソインドリン-4-イル}カルボキサミド又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を皮膚狼瘡を有する患者に投与することを含む、皮膚狼瘡を治療、管理及び/又は予防する方法を包含する。
【0022】
本発明の範囲内の皮膚狼瘡の例は、急性皮膚ループス・エリテマトーデス(ACLE)、亜急性皮膚ループス・エリテマトーデス(SCLE)、新生児ループス・エリテマトーデス(NLE)、小児ループス・エリテマトーデス並びに、疣贅状DLE、深在性ループス、粘膜性DLE、手掌-足裏DLE及び肥大性狼瘡を含む円板状ループス・エリテマトーデス(DLE)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0023】
更に、治療される患者は、哺乳類、特にヒトを含む。小児及び成人は、本明細書に開示された方法及び組成物により治療することができる。免疫低下した患者も、治療することができる。本発明は、他の療法を使用していない患者、他の療法を使用している患者及び前述の皮膚狼瘡などの狼瘡の治療に対して難治性の患者の治療を意図している。一部の実施態様において、患者は女性である。一部の実施態様において、患者は男性である。更なる実施態様において、患者は小児である。
【0024】
(5.1 定義)
本明細書で使用するように、及び他に示さない限り、用語「本発明の化合物」は、(+)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4-アセチルアミノイソインドリン-1,3-ジオン、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン又はシクロプロピル{2-[(1S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]-3-オキソイソインドリン-4-イル}カルボキサミド、或いはその医薬として許容し得るプロドラッグ、代謝産物、多形、塩、溶媒和物、立体異性体若しくはクラスレートを含むが、これらに限定されるものではない。
【0025】
本明細書で使用するように、及び他に示さない限り、用語「医薬として許容し得る塩」は、これらに限定されないが、本発明の化合物において存在することができる酸性又は塩基性の基の塩を意味する。一定の酸性条件下では、本発明の化合物は、様々な無機酸及び有機酸と多種多様な塩を形成できる。そのような塩基性化合物の医薬として許容し得る塩を調製するために使用することができる酸は、薬理学的に許容し得る陰イオンを含む塩を形成するものであり、これらは、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、酒石酸水素塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストル酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、ヒドロキシナフトエ酸塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ムスカ酸塩(muscate)、ナプシル酸塩、硝酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トリエチオジド及びパモ酸塩を含むが、これらに限定されるものではない。一定の塩基性条件下では、本発明の化合物は、様々な薬理学的に許容し得る陽イオンと塩基性塩を形成できる。そのような塩の非限定的な例は、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、特にカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、リチウム、亜鉛、カリウム及び鉄の塩を含む。
【0026】
本明細書で使用するように、及び他に示さない限り、用語「水和物」は、非共有的分子間力により結合された化学量論的量又は非化学量論的量の水を更に含む、本発明の化合物又はそれらの塩を意味する。
本明細書で使用するように、及び他に示さない限り、用語「溶媒和物」は、本発明の化合物への1種以上の溶媒分子の会合から形成された溶媒和物を意味する。用語「溶媒和物」は、水和物(例えば一水和物、二水和物、三水和物、四水和物など)を含む。
本明細書で使用するように、及び他に示さない限り、用語「多形」は、本発明の化合物又はその錯体の固体結晶性形態を意味する。同じ化合物の異なる多形は、異なる物理的、化学的及び/又は分光学的特徴を示すことができる。
【0027】
本明細書で使用するように、及び他に示さない限り、用語「プロドラッグ」は、生物学的条件下で(インビトロ又はインビボで)加水分解し、酸化し又は他の方法で反応して、その化合物を提供し得る化合物の誘導体を意味する。プロドラッグの例は、生加水分解性アミド、生加水分解性エステル、生加水分解性カルバメート、生加水分解性カーボネート、生加水分解性ウレイド及び生加水分解性ホスフェート類似体などの生加水分解性部分を含む(+)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4-アセチルアミノイソインドリン-1,3-ジオン、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン又はシクロプロピル{2-[(1S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]-3-オキソイソインドリン-4-イル}カルボキサミドの誘導体及び代謝産物を含むが、これらに限定されるものではない。プロドラッグは、典型的には、文献(バーガーの薬剤化学及び薬物の発見(l Burger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery)、172〜178, 949〜982頁(Manfred E. Wolff編、第5版、1995))に記載されている方法などの、周知の方法を使用して調製することができる。
【0028】
本明細書で使用するように、及び他に特定しない限り、用語「生加水分解性カルバメート」、「生加水分解性カーボネート」、「生加水分解性ウレイド」及び「生加水分解性ホスフェート」は:1)化合物の生物学的活性に干渉しないが、インビボにおいてその化合物に有利な特性、例えば取込、作用期間又は作用開始などを付与することができるか;又は、2)生物学的に不活性であるが、インビボにおいて生物学的に活性のある化合物に転換されるか;のいずれかの化合物の、それぞれカルバメート、カーボネート、ウレイド及びホスフェートを意味する。生加水分解性カルバメートの非限定的な例は、低級アルキルアミン、置換されたエチレンジアミン、アミノ酸、ヒドロキシアルキルアミン、複素環式及び複素芳香族アミン及びポリエーテルアミンを含む。
本明細書で使用するように、及び他に特定しない限り、用語「立体異性体」は、鏡像異性的/立体異性的に純粋であり且つ鏡像異性的/立体異性的に豊富である本発明の化合物全てを包含している。
【0029】
本明細書で使用するように、及び他に示さない限り、用語「立体異性的に純粋」又は「鏡像異性的に純粋」は、化合物が、一方の立体異性体を含み、及びその反対の立体異性体又はエナンチオマーを実質的に含まないことを意味する。例えば化合物は、化合物が、80%、90%若しくは95%又はそれよりも多い一方の立体異性体、及び20%、10%若しくは5%又はそれよりも少ない反対の立体異性体を含む場合に、立体異性的又は鏡像異性的に純粋である。場合によっては、本発明の化合物は、該化合物が不斉中心に関して約80%ee(エナンチオ過剰)又はそれよりも大きい、好ましくは特定の不斉中心に関して90%eeと等しいか又はそれよりも大きい、より好ましくは特定の不斉中心に関して95%eeと等しいか又はそれよりも大きい場合に、光学活性があるか又は立体異性的/鏡像異性的に純粋である(例えば、実質的にR-型又は実質的にS-型)と考えられる。
【0030】
本明細書で使用するように、及び他に示さない限り、用語「(R)-鏡像異性体を実質的に含まない」は、化合物の全重量に基づき80%以上純粋な(S)-鏡像異性体を意味するように、本明細書において使用している。一部の例では、用語「(R)-鏡像異性体を実質的に含まない」は、化合物の全重量に基づき85%、90%、95%又は99%以上純粋な(S)-鏡像異性体を意味する。
【0031】
本明細書で使用するように、及び他に示さない限り、用語「(-)鏡像異性体を実質的に含まない」は、化合物の全重量に基づき80%以上純粋な(+)鏡像異性体を意味するように、本明細書において使用している。一部の例では、用語「(-)鏡像異性体を実質的に含まない」は、化合物の全重量に基づき85%、90%、95%又は99%以上純粋な(+)鏡像異性体を意味する。
【0032】
本明細書で使用するように、及び他に示さない限り、用語「立体異性的に豊富」又は「鏡像異性的に豊富」は、本発明の化合物の立体異性体の一定の混合物を包含する(例えば、R/S=30/70、35/65、65/35及び70/30)。
本明細書で使用するように、及び他に特定しない限り、用語「治療する」、「治療している」及び「治療」は、患者が特定の疾患又は障害に罹患している間に生じる作用を意図し、疾患又は障害の重症度又は症状を軽減させるか、若しくは疾患又は障害の症状の進行を妨害又は遅延させる。
【0033】
本明細書で使用するように、及び他に示さない限り、用語「治療的有効量」は、上述の投与量及び用量頻度計画を包含する。当業者には容易に分かるであろうように、様々な狼瘡障害及び状態について様々な治療的有効量を適用可能とすることができる。同様に、このような障害を治療又は予防するのに十分であるが、本発明の化合物に関連した副作用を引き起こすには不足である、若しくは副作用を軽減するのに十分である量も、上述の投与量及び用量頻度計画によって包含される。
本明細書で使用するように、及び他に特定しない限り、用語「予防する」、「予防している」及び「予防」は、患者が特定の疾患又は障害に罹患し始める前に生じる作用を意図し、疾患又は障害の重症度又は症状を阻害又は軽減させる。
【0034】
本明細書で使用するように、及び他に示さない限り、用語「管理する」、「管理している」及び「管理」は、既に疾患又は障害に罹患した患者の特定の疾患又は障害の再発を予防すること及び/若しくは疾患又は障害に罹患した患者が寛解であり続ける時間を延長させることを包含している。これらの用語は、疾患若しくは障害の閾値、発症及び/若しくは期間を調節すること、又は患者が疾患若しくは障害に応答する経路を変更することを包含している。
【0035】
本明細書で使用するように、及び他に特定しない限り、用語「増強する」、又は「増強」は、免疫応答と結びつけて使用される場合、抗原性物質又は免疫原性物質が、本発明の化合物で治療された又は治療されている対象へ投与された場合に、同量の抗原性物質又は免疫原性物質が単独で投与された対象と比べ、当該技術分野において公知の抗体レベル決定の従来の方法のいずれか、例えば、比濁法、免疫電気泳動、放射免疫測定及びELISAなどにより測定された抗体産生が増加することを意味する。一部の実施態様において、本発明の方法が使用される場合、抗体産生は、本発明の方法が使用されない場合に得られる抗体産生と比べ、約5%、10%、20%、50%若しくは100%又はそれよりも多く増加する。
【0036】
(5.2 本発明の化合物)
((+)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4-アセチルアミノイソインドリン-1,3-ジオン)
本発明は、皮膚狼瘡を治療、管理又は予防する方法であって、このような治療、管理又は予防を必要とする患者に、治療的若しくは予防的有効量の(+)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4-アセチルアミノイソインドリン-1,3-ジオンの(+)鏡像異性体を投与することを含む前記方法を提供する。
【0037】
学説により制約されずに、(+)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4-アセチルアミノイソインドリン-1,3-ジオンの(+)鏡像異性体は、下記の構造を有する(S)-{2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4-アセチルアミノイソインドリン-1,3-ジオン}[化合物(I)]であると考えられる:
【化1】

【0038】
したがって、(+)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4-アセチルアミノイソインドリン-1,3-ジオンは、化合物(I)として示される化合物を記述するのに用いられる。化合物(I)は、本明細書に引用により組み込まれている2005年11月8日発行された「(+)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4-アセチルアミノイソインドリン-1,3-ジオン:その使用方法及び組成物((+)-2-[1-(3-Ethoxy-4-methoxyphenyl)-2-methylsulfonylethyl]-4-acethylaminoisoindoline-1,3-dione:Methods Of Using And Compositions Thereof)」と題する米国特許第6962940号中に開示されている方法により調製することができる。特定的な方法において、化合物(I)は無水3-アセトアミドフタル酸、及び(S)-2-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-1-(メチルスルホニル)-エタ-2-イルアミンのキラルアミノ酸塩から合成される。(S)-2-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-1-(メチルスルホニル)-エタ-2-イルアミンのキラルアミノ酸塩は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、オルニチン、4-アミノ酪酸、2-アミノイソ酪酸、3-アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シツルリン、システイン酸、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン及びN-アセチル-L-ロイシンのL異性体により形成される塩を含むが、これらに限定されるものではない。特定的なキラルアミノ酸塩は、(S)-2-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-1-(メチルスルホニル)-エタ-2-イルアミンN-アセチル-L-ロイシン塩であり、メタノール中の2-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-1-(メチルスルホニル)-エタ-2-イルアミン及びN-アセチル-L-ロイシンから分割される。
【0039】
別法として、化合物(I)は、当分野において周知の分離技術により、対応するラセミ体2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4-アセチルアミノイソインドリン-1,3-ジオンから単離することができる。ラセミ化合物は、本明細書に引用により組み込まれている米国特許第6020358号の実施例12の手順により容易に調製することができる。適切な分離技術の例は、キラル塩の形成及びキラル又は高速液体クロマトグラフィー「HPLC」の使用、並びにキラル塩の形成及び晶出を含むが、これらに限定されるものではない。例えば、Jacques, J.らの文献(鏡像異性体、ラセミ化合物及び分割(Enantiomers, Racemates and Resolutions)(Wiley Interscience, New York, 1981));Wilen, S. H.らの論文(Tetrahedron 33:2725(1977));Eliel, E. L.の文献(炭素化合物の立体化学(Stereochemistry of Carbon Compounds)(McGraw Hill、NY(ニューヨーク)州、1962));及びWilen, S. H.の文献(分割剤及び光学分割の表、268頁(Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p.268)(E. L. Eliel編、Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame、IN(インディアナ)州、1972))を参照されたい。
【0040】
(4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン及び3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)
本発明は、皮膚狼瘡を治療、管理又は予防する方法であって、このような治療、管理又は予防を必要とする患者に、治療的若しくは予防的有効量の、下記の式を有する4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン(ACTIMID(商標)):
【化2】

又は下記の化学構造を有する3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(REVLIMID(登録商標)):
【化3】

或いはそれらの医薬として許容し得るプロドラッグ、代謝産物、多形、塩、溶媒和物、立体異性体若しくはクラスレートを投与することを含む前記方法を提供する。
【0041】
これらの化合物は、Celgene Corporation(Summit、NJ(ニュージャージー)州)から入手できる。これらの化合物は、標準的合成方法(例えば本明細書に引用により組み込まれている米国特許第5635517号を参照されたい)により得ることができる。4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンを調製する特定的な方法は、それらの全てが本明細書に引用により組み込まれている「4-アミノ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-イソインドリン-1,3-ジオン化合物の調製方法(Processes for the preparation of 4-amino-2-(2,6-dioxopiperidine-3-yl)-isoindoline-1,3-dione compounds)」と題する、2006年6月29日に出願された米国特許非仮出願第11/479823号及び2005年6月30日に出願された米国特許仮出願第60/696224号中に開示されている。
【0042】
一実施態様において、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンは、鏡像異性的に純粋である。更なる実施態様において、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンはR-鏡像異性体である。更なる実施態様において、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンはS-鏡像異性体である。更なる実施態様において、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンはラセミ混合物である。
【0043】
更なる実施態様において、本発明において使用している特定的化合物は、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの多形形態である。形態A、B、C、D、E、F、G及びHなどの3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの特定の多形形態は、それらの全体が本明細書に引用により組み込まれている2003年9月4日に出願された米国特許仮出願第60/499723号及び2004年9月3日に出願された米国特許非仮出願第10/934863号(公告第2005/0096351号)中に開示されている。
【0044】
例えば、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの形態Aは、非水溶媒系から得ることができる非溶媒和結晶性物質である。形態Aは、およそ8、14.5、16、17.5、20.5、24及び26度2θに特徴ピークを有する粉末X線回折パターンを有し、又示差走査熱量計溶融温度極大約270℃を有する。3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの形態Bは、ヘキサン、トルエン及び水を含むが、これらに限定されない種々の溶媒系から得ることができる半水和結晶性物質である。形態Bは、およそ16、18、22及び27度2θに特徴ピークを有する粉末X線回折パターンを有し、又示差走査熱量計溶融温度極大約268℃を有する。
【0045】
(シクロプロピル{2-[(1S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]-3-オキソイソインドリン-4-イル}カルボキサミド)
本発明は、皮膚狼瘡を治療、管理又は予防する方法であって、このような治療、管理又は予防を必要とする患者に、治療的若しくは予防的有効量のシクロプロピル{2-[(1S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]-3-オキソイソインドリン-4-イル}カルボキサミド又はN-[2-[(1S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]-2,3-ジヒドロ-3-オキソ-1H-イソインドール-4-イル]-シクロプロパンカルボキサミドを投与することを含む前記方法を提供する。
【0046】
シクロプロピル{2-[(1S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]-3-オキソイソインドリン-4-イル}カルボキサミド又はN-[2-[(1S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]-2,3-ジヒドロ-3-オキソ-1H-イソインドール-4-イル]-シクロプロパンカルボキサミド[すなわち化合物(II)]は、下記の構造を有する:
【化4】

【0047】
化合物(II)は、その全体が本明細書に引用により組み込まれている2003年12月23日発行された「医薬として活性なイソインドリン誘導体(Pharmaceutically Active Isoindoline Derivatives)」と題する米国特許第6667316号の実施例57の調製手順により調製することができる。特定的な実施態様において、化合物(II)は、テトラヒドロフラン中の7-アミノ-2-[(1S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]イソインドリン-1-オンと、塩化シクロプロパンカルボニルの混合物を加熱することにより調製することができる。
【0048】
別法として、化合物(II)は、当業者に公知の分離技術により、対応するラセミ体シクロプロピル{2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]-3-オキソイソインドリン-4-イル}カルボキサミドから単離することができる。ラセミ化合物は、米国特許第6667316号の実施例55の調製手順により容易に調製することができる。適切な分離技術の例は、キラル塩の形成及びキラル又は高速液体クロマトグラフィー「HPLC」の使用、並びにキラル塩の形成及び晶出を含むが、これらに限定されるものではない。例えば、Rex W. Souterの文献(立体異性体のクロマトグラフ分離(Chromatographic Separations of Stereoisomers)(CRC Press, Boca Raton, 1985));Jacques, J.らの文献(鏡像異性体、ラセミ化合物及び分割(Wiley Interscience, New York, 1981));Wilen, S. H.らの論文(Tetrahedron 33:2725(1977));Eliel, E. L.の文献(炭素化合物の立体化学(McGraw Hill、NY(ニューヨーク)州、1962));及びWilen, S. H.の文献(分割剤及び光学分割の表、268頁(E. L. Eliel編、Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame、IN(インディアナ)州、1972))を参照されたい。
【0049】
(5.3 治療法及び予防法)
本発明は、皮膚狼瘡を治療、予防及び/又は管理する方法を提供する。本発明の方法の範囲内にある皮膚狼瘡の非限定的例は、皮膚ループス・エリテマトーデス(CLE)、急性皮膚ループス・エリテマトーデス(ACLE)、亜急性皮膚ループス・エリテマトーデス(SCLE)、慢性皮膚ループス・エリテマトーデス(CCLE)又は円板状ループス・エリテマトーデス(DLE)、新生児ループス・エリテマトーデス(NLE)、疣贅状DLE、深在性ループス、粘膜性DLE、手掌-足裏DLE及び肥大性狼瘡を含むが、これらに限定されるものではない。
【0050】
一部の実施態様において、本発明は、ACLEの治療法を提供する。ACLEは一般に、光感受性皮膚病である。これは、持続性の日焼けに似ているか又は発疹様の外観を有する皮膚発赤の平板化領域として出現することができる。ACLEは、顔の中心部分に局在化された蝶形、並びに/又は腕、足及び体などの他の領域を含む全身化された形で発病し得る。ACLEの病因は、多因性であり、遺伝的要因、環境要因及びホルモン性要因が関与していると考えられる。したがって本発明は、遺伝的素因のある又は自然の紫外線照射に曝露された患者の治療を含む。
【0051】
更なる実施態様において、本発明は、SCLEの治療法を提供する。SCLEは、非-瘢痕性の非萎縮形成性の光感受性皮膚病である。一部の症例においては、SCLEは、しばしば日光曝露後に、背中上部及び胸にかゆみのない環形の乾燥発疹として出現する。SCLEは、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群及び補体第2成分(C2d)欠乏症の患者において生じることがあり、又はこれは、薬物により誘導され得る。SCLEは通常、遺伝的素因のある個人において生じ、最も頻繁には、ヒト白血球抗原B8(HLA-B8)、ヒト白血球抗原DR3(HLA-DR3)、ヒト白血球抗原DRw52(HLA-DRw52)及びヒト白血球抗原DQ1(HLA-DQ1)を有する患者において生じる。SCLEは、抗-Ro(SS-A)自己抗体に強力に関連している。したがって、特定の実施態様において、本発明は、このような患者個体群の治療を含む。
【0052】
更なる実施態様において、本発明は、CCLE又はDLEの治療法を提供する。CCLE又はDLEは、慢性の瘢痕性萎縮形成性の光感受性皮膚病である。DLEは、通常赤い鱗屑斑として出現し、これは白色瘢痕を残す。DLEは主に、頬及び鼻に影響を及ぼすが、時には背中上部、首、手の裏側、禿頭領域及び唇に関与する。DLEは、全身性エリテマトーデス(SLE)患者において生じることがある。一部の患者は、SCLEの病変も有し、時には頬部発疹も有することがある。DLEは、遺伝的素因のある個体に発生する。したがって、特定の実施態様において、本発明は、このような患者個体群の治療を含む。
【0053】
更なる実施態様において、本発明は、経口又は局所投与によりヒトの疣贅状DLEを治療する方法を提供する。疣贅性DLEとは、DLEの特定の型であり、非常に厚い鱗屑へと発展し得る病変を有するDLEをいう。
更なる実施態様において、本発明は、経口又は局所投与を介してヒトの深在性ループスの治療法を提供する。深在性ループスとは、DLEの特定の型であり、皮膚の下側の脂肪組織内の固い結節を伴い生じ得る病変を有するDLEをいう。
【0054】
更なる実施態様において、本発明は、経口又は局所投与を介してヒトの粘膜性DLEの治療法を提供する。粘膜性DLEは、DLEの特定の型であり、時には口、鼻及び眼の粘膜に生じる病変をいう。
更なる実施態様において、本発明は、経口又は局所投与を介してヒトの手掌-足裏DLEの治療法を提供する。手掌-足裏DLEとは、DLEの特定の型であり、時には手及び足に生じる病変をいう。
【0055】
更なる実施態様において、本発明は、経口又は局所投与を介してヒトの肥大性狼瘡の治療法を提供する。肥大性狼瘡とは、DLEの特定の型であり、掻痒があり且つ細かい鱗屑を有する、頭部及び頸部の滑らかな、光沢のある赤紫色のプラークとして出現する。肥大性狼瘡病変は通常、瘢痕化を伴わずに消失し、それらの当初の分布で再発し得る。
【0056】
更なる実施態様において、本発明は、NLEの治療法を提供する。NLEは、小児における稀な状態であり、通常瘢痕化せず萎縮非形成性の病変として出現する。特定の実施態様において、本方法は、SCLEを有する母親から生まれた新生児についての経口的若しくは局所的又はその両方の治療を含む。NLEは、遺伝的素因、ウイルス感染症及び他の未知の要因を含む、様々な要因に関連していると考えられる。
更なる実施態様において、本発明は、小児ループス・エリテマトーデス(LE)の治療法を提供する。特定の実施態様において、遺伝因子及び恐らく他の環境的事象の素因のある小児を含む、小児におけるループス・エリテマトーデス(LE)が治療される。
【0057】
本発明は、免疫系が不均衡状態にならないように、並びに患者における狼瘡のような炎症及び自己免疫疾患を生じないように、免疫系を調節することにおける、本発明の化合物の使用も包含している。したがって、別の実施態様において、本発明は免疫原に対する免疫応答を増強する方法であって、治療的又は予防的有効量の(+)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4-アセチルアミノイソインドリン-1,3-ジオン、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン若しくはシクロプロピル2-[(1S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]-3-オキソイソインドリン-4-イル}カルボキサミド、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは立体異性体を、そのような増強を必要とする患者に投与することを含む前記方法を包含する。化合物は、患者の免疫原への曝露前、曝露時、又は曝露後に投与することができる。
【0058】
(5.3.1 第二活性物質との併用療法)
この実施態様に包含された特定の方法において、本発明の化合物は、皮膚狼瘡を治療、管理及び/若しくは予防する方法において、別の薬物(「第二活性物質」)と組み合わせて投与される。第二活性物質は、非ステロイド剤及びコルチコステロイドなどの抗炎症薬、抗マラリア薬、免疫抑制薬、抗生物質、抗ウイルス薬、免疫増強薬、ホルモン、PGE2、並びにそれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。本発明の化合物の投与との併用において使用することができる方法又は療法の非限定的な例は、抗体注射又は注入及び幹細胞移植を含む。
【0059】
本発明の化合物は、本明細書において開示している本発明の方法における少なくとも1つの第二活性物質と共に使用することができる。本発明は、皮膚狼瘡の治療、予防及び/又は管理のための相乗的組合せを包含している。本発明の化合物は、一部の第二活性物質に関連した副作用又は不特定の作用を緩和するのに使用することもでき、又逆に一部の第二活性物質は、本発明の化合物に関連した副作用又は不特定の作用を緩和するのに使用することができる。
【0060】
関心対象の一部の実施態様において、第二活性物質は、非限定的に、アセトアミノフェン(例えばタイレノール(TYLENOL)(登録商標))、5-アミノサリチル酸誘導体、サリチル酸塩、コルチコステロイド及び非ステロイド性抗炎症薬などの抗炎症薬を含むが、これらに限定されるものではない。5-アミノサリチル酸誘導体の非限定的な例は、スルファサラジン(例えばアズルフィジン(AZULFIDINE)(登録商標))である。サリチル酸塩の非限定的な例は、アセチルサリチル酸(例えばアスピリン(ASPIRIN)(登録商標))である。
【0061】
コルチコステロイドの非限定的な例は、デキサメタゾン(例えばAZIUM(登録商標)又はVOREN(登録商標))、ヒドロコルチゾン(例えばCETACORT(登録商標)、HYTONE(登録商標)又はNUTRACORT(登録商標))、ベクロメタゾン(例えばVANCERIL(登録商標))、ブデソニド(例えばPULMICORT(登録商標))、フルチカゾン(例えばFLONASE(登録商標)又はFLOVENT(登録商標))、メチルプレドニゾロン(例えばDEPO-MEDROL(登録商標)、SOLU-MEDROL(登録商標)又はMEDROL(登録商標))、フロ酸モメタゾン(例えばNASONE(登録商標)又はELOCON(登録商標))、プレドニソン(例えばDELTASON(登録商標)、ORASON(登録商標)、PREDNICEN-M(登録商標)又はLIQUID PRED(登録商標))及びトリアムシノロン(例えばAZMACORT(登録商標))を含む。
【0062】
非ステロイド系抗炎症薬の非限定的な例は、ジクロフェナク(例えばARTHROTEC(登録商標))、ジフルニサル(例えばDOLOBID(登録商標))、エトドラク(例えばLODINE(登録商標))、フェノプロフェン(例えばNALFON(登録商標))、イブプロフェン(例えばADVIL(登録商標)、小児用ADVIL/MOTRIN(登録商標)、MEDIPREN(登録商標)、MOTRIN(登録商標)、NUPRIN(登録商標)又はPEDIACARE FEVER(登録商標))、インドメタシン(例えばARTHREXIN(登録商標))、ケトプロフェン(例えばORUVAIL(登録商標))、ケトロラク(例えばTORADOL(登録商標))、ホスホマイシントロメタミン(例えばMONURAL(登録商標))、メクロフェナメイト(例えばMeclomen(登録商標))、ナブメトン(例えばRELAFEN(登録商標))、ナプロキセン(例えばANAPROX(登録商標)、ANAPROX(登録商標)DS、EC-NAPROS YN(登録商標)、NAPRELAN(登録商標)又はNAPROSYN(登録商標))、オキサプロジン(例えばDAYPRO(登録商標))、ピロキシカム(例えばFELDENE(登録商標))、スリンダク(例えばCLINORIL(登録商標))、及びトルメチン(例えばTOLECTIN(登録商標)DS又はTOLECTIN(登録商標))を含む。
【0063】
関心対象の他の実施態様において、第二活性物質は:抗マラリア薬、例えばクロロキン(例えばARALEN(登録商標))及びヒドロキシクロロキン(例えばPLAQUENIL(登録商標));免疫抑制薬、例えばアザチオプリン(例えばIMURAN(登録商標))、シクロホスファミド(例えばCYTOXAN(登録商標))、クロラムブシル(例えばLEUKERAN(登録商標))及びメルファラン(例えばALKERAN(登録商標));並びに、免疫調節化合物、例えばアザチオプリン(例えばIMURAN(登録商標))、シクロホスファミド(例えばCYTOXAN(登録商標))、メトトレキセート(例えばRHEUMATREX(登録商標))及びシクロスポリン(例えばNEORAL(登録商標)又はSANDIMMUNE(登録商標));を含むが、これらに限定されるものではない。
【0064】
関心対象の更なる実施態様において、第二活性物質は:抗生物質(治療的又は予防薬)、例えば非限定的に、アンピシリン(例えばUNASYN(登録商標))、テトラサイクリン(例えばACHROMYCIN(登録商標)又はSUMYCIN(登録商標))、ペニシリン(例えばAMOXIL(登録商標)、POLYMOX(登録商標)、TRIMOX(登録商標)、SPECTROBID(登録商標)又はGEOCILLIN(登録商標))、セファロスポリン(例えばOMNICEF(登録商標)、SPECTRACEF(登録商標)、SUPRAX(登録商標)、VANTIN(登録商標)、CEFZIL(登録商標)又はCEDAX(登録商標))、ストレプトマイシン(例えばZANOSAR(登録商標))、カナマイシン(例えばKANTREX(登録商標))及びエリスロマイシン(例えばE.E.S.(登録商標)、E-MYCIN(登録商標)、ERYC(登録商標)、ERY-TAB(登録商標)、ERYTHROCIN(登録商標)又はPCE(登録商標));抗ウイルス薬、例えば非限定的に、アマンタジン(例えばSYMMETREL(登録商標))、リマンタジン(例えばFLUMADINE(登録商標))、アシクロビル(例えばZOVIRAX(登録商標))及びリバビリン(例えばVIRAZOLE(登録商標));免疫グロブリン;免疫増強薬、例えば非限定的に、レバミソール(例えばERGAMISOL(登録商標))及びイノシンプラノベクス(ISOPRINOSINE(登録商標));生物製剤、例えば非限定的に、γグロブリン、転写因子、インターロイキン及びインターフェロン;ホルモン、例えば非限定的に、胸腺ホルモン;並びに、他の免疫学的物質、例えば非限定的に、B細胞刺激剤(例えばBAFF/BlyS)、サイトカイン(例えばIL-2、IL-4及びIL-5)、増殖因子(例えば、TGF-β)、抗体(例えば抗-CD40及びIgM)、メチル化されないCpGモチーフを含むオリゴヌクレオチド(例えばTCGTCGTTTTGTCGTTTTGTCGTT)及びワクチン(例えば、ウイルス及び腫瘍ペプチドワクチン);を含むが、これらに限定されるものではない。
【0065】
別の実施態様において、本発明の方法を、皮膚狼瘡の治療、予防及び/又は管理に使用される別の方法と組み合わせて使用することができる。他の方法の例は、幹細胞移植、例えばポリエチレングリコールに結合したウシアデノシンデアミナーゼ(PEG-ADA)を使用する酵素交換療法、胎児胸腺移植、培養された新生児胸腺移植、胸腺上皮細胞移植及び胎児肝臓移植を含むが、これらに限定されるものではない。
【0066】
本発明の特定的方法は、少なくとも1つの第二活性物質又は別の治療法と組み合わせて、(+)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4-アセチルアミノイソインドリン-1,3-ジオン、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン若しくはシクロプロピル2-[(1S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]-3-オキソイソインドリン-4-イル}カルボキサミド、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは立体異性体を投与することを含む。
【0067】
患者への本発明の化合物及び少なくとも1つの第二活性物質の投与は、同じ又は異なる投与経路により同時に又は連続して行うことができる。特定の第二活性物質について使用される特定の投与経路の適性は、第二活性物質それ自身(例えば血流へ侵入する前に分解することなく、局所的又は経口的に投与され得るかどうか)及び治療される疾患によって決まる。本発明の化合物の特定の投与経路は、局所的投与である。本発明の第二活性物質又は成分の特定の投与経路は、当業者に公知である。例えば「メルクマニュアル(The Merck Manual)430-431頁(第17版、1999)を参照されたい。
【0068】
投与される第二活性物質の量は:使用される具体的物質、治療又は管理される疾患の種類;疾患の重症度及び病期;並びに患者へ同時投与される本発明の化合物及び任意に添加される第二活性物質の量;を基に決定される。当業者は、当該技術分野において公知の従来の手順に従い、具体的量を決定することができる。開始時には、その療法において従来使用されている第二活性物質の量から出発して、先に説明された要因に従い量を調節する。例えば「医師用卓上参考書(Physician's Desk Reference)」(第56版、2004)を参照されたい。更に、皮膚狼瘡の治療、予防及び/又は管理のための、本明細書において開示している第二活性物質の投与量及び投与方法は、文献、例えば、本明細書に引用により組み込まれている「医師用卓上参考書(Physician's Desk Reference)」(第56版、2004)中に開示されている。
【0069】
(5.3.2 循環療法)
一部の実施態様において、本発明の化合物は、循環して患者へ投与することができる。循環療法には、一定期間の本発明の化合物の投与と、それに続く休薬期間及びこの逐次投与の繰り返しが関与する。循環療法は、1種以上の療法に対する耐性の発生を減少させ、療法の一方の副作用を回避又は軽減させ、及び/又は治療の有効性を改善させることができる。
【0070】
結果的に、本発明の1つの具体的実施態様において、本発明の化合物を、約1又は2週間の休薬期間を伴う4〜6週間サイクルの間、毎日単回投与量又は分割投与量で投与する。本発明は更に、投与サイクルの頻度、回数及び長さを増加させることができる。したがって、本発明の別の具体的実施態様は、単独で投与される場合の典型よりも、より多くのサイクルに関する本発明の化合物の投与を包含している。本発明の更に別の具体的実施態様において、本発明の化合物は、第二の活性成分も投与されない患者において用量規定毒性を通常もたらすであろうより多くのサイクル数で投与される。
【0071】
一実施態様において、(+)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4-アセチルアミノイソインドリン-1,3-ジオンは、1日当たり約10〜約200mgの用量で毎日及び3又は4週間連続して投与し、続いて1又は2週間休薬する。別の実施態様において、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンは、1日当たり約0.1〜約5mgの用量で毎日及び3又は4週間連続して投与し、続いて1又は2週間休薬する。特定の実施態様において3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンは、4又は6週間の周期において、約5、10、25又は50mg/日の量で、好ましくは約25mg/日の量で3〜4週間投与し、続いて1又は2週間休薬する。別の実施態様において、シクロプロピル{2-[(1S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]-3-オキソイソインドリン-4-イル}カルボキサミドは、1日当たり約10〜約200mgの用量で毎日及び3〜4週間連続して投与し、続いて1又は2週間休薬する。
【0072】
本発明の別の実施態様において、本発明の化合物及び第二の活性成分を、経口的に投与し、本発明の化合物の投与は、4〜6週間のサイクルの間、第二の活性成分投与前の30〜60分間で行われる。本発明の別の実施態様において、本発明の化合物と第二の活性成分との組合せを、全てのサイクルで、約90分かけて静脈内注入により投与される。具体的実施態様において、1サイクルは、3〜4週間にわたり毎日、約0.1〜約200mg/日の本発明の化合物及び約50〜約200mg/m2/日の第二の活性成分の投与、並びにその後の1又は2週間の休薬を含む。別の具体的実施態様において、各サイクルは、3〜4週間にわたる、約1〜約25mg/日の、本発明の化合物及び約50〜約200mg/m2/日の第二の活性成分の投与、並びにその後の1又は2週間の休薬を含む。典型的には、該併用療法が患者へ投与される間のサイクル数は、約1〜約24サイクルであり、より典型的には約2〜約16サイクルであり、更により典型的には約4〜約3サイクルである。
【0073】
本発明の方法により投与される医薬組成物の量は、治療される被験者、障害の重症度又は障害の症状、投与の方法、投与の頻度及び処方する医師の判断によって決まるであろう。
投与の頻度は、約1時間毎の用量〜1カ月毎の用量の範囲内にある。特定の実施態様において、投与は1日当たり8回〜1日おきに1回、又は1日当たり1〜3回である。特定の実施態様において、本発明の医薬組成物は、長期にわたって例えば毎日投与される。
当業者には明らかであるように、一部の場合には、本明細書において開示している範囲外にある活性成分の投与量を用いる必要があるかも知れない。その上、臨床医又は治療医師には、個々の患者の応答に関連して如何に又何時治療を中断、調整又は終了するか分かっている点が注目される。
【0074】
(5.4 用量)
本発明の一実施態様において、(+)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4-アセチルアミノイソインドリン-1,3-ジオンは、1日1回の単回用量とした場合、好ましくは1日にわたって分割した用量とした場合1日当たり約1mg〜約1000mgの量で経口的に単回又は分割した1日量で投与することができる。より具体的には(+)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4-アセチルアミノイソインドリン-1,3-ジオンの1日量が毎日2回、等分割した用量で投与される。具体的には(+)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4-アセチルアミノイソインドリン-1,3-ジオンの1日量範囲は1日当たり約5mg〜約500mg、より具体的には1日当たり約10mgと約200mgの間とすることができる。具体的には(+)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4-アセチルアミノイソインドリン-1,3-ジオンの1日量は、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、50mg又は100mg剤形で投与できる。患者を管理する場合、治療は、患者の全体的応答に応じて単回用量又は分割用量のいずれかとして、より低い用量、恐らく1日当たり約1mg〜約25mgで開始し、必要な場合約200mg〜約1000mgまで増加させる。別法として、1日量は、0.01mg/kg〜100mg/kgである。
【0075】
一実施態様において、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンは、約0.1〜約100mgの量で投与することができる。特定の実施態様において、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンは、1日当たり約1〜約100mgの量で投与できる。特定の実施態様において、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンは、1日当たり約0.1〜約2mg、又は別法として1日おきに約0.1〜約5mgの量で投与できる。特定の実施態様において、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンは、1日当たり約0.5〜約2mg、又は別法として1日おきに約5mgの量で投与できる。
一実施態様において、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンは、約1〜約150mgの量で投与することができる。特定の実施態様において、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンは、1日当たり約5〜約25mg、又は別法として1日おきに約10〜約50mgの量で投与できる。
【0076】
本発明の更なる実施態様において、シクロプロピル{2-[(1S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]-3-オキソイソインドリン-4-イル}カルボキサミドは、1日1回の単回用量とした場合、好ましくは1日にわたって分割した用量とした場合1日当たり約1mg〜約1000mgの量で経口的に単回又は分割した1日量で投与することができる。より具体的にはシクロプロピル{2-[(1S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]-3-オキソイソインドリン-4-イル}カルボキサミドの1日量が毎日2回、等分割した用量で投与される。具体的にはシクロプロピル{2-[(1S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]-3-オキソイソインドリン-4-イル}カルボキサミドの1日量範囲は1日当たり約5mg〜約500mg、より具体的には1日当たり約10mgと約200mgの間とすることができる。具体的にはシクロプロピル{2-[(1S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]-3-オキソイソインドリン-4-イル}カルボキサミドの1日量は、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、50mg又は100mg剤形で投与できる。患者を管理する場合、治療は、患者の全体的応答に応じて単回用量又は分割用量のいずれかとして、より低い用量、恐らく1日当たり約1mg〜約25mgで開始し、必要な場合約200mg〜約1000mgまで増加させる。別法として、1日量は、0.01mg/kg〜100mg/kgである。
【0077】
以下の5.5節において本発明の種々の剤形を考察している。一実施態様において、本発明の典型的な剤形は、約0.10〜約1000mg、約0.10〜約800mg、約0.10〜約600mg、約0.10〜約500mg、約0.10〜約400mg、約0.10〜約300mg、約0.10〜約200mg又は約0.10〜約100mgの量における(+)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4-アセチルアミノイソインドリン-1,3-ジオン又はシクロプロピル{2-[(1S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]-3-オキソイソインドリン-4-イル}カルボキサミドを含む。一実施態様において、典型的な剤形は、約1、2、5、10、25、50、100、150、200、250、300、350、400、450又は500mgの量で、この化合物を含む。
【0078】
一実施態様において、本発明の典型的な剤形は、約0.1〜約150mgの量における4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンを含む。特定の実施態様において、剤形は、約0.1、1、2又は5mgの量における4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンを含む。特定の実施態様において、剤形は、約5、10、15、25又は50mgの量における3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンを含む。
一実施態様において、典型的な剤形は、1〜約1000mg、約5〜約500mg、約10〜約350mg又は約50〜約200mgの量で第二活性成分を含む。もちろん薬剤の特定的な量は、使用される特定の薬剤、治療若しくは管理される疾患又は障害のタイプ、並びに患者に同時に投与される本発明の化合物及び任意の場合による更なる第二活性物質の量によって決まるであろう。
【0079】
(5.5 医薬組成物及び剤形)
医薬組成物を、個々の単回単位剤形の調製に使用することができる。本発明の医薬組成物及び剤形は、本発明の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは立体異性体と、任意に第二活性物質とを含むことができる。任意の第二活性物質は本明細書において開示している(例えば5.3.1節を参照されたい)。本発明の医薬組成物及び剤形は更に、1種以上の担体、賦形剤又は希釈剤を含有することができる。
【0080】
本発明の単回単位剤形は、経口的、経粘膜的(例えば舌下、経鼻、経膣、嚢胞内、経直腸、経包皮、眼内、頬内又は耳内)、非経口的(例えば皮下、静脈内、ボーラス注射、筋肉内又は動脈内)、局所的(例えば、点眼又は他の眼科用調合薬)、経皮的又は経表皮的な患者への投与に適している。剤形の非限定的な例は、錠剤;カプレット;カプセル剤、例えば弾性のある軟ゼラチンカプセル剤;カシェ剤;トローチ剤;舐剤;分散剤;坐剤;散剤; エアロゾル剤(例えば経鼻噴霧剤又は吸入剤);ゲル剤;懸濁剤(例えば、水性又は非水性液体懸濁剤、水中油型乳剤又は油中水型液体乳剤)、液剤及びエリキシル剤を含む、患者への経口又は経粘膜投与に適した液体剤形;患者への非経口的投与に適した液体剤形;点眼剤又は他の局所性投与に適した眼科用調合薬;並びに、患者への非経口的投与に適している液体剤形を提供するために、再構成することができる、無菌の固形物(例えば晶質又は非晶質固形物);を含む。
【0081】
本発明の剤形の組成、形状及び種類は、典型的にはそれらの用途に応じて変動するであろう。例えば疾患の迅速治療に使用される剤形は、1種以上の活性成分を大量に含んでいてよく、これは同疾患の慢性治療において使用される剤形よりも多くを含有する。同様に非経口剤形は、より少ない量の1種以上の活性成分を含んでよく、これは同疾患の治療において使用される経口剤形よりも少なく含有する。本発明に包含される具体的剤形が互いに変動するこれら及びその他の方法は、当業者には容易に明らかであろう。例えば「レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」第18版、Mack Publishing、イーストン、PA(1990)を参照されたい。
【0082】
典型的医薬組成物及び剤形は、1種以上の賦形剤を含有する。好適な賦形剤は、製薬業者に周知であり、且つ好適な賦形剤の非限定的な例が本明細書において提供されている。特定の賦形剤が医薬組成物又は剤形への組込みに適しているかどうかは、これらに限定されるものではないが、剤形が患者へ投与される経路を含む、周知の様々な要因によって決まる。例えば錠剤などの経口剤形は、非経口剤形での使用には適さない賦形剤を含有してもよい。特定の賦形剤の適性は、剤形中の特定の活性成分に応じても決まるであろう。例えば、一部の活性成分の分解は、乳糖のような一部の賦形剤によるか又は水へ曝露された場合に促進させることができる。第1級又は第2級アミンを含む活性成分は、特にそのような促進された分解を受けやすい。したがって本発明は、含むとしても、乳糖又は他の単糖若しくは二糖はほとんど含まない医薬組成物及び剤形を包含している。本明細書において使用される用語「乳糖-非含有」とは、存在するとしても、存在する乳糖の量は、活性成分の崩壊速度を実質的に増大させるには不充分であることを意味する。
【0083】
本発明の乳糖-非含有組成物は、当該技術分野において周知であり、且つ例えば米国薬局方(USP)25-NF20(2002)に列記されたような、賦形剤を含むことができる。概して乳糖-非含有組成物は、医薬として適合性があり且つ医薬として許容し得る量の、活性成分、結合剤/充填剤及び滑沢剤を含有する。特定の乳糖-非含有剤形は、活性成分、微晶質セルロース、アルファ化デンプン及びステアリン酸マグネシウムを含有する。
【0084】
水は一部の化合物の崩壊を促進することができるので、本発明は更に、活性成分を含有する無水の医薬組成物及び剤形を包含している。例えば水の添加(例えば5%)は、長期にわたる製剤の製品寿命又は安定性などの特徴を決定するために、長期貯蔵を模倣する手段として、医薬技術分野において広く受け入れられている。例えばJens T. Carstensenの「薬物安定性:原理と実践(Drug Stability: Principles & Practice)」(第2版、Marcel Dekker、ニューヨーク、NY、1995年、pp.379-80)を参照されたい。実際に、水及び熱は、一部の化合物の分解を促進する。それゆえ、製剤の製造、取り扱い、包装、貯蔵、出荷及び使用時には、水分及び/又は湿分に普通に遭遇するので、製剤における水の作用は、非常に重要であり得る。
【0085】
本発明の無水医薬組成物及び剤形は、無水又は低い水分を含有する成分及び低水分又は低湿分条件を用い、調製することができる。製造、包装及び/又は貯蔵時の水分及び/又は湿分との実質的な接触が予想される場合には、乳糖、及び第1級又は第2級アミンを含む少なくとも1種の活性成分を含有する医薬組成物及び剤形は、無水であることが好ましい。
無水医薬組成物は、その無水の性質が維持されるように、調製及び貯蔵すべきである。したがって無水組成物は、水への曝露を防止することが公知である材料を使用して、包装されることが好ましく、その結果これらは、好適な処方キット(formulary kit)に含まれ得る。好適な包装の非限定的な例は、密封のシールフォイル、プラスチック、単位用量用容器(例えばバイアル)、ブリスターパック、及びストリップパックである。
【0086】
本発明は更に、活性成分を分解する速度を低下させる1種以上の化合物を含有する医薬組成物及び剤形を含む。そのような化合物は、本明細書において「安定剤」と称され、これらはアスコルビン酸のような抗酸化剤、pH緩衝剤又は塩緩衝剤を含むが、これらに限定されるものではない。同様に剤形中の賦形剤の量及び種類のような、活性成分の量及び具体的種類は、限定ではないが、患者へ投与される経路などの要因に応じて異なり得る。
【0087】
(5.5.1 経口剤形)
経口投与に適している本発明の医薬組成物は、限定ではないが、錠剤(例えばチュアブル錠)、カプレット、カプセル剤及び液剤(例えば風味付けシロップ剤)などの、個別の剤形として提示することができる。このような剤形は、限定量の活性成分を含有し、当業者に周知の調剤法により調製することができる。一般に「レミントンの薬学」(第18版、Mack Publishing、イーストン PA(1990))を参照されたい。
【0088】
本発明の典型的な経口剤形は、通常の医薬配合技術に従い、少なくとも1種の賦形剤との密な混合剤中に活性成分を混合することより調製される。賦形剤は、投与に望ましい調製形態に応じ、多種多様な形をとることができる。経口の液剤又はエアロゾル剤の剤形における使用に適した賦形剤の非限定的な例は、水、グリコール、油類、アルコール、香味剤、保存剤及び着色剤を含む。固形経口剤形(例えば散剤、錠剤、カプセル剤及びカプレット)における使用に適した賦形剤の非限定的な例は、デンプン、糖類、微晶質セルロース、希釈剤、顆粒化剤、滑沢剤、結合剤及び崩壊剤を含む。
【0089】
投与の容易さのために、錠剤及びカプセル剤は、最も有利な経口投与単位剤形を表し、それらの場合、固形賦形剤が使用される。所望であれば、錠剤を、標準の水性又は非水性技術により被覆することができる。そのような剤形は、調剤法のいずれかにより調製することができる。一般に医薬組成物及び剤形は、活性成分を、液体担体、細分された固形担体又は両方と均質且つ密に混合することによって調製し、必要ならばその後に該生成物を所望の外形(presentation)へ造形する。
【0090】
例えば、錠剤は、圧縮又は成形により調製することができる。圧縮錠は、粉末又は顆粒などの自在に流動する形の活性成分を、任意に賦形剤と混合し、好適な機械において圧縮することにより、調製することができる。成形錠は、不活性液体希釈剤で湿潤された粉末化化合物の混合物を、好適な機械において成形することにより、製造することができる。
【0091】
本発明の経口剤形において使用することができる賦形剤の非限定的な例は、結合剤、充填剤、崩壊剤及び滑沢剤を含む。医薬組成物及び剤形における使用に適した結合剤の非限定的な例は、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン又は他のデンプン、ゼラチン、天然及び合成のゴム、例えばアカシアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、トラガント粉末、グアーガム、セルロース及びその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、番号 2208、2906、2910)、微晶質セルロース及びそれらの混合物である。
【0092】
微晶質セルロースの好適な形態の非限定的な例は、AVICEL-PH-101、AVICEL-PH-103、AVICEL RC-581、AVICEL-PH-105(FMC社、American Viscose Division、Avicel Sales、マーカスフック、PAから入手可能)として販売されている物質及びそれらの混合物を含む。具体的結合剤は、AVICEL RC-581として販売されている、微晶質セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムの混合物である。好適な無水又は低水分の賦形剤又は添加剤は、AVICEL-PH-103(商標)及びデンプン1500 LMを含む。
【0093】
本明細書に開示された医薬組成物及び剤形において使用するために適した充填剤の非限定的な例は、タルク、炭酸カルシウム(例えば顆粒又は粉末)、微晶質セルロース、粉末化されたセルロース、デキストラン、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン及びそれらの混合物を含む。本発明の医薬組成物中の結合剤又は充填剤は、典型的には、医薬組成物又は剤形の約50〜約99重量%で存在する。
【0094】
水性環境に曝された場合に崩壊する錠剤を提供するために、崩壊剤を本発明の組成物において使用する。多すぎる崩壊剤を含有する錠剤は、貯蔵時に崩壊するが、少なすぎるものを含有する錠剤は、望ましい速度又は望ましい条件下で崩壊しないことがある。したがって、活性成分の放出を有害に変更しないよう多すぎも少なすぎもしない十分量の崩壊剤を使用して、本発明の固形経口剤形を形成する。使用される崩壊剤の量は、製剤の種類に応じて変動し、当業者には容易に認識可能である。典型的医薬組成物は、約0.5〜約15重量%の崩壊剤、好ましくは約1〜約5重量%の崩壊剤を含有する。
【0095】
本発明の医薬組成物及び剤形において使用することができる崩壊剤の非限定的な例は、アガーアガー、アルギン酸、炭酸カルシウム、微晶質セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモ又はタピオカデンプン、他のデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ガム及びそれらの混合物を含む。
【0096】
本発明の医薬組成物及び剤形において使用することができる滑沢剤の非限定的な例は、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽鉱油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、硬化植物油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ひまわり油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及びダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、アガー及びそれらの混合物を含む。追加の滑沢剤は、例えば、シロイドシリカゲル(AEROSIL200、W.R. Grace Co.(ボルチモア、MD)製造)、合成シリカの共凝集化エアロゾル(Degussa 社.(ピアノ、TX)から販売)、CAB-O-SIL(パイロジェン性二酸化ケイ素製品、Cabot 社.(ボストン、MA)から販売)及びそれらの混合物を含む。滑沢剤は、仮にも使用される場合には、典型的にはそれらが組み込まれる医薬組成物又は剤形の約1重量%未満の量で使用される。
【0097】
本発明の特定の固体経口剤形は、本発明の化合物(例えば(+)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4-アセチルアミノイソインドリン-1,3-ジオン、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン又はシクロプロピル{2-[(1S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]-3-オキソイソインドリン-4-イル}カルボキサミド)、無水乳糖、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸、コロイド状無水シリカ及びゼラチンを含む。
【0098】
(5.5.2 遅延放出性剤形)
本発明の活性成分は、放出制御手段によるか、又は当業者に周知である送達装置より投与することができる。放出制御手段又は送達装置の非限定的な例は、米国特許第3,845,770号;第3,916,899号;第3,536,809号;第3,598,123号;及び、第4,008,719号、第5,674,533号、第5,059,595号、第5,591,767号、第5,120,548号、第5,073,543号、第5,639,476号、第5,354,556号及び第5,733,566号に開示されたものを含み、これらは本明細書に引用により組み込まれている。そのような剤形を使用し、様々な割合で望ましい放出プロファイルを提供するために、例えば、ヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリクス、ゲル、透過膜、浸透圧システム、多層コーティング、微小粒子、リポソーム、ミクロスフェア又はそれらの組合せを用いる、1種以上の活性成分の遅延放出又は放出制御を提供することができる。本明細書に開示されたものを含む、当業者に公知である好適な放出制御性製剤は、本発明の活性成分と共に使用するために容易に選択することができる。したがって本発明は、これらに限定されないが、放出制御に適合化された、非限定的に錠剤、カプセル剤、ジェルキャップ及びカプレットなどの経口投与に適した単位剤形を包含している。
【0099】
全ての放出制御性医薬製品は、それらの制御されない放出の対応物により実現されるものに勝る薬物療法を向上させるという共通の目的を有する。理想的には、医療において最適にデザインされた放出制御性調製物の使用は、最短の時間で当該状態を治癒又は制御するために使用される最小の薬物により特徴付けられる。放出制御性製剤の利点は、拡大された薬物の活性、低下された投与頻度、及び増大した患者の服薬遵守を含む。加えて放出制御性製剤を使用して、作用の開始時点又は他の特徴、例えば薬物の血中レベルに影響を及ぼすことができ、その結果副作用(例えば有害作用)の発生に影響を及ぼすことができる。
【0100】
ほとんどの放出制御性製剤は、望ましい治療的作用を即座に生じる量の薬物(活性成分)を最初に放出し、長期間にわたりその治療的又は予防的作用のレベルを維持するための別の量の薬物を徐々に継続して放出するようにデザインされる。体内でこの一定レベルの薬物を維持するために、該薬物は、代謝されて体から排泄される薬物の量と置き換わる速度でその剤形から放出されなければならない。活性成分の放出制御は、pH、温度、酵素、水若しくは他の生理的条件又は化合物を含むが、これらに限定されるものではない様々な条件により刺激することができる。
【0101】
(5.5.3 非経口剤形)
非経口剤形は、皮下、静脈内(ボーラス注射を含む)、筋肉内及び動脈内を含むが、これらに限定されるものではない様々な経路により、患者へ投与することができる。それらの投与は典型的には、汚染物質に対する患者の自然の防御を迂回するので、非経口剤形は、無菌であるか又は患者への投与前に滅菌可能であることが好ましい。非経口剤形の非限定的な例は、そのまま注射できる液剤、注射のために医薬として許容し得るビヒクル中に容易に溶解又は懸濁される乾燥製品、そのまま注射できる懸濁剤及び乳剤を含む。
【0102】
本発明の非経口剤形を提供するために使用することができる好適なビヒクルは、当業者に周知である。好適なビヒクルの非限定的な例は、注射用水(米局方);水性ビヒクル、例えば非限定的に、注射用塩化ナトリウム液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロース及び塩化ナトリウム注射液並びに乳酸リンゲル注射液など;水混和性ビヒクル、例えば非限定的に、エチルアルコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールなど;並びに、非水性ビヒクル、例えば非限定的に、トウモロコシ油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル及び安息香酸ベンジルなど;を含む。
本明細書に開示された1種以上の活性成分の溶解度を増加する化合物は、本発明の非経口剤形に混入することもできる。例えば、シクロデキストリン及びその誘導体を使用し、本発明の化合物及びその誘導体の溶解度を増加させることができる。
【0103】
(5.5.4 局所的、経皮的及び経粘膜剤形)
薬物は、皮膚及びその付属器へ又は様々な粘膜へ局所的に適用することができる。使用することができる経路は、局所的、経皮的、舌下、経鼻、経膣、嚢胞内、経直腸、経包皮、眼内、頬内又は耳内を含む。多くの剤形が、局所作用を生じるための適用部位へ活性主薬を送達するために開発されている。本発明の経皮的、局所的及び粘膜用剤形は、点眼剤、噴霧剤、エアロゾル剤、クリーム剤、ローション剤、軟膏剤、ゲル剤、液剤、乳剤、懸濁剤又は当業者に公知の他の形態を含むが、これらに限定されるものではない。例えば「レミントンの薬学」第16版及び第18版(Mack Publishing、イーストン PA(1980及び1990年));及び「医薬剤形への手引き(Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms)」第4版(Lea & Febiger、フィラデルフィア(1985年))を参照されたい。口腔内の粘膜組織を治療するのに適した剤形は、含嗽剤又は経口ゲル剤として製剤することができる。更に、経皮的剤形は、皮膚に適用することができ、所望量の活性成分の浸透が可能となる特定の時間的期間の間つけることができる「容器型」又は「マトリックス型」貼剤を含む。
【0104】
本発明に包含される経皮的、局所的及び粘膜用剤形を提供するために使用することができる好適な賦形剤(例えば担体及び希釈剤)及び他の材料は、医薬分野の業者に周知であり、並びに所定の医薬組成物又は剤形が適用される具体的組織に応じて決まる。この事実に留意し、典型的な賦形剤は、無毒性の、医薬として許容し得るローション剤、チンキ剤、クリーム剤、乳剤、ゲル剤又は軟膏剤を形成する水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン1,3ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油及びそれらの混合物を含むが、これらに限定されるものではない。閉鎖剤(occlusive)、保湿剤、緩和剤及びタンパク質若返り剤(rejuvenator)などの湿潤剤も、所望であれば医薬組成物及び剤形へ添加することができる。そのような追加成分の例は、当該技術分野において周知である。例えば「レミントン薬学」第16版及び第18版(Mack Publishing、イーストン PA (1980及び1990年))を参照されたい。
【0105】
閉鎖剤は、角質層内の水分の喪失を物理的にブロックする物質である。閉鎖剤の非限定的な例は、ワセリン、ラノリン、鉱油、ジメチコーンのようなシリコーン、酸化亜鉛及びそれらの組合せを含む。好ましい閉鎖剤は、ワセリン及びラノリンであり、より好ましくは最少濃度5%のワセリンである。
保湿剤は、皮膚へ適用された場合に、水を皮膚へ引きつけ、且つ理論的には角質層の水和を改善する物質である。しかし皮膚に引きつけられた水は、他の細胞由来の水であり、大気中の水ではない。この種の保湿剤によっては、皮膚からの蒸発は継続し、実際には乾燥は増悪し得る。保湿剤の非限定的な例は、グリセリン、ソルビトール、尿素、アルファヒドロキシ酸、糖類及びそれらの組合せを含む。好ましい保湿剤は、アルファヒドロキシ酸、例えばグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸及び酒石酸などである。
【0106】
緩和剤は、油滴により皮膚薄片間の空間を満たすことにより、皮膚を滑らかにする物質であり、通常厚く適用されない限りは、閉塞しない。乳化剤と併用される場合は、これらは、角質層内の油分及び水分の保持を補助することができる。ビタミンEは、緩和剤として以外は、作用はないようである、一般的添加剤である。同様に他のビタミン類、例えばビタミンA及びビタミンDも添加されるが、それらの作用は疑問の余地がある。緩和剤の非限定的な例は、鉱油、ラノリン、脂肪酸、コレステロール、スクワレン、構造脂質及びそれらの組合せを含む。
タンパク質若返り剤は、必須タンパク質の補給により、皮膚を若返らせる物質である。タンパク質若返り剤の非限定的な例は、コラーゲン、ケラチン、エラスチン及びそれらの組合せを含む。
【0107】
治療しようとする特定の組織に応じて、本発明の活性成分による治療の前に、治療に関連して、或いは治療の後で、更なる成分が使用できる。例えば、組織への活性成分の輸送を助ける浸透促進剤を使用することができる。適切な浸透促進剤は、アセトン;エタノール、オレイル及びテトラヒドロフリルなどの種々のアルコール;ジメチルスルホキシドなどのアルキルスルホキシド;ジメチルアセトアミド;ジメチルホルムアミド;ポリエチレングリコール;ポリビニルピロリドンなどのピロリドン;コリドングレード(Kollidon grades)(ポビドン(Povidone)、ポリビドン(Polyvidone));尿素;及び、Tween 80(ポリソルベート 80)及びスパン(Span)60(ソルビタンモノステアレート)などの種々の水溶性若しくは不溶性糖エステルを含むが、これらに限定されるものではない。
【0108】
医薬組成物又は剤形のpHを調整し、1種以上の活性成分の送達を改善させることができる。同様に、溶媒担体の極性、そのイオン強度又は張性も、送達を改善するために調節することができる。例えば皮膚を介した吸収は、閉鎖性包帯、塗油(inunction)又は担体としてのジメチルスルホキシドの使用により増強することもできる。ステアリン酸金属塩(例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カリウムなど)などの化合物を、医薬組成物又は剤形へ添加して、送達を改善するために、1種以上の活性成分の親水性又は親油性を有利に変更することができる。これに関して、ステアリン酸塩は、製剤のための脂質ビヒクルとして、乳化剤又は界面活性剤として、並びに送達増強剤又は浸透増強剤として役立つ。活性成分の様々な塩、水和物又は溶媒和物を使用して、結果的に得られる組成物の特性を更に調節することができる。
【実施例】
【0109】
(6.実施例)
本発明の一部の実施態様は、以下の非限定的実施例により例証される。これらの実施例は、本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。本発明の範囲は、添付された「特許請求の範囲」によってのみ規定される。
【0110】
(実施例1: (+)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4-アセチルアミノイソインドリン-1,3-ジオン[化合物(1)]の調製)
(3-アミノフタル酸の調製)
10%Pd/C(2.5g)、3-ニトロフタル酸(75.0g、355ミリモル)及びエタノール(1.5L)の混合物を、窒素下で2.5LのParr社水素化装置に装入した後、この反応容器に55psi(379kPa)まで水素を装入した。この混合物を13時間振盪し、この間水素圧力を50psi(245kPa)と55psi(379kPa)の間に維持した。水素を放出させ、混合物を窒素で3回パージした。この懸濁液を、セライト床を通過させて濾過し、メタノールで濯いだ。真空中で濾液を濃縮して、固体を生成させた。この固体をエーテル中に懸濁させ、真空濾過により単離した。この固体を一定重量となるまで真空乾燥して、黄色生成物として3-アミノフタル酸54g(収率84%)を得た。DMSO-d6中の生成物は、以下の化学シフト(δ ppm)を示す1H NMRスペクトルにより特性決定を行った: 3.17 (s, 2H), 6.67 (d, 1H), 6.82 (d, 1H), 7.17 (t, 1H), 8-10 (brs, 2H). DMSO-d6中の生成物は、以下の化学シフト(δ ppm)を示す13C-NMRスペクトルにより特性決定を行った: 112.00, 115.32, 118.20, 131.28, 135.86, 148.82, 169.15, 170.09.
【0111】
(無水3-アセトアミドフタル酸の調製)
3-アミノフタル酸(108g、596ミリモル)及び無水酢酸(550mL)の混合物を、機械的撹拌機、温度計及び凝縮器を取り付けた1Lの三つ口丸底フラスコに装入した。この反応混合物を3時間還流し、周囲温度まで冷却し、0〜5℃で更に1時間保持した。真空濾過により結晶性固体を集め、エーテルで洗浄した。この固体生成物を周囲温度で一定重量となるまで真空乾燥して、白色生成物として無水3-アセトアミドフタル酸75g(収率61%)を得た。CDCl3中の生成物は、以下の化学シフト(δ ppm)を示す1H NMRスペクトルにより特性決定を行った: 2.21 (s, 3H), 7.76 (d, 1H), 7.94 (t, 1H), 8.42 (d, 1H), 9.84 (s, 1H).
【0112】
(2-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-1-(メチルスルホニル)-エタ-2-イルアミンの分割)
2-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-1-(メチルスルホニル)-エタ-2-イルアミン(137.0g、500ミリモル)、N-アセチル-L-ロイシン(52g、300ミリモル)及びメタノール(1.0L)の混合物を、機械的撹拌機、温度計及び凝縮器を取り付けた3-Lの三つ口丸底フラスコに装入した。この反応混合物を1時間還流した後、混合物を周囲温度まで冷却させ、次いで周囲温度で更に3時間撹拌した。スラリーを濾過し、メタノール(250L)で洗浄した。この固体を空気乾燥し、次いで周囲温度で一定重量となるまで真空乾燥して、109.5g(収率98%)の未精製生成物(85.8%ee)を得た。未精製固体(55.0g)及びメタノール(440mL)を1時間還流させ、室温まで冷却し、周囲温度で更に3時間撹拌した。このスラリーを濾過し、フィルターケーキをメタノール(200mL)で洗浄した。この固体を空気乾燥し、次いで30℃で一定重量となるまで真空乾燥し、49.6g(回収率90%)の(S)-2-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-1-(メチルスルホニル)-エタ-2-イルアミン-N-アセチル-L-ロイシン塩(98.4%ee)を得た。キラルHPLC(1/99 EtOH/20mM KH2PO4@pH7.0、Agilent Technologiesからのウルトロン(Ultron)キラルES-OVS、150mm×4.6mm、0.5mL/分、@240nm):18.4分(S-異性体、99.2%)、25.5分(R-異性体、0.8%)。
【0113】
((+)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4-アセチルアミノイソインドリン-1,3-ジオンの調製)
500mLの三つ口丸底フラスコに機械的撹拌機、温度計及び凝縮器を取り付けた。この反応容器に、(S)-2-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-1-(メチルスルホニル)-エタ-2-イルアミンN-アセチル-L-ロイシン塩(25g、56ミリモル、98%ee)、無水3-アセトアミドフタル酸(12.1g、58.8ミリモル)及び氷酢酸(250mL)を装入した。この混合物を1晩還流し、次いで<50℃まで冷却した。真空中で溶媒を除去した後、その残渣を酢酸エチルに溶解した。得られた溶液を水(250mL×2)、飽和NaHCO3水溶液(250mL×2)及び食塩水(250mL×2)で洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。真空中で溶媒を留去した後、その残渣を、エタノール(150mL)とアセトン(75mL)との混合物を含有する二成分溶媒から再結晶させた。真空濾過により固体を単離し、エタノール(100mL×2)で洗浄した。生成物を60℃で一定重量となるまで真空乾燥し、19.4g(収率75%)の(S)-{2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4-イノイソインドリン-1,3-ジオン(98%ee)を得た。キラルHPLC(15/85 EtOH/20mM KH2PO4@pH.5、Agilent TechnologiesからのウルトロンキラルES-OVS、150mm×4.6mm、0.4mL/分@240nm):25.4分(S-異性体、98.7%)、29.5分(R-異性体、1.2%)。CDCl3中の生成物は、以下の化学シフト(δ ppm)を示す1H NMRスペクトルにより特性決定を行った: 1.47 (t, 3H), 2.26 (s, 3H), 2.87 (s, 3H), 3.68-3.75 (dd, 1H), 3.85 (s, 3H), 4.07-4.15 (q, 2H), 4.51-4.61 (dd, 1H), 5.84-5.90 (dd, 1H), 6.82-8.77 (m, 6H), 9.46 (s, 1H). DMSO-d6中の生成物は、以下の化学シフト(δ ppm)を示す13C-NMRスペクトルにより特性決定を行った: 14.66, 24.92, 41.61, 48.53, 54.46, 55.91, 64.51, 111.44, 112.40, 115.10, 118.20, 120.28, 124.94, 129.22, 131.02, 136.09, 137.60, 148.62, 149.74, 167.46, 169.14, 169.48.
【0114】
(実施例2: 4-アミノ-2-(2,6-ジオキソ-3-ピペリジニル)イソインドール-1,3-ジオン[化合物(2)]の調製)
【化5】

機械的撹拌機、凝縮器、窒素入口及び加熱マントルを取り付けた丸底フラスコに、アセトニトリル(42L)及びN-(3-アミノフタロイル)-グルタミン(2120g、7.28モル)の混合物を装入した。混合物を撹拌し、40〜45℃に加熱した後、1,1'-カルボニルジイミダゾール(1290g、7.95モル)を添加した。反応混合物を撹拌し、4.5時間還流した。Waters社ノバパック(Nova-Pak)C18カラム(3.9×150mm、粒径=4ミクロン、UV波長=240nm、保持時間=3.64分)並びに流速1mL/分の20/80アセトニトリル及び0.1体積%H3PO4水溶液の混合物を溶離液として使用したHPLCにより反応の進行をモニターした。室温まで冷却後、反応混合物を濾過して黄色固体を得、続いてこれをアセトニトリル(6.5L)で洗浄した。黄色固体を空気乾燥し、次いで60℃及び圧力<1mmの真空オーブン中で乾燥して1760g(88%)の生成物を得た。Waters社ノバパック(Nova-pak)C18カラム(3.9×150mm、粒径=4ミクロン、UV波長=240nm、保持時間=3.64分)並びに流速1mL/分の20/80アセトニトリル及び0.1体積%H3PO4水溶液の混合物を溶離液として使用したHPLCにより、生成物純度が99.57%であることが見出された。DMSO-d6中の生成物は、以下の化学シフト(δ ppm)を示す1H NMRスペクトル: 11.10 (s, 1H), 7.47(t, J=7.9 Hz, 1H), 7.03-6.99 (dd, J=4.8及び8.4 Hz, 2H), 6.52 (s, 2H), 5.09-5.02 (dd, J=5.3及び12.4 Hz, 1H), 2.96-2.82 (m, 1H), 2.62-2.46 (m, 2H), 2.07-2.00 (m, 1H); 及び以下の化学シフト(δ ppm)を示す13C-NMRスペクトルにより特性決定を行った: 172.82, 170.11, 168.57, 167-37, 146.71, 135.46, 131.99, 121.70, 110.97, 108.52, 48.47, 30.97, 22.14.生成物の融点は、315.5〜317.5℃であることが見出された。元素分析は、重量百分率で次の結果をもたらした:C, 56.98; H, 3.86; N, 15.35。これは、重量百分率でC13H11N3O4の計算値:C, 57.14; H, 4.06; N, 15.38に匹敵した。
【0115】
(実施例3: シクロプロピル{2-[(1S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]-3-オキソイソインドリン-4-イル}カルボキサミドの調製)
シクロプロピル{2-[(1S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]-3-オキソイソインドリン-4-イル}カルボキサミドは、米国特許第6667316号の実施例57の調製手順により調製した。テトラヒドロフラン(10mL)中の7-アミノ-2-[(1S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]イソインドリン-1-オン(1.7g、4.2ミリモル)及び塩化シクロプロパンカルボニル(0.46mL、5.1ミリモル)の混合物を撹拌しながら、還流するまで15分間加熱した。この混合物に室温でメタノール(4mL)を添加し、混合物を10分間撹拌した。真空中で溶媒を除去して油が得られた。この油をエタノール(20mL)から再結晶させて、白色固体(1.4g、収率71%)として化合物(1)を得た;融点172〜174℃; 1HNMR (CDCl3) δ: 0.86-0.93 (m, 2H, 2CHH), 1.07-1.14 (m, 2H, 2CHH), 1.46 (t, J=6.9 Hz, 3H, CH3), 1.63-1.73 (m, 1H, CH), 2.95 (s, 3H, CH3), 3.68 (dd, J=4.4, 14.3 Hz, 1H, CHH), 3.86 (s, 3H, CH3), 4.07 (q, J=7.1 Hz, 2H, CH2), 4.20 (d, J=16.7 Hz, 1H, CHH), 4.21 (dd, J=9.9, 14.3 Hz, 1H, CHH), 4.44 (d, J=16.7 Hz, 1H, CHH), 5.73 (dd, J=4.3, 9.9 Hz, 1H, NCH), 6.84-7.02 (m, 4H, Ar), 7.44 (t, J=7.8 Hz, 1H, Ar), 8.43 (d, J=8.3 Hz, 1H, Ar), 10.46 (s, 1H, NH); 13C-NMR (CDCl3) δ: 8.24, 14.61, 16.10, 41.43, 47.81, 51.55, 55.75, 55.88, 64.56, 111.46, 112.09, 116.69, 116.99, 117.76, 119.17, 129.27, 133.54, 138.06, 141.22, 148.84, 149.67, 169.96, 172.59; 元素分析 C24H28N2O6Sの計算値: C, 61.00; H, 5.97; N, 5.93. 実測値: C, 60.87; H, 6.13; N, 6.12.
【0116】
(実施例4)
【表1】

【0117】
固形成分を最初に、0.6mmメッシュ幅の篩に強制的に通す。次に活性成分、乳糖、タルク、ステアリン酸マグネシウム及びデンプン半量を混合する。活性成分は、本発明の化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは立体異性体である。デンプンの残り半量を水40ml中に懸濁し、この懸濁液を水100ml中のポリエチレングリコールの沸騰溶液に添加する。結果として得られるペーストを粉体物質に添加し、必要ならば該混合物を、水を添加して、造粒する。顆粒を35℃で一晩乾燥させ、1.2mmメッシュ幅の篩に強制的に通し、圧縮し、両側が窪んでいる直径約6mmの錠剤を形成する。
【0118】
(実施例5)
【表2】

【0119】
全ての固形成分を最初に、0.6mmメッシュ幅の篩に強制的に通す。次に活性成分、乳糖、ステアリン酸マグネシウム及びデンプン半量を混合する。デンプンの残り半量を水40ml中に懸濁し、この懸濁液を沸騰水100mlに添加する。結果として得られるペーストを粉体物質に添加し、必要ならば該混合物を、水を添加して、造粒する。顆粒を35℃で一晩乾燥させ、1.2mmメッシュ幅の篩に強制的に通し、圧縮し、両側が窪んでいる直径約6mmの錠剤を形成する。
【0120】
(実施例6)
【表3】

【0121】
全ての固形成分を最初に、0.25mmメッシュ幅の篩に強制的に通す。マンニトール及び乳糖を混合し、ゼラチン溶液を添加して、造粒し、2mmメッシュ幅の篩を強制的に通し、50℃で乾燥させ、再度1.7mmメッシュ幅の篩に強制的に通す。活性成分、グリシン及びサッカリンを慎重に混合する。マンニトール、乳糖顆粒、ステアリン酸及びタルクを添加し、全体を完全に混合し、圧縮し、両側が窪み及び上側に刻み目の入った、直径約10mmの錠剤を形成する。
【0122】
(実施例7)
【表4】

【0123】
固形成分を最初に、0.6mmメッシュ幅の篩に強制的に通す。その後活性成分、乳糖、タルク、ステアリン酸マグネシウム及びデンプンの半量を、密に混合する。残りのデンプンの半量を水65ml中に懸濁し、この懸濁液を、水260ml中のポリエチレングリコールの沸騰溶液に添加した。結果として得られるペーストを粉体物質に添加し、全体を混合し、必要ならば水を添加して、造粒する。顆粒を、35℃で一晩乾燥させ、1.2mmメッシュ幅の篩に強制的に通し、圧縮し、両側が窪み及び上側に刻み目の入った、直径約10mmの錠剤を形成する。
【0124】
(実施例8)
【表5】

【0125】
ラウリル硫酸ナトリウムを、活性成分へと0.2mmメッシュ幅の篩を強制的に通し篩にかけ、これらふたつの成分を、10分間密に混合する。その後微晶質セルロースを、0.9mmメッシュ幅の篩に強制的に通して添加し、全体を再度10分間密に混合する。最後に、ステアリン酸マグネシウムを、0.8mmメッシュ幅の篩に強制的に通して添加し、更に3分間混合した後、この混合物を、サイズ0(長い)ゼラチン乾燥-充填カプセルへ各々140mg部分を導入する。
【0126】
(実施例9)
【表6】

活性成分を、水1000mlに溶解し、ミクロフィルターを通して濾過した。緩衝溶液を添加し、全体を、水で2500mlとした。単位剤形の調製のために、1.0又は2.5ml部分を、各々、ガラス製アンプルへ入れた(各々、活性成分2.0又は5.0mgを含有する)。
【0127】
(実施例10)
【表7】

前記成分を均質に混合し、通常のミキサー又はホモジナイザーを使用し、振盪又は超音波エネルギーにより、軟膏剤を形成する。
【0128】
(実施例11)
【表8】

前記成分を均質に混合し、通常のミキサー又はホモジナイザーを使用し、振盪又は超音波エネルギーにより、ゲル剤を形成する。
【0129】
(実施例12)
【表9】

前記成分を均質に混合し、通常のミキサー又はホモジナイザーを使用し、振盪又は超音波エネルギーにより、糊状剤を形成する。
【0130】
(実施例13)
【表10】

固形成分を液体成分中に均質に分散/溶解し、通常のミキサー又はホモジナイザーを使用し、振盪又は超音波エネルギーにより、液体を形成する。
【0131】
(実施例14)
局所使用のための噴霧剤を、例えば下記の様式で調製することができる:
【表11】

液体組成物及びフレオン114を、テフロン-コートされたアルミニウム製噴霧容器に充填する。
【0132】
(実施例15: ヒト臍帯静脈内皮細胞による試験)
A)材料
実験A〜Kにおいていくつかの接着分子と共に、ライフバンク(LifeBank)から送られたヒト臍帯静脈内皮細胞(Human Umbilical Vein Endothelial Cells)(HUVEC)について試験した。試験した接着分子は、CD51/CD61 FITC(BD PharMingen,San Diego,CA(カリフォルニア)州から入手した;カタログ番号555505)、CD54としても知られるICAM-1 PE(BD PharMingen,San Diego,CA(カリフォルニア)州から入手した;カタログ番号555511)、CD102としても知られるICAM-2(Research Diagnostics Inc.,Concord,MA(マサチューセッツ)州から入手した;カタログ番号RDI-CBL539FT)、VCAM-1(BD PharMingen,San Diego,CA(カリフォルニア)州から入手した;カタログ番号555647)、P-セレクチンFITC(R&D Systems Inc.,Minneapolis,MN(ミネソタ)州から入手した;カタログ番号BBA34)、E-セレクチンFITC(R&D Systems Inc.,Minneapolis,MN(ミネソタ)州から入手した;カタログ番号BBA21)、HLA等級I FITC(BD PharMingen,San Diego,CA(カリフォルニア)州から入手した;カタログ番号555553)、HLA等級II PE(BD PharMingen,San Diego,CA(カリフォルニア)州から入手した;カタログ番号555558)、CD44 FITC(BD PharMingen,San Diego,CA(カリフォルニア)州から入手した;カタログ番号347943)、CD144(カドヘリンVE)(CHEMICON International Inc.,Temecula,CA(カリフォルニア)州から入手した;カタログ番号MAB1989)、IgG2a FITC(BD PharMingen,San Diego,CA(カリフォルニア)州から入手した;カタログ番号#556652)、Ms IgG2a(CHEMICON International Inc.,Temecula,CA(カリフォルニア)州から入手した;カタログ番号PP102)、IgG1 FITC(BD PharMingen,San Diego,CA(カリフォルニア)州から入手した;カタログ番号349041)及びIgG1 PE(BD PharMingen,San Diego,CA(カリフォルニア)州から入手した;カタログ番号349043)であった。
【0133】
化合物(1)((+)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4-アセチルアミノイソインドリン-1,3-ジオン)及び化合物(2)(4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン)は、本明細書において開示している調製手順により得られた。16,16-ジメチル-PGE2(本明細書において以後PGE2)は、BIOMOL International, L.P.(Plymouth Meeting,PA(ペンシルバニア)州;カタログ番号PG-021)から入手した。TNF-αは、Pierce Biotechnology(Rockford,IL(イリノイ)州;カタログ番号RTNFA10)から入手した。
【0134】
B)方法
6-ウエルプレート上で、3mlのEBM(登録商標)内皮基本培地(Cambrex Corporation,East Rutherford,New Jersey(ニュージャージー)州から入手した;カタログ番号CC-3121)及びシングルクォート(singlequots)(Cambrex Corporation,East Rutherford,New Jersey(ニュージャージー)州から入手した;カタログ番号CC-4133)中において、濃度1×105細胞/ウエルのHUVECを平板培養した。これらの細胞は、37℃及び5%CO2の加湿したインキュベーター内で1晩インキュベートして細胞を結合させた。翌日古い培地を取り出し、3mlの新鮮なEBM(登録商標)内皮基本培地で置き換えた。次いで、プレートのそれぞれのウエルに、10mMの化合物(1)、化合物(2)、PGE2、並びに化合物(1)とPGE2との混合物の試料3μlを別々に二つの組において添加して、最終濃度を10μMとした。無刺激DMSO対照標準、及びTNF-α刺激による対照標準も2回ずつ添加した。プレートを37℃及び5%CO2の加湿インキュベーター内で1時間インキュベートした。DMSO対照標準ウエルを除くそれぞれのウエルに、TNF-α(1μg/ml)を体積で3μl添加して、最終濃度1μg/mlを得た。プレートを、37℃及び5%CO2の加湿インキュベーター内で1晩インキュベートした。細胞は、TNF-αなしでも試験した。翌日培地を取り出し、それぞれのウエルを、3mlのリン酸塩緩衝生理的食塩水(phosphate buffered saline)(PBS)で洗浄した。次いで、3mlのEDTA(エチレンジアミンテトラアセテート)1mM含有PBSをそれぞれのウエルに添加して、細胞を剥離させた。細胞が剥離すると直ぐに、それらを優しく掻き取り、4.5mlファルコン(Falcon)チューブに入れた。次いで4℃においてチューブを、1200RPMで8分間遠心分離機にかけた。上澄み液を注意深く除去した。次に、下記による全てのチューブに、50μlのPBS-FACS緩衝液(PBS中におけるウシ胎児血清(fetal bovine serum)(FBS)5%、アジ化ナトリウム0.02%)及び20μlの抗体を添加した:
【表12】


【0135】
抗体を添加した後、チューブを氷上で30分間インキュベートし、箔で覆った。次いで4℃においてチューブを、1200RPMで8分間遠心分離機にかけた。上澄み液を注意深く除去した。細胞を、2mlのPBS-FACS緩衝液中に再懸濁させ、上記のように再び遠心分離機にかけた。再び上澄み液を注意深く除去し、細胞を、500μlのPBS-FACS緩衝液中に再懸濁させた。次いでチューブについてフローサイトメーター(流動細胞計)を使用して解析した。それぞれの接着分子を2又は3回試験し、各回異なるHUVECドナーを用いた。
【0136】
C)結果
HUVEC上に発現される接着マーカーCD51/61、ICAM-1、E-セレクチン及びP-セレクチンを無刺激条件下で試験し、化合物(1)(10μM)、PGE2(10μM)、化合物(2)(10μM)、又は化合物(1)(10μM)とPGE2(10μM)との混合物により処置した。無刺激条件では、未処置状態と比較してCD51/61の細胞表面発現は、化合物(1)又は化合物(2)のいずれによっても影響されなかった。PGE2による処置、化合物(1)とPGE2との混合物による処置は、共にCD51/61の細胞表面発現における20%減少をもたらした。ICAM-1の細胞表面発現は、化合物(1)及び化合物(2)による処置の両方から、控え目に見て10〜20%の増加を示した。化合物(1)とPGE2との混合物は、ICAM-1の細胞表面発現をおよそ25〜30%増強させたが、この増加はPGE2単独について観察された発現未満であった(図1を参照されたい)。
【0137】
感度が十分でなかった可能性があるため、E-セレクチンの細胞表面発現レベルは低かった。それでも、化合物(1)及び化合物(2)はE-セレクチン発現を抑制し、PGE2は、化合物(1)に誘発される抑制を遮断しE-セレクチン発現レベルをベースライン値まで回復させるものと思われた。P-セレクチン発現も、化合物(1)及び化合物(2)によりそれぞれ55%及び35%抑制された。PGE2は、組合せ使用の場合、化合物(1)に起因する抑制レベルをおよそ55%から27%まで縮小させたが、残った発現レベルはPGE2単独でのレベルと同等であった(図2を参照されたい)。
【0138】
TNF-α(1ng/ml)刺激条件については、接着分子の細胞表面発現レベルを、TNF-α刺激による発現(100%)に対する百分率として標準化した。この条件下で、E-セレクチンのTNF-α刺激性細胞表面発現は化合物(1)によって影響されなかったが、一方、化合物(2)(10μM)はTNF-α誘発性E-セレクチン発現をおよそ20%抑制した。PGE2単独では、TNF-α誘発性E-セレクチン発現の50%減少をもたらした。化合物(1)を添加すると、PGE2に媒介されるE-セレクチン遮断を低減させた(図3を参照されたい)。化合物(1)及び化合物(2)は、共にP-セレクチンのTNF-α誘発性細胞発現を、それぞれベースラインを超えて40%及びその>2倍増加させた。化合物(1)とPGE2との混合物は、P-セレクチンのTNF-α誘発性細胞発現を、PGE2単独に匹敵するレベルまで増加させた(図3を参照されたい)。
【0139】
VE-カドヘリンのTNF-α刺激による細胞表面発現は、化合物(1)、化合物(2)、PGE2、又は化合物(1)とPGE2との混合物により影響されなかった(図4を参照されたい)。しかし、CD-44のTNF-α刺激による細胞表面発現は、化合物(1)及び化合物(2)により、共におよそ30%抑制された。PGE2単独では検出できる影響がなかったが、化合物(1)とPGE2との混合物では、化合物(1)単独で観察された30%の抑制がなくなり、ベースラインレベルに匹敵するPGE2単独でのレベルまで発現レベルが回復された(図4を参照されたい)。
【0140】
HUVEC上に発現されるいくつかの接着マーカーを、TNF-α刺激条件で、化合物(1)(10μM)、PGE2(10μM)、化合物(2)(10μM)、又は化合物(1)とPGE2との混合物に関連して調べた。試験したパネルの中で、化合物(1)で処置したものでは、ICAM-1及びP-セレクチン細胞表面発現がおよそ35%増加し、VCAM発現が30%減少した。同一の試験マーカーを使用して、化合物(2)ではP-セレクチン発現がほとんど2倍増加した。PGE2、並びに化合物(1)とPGE2との混合物では、VCAM及びE-セレクチンの細胞表面発現が共に著しく減少した。観察された減少は、PGE2単独の場合と同程度であり、化合物(1)によるホスホジエステラーゼ阻害を包含しない機序を示唆している(図5を参照されたい)。
【0141】
TNF-α刺激に従って起こるHUVECにおけるE-セレクチン細胞表面発現を検出するためELISAを使用し、TNF-α0.25、0.5及び1ng/mlにおける発現が、化合物(1)とPGE2との混合物(10μM)によって、いずれかの薬剤単独での場合と比較して、著しく抑制される点を示した。このアッセイでは、化合物(1)とPGE2との混合物が相乗的に作用しているように見えた。又、化合物(2)も、TNF-α刺激によるE-セレクチン細胞表面発現を抑制する効果を示している(図6を参照されたい)。
【0142】
(実施例16: ヒトケラチノサイトでの紫外線B誘発によるTNF-アルファ産生の試験)
皮膚狼瘡患者は、紫外(UV)光に曝露された場合、疾患の病勢悪化をしばしば経験する。これはケラチノサイトでのUVB誘発によるTNF-α産生のためであると考えられる。ケラチノサイトは、インビトロで低レベルのUVB放射線に曝露された後、TNF-αを含めたサイトカインを放出することが示されている(Takashima, 1996)。ケラチノサイトにおけるTNF-α産生に、本発明の化合物がどのように影響しているか検討するため、皮膚狼瘡のインビトロ試験を行った。
【0143】
Cascade Biologics社からヒト新生児包皮表皮ケラチノサイト(human neonatal foreskin epidermal keratinocyte)(HEKn細胞)を入手し、成長因子を補った血清を含まない培地で成長させた。細胞が集密度80%に達すると、それらをトリプシン処理し、6ウエル皿において1×105細胞/ウエルで平板培養した。プレートを24時間インキュベートして、細胞を接着させた。TNF-αを放出する条件を最適化するため、細胞はUVB放射線により種々の曝露程度(1、4及び24時間)で処理した。次いで上澄み液を集め、TNF-αELISAで試験した。
【0144】
図7は、HEKn細胞を0、10、50、100又は300mJ/cm2のUVB放射線で処理したことを示す。曝露後1時間(模様のない棒)、4時間(罫線のある棒)又は24時間(市松模様のある棒)で上澄み液を集め、TNF-αELISAで試験した。結果は、実験2回の平均である。図7に示した結果は、HEKn細胞をUVBに曝露した後24時間で集めた上澄み液が、最高のTNF-αレベルを有したことを示す。10、50又は100mJ/cm2に曝露した後、細胞はウエルに接着したままであり、細胞の損傷は全く観察されなかった。300mJ/cm2UVB曝露ではHEKn細胞には余りに強く、多くの細胞が損傷され、ウエルの底部から剥離した。これらの結果に基づいて、この先の実験は、HEKn細胞を50mJ/cm2の放射線に曝露した後24時間の、TNF-αレベルについての本発明の化合物の効果を試験することに絞り込んだ。
【0145】
0.1μM、1μM又は10μMの(+)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4-アセチルアミノイソインドリン-1,3-ジオン(10004と命名した化合物)又はシクロプロピル{2-[(1S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]-3-オキソイソインドリン-4-イル}カルボキサミド(11050と命名した化合物)で、細胞を4時間処置した。培地を吸引し、細胞を洗浄し、次いで50mJ/cm2のUVB放射線に曝露した。新鮮な培地を添加し、細胞を24時間インキュベートした。上澄み液を取り出し、Pierce Biotechnology社からのTNF-αELISAキットで試験した。これらの化合物で処置した細胞では、UVB曝露後放出されるTNF-αレベルが、投与量に依存して低下することが示された(図8)。(+)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4-アセチルアミノイソインドリン-1,3-ジオン(10004と命名した化合物)は、10μM処置でTNF-αレベルに、より大きい効果を及ぼしており、放射線で処理しなかった細胞と同じTNF-αレベルを示した(図8)。
【0146】
別の実験において、0.1μM又は1μMにおける3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(5013と命名した化合物)、(+)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4-アセチルアミノイソインドリン-1,3-ジオン(10004と命名した化合物)又は16057と命名した化合物で、細胞を4時間処置した。(+)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4-アセチルアミノイソインドリン-1,3-ジオン(10004と命名した化合物)で処置した細胞は、UVB曝露後放出されるTNF-αレベルが、投与量に依存して低下することを示した(図9)。3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(5013と命名した化合物)は、0.1μM処置でTNF-αレベルに、より大きい効果を有しており、放射線で処理しなかった細胞よりも低いTNF-αレベルを示した(図9)。
【0147】
先に説明した本発明の実施態様は、単なる例証を意図し、当業者は、慣習的実験を超えないものを用い、具体的な化合物、材料及び手順の多くの同等物を認めるか又は確定することができるであろう。そのような同等物は全て、本発明の範囲内であると考えられ、添付された「特許請求の範囲」に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0148】
(4.図面の簡単な説明)
【図1】無刺激条件におけるHUVEC上のCD51/61及びICAM-1の細胞発現を示す。
【図2】無刺激条件におけるHUVEC上のE-セレクチン及びP-セレクチンの細胞発現を示す。
【図3】TNF-α刺激条件におけるHUVEC上のE-セレクチン及びP-セレクチンの細胞発現を示す。
【図4】TNF-α刺激条件におけるHUVEC上のVE-カドヘリン及びCD44の細胞発現を示す。
【図5】TNF-α刺激条件におけるHUVEC上のCD51/61、ICAM-1、ICAM-2、VCAM-1、E-セレクチン、P-セレクチン、HLA等級I及びHLA等級IIの細胞発現を示す。
【0149】
【図6】ELISAによりE-セレクチンを検出した場合の、TNF-α刺激条件におけるHUVEC上のE-セレクチンの細胞発現を示す。
【図7】ヒトケラチノサイトでの紫外線B誘発によるTNF-アルファ産生の試験を示す。
【図8】ヒトケラチノサイトでの紫外線B誘発によるTNF-アルファ産生の試験を示す。
【図9】ヒトケラチノサイトでの紫外線B誘発によるTNF-アルファ産生の試験を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトにおける皮膚狼瘡を治療する方法であって、(-)鏡像異性体を実質的に含まない治療的有効量の(+)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4-アセチルアミノイソインドリン-1,3-ジオン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を、皮膚狼瘡を有する患者に投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
皮膚狼瘡を治療する方法であって、治療的有効量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは立体異性体を、皮膚狼瘡を有する患者に投与することを含む、前記方法。
【請求項3】
皮膚狼瘡を治療する方法であって、治療的有効量の3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは立体異性体を、皮膚狼瘡を有する患者に投与することを含む、前記方法。
【請求項4】
ヒトにおける皮膚狼瘡を治療する方法であって、(R)鏡像異性体を実質的に含まない治療的有効量のシクロプロピル{2-[(1S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]-3-オキソイソインドリン-4-イル}カルボキサミド又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を、皮膚狼瘡を有する患者に投与することを含む、前記方法。
【請求項5】
前記化合物が、医薬として許容し得る塩として投与される、請求項1、2、3又は4記載の方法。
【請求項6】
前記化合物が、医薬として許容し得る溶媒和物として投与される、請求項1、2、3又は4記載の方法。
【請求項7】
前記溶媒和物が水和物である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記化合物が、R-鏡像異性体である、請求項2又は3記載の方法。
【請求項9】
前記化合物が、S-鏡像異性体である、請求項2又は3記載の方法。
【請求項10】
前記皮膚狼瘡が、急性皮膚ループス・エリテマトーデスである、請求項1、2、3又は4記載の方法。
【請求項11】
前記皮膚狼瘡が、亜急性皮膚ループス・エリテマトーデスである、請求項1、2、3又は4記載の方法。
【請求項12】
前記皮膚狼瘡が、円板状ループス・エリテマトーデスである、請求項1、2、3又は4記載の方法。
【請求項13】
前記皮膚狼瘡が、新生児ループス・エリテマトーデスである、請求項1、2、3又は4記載の方法。
【請求項14】
前記皮膚狼瘡が、小児のループス・エリテマトーデスである、請求項1、2、3又は4記載の方法。
【請求項15】
前記患者に、治療的有効量の第二活性物質を投与することを更に含む、請求項1、2、3又は4記載の方法。
【請求項16】
前記第二活性物質が、抗炎症薬、免疫調節化合物、抗マラリア薬、免疫抑制薬、抗生物質、抗ウイルス薬、免疫グロブリン、免疫増強薬、ホルモン、PGE2又はそれらの組合せである、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記第二活性物質がPGE2である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは立体異性体が経口的に投与される、請求項1、2、3又は4記載の方法。
【請求項19】
前記化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは立体異性体が非経口的に投与される、請求項1、2、3又は4記載の方法。
【請求項20】
前記化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは立体異性体が局所的に投与される、請求項1、2、3又は4記載の方法。
【請求項21】
前記化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは立体異性体が、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、糊状剤、粉剤、ローション剤、噴霧剤、塗布剤、パップ剤、エアロゾル剤、液剤、乳剤又は懸濁剤の剤形で局所的に投与される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは立体異性体が、錠剤又はカプセル剤の剤形で経口的に投与される、請求項1、2、3又は4記載の方法。
【請求項23】
前記化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは立体異性体が、5mg、10mg、15mg又は25mgの錠剤又はカプセル剤として経口的に投与される、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記治療的有効量が、1日当たり約1mg〜約1000mgである、請求項1又は4記載の方法。
【請求項25】
前記治療的有効量が、1日当たり約5mg〜約500mgである、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記治療的有効量が、1日当たり約10mg〜約200mgである、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記治療的有効量が、1日当たり約0.1〜約150mgである、請求項2又は3記載の方法。
【請求項28】
前記治療的有効量が、1日当たり約1〜約100mgである、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記治療的有効量が、1日当たり約0.1、1、2、5、10又は25mgである、請求項27記載の方法。
【請求項30】
前記治療的有効量が、1日当たり約0.5〜約2mgである、請求項2記載の方法。
【請求項31】
前記治療的有効量が、1日おきに約5mgである、請求項2記載の方法。
【請求項32】
前記治療的有効量が、1日当たり約5〜約25mgである、請求項3記載の方法。
【請求項33】
前記治療的有効量が、1日おきに約25mg又は50mgである、請求項3記載の方法。
【請求項34】
前記化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは立体異性体が、1日当たり1回又は2回投与される、請求項1、2、3又は4記載の方法。
【請求項35】
前記化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは立体異性体が、周期的に投与される、請求項1、2、3又は4記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−522289(P2009−522289A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548744(P2008−548744)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/049490
【国際公開番号】WO2007/079182
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(591120033)セルジーン・コーポレーション (84)
【氏名又は名称原語表記】CELGENE CORPORATION
【Fターム(参考)】