説明

アミノシランとメルカプトシランとを含む水性接着促進組成物

本発明は、少なくとも1種のアミノシランおよび/またはアミノシロキサンと、少なくとも1種のメルカプトシランとを含む水性接着促進組成物に関する。この接着促進組成物は、接着剤またはシーリング材のためのプライマーまたは接着促進アンダーコートとして特に好適である。これらは、車両用グレージングの接着結合にとりわけ好適である。特に、銀印刷が施されていることを特徴とする透明板ガラス(グレージング)との格別に高い接着性が見出された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性接着促進組成物の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
接着促進剤は、接着性を向上させるために長い間用いられてきた。このような組成物は、典型的には、オルガノシランをベースとしている。この種の接着促進組成物は、より詳細には、プライマー、すなわち接着促進アンダーコートとして用いられる。この種の組成物またはプライマーは、典型的には、不活性な、高度に揮発性の溶媒を、迅速に蒸発によって除くことを確実にするために含有する。しかし、溶媒、とりわけVOC(揮発性有機化合物)と称される溶媒は、ますます非難の的となっており、市場はますます低溶媒量、とりわけ溶媒非含有もしくはVOC非含有の接着促進組成物を求めている。
【0003】
水性接着促進組成物は知られている。しかし、これらには欠点が無いものではない。欧州特許出願公開第0577014号には、例えば、アミノシランまたはメルカプトシランを含有する水性接着促進組成物が記載されている。国際公開第2005/093002号には、2成分形接着促進組成物が開示されている。一実施態様では、この組成物は、アルキル-トリアルコキシシランと、アミノアルキル-トリアルコキシシランおよび/またはメルカプトアルキル-トリアルコキシシランとの混合物を含む水性接着促進組成物を含む。
【0004】
しかし、本発明の文脈において、驚くべきことに、この種の混合物において、アルキルシランの割合が特定の水準を超えると、ガラスへの接着性、特に水中での貯蔵後の接着性が大幅に損なわれることが明らかとなった。
【0005】
接着促進組成物の用途の1つの特に重要な分野は、車両の構築、特にグレージングの取り付け、すなわちグレージングシートの車体への接着における用途である。最も最近の世代のグレージングシートは、アンテナとの一体化を特徴とし、この結果、シートのエッジ領域−接着剤が適用される部分−の表面が銀、銀をベースとする組成物もしくはアロイであることを特徴とする。しかし、これらの表面上では、使用されている大部分のポリウレタン接着剤には、公知の接着促進組成物を利用した場合でも接着性の問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0577014号
【特許文献2】国際公開第2005/093002号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、従来技術の欠点を克服する水性組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、請求項1に記載の水性接着促進組成物が、この目的を達成することを見出した。
【0009】
驚くべきことに、湿気硬化性1成分形ポリウレタン接着剤を使用する場合において、本発明の接着促進組成物が、広範な基材への効果的な接着をもたらすことが明らかになった。特に、この種の水性接着促進組成物が、ガラス、セラミック、および銀、ならびに銀をベースとする組成物上での効果的な接着をもたらすことを明らかにすることができた。
【0010】
より詳細には、メルカプトシランを使用すると、銀、または銀をベースとする組成物もしくはアロイへの接着性の大幅な向上がもたらされることを見出した。
【0011】
これは、車両の構築において、一体化されたアンテナを有するグレージングシートであって、このような表面領域を含むシートを、ポリウレタン接着剤を用いて取り付けるために、とりわけ重要である。
【0012】
さらに、本発明の非常に貯蔵安定な接着促進組成物の配合が可能であることを見出した。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、包装形態6の2つの実施態様における断面図を図式的に表す。
【図2】図2は、アンテナ12が一体化されたグレージングシート7を有する自動車20の後部から見た像を図式的に示す。
【図3】図3は、アンテナ12が一体化されたグレージングシート7を図式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、水性接着促進組成物であって、
少なくとも1種の式(I)のアミノシラン、または、式(I)のアミノシランと少なくとも1種のさらなるシランとの縮合反応から得られる少なくとも1種のアミノシロキサンASと、
少なくとも1種の式(II)のメルカプトシランと
を含み、
アルキルシランの含量が、前記アミノシランまたはアミノシロキサンASの重量に基づいて、0重量%〜45重量%、より特に0重量%〜25重量%であるか、あるいは、
アルキルシランのモル数の、アミノシランまたはアミノシロキサンASのモル数に対する比が、0〜0.60の値、より特に0〜0.33の値であるか
のいずれかである、水性接着促進組成物を提供する。
【0015】
【化1】

【0016】
式中、
R1は、少なくとも1個の第一級および/または第二級アミノ基を有するn価の有機基であり;
R1’は、少なくとも1個のメルカプト基を有するm価の有機基であり;
R2およびR2’は、それぞれ独立に、H、1個〜4個のC原子を有するアルキル基、またはアシル基であり;
R3およびR3’は、それぞれ独立に、H、または1個〜10個のC原子を有するアルキル基であり;
aおよびbは、それぞれ独立に、0、1、または2の値を表し;かつ、
nおよびmは、それぞれ独立に、1、2、3、および4の値を表す。
【0017】
本明細書において「それぞれ独立に」の用語は、ここでは、「他の成分から独立」であるだけでなく、「同一分子内で独立」であることをも意味する。したがって、例えば、ヒドロキシ-ジメトキシ-アミノシラン(R2=メチル、R2=メチル、R2=H)も可能である。
【0018】
本明細書を通して、用語「オルガノシラン」は、Si-C結合を介してケイ素原子に結合した少なくとも1個の有機基を含有するシランを指す。「アルキルシラン」は、その有機基が炭化水素基であるオルガノシランをいう。これらのアルキルシランは、Si-C結合を介してケイ素原子に結合したさらなる有機基であってヘテロ原子を有する官能性基(例えば、アミノ基またはメルカプト基)を有する有機基を全く有さない。「アミノシラン」および「メルカプトシラン」は、それぞれ、その有機基がアミノ基またはメルカプト基を有するオルガノシランである。したがって、この定義によれば、「テトラアルコキシシラン」は、オルガノシランではない。用語「アミノシロキサン」は、少なくとも1個のSi-O-Si結合を有し、Si-C結合を介してケイ素原子に結合した有機基を少なくとも2個有する化合物をいう。この場合、これらの有機基の少なくとも1個は、アミノ基を有する。
【0019】
本組成物は、少なくとも1種の式(I)のアミノシラン、または、式(I)のアミノシランと少なくとも1種のさらなるシランとの縮合反応から得られるアミノシロキサンASを含有する。特に好ましいのは、アルコキシシラン、すなわち式(I)のアミノシラン(式中、R2は、C原子を1〜4個有するアルキル基である)である。特に好ましいのは、メトキシシラン(R2=メチル)およびエトキシシラン(R2=エチル)である。トリアルコキシ基、より特にトリメトキシシラン基を有するアミノシラン(a=0)が特に有利であることが実証された。
【0020】
水の存在下で、アルコキシシランは加水分解を受け、シラノール、すなわちSi-OH部分(R2=H)を有するシランが形成され得る。この場合、特に、部分的に加水分解された生成物が生成する可能性もある。このような加水分解反応の最終段階では、シラントリオールが存在する。
【0021】
特に好適なアミノシランは、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン、3-アミノ-2-メチルプロピルトリメトキシシラン、4-アミノブチルトリメトキシシラン、4-アミノブチルジメトキシメチルシラン、4-アミノ-3-メチルブチルトリメトキシシラン、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシシラン、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルジメトキシメチルシラン、2-アミノエチルトリメトキシシラン、2-アミノエチルジメトキシメチルシラン、アミノメチルトリメトキシシラン、アミノメチルジメトキシメチルシラン、アミノメチルメトキシジメチルシラン、N-メチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-エチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-ブチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-シクロヘキシル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-メチル-3-アミノ-2-メチルプロピルトリメトキシシラン、N-エチル-3-アミノ-2-メチルプロピルトリメトキシシラン、N-エチル-3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N-フェニル-4-アミノブチルトリメトキシシラン、N-フェニルアミノメチルジメトキシメチルシラン、N-シクロヘキシルアミノメチルジメトキシメチルシラン、N-メチルアミノメチルジメトキシメチルシラン、N-エチルアミノメチルジメトキシメチルシラン、N-プロピルアミノメチルジメトキシメチルシラン、N-ブチルアミノメチルジメトキシメチルシラン;N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-[2-(2-アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、および、ケイ素上にメトキシ基の代わりにエトキシ基またはイソプロポキシ基を有するこれらの類似体からなる群から選択されるアミノシランである。
【0022】
一実施態様では、式(I)のアミノシランは、式(V)のアミノシランである。
H2N-R5-Si(OR2)(3-a)(R3)a (V)
(式中、R5は、直鎖状または分岐状の1個〜6個のC原子を有するアルキレン基、より特にプロピレンである)。この中で特に好ましいと考えられるものは、3-アミノプロピルトリメトキシシランである。
【0023】
好ましい一実施態様では、式(I)のアミノシランは第二級アミノ基を有する。特に、これらのアミノシランは、式(VI)、(VII)、(VIII)を有する。
【0024】
【化2】

【0025】
式中、R5は、直鎖状または分岐状の1個〜6個のC原子を有するアルキレン基、より特にプロピレンである。特に好ましいことが示されたのは、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-[2-(2-アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン、およびビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンである。
【0026】
2種以上の式(I)のアミノシランが組成物中に存在することが、特に有利であることが明らかとなった。好ましくは、少なくとも1種のアミノシランが、式(IV)を有する。
【0027】
一実施態様では、組成物は、アミノシロキサンASを含有する。これらのアミノシロキサンは、式(I)のアミノシランと、少なくとも1種のさらなるシランとの縮合反応から得られる。当業者であれば、縮合反応に関与するシランが、加水分解されることが好ましく、あるいは少なくとも部分的に加水分解されることが好ましいことは明らかである。関与するシランは、好ましくは、特にアルキルシランである。この場合の生成物は、アミノ基に加えてアルキル基も有するアミノシロキサンである。縮合の程度はさまざまである。ダイマー、トリマー、またはオリゴマーが存在し得る。アミノシロキサンASは、アルコキシシラン基を有していてもよい。アミノシロキサンASは、好ましくは、水中に分散することができ、あるいは水中に混和もしくは溶解することができる。この種のアミノシロキサンASは、例えば、Dynasylan(登録商標)HDYROSIL 2627、Dynasylan(登録商標)HDYROSIL 2776、またはDynasylan(登録商標)HDYROSIL 2929の形態で、Degussa AG(独国)から商業的に入手可能である。
【0028】
本組成物は、式(II)の少なくとも1種のメルカプトシランを含有する。特に好ましいものは、アルコキシシラン、すなわち式(II)においてR2’が1〜4個のC原子を有するアルキル基であるメルカプトシランである。メトキシシラン(R2’=メチル)およびエトキシシラン(R2’=エチル)が特に好ましい。トリアルコキシ基、とりわけトリメトキシシラン基を有するメルカプトシラン(b=0)が有利であることが実証された。
【0029】
水の存在下で、アルコキシシランは加水分解を受け、シラノール、すなわちSi-OH部分(R2’=H)を有するシランが形成され得る。この場合、特に、部分的に加水分解された生成物が生成物に含まれる可能性がある。このような加水分解反応の最終段階は、シラントリオールである。
【0030】
式(II)のメルカプトシランは、好ましくは、式(IX):
HS-R5’-Si(OR2’)(3-b)(R3’)b (IX)
(式中、R5’は、直鎖状または分岐状の1個〜6個のC原子を有するアルキレン基、より特にプロピレンである)
を有する。
【0031】
特に好ましいメルカプトシランは、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランおよび3-メルカプトプロピルトリエトキシシランである。
【0032】
加えて、水性接着促進組成物は、一つの代替態様では、アルキルシランの含量が、アミノシランまたはアミノシロキサンの重量に基づいて、0重量%〜45重量%、より特に0重量%〜25重量%である。あるいは、水性接着促進組成物中のアルキルシランのモル数の、アミノシランまたはアミノシロキサンASのモル数に対する比が、0〜0.60の値、より特に0〜0.33の値である。アルキルシランの含量がより多いと、接着性、特にガラスへの接着性が大幅に悪化する。しかし、好ましくは、水性接着促進組成物は、アルキルシランを含まない。この種のアルキルシランを含まない水性接着促進組成物は、ガラス、銀、または銀をベースとする組成物への有効な接着性を示す。
【0033】
アルキルシランは、特に、式(III):
R1’’-Si(OR2’’)(3-c)(R3’’)c (III)
(式中、
R1’’は、飽和または不飽和のアルキル基またはアリール基もしくはアラルキル基であり;
R2’’は、それぞれ独立に、H、または1個〜4個のC原子を有するアルキル基、またはアシル基であり;
R3’’は、それぞれ独立に、H、または1個〜10個のC原子を有するアルキル基であり;
Cは、0、1、または2の値である)
で表されるアルキルシランである。
アルキルシランは、ガラスへの接着性に悪影響を及ぼすことが分かった。
【0034】
加えて、水性接着促進組成物は、好ましくは、Si-C結合を介してケイ素原子に結合したその有機機が式(I)のアミノシランのアミノ基または式(II)のメルカプトシランのメルカプト基と反応可能な少なくとも1個の官能基を有する有機シランOSを、実質的に含まず、好ましくは含まない。
【0035】
特に好ましくは、水性接着促進組成物は、Si-C結合を介してケイ素原子に結合したその有機機がヒドロキシル基を有する有機シランを、実質的に含まず、好ましくは含まない。
【0036】
ここでの「実質的に含まない」は、水性組成物の重量に基づいて、3重量%未満、より特に1重量%未満の量を意味する。
【0037】
しかし、水性接着促進組成物が、式(IV):
Si(OR4)4 (IV)
(式中、R4は、それぞれ独立に、H、1個〜4個のC原子を有するアルキル基、またはアシル基、とりわけアセチル基である)
の少なくとも1種のテトラアルコキシシランをさらに含むことが特に有利であることが実証された。このようなテトラアルコキシシランの例は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、およびテトラアセトキシシランである。テトラエトキシシランが特に好ましいことが実証された。
【0038】
本水性組成物は、さらなる構成成分を含んでいてよい。このような追加の構成成分は、界面活性剤、酸、触媒、共溶媒、殺生物剤、沈殿防止剤、安定剤、抑制剤、顔料、染料、腐食防止剤、脱臭剤、UVインジケータ、チキソ性付与剤、充填剤、脱泡剤、さらなるオルガノシラン、チタネートなどである。
【0039】
共溶媒は、水と混和性の溶媒、例えば、アルコール、エーテル、またはケトンであると理解されている。しかし、このような溶媒は、少量だけ、すなわち、典型的には水に対して10重量%未満で用いることが好ましい。特に好ましくは、組成物は、(水性組成物中に用いたアルコキシシラン加水分解の結果として生じる痕跡量のアルコールを除いて)、このような共溶媒を含まない。比較的大量の溶媒を用いる場合、VOCを回避することが実際に水性組成物を使用する基本的な理由であるにもかかわらず、VOC問題が大きくなる。
【0040】
界面活性剤は、水性組成物の好ましい追加の構成成分である。
【0041】
用いることができる界面活性剤には、溶液中で水または他の液体の表面張力を低くする、天然または合成の物質が含まれる。用いることができる界面活性剤は、湿潤剤ともよばれ、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性、および両性の界面活性剤、またはこれらの混合物が含まれる。
【0042】
陰イオン性界面活性剤の例は、カルボキシレート基、スルフェート基、ホスフェート基、またはスルホネート基を有する界面活性剤、例えば、アミノ酸誘導体、脂肪アルコールエーテルスルフェート、脂肪アルコールスルフェート、石鹸、アルキルフェノールエトキシレート、脂肪アルコールエトキシレート、および、アルカンスルホネート、オレフィンスルホネート、またはアルキルホスホネートなどである。
【0043】
非イオン性界面活性剤には、例えば、エトキシレート、例えば、アルコールのエトキシル化された付加体(例えば、ポリオキシアルキレンポリオールなど)、アミン、脂肪酸、脂肪酸アミド、アルキルフェノール、エタノールアミド、脂肪族アミン、ポリシロキサン、または脂肪酸エステル、および、アルキル-もしくはアルキルフェニル-ポリグリコールエーテル(例えば、脂肪アルコールポリグリコールエーテルなど)または脂肪酸アミド、アルキルグリコシド、糖エステル、ソルビタンエステル、ポリソルベート、またはトリアルキルアミンオキシドが含まれ、さらに、ポリアルキレングリコールまたはアミノポリアルキレングリコールを有し、アルキル基で1個以上の末端がキャップされていてもよい、ポリ(メタ)アクリル酸のエステルおよびアミドが含まれる。
【0044】
陽イオン性界面活性剤の例は、第四級アンモニウム化合物またはホスホニウム化合物、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、N-,N-ジアルキル-イミダゾリン化合物、ジメチルジステアリルアンモニウム化合物、またはN-アルキル-ピリジン化合物、とりわけアンモニウムクロライドである。
【0045】
両性界面活性剤には、両性の電解質(両性電解質として知られている)、例えば、アミノカルボン酸など、およびベタインが含まれる。
【0046】
この種の界面活性剤は、商業的に広く入手可能である。
【0047】
特に好ましいのは、アルコキシル化されたアルコールである。好適であることが示されたこれらのものには、特に、アルコキシル化された非イオン性フルオロ界面活性剤、とりわけZonyl(登録商標)FSO-100〔ABCR社(独国)から商業的に入手可能〕、およびアルコキシル化されたアルコールまたはアルコキシル化されたアルキルフェノール、とりわけAntarox FM 33〔Rhodia社から商業的に入手可能〕が含まれる。
【0048】
加えて、非常に好ましいのは、アルコキシル化された脂肪アルコール、特にCognis社によってHydropalat(登録商標)120として販売されているものである。
【0049】
酸は、水性組成物の、同様に好ましい追加的な構成成分である。酸は、有機酸であっても無機酸であってもよい。有機酸は、一方では、カルボン酸、とりわけ、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、およびクエン酸からなる群から選択されるカルボン酸、ならびにアミノ酸(とりわけ、アスパラギン酸およびグルタミン酸)である。好ましい酸は、4.0〜5のpKaを有する酸である。知られているように、「pKa」により、化学者は、酸の解離定数Kaの10の対数の負の値:pKa = -logKaを意味する。
【0050】
好ましいカルボン酸は、酢酸である。
【0051】
有機酸は、他方では、特に、硫黄原子またはリン原子を含む酸である。この種の有機酸は、特に、有機スルホン酸である。有機スルホン酸は、炭素原子と少なくとも1個の官能性基-SO3Hとを含む有機基を有する化合物の1つである。
【0052】
芳香族スルホン酸は、単環式であっても多環式であってもよく、1個以上のスルホン酸基が存在していてよい。このような例には、1-もしくは2-ナフタレンスルホン酸、1,5-ナフタレンジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、またはアルキルベンゼンスルホン酸が含まれる。
【0053】
好ましい芳香族酸は、式(X)を有する酸である。
【化3】

この式中のRは、1〜18個の原子を有するアルキル基である。好ましくは、Rは、メチル基またはドデシル基であり、より特にドデシル基である。
【0054】
酸は、さらに、無機酸であってよい。好適であることが明らかとなった無機酸は、より特に、硫黄原子またはリン原子を含む酸である。
【0055】
リン原子を含む酸は、特に、リン酸、リン含有酸、ホスホン酸、およびホスホノ酸である。
【0056】
硫黄原子を含む酸は、特に、スルフリル酸、とりわけ硫酸、亜硫酸、ペルオキソ硫酸、二硫酸(すなわちピロ硫酸)、二亜硫酸、ジチオン酸、亜ジチオン酸、チオ硫酸、またはチオ亜硫酸である。
【0057】
好ましい一実施態様では、水性接着促進組成物は、水、少なくとも1種の式(I)のアミノシラン、少なくとも1種の式(II)のメルカプトシラン、所望する場合には少なくとも1種のテトラアルコキシシラン、ならびにこれらの可能性のある加水分解反応生成物および/または縮合反応生成物を含む。
【0058】
好ましい別の実施態様では、水性接着促進組成物は、水、少なくとも1種の式(I)のアミノシラン、少なくとも1種の式(II)のメルカプトシラン、所望する場合には少なくとも1種のテトラアルコキシシラン、少なくとも1種の界面活性剤、少なくとも1種の酸、所望する場合には少なくとも1種のテトラアルコキシシラン、ならびにこれらの可能性のある加水分解反応生成物および/または縮合反応生成物を含む。
【0059】
好ましい別の実施態様では、水性接着促進組成物は、水、少なくとも1種の式(I)のアミノシラン、少なくとも1種の式(II)のメルカプトシラン、所望する場合には界面活性剤および酸(より特に有機酸)、ならびにこれらの可能性のある加水分解反応生成物および/または縮合反応生成物を含む。
【0060】
水性接着促進組成物において、式(I)のアミノシラン、アミノシロキサンAS、式(II)のメルカプトシラン、および水、ならびに存在する場合には式(IV)のテトラアルコキシシランの合計の重量割合は、水性接着促進組成物の重量に基づいて、80重量%より高い、特に90重量%より高いことが有利である。
【0061】
式(I)のアミノシラン、アミノシロキサンAS、式(II)のメルカプトシラン、および存在する場合には式(IV)のテトラアルコキシシランの合計の重量割合は、水性接着促進組成物の重量に基づいて、0.1重量%より高い、より特に0.1重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜5重量%、最も好ましくは0.5重量%〜2重量%であることが有利である。
【0062】
式(I)のアミノシランおよびアミノシロキサンASの合計の、式(II)のメルカプトシランに対する重量比は、1:10〜10:1、より特に1:2〜2:1、好ましくは1:1.5〜1.5:1であることが有利である。
【0063】
水性接着促進組成物は、第一成分K1と第二成分K2とからなる2成分形組成物の形態であることが好ましい。この場合において、第一成分K1が、少なくとも式(I)のアミノシランまたは少なくともアミノシロキサンAS、および式(II)のメルカプトシラン、ならびに存在する場合には式(IV)のテトラアルコキシシランを含み、第二成分K2が、少なくとも水を含むことが有利である。
【0064】
組成物が界面活性剤および/または酸を含む場合、この界面活性剤および/または酸は、第一成分K1および/または第二成分K1の一部であってよい。しかし、界面活性剤は、第二成分K2の一部であることが有利である。さらに、酸が第二成分K2の一部であることが有利である。
【0065】
本発明のさらなる態様は、包装形態である。この包装形態は、2つのチャンバを有する容器(この容器は、少なくとも1つの隔壁によって互いに隔てられたチャンバを有する)と、上述した水性接着促進組成物とからなる。その第一成分K1は、第一のチャンバ内に存在し、その第二成分K2は、第二のチャンバ内に存在する。
【0066】
図1a)および図1b)は、2つの実施態様における断面図を図式的に表す。包装形態6は、互いに少なくとも1つの隔壁3によって隔てられたチャンバ1および2を有する容器5と、その第一成分K1が第一のチャンバ1に存在し、その第二成分K2が第一のチャンバ2に存在する、2成分形組成物とからなる。
【0067】
図1a)は、隔壁3が、第一および第二のチャンバ1および2の2つの外壁4および4’の間に延在している実施態様を示す。
【0068】
図1b)は、第一のチャンバ1が第二のチャンバ2の中に配置され、したがって、第一のチャンバ1が第二のチャンバ2に完全に囲まれており、かつ、第一のチャンバ1が隔壁3によって完全に隔てられている実施態様を示す。
【0069】
この種の包装形態は、2成分形接着促進組成物の貯蔵に非常に良好に適合する。必要に応じて、2つの成分を、適用する前に混合することができる。隔壁3を、圧力を適用すると裂けるかまたは破れる材料で作製すると、混合を、外壁4および4’に圧力を適用し、これによって隔壁3を裂けさせるか破裂させることによって達成することができる。圧力の適用は、典型的には、力をかける行為によって行う。この力をかける行為は、容器を突く行為、あるいは曲げる行為であることが好ましい。隔壁3の材料は、典型的には、ガラス、アルミニウム、アルミニウムアロイ、薄いプラスチック、または複合材料から作製する。隔壁3は、意図的でない力、例えば、輸送の途中で典型的に発生する力を受けることにより破れないような厚さに作製しなければならない。外壁4および4’は、隔壁3を裂けさせる圧力が適用されても裂けたり破れたりしないものでなければならない。外壁4および4’は、金属または可撓性プラスチックのいずれかから作製する。2つの成分の混合は、振とうによって補助することができる。混合した成分を、容器の外壁の流出開口部を通して適用および/または引き出すことができる(図1a)および1b)に図示せず)。
【0070】
さらなる好適な態様は、国際公開第2005/093002(A1)号、特に図1〜11に記載されているとおりである。国際公開第2005/093002号に記載の容器は、参照により本明細書に組み込むことにより本明細書の一部に統合され、上述により詳細に記載した水性接着促進組成物で満たされて本発明の包装形態を形成することができる。
【0071】
記載した水性接着促進組成物は、プライマーとして、特に接着剤またはシーリング材のプライマーとしてとりわけ好適である。このようなプライマーを用いると、接着性が強化される。
【0072】
したがって、本発明は、接着結合方法またはシーリング方法に関する。この方法の下記の3つの変形態様が特に好ましい。
【0073】
第一の変形態様では、本方法は、
i)記載した水性接着促進組成物を、接着またはシールすべき基材S1に適用する工程と、
ii)基材S1上に配置され、溶媒が蒸発除去された前記組成物に、接着剤またはシーリング材を適用する工程と、
iii) 前記接着剤またはシーリング材を、第二の基材S2に接触させる工程と
を含む。
【0074】
第二の変形態様では、本方法は、
i’) 記載した水性接着促進組成物を、接着またはシールすべき基材S1に適用する工程と、
ii’)接着剤またはシーリング材を、第二の基材S2の表面に適用する工程と、
iii’) 前記接着剤またはシーリング材を、基材S1上に配置され、溶媒が蒸発除去された前記組成物と接触させる工程と
を含む。
【0075】
第三の変形態様では、本方法は、
i’’) 記載した水性接着促進組成物を、接着またはシールすべき基材S1に適用する工程と、
ii’’)前記組成物の溶媒を蒸発除去する工程と、
iii’’) 前記接着剤またはシーリング材を、基材S1の表面と基材S2の表面との間に適用する工程と
を含む。
【0076】
3つの変形態様の全てにおいて、第二の基材S2は、第一の基材S1と同じ材料または異なる材料でできてきる。
【0077】
典型的には、工程iii)、工程iii’)、または工程iii’’)の後に、接着剤またはシーリング材を硬化させる工程iv)が続く。
【0078】
用いる接着剤は、基本的に任意の接着剤であってよい。しかし、接着性の有利な改善が、特に、イソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーを含むポリウレタン接着剤である接着剤またはシーリング材の場合において見出された。この種のポリウレタン接着剤は、商業的に広く入手可能であり、とりわけ、Sikaflex(登録商標)の名称でSika Schweiz AG社から入手可能である。
【0079】
基材S1および/またはS2は、さまざまな性質であってよい。好ましくは少なくとも1つの基材(S1またはS2)は、ガラス、ガラスセラミック、アルミニウム、またはアルミニウムアロイである。
さらに好ましくは、少なくとも1つの基材(S1またはS2)は、銀、より特に、ガラスもしくはガラスセラミック上の銀インプリントである。
【0080】
ガラスおよびガラスセラミックは、インプリントされた銀と比較して、本接着促進組成物に対する反応の感受性がより低い。したがって、個々の水性接着促進組成物における互いの違いを解決するために、ガラスおよびガラスセラミック上にはより低いシラン濃度を用いることが有利である。
【0081】
必要に応じて、基材は、シーリング材または接着剤を適用する前に前処理することができる。このような前処理には、特に、物理的および/または化学的洗浄技術(例えば、研磨、サンドブラスト、ブラシがけなど)、洗浄剤もしくは溶媒を用いる処理、または接着促進剤、接着促進剤溶液、もしくはプライマーの適用が含まれる。
【0082】
本方法は、グレージングシートの接着結合にとりわけ好適である。したがって、好ましい一実施態様では、基材S1がガラスまたはガラスセラミックであり且つ基材S2が塗装、塗装金属、または塗装金属アロイであるか、あるいは、基材S2がガラスまたはガラスセラミックであり且つ基材S1が塗装、塗装金属、または塗装金属アロイである。
【0083】
特に、メルカプトシランが、1成分形ポリウレタン接着剤の、銀、または銀をベースとする組成物もしくはアロイへの接着において強力な改善をもたらすことが明らかとなった。特に良好な接着性の強化が、銀において認められた。
【0084】
この方法に基づいて、接着結合された物品が製造される。このような物品は、好ましくは、輸送手段、より特に、自動車、バス、トラック、鉄道車両、ボート、または航空機である。
【0085】
記載した方法は、一体化されたアンテナを有するグレージングシートの接着結合にとりわけ好適であることが明らかとなった。この種のアンテナの接続接点は、典型的には、銀または銀をベースとする組成物もしくはアロイの形態、より特に銀インプリントの形態でグレージングシート上に存在する。典型的には、グレージングシートのエッジ領域の部分(接着剤が適用される部分)は、この種の表面を特徴とする。したがって、接着剤が、ガラスおよびガラスセラミックに良好に接着するだけでなく、銀ベースの組成物および/またはアロイにも良好に接着することが重要である。図2は、アンテナ12が一体化された新世代のグレージングシート7を有する自動車20の後部から見た像を図式的に示す。
【0086】
図3は、アンテナ12が一体化されたこの種のグレージングシート7を図式的に示す。アンテナのための銀インプリント11は、シート7のエッジ領域内のガラスセラミック10上のさまざまな場所に配置されている。取り付けられた後、アンテナ12は、アンテナのための、アンテナ接続ピース15を有する銀インプリント11を介して、車体20の内装の送受信装置(図示せず)に接続される。加えて、ガラスセラミック10上に、グレージングシート加熱システム13への接続のための金属インプリント14が存在する。
【0087】
図3aは、良好な受信および/または発信を確実にするために、アンテナ12に接続し、エッジからシートの内部に引き出されているこの種の銀インプリント11を有するシート7のエッジ領域の拡大図を示す。シート7は、ガラスセラミックインプリント10をシートのエッジ領域に有する。ポリウレタン接着剤17が、接着ライン16に沿ったエッジ領域に適用される。
【0088】
図3bおよび3cは、取り付けられたグレージングシート7の、それぞれ、図3aの断面A-Aおよび断面B-Bに沿った断面図を示す。ガラス8の上は、ガラスセラミック10である。図3bでは、ポリウレタン接着剤17は直接ガラスセラミック10に接している。図3cでは、ポリウレタン接着剤17は、アンテナのための銀インプリント11に接着する。接着剤17の他の側は、自動車20のフランジ18に結合している。フランジ18は、自動車用塗料で塗装されている。接着を確実にするために、図示した実施態様では、プライマー19が塗装に適用されており、したがって、プライマー層19が塗装されたフランジ18と接着剤17との間に存在する。
【0089】
本発明は、当然に、記載および図示した例示的な実施態様に限定されない。上述により明らかにした本発明の特徴が、明らかにした特定の組合せにおいて用いることができるだけでなく、他の変更態様、組合せ、および変形態様、あるいは独自の態様においても本発明の範囲から逸脱することなく用いることができることが理解される。
【実施例】
【0090】
表1のデータ(重量部)のとおりのシランを含むさまざまな成分K1を製造した。ここでは、成分1〜9は、本発明の成分K1に相当する一方、成分R1〜R10は、比較例の成分を表す。
【0091】
【表1】

【0092】
【表2】

【0093】
次いで、第二成分K2を混合することによって、これらのさまざまな第一成分K1から水性接着剤組成物を製造した。
【0094】
用いる材料は、以下のとおりである。
− フロートガラス(スズ面を接着試験に用いた)、Rocholl社、独国
− ESGセラミック、Ferro 14251、Rocholl社、独国
− 銀インプリント:オリジナルのBMWリアスクリーン上の銀インプリント領域、3シリーズ(シリーズステイタス2006年6月)
【0095】
本目的のために、基材としてのガラスおよびセラミックに対しては、0.5重量%の個々の成分K1を、99.5重量%の成分K2-1〔0.5重量部のHydropalat(登録商標)120、1重量部の酢酸(100%)、および98重量部の水からなる〕と混合した。
【0096】
基材としての銀インプリントに対しては、1.5重量%の個々の成分K1を、98.5重量%の成分K2-2〔0.5重量部のHydropalat(登録商標)120、1重量部の酢酸(100%)、および97重量部の水からなる〕と混合した。
【0097】
この方法で製造した水性接着促進組成物を、これら浸漬させたセルロースクロス〔Tela(登録商標)、Tela-Kinbary Switzerland GmBH)〕を使用して個々の基材に適用し、空気中で10分間放置した。その後、Sikaflex(登録商標)250 DM-2(「DM-2」)またはSikaflex(登録商標)250 PC-T(「PC-T」)の三角形のビードを、23℃および50%の相対湿度で、押出カートリッジおよびノズルを使用して適用した。接着剤は両方とも、イソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーを含む1成分形湿気硬化性ポリウレタン接着剤であり、Sika Schxeiz AGから入手可能である。
【0098】
この接着剤を、環境チャンバ貯蔵(「CS」)(23℃、50%相対湿度)の6日間の硬化時間後、およびその後の23℃にて6日間の水中の貯蔵(「WS」)後、およびその後の70℃、100%相対湿度での6日間の加熱/加湿貯蔵(「HS」)後に試験した。
【0099】
接着剤の接着性は、ビード試験によって試験した。本目的のために、ビードの端部で接着表面の直上まで切り込みを入れた。切り込んだビードの端部を先の丸いピンセットで持って、基材から引っ張った。この操作は、ピンセットの先のビードを注意深く巻き上げることによって行い、ビードを引っ張る方向と直角に基材の裸の表面まで切り込みを入れながら行う。ビードを除去する速度は、切り込みを約3秒ごとに行わなければならないように選択する。試験する長さは、少なくとも合計8 cmにならなければならない。評価は、ビードを取り除いた後で基材上に残っている接着剤 (凝集破壊)に基づいて評価した。接着特性の評価は、接着面の凝集割合を視覚により見積ることによって行った。
【0100】
凝集破壊の割合が高いほど、接着結合の評価はより良好である。50%未満、とりわけ40%未満の凝集破壊である試験結果は、典型的には不十分であると考えられる。
【0101】
【表3】

【0102】
【表4】

【0103】
【表5】

【0104】
【表6】

【0105】
表2〜5の接着結果は、本発明の組成物を使用して、ガラス、銀インプリント、およびセラミック上での良好な接着が同時に達成することができる一方、比較実施例の場合には、これらの基材の少なくとも1つに関して弱点があることを示している。
【0106】
表6については、2重量%のシランまたは2重量%のシラン混合物(示した重量部のそれぞれのシランから混合したもの)、0.5重量%のHydropalat(登録商標)120、1重量%の酢酸(100%)、および96.5重量%の水からなる水性組成物を製造した。
【0107】
これらの水性接着促進組成物の貯蔵安定性は、水性組成物を、室温にてさまざまな日数の貯蔵をした後で検査にかけることによって調べた。
【0108】
組成物が透明である場合は、「OK」とランク付けし、良好であると評価した。わずかに濁りがある場合は、「st」とランク付けした。ひどく濁っている場合、すなわち乳濁した外観である場合は、「T」とランク付けした。沈殿がある場合には、「A」と記録した。「T」および「A」の評価は、不十分である。このような組成物は、実際に、もはや接着促進組成物として使用することができない。
【0109】
【表7】

【0110】
表6の結果は、式(II)のメルカプトシランの水性組成物が、貯蔵安定性での問題を有することを示している。しかし、式(I)のアミノシランを添加することによって、これらの貯蔵の問題を大幅に低減または除去することができるという結果も十分に示している。
【符号の説明】
【0111】
1 第一のチャンバ、2 第二のチャンバ、3 隔壁、4.4’ 外壁、5 包装、6 包装形態、K1 第一成分、K2 第二成分、7 グレージングシート、8 ガラス、9 プライマー、10 ガラスセラミック、11 アンテナのための銀インプリント、12 アンテナ、13 グレージングシート加熱システム、14 加熱接続のための金属インプリント、15 アンテナ接続ピース、16 接着剤適用線、17 ポリウレタン接着剤、18 フランジ、19 プライマー、20 自動車
【図1a)】

【図1b)】

【図2)】

【図3)−3a)】

【図3b)】

【図3c)】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
− 式(I):
【化1】

の少なくとも1種のアミノシラン、または、式(I)のアミノシランと少なくとも1種のさらなるシランとの縮合反応から得られる少なくとも1種のアミノシロキサンASと、
− 式(II):
【化2】

の少なくとも1種のメルカプトシランと
を含む水性接着促進組成物であって、
アルキルシランの含量が、前記アミノシランまたはアミノシロキサンASの重量に基づいて、0重量%〜45重量%、より特に0重量%〜25重量%であるか、あるいは、
アルキルシランのモル数の、アミノシランまたはアミノシロキサンASのモル数に対する比が、0〜0.60の値、より特に0〜0.33の値であるか
のいずれかであり;
式中、
R1は、少なくとも1個の第一級および/または第二級アミノ基を有するn価の有機基であり;
R1’は、少なくとも1個のメルカプト基を有するm価の有機基であり;
R2およびR2’は、それぞれ独立に、H、1個〜4個のC原子を有するアルキル基、またはアシル基であり;
R3およびR3’は、それぞれ独立に、H、または1個〜10個のC原子を有するアルキル基であり;
aおよびbは、それぞれ独立に、0、1、または2の値を表し;かつ、
nおよびmは、それぞれ独立に、1、2、3、および4の値を表す、水性接着促進組成物。
【請求項2】
前記組成物が、式(IV):
Si(OR4)4 (IV)
(式中、R4は、それぞれ独立に、H、1個〜4個のC原子を有するアルキル基、またはアシル基である)
の少なくとも1種のテトラアルコキシシランをさらに含有することを特徴とする、請求項1に記載の水性接着促進組成物。
【請求項3】
前記組成物がアルキルシランを含まないことを特徴とする、請求項1または2に記載の水性接着促進組成物。
【請求項4】
前記組成物が、有機シランOSであって、Si-C結合を介してケイ素原子に結合したその有機基が、式(I)のアミノシランのアミノ基または式(II)のメルカプトシランのメルカプト基と反応し得る少なくとも1個の官能基を有する有機シランOSを、含まないことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性接着促進組成物。
【請求項5】
前記組成物が、有機シランであって、Si-C結合を介してケイ素原子に結合したその有機基がヒドロキシル基を有する有機シランを、含まないことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性接着促進組成物。
【請求項6】
式(I)のアミノシランが、式(V):
H2N-R5-Si(OR2)(3-a)(R3)a (V)
(式中、R5は、直鎖状または分岐状の1個〜6個のC原子を有するアルキレン基、より特にプロピレン基である)
を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水性接着促進組成物。
【請求項7】
式(I)のアミノシランが、第二級アミノ基を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水性接着促進組成物。
【請求項8】
式(I)のアミノシランが、式(VI)、式(VII)、または式(VIII):
【化3】

(式中、R5は、直鎖状または分岐状の1個〜6個のC原子を有するアルキレン基、より特にプロピレン基である)
を有することを特徴とする、請求項7に記載の水性接着促進組成物。
【請求項9】
式(II)のメルカプトシランが、式(IX):
HS-R5’-Si(OR2’)(3-b)(R3’)b (IX)
(式中、R5’は、直鎖状または分岐状の1個〜6個のC原子を有するアルキレン基、より特にプロピレンである)
を有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の水性接着促進組成物。
【請求項10】
前記アミノシロキサンASを製造するために、アルキルシランを用いることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の水性接着促進組成物。
【請求項11】
前記水性接着促進組成物が、少なくとも1種の界面活性剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の水性接着促進組成物。
【請求項12】
前記水性接着促進組成物が、少なくとも1種の酸、より特に有機酸をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の水性接着促進組成物。
【請求項13】
式(I)のアミノシラン、アミノシロキサンAS、式(II)のメルカプトシラン、および水、ならびに存在する場合には式(IV)のテトラアルコキシシランの合計の重量割合が、前記水性接着促進組成物の重量に基づいて、80重量%より高い、特に90重量%より高いことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の水性接着促進組成物。
【請求項14】
式(I)のアミノシラン、アミノシロキサンAS、式(II)のメルカプトシラン、および存在する場合には式(IV)のテトラアルコキシシランの合計の重量割合が、前記水性接着促進組成物の重量に基づいて、0.1重量%より高い、より特に0.1重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜5重量%、最も好ましくは0.5重量%〜2重量%であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の水性接着促進組成物。
【請求項15】
前記水性接着促進組成物が、水と、少なくとも1種の式(I)のアミノシランまたは少なくとも1種のアミノシロキサンASと、少なくとも1種の式(II)のメルカプトシランと、所望する場合には界面活性剤および酸(より特に有機酸)と、これらの可能性のある加水分解反応生成物および/または縮合反応生成物とを含むことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の水性接着促進組成物。
【請求項16】
前記水性接着促進組成物が、2成分形であって第一成分K1および第二成分K2からなり、
第一成分K1が、少なくとも式(I)のアミノシランまたはアミノシロキサンAS、および式(II)のメルカプトシラン、ならびに存在する場合には式(IV)のテトラアルコキシシランを含み、
第二成分K2が、少なくとも水を含む
ことを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の水性接着促進組成物。
【請求項17】
第二成分K2が、少なくとも1種の界面活性剤を含むことを特徴とする、請求項16に記載の水性接着促進組成物。
【請求項18】
第二成分K2が、少なくとも1種の酸、より特に有機酸を含むことを特徴とする、請求項16または17に記載の水性接着促進組成物。
【請求項19】
少なくとも1つの隔壁(3)によって互いに隔てられた2つのチャンバ(1,2)を有する容器(5)と、
請求項16〜18のいずれか一項に記載の水性接着促進組成物と
からなり、
第一成分K1が第一のチャンバ(1)内に存在し、かつ、第二成分K2が第二のチャンバ(2)内に存在する、包装形態(6)。
【請求項20】
隔壁(3)が、圧力を適用すると裂けるかまたは破れる材料で作製されていることを特徴とする、請求項19に記載の包装形態(6)。
【請求項21】
プライマーとしての、請求項1〜18のいずれか一項に記載の水性接着促進組成物の使用。
【請求項22】
接着結合方法またはシーリング方法であって、
i) 請求項1〜18のいずれか一項に記載の水性接着促進組成物を、接着またはシールすべき基材S1に適用する工程と、
ii)基材S1上に配置され、溶媒が蒸発除去された前記組成物に、接着剤またはシーリング材を適用する工程と、
iii) 前記接着剤またはシーリング材を、第二の基材S2に接触させる工程と
を含む方法であるか、
i’) 請求項1〜18のいずれか一項に記載の水性接着促進組成物を、接着またはシールすべき基材S1に適用する工程と、
ii’)接着剤またはシーリング材を、第二の基材S2の表面に適用する工程と、
iii’) 前記接着剤またはシーリング材を、基材S1上に配置され、溶媒が蒸発除去された前記組成物と接触させる工程と
を含む方法であるか、あるいは、
i’’) 請求項1〜18のいずれか一項に記載の水性接着促進組成物を、接着またはシールすべき基材S1に適用する工程と、
ii’’)前記組成物の溶媒を蒸発除去する工程と、
iii’’) 前記接着剤またはシーリング材を、基材S1の表面と基材S2の表面との間に適用する工程と
を含む方法であり、
第二の基材S2が、第一の基材S1と、同じ材料または異なる材料からなる、接着結合方法またはシーリング方法。
【請求項23】
工程iii)、工程iii’)、または工程iii’’)の後に、前記接着剤またはシーリング材を硬化させる工程iv)が続くことを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記接着剤またはシーリング材が、イソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーを含むポリウレタン接着剤であることを特徴とする、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
基材S1または基材S2の少なくとも1つが、ガラス、ガラスセラミック、アルミニウム、またはアルミニウムアロイであることを特徴とする、請求項22〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
基材S1または基材S2の少なくとも1つが、銀、より特に、ガラスまたはガラスセラミック上の銀インプリントであることを特徴とする、請求項22〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
基材S1がガラスまたはガラスセラミックであり且つ基材S2が塗装、塗装金属、または塗装金属アロイであるか、あるいは、基材S2がガラスまたはガラスセラミックであり且つ基材S1が塗装、塗装金属、または塗装金属アロイであることを特徴とする、請求項22〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
湿気硬化性1成分形ポリウレタン接着剤の、銀、または銀をベースとする組成物もしくはアロイへの接着を促進するための、メルカプトシランの使用。
【請求項29】
請求項22〜27のいずれか一項に記載の方法によって製造された物品。
【請求項30】
前記物品が、輸送手段、より特に、自動車、バス、トラック、鉄道車両、ボート、または航空機であることを特徴とする、請求項29に記載の物品。

【公表番号】特表2010−501715(P2010−501715A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526119(P2009−526119)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【国際出願番号】PCT/EP2007/059130
【国際公開番号】WO2008/025846
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】