説明

アルミニウム箔およびその製造方法

本発明のアルミニウム箔は、アルミニウム箔11の無光沢面の表面にプライマーコーティング液を塗布し、20℃〜110℃の温度で乾燥させた後、0℃〜20℃に冷却して形成されたプライマーコーティング層13と、プライマーコーティング層13の上部に中塗コーティング液を塗布して形成された中塗コーティング層15と、中塗コーティング層15の上部に上塗コーティング液を塗布し、60℃〜430℃の温度で3分〜5分間焼成して形成された上塗コーティング層17とから構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルミニウム箔およびその製造方法に関し、特に、アルミニウム箔にフッ素樹脂コーティング層を形成することによって、食品包装時または調理時に内容物がアルミニウム箔の表面にへばりつく現象を防止することができるアルミニウム箔およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、薄紙状に生産されるアルミニウム箔は、肉類、魚または野菜などの食品を包装したり、オーブンやグリルパンなどの調理用加熱器に使用されるものであり、300〜400μmのアルミニウム厚/薄板をローラーで4〜5回圧延して12〜20μm厚に形成させた後、これを一定の規格で裁断して調理用およびその他食品包装用として使用している。
【0003】
しかしながら、表面がスムーズな形状を有する従来のアルミニウム箔は、直接、調理用加熱器などの上面に密着して使用した場合、次のような問題点がある。高い熱伝導率を有し、且つ軟質の特性を持っていることから、アルミニウム箔に直ちに熱が伝達される。炒めや焼きなどの調理の際、または、燻製などの調理時に、飲食物などが焦(こ)げやすくなり、アルミニウム箔の表面にへばりついてしまう。
【0004】
これを防止するため、調理前にアルミニウム箔の表面に食用油、バター、マーガリンまたは動物性脂肪などの油を塗ってから使用することもある。しかし、このように油を使用する場合、健康に悪影響を与える問題点がある。
【0005】
また、従来のアルミニウム箔は厚みが薄いため、簡単に破れてしまう。また、飲食物などがアルミニウム箔の表面にへばりつく。そのため、1回使用した後はアルミニウム箔が破れたり損傷してしまい、再使用ができないという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開WO94005494
【特許文献2】日本特許2542859
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、アルミニウム箔の表面にフッ素樹脂コーティング層を形成することによって、食品包装時または調理時に内容物がアルミニウム箔の表面にへばりつく現象を防止することができるアルミニウム箔およびその製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、フッ素樹脂コーティング層により、アルミニウムの箔の厚みが厚くなり容易に破れず、飲食物などがアルミニウム箔にへばりつかないことから、数回継続して再使用することができる、経済的なアルミニウム箔およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明のアルミニウム箔は、光沢面と無光沢面とを有するアルミニウム箔において、前記アルミニウム箔の無光沢面の表面にプライマーコーティング液を塗布し、20℃〜110℃の温度で乾燥させた後、0℃〜20℃で冷却して形成されたプライマーコーティング層と、前記プライマーコーティング層の上部に中塗コーティング液を塗布して形成された中塗コーティング層と、前記中塗コーティング層の上部に上塗コーティング液を塗布し、60℃〜430℃の温度で3分〜5分間焼成して形成された上塗コーティング層とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明のアルミニウム箔の製造方法は、アルミニウム箔の表面にプライマーコーティング液を塗布してプライマーコーティング層を形成する下塗プライマーコーティング層形成段階と、プライマーコーティング層が形成されたアルミニウム箔を20℃〜110℃の温度で乾燥させた後、0℃〜20℃で冷却して前記プライマーコーティング層を硬化させる硬化段階と、前記プライマーコーティング層の上部に中塗コーティング液を塗布して中塗コーティング層を形成する中塗コーティング層形成段階と、前記中塗コーティング層の上部に上塗コーティング液を塗布して上塗コーティング層を順次に形成する上塗コーティング層形成段階と、前記中塗コーティング層および上塗コーティング層が順次に形成されたアルミニウム箔を60℃〜430℃の温度で3分〜5分間焼成して前記中塗コーティング層および上塗コーティング層を硬化する焼成段階とを備えたことを特徴とする。
【0011】
前記中塗コーティング液は、フッ素樹脂分散液、色素、パール顔料、界面活性剤および蒸溜水が混合されたものであり、前記上塗コーティング液は、フッ素樹脂分散液、パール顔料、界面活性剤および蒸溜水が混合されたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のアルミニウム箔およびその製造方法であると、アルミニウム箔の表面にフッ素樹脂コーティング層を形成することによって、食品包装時または調理時に内容物がアルミニウム箔の表面にへばりつく現象を防止することができる。また、フッ素樹脂コーティング層により、アルミニウム箔の厚みが厚くなって容易に破れなくなり、また、飲食物などがアルミニウム箔にへばりつかなくなることから、数回再使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のアルミニウム箔の製造方法のフローチャートである。
【図2】本発明のアルミニウムの製造方法の製造工程の図(1)である。
【図3】本発明のアルミニウムの製造方法の製造工程の図(2)である。
【図4】本発明のアルミニウムの製造方法の製造工程の図(3)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付した図面を参照して本発明のアルミニウム箔およびその製造方法を詳しく説明する。
【0015】
図1は、本発明のアルミニウム箔の製造方法のフローチャートであり、図2〜図4は、本発明のアルミニウム箔製造方法の製造工程の図である。
【0016】
図1〜図4に示されているように、本発明のアルミニウム箔は、アルミニウム箔11の無光沢面の表面にプライマーコーティング液を塗布し、20℃〜110℃の温度で乾燥させた後、0℃〜20℃で冷却して形成されたプライマーコーティング層13と、プライマーコーティング層13の上部に中塗コーティング液を塗布して形成された中塗コーティング層15と、中塗コーティング層15の上部に上塗コーティング液を塗布し、60℃〜430℃の温度で3分〜5分間焼成して形成された上塗コーティング層17とから構成される。
【0017】
本発明のアルミニウム箔の製造方法は、アルミニウム箔11の表面にプライマーコーティング液を塗布してプライマーコーティング層13を形成する下塗プライマーコーティング層形成段階(S10)と、プライマーコーティング層13が形成されたアルミニウム箔11を20℃〜110℃の温度で乾燥させた後、冷却してプライマーコーティング層13を硬化させる硬化段階(S20)と、プライマーコーティング層13の上部に中塗コーティング液を塗布して中塗コーティング層15を形成する中塗コーティング層形成段階(S30)と、中塗コーティング層15の上部に上塗コーティング液を塗布して上塗コーティング層17を順次に形成する上塗コーティング層形成段階(S40)と、中塗コーティング層15および上塗コーティング層17が順次に形成されたアルミニウム箔11を60℃〜430℃の温度で3分〜5分間焼成して中塗コーティング層15および上塗コーティング層17を硬化する焼成段階(S50)とから構成される。
【0018】
中塗コーティング液は、フッ素樹脂分散液、色素、パール顔料、界面活性剤および蒸溜水が混合されたものであり、上塗コーティング液は、フッ素樹脂分散液、パール顔料、界面活性剤および蒸溜水が混合されたものである。
【0019】
前記の構成による本発明のアルミニウム箔およびその製造方法の動作は次の通りである。
【0020】
図1および図2に示されているように、下塗プライマーコーティング層形成段階(S10)は、アルミニウム箔11と、主成分であるフッ素樹脂分散液から形成されたプライマーコーティング液とが良好に接合されるようにするために、アルミニウム箔11の表面にプライマーコーティング液をスプレーで塗布し、約20〜40μmの厚みを有するプライマーコーティング層13を形成する。
【0021】
アルミニウム箔11は、光沢面と、粗い表面である無光沢面とを有している。アルミニウム箔11とプライマーコーティング層13とが良好に接合されるように、プライマーコーティング層13は、アルミニウム箔の表面のうち、粗い表面を有する無光沢面の表面に形成させることが望ましい。
【0022】
硬化段階(S20)は、プライマーコーティング層13が形成されたアルミニウム箔11を焼成炉で20℃〜110℃の温度で乾燥させた後、常温である0℃〜20℃で冷却してプライマーコーティング層13を硬化させる。プライマーコーティング層13を、乾燥した後、常温にて冷却することで、後工程である中塗コーティング層形成段階(S30)においては、プライマーコーティング層13と中塗コーティング層15との接合力が増加して、プライマーコーティング層13の上に中塗コーティング層15のコーティングが良好に形成され得る。
【0023】
図3に示されているように、中塗コーティング層形成段階(S30)では、プライマーコーティング層13の上に中塗コーティング液をスプレーで塗装し、約5〜10μm厚の中塗コーティング層15を形成する。この際、中塗コーティング層15の形成後に中塗コーティング層15を乾燥させることをしない。その理由は、乾燥させれば中塗コーティング層15が、後工程の上塗コーティング層形成段階(S40)にて、上塗コーティング層17と良好に接合されず、上塗コーティング層17が中塗コーティング層15から分離して離脱する可能性があるためである。
【0024】
中塗コーティング層15には、フッ素樹脂分散液85重量%、色素4重量%、パール顔料1.5重量%、界面活性剤0.8重量%、蒸溜水8.7重量%の組成比からなるコーティング液を使用することが望ましい。
【0025】
図4に示されているように、上塗コーティング層形成段階(S40)では、中塗コーティング層15が乾燥する前に直ちに中塗コーティング層15の上部にスプレーを使用して約5μm以下の厚みを有する上塗コーティング液を塗装して上塗コーティング層17を順次に形成する。焼成段階(S50)では、中塗コーティング層15および上塗コーティング層17が順次に形成されたアルミニウム箔11を焼成炉で60℃〜430℃の温度で3分〜5分間焼成して中塗コーティング層15および上塗コーティング層17を硬化する。
【0026】
上塗コーティング層17は、フッ素樹脂分散液90重量%、パール顔料2.5重量%、界面活性剤0.8重量%、蒸溜水6.7重量%の組成比からなるコーティング液を使用することが望ましい。
【0027】
中塗コーティング層15は色素が混合されて不透明になるので、中塗コーティング層15の上部に上塗コーティング層17を形成し光沢が出るようにして美麗なコーティング層を形成することができる。
【0028】
上記のように、本発明のアルミニウム箔およびその製造方法であると、アルミニウム11の表面に下塗プライマーコーティング層13、中塗コーティング層15および上塗コーティング層17を順次に形成したフッ素樹脂コーティング層を形成することによって、食品包装時または調理時に内容物である飲食物などがフッ素樹脂コーティング層にへばりつかなくなり、飲食物の調理時に油などを使用する必要がない。また、フッ素樹脂コーティング層により、炒めや焼きなどの調理の際、または燻製などの調理の際に、飲食物などが容易に焦げてしまうのを防止することができる。
【0029】
従来のアルミニウム箔であると、飲食物の調理時に一回だけ使用してもアルミニウム箔に飲食物がくっついてアルミニウム箔が破れたり損傷し、1回使用後に再使用が不可能であった。ところが、本発明の場合、フッ素樹脂コーティング層は450℃〜500℃の温度でも燃えず、飲食物がくっつかず、従来のアルミニウム箔に比べて厚みが厚い。そのため、容易に破れず、継続的な使用によりフッ素樹脂コーティング層が剥がれるまでは継続して数回再使用することができるので経済的である。調理用加熱器などを洗浄する必要がないため合成洗剤などを使用する必要がなく、水質汚染の防止にも効果的である。
【0030】
また、本発明のアルミニウム箔は薄い金属箔製品であるものの、一般のフライパン、鍋、ピザ焼きパン、焼肉プレートなどのような調理用加熱器などの上面に密着させて使用することができる。また、調理用加熱器以外の、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、セラミック石またはガラスなどのような第3の不燃剤などの表面に、敷いたり、包み込むことで、飲食物などを便利に調理することができる。
【符号の説明】
【0031】
11:アルミニウム箔 13:プライマーコーティング層 15:中塗コーティング層
17:上塗コーティング層 S10:下塗プライマーコーティング層形成段階
S20:硬化段階 S30:中塗コーティング層形成段階
S40:上塗コーティング層形成段階 S50:焼成段階

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光沢面と無光沢面とを有するアルミニウム箔において、
前記アルミニウム箔の無光沢面の表面にプライマーコーティング液を塗布し、20℃〜110℃の温度で乾燥させた後、0℃〜20℃に冷却して形成されたプライマーコーティング層と、
前記プライマーコーティング層の上部に中塗コーティング液を塗布して形成された中塗コーティング層と、
前記中塗コーティング層の上部に上塗コーティング液を塗布し、60℃〜430℃の温度で3分〜5分間焼成して形成された上塗コーティング層と
を備えたことを特徴とするアルミニウム箔。
【請求項2】
前記中塗コーティング液は、フッ素樹脂分散液、色素、パール顔料、界面活性剤および蒸溜水が混合されたものであることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム箔。
【請求項3】
前記上塗コーティング液は、フッ素樹脂分散液、パール、界面活性剤および蒸溜水が混合されたものであることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム箔。
【請求項4】
アルミニウム箔の表面にプライマーコーティング液を塗布してプライマーコーティング層を形成する下塗プライマーコーティング層形成段階と、
プライマーコーティング層が形成されたアルミニウム箔を20℃〜110℃の温度で乾燥させた後、0℃〜20℃に冷却して前記プライマーコーティング層を硬化させる硬化段階と、
前記プライマーコーティング層の上部に中塗コーティング液を塗布して中塗コーティング層を形成する中塗コーティング層形成段階と、
前記中塗コーティング層の上部に上塗コーティング液を塗布して上塗コーティング層を順次に形成する上塗コーティング層形成段階と、
前記中塗コーティング層および上塗コーティング層が順次に形成されたアルミニウム箔を60℃〜430℃の温度で3分〜5分間焼成して前記中塗コーティング層および上塗コーティング層を硬化する焼成段階と
を備えたことを特徴とするアルミニウム箔の製造方法。
【請求項5】
前記中塗コーティング液は、フッ素樹脂分散液、色素、パール顔料、界面活性剤および蒸溜水が混合されたものであることを特徴とする請求項4に記載のアルミニウム箔の製造方法。
【請求項6】
前記上塗コーティング液は、フッ素樹脂分散液、パール顔料、界面活性剤および蒸溜水が混合されたものであることを特徴とする請求項4に記載のアルミニウム箔の製造方法。
【請求項7】
前記下塗プライマーコーティング層形成段階において、前記プライマーコーティング液は、前記アルミニウム箔の無光沢面の表面に形成されることを特徴とする請求項4に記載のアルミニウム箔の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−501330(P2010−501330A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525493(P2009−525493)
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【国際出願番号】PCT/KR2007/004001
【国際公開番号】WO2008/023924
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(509052218)
【氏名又は名称原語表記】LEE, Chun Woo
【住所又は居所原語表記】217−901 Yuhyunmaeul 759, Pungmu−dong Kimpo−city, Kyunggi−do 415−767, Republic of Korea
【Fターム(参考)】