説明

アモルファスロチゴチン経皮システム

本発明は、裏打ち層と、粘着性マトリクス層であって、粘着性マトリクス内に実質的にアモルファス状の過飽和濃度のロチゴチンを含む粘着性マトリクス層と、放出ライナーとを含む、経皮送達デバイスについて述べる。本発明は、実質的にアモルファス状の過飽和濃度のロチゴチンを含有する粘着性マトリクスを調製する方法についても述べる。さらに本発明は、準安定性のアモルファス薬物経皮システムをその製造、保管、輸送および取扱いプロセスの間に、安定化させる方法および回復させる方法について述べる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2008年10月6日に出願された米国特許仮出願第61/195,319号の出願日の利益を主張し、その開示は引用によりここで本明細書に組み込まれる。
【0002】
[発明の分野]
本発明は、経皮薬物送達システムに関する。
【背景技術】
【0003】
皮膚を通じた薬物の送達は、多くの利点を備える。第1に、これは快適で、好都合であり、非侵襲的な薬物投与方法である。さらにこのような送達手段は、連続療法および血中薬物濃度に対する高度の制御を提供する。
【0004】
米国特許第5,164,190号は、薬物が飽和濃度の20%〜80%の濃度で担体に溶解された拡散機構による、疎水性薬の経皮投与を開示している。しかしこの特許は、薬物が過飽和され、薬物の過飽和部分がアモルファス薬物含有粘着性マトリクス中に存在する、アモルファス経皮薬物送達システムを提案できていない。
【0005】
米国特許第4,409,206号は、アモルファス活性製薬的成分が中に組み込まれたポリアクリレートフィルム状調製物を開示している。しかしこの特許は、粘着性マトリクス内に過飽和濃度のアモルファス薬物を含有する経皮送達デバイスまたはシステムを開示していない。
【0006】
米国特許公開公報第2005/0064022号は、アモルファステラゾシンを含むデバイスについて記載している。さらに詳細には、この公報は、裏打ち層、感圧性粘着性リザーバ層および/またはマトリクス層、および場合により除去可能な保護層を含む、皮膚へのアモルファステラゾシンの投与のための経皮治療システムを開示している。
【0007】
米国特許公開公報第2005/0175678A1号は、ロチゴチンの経皮投与に好適なポリマーマトリクスおよびその調製方法に関する。ポリマーマトリクスは、ポリマーマトリクスに溶解していないロチゴチンの一部がマトリクス中にアモルファス粒子として分散されるように、過飽和量のロチゴチンベースを含有する。この公報は、マトリクスがロチゴチンの経皮投与システムの構成要素であり得、システムが保護層、裏打ち層、さらなるポリマー層、および/またはロチゴチンの放出を制御する膜などの構成要素を有することができることをさらに開示している。
【0008】
米国特許第6,902,741号は、親水性非架橋ポリマー中の性ホルモンの包含物を含有する粘着性マトリクスを含有する、性ホルモンを含む経皮システムに関する。包含物に含有されている活性物質は好ましくは、活性物質の50重量%を超える程度までアモルファスである。活性物質含有積層物は、活性物質包含物が粘着性マトリクス中に溶解または分散形態で含有されていることを特徴とする。
【0009】
薬物が過飽和されている経皮システムを製造する各種の方法が公知である。米国特許第4,409,206号、同第4,490,322号、同第4,797,284号、同第4,880,633号、同第5,352,457号、同第5,869,089号、同第5,906,830号、同第6,153,216号、同第6,156,335号、および同第6,623,763号は、経皮システムの製造方法について記載している。米国特許第4,490,332号は、溶媒中で医薬品および凍結乾燥させたラテックスポリアクリレートコポリマーの溶液を形成することによる、長期経皮投与用のポリアクリレートフィルムの製造方法を開示している。米国特許第5,906,830号は、未溶解薬物およびリザーバマトリクス材料の混合物を所定の温度に加熱することと、次に冷却することとを含む、過飽和経皮システムの製造方法を開示している。しかしこれらの参考文献は、活性剤をアモルファス状で含有する安定な経皮デバイスを作製する方法を開示できていない。
【0010】
最後に、過飽和溶液を含む薬物送達デバイスが遭遇する1つの問題は、結晶化プロセスによる不十分な貯蔵安定性である。このような結晶化プロセスは、溶解した薬物の量を減少させ、結晶状態で存在する薬物の量を増加させて、このような過飽和デバイスの効力を低下させる。経皮送達デバイスにおける結晶化プロセスを防止して、治療的に所望の量を連続して投与できるようにするために、いずれの送達デバイスにも通常、結晶化抑制剤が添加される。米国特許第6,465,005号、同第5,676,968号、同第6,440,454号、および同第6,537,576号は、このような結晶化抑制剤を利用する方法を記載している。しかし、非粘着性結晶化抑制剤の添加は、その粘着性を低下させることによって、またはシステムを軟化させることによって、粘着剤の粘着特性を変化させる。そのため従来技術は、アモルファス薬物含有粘着性マトリクス送達デバイスの安定化方法を提案できていない。さらに従来技術は、アモルファス薬物含有粘着性マトリクス送達デバイスを回復させる方法を提案できていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明により、裏打ち層(backing layer)、放出ライナー(release liner)、裏打ち層と放出ライナーとの間の粘着性マトリクス層(adhesive matrix layer)を備え、粘着性マトリクス内に実質的にアモルファス状の過飽和濃度のロチゴチンを含む経皮送達デバイスが見出され、裏打ち層は粘着性マトリクス層と同じサイズか、または粘着性マトリクス層より大きい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の別の実施形態により、ロチゴチンは粘着性マトリクスの約0.1重量%〜約50重量%の量で存在する。本発明の別の実施形態により、ロチゴチンの濃度は、粘着性マトリクス中の活性剤の溶解度を超えて約0.1%〜約10000%である。
【0013】
本発明の別の実施形態により、裏打ち層および放出ライナーは、実質的に非結晶化(non-crystallization)誘導性であり、結晶化核または結晶化シーディング粒子を含まない。本発明の別の実施形態により、裏打ち層は、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、金属フィルム、金属化ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリエステルに積層されたエチレンビニルアセテートフィルム、金属化ポリエステルに積層されたエチレンビニルアセテートフィルム、ポリビニリデンフルオライドフィルム、シリコーンコーティング・ポリエステルフィルム、シリコーンコーティング・ポリオレフィンフィルム、およびシリコーンコーティング・エチルビニルアセテートフィルムからなる群より選択される。本発明の別の実施形態により、裏打ち層はポリエステルである。
【0014】
本発明の別の実施形態により、裏打ち層は、粘着性マトリクス層より少なくとも約0.01mm大きい。本発明の別の実施形態により、裏打ち層は粘着性マトリクス層より約0.01mm〜約10mm大きい。本発明の別の実施形態により、裏打ち層は粘着性マトリクス層より約0.05mm〜約5mm大きい。本発明の別の実施形態により、裏打ち層は粘着性マトリクス層より約0.1mm〜約3mm大きい。
【0015】
本発明の別の実施形態により、放出ライナーは粘着性マトリクス層より大きい。保護放出ライナーに加えて、デバイスを保護するさらなる手段として、輸送用パウチ(shipping pouch)が使用され得る。
【0016】
本発明の別の実施形態により、粘着性マトリクス層は、ポリイソブチレン、ポリシロキサン、アクリル系粘着剤、天然および合成ゴム粘着剤、ならびにその混合物からなる群より選択される粘着性材料を含む。本発明の別の実施形態により、粘着性材料は粘着性マトリクス層の約50重量%〜約99重量%の量で存在する。
【0017】
本発明の別の実施形態により、粘着性マトリクス層は1つ以上の粘着性付与剤(tackifier)をさらに含む。本発明の別の実施形態により、粘着性マトリクス層は1つ以上の凝集促進剤(cohesive enhancer)をさらに含む。本発明の別の実施形態により、粘着性マトリクス層は1つ以上の流動促進剤(flux enhancer)をさらに含む。
【0018】
本発明の別の実施形態により、デバイスは薬物放出調節膜層および/またはリザーバ層をさらに含む。本発明の別の実施形態により、薬物放出調節膜層および/またはリザーバ層の少なくとも1つはロチゴチンを含有する。もちろんこれらの層のどちらも、裏打ち層、リザーバ層、または粘着性マトリクス層と同じサイズであり得るか、またはそれより大きいサイズであり得る。
【0019】
本発明の別の実施形態により、デバイスは裏打ち層と連通したオーバーレイフィルムをさらに含む。本発明の別の実施形態により、オーバーレイフィルムは裏打ち層より大きい。本発明の別の実施形態により、オーバーレイフィルムは粘着性マトリクス層より約0.01mm〜約20mm大きい。
【0020】
本発明により、オーバーレイフィルムと、オーバーレイフィルムに隣接(adjacent)する裏打ち層と、粘着性マトリクス内に実質的にアモルファス状の過飽和濃度のロチゴチンを含む、裏打ち層に隣接する粘着性マトリクス層と、粘着性マトリクス層に隣接する放出ライナーとを含む経皮送達デバイスが発見された。
【0021】
本発明の別の実施形態により、オーバーレイフィルムは裏打ち層より大きい。本発明の別の実施形態により、オーバーレイフィルムは粘着性マトリクス層より少なくとも0.01mm大きい。本発明の別の実施形態により、オーバーレイフィルムは粘着性マトリクス層より約0.01mm〜約20mm大きい。本発明の別の実施形態により、オーバーレイフィルムは裏打ち層の少なくとも1つの縁(edge)を被覆する。
【0022】
本発明の別の実施形態により、オーバーレイフィルムは、ポリエステルフィルム、ポリウレタンフィルム、シリコーンコーティングを有するポリエステルフィルム、シリコーンコーティングを有するポリウレタンフィルム、フルオロシリコーンコーティングを有するポリエステルフィルム、フルオロシリコーンコーティングを有するポリウレタンフィルム、ケイ素コーティング・ポリエステルフィルム、ケイ素コーティング・ポリウレタンフィルム、フルオロポリマーコーティングを有するポリエステルフィルム、およびフルオロポリマーコーティングを有するポリウレタンフィルムからなる群より選択される。
【0023】
本発明の別の実施形態により、裏打ち層および放出ライナーは、実質的に非結晶化誘導性であり、結晶化核またはシーディング粒子を含まない。
【0024】
本発明の別の実施形態により、裏打ち層は、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、金属フィルム、金属化ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリエステルに積層されたエチレンビニルアセテートフィルム、金属化ポリエステルに積層化されたエチレンビニルアセテートフィルム、ポリビニリデンフルオライドフィルム、シリコーンコーティング・ポリエステルフィルム、シリコーンコーティング・ポリオレフィンフィルム、およびシリコーンコーティング・エチルビニルアセテートフィルムからなる群より選択される。
【0025】
本発明の別の実施形態により、ロチゴチンは粘着性マトリクスの約0.1重量%〜約50重量%の量で存在する。
【0026】
本発明の別の実施形態により、裏打ち層または放出ライナーの少なくとも一方は、粘着性マトリクス層より大きい。本発明の別の実施形態により、裏打ち層は、粘着性マトリクス層と同じサイズである。本発明の別の実施形態により、裏打ち層は、粘着性マトリクス層より大きい。本発明の別の実施形態により、放出ライナーは粘着性マトリクス層より大きい。
【0027】
本発明の別の実施形態により、粘着性マトリクス層は、ポリイソブチレン、ポリシロキサン、アクリル系粘着剤、天然および合成ゴム粘着剤、ならびにその混合物からなる群より選択される粘着性材料を含む。本発明の別の実施形態により、粘着性材料は粘着性マトリクスの約50重量%〜約99重量%の量で存在する。
【0028】
本発明の別の実施形態により、デバイスは薬物放出調節膜層および/またはリザーバ層をさらに含む。
【0029】
本発明により、ポリエステル裏打ち層と、実質的に非結晶化誘導性の放出ライナーと、粘着性マトリクス内に実質的にアモルファス状の過飽和濃度のロチゴチンを含む、裏打ち層と放出ライナーとの間の粘着性マトリクス層とを含む、経皮送達デバイスが発見された。
【0030】
本発明の別の実施形態により、ポリエステル裏打ち層または放出ライナーの少なくとも一方は、粘着性マトリクス層より大きい。いくつかの実施形態において、両方ともより大きい。
【0031】
本発明の別の実施形態により、デバイスは、ポリエステル裏打ち層に隣接し、粘着性マトリクス層の反対側のオーバーレイフィルムをさらに含む。本発明の別の実施形態により、オーバーレイフィルムはポリエステル裏打ち層より大きい。
【0032】
本発明により、オーバーレイフィルムと、オーバーレイフィルムに隣接する実質的に非結晶化誘導性の裏打ち層と、粘着性マトリクス内に実質的にアモルファス状の過飽和濃度のロチゴチンを含む、裏打ち層に隣接する粘着性マトリクス層と、粘着性マトリクス層に隣接する実質的に非結晶化誘導性の放出ライナーとを含み、オーバーレイフィルム、裏打ち層、または放出ライナーの少なくとも1つは粘着性マトリクス層より大きい、経皮送達デバイスが発見された。
【0033】
本発明の別の実施形態により、裏打ち層は、粘着性マトリクス層より大きい。本発明の別の実施形態により、オーバーレイフィルムは粘着性マトリクス層より大きい。本発明の別の実施形態により、放出ライナーは粘着性マトリクス層より大きい。
【0034】
本発明の別の実施形態により、オーバーレイフィルム、裏打ち層、または放出ライナーの少なくとも1つは、少なくとも1つの寸法(dimension)において粘着性マトリクス層より大きい。
【0035】
本発明の別の実施形態により、裏打ち層は、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、金属フィルム、金属化ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリエステルに積層されたエチレンビニルアセテートフィルム、金属化ポリエステルに積層化されたエチレンビニルアセテートフィルム、ポリビニリデンフルオライドフィルム、シリコーンコーティング・ポリエステルフィルム、シリコーンコーティング・ポリオレフィンフィルム、およびシリコーンコーティング・エチルビニルアセテートフィルムからなる群より選択される。
【0036】
本発明により、実質的に非結晶化誘導性の裏打ち層と、粘着性マトリクス層内に実質的にアモルファス状の過飽和濃度のロチゴチンを含む、裏打ち層に隣接する粘着性マトリクス層とを含み、裏打ち層が粘着性マトリクス層より大きい、経皮送達デバイスが発見された。
【0037】
本発明の別の実施形態により、デバイスは、粘着性マトリクス層に隣接する、実質的に非結晶化誘導性の放出ライナーをさらに含む。
【0038】
本発明の別の実施形態により、デバイスは、使用前に保護包材に入れて保管、輸送または保護される。本発明の別の実施形態により、保護包材は、紙、ポリマーフィルム、金属箔またはその組合せで構成されるパウチである。
【0039】
本発明の別の実施形態により、デバイスは、裏打ち層に隣接し、粘着性マトリクス層の反対側であるオーバーレイフィルムをさらに含む。
【0040】
本発明の別の実施形態により、オーバーレイフィルムは、裏打ち層または粘着性マトリクス層の少なくとも1つより大きい。
【0041】
本発明により、実質的に非結晶化誘導性の裏打ち層と、実質的に非結晶化誘導性の放出ライナーと、粘着性マトリクス層であって、前記粘着性マトリクス内に実質的にアモルファス状の過飽和濃度のロチゴチンを含む、裏打ち層と放出ライナーとの間の粘着性マトリクス層とを含み、裏打ち層または放出ライナーの少なくとも一方が粘着性マトリクス層より大きい、経皮送達デバイスが発見され、経皮送達デバイスはロチゴチンの融点より高い温度で硬化される。
【0042】
本発明の別の実施形態により、硬化はロチゴチンの融点より約20℃高い温度で行われる。本発明の別の実施形態により、硬化は約1秒〜約10分に及ぶ期間で行われる。本発明の別の実施形態により、期間は約3秒〜約5分に及ぶ。本発明の別の実施形態により、デバイスは、裏打ち層に隣接し、粘着性マトリクス層の反対側であるオーバーレイフィルムをさらに含む。
【0043】
本発明の別の実施形態により、オーバーレイフィルムは粘着性マトリクス層より大きい。
【0044】
本発明に従うのは、過飽和され、アモルファス状で存在するロチゴチンを含む粘着性マトリクスを調製する方法であって、a)粘着性マトリクス溶液中でロチゴチンを亜飽和(subsaturated)濃度で提供するために、ロチゴチンおよび粘着性ポリマーを溶媒に溶解させるステップと、b)粘着性マトリクス溶液中の亜飽和ロチゴチンを放出ライナーおよび裏打ち層の一方に流し込む(cast)ステップと、c)ロチゴチンが過飽和濃度である乾燥粘着性マトリクスを形成するために、活性成分の融点温度、融点より低い温度または融点より高い温度にて溶媒を除去するステップと、d)乾燥粘着性マトリクス中の過飽和ロチゴチンが放出ライナーと裏打ち層の間になるように、放出ライナーおよび裏打ち層の他方を乾燥粘着性マトリクス中の過飽和ロチゴチンに積層するステップと、を含む方法である。
【0045】
本発明により、過飽和され、アモルファス状で存在する少なくとも1つの活性剤を含有する粘着性マトリクスを調製する方法であって、a)活性剤を粘着性マトリクスと過飽和濃度で混合するステップと、b)粘着性マトリクス中の過飽和濃度の活性剤を、ホットメルトを形成するために、活性剤を完全に溶解させて、粘着性マトリクス中に均質に分散させる温度に加熱するステップと、c)ホットメルトを所定の温度にて放出ライナーと裏打ち層の一方に流し込むステップと、d)ホットメルトが放出ライナーと裏打ち層の間になるように、放出ライナーと裏打ち層の他方をホットメルトに積層するステップと、を含む方法が発見された。ここで活性剤はロチゴチンである。
【0046】
本発明の別の実施形態によるのは、経皮送達デバイスを硬化することを含む、裏打ち層と、粘着性マトリクス内に実質的にアモルファス状の過飽和濃度のロチゴチンを有する粘着性マトリクス層と、放出ライナーとを有する経皮薬物送達デバイスの有利な内部粘着性マトリクス環境を回復する方法である。本発明の別の実施形態により、熱硬化は、経皮送達デバイスを、ロチゴチンが完全に溶解する温度またはロチゴチンの融点より20℃高い温度に加熱することを含む。本発明の別の実施形態により、硬化はデバイスに乾燥炉の赤外線ビームを受けさせることを含む。本発明の別の実施形態により、硬化は約1秒〜約10分に及ぶ、好ましくは約3秒〜約5分に及ぶ、最も好ましくは約5秒〜約60秒に及ぶ期間で行われる。
【0047】
本発明のまた別の実施形態によるのは、経皮送達デバイスをパウチ内に包装することを含む、裏打ち層と、粘着性マトリクス内に実質的にアモルファス状の過飽和濃度のロチゴチンを含む粘着性マトリクス層と、放出ライナーとを有する経皮送達デバイスを保管および保護する方法である。パウチは放出ライナーと同じサイズか、または放出ライナーより大きいサイズであり得る。パウチは、紙、ポリマーフィルム、金属箔またはその組合せで構成され得る。
【0048】
出願人は思いがけなく、アモルファス薬物含有粘着剤が、亜飽和溶液中に(単独または他の活性剤と組合された)ロチゴチンの結晶形態を含有する経皮送達デバイスと比較して、より高い皮膚流動を提供することを見出した。さらに出願人は、通常、安定化が非常に困難であるアモルファス状ロチゴチンを含む経皮送達デバイスを形成する方法を発見した。
【発明を実施するための形態】
【0049】
一般に、本発明は、裏打ち層と、粘着性マトリクス内に実質的にアモルファス状の過飽和濃度の少なくとも1つの活性剤を含む粘着性マトリクス層と、放出ライナーとを含む、経皮送達デバイス(または「パッチ」)に関する。
【0050】
本明細書で使用する場合、「経皮」は、皮膚または粘膜組織中への、および皮膚または粘膜組織を通じた通過による薬物の送達を意味する。したがって「経皮」および「経粘膜」という用語は、別途特に記載しない限り、互換的に使用される。同様に、「皮膚」、「真皮」、「表皮」、「粘膜」などの用語も、別途特に記載しない限り、互換的に使用されるものとする。
【0051】
裏打ち層は可撓性の基材であり、所期の薬物送達方向から離れた活性薬物の移動に対してバリアを与える。この目的を満足するいずれの周知の裏打ち層も本発明で使用できる。
【0052】
いくつかの実施形態において、裏打ち層は、実質的に非結晶化を促進し、結晶化核を含まない材料で構成される。このような裏打ち層は、結晶形成を防止することによって、アモルファス薬物含有粘着性マトリクス(drug-in-adhesive matrix)の保存を補助する。
【0053】
裏打ち層が構成され得る材料の例は、ポリエチレンテレフタレート、各種のナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエステル/エチレンビニルアセテート、金属化ポリエステルフィルム、ポリビニリデンクロリド、アルミニウム箔などの金属フィルム、ポリビニリデンフルオライド、またはその混合物もしくはコポリマーを含む。
【0054】
裏打ち層の他の材料は、ポリエステルに積層されたエチレンビニルアセテートフィルム、金属化ポリエステルに積層されたエチレンビニルアセテートフィルム、Mylan Technologies,Inc.から入手可能なMediflex(登録商標)1200、Mylan Technologies Inc.によるMediflex(登録商標)1501、Mylan Technologies Inc.から入手可能なMediflex(登録商標)1201、Mylan Technologies,Inc.から入手可能なMediflex(登録商標)1502、Dupontから入手可能なDupont polyester type S、Dow Chemical Companyから入手可能なDow BLF(登録商標)2050、3Mから入手可能な3M(商標)Scotchpak(登録商標)1109、3Mから入手可能な3M(商標)Scotchpak(登録商標)9723、3Mから入手可能な3M(商標)Scotchpak(登録商標)9733、3Mから入手可能な3M(商標)Scotchpak(登録商標)9735および3Mから入手可能な3M(商標)Scotchpak(登録商標)9730を含む。
【0055】
シリコーンコーティングポリエチレンの裏打ち、例えばシリコーン層によってコーティングされたMediflex(登録商標)1000、シリコーン層によってコーティングされた3M(商標)Cotran(商標)9722、およびシリコーン層によってコーティングされた3M(商標)Cotran(商標)9720は、粘着性マトリクス中の薬物のアモルファス形態を保存する。同様にシリコーンコーティングポリエステルの裏打ち、例えばシリコーン層によってコーティングされたMediflex(登録商標)1200も、粘着剤中で薬物のアモルファス形態を保存する。
【0056】
好ましい実施形態において、裏打ち層は、集合的に「ポリエステル」と呼ばれる、ポリエステル、ポリエステル誘導体、ポリエステルベースのコポリマー、ポリエステルブレンドからなる。
【0057】
いくつかの実施形態において、裏打ち層は粘着性マトリクス層と同じサイズであり得る、かつ/または放出ライナーと同じサイズであり得る。
【0058】
他の実施形態において、裏打ち層は粘着層と比較して過大サイズであり得る、すなわち裏打ち層は粘着より大きいことがあり得る。
【0059】
また他の実施形態において、裏打ち層は粘着性マトリクス層より約0.01mm〜少なくとも10mmの範囲で大きいことがあり得る。さらなる実施形態において、裏打ち層は粘着性マトリクス層より約0.05mm〜約5mmの範囲で大きいことがあり得る。またさらなる実施形態において、裏打ち層は粘着性マトリクス層より約0.1mm〜約3mmの範囲で大きいことがあり得る。
【0060】
いずれの特定の理論にも縛られることを望むものではないが、過大サイズの裏打ち層を使用することは、粘着性マトリクスが取扱いおよび/または輸送プロセスの間に変形または弛緩するのを防止するのに役立つ。実際に、過大サイズの裏打ち層を使用することは、特にデバイスを長期間保管するときの、またはデバイスが温度の変動もしくは他の環境的ストレスにさらされるときの結晶の成長を防止するのに役立ち得る。
【0061】
裏打ち層に隣接するのは、粘着性材料に溶解および/または分散した少なくとも1つの活性剤を過飽和濃度で含む粘着性マトリクス層である。
【0062】
「粘着性材料」または「粘着性マトリクス」(互換的に使用される)は、当分野で公知の任意の生体適合性ポリマーまたはポリマー材料であり得る。粘着性マトリクス材料は、シリコーン、天然および合成ゴム、ポリイソブチレン(「PIB」)、ネオプレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリシロキサン、架橋および未架橋アクリル系コポリーを含むアクリル系粘着剤、ビニルアセテート粘着剤、ポリアクリレート、エチレンビニルアセテートコポリマー、スチレンイソプレンコポリマー、ポリウレタン、可塑化重量ポリエーテルブロックアミドコポリマー、可塑化スチレンゴムブロックコポリマー、およびその混合物から選択され得る。
【0063】
粘着性マトリクス材料は、商標Duro−Tak 80−1194、80−1196、80−1197、2287、2516−2852、387−2051、387−2052、387−2054、387−2287、387−2353、387−2510、387−2516、387−2620、387−2825、387−2070、87−2074、87−2097、87−2100、87−2154、87−2194、87−2196、87−2852および87−2979としてNational Starch and Chemical Corporation,Bridgewater,N.J.,USAによって販売されている、アクリル系粘着剤およびポリアクリレート粘着剤からも選択され得る。他の好適なアクリル系粘着剤は、商標Gelva−Multipolymer Solution GMS 737、788、263、1151、1159、1430、1753、2450、2465、2480、2495、2497および2539としてMonsanto,St Louis,Mo.USAによって販売されているものを含む。
【0064】
感圧性シリコーン含有粘着剤はDow Corningから商標BIO−PSA(登録商標)7−4101、7−4201、7−4301、7−4102、7−4202、7−4302、7−4103、7−4203、および7−4303として入手可能であり、粘着性マトリクス材料として利用され得る。
【0065】
いくつかの実施形態において、粘着性マトリクス材料は一般に、粘着性マトリクス層中に、粘着性マトリクス層の約50重量%〜約99重量%に及ぶ量で存在する。他の実施形態において、粘着性マトリクス材料は粘着性マトリクス層中に、粘着性マトリクス層の約60重量%〜約90%に及ぶ量で存在する。
【0066】
活性剤は粘着性マトリクス内に溶解または分散され、実質的にアモルファス状で存在する。本明細書で使用する場合、「活性剤」、「活性製薬成分」、「API」、または「薬物」という用語は(互換的に使用される)、経皮送達デバイスの主活性製薬成分を記載するために使用され、この成分はデバイスの装着者に対して治療的、予防的および/または生理学的効果を有する生物活性化合物または化合物の混合物である。
【0067】
本明細書で使用する場合、「実質的に」という用語は、当業者が達成される利益、または所望の条件もしくは特性の値が満足されていることを理解するような手段で基準を満足することを意味する。いくつかの実施形態において、活性剤の少なくとも40%はアモルファス状で存在する。他の実施形態において、活性剤の少なくとも50%はアモルファス状で存在する。また他の実施形態において、活性剤の少なくとも60%はアモルファス状で存在する。さらなる実施形態において、活性剤の少なくとも75%はアモルファス状で存在する。
【0068】
活性剤は、経皮送達デバイス内でアモルファス状で提供することが可能な任意の活性製薬成分であり得る。活性剤は、APIのそれぞれが実質的にアモルファス状で存在するという条件で、APIの混合物であり得る。
【0069】
活性剤の非制限的な例としては、抗炎症物質、オピオイド受容体拮抗薬、抗コリン作用薬、冠動脈拡張薬、脳血管拡張薬、末梢血管拡張剤、アルファアドレナリン遮断薬、抗感染薬、向精神薬、抗躁薬、興奮薬、抗ヒスタミン薬、うっ血除去薬、消化管鎮静薬、抗狭心症薬、血管拡張薬、抗不整脈薬、降圧薬、血管収縮薬、片頭痛治療薬、抗凝血薬および抗血栓薬、鎮痛薬、解熱薬、催眠薬、鎮静薬、制吐薬、制嘔吐剤、抗痙攣薬、神経筋作用薬、血糖上昇剤および血糖下降剤、甲状腺薬および抗甲状腺薬、利尿薬、鎮痙薬、制吐薬、子宮弛緩薬、抗肥満薬、タンパク質同化薬、赤血球生成薬、抗喘息薬、気管支拡張薬、去痰薬、粘液溶解薬、抗尿酸血症薬、麻酔薬、抗うつ薬、アルコール濫用または依存症治療剤などが挙げられる。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態において、活性剤はロチゴチンである。本明細書で使用する場合、「ロチゴチン」という用語は、ロチゴチン、ロチゴチンの塩、溶媒和物、および水和物、ならびにその関連化合物、誘導体、または類似体を示すのに使用される。好ましい実施形態において、活性剤は遊離塩基の形態のロチゴチンである。いくつかの実施形態において、ロチゴチンは、他のAPIが実質的にアモルファス状であるという条件で、別のAPIと混合される。
【0071】
いくつかの実施形態において、活性剤は粘着性マトリクス層の約0.1重量%〜約50重量%に及ぶ量で存在する。他の実施形態において、活性剤は粘着性マトリクス層の約1重量%〜約20重量%に及ぶ量で存在する。
【0072】
活性剤は粘着性マトリクス内に過飽和濃度で存在する。いくつかの実施形態において、活性剤の濃度は、粘着性マトリクス中の活性剤の溶解度を超えて約0.1%〜10000%に及ぶ。他の実施形態において、活性剤の濃度は、粘着性マトリクス中の活性剤の溶解度を超えて約5%〜5000%に及ぶ。また他の実施形態において、活性剤の濃度は、粘着性マトリクス中の活性剤の溶解度を超えて約10%〜1000%に及ぶ。
【0073】
いくつかの実施形態において、デバイス内にアモルファス状で存在する活性剤の量は一般に、活性剤の総量の約1重量%〜約100重量%に及ぶ、好ましくは活性剤の総量の約20重量%〜約80重量%に及ぶ、および最も好ましくは活性剤の総量の約40重量%〜約60重量%に及ぶ量である。
【0074】
粘着性マトリクス層は、粘着性付与剤、凝集促進剤、透過促進剤、結晶促進抑制剤、可塑剤、抗酸化薬、流動促進剤、浸透促進剤、および/または他の製薬的に許容される添加剤もしくは賦形剤から選択される1つ以上の添加剤を含有し得る。添加剤は一般に組成物中に、粘着性マトリクス層の約1重量%〜約50重量%に及ぶ、および好ましくは粘着性マトリクス層の約2重量%〜約25重量%に及ぶ量で存在する。
【0075】
いくつかの実施形態において、粘着性マトリクス層は1つ以上の粘着性付与剤を含有する。本明細書で使用する場合、「粘着性付与剤」という用語は、そのべたつきまたは粘着性を向上するために粘着剤に添加される、PIB以外の材料であり得る。粘着性付与剤が含まれる場合、粘着性付与剤は一般に粘着性マトリクス層の約1重量%〜約50重量%に及ぶ、好ましくは粘着性マトリクス層の約5重量%〜約40重量%に及ぶ量で存在する。粘着性付与剤は一般に、天然型樹脂、樹脂材料、または真の合成ポリマー材料等の材料で構成される。粘着性付与剤の例としては、ロジン、ポリテルペン、ポリブテン、またはポリシロキサンの水素化または部分水素化グリセロールエステルが挙げられる。
【0076】
いくつかの実施形態において、粘着性マトリクス層は1つ以上の凝集促進剤を含有する。粘着性マトリクスに凝集促進剤を添加すると、粘着性マトリクスの貯蔵弾性率が向上する。凝集促進剤は一般に、粘着性マトリクス層の約0.1重量%〜約25重量%に及ぶ、好ましくは粘着性マトリクス層の約1重量%〜約15重量%に及ぶ量で存在する。凝集促進剤の例は、コロイド状二酸化シリコーン、酸化亜鉛、粘土、ベントナイト、ポリビニルピロリドン(「PVP」)、ポリビニルピロリドン−co−ビニルアセテート、Eudragit(登録商標)コポリマー(Evonik Industries AG,Rellinghauser Strabe 1−11,45128 Essen,Germanyより入手可能)、エチルセルロースまたはクロスポビドンを含む。
【0077】
いくつかの実施形態において、粘着性マトリクス層は、薬物製剤の一部として1つ以上の流動促進剤を含有する。本明細書で使用する場合、「流動促進剤」という用語は、皮膚を通じた血流への薬物の透過性の向上を補助する化合物を説明する。流動促進剤が含まれる場合、流動促進剤は一般に、粘着性マトリクス層の約0.1重量%〜約40重量%に及ぶ、好ましくは粘着性マトリクス層の約1重量%〜約20重量%に及ぶ量で存在する。
【0078】
好適な流動促進剤は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、デシルメチルスルホキシド、ポリエチレングリコールモノラウレート(PEGML)、プロピレングリコール(PG)、プロピレングリコールモノラウレート(PGML)、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、プロピルパルミテート、イソプロピルパルミテート、プロピルミリステート、グリセロールモノエステル、グリセロールモノラウレート(GML)、プロピレングリコールモノエステル、ポリエチレングリコールモノエステル、メチルラウレート(ML)、ラウリルアセテート(LL)、イソプロピルミリステート(IPM)、テルペン、例えばメントン、C−Cジオール、特に1,2−ブタンジオール、レシチン、1置換アザシクロヘプタン−2−オン、1−n−ドデシルシクラザシクロヘプタン−2−オン、C−C18アルコール、トリアセチンなどを含む。米国特許第5,229,130号に記載されているような植物油透過促進剤も使用され得る。このような油はベニバナ油、綿実油およびトウモロコシ油を含む。
【0079】
粘着性マトリクス層に隣接しているのは任意の放出ライナーである。当分野で周知の放出ライナーは本発明で使用できる。放出ライナーが構成され得る材料の例は、ポリエチレンテレフタレート/シリコーン(すなわちポリジメチルシロキサン)(「PET/SI」)、シリコーン(すなわちポリジメチルシロキサン)によってコーティングされたポリエチレンテレフタレート/アルミニウム処理ポリエステル(「PET/MET/SI」)、シリコーンコーティングを有するポリエステルもしくはポリウレタンライナー、フルオロシリコーンコーティングを有するポリエステルもしくはポリウレタンライナー、またはケイ素コーティングを有するポリエステルもしくはポリウレタンライナーを含む。
【0080】
好ましくは、放出ライナーは実質的に非結晶化を促進し、結晶化核を含まない材料で構成される。このような放出ライナーは、アモルファス薬物含有粘着性マトリクスの保存を補助する。具体的な放出ライナーは、Medirelease(登録商標)2249、Medirelease(登録商標)2226、Medirelease(登録商標)2500、3M(商標)Scotchpak(登録商標)1020、3M(商標)Scotchpack(登録商標)1022、3M(商標)Scotchpak(登録商標)9741、3M(商標)Scotchpak(登録商標)9742、3M(商標)Scotchpak(登録商標)9744、CPFilms Inc.Clearsil(登録商標)UV5AおよびCPFilms Inc.,Clearsil(登録商標)UV510、CPFilms Inc.Sil(登録商標)UV5AおよびCPFilms Inc.Sil(登録商標)UV510を含む。
【0081】
いくつかの実施形態において、放出ライナーは粘着性マトリクス層と同じサイズであり得る、かつ/または裏打ち層と同じサイズであり得る。他の実施形態において、放出ライナーは粘着性マトリクス層より大きいことがあり得る、かつ/または裏打ち層より大きいことがあり得る。また他の実施形態において、放出ライナーは、円形裏打ち層または円形粘着性マトリクス層の直径より約0.1〜少なくとも約20mmの範囲で、好ましくは裏打ち層または粘着性マトリクス層より約0.5mm〜約10mmの範囲で、および最も好ましくは裏打ち層または粘着性マトリクス層より約1mm〜約5mmの範囲で大きいことがあり得る。放出ライナーも、長方形または正方形の裏打ち層または粘着性マトリクス層の各辺(side)より約0.1mm〜少なくとも約20mmの範囲で、好ましくは裏打ち層または粘着性マトリクス層より約0.5mm〜約10mmの範囲で、および最も好ましくは裏打ち層または粘着性マトリクス層より約1mm〜約5mmの範囲で大きいことがあり得る。
【0082】
さらに放出ライナーは、本明細書で議論するように、オーバーレイまたはリザーバライナー層と同じサイズであり得るか、またはオーバーレイまたはリザーバライナー層より大きいサイズであり得る。
【0083】
過大サイズの放出ライナーを使用することは、粘着性マトリクスが取扱いおよび/または輸送プロセスの間に変形または弛緩するのを防止するのに役立つ。このような過大サイズの放出ライナーは、特に経皮送達デバイスを長期間保管するときの、温度の変動にさらされるときの、または輸送および/もしくは移動ストレスにさらされるときの結晶の成長を防止するのに役立ち得る。例えば粘着性マトリクスが裏打ち層と、粘着性マトリクスと同じサイズである放出ライナーとの間に積層されて、熱硬化によって結合されるとき、結晶の成長がパッチの縁から開始して中心へ向かって進行するのが観察される。しかしその同じ粘着性マトリクスが裏打ち層と過大サイズの放出ライナーとの間に積層されて、熱硬化によって結合されるとき、パッチを2ヶ月間保管した後でさえ、10サイクルの凍結解凍安定性試験を受けさせた後でさえ、または繰り返し微視的観察を受けさせた後でさえ、結晶の成長は見られない。
【0084】
いくつかの実施形態において、放出ライナーは使用されず、結晶の成長は本明細書で議論するような輸送用保護パウチの使用によって防止される。
【0085】
一実施形態において、粘着性マトリクス層は過大サイズの放出ライナーと過大サイズの裏打ち層との間に積層される。別の実施形態において、粘着性マトリクス層は過大サイズの放出ライナーと、粘着性層と同じ大きさの裏打ち層との間に積層される。また別の実施形態において、粘着性マトリクス層は過大サイズの放出ライナーと、粘着性層と同じ大きさで、上にオーバーレイフィルムを有する裏打ち層との間に積層される。オーバーレイフィルムを利用する場合、オーバーレイは放出ライナーと同じ材料であり得るか、または放出ライナーとは異なる材料であり得る。一般にオーバーレイフィルムは、粘着剤のコールドフローを防止するために、すなわち粘着性材料が流動してパウチの材料に接触するのを防止するために使用される。オーバーレイは粘着性縁をパウチ材料に接触することから保護することができるとも考えられる。
【0086】
オーバーレイは通常、過大サイズの放出ライナーと同じサイズであるが、裏打ち層よりサイズが大きい。オーバーレイ層は、丸形裏打ち層の直径より、または長方形もしくは正方形の裏打ち層の各寸法より約0.01mm〜少なくとも約20mm大きいことがあり得る。さらにオーバーレイは通常、裏打ち層の縁を被覆する。オーバーレイフィルムの例としては、ポリエステルフィルム、ポリウレタンフィルム、フルオロポリマーコーティング・ポリエステルフィルム、フルオロポリマーコーティング・ポリプロピレンフィルム、シリコーンコーティング・ポリエステルフィルム、シリコーンコーティング・ポリウレタンフィルム、シリコーンコーティング・ポリプロピレンフィルム、2軸配向ポリプロピレンフィルム、およびシリコーンコーティング2軸配向ポリプロピレンフィルムが挙げられる。オーバーレイフィルムの具体的な例としては、3M(商標)Scotchpak(商標)1020、1022、9741、9742、および9744(すべて3M,3M Corporate Headquarters,3M Center,St.Paul,MN 55144−1000から入手可能);CPFilms ClearSIL UV5A(CPFilms Inc.,PO Box 5068,Martinsville,VA 24115 USAから入手可能);ならびにMedirelease(登録商標)2249およびMedirelease(登録商標)2226(Mylan Technologies Inc.,110 Lake Street,St.Albans,VT 05478から入手可能)が挙げられる。
【0087】
経皮送達デバイスは、放出ライナーの下にアンダーレイ層をさらに含み得る。一般にアンダーレイ層を使用して、スリットのある放出ライナーの裏側で露出されたいずれの粘着剤も保護して、それにより活性剤を含有する粘着性材料のパウチ材料への接触を防止する。
【0088】
いくつかの実施形態において、経皮送達デバイスはアンダーレイ層とオーバーレイ層の両方を含有する。いくつかの実施形態において、経皮送達デバイスは、オーバーレイ層を付加されずにアンダーレイ層を含有する。
【0089】
アンダーレイ層は一般に、上述のオーバーレイ層と同じ材料で構成される。 アンダーレイ層は放出ライナーと同じサイズであり得るか、または放出ライナーより大きいサイズであり得る。
【0090】
経皮送達デバイスは1つ以上の追加の層を含み得る。このような追加の層の1つはリザーバ層である。好ましくは、リザーバ層は本明細書に記載する他の層と同様に、結晶化シーディング粒子を含まない材料で構成される。当分野で公知のいずれの好適な放出ライナーも使用され得る。例は米国特許第6,746,689号および同第7,244,447号に見出すことが可能であり、それぞれの開示は引用により本明細書に組み込まれる。リザーバ層は1つ以上の活性剤および1つ以上の製薬的に許容される添加剤を含有し得る。
【0091】
一般にリザーバ層は、裏打ちフィルムと薬物放出調節膜層との間に配置される層である。このような例において、リザーバ層は、(膜層と放出ライナーとの間に位置する)粘着性マトリクス層中に存在する活性剤の量より多い、活性剤の量を含有する。活性剤は、粘着性マトリクスにおいてまたはリザーバ層中のゲルにおいてアモルファス状であり得る。皮膚接触層は、活性剤を含み得ないか、または少なくとも1つの活性剤を実質的にアモルファス状で含み得る。
【0092】
経皮送達システムは、APIがデバイスから透過する速度を制御するために使用され得る、当分野で公知の薬物放出調節膜層も含み得る。このような膜層は、下の薬物送達デバイス中に、通常、薬物リザーバ層に直接隣接して、一般に、デバイスを皮膚に固定する粘着性マトリクス層と薬物リザーバ自体との間に存在し得る。
【0093】
速度制御膜層を形成するために有用な代表的な材料は、ポリオレフィン、例えばポリエチレンおよびポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、エチレン−エタクリレートコポリマー、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、エチレン−ビニルメチルアセテートコポリマー、エチレン−ビニルエチルアセテートコポリマー、エチレン−ビニルプロピルアセテートコポリマー、ポリイソプレン、ポリアクリロニトリル、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−ビニルアセテートコポリマーなどを含む。他の速度制御膜は、米国特許第7,244,447号に開示され、その開示は引用により本明細書に組み込まれる。好ましくは、薬物放出制御膜層は非結晶化を促進し、結晶化核を含まない材料で構成される。
【0094】
薬物放出制御膜層は1つ以上の活性剤および1つ以上の製薬的に許容される添加剤を含有し得る。
【0095】
経皮送達デバイス単位投薬形態は、保管および保護のために適切な包材、例えば紙、ポリマーフィルム、および/または金属箔パウチの中に、経皮送達デバイスが経皮治療に利用されるまで配置され得る。包材またはパウチは、その寸法の1つまたはすべてがオーバーレイまたは放出ライナーと同じサイズであり得るか、またはオーバーレイもしくは放出ライナーより大きいサイズであり得る。包材またはパウチは、オーバーレイおよび/または放出ライナーより約0.1mm〜約20mmの範囲で、好ましくはオーバーレイおよび/または放出ライナーより約0.2mm〜10mmの範囲で、最も好ましくはオーバーレイおよび/または放出ライナーより約0.5mm〜約2mmの範囲で大きいことがあり得る。パッチとパウチがぴったり適合していることによって、パウチ内部のパッチの移動が防止され、したがって取扱いおよび/または輸送プロセスの間にパッチの粘着性縁が破損することから防止される。
【0096】
過飽和され、アモルファス状で存在する少なくとも1つの活性剤を含有する粘着性マトリクスを調製する2つの方法が提供される。
【0097】
第1の方法は以下のステップを含む:第1に、活性剤および粘着性ポリマーを溶媒系に溶解させて、粘着性マトリクス溶液中の亜飽和濃度の活性剤を与える(しかし溶媒が除去されると、活性剤は乾燥粘着性マトリクス中で過飽和濃度となる);第2に、粘着性マトリクス溶液中の亜飽和活性剤を放出ライナーまたは裏打ち層の少なくとも1つに流し込む;第3に活性剤の融点温度、融点より低い温度、または融点より高い温度にて粘着性マトリクス溶液から溶媒を除去して、過飽和濃度のアモルファス薬物含有粘着性マトリクスを自然発生的に形成させる;第4に、放出ライナーまたは裏打ちフィルムの他方を粘着性マトリクス中の過飽和活性剤が放出層と裏打ち層の間になるように、粘着性マトリクス中の過飽和活性剤に積層する。ここで活性剤はロチゴチンである。
【0098】
この第1の方法の一実施形態において、放出ライナーおよび/または裏打ち層は、非結晶化促進性であり、結晶化核を含まない。この第1の方法の別の実施形態において、過飽和薬物含有粘着性マトリクスは、溶解しているか、または溶解していないが、粘着性マトリクス中に液体粒子または固体粒子として分散している1つ以上の添加剤または賦形剤を含有する。この方法に必要な溶媒の量は、薬物および粘着剤を可溶化するのに必要な溶媒の量より約1%〜約200%の範囲で多い。溶媒は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、エチルアセテート、エタノール、イソプロパノール、トルエン、キシレンおよびその混合物を含む有機溶媒から選択され得る。粘着性システムでは、粘着性マトリクス溶液中に存在する溶媒の種類が粘着剤に対してよりも薬物に対して低い溶解度を有する場合、第2の溶媒を添加すると薬物および粘着剤の両方が溶解され得る。第1の溶媒の第2の溶媒に対する比は、粘着剤および薬物の両方が完全に溶解して単一の相を形成できる比である。粘着剤および薬物の単一相溶液を形成するのに必要な最適な比および2つの溶媒それぞれの量は、薬物ごとに異なり、利用する薬物の量により異なる。
【0099】
過飽和され、アモルファス状で存在する少なくとも1つの活性剤を含有する粘着性マトリクスを調製する第2の方法は、以下のステップを含む:活性剤を粘着性マトリクスと過飽和濃度にて混合するステップと;粘着性マトリクスを、活性剤を粘着性溶融物中に完全に溶解させる、または溶融させて、粘着性マトリクス中に微細に分散させる温度に加熱して、ホットメルトを作製するステップと;ホットメルトを放出ライナーまたは裏打ち層の少なくとも一方に流し込むステップと;ホットメルトが放出ライナーと裏打ち層の間になるように、放出ライナーまたは裏打ち層の他方をホットメルトに積層するステップ。ホットメルトを周囲温度まで冷却すると、アモルファス薬物含有粘着性マトリクスが自然発生的に形成され、固体アモルファス薬物は粘着性マトリクス中に微細に分散される。ここで活性剤はロチゴチンである。
【0100】
この方法の第1の実施形態において、ホットメルトは、粘着性マトリクスに溶解しているか、または溶解せずに分散している1つ以上の添加剤または賦形剤を含有する。
【0101】
この方法の別の実施形態において、放出ライナーおよび裏打ち層は非結晶化促進性であり、結晶化核を含まない。
【0102】
薬物の結晶性形態は、熱力学的に最も安定な形態である。結果として、薬物分子は、可能な最も少ない量のエネルギーによって結晶を形成するような構造的に秩序化された方法でそれ自体自己組織化する。熱力学的に有利な条件下で、アモルファス状薬物またはより有利でない結晶形態は最終的に、最も安定な結晶化形態に変換される。結晶化または変換が発生し得る1つの方法は、結晶成長形成の補助を行う、粘着性マトリクス中に存在する、既存の薬物または他の固体粒子(核)の存在によるものである。このプロセスは結晶シーディングと呼ばれる。したがって結晶成長形成を回避するために、非結晶化促進性で結晶化核を含まない裏打ち層および/または放出ライナーが利用される。このような非結晶化促進性の裏打ち層および/または非結晶化放出ライナーは、アモルファス薬物含有粘着性マトリクス中で結晶形成および成長を防止することが示されている。さらにパッチでの過大サイズの裏打ち層または過大サイズの放出ライナーの使用により、アモルファス形態の結晶化がさらに回避され得る。実際に、このような過大サイズの放出ライナーまたは過大サイズの裏打ち層を使用することは、取扱いプロセスおよび輸送プロセスの間に、またはデバイスが長期間保管されるときに、もしくは温度の変動にさらされるときに、粘着性マトリクスの縁が変形または弛緩するを防止するのに役立つ。
【0103】
固体薬物は1つ以上の結晶性形態およびアモルファス形態で存在することができる。構造的に秩序化された分子が結晶を形成する。可能なすべての結晶性形態のうち、1つの結晶性形態が結晶性形態の中で熱力学的に最も安定している。しかし薬物のアモルファス形態は準安定性であり、この形態が熱力学的に不安定であることを意味する。結晶性形態とは異なり、アモルファス薬物分子はランダムな順序で構造的に組織化されている。熱力学的に有利な条件下で、より安定でない結晶性形態およびアモルファス形態は、最終的に最も安定な結晶性形態に変換する。結晶化が開始する前に薬物が準安定性のアモルファス形態を維持する期間は正確には、内部環境および外部環境に依存している。有利な外部環境条件は、低温でアモルファス薬物製品を保管すること、例えばそのTより50℃以下であり、アモルファス薬物を含有するマトリクスを妨害しない温度にて薬物のアモルファス形態を保管することを含む。アモルファス形態の寿命を延長できる有利な内部環境は、マトリクス分子と薬物分子との間に疎水性会合および/または水素結合を形成することによって、アモルファス薬物分子の移動を低減することができるこのような粘着性マトリクス型を含む。
【0104】
結晶化が開始した場合には、アモルファス形態の薬物にとっては、結晶化核を溶融または再溶解させて、内部粘着性マトリクスを回復することが所望である。したがってアモルファス形態の内部粘着性マトリクス環境を回復する方法は、ダイ裁断(die-cut)パッチを特定の温度にて十分な期間にわたって熱硬化することを含む。好ましくは熱硬化は、活性剤の融点温度から活性剤の融点を約20℃超える温度までで行う。好ましくは熱硬化は、ダイ裁断後および包装後、またはダイ裁断後および包装前のどちらかに行う。好ましくは、熱硬化はいずれかの結晶が形成される前、または実質的な量の結晶が形成される前に行う。熱硬化源としてはオーブン電気加熱および赤外線ビームが挙げられる。
【0105】
本明細書において特定の実施形態を参照して本発明について説明してきたが、これらの実施形態は単に本発明の原理および用途を例証するものであることが理解されるべきである。したがって例証的な実施形態に対して多くの修正が行われ得ることと、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の精神および範囲を逸脱することなく、他の機構が考案され得ることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)裏打ち層と、
b)放出ライナーと、
c)前記裏打ち層と前記放出ライナーとの間の粘着性マトリクス層であって、該粘着性マトリクス内に実質的にアモルファス状の過飽和濃度のロチゴチンを含む粘着性マトリクス層と
を含み、前記放出ライナーまたは裏打ち層の一方が、前記粘着性マトリクス層より大きい、経皮送達デバイス。
【請求項2】
前記ロチゴチンが、前記粘着性マトリクスの約0.1重量%〜約50重量%の量で存在する請求項1に記載の経皮送達デバイス。
【請求項3】
前記ロチゴチンの濃度が、前記粘着性マトリクス中の前記活性成分の溶解度を超えて約0.1%〜約10000%である請求項1に記載の経皮送達デバイス。
【請求項4】
前記裏打ち層および前記放出ライナーが、実質的に非結晶化誘導性であり、結晶化核または結晶化シーディング粒子を含まない請求項1に記載の経皮送達デバイス。
【請求項5】
前記裏打ち層が、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、金属フィルム、金属化ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリエステルに積層されたエチレンビニルアセテートフィルム、金属化ポリエステルに積層されたエチレンビニルアセテートフィルム、ポリビニリデンフルオライドフィルム、シリコーンコーティング・ポリエステル・フィルム、シリコーンコーティング・ポリオレフィン・フィルム、およびシリコーンコーティング・エチルビニルアセテート・フィルムからなる群より選択される請求項4に記載の経皮送達デバイス。
【請求項6】
前記裏打ち層が、ポリエステルである請求項5に記載の経皮送達デバイス。
【請求項7】
前記裏打ち層が、前記粘着性マトリクス層より少なくとも約0.01mm大きい請求項1に記載の経皮送達デバイス。
【請求項8】
前記裏打ち層が、前記粘着性マトリクス層より約0.01mm〜約10mm大きい請求項7に記載の経皮送達デバイス。
【請求項9】
前記裏打ち層が、前記粘着性マトリクス層より約0.05mm〜約5mm大きい請求項8に記載の経皮送達デバイス。
【請求項10】
前記裏打ち層が、前記粘着性マトリクス層より約0.1mm〜約3mm大きい請求項9に記載の経皮送達デバイス。
【請求項11】
前記粘着性マトリクス層が、ポリイソブチレン、ポリシロキサン、アクリル系粘着剤、天然および合成ゴム粘着剤、ならびにその混合物からなる群より選択される粘着性材料を含む請求項1に記載の経皮送達デバイス。
【請求項12】
前記粘着性材料が、前記粘着性マトリクス層の約50重量%〜約99重量%の量で存在する請求項11に記載の経皮送達デバイス。
【請求項13】
前記粘着性マトリクス層が、1つ以上の粘着性付与剤をさらに含む請求項1に記載の経皮送達デバイス。
【請求項14】
前記粘着性マトリクス層が、1つ以上の凝集促進剤をさらに含む請求項1に記載の経皮送達デバイス。
【請求項15】
前記粘着性マトリクス層が、1つ以上の流動促進剤をさらに含む請求項1に記載の経皮送達デバイス。
【請求項16】
薬物放出調節膜層およびリザーバ層をさらに含む請求項1に記載の経皮送達デバイス。
【請求項17】
前記薬物放出調節膜層および前記リザーバ層の少なくとも一方が、前記ロチゴチンを含有する請求項16に記載の経皮送達デバイス。
【請求項18】
前記裏打ち層と連通したオーバーレイフィルムをさらに含む請求項1に記載の経皮送達デバイス。
【請求項19】
前記オーバーレイフィルムが、前記裏打ち層より大きい請求項18に記載の経皮送達デバイス。
【請求項20】
前記オーバーレイフィルムが、前記裏打ち層より約0.01mm〜約20mm大きい請求項19に記載の経皮送達デバイス。
【請求項21】
前記放出ライナーが、前記粘着性マトリクス層より大きい請求項11に記載の経皮送達デバイス。
【請求項22】
a)オーバーレイフィルムと、
b)前記オーバーレイフィルムに隣接した裏打ち層と、
c)前記裏打ち層に隣接した粘着性マトリクス層であって、該粘着性マトリクス内に実質的にアモルファス状の過飽和濃度のロチゴチンを含む粘着性マトリクス層と、
d)前記粘着性マトリクス層に隣接した放出ライナーと
を含む経皮送達デバイス。
【請求項23】
前記オーバーレイフィルムが、前記裏打ち層より大きい請求項22に記載の経皮送達デバイス。
【請求項24】
前記オーバーレイフィルムが、前記裏打ち層より少なくとも0.01mm大きい請求項23に記載の経皮送達デバイス。
【請求項25】
前記オーバーレイフィルムが、前記裏打ち層より約0.01mm〜約20mm大きい請求項24に記載の経皮送達デバイス。
【請求項26】
前記オーバーレイフィルムが、前記裏打ち層の少なくとも1つの縁を被覆する請求項22に記載の経皮送達デバイス。
【請求項27】
前記オーバーレイフィルムが、ポリエステルフィルム、ポリウレタンフィルム、シリコーンコーティングを有するポリエステルフィルム、シリコーンコーティングを有するポリウレタンフィルム、フルオロシリコーンコーティングを有するポリエステルフィルム、フルオロシリコーンコーティングを有するポリウレタンフィルム、ケイ素コーティング・ポリエステルフィルム、ケイ素コーティング・ポリウレタンフィルム、フルオロポリマーコーティングを有するポリエステルフィルム、およびフルオロポリマーコーティングを有するポリウレタンフィルムからなる群より選択される請求項22に記載の経皮送達デバイス。
【請求項28】
前記裏打ち層および前記放出ライナーが、実質的に非結晶化誘導性であり、結晶化核または結晶化シーディング粒子を含まない請求項22に記載の経皮送達デバイス。
【請求項29】
前記裏打ち層が、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、金属フィルム、金属化ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリエステルに積層されたエチレンビニルアセテートフィルム、金属化ポリエステルに積層されたエチレンビニルアセテートフィルム、ポリビニリデンフルオライドフィルム、シリコーンコーティング・ポリエステルフィルム、シリコーンコーティング・ポリオレフィンフィルム、およびシリコーンコーティング・エチルビニルアセテートフィルムからなる群より選択される請求項28に記載の経皮送達デバイス。
【請求項30】
前記ロチゴチンが、前記粘着性マトリクスの約0.1重量%〜約50重量%の量で存在する請求項22に記載の経皮送達デバイス。
【請求項31】
前記裏打ち層または放出ライナーの少なくとも一方が、前記粘着性マトリクス層より大きい請求項28に記載の経皮送達デバイス。
【請求項32】
前記裏打ち層が、前記粘着性マトリクス層と同じサイズである請求項31に記載の経皮送達デバイス。
【請求項33】
前記裏打ち層が、前記粘着性マトリクス層より大きい請求項31に記載の経皮送達デバイス。
【請求項34】
前記放出ライナーが、前記粘着性マトリクス層より大きい請求項31に記載の経皮送達デバイス。
【請求項35】
前記粘着性マトリクス層が、ポリイソブチレン、ポリシロキサン、アクリル系粘着剤、天然および合成ゴム粘着剤、ならびにその混合物からなる群より選択される粘着性材料を含む請求項22に記載の経皮送達デバイス。
【請求項36】
前記粘着性材料が、前記粘着性マトリクス層の約50重量%〜約99重量%の量で存在する請求項35に記載の経皮送達デバイス。
【請求項37】
薬物放出調節膜層およびリザーバ層をさらに含む請求項22に記載の経皮送達デバイス。
【請求項38】
a)ポリエステル裏打ち層と、
b)実質的に非結晶化誘導性の放出ライナーと、
c)前記裏打ち層と前記放出ライナーとの間の粘着性マトリクス層であって、該粘着性マトリクス内に実質的にアモルファス状の過飽和濃度のロチゴチンを含む粘着性マトリクス層と
を含む経皮送達デバイス。
【請求項39】
前記ポリエステル裏打ち層または前記放出ライナーの少なくとも一方が、前記粘着性マトリクス層より大きい請求項38に記載の経皮送達デバイス。
【請求項40】
前記ポリエステル裏打ち層に隣接し、前記粘着性マトリクス層の反対側であるオーバーレイフィルムをさらに含む請求項38に記載の経皮送達デバイス。
【請求項41】
前記オーバーレイフィルムが、前記ポリエステル裏打ち層より大きい請求項40に記載の経皮送達デバイス。
【請求項42】
a)オーバーレイフィルムと、
b)前記オーバーレイフィルムに隣接した実質的に非結晶化誘導性の裏打ち層と、
c)前記裏打ち層に隣接した粘着性マトリクス層であって、該粘着性マトリクス内に実質的にアモルファス状の過飽和濃度のロチゴチンを含む粘着性マトリクス層と、
d)前記粘着性マトリクス層に隣接する実質的に非結晶化誘導性の放出ライナーと
を含み、前記オーバーレイフィルム、裏打ち層または放出ライナーの少なくとも1つが、少なくとも1つの寸法において前記粘着性マトリクス層より大きい経皮送達デバイス。
【請求項43】
前記裏打ち層が、前記粘着性マトリクス層より大きい請求項42に記載の経皮送達デバイス。
【請求項44】
前記オーバーレイフィルムが、前記粘着性マトリクス層より大きい請求項42に記載の経皮送達デバイス。
【請求項45】
前記放出ライナーが、前記粘着性マトリクス層より大きい請求項42に記載の経皮送達デバイス。
【請求項46】
前記オーバーレイフィルムが、ポリエステルフィルム、ポリウレタンフィルム、フルオロポリマーコーティング・ポリエステルフィルム、フルオロポリマーコーティング・ポリプロピレンフィルム、シリコーンコーティング・ポリエステルフィルム、シリコーンコーティング・ポリウレタンフィルム、シリコーンコーティング・ポリプロピレンフィルム、2軸配向ポリプロピレンフィルム、およびシリコーンコーティング2軸配向ポリプロピレンフィルムから作製される請求項42に記載の経皮送達デバイス。
【請求項47】
前記裏打ち層が、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、金属フィルム、金属化ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリエステルに積層されたエチレンビニルアセテートフィルム、金属化ポリエステルに積層されたエチレンビニルアセテートフィルム、ポリビニリデンフルオライドフィルム、シリコーンコーティング・ポリエステルフィルム、シリコーンコーティング・ポリオレフィンフィルム、およびシリコーンコーティング・エチルビニルアセテートフィルムからなる群より選択される請求項42に記載の経皮送達デバイス。
【請求項48】
a)実質的に非結晶化誘導性の裏打ち層と、
b)前記裏打ち層に隣接した粘着性マトリクス層であって、該粘着性マトリクス内に実質的にアモルファス状の過飽和濃度のロチゴチンを含む粘着性マトリクス層と
を含み、前記裏打ち層が、前記粘着性マトリクス層より大きい経皮送達デバイス。
【請求項49】
前記粘着性マトリクス層に隣接した実質的に非結晶化誘導性の放出ライナーをさらに含む請求項48に記載の経皮送達デバイス。
【請求項50】
前記デバイスが、使用前に保護包材に入れて保管、輸送または保護される請求項48に記載の経皮送達デバイス。
【請求項51】
前記保護包材が、紙、ポリマーフィルム、金属箔またはその組合せから構成されるパウチである請求項50に記載の経皮送達デバイス。
【請求項52】
前記裏打ち層に隣接し、前記粘着性マトリクス層の反対側にオーバーレイフィルムをさらに含む請求項48に記載の経皮送達デバイス。
【請求項53】
前記オーバーレイフィルムが、前記裏打ち層または前記粘着性マトリクス層の少なくとも一方より大きい請求項52に記載の経皮送達デバイス。
【請求項54】
経皮送達デバイスであって、
a)実質的に非結晶化誘導性の裏打ち層と、
b)実質的に非結晶化誘導性の放出ライナーと、
c)前記裏打ち層と前記放出ライナーとの間の粘着性マトリクス層であって、実質的にアモルファス状の過飽和濃度のロチゴチンを含む粘着性マトリクス層と
を含み、前記裏打ち層または放出ライナーの少なくとも一方が、前記粘着性マトリクス層より大きく、前記経皮送達デバイスが、前記ロチゴチンの融点より高い温度で硬化される経皮送達デバイス。
【請求項55】
前記硬化が、前記ロチゴチンの融点より約20℃高い温度で行われる請求項54に記載の経皮送達デバイス。
【請求項56】
前記硬化が、約1秒〜約10分に及ぶ期間で行われる請求項54に記載の経皮送達デバイス。
【請求項57】
前記期間が、約3秒〜約5分に及ぶ請求項56に記載の経皮送達デバイス。
【請求項58】
前記裏打ち層に隣接し、前記粘着性マトリクス層の反対側であるオーバーレイフィルムをさらに含む請求項54に記載の経皮送達デバイス。
【請求項59】
前記オーバーレイフィルムが、前記粘着性マトリクス層より大きい請求項58に記載の経皮送達デバイス。
【請求項60】
a)裏打ち層と、
b)放出ライナーと、
c)前記裏打ち層と前記放出ライナーとの間の粘着性マトリクス層であって、該粘着性マトリクス内に実質的にアモルファス状の過飽和濃度のロチゴチンを含む粘着性マトリクス層と
を含み、前記裏打ち層が、前記粘着性マトリクス層と同じサイズである経皮送達デバイス。
【請求項61】
放出ライナーの下にアンダーレイ層をさらに含む請求項1、22、38、42、54、および60のいずれかに記載の経皮送達デバイス。

【公表番号】特表2012−504609(P2012−504609A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530059(P2011−530059)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際出願番号】PCT/US2009/005445
【国際公開番号】WO2010/042152
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(506053216)マイラン・テクノロジーズ,インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】