説明

アミラーゼ阻害剤

【課題】天然に存在する化合物またはその誘導体において、高いα−アミラーゼ阻害活性を有する物質を提供することを本発明の課題とする。また、そのような物質を提供することによって、血糖値の上昇抑制、糖尿病の予防および/または治療、内臓脂肪の蓄積抑制、肥満の予防および/または治療、高脂血症の予防および/または治療、ならびに、糖吸収抑制のための薬学的組成物および飲食用組成物を提供することを本発明の課題とする。
【解決手段】本発明において、種々の重合法を用いてエピガロカテキンガレートの重合体を合成し、高いα−アミラーゼ阻害活性を有する物質を見出すことによって、上記課題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、α−アミラーゼなどのアミラーゼ阻害剤、ならびに、血糖値の上昇抑制、糖尿病の予防および/または治療、内臓脂肪の蓄積抑制、肥満の予防および/または治療、高脂血症の予防および/または治療、ならびに、糖吸収抑制のための薬学的組成物および飲食用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
α−アミラーゼは、デンプンを加水分解する酵素である。加水分解によって生成するグルコースやマルトースの過剰摂取は体内でインスリンや血糖値の上昇を引き起こし、糖尿病や肥満の原因になる。そのため、α−アミラーゼ阻害剤は肥満や糖尿病を治療・予防する薬剤や機能性食品として有望である。緑茶に含まれるカテキン類のようなポリフェノール類は優れた抗酸化作用、酵素阻害作用、抗菌・抗ウイルス作用などを有し、これらが現代人の悩みである生活習慣病、癌、高脂血症、高血圧、高血糖などを防ぐ可能性が認識されている(特許文献1)が、その作用は十分に強いとはいえない。
【0003】
α-アミラーゼ阻害剤は、消化酵素の一つであるα-アミラーゼを阻害することにより炭水化物の分解を抑制し、血糖値を低下させる効果を生じることが知られている(例えば特許文献2〜4参照)。
【0004】
そこで、天然の供給源より大量に安価に単離できる物質(またはその誘導体)中に、優れたα−アミラーゼなどのアミラーゼ阻害活性を有する物質を見出すことができれば、血糖値の上昇抑制、糖尿病の予防および/または治療、内臓脂肪の蓄積抑制、肥満の予防および/または治療、高脂血症の予防および/または治療、ならびに、糖吸収抑制のための薬学的組成物および飲食用組成物を安全、安価かつ大量に提供することが可能となる。
【特許文献1】国際公開第01/66714号公報
【特許文献2】国際公開第00/50434号公報
【特許文献3】国際公開第01/94367号公報
【特許文献4】特開2004−250446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
天然に存在する化合物またはその誘導体において、高いα−アミラーゼ阻害活性を有する物質を提供することを、本願発明の課題とする。また、そのような物質を提供することによって、血糖値の上昇抑制、糖尿病の予防および/または治療、内臓脂肪の蓄積抑制、肥満の予防および/または治療、高脂血症の予防および/または治療、ならびに、糖吸収抑制のための薬学的組成物および飲食用組成物を提供することを本発明の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明において、種々の重合法を用いてエピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重合体を合成し、高いα−アミラーゼ阻害活性を有する物質を見出すことによって、上記課題を解決した。
【0007】
従って、本発明は以下を提供する;
(項目1) エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重合体を含有する、αアミラーゼ活性を阻害するための薬学的組成物。
(項目2) 項目2に記載の薬学的組成物であって、ここで、前記重合体が前記カテキン類の重縮合によって生成される重合体である、薬学的組成物。
(項目3) 項目2に記載の薬学的組成物であって、ここで、前記重合体が前記カテキン類に対する酵素反応によって生成される重合体である、薬学的組成物。
(項目4) 前記重合体の数平均分子量が10,000以下である、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目5) 前記重合体が、以下の構造式:
【0008】
【化11】

であって、ここで、n=2〜20、Rが、
【0009】
【化12】

からなる群から選択される構造式であらわされる構造を有する、項目3に記載の薬学的組成物。
(項目6) 血糖値の上昇を抑制するための、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重合体を含有する薬学的組成物。
(項目7) 糖尿病の予防および/または治療のための、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重合体を含有する薬学的組成物。
(項目8) 内臓脂肪の蓄積を抑制するための、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重合体を含有する薬学的組成物。
(項目9) 肥満の予防および/または治療のための、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重合体を含有する薬学的組成物。
(項目10) 高脂血症の予防および/または治療のための、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重合体を含有する薬学的組成物。
(項目11) 糖吸収を抑制するための、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重合体を含有する薬学的組成物。
【0010】
(項目12) エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重合体を含有する、αアミラーゼ活性を阻害するための飲食用組成物。
(項目13) 項目12に記載の飲食用組成物であって、ここで、前記重合体が前記カテキン類の重縮合によって生成される重合体である、飲食用組成物。
(項目14) 項目12に記載の飲食用組成物であって、ここで、前記重合体が前記カテキン類に対する酵素反応によって生成される重合体である、飲食用組成物。
(項目15) 前記重合体の数平均分子量が10,000以下である、項目12に記載の飲食用組成物。
(項目16) 前記重合体が、以下の構造式:
【0011】
【化13】

であって、ここで、n=2〜20、Rが、
【0012】
【化14】

からなる群から選択される構造式であらわされる構造を有する、項目12に記載の飲食用組成物。
(項目17) 血糖値の上昇を抑制するための、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重合体を含有する飲食用組成物。
(項目18) 糖尿病の予防および/または治療のための、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重合体を含有する飲食用組成物。
(項目19) 内臓脂肪の蓄積を抑制するための、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類トの重合体を含有する飲食用組成物。
(項目20) 肥満の予防および/または治療のための、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重合体を含有する飲食用組成物。
(項目21) 高脂血症の予防および/または治療のための、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重合体を含有する飲食用組成物。
(項目22) 糖吸収を抑制するための、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重合体を含有する飲食用組成物。
【0013】
(項目23) 以下の構造式:
【0014】
【化15】

であって、ここで、n=2〜20、Rが、
【0015】
【化16】

からなる群から選択される構造式であらわされる構造を有する、エピガロカテキンガレートの重合体。
【発明の効果】
【0016】
本発明に従って、α−アミラーゼ阻害活性を有する組成物が提供される。また、本発明に従って、安全で安価な、血糖値の上昇抑制、糖尿病の予防および/または治療、内臓脂肪の蓄積抑制、肥満の予防および/または治療、高脂血症の予防および/または治療、ならびに、糖吸収抑制のための薬学的組成物および飲食用組成物の提供が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0018】
(用語の定義)
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を列挙する。
【0019】
本明細書において使用される用語「エピガロカテキンガレート」とは、以下、
【0020】
【化17】

に示される構造を有する化合物をいう。
【0021】
本明細書において使用される用語「エピカテキン」とは、以下、
【0022】
【化18】

本明細書において使用される用語「エピカテキンガレート」とは、以下、
【0023】
【化19】

本明細書において使用される用語「エピガロカテキン」とは、以下、
【0024】
【化20】

本明細書において使用される用語「エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重合体」とは、重縮合、酸化重合、または他の適切な方法によってエピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重合反応を行った結果として生成される化合物をいう。従って、「エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重合体」とは、エピカテキンの重合体、エピカテキンガレートの重合体、エピガロカテキンガレートの重合体、エピガロカテキンの重合体、エピカテキンとエピカテキンガレートの共重合体、エピカテキンとエピガロカテキンガレートの共重合体、エピカテキンとエピガロカテキンの共重合体、エピカテキンガレートとエピガロカテキンガレートの共重合体、エピカテキンガレートとエピガロカテキンの共重合体、エピガロカテキンガレートとエピガロカテキンの共重合体、エピカテキンとエピカテキンガレートとエピガロカテキンガレートの共重合体、エピカテキンとエピカテキンガレートとエピガロカテキンの共重合体、エピカテキンとエピガロカテキンガレートとエピガロカテキンの共重合体、エピカテキンガレートとエピガロカテキンガレートとエピガロカテキンの共重合体、および、エピカテキンとエピカテキンガレートとエピガロカテキンガレートとエピガロカテキンの共重合を包含する。この酵素反応による重合に用いられる酵素としては、例えば、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼのような酸化酵素が挙げられるが、これに限定されない。
【0025】
本発明の重合体の一例であるエピガロカテキンガレートの重合体は、例えば、以下の構造:
【0026】
【化21】

であって、ここで、n=2〜20、Rが、
【0027】
【化22】

からなる群から選択される構造式であらわされる構造を有する。また、好ましくは、n=3〜8である。
【0028】
本明細書において使用される用語エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の「酸化重合」としては、例えば、酵素触媒を用いる場合が挙げられるが、これに限定されない。
【0029】
本明細書において使用される「重縮合」としては、アルデヒドとの重縮合を用いる場合があるがこれらに限定されない。アルデヒドとの重縮合を用いる場合、例えば、以下の反応式:
【0030】
【化23】

に示されるように、酸性条件下でのエピガロカテキンガレートとアルデヒド類との重縮合反応が行われる。
【0031】
本明細書において使用される用語「α−アミラーゼ」とは、グルコースのポリマーにおいてエンド型の分解様式においてα1→4グルコシド結合を加水分解する酵素をいう。
【0032】
本明細書において使用される場合、「キット」とは、複数の容器、および製造業者の指示書を含み、そして各々の容器が、本発明の薬学的組成物、その他の薬剤、およびキャリアを含む製品をいう。
【0033】
本明細書において「薬学的に受容可能なキャリア」は、医薬または動物薬のような農薬を製造するときに使用される物質であり、有効成分に有害な影響を与えないものをいう。そのような薬学的に受容可能なキャリアとしては、例えば、以下が挙げられるがそれらに限定されない:抗酸化剤、保存剤、着色料、風味料、および希釈剤、乳化剤、懸濁化剤、溶媒、フィラー、増量剤、緩衝剤、送達ビヒクル、賦形剤および/または薬学的アジュバント。
【0034】
本発明の処置方法において使用される薬剤の種類および量は、本発明の方法によって得られた情報(例えば、疾患に関する情報)を元に、使用目的、対象疾患(種類、重篤度など)、患者の年齢、体重、性別、既往歴、投与される被検体の部位の形態または種類などを考慮して、当業者が容易に決定することができる。本発明のモニタリング方法を被検体(または患者)に対して施す頻度もまた、使用目的、対象疾患(種類、重篤度など)、患者の年齢、体重、性別、既往歴、および治療経過などを考慮して、当業者が容易に決定することができる。疾患状態をモニタリングする頻度としては、例えば、毎日−数ヶ月に1回(例えば、1週間に1回−1ヶ月に1回)のモニタリングが挙げられる。1週間−1ヶ月に1回のモニタリングを、経過を見ながら施すことが好ましい。
【0035】
必要に応じて、本発明の治療では、2種類以上の薬剤が使用され得る。2種類以上の薬剤を使用する場合、類似の性質または由来の物質を使用してもよく、異なる性質または由来の薬剤を使用してもよい。このような2種類以上の薬剤を投与する方法のための疾患レベルに関する情報も、本発明の方法によって入手することができる。
【0036】
(エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の酵素触媒重合)
エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類は、溶媒中所定温度で酸化酵素触媒とともに混合することにより、容易に酸化重合されうる(L.Mejias, M. H. Reihmann, S. Sepulveda−Boza, H. Ritter, Macromol. Biosci. 2002, 2,24、および、M. Kurisawa, J. E. Chung, Y. J. Kim, H. Uyama, S. Kobayashi, Biomacromolecules2003, 4, 469参照)。エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の酸化重合で使用される触媒は、フェノール類の酸化を起こすのに十分な酸化能を有するものであれば特に制限はないが、オキシダーゼまたはペルオキシダーゼが好ましい。オキシダーゼの具体例としては、ラッカーゼ、チロシナーゼ、フェノラーゼ、ビリルビンオキシダーゼが挙げられる。これらの酵素は種々の起源のものが使用でき、特に制限はないが、例えば植物由来、細菌由来、坦子菌類由来のものを使用することができる。これらの中で、ラッカーゼは酸化能が高く、しかも酸化剤として空気中の酸素が利用できるために、特に好ましく使用することができる。ラッカーゼの例としては、漆の木から得られるラッカーゼ、またはPyricularia属、Pleurotus属、Pycnoporus属、Polystictus属、Mycelopthora属もしくはNeurospora属の微生物ラッカーゼを挙げることができる。特にPycnoporus属、Mycelopthora属のラッカーゼを好ましく使用できる。なお使用する触媒は、精製・未精製を問わない。触媒量はエピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類1gに対して通常1〜1,000,000ユニット、好ましくは3〜500,000ユニット、さらに好ましくは5〜200,000ユニットである。
【0037】
エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の酸化重合で使用される溶媒としては、モノマーと触媒が共に溶解するものが好ましく、水または有機溶媒と水の混合溶媒が挙げられる。水は蒸留水や脱イオン水でもよいが、水の代わりに緩衝液を用いてもよい。緩衝液を用いる場合はpH2〜12の範囲が望ましい。緩衝液の種類としては、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、炭酸緩衝液等が望ましいが、これらに限定されるものではない。
【0038】
混合溶媒を用いる場合の有機溶媒は水と相溶する溶媒がより好ましい。水と相溶する有機溶媒として、メタノール、エタノール、エチレングリコール、2,2,2−トリフルオロエタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ニトロメタン、ニトロベンゼン、ピリジン、1,4−ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。これらは単独あるいは混合物として使用される。また、有機溶媒−水の混合比はモノマーと酵素触媒が共に溶解する任意の量を用いることができる。好ましくは1:99〜90:10、特に好ましくは1:99〜70:30の範囲が望ましい。
【0039】
反応温度は、酵素触媒が不活性化しない温度が望ましい。好ましくは0〜100℃の範囲であり、より好ましくは10〜60℃の範囲である。反応温度が高い場合は、一般に酵素は失活するが、混合溶媒系によっては酵素を安定化するので、その場合は高い反応温度も採用可能となる。
【0040】
上記重合反応によって得られる酸化重合体の数平均分子量は通常500から10,000の範囲である。好ましくは、数平均分子量は10,000以下である。
【0041】
(エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重縮合)
エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重縮合は、例えば、アルデヒドを用いる以下の方法によって行うことが可能である。
【0042】
本発明で使用するアルデヒドは、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類と反応するものであれば、特に制限されるものではない。具体例としては、ホルマリン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、カプロンアルデヒド、ピルビンアルデヒド、グリオキシル酸、ベンズアルデヒド、2−メトキシベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、3−シアノベンズアルデヒド、p−ジフェニルアルデヒド、クロトンアルデヒド等が挙げられる。これらは単独あるいは混合物として使用され、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類1gに対して、0.1〜1000グラムの範囲で用いることが好ましい。
【0043】
エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類とアルデヒドの重縮合反応においては、反応を効率よく進めるために酸触媒を加えても良い。用いる酸触媒は特に制限はなく、公知のものが使用できる。具体例として酢酸、トリフルオロ酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、トリフルオロボレート、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等が挙げられ、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類1gに対して、0.01mg〜100gの範囲で用いることが好ましい。エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類とアルデヒドの重縮合反応に用いる溶媒としては、カテキン類とアルデヒドと触媒が共に溶解するものが好ましい。具体例としてメタノール、エタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ニトロメタン、ニトロベンゼン、ピリジン、1,4−ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、トルエン、ベンゼン、蒸留水、脱イオン水、緩衝液等が挙げられる。緩衝液を用いる場合はpHが2〜12の範囲が望ましい。緩衝液の種類としては、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、炭酸緩衝液等が望ましいが、これらに限定されるものではない。これらは単独あるいは混合物として使用され、任意の量を用いることができる。
【0044】
重合温度は、反応が効率良く進行する温度が望ましい。好ましくは−20〜100℃の範囲であり、より好ましくは0〜60℃の範囲である。
【0045】
上記重合反応によって得られる重縮合体の数平均分子量は500から100,000の範囲である。
【0046】
(薬学的組成物)
本発明のエピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類重合体は、αアミラーゼ活性を阻害するための薬学的組成物、ならびに、血糖値の上昇抑制、糖尿病の予防および/または治療、内臓脂肪の蓄積抑制、肥満の予防および/または治療、高脂血症の予防および/または治療、ならびに、糖吸収抑制のための薬学的組成物の成分としても使用することが可能である。
【0047】
本明細書において薬剤の「有効量」とは、その薬剤が目的とする薬効が発揮することができる量をいう。本明細書において、そのような有効量のうち、最小の濃度を最小有効量ということがある。そのような最小有効量は、当該分野において周知であり、通常、薬剤の最小有効量は当業者によって決定されているか、または当業者は適宜決定することができる。そのような有効量の決定には、実際の投与のほか、動物モデルなどを用いることも可能である。本発明はまた、このような有効量を決定する際に有用である。
【0048】
本明細書において「薬学的に受容可能なキャリア」は、医薬または動物薬のような農薬を製造するときに使用される物質であり、有効成分に有害な影響を与えないものをいう。そのような薬学的に受容可能なキャリアとしては、例えば、以下が挙げられるがそれらに限定されない:抗酸化剤、保存剤、着色料、風味料、および希釈剤、乳化剤、懸濁化剤、溶媒、フィラー、増量剤、緩衝剤、送達ビヒクル、賦形剤および/または農学的もしくは薬学的アジュバント。
【0049】
本発明の処置方法において使用される薬剤の種類および量は、本発明の方法によって得られた情報(例えば、疾患に関する情報)を元に、使用目的、対象疾患(種類、重篤度など)、患者の年齢、体重、性別、既往歴、投与される被検体の部位の形態または種類などを考慮して、当業者が容易に決定することができる。本発明のモニタリング方法を被検体(または患者)に対して施す頻度もまた、使用目的、対象疾患(種類、重篤度など)、患者の年齢、体重、性別、既往歴、および治療経過などを考慮して、当業者が容易に決定することができる。疾患状態をモニタリングする頻度としては、例えば、毎日〜数ヶ月に1回(例えば、1週間に1回〜1ヶ月に1回)のモニタリングが挙げられる。1週間〜1ヶ月に1回のモニタリングを、経過を見ながら施すことが好ましい。
【0050】
必要に応じて、本発明の治療では、2種類以上の薬剤が使用され得る。2種類以上の薬剤を使用する場合、類似の性質または由来の物質を使用してもよく、異なる性質または由来の薬剤を使用してもよい。このような2種類以上の薬剤を投与する方法のための疾患レベルに関する情報も、本発明の方法によって入手することができる。
【0051】
本発明では、いったん類似の種類(例えば、ヒトに対するマウスなど)の生物、培養細胞、組織などに関し、ある特定の糖鎖構造の分析結果と、疾患レベルとが相関付けられた場合、対応する糖鎖構造の分析結果と、疾患レベルとが相関付けることができることは、当業者は容易に理解する。そのような事項は、例えば、動物培養細胞マニュアル、瀬野ら編著、共立出版、1993年などに記載され支持されており、本明細書においてこのすべての記載を援用する。
【0052】
(処方)
本発明はまた、有効量の治療剤の被験体への投与による、疾患または障害(例えば、感染症)の処置および/または予防の方法を提供する。治療剤は、薬学的に受容可能なキャリア型(例えば、滅菌キャリア)と組み合せた、本発明の組成物を意味する。
【0053】
治療剤を、個々の患者の臨床状態(特に、治療剤単独処置の副作用)、送達部位、投与方法、投与計画および当業者に公知の他の因子を考慮に入れ、医療実施基準(GMP=good medical practice)を遵守する方式で処方および投薬する。従って、本明細書において目的とする「有効量」は、このような考慮を行って決定される。
【0054】
一般的提案として、用量当り、非経口的に投与される治療剤の合計薬学的有効量は、患者体重を基準として治療的裁量に委ねられる。静脈内用バッグ溶液もまた使用し得る。変化を観察するために必要な処置期間および応答が生じる処置後の間隔は、所望の効果に応じて変化するようである。
【0055】
治療剤を、経口的、直腸内、非経口的、槽内(intracistemally)、膣内、腹腔内、局所的(粉剤、軟膏、ゲル、点滴剤、または経皮パッチによるなど)、口内あるいは経口または鼻腔スプレーとして投与し得る。「薬学的に受容可能なキャリア」とは、非毒性の固体、半固体または液体の充填剤、希釈剤、被包材または任意の型の処方補助剤をいう。本明細書で用いる用語「非経口的」とは、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内、皮下および関節内の注射および注入を含む投与の様式をいう。
【0056】
本発明の治療剤はまた、徐放性システムにより適切に投与される。徐放性治療剤の適切な例は、経口的、直腸内、非経口的、槽内(intracistemally)、膣内、腹腔内、局所的(粉剤、軟膏、ゲル、点滴剤、または経皮パッチによるなど)、口内あるいは経口または鼻腔スプレーとして投与され得る。「薬学的に受容可能なキャリア」とは、非毒性の固体、半固体または液体の充填剤、希釈剤、被包材または任意の型の処方補助剤をいう。本明細書で用いる用語「非経口的」とは、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内、皮下および関節内の注射および注入を含む投与の様式をいう。
【0057】
本発明の治療剤はまた、徐放性システムにより適切に投与される。徐放性治療剤の適切な例は、適切なポリマー物質(例えば、成形品(例えば、フィルムまたはマイクロカプセル)の形態の半透過性ポリマーマトリックス)、適切な疎水性物質(例えば、許容品質油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂、および貧可溶性誘導体(例えば、貧可溶性塩)を包含する。
【0058】
徐放性マトリックスとしては、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号、EP58,481)、L−グルタミン酸およびγ−エチル−L−グルタメートのコポリマー(Sidmanら、Biopolymers 22:547−556(1983))、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(Langerら、J.Biomed.Mater.Res.15: 167−277(1981)、およびLanger,Chem.Tech.12:98−105(1982))、エチレンビニルアセテート(Langerら、同書)またはポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP133,988)が挙げられる。
【0059】
徐放性治療剤はまた、リポソームに包括された本発明の治療剤を包含する(一般に、Langer,Science 249:1527−1533(1990);Treatら,Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer,Lopez−Berestein and Fidler(編),Liss,New York,317−327頁および353−365(1989)を参照のこと)。治療剤を含有するリポソームは、それ自体が公知である方法により調製され得る:DE3,218,121;Epsteinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:3688−3692(1985);Hwangら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4030−4034(1980);EP52,322;EP36,676;EP88,046;EP143,949;EP142,641;日本国特許出 願第83−118008号;米国特許第4,485,045号および同第4,544,545号ならびにEP第102,324号。通常、リポソームは、小さな(約200〜800Å)ユニラメラ型であり、そこでは、脂質含有量は、約30モル%コレステロールよりも多く、選択された割合が、最適治療剤のために調整される。
【0060】
なおさらなる実施態様において、本発明の治療剤は、ポンプにより送達される(Langer、前出;Sefton、CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201(1987);Buchwaldら、Surgery 88:507(1980);Saudekら、N.Engl.J.Med.321:574(1989)を参照のこと)。
【0061】
他の制御放出系は、Langer(Science 249:1527−1533(1990))による総説において議論される。
【0062】
非経口投与のために、1つの実施態様において、一般に、治療剤は、それを所望の程度の純度で、薬学的に受容可能なキャリア、すなわち用いる投薬量および濃度でレシピエントに対して毒性がなく、かつ処方物の他の成分と適合するものと、単位投薬量の注射可能な形態(溶液、懸濁液または乳濁液)で混合することにより処方される。例えば、この処方物は、好ましくは、酸化、および治療剤に対して有害であることが知られている他の化合物を含まない。
【0063】
一般に、治療剤を液体キャリアまたは微細分割固体キャリアあるいはその両方と均一および緊密に接触させて処方物を調製する。次に、必要であれば、生成物を所望の処方物に成形する。好ましくは、キャリアは、非経口的キャリア、より好ましくはレシピエントの血液と等張である溶液である。このようなキャリアビヒクルの例としては、水、生理食塩水、リンゲル溶液およびデキストロース溶液が挙げられる。不揮発性油およびオレイン酸エチルのような非水性ビヒクルもまた、リポソームと同様に本明細書において有用である。
【0064】
キャリアは、等張性および化学安定性を高める物質のような微量の添加剤を適切に含有する。このような物質は、用いる投薬量および濃度でレシピエントに対して毒性がなく、このような物質としては、リン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酢酸および他の有機酸またはその塩類のような緩衝剤;アスコルビン酸のような抗酸化剤;低分子量(約10残基より少ない)ポリペプチド(例えば、ポリアルギニンまたはトリペプチド);血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンのようなタンパク質;ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマー;グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸またはアルギニンのようなアミノ酸;セルロースまたはその誘導体、ブドウ糖、マンノースまたはデキストリンを含む、単糖類、二糖類、および他の炭水化物;EDTAのようなキレート剤;マンニトールまたはソルビトールのような糖アルコール;ナトリウムのような対イオン;および/またはポリソルベート、ポロキサマーもしくはPEGのような非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0065】
治療剤は、このようなビヒクル中に処方される。前記の特定の賦形剤、キャリアまたは安定化剤を使用することにより、塩が形成されることが理解される。
【0066】
治療的投与に用いられるべき任意の薬剤は、生物・ウイルスを含まない状態、すなわち、無菌状態であり得る。滅菌濾過膜(例えば0.2ミクロンメンブラン)で濾過することにより無菌状態は容易に達成される。一般に、治療剤は、滅菌アクセスポートを有する容器、例えば、皮下用注射針で穿刺可能なストッパー付の静脈内用溶液バッグまたはバイアルに配置される。
【0067】
治療剤は、通常、単位用量または複数用量容器、例えば、密封アンプルまたはバイアルに、水溶液または再構成するための凍結乾燥処方物として貯蔵される。凍結乾燥処方物の例として、10mlのバイアルに、滅菌濾過した1%(w/v)治療剤水溶液5mlを充填し、そして得られる混合物を凍結乾燥する。凍結乾燥した治療剤を、注射用静菌水を用いて再構成して注入溶液を調製する。
【0068】
本発明はまた、本発明の治療剤の1つ以上の成分を満たした一つ以上の容器を備える薬学的パックまたはキットを提供する。医薬品または生物学的製品の製造、使用または販売を規制する政府機関が定めた形式の通知が、このような容器に付属し得、この通知は、ヒトへの投与に対する製造、使用または販売に関する政府機関による承認を表す。さらに、治療剤を他の治療用化合物と組み合わせて使用し得る。
【0069】
本発明の治療剤は、単独または他の治療剤と組合わせて投与され得る。組合わせは、例えば、混合物として同時に;同時にまたは並行してだが別々に;あるいは経時的のいずれかで投与され得る。これは、組み合わされた薬剤が、治療用混合物として共に投与されるという提示、およびまた、組み合わされた薬剤が、別々にしかし同時に、例えば、同じ個体に別々の静脈ラインを通じて投与される手順を含む。「組み合わせて」の投与は、一番目、続いて二番目に与えられる化合物または薬剤のうち1つの別々の投与をさらに含む。
【0070】
特定の実施態様において、本発明の薬学的組成物は、抗がん剤との組み合わせで投与される。
【0071】
本発明の重合体は、単独または他の治療剤と組み合わせて投与され得る。本発明の治療剤と組み合わせて投与され得る治療剤としては、他の抗癌剤、化学療法剤、抗生物質、ステロイドおよび非ステロイドの抗炎症剤、従来の免疫治療剤、他のサイトカイニン、および/または、増殖因子が挙げられるが、これらに限定されない。組み合わせは、例えば、混合物として同時に(同時に、または、並行してだが、別々に)、あるいは経時的のいずかで投与され得る。これは、組み合わされた薬剤が、治療用混合物として共に投与されるという提示、およびまた、組み合わされた薬剤が別々にしかし同時に、例えば、同じ個体に別々の静脈ラインを通じて投与される手順を含む。「組み合わせて」の投与は、一番目、続いて二番目に与えられる化合物、または、薬剤のうち1つの別々の投与をさらに含む。
【0072】
特定の実施態様において、本発明の重合体は、抗レトロウイルス薬剤、ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター、および/または、プロテアーゼインヒビターとの組み合わせで投与される。
【0073】
さらなる実施態様において、本発明の重合体は、抗生物質と組み合わせて投与される。使用され得る抗生物質としては、アミノグリコシド系抗生物質、ポリエン系抗生物質、ペニシリン系抗生物質、セフェム系抗生物質、ペプチド系抗生物質、マクロライド系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
さらなる実施例において、本発明の重合体は、単独または抗炎症剤と組み合わせて投与される。本発明の重合体とともに投与され得る抗炎症剤としては、グルココルチコイドおよび非ステロイド抗炎症剤、アミノアリールカルボン酸誘導体、アリール酢酸誘導体、アリールカルボン酸、アリールプロピオン酸誘導体、ピラゾール、ピラゾロン、サリチル酸誘導体、チアジンカルボキサミド、e−アセトアミドカプロン酸、S−アデノシルメチオニン、3−アミノ−4−ヒドロキシ酪酸、アミキセトリン(amixetrine)、ベンダザック、ベンジドアミン、ブコローム、ジフェンピラミド、ジタゾール、エモルファゾリン、グアイアズレン、ナブメトン、ニメスリド、オルゴテイン、オキサセプロール、パラニリン、ペリゾキサル、ピフオキシム、プロキアゾリン、プロキサゾール、および、テニダップが挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
さらなる実施形態において、本発明の治療剤は、他の治療レジメまたは予防レジメ(例えば、放射線治療)と組合わせて投与される。
【0076】
(飲食用組成物の製造)
本発明の好適な態様の一つは飲食用組成物である。すなわち、前述のようにして得られるエピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重合体を有効成分として含む飲食用組成物は、これをそのまま液状、ゲル状あるいは固形状の食品、例えばジュース、清涼飲料、コーヒー、紅茶、日本茶、ウーロン茶、野菜ジュース、天然果汁、乳飲料、牛乳、豆乳、スポーツ飲料、ニアウォーター系飲料、栄養補給飲料、コーヒー飲料、ココア、スープ、ドレッシング、ムース、ゼリー、ヨーグルト、プリン、ふりかけ、育児用粉乳、加工乳、スポーツドリンク、栄養ドリンク、ケーキミックス、パン、ピザ、パイ、クラッカー、ビスケット、ケーキ、クッキー、スパゲティー、マカロニ、パスタ、うどん、そば、ラーメン、キャンデー、ソフトキャンデー、ガム、チョコレート、おかき、ポテトチップス、スナック、アイスクリーム、シャーベット、クリーム、チーズ、粉乳、練乳、乳飲料などの粉末状または液状の乳製品、饅頭、ういろ、もち、おはぎ、醤油、たれ、麺つゆ、ソース、だしの素、シチューの素、スープの素、複合調味料、カレーの素、マヨネーズ、ケチャップ、レトルトカレー、レトルトシチュー、レトルトスープ、レトルトどんぶり、缶詰、ハム、ハンバーグ、ミートボール、コロッケ、餃子、ピラフ、おにぎり、冷凍食品および冷蔵食品、ちくわ、蒲鉾、弁当のご飯、寿司、乳児用ミルク、離乳食、ベビーフード、スポーツ食品、栄養補助食品、サプリメント、健康食品等に添加したり、必要に応じてデキストリン、乳糖、澱粉等の賦型剤や香料、色素等とともにペレット、錠剤、顆粒等に加工したり、またゼラチン等で被覆してカプセルに成形加工して健康食品や栄養補助食品等として利用できる。これらの食品類あるいは飲食用組成物における本発明のエピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重合体の配合量は、当該食品や組成物の種類や状態、組成物の有効量、飲食物の風味を考慮して適宜選択され得る。
【0077】
以下に実施例等により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0078】
(実施例1:エピガロカテキンガレートの酵素触媒重合)
酵素として、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、および、チロシナーゼを用い、エピガロカテキンガレート(EGCG)の緩衝溶液を室温で攪拌し、EGCG酸化重合体を合成した。具体的には、以下のとおりである。
【0079】
(化合物Aの合成)
大気中、EGCG(200mg、0.44mmol)をpH7のリン酸緩衝溶液(100mM)20mlに溶解させた。ここにチロシナーゼ(麹菌由来)(200μL、65単位)を添加することで反応を開始させた。48時間後、反応溶液をろ過し、ろ液を蒸留水中で透析することにより精製した(カットオフMW=1000)。得られた溶液を凍結乾燥し、165.6mgの酸化重合体を得た。
【0080】
(化合物Bの合成)
大気中、EGCG(200mg,0.44mmol)をpH7のリン酸緩衝溶液(100mM)20mlに溶解させた。この溶液にpH7のリン酸緩衝溶液(100mM)1mlに溶かしたペルオキシダーゼ(西洋わさび由来)(4mg、400単位)溶液を加えた。その後、過酸化水素水(35%,25μL)を2分おきに4回加えた。24時間後、反応溶液をろ過し、ろ液を蒸留水中で透析することにより精製した(カットオフMW=1000)。得られた溶液を凍結乾燥し、206.4mgの酸化重合体を得た。
【0081】
(化合物Cの合成)
大気中、EGCG(200mg,0.44mmol)をpH7のリン酸緩衝溶液(100mM)20mlに溶解させた。この溶液にpH7のリン酸緩衝溶液(100mM)1mlに溶かしたペルオキシダーゼ(西洋わさび由来)(4mg,400単位)溶液を加えた。その後、過酸化水素水(5%,25μL)を2分おきに4回加えた。24時間後、反応溶液をろ過し、ろ液を蒸留水中で透析することにより精製した(カットオフMW=1000)。得られた溶液を凍結乾燥し、156.4mgの酸化重合体を得た。
【0082】
(化合物Dの合成)
大気中、EGCG(200mg,0.44mmol)をpH5の酢酸酸緩衝溶液(100mM)20mlに溶解させた。ここにラッカーゼ(ヒイロタケ由来)(20uL)を添加することで反応を開始させた。24時間後、反応溶液をろ過し、ろ液を蒸留水中で透析することにより精製した(カットオフMW=1000)。得られた溶液を凍結乾燥し、141.1mgの酸化重合体を得た。
【0083】
(化合物Eの合成)
大気中、EGCG(200mg,0.44mmol)をpH5の酢酸酸緩衝溶液(100mM)20mlに溶解させた。ここにラッカーゼ(ヒイロタケ由来)(20uL)を添加することで反応を開始させた。72時間後、反応溶液をろ過し、ろ液を蒸留水中で透析することにより精製した(カットオフMW=1000)。得られた溶液を凍結乾燥し、153.4mgの酸化重合体を得た。
【0084】
(化合物Fの合成)
大気中、EGCG(200mg,0.44mmol)をpH5の酢酸酸緩衝溶液(100mM)20mlに溶解させた。ここにラッカーゼ(Myceliophthora由来)(20uL)を添加することで反応を開始させた。72時間後、反応溶液をろ過し、ろ液を蒸留水中で透析することにより精製した(カットオフMW=1000)。得られた溶液を凍結乾燥し、100.0mgの酸化重合体を得た。
【0085】
重合後、反応液の透析により酸化重合体を単離・精製した。表1に、合成したポリマーの反応条件、数平均分子量(Mn)、および分子量分散(Mn/Mw)を示す。得られたポリマーは水、メタノール、DMSO等に可溶であった。
【0086】
【表1】

EGCGモノマーと化合物BのIRスペクトルを図1に示す。
【0087】
化合物Bのピークは全体的にブロードになっているものの、モノマーのピークとほとんど同一であった。また、3200cm−1付近にフェノールと水酸基のO−H結合による吸収、1697cm−1にカルボニル、1603cm−1にC=C吸収が観測された。その他の酸化重合体のIRスペクトルは化合物Bのスペクトルと酷似しており、IRスペクトルから生成するポリマーの構造の違いを議論することができなかった。
【0088】
図2にDMSOと水の混合溶媒中におけるEGCGモノマーと化合物B、Cの電子吸収スペクトルを図3にEGCGモノマーと化合物A,Eのスペクトルを示す。いずれの場合も、混合溶媒(HO:DMSO=267:1)中で112.5μMを添加して実験を行った。いずれのポリマーもEGCGモノマーと比較してピークがブロードになり、350〜450nmに新たなピークが出現した。このピークは酸化カップリングにより生じた芳香環のC−C結合に由来すると考えられる。ラッカーゼを触媒に用いて合成した酸化重合体である化合物D〜Fのピークはほぼ同一であり、酵素の由来や反応時間が生成するポリマーの構造に影響しないことを示唆している。しかし、ペルオキシダーゼを触媒に用いて合成した化合物BとCを比較したところ、酸化剤として添加した過酸化水素水の濃度が高い化合物Cの280 nm付近のピークベンゼン環のπ−π*吸収)が著しく低下していることがわかった。このことは、添加した過酸化水素水の濃度が高い場合、ベンゼン環の開裂反応などπ共役を崩壊させる反応が進行していることを示唆している)。また、チロシナーゼを触媒にして合成した化合物AのUVスペクトルも280nm付近のピーク(ベンゼン環のπ−π*吸収)が著しく低下しており、化合物Cと同様の反応が進行していると考えられる。
【0089】
(材料、装置および方法)
(GPC)
基準物質にポリスチレンスタンダードを使用した。溶離液には0.1 mol/LのLiClを含むDMF溶液を用い、流速1.0ml/分、カラム温度60℃で行った。
・データ処理装置:SC−8010(東ソー社製)
・オートサンプラー:AC−8010(東ソー社製)
・GPC装置:HLC−8020(東ソー社製)
・カラム:TSK−gel(G3000HHR)、TSK−gel(G4000HHR)
(FT−IR)
・測定装置:Spectrum One spectrometer(Perkin−Elmer社製)
(UV)
・測定装置:U−2010分光光度計(日立製作所社製)
・96wellマイクロプレートリーダー:Synergy HT SIAFR−4(BIO−TEK社製)
(発光測定)
・測定装置:フォトンカウンタMTP−700CL(コロナ電気株式会社製)
(NMR)
・測定装置:INOVA750(Varian 社製)
(溶媒・試薬)
麹菌由来チロシナーゼは月桂冠、Myceliophthora由来ラッカーゼはNovozyme社より提供されたものを用いた。可溶性デンプン(WAKO)は熱湯に溶解させた後、ろ過により不溶物を除去したものを凍結乾燥して用いた。ヨウ素液はヨウ素容量標準(Iodine volumetric standard)(0.1N水溶液)を蒸留水で10倍に希釈して調整した。
【0090】
(分子量測定)
(化合物A、C〜Fのアセチル化)
試料30mgをピリジン8mLと無水酢酸600μLに溶かし、80℃で一時間加熱、撹拌した。反応後、水で再沈殿し固体を析出させた。
(化合物Bのアセチル化)
試料50mgを100μLに溶かし、ピリジン12mLと無水酢酸2mLを加えた。80℃で一時間加熱、撹拌した。反応後、水で再沈殿し固体を析出させた。
【0091】
(α−アミラーゼ阻害活性測定)
可溶性でんぷん8mgを5mLの熱湯に溶解させた後、5mLの100mMリン酸緩衝液(pH7.0)を加えて希釈した。α−アミラーゼ(ブタすい臓由来)はリン酸緩衝液を用いて1.975U/mlに調製した。試料のポリフェノール類は3%のDMSOを含むリン酸緩衝液で各濃度に調製した。試料溶液100μL、でんぷん溶液200μLを混合し37℃で5分間保温後、アミラーゼ溶液100μLを加えてさらに37℃で10分間保温した。80℃のオイルバスで5分間煮沸して反応を停止させ、放冷後溶液を100μL取り出し、400μLヨウ素液と混合させた。その溶液から300μLを分取し、96ウェルプレートに入れ、660nmの吸光度測定した。
阻害活性は、阻害活性(%)=(コントロールの吸光度−サンプルの吸光度)/(コントロールの吸光度)×100から計算した。
【0092】
(実施例2:酵素触媒重合によって生成したエピガロカテキンガレート重合体の特徴)
ヨウ素デンプン反応を利用した吉川らの方法を参考にしてα−アミラーゼ阻害能を評価した。EGCG重縮合体のα−アミラーゼ阻害能評価の結果を図4に示す。EGCGモノマーはα−アミラーゼの活性を低下させるという報告があるが、今回測定した濃度範囲ではほとんどα−アミラーゼを阻害しなかった。これに対して、実施例1で合成したEGCG高分子量体は効果的にα−アミラーゼの働きを阻害し、高分子量体の濃度が増加するにつれその阻害活性は増加した。しかし、チロシナーゼを触媒に使用した化合物Aの場合は、阻害の程度は低かった。また、酸化剤として過酸化水素を用いた場合、過酸化水素の量が少ない場合は非常に高い阻害活性を示したが(化合物B)過剰量の過酸化水素を用いた場合(化合物C)は酵素阻害能を示さなかったことから、使用する過酸化水素の量に留意する必要があることが理解できる。ラッカーゼを触媒に用いて合成した酸化重合体は高い阻害活性を示した(化合物DとF)。その一方で、非常に興味深いことに、由来の異なるラッカーゼを触媒に用いて合成した酸化重合体(化合物DとF)のα−アミラーゼ阻害能を比較すると、著しく阻害能に差があり、このことから重合に用いる酵素の由来がα−アミラーゼ阻害能に影響することが明らかとなった。
【0093】
(実施例3:エピガロカテキンガレートの重縮合)
EGCGとアルデヒドの混合溶液を酸性条件下、任意の温度で攪拌し、EGCG重縮合体(化合物1〜6)を合成した。具体的な反応条件は、以下のとおりである。
【0094】
(化合物1)
大気中、EGCG(1g,2.2mmol)をエタノール5ml溶解させ、蒸留水40ml、酢酸2mlと52Mアセトアルデヒド5gを加えて30℃で48時間反応させた。エタノールと水の混合溶媒で透析(Mw=500)した後、凍結乾燥して1.1gのポリマーを得た。
【0095】
【数1】

(化合物2)
大気中、EGCG(300mg,0.66mmol)をエタノール1.5ml溶解させ、蒸留水(15ml)と4−ヒドロキシベンズアルデヒド(240mg,1.97mmol)を加えた。6MのHClを添加し、溶液のpHを2に調整し、30℃で48時間、加熱撹拌した。反応後、エタノールと水の混合溶媒で透析(Mw=1000)した後、凍結乾燥して212.3mgのポリマーを得た。
【0096】
【数2】

(化合物3)
大気中、EGCG(300mg,0.66mmol)をエタノール1.5ml溶解させ、蒸留水(15ml)と4−ヒドロキシベンズアルデヒド(240mg,1.97mmol)を加えた。6 MのHClを添加し、溶液のpHを2に調整し、40℃で48時間、加熱撹拌した。反応後、エタノールと水の混合溶媒で透析(Mw=1000)した後、凍結乾燥して306.3mgのポリマーを得た。
【0097】
【数3】

(化合物4)
大気中、EGCG(300mg,0.66mmol)をエタノール1.5ml溶解させ、蒸留水(15ml)と3,4−ヒドロキシベンズアルデヒド(271.2mg,1.97mmol)を加えた。6MのHClを添加し、溶液のpHを2に調整し、40℃で48時間、加熱撹拌した。反応後、エタノールと水の混合溶媒で透析(Mw=1000)した後、凍結乾燥して193.4mgのポリマーを得た。
【0098】
【数4】

(化合物5)
大気中、EGCG(100mg,0.22mmol)をエタノール0.5ml溶解させ、蒸留水(15ml)と3−methoxy−4−hydroxybenzaldehyde(100mg,0.66mmol)を加えた。6MのHClを添加し、溶液のpHを2に調整し、40℃で48時間、加熱撹拌した。反応後、エタノールと水の混合溶媒で透析(Mw=1000)した後、凍結乾燥して79mgのポリマーを得た。
【0099】
【数5】

(化合物6)
大気中、EGCG(400mg,0.87mmol)をエタノール6ml溶解させ、蒸留水(15ml)と3,4,5−Trihydroxybenzaldehyde(403mg,2.6mmol)を加えた。6MのHClを添加し、溶液のpHを2に調整し、40℃で48時間、加熱撹拌した。反応後、エタノールと水の混合溶媒で透析(Mw=1000)した後、凍結乾燥して236mgのポリマーを得た。
【0100】
【数6】

上記化合物を生成する反応式は、以下のとおりである。
【0101】
【化24】

重合後、反応液の透析によりEGCG重縮合体を単離・精製した。
【0102】
本実施例においては、アルデヒドのRとして、
【0103】
【化25】

からなる群から選択される異なる置換基を用いたので、生成される重合体のRは、
【0104】
【化26】

からなる群から選択される。
【0105】
合成された化合物を以下の表に示す。
【0106】
【表2】

EGCGモノマーと化合物1のH−NMRを図5左に示す。各々の構造式を図5右に示す。化合物1のH−NMRのスペクトルからA環の6位と8位のピークが消失しており、このことから高分子量体はA環の6位と8位を介した架橋構造をとっていることが分かる。5ppm付近に現れると考えられるメチンのピークは他のピークと重なり観測できなかったが、1.5ppm付近に導入したメチル基由来のピークが観測された。この結果から、反応に用いたアルデヒドが高分子量体の側鎖に導入されたことが確認できた。
【0107】
(実施例4:重縮合によって生成したエピガロカテキンガレート重合体の特徴)
実施例1および2に記載の方法を用いて、重縮合によって生成したエピガロカテキンガレート重合体の特徴付けを行った。
【0108】
図6の結果に示されるように、EGCGモノマーはα−アミラーゼの活性を低下させるという報告があるが、今回測定した濃度範囲ではα−アミラーゼを阻害しなかった。これに対して、EGCG高分子量体は効果的にα−アミラーゼの働きを阻害し、その阻害活性はモノマー単位の量および分子量に依存することが分かった。また、市販のダイエット補助食品の機能成分であるグラビノールと比較しても、化合物6を除いたサンプルで同程度及びそれ以上の阻害活性を示した。
【0109】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。すなわち、上記実施例は、エピガロカテキンガレートを用いて行われたが、本願発明は、エピガロカテキンガレートに限定されるものではなく、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類を用いることによっても本発明を実施することが可能である。従って、本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明によって、α−アミラーゼ活性阻害剤、ならびに、血糖値の上昇抑制、糖尿病の予防および/または治療、内臓脂肪の蓄積抑制、肥満の予防および/または治療、高脂血症の予防および/または治療、ならびに、糖吸収抑制のための薬学的組成物および飲食用組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】図1は、エピガロカテキンガレートと化合物BのIRスペクトルを示す図である。
【図2】図2は、DMSOと水の混合溶媒中におけるEGCGモノマーと化合物B、Cの電子吸収スペクトルを示す図である。。
【図3】図3は、DMSOと水の混合溶媒中におけるEGCGモノマーと化合物A,Eの電子吸収スペクトルを示す図である。
【図4】図4は、酵素触媒を用いて合成したEGCG重縮合体のα−アミラーゼ阻害能評価の結果を示す図である。
【図5】図5は、EGCGモノマーと化合物1のH−NMRおよび構造式を示す図である。
【図6】図6は、重縮合によって生成したエピガロカテキンガレート重合体のα−アミラーゼ阻害能評価の結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重合体を含有する、αアミラーゼ活性を阻害するための薬学的組成物。
【請求項2】
請求項2に記載の薬学的組成物であって、ここで、前記重合体が前記カテキン類の重縮合によって生成される重合体である、薬学的組成物。
【請求項3】
請求項2に記載の薬学的組成物であって、ここで、前記重合体が前記カテキン類に対する酵素反応によって生成される重合体である、薬学的組成物。
【請求項4】
前記重合体の数平均分子量が10,000以下である、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記重合体が、以下の構造式:
【化1】

であって、ここで、n=2〜20、Rが、
【化2】

からなる群から選択される構造式であらわされる構造を有する、請求項3に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
血糖値の上昇を抑制するための、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重合体を含有する薬学的組成物。
【請求項7】
糖尿病の予防および/または治療のための、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重合体を含有する薬学的組成物。
【請求項8】
内臓脂肪の蓄積を抑制するための、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重合体を含有する薬学的組成物。
【請求項9】
肥満の予防および/または治療のための、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重合体を含有する薬学的組成物。
【請求項10】
高脂血症の予防および/または治療のための、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重合体を含有する薬学的組成物。
【請求項11】
糖吸収を抑制するための、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重合体を含有する薬学的組成物。
【請求項12】
エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重合体を含有する、αアミラーゼ活性を阻害するための飲食用組成物。
【請求項13】
請求項12に記載の飲食用組成物であって、ここで、前記重合体が前記カテキン類の重縮合によって生成される重合体である、飲食用組成物。
【請求項14】
請求項12に記載の飲食用組成物であって、ここで、前記重合体が前記カテキン類に対する酵素反応によって生成される重合体である、飲食用組成物。
【請求項15】
前記重合体の数平均分子量が10,000以下である、請求項12に記載の飲食用組成物。
【請求項16】
前記重合体が、以下の構造式:
【化3】

であって、ここで、n=2〜20、Rが、
【化4】

からなる群から選択される構造式であらわされる構造を有する、請求項12に記載の飲食用組成物。
【請求項17】
血糖値の上昇を抑制するための、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重合体を含有する飲食用組成物。
【請求項18】
糖尿病の予防および/または治療のための、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重合体を含有する飲食用組成物。
【請求項19】
内臓脂肪の蓄積を抑制するための、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類トの重合体を含有する飲食用組成物。
【請求項20】
肥満の予防および/または治療のための、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重合体を含有する飲食用組成物。
【請求項21】
高脂血症の予防および/または治療のための、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重合体を含有する飲食用組成物。
【請求項22】
糖吸収を抑制するための、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および、エピガロカテキンからなる群から選択されるカテキン類の重合体を含有する飲食用組成物。
【請求項23】
以下の構造式:
【化5】

であって、ここで、n=2〜20、Rが、
【化6】

からなる群から選択される構造式であらわされる構造を有する、エピガロカテキンガレートの重合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−138129(P2008−138129A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−327648(P2006−327648)
【出願日】平成18年12月4日(2006.12.4)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】