説明

アミノ官能性シリコーンエマルジョン

【課題】ヘアケア組成物の構成成分として有用なシリコーンエマルジョンの提供。
【解決手段】第一の態様では、シリコーンエマルジョンはヒドロキシ末端停止ポリオルガノシロキサンと下記構造式のアミノ官能性シランの水性エマルジョンの塩基触媒反応生成物を含んでなる。


式中、R1及びR2は各々独立にH、アルキル又はアミノアルキル基である。R、R及びRは、R、R及びRの少なくとも2つが各々(C〜C)アルコキシであることを条件として、各々独立に(C〜C12)アルキル又は(C〜C)アルコキシである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシリコーンエマルジョンに関するものであり、より具体的にはアミノ官能性シリコーンの水性エマルジョンに関する。
【背景技術】
【0002】
水性アミノ官能性シリコーンエマルジョンは公知であり、例えばかかるエマルジョンをベースにした艶出組成物に係る本願出願人の米国特許第4600436号を参照されたい。上記米国特許第4600436号のエマルジョンは1種類以上の乳化剤及びアミノ官能性シランの存在下でのポリオルガノシロキサン単量体の酸又は塩基触媒水性乳化重合で作られる。このようにして製造されたエマルジョンは重合反応の副生物としてメタノールを含んでいるのが通例であり、オクチルフェノキシポリオキシエチレンのようなアルコキシル化アルキルフェノール界面活性剤を含んでいることもある。
【0003】
アミノ官能性シリコーンエマルジョンは艶出剤以外の分野、例えばパーソナルケア組成物並びに繊維、紙及び布加工を始めとする織物加工にも潜在的用途を有している。艶出組成物のような用途での使用には適しているものの、メタノールが存在することで上記米国特許第4600436号に開示されたエマルジョンはある種の用途(特にパーソナルケア組成物)での使用には不向きなものになる。さらに、アルコキシル化アルキルフェノール界面活性剤の使用についても近年環境衛生及び安全性の観点から綿密な調査に付されている。
【0004】
パーソナルケア組成物の構成成分として使用するのに適した水性アミノ官能性シリコーンエマルジョンが望まれる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第一の態様では、シリコーンエマルジョンは、ヒドロキシ末端停止ポリオルガノシロキサンの水性エマルジョンと下記構造式(I)のアミノ官能性シランとの塩基触媒反応生成物を含んでなる。
【0006】
【化1】

【0007】
式中、R及びRは各々独立にH、アルキル又は次の構造式(II):
【0008】
【化2】

【0009】
のアミノアルキル基であり、R、R及びRは、R、R及びRの少なくとも2つが各々(C〜C)アルコキシであることを条件として、各々独立に(C〜C12)アルキル又は(C〜C)アルコキシであり、R及びRは各々H又はアルキルであり、かつR及びRは各々独立にアルキレン、好ましくは(C〜C12)アルキレンである。
【0010】
上記アミノ官能性シリコーンエマルジョンは重合反応で生じるメタノール残留物を含まない。
【0011】
本発明の第二の態様は、上記のシリコーンエマルジョンを含んでなるヘアケア組成物に関する。アミノ官能性シリコーン組成物を添加しても重合反応で生じるメタノール残留物がヘアケア組成物に加わることはない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好ましい実施形態では、乳化重合反応混合物は陽イオン性界面活性剤を含んでなる。
【0013】
さらに好ましい実施形態では、水性乳化重合反応混合物は、当該反応混合物100重量部(pbw)を基準にして、20〜60pbw、さらに好ましくは25〜50pbw、さらに一段と好ましくは25〜45pbwのポリオルガノシロキサン、0.05〜0.5pbw、さらに好ましくは0.1〜0.5pbwの塩基触媒、0.1〜12pbw、さらに好ましくは1〜10pbw、さらに一段と好ましくは2〜8pbwのアミノ官能性シラン、及び1〜20pbw、好ましくは2〜15pbw、さらに一段と好ましくは2〜10pbwの陽イオン系界面活性剤を含んでなる。
【0014】
本明細書中で特定の官能基に関して用いる「(C〜C)」という用語(n及びmは整数である)は、該官能基が1基当たりn乃至m個の炭素原子を含んでいることを意味する。例えば、「(C〜C12)アルキル」という用語は1基当たりの炭素原子数が1〜12のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソブチル、tert−ブチル、ヘキシル、ドデシル等を意味する。(C〜C)アルコキシには、例えばエトキシ、プロポキシ、ブトキシ等がある。(C〜C12)アルキレンには、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、オクチレン、ドデシレン等がある。
【0015】
好ましい実施形態では、R及びRは各々独立にH又は(C〜C12)アルキルであり、さらに好ましくはH又は(C〜C)アルキルであり、さらに一段と好ましくはHである。好ましい実施形態では、Rは(C〜C)アルキレンであり、さらに好ましくはエチレン又はプロピレンである。好ましい実施形態では、R、R及びRは各々独立に(C〜C)アルコキシであり、さらに好ましくはエトキシである。
【0016】
非常に好ましい実施形態では、アミノ官能性シランは、アミノエチルジエトキシシラン、アミノエチルトリエトキシシラン、アミノプロピルジエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシランの1又はそれ以上を含んでなる。
【0017】
好適なヒドロキシ末端停止ポリオルガノシロキサンとしては、線状又は枝分れヒドロキシ末端停止ポリオルガノシロキサン単独重合体及び共重合体がある。好ましい実施形態では、ヒドロキシ末端停止ポリオルガノシロキサンは、比較的低分子量のポリオルガノシロキサンの塩基触媒水性乳化重合で製造される線状ヒドロキシ末端停止ポリオルガノシロキサンである。好適な低分子量ポリオルガノシロキサンとしては、粘度約100000センチポアズ以下の線状ポリオルガノシロキサンがある。好ましい実施形態では、低分子量ポリオルガノシロキサンは、次の構造式(III)の1種類以上の線状ポリオルガノシロキサンを含んでなる。
【0018】
【化3】

【0019】
式中、R10及びR17は各々ヒドロキシであり、R11、R12、R13、R14、R15及びR16は各々独立にH、アルキル、さらに好ましくは(C〜C12)アルキル、アルケニル、さらに好ましくは(C〜C12)アルケニル、アリール又はアラルキルであり、各nは独立に100〜6000の整数である。
【0020】
アルケニルには、例えばエテニル、プロペニル、ブテニル、オクテニル等がある。本明細書中で用いる「アリール」という用語は、1基当たり1以上の芳香族環を有する基を意味し、1以上の芳香族環が1以上のアルキル又はアルケニル基(各々好ましくは1基当たりの炭素原子数が2〜6のもの)で置換されたものでもよく、2以上の環の場合には縮合環であってもよく、例えばフェニル、ナフチル、トリル等がある。アラルキルには例えばフェネチル等がある。
【0021】
さらに非常に好ましい実施形態では、R11、R12、R13、R14、R15及びR16は各々独立に(C〜C12)アルキル、さらに一段と好ましくは(C〜C)アルキルである。
【0022】
さらに非常に好ましい実施形態では、各nは独立に200〜2000の整数であり、さらに一段と好ましくは300〜1000の整数である。
【0023】
非常に好ましい実施形態では、比較的低分子量のポリオルガノシロキサンは、R10及びR17が各々ヒドロキシであってR11、R12、R13、R14、R15及びR16が各々メチルである1種類以上のヒドロキシ末端停止ポリジメチルシロキサンを含んでなる。
【0024】
好適な低分子量線状ポリオルガノシロキサンは、例えばポリオクタメチルテトラシロキサン、ポリドデカメチレンヘキサシロキサンのような環状ポリオルガノシロキサンから水性媒質中での平衡化によって生成させることができる。
【0025】
好ましい実施形態では、ヒドロキシ末端停止ポリオルガノシロキサンの水性エマルジョンを形成するための低分子量ポリオルガノシロキサンの重合並びにヒドロキシ末端停止ポリオルガノシロキサンとアミノ官能性シランとの反応はそれぞれ1種類以上の界面活性剤の存在下で実施される。好適な界面活性剤は水性反応媒質中での低分子量ポリオルガノシロキサン及びポリオルガノシロキサン重合体の分散を促す非イオン性界面活性剤及び陽イオン性界面活性剤である。
【0026】
好適な陽イオン性界面活性剤としては、例えばエトキシル化第四級アンモニウム塩及び第四級アンモニウムエステルを始めとする第四級アンモニウム塩がある。好適な第四級アンモニウム塩には、例えばジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩等がある。好適なエトキシル化第四級アンモニウム塩には、例えばN,N,N′,N′,N′−ペンタメチル−N−タロー−1,3−プロパンジアンモニウムジクロライドがある。好適な第四級アンモニウムエステルには、例えばN,N−ジ(タローイル−オキシ−エチル)−N,N−ジメチルアンモニウムクロライドがある。
【0027】
好ましい実施形態では、界面活性剤は第四級アンモニウム塩、さらに好ましくはアルキルトリメチルアンモニウム塩、さらに一段と好ましくは(C〜C20)アルキルトリメチルアンモニウムクロライドから選択される陽イオン性界面活性剤を含んでなる。
【0028】
好適な非イオン性界面活性剤には、例えばアルコールアルコキシレート、エチレン−プロピレンオキシド共重合体及びアルコキシル化アルキルフェノールがある。アルコールアルコキシレート及びエチレン−プロピレンオキシド共重合体が好ましく、アルコールエトキシレ−トがさらに好ましい。非常に好ましい実施形態では、非イオン性界面活性剤は10以上のHLB、さらに好ましくは10〜30のHLB、さらに好ましくは12〜18のHLBを示すものである。
【0029】
非常に好ましい実施形態では、ヒドロキシ末端停止ポリオルガノシロキサンとアミノ官能性シランとの反応を実施する媒質にはアルコキシル化アルキルフェノール界面活性剤は存在せず、かかる反応で生じるアミノ官能性シリコーンエマルジョンをパーソナルケア組成物のような他の組成物中の構成成分として使用してもかかる組成物にアルコキシル化アルキルフェノール界面活性剤は加わらない。
【0030】
非常に好ましい実施形態では、界面活性剤は1分子当たり5〜30個のエチレンオキシド単位を含む(C〜C24)アルコールエトキシレートから選択される。
【0031】
好ましい実施形態では、陽イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤の両方を使用する。
【0032】
好適な塩基触媒は周知であり、例えば強アルカリ、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、テトラアリルアンモニウムヒドロキシド等がある。好ましい実施形態では、水酸化カリウムを塩基触媒として使用する。
【0033】
好ましい実施形態では、低分子量ポリオルガノシロキサン、界面活性剤、酸又は塩基触媒及び水を反応容器中で混合し、ホモジナイズし、加熱してヒドロキシ末端停止ポリオルガノシロキサンを生じさせる。次いでこの反応混合物にアミノ官能性シランを加え、ヒドロキシ末端停止ポリオルガノシロキサンとアミノ官能性シランの縮合反応を進めるべく加熱してアミノ官能性シリコーン重合体を生成させる。縮合反応に続いて、触媒を中和する。別法として、この反応が、界面活性剤及びアミノ官能性シランの存在下水性媒質中での環状ポリオルガノシロキサンの酸又は塩基触媒平衡反応によって一段階で実施できることは明らかであろう。
【0034】
本発明のシリコーンエマルジョンは、例えば紙加工、織物加工、艶出、コーティング、パーソナルケア組成物、好ましくはヘアケア組成物を始めとする様々な用途に使用し得る。
【0035】
本発明のヘアケア組成物は、任意成分としてパーソナルケア分野で公知の1種類以上の添加剤、例えば水、アルコール、炭化水素等の非反応性キャリア又は希釈剤;例えばラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、コアミドプロピルベタイン等の陰イオン性、非イオン性、両性又は陽イオン性界面活性剤;例えばジセチルジモニウムクロライド及びステアラミドプロピルジメチルアミン等のコンディショニング剤;例えばジメチコーンコポリオール等の整泡剤;例えばコカミドMEA等の起泡剤;例えばグリセリルステアレート、セテアリルアルコール、セチルアルコール等の増粘剤;例えばグリセリン等の保湿剤;例えばメチルパラベン、プロピルパラベン等の保存料;並びに例えばクエン酸等のpH調整剤を含み得る。
【0036】
第一の好ましい実施形態では、ヘアケア組成物は、本発明のシリコーンエマルジョンと好ましくは水のような希釈剤とを含んでなるヘアコンディショナー組成物である。さらに好ましくは、上記コンディションはさらにシリコーンエマルジョンに加えて第二のコンディショナーをさらに含み、さらに一段と好ましくは増粘剤をさらに含む。
【0037】
第二の好ましい実施形態では、ヘアケア組成物は本発明のシリコーンエマルジョンと1種類以上の界面活性剤と好ましくは水のような希釈剤とを含んでなるヘアコンディショニングシャンプー組成物である。
【0038】
本発明のシリコーンエマルジョンは、ヘアケア組成物にメタノール残留物を添加することなく、しかも好ましい実施形態ではかかる組成物にアルコキシル化フェノール界面活性剤を添加することもなく、ヘアケア組成物にヘアコンディショニング特性を付与するのに有効である。
【実施例】
【0039】
実施例1
本発明のシリコーンエマルジョンを次の通り製造した。シロキサン(1分子当たり約50〜約100のシロキサン構造単位を有する線状ヒドロキシ停止ポリジメチルシロキサン70%と環状ポリオルガノシロキサン(主にポリオクタメチルテトラシロキサン)約30重量%の混合物525pbw)、陽イオン性界面活性剤(25%塩化セチルトリメチルアンモニウム水溶液60pbw)、非イオン性界面活性剤((C11〜C14)イソアルコールエトキシレート(Renex 30,ICI社製)90pbw)、塩基(45%KOH水溶液7.5pbw)及び水(脱イオン水683pbw)をステンレス鋼製反応容器に入れ、混合し、次いでAVPゴーリンホモジナイザー内で6000ポンド毎平方インチの圧力でホモジナイズし、73℃に加熱してこの温度に約5時間保温してヒドロキシ末端停止ポリジメチルシロキサンエマルジョン(固形分38%、粒度114nm)を生成させた。次いでエマルジョンの温度を40℃未満に下げた後、エマルジョンに63pbwのアミノプロピルトリエトキシシランを加えた。このヒドロキシ末端停止ポリジメチルシロキサンエマルジョンとシランの混合物を次いで45℃に加熱し、この温度に約1時間保温してアミノ官能性シリコーン重合体水性エマルジョンを生じさせた。アミノ官能性シリコーン重合体エマルジョンを次いで酢酸でpH約11に中和し、このエマルジョンに0.1重量%殺菌剤エマルジョン(1,2−ベンズイソチアゾリン、Proxel GXL, Zeneca社製)を加えた。水性アミノ官能性シリコーンエマルジョンの固形分は約40%で、アミン当量は約0.3ミリ当量毎グラムであった。
【0040】
実施例2
本発明のヘアコンディショナー組成物を次の通り製造した。86.85pbwの水、0.50pbwのヒドロキシエチルセルロース、2.00pbwのグリセリン、0.20pbwのメチルパラベン及び0.10pbwのメチルパラベンを混合して混合成分を65℃に加熱することによりプレミックスAを作った。セテアリルアルコールとジセチルジモニウムクロライドとステアリルアミドプロピルジメチルアミンの混合物3.00pbw、グリセリルステアレート0.80及びセチルアルコール1.50を混合して融解することによりプレミックスBを作った。溶融プレミックスBをプレミックスAに加え、得られた混合物を40℃に冷却し、この冷却混合物に、メチルクロロイソチアゾリノンとメチルイソチアゾリノンの混合物0.05pbw及び上記実施例1に開示した方法で製造したシリコーンエマルジョン5.00pbwを加えた。クエン酸を添加して生成混合物のpHを4.5に調整した。
【0041】
実施例2のヘアコンディショナーは毛髪に適用すると改善された櫛通りのよさ、ソフトさ、ボディ及びボリュームを与える。
【0042】
実施例3
本発明のコンディショニングシャンプー組成物を次の通り製造した。脱イオン水38.72、ジメチコーンコポリオール1.00pbw、26%ラウリル硫酸アンモニウム水溶液24.00pbw、28%ラウレス硫酸アンモニウム水溶液14.30pbw、及びコカミドプロピルベタイン1.43pbwを混合し、混合成分を65℃に加熱することによってプレミックスCを作った。4.00pbwのコカミドMEAと1.5pbwのPEG−150ペンタエリトリイルテトラステアレートを混合して融解することによりプレミックスDを作った。溶融プレミックスDをプレミックスCに加え、得られた混合物を40℃に冷却し、この冷却混合物に、メチルクロロイソチアゾリノンとメチルイソチアゾリノンの混合物0.05pbw及び上記実施例1に開示した方法で製造したシリコーンエマルジョン5.0pbwを加えた。クエン酸を添加して生成混合物のpHを6.0〜6.5の範囲に調整した。
【0043】
実施例3のコンディショニングシャンプーは毛髪に適用すると改善された櫛通りのよさ、ソフトさ、ボディ及びボリュームを与える。
【0044】
実施例4
本発明の油中水型ヘアコンディショナー組成物を次の通り製造した。シクロペンタシロキサン/ジメチコーンコポリオール10pbwと実施例1のアミノシリコーンエマルジョン5pbwを混合して油相プレミックスを作った。0.2pbwの塩化ナトリウムと84.8pbwの水を混合して水相プレミックスを作った。上記油相プレミックスに上記水相プレミックス85pbwを十分に攪拌しながらゆっくりと添加し、次いでこのプレミックス混合物にメチルクロロイソチアゾリノンとメチルイソチアゾリノンの混合物0.05pbwを加えた。
【0045】
実施例4のヘアコンディショナー組成物は毛髪に適用すると改善されたウェット時の櫛通りのよさ、ソフトでシルキーなウェット感、ドライ時の櫛通りのよさ、ソフトでシルキーでライトなドライ感、改善された髪の解きやすさ(fly−away)とまとまりやすさ(manageability)を与える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(III)で示される1種類以上の線状ポリオルガノシロキサンを含む低分子量ポリオルガノシロキサンの、塩基性水性乳化重合で製造されたヒドロキシ末端停止ポリオルガノシロキサンの水性エマルジョンと、下記構造式(I)のアミノ官能性シランと、の塩基触媒縮合反応の生成物を含んでなり、当該縮合反応でメタノールが生成されず、かつアルコキシル化アルキルフェノール界面活性剤を含有しないシリコーンエマルジョン。
【化1】

上記構造式(III)中、R10及びR17は各々ヒドロキシであり、R11、R12、R13、R14、R15及びR16は各々メチル基であり、nは300〜1000である。
【化2】

上記構造式(I)中、R及びRは各々独立にH、アルキル又は次の構造式(II)のアミノアルキル基であり、
【化3】

、R及びRは、R、R及びRの少なくとも2つが各々(C〜C)アルコキシであることを条件として、各々独立にH、(C〜C12)アルキル又は(C〜C)アルコキシであり、R及びRは各々H又はアルキルであり、かつR及びRは各々独立にアルキレンである。
【請求項2】
前記塩基触媒縮合反応における反応混合物が陽イオン性界面活性剤を含んでなる、請求項1記載のシリコーンエマルジョン。
【請求項3】
前記塩基触媒縮合反応における反応混合物が、該混合物100重量部を基準にして、20〜60重量部の前記ヒドロキシ末端停止ポリオルガノシロキサン、0.05〜0.5重量部の塩基触媒、0.1〜12重量部の前記アミノ官能性シラン及び1〜20重量部の陽イオン系界面活性剤を含んでなる、請求項1記載のシリコーンエマルジョン。
【請求項4】
及びRが各々独立にH又は(C〜C12)アルキルであり、かつRが(C〜C)アルキレンである、請求項1記載のシリコーンエマルジョン。
【請求項5】
、R及びRが各々独立に(C〜C)アルコキシである、請求項1記載のシリコーンエマルジョン。
【請求項6】
前記アミノ官能性シランが、アミノエチルジエトキシシラン、アミノエチルトリエトキシシラン、アミノプロピルジエトキシシラン及びアミノプロピルトリエトキシシランの1又はそれ以上を含んでなる、請求項1記載のシリコーンエマルジョン。
【請求項7】
前記低分子量ポリオルガノシロキサンが、前記塩基触媒水性乳化重合の反応混合物中での環状ポリオルガノシロキサンの平衡化によって形成される、請求項1記載のシリコーンエマルジョン。
【請求項8】
前記塩基触媒縮合反応における反応混合物がさらにアルコールアルコキシレート及びエチレン−プロピレンオキシド共重合体から選択される非イオン性界面活性剤を含んでなる、請求項1記載のシリコーンエマルジョン。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載のシリコーンエマルジョンを含んでなるヘアケア組成物。
【請求項10】
請求項1記載のシリコーンエマルジョンの製造方法であって、低分子量ポリオルガノシロキサン(III)の塩基性水性乳化重合で製造されたヒドロキシ末端停止ポリオルガノシロキサンの水性エマルジョンと、前記構造式(I)のアミノ官能性シランと、の塩基触媒縮合反応を行う工程を含むシリコーンエマルジョンの製造方法。
【請求項11】
前記塩基触媒縮合反応の反応混合物が、陽イオン系界面活性剤を含む請求項10記載のシリコーンエマルジョンの製造方法。
【請求項12】
前記塩基触媒縮合反応における反応混合物が、該混合物100質量部を基準にして、水、20〜60質量部の前記ヒドロキシ末端停止ポリオルガノシロキサン、0.05〜0.5質量部の塩基触媒、0.1〜12質量部の前記アミノ官能性シラン、及び1〜20質量部の陽イオン系界面活性剤を含む請求項10記載のシリコーンエマルジョンの製造方法。
【請求項13】
及びRが各々独立にH又は(C〜C12)アルキルであり、Rが(C〜C)アルキレンである請求項10記載のシリコーンエマルジョンの製造方法。
【請求項14】
、R及びRが各々独立に(C〜C)アルコキシである請求項10記載のシリコーンエマルジョンの製造方法。
【請求項15】
前記アミノ官能性シランが、アミノエチルジエトキシシラン、アミノエチルトリエトキシシラン、アミノプロピルジエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシランの1又はそれ以上を含む請求項10記載のシリコーンエマルジョンの製造方法。
【請求項16】
前記低分子量ポリオルガノシロキサンが、前記塩基性水性乳化重合の反応混合物中で環状ポリオルガノシロキサンの平衡化によって生成される請求項10記載のシリコーンエマルジョンの製造方法。
【請求項17】
前記塩基触媒縮合反応の反応混合物が、さらに、アルコールアルコキシレート及びエチレン−プロピレンオキシド共重合体から選択される非イオン性界面活性剤を含む請求項10記載のシリコーンエマルジョンの製造方法。
【請求項18】
低分子量ポリオルガノシロキサンの塩基触媒水性乳化重合で製造されたヒドロキシ末端停止ポリオルガノシロキサンの水性エマルジョンと、下記構造式(I)のアミノ官能性シランと、を塩基触媒縮合反応させる工程を有するシリコーンエマルジョンの製造方法。
【化4】

上記構造式(I)中、R及びRは各々独立にH、アルキル又は次の構造式(II)のアミノアルキル基であり、
【化5】

、R及びRは、R、R及びRの少なくとも2つが各々(C〜C)アルコキシであることを条件として、各々独立にH、(C〜C12)アルキル又は(C〜C)アルコキシであり、R及びRは各々H又はアルキルであり、かつR及びRは各々独立にアルキレンである。
【請求項19】
前記塩基触媒縮合反応における反応混合物が陽イオン性界面活性剤を含んでなる、請求項18記載のシリコーンエマルジョンの製造方法。
【請求項20】
前記塩基触媒縮合反応における反応混合物が、該混合物100重量部を基準にして、20〜60重量部の前記ヒドロキシ末端停止ポリオルガノシロキサン、0.05〜0.5重量部の塩基触媒、0.1〜12重量部の前記アミノ官能性シラン及び1〜20重量部の陽イオン系界面活性剤を含んでなる、請求項18記載のシリコーンエマルジョンの製造方法。
【請求項21】
及びRが各々独立にH又は(C〜C12)アルキルであり、かつRが(C〜C)アルキレンである、請求項18記載のシリコーンエマルジョンの製造方法。
【請求項22】
、R及びRが各々独立に(C〜C)アルコキシである、請求項18記載のシリコーンエマルジョンの製造方法。
【請求項23】
前記アミノ官能性シランが、アミノエチルジエトキシシラン、アミノエチルトリエトキシシラン、アミノプロピルジエトキシシラン及びアミノプロピルトリエトキシシランの1又はそれ以上を含んでなる、請求項18記載のシリコーンエマルジョンの製造方法。
【請求項24】
前記低分子量ポリオルガノシロキサンが下記構造式(III)で示される1種類以上の線状ポリオルガノシロキサンを含んでなる、請求項18記載のシリコーンエマルジョンの製造方法。
【化6】

上記構造式(III)中、R10及びR17は各々ヒドロキシであり、R11、R12、R13、R14、R15及びR16は各々独立にH、アルキル、アルケニル、アリール又はアラルキルであり、各々のnは独立に100〜6000の整数である。
【請求項25】
前記低分子量ポリオルガノシロキサンが、R10及びR17が各々ヒドロキシであってR11、R12、R13、R14、R15及びR16が各々メチルである1種類以上のポリジメチルシロキサンを含んでなる、請求項24記載のシリコーンエマルジョンの製造方法。
【請求項26】
前記低分子量ポリオルガノシロキサンが、前記塩基触媒水性乳化重合の反応混合物中での環状ポリオルガノシロキサンの平衡化によって形成される、請求項18記載のシリコーンエマルジョンの製造方法。
【請求項27】
前記塩基触媒縮合反応における反応混合物がさらにアルコールアルコキシレート及びエチレン−プロピレンオキシド共重合体から選択される非イオン性界面活性剤を含んでなる、請求項18記載のシリコーンエマルジョンの製造方法。
【請求項28】
請求項10乃至請求項27のいずれか1項記載のシリコーンエマルジョンの製造方法により製造されたシリコーンエマルジョンを使用することを特徴とするヘアケア組成物の製造方法。

【公開番号】特開2011−80082(P2011−80082A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270599(P2010−270599)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【分割の表示】特願平11−283628の分割
【原出願日】平成11年10月5日(1999.10.5)
【出願人】(506390498)モーメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・インク (85)
【Fターム(参考)】