説明

アルミニウムのリサイクル処理装置

【課題】回収したアルミニウム製品を連続したラインで一連に処理を行ない、一定の大きさのリサイクルアルミ片を得る。
【解決手段】アルミニウム缶などの原材料を投入する受入ホッパーと、この原材料を搬送する解砕機投入コンベヤと、搬送された原材料を一次破砕する解砕機と、一次破砕した原材料を均等にならしながら搬送する振動コンベヤと、搬送された原材料を一定量ずつ排出する流量調整ホッパーと、その原材料を搬送するシュレッダー投入コンベヤと、搬送された原材料をさらに細かく細断するシュレッダーと、細断された原材料を搬送するシュレッダー品搬送コンベヤと、細断された原材料に混入する土砂類を篩い落とす振動スクリーンと、原材料に混在する鉄片を吸着回収する1乃至複数の磁選機と、ゴミ類とアルミニウム片を選別する非鉄選別機とを一連に設けて、リサイクル処理装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回収したアルミ缶などからごみ等の夾雑物を除去して粉砕した状態のリサイクルアルミ材料を得るための装置に関し、さらには樹脂塗装などの不要部分を取り除いてリサイクルの純アルミニウムを得る装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
飲料用ボトルや飲料用缶にはアルミニウムが多用されている。そして、天然資源の再活用のためにこれら償却したボトルや缶を回収し、これをアルミニウム製品の原材料としてリサイクルするシステムが普及しつつある。
【0003】
しかしながら、償却した飲料用ボトルや缶は多様な経路によって回収されるので、これをリサイクルアルミニウム原材料とするためには、洗浄工程に始まり、複数の工程を経る必要がある。例えば特許文献1で処理方法の一例が示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2007−084876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例示した先行技術は、廃アルミのリサイクル処理方法および処理装置に関するものであり、洗浄粉砕工程に始まり加工工程で一連のリサイクルを構成している。しかしながら、当該先行技術では粉砕工程で採用する構成において、回転切断刃だけを利用しているので、粉砕した廃アルミは大きさにばらつきがある。しかし、この先行技術では、粉砕した廃アルミを即座に溶融する構成であるから上記ばらつきは大きい問題にはならないのであろうが、リサイクル原材料を別の場所に運搬して利用する場合には不都合がある。
【0006】
本発明は、回収した償却アルミニウム製品を連続したラインで一連に処理を行ない、ばらつきの少ない大きさのリサイクルアルミ片を得ることができる装置を開示することを目的とする。さらには、アルミニウムの表裏面に残留する樹脂被覆や印刷面などを除去して純アルミを得ることを目的とする。また、この工程で得た純アルミを造粒してより均一の大きさのリサイクルアルミニウム粒を製造する装置を開示することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、請求項1に係る発明として、アルミニウム缶などの原材料を投入する受入ホッパーと、この原材料を搬送する解砕機投入コンベヤと、搬送された原材料を一次破砕する解砕機と、一次破砕した原材料を均等にならしながら搬送する振動コンベヤと、搬送された原材料を一定量ずつ排出する流量調整ホッパーと、その原材料を搬送するシュレッダー投入コンベヤと、搬送された原材料をさらに細かく細断するシュレッダーと、細断された原材料を搬送するシュレッダー品搬送コンベヤと、細断された原材料に混入する土砂類を篩い落とす振動スクリーンと、原材料に混在する鉄片を吸着回収する1乃至複数の磁選機と、ゴミ類とアルミニウム片を選別する非鉄選別機とを一連に設けて、アルミニウム片を選別して得るようにアルミニウムのリサイクル処理装置を構成するという手段を採用した。
【0008】
また、請求項2に係る発明として、上記請求項1の構成の装置に続いて、選別されたアルミニウム片を搬送するデラッカー原料コンベヤ及び可逆コンベヤと、搬送されたアルミニウム片を一次貯留する中間ビンと、中間ビンの下端に設けられ、アルミニウム片を所定量ずつ排出する原料引出フィーダーと、排出されたアルミニウム片を搬送するデラッカー原料投入コンベヤと、アルミニウム片の表裏面の不要物を焼却するデラッカー設備とを一連に設けて、純正のアルミニウム片を得るようにアルミニウムのリサイクル処理装置を構成するという手段を採用した。
【0009】
この場合、請求項3に係る発明として、中間ビンが満杯になった場合に可逆コンベヤを逆転させてアルミニウム片を貯留するストックヤードと、その貯留したアルミニウム片をデラッカー原料コンベヤに再投入する再投入ホッパーとを設けるという手段を採用した。
【0010】
さらに、請求項4に係る発明として、上記請求項2または請求項3に記載の装置に続いて、デラッカー設備から排出されたアルミニウム片を搬送する製品搬送コンベヤ及び可逆コンベヤと、アルミニウム片を造粒してより均一の大きさのリサイクルアルミニウム粒を製造する造粒機とを一連に設けて、リサイクルアルミニウム粒を得るようにアルミニウムのリサイクル処理装置を構成するという手段を採用した。
【0011】
この場合、請求項5に係る発明として、可逆コンベヤを逆転させて余剰のアルミニウム片を貯留するストックヤードを設けるという手段を採用した。
【発明の効果】
【0012】
上記請求項1に係る発明は、原材料であるアルミニウム缶などを一次破砕及び細断して均一な大きさのアルミニウム片とすると共に、原材料に混在する土砂類、鉄片、ゴミ類、プラスチック類を回収除去するので、適度な大きさに細断されたアルミニウム片だけを確実に回収できるようになり、効率よくリサイクルに供することが可能となった。
【0013】
また、請求項2に係る発明は、上記工程に続いて、デラッカー装置によって上記アルミニウム片の表裏面に残留する樹脂被覆や印刷面などを除去するので、より純正なアルミニウム片を得ることができ、リサイクルの利用価値が高まるものである。
【0014】
このとき、請求項3に係る発明では、大量に発生するアルミニウム片の一部をストックヤードに貯留するようにしたので、一連の作業がスムーズに進行する。
【0015】
さらに、請求項4に係る発明では、デラッカー設備から排出されたアルミニウム片を造粒するようにしたので、均一の大きさのリサイクルアルミニウム粒を得ることができ、利用価値の極めて高い最終製品のペレットを得ることができる。
【0016】
このとき、請求項5に係る発明として、可逆コンベヤを逆転させて余剰のアルミニウム片を貯留するようにしたので、定量的な製品の排出が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係るアルミニウムのリサイクル処理装置の好ましい実施形態を、添付した図面に従って説明する。図1から図3は、本発明装置の全体を大きく3つの工程部分に分割して、それぞれブロックで表現したものである。
【0018】
図1は第一段階の工程を示すものであり、図1において、1は、リサイクルの原材料となるアルミニウムボトルやアルミニウム缶などを投入する受入ホッパー、2は、この受入ホッパー1の供給口から自然落下した原材料を次段の処理工程に搬送するための解砕機投入コンベヤである。3は、解砕機投入コンベヤ2によって搬送された原材料が投入される解砕機であり、原材料の一次破砕をするものである。この一次破砕によって、原材料は大まかに破砕される。一次破砕された原材料は振動コンベヤ4によって均等にならされながら搬送され、流量調整ホッパー5に投入される。この流量調整ホッパー5では、上記振動コンベヤ4から搬送された原材料を一定量ずつ排出する。これは次のシュレッダー7に負担をかけないようにするためである。
【0019】
6は、上記流量調整ホッパー5から一定量ずつ落下する一次破砕された原材料を搬送するシュレッダー投入コンベヤで、これにより搬送された原材料はシュレッダー7に一定量ずつ投入される。このシュレッダー7によって一次破砕された原材料はより細かく細断される。前記解砕機3とこのシュレッダー7によって原材料は、リサイクルに利用可能な程度の均一な大きさに細断されることになる。
【0020】
8は、シュレッダー7によって細断された原材料を搬送するシュレッダー品搬送コンベヤで、これにより搬送された原材料は、振動スクリーン9に投入される。振動スクリーン9では、主に原材料に混入している土砂類を篩い落として除去する。続いて、10は吊下型のベルト磁選機で、永久磁石によって混在する鉄片を吸着回収するものである。11は振動フィーダーで、次工程へ適量の細断原材料を供給するものである。なお、途中に永久磁石によるドラム磁選機12を設け、鉄片の回収をより確実なものにしている。なお、これらの磁選機は特に例示したものに限定するものではなく、公知の磁選機を、1乃至複数台、適正個所に設置して、混在した鉄片を確実に回収できるようにすればよい。また、13は非鉄選別機であり、アルミ片を選別して前方に送り出すと共に、ゴミ類やプラスチック類は自然落下させて回収するものである。この非鉄選別機も、公知の種々の機械が採用される。
【0021】
なお、14は次工程でオーバーフローしたアルミニウム片をデラッカー原料コンベヤ15に再投入するための再投入ホッパーである。
【0022】
上述した一連の機器類を原材料が通過することによって、適度な大きさに細断されたアルミニウム片だけを確実に回収できるようになる。従って、アルミニウムを主原料としたボトルや缶などを回収、処理して、効率よくリサイクルに供することが可能となる。
【0023】
次に、図2は第二段階の工程を示し、図2において、15はデラッカー原料コンベヤ、16は可逆コンベヤ、17は中間ビンである。即ち、前工程で細断され、選別されたアルミニウム片は、デラッカー原料コンベヤ15、可逆コンベヤ16を介して一時的に中間ビン17に貯留される。このとき、中間ビン17が満杯の場合には、可逆コンベヤ16を逆方向に作動させて、余分なアルミニウム片をストックヤード(S1)に貯留するようにしている。前記再投入ホッパー14は、このストックヤード(S1)に貯留されたアルミニウム片を、再度デラッカー原料コンベヤ15に投入するためのものである。
【0024】
中間ビン17の下端には原料引出フィーダー18が設けられ、所定量ずつ排出されるようになっている。排出されたアルミニウム片は、デラッカー原料投入コンベヤ19を介してデラッカー設備20に投入される。このデラッカー設備20は、例えば揺動式の焼却溶融炉等からなり、アルミニウム片の表裏面に残留する樹脂被覆や印刷面などを焼却除去するものである。なお、デラッカー設備としては既に種々のものが発表されており、これらの中から適宜選択する。これら一連の作業によって、排出されるアルミニウム片はより純正なものとなり、リサイクルの利用価値が高まる。
【0025】
続いて、図3は第三段階の工程を示し、図3において、21はデラッカー設備20から排出されたアルミニウム片を搬送する製品搬送コンベアで、アルミニウム片は可逆コンベヤ22を介して造粒機23に投入される。この造粒機23で純正なアルミニウム片を造粒して、より均一の大きさのリサイクルアルミニウム粒を製造する。なお、造粒機としては、既に種々の方式のものが提案されており、公知のものを適宜採用する。これにより、原材料の廃アルミニウムは、利用価値の極めて高いリサイクルアルミニウム粒として再生される。なお、上記造粒機23で処理できない余剰のアルミニウム片は、可逆コンベヤ22を逆転させて、ストックヤード(S2)に貯留しておく。また、24は最終製品のペレット搬送用のコンベヤである。
【0026】
上述したように、本発明装置では、一連の工程を経ることにより、第一段階の工程において、ばらつきの少ない大きさのリサイクルアルミニウム片を得ることができる。また、第二段階の工程においては、表裏面から樹脂被覆等を除去した純正のアルミニウム片を得ることができる。さらに第三段階の工程では、これを造粒することで、均一の大きさのリサイクルアルミニウム粒を製造することができる。これらにより、目的に応じて各段階のリサイクルアルミニウムを選択して利用することが可能であり、資源の再活用に大きく貢献するものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係るアルミニウムのリサイクル処理装置の第一段階の工程を示すブロック図である。
【図2】同じく第二段階の工程を示すブロック図である。
【図3】同じく第三段階の工程を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0028】
1 受入ホッパー
2 解砕機投入コンベヤ
3 解砕機
4 振動コンベヤ
5 流量調整ホッパー
6 シュレッダー投入コンベヤ
7 シュレッダー
8 シュレッダー品搬送コンベヤ
9 振動スクリーン
10 ベルト磁選機
11 振動フィーダー
12 ドラム磁選機
13 非鉄選別機
14 再投入ホッパー
15 デラッカー原料コンベヤ
16 可逆コンベヤ
17 中間ビン
18 原料引出フィーダー
19 デラッカー原料投入コンベヤ
20 デラッカー設備
21 製品搬送コンベヤ
22 可逆コンベヤ
23 造粒機
24 ペレット搬送コンベヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム缶などの原材料を投入する受入ホッパーと、
この原材料を搬送する解砕機投入コンベヤと、
搬送された原材料を一次破砕する解砕機と、
一次破砕した原材料を均等にならしながら搬送する振動コンベヤと、
搬送された原材料を一定量ずつ排出する流量調整ホッパーと、
その原材料を搬送するシュレッダー投入コンベヤと、
搬送された原材料をさらに細かく細断するシュレッダーと、
細断された原材料を搬送するシュレッダー品搬送コンベヤと、
細断された原材料に混入する土砂類を篩い落とす振動スクリーンと、
原材料に混在する鉄片を吸着回収する1乃至複数の磁選機と、
ゴミ類とアルミニウム片を選別する非鉄選別機とを一連に設けて、
アルミニウム片を選別して得ることを特徴とするアルミニウムのリサイクル処理装置。
【請求項2】
請求項1の構成の装置に続いて、
選別されたアルミニウム片を搬送するデラッカー原料コンベヤ及び可逆コンベヤと、
搬送されたアルミニウム片を一次貯留する中間ビンと、
中間ビンの下端に設けられ、アルミニウム片を所定量ずつ排出する原料引出フィーダーと、
排出されたアルミニウム片を搬送するデラッカー原料投入コンベヤと、
アルミニウム片の表裏面の不要物を焼却するデラッカー設備とを一連に設けて、
純正のアルミニウム片を得ることを特徴とするアルミニウムのリサイクル処理装置。
【請求項3】
中間ビンが満杯になった場合に可逆コンベヤを逆転させてアルミニウム片を貯留するストックヤードと、
その貯留したアルミニウム片をデラッカー原料コンベヤに再投入する再投入ホッパーとを設けた、
請求項2に記載のアルミニウムのリサイクル処理装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の装置に続いて、
デラッカー設備から排出されたアルミニウム片を搬送する製品搬送コンベヤ及び可逆コンベヤと、
アルミニウム片を造粒してより均一の大きさのリサイクルアルミニウム粒を製造する造粒機とを一連に設けて、
リサイクルアルミニウム粒を得ることを特徴とするアルミニウムのリサイクル処理装置。
【請求項5】
可逆コンベヤを逆転させて余剰のアルミニウム片を貯留するストックヤードを設けた請求項5記載のアルミニウムのリサイクル処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−240846(P2009−240846A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−87141(P2008−87141)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(507042305)株式会社ニチコン製作所 (5)
【Fターム(参考)】