説明

アミノシラン開始剤及びそれから調製した官能化ポリマー

アニオン重合における官能性開始剤として使用するメタル化アミノシラン化合物、及び該メタル化アミノシラン化合物を使用して少なくとも1種のアニオン重合可能なモノマーのアニオン重合を開始するアミノシラン官能化ポリマーの製造方法である。メタル化アミノシラン化合物の好ましい使用は、アミノシラン官能化ポリマーを含むタイヤ用ゴム組成物をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年12月31日に出願した米国仮出願番号第61/291635号に対する優先権を主張し、ここにその全体を参照して援用する。
【0002】
本発明は、シラン官能化ポリマー及びそれから調製したゴム加硫物に関する。
【背景技術】
【0003】
タイヤ製造技術において、低減したヒステリシスロス、すなわち、力学的エネルギーの熱へのより少ない損失を示すゴム加硫物を用いることが望ましい場合がある。ヒステリシスロスは、架橋したゴム網状構造内のポリマー遊離端と、充填剤凝集体の解離とにしばしば起因する。
【0004】
官能化ポリマーを用いてヒステリシスロスを低減し、またバウンドラバーを増加させてきた。官能化ポリマーの官能基は、ポリマー遊離端の数を低減すると考えられている。また、官能基と充填剤粒子との間の相互作用が充填剤凝集体を低減し、これにより充填剤凝集体の解離に起因するヒステリシスロスを低減する。本発明は、ゴム加硫物のポリマー部分内のアミノシラン(「シラザン」)官能基がゴム加硫物の物理的特性を向上させることを見出したという認識に端を発する。ポリマー中のアミノシラン官能性が、おそらくポリマーとシリカ充填剤のような追加成分との相互作用を改善する。この改善された相互作用は、しばしば諸成分の改善された混合及び良好な分散に変わる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、アニオン重合開始用のメタル化アミノシラン化合物を提供する。
【0006】
本発明はまた、メタル化アミノシラン化合物を予備形成的に又は現場で調製することによって開始剤を提供する工程と、該メタル化アミノシラン化合物を使用して重合を開始して、少なくとも1種のアニオン重合可能なモノマーを重合する工程とを備えるアミノシラン官能化ポリマーの製造方法を提供する。
【0007】
本発明は、本明細書中で開示する方法に従って作製したアミノシラン官能化ポリマーを含むタイヤ用ゴム組成物も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、アニオン重合に有用な官能化開始剤を特定のメタル化アミノシラン化合物の形態で提供する。これら開始剤を使用して調製したポリマーは、ポリマー鎖の頭部に官能基を含有し、かかる官能性ポリマーに基づく加硫可能なエラストマー配合物及びその物品は有用な特性を示すことが見出された。一般に、ポリマーの「頭部」は、開始剤残基が存在する鎖末端であり、一方「尾部」は、最終モノマー単位をポリマーに付加した位置に最も近い鎖末端である。本明細書で使用する用語「頭部に」及び「尾部に」は、それぞれ頭部及び尾部の位置又はそれらの付近の位置を意味する。
【0009】
本明細書で開示するメタル化アミノシラン化合物を使用してアニオン付加重合(又は共重合)を開始することは、1個以上の炭素原子によってポリマー鎖の末端に直接結合したアミノシラン基のケイ素を有するアミノシラン官能化ポリマーの製造を可能にする。アミノシランのケイ素を1個以上の炭素結合によってポリマー鎖の頭部に直接結合することは、ケイ素が重合反応及びそれに続くゴム加硫材料での任意のポリマー加工の間中ポリマー鎖と結合したままでいる可能性の増大を可能にする。理論に拘束されることを望まないが、アミノシラン官能性ポリマーは加水分解によって反応し、ゴム加硫配合物中の充填剤と縮合して改善した充填剤微粒分散を付与し、それから作製したタイヤの燃料経済性を改善するのに有用なヒステリシスの低減したゴム加硫配合物をもたらすと考えられる。
【0010】
一実施形態において、本発明は、少なくとも1種のメタル化剤と、下記の式を有する少なくとも1種のアルキルアミノシラン化合物との反応生成物を含む、アニオン重合開始用のメタル化アミノシラン化合物を開示する:
【化1】


(式中、nは0〜2からなる群より選択した整数であり、mは1〜3からなる群より選択した整数であり、ただしmとnとの合計は3に等しく;Tはメチル基、エチル基、プロピル基又はアリル性基であり;R及びRはそれぞれ独立してヒドロカルビル基であり;Rはそれぞれ独立してヒドロカルビレン基であり;mが1より大きい場合、1個以上のRは2個の窒素原子の間を架橋してもよい)。
【0011】
一般に、本発明のアミノシラン化合物は、ケイ素原子に直接結合した1〜3個のジヒドロカルビルアミノ基を含有する化合物とすることができる。アミノシラン化合物は、ジヒドロカルビルアミノ基に加えて、様々な他のヒドロカルビル基又はフェニル基を含有することもできる。
【0012】
本発明で開示するアルキルアミノシラン化合物は、ケイ素原子に直接結合した少なくとも1種のアルキル基又はアリル性基(「T」すなわち「テザー(連結)」基)を有するアミノシラン化合物である。本明細書中で使用するように、用語「アリル性基」は、ケイ素原子に結合した置換又は未置換アリル性基
【化2】


を指す。アリル性基は、1個以上の水素、アルキル又はアリール置換基(B)を含有することができる。一般に、Tはメタル化試薬がプロトンを取り出すことができ、生成した金属−アルキル結合が重合を開始するような様式で選択される。Tの非限定的な例は、メチル基、エチル基、プロピル基及びアリル基である。
【0013】
一実施形態において、アルキルアミノシラン化合物はアルキレンイミノジヒドロカルビルアルキルシラン、ビス(アルキレンイミノ)ヒドロカルビルアルキルシラン、トリス(アルキレンイミノ)アルキルシラン、アリーレンイミノジヒドロカルビルアルキルシラン、ビス(アリーレンイミノ)ヒドロカルビルアルキルシラン、トリス(アリーレンイミノ)アルキルシラン、ジアルキルアミノジヒドロカルビルアルキルシラン、ビス(ジアルキルアミノ)ヒドロカルビルアルキルシラン、トリス(ジアルキルアミノ)アルキルシラン、ジアリールアミノジヒドロカルビルアルキルシラン、ビス(ジアリールアミノ)ヒドロカルビルアルキルシラン、トリス(ジアリールアミノ)アルキルシラン及びそれらの組み合わせからなる群より選択する。別の実施形態において、アルキルアミノシラン化合物はアルキレンイミノジヒドロカルビルアリルシラン、ビス(アルキレンイミノ)ヒドロカルビルアリルシラン、トリス(アルキレンイミノ)アリルシラン、アリーレンイミノジヒドロカルビルアリルシラン、ビス(アリーレンイミノ)ヒドロカルビルアリルシラン、トリス(アリーレンイミノ)アリルシラン、ジアルキルアミノジヒドロカルビルアリルシラン、ビス(ジアルキルアミノ)ヒドロカルビルアリルシラン、トリス(ジアルキルアミノ)アリルシラン、ジアリールアミノジヒドロカルビルアリルシラン、ビス(ジアリールアミノ)ヒドロカルビルアリルシラン、トリス(ジアリールアミノ)アリルシラン及びそれらの組み合わせからなる群より選択する。好ましくは、アルキルアミノシラン化合物はビス(ジアルキルアミノ)フェニルメチルシラン、ビス(ヘキサメチレンイミノ)フェニルメチルシラン、トリス(ジアルキルアミノ)アリルシラン及びそれらの組み合わせからなる群より選択する。その他のアルキルアミノシラン化合物を利用できることが具体的に予期される。
【0014】
メタル化反応は、当業界で周知であるように、一般に有機化合物のプロトンを金属で置換するプロセスを含む。金属は、通常、有機金属化合物に由来する。アミノシラン化合物をメタル化して開始剤を形成することは、本明細書に記載する通り、種々の方法で達成することができる。
【0015】
一般に、メタル化剤はアルキルアミノシランをメタル化し得るいずれかの化合物である。メタル化剤は、アミノシランの有機置換基、典型的にはアルキル又はアリル性テザー基Tを脱プロトン化することによって作動する。脱プロトン化によるメタル化反応は、付加によるメタル化反応で要求されるものよりも更に高塩基性の溶液を要求する場合がある。これに関連して、脱プロトン化をメタル化剤の適当な選択により促進することができる。例えば、sec−又はtert−ブチルリチウムの使用は通常アルキルアミノシラン化合物のメタル化反応を促進する。加えて、脱プロトン化をメタル化剤のルイス塩基との併用によって促進することができる。有機ルイス塩基の非限定的な例としては、エーテル、アミン、ホスフィン、スルホキシド、ホスホルアミド及びグリニャール試薬が挙げられる。これらの(又はその他の)いずれかの混合物を用いることもできる。
【0016】
別の実施形態において、脱プロトン化をアルカリ金属アルコキシド(例えば、Lochmann塩基)、アルカリ金属アルキルスルホネート及びそれらの組み合わせからなる群より選択した試薬とメタル化剤との併用により促進することができる。
【0017】
メタル化剤の非限定的な例としては、ヒドロカルビルリチウム化合物、ヒドロカルビルナトリウム化合物、ヒドロカルビルカリウム化合物、ヒドロカルビルマグネシウム化合物及びそれらの組み合わせのような有機金属化合物が挙げられる。好ましくは、メタル化剤はヒドロカルビルリチウム化合物若しくはヒドロカルビルナトリウム化合物又はそれらの組み合わせである。典型的には、メタル化剤が一般式C−Li(式中のCは1〜20の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール及びアラルキルからなる群より選択される)を有するヒドロカルビルリチウム化合物である。典型的なアルキルとしては、限定しないが、イソプロピル、ブチル異性体及びペンチル異性体が挙げられる。
【0018】
メタル化アミノシラン開始剤は、メタル化剤及びアルキルアミノシラン化合物(まとめて「配合剤」)を重合すべきモノマーの不在下適当な温度(通常−20℃〜80℃)で予備混合することにより任意に予備形成することができ、また得られた反応生成物を数秒間〜数日間にわたる期間熟成し、次いでモノマー溶液と混合することができる。ルイス塩基又は他の塩基性試薬を利用する場合、この時点で混合物に加えることもできる。開始剤の予備形成において、前記配合剤を溶解するのに役立ち得る有機溶媒又は担体を用いることができる。あるいはまた、溶媒が単に担体としての役割を果たすこともできる。利用するあらゆる有機溶媒は、メタル化アミノシラン化合物及び他の成分に対して不活性であるのが好ましい。有用な溶媒としては、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素及び脂環式炭化水素のような極性及び非極性炭化水素溶媒が挙げられる。かかる炭化水素の混合物を使用することもできる。
【0019】
別の実施形態において、メタル化アミノシラン開始剤を現場で任意に形成することができる。一般に、アニオン開始剤の現場調製は、重合溶媒と、もしあれば1種以上の重合すべきモノマーとを含む溶液を作製し、アミノシラン化合物及びメタル化剤を該溶液と混合することにより実施される。処理条件は、所望の官能性ポリマーを含有する溶液(セメント)の形成を可能にするように調整する。反応時間及び温度のような処理条件は、必要に応じて変えることができ、アミノシラン化合物及びメタル化剤を反応させ、続いてモノマー溶液を重合することを可能にする。
【0020】
本発明の一実施形態において、アミノシラン官能化ポリマーの製造方法は、(a)少なくとも1種のメタル化剤と式(IA)又は(IB)を有する少なくとも1種の化合物との反応生成物を含むメタル化アミノシラン化合物を調製することにより予備形成したアニオン開始剤を提供する工程と、(b)メタル化アミノシラン化合物を使用して重合を開始することにより少なくとも1種のアニオン重合可能なモノマーを重合する工程とを備える。
【0021】
予備形成したメタル化アミノシラン開始剤は、メタル化剤と式(IA)又は(IB)を有する少なくとも1種の化合物とを上述した方法で反応させることによって調製することができる。次いで、少なくとも1種のアニオン重合可能なモノマーをメタル化アミノシラン化合物の存在下後述するように典型的な重合条件下で重合する。
【0022】
アニオン付加重合及びリビング重合の原理は、当業者に既知である。アニオン重合ポリマーは、バッチ法、半バッチ法又は連続法のいずれかによって調製することができる。一般に、バッチ重合は、モノマーと溶媒とのブレンドを適当な反応容器に投入し、続いて極性調整剤(もし用いるのであれば)と開始剤化合物とを加えることにより開始される。反応体を適当な温度(一般に約20℃〜約130℃)まで加熱し、重合を充分な時間(一般に約0.1時間〜約24時間)進行させることができる。反応は、反応性すなわちリビング末端を有するポリマーを生成する。連続重合と違って、開始剤を反応器に連続的に加えず、また反応生成物を連続的に取り出さない。
【0023】
半バッチ重合では、反応媒体と開始剤とを反応容器に加え、モノマーを温度やモノマー/開始剤/調整剤の濃度等に依存した速度でゆっくり時間をかけて連続的に加える。連続重合と違って、生成物を反応器から連続的に取り出さない。
【0024】
一般に、連続重合反応では、モノマー、開始剤及び溶媒を供給流として適当な反応容器に同時に投入する。その後、適当な滞留時間後に生成物を取り出す連続的な手順に従う。特定の実施形態においては、追加の供給流を存在させて、限定しないが、反応調整剤、官能化剤及び停止剤等を含む追加成分を反応容器へ投入することができる。特定の実施形態において、限定しないが、開始剤を含む成分を予備形成するために、反応容器に投入するのに先立って、1つ以上の供給流を組み合わせることができる。他の実施形態において、リビングポリマーを連続重合反応器から取り出した後、限定しないが、ポリマーの官能性停止を含む1つ以上の反応を達成することができる。連続重合及び連続重合反応器の原理に関する追加情報は、米国特許第5,231,152号、第5,610,227号、第6,362,282号、第6,451,935号、第6,881,795号、第6,897,270号及び第7,442,748号に開示され、その記述をここに参照して援用する。
【0025】
本明細書に記載した重合プロセスは、少なくとも1種のアニオン重合可能なモノマーと、任意の付加的なコモノマーとを含む。一般に、既知のアニオン重合可能なモノマー全てを使用することができる。アニオン重合可能なモノマーの非限定的な例としては、共役ジエン及びビニル芳香族、好ましくは4〜12個の炭素原子を有する共役ジエン及び8〜18個の炭素原子を有するモノビニル芳香族、より好ましくは共役ブタジエン及び共役ペンタジエン並びにイソプレン、ミルセン及びスチレンが挙げられる。
【0026】
アニオン重合は、通常テトラヒドロフラン(THF)のような極性溶媒、又は種々の環式及び非環式ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ペンタン、それらのアルキル化誘導体及び混合物並びにベンゼンのような非極性溶媒中で行う。
【0027】
共重合におけるランダム化を促進し、またビニル含量を制御するためには、極性調整剤(重合調整剤)を重合成分に加えることができる。極性調整剤の使用は当業者に既知で、適当な極性調整剤の使用は、本発明の範囲内である。極性調整剤を使用するか否か及び使用する重合調整剤の量は、限定しないが、所望するビニル含量の量、重合温度及び用いる具体的な極性調整剤の性質を含む数多くの要因に依存する。典型的には、有用な極性調整剤としては、酸素又は窒素ヘテロ原子と非結合電子対とを有する化合物が挙げられる。その非限定的な例としては、モノ及びオリゴアルキレングリコールのジアルキルエーテル;「クラウン」エーテル;テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)のような三級アミン;並びに直鎖状THFオリゴマーが挙げられる。好ましい極性調整剤としては、限定しないが、テトラヒドロフラン(THF)、2,2−ビス(2’−テトラヒドロフリル)プロパンのような直鎖状及び環式オリゴマー状オキソラニルアルカン、ジピペリジルエタン、ジピペリジルメタン、ヘキサメチルホスホルアミド、N,N’−ジメチルピペラジン、ジアザビシクロオクタン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、トリブチルアミン等が挙げられる。直鎖状及び環式オリゴマー状オキソラニルアルカン重合調整剤は、本明細書に参照して援用する米国特許第4,429,091号に記載されている。
【0028】
本明細書に記載したアニオン重合を行うのに使用するメタル化アミノシラン開始剤の量は、所望のポリマー特性に基づいて幅広く変えることができる。一実施形態において、金属対モノマーのモル比は、1:10〜1:20,000である。金属とは、メタル化アミノシラン化合物中又はメタル化剤中の金属を意味する。同様に、一実施形態において、金属対アルキルアミノシラン化合物のモル比は、0.8〜1.2とすることができる。
【0029】
本明細書に記載したメタル化アミノシラン開始剤を使用することにより少なくとも1種のアニオン重合モノマーの重合を開始すること及び重合を成長させることを上に記載する。一般に、所望の転化を達成すると、停止又はカップリングにより重合を止めることができる。重合の停止の一様式は、プロトンをリビング末端に提供し得る化合物を加えることによりリビングポリマーをプロトン化することによる。非限定的な例としては、水、イソプロピルアルコール、メチルアルコール及びそれらの混合物が挙げられる。
【0030】
一つ以上の実施形態において、リビングポリマーをカップリングして、2本以上のリビングポリマー鎖を一緒に連結することができる。当業者は、ポリマー鎖をカップリングする能力がポリマー鎖と反応するカップリング剤の量に依存し得ることを理解している。例えば、カップリング剤を開始剤のリチウム当量とカップリング剤の脱離基(例えば、ハロゲン原子)当量との1:1の比率で加えると、有益なカップリングを達成することができる。カップリング剤の非限定的な例としては、金属ハロゲン化物、半金属ハロゲン化物、アルコキシシラン及びアルコキシスタンナンが挙げられる。
【0031】
一つ以上の実施形態において、金属ハロゲン化物又は半金属ハロゲン化物を、式(1)R(4−n)、式(2)M及び式(3)M(式中のRはそれぞれ独立して1〜20個の炭素原子を有する一価の有機基であり、Mはスズ原子、ケイ素原子又はゲルマニウム原子であり、Mはリン原子であり、Yはハロゲン原子であり、nは0〜3の整数である)によって表わされる化合物を含む群より選択することができる。
【0032】
式(1)により表わされる例示的な化合物は、ハロゲン化有機金属化合物を含み、式(2)及び(3)により表わされる例示的な化合物は、ハロゲン化金属化合物を含む。
【0033】
がスズ原子を表す場合、式(1)により表わされる化合物は、例えば塩化トリフェニルスズ、塩化トリブチルスズ、塩化トリイソプロピルスズ、塩化トリヘキシルスズ、塩化トリオクチルスズ、二塩化ジフェニルスズ、二塩化ジブチルスズ、二塩化ジヘキシルスズ、二塩化ジオクチルスズ、三塩化フェニルスズ、三塩化ブチルスズ及び三塩化オクチルスズ等とすることができる。更に、四塩化スズ及び四臭化スズ等を式(2)により表わされる化合物として例示することができる。
【0034】
がケイ素原子を表す場合、式(1)により表わされる化合物は、例えばトリフェニルクロロシラン、トリヘキシルクロロシラン、トリオクチルクロロシラン、トリブチルクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、ジヘキシルジクロロシラン、ジオクチルジクロロシラン、ジブチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ヘキシルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン及びメチルトリクロロシラン等とすることができる。更に、四塩化ケイ素及び四臭化ケイ素等を式(2)により表わされる化合物として例示することができる。Mがゲルマニウム原子である場合、式(1)により表わされる化合物は、例えば塩化トリフェニルゲルマニウム、二塩化ジブチルゲルマニウム、二塩化ジフェニルゲルマニウム及び三塩化ブチルゲルマニウム等とすることができる。更に、四塩化ゲルマニウム及び四臭化ゲルマニウム等を式(2)により表わされる化合物として例示することができる。三塩化リン及び三臭化リン等を式(3)により表わされる化合物として例示することができる。一つ以上の実施形態において、金属ハロゲン化物及び/又は半金属ハロゲン化物の混合物を使用することができる。
【0035】
一つ以上の実施形態において、アルコキシシラン又はアルコキシスタンナンは、式(4)R(OR)4−n(式中のRはそれぞれ独立して1〜20個の炭素原子を有する一価の有機基であり、Mはスズ原子、ケイ素原子又はゲルマニウム原子であり、ORはアルコキシ基(ここで、Rは一価の有機基である)であり、nは0〜3の整数である)により表わされる化合物を含む群から選択することができる。
【0036】
式(4)により表わされる例示的な化合物としては、オルトケイ酸テトラエチル、オルトケイ酸テトラメチル、オルトケイ酸テトラプロピル、テトラエトキシズズ、テトラメトキシスズ及びテトラプロポキシスズが挙げられる。
【0037】
抗酸化剤を、停止剤と一緒に、又は停止剤の添加前後に加えることができる。重合を止めると、脱溶媒及び乾燥の通常の手順を利用することによりポリマーを重合混合物から回収することができる。例えば、重合混合物をメタノール、エタノール若しくはイソプロパノールのようなアルコールで凝固し、続いて単離することによるか、又は溶媒及び未反応モノマーを水蒸気蒸留し、続いて単離することによってポリマーを溶液から単離することができる。次いで、単離したポリマーを乾燥して残存量の溶媒及び水を除去する。あるいはまた、溶媒を蒸発させる、例えば重合セメントを直接にドラム乾燥させることにより、ポリマーを重合混合物から単離することができる。
【0038】
本発明の別の実施形態においては、上述した方法により作製したアミノシラン官能化ポリマーと、少なくとも1種のゴム状ポリマーと、少なくとも1種の充填剤とを含むタイヤ用ゴム組成物を提供する。
【0039】
本明細書に記載するようなアミノシラン官能化ポリマー及びかかる官能化ポリマーを含有するゴム組成物は、タイヤ構成部材を製造するのに特に有用である。これらタイヤ構成部材は、本明細書に記載したアミノシラン官能化ポリマーを単独又は他のゴム状ポリマーと共に使用することにより製造することができる。上述したように、少なくとも1種のメタル化剤と式(IA)又は(IB)を有する少なくとも1種の化合物との反応生成物を含む予備形成したアニオン開始剤を使用して、少なくとも1種のアニオン重合可能なモノマーの重合を開始することによりアミノシラン官能化ポリマーを形成する。別の実施形態においては、上述したように、現場で形成したメタル化アミノシラン化合物を使用して、少なくとも1種のアニオン重合可能なモノマーの重合を開始することによりアミノシラン官能化ポリマーを形成する。
【0040】
使用し得る他のゴム状ポリマーとしては、天然及び合成エラストマーが挙げられる。有用なゴム状エラストマーの非限定的な例としては、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリ(イソブチレン−co−イソプレン)、ネオプレン、ポリ(エチレン−co−プロピレン)、ポリ(スチレン−co−ブタジエン)、ポリ(スチレン−co−イソプレン)、ポリ(スチレン−co−イソプレン−co−ブタジエン)、ポリ(イソプレン−co−ブタジエン)、ポリ(エチレン−co−プロピレン−co−ジエン)、多硫化ゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム及びそれらの混合物が挙げられる。これらエラストマーは、直線状、分枝状及び星型をはじめとする無数の巨大分子構造を有することができる。好ましいエラストマーとしては、タイヤ産業におけるその共通使用のため、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、並びにスチレン、ブタジエン及びイソプレンの種々のコポリマーが挙げられる。
【0041】
通常本明細書に開示するゴム組成物においては、アミノシラン官能化ポリマーが10〜100phrの量で存在する一方、他のゴム状ポリマーが0〜90phrの量で存在する。
【0042】
ゴム組成物は、無機充填剤、有機充填剤及びそれらの混合物のような充填剤を含むことができる。有機充填剤の非限定的な例としては、カーボンブラック、デンプン及びそれらの混合物が挙げられる。無機充填剤の非限定的な例としては、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、粘土(含水ケイ酸アルミニウム)及びそれらの混合物が挙げられる。
【0043】
一つ以上の実施形態において、シリカ(二酸化ケイ素)は、水中での化学反応により生成し、超微細球形粒子として沈殿した湿式法ケイ酸を含む。シリカは、一実施形態において約32〜約400m/g、別の実施形態において約100〜約250m/g、更に別の実施形態において約150〜約220m/gの表面積を有する。シリカ充填剤のpHは、一実施形態において約5.5〜約7であり、別の実施形態において約5.5〜約6.8である。市販のシリカとしては、Hi−Sil(商標)215、Hi−Sil(商標)233、Hi−Sil(商標)255LD及びHi−Sil(商標)190(PPGインダストリーズ社;ピッツバーグ、ペンシルバニア)、Zeosil(商標)1165MP及び175GRプラス(ローディア社)、Vulkasil(商標)(バリーAG社)、Ultrasil(商標)VN2、VN3(デグサ社)、並びにHuberSil(商標)8745(フーバー社)が挙げられる。
【0044】
一つ以上の実施形態において、カーボンブラックはあらゆる一般に入手可能で、商用に製造されたカーボンブラックを含むことができる。これらは、少なくとも20m/グラム、他の実施形態において少なくとも35m/グラムから最大200m/グラム又はそれより大きい表面積(EMSA)を有するものを含む。表面積の値は、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)技術を用いるASTM試験D−1765により求めたものを含む。中でも有用なカーボンブラックは、ファーネスブラック、チャンネルブラック及びランプブラックである。より具体的なカーボンブラックの例としては、超耐摩耗性ファーネス(SAF)ブラック、高耐摩耗性ファーネス(HAF)ブラック、高速押出性ファーネス(FEF)ブラック、微粒子ファーネス(FF)ブラック、準超耐摩耗性ファーネス(ISAF)ブラック、半補強性ファーネス(SRF)ブラック、中作業性チャンネルブラック、難作業性チャンネルブラック及び導電性チャンネルブラックが挙げられる。利用し得る他のカーボンブラックはアセチレンブラックを含む。上記ブラックの2種以上の混合物を、本発明のカーボンブラック生成物の調製に使用することができる。例示的なカーボンブラックとしては、ASTM表示(D−1765−82a)N−110、N−220、N−339、N−330、N−351、N−550及びN−660を有するものが挙げられる。一つ以上の実施形態において、カーボンブラックは、酸化カーボンブラックを含む。
【0045】
シリカは、ゴム100重量部あたり一実施形態において約5〜約200重量部(phr)、別の実施形態において約10〜約150phr、更に別の実施形態において約15〜約80phr、更に別の実施形態において約25〜約75phrの量で使用することができる。
【0046】
一実施形態においては、カーボンブラックを約1〜約200phrの量、約5〜約100phrの量、あるいは約30〜約80phrの量で使用することができる。
【0047】
硫黄又は過酸化物系硬化システムを含む多数のゴム硬化剤を用いることができる。硬化剤は、ここに参照して援用するカーク・オスマー著、「化学技術百科事典(ENCYCLOPEDIA OF CHEMICAL TECHNOLOGY)」、第20巻、365〜468頁、(第3版、1982年)、特に「加硫剤及び補助材料(Vulcanization Agents and Auxiliary Materials)」、390〜402頁及びA.Y.コラン著、「高分子科学工学百科事典(ENCYCLOPEDIA OF POLYMER SCIENCE AND ENGINEERING)」(第2版、1989年)の「加硫(Vulcanization)」に記載されている。加硫剤を単独又は組み合わせて使用することができる。一つ以上の実施形態において、加硫組成物の調製、タイヤの構造及び硬化は、本発明の実施によって影響を受けない。
【0048】
使用し得る他の成分としては、促進剤、オイル、ワックス、スコーチ抑制剤、加工助剤、酸化亜鉛、粘着付与樹脂、ステアリン酸のような脂肪酸、しゃく解剤及び1種以上の追加のゴムが挙げられる。オイルの例としては、パラフィン油、芳香族油、ナフテン系油、ひまし油以外の植物油、MES、TDAE、SRAEを含む低PCA油及び重質ナフテン系油が挙げられる。
【0049】
これらストックは、トレッド、サブトレッド、ブラックサイドウォール、ボディプライスキム、ビードフィラー等のタイヤ構成部材を形成するのに有用である。官能性ポリマーをトレッド組成物に用いるのが好ましい。これらトレッド組成物は、該組成物中のゴムの総重量に対し、一つ以上の実施形態において約10〜約100重量%、他の実施形態において約35〜約90重量%、また他の実施形態において約50〜80重量%の官能性ポリマーを含むことができる。
【0050】
一つ以上の実施形態において、加硫可能なゴム組成物はゴム成分(ゴム成分は本発明の官能性ポリマーを任意に含む)と充填剤とを含む初期マスターバッチを形成することにより調製することができる。この初期マスターバッチを、約25℃〜約125℃の開始温度、約135℃〜約180℃の排出温度で混合することができる。早期加硫(スコーチとしても既知)を防止するために、この初期マスターバッチは加硫剤を除いてもよい。初期マスターバッチを処理すると、加硫剤を初期マスターバッチ内に導入し、最終混合段階において好ましくは加硫プロセスを開始しない低温でブレンドすることができる。レミルと称することもある追加の混合段階をマスターバッチ混合段階と最終混合段階との間で任意に使用することができる。本発明の官能性ポリマーを含む種々の成分をこれらレミルの間に加えることができる。ゴム配合技術及びそれに用いる添加剤は、一般に「ゴム技術(Rubber Technology)」(第2版、1973年)の「ゴムの配合及び加硫(The Compounding and Vulcanization of Rubber)」に開示されるように既知である。
【0051】
シリカ充填タイヤ組成物に適用可能な混合の条件及び手順も、米国特許第5,227,425号、第5,719,207号及び第5,717,022号並びに欧州特許第890,606号に記載されているように周知であり、かかる文献の全てをここに参照して援用する。一つ以上の実施形態において、シリカを充填剤として用いる(単独又は他の充填剤と組み合わせて)場合、カップリング剤及び/又は遮蔽剤を混合中にゴム組成物に加えてもよい。有用なカップリング剤及び遮蔽剤は、ここに参照して援用する米国特許第3,842,111号、第3,873,489号、第3,978,103号、第3,997,581号、第4,002,594号、第5,580,919号、第5,583,245号、第5,663,396号、第5,674,932号、第5,684,171号、第5,684,172号、第5,696,197号、第6,608,145号、第6,667,362号、第6,579,949号、第6,590,017号、第6,525,118号、第6,342,552号及び第6,683,135号に開示されている。一実施形態においては、初期マスターバッチを実質的にカップリング剤及び遮蔽剤の不在下で本発明の官能性ポリマーとシリカとを含めることにより調製する。この手順は、官能性ポリマーがレミル中に後で添加し得るカップリング剤又は遮蔽剤と競合する前にシリカと反応又は相互作用する機会を高めると考えられる。
【0052】
加硫可能なゴム組成物をタイヤの製造に用いる場合、標準的なゴム成型技術、鋳型技術及び硬化技術を含む通常のタイヤ製造技術に従いこれら組成物をタイヤ構成部材に加工することができる。限定しないが、トレッド、サイドウォール、ベルトスキム及びカーカスを含む種々のゴムタイヤ構成部材のいずれをも組み立てることができる。典型的に、加硫可能な組成物を鋳型中で加熱することにより加硫を行う、例えば約140〜180℃まで加熱することができる。硬化又は架橋ゴム組成物は、加硫物と呼ぶ場合があり、一般に熱硬化性の三次元高分子網状構造を含有する。加工助剤及び充填剤のような他の成分を加硫した網状構造のいたるところに均一に分散させることができる。空気入りタイヤは、ここに参照して援用する米国特許第5,866,171号、第5,876,527号、第5,931,211号及び第5,971,046号で論じられているように作製することができる。
【0053】
タイヤ構成部材用ゴム組成物におけるカーボンブラック及びシリカ充填剤を含む充填剤並びに追加成分の使用に関する更なる情報や、かかる組成物の配合に関する情報は、米国特許第7,612,144号、第6,221,943号、第6,342,552号、第6,348,531号、第5,916,961号、第6,252,007号、第6,369,138号、第5,872,176号、第6,180,710号、第5,866,650号、第6,228,908号及び第6,313,210号に開示され、これらを本明細書に参照して援用する。
【0054】
以下の実施例によって本発明の実施を更に説明するが、特許請求の範囲に列挙する本発明の範囲の限定として解釈すべきではない。
【実施例】
【0055】
[一般的な実験的試験手順]
分子量測定:2414型屈折計と996型フォトダイオードアレイ検出器(UV)とを備えたウォーターズ社の150−C型計器を用いるゲル浸透/サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって分子量を測定した。分子量はポリスチレン標準物質に基づく普遍較正曲線から算出し、SBRについてのマーク・ホーウィンク定数:k=0.000269、α=0.73を使用して補正した。
【0056】
NMR:300MHzのジェミニ300NMR分光計システム(バリアン社)による1H−NMR(CDCl)及び13C NMR測定値を使用してスチレン含量、ビニル含量及び小分子構造確認を求めた。
【0057】
ガラス転移温度(Tg):DSC2910示差走査熱量計(TAインストゥルメンツ社)を使用してガラス転移温度を測定した。Tgは、変曲点が熱容量(Cp)変化に現れた温度として決定した。
【0058】
動的機械特性:2つの技術を使用して動的機械特性を測定した。厚さ15mm、直径9.27mmのボタン型試験片でパラレルプレートモードのレオメトリックスダイナミックアナライザーRDAII(レオメトリックサイエンティフィック社)を使用した。損失モジュラスG”、貯蔵モジュラスG’及びtanδを1Hz及び50℃で0.25〜14.5%γのひずみにわたって測定した。G’(0.25%γ)−G’ (14.0%γ)の差を計算することによりペイン効果を評価した。31.7mm×12.7mm×2.0mmの寸法を有する試料を用いてトーションレクタンギュラーモードのRDA700(レオメトリックサイエンティフィック社)を使用した。温度を5℃/分の速度で−80℃から100℃まで上昇させた。5Hzの周波数と、−80℃〜−10℃で0.5%γ及び−10℃〜100℃で2%γのひずみとを使用してモジュラス(G’及びG”)を得た。
【0059】
ムーニー粘度:ムーニー粘度の測定は、ASTM−D1646−89に準拠して行った。
【0060】
[代表的なアルキルアミノシラン化合物]
[実施例1]
ビス(ジメチルアミノ)フェニルメチルシランをsec−ブチルリチウム(s−BuLi)で下記の方法により処理してリチオ化を行い、構造Aを有する化合物を得た。
【化3】

【0061】
クラウンシールとニトリルキャップライナーを装着した300mLの乾いた窒素パージしたボトルに次の成分を投入した:ビス(ジメチルアミノ)フェニルメチルシラン9.23mmol(2.0mL、1.92g);トリエチルアミン5.0mL;sec−ブチルリチウム10.1mmol(1.4Mのシクロヘキサン溶液7.2mL)。生成した溶液を50℃で2.5時間攪拌し、およそ0.65Mの化合物Aであると推定した。
【0062】
[実施例2]
実施例1の新鮮なメタル化試薬を用いて、1,3−ブタジエンを密封ボトル中で重合させた。M=25kg/molのポリマーを目標とした。800mLのボトル(実施例1におけるように乾燥、パージ、装着した)に1,3−ブタジエン31.4gを無水ヘキサン261gに含む溶液を投入し、続いて実施例1の試薬2.0mL(約1.3mmol)をボトル内に注入した。このボトルを50℃で75分間攪拌し、続いて一晩室温まで冷却した。生成したセメントを2mLの2−イソプロパノール(i−PrOH)でクエンチし、ジ−t−ブチル−p−クレゾール(DBPC)で安定化した。固形分から90%の転化率を推定した。セメントをエタノール中で凝固させ、その凝固物をヘキサンに再溶解し、続いて同じ方法で更に2回再凝固させた。凝固したポリマーを窒素流下室温で4時間、続いて真空下約70℃で一晩乾燥させた。ポリブタジエン(PBD)生成物は、SECにより測定して26.9kg/molのMを有した。この生成物のNMR(13C)分析は、シリル基のほぼ定量的な組み込みを示した(Si−CH領域(11.6〜12.04ppm)の炭素と末端CH(トランス、18.1ppm;シス、13.0ppm)の炭素との比率がほぼ1:1であった)。
【0063】
[実施例3〜5]
別の新鮮なメタル化試薬を実施例1のように調製、使用して、1,3−ブタジエン及びスチレンと1,3−ブタジエンとの混合物を密封したボトル中で重合した。重合時間を120分とした以外は、実施例2の重合手順及びワークアップに従った。これらの重合は、125kg/molのPBD(実施例3:実測したMは139.2kg/mol)、25kg/mol及び125kg/molのスチレン−ブタジエンコポリマー(SBR)(実施例4及び5について実測したMは、それぞれ35.6kg/mol及び211.1kg/mol)を目標とした。実施例3、4及び5の重合は、それぞれ80%、97%及び96%の転化率で進んだ。
【0064】
[実施例6(予備混合、バッチ)]
およそ0.65M濃度のビス(ジメチルアミノ)フェニルメチルシランの新鮮なリチオ化試薬のヘキサン溶液を実施例1におけるように調製した。これを次の手順に従って使用して、M=120kg/molを目標とするスチレンと1,3−ブタジエンとの共重合をバッチ反応器内で無水窒素雰囲気下開始した。7.6Lのオートクレーブ型の攪拌反応器に無水ヘキサン3755gと、無水1,3−ブタジエン551.1gと、無水スチレン129.3gと、1.60Mオリゴマー状オキソラニルプロパンのヘキサン溶液1.2mLとを投入した。この混合物を49℃の一定温度で保持し、8.72mL(5.67mmol)のリチオ化ビス(ジメチルアミノ)フェニルメチルシラン溶液を加えた。55.2℃のピーク温度に達した後、重合をさらに60分間続け、セメントの固形分から推定して92%の転化率を達成した。セメント生成物の試料を乾燥、パージ、密封した800mLのボトル内に針を介して集めた。各試料を窒素スパージした2−プロパノール2mLでクエンチし、DBPCで安定化し、その後追加のDBPCを含有する2−プロパノール中で凝固させた。凝固物をまとめ、2本ロールミル上で110℃でドラム乾燥させて、No.6の試料を得た。その特性を下記の表1にまとめる。
【0065】
[実施例7(予備混合、半バッチ)]
次の手順に従って、無水窒素雰囲気の攪拌バッチ反応器内で計量半バッチ条件下M=140kg/molを目標としたスチレンと1,3−ブタジエンとの共重合を行った。7.6Lのオートクレーブ型攪拌反応器に無水ヘキサン1710gと1.60Mオリゴマー状オキソラニルプロパンのヘキサン溶液0.27mLとを投入した。この混合物を85℃まで加熱し、保持した。次いで、無水ヘキサン2063.4gに無水スチレン217.7gと無水1,3−ブタジエン462.7gとを含む混合物を反応器に計量器の使用によりおよそ36g/分で加えた。計量の約10分後、0.65Mのリチオ化ビス(ジメチルアミノ)フェニルメチルシラン溶液(実施例1に従って新たに調製した)7.48mL(4.86mmol)を加えた。開始剤の投入後、モノマーの計量添加を62分間続けた。次に、セメント生成物の試料を10個の乾燥、パージ、密封した800mLのボトル内に針を介して集めた。87.4%の重合転化率をセメントの固形分から推定した。5個のボトル中のセメントを、実施例6におけるようにクエンチし、安定化、凝固、乾燥させて、試料7を得た。その特性を下記の表1にまとめる。
【0066】
[実施例8(予備混合、半バッチ)]
実施例7の残りの5個のボトル中の各セメントを、LiあたりSn−Cl0.6当量の0.2M SnClで処理し、続いて50℃で35分間攪拌した。攪拌後、セメントを上記実施例におけるようにクエンチし、安定化、凝固、乾燥させて、試料8を得た。その特性を下記の表1にまとめる。
【0067】
[実施例9(予備混合、バッチ)]
実施例6の手順を繰り返した。重合は93.4%の転化率で進んだ。生成物を実施例6におけるようにワークアップして試料9を得た。その特性を下記の表1に含める。
【0068】
[比較例A(バッチ対照物)]
n−ブチルリチウムを唯一の開始剤とした以外、実施例6の手順に従った。重合は96.6%の転化率で進んだ。生成物を実施例6におけるようにワークアップして試料Aを得た。その特性を下記の表1に含める。比較例の対照バッチポリマーとして試料Aを使用した。
【0069】
[比較例A’(バッチ対照物)]
比較例Aの手順に従って、試料A’と表わす非常に類似する特性を有するポリマーを得た。その特性を下記の表1に含める。比較例の対照バッチポリマーとして試料A’も使用した。
【0070】
[比較例B(半バッチ対照物)]
n−ブチルリチウムを唯一の開始剤とした以外、実施例7の計量半バッチ重合手順に従った。転化の程度は測定しなかった。生成物を実施例6におけるようにワークアップして試料Bを得た。その特徴を下記の表1に含める。比較例の対照半バッチポリマーとして試料Bを使用した。
【0071】
【表1】

【0072】
上に示す実施例は開始剤Aを使用したが、同様な有効性を有する試薬が他の基質から同様の方法で生成できる。例えば、ビス(ヘキサメチレンイミノ)オクチルメチルシランをsec−ブチルリチウムで処理することによって発生したリチオ化種を使用して、1,3−ブタジエンの重合及び1,3−ブタジエンとスチレンとの共重合を開始(上記実施例2及び4におけるように)して、それぞれ86%及び97.6%の転化率でポリマーを生成させた。それぞれの事例において25kg/molの分子量を目標とし、得られた生成物のSECによるMは、30.5kg/mol及び33.2kg/molであった。従って、様々な範囲の他の構造体も同様に有効である。
【0073】
要約すると、Aを開始剤として用いる1,3−ブタジエンとスチレンとのアニオン共重合は、高転化率で進み、高分子量エラストマーを生成した。目標とするか又はそれに近い分子量で生成物を得た。ポリマーはその頭部の基にケイ素を組み込み、Siは炭素原子によってポリマー鎖と結合している。
【0074】
続いて、これらポリマーを他の成分と配合し、「全てのシリカ」処方を使用して、加硫可能なエラストマー配合物を調製した。ゴム100重量部あたりの成分の重量部(phr)を下記の表2に示す。
【0075】
【表2】

【0076】
最初に、ポリマーを65−gブラベンダミキサーに入れ、0.5分後にステアリン酸を除く残りの成分を加えた。次いで、ステアリン酸を3分後に加えた。初期成分を5.5分間混合した。混合終了時、温度はおよそ165℃であった。各試料を60℃の温度で作動するミルへ移し、ここでシート状にし、続いて室温まで冷却した。混合物を130℃で3.5分間レミルし、これによりカップリング剤をマスターバッチ段階よりも緩和した条件で加えた。各試料を60℃のミルに再び移し、シート状にし、室温まで冷却した。レミルした塊と硬化剤材料とを同時にミキサーに加えることにより最終成分を混合した。初期のミキサー温度は65℃で、45rpmで作動した。材料温度が100℃〜105℃となった2.5分後に最終材料をミキサーから取り出した。この最終物をダイナスタットボタン型試験片及び15×15×0.1875cmのシートにシート成形した。この試料を加熱プレス内に置いた標準金型中171℃で15分間硬化させた。
【0077】
検査試料及び比較試料の配合評価の結果を下記の表3にまとめる。
【0078】
【表3】

【0079】
表3のデータは、n−ブチルリチウム開始剤を使用した比較例に照らして判定すると、開始剤Aを使用したエラストマーで調製した配合物について60℃でのヒステリシスの相当な低減を示す。ヒステリシスの低減は、半バッチ条件下(試料7及び8)よりもバッチ重合条件下(試料6及び9)で作製したポリマーで大きかった。
【0080】
[比較試料C(対照、半バッチ)]
次の手順に従って、無水窒素雰囲気の攪拌バッチ反応器内で計量半バッチ条件下、Mn=140kg/molを目標としたスチレンと1,3−ブタジエンとの共重合を実施した。7.6Lのオートクレーブ型の攪拌反応器に無水ヘキサン170gと、1.60Mオリゴマー状オキソラニルプロパンのヘキサン溶液0.27mLとを投入した。この混合物を93.3℃まで加熱し、保持した。次いで、無水スチレン217.7gと無水1,3−ブタジエン462.7gとを無水ヘキサン2063.4gに含む混合物を反応器に計量器の使用によりおよそ36g/分で加えた。計量の約10分後、25mLの無水ヘキサンで希釈した1.6Mのn−BuLi2.86mL(4.86mmol)を反応器に投入した。開始剤の投入後、モノマーの計量添加を62分間続け、次いで生成物セメントの試料を乾燥、パージした800mLの密封ボトル内に針を介して集めた。試料Aと同様に、ボトル中の各セメントをクエンチし、安定化、凝固、乾燥させて試料Cを得た。その特性を下記の表4にまとめる。
【0081】
【表4】

【0082】
[メタル化アミノシラン開始剤を使用した追加の実施例]
[実施例19A(リチオ化開始剤ワークアップ)]
【化4】


トリス(ジメチルアミノ)メチルシラン(上記構造体B)をsec−ブチルリチウム(s−BuLi)で処理してリチオ化を行った。次の成分をクラウンシールとニトリルキャップライナーとを装着した300mLの乾燥し、窒素パージしたボトルに投入した:トリス(ジメチルアミノ)メチルシラン9.7mmol(2.0mL、1.92g);トリエチルアミン4.0mL;sec−ブチルリチウム10.1mmol(1.3Mのシクロヘキサン溶液7.8mL)。生成した溶液を50℃で2時間攪拌し、およそ0.73Mのリチオ化試薬であると推定した。
【0083】
[実施例19B(プレミックス、バッチ)]
試料Aについての手順を利用して、スチレン−ブタジエンコポリマーを生成させた。しかしながら、今回は、リチオ化トリス(ジメチルアミノ)メチルシラン(構造体B)を開始剤として使用し、リチオ化試薬を実施例19Aのように調製し、その後それを直ちに反応器に投入した。温度は56.7℃でピークに達し、その後更に60分間重合が進行して、88%の転化率に達した。セメントを800mLのボトル内に集め、それぞれを窒素スパージしたエタノール2mLでクエンチし、DBPCで安定化した後、追加のDBPCを含有する2−プロパノール中で凝固させた。凝固物をまとめ、2本ロールミル上で110℃にてドラム乾燥させて試料19を得た。その特性を下記の表5に含める。
【0084】
[実施例20(プレミックス、バッチ)]
【化5】


試料Aについての手順を利用して、スチレン−ブタジエンコポリマーを生成させた。しかしながら、今回は、純トリス(ジメチルアミノ)アリルシラン(上記構造体C)1.21mLを1.6Mのn−BuLi3.34mLと混合し、無水ヘキサンで50mLに希釈し、生成した混合物を直ちに反応器へ投入した。温度は58.9℃でピークに達し、その後更に60分間重合が進行し、90%より高い転化率に達した。セメントを800mLのボトルに集め、それぞれを窒素スパージしたエタノール2mLでクエンチし、DBPCで安定化した後、追加のDBPCを含有する2−プロパノール中で凝固させた。凝固物をまとめ、2本ロールミル上で110℃にてドラム乾燥させて試料20を得た。その特性を下記の表5に含める。
【0085】
[実施例21(プレミックス、半バッチ)]
試料Cについての手順を利用して、スチレン−ブタジエンコポリマーを生成させた。しかしながら、本例で使用した開始剤は、9.7Mトリス(ジメチルアミノ)メチルシラン(上記構造体B)2.0mLと、純トリエチルアミン4mLと、1.3Msec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液7.8mLとの混合物からなり、50℃で2.5時間攪拌(リチオ化試薬で約0.73M)した後、反応器に投入した。重合温度を約85℃〜約95℃の間に維持し、約120分後に計量を止めた。上記のように、生成物のセメントを800mLのボトル内に集め、それぞれを試料Cについて行ったようにクエンチし安定化、凝固、乾燥させて試料21を得た。特性を下記の表5にまとめる。
【0086】
[実施例22(プレミックス、半バッチ)]
試料Cについての手順を利用して、スチレン−ブタジエンコポリマーを生成させた。しかしながら、本例で使用した開始剤は、4.44Mトリス(ジメチルアミノ)アリルシラン(上記構造体C)のヘキサン溶液0.96mLと、1.6Mのn−BuLi2.65mLとの混合物からなり、無水ヘキサンで25mLに希釈した。この開始剤を、混合後直ちに反応器に投入した。重合温度を約85℃〜約95℃の間に維持し、約120分後に計量を止めた。上記のように、生成物のセメントを800mLのボトル内に集め、それぞれを試料Cについて行ったようにクエンチ、安定化、凝固、乾燥させて試料22を得た。特性を下記の表5にまとめる。
【0087】
【表5】

【0088】
その後、上記表2に明らかにしたように、コポリマーを配合して加硫可能なエラストマー配合物を調製した。配合したゴムの試験結果を下記の表6に列挙した。
【0089】
【表6】

【0090】
表6のデータは、本明細書中に記載した方法によってメタル化したアミノシラン開始剤を組み込んだポリマーのヒステリシス特性の一貫した向上を示す。
【0091】
「含む、挙げられる(includes)」又は「含んでいる、挙げる(including)」という用語を明細書又は特許請求の範囲の中で使用する限りにおいて、「含む、備える、具える(comprising)」という用語が特許請求の範囲における移行語として用いられる場合に解釈されるように、その用語と同様に包括的であることを意図する。更に、「又は、若しくは(or)」という用語が用いられる(例えば、A又はB)限りにおいて、「A又はB又は両方(A or B or both)」を意味することを意図する。出願人が「A又はBのみで、両方では無い」ことを示すことを意図した場合、「A又はBのみで、両方では無い(only A or B but not both)」という用語を用いるであろう。このように、本明細書中での「又は、若しくは」という用語の使用は、両立的使用であり、排他的使用でない。Bryan A.Garner,A Dictionary of Model Legal Usage 624(第2版、1995年)を参照されたい。また、明細書又は特許請求の範囲の中で「に、中、中の、中に、中で、中での、内、内で(in)」又は「内に、内へ(into)」という用語を使用する限りにおいて、それに加えて「の上で、の上に(on)」又は「の上へ(onto)」を意味することを意図する。更に、明細書又は特許請求の範囲の中で「結合する」という用語を使用する限りにおいて、「直接的に結合する」ことだけでなく「間接的に結合する」ことをも意味することを意図する。
【0092】
本発明はその実施形態の記載によって説明され、該実施形態はかなり詳細に記載されているが、添付した特許請求の範囲をかかる詳細に制限すること又は多少なりとも限定をすることを出願人が意図するものではない。更なる利点及び変形が当業者に容易に理解できるであろう。よって、本願は、そのより幅広い形態において、示され記載されている、具体的な詳細、代表的な機器及び方法並びに説明的実施例に限定されない。従って、出願人の全体的な発明概念の精神又は範囲から逸脱することなく、かかる詳細から発展を創出することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)少なくとも1種のメタル化剤と、
(2)次式:
【化1】


(式中のnは0〜2からなる群より選択した整数であり、mは1〜3からなる群より選択した整数であり、ただしmとnとの合計は3に等しく;Tはメチル基、エチル基、プロピル基又はアリル性基であり;R及びRは、それぞれ独立してヒドロカルビル基であり;Rは、それぞれ独立してヒドロカルビレンであり;mが1より大きい場合、1個以上のRが2個の窒素原子の間を架橋してもよい)を有する少なくとも1種のアルキルアミノシラン化合物との反応生成物を含む、アニオン重合開始用メタル化アミノシラン化合物。
【請求項2】
前記少なくとも1種のメタル化剤が、ヒドロカルビルリチウム化合物、ヒドロカルビルナトリウム化合物、ヒドロカルビルカリウム化合物、ヒドロカルビルマグネシウム化合物及びそれらの組み合わせからなる群より選択される請求項1に記載のメタル化アミノシラン化合物。
【請求項3】
前記少なくとも1種のメタル化剤が第一成分と第二成分とを含み、該第一成分がルイス塩基であり、該第二成分がヒドロカルビルリチウム化合物、ヒドロカルビルナトリウム化合物、ヒドロカルビルカリウム化合物、ヒドロカルビルマグネシウム化合物及びそれらの組み合わせからなる群より選択される請求項1に記載のメタル化アミノシラン化合物。
【請求項4】
前記少なくとも1種のメタル化剤が第一成分と第二成分とを含み、該第一成分がアルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属アリールスルホネート及びそれらの組み合わせからなる群より選択され、該第二成分がヒドロカルビルリチウム化合物、ヒドロカルビルナトリウム化合物、ヒドロカルビルカリウム化合物、ヒドロカルビルマグネシウム化合物、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される請求項1に記載のメタル化アミノシラン化合物。
【請求項5】
前記少なくとも1種のアルキルアミノシラン化合物が、ビス(ジアルキルアミノ)フェニルメチルシラン、ビス(ヘキサメチレンイミノ)フェニルメチルシラン、トリス(ジアルキルアミノ)アリルシラン及びそれらの組み合わせからなる群より選択される請求項1に記載のメタル化アミノシラン化合物。
【請求項6】
前記反応生成物が、共役ジエンモノマー、モノビニル芳香族モノマー及びそれらの組み合わせからなる群より選択したモノマーの不在下で生成される請求項1に記載のメタル化アミノシラン化合物。
【請求項7】
(a)請求項1に記載のメタル化アミノシラン化合物を調製することにより予備形成した開始剤を提供する工程と、
(b)前記メタル化アミノシラン化合物を使用して重合を開始することにより少なくとも1種のアニオン重合可能なモノマーを重合する工程とを備える、アミノシラン官能化ポリマーを製造する方法。
【請求項8】
前記少なくとも1種のアニオン重合可能なモノマーが、共役ジエンモノマー及びモノビニル芳香族モノマーからなる群より選択される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記金属対アミノシラン化合物の比が0.8〜1.2である請求項7に記載の方法。
【請求項10】
開始剤に由来する残基を含むポリマーであって、
該開始剤が
(1)少なくとも1種のメタル化剤と、
(2)次式:
【化2】


(式中のnは0〜2からなる群より選択した整数であり、mは1〜3からなる群より選択した整数であり、ただし、mとnとの合計は3に等しく;Tはメチル基、エチル基、プロピル基又はアリル性基であり;R及びRは、それぞれ独立してヒドロカルビル基であり;Rは、それぞれ独立してヒドロカルビレンであり;mが1より大きい場合、1個以上のRが2個の窒素原子の間を架橋してもよい)を有する少なくとも1種のアルキルアミノシラン化合物との反応生成物を含むポリマー。
【請求項11】
前記少なくとも1種のメタル化剤が、ヒドロカルビルリチウム化合物、ヒドロカルビルナトリウム化合物、ヒドロカルビルカリウム化合物、ヒドロカルビルマグネシウム化合物及びそれらの組み合わせからなる群より選択される請求項10に記載のポリマー。
【請求項12】
前記少なくとも1種のメタル化剤が第一成分と第二成分とを含み、該第一成分がルイス塩基であり、該第二成分がヒドロカルビルリチウム化合物、ヒドロカルビルナトリウム化合物、ヒドロカルビルカリウム化合物、ヒドロカルビルマグネシウム化合物及びそれらの組み合わせからなる群より選択される請求項10に記載のポリマー。
【請求項13】
前記少なくとも1種のメタル化剤が第一成分と第二成分とを含み、該第一成分がアルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属アリールスルホネート及びそれらの組み合わせから選択され、該第二成分がヒドロカルビルリチウム化合物、ヒドロカルビルナトリウム化合物、ヒドロカルビルカリウム化合物、ヒドロカルビルマグネシウム化合物及びそれらの組み合わせからなる群より選択される請求項10に記載のポリマー。
【請求項14】
前記少なくとも1種のアルキルアミノシラン化合物が、ビス(ジアルキルアミノ)フェニルメチルシラン、ビス(ヘキサメチレンイミノ)フェニルメチルシラン、トリス(ジアルキルアミノ)アリルシラン及びそれらの組み合わせからなる群より選択される請求項10に記載のポリマー。
【請求項15】
(a)請求項7に記載の方法によって形成され、少なくとも1種のアニオン重合可能なモノマーが共役ジエンモノマー、モノビニル芳香族モノマー及びそれらの組み合わせからなる群より選択されたポリマー10〜100phrと、
(b)少なくとも1種のゴム状ポリマー90〜0phrと、
(c)少なくとも1種の充填剤5〜200phrとを含むタイヤ用ゴム組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1種の充填剤が、シリカを含む請求項15に記載のゴム組成物。
【請求項17】
前記シリカが、10〜150phrの量で存在する請求項16に記載のゴム組成物。
【請求項18】
(a)請求項10に記載のポリマー10〜100phrと、
(b)少なくとも1種のゴム状ポリマー90〜0phrと、
(c)少なくとも1種の充填剤5〜200phrとを含むタイヤ用ゴム組成物。
【請求項19】
前記少なくとも1種の充填剤が、シリカを含む請求項18に記載のゴム組成物。
【請求項20】
前記シリカが、10〜150phrの量で存在する請求項19に記載のゴム組成物。

【公表番号】特表2013−516421(P2013−516421A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547287(P2012−547287)
【出願日】平成22年12月30日(2010.12.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/062455
【国際公開番号】WO2011/082277
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】