説明

アミロイド症の予防若しくは治療のための組成物および方法

患者においてアミロイド症を治療しまたは予防するための方法であって、患者皮膚に組成物を局所的に適用することを含み、該組成物は一つまたはそれ以上の亜鉛キレート剤および一つまたはそれ以上の皮膚透過促進剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1,10-フェナンスロリンのような亜鉛キレート剤投与のための組成物およびアミロイド症の予防若しくは治療のためのそのような組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アミロイド症はひとつの病気ではなく、後天的な若しくは遺伝的な起原を有し、いくつかの異なるタイプのタンパク質原線維の一種の細胞外沈着で特徴づけられる多様な疾患群である。これら原線維は、類似の性質を有し、アミロイドと呼ばれている。アミロイドの沈着は初期の(特発性)過程であって、これに先行する既知の症状がなくまたは何か他の症状に続発することがなく、特定の部位に局在することも、体中全体に広がる(全身性)こともある。アミロイド沈着は多くの一般的なそして希少な病気まで引き起こし、多くの異なるアミロイドタンパク質が含まれる。例えば、アルツハイマー病とクロイツエルト-ヤコブ病は脳内のアミロイド沈着で特徴づけられる異なった二つの症状であるが、含まれるタンパク質は異なる。
【0003】
アルツハイマー病のアミロイド沈着における主たる成分はアミロイド-ベータ(Aβ)と呼ばれるポリペプチドである。Aβはまた脳血管の内腔および壁に蓄積する。アルツハイマー病の主たる形態は散発的で発現が遅いことであるが、割合は少ないものの家族性で初期に発現するものもある。家族性アルツハイマー病のある場合、その遺伝子が染色体21上にあるAβ前駆体タンパク質の異なる部位における一つ若しくはそれ以上の突然変異と強く関連している。しかしながら、発症した患者において、これら突然変異がアルツハイマー病の原因かどうかは実験的に証明されていない。
斑点はアルツハイマー病に特有のものではない。老人斑はダウン症候群や高齢のヒトおよび動物の脳のいずれにもまた見られる。非痴呆の高齢者の脳における斑点の数はしばしばアルツハイマー病のケースと似ている〔カッツマン等(Katzman et al.), 1988, Ann. Neurol. 23: 138-144〕。
【0004】
合成Aβの沈殿が、例えば低いpH、高い塩濃度、金属(例えば、亜鉛、銅、鉛、水銀等)の存在などを含むいくつかの環境因子により引き起こされることが示された〔ブッシュ等(Bush et al.), 1995, Science 268: 1921-1923〕。Aβ自身は亜鉛と1:1(亜鉛:Aβ)のモル比で、高親和性結合(K =107 nM)で特異的かつ飽和的に結合することが報告されている〔ブッシュ等(Bush et al.), 1994, J.Biol.Chem. 269: 12152-12158〕。この結合は亜鉛の生理的濃度においても起こる〔ブッシュ等(Bush et al.), 1994, Science 265: 1464-1467〕。
アルツハイマー病の患者脳からアミロイドの沈着物を除去すればアルツハイマーの症候を軽減するであろうという強い考え方がある。従って、アルツハイマー病の治療方法が緊急に求められているのでアミロイド沈着物を除去する薬物を製造すべく多くの試みがなされている。
【0005】
国際公報WO93/10459号(1993年5月27日付け)には亜鉛結合性薬物を投与することによるアルツハイマー病の治療方法が開示されている。好ましい化合物としては、フィチン酸、デスフェリ-オキシミン、クエン酸ナトリウム、EDTA、1,2-ジエチル-3-ヒドロキシ-ピリジン-4-オン、および1-ヒドロキシエチル-3-ヒドロキシ-2-メチル-ピリジン-4-オンが記述されている。
ドイツ公報DE3932338号(1991年4月11日付け)は、例えば8-ヒドロキシ-キノリンのようなアルミナキレート剤のアルツハイマー病治療のための使用を開示している。
US特許公報5373021号(1994年12月13日付け)はジスルフィラムおよびその塩とアナログを開示している。この特許によれば、開示された化合物はアルツハイマー病による神経損傷を軽減するのに使用できる。
【0006】
これまでアルツハイマー病治療用として示唆されてきた化合物はいくつかの欠点があって広範な使用が制限されている。化合物の多くは血液脳関門を通過することができず、アミロイドが沈着している箇所に到達できない。ジスルフィラムは血液脳関門を通過するかもしれないが、患者によってエチルアルコールと組み合わされた場合、頭痛や悪心、嘔吐、発汗、口渇、衰弱、低血圧等を含む重篤な副作用を引き起こすという欠点がある。
クリオキノールのような血液脳関門を通過する亜鉛キレート剤が多く見つかっている。しかしながら、潜在的な有用性のある化合物には重篤な副作用がある。日本政府は1970年9月、クリオキノールの販売を公式に禁止した。販売禁止の動機はクリオキノールが亜急性脊髄視神経障害(スモン)を引き起こすとの推定からであった。続いて、世界保健機構の勧告を受けクリオキノールは(当時、胃腸機能障害の治療に使用されていた)世界の他の多くの国の市場から取り下げられた。
【0007】
スモンは腹部疾患が先行して急性または亜急性で発現し、両脚の異常知覚、知覚障害、運動麻痺、および視力喪失により特徴付けられる。これらの臨床知見に相応して、スモンは末梢神経、脊髄、後柱、心-脊髄路および視神経における病理的な対称的変性を明らかにした。
クリオキノールは世界中で処方され日本だけではないにもかかわらず、スモンの発生は日本に限られた。出版された文献中に、クリオキノール投与に起因する系統的な病理学的特徴は日本のケースを除いて他に記載はない。
【0008】
米国特許5487884号には、紫外線照射を受けた皮膚加齢効果を軽減する、ある種のキレート剤の使用が記載されている。ここで参照されるキレート剤には、2,2'-ジピリジルアミン;1,10-フェナンスロリン;ジ-2-ピリジルケトン;2-フリルジオキシム;2,3-ビス(2-ピリジル)ピラジン;1-ヒドロキシ-4-メチル-6-(2,4,4-トリメチルペンチル)-2(1H)-ピリドン;2,3-ジヒドロキシ安息香酸;エチレンジアミン-N,N-ビス(2-ヒドロキシフェニル酢酸)ジメチルエステル;1,1'-カルボニルジイミダゾール;1,2-ジメチル-3-ヒドロキシピリド-4-オン;2,4,6-トリ(2-ピリジル)-1,3,5-トリアジン;1-ピロリジンカルボジチオイックアシッド;ジエチルジチオカルバミン酸;6-シクロヘキシル-1-ヒドロキシ-4-メチル-2(1H)-ピリドン;2,2'-ジピリジル;1,2-シクロヘキサンジオンジオキシム;3-ヒドロキシ-2-メチル-4-ピロン;2,3-ビス(2-ピリジル)-5,6-ジヒドロピラジン;3-(4-フェニル-2-ピリジル)-5-フェニル-1,2,4-トリアジン;5-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-4H-ピラン-4-オン;2,3-ジヒドロキシピリジン;2,2'-ビキノリン;2,2'-ビピラジン;3-(2-ピリジル)-5,6-ジフェニル-1,2,4-トリアジン;4,4'-ジメチル-2,2'-ジピリジル;4,5-ジヒドロキシ-1,3-ベンゼンジスルホン酸;フェニル 2-ピリジル ケトキシム;デスフェリオキサミンB; 5,7-ジクロロ-8-ヒドロキシキノリン;2,3-ジヒドロキシナフタレン;2,3,5,6-テトラキス-(2'-ピリジル)ピラジン;2,4-ビス(5,6-ジフェニル-1,2,4-トリアジン-3-イル)ピリジン;ジ-2-ピリジル グリオキサール;6-ヒドロキシ-2-フェニル-3(2H)-ピリダジノン;2,4-プテリジンジオール;3-(4-フェニル-2-ピリジル)-5,6-ジフェニル-1,2,4-トリアジン;N-ベンゾイル-N-フェニルヒドロキシルアミン;3-アミノ-5,6-ジメチル-1,2,4-トリアジン;2,6-ピリジンジカルボン酸;2,4,5-トリヒドロキシピリミジン;および4-(2-アミノ-1-ヒドロキシエチル)-1,2-ベンゼンジオールが含まれる。
【0009】
米国特許6001852号は亜鉛キレート剤の効果を研究し、有意な種特異的(非特異的な金属キレート化)および薬物特異的(スモン;)な副作用を報告していて、その副作用は、望まない副作用を抑えるため1〜4週間の「洗い出し期間」を与える一時的な組み合わせ療法、およびビタミンB12との組み合わせ療法を使用して抑制する必要がある。
亜鉛キレート剤組成物および亜鉛キレート剤を用いる治療方法には、副作用をより効率的に制御して、脳血管関門を通じる薬物輸送を効果的にする必要がある。
本明細書で引用した文献は、特許および特許文献も含めて、いずれも先行技術を構成するとは認められない。特に、他に言及しない限り、いずれの文献への参照も、いずれかの文献がオーストラリアおよびその他の国の当該業界における通常の一般知識の部分を形成するという了解を構成しない。参考文献の議論はその著者の主張を述べたものであり、出願人はここで引用した任意の文献の正確さおよび適正さに挑戦する権利を保有する。
【発明の開示】
【0010】
要約
我々は、1,10-フェナンスロリンのような亜鉛キレート剤を経皮的に投与することにより、循環中の亜鉛濃度を効果的に制御できることを見出した。経皮透過促進剤および亜鉛キレート剤の選択が亜鉛キレート剤の用量を低レベルに抑え、体内の他の金属の非特異的キレート化であって臨床上有意なものを軽減しまたは避けることを可能にする。
従って、第一の側面において本発明は患者にアミロイドーシス疾患を予防しまたは治療する方法を提供し、該方法は、患者の皮膚領域に次のものを含む組成物を局所適用することを含む;
ひとつまたはそれ以上の亜鉛キレート剤;および
ひとつまたはそれ以上の経皮透過促進剤
好ましくは、該組成物はまた、薬学的に許容される溶媒で揮発性のものを含むであろう。
【0011】
第二の側面においては、本発明は患者皮膚に対する局所投与によりアミロイド症の治療をするために用いられる経皮組成物の製造における亜鉛キレート剤の使用を提供する。
第三の側面においては、本発明はアミロイド症の予防または治療のための組成物を提供し、該組成物は;
ひとつまたはそれ以上の亜鉛キレート剤;
ひとつまたはそれ以上の経皮透過促進剤;および
好ましくはまた、揮発性の薬学的に許容される溶媒を含む。
本発明の組成物は、例えばエストラジオールのようなエストロゲンを含んでもよいし、また好ましくは含む。亜鉛キレート剤と組み合わせたひとつまたはそれ以上のエストロゲンの存在は、アルツハイマー症のようなアミロイド症の予防および治療においてさらに有益である。
【0012】
詳細な説明
本発明は、経皮の薬物輸送促進のため、ひとつまたはそれ以上の経皮透過促進剤使用する。本発明はゲルやローション、パッチ剤のような伝統的な投与形態を使用することができる。
好ましくは、該組成物を患者の皮膚上にスプレイすることによりその組成物が適用される。経皮吸収効率の向上に加えて、本発明化合物を局所スプレイ適用すると多くの場合、組成物は非密封性であるから、経皮パッチ剤のようなより密封性の高い輸送方法よりも低刺激性である。
【0013】
本発明によれば薬物輸送組成物において、活性薬物、共溶媒、界面活性剤、乳化剤、抗酸化剤、保存剤、安定化剤、希釈剤および二つ若しくはそれ以上の成分の混合物よりなる群から選択される一つ若しくはそれ以上の他の成分を、個々の投与経路および用量形態に適切なように組み込むことができる。使用される成分の種類と量は、亜鉛キレート剤と同様、本発明の経皮透過促進剤と適合するものである必要がある。共溶媒または海面活性剤等の他の標準的な補助剤は亜鉛キレート剤を所望の濃度で溶液中若しくは懸濁液中に維持するため必要かもしれない。
【0014】
上記の各ケースにおいて使用される亜鉛キレート剤の量は、本発明がはるかに特異的なキレート剤を含み得ることを想定したとしても、体内の生理的に関連する他の金属との間の非特異的キレート化を避けるため最小化することができる。本発明の重要な利点のひとつは、Aβ沈着を減少させ、一方、以前報告された重篤な副作用の発生を抑えまたは避けるために使用される、継続した比較的低用量の亜鉛キレート剤を提供することである。この種の薬物の経皮投与は報告がないので、有効な経皮投与、血液脳関門の通過および沈着したAβの可溶化のために求められる特徴の組み合わせが満たされることは期待できない。
【0015】
本発明を記述するに当たり、以下の定義に従って次の述語を使用する。
「局所」および「経皮」の語は最も広義に、ヒトを含む動物の粘膜または皮膚表面への薬物の投与であって、薬物を皮膚組織および/または動物の血流にまで通過させ、それにより局所または全身投与を提供するものをいう。経皮の語は、薬物の経粘膜投与、即ち、薬物を動物の粘膜表面に投与し、粘膜組織を通過して血流に入れることを含むと意図している。
他に提示または暗示のない限り、局所薬物輸送と経皮薬物輸送の語は同義的に使用する。ここでは、経皮および皮膚投与の語は経粘膜および粘膜投与を包含する。これらの語句は当然に表皮のような他のタイプの皮膚を介する投与をも包含する。
【0016】
「角質層」の語は、最も広義に、皮膚の外層であって、末端が分化したケラチノサイトの層(約15層)から構成され、主としてタンパク質性物質ケラチンがレンガとモルタルのようになってできたものをいうために用いられる。このモルタルは主にコレステロール、セラミドおよび長鎖脂肪酸でつくられた脂質マトリックスよりなる。この角質層は、活性薬物が皮膚を通過し拡散する際の速度制限的障害を構成する。
「皮膚透過促進剤」の語は、最も広義に、活性薬物が皮膚若しくは粘膜を通過して経皮輸送される速度を改良する薬剤をいうため、そして局所投与または全身投与にかかわらず、動物のような有機体に活性薬物を輸送し使用するために使用される。
「非密封性」の語は、最も広義に、パッチ剤や固定容器、適用チャンバー、テープ、包帯、貼付プラスター等の手段であって投与部位の皮膚上に長期間残されるもので皮膚を捕捉したり大気から閉じたりしないことをいうのに用いられる。
【0017】
本発明の組成物は好ましくは、約0.1%から約10%の亜鉛キレート剤、約0.1%から約10%の皮膚透過促進剤、約45%から約99.8%の揮発性溶媒および任意で約0.1%から約2%のエストロゲンを含む。
他の好ましい形態では、揮発性液体はエタノール、イソプロパノールまたはそれらの混合物が約80から98%の範囲で含まれる。より好ましくは本発明の組成物は1から5%の亜鉛キレート剤、約2から8%の皮膚透過促進剤、約45%から90%のエタノール、イソプロパノールまたはそれらの混合物、5から45%の水;および任意で0.5から5%の濃厚剤を含む。
【0018】
適切な亜鉛キレート剤は、薬物経皮輸送のしやすい構造であって十分な脂溶性と水溶性を有し、アミロイド沈着物から亜鉛を除去してAβ沈着を再溶解化しおよび/またはその形成を妨げるものである。亜鉛キレート剤の適切な構造は、好ましくは分子量が500ダルトン未満であって融点が200℃より低く、水素結合供与が3つ以上、オクタノール-水の分配係数が1から4の間で水溶性が10μg/mlより大きいものである。そのような好適な亜鉛キレート剤の化学種は例えば1,10-フェナンスロリンのようなフェナンスロリンおよびその誘導体、イブプロフェン、フルルビプロフェンのようなアリールプロピオン酸、既に定義した物理化学的性質(分子量が500ダルトン未満であって融点が200℃より低く、水素結合供与が3つ以上、オクタノール-水の分配係数が1から4の間で水溶性が10μg/mlより大きい)に適合し、亜鉛イオンとの化学結合部位を有していて、亜鉛イオンと該化合物との解離の負の結合エネルギーが「ChemDraw」3D、バージョン5.0のような認められた三次元分子モデリングソフトウェアを用いてMM2力場立体エネルギー計算をした場合に20 kcal/moleより大きい任意の化合物である。
【0019】
適切な亜鉛キレート剤には、限定はされないが、3-メルカプト-D-バリン、ビス(ジエチルチオカルバモイル)ジスルフィド、N,N,N',N'-テトラキス(2-ピリジルメチル)-エチレンジアミン、N-(6-メトキシ-8-キノリル)-p-トルエンスルホンアミド、8-ヒドロキシキノリン、8-ヒドロキシキノリン-5-スルホン酸、ジエチルジチオカルバメート、フェナンスロリンおよびその誘導体、ジピコリネート、ジフェニルチオカルバゾン、ジチゾン、シメチジン、ジピコリン酸、クリオキノールまたはその薬学的に許容される塩または前述したそのいずれかの誘導体が含まれる。
【0020】
さらなる亜鉛キレート剤としては、限定はされないが、ジクロフェナック、イブプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、インドメタシン、ケトプロフェン、ナブメトン、アパゾン、スリンダック、メロキシカム、チアプロフェン酸、フルルビプロフェン、トルフェナミン酸、フェニルブタゾン、ベンジダミド、アスピリン、サリチル酸、またはその薬学的に許容される塩または前述したそのいずれかの誘導体が含まれる。これらの多くの薬物は他の治療薬としての適応が知られているが、アミロイド症の治療に必要な用量は通常、良く知られた用途の場合と異なる(しばしば低い)。
本発明の組成物および方法において好ましい亜鉛キレート剤は1,10-フェナンスロリンである。
【0021】
亜鉛キレート剤の濃度および適用する組成物の用量は、亜鉛キレート剤の有効血中濃度を与えるのに十分であって、具体的な剤型および局所投与の広さに関連する。
アミロイド症の最善の治療またはアミロイド症進行からの最善の保護を与える亜鉛キレート剤の用量は該キレート剤の性質およびその属性に依存する。関係する性質には例えば亜鉛のような金属とのキレート形成の有効性、該キレート剤が血液脳関門を通過する効率等が含まれる。加えて、目的のキレート剤を輸送する皮膚透過促進剤の性能は当該皮膚透過促進剤とキレート剤の性質の違いにより変化する。種々の金属キレート剤を適切に輸送するためには異なる皮膚透過促進剤を選択する必要があるかもしれないと理解される。好ましくは、潜在的な副作用を軽減するため、キレート剤が全身循環される放出速度プロフィルが性質上0次に近いものである。そして、その副作用は平均濃度(Cavg)に対して上昇した最大濃度(Cmax)に関連し、しばしば別の剤型で認められる。本発明の組成物は、好ましくは治療上の血清中の有効濃度を12時間提供するものであり、より好ましくは24時間提供するものである。
【0022】
皮膚透過促進剤は親油性の非揮発性液体でその蒸気圧が大気圧下10mmHgより低く、通常皮膚温度が32℃である促進剤中から選択することができる。好ましくは、皮膚透過促進剤は200から400ダルトンの範囲の分子量を有するものである。
皮膚透過促進剤は、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、グリコールおよびグリコールエステル、1,3-ジオキソランおよび1,3-ジオキサン、少なくとも12個の炭素原子を含む大環状ケトン、オキサゾリジノンおよびオキサゾリジノン誘導体、アルキル-2-(N,N-二置換アミノ)-アルカン酸エステル、(N,N-二置換アミノ)-アルカノールアルカン酸エステル、サンスクリーンエステルおよびその混合物よりなる群から選択することができる。より好ましくは、皮膚透過促進剤は、オレイン酸、オレイルアルコール、シクロペンタデカノン(CPE-218TM)、ソルビタンモノオレエート、グリセロールモノオレエート、プロピレングリコールモンラウレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、2-n-ノニル 1,3ジオキソラン(SEPA)、ドデシル 2-(N,N-ジメチルアミノ)-プロピオネート(DDAIP)若しくはその塩誘導体、2-エチルヘキシル 2-エチルヘキサノエート、イソプロピル ミリステート、ジメチル イソソルビド、4-デシロキサゾリジン-2-オン(SR-38(商標), TCPI,Inc.)、3-メチル-4-デシロキサゾリジン-2-オン、オクチル ジメチル-パラアミノベンゾエート、オクチル パラメトキシシンナメート、サリチル酸オクチルおよびその混合物を含むリストから選択される。
【0023】
好ましくは、皮膚透過促進剤のクラスは、安全な皮膚耐性エステルサンスクリーンである。
最も好ましくは、そのエステルはオクチル ジメチル-パラアミノベンゾエート、オクチル パラメトキシシンナメートまたはサリチル酸オクチルである。
本発明の好ましい態様は、さらに少なくとも一種のエストロゲンを含む組成物である。
好ましくは、該エストロゲンはエストラジオール、エストリオール、エストロン、エチニルエストラジオール、メストラノール、スチルベステロール、ジエノエストロール、エピエストリオール、エストロピペート、ゼラノールおよびその混合物よりなる群から選択される。
他の適切なエストロゲンはエストラジオールを全身用量で典型的な範囲の1から25μg/day、より好ましくは5から20μg/dayを輸送した場合と同等の生物学的応答を提供できるものである。
【0024】
本発明の薬物輸送系は好ましくは;
(i)少なくとも一種の亜鉛キレート剤若しくはそのプロドラッグの有効量;
(ii)少なくとも一種の非揮発性皮膚透過促進剤;および
(iii)少なくとも一種の揮発性液体;を含む。
皮膚透過促進剤はヒトを含む動物の皮膚表面若しくは粘膜を通過して亜鉛キレート剤を輸送するように順応し、揮発性液体が蒸発したときには該表面若しくは膜上に透過促進剤と生理学的に活性な薬物とを含む混合物のデポ若しくは貯蔵所を形成する。
そして、皮膚透過促進剤は毒性が低く、動物の皮膚表面または粘膜で耐えられるものである。
【0025】
非密閉的な経皮的薬物輸送系による投与の後は、輸送系の揮発性成分は蒸発して薬物輸送系が適用された皮膚領域は手で触れられるほど乾燥することが好ましい。より好ましくは該領域は3分以内、さらに好ましくは1分以内に乾燥することがよい。
本発明の好ましい揮発性液体は安全な、皮膚で耐えられる溶媒、例えばエタノール、イソプロパノールを含む。ジメチルエーテル等のエアロゾルの推進体も本発明の目的の揮発性液体を構成し得る。
驚くべきことに、同定した皮膚透過化合物群は活性薬物またはそのプロドラッグの皮膚および粘膜吸収を促進する一方、先行技術の促進剤が有する重要な薬学的不利益および毒性を回避する。加えて、本発明の化合物群は驚くべきことに、皮膚外層、即ち、従来薬物の経皮吸収において厄介な障壁であった角質層に対して適切な透過性を示す。
【0026】
本発明の薬物輸送系はエアロゾル、スプレイ、ポンプパック、ブラシ、綿棒その他の器具でもって皮膚に適用することができる。そしてその適用具は、固定または可変の定量的な適用、例えば定量エアロゾル、エネルギー蓄積型の定量ポンプまたは手動式定量ポンプを提供するものが好ましい。一つの態様では、エアロゾルのような局所用定量用具でもって適用がなされる。
この薬物輸送系はポンプパック、またはより好ましくは、炭化水素、フッ化炭化水素、窒素、酸化窒素、二酸化炭素またはエーテル、好ましくはジメチルエーテルのような推進剤の使用により推進される。非密閉的な薬物輸送系は、用量均一化が容易で製造が複雑でないため単一相系が好ましい。目的の結果を得るためには、未処置の皮膚に対して多くの用量を適用することが必要かもしれない。
本発明を続く実施例を参照して記述する。実施例は発明の説明のために提供され、決して本発明の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。
【0027】
実施例1
経皮スプレイ組成物中のサリチル酸オクチルを用いた1,10-フェナンスロリンの皮膚透過の促進
【表1】

【0028】
Figure 1に示したとおり、安全なサンスクリーンエステルn皮膚透過促進剤、サリチル酸オクチル(オクチサレート)は、1,10-フェナンスロリンの経皮透過を1.3倍顕著に増加させた(p<0.01)。
【0029】
モデル膜として切除したヒトの表皮を用いて拡散実験を行なった。セルの拡散域を1.0cmに増加させた以外は以前の記載(Cooper,E.R., J.Pharm.Sci., 1984,73, 1153-1156)に従ってステンレス・スチールのフロースルー拡散セルを用いて24時間かけて実験した。有限用量テクニック(Franz,T.J., Curr.Probl.Dermatol., 1978, 7, 58-68)を用いて製剤を適用し、適用用量5μL/cmで臨床の用量状態を模倣した。ステンレス・スチールのワイヤー網小片を拡散セルの受容体室に皮膚下に直接置いて、皮膚下の受容体液の乱流を維持した。マイクロカッセトの蠕動式ポンプ(Watson Marlow 505S, UK)を用いて、拡散セルを流速約1.0ml/cm/hに維持した。加温バーを用いてセルを32±0.5℃に保ち、自動フラクションコレクター(Isco RetrieverII, Lincoln, NE)で特定の間隔毎に試料を適切な大きさのプラスチック製バイアルに集めた。受容体溶液(20%エタノール、0.1% w/v アジ化ナトリウム/希リン酸緩衝液)は皮膚下のシンク状態を維持した。
試料は1,10-フェナンスロリンを直接RP-HPLCで分析した。その条件は次のとおり;カラム、Waters Symmetry C18, (3.9 x 150 mm) 5μmサポートサイズ;移動相 20% アセトニトリル、0.01M KH2PO4、pH=2.80 ;流速 0.9 mL/min;検出 235 nm吸光度;注入量 20μL。
【0030】
実施例2
経皮スプレイ組成物中のその他の安全なサンスクリーンエステル皮膚透過促進剤を用いた、エストラジオールの皮膚透過促進
【表2】

拡散実験は実施例1に従って行なった。
Figure 2に示したとおり、安全なサンスクリーンエステル皮膚透過促進剤、サリチル酸オクチル(オクチサレート)はエストラジオールの経皮透過を1.3倍顕著に増加させた(p<0.05)。
【0031】
実施例3
組み合わせた経皮スプレイ組成物
【表3】

【0032】
実施例4
組み合わせた経皮スプレイ組成物
【表4】

【0033】
実施例5
【表5】

【0034】
実施例6
【表6】

【0035】
実施例7
促進マトリクス型経皮パッチ組成物
【表7】

【0036】
実施例8
促進経粘膜(口腔)スプレイ組成物
【表8】

【0037】
実施例9
組み合わせ経皮クリーム組成物
【表9】

【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】Figure 1は、皮膚透過促進剤のサリチル酸オクチル(オクチサレート)を含む、または含まない経皮スプレイ組成物について、時間(hour)に対してヒト表皮を透過した1,10-フェナンスロリンの累積量(μg/cm2)を表す。誤差バーはSEMを現す。
【図2】Figure 2は、皮膚透過促進剤のサリチル酸オクチル(オクチサレート)を含む、または含まない経皮スプレイ組成物について、時間(hour)に対してヒト表皮を透過したエストラジオールの累積量(μg/cm2)を表す。誤差バーはSEMを現す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者において、アミロイド症を予防しまたは治療する方法であって、患者の皮膚領域に次の組成物を局所適用することを含む方法;
ひとつまたはそれ以上の亜鉛キレート剤、およびひとつまたはそれ以上の皮膚透過促進剤。
【請求項2】
組成物がさらにひとつまたはそれ以上の薬学的に許容される揮発性溶媒を含む、請求項1の方法。
【請求項3】
組成物がさらにひとつまたはそれ以上のエストロゲンを含む、請求項1の方法。
【請求項4】
組成物がさらにエストラジオールを含む、請求項1の方法。
【請求項5】
組成物が、ゲル、ローション、スプレイ組成物およびパッチ剤よりなる群から選択される形態である、請求項1の方法。
【請求項6】
組成物がスプレイ組成物の形態である、請求項1の方法。
【請求項7】
組成物を患者皮膚にスプレイすることにより適用される、請求項1の方法。
【請求項8】
組成物が、活性薬物、共溶媒、界面活性剤、乳化剤、抗酸化剤、保存剤、安定化剤、希釈剤およびそれらのふたつ以上の混合物よりなる群から選択されるひとつまたはそれ以上の成分を含む、請求項1の方法。
【請求項9】
使用される濃度において亜鉛キレート剤を溶液または懸濁液として維持するために、少なくともひとつの共溶媒と界面活性剤が存在する、請求項1の方法。
【請求項10】
経皮投与が、Aβ沈着を軽減しまたは予防するための亜鉛キレート剤の持続的低用量を提供する、請求項1の方法。
【請求項11】
組成物が、約0.1%から約10%の範囲の亜鉛キレート剤、約0.1%から約10%の範囲の皮膚透過促進剤および約45%から約99.8%の範囲の揮発性溶媒を含む、請求項1の方法。
【請求項12】
揮発性溶媒が、エタノール、イソプロパノールおよびその混合物よりなる群から選択される、請求項11の方法。
【請求項13】
組成物が、1から5%の亜鉛キレート剤、約2から8%の皮膚透過促進剤、約45から90%のエタノール、イソプロパノール若しくはその混合物、および5から45%の水を含む、請求項1の方法。
【請求項14】
さらに増粘剤を含む、請求項11の組成物。
【請求項15】
組成物が、0.1から2%のエストロゲンを含む、請求項1の方法。
【請求項16】
亜鉛キレート剤の分子量が500ダルトンより小さく、融点が200℃より低く、3以下の水素結合の供与があり、オクタノール-水の分配係数が1から4の間であり、水溶性が10μg/mlより大きい、請求項1の方法。
【請求項17】
亜鉛キレート剤がフェナンスロリンおよびその誘導体から選択される、請求項1の方法。
【請求項18】
亜鉛キレート剤が、亜鉛イオンとの化学結合部位を有していて、亜鉛イオンと該化合物との解離の負の結合エネルギーが「ChemDraw」3D、バージョン5.0のような認められた三次元分子モデリングソフトウェアを用いてMM2力場立体エネルギー計算をした場合に20 kcal/moleより大きい、請求項1の方法。
【請求項19】
適切な亜鉛キレート剤には、限定はされないが、3-メルカプト-D-バリン、ビス(ジエチルチオカルバモイル)ジスルフィド、N,N,N',N'-テトラキス(2-ピリジルメチル)-エチレンジアミン、N-(6-メトキシ-8-キノリル)-p-トルエンスルホンアミド、8-ヒドロキシキノリン、8-ヒドロキシキノリン-5-スルホン酸、ジエチルジチオカルバメート、フェナンスロリンおよびその誘導体、ジピコリネート、ジフェニルチオカルバゾン、ジチゾン、シメチジン、ジピコリン酸、クリオキノールまたはその薬学的に許容される塩または前述したそのいずれかの誘導体が含まれる。
【請求項20】
亜鉛キレート剤が、ジクロフェナック、イブプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、インドメタシン、ケトプロフェン、ナブメトン、アパゾン、スリンダック、メロキシカム、チアプロフェン酸、フルルビプロフェン、トルフェナミン酸、フェニルブタゾン、ベンジダミド、アスピリン、サリチル酸、およびその薬学的に許容される塩およびその誘導体よりなる群から選択される、請求項1の方法。
【請求項21】
全身循環への放出速度プロフィルが性質上0次に近いものであって、それにより、経口投与の際の平均濃度(Cavg)に対する最大濃度(Cmax)の比が上昇することに関連する潜在的な副作用が軽減される、請求項1の方法。
【請求項22】
該方法が治療上の有効血清中濃度を12時間提供する、請求項1の方法。
【請求項23】
皮膚透過促進剤が脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、グリコールおよびグリコールエステル、1,3-ジオキソランおよび1,3-ジオキサン、少なくとも12個の炭素原子を含む大環状ケトン、オキサゾリジノンおよびオキサゾリジノン誘導体、アルキル-2-(N,N-二置換アミノ)-アルカン酸エステル、(N,N-二置換アミノ)-アルカノールアルカン酸エステル、サンスクリーンエステルおよびその混合物よりなる群から選択される、請求項1の方法。
【請求項24】
皮膚透過促進剤がオレイン酸、オレイルアルコール、シクロペンタデカノン(CPE-218(商標))、ソルビタンモノオレエート、グリセロールモノオレエート、プロピレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、2-n-ノニル 1,3ジオキソラン(SEPA(商標))、ドデシル 2-(N,N-ジメチルアミノ)-プロピオネート(DDAIP)若しくはその塩誘導体、2-エチルヘキシル 2-エチルヘキサノエート、イソプロピル ミリステート、ジメチル イソソルビド、4-デシロキサゾリジン-2-オン(SR-38(商標), TCPI,Inc.)、3-メチル-4-デシロキサゾリジン-2-オン、オクチル ジメチル-パラアミノベンゾエート、オクチル パラメトキシシンナメート、サリチル酸オクチルおよびその混合物よりなる群から選択される、請求項1の方法。
【請求項25】
透過促進剤が、安全な皮膚が耐えられるサンスクリーンエステルより選択される、請求項1の方法。
【請求項26】
安全な皮膚が耐えられるサンスクリーンエステルがオクチル ジメチル-パラアミノベンゾエート、オクチル パラメトキシシンナメートおよびサリチル酸オクチルより選択される、請求項24の方法。
【請求項27】
エストロゲンがエストラジオール、エストリオール、エストロン、エチニルエストラジオール、メストラノール、スチルベストロール、ジエノエストロール、エピエストリオール、エストロピペート、ゼラノールおよびその混合物よりなる群から選択される、請求項3の方法。
【請求項28】
患者において、アミロイド症を予防しまたは治療するための経皮組成物であって、次のものを含む経皮組成物;
ひとつまたはそれ以上の亜鉛キレート剤、およびひとつまたはそれ以上の皮膚透過促進剤。
【請求項29】
組成物がさらに薬学的に許容される揮発性溶媒を含む、請求項28の経皮組成物。
【請求項30】
さらに一つまたはそれ以上のエストロゲンを含む、請求項28の経皮組成物。
【請求項31】
さらにエストラジオールを含む、請求項28の経皮組成物。
【請求項32】
ゲル、ローション、スプレイ組成物およびパッチ剤よりなる群から選択される形態である、請求項28の経皮組成物。
【請求項33】
スプレイ組成物の形態である、請求項28の経皮組成物。
【請求項34】
活性薬物、共溶媒、界面活性剤、乳化剤、抗酸化剤、保存剤、安定化剤、希釈剤およびそれらのふたつ以上の混合物よりなる群から選択されるひとつまたはそれ以上の成分を含む、請求項28の経皮組成物。
【請求項35】
少なくともひとつの共溶媒と界面活性剤が、使用される濃度において亜鉛キレート剤を溶液または懸濁液として維持するための量で存在する、請求項28の経皮組成物。
【請求項36】
その経皮組成物が、Aβ沈着を軽減しまたは予防するための亜鉛キレート剤の持続的低用量を提供する、請求項28の経皮組成物。
【請求項37】
約0.1%から約10%の範囲の亜鉛キレート剤、約0.1%から約10%の範囲の皮膚透過促進剤および約45%から約99.8%の範囲の揮発性溶媒を含む、請求項28の経皮組成物。
【請求項38】
揮発性溶媒が、エタノール、イソプロパノールおよびその混合物よりなる群から選択される、請求項28の経皮組成物。
【請求項39】
1から5%の亜鉛キレート剤、約2から8%の皮膚透過促進剤、約45%から90%のエタノール、イソプロパノール若しくはその混合物、および5%から45%の水を含む、請求項28の経皮組成物。
【請求項40】
さらに増粘剤を含む、請求項39の経皮組成物。
【請求項41】
さらに0.1%から2%のエストロゲンを含む、請求項28の経皮組成物。
【請求項42】
亜鉛キレート剤の分子量が500ダルトンより小さく、融点が200℃より低く、3以下の水素結合の供与があり、オクタノール-水の分配係数が1から4の間であり、水溶性が10μg/mlより大きい、請求項28の経皮組成物。
【請求項43】
亜鉛キレート剤がフェナンスロリンおよびその誘導体から選択される、請求項28の経皮組成物。
【請求項44】
亜鉛キレート剤が、亜鉛イオンとの化学結合部位を有していて、亜鉛イオンと該化合物との解離の負の結合エネルギーが「ChemDraw」3D、バージョン5.0のような認められた三次元分子モデリングソフトウェアを用いてMM2力場立体エネルギー計算をした場合に20 kcal/moleより大きい、請求項28の経皮組成物。
【請求項45】
亜鉛キレート剤が、3-メルカプト-D-バリン、ビス(ジエチルチオカルバモイル)ジスルフィド、N,N,N',N'-テトラキス(2-ピリジルメチル)-エチレンジアミン、N-(6-メトキシ-8-キノリル)-p-トルエンスルホンアミド、8-ヒドロキシキノリン、8-ヒドロキシキノリン-5-スルホン酸、ジエチルジチオカルバメート、フェナンスロリンおよびその誘導体、ジピコリネート、ジフェニルチオカルバゾン、ジチゾン、シメチジン、ジピコリン酸、クリオキノール、および前述した任意のものの薬学的に許容される塩、誘導体および混合物よりなる群から選択される、請求項28の経皮組成物。
【請求項46】
亜鉛キレート剤が、ジクロフェナック、イブプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、インドメタシン、ケトプロフェン、ナブメトン、アパゾン、スリンダック、メロキシカム、チアプロフェン酸、フルルビプロフェン、トルフェナミン酸、フェニルブタゾン、ベンジダミド、アスピリン、サリチル酸、およびその薬学的に許容される塩およびその誘導体よりなる群から選択される、請求項28の経皮組成物。
【請求項47】
全身循環への放出速度プロフィルが性質上0次に近いものであって、それにより、経口投与の際の平均濃度(Cavg)に対する最大濃度(Cmax)の比が上昇することに関連する潜在的な副作用が軽減される、請求項28の経皮組成物。
【請求項48】
皮膚透過促進剤が脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、グリコールおよびグリコールエステル、1,3-ジオキソランおよび1,3-ジオキサン、少なくとも12個の炭素原子を含む大環状ケトン、オキサゾリジノンおよびオキサゾリジノン誘導体、アルキル-2-(N,N-二置換アミノ)-アルカン酸エステル、(N,N-二置換アミノ)-アルカノールアルカン酸エステル、サンスクリーンエステルおよびその混合物よりなる群から選択される、請求項28の経皮組成物。
【請求項49】
皮膚透過促進剤がオレイン酸、オレイルアルコール、シクロペンタデカノン(CPE-218(商標))、ソルビタンモノオレエート、グリセロールモノオレエート、プロピレングリコールモンラウレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、2-n-ノニル 1,3ジオキソラン(SEPA(商標))、ドデシル 2-(N,N-ジメチルアミノ)-プロピオネート(DDAIP)若しくはその塩誘導体、2-エチルヘキシル 2-エチルヘキサノエート、イソプロピル ミリステート、ジメチル イソソルビド、4-デシロキサゾリジン-2-オン(SR-38(商標), TCPI,Inc.)、3-メチル-4-デシロキサゾリジン-2-オン、オクチル ジメチル-パラアミノベンゾエート、オクチル パラメトキシシンナメート、サリチル酸オクチルおよびその混合物よりなる群から選択される、請求項28の経皮組成物。
【請求項50】
透過促進剤が、安全な皮膚が耐えられるサンスクリーンエステルより選択される、請求項28の経皮組成物。
【請求項51】
安全な皮膚が耐えられるサンスクリーンエステルがオクチル ジメチル-パラアミノベンゾエート、オクチル パラメトキシシンナメートおよびサリチル酸オクチルより選択される、請求項28の経皮組成物。
【請求項52】
エストロゲンがエストラジオール、エストリオール、エストロン、エチニルエストラジオール、メストラノール、スチルベストロール、ジエノエストロール、エピエストリオール、エストロピペート、ゼラノールおよびその混合物よりなる群から選択される、請求項31の経皮組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−511544(P2007−511544A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540082(P2006−540082)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【国際出願番号】PCT/AU2004/001610
【国際公開番号】WO2005/049026
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(503196558)アクルックス・ディ・ディ・エス・プロプライエタリー・リミテッド (12)
【氏名又は名称原語表記】ACRUX DDS PTY LTD
【Fターム(参考)】