説明

アロマターゼ阻害剤としての二環式の窒素含有複素環

本願は、一般式(I)(1)(式中、R、R、R、W、X、Y、Zおよびnは、明細書中に定義する意味を有する)の新規な複素環式化合物、それらの製造方法およびこれらの化合物の薬物としての、特にアロマターゼ阻害薬としての使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な複素環式化合物、それらの化合物の製造方法、それらを含有する医薬品、および活性な医薬成分、特にアロマターゼ阻害剤としてのそれらの使用に関する。
【0002】
本発明は、第一に、一般式:
【化3】


(式中、
XはCであり;
YはCまたはNであり;
ZはCであり;
Rは、a)水素であるか;または
b)C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、ハロゲンもしくはトリフルオロメチルであり;
は、C〜C−アルキル、C〜C−アルケニル、C〜C−アルキニル、アリール−C〜C−アルキルまたは不飽和ヘテロシクリル−C〜C−アルキルであり、これらのラジカルは、非置換であるかまたは1〜4の、C〜C−アルコキシ、C〜C−アルコキシカルボニル、C〜C−アルキル、C〜C−アルキルカルボニル、C〜C−アルキルスルホニル、アリール−C〜C−アルコキシカルボニル、アリール、シアノ、ハロゲン、ヘテロシクリル、オキソ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチルもしくはトリ−C〜C−アルキルシリルによって置換されており;
は、a)水素であるか;または
b)C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、ハロゲン、カルボキシ−C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシカルボニル−C〜C−アルキル、C〜C−アルキルカルボニル、アリール−C〜C−アルキルまたは不飽和ヘテロシクリル−C〜C−アルキルであり、これらのラジカルは、非置換であるかまたは1〜4、のC〜C−アルコキシ、C〜C−アルコキシカルボニル、C〜C−アルキル、C〜C−アルキルカルボニル、C〜C−アルキルスルホニル、アリール−C〜C−アルコキシカルボニル、アリール、シアノ、ハロゲン、ヘテロシクリル、オキソ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチルもしくはトリ−C〜C−アルキルシリルによって置換されており;
nは、数0、1または2であり;
は、不斉炭素原子を表し;
X、YおよびZがCである場合には、Rは、非置換であるかもしくはアルコキシ置換されたベンジルラジカルでない:またはRがメチルである場合には、Rは、メチルと異なる)
で示される化合物およびその塩、好ましくは薬学的に使用可能な塩に関する。
【0003】
アリールなる用語は、一般に炭素原子5〜14個、好ましくは6〜10個を含む芳香族炭化水素ラジカルを表わし、例えばフェニル、インデニル、例えば2−もしくは4−インデニル、またはナフチル、例えば1−もしくは2−ナフチルである。炭素原子6〜10個を有するアリール、特にフェニルまたは1−もしくは2−ナフチルが好適である。該ラジカルは、非置換でもまたは1度以上、例えば1度もしくは2度置換されてもよく、置換基は、任意の位置、例えばフェニルラジカルのo、mもしくはp位または1−もしくは2−ナフチルラジカルの3もしくは4位にあることが可能であり、かつまた複数の同一のもしくは異なる置換基が存在することも可能である。
【0004】
アリール−C〜C−アルキルは、例えばフェニル、ナフチルまたはベンジルである。
【0005】
ヘテロシクリルなる用語は、飽和された、一部飽和されたまたは不飽和の、4〜8員、特に好ましくは5員の単環系、飽和された、一部飽和されたまたは不飽和の、7〜12員、特に好ましくは9〜10員の二環系かつまた飽和された、一部飽和されたまたは不飽和の、7〜12員の三環系を表し、各々の場合において少なくとも1つの環にN、OまたはS原子を含み、また、1つの環に更なるN、OまたはS原子が存在することも可能である。該ラジカルは、非置換でもまたは1度以上、例えば1度もしくは2度置換されてもよく、また、複数の同一のもしくは異なる置換基が存在することも可能である。
【0006】
不飽和単環ヘテロシクリル−C〜C−アルキルは、例えばピロリル、チオフェニル、チアゾリルまたはオキサゾリルである。不飽和ピリジニルは、それ程好適ではない。
【0007】
不飽和二環ヘテロシクリル−C〜C−アルキルは、例えばベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インダゾリル、インドリル、イソキノリニルまたはキノリニルである。
【0008】
一部飽和された二環ヘテロシクリル−C〜C−アルキルは、例えば4,5,6,7−テトラヒドロベンゾフラニルまたは4,5,6,7−テトラヒドロベンゾチアゾリルである。
【0009】
〜C−シクロアルキルは、3−、5−もしくは6−員のシクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルであるのが好ましい。
【0010】
〜C−アルキルは、直鎖でもまたは枝分かれしていてもおよび/または橋かけされていてもよく、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、ペンチル、ヘキシルまたはヘプチル基である。
【0011】
〜C−アルケニルは、例えばエテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、第二ブテニル、第三ブテニル、ペンテニル、ヘキセニルまたはヘプテニル基である。
【0012】
〜C−アルキニルは、例えばエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルまたはヘプチニル基である。
【0013】
〜C−アルコキシは、例えばC〜C−アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、イソブチルオキシ、第二ブチルオキシ、第三ブチルオキシまたはペンチルオキシであるが、また、ヘキシルオキシまたはヘプチルオキシ基でもよい。
【0014】
〜C−アルコキシカルボニルは、C〜C−アルコキシカルボニル、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロピルオキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル、イソブチルオキシカルボニル、第二ブチルオキシカルボニルまたは第三ブチルオキシカルボニルであるのが好ましい。
【0015】
〜C−アルキルカルボニルは、例えばホルミル、アセチル、プロピオニル、プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、ブチルカルボニル、イソブチルカルボニル、第二ブチルカルボニルまたは第三ブチルカルボニルである。
【0016】
〜C−アルコキシカルボニル−C〜C−アルキルは、例えばメトキシカルボニル−もしくはエトキシカルボニルメチル、2−メトキシカルボニル−もしくは2−エトキシカルボニルエチル、3−メトキシカルボニル−もしくは3−エトキシカルボニルプロピルまたは4−エトキシカルボニルブチルである。
【0017】
ハロゲンは、例えばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。
【0018】
カルボキシ−C〜C−アルキルは、例えばカルボキシメチル、2−カルボキシエチル、2−もしくは3−カルボキシプロピル、2−カルボキシ−2−メチルプロピル、2−カルボキシ−2−エチルブチルまたは4−カルボキシブチル、特にカルボキシメチルである。
【0019】
下記に記述する化合物群は、限定されたと見なすべきでない;それとは反対に、これらの化合物群の一部は、意味を持って、互いに換えてももしくは上に挙げた定義によって換えても、または省いて、例えば一般的な定義をより具体的な定義に換えてもよい。
【0020】
式(1)または(1)の好適な化合物は、一般式:
【化4】


(式中、R、R、Rおよびnの意味は、式(1)または(1)の化合物について示した通りでる)
で示される化合物である。
【0021】
Rは、水素またはC〜C−アルキルであるのが好ましく、水素またはメチルであるのが特に好ましい。
【0022】
は、アリールまたは不飽和ヘテロシクリルであるのが好ましく、場合により一−もしくは二−置換されたベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インダゾリル、インドリル、フェニル、ピロリル、チアゾリル、チオフェニルまたはオキサゾリルであるのが極めて特に好ましい。
【0023】
は、水素、ハロゲン、C〜C−アルキルまたはアリール−C〜C−アルキルであるのが好ましい。
【0024】
nは、数0または1であるのが好ましい。式(1)の化合物について、nは、数1であるのが特に好適である。
【0025】
アリールまたは不飽和ヘテロシクリルについて好適な置換基は、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ヘテロシクリルまたはC〜C−アルキルカルボニルである。アリールまたは不飽和ヘテロシクリルについて極めて特に好適な置換基は、臭素、シアノ、チオフェニル、チアゾリル、オキサゾリルまたはアセチルである。
【0026】
式(1)または(1)の特に好適な化合物は、一般式(1a)、(1b)、(1c)または(1)において、Rがアリール、好ましくは一−もしくは二−置換されたフェニル、または不飽和ヘテロシクリル、好ましくは一−もしくは二−置換されたベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インダゾリルまたはインドリルである化合物である。
【0027】
式(1)の化合物それら自体に関して(それらの使用または該化合物を含有する任意の組成物に関してでなく)、RおよびRがHであり、Rがp−シアノフェニルでありかつnが1である化合物は、それ程に好適ではない。
【0028】
少なくとも1個の不斉炭素原子を有する式(1)の化合物は、光学的に純粋な鏡像体、鏡像体の混合物の形態でまたはラセミ体として存在することができる。第二の不斉炭素原子を有する化合物は、光学的に純粋なジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、ジアステレオマー性ラセミ体、ジアステレオマー性ラセミ体の混合物の形態でまたはメソ化合物として存在することができる。本発明は、これらのすべての形態を含む。鏡像体の混合物、ラセミ体、ジアステレオマーの混合物、ジアステレオマー性ラセミ体またはジアステレオマー性ラセミ体の混合物は、従来の方法、例えばラセミ体分割、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、HPLC等によって分別することができる。
【0029】
式(1)の化合物は、として表される不斉炭素原子を少なくとも1個有する。該化合物は、該不斉炭素原子に特定の配置を有する単一の化合物と理解されるべきである。ラセミ化合物に至る製造法を使用する場合には、鏡像体の分離は、従来の様式で、例えばキラルHPLC−カラムを使用して実施する。詳細は、実施例に見られる。現行の発明に従う式(1)の化合物は、著しいアロマターゼ阻害活性を示す。該活性は、以降に記載する通りの商用のCyp19酵素阻害キット、好ましくはCyp19/メトキシ−4−トリフルオロメチル−クマリン(MFC)高処理阻害キット(Becton Dickinson Biosciences,San Jose,CA,USA)を用いることによって簡便に求めることができる。で表される不斉炭素原子に逆の配置を有する式(1)の化合物は、そのような試験システムにおいて、現行の式(1)の化合物に比べて少なくとも20倍、好ましくは40倍小さい活性を示す。
【0030】
「薬学的に使用可能な塩」なる用語は、無機酸または有機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、クエン酸、ギ酸、マレイン酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等との塩を含む。塩形成性基を有する化合物の塩は、特に酸付加塩、塩基との塩であるかまたは複数の塩形成性基が存在する場合には、場合により、また、混合塩もしくは分子内塩である。
【0031】
式(1)または(1)の化合物は、文献に開示されている製造法(スキーム)に類似した様式で製造することができる。
【化5】


具体的な製法変形の詳細は、実施例に見ることができる。
【0032】
式(1)の化合物は、また、光学的に純粋な形態で製造することもできる。対掌体への分離は、それ自体知られている方法により、好ましくは光学的に活性な酸、例えば(+)−もしくは(−)−マンデル酸と塩形成しそして分別晶出によってジアステレオマー性塩を分離することによる合成の早い段階でまたは好ましくは、例えば(+)−もしくは(−)−カンファニルクロリドのようなキラル補助成分により誘導体化しそしてクロマトグラフィーおよび/または晶出によってジアステレオマー性生成物を分離し、その後キラル補助剤への結合を切断することによるやや後の段階でのいずれかで可能である。純粋なジアステレオマー性塩および誘導体は、従来の分光法を用いて分析して含有される化合物の絶対配置を決めることができ、特に適した方法は単結晶X線分光分析法である。
【0033】
塩は、主として、式(1)または(1)の化合物の薬学的に使用可能なまたは無毒の塩である。そのような塩は、例えば酸性基、例えばカルボキシ基またはスルホ基を有する式(1)または(1)の化合物によって形成され、そして例えば、式(1)または(1)の化合物と適した塩基との塩、例えば元素の周期表のIa、Ib、IIaおよびIIb族の金属に由来する無毒の金属塩、例えばアルカリ金属、特にリチウム、ナトリウムもしくはカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばマグネシウムもしくはカルシウム塩、また亜鉛塩もしくはアンモニウム塩、および有機アミン、例えば場合によりヒドロキシ置換されたモノ−、ジ−もしくはトリアルキルアミン、特にモノ−、ジ−もしくはトリ−低級アルキルアミンにより、または第四アンモニウム塩基、例えばメチル−、エチル−、ジエチル−もしくはトリエチルアミン、モノ−、ビス−もしくはトリス(2−ヒドロキシ−低級アルキル)アミン、例えばエタノール−、ジエタノール−もしくはトリエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンまたは2−ヒドロキシ−第三−ブチルアミン、N,N−ジ−低級アルキル−N−(ヒドロキシ−低級アルキル)アミン、例えばN,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミン、またはN−メチル−D−グルカミン、または第四アンモニウムヒドロキシド、例えばテトラブチルアンモニウムヒドロキシドによって形成されるそれらの塩である。
【0034】
塩基性基、例えばアミノ基を有する式(1)または(1)の化合物は、酸付加塩、例えば適した無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸のようなハロゲン化水素酸、一方もしくは両方のプロトンが置換された硫酸、1個以上のプロトンが置換されたリン酸、例えばオルトリン酸もしくはメタリン酸、または1個以上のプロトンが置換されたピロリン酸との、あるいは有機カルボン酸、スルホン酸もしくはホスホン酸またはN−置換されたスルファミド酸、例えば酢酸、ピロピオン酸、グリコール酸、コハク酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、メチルマレイン酸、フマル酸、りんご酸、酒石酸、グリコン酸、グリカリ酸、グリクロン酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、サリチル酸、4−アミノサリチル酸、2−フェノキシ安息香酸、2−アセトキシ安息香酸、エンボン酸(embonic acid)、ニコチン酸、イソニコチン酸、また、アミノ酸、例えば上述したα−アミノ酸、およびメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、2−もしくは3−ホスホグリセラ−ト、グルコース6−ホスフェート、N−シクロヘキシルスルファミン酸(シクラメートを形成するため)との、あるいはその他の酸性有機化合物、例えばアスコルビン酸との酸付加塩を形成することができる。酸性基および塩基性基を有する式(1)または(1)の化合物は、また、分子内塩を形成することもできる。
【0035】
薬学的に使用可能な塩は、また、単離および精製のために使用することもできる。
【0036】
式(1)または(1)の化合物は、また、1個以上の原子をそれらの安定な非放射性同位体で置換された;例えば水素原子を重水素に替えた化合物も含む。
【0037】
上記した化合物のプロドラッグ誘導体は、インビボで使用する際に、化学的または生理学的プロセスを通して元の化合物を放出するそれらの誘導体である。プロドラッグは、例えば生理学的pHに達した時にまたは酵素転化によって元の化合物に転化されることができる。可能なプロドラッグ誘導体の例は、自由に入手し得るカルボン酸のエステル、チオール、アルコールまたはフェノールのS−およびO−アシル誘導体(アシル基は、上に定義した通りである)である。生理学的媒体中で加溶媒分解によって転化されて元のカルボン酸になる薬学的に使用可能なエステル誘導体、例えば低級アルキルエステル、シクロアルキルエステル、低級アルケニルエステル、ベンジルエステル、一−もしくは二置換された低級アルキルエステル、例えば低級ω−(アミノ、モノ−もしくはジアルキルアミノ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル)−アルキルエステル、例えば低級α−(アルカノイルオキシ、アルコキシカルボニルまたはジアルキルアミノカルボニル)−アルキルエステルが好ましい;ピバロイルオキシメチルエステルおよび同様なエステルが従来そのようなものとして用いられている。
【0038】
フリーの化合物、プロドラッグ誘導体および塩化合物の間の関係が近いことから、本発明において定義される化合物は、また、可能でありかつ適切である場合には、そのプロドラッグ誘導体および塩形態も含む。
【0039】
天然に産生するエストロゲン17β−エストラジオール(E2)、エストロン(E1)およびエストリオール(E3)は、コレステロールから誘導されるC18ステロイドである。コレステロールは、リポ蛋白質受容体に結合した後に、ステロイド合成細胞によって取り込まれ、貯蔵され、ステロイド合成部位に移動される。ステロイド骨格中のA環の芳香族化は、エストロゲンの形成における最後の工程である。この反応は、P450アロマターゼモノオキシゲナーゼ複合体(Cyp19)によって触媒され、Cyp19は、滑面小胞体中に存在してデメチラーゼとして機能する。3つの連続ドロキシル化反応において、エストロンおよびエストラジオールは、それぞれ必須の前駆体であるアンドロステンジオンおよびテストステロンから形成される。
【0040】
女性におけるエストラジオールの主要源は、卵巣の膜および顆粒膜細胞並びにこれらの細胞の黄体形成された誘導体である。エストロゲン合成の「2細胞」理論に従えば、膜細胞は、アンドロゲンを分泌し、アンドロゲンは拡散して顆粒膜細胞になり、芳香族化されてエストロゲンになる。しかし、両方の細胞タイプは、アンドロゲンおよびエストロゲンの両方を形成することを可能にさせると言う証拠が存在する。エストロンおよびエストリオールは、主に肝臓においてエストラジオールから形成される。アロマターゼ活性は、また、筋、脂肪、神経組織および精巣のライディッヒ細胞中にも検出された。性腺外の組織におけるアンドロゲン合成のレベルは、年齢および体重の関数として増大する。
【0041】
血清中で、エストラジオールは、性ホルモン結合グロブリン、β−グロブリンに可逆的に結合し、アルブミンへの親和力は、一層小さい;約2〜3パーセントが結合していない。エストロゲンは、硫酸化またはグルクロン酸抱合によって代謝され、複合体(conjugate)が胆汁または尿中に排出される。腸内細菌叢によるこれらの複合体の加水分解およびその後のエストロゲンの再吸収は、腸肝循環を生じる。
【0042】
エストロゲンは、成長、血流および生殖器における保水性を刺激しかつまた乳癌および子宮内膜腫瘍を引き起こす際に関与する。肝臓では、エストロゲンは、リポ蛋白質受容体の発現を増大させ、低密度リポ蛋白質コレステロールの血清濃度が低下することになる。エストロゲンは、また、肝臓において凝固因子の生成を刺激することによって凝固についての可能性も増大させる。骨では、破骨細胞および骨芽細胞の両方が、エストロゲンの直接の標的物質であるが、総括的には、エストロゲンは、再吸収抑制剤として分類される。
【0043】
胸部組織では、エストロゲンは、導管上皮の成長および分化を刺激し、導管円柱状細胞の分裂活性を誘発しかつ結合組織の成長を刺激する。エストロゲンは、乳癌細胞の増殖を刺激する。乳癌を有する閉経後女性では、低い血清エストラジオール濃度の存在にもかかわらず、エストラジオールの腫瘍濃度は、原位置芳香族化によって引き起こされて高い。
【0044】
本発明において記載される化合物は、ヒトを含む哺乳動物において酵素アロマターゼ(CYP19)を選択的に阻害するので、有用な薬理学的性質を有する。その結果、アンドロゲンのエストロゲンへの代謝的転化が阻害される。従って、化合物は、例えば、特に閉経後女性におけるエストロゲン依存性乳癌を含むエストロゲン依存性疾患を治療するために適している。ステロイドの芳香族化が記載される化合物によって阻害されることができるので、それらは、また、例えば男性における女性化乳房、すなわち胸部の発育を治療する際にも有用である。
【0045】
これらの効果は、細胞の存在しない系および細胞系を使用したインビトロアッセイ試験によって証明される。
【0046】
本発明の化合物のアロマターゼ活性のインビトロ阻害は、商用のCyp19酵素阻害キットを用いることによって立証することができる。例えば、96ウエル形式においてCyp19触媒活性の潜在的な阻害剤を選別するのに、Cyp19/メトキシ−4−トリフルオロメチル−クマリン(MFC)高処理阻害キット(Becton Dickinson Biosciences,San Jose,CA,USA)が設計されている。キットには、スーパーソーム(supersome)の形態の組換えヒトCyp19酵素、蛍光性P450基質、NADPH再生系、反応緩衝剤および停止試薬が含まれている。MFC、すなわち螢光原基質は、Cyp19スーパーゾームによって高度に蛍光性の生成物である7−ヒドロキシ−4−トリフルオロメチルマリン(7−HFC)に急速に転化される。0.2ナノモル〜20ミリモルの範囲の種々の濃度の阻害剤化合物の存在におけるアッセイの実行は、製造業者の使用説明書に従って行う。
【0047】
阻害曲線は、最小二乗法アプローチを使用して4−パラメーターロジスティック関数をサンプルの生データに適合させることによって作成する。関数は、下記の通りに記載される:
Y=(d−a)/((1+(x/c)−b))+a
式中:
a=最小データ値
b=勾配
c=IC50
d=最大データ値
x=阻害剤濃度
【0048】
本発明において記載される化合物は、最小濃度約10−3〜約10−10mol/lでCyp19阻害性質を示す。
【0049】
本発明において記載される化合物のCyp19阻害性質は、また、細胞アッセイにおいて立証することもできる。NCl−H295Rヒト副腎皮質癌細胞系は、文献に詳細に特性表示されておりかつステロイド生成のために必要なキー酵素のほとんどを発現することが示された。これらは、Cyp11A(コレステロール側鎖開列)、Cyp11B1(ステロイド11−β−ヒドロキシラーゼ)、Cyp11B2(アルドステロンシンテターゼ)、Cyp17(ステロイド17α−ヒドロキシラーゼおよび/または17,20リアーゼ))、Cyp19(アロマターゼ)、Cyp21B2(ステロイド21−ヒドロキシラーゼ)および3β−HSD(ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ)を含む。細胞は、帯状未分化のヒト胎生副腎細胞の生理学的特性を有し、成人副腎皮質に見出される3つの表現上別個の帯域の各々のステロイドホルモンを産生する能力を有する。
【0050】
NCl−H295R細胞(American Type Culture Collection,ATCC,Rockville,MD,USA)を、75cm細胞培養フラスコ中で温度37℃および空気95%/CO5%加湿雰囲気において、ダルベッコ変法イーグルハムF−12培地(DME/F12)にUltroser SF血清(Soprachem,Cergy−Saint−Christophe、フランス)並びにインスリン、トランスフェリン、亜セレン酸塩(I−T−S,Becton Dickinson Biosiences,Franklin Lakes,NJ,USA)および抗生物質を補充した中で培養する。その後、細胞を24ウエル板に移しそしてUltroser SF血清の代わりに0.1%ウシ血清アルブミンを補充したDME/F12培地の存在において播種する。0.1%ウシ血清アルブミンを補充したDME/F12培地および試験化合物中で細胞刺激剤の存在または不存在において細胞を72時間インキュベートすることによって、実験を開始する。試験化合物は、0.2ナノモル〜20ミリモル濃度範囲で加える。細胞刺激剤として、アンギオテンシン−II(10〜100ナノモル濃度)、カリウムイオン(16ミリモル)、ホルスコリン(10マイクロモル)または2種の剤の組合せを用いる。エストロン、エストラジオール、ジヒドロエピアンドロステンジオン(dihydroepiandrostendione)、アルドステロン、コルチステロンおよび/またはコルチゾールの細胞培地中への細胞分泌は、市販されている免疫学的アッセイおよび特定のモノクローナル抗体により製造業者の使用説明書に従って定量評価することができる。選択ステロイドの分泌度は、試験化合物の存在または不存在における酵素活性、酵素阻害のそれぞれの尺度として用いる。化合物の用量依存性酵素阻害活性は、IC50値により特性表示される阻害曲線において反映される。
【0051】
阻害曲線は、最小二乗法アプローチを使用して4−パラメーターロジスティック関数をサンプルの生データに適合させることによって作成する。関数は、下記の通りに記載される:
Y=(d−a)/((1+(x/c)−b))+a
式中:
a=最小
b=勾配
c=IC50
d=最大
x=阻害剤濃度
【0052】
本発明において記載される化合物は、最小濃度約10−3〜約10−10mol/lでCyp19阻害性質を示す。
【0053】
記載される化合物のアロマターゼ阻害効果は、また、好都合な哺乳動物モデル、例えばモルモット、マウス、ラット、猫、犬または猿を用いてインビボで立証することもできる
【0054】
アロマターゼ活性の化合物媒介のインビボ阻害は、下記のプロトコルに記載する通りに血漿ステロイドレベル変化をモニターすることによって試験することができる:循環雌ラットに、無菌の塩水0.1ml中の妊娠馬血清ゴナドトロピン(PMSC,Sigma)100IUを1日置きに5回皮下注射する。最後に注射して24時間後に、動物に、試験化合物を投与量0.01〜10mg/kgの範囲で経口処理する。処理して24時間後に、動物に、最終回の採血を施す。ヘパリン化した血漿を−20℃で保存して分析する。ステロイド(17ベータエストラジオール、エストロン、エストリオール、プロゲステロン、テストステロン、アルドステロンおよびコルチコステロン)の血漿レベルを、市販されている放射免疫アッセイキットにより、製造業者の使用説明書に従って求める。雌ラット中の血漿テストステロンを測定するのに、精製および濃縮工程を要する:4容積のジエチルエーテルをサンプルに加え、15分間穏やかに反転することによって混合し、次いで、2000rpmで5分間遠心分離する。水性相をドライアイスで凍結させ、有機相を窒素流下で回収しかつ蒸発させる。乾燥させた抽出物をアッセイ緩衝剤中で再形成する。
【0055】
アロマターゼ活性の化合物媒介のインビボ阻害は、下記の通りに卵巣エストロゲン含有量をモニターすることによって試験することができる:21日齢の雌ラットに、妊娠馬血清ゴナドトロピン(PMSG,Sigma)10IUを皮下注射する。2日後に、同じラットに、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG,Sigma)30IUを皮下注射する。hCG処理した後の日に、ラットに、プロピレングリコール(0.2ml)かまたは種々の投与量の試験化合物のいずれかを皮下注射する。1時間後に、すべてのラットに、油0.1ml中の4−アンドロステン−3,17−ジオン2.25mgを皮下処理する。アンドロステンジオンを注射して4時間後に、ラットを殺し、そられの卵巣を取り出し、接着する組織を切り取って離し、対で−50℃において保存する。卵巣の合計のエストロゲン含有量を求めるために、0.05Mリン酸カリウム緩衝水溶液(pH7.4)1.5mlおよび0.1N NaOH水溶液0.2mlを組織に加え、次いで、均質にする。ホモジェネートをジエチルエーテル15mlで抽出し−アリコート5mlを、エストロン、エストラジオールおよびエストリオールとの100%交差反応性を有する抗血清によって放射免疫アッセイする。結果を、エストロンng/対の卵巣として表す。
【0056】
抗腫瘍活性、特にエストロゲン依存性腫瘍における抗腫瘍活性は、インビボで、例えば雌Sprague−Dawleyラットにおけるベンゾアントラセン(DMBA)誘発乳房腫瘍で立証することができる(Proc.Soc.Exp.Biol.Med.160,296−301,1979を参照)。本発明の化合物は、日々の経口での投与量約1〜約20mg/kg以下で、既存の腫瘍の緩解を引き起こしかつ新たな腫瘍の発現を抑える。
【0057】
治療する患者において所望の効果を達成するために、本発明の化合物を、経口または腸内、例えば静脈内、腹膜内、筋肉内、直腸、皮下に投与するかまたはさもなければ活性物質を局所の組織もしくは腫瘍に直接注入することによって投与することができる。患者なる用語は、温血種および哺乳動物、例えばヒト、霊長類、牛、犬、猫、馬、羊、マウス、ラットおよび豚を包含する。化合物は、医薬品として投与することができまたは化合物を確実に永続して放出する投与手段の中に組み込むことができる。投与する物質の量は、広範囲に渡って変えることができかつあらゆる有効な投与量を表わすことができる。治療する患者または治療する症状または投与の仕方に応じて、毎日の有効な物質の投与量は、約0.005〜50ミリグラム/体重1キログラムにすることができるが、毎日約0.05〜5ミリグラム/体重1キログラムにするのが好ましい。
【0058】
経口投与用には、化合物は、固体または液体薬剤形態、例えばカプセル、ピル、錠剤、被覆錠剤、顆粒、粉末、溶液、懸濁液またはエマルションとしてのような形態で配合すことができる。固体薬剤形態の投与は、一種の通常の硬質ゼラチンカプセルにすることができ、これに活性成分および賦形剤、例えば滑剤および充填剤、例えばラクトース、スクロースおよびトウモロコシでんぷんを充填してよい。投与の別の形態は、本発明の活性物質を錠剤化することによって表わしてもよい。錠剤化は、従来の錠剤用賦形剤、例えばラクトース、スクロース、トウモロコシでんぷんに、アラビアゴム、トウモロコシでんぷんもしくはゼラチンからの結合剤、ジャガイモでんぷんもしくは架橋されたポリビニルピロリドン(PVPP)のような崩壊剤およびステアリン酸もしくはステアリン酸マグネシウムのような滑剤を組み合わせて行うことができる。
【0059】
軟質ゼラチンカプセル用に適した賦形剤の例は、植物油、ワックス、脂肪、半固体および液体ポリオール等である。
【0060】
溶液およびシロップを製造するのに適した賦形剤の例は、水、ポリオール、スクロース、転化糖、グルコース等である。
【0061】
直腸投与用には、化合物は、固体もしくは液体薬剤形態、例えば坐薬のような形態で配合することができる。坐薬用に適した賦形剤の例は、天然もしくは硬化油、ワックス、脂肪、半固体もしくは液体ポリオール等である。
【0062】
非経口投与用には、化合物は、液体または懸濁体中の活性成分の注入可能な投薬として配合することができる。製剤は、生理学的に許容される殺菌した溶媒を含むのが普通であり、このような溶媒は、油中水型エマルションで、界面活性剤を有するもしくは有しないもの、およびその他の薬学的に許容される賦形剤を含んでよい。そのような調剤用に使用することができる油は、パラフィンおよび植物、動物もしくは合成起源のトリグリセリドであり、例えば落花生油、大豆油および鉱油である。注入可能な溶液は、液体担体、例えば好ましくは水、塩水、ブドウ糖または関連する糖溶液、エタノールおよびグリコール、例えばプロピレングリコールもしくはポリエチレングリコールを含むのが普通である。
【0063】
配合物が活性成分の持続される送達を可能にする場合には、物質は、経皮的パッチ系として、蓄積注射または移植として投与してもよい。活性物質は、顆粒としてまたは狭いシリンダーに圧縮し、蓄積注射または移植として皮下または筋肉内投与することができる。
【0064】
医薬は、加えてまた、防腐剤、可溶化剤、粘度上昇性物質、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色剤、着香剤、浸透圧を変えるための塩、緩衝剤、コーティング剤または酸化防止剤も含んでよい。それらは、また、その他の治療上有用な物質も含んでよい。
【0065】
本発明は、更にアロマターゼ阻害に反応する病気または症状、特に増殖性疾患、例えば乳癌または同様の柔組織内分泌感応性癌、最も好ましくは、女性化乳房、乳房および子宮内膜腫瘍、子宮内膜症並びに早期分娩のようなエストロゲン依存性症状の治療または予防における、式(1)または(1)の化合物およびそれらの薬学的に使用可能な塩の使用を提供する。化合物は、また、明確なもしくは不明のホルモン受容体を有する閉経後女性における局部に進行したまたは転移性の乳癌を治療または予防するためにも有用である。
【0066】
式(1)または(1)の化合物およびそれらの薬学的に使用可能な塩は、また、抗腫瘍性作用、例えばエキセメスタン、トレミフェン、フルベストラント、タモキシフェンについて記載されている通りの抗エストロゲン活性;例えばパミドロネート、ゾレドロン酸について記載されている通りの骨吸収阻害活性、ブスルファン、テモゾロマイド、メルファラン、クロランブシル、メクロレタミンについて記載されている通りのアルキル化活性、例えばアドリアマイシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシンについて記載されている通りのヌクレオチド塩基挿入活性;例えばシタラビン、フルダラビン、クラドリビン、メルカプトプリン、チオグアニン、カペシタビンについて記載されている通りの抗代謝活性;例えばアバレリクス、ビカルタミドについて記載されている通りの抗アンドロゲン活性;例えばニルタミド、メチルテストステロンについて記載されている通りのアンドロゲン活性;例えばロイプロイド、トリプトレリン、ゴセレリンについて記載されている通りのゴナドトロピン放出ホルモン活性;例えばメドロキシプロゲステロンについて記載されている通りのゴナドトロピン放出ホルモン活性;例えばメドロキシプロゲステロンについて記載されている通りのプロゲストゲン性活性;例えばゲムシタラビンについて記載されている通りのヌクレオシド類似体活性;例えばトポテカン、イリノテカンについて記載されている通りのトポイソメラーゼI阻害活性;例えばイマチニブについて記載されている通りのキナーゼ阻害活性;例えばゲフィチニブ、トラスツズマブについて記載されている通りの発育因子阻害活性;例えばエポエチンアルファ、サルグラモスチム、フィルガストリム、ペグフィルガストリム、オプレルベキン、インターフェロンアルファ−2bについて記載されている通りの発育ホルモン活性;例えばペメトレキセド、ダカルバジン、プロカルバジン、オキサリプラチン、アスパラギナーゼ、ペグアスパルガーゼ、アルテタミン、ゲムツズマブ、ビノレルビン、ミトキサントロン、デニロイキン、リツキシマブ、アリトレチノイン、三酸化ヒ素、ボルテゾミブ、トレチノイン、ドセタキセルについて記載されている通りの種々雑多な抗腫瘍性活性;例えばドラセトロン、パロノセトロン、アプレピタント、ガニセトロン(ganisetron)、ドロナビノール、オダンセトロン(odansetron)について記載されている通りの制吐活性を有する薬剤の一種以上と組み合わせて投与してもよい。
【0067】
本発明において記載する化合物は、下記の通りに使用することができる:
本明細書中に記載する式(1)または(1)の化合物およびそれらの薬学的に使用可能な塩を含む個々の成分と並びに抗悪性腫瘍活性を有する少なくとも一種の薬物で構成される調剤またはキットの形態の治療的組合せであって、同時にまたは逐次にのいずれかで使用することができるものとして。調剤およびキットは、使用説明書を含み得る。
【0068】
投与量は、広い範囲内で変えることができ、各々の個々の場合において個々の状況に適応させるべきことはもちろんのことである。一般に、経口投与については、成体(70kg)当たり日々の投与量約0.3mg〜約3g、好ましくは約1mg〜約1g、例えば約10mgが適切になり得、日々の投与量は分割して好ましくは1〜3の個別の分量とし、個別の分量は、例えば等しいサイズにしてよいが、適切であるのが分かるならば、具体的な上限は、また、超えてもよい;典型的には、子供は、年齢および体重に応じて受ける投与量が、少なくする。
【0069】
下記の例は、本発明を例示する。温度は、全て摂氏温度で、圧力は、mbarで示す。他に記述しない場合には、反応は、室温で行なわれる。略語「Rf=xx(A)」は、例えばRfが溶媒系Aにおいて値xxを有することが検出されることを意味する。溶媒の互いに対する量比は、常に容積による割合で示す。最終生成物および中間体の化学名は、AutoNom 2000(Automatic Nomenclature)プログラムを利用して発生させた。
【0070】
Hypersil BDS C−18(5μm)でのHPLC勾配;カラム:4×125mm:
10分で水95%/アセトニトリル5%〜水0%/アセトニトリル100%+2分(1ml/分)
トリフルオロ酢酸0.1%を含有する
【0071】
下記の略語を用いる:
Rf 薄層クロマトグラフィーにおける出発点からの物質が移動した距離対溶媒の距離の比
Rt HPLC中の物質の滞留時間(分で表す)
m.p. 融点(温度)
【実施例】
【0072】
実施例1:
【化6】


4−(6,7−ジヒドロ−5H−[2]ピリジン−2−イル)ベンゾニトリル塩酸塩
クロロホルム30ml中のN−tert-ブチル-4−(6,7−ジヒドロ−5H−[2]ピリジン−7−イル)ベンズアミド1.240mmolおよび塩化チオニル1.0mlの溶液を還流下で6時間撹拌した。反応混合物を冷却して室温にしかつ蒸発させた。残分をジクロロメタン中に取り込ませ、飽和重炭酸ナトリウム水溶液と混合した。有機相を分別し、水性相をジクロメタンで抽出した(2×)。一緒にした有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させかつ蒸発させた。残分をジエチルエーテルに溶解させ、エーテル性HCl溶液(2N)を加えることによって、表題の化合物を塩酸塩に転化させた。固体を、ジエチルエーテル/アセトン(1:1)中で撹拌し、ろ過しかつ乾燥させた。表題の化合物が暗グレー固体として得られた。Rf(遊離塩基)=0.36(EtOAc);Rt=4.98
【0073】
出発原料を下記の通りにして製造した:
a)N−tert-ブチル-4−(6,7−ジヒドロ−5H−[2]ピリジン−7−イル)ベンズアミド
エタノール10ml中のN−tert-ブチル-4−(5H−[2]ピリジン−7−イル)ベンズアミド1.250mmolの溶液に10%Pd/C 360mgを混合し、次いで反応混合物を大気圧下20〜25℃で6時間水素化した。反応混合物をろ過によって浄化し、ろ液を蒸発させた。残分から粗製の表題の化合物が褐色油として得られた。
【0074】
b)N−tert-ブチル-4−(5H−[2]ピリジン−7−イル)ベンズアミド
4M HCl 20ml中のN−tert-ブチル-4−(7−ヒドロキシ−6,7−ジヒドロ−5H−[2]ピリジン−7−イル)ベンズアミド1.260mmolの溶液を50℃で20時間撹拌した。反応混合物を冷却して室温にしかつ飽和重炭酸ナトリウム水溶液で慎重に調整してpH8にした。水性相をジクロメタンで抽出し(3×)−一緒にした有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させかつ蒸発させた。残分から粗製の表題の化合物が黄色油として得られた。Rt=5.47
【0075】
c)N−tert-ブチル-4−(7−ヒドロキシ−6,7−ジヒドロ−5H−[2]ピリジン−7−イル)ベンズアミド
テトラヒドロフラン70ml中の4−ブロモ−N−tert-ブチルベンズアミド4.250mmolの−78℃の溶液に、n−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M)5.3mlを滴下して加えた。30分後に、テトラヒドロフラン10ml中の5,6−ジヒドロ−[2]ピリジン−8−オン[51907−18−7]3.270mmolの溶液を滴下して加えた。反応混合物を−78℃で1時間および室温で2時間撹拌し、次いで、飽和塩化アンモニウム水溶液で急冷した。有機相を分別し、水性相を酢酸エチルで抽出した(2×)。一緒にした有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させかつ蒸発させた。残分からフラッシュクロマトグラフィー(SiO60F)によって表題の化合物が白色気泡として得られた。Rf=0.29(トルエン:メタノール=85:15);Rt=5.00。
【0076】
実施例2:
【化7】


4−(5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−5−イル)ベンゾニトリル
エタノール12ml中の4−(7,8−ジヒドロキナゾリン−5−イル)ベンゾニトリル0.480mmolの溶液に10%Pd/C 33mgを混合し、次いで反応混合物を大気圧下20〜25℃で50時間水素化した。反応混合物をろ過によって浄化し、ろ液を蒸発させた。残分からフラッシュクロマトグラフィー(SiO60F)によって表題の化合物が黄色油として得られた。Rf=0.26(ジクロメタン:メタノール=95:5);Rt=5.92。
【0077】
出発原料を下記の通りにして製造した:
a)4−(7,8−ジヒドロキナゾリン−5−イル)ベンゾニトリル
2M HCl 1.25ml中の4−(5−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−5−イル)ベンゾニトリル0.500mmolの溶液を50℃で8時間撹拌した。反応混合物を冷却して室温にしかつ飽和重炭酸ナトリウム水溶液で慎重に調整してpH8にした。水性相を酢酸エチルで抽出し(3×)−一緒にした有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させかつ蒸発させた。残分から粗製の表題の化合物が黄色油として得られた。Rf=0.20(トルエン:メタノール=85:15);Rt=6.21。
【0078】
b)4−(5−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリン−5−イル)ベンゾニトリル
テトラヒドロフラン5ml中の4−ヨードベンゾニトリル2.000mmolの−20℃の溶液に、塩化イソプロピルマグネシウム(テトラヒドロフラン中2.0M)1.0mlを滴下して加えた。30分後に、テトラヒドロフラン2ml中の7,8−ジヒドロ−6H−キナゾリン−5−オン[21599−28−0]1.000mmolの溶液を滴下して加えた。反応混合物を−20℃で30分間および室温で1時間撹拌し、次いで、0.1M HClで急冷した。有機相を分別し、水性相をジクロメタンで抽出した(2×)。一緒にした有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させかつ蒸発させた。残分からフラッシュクロマトグラフィー(SiO60F)によって表題の化合物が褐色油として得られた。Rf=0.16(トルエン:メタノール=85:15);Rt=5.15。
【0079】
実施例3:
【化8】


(SまたはR)−4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−イル)−ベンゾニトリル
(rac)−4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−イル)−ベンゾニトリルの鏡像体の予備の分離を、Chiralpak AD−Hカラム(5μm、250×20mm)によりヘプタン/エタノール/ジエチルアミン70:30:0.1を移動相として流量50ml/分で使用して行った。光学純度を分析定量するために、ヘプタン/エタノール/ジエチルアミン70:30:0.1を移動相として流量1ml/分で使用したChiralpak AD−Hカラム(5μm、250×4.6mm)を採用した。最初の溶離する鏡像体を真空中で濃縮して表題の化合物を白色固体としてもたらした。Rt=10.6
【0080】
出発原料を下記の通りにして製造した:
a)(rac)−4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−イル)−ベンゾニトリル
実施例1と同様にして、N−tert-ブチル-4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−イル)−ベンズアミド塩酸塩1.74mmolを反応させた。表題の化合物がクリーム色の固体として得られた。Rf=0.37(トルエン:メタノール=85:15);Rt=4.88
【0081】
b)N−tert-ブチル-4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−イル)−ベンズアミド塩酸塩
実施例1aと同様にして、N−tert-ブチル-4−(5,6−ジヒドロ−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−イル)−ベンズアミド塩酸塩1.79mmolを反応させた。粗製の表題の化合物が褐色固体として得られた。Rf=0.35(トルエン:メタノール=85:15);Rt=5.54
【0082】
c)N−tert-ブチル-4−(5,6−ジヒドロ−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−イル)−ベンズアミド塩酸塩
実施例1bと同様にして、N−tert-ブチル-4−(8−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−イル)−ベンズアミド1.85mmolを反応させた。粗製の表題の化合物がグレー固体として得られた。Rt=5.54
【0083】
d)N−tert-ブチル-4−(8−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−イル)−ベンズアミド
実施例1cと同様にして、6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−オン[51907−18−7]6.00mmolを反応させた。表題の化合物が黄色油として得られた。Rf=0.16(ジクロメタン:メタノール=95:5);Rt=4.96。
【0084】
下記の化合物を、実施例1〜3に記載するプロセスに類似した様式で製造した。
【0085】
実施例:
4 4−(5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン−8−イル)ベンゾニトリル
6,7−ジヒドロ−5H−イソキノリン−8−オン[21917−88−4]から出発した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式:
【化1】


(式中、
XはCであり;
YはCまたはNであり;
ZはCであり;
Rは、a)水素であるか;または
b)C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、ハロゲンもしくはトリフルオロメチルであり;
は、C〜C−アルキル、C〜C−アルケニル、C〜C−アルキニル、アリール−C〜C−アルキルまたは不飽和ヘテロシクリル−C〜C−アルキルであり、これらのラジカルは、非置換であるかまたは1〜4の、C〜C−アルコキシ、C〜C−アルコキシカルボニル、C〜C−アルキル、C〜C−アルキルカルボニル、C〜C−アルキルスルホニル、アリール−C〜C−アルコキシカルボニル、アリール、シアノ、ハロゲン、ヘテロシクリル、オキソ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチルもしくはトリ−C〜C−アルキルシリルによって置換されており;
は、a)水素であるか;または
b)C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、ハロゲン、カルボキシ−C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシカルボニル−C〜C−アルキル、C〜C−アルキルカルボニル、アリール−C〜C−アルキルまたは不飽和ヘテロシクリル−C〜C−アルキルであり、これらのラジカルは、非置換であるかまたは1〜4の、C〜C−アルコキシ、C〜C−アルコキシカルボニル、C〜C−アルキル、C〜C−アルキルカルボニル、C〜C−アルキルスルホニル、アリール−C〜C−アルコキシカルボニル、アリール、シアノ、ハロゲン、ヘテロシクリル、オキソ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチルもしくはトリ−C〜C−アルキルシリルによって置換されており;
nは、数0、1または2であり;
は、不斉炭素原子を表し;
X、YおよびZがCである場合には、Rは、非置換であるかもしくはアルコキシ置換されたベンジルラジカルでない:またはRがメチルである場合には、Rは、メチルと異なる)
で示される化合物およびその塩、プロドラッグまたは1個以上の原子がそれらの安定な非放射性同位体で置換された化合物、特に薬学的に使用可能な塩。
【請求項2】
一般式:
【化2】


(式中、R、R、Rおよびnの意味は、請求項1に記載の式(1)または(1)の化合物について示した通りである)
に一致することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Rが水素またはC〜C−アルキル、特に好ましくは水素またはメチルである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
が、アリールまたは不飽和ヘテロシクリル、極めて特に好ましくは場合により一−もしくは二−置換されたベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インダゾリル、インドリル、フェニル、ピロリル、チアゾリル、チオフェニルまたはオキサゾリルである、請求項1〜3のいずれか一に記載の化合物。
【請求項5】
が水素、ハロゲン、C〜C−アルキルまたはアリール−C〜C−アルキルである、請求項1〜4のいずれか一に記載の化合物。
【請求項6】
nが数0または1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Rが水素またはC〜C−アルキルであり;
が、アリールまたは不飽和ヘテロシクリルであり、各々の場合において、場合によりハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ヘテロシクリルまたはC〜C−アルキルカルボニルによって置換され;そして
が水素、ハロゲン、C〜C−アルキルまたはアリール−C〜C−アルキルである
請求項2に記載の化合物。
【請求項8】
薬剤を製造するための、請求項1〜7のいずれか一に記載の一般式(1)または(1)の化合物の使用。
【請求項9】
アロマターゼ阻害に対応する疾患もしくは症状、特に増殖性疾患を予防するか、その進行を遅らせるかまたはその治療をするためのヒト薬剤を製造するための、請求項1〜7のいずれか一に記載の一般式(1)または(1)の化合物の使用。
【請求項10】
アロマターゼ阻害に対応する疾患もしくは症状、特に増殖性疾患を予防するか、その進行を遅らせるかまたはその治療をする方法であって、請求項1〜7のいずれか一に記載の一般式(1)または(1)の化合物を治療上有効な量で使用する方法。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか一に記載の一般式(1)または(1)の化合物及び慣用の賦形剤を含む医薬品。

【公表番号】特表2008−500997(P2008−500997A)
【公表日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513939(P2007−513939)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【国際出願番号】PCT/EP2005/052416
【国際公開番号】WO2005/118540
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(506250206)シュペーデル・エクスペリメンタ・アーゲー (36)
【氏名又は名称原語表記】SPEEDEL EXPERIMENTA AG
【Fターム(参考)】