説明

アリールビニルアザシクロアルカン化合物およびその調製方法ならびにその使用

【課題】CNSnAChRに対して有益な効果を有するが、末梢nAChRに対しては同伴作用を伴わないニコチン薬理を示す様々な疾患の予防および/または治療に有効な化合物及び組成物の提供。
【解決手段】式(I)


[式中、R1は、水素、アルキル基等を示し、Xは、炭素原子等を示し、R3は水素又はメチル基を示し、m、Nはそれぞれ1,2,3等の整数を示す]で表されるビニルアザシクロアルカン化合物、またはその異性体、混合物、光学異性体、ジアステレオマー、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニコチンアセチルコリン受容体(nAChR)に、例えば、特定のニコチン受容体サブタイプのモジュレーターとして影響を及ぼすことのできる化合 物を含む医薬品組成物に関する。本発明は、また、中枢神経系および自律神経系の機能障害に関わる広範囲の状態および疾患を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ニコチンは多くの薬理作用を持つことが示されている。例えば、Pullanら,N.Engl.J.Med.330:811−815(1994)を参照。こ れらのある種の作用は、神経伝達物質の放出に基づく作用に関連している。ニコチンの投与によるアセチルコリン、ドーパミン、ノルエピネフリン、セロトニン およびグルタメートの放出が報告されている(Rowellら,J.Neurochem.43:1593(1984);Rapier ら,J.Neurochem.50:1123(1988);Sandorら,Brain Res.567:313(1991)およびVizi,Br.J.Pharmacol.47:765(1973);Hall ら,Biochem.Pharmacol.21:1829(1972);Hery ら,Arch.Int.Pharmacodyn.Ther.296:91(1977);およびTothら,Neurochem Res.17:265(1992))。確証的な報告および更なる最近の研究は、グルタメート、一酸化窒素、GABA、タキキニン(takykinin)、 サイトカインおよびペプチドの中枢神経系(CNS)における調節を含むものである(Brioni ら,Adv.Pharmacol.37:153(1997)において再検討されている)。更に、ニコチンは、伝えられるところでは、ある種の疾患を治療す るために使用されるある種の医薬品組成物の薬理学的作用を可能とする。例えば、Sanbergら,Pharmacol.Biochem.& Behavior 46:303(1993);Harsingら,J.Neurochem.59:48(1993)およびHughes,Proceedings from Instl.Symp.Nic.S40(1994)を参照。更に、ニコチンの神経保護効果が報告されている。例えば、Sjak−shieら,Brain Res.624:295(1993)を参照。様々なその他の有益な薬理作用も示されている。例えば、Decinaら,Biol.Psychiatry 28:502(1990);Wagnerら,Pharmacopsychiatry 21:301(1988);Pomerleauら,Addictive Behaviors 9:265(1984);Onaiviら,Life Sci.54(3):193(1994);Tripathiら,J.Pharmacol.Exp.Ther.221:91(1982)および Hamon,Trends in Pharmacol.Res.15:36(1994)を参照。
【0003】
nAChRを目標とする様々な化合物が、広範囲の状態および疾患を治療するのに有用であるとして報告されている。例えば、Williamsら,DN&P 7(4):205(1994);Arnericら,CNS Drug Rev.1(1):1(1995);Arnericら,Exp.Opin.Invest.Drugs 5(1):79(1996);Bencherifら,J.Pharmacol.Exp.Ther.279:1413(1996);Lippiello ら,J.Pharmacol.Exp.Ther.279:1422(1996);Damaj ら,J.Pharmacol.Exp.Ther.291:390(1999);Chiariら,Anesthesiology 91:1447(1999);Lavand’homme and Eisenbach,Anesthesiology 91:1455(1999);Holladayら,J.Med.Chem.40(28):4169(1997);Bannonら,Science 279:77(1998);PCT WO94/08992、PCT WO96/31475、PCT WO96/40682および米国特許第5583140号(Bencherif等)、第5597919号(Dull等)、第5604231号(Smith 等)および第5852041号(Cosford等)を参照。
【0004】
ニコチン化合物は、広範囲のCNS疾患の治療に特に有用なものとして報告されている。確かに、広範囲のニコチン化合物は、治療持性を有することが報告され ている。例えば、Bencherif and Schmitt,Current Drug Targets:CNS and Neurological Disorders 1(4):349−357(2002),Levin and Rezvani,Current Drug Targets:CNS and Neurological Disorders 1(4):423−431(2002),O’Neillら,Current Drug Targets:CNS and Neurological Disorders 1(4):399−411(2002)、米国特許第51871166号(Kikuchi等)、第5672601号(Cignarella)、PCT WO99/21834およびPCT WO97/40049、英国特許出願GB2295387およびヨーロッパ特許出願297858を参照。
【0005】
CNS疾患は、神経疾患のタイプである。CNS疾患は、薬剤誘発性であり得、遺伝的素質、感染または外傷、または、未だ知られていない病因によるものであり得る。CNS疾患は、神経精神病学的疾患、神経疾患および精神疾患を含み、神経変性疾患、行動障害、認知疾患および認知性感情障害を含む。臨床症状が、CNSの機能障害(即ち、神経伝達物質の放出の不適切な水準、神経伝達物質受容体の不適切な性質および/または神経伝達物質および神経伝達物質受容体との間の不適切な相互作用)の結果であるいくつかのCNS疾患が存在する。いくつかのCNS疾患は、アセチルコリン、ドーパミン、ノルエピネフリンおよび/またはセロトニンの欠乏の結果である。
【0006】
比較的よく見られるCNS疾患としては、初老期痴呆症(早期アルツハイマー病)、老人性痴呆症(アルツハイマータイプの痴呆症)、微小梗塞痴呆症、エイズ関連痴呆症、血管性痴呆症、クロイツフェルトヤコブ病、ピック病、パーキンソン病を含むパーキンソン症候群、レービー体痴呆症、進行性核上麻痺、ハンチントン舞踏病、遅発性ジスキネジー、運動過剰症、癲癇、躁病、注意欠陥障害、不安症、失読症、統合失調症、鬱病、強迫神経症およびトウーレット症候群 が挙げられる。
【0007】
中枢および自律神経系の両方にnAChRのサブタイプが存在するが、サブタイプの分布は不均質である。例えば、脊椎動物の脳において支配的であるサブタイプは、α4β2、α7およびα3β2であるのに対して、自律神経節において支配的なものはα3β4であり、神経筋接合部のそれらは、α1β1δγおよび α1β1δεである(例えば、Dwoskinら,Exp.Opin.Ther.Patents 10:1561(2000)およびSchmitt and Bencherif,Annual Reports in Med.Chem.35:41(2000)を参照)。いくつかのニコチン化合物の制限は、それらが、末梢組織において、nAChRとそれらの相互作用のために、様々な望ましくない薬理作用を顕在化する点にある(例えば、筋肉および神経節nAChRサブタイプを刺激することによって)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
化合物が、CNSnAChRに対して有益な効果(例えば、CNSの機能化によって)を有するが、末梢nAChRに対しては顕著な同伴作用を伴わないニコチ ン薬理を示す(CNSnAChRに特異的な化合物)、様々な状態および疾患(例えば、CNS疾患)の予防および/または治療(これらの疾患の症状を軽減することを含む)のための化合物、組成物および方法を持つことが望ましい。更に、望ましくない副作用(例えば、心血管疾患および骨格筋部位における明らかな 活性)を誘発する可能性を有するこれらの受容体サブタイプに顕著に影響を及ぼすことなく、CNS機能に影響を及ぼす化合物、組成物および方法を用意することが極めて望ましい。本発明は、そのような化合物、組成物および方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明は、式(I):
【0010】
【化1】

[式中、波線は、二重結合のまわりの可変構造(EまたはZ)を表し、
Xは、窒素またはC−Rであり、
は、XがC−Rであるときは、水素、C1〜6−アルキル、ハロゲン、−OR、−NRまたは−SRであり、Xが窒素であるときは、水素、C1〜6−アルキル、−ORまたは−NRであり、
は、水素、C1〜6−アルキル、アリール、アリール−C1〜6−アルキル、C1〜6−アルキル−アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1〜6−アルキル、複素環式、複素環式アルキル、シクロアルキル、ポリシクロアルキル、−OR、−NR、−SR、−SORまたは−SOであり、それぞれは、ハロゲン、−CN、−NO、−NH、−OH、−OR、−COOH、−C(O)OR、−O−C(O)R、−NR、−NHC(O)R、−C(O)NR、−SR、−S(O)R、−SO、−NHSO、−SONR、−C(S)NR、−NHC(S)R、−O−SO、アリール、ヘテロアリール、ホルミル、トリフルオロメチル、トリフルオロメチルスルファニル、トリフルオロメトキシおよびC1〜6−アルキルから選ばれる1個または複数の置換基で場合によって置換されていることができ、
は、水素、C1〜6−アルキル、アリール−C1〜6−アルキル、ヘテロアリール−C1〜6−アルキル、複素環式、複素環式アルキル、シクロアルキルまたはポリシクロアルキルであり、
mは、1〜4であり、
nは、1〜3であり、
およびRは、独立的に、水素またはC1〜6−アルキルであり、
およびRは、独立的に、水素、C1〜6−アルキル、アリール、アリール−C1〜6−アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1〜6−アルキル、複素環式、複素環式アルキル、シクロアルキルまたはポリシクロアルキルであり、それぞれは、ハロゲン、C1〜6−アルキル、C1〜6−アルコキシ、−CN、−NO、−NH、−OH、−COOH、−COO−C1〜6−アルキル、−CONH、ホルミル、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選ばれる1個または複数の置換基で場合によって置換されていることができ、
1〜6−アルキル、複素環、ヘテロアリールおよびアリール基は、F、Cl、Br、I、R、−NR、−CF、−CN、−NO、−C、−N、−SOCH、−OR、−SR、−C(=O)NR、−NRC(=O)R、−C(=O)R、−C(=O)OR、−(CHOR、−OC(=O)R、−OC(=O)NRおよび−NRC(=O)ORから成る群から選ばれる1〜6個の置換基で置換されていることができ、
およびRは、個々に、水素または低級アルキル(例えば、C1〜6−アルキル、好ましくはメチル、エチル、イソプロピルまたはイソブチル)、芳香族基含有種または置換芳香族基含有種(1個または複数の前記置換基で置換されている)である]のビニルアザシクロアルカン化合物に関する。RおよびRまたはRおよびRは、C1〜10− シクロアルキル官能性(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびアダマンチル)を形成することがで きる。代表的な芳香族基含有種としては、ピリジル、キノリニル、ピリミジニル、フェニルおよびベンジル(これらのいずれもが、上記で定義されたような少なくとも1種の置換基、特に、低級アルキル、ハロおよび/またはアミノ置換基を含む置換基で適当に置換されていることができる)が挙げられる。その他の代表的な芳香族環系は、Gibsonら,J.Med.Chem.39:4065(1996)において示されている。
【0011】
これらの化合物の異性体、ラセミ混合物を含む混合物、光学異性体、ジアステレオマーおよび互変異性体ならびにこれらの薬学的に許容される塩も含まれる。
【0012】
本発明は、更に詳しくは、式(I)の誘導体[二重結合における構造はEであり、XはNまたはC−Rであり、Rは水素であり、Rは−ORであり、Rは水素であり、nは1であり、mは2であり、Rはアルキル、アリールまたは複素環である]、およびその異性体、ラセミ混合物を含むその混合物、その光学異性体、ジアステレオマーおよび互変異性体ならびにその薬学的に許容される塩、およびnAChRのリガンドとしてのそれらの使用に関する。
【0013】
式(I)の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩は、nAChR、特に中枢神経系または胃腸系内のnAChRの機能障害に関連した疾患の予防または病気の治療をするための医薬品組成物および/または薬剤を調製するために使用することができる。「治療する」と言う用語は、検討中の状態の症状および/また は経過について両方の有益な効果をカバーすることができる。
【0014】
治療することのできる疾患のタイプの例としては、アルツハイマー疾患およびその他の痴呆症等の中枢神経系疾患を含む神経変性疾患、パーキンソン病等の運動疾患、薬物中毒、行動障害および胃腸系内の炎症性疾患が挙げられる。化合物は、また、例えば、急性、慢性または反復性痛みにおける鎮痛剤としても役に立つ ことができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書において記載される化合物、組成物および方法は、以下の好ましい実施形態の参照によってより一層理解される。以下の定義は、本発明の範囲を画定するのに有用である。
【0016】
本明細書において使用される「芳香族」と言う用語は、3〜10環、好ましくは5および6員の芳香族およびヘテロ芳香族環を意味する。
【0017】
本明細書において使用される「芳香族基含有種」と言う用語は、芳香族基であるかまたは芳香族基を含む部分を意味する。したがって、フェニルおよびベンジル部分は、両方とも芳香族基でありまたは芳香族基を含むのでこの定義の中に含まれる。
【0018】
本明細書において使用されるC1〜6アルキル基(低級アルキル基)は、直鎖または分岐鎖において1〜6個の炭素原子を含む、また、C3〜6シクロアルキル部分およびC3〜6シクロアルキル部分を含むアルキル基を含む。
【0019】
本明細書において使用されるC1〜6アルコキシ基は、直鎖または分岐鎖において1〜6個の炭素原子を含み、また、C3〜6シクロアルキルおよびC3〜6シクロアルキル部分を含むアルコキシ基を含む。
【0020】
本明細書において使用されるアリール基は、フェニル、ナフチルおよびインデニルから選ばれる。
【0021】
本明細書において使用されるヘテロアリール基は、酸素、硫黄および窒素から選ばれる1つまたは複数のヘテロ原子を含めて、3〜10個の員子、好ましくは5または6個の員子を含む。適当な5員環ヘテロアリール部分の例としては、フリル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、チエニル、テトラゾリルおよびピラゾリルが挙げられる。適当な6員環ヘテロアリール部分の例としては、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルが挙げられ、その内でピリジニルおよびピリミジニルが好ましい。
【0022】
本明細書で使用されるハロゲンは、塩素、ヨウ素、フッ素または臭素である。
【0023】
本明細書で使用されるポリシクロアルキル基は、縮合環式環構造である。
【0024】
代表的なポリシクロアルキル基としては、アダマンチル、ボルナニル、ノルボルナニル、ボルネニルおよびノルボルネニルが挙げられるがこれらに限定されない。ポリシクロアルキル基は、また、N、OまたはS等の1つまたは複数のヘテロ原子を含むこともできる。
【0025】
本明細書で使用される複素環基は、酸素、硫黄および窒素から選ばれる1つまたは複数のヘテロ原子を含めて、3〜10個の員子を含む。適当な複素環部分の例としては、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、イソチアゾリジニル、チアゾリジニル、イソキサゾリジニル、オ キサゾリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニルおよびテトラヒドロフラニルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0026】
本明細書において使用されるシクロアルキル基は、3〜8個の炭素原子を含む。適当なシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0027】
適当な薬学的に許容される塩の例としては、塩化物、臭化物、硫酸塩、リン酸塩および硝酸塩等の無機酸付加塩;アセテート、ガラクタレート、プロピオネート、スクシネート、ラクテート、グリコレート、マレート、タートレート、シトレート、マレエート、フマレート、メタンスルホネート、p−トルエンスルホ ネートおよびアスコルベート等の有機酸付加塩;アスパルテートおよびグルタメート等の酸性アミノ酸との塩;ナトリウム塩およびカリウム塩等のアルカリ金属 塩;マグネシウム塩およびカルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジシ クロヘキシルアミン塩およびN,N′−ジベンジルエチレンジアミン塩等の有機塩基性塩;および、リシン塩およびアルギニン塩等の塩基性アミノ酸との塩が挙 げられる。この塩は、いくつかの場合においては水和物またはエタノール溶媒和物であっても良い。代表的な塩は、米国特許第5597919号(Dull 等)、第5616716号(Dull等)および第5663356号(Ruecroft等)において記載されているものである。
【0028】
本明細書において使用される「アゴニスト」は、その結合相手、一般的には受容体を刺激する物質である。刺激は、特定の評価方法の文脈において定義されるか、当業者によって認識されているような、実質的に同じ環境下において、特定の結合相手の「アゴニスト」または「アンタゴニスト」として受け容れられている因子もしくは物質との比較が為される本明細書における議論における文献から明らかであろう。刺激は、アゴニストまたは部分的アゴニストと結合相手との相 互作用によって誘発される特定の作用または機能における増加に関して定義され得、アロステリック作用を含むことができる。
【0029】
本明細書において使用される「アンタゴニスト」は、その結合相手、一般的には受容体を阻害する物質である。阻害は、特定の評価方法の文脈において定義されるか、または、当業者によって認識されているような、実質的に同じ環境下において、特定の結合相手の「アゴニスト」または「アンタゴニスト」として受け容れられている因子もしくは物質との比較が為される本明細書における議論における文献から明らかであろう。阻害は、アンタゴニストと結合相手との相互作用によって誘発される特定の作用または機能における減少に関して定義され得、アロステリック作用を含むことのできる。
【0030】
本明細書において使用される「部分アゴニスト」は、十分なまたは完全アンタゴニストとアゴニスト活性について受け容れられている標準によって定義されるアゴニストとの中間の刺激をその結合相手に与える物質である。刺激、したがって阻害は、アゴニスト、アンタゴニストまたは部分的アゴニストとして定義されているいずれかの物質または物質のカテゴリーに対して元来定義されるものであることが認識される。本明細書において使用される「固有活性」または「効果」は、結合相手との複合体の生物学的有効性のいくつかの尺度に関わるものである。受容体薬理学に関して、固有活性または効果が定義されるべき文脈は、結合相 手(例えば、受容体/リガンド)の複合体の文脈および特定の生物学的結果に関する活性の考察に依存する。例えば、いくつかの環境においては、固有活性は、 含まれる特定の第二メッセンジャー系によって変動し得る。Hoyer,D.and Boddeke,H.,Trends Pharmacol Sci.14(7):270−5(1993)を参照。そのような文脈的特殊評価が関連するところおよびいかにしてそれらが本発明の文脈において関連するかは、当業者に明らかであろう。
【0031】
本明細書において使用される、本明細書において記載される化合物によってその放出が媒介される神経伝達物質としては、アセチルコリン、ドーパミン、ノルエ ピネフリン、セロトニンおよびグルタメート、ならびに、CNSnAChRの1種または複数においてアゴニストまたは部分的アゴニストとして機能する本明細書において記載される化合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0032】
I.化合物
式(I)の化合物は、1個または複数の不斉炭素を有し、したがって、異性体、ラセミ混合物、光学異性体およびジアステレオマーの形態で存在することができる。これらの個々の化合物およびそれらの混合物は、本発明の範囲内にあるものである。
【0033】
以下は、式(I)の代表的な化合物である:
(R)−および(S)−3−((E)−2−ピロリジン−3−イルビニル)−5−(テトラヒドロピラン−4−イルオキシ)ピリジン
(R)−および(S)−5−((E)−2−ピロリジン−3−イルビニル)ピリミジン
(R)−および(S)−2−クロロ−5−((E)−2−ピロリジン−3−イルビニル)ピリジン
(R)−および(S)−3−イソプロポキシ−5−((E)−2−ピロリジン−3−イルビニル)ピリジン
(R)−および(S)−3−イソプロポキシ−5−((E)−2−(1−メチルピロリジン−3−イル)ビニル)ピリジン
(R)−および(S)−3−シクロプロピルメトキシ−5−((E)−2−ピロリジン−3−イルビニル)ピリジン
(R)−および(S)−5−((E)−2−(1−メチルピロリジン−3−イル)ビニル)ピリミジン
(R)−および(S)−2−クロロ−5−((E)−2−(1−メチルピロリジン−3−イル)ビニル)ピリジン
(R)−および(S)−3−シクロプロピルメトキシ−5−((E)−2−(1−メチルピロリジン−3−イル)ビニル)ピリジン
(R)−および(S)−5−((E)−2−ピペリジン−3−イルビニル)ピリミジン
(R)−および(S)−5−((E)−2−(1−メチルピペリジン−3−イル)ビニル)ピリミジン
(R)−および(S)−2−クロロ−5−((E)−2−ピペリジン−3−イルビニル)ピリジン
(R)−および(S)−2−クロロ−5−((E)−2−(1−メチルピペリジン−3−イル)ビニル)ピリジン
(R)−および(S)−3−シクロプロピルメトキシ−5−((E)−2−ピペリジン−3−イルビニル)ピリジン
(R)−および(S)−3−シクロプロピルメトキシ−5−((E)−2−(1−メチルピペリジン−3−イル)ビニル)ピリジン
5−((E)−2−ピペリジン−4−イルビニル)ピリミジン
5−((E)−2−(1−メチルピペリジン−4−イル)ビニル)ピリミジン
2−クロロ−5−((E)−2−ピペリジン−4−イルビニル)ピリジン
2−クロロ−5−((E)−2−(1−メチルピペリジン−4−イル)ビニル)ピリジン
3−シクロプロピルメトキシ−5−((E)−2−ピペリジン−4−イルビニル)ピリジン
3−シクロプロピルメトキシ−5−((E)−2−(1−メチルピペリジン−4−イル)ビニル)ピリジン
5−((E)−2−アゼチジン−3−イルビニル)ピリミジン
5−((E)−2−(1−メチルアゼチジン−3−イル)ビニル)ピリミジン
5−((E)−2−アゼチジン−3−イルビニル)−2−クロロピリジン
5−((E)−2−(1−メチルアゼチジン−3−イル)ビニル)−2−クロロピリジン
3−((E)−2−アゼチジン−3−イルビニル)−5−シクロプロピルメトキシピリジン
3−((E)−2−(1−メチルアゼチジン−3−イル)ビニル)−5−シクロプロピルメトキシピリジン
(R)−および(S)−3−フェノキシ−5−((E)−2−ピペリジン−3−イルビニル)ピリジン
(R)−および(S)−3−フェノキシ−5−((E)−2−(1−メチルピペリジン−3−イル)ビニル)ピリジン
3−フェノキシ−5−((E)−2−ピペリジン−4−イルビニル)ピリジン
3−フェノキシ−5−((E)−2−(1−メチルピペリジン−4−イル)ビニル)ピリジン
3−フェノキシ−5−((E)−2−アゼチジン−3−イルビニル)ピリジンおよび
3−フェノキシ−5−((E)−2−(1−メチルアゼチジン−3−イル)ビニル)ピリジン。
【0034】
これらの化合物のそれぞれにおいて、その個々の異性体、ラセミ混合物を含むその混合物、その光学異性体、ジアステレオマーおよび互変異性体ならびにその薬学的に許容される塩は、本発明の範囲内にあるものである。
【0035】
II.化合物の調製
その他の合成方法は当業者にとって明らかであろうが、Rが水素を表す式(I)の化合物は、以下の一般的合成スキームに基づいて一般式(II)の化合物から得ることができる。
【0036】
【化2】

【0037】
一般的合成スキームは以下の通りである:
a)一般式(II)のアルデヒドをホスホランイリド(III)と反応させ、
b)一般式(IV)のビニルアザシクロアルカンを一般式(V、ここで、Y=ハロゲン)のヘテロアリールハライドと反応させ、
c)t−ブトキシカルボニル基が、一般式(VI)の化合物から脱離され、
および、生成物が単離され、場合によって、薬学的に許容される塩に転化される。
【0038】
一般式(II)のアルデヒドとホスホランイリド(III)との間の反応(a)は、不活性雰囲気下(例えば、窒素またはアルゴン下)で、テトラヒドロフラン等の不活性溶媒中において、−10℃〜反応混合物の沸騰温度の間の温度、好ましくは約−5℃〜約22℃の温度で都合良く起こる。
【0039】
一般式(IV)のビニルアザシクロアルカンと一般式(V)の適当なヘテロアリールハライドとの間の反応(b)は、不活性雰囲気下、酢酸パラジウム等の触媒、ジイソプロピルエチルアミン等の塩基および塩化リチウム等の無機塩の存在下において、ジメチルホルムアミド等の不活性溶媒中、20℃から反応混合物の沸騰温度の間の温度で都合良く起こる。理想的には、反応温度は約110℃の範囲にある。
【0040】
その他の実施形態において、一般式(IV)のビニルアザシクロアルカンと一般式(V)の適当なヘテロアリールハライドとの間の反応(b)は、好ましくは、不活性雰囲気下(例えば、窒素下またはアルゴン下)で、酢酸パラジウム等の触媒およびトリフェニルホスフィン等のホスフィンの存在下において、塩基性媒体において、例えば、トリエチルアミン等の塩基の存在下で、20℃から反応混合物の沸騰温度の間の温度で、好ましくは110℃の範囲における温度で行うことができる。
【0041】
反応(c)は、一般的に、残りの分子に悪影響を及ぼさない通常の方法に従って、特にT.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis(2nded.),A.Wiley−Interscience Publication(1991)に記載されている方法の適用によって起こる。例えば、一般式(VI)の化合物からt−ブトキシカルボニル基を脱離する 反応(c)は、好ましくは、不活性雰囲気下(例えば、窒素下またはアルゴン下)で、トリフルオロ酢酸等の酸の存在下、ジクロロメタン等の不活性溶媒中、 −10℃〜反応混合物の沸騰温度の間の温度で、好ましくは−5℃〜22℃の範囲における温度の間の温度で起こる。
【0042】
あるいはまた、一般式(VI)の化合物からt−ブトキシカルボニル基を脱離する反応(c)は、好ましくは、不活性雰囲気下(例えば、窒素下またはアルゴン下)で、トリメチルシリルヨージドの作用によって、ジクロロメタン等の不活性溶媒中、−10℃〜反応混合物の沸騰温度の間の温度で、好ましくは22℃の範 囲における温度で行うことができる。
【0043】
が水素を表していない一般式(I)の誘導体は、Rが水素原子を表す一般式(I)の化合物から、残りの分子に悪影響を及ぼさないアミンアルキル化の通常の方法に従って、特に、 R.C.Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Pulishers(1989)に記載されている方法の適用によって得ることができる。
【0044】
あるいはまた、Rがメチルを表す一般式(I)の誘導体は、Rが水素を表す一般式(I)の化合物と蟻酸中のホルムアルデヒド溶液とを、22℃〜反応混合物の沸騰温度の間の温度で反応させることによって得ることができる。
【0045】
市販されていない一般式(II)の化合物は、Peschke B.ら,Eur.J.Med.Chem.34:363−380(1999)(その内容は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載された方法を適用または適合することによって得ることができる。
【0046】
市販されていない一般式(V)の化合物は、PCT WO00/75110(その内容は、参照として本明細書に組み込まれる)に記載された方法を適用または適合することによって得ることができる。あるいはまた、一般式(V)の化合物であって、XがC−Rであり、Rが−ORであり、Rが、C1〜6アルキル、アリール−C1〜6アルキル、ヘテロアリール−C1〜6アルキル、複素環式、複素環式アルキル、シクロアルキルまたはポリシクロアルキルである(これらの基は、ハロゲン、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、−CN、−NO、−NH、−OH、−COOH、−COO−C1〜6アルキル、−CONH、ホルミル、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシから選ばれる1個または複数の置換基で、場合によって置換されている)化合物は、一般式(VII)[式中、Yは、ハロゲンであり、Rは先に定義された通りである)のヘテロアリールハライドおよび一般式(VIII)[式中、Rは先に定義された通りである)のアルコールとから、以下の一般的合成スキームに従って得ることができる:
【0047】
【化3】

【0048】
一般式(VII)のヘテロアリールアルコールと一般式(VIII)の適当なアルコールとの間の反応(d)は、好ましくは、不活性雰囲気下で、ジエチルアゾジカルボキシレート等のジアゼンおよびトリフェニルホスフィン等のホスフィンの存在下、トルエン等の不活性溶媒中、0℃〜反応混合物の沸騰温度の間の温度 で、好ましくは、22℃の範囲における温度〜溶媒の沸騰温度の間の温度で起こる。
【0049】
一般式(I)の化合物は、単離して、当業者に良く知られている方法、例えば、結晶化、クロマトグラフィーおよび/または抽出を含む方法を使用して精製することができる。
【0050】
上述のスキームにおいては、R−基のいずれか1種または複数が、反応条件下で潜在的に反応性である反応性基、例えば、−OH、−SH、−NHまたは−COH であるかそれを含む時は、これらの官能基が、R−基の反応性をブロックするために、反応中に適当な「保護基」の使用を必要とすることは当業者にとって容易 に明らかである。これらの「保護基」は、T.W.Greene and P.G.M.Wuts(Protective Groups in Organic Synthesis(2nded.),A.Wiley−Interscience Publication(1991))に従って、選択、導入および分割することができる。
【0051】
一般式(I)の化合物および一般式(IV)の化合物は、通常の方法(即ち、光学異性体の分割)に従ってそれらのラセミ体を分離することによって、または光学的に純粋な出発物質を使用することによって光学的に純粋な形態で得ることができる。
【0052】
一般式(I)の化合物は、適当な溶媒、例えば、アルコール、ケトン、エーテルまたは塩素化溶媒等の有機溶媒において、酸等の作用によって、場合によっては、無機または有機酸との付加塩に転化することができる。これらの塩は、同様に、本発明の一部を形成するものである。
【0053】
代表的な薬学的に許容される塩としては、ベンゼンスルホネート、臭化物、塩化物、クエン酸塩、エタンスルホネート、フマル酸塩、グルコン酸塩、ヨウ素酸 塩、マレイン酸塩、イセチオネート、メタンスルホネート、メチレンビス(β−オキシナフトエート)、硝酸塩、シュウ酸塩、パルモエート、リン酸塩、サリチ ル酸塩、琥珀酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、テオフィリンアセテート、p−トルエンスルホン酸塩、ヘミガラクタレートおよびガラクタレート塩が挙げられるがこれ らに限定されない。
【0054】
III.医薬品組成物
本発明による医薬品組成物は、純粋な形態において、または不活性か生理的に活性である任意のその他の薬理学的に相溶性の生成物と組合わされた組成物の形態において、式(I)の化合物またはその塩を含む。そのような組成物は、例えば、経口的に、非経口的に、直腸にまたは局所に投与することができる。
【0055】
経口投与のための固体組成物の例としては、錠剤、ピル、粉末(ゼラチンカプセル、カプセル)および顆粒が挙げられるがこれらに限定されない。これらの組成物においては、活性化合物は、澱粉、セルロース、スクロース、ラクトースまたはシリカ等の1種または複数の不活性希釈剤と、理想的には、アルゴン等の不活性ガス流の下で混合される。
【0056】
組成物は、また、希釈剤以外の物質、例えば、マグネシウムステアレートまたはタルク、着色剤、被膜(錠剤を被覆した)またはワニス等の1種または複数の潤滑剤を含むこともできる。
【0057】
経口投与のための液体組成物の例としては、溶液、懸濁液、エマルション、シロップおよび薬学的に許容されるエリキシル剤が挙げられるがこれらに限定され ず、一般的には、水、エタノール、グリセロール、植物油または液体パラフィン等の不活性希釈剤を含む。これらの組成物は、希釈剤以外の物質、例えば、湿潤 剤、甘味料、増粘剤、芳香剤および安定剤を含むことができる。
【0058】
非経口投与のための無菌性組成物としては、例えば、水溶液または非水溶液、懸濁液およびエマルションが挙げられる。適当な溶媒およびビヒクルの例としては、水溶液、好ましくは緩衝水溶液、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、特にオリーブ油、注射できる有機エステル、例えば、エチルオ レエートおよびその他の適当な有機溶媒が挙げられるがこれらに限定されない。これらの組成物は、また、アジュバント、特に湿潤剤、等張剤、乳化剤、分散剤および安定剤を含むこともできる。そのような無菌性組成物は、多数の方法で、例えば、無菌ろ過により、滅菌剤を組成物に混入することにより、放射線照射によりおよび加熱により無菌化することができる。これらは、また、滅菌水または任意のその他の無菌の注射可能媒体において、使用する時に溶解することのできる無菌固体組成物の形態で調製することもできる。
【0059】
直腸投与のための組成物の例としては、座薬および、活性生成物に加えて、ココアバター、半合成グリセリドおよびポリエチレングリコール等の賦形剤を含むことのできる直腸カプセルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0060】
局所投与のための組成物は、例えば、クリーム、ローション、目薬、うがい薬、点鼻薬またはエアロゾルであることができる。
【0061】
医薬品組成物は、また、添加剤または添加物として様々なその他の成分を含むこともできる。関連のある環境において使用される薬学的に許容される成分または添加物の例としては、耐酸化剤、遊離基捕捉剤、ペプチド、成長因子、抗生物質、静菌剤、免疫阻害剤、抗凝固剤、緩衝剤、抗炎症剤、抗発熱剤、時間放出バインダー、麻酔剤、ステロイドおよびコルチコステロイドが挙げられる。このような成分は、更なる治療利益、医薬品組成物の治癒作用に影響を及ぼす作用、または、医薬品組成物の投与の結果として引き起されるかも知れないあらゆる潜在的な副作用を防ぐ方向の作用を与えることができる。ある種の環境においては、本発明の化合物は、医薬品組成物の一部として、特定の疾患の予防または治療を意図したその他の化合物と一緒に使用することができる。
【0062】
IV.治療方法
本明細書に記載された化合物は、その他のタイプのニコチン化合物が治療薬として提案されているそれらのタイプの状態および疾患を治療するのに有用である。例えば、Williamsら,DN&P 7(4):205−227(1994),Arnericら,CNS Drug Rev.1(1):1−26(1995),Arnericら,Exp.Opin.Invest.Drugs 5(1):79−100(1996),Bencherif ら,J.Pharmacol.Exp.Ther.279:1413(1996),Lippiello ら,J.Pharmacol.Exp.Ther.279:1422(1996),Damajら,Neuroscience (1997),Holladayら,J.Med.Chem.40(28):4169−4194(1997),Bannonら,Science 279:77−80(1998),PCT WO94/08992,PCT WO96/31475、および米国特許第5583140号(Bencherif等)、第5597919号(Dull等)および第5604231号 (Smith等)を参照。
【0063】
これら化合物は、また、前述の病気および疾患のタイプの管理において、既存の治療と組合わせて補助治療として使用することもできる。そのような状況においては、筋肉および神経節に関わるもの等のnAChRサブタイプについての効果を最少にする方法で活性成分を投与することが好ましい。これは、標的化薬物送 達によっておよび/または、顕著な副作用を起こすのに必要とされる限界投与量を満たすことなしに所望の効果が得られるように投与量を調整することによって遂行することができる。医薬品組成物は、これらの状態、病気および疾患に関わるあらゆる症状を改善するために使用することができる。
【0064】
治療することのできる状態および疾患の例としては、神経系疾患、神経変性疾患、特に、CNS疾患および炎症性疾患が挙げられる。CNS疾患は、薬剤誘発、遺伝子的疾病素質、感染または外傷、または、未だ知られていない病因によるものである。CNS疾患は、神経精神病学的疾患、神経系疾患および精神病を含み、神経変性疾患、行動障害、認知疾患および認知性感情障害を含む。臨床症状が、CNSの機能障害(即ち、神経伝達物質の放出の不適切な水準、神経伝達物 質受容体の不適切な性質および/または神経伝達物質および神経伝達物質受容体との間の不適切な相互作用)の結果であるいくつかのCNS疾患が存在する。いくつかのCNS疾患は、コリン、ドーパミン、ノルエピネフリンおよび/またはセロトニンの欠乏の結果である。
【0065】
式(I)の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩、およびこれらの化合物を含む医薬品組成物を使用して治療することのできるCNS疾患の例としては、初老期痴呆症(早期アルツハイマー病)、老人性痴呆症(アルツハイマータイプの痴呆症)、レービー体痴呆症、微小梗塞痴呆症、エイズ関連痴呆症、HIV−痴呆症、多発性脳梗塞、パーキンソン病を含むパーキンソン症候群、ピック病、進行性核上麻痺、ハンチントン舞踏病、遅発性ジスキネジー、運動過剰症、癲癇、躁病、注意欠陥障害、不安症、鬱病、失読症、統合失調症、強迫神経症、トウーレット症候群、軽い認知機能障害(MCI)、年齢に関連した記憶機 能障害(AAMI)、加齢またはアルコール中毒の結果または免疫不全症候群であるか、または血管疾患、遺伝子変性(例えば、トリソミー21等)または注意不足障害または学習不足障害に関わる若年性健忘症および認知症、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、末梢神経障害および脳または脊髄傷害等の急性または慢 性的神経変性状態が挙げられる。更に、化合物は、ニコチン中毒および/または、依存性(アルコール、コカイン、ヘロインおよびアヘン、精神刺激薬、ベンゾジアゼピンおよびバルビツール酸系催眠薬)の原因となる物質に関連したその他の行動障害を治療するのに使用することができる。化合物は、また、クローン病、過敏性腸症候群および潰瘍性大腸炎等の胃腸系内の炎症性を示す症状、および下痢の症状を治療するのに使用することもできる。
【0066】
化合物が投与される方法は、さまざまに変えることができる。これら化合物は、吸入によって(例えば、エアロゾルの形態において、鼻でまたは米国特許第4922901号(Brooks等)に示されているタイプの配達製品を使用して);局所的に(例えばローションの形態で);経口的に(例えば、水性または非水性液体等の溶媒内または固体担体内の液体形態で);静脈内に(例えば、デキストロースまたは生理食塩溶液内で);注入または注射として(例えば、薬学 的に許容される液体または液体混合物における懸濁液としてまたはエマルションとして);クモ膜下に;脳室内に;または経皮的に(例えば、経皮貼布を使用して)投与することができる。これら化合物をバルクの活性化学薬品の形態で投与する事が可能であるが、効果的でかつ有効な投与のためには医薬品組成物の形態でそれぞれの化合物を存在させることが好ましい。このような化合物を投与するための方法の例は当業者には明らかである。例えば、これら化合物は、錠剤、硬質ゼラチンカプセルの形態でまたは時間放出カプセルとして投与することができる。その他の例としては、これら化合物は、ノバルチス&アルザ社(Novartis and Alza Corporation)から市販されている貼布方式タイプを使用することによって経皮的に配達することができる。本発明の医薬品組成物の投与は、温血動物(例えば、マウス、ネズミ、猫、ウサギ、犬、豚、牛または猿等の哺乳類)に対して間歇的、または徐々に、連続的に、一定または調節された速度であることができ、好ましくはヒトに投与されるのが都合よい。更に、医薬品組成物が投与される日時および1日当たりの回数は変えることができる。投与は、好ましくは、医薬品組成物の活性成分が、CNSまたは胃腸(GI)区域の機能化に影響を及ぼす、被検者の体内の受容体部位と相互作用するようなものである。更に詳しくは、CNS疾患の治療においては、投与は、好ましくは、CNSの機能化に効果を有する関連の受容体サブタイプについての効果を最適化し、一方で、筋肉タイプの受容体サブタイプについての効果を最少化するためのようなものである。本発明の化合物を投与するためのその他の適当な方法は、米国特許第5604231号(Smith等)に記載されており、その開示はその全体において参照により本明細書に組み込まれる。
【0067】
この化合物の適当な投与量は、疾患の症状の発生を予防しまたは患者が罹っている疾患のいくつかの症状を治療するのに有効な量である。「有効量」、「治療量」または「有効投与量」とは、所望の薬理学的または治療的効果を引き出すのに十分な量、従って、疾患の有効な予防または治療をもたらす量である。このように、CNS疾患を治療する時は、この化合物の有効量は、被検者の脳における関連の受容体部位に結合するために、被検者の血液脳関門を通過しかつ関連のニコチン受容体サブタイプを活性化するのに十分な量(例えば、神経伝達物質の分泌を促し、疾患の有効な予防または治療をもたらす)である。疾患の予防は、疾患の症状の発現を遅らせることによって明らかになる。疾患の治療は、疾患に伴う症状における減少または疾患の症状の再発の改善によって明らかになる。
【0068】
有効投与量は、患者の状態、疾患の症状の重篤度および医薬品組成物が投与される方法等の要因によって変化し得る。ヒト患者に対しては、一般的な化合物の有効投与量は、神経伝達物質(例えば、ドーパミン)の放出を有効ならしめて関連の受容体を活性化するのに十分な量であって、その量が、相当な程度にまで骨格 筋および神経節についての効果を誘発するのに不十分である量で化合物を投与することを一般的に要求する。化合物の有効投与量は、勿論、患者によって異なるが、一般的には、CNS効果またはその他の所望の治療効果が現れ始める量であって、筋肉効果が観察される量より下の量を含む。
【0069】
投与量は、所望の効果、治療期間および使用される投与経路に依存し、一般に、成人に対して、経口で、1日当たり、0.05mg〜100mgの活性物質である。
【0070】
一般的に言えば、医者は、年齢、体重およびその患者にとって特別の全てのその他の要因を考慮して適切な投与量を決定する。
【0071】
これら化合物は、好ましくは、患者の血液脳関門を通過する能力を有する。したがって、そのような化合物は患者の中枢神経系に入る能力を有する。本発明を実施するに当って有用な、一般的な化合物のlog P値は、一般に約0を超え、多くは約0.5を超え、殆ど約1を超える。そのような一般的な化合物のlog P値は、一般的に約3.5未満であり、殆んど約3未満であり、時には約2.5未満である。Log P値は、生体膜等の拡散隔膜を通過するための化合物の能力の尺度を与えるものである。Hanschら,J.Med.Chem.11:1(1968)を参照。
【0072】
これら化合物は、殆どの環境において、患者の脳のnAChR(例えば、ドーパミン放出を調節する受容体等)に結合して活性化する能力を有する。したがって、このような化合物は、ニコチン薬理を発現する能力、特に、ニコチンアゴニストまたは部分的アゴニストとして作用する能力を有する。本発明を実施するに 当って有用な一般的な化合物の受容体結合定数は、約0.1nMを超え、多くは約1nMを超え、殆ど約10nMを超える。そのような一般的な化合物の受容体 結合定数は、一般に、約1μM未満、多くは約100nM未満で、殆どは約50nM未満である。受容体結合定数は、患者のある種の脳細胞の関連受容体部位の半分に結合するための化合物の能力の尺度を与える。Chengら,Biochem.Pharmacol.22:3099(1973)を参照。
【0073】
本発明の方法による有用な化合物は、神経終末調製物(例えば、視床または線条体シナプトソーム)を介してイオン流束を、および/または神経終末調製物から神経伝達物質の分泌を有効に引き出すことによってニコチン機能を証明する能力を有する。したがって、このような化合物は、関連の神経細胞を活性化させて、アセチルコリン、ドーパミンまたはその他の神経伝達物質を放出または分泌させる能力を有する。一般に、本発明を実施するに当って有用な一般的化合物は、(S)−(−)−ニコチンにより最大に与えられるものの少なくとも約30%、多くは少なくとも約50%、および殆どは少なくとも約75%の量において 活性を関連受容体に対して有効に与える。一般に、本発明を実施するに当って有用な一般的化合物は、関連受容体の活性を引き出すことにおいて、(S)−(−)−ニコチンよりも一層効果がある。一般に、本発明を実施するに当って有用な一般的化合物は、(S)−(−)−ニコチンにより最大に与えられるものの少なくとも約50%、多くは少なくとも約75%、および殆どは少なくとも約100%の量においてドーパミンの分泌を有効に促す。本発明のある種の化合物は、(S)−(−)−ニコチンにより最大に与えられるものを超えることのできる量においてドーパミンの分泌を促すことができる。一般に、本発明を実施するに当って有用な一般的化合物は、ドーパミン分泌等の神経伝達物質の分泌を引き出すことにおいて、(S)−(−)−ニコチンよりも効果が少ない。
【0074】
本発明の化合物は、本発明方法に従って有効量で使用される時は、相当な程度にまでヒトの筋肉のnAChRの活性を引き出す能力を欠く。この点において、本発明の化合物は、筋肉タイプのニコチンアセチルコリン受容体を発現する細胞調製におけるnAChRを介して同位体ルビジウムイオン流束を引き起す能力に乏しいことを証明する。したがって、そのような化合物は、極端に高い(即ち、約100μMを超える)受容体活性定数、即ちEC50値 (即ち、患者の骨格筋の関連受容体部位の半分を活性化するのに必要とされる化合物の濃度の尺度を与える値)を示す。一般に、本発明を実施するに当って有用な一般的な好ましい化合物は、(S)−(−)−ニコチンにより最大に与えられるものの10%未満、多くの場合5%未満で同位体ルビジウムイオン流束を活性化する。
【0075】
本発明の化合物は、本発明の方法に従って有効量で使用されるときは、相当な程度にまでヒトの神経節のnAChRの活性を引き出す能力を欠いている。心臓血管の副作用を引き起すnAChRに対する本発明の化合物のこの選択性は、副腎クロム親和性組織のニコチン機能を活性化するためのこれらの化合物の能力の欠乏によって証明される。したがって、そのような化合物は、副腎から誘導される細胞調製におけるnAChRを介して同位体ルビジウムイオン流束を引き起す能力に乏しい。一般に、本発明を実施するに当って有用な一般的な好ましい化合物は、S(−)ニコチンにより最大に与えられるものの10%未満、大抵は5%未 満で同位体ルビジウムイオン流束を最大に活性化する。
【0076】
これら化合物は、CNS疾患の進行のある程度の予防、CNS疾患の症状の改善およびCNS疾患の再発をある程度改善するのには有効である。しかしながら、それらの化合物のそのような有効量は、心臓血管系についての効果または骨格筋に対する効果に反映すると考えられる調製についての減少した効果によって証明される通り、全く明らかな望ましくないニコチン効果を引き出すのには不十分である。したがって、本発明の化合物の投与は、ある種のCNS疾患の治療が用意される治療の窓を用意し、望ましくない末梢ニコチン効果/副作用が避けられる。即ち、本発明の化合物の有効投与量は、CNSについては所望の効果を与えるのに十分であるが、望ましくない副作用を与えるのには不十分(例えば、高い十分な水準ではない)である。好ましくは、CNS疾患の治療をもたらす本発明の 化合物の有効な投与は、相当な程度にまで副作用を引き起すのに十分な量の1/3未満、殆どは1/5未満、時に1/10未満の投与で行われる。
【0077】
合成実施例
以下の合成実施例は、本発明を例示するために与えられるものであって、本発明を限定するものとして解釈されるべきものではない。これらの実施例においては、全ての部および%は、特に言及しない限り重量である。反応収率はモル%で報告される。
【実施例1】
【0078】
ラセミ体3−((E)−2−ピロリジン−3−イルビニル)−5−(テトラヒドロピラン−4−イルオキシ)ピリジンヘミガラクタレート:
トリフルオロ酢酸(0.91cm、11.7mmol)を、アルゴン下で、0℃まで冷却した、4.5cmの ジクロロメタン中の0.44g(1.17mmol)のラセミ体3−{(E)−2−[5−(テトラヒドロピラン−4−イルオキシ)ピリジン−3−イル]ビニ ル}ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルの溶液に滴状添加した。反応混合物をこの温度で0.5時間、次いで、22℃の範囲の温度で20時間攪拌 し、濃縮して減圧下(2.7kPa)で乾燥した。油状残渣を5cmの水に入れ、得られた溶液を、28%のアンモニア水溶液を添加して塩基性(pH=8)とし、次いで、25cmのジクロロメタンで3回抽出した。合わせた有機相を25cmの 水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して減圧下(2.7kPa)で乾燥し、0.225gのオレンジ色の油を得、これを、シリカゲルのクロマトグラフィー[溶出液:ジクロロメタン/メタノール(9/1次に8/2(容量))]で精製した。減圧下(2.7kPa)で画分を濃縮し、0.1g(0.36mmol)のオレンジ色の油を得た。ガラクタル酸(0.038g、0.18mmol)を、0.5cmの水を添加した、2cmのメタノール中のこの油の溶液に添加した。混合物を還流させ、22℃の範囲の温度に冷却し、不溶解物質をろ過で除去した。濾液を濃縮し、減圧下(2.7kPa)で乾燥し、油状残渣を2cmのエタノールに入れた。沈殿した固体をろ過し、2cmのイソプロピルアセテートと2cmのジイソプロピルエーテルで洗浄し、次いで、真空下(2.7kPa)で40℃で乾燥し、ベージュ色の固体形態において、0.088gのラセミ体3−((E)−2−ピロリジン−3−イルビニル)−5−(テトラヒドロピラン−4−イルオキシ)ピリジンヘミガラクタレートを得た。質量スペクトル (EI):m/z274(M)、m/z232。H NMRスペクトル(300MHz,CDCOOD d4を数滴含む(CDSO d6,δ ppm):1.61(m:2H);1.82(m:1H);1.98(m:2H);2.17(m:1H);2.96(dd,J=10.5および 8.5Hz:1H);3.07(m:1H);3.10〜3.40(m:2H);3.41(dd,J=10.5および 7.5Hz:1H);3.50(ddd,J=12〜9.5および3Hz:2H);3.79(s:1H);3.87(dl,J=12および 4.5Hz:2H);4.24(s:1H);4.69(m:1H);6.43(dd,J=16および 7Hz:1H);6.56(d,J=16Hz:1H);7.49(m:1H);8.20(m:2H)。
【0079】
ラセミ体3−{(E)−2−[5−(テトラヒドロピラン−4−イルオキシ)ピリジン−3−イル]ビニル}ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルは、以下のようにして調製することができる:
酢酸パラジウム(0.117g、0.52mmol)、0.678g(16mmol)の塩化リチウムおよび7.25cm(42mmol)のエチルジイソプロピルアミンを、連続して、アルゴン下で、15cmのジメチルホルムアミド中の1.33g(5.17mmol)の3−ブロモ−5−(テトラヒドロピラン−4−イルオキシ)ピリジンおよび1.2g(5.17mmol)のラセミ体3−ビニルピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルの溶液に添加した。攪拌しながら110℃で3時間加熱 後、反応混合物を2時間、22℃の範囲の温度で攪拌し、次いで、濃縮し、減圧下(2.7kPa)で乾燥した。油状残渣を50cmの酢酸エチルに入れ、得られた溶液を25cmの水で2回、25cmの飽和重炭酸塩溶液、25cmの水で2回および25cmの飽和塩化ナトリウム溶液で連続して洗浄し、次いで、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して減圧下(2.7kPa)で乾燥し、1.4gの褐色の油を得た。この残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー[溶出液:シクロヘキサン/酢酸エチル(8/2(容量))]で精製した。減圧下(2.7kPa)で画分を濃縮し、0.44gの黄色の油を得、これを更に精製することなしに残りの合成で使用した。
【0080】
3−ブロモ−5−(テトラヒドロピラン−4−イルオキシ)ピリジンは以下のようにして調製することができる:
ジエチルアゾジカルボキシレート(7.1cm、45mmol)を、アルゴン下で、150cmのトルエン中の5.22g(30mmol)の5−ブロモピリジン−3−オール、4.69g(45mmol)のテトラヒドロピラン−4−オール(45mmol)および11.8g(45mmol)のトリフェニルホスフィンの溶液に滴状添加した。攪拌しながら還流下で20時間加熱後、反応混合物を22℃の範囲の温度にし、次いで、75cmの水で2回、75cmの飽和重炭酸塩溶液で2回、75cmの水で2回および75cmの飽和塩化ナトリウム溶液で連続して洗浄し、次いで、有機溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して減圧下(2.7kPa)で乾燥し、オレンジ色の油を得た。この残渣を、100cmのジイソプロピルエーテルと混合し、形成された固体をろ過し、25cmのジイソプロピルエーテルで2回洗浄した。濾液を濃縮し、減圧下(2.7kPa)で乾燥し、10gのオレンジ色の油を得た。この残渣を、シリカゲルのクロマトグラフィー[溶出液:シクロヘキサン/酢酸エチル(8/2(容量))]で精製した。減圧下(2.7kPa)で画分を濃縮し、黄色の油の形態で、7.3gの3−ブロモ−5−(テトラヒドロピラン−4−イルオキシ)ピリジンを得た。H NMRスペクトル(300MHz,(CDSO d6,δ ppm):1.59(m:2H);1.99(m:2H);3.49(ddd,J=12.5〜9.5および3Hz:2H);3.87(dt,J=12.5お よび4.5Hz:2H);4.75(m:1H);7.82(dd,J=2.5および 2Hz:1H);8.28(d,J=2Hz:1H);8.33(d,J=2.5Hz:1H)。
【0081】
ラセミ体3−ビニルピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルは、以下のようにして調製することができる:
ヘキサン中のn−ブチルリチウム(1.6N溶液の44cm)を、アルゴン下で、0℃まで冷却された、300cmのテトラヒドロフラン中の25.5g(71mmol)のトリフェニルメチルホスホニウムの懸濁液に滴状添加した。反応混合物を、0℃で0.5時間攪拌し、次いで、100cmのテトラヒドロフラン中の7.1g(35.6mmol)のラセミ体3−ホルミルピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルの溶液と混合した。22℃の範囲の温度で2.5時間反応後、混合物を600cmの 飽和塩化アンモニウム水溶液に注入した。酢酸エチルの添加後、有機相をデカントして取り除き、水で、および飽和塩化ナトリウム溶液で2回洗浄し、次いで、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して減圧下(2.7kPa)で乾燥した。得られた油を、シリカゲルのクロマトグラフィー[溶出液:シクロヘキサン/酢酸エチル(95/5次に9/1(容量))]で精製した。減圧下(2.7kPa)で画分を濃縮し、無色の油の形態で6.3gのラセミ体3−ビニルピロリジン −1−カルボン酸t−ブチルエステルを得た。質量スペクトル(ES):m/z 198(MH)、m/z=142。
【実施例2】
【0082】
ラセミ体5−((E)−2−ピロリジン−3−イルビニル)ピリミジンヘミガラクタレート:
トリフルオロ酢酸(1.2cm、15.6mmol)を、アルゴン下で、0℃まで冷却された、6cmのジクロロメタン中の0.43g(1.56mmol)のラセミ体3−((E)−2−ピリミジン−5−イルビニル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエス テルの溶液に滴状添加した。反応混合物をこの温度で0.5時間、次いで、22℃の範囲の温度で20時間攪拌し、濃縮して減圧下(2.7kPa)で乾燥した。油状残渣を5cmの水に入れ、得られた溶液を、28%のアンモニア水溶液を添加して塩基性(pH=8)とし、次いで、25cmのジクロロメタンで3回抽出した。合わせた有機相を25cmの 水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して減圧下(2.7kPa)で乾燥し、0.126gのオレンジ色の油を得、これを、シリカゲルのクロ マトグラフィー[溶出液:ジクロロメタン/メタノール(9/1次に8/2(容量))]で精製した。減圧下(2.7kPa)で画分を濃縮し、 0.1g(0.57mmol)のオレンジ色の油を得た。ガラクタル酸(0.06g、0.28mmol)を、0.5cmの水が添加されている、2cmのメタノール中のこの油の溶液に添加した。混合物を還流させ、22℃の範囲の温度に冷却し、不溶解物質をろ過で除去した。濾液を濃縮して減圧下(2.7kPa)で乾燥し、油状残渣を2cmのエタノールに入れた。沈殿した固体をろ過し、2cmのイソプロピルアセテートと2cmのジイソプロピルエーテルで洗浄し、次いで、真空下(2.7kPa)で40℃で乾燥し、黄土色の固体形態において、0.1gのラセミ体5−((E)−2−ピロリジン−3−イルビニル)ピリミジンヘミガラクタレートを得た。質量スペクトル(DCI):m/z 176(MH)。H NMRスペクトル(300MHz,CDCOOD d4を数滴含む(CDSO d6,δ ppm):1.82(m:1H);2.18(m:1H);2.98(dd,J=11および 8.5Hz:1H);3.10(m:1H);3.20(m:1H);3.33(m:1H);3.42(dd,J=11および 7.5Hz:1H);3.79(s:1H);4.24(s:1H);6.55(AB類似:2H);8.87(s:2H);9.04(s:1H)。
【0083】
ラセミ体3−((E)−2−ピリミジン−5−イルビニル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルは、以下のようにして調製することができる:
酢酸パラジウム(0.117g、0.52mmol)、0.678g(16mmol)の塩化リチウムおよび7.25cm(42mmol)のエチルジイソプロピルアミンを、連続して、アルゴン下で、15cmのジメチルホルムアミド中の0.822g(5.17mmol)の5−ブロモピリミジンおよび1.2g(5.17mmol)のラセミ体3−ビニルピロリジン −1−カルボン酸t−ブチルエステルの溶液に添加した。攪拌しながら110℃で3時間加熱後、反応混合物を、22℃の範囲の温度で2時間攪拌し、次いで、濃縮して減圧下(2.7kPa)で乾燥した。油状残渣を50cmの酢酸エチルに入れ、得られた溶液を、25cmの水で2回、25cmの飽和重炭酸塩溶液、25cmの水で2回および25cmの飽和塩化ナトリウム溶液で連続して洗浄し、次いで、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して減圧下(2.7kPa)で乾燥し、1.1gの褐色の油を得た。この残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー[溶出液:シクロヘキサン/酢酸エチル(8/2(容量))]で精製した。減圧下(2.7kPa)で画分を濃縮し、油の形態において、0.43gのラセミ体3−((E)−2−ピリミジン−5−イルビニル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルを得た。H NMRスペクトル(300MHz,(CDSO d6,δ ppm):1.42(s:9H);1.78(m:1H);2.05(m:1H);2.90〜3.15(m:2H);3.15〜3.60(m:3H);6.51(d,J=16.5Hz:1H);6.64(dd,J=16.5 および7Hz:1H);8.89(s:2H);9.04(s:1H)。
【実施例3】
【0084】
(+)−5−((E)−2−ピロリジン−3−イルビニル)ピリミジンガラクタレート:
トリメチルシリルヨージド(0.2cm、1.4mmol)を、22℃の範囲の温度で、アルゴン下で、10cmのジクロロメタン中の0.26g(0.944mmol)の(+)−3−((E)−2−ピリミジン−5−イルビニル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルの溶液に添加した。この温度で2時間攪拌後、反応混合物を15cmの 5%アンモニア水溶液と混合し、22℃の範囲の温度で1時間攪拌し、沈降させるために静置した。水性相を分離し、ジクロロメタンで抽出した。一緒にされた 有機相を水で、および飽和塩化ナトリウム水溶液で2回洗浄し、次いで、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して減圧(2.7kPa)下で乾燥し、 0.06gのオレンジ色の油を得た。ガラクタル酸(0.035g、0.16mmol)を、0.6cmの水が添加されている、6cmのメタノール中のこの油の溶液に添加した。混合物を還流させ、22℃の範囲の温度に冷却し、濃縮して減圧(2.7kPa)下で乾燥した。油状残渣を、5cmの ジイソプロピルエーテルの存在下で摩砕し、形成された固体をろ過し、次いで、真空下(2.7kPa)で45℃で乾燥し、黄色固体形態において、 0.072gの(+)−5−((E)−2−ピロリジン−3−イルビニル)ピリミジンガラクタレートを得た。質量スペクトル (DCI):m/z=176(MH)。H NMRスペクトル(300MHz,CDCOOD d4を数滴含む(CDSO d6,δ ppm):1.81(m:1H);2.19(m:1H);2.98(dd,J=11および 9Hz:1H);3.10(m:1H);3.21(m:1H);3.33(m:1H);3.43(dd,J=11および 8Hz:1H);3.79(s:2H);4.25(s:2H);6.56(AB類似:2H);8.88(s:2H);9.05(s:1H)。
【0085】
(+)−3−((E)−2−ピリミジン−5−イルビニル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルは、以下のようにして調製することができる:
3−((E)−2−ピリミジン−5−イルビニル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルのラセミ体混合物(0.5g)を、1.2kgのキラル固定 相、キラルパックAS(Chiralpak AS(登録商標))20μmを含む直径8cmのカラムの2つの部分に注入した[流量:130ml/分、溶出液:ヘプタン/メタノール/エタノール (98/1/1(容量))]。画分を減圧(2.7kPa)下で濃縮し、0.24gの(+)−((E)−2−ピリミジン−5−イルビニル)ピロリジン−1− カルボン酸t−ブチルエステルおよび0.27gの(−)−((E)−2−ピリミジン−5−イルビニル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルを得 た。(+)−((E)−2−ピリミジン−5−イルビニル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルは、直径4.6mmおよび長さ250mmのキラル パックAS(登録商標)20μmカラムにおいて、14.2分の滞留時間で、第一の位置において溶出された[流量:1ml/分、溶出液:ヘプタン/メタノー ル/エタノール(98/1/1(容量))]。H NMRスペクトル(300MHz,(CDSO d6,δ ppm):1.43(s:9H);1.79(m:1H);2.06(m:1H);2.95〜3.15(m:2H);3.20〜3.35(m:1H);3.44(ddd,J=11〜8.5 および3Hz:1H);3.53(広幅dd,J=10および7.5Hz:1H);6.52(d,J=16.5Hz:1H);6.63(dd,J=16.5 および7Hz:1H);8.89(s:2H);9.04(s:1H)。(−)−((E)−2−ピリミジン−5−イルビニル)ピロリジン−1−カルボン酸 t−ブチルエステルは、直径4.6mmおよび長さ250mmのキラルパックAS(登録商標)20μmカラムにおいて、17分の滞留時間で、第二の位置にお いて溶出された[流量:1ml/分、溶出液:ヘプタン/メタノール/エタノール(98/1/1(容量))]。H NMRスペクトル(300MHz,(CDSO d6,δ ppm):1.43(s:9H);1.79(m:1H);2.06(m:1H);2.95〜3.15(m:2H);3.20〜3.35(m:1H);3.44(ddd,J=11〜8.5 および3Hz:1H);3.53(広幅dd,J=10および7.5Hz:1H);6.52(d,J=16.5Hz:1H);6.63(dd,J=16.5 および7Hz:1H);8.89(s:2H);9.04(s:1H)。
【実施例4】
【0086】
(−)−5−((E)−2−ピロリジン−3−イルビニル)ピリミジンガラクタレート:
トリメチルシリルヨージド(0.2cm、1.4mmol)を、22℃の範囲の温度で、アルゴン下で、10cmのジクロロメタン中の0.29g(1.053mmol)の(−)−3−((E)−2−ピリミジン−5−イルビニル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルの溶液に添加した。この温度で2時間攪拌後、反応混合物を、15cmの 5%アンモニア水溶液と混合し、22℃の範囲の温度で1時間攪拌し、沈降させるために静置した。水性相を分離し、ジクロロメタンで抽出した。一緒にされた 有機相を水で、および飽和塩化ナトリウム水溶液で2回洗浄し、次いで、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して減圧下(2.7kPa)で乾燥し、 0.1gのオレンジ色の油を得た。ガラクタル酸(0.06g、0.28mmol)を、1cmの水が添加されている、10cmのメタノール中のこの油の溶液に添加した。混合物を還流させ、22℃の範囲の温度に冷却し、濃縮して減圧下(2.7kPa)で乾燥した。油状残渣を5cmの ジイソプロピルエーテルの存在下で摩砕し、形成された固体をろ過し、次いで、真空下(2.7kPa)で45℃で乾燥し、黄色固体形態において、 0.094gの(−)−5−((E)−2−ピロリジン−3−イルビニル)ピリミジンガラクタレートを得た。質量スペクトル (DCI):m/z=176(MH)。H NMRスペクトル(300MHz,CDCOOD d4を数滴含む(CDSO d6,δ ppm):1.82(m:1H);2.19(m:1H);2.98(dd,J=11および 9Hz:1H);3.10(m:1H);3.21(m:1H);3.32(m:1H);3.43(dd,J=11および 7.5Hz:1H);3,79(s:2H);4.24(s:2H);6.57(AB類似:2H);8.88(s:2H);9.05(s:1H)。
【0087】
(−)−3−((E)−2−ピリミジン−5−イルビニル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルは、実施例3に記載されているようにして調製することができる。
【実施例5】
【0088】
Log P値の決定:
血液脳関門を通過するための化合物の相対的能力を評価するために使用されているLog P値(Hansenら,J.Med.Chem.ii:1(1968)は、Molecular Simulations,Inc.のCerius software pakage Version 3.5を使用して計算された。
【実施例6】
【0089】
代表的化合物の様々な性質の評価:
化合物:
以下の評価は、本明細書に記載されている化合物のいくつかの結合親和性およびその他の薬理学的性質を決定するために使用され、一般に、本明細書に記載されているその他の化合物の評価に使用することができる。
【0090】
中枢神経系n−アセチルコリン受容体(CNSnAChR)における放射性リガンド結合
α4β2サブタイプ
体重150〜250gのネズミ(雌、Sprague−Dawley)を12時間の明/暗サイクルに維持し、水およびPMI Nutrition International,Inc.によって提供された餌を自由に摂取させた。動物は、70%のCOで麻酔し、次いで、断頭した。脳を取り出し、冷えた台の上に置いた。大脳皮質を取り出し、20容量(重量:容量)の冷えた調製緩衝液(NaCl、137mM;KCl、10.7mM;KHPO、5.8mM;NaHPO、 8mM;HEPES(遊離酸)、20mM;ヨードアセトアミド、5mM;EDTA、1.6mM;pH7.4)に入れ、100μMの最終濃度までメタノール 中に溶解されたPMSFを添加し、この懸濁液をポリトロン(Polytron)で均質にした。ホモジェネートを、18,000xgで20分間、4℃で遠心 分離に掛け、得られたペレットを20容量の冷えた水に再懸濁した。氷の上で60分培養後、18,000xgで20分間、4℃で遠心分離に掛けて新たなペレットを集めた。最終ペレットを、10容量の緩衝液に再懸濁し、−20℃で保存した。評価の日に、組織を解凍し、18,000xgで20分間遠心分離に掛 け、次いで、冷えたPBS(ダルベッコ(Dulbecco)のリン酸塩緩衝生理食塩水、NaCl、138mM;KCl、2.67mM;KHPO、1.47mM;NaHPO、8.1mM;CaCl、0.9mM;MgCl、 0.5mM;インビトロゲン(Invitrogen)/ギブコ(Gibco);pH7.4)に、約4mgタンパク質/mLの最終濃度まで再懸濁した。タン パク質は、標準としてウシ血清アルブミンを使用して、Lowryら,J.Biol.Chem.193:265−275(1951)の方法で決定した。
【0091】
H]ニコチンの結合は、Romanoら,Science 210:647−650(1980)およびMarksら,Mol.Pharmacol.30:427−436(1986)の方法の改良法を使用して測定した。[H]ニコチン(比放射能=81.5Ci/mmol)は、NEN Research Productsから得た。[H]ニコチンの結合は、4℃での3時間培養を使用して測定した。培養は、48−ウエルの微小滴定プレートにおいて行われ、300μLの最終培養容量においてウエル当り約400μgのタンパク質を含んでいた。培養緩衝液はPBSであり、[H] ニコチンの最終濃度は5nMであった。結合反応は、4℃で、Brandel Tissue Harvesterを使用して、ガラス繊維フィルター(GF/B、Brandel)の上に、結合したリガンドを含むタンパク質をろ過することによって停止 した。フィルターは、非特異性結合を低減するために0.33%のポリエチレンイミンを含む脱イオン水に浸した。それぞれのフィルターは、1mLの冷えた緩 衝液で3回洗浄した。非特異性結合は、選択されたウエルにおいて、10μMの非放射性L−ニコチン(Acros Organics)の包含によって決定した。
【0092】
テスト化合物による[H]ニコチン結合の阻害は、選択されたウエルに、テスト化合物の7つの異なる濃度を含ませることによって決定した。それぞれの濃度で、三回反復した。IC50値は、特異[H]ニコチン結合の50%を阻害した化合物の濃度として評価した。nMで報告される阻害定数(Ki値)は、Chengら,Biochem.Pharmacol.22:3099−3108(1973)の方法を使用して、IC50値から計算した。
【0093】
α7サブタイプ
体重150〜250gのネズミ(雌、Sprague−Dawley)を12時間の明/暗サイクルに維持し、水およびPMI Nutrition International,Inc.によって提供された餌を自由に摂取させた。動物は、70%のCOで麻酔し、次いで、断頭した。脳を取り出し、冷えた台の上に置いた。海馬を取り出し、10容量(重量:容量)の冷えた調製緩衝液(NaCl、137mM;KCl、10.7mM;KHPO、5.8mM;NaHPO、 8mM;HEPES(遊離酸)、20mM;ヨードアセトアミド、5mM;EDTA、1.6mM;pH7.4)に入れ、100μMの最終濃度までメタノール中に溶解されたPMSFを添加し、この組織懸濁液をポリトロンで均質にした。ホモジェネートは、18,000xgで20分間、4℃で遠心分離に掛け、得られたペレットを、10容量の冷えた水に再懸濁した。氷の上で60分培養後、18,000xgで20分間、4℃で遠心分離に掛け、新たなペレットを集めた。最終ペレットを、10容量の緩衝液に再懸濁し、−20℃で保存した。評価の日に、組織は解凍し、18,000xgで20分間遠心分離に掛け、次いで、冷えたPBS(ダルベッコのリン酸塩緩衝生理食塩水、NaCl、138mM;KCl、2.67mM;KHPO、1.47mM;NaHPO、8.1mM;CaCl、0.9mM;MgCl、0.5mM;インビトロゲン/ギブコ;pH7.4)に、約2mgタンパク質/mLの最終濃度まで再懸濁した。タンパク質は、標準としてウシ血清アルブミンを使用して、Lowryら,J.Biol.Chem.193:265−275(1951)の方法で決定した。
【0094】
H]MLAの結合は、Daviesら,Neuropharmacol.38:679−690(1999)の方法の改良法を使用して測定した。[H]MLA(比放射能=25〜35Ci/mmol)は、Tocrisから得た。[H]MLAの結合は、21℃での2時間培養を使用して測定した。培養は、48−ウエルの微小滴定プレートにおいて行われ、300□約200μLの最終培養容量においてウエル当りgのタンパク質を含んでいた。培養緩衝液はPBSであり、[H]MLAの最終濃度は、5nMであった。結合反応は、室温で、Brandel Tissue Harvesterを使用して、ガラス繊維フィルター(GF/B、Brandel)の上に、結合したリガンドを含むタンパク質をろ過することによって停止した。フィルターは、非特異性結合を低減するために0.33%のポリエチレンイミンを含む脱イオン水に浸した。それぞれのフィルターは、1mLのPBSで、室温で3回洗浄した。非特異性結合は、選択されたウエルにおいて、50μMの非放射性MLAの包含によって決定した。
【0095】
テスト化合物による[H]MLA結合の阻害は、選択されたウエルに、テスト化合物の7つの異なる濃度を含ませることによって決定した。それぞれの濃度で、三回反復した。IC50値は、特異[H]MLA結合の50%を阻害した化合物の濃度として評価した。nMで報告される阻害定数(Ki値)は、Chengら,Biochem.Pharmacol.22:3099−3108(1973)の方法を使用して、IC50値から計算した。
【0096】
ドーパミンの放出の決定
ドーパミンの放出は、Rapierら,J.Neurochem.54:937−45(1990)によって示される方法によって、ネズミの脳から得られた線 条体シナプトソームを使用して測定した。体重150〜250gのネズミ(雌、Sprague−Dawley)を12時間の明/暗サイクルに維持し、水およびPMI Nutrition International,Inc.によって提供された餌を自由に摂取させた。動物は、70%のCOで 麻酔し、次いで、断頭した。脳を素早く取り出し、線条体を切除した。2匹のネズミの線条体組織をプールし、ガラス/ガラスホモジナイザーを使用して、5mMHEPESを含む、5mLの冷えた0.32Mスクロース(pH7.4)において均質化した。次いで、組織を1,000xgで10分間遠心分離に掛けた。ペレットを捨て、上澄み液を12,000gで20分間遠心分離に掛けた。得られたペレットは、モノアミン酸化酵素阻害薬を含む潅流緩衝液(128mM NaCl、1.2mM KHPO、2.4mM KCl、3.2mM CaCl、1.2mM MgSO、25mM HEPES、1mM アスコルビン酸、0.02mM 塩酸パーギリンおよび10mM グルコース、pH7.4)に再懸濁し、15分間、25,000gで遠心分離に掛けた。最終ペレットは、即時使用のために1.4mLの潅流緩衝液に再懸濁した。
【0097】
シナプトソーム懸濁液は、代謝活性を回復させるために37℃で10分間インキュベートした。[H]ドーパミン([H]DA、比放射能=28.0Ci/mmol、NEN Research Products)が、0.1μMの最終濃度で添加され、懸濁液を更に10分間、37℃でインキュベートした。組織+100μLの潅流緩衝液のアリコット 50μLが、Brandel Suprafusion System (シリーズ2500、Gaithersburg、MD)の超融合室に入れた。潅流緩衝液(室温)を、8分間の洗浄のために3ml/分の速度でこの室にポンプ輸送した。テスト化合物(10μM)またはニコチン(10μM)が、次いで、40秒間、灌流において供給された。画分(それぞれ12秒)は、基底放出、アゴニスト誘発ピーク放出を捕捉するためおよびアゴニスト適用後の基底線を再確立するための実験を通して、各室から連続的に集めた。潅水は、シンチレーションガラスビン中に直接集められ、それにシンチレーション液体を添加した。放出された[H]DAを、シンチレーション計数で計量した。各室に対して、ピークの集積面積が、その基底線に対して標準化した。
【0098】
放出は、L−ニコチンの等濃度で得られた放出の割合として表された。各評価内で、各テスト化合物は、2〜3室を使用して反復され、反復は平均化した。適当な時点で、テスト化合物の投与量−応答曲線を決定した。個々の化合物に対する最大活性(Emax)は、L−ニコチンにより誘発された最大活性の割合として決定した。特定イオン流束の半最大活性(EC50)をもたらす化合物濃度も規定した。
【0099】
ヒト筋肉サブタイプにおける選択性対末梢nAChRの相互作用
筋肉タイプのnAChRの活性は、胎児性横紋筋肉腫由来のヒトクローン株TE671/RD(Strattonら,Carcinogen 10:899−905(1989)について確立された。これらの細胞は、筋肉タイプのnAChRに類似の薬理的(Lukas ら,J.Pharmacol.Exp.Ther.251:175−182、1989)、電気生理学的(Oswald ら,Neurosci.Lett.96:207−212;1989)および分子生物学的側面(Lutherら,J.Neurosci.9:1082−1096,1989)を有する受容体を発現する。
【0100】
TE671/RD細胞は、通常の手順により増殖性成長期に維持した(Bencherif ら,Mol.Cell.Neurosci.2:52−65(1991)およびBencherifら,J.Pharmacol.Exp.Ther.257:946−953(1991))。細胞は、10%のウマ血清(ギブコBRL)、5%のウシ胎仔血清(HyClone,Logan UT)、1mMのピルビン酸ナトリウム、4mMのL−グルタミン、50,000単位のペニシリン−ストレプトマイシン(Irvine Scientific)を伴うダルベッコを改良したイーグル(Eagle)培地(ギブコ/BRL)において培養した。細胞が80%コンフルエントのときに、それらは6ウエルのポリスチレンプレート(Costar)に植えつけた。実験は、細胞が100%コンフルエントを達成したときに行われた。
【0101】
ニコチンアセチルコリン受容体(nAChR)の機能は、Lukasら,Anal.Biochem.175:212−218(1988)により記載された方法により、86Rb放出放射線束を使用して評価された。実験の日に、成長培地をウエルからゆっくりと除去し、86RbCl(10Ci/ml)を含む成長培地を各ウエルに添加した。細胞は、37℃で少なくとも3時間インキュベートした。負荷期間の後、過剰の86Rbを取り出し、細胞は、細胞を駄目にしないように注意しながら、ラベル無しのダルベッコリン酸塩緩衝生理食塩水(NaCl、138mM;KCl、2.67mM;KHPO、1.47mM;NaHPO、8.1mM;CaCl、0.9mM;MgCl、0.5mM;インビトロゲン/ギブコ;pH7.4)で2回洗浄した。次に、細胞を、100μMのテスト化合物、または100μMのL−ニコチン(Acros Organics)、または緩衝液単独に4分間曝露した。曝露期間の後、放出された86Rbを含む上澄み液を取り出し、シンチレーションガラスビンに移した。シンチレーション液体を添加し、放出放射能を液体シンチレーション計数で測定した。
【0102】
各評価内で、各点を2度反復し、平均化した。86Rb放出の量が、陽性対照(100μM L−ニコチン)および陰性対照(緩衝液単独)の両方と比較し、L−ニコチンによる放出に対する放出割合を測定した。
【0103】
適当な時点で、テスト化合物の投与量−応答曲線を測定した。個々の化合物の最大活性(Emax)は、L−ニコチンにより誘発された最大活性の割合として決定した。特定イオン流束の半最大活性(EC50)をもたらす化合物濃度も規定した。
【0104】
ネズミの神経節サブタイプにおける相互作用
ネズミの神経節nAChRの活性化は、ネズミの副腎髄質の腫瘍由来の神経堤由来の連続クローン細胞株である褐色細胞種クローン株PC12について確立され た。これらの細胞は、神経節類似の神経nAChRを発現する(Whitingら,Nature 327:515−518(1987);Lukasら,J.Pharmacol.Exp.Ther.251:175−182(1989);Whiting ら,Mol.Brain Res.10:61−70(1990)を参照)。
【0105】
ネズミのPC12細胞は、通常の手順により増殖性成長期に維持した(Bencherif ら,Mol.Cell.Neurosci.2:52−65(1991)およびBencherif ら,J.Pharmacol.Exp.Ther.257:946−953(1991))。細胞は、10%のウマ血清(ギブコ BRL)、5%のウシ胎仔血清(HyClone,Logan UT)、1mMピルビン酸ナトリウム、4mLのL−グルタミン、50,000単位のペニシリン−ストレプトマイシン(Irvine Scientific)を伴うダルベッコを改良したイーグル培地(ギブコ/BRL)において培養した。細胞が80%コンフルエントの時に、これらを6ウエ ルのナンク(Nunc)プレート(Nunclon)に植えつけ、0.03%のポリ−L−リシン(シグマ(Sigma)、100mMのホウ酸に溶解された)で被覆された。実験は、細胞が80%コンフルエントを達成したときに行われた。
【0106】
ニコチンアセチルコリン受容体(nAChR)の機能は、Lukasら,Anal.Biochem.175:212−218(1988)により記載された方法により、86Rb放出放射線束を使用して評価された。実験の日に、成長培地をウエルからゆっくりと除去し、86RbCl(10Ci/ml)を含む成長培地を各ウエルに添加した。細胞は、37℃で少なくとも3時間でインキュベートした。負荷期間の後、過剰の86Rbを取り出し、細胞は、細胞を駄目にしないように注意しながら、ラベル無しのダルベッコリン酸塩緩衝生理食塩水(NaCl、138mM;KCl、2.67mM;KHPO、1.47mM;NaHPO、8.1mM;CaCl、0.9mM;MgCl、0.5mM;インビトロゲン/ギブコ;pH7.4)で2回洗浄された。次に、細胞は、100μMのテスト化合物、または100μMのニコチン、または緩衝液単独に4分間曝露した。曝露期間の後、放出された86Rbを含む上澄み液を取り出し、シンチレーションガラスビンに移した。シンチレーション液体が添加され、放出放射能が液体シンチレーション計数で測定した。
【0107】
各評価内で、各点を2度反復し、平均化した。86Rb放出の量が、陽性対照(100μMニコチン)および陰性対照(緩衝液単独)の両方と比較され、L−ニコチンによる放出に対する放出割合が決定された。
【0108】
適当な時点で、テスト化合物の投与量−応答曲線が決定した。個々の化合物の最大活性(Emax)は、L−ニコチンにより誘発された最大活性の割合として決定した。特定イオン流束の半最大活性(EC50)をもたらす化合物濃度も規定した。
【0109】
ヒト神経節サブタイプにおける相互作用
細胞株、SH−SY5Yは、ヒト末梢神経芽細胞腫を元として得られた親細胞株、SK−N−SHの逐次サブクローニングによって誘導された連続細胞株である。SH−SY5Y細胞は、神経節類似のnAChRを発現する(Lukasら,Mol.Cell.Neurosci.4:1−12、1993)。
【0110】
ヒトSH−SY5Y細胞は、通常の手順により増殖性成長期において維持した(Bencherif ら,Mol.Cell.Neurosci.2:52−65(1991)およびBencherif ら,J.Pharmacol.Exp.Ther.257:946−953(1991))。細胞は、10%のウマ血清(ギブコ BRL)、5%のウシ胎仔血清(HyClone,Logan UT)、1mMのピルビン酸ナトリウム、4mMのL−グルタミン、50,000単位のペニシリン−ストレプトマイシン(Irvine Scientific)を伴うダルベッコを改良したイーグル培地(ギブコ/BRL)において培養した。細胞が80%コンフルエントの時に、これらは6ウエ ルのポリスチレンプレート(Costar)に植えつけた。実験は、細胞が100%コンフルエントを達成したときに行われた。
【0111】
ニコチンアセチルコリン受容体(nAChR)の機能は、Lukasら,Anal.Biochem.175:212−218(1988)により記載された方法により、86Rb放出放射線束を使用して評価された。実験の日に、成長培地をウエルからゆっくりと除去し、86RbCl(10(チェック)Ci/ml)を含む成長培地を各ウエルに添加した。細胞は、37℃で少なくとも3時間でインキュベートした。負荷期間の後、過剰の86Rbを取り出し、細胞は、細胞を駄目にしないように注意しながら、ラベル無しのダルベッコリン酸塩緩衝生理食塩水(NaCl、138mM;KCl、2.67mM;KHPO、1.47mM;NaHPO、8.1mM;CaCl、0.9mM;MgCl、0.5mM;インビトロゲン/ギブコ;pH7.4)で2回洗浄された。次に、細胞は、100μMのテスト化合物、または100μMのニコチン、または緩衝液単独に4分間曝露した。曝露期間の後、放出された86Rbを含む上澄み液を取り出し、シンチレーションガラスビンに移した。シンチレーション液体が添加され、放出放射能が液体シンチレーション計数で測定した。
【0112】
各評価内で、各点が2度反復され、平均化された。86Rb放出の量が、陽性対照(100μMニコチン)および陰性対照(緩衝液単独)の両方と比較され、L−ニコチンによる放出に対する放出割合が決定された。
【0113】
適当な時点で、テスト化合物の投与量−応答曲線が決定した。個々の化合物の最大活性(Emax)は、L−ニコチンにより誘発された最大活性の割合として決定した。特定イオン流束の半最大活性(EC50)をもたらす化合物濃度も規定した。
【0114】
代表的な化合物が、本明細書に記載された評価方法を使用して評価された。結果は、本発明の化合物が、α4β2nAChRにおいて選択的に結合し、したがって、ドーパミン放出を引き出すことを示した。一般に、α4β2における結合に対するKi値は、1〜100nMの範囲であり、ドーパミン放出に対するEMAX値 は、ニコチンにより産生されるそれの100%に近い。反対に、本発明の化合物は、末梢神経および筋肉組織の特徴であるnAChRのこれらのサブタイプにおいて十分に結合しない。したがって、本発明の化合物は、末梢神経系との相互作用に伴う副作用を引き起すことなしに、中枢神経系疾患の治療において治療の可能性を保有する。
【0115】
本発明の主題を記載したが、本発明の多くの変更、置換および変形がその観点において可能であることは明らかである。本発明は、特に記載されたもの以外でも行うことができることが理解されるべきである。そのような変更、置換および変形は、本出願の範囲内にあるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、波線は、二重結合のまわりのE構造を表し、
Xは、C−Rであり、
は、水素、C1−6−アルキル、ハロゲン、−OR、−NRまたは−SRであり、
は、水素、C1−6−アルキル、アリール、アリール−C1−6−アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1−6−アルキル、複素環、複素環−C1−6−アルキル、シクロアルキル、ポリシクロアルキル、−OR、−NR、−SR、−SORまたは−SOであり、
ここで、C1−6−アルキル、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリールまたはアリール基は、F、Cl、Br、I、−R、−OR、−NR、−CF、−OCF、−CN、−NO、−SR、−S(O)R、−SO、−O−SO、−C(=O)NR、−NRC(=O)R、−C(=O)OR、−OC(=O)R、−NHSO、−SONR、−C(S)NRおよび−NHC(S)Rから成る群から選ばれる1個または複数個の置換基で置換されていることができ、
は、水素またはメチルであり、
およびRは、独立的に、水素またはC1−6−アルキルであり、
およびRは、独立的に、水素、C1−6−アルキル、アリール、アリール−C1−6−アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1−6−アルキル、複素環、複素環アルキル、シクロアルキルまたはポリシクロアルキルであり、
ここで、C1−6−アルキル、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリールおよびアリール基は、F、Cl、Br、I、−R、−NR、−CF、−CN、−NO、−C、−N、−SOCH、−OR、−SR、−C(=O)NR、−NRC(=O)R、−C(=O)R、−C(=O)OR、−(CHOR、−OC(=O)R、−OC(=O)NRおよび−NRC(=O)ORから成る群から選ばれる1個または複数個の置換基で置換されていることができ、
およびRは、独立的に、水素、C1−6−アルキルまたは芳香族基含有種であり、
ここで、芳香族基含有種は、C1−6−アルキル、ハロゲンまたはアミノの1個または複数個で置換されていることができ、
およびR、またはRおよびRのいずれかは、それらが結合している原子と一緒に3〜10員環を形成し、
qは、1、2、3、4、5または6であり、
mは、1、2、3または4であり、および
nは、1、2または3である]
のビニルアザシクロアルカン化合物、またはその異性体、混合物、光学異性体、ジアステレオマー、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【請求項2】
式(I):
【化2】

[式中、波線は、二重結合のまわりの可変構造(EまたはZ)を表し、
Xは、C−Rであり、
は、水素、C1−6−アルキル、ハロゲン、−OR、−NRまたは−SRであり、
は、水素、C1−6−アルキル、アリール、アリール−C1−6−アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1−6−アルキル、複素環、複素環−C1−6−アルキル、シクロアルキル、ポリシクロアルキル、−OR、−NR、−SR、−SORまたは−SOであり、
ここで、C1−6−アルキル、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリールまたはアリール基は、F、Cl、Br、I、−R、−OR、−NR、−CF、−OCF、−CN、−NO、−SR、−S(O)R、−SO、−O−SO、−C(=O)NR、−NRC(=O)R、−C(=O)OR、−OC(=O)R、−NHSO、−SONR、−C(S)NRおよび−NHC(S)Rから成る群から選ばれる1個または複数個の置換基で置換されていることができ、
は、水素またはメチルであり、
およびRは、独立的に、水素またはC1−6−アルキルであり、
およびRは、独立的に、水素、C1−6−アルキル、アリール、アリール−C1−6−アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1−6−アルキル、複素環、複素環アルキル、シクロアルキルまたはポリシクロアルキルであり、
ここで、C1−6−アルキル、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリールおよびアリール基は、F、Cl、Br、I、−R、−NR、−CF、−CN、−NO、−C、−N、−SOCH、−OR、−SR、−C(=O)NR、−NRC(=O)R、−C(=O)R、−C(=O)OR、−(CHOR、−OC(=O)R、−OC(=O)NRおよび−NRC(=O)ORから成る群から選ばれる1個または複数個の置換基で置換されていることができ、
およびRは、独立的に、水素、C1−6−アルキルまたは芳香族基含有種であり、
ここで、芳香族基含有種はC1−6−アルキル、ハロゲンまたはアミノの1個または複数個で置換されていることができ、または
およびR、またはRおよびRのいずれかは、それらが結合している原子と一緒に3〜10員環を形成し、
qは、1、2、3、4、5または6であり、
mは、1、2、3または4であり、および
nは、1、2または3であるが、
ただし、
およびRがそれぞれ水素であるとき、Rは水素であり、
が水素であり、Rが−ORであり、かつRがフェニルであるときは、Rは水素であり、
が水素であり、Rが−ORであり、かつRがエチルであるときは、Rは水素であり、および
が−ORであり、Rがイソプロピルであり、かつRが水素またはメチルであるときは、Rは水素以外である]
のビニルアザシクロアルカン化合物、またはその異性体、混合物、光学異性体、ジアステレオマー、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【請求項3】
式(I):
【化3】

[式中、波線は、二重結合のまわりの可変構造(EまたはZ)を表し、
Xは、C−Rであり、
は、水素、C1−6−アルキル、ハロゲン、−OR、−NRまたは−SRであり、
は、水素、C1−6−アルキル、アリール、アリール−C1−6−アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1−6−アルキル、複素環、複素環−C1−6−アルキル、シクロアルキル、ポリシクロアルキル、−OR、−NR、−SR、−SORまたは−SOであり
ここで、C1−6−アルキル、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリールまたはアリール基は、F、Cl、Br、I、−R、−OR、−NR、−CF、−OCF、−CN、−NO、−SR、−S(O)R、−SO、−O−SO、−C(=O)NR、−NRC(=O)R、−C(=O)OR、−OC(=O)R、−NHSO、−SONR、−C(S)NRおよび−NHC(S)Rから成る群から選ばれる1個または複数個の置換基で置換されていることができ、
は、水素またはメチルであり、
およびRは、独立的に、水素またはC1−6−アルキルであり、
およびRは、独立的に、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、フェニル、ナフチル、インデニル、フェニル−C1−6−アルキル、ナフチル−C1−6−アルキル、インデニル−C1−6−アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1−6−アルキル、複素環、複素環アルキル、シクロアルキルまたはポリシクロアルキルであり、
ここで、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、フェニル、ナフチル、インデニル、シクロアルキル、複素環およびヘテロアリール基は、F、Cl、Br、I、−R、−NR、−CF、−CN、−NO、−C、−N、−SOCH、−OR、−SR、−C(=O)NR、−NRC(=O)R、−C(=O)R、−C(=O)OR、−(CHOR、−OC(=O)R、−OC(=O)NRおよび−NRC(=O)ORから成る群から選ばれる1個または複数個の置換基で置換されていることができ、
およびRは、独立的に、水素、C1−6−アルキルまたは芳香族基含有種であり、
ここで、芳香族基含有種は、C1−6−アルキル、ハロゲンまたはアミノの1個または複数個で置換されていることができ、
およびR、またはRおよびRのいずれかは、それらが結合している原子と一緒に3〜10員環を形成し、
qは、1、2、3、4、5または6であり、
mは、1、2、3または4であり、および
nは、1、2または3であるが、
ただし、
およびRがそれぞれ水素であるとき、Rは水素であり、
が水素であり、Rが−ORであり、かつRがフェニルであるときは、Rは水素であり、
が水素であり、Rが−ORであり、かつRがエチルであるときは、Rは水素であり、および
が−ORであり、Rがイソプロピルであり、かつRが水素またはメチルであるときは、Rは水素以外である]
のビニルアザシクロアルカン化合物、またはその異性体、混合物、光学異性体、ジアステレオマー、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【請求項4】
式(I):
【化4】

[式中、波線は、二重結合のまわりの可変構造(EまたはZ)を表し、
Xは、C−Rであり、
は、水素、C1−6−アルキル、ハロゲン、−OR、−NRまたは−SRであり、
は、−ORであり、
は、水素またはメチルであり、
およびRは、独立的に、水素またはC1−6−アルキルであり、
は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、フェニル、ナフチル、インデニル、フェニル−C1−6−アルキル、ナフチル−C1−6−アルキル、インデニル−C1−6−アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1−6−アルキル、複素環、複素環アルキル、シクロアルキルまたはポリシクロアルキルであり、
ここで、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、フェニル、ナフチル、インデニル、シクロアルキル、複素環およびヘテロアリール基は、F、Cl、Br、I、−R、−NR、−CF、−CN、−NO、−C、−N、−SOCH、−OR、−SR、−C(=O)NR、−NRC(=O)R、−C(=O)R、−C(=O)OR、−(CHOR、−OC(=O)R、-OC(=O)NRおよび−NRC(=O)ORから成る群から選ばれる1個または複数個の置換基で置換されていることができ、
およびRは、独立的に、水素、C1−6−アルキルまたは芳香族基含有種であり、
ここで、芳香族基含有種はC1−6−アルキル、ハロゲンまたはアミノの1個または複数個で置換されていることができ、
およびRは、それらが結合している原子と一緒に3〜10員環を形成し、
qは、1、2、3、4、5または6であり、
mは、1、2、3または4であり、および
nは、1、2または3であるが、
ただし、
およびRがそれぞれ水素であるとき、Rは水素であり、
が水素であり、かつRがフェニルであるとき、Rは水素であり、
が水素であり、かつRがエチルであるとき、Rは水素であり、
がイソプロピルであり、かつRが水素またはメチルであるとき、Rは水素以外である]
のビニルアザシクロアルカン化合物、またはその異性体、混合物、光学異性体、ジアステレオマー、互変異性体または薬学的に許容される塩。
【請求項5】
式:
【化5】

[式中、波線は、二重結合のまわりの可変構造(EまたはZ)を表し、
Xは、C−Rであり、
は、水素、C1〜6−アルキル、ハロゲン、−OR、−NRまたは−SRであり、
は、水素、C1〜6−アルキル、アリール、アリール−C1〜6−アルキル、C1〜6−アルキル−アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1〜6−アルキル、複素環、複素環アルキル、シクロアルキル、ポリシクロアルキル、−OR、−NR、−SR、−SORまたは−SOであり、それぞれは、ハロゲン、−CN、−NO、−NH、−OH、−OR、−COOH、−C(O)OR、−O−C(O)R、−NR、−NHC(O)R、−C(O)NR、−SR、−S(O)R、−SO、−NHSO、−SONR、−C(S)NR、−NHC(S)R、−O−SO、アリール、ヘテロアリール、ホルミル、トリフルオロメチル、トリフルオロメチルスルファニル、トリフルオロメトキシおよびC1〜6−アルキルから選ばれる1個または複数の置換基で場合によって置換されていることができ、
は、水素、C1〜6−アルキル、アリール−C1〜6−アルキル、ヘテロアリール−C1〜6−アルキル、複素環、複素環アルキル、シクロアルキルまたはポリシクロアルキルであり、
mは、1〜4であり、
nは、1〜3であり、
およびRは、独立的に、水素またはC1〜6−アルキルであり、
およびRは、独立的に、水素、C1〜6−アルキル(シクロアルキル含有アルキルを含む)、アリール、アリール−C1〜6−アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1〜6−アルキル、複素環、複素環アルキル、シクロアルキルまたはポリシクロアルキルであり、それぞれは、ハロゲン、C1〜6−アルキル、C1〜6−アルコキシ、−CN、−NO、−NH、−OH、−COOH、−COO−C1〜6−アルキル、−CONH、ホルミル、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選ばれる1個または複数の置換基で場合によって置換されていることができ、
1〜6−アルキル、複素環、ヘテロアリールおよびアリール基は、F、Cl、Br、I、R、−NR、−CF、−CN、−NO、−C、−N、−SOCH、−OR、−SR、−C(=O)NR、−NRC(=O)R、−C(=O)R、−C(=O)OR、−(CHOR、−OC(=O)R、−OC(=O)NRおよび−NRC(=O)ORから成る群から選ばれる1〜6個の置換基で置換されていることができ、
およびRは、個々に、水素、C1〜6−アルキル、ピリジル、置換ピリジル、キノリニル、置換キノリニル、ピリミジニル、置換ピリミジニル、フェニル、置換フェニル、ベンジルまたは置換ベンジルであり(1個または複数の前記置換基で置換されている)、
とRまたはRとRは、C1〜10−シクロアルキル官能性を形成することができる]の化合物、またはその異性体、混合物、光学異性体、ジアステレオマー、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【請求項6】
芳香族基含有種が、ピリジル、キノリニル、ピリミジニル、フェニルまたはベンジルである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
がHである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
が−ORである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
nが1である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
mが2である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
が複素環である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
二重結合のまわりの構造がEである、請求項2〜11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
(R)−および(S)−2−クロロ−5−((E)−2−ピロリジン−3−イルビニル)ピリジン、
(R)−および(S)−3−シクロプロピルメトキシ−5−((E)−2−ピロリジン−3−イルビニル)ピリジン、
(R)−および(S)−2−クロロ−5−((E)−2−ピペリジン−3−イルビニル) ピリジン、
(R)−および(S)−3−シクロプロピルメトキシ−5−((E)−2−ピペリジン−3−イルビニル)ピリジン、および
2−クロロ−5−((E)−2−ピペリジン−4−イルビニル)ピリジン
からなる群から選択される化合物、その異性体、混合物、光学異性体、ジアステレオマー、互変異性体または薬学的に許容されるその塩。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物および少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む、医薬品組成物。
【請求項15】
追加の活性成分をさらに含む、請求項14に記載の医薬品組成物。
【請求項16】
式:
【化6】

[式中、波線は、二重結合のまわりの可変構造(EまたはZ)を表し、
Xは、C−Rであり、
は、水素、C1−6−アルキル、ハロゲン、−OR、−NRまたは−SRであり、
は、水素、C1−6−アルキル、アリール、アリール−C1−6−アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1−6−アルキル、複素環、複素環−C1−6−アルキル、シクロアルキル、ポリシクロアルキル、−OR、−NR、−SR、−SORまたは−SOであり、
ここで、C1−6−アルキル、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリールまたはアリール基は、F、Cl、Br、I、−R、−OR、−NR、−CF、−OCF、−CN、−NO、−SR、−S(O)R、−SO、−O−SO、−C(=O)NR、−NRC(=O)R、−C(=O)OR、−OC(=O)R、−NHSO、−SONR、−C(S)NRおよび−NHC(S)Rから成る群から選ばれる1個または複数個の置換基で置換されていることができ、
は、水素またはメチルであり、
およびRは、独立的に、水素またはC1−6−アルキルであり、
およびRは、独立的に、水素、C1−6−アルキル、アリール、アリール−C1−6−アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1−6−アルキル、複素環、複素環アルキル、シクロアルキルまたはポリシクロアルキルであり、
ここで、C1−6−アルキル、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリールおよびアリール基は、F、Cl、Br、I、−R、−NR、−CF、−CN、−NO、−C、−N、−SOCH、−OR、−SR、−C(=O)NR、−NRC(=O)R、−C(=O)R、−C(=O)OR、−(CHOR、−OC(=O)R、−OC(=O)NRおよび−NRC(=O)ORから成る群から選ばれる1個または複数個の置換基で置換されていることができ、
およびRは、独立的に、水素、C1−6−アルキルまたは芳香族基含有種であり、
ここで、芳香族基含有種は、C1−6−アルキル、ハロゲンまたはアミノの1個または複数個で置換されていることができ、または
およびR、またはRおよびRのいずれかは、それらが結合している原子と一緒に3〜10員環を形成し、
qは、1、2、3、4、5または6であり、
mは、1、2、3または4であり、および
nは、1、2または3である]
のアリールビニルアザシクロアルカン化合物、またはその異性体、混合物、光学異性体、ジアステレオマー、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩を含む、1種または複数種の神経変性疾患を治療または予防するための医薬品組成物。
【請求項17】
式:
【化7】

[式中、波線は、二重結合のまわりの可変構造(EまたはZ)を表し、
Xは、C−Rであり、
は、水素、C1〜6−アルキル、ハロゲン、−OR、−NRまたは−SRであり、
は、水素、C1〜6−アルキル、アリール、アリール−C1〜6−アルキル、C1〜6−アルキル−アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1〜6−アルキル、複素環、複素環アルキル、シクロアルキル、ポリシクロアルキル、−OR、−NR、−SR、−SORまたは−SOであり、それぞれは、ハロゲン、−CN、−NO、−NH、−OH、−OR、−COOH、−C(O)OR、−O−C(O)R、−NR、−NHC(O)R、−C(O)NR、−SR、−S(O)R、−SO、−NHSO、−SONR、−C(S)NR、−NHC(S)R、−O−SO、アリール、ヘテロアリール、ホルミル、トリフルオロメチル、トリフルオロメチルスルファニル、トリフルオロメトキシおよびC1〜6−アルキルから選ばれる1個または複数の置換基で場合によって置換されていることができ、
は、水素、C1〜6−アルキル、アリール−C1〜6−アルキル、ヘテロアリール−C1〜6−アルキル、複素環、複素環アルキル、シクロアルキルまたはポリシクロアルキルであり、
mは、1〜4であり、
nは、1〜3であり、
およびRは、独立的に、水素またはC1〜6−アルキルであり、
およびRは、独立的に、水素、C1〜6−アルキル(シクロアルキル含有アルキルを含む)、アリール、アリール−C1〜6−アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1〜6−アルキル、複素環、複素環アルキル、シクロアルキルまたはポリシクロアルキルであり、それぞれは、ハロゲン、C1〜6−アルキル、C1〜6−アルコキシ、−CN、−NO、−NH、−OH、−COOH、−COO−C1〜6−アルキル、−CONH、ホルミル、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選ばれる1個または複数の置換基で場合によって置換されていることができ、
1〜6−アルキル、複素環、ヘテロアリールおよびアリール基は、F、Cl、Br、I、R、−NR、−CF、−CN、−NO、−C、−N、−SOCH、−OR、−SR、−C(=O)NR、−NRC(=O)R、−C(=O)R、−C(=O)OR、−(CHOR、−OC(=O)R、−OC(=O)NRおよび−NRC(=O)ORから成る群から選ばれる1〜6個の置換基で置換されていることができ、
およびRは、個々に、水素、C1〜6−アルキル、ピリジル、置換ピリジル、キノリニル、置換キノリニル、ピリミジニル、置換ピリミジニル、フェニル、置換フェニル、ベンジルまたは置換ベンジルであり(1個または複数の前記置換基で置換されている)、
およびRまたはRおよびRは、C1〜10−シクロアルキル官能性を形成することができる]の化合物、またはその異性体、混合物、光学異性体、ジアステレオマー、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩を含む、神経変性疾患を治療するための医薬品組成物。
【請求項18】
前記神経変性疾患が、神経伝達物質の放出の不適切な水準、神経伝達物質受容体の不適切な性質、神経伝達物質および神経伝達物質受容体間の不適切な相互作用、またはその組み合わせに起因する、請求項16または17に記載の医薬品組成物。
【請求項19】
前記疾患が、アセチルコリン、ドーパミン、ノルエピネフリンもしくはセロトニンの欠乏、またはその組み合わせに起因する、請求項18に記載の医薬品組成物。
【請求項20】
前記疾患が、初老期痴呆症、早期アルツハイマー病、老人性痴呆症、アルツハイマータイプの痴呆症、加齢またはアルコール中毒症の結果である認知症および若年性健忘症、微小梗塞痴呆症および血管性痴呆症、エイズ関連痴呆症、クロイツフェルトヤコブ病、ピック病、パーキンソン病、レービー体痴呆症、進行性核上麻痺、ハンチントン舞踏病、遅発性ジスキネジー、運動過剰症、躁病、癲癇、注意欠陥障害、不安症、失読症、統合失調症、鬱病、強迫神経症、トウーレット症候群、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、末梢神経障害、脳または脊髄傷害、および薬物中毒から成る群から選ばれる、請求項16〜19のいずれか1項に記載の医薬品組成物。
【請求項21】
前記疾患が、アルツハイマー病、アルツハイマータイプの痴呆症、注意欠陥障害、軽い認知機能障害、年齢に関連した記憶機能障害、および統合失調症から選ばれる、請求項16〜20のいずれか1項に記載の医薬品組成物。
【請求項22】
式:
【化8】

[式中、波線は、二重結合のまわりの可変構造(EまたはZ)を表し、
Xは、C−Rであり、
は、水素、C1−6−アルキル、ハロゲン、−OR、−NRまたは−SRであり、
は、水素、C1−6−アルキル、アリール、アリール−C1−6−アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1−6−アルキル、複素環、複素環−C1−6−アルキル、シクロアルキル、ポリシクロアルキル、−OR、−NR、−SR、−SORまたは−SOであり、
ここで、C1−6−アルキル、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリールまたはアリール基は、F、Cl、Br、I、−R、−OR、−NR、−CF、−OCF、−CN、−NO、−SR、−S(O)R、−SO、−O−SO、−C(=O)NR、−NRC(=O)R、−C(=O)OR、−OC(=O)R、−NHSO、−SONR、−C(S)NRおよび−NHC(S)Rから成る群から選ばれる1個または複数個の置換基で置換されていることができ、
は、水素またはメチルであり、
およびRは、独立的に、水素またはC1−6−アルキルであり、
およびRは、独立的に、水素、C1−6−アルキル、アリール、アリール−C1−6−アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1−6−アルキル、複素環、複素環アルキル、シクロアルキルまたはポリシクロアルキルであり、
ここで、C1−6−アルキル、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリールおよびアリール基は、F、Cl、Br、I、−R、−NR、−CF、−CN、−NO、−C、−N、−SOCH、−OR、−SR、−C(=O)NR、−NRC(=O)R、−C(=O)R、−C(=O)OR、−(CHOR、−OC(=O)R、−OC(=O)NRおよび−NRC(=O)ORから成る群から選ばれる1個または複数個の置換基で置換されていることができ、
およびRは、独立的に、水素、C1−6−アルキルまたは芳香族基含有種であり、
ここで、芳香族基含有種は、C1−6−アルキル、ハロゲンまたはアミノの1個または複数個で置換されていることができ、または
およびR、またはRおよびRのいずれかは、それらが結合している原子と一緒に3〜10員環を形成し、
qは、1、2、3、4、5または6であり、
mは、1、2、3または4であり、および
nは、1、2または3である]
のアリールビニルアザシクロアルカン化合物、またはその異性体、混合物、光学異性体、ジアステレオマー、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩を含む、鎮痛を提供する、または炎症性胃腸疾患を治療または予防するための医薬品組成物。
【請求項23】
式:
【化9】

[式中、波線は、二重結合のまわりの可変構造(EまたはZ)を表し、
Xは、C−Rであり、
は、水素、C1〜6−アルキル、ハロゲン、−OR、−NRまたは−SRであり、
は、水素、C1〜6−アルキル、アリール、アリール−C1〜6−アルキル、C1〜6−アルキル−アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1〜6−アルキル、複素環、複素環アルキル、シクロアルキル、ポリシクロアルキル、−OR、−NR、−SR、−SORまたは−SOであり、それぞれは、ハロゲン、−CN、−NO、−NH、−OH、−OR、−COOH、−C(O)OR、−O−C(O)R、−NR、−NHC(O)R、−C(O)NR、−SR、−S(O)R、−SO、−NHSO、−SONR、−C(S)NR、−NHC(S)R、−O−SO、アリール、ヘテロアリール、ホルミル、トリフルオロメチル、トリフルオロメチルスルファニル、トリフルオロメトキシおよびC1〜6−アルキルから選ばれる1個または複数の置換基で場合によって置換されていることができ、
は、水素、C1〜6−アルキル、アリール−C1〜6−アルキル、ヘテロアリール−C1〜6−アルキル、複素環、複素環アルキル、シクロアルキルまたはポリシクロアルキルであり、
mは、1〜4であり、
nは、1〜3であり、
およびRは、独立的に、水素またはC1〜6−アルキルであり、
およびRは、独立的に、水素、C1〜6−アルキル(シクロアルキル含有アルキルを含む)、アリール、アリール−C1〜6−アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1〜6−アルキル、複素環、複素環アルキル、シクロアルキルまたはポリシクロアルキルであり、それぞれは、ハロゲン、C1〜6−アルキル、C1〜6−アルコキシ、−CN、−NO、−NH、−OH、−COOH、−COO−C1〜6−アルキル、−CONH、ホルミル、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選ばれる1個または複数の置換基で場合によって置換されていることができ、
1〜6−アルキル、複素環、ヘテロアリールおよびアリール基は、F、Cl、Br、I、R、−NR、−CF、−CN、−NO、−C、−N、−SOCH、−OR、−SR、−C(=O)NR、−NRC(=O)R、−C(=O)R、−C(=O)OR、−(CHOR、−OC(=O)R、−OC(=O)NRおよび−NRC(=O)ORから成る群から選ばれる1〜6個の置換基で置換されていることができ、
およびRは、個々に、水素、C1〜6−アルキル、ピリジル、置換ピリジル、キノリニル、置換キノリニル、ピリミジニル、置換ピリミジニル、フェニル、置換フェニル、ベンジルまたは置換ベンジルであり(1個または複数の前記置換基で置換されている)、
およびRまたはRおよびRは、C1〜10−シクロアルキル官能性を形成することができる]の化合物、またはその異性体、混合物、光学異性体、ジアステレオマー、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩を含む、鎮痛を提供するかつ/または炎症性胃腸疾患を治療するための医薬品組成物。
【請求項24】
炎症性疾患が、下痢、クローン病、過敏性腸症候群および潰瘍性大腸炎から成る群から選ばれる、請求項22または23に記載の医薬品組成物。
【請求項25】
がHである、請求項16〜24のいずれか1項に記載の医薬品組成物。
【請求項26】
が−ORである、請求項16〜25のいずれか1項に記載の医薬品組成物。
【請求項27】
nが1である、請求項16〜26のいずれか1項に記載の医薬品組成物。
【請求項28】
mが2である、請求項16〜27のいずれか1項に記載の医薬品組成物。
【請求項29】
が複素環である、請求項16〜28のいずれか1項に記載の医薬品組成物。
【請求項30】
二重結合のまわりの構造がEである、請求項16〜29のいずれか1項に記載の医薬品組成物。
【請求項31】
芳香族基含有種が、ピリジル、キノリニル、ピリミジニル、フェニルまたはベンジルである、請求項16〜30のいずれか1項に記載の医薬品組成物。
【請求項32】
化合物が、
(R)−および(S)−2−クロロ−5−((E)−2−ピロリジン−3−イルビニル)ピリジン、
(R)−および(S)−3−シクロプロピルメトキシ−5−((E)−2−ピロリジン−3−イルビニル)ピリジン、
(R)−および(S)−2−クロロ−5−((E)−2− ピペリジン−3−イルビニル)ピリジン、
(R)−および(S)−3−シクロプロピルメトキシ−5−((E)−2−ピペリジン−3−イルビニル)ピリジン、および
2−クロロ−5−((E)−2−ピペリジン−4−イルビニル)ピリジン、
ならびにその異性体、混合物、光学異性体、ジアステレオマー、互変異性体および薬学的に許容される塩から成る群から選ばれる、請求項16〜31のいずれか1項に記載の医薬品組成物。
【請求項33】
式:
【化10】

[式中、波線は、二重結合のまわりの可変構造(EまたはZ)を表し、
Xは、C−Rであり、
は、水素、C1−6−アルキル、ハロゲン、−OR、−NRまたは−SRであり、
は、水素、C1−6−アルキル、アリール、アリール−C1−6−アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1−6−アルキル、複素環、複素環−C1−6−アルキル、シクロアルキル、ポリシクロアルキル、-OR、-NR、-SR、-SORまたは−SOであり、
ここで、C1−6−アルキル、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリールまたはアリール基は、F、Cl、Br、I、−R、−OR、−NR、−CF、−OCF、−CN、−NO、−SR、−S(O)R、−SO、−O−SO、−C(=O)NR、−NRC(=O)R、−C(=O)OR、−OC(=O)R、−NHSO、−SONR、−C(S)NRおよび−NHC(S)Rから成る群から選ばれる1個または複数個の置換基で置換されていることができ、
は、水素またはメチルであり、
およびRは、独立的に、水素またはC1−6−アルキルであり、
およびRは、独立的に、水素、C1−6−アルキル、アリール、アリール−C1−6−アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1−6−アルキル、複素環、複素環アルキル、シクロアルキルまたはポリシクロアルキルであり、
ここで、C1−6−アルキル、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリールおよびアリール基は、F、Cl、Br、I、−R、−NR、−CF、−CN、−NO、−C、−N、−SOCH、−OR、−SR、−C(=O)NR、−NRC(=O)R、−C(=O)R、−C(=O)OR、−(CHOR、−OC(=O)R、−OC(=O)NRおよび−NRC(=O)ORから成る群から選ばれる1個または複数個の置換基で置換されていることができ、
およびRは、独立的に、水素、C1−6−アルキルまたは芳香族基含有種であり、
ここで、芳香族基含有種は、C1−6−アルキル、ハロゲンまたはアミノの1個または複数個で置換されていることができ、または
およびR、またはRおよびRのいずれかは、それらが結合している原子と一緒に3〜10員環を形成し、
qは、1、2、3、4、5または6であり、
mは、1、2、3または4であり、および
nは、1、2または3である]
のアリールビニルアザシクロアルカン化合物、またはその異性体、混合物、光学異性体、ジアステレオマー、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩の調製方法であって、
a)式:

[式中、mは1、2または3であり、およびnは1、2または3である]のアルデヒドと、式:
PPh=CH
のホスホランイリドとを反応させ、式:
【化11】

のビニルアザシクロアルカンを生成するステップ、
b)得られたビニルアザシクロアルカンを、式:
【化12】

[式中、XおよびRは上で定義された通りであり、Yはハロゲンである]のヘテロアリールハライドと反応させるステップ、および
c)残存する保護基を除去するステップ、
を含む方法。
【請求項34】
式:
【化13】

[式中、波線は、二重結合のまわりの可変構造(EまたはZ)を表し、
Xは、C−Rであり、
は、水素、C1〜6−アルキル、ハロゲン、−OR、−NRまたは−SRであり、
は、水素、C1〜6−アルキル、アリール、アリール−C1〜6−アルキル、C1〜6−アルキル−アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1〜6−アルキル、複素環、複素環アルキル、シクロアルキル、ポリシクロアルキル、OR、NR、SR、SORまたは−SOであり、それぞれは、ハロゲン、−CN、−NO、−NH、−OH、−OR、−COOH、−C(O)OR、−O−C(O)R、−NR、−NHC(O)R、−C(O)NR、−SR、−S(O)R、−SO、−NHSO、−SONR、−C(S)NR、−NHC(S)R、−O−SO、アリール、ヘテロアリール、ホルミル、トリフルオロメチル、トリフルオロメチルスルファニル、トリフルオロメトキシおよびC1〜6−アルキルから選ばれる1個または複数の置換基で場合によって置換されていることができ、
は、水素、C1〜6−アルキル、アリール−C1〜6−アルキル、ヘテロアリール−C1〜6−アルキル、複素環、複素環アルキル、シクロアルキルまたはポリシクロアルキルであり、
mは、1〜4であり、
nは、1〜3であり、
およびRは、独立的に、水素またはC1〜6−アルキルであり、
およびRは、独立的に、水素、C1〜6−アルキル(シクロアルキル含有アルキルを含む)、アリール、アリール−C1〜6−アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1〜6−アルキル、複素環、複素環アルキル、シクロアルキルまたはポリシクロアルキルであり、それぞれは、ハロゲン、C1〜6−アルキル、C1〜6−アルコキシ、−CN、−NO、−NH、−OH、−COOH、−COO−C1〜6−アルキル、−CONH、ホルミル、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選ばれる1個または複数の置換基で場合によって置換されていることができ、
1〜6−アルキル、複素環、ヘテロアリールおよびアリール基は、F、Cl、Br、I、R、−NR、−CF、−CN、−NO、−C、−N、−SOCH、−OR、−SR、−C(=O)NR、−NRC(=O)R、−C(=O)R、−C(=O)OR、−(CHOR、−OC(=O)R、−OC(=O)NRおよび−NRC(=O)ORから成る群から選ばれる1〜6個の置換基で置換されていることができ、
およびRは、個々に、水素、C1〜6−アルキル、ピリジル、置換ピリジル、キノリニル、置換キノリニル、ピリミジニル、置換ピリミジニル、フェニル、置換フェニル、ベンジルまたは置換ベンジルであり(1個または複数の前記置換基で置換されている)、
およびRまたはRおよびRは、C1〜10−シクロアルキル官能性を形成することができる]の化合物、またはその異性体、混合物、光学異性体、ジアステレオマー、互変異性体もしくは薬学的に許容される塩の調製方法であって、
a)式:
【化14】

[式中、mは、1〜4であり、nは、1〜3である]のアルデヒドと、式:
PPh=CH のホスホランイリドとを反応させ、式:
【化15】

のビニルアザシクロアルカンを生成するステップ、
b)得られたビニルアザシクロアルカンを、式:
【化16】

[式中、XおよびRは、上で定義された通りであり、Yはハロゲンである]のヘテロアリールハライドと反応させるステップ、および
c)残存する保護基を除去するステップ、
を含む方法。

【公開番号】特開2009−292825(P2009−292825A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178896(P2009−178896)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【分割の表示】特願2006−509059(P2006−509059)の分割
【原出願日】平成16年3月4日(2004.3.4)
【出願人】(501054735)ターガセプト,インコーポレイテッド (37)
【Fターム(参考)】