説明

アンカーフレーム及びそれを用いた基礎構造体の構築工法

【課題】アンカーボルトを高精度で設置できるとともに、施工手間の省略化、簡素化及び施工工期の短縮を図ることのできるアンカーフレーム及びそれを用いた基礎構造体の構築工法を提案する。
【解決手段】アンカーフレーム1は、コンクリートに固着されるベース部材7と、
矩形枠状の上部フレーム9及び該上部フレーム9の各角部から垂下して下端がベース部材7にそれぞれ連結、固定される4本の脚部11を有するフレーム本体13と、フレーム本体13に着脱可能に連結されてアンカーボルト3を保持するアンカーボルト保持部材15と、上部フレーム9と脚部11とで区画される、フレーム本体13の各側部にそれぞれ張設されたラス型枠17と、脚部11の下端部にそれぞれ設けられ、フレーム本体13の傾きを調整する高さ調整手段19と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鉄骨構造物の基礎にアンカーボルトを設置する際に使用されるアンカーフレーム及びそれを用いた基礎構造体の構築工法に関し、とくには、施工手間の省略化、簡素化及び施工工期の短縮を図ろうとするものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のアンカーフレームとしては、図7に示すような形状のものが知られている。このアンカーフレーム100は、捨てコンクリートの上に固着される枠状のベース103と、このベース103にその下端側において固定され互いに所定間隔をおいて立設される複数本の縦地105と、縦地105の上端に水平に固着された天板107とを備え、この天板107に複数本のアンカーボルト109を固定する手段を有するものである。あるいは、特許文献1に開示されるように、天板の代わりに竪杆の上部に固定部材を設け、この固定部材を介してアンカーボルトの高さを調整可能に構成したものも知られている。
【0003】
特に、このようなアンカーフレーム100を用いて建築物の柱脚を支持する独立した基礎を構築する手順としては、図8(a)に示すように、捨てコンクリートSを打設した後、この捨てコンクリートS上に基準となる墨を出し、この墨に合わせてアンカーフレーム100をオールアンカー110等により固着し、アンカーボルト109をアンカーフレーム100の天板107に固定する。次いで、図8(b)に示すように、基礎ベース筋111を縦横に配筋し、配筋した基礎ベース筋111の上にアンカーフレーム100を囲むように基礎柱型筋113を配筋し、さらに平面視で縦横方向に交差するように基礎はかま筋115を配筋する。そして、図8(c)に示すように、基礎柱型筋113の周囲にコンクリートを塞き止める型枠117を配設し、基礎コンクリート119を打設する。この場合、型枠117は、周囲の配筋や構造物に保持、固定させて浮き型枠とする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−68132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のアンカーフレームでは、アンカーフレームの傾き調整が、捨てコンクリート表面の水平精度によって左右され、傾き調整が困難であるとともにアンカーボルト自体の施工精度にも影響を与えるという問題がある。また、アンカーフレーム100が図8で示したように、基礎柱型筋113の内側となるため、アンカーフレーム100、アンカーボルト109の設置を基礎柱型筋113の配筋施工前に行わなければならず、さらにアンカーフレーム100が基礎柱型筋113の内側となるため配筋がアンカーフレーム100に干渉し、施工手間が掛かり、さらに、配筋作業時にアンカーボルト109の位置がずれるという問題もある。しかも、型枠117を浮かせて保持、固定しなければならないため、その取付け及びコンクリート硬化後の型枠117の解体、撤去に手間がかかるという問題もある。
【0006】
それゆえ、この発明は、上記問題を解決し、アンカーボルトを高精度で設置できるとともに、施工手間の省略化、簡素化及び施工工期の短縮を図ることのできるアンカーフレーム及びそれを用いた基礎構造体の構築工法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、この発明のアンカーフレームは、コンクリートに対して複数本のアンカーボルトを立設、支持するアンカーフレームであって、コンクリートに固着されるベース部材と、矩形枠状の上部フレーム及び該上部フレームの各角部から垂下して下端が前記ベース部材にそれぞれ連結、固定される4本の脚部を有するフレーム本体と、前記フレーム本体に着脱可能に連結されてアンカーボルトを保持するアンカーボルト保持部材と、前記上部フレームと前記脚部とで区画される、前記フレーム本体の各側部にそれぞれ張設されたラス型枠と、前記脚部の下端部にそれぞれ設けられ、前記フレーム本体の傾きを調整する高さ調整手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0008】
上記アンカーフレームを用いて基礎構造体の構築する工法は以下のとおりであり、すなわち、コンクリートに固着されるベース部材と、矩形枠状の上部フレーム及び該上部フレームの各角部から垂下して下端が前記ベース部材にそれぞれ連結、固定される4本の脚部を有するフレーム本体と、前記フレーム本体に着脱可能に連結されてアンカーボルトを保持するアンカーボルト保持部材と、前記上部フレームと前記脚部とで区画される、前記フレーム本体の各側部にそれぞれ張設されたラス型枠と、前記脚部の下端部にそれぞれ設けられ、前記フレーム本体の傾きを調整する高さ調整手段と、を備えるアンカーフレームを用い、先ず、前記コンクリート上の所定位置に前記固定具を植設し、前記ベース部材を前記固定具に固定し、前記コンクリートとの間に前記ベース部材を介挿するようにして基礎ベース筋を配筋し、前記基礎ベース筋の上に基礎柱型筋を配筋し、前記フレーム本体を、前記基礎柱型筋が内側となるようにベース部材に合わせて配置するとともに、高さ調整手段により、前記フレーム本体の傾きを調整し、前記アンカーボルトを前記アンカーフレームに取り付け、前記アンカーフレームの側部に前記ラス型枠を取り付け、前記アンカーボルトの所定の高さまで基礎コンクリートを打設することで基礎構造体を構築することができる。好適な態様では、アンカーフレームをコンクリートに固定した後であって基礎コンクリートを打設する前に、該アンカーフレームを挿通させる開口部を有する基礎はかま筋を、前記アンカーフレームを囲むように設置し、前記基礎柱型筋と前記基礎はかま筋とが一体となるように基礎はかま用差し筋を配筋し、このようにしてなる基礎配筋を取り囲むようにコンクリート止め枠を設置する。
【0009】
したがって、この発明のアンカーフレーム及びそれを用いた基礎構造体の構築工法によれば、フレーム本体の脚部の下端部にフレーム本体の傾きを調整する手段を設けたことから、簡単な操作で確実にアンカーフレームの傾きを調整することができる。また、アンカーフレームの内側に基礎柱型筋を収める構成としたことから、アンカーフレーム及びアンカーボルトの設置を基礎柱型筋の配筋後に行うことができ、基礎柱型筋の配筋時にアンカーフレームが邪魔になることもなく、また基礎柱型筋を工場にて予め組み立てた組立体とした場合には、現場では基礎柱型筋の組立体を基礎ベース筋に固定するだけでよいので熟練した鉄筋工でなくても基礎柱型筋を精度高く施工することができるとともにローコストかつ短工期で施工することが可能となる。さらに、基礎柱型筋をアンカーフレーム内に収めるとともに、アンカーフレームの側部にラス型枠を取り付ける構成としたことで、アンカーフレームを柱型のサイズとすることができ、フレーム自体が強固になりアンカーボルトの天端位置のブレが無くなり、施工手間の更なる低減を図ることができる。また、アンカーフレームの側部に直接ラス型を張設したことにより、従来のように型枠を浮かせて保持させる手間を省くことができるとともに、コンクリート硬化後に型枠を取り外す必要もなく、施工手間をより一層低減することができる。このように、この発明によれば、アンカーボルトを高精度で保持できるとともに、施工手間の省略化、簡素化及び施工工期の短縮を図ることができ、しかも、基礎配筋(基礎ベース筋及び基礎柱型筋を含む)をあらかじめ工場等で組み立てるようにすることで、現場では基礎柱型筋の組立体を基礎ベース筋の上に設置するだけでよいので熟練した配筋工でなくても基礎配筋を精度高くかつ容易に施工することが可能となる。上述した好適な態様のように、基礎配筋に基礎はかま筋及び基礎はかま用差し筋をさらに含むものとし、かつ基礎はかま筋をあらかじめ工場等で組み立てた組立体とすることで、さらなる施工手間の省略化等を図るようにしてもよい。
【0010】
なお、この発明のアンカーフレームにあっては、前記フレーム本体をアングル材によって形成することが好ましく、これによれば、フレーム本体の強度を向上させることができる。
【0011】
また、この発明のアンカーフレームにあっては、隣り合う2本の脚部同士をつなぐ補強部材を備えることが好ましく、これによれば、フレーム本体の強度を更に向上させることができる。
【0012】
さらに、この発明の基礎構造体の構築工法にあっては、前記基礎ベース筋及び基礎柱型筋の少なくとも一方を予め組み立てた組立体とすることが好ましく、これによれば、熟練した鉄筋工でなくても基礎柱型筋を精度高く施工することができるとともにローコストかつ短工期で施工することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
かくして、この発明によれば、アンカーボルトを高精度で設置できるとともに、施工手間の省略化、簡素化及び施工工期の短縮を図ることのできるアンカーフレーム及びそれを用いた基礎構造体の構築工法を提案することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明にしたがう一実施形態のアンカーフレームを、捨てコンクリートに固定した状態で基礎配筋とともに示す斜視図である。
【図2】(a)は、図1におけるアンカーフレームを拡大して示す斜視図であり、(b)は、アンカーフレームの分解斜視図である。
【図3】フレーム本体の脚部に設けられた高さ調整手段を示し、(a)は、脚部を横切る断面図であり、(b)は、図3(a)中のA−A断面図であり、(c)は、図3(a)中のB−B矢視図である。
【図4】(a)は、アンカーフレームの一部を構成するベース部材を、捨てコンクリートに固定した状態を示す斜視図あり、(b)は、捨てコンクリートの上方に基礎ベース筋を配置した状態を示す斜視図である。
【図5】(a)は、基礎ベース筋の上に基礎柱型筋を設置した状態を示す斜視図であり、(b)は、基礎柱型筋の外側にアンカーフレームのフレーム本体を被せてベース部材に固定した状態を示す斜視図である。
【図6】(a)は、アンカーフレームの周りに基礎はかま筋、基礎はかま用差し筋を設置した状態を示す斜視図であり、(b)は、基礎配筋を囲むように止め枠(ラス型枠)を配置するとともに、アンカーフレームの側部にラス型枠を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図7】従来技術のアンカーフレームを示す図であり、(a)は組立て前の状態を、(b)は組立て後の状態をそれぞれ示している。
【図8】従来のアンカーフレームを用いて独立基礎を構築する手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。なお、ここでは、基礎構造体として独立基礎を構築する場合を例にとり説明する。
【0016】
この実施形態のアンカーフレーム1は、図1に示すように、コンクリート(ここでは捨てコンクリートS)にオールアンカー等の固定具によって固定され得るとともに捨てコンクリートSに対して建物の鉄骨柱の基部に設けられた柱脚金物(図示省略)を固定するための複数本のアンカーボルト3を立設、支持するものである。
【0017】
図2(a)、(b)にアンカーフレーム1の詳細を示すように、このアンカーフレーム1は、捨てコンクリートSに固定具5によって固着されるベース部材としての4つのベースアングル7と、矩形枠状の上部フレーム9及び該上部フレーム9の各角部から垂下して下端がベースアングル7にそれぞれ連結、固定される4本の脚部11を有するフレーム本体13と、フレーム本体13に着脱可能に連結されてアンカーボルト3を立設、保持するアンカーボルト保持部材15と、上部フレーム9と脚部11とで区画される、フレーム本体13の各側部(4面)にそれぞれ張設されたメッシュ状のラス型枠17と、脚部11の下端部にそれぞれ設けられ、上部フレーム9の傾きを調整する高さ調整手段19と、を備えている。また、この実施形態では、隣り合う2本の脚部11同士をつないでフレーム本体13を補強するアングル状の補強部材21、22が互いに対向する位置に2本固設されている。
【0018】
上部フレーム9は、4本の等辺アングル材9a〜9dを矩形の枠状に連結、固定して形成したものであり、隣り合うアングル材9a〜9d同士は、アングル材で形成された脚部11を連結材として溶接により固定されている。なお、等辺アングルに代えて不等辺アングル材やチャンネル材を用いて上部フレーム9及び脚部11を形成してもよい。また、4本のアングル材9a〜9dを用いて上部フレーム9を構成するのに代えて、金属板を絞り加工して矩形枠状(角筒状)の上部フレーム(図示省略)を一体成形してもよい。隣り合う脚部11の間隔及び脚部11の高さは、後述する基礎柱型筋をフレーム本体13の内側に完全に収容可能な間隔、高さとする。また、ベースアングル7の高さは、捨てコンクリートSと後述する基礎ベース筋との間にスペーサによって形成される隙間に介挿可能な高さとし、具体的には45〜70mmの高さとすることが好ましい。
【0019】
アンカーボルト保持部材15は、上部フレーム9の2本の長辺(アングル材9a、9c)を跨って互いに平行に延びる2本の上部板23、24と、2本の補強部材21、22を跨って互いに平行に延びる2本の下部板26、27とからなり、これらの上部板23、24及び下部板26、27には、アンカーボルト3を挿通させる貫通孔23a、24a、26a、27aがそれぞれ形成されている。上部板23、24及び下部板26、27は、ボルトにて上部フレーム9、補強部材21、22に着脱可能に連結されているが、クリップ等で固定してもよい。また、2本の上部板、下部板をそれぞれ、一枚の連続した板で形成し、この板にアンカーボルトを挿通させる挿通孔をそれぞれ4つずつ形成するようにしてもよい。
【0020】
高さ調整手段19は、図3(a)〜(c)に示すように、アングル材からなる脚部11の下端部の一方の側壁11aの外面にここでは溶接により固着されたアジャスタ板29と、アジャスタ板29を貫通し、底部が捨てコンクリートSに当接するアジャスタボルト31と、アジャスタボルト31と螺合するとともにアジャスタ板29を上下から挟み込む一対のアジャスタナット33a、33bと、所定の調整高さにて脚部11をベースアングル7に固定する固定ボルト35とを有してなる。ベースアングル7の立上り壁37には、固定ボルト35を挿通させ高さ調整の際に固定ボルト35の移動を許容する長孔37aが形成されている。また、脚部11にも、ベースアングル7の長孔37aに対応して、固定ボルト35を挿通させる長孔11bが形成されている。固定ボルト35は脚部11をベースアングル7に固定するとともに、長孔37a、11bと協働して脚部11の上下方向への移動を案内するガイド手段をも構成するものである。かかる高さ調整手段19にあっては、ベースアングル7を捨てコンクリートSに固定し、固定ボルト35をベースアングル7の長孔37a及び脚部11の長孔11bの双方に挿通した状態にて、アジャスタボルト31を回動させると、アジャスタボルト31がアジャスタ板29に対して進退し、これにより脚部11は、固定ボルト35に案内されつつ上下に移動して脚部11の高さを調整することができる。所望の高さ(アンカーフレーム1の傾き)が得られた際には、固定ボルト35でベースアングル7と脚部11とを締結、固定する。アジャスタボルト31及び固定ボルト35はそれぞれ、ここでは一般的な六角ボルトで構成しているがこれに限定されない。
【0021】
次に、このようになるアンカーフレーム1を用いて基礎構造体として独立基礎を構築する工法について説明する。
【0022】
先ず、図4(a)に示すように、捨てコンクリートS上に縦横に位置決め用の基準線L1、L2、L3、L4を墨打ちし、このうち基準線L1、L2に合わせて捨てコンクリートSに固定具としてのオールアンカー5を4本打ち込む。なお、オールアンカー5に代えて、自穿式のアンカーやケミカルアンカー、コンクリート釘等の他の固定具5を用いてもよい。
【0023】
次いで、ベース部材としての4つのベースアングル7をそれぞれこれらのオールアンカー5に固定する。
【0024】
次いで、図4(b)に示すように、工場組立てとすることができる、縦筋と横筋からなる基礎ベース筋40を捨てコンクリートSとの間にスペーサ42を介して設置する。すなわち、ベースアングル7は、捨てコンクリートSと基礎ベース筋40との間に介挿された状態となる。
【0025】
次いで、図5(a)に示すように、工場組立てとすることができる、柱筋とフープ筋からなる基礎柱型筋44を基礎ベース筋40の上にセットし固定する。
【0026】
次いで、図5(b)に示すように、フレーム本体13を基礎柱型筋44の外側に被せるように(基礎柱型筋44が内側となるように)して、捨てコンクリートSに固着したベースアングル7に合わせて配置し、上部フレーム9に下げ振り(図示省略)をセットし、該下げ振りの吊り糸が捨てコンクリートS上の基準線L3、L4に合致するように、高さ調整手段19の各アジャスタボルト31を回して前後左右方向におけるフレーム本体13の傾き(鉛直性)を調整し、フレーム本体13が垂直となった時点で、固定ボルト35にて脚部11をベースアングル7に固定する。なお、水準器を用いて、フレーム本体13の傾きの微調整を行ってもよい。
【0027】
次いで、同図に示すように、アンカーボルト保持部材15の一部を構成する下部板26、27を補助部材21、22に取り付け(上部板23、24は予め上部フレーム9に取り付けておいてもよい。)、アンカーボルト3を、上部板23、24及び下部板26、27双方の貫通孔23a、24a、26a、27aに通してナットにて固定する。
【0028】
次いで、図6(a)に示すように、基礎はかま筋46を、アンカーフレーム1の上から被せるように、すなわち基礎はかま筋46の開口部にアンカーフレーム1を通すようにして、基礎ベース筋40上に配置し、基礎ベース筋40に固着する。また、基礎はかま筋46の開口部の位置を通るように差し筋48を配筋し、基礎はかま筋46に固着する。
【0029】
次いで、図6(b)に示すように、予め捨てコンクリートS上に出した墨(図示省略)に合わせて基礎ベース部分のコンクリート止め枠(ラス型枠)80をセットし、固着するとともに、アンカーフレーム1の側部(4面)にラス型枠17を取り付ける。
【0030】
そして、アンカーボルト3の上端近傍の所定レベルまで基礎コンクリート(図示省略)を打設する。基礎コンクリートが固化することで、独立基礎の構築作業が終了し、建物の鉄骨柱の基部に形成された柱脚金物(図示省略)を各アンカーボルト3に締め付けて固定することが可能となる。
【0031】
したがって、このアンカーフレーム1及びそれを用いた基礎構造体の構築工法によれば、フレーム本体13の脚部11の下端部に脚部11の高さを調整する手段19を設けたことから、簡単な操作で確実にアンカーフレーム1の傾きを調整することができる。また、アンカーフレーム1の内側に基礎柱型筋44を収める構成としたことから、アンカーフレーム1及びアンカーボルト3の設置を基礎柱型筋44の配筋後に行うことができ、基礎柱型筋44の配筋時にアンカーフレーム1が邪魔になることもなく、また基礎柱型筋44を工場にて予め組み立てた組立体とした場合には、現場では基礎柱型筋44の組立体を基礎ベース筋40に固定するだけでよいので熟練した鉄筋工でなくても基礎柱型筋44を精度高く施工することができるとともにローコストかつ短工期で施工することが可能となる。さらに、基礎柱型筋44をアンカーフレーム1内に収めるとともに、アンカーフレーム1の側部にラス型枠17を取り付ける構成としたことで、アンカーフレーム1を柱型のサイズとすることができ、フレーム自体が強固になりアンカーボルト3の天端位置のブレが無くなり、施工手間の更なる低減を図ることができる。また、アンカーフレーム1の側部に直接ラス型17を張設したことにより、従来のように型枠を浮かせて保持させる手間を省くことができるとともに、コンクリート硬化後に型枠を取り外す必要もなく、施工手間をより一層低減することができる。このように、この発明によれば、アンカーボルト3を高精度で保持できるとともに、施工手間の省略化、簡素化及び施工工期の短縮を図ることができ、しかも、基礎ベース筋、基礎柱型筋、基礎はかま筋等を含む基礎配筋をあらかじめ工場等で組み立てるようにすることで、現場では基礎柱型筋44の組立体を基礎ベース筋40の組立体の上に設置、固定するだけでよいので熟練した配筋工でなくても基礎配筋を精度高くかつ容易に施工することが可能となる。
【0032】
また、この実施形態のアンカーフレーム1によれば、フレーム本体13をアングル材によって形成したことから、フレーム本体13の強度を向上させることができる。
【0033】
さらに、この実施形態のアンカーフレーム1によれば、隣り合う2本の脚部同士をつなぐ補強部材を設けたことから、フレーム本体の強度を更に向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
かくして、この発明により、アンカーボルトを高精度で設置できるとともに、施工手間の省略化、簡素化及び施工工期の短縮を図ることのできるアンカーフレーム及びそれを用いた基礎構造体の構築工法を提案することが可能となった。
【符号の説明】
【0035】
1 アンカーフレーム
3 アンカーボルト
5 固定具
7 ベースアングル(ベース部材)
9 上部フレーム
11 脚部
13 フレーム本体
15 アンカーボルト保持部材
17 ラス型枠
19 高さ調整手段
21、22 補強部材
23、24 上部板
26、27 下部板
29 アジャスタ板
31 アジャスタボルト
33a、33b アジャスタナット
35 固定ボルト
37a、11b 長孔
40 基礎ベース筋
44 基礎柱型筋
46 基礎はかま筋
48 基礎はかま用差し筋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートに対して複数本のアンカーボルトを立設、支持するアンカーフレームであって、
コンクリートに固着されるベース部材と、
矩形枠状の上部フレーム及び該上部フレームの各角部から垂下して下端が前記ベース部材にそれぞれ連結、固定される4本の脚部を有するフレーム本体と、
前記フレーム本体に着脱可能に連結されてアンカーボルトを保持するアンカーボルト保持部材と、
前記上部フレームと前記脚部とで区画される、前記フレーム本体の各側部にそれぞれ張設されたラス型枠と、
前記脚部の下端部にそれぞれ設けられ、前記フレーム本体の傾きを調整する高さ調整手段と、を備えることを特徴とするアンカーフレーム。
【請求項2】
前記フレーム本体をアングル材によって形成してなる、請求項1に記載のアンカーフレーム。
【請求項3】
隣り合う2本の脚部同士をつなぐ補強部材を備える、請求項1又は2に記載のアンカーフレーム。
【請求項4】
コンクリートに固着されるベース部材と、矩形枠状の上部フレーム及び該上部フレームの各角部から垂下して下端が前記ベース部材にそれぞれ連結、固定される4本の脚部を有するフレーム本体と、前記フレーム本体に着脱可能に連結されてアンカーボルトを保持するアンカーボルト保持部材と、前記上部フレームと前記脚部とで区画される、前記フレーム本体の各側部にそれぞれ張設されたラス型枠と、前記脚部の下端部にそれぞれ設けられ、前記フレーム本体の傾きを調整する高さ調整手段と、を備えるアンカーフレームを用い、
前記コンクリート上の所定位置に前記固定具を植設し、
前記ベース部材を前記固定具に固定し、
前記コンクリートとの間に前記ベース部材を介挿するよう基礎ベース筋を配筋し、
前記基礎ベース筋の上に基礎柱型筋を配筋し、
前記フレーム本体を、前記基礎柱型筋が内側となるようにベース部材に合わせて配置するとともに、高さ調整手段により、前記フレーム本体の傾きを調整し、
前記アンカーボルトを前記アンカーフレームに取り付け、
前記アンカーフレームの側部に前記ラス型枠を取り付け、
前記アンカーボルトの所定の高さまで基礎コンクリートを打設することを特徴とする基礎構造体の構築工法。
【請求項5】
前記基礎ベース筋及び基礎柱型筋の少なくとも一方を予め組み立てた組立体とする、請求項4に記載の基礎構造体の構築工法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−162898(P2012−162898A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23117(P2011−23117)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(591210600)川田工業株式会社 (57)
【Fターム(参考)】