説明

アルキレンカーボネートを含んで成る化粧品組成物

本発明においては、アルキレンカーボネートを1種またはそれ以上のポリオールと組み合わせて含んで成る物質組成物が提供される。本発明の組成物は人体の一つまたはそれ以上の部分と接触させることを意図した個人用の手入れ製品を調合するのに有用である。本発明の組成物は、アルコール、アセトン、または体組織の脱脂を行うための他の揮発性で可燃性の溶媒、またはシリコーンを用い従来法において以前に調合されていたような広い範囲の最終用途製品を調合するのに使用した場合、大きな利点をもっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧品組成物に関する。特に本発明は炭素数が約6より少ないアルキレンカーボネートを含む化粧品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
良く知られているように、化粧品の調合業者は化粧品組成物の中に例えばエタノール、2−プロパノールのような1種またはそれ以上の揮発性の溶媒、およびシリコーンを含ませることが多い。しかしこれらの溶媒およびシリコーンはその性質上可燃性である(アルコール)か、或いは生分解性が遅い(シリコーン)かのいずれかである。これに加えて、アルコール類はそれらが接触した皮膚から水分を除去する傾向をもっている。
【0003】
従って、これらの溶媒およびシリコーンがもつ否定的な側面を除去し、同時にアルコール類およびシリコーン類に直接代わり得るに十分な溶解特性をもった費用効果の高い手段または材料が提供されるならば、このような手段または材料は化粧品の分野において広く使用されるであろう。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
本発明においては、(a)アルキレンカーボネート;および(b)少なくとも1種のポリオールを含んで成る物質組成物が提供される。
【0005】
発明の詳細な説明
一般的な意味において本発明によれば、(a)エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、およびグリセリンカーボネートから成る群から選ばれる1種またはそれ以上のアルキレンカーボネート;および(b)少なくとも1種のポリオールを含んで成る物質組成物が提供される。
【0006】
本発明による組成物を得るには、カーボネート成分とポリオール成分とを意図される最終用途に望ましい割合で混合するだけである。
【0007】
本発明の組成物を塗布することにより皮膚に与えられる全体としての感触および加湿特性は種々変化することができ、これは二元混合物中においてカーボネート対ポリオールの割合を調節するか、或いは二元混合物中に第2のカーボネートをさらに含ませるか、或いはまた二元混合物、或いは1種のポリオールと2種のカーボネートとを含む三元混合物の中に第2のポリオールをさらに含ませることによって調節することができる。これに加えて、上記混合物中におけるポリオールの分子量およびOH価を変化させることができる。
【0008】
ポリオールはカーボネートと混合することができるから、本発明の組成物にポリオールを含ませることは有利である。このことは、カーボネートの水素溶解特性が低いのに対し、ポリオールの水素溶解特性は遥かに高いという見地からは予想し得ないことである。また、ポリオールとカーボネートとの混合物は、下記の実施例に示されるように、多くの活性をもった成分および添加物を溶解することができる。さらにまた、シリコーンとポリオールとが相容性をもっていないことは従来法において公知であるが、それとは対照的に本発明の好適具体化例においてはカーボネートとポリオールとは互いに混合することができ、これによって単一の均一な組成物においてポリオールの加湿効果とカーボネートの皮膚を軟化させる特性とを同時に得ることができる。カーボネートおよびポリオールの水との相容性のために、本発明の組成物はシリコーンとは異なり湿った皮膚に塗布することができる。
【0009】
カーボネート成分
知覚に関連した言葉で述べれば、本発明の組成物は揮発性のシリコーンと少なくとも同じような挙動をし、塗布直後において皮膚を油性の残渣を含まない状態に保つ。このような結果は極めて驚くべきことである。何故なら上記のアルキレンカーボネートは揮発性ではなく、約240℃以上の沸点をもっているからである。下記表Iには、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、およびグリセリンカーボネート(GC)を含む本発明に有用なカーボネートの物理的性質のいくつかを掲げる。
【0010】
【表1】

【0011】
ポリオール成分
ポリオールの典型的な例はグリコール、例えばプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコールである。特に好適なものは分子量が約200〜800のポリアルキレングリコールである。しかし一分子当たり少なくとも2個のヒドロキシ基を含む任意の有機分子は、本明細書および添付特許請求の範囲記載のポリオールという言葉の意味の範囲に入り、この中には何の制限もなくさらにポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アルカンジオール、例えば1,4−ブタンジオール、マンニッヒ(mannich)ポリオール、スクロースポリオールが含まれる。
【0012】
下記の組成物は本発明の実施例と考えられるべきであるが、いかなる方法においても本発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0013】
90gのプロピレンカーボネートを平均分子量200のポリエチレングリコール10gと混合して均一な混合物にする。この混合物は、少量を手および下腕部に擦り込んだ場合、皮膚に対して軽い(light)感触と潤いを与える。
【実施例2】
【0014】
60gのブチレンカーボネートをプロピレングリコール40gと混合して均一な混合物にする。この混合物は、少量を手および下腕部に擦り込んだ場合、皮膚に対して重い(heavier)感触と潤いを与える。
【実施例3】
【0015】
ボディー・スプレー
ブチレンカーボネート 85g
PEG−200 10g
芳香剤 5g
【0016】
上記の組成物は単一相であり、エアロゾルの形で容易に投与され、迅速に吸収されて皮膚を芳香を発する柔かい状態にする。エタノールを用いてつくられた同等な製品は皮膚を乾燥させる。揮発性のシリコーンを用いてつくられた製品は湿った皮膚の上ではうまく広がらない。
【実施例4】
【0017】
ニキビ防止用トナー(anti−acne toner)
プロピレンカーボネート 96g
PEG−200 2g
サリチル酸 2g
【0018】
エタノールを用いてつくられた同等な製品は皮膚の感触を乾燥した状態にする。揮発性シリコーンを用いてつくられた製品はサリチル酸を溶解しない。
【実施例5】
【0019】
ネイルポリッシュ
プロピレンカーボネート 99g
PEG−400 0.5g
パンテノール 0.5g
【0020】
主としてアセトンを用いてつくられた通常の製品は可燃性であり、非常に強い不快臭をもち、爪および皮膚を著しく脱脂する。
【実施例6】
【0021】
ふけ防止処理剤
プロピレンカーボネート 95g
PEG−300 3g
サリチル酸 2g
【0022】
エタノールを用いてつくられた同等な製品は皮膚の感触を乾燥した状態にする。揮発性シリコーンを用いてつくられた製品はサリチル酸を溶解しない。
【実施例7】
【0023】
日焼け防止スプレー
ブチレンカーボネート 91.5g
プロピレングリコール 0.5g
メトキシ桂皮酸オクチル 8.0g
【0024】
揮発性シリコーンを用いてつくられた製品は紫外線吸収剤を溶解せず、組成物の一部として皮膚乾燥用のエタノールを必要とする。
【実施例8】
【0025】
ヘアートニック/デタングラー(detangler、髪のもつれ除去剤)
プロピレンカーボネート 80.0g
ヘキシレンカーボネート 5.5g
プロピレングリコール 2.0g
ヘキシレングリコール 2.0g
パンテノール 0.5g
【0026】
この製品は髪をやわらかにし、とき易い状態にする。
【実施例9】
【0027】
発汗防止用分散液
Al−Zrテトラクロロヒドレックスグリシネート 21.0g
ブチレンカーボネート 65g
タルク 11.0g
PEG−200 3.0g
【0028】
以上或る種の好適具体化例に関して本発明を記述し説明してきたが、本明細書並びに添付特許請求の範囲を読み取り理解すれば、それらについて自明な修正および変更を行うことは当業界の専門家にとって明白であるという事実を考慮しなければならない。上記の説明は、本明細書に添付された特許請求の範囲の種々の請求項の任意の一つと残りの請求項の一つまたはそれ以上との任意の組み合わせにより定義される主題を含んでおり、その中にはまた任意の従属請求項の特徴および/または限定が単独で、他の従属請求項の任意の一つまたはそれ以上の特徴および/または限定と組み合わされて、或いは独立請求項の任意の一つまたはそれ以上の特徴および/または限定と組み合わされて含まれ、原文における残りの従属請求項はこのように変更された独立請求項に対して読み替えられ適用されるものとする。またこれは一つまたはそれ以上の独立請求項の特徴および/または限定と他の独立請求項の特徴および/または限定とを組み合わせて修正された独立請求項を得ることを含み、この場合原文における残りの従属請求項はこのように変更された独立請求項に対して読み替えられ適用されるものとする。従って本発明はこのような修正および変更をすべて包含するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)アルキレンカーボネート;および(b)少なくとも1種のポリオールを含んで成ることを特徴とする物質組成物。
【請求項2】
該少なくとも1種のポリオールは1種またはそれ以上のアルキレングリコールを含んで成ることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項3】
該アルキレングリコールはプロピレングリコール、ブチレングリコール、およびヘキシレングリコールから成る群から選ばれることを特徴とする請求項2記載の組成物。
【請求項4】
該アルキレングリコールは、分子量が約200〜約800の少なくとも1種のポリアルキレングリコールを含んで成ることを特徴とする請求項2記載の組成物。
【請求項5】
該アルキレンカーボネートはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ヘキシレンカーボネート、およびグリセリンカーボネートから成る群から選ばれる1種またはそれ以上のアルキレンカーボネートを含んで成ることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項6】
該アルキレンカーボネートは、該組成物の全重量に関し約25重量%〜約99重量%の間の任意の量で存在していることを特徴とする請求項5記載の組成物。
【請求項7】
該ポリオールは、該組成物の全重量に関し約1重量%〜約75重量%の間の任意の量で存在していることを特徴とする請求項5記載の組成物。
【請求項8】
さらに、遊離脂肪酸、脂肪酸の陰イオン、硫酸アルキル、アルカノールアミン、アミンオキシド、炭酸アルカリ、水、炭素原子数が20より少ないアルコール、ココナツ油、塩化ナトリウム、重合体、アルコールアルコキシレート、ゼオライト、α−ヒドロキシ酸、硫酸アルカリ、酵素、ヒドロトロープ剤、染料、芳香剤、防腐剤、ポリアクリレート、精油、エーテルサルフェート、アルキルフェノールエトキシレート、脂肪酸アミド、α−オレフィンスルフォネート、パラフィンスルフォネート、ベタイン、キレート剤、獣脂アミンエトキシレート、ポリエーテルアミンエトキシレート、エチレンオキシド/プロピレンオキシド・ブロック共重合体、アルキルポリサッカリド、N−メチルグルコアミド、アルキル化されスルフォン化されたジフェニルオキシド、およびアルキルベンゼンスルフォネートから成る群から選ばれる第3の成分を含んで成ることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載された組成物。
【請求項9】
該第3の成分は、該組成物の全重量に関し約1重量%〜約70重量%の間の任意の量で存在していることを特徴とする請求項8記載の組成物。

【公表番号】特表2008−508283(P2008−508283A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523674(P2007−523674)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/026161
【国際公開番号】WO2006/014831
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(505318547)ハンツマン ペトロケミカル コーポレイション (17)
【Fターム(参考)】