説明

アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤組成物及びその製造方法

【課題】ACE阻害活性に優れ、抗高血圧効果を奏し、副作用・毒性などの安全性の面において問題がなく、食品に添加した場合に官能評価に優れ、調製方法が複雑でなく、大量生産が可能なACE阻害剤組成物等を提供すること。
【解決手段】粉砕した燕麦に有機溶媒を用いて脱脂処理を施す粉末燕麦脱脂ステップ、(a)脱脂燕麦粉末をアミラーゼ処理した後、エタノールを加えてタンパク質画分を沈降させるタンパク質分画ステップ;又は(b)脱脂燕麦粉末にアルカリ塩又はアルカリ土類塩溶液を加えてホモゲナイズし、溶出画分に脱塩処理を施すタンパク質分画ステップ;及び、燕麦タンパク質画分をペプシン及びトリプシンを用いて分解して、VIEPQGL、NIVQMSATR、VQVVNNNGQTVF、IVPQHFのアミノ酸配列を有するペプチドを含むペプチド画分を得る燕麦タンパク質分解ステップを順次行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燕麦タンパク質画分又は燕麦タンパク質由来のペプチド画分を含むアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤組成物(以下、「ACE阻害剤組成物」という場合がある)、該ACE阻害剤組成物の製造方法、及び該ACE阻害剤組成物を配合した食品に関する。
【背景技術】
【0002】
アンジオテンシン変換酵素(ACE)は、血圧の調整においてレニン・アンジオテンシン系に作用する酵素である。レニン・アンジオテンシン系では、肝臓から分泌されるアンジオテンシノーゲンが、腎臓から分泌されるレニンによってアンジオテンシンIに変換される。アンジオテンシンIは更にACEによってアンジオテンシンIIに変換されるが、このアンジオテンシンIIは血管の収縮、血管透過性の増大などの作用があり、血圧を上昇させる。また、血管拡張作用により血圧降下作用を示すブラジキニンは、ACEにより分解されるため、このブラジキニンの分解によっても結果的に血圧が上昇する。ACE阻害活性をもつ物質は、上記のACEの作用を阻害することから、有効な血圧降下作用をもつ成分として着目されている。
【0003】
近年、メタボリック症候群に代表される成人病の増加により、血圧降下作用をもつ物質が着目されているが、高血圧に関連する疾病は特に食事による影響が強いと言われており、高血圧の予防効果を持つ食品素材やその抽出物に対して期待がもたれている。食品素材に含まれているACE阻害物質としては、特に食品素材中のタンパク質の酵素分解物であるペプチドについて、ACE阻害活性があることが報告されている。例えば、ゼラチンのコラゲナーゼ消化物(例えば、特許文献1参照)、牛由来カゼインのトリプシン分解物(参考文献2〜5参照)、ゴマの加水分解物(例えば、特許文献6参照)、トウモロコシ蛋白質のサーモライシン分解物(例えば、特許文献7参照)、海苔やヒジキのペプシン分解物(例えば、特許文献8,9参照)、米、小麦、大麦、オート麦、ゴマ等に由来する蛋白のサーモライシン分解物(例えば、特許文献10参照)、植物種子等の加水分解物(例えば、特許文献11参照)等、或いは、いちじく樹木もしくは果肉の固液分離液を分別して得られるペプチド(例えば、特許文献12参照)等、多数の報告がなされている。これらのペプチドがもつACE阻害活性効果は、ACE阻害活性に対する強さに違いはあるものの、それぞれが特定のアミノ酸配列を持つペプチド類がもたらす効果である。
【0004】
【特許文献1】特開昭52−14863号公報
【特許文献2】特開昭58−109425号公報
【特許文献3】特開昭59−44323号公報
【特許文献4】特開昭59−44324号公報
【特許文献5】特開昭61−36227号公報
【特許文献6】特開平8−231588号公報
【特許文献7】特開平6−87886号公報
【特許文献8】特開平10−36391号公報
【特許文献9】特開平10−175997号公報
【特許文献10】特表2006−520809号公報
【特許文献11】特表2006−512371号公報
【特許文献12】特開平2−282394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のような食品素材由来のACE阻害活性をもつペプチドは、副作用、毒性などの安全性の面において問題が少なく、通常の食品として摂取できるという利点があるが、原料の値段が高い、調製方法が複雑である、大量生産が難しい、体内に摂取した際に消化酵素によって分解され効果が出にくい場合がある、ACE阻害活性を持つペプチドは苦味を伴うことが多く、食用として扱うのに難しい、等といった様々な問題を抱えている。本発明の課題は、ACE阻害活性に優れ、抗高血圧効果を奏し、副作用・毒性などの安全性の面において問題がなく、食品に添加した場合に官能評価に優れ、調製方法が複雑でなく、大量生産が可能なACE阻害剤組成物や、該ACE阻害剤組成物を有効成分とする抗高血圧薬剤や、該ACE阻害剤組成物を配合した機能性食品等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行ない、本発明者らが独自に開発した検索手法により、タンパク質データバンクに登録されている食品タンパク質のアミノ酸配列の検索と統計処理を行なった結果、主に飼料用として使用され非常に安価である燕麦のグロブリンタンパク質に強いACE阻害活性を示す可能性のあるアミノ酸配列を有するペプチド画分の存在を予測した。551個のアミノ酸から構成され、分子サイズは約61kDaの燕麦グロブリンタンパク質のアミノ酸配列(配列番号5)を図3に示す。そして、図3に示す燕麦グロブリンタンパク質をペプシン及びキモトリプシンで消化した場合、図4のようなペプチドが生成されることをBIOPEP解析(http://www.uwm.edu.pl/biochemia/)によって確認した。それら生成ペプチド画分は、ペプシンやトリプシンといったヒトの消化酵素による基質認識部位を持っていないことから、体内に摂取されてから胃や小腸内で消化を受け、失活することはないと判断された。そこで、燕麦タンパク質画分や該タンパク質由来のペプチド画分について、ACE阻害活性、抗高血圧作用、副作用・毒性などの安全性、食品に添加した場合の官能評価について検討し、優れた効果を奏することを確認し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、(1)粉砕した燕麦に有機溶媒を用いて脱脂処理を施す粉末燕麦脱脂ステップ、及び、(a)脱脂燕麦粉末をアミラーゼ処理した後、エタノールを加えてタンパク質画分を沈降させるタンパク質分画ステップ又は(b)脱脂燕麦粉末にアルカリ塩又はアルカリ土類塩溶液を加えてホモゲナイズし、溶出画分に脱塩処理を施すタンパク質分画ステップ、のタンパク質分画ステップを順次備えたことを特徴とする燕麦タンパク質画分を含むアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤組成物の製造方法や、(2)粉砕した燕麦に有機溶媒を用いて脱脂処理を施す粉末燕麦脱脂ステップ、(a)脱脂燕麦粉末をアミラーゼ処理した後、エタノールを加えてタンパク質画分を沈降させるタンパク質分画ステップ又は(b)脱脂燕麦粉末にアルカリ塩又はアルカリ土類塩溶液を加えてホモゲナイズし、溶出画分に脱塩処理を施すタンパク質分画ステップ、のタンパク質分画ステップ、及び燕麦タンパク質画分をペプシン及びトリプシンを用いて分解して、VIEPQGL、NIVQMSATR、VQVVNNNGQTVF、IVPQHFのアミノ酸配列を有するペプチドを含むペプチド画分を得る燕麦タンパク質分解ステップを順次備えたことを特徴とする燕麦タンパク質由来のペプチド画分を含むアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤組成物の製造方法や、(3)有機溶媒として、ヘキサン又はアセトンを用いることを特徴とする前記(1)又は(2)記載のACE阻害剤組成物の製造方法や、(4)アルカリ塩又はアルカリ土類塩溶液として、塩化ナトリウム又は塩化カルシウムを用いることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか記載のACE阻害剤組成物の製造方法や、(5)燕麦タンパク質分解ステップにおいて、ペプシン及びトリプシン分解処理後に、透析膜もしくは限外濾過膜を用いて分子篩処理を施してペプチド画分を得ることを特徴とする前記(2)〜(4)のいずれか記載のACE阻害剤組成物の製造方法に関する。
【0008】
また本発明は、(6)前記(1)、(3)又は(4)記載の製造方法により得られる燕麦タンパク質画分を含有するアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤組成物や、(7)前記(2)〜(5)の記載の製造方法により得られるVIEPQGL、NIVQMSATR、VQVVNNNGQTVF、IVPQHFのアミノ酸配列を有するペプチドを含むペプチド画分を含有するアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤組成物に関する。
【0009】
さらに本発明は、(8)VIEPQGL、NIVQMSATR、VQVVNNNGQTVF、又はIVPQHFのアミノ酸配列を有するペプチドや、(9)VIEPQGL、NIVQMSATR、VQVVNNNGQTVF、又はIVPQHFのアミノ酸配列を有するペプチドからなるアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤や、(10)前記(6)又は(7)記載のアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤組成物を有効成分とする抗高血圧薬剤や、(11)前記(9)記載のアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤を有効成分とする抗高血圧薬剤や、(12)前記(6)又は(7)記載のアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤組成物を配合した食品や、(13)前記(9)記載のアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤を配合した食品に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤組成物の製造方法によれば、食品レベルでの安全性、強いACE阻害活性、優れた抗高血圧作用を有する燕麦タンパク質画分や燕麦タンパク質由来のペプチド画分を、燕麦より安価で、簡易に製造することができ、かつ、大量生産を可能とすることができる。かかるACE阻害剤組成物を含む抗高血圧薬剤や食品は、飲食に適した苦味等のない風味を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の燕麦タンパク質画分を含むACE阻害剤組成物の製造方法としては、粉砕した燕麦に有機溶媒を用いて脱脂処理を施す粉末燕麦脱脂ステップ、及び、(a)脱脂燕麦粉末をアミラーゼ処理した後、エタノールを加えてタンパク質画分を沈降させるタンパク質分画ステップ;又は(b)脱脂燕麦粉末にアルカリ塩又はアルカリ土類塩溶液を加えてホモゲナイズし、溶出画分に脱塩処理を施すタンパク質分画ステップ;を順次備えたものであれば特に制限されるものではなく、また、本発明の燕麦タンパク質由来のペプチド画分を含むACE阻害剤組成物の製造方法としては、粉砕した燕麦に有機溶媒を用いて脱脂処理を施す粉末燕麦脱脂ステップ、(a)脱脂燕麦粉末をアミラーゼ処理した後、エタノールを加えてタンパク質画分を沈降させるタンパク質分画ステップ;又は(b)脱脂燕麦粉末にアルカリ塩又はアルカリ土類塩溶液を加えてホモゲナイズし、溶出画分に脱塩処理を施すタンパク質分画ステップ;及び、燕麦タンパク質画分をペプシン及びトリプシンを用いて分解して、VIEPQGL(Val-Ile-Glu-Pro-Gln-Gly-Leu)(配列番号1)、NIVQMSATR(Asn-Ile-Val-Gln-Met-Ser-Ala-Thr-Arg)(配列番号2)、VQVVNNNGQTVF(Val-Gln-Val-Val-Asn-Asn-Asn-Gly-Gln-Thr-Val-Phe)(配列番号3)、IVPQHF(Ile-Val-Pro-Gln-His-Phe)(配列番号4)のアミノ酸配列を有するペプチドを含むペプチド画分を得る燕麦タンパク質分解ステップを順次備えたものであれば特に制限されるものではなく、上記燕麦(学名:Avena sativa)はイネ科ウシノケグサ亜科カラスムギ属に属する1年生または越年生草本の穀物であり、別名、オートムギ、オート、マカラスムギともいい、また、同属の野生種と同名でカラスムギとも呼ばれ、主成分は澱粉であるが、穀類中ではタンパク質、脂質、食物繊維も多く、アミノ酸組成はリシンが第1制限アミノ酸(必須アミノ酸のうち最も不足する)であるが、アミノ酸スコアは比較的高い。
【0012】
上記粉末燕麦脱脂ステップにおいて、原料燕麦を、摩擦式、せん断式、衝撃式などの公知の粉砕機を用いて粉砕することにより、粉砕燕麦を得ることができる。粉砕の程度は、平均粒径が450μm以下(40メッシュパス)、特に300μm以下(60メッシュパス)となるように粉砕することが好ましい。次に粉砕した燕麦にアルコール類、ヘキサン、アセトン等の有機溶媒を加え、ホモゲナイザーを用いてホモゲナイズを所定回数繰り返し行って、粉砕燕麦を脱脂処理して脱脂燕麦粉末を得る。脱脂処理に使用する前記有機溶媒として、ヘキサン又はアセトンを用いることが好ましく、ヘキサンがより好ましい。また脱脂に際してはソックスレー脂肪抽出装置を用いることもできる。
【0013】
上記タンパク質分画ステップ(a)における脱脂燕麦粉末のアミラーゼ処理は、0.1〜0.3%、好ましくは0.2%のアミラーゼ溶液、好ましくはα−アミラーゼ溶液、特に枯草菌由来のα−アミラーゼ溶液を、脱脂燕麦粉末の5〜15倍量、好ましくは10倍量程度用い、使用アミラーゼ量としては、タンパク質画分に対して2〜5%、より好ましくは3%の酵素濃度で用いることができる。また、アミラーゼ処理条件は35℃〜40℃、5時間以上が好ましく、37℃の条件下で6時間のアミラーゼ処理を好適に例示することができる。アミラーゼ分解処理終了後に、エタノールを加えてタンパク質画分を沈降させるタンパク質分画ステップの処理条件は、1.5〜2.5倍量のエタノールを加えて2000〜4000×gで10〜20分間遠心分離にかけタンパク質画分を沈降させ、より好ましくは、2倍量のエタノールを加えて3000×gで15分間遠心分離にかけるタンパク質画分沈降条件を例示することができる。沈降させたタンパク質画分はそのまま、又はフリーズドライ処理を施すことにより、本発明の燕麦タンパク質画分を含むACE阻害剤組成物とすることができる。
【0014】
上記タンパク質分画ステップ(b)において用いられるアルカリ塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等を挙げることができ、好適には、塩化ナトリウムを例示することができ、また、アルカリ土類塩としては、カルシウム塩、マグネシウム塩等を挙げることができ、好適には、塩化カルシウムを例示することができる。脱脂燕麦粉末とアルカリ塩又はアルカリ土類塩との配合は、例えば脱脂燕麦粉末に、5〜20倍量の0.25〜1.0Mのアルカリ塩又はアルカリ土類塩の溶液が用いられ、より具体的には、10倍量の0.5M塩化ナトリウム溶液もしくは0.5M塩化カルシウム溶液が加えられる。アルカリ塩又はアルカリ土類塩の溶液を加えた後、3〜10分間、例えば5分間程度ホモゲナイズする。また、残渣には更にアルカリ塩又はアルカリ土類塩の溶液を加えホモゲナイズを2度以上繰り返し、なるべく多くの溶出画分を集めることが好ましい。この溶出画分に透析、限外濾過等の脱塩処理、例えば、12〜14000MW−cut−offの透析膜、もしくはペリコンXLを用いた限外濾過による脱塩処理を施す。この脱塩処理物、その濃縮処理物、フリーズドライ処理物を、本発明の燕麦タンパク質画分を含むACE阻害剤組成物とすることができる。
【0015】
上記燕麦タンパク質分解ステップにおいては、上記燕麦タンパク質画分のpH調整後に、ペプシン及びトリプシンによるタンパク分解酵素処理が行われる。具体的には、ペプシンによる分解方法は、無機酸や有機酸の溶液を用いてpH2.0に調整し、タンパク質量に対して0.1%以上の酵素濃度となるようにペプシンを加え、37℃〜40℃、5時間以上インキュベーションを行う。より好ましくは、ペプシン濃度が0.2%で、37℃、6時間インキュベーションを行なう。次にトリプシンによる分解を行うが、その分解方法は、まずpH調整後トリプシンによるタンパク分解を行う。具体的には、NaOH等のアルカリを用いてpH8.0に調整し、ペプシン処理時のタンパク質量に対して、トリプシン濃度0.1%以上、37℃の条件下で5時間以上インキュベーションを行なう。より好ましくは、0.2%酵素濃度となるようにトリプシンを加え、37℃、6時間インキュベーションを行なう。インキュベーション終了後、3500MW−cut−offの透析膜やペリコンXLを用いた限外濾過を用いて分子篩にかけることが好ましい。インキュベーション終了物、好ましくはその分子篩処理物、より好ましくはそのフリーズドライ処理物を、本発明の燕麦タンパク質由来のペプチド画分を含む活性組成物とすることができる。
【0016】
本発明において、上記(a)のタンパク質分画ステップを採用すると、ペプチド画分の純度は低いものの大量調製することができ、(b)のタンパク質分画ステップを採用すると、ペプチド画分の純度は高いものの大量生産には不向きであることから、目的や用途に合わせて上記タンパク質分画ステップを選ぶことが望ましい。
【0017】
本発明はまた、VIEPQGLのアミノ酸配列を有するペプチド、NIVQMSATRのアミノ酸配列を有するペプチド、VQVVNNNGQTVFのアミノ酸配列を有するペプチド、又はIVPQHFのアミノ酸配列を有するペプチドに関する。これら新規ペプチドは、ACE阻害剤として有用であり、前記燕麦タンパク質由来のペプチド画分から、HPLC等を用いる定法により分離採取することにより、また、アミノ酸配列情報によりペプチド化学合成により得ることができる。
【0018】
本発明の燕麦タンパク質画分を含むACE阻害剤組成物や燕麦タンパク質由来のペプチド画分を含むACE阻害剤組成物や、VIEPQGL、NIVQMSATR、VQVVNNNGQTVF、又はIVPQHFのアミノ酸配列を有するペプチドからなるACE阻害剤は、常法により錠剤、顆粒、カプセル、シロップ等製剤化して、健康サプリメントや医薬品として用いることができる。サプリメントや医薬品として用いる場合、それらの分野で通常用いられている賦形剤を配合することが好ましい。また、摂取量は、ヒトの体重、年齢、性別、症状等により異なり、特に症状に応じて1日当たりの投与量を決定するが、通常20〜500mg/kgを目安とし、また長期にわたり服用することもできる。
【0019】
本発明のACE阻害剤組成物は、燕麦を原料とし上記特定の処理方法により何ら苦味や薬味を感じることのないものであり、一般食品に含有してもその食品の風味を損なうことがないので、食品に添加・配合して用いることができ、ACE阻害作用を奏する食品を容易に提供することができる。添加される食品としては、例えば、麺類、飴、クッキー、シリアル類、菓子類(スナック類)、ふりかけ類、畜産加工品類、魚肉加工品類、缶詰類、牛乳、プレーンヨーグルト等の乳製品飲料、ジュース類、清涼飲料、栄養ドリンク剤等を挙げることができる。
【0020】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、実施例で記載しているものに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、アミラーゼとしては和光純薬工業株式会社製「αアミラーゼ,枯草菌由来,20units/mg以上」を、ペプシンとしては和光純薬工業株式会社製「ペプシン1:10,000,ブタ胃粘膜由来」を、トリプシンとしては和光純薬工業株式会社製「トリプシン,30 USP units/mg以上」を、それぞれ使用した。また、「%」は「質量%」を意味する。
【実施例1】
【0021】
[燕麦タンパク質画分を含むACE阻害剤組成物の製造(1)]
粉砕機(MillserIFM−600D)を用いて燕麦を粉砕し、粉砕後60メッシュの篩にかけて粒径300μm以下の燕麦粉末を得た。次いで燕麦粉末10gにヘキサン50mLを加え、脱脂燕麦粉末を得た。これに0.2%アミラーゼ溶液100mLを加え、37℃で6時間インキュベーションしてアミラーゼ処理物を得た。このアミラーゼ処理物に2倍量のエタノールを加え、3000×g、15分間遠心分離するエタノール沈殿処理を行い、タンパク質画分(燕麦グロブリンタンパク質ともいう)を得た。
【実施例2】
【0022】
[燕麦タンパク質由来のペプチド画分を含むACE阻害剤組成物の製造(1)]
実施例1で得られたタンパク質画分に1MのHClを用いてpH2.0に調整した後、ペプシン濃度が0.2%となるようにペプシン溶液を加え、37℃で6時間インキュベーションしてペプシン処理を行なった。その後1MのNaOHを用いてpH8.0に調整した。次いで、pH調整後のペプシン処理物に、トリプシン濃度が0.2%となるようにトリプシン溶液を加え、37℃で6時間インキュベーションしてトリプシン処理を行った。最後に3500 MW−cut−offの透析膜(Spectrum社製「Spectra/Por 3500,再生セルロース製」)を用いて分子篩処理した後、フリーズドライ処理をした。脱脂前の燕麦粉末に対して23%のペプチド画分を得ることができた。このペプチド画分の窒素化合物含有量は、ケルダール法で確認したところ30%であった。
【実施例3】
【0023】
[燕麦タンパク質画分を含むACE阻害剤組成物の製造(2)]
実施例1と同様の方法で得た脱脂燕麦粉末10gに、10倍量の0.5M塩化ナトリウム溶液を加え、ストマッカー用ポリ袋を用いてホモゲナイザー(オルガノ製Lab Blender400)によって5分間ホモゲナイズした。また残渣には更に0.5M塩化ナトリウム溶液を加えホモゲナイズを2度以上繰り返し、なるべく多くの溶出画分を集めた。この溶出画分を12〜14000MW−cut−offの透析膜(Spectrum社製「Spectra/Por 12〜14,000,再生セルロース製」)にかけ、タンパク質画分を得た。
【実施例4】
【0024】
[燕麦タンパク質由来のペプチド画分を含むACE阻害剤組成物の製造(2)]
実施例3で得られたタンパク質画分について1MのHClを用いてpH2.0に調整した後、ペプシン濃度が0.2%となるようにペプシン溶液を加え37℃で6時間、インキュベーションしてペプシン処理をした。その後、ペプシン処理物に1MのNaOHを用いてpH8.0に調整した。次いで、トリプシン濃度が0.2%となるようにトリプシン溶液を加えて37℃で6時間インキュベーションしてトリプシン処理を行った。最後に3000MW−cut−offの透析膜を用いて分子ふるいしフリーズドライ処理をし、脱脂前の燕麦粉末に対して4%のペプチド画分を得た。このペプチド画分の窒素化合物含有量は、ケルダール法で確認した所99%であった。
【実施例5】
【0025】
[燕麦タンパク質由来のペプチド画分を含むACE阻害剤組成物の製造(3)]
実施例3と同様の方法で得た0.5M塩化ナトリウム溶液抽出後の溶出画分に、50%飽和になるよう硫酸アンモニウムを加え、一夜攪拌することによって析出させたグロブリンタンパク質を3000×g、15分間遠心分離後、沈殿物を少量の純水に溶解させ、これを12〜14000MW−cut−offの透析膜(Spectrum社製「Spectra/Por 12〜14,000,再生セルロース製」)にかけ、タンパク質画分を得た。得られたタンパク質画分の純度は98%に上昇した。ただ、塩析なしで得られた試料(実施例4)の純度は、95%であったことから、この塩析処理は省略することもできる。また、塩化ナトリウムの代わりに塩化カルシウムを用いて調製した抽出液は、硫酸アンモニウムと反応して不溶性の硫酸カルシウムを形成するためこの精製法を利用することはできないことが明らかにされた。この実施例5によって、半飽和の硫酸アンモニウムによる塩折法を用いることなく、本発明の塩化ナトリウム溶液や塩化カルシウム溶液等を用いるのみでホモジナイズする簡易の方法で一定純度のグロブリンタンパク質を得ることが分った。
【0026】
[比較例1]
実施例1と同様の方法で得た脱脂燕麦粉末10gに、10倍量の0.015MのNaOH溶液を加え、0.1MのNaOHでpHを9.5に調整後、ストマッカー用ポリ袋を用いてホモゲナイザー(オルガノ製Lab Blender 400)によって5分間ホモゲナイズした。また残渣には更に0.015MのNaOH溶液を加えてホモゲナイズを2度以上繰り返し、なるべく多くの溶出画分を集めた。この溶出画分のpHを2MのHClによって5.5まで下げ、グロブリンタンパク質を等電点沈殿させた。得られたタンパク質画分中には、2%の灰分、0.5%の糖が残存しており、pH調整に時間がとられる割には純度が低いことが示されたのでこの方法は用いないことにした。
【実施例6】
【0027】
[ACE阻害活性の測定]
実施例2及び4で得られたペプチド画分等についてACE阻害活性を調べた。ACE阻害活性の測定は文献(Guan-Hong Li, Huan Liu, Yong-Hui Shi, Guo-Wei Le: Direct spectrophotometric measurement of angiotensin I-converting enzyme inhibitory activity for screening bioactive peptides, Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis, 37巻,219-224ページ,2005)記載の方法に準じて行った。その結果、3500MW−cut−offの透析膜を用いて分子ふるいしたペプチド画分は、低分子物質が除去されていることが明らかになった。得られた透析物のACE阻害活性は、透析していないものの約3倍の阻害活性能力があることが明らかになった。約40%が透析液中に排出され、本発明のペプチド画分約60%が透析チューブの中に残った。HPLC分析(InertsilR ODS-3(4.6x250mm<分析用>,10x250mm<分析用>,いずれもGLサイエンス社製),アセトニトリル0〜60%の濃度勾配,流量1mL/min)によって27個のペプチドが確認され、またこれらの中では特に配列番号1〜4で示される、VIEPQGL、NIVQMSATR、VQVVNNNGQTVF、IVPQHFの4つのペプチドが強いACE阻害活性を示すことが明らかになった。
【実施例7】
【0028】
[インビトロにおけるペプチド画分のACE阻害活性比較]
実施例2で得られたペプチド画分のACE阻害活性を文献(前出:Guan-Hong Liら, Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis, 37巻,219-224ページ,2005)記載の方法に準じて測定し、次に市販されている特定保健用飲料(Y社の有効成分ラクトトリペプチド、Val−Pro−Pro及びIle−Pro−Pro)のACE阻害活性を同様に測定した。両者のペプチド濃度はほぼ同一に揃えてある。本発明のペプチド画分及び市販の特定保健用飲料のACE阻害活性の測定結果を図1に示す。図1に示すように、本発明のペプチド画分は、市販の特定保健用飲料に比べてほぼ2倍のACE阻害活性を示した。
【実施例8】
【0029】
[インビボにおけるペプチド画分の抗高血圧効果]
実施例2で得られたペプチド画分について、高圧発症ラットを用いた動物実験により抗高血圧効果を調べた。すなわち、7週齢の雄ラット(SHR/NCrlCrlj、日本チャールスリバー株式会社)を入手し、1週間馴化後に実験を開始した。22±3℃、湿度60±15%、換気回数12〜15回/時間及び照明12時間 (7〜19時)/日に設定した飼育室において、1匹/1ケージ(ステンレス製ケージ)で飼育した。飼料には、MF(オリエンタル酵母工業株式会社製)を、飲料水には水道水を用いてステンレス製給餌器及び給水瓶にて自由摂取させた。生理的食塩水を用いて50mg/mLの供試液を要事調製し、本発明のペプチド画分を毎朝1回、体重1kgあたりペプチド含有量として100mgの投与量になるように、ラット用経口胃ゾンデを用いて強制経口投与した。ペプチド画分のかわりに生理的食塩水を投与したものを対照区とした。血圧測定には、非観血式自動血圧測定装置(BP-98A、株式会社ソフトロン)を用い、1週間に一度、ペプチド試料投与直後と6時間後に心拍数及び血圧(収縮期、拡張期、平均)を測定した。1回の測定に際しては、1匹の動物で連続5回測定し、経時的な収縮期血圧、平均血圧、拡張期血圧、心拍数の変化を追跡した。投与実験は5週間行い、最終日にはペプチド試料投与直後及びそれ以降3時間間隔で3回の合計4回の血圧測定を実施した。その結果を図2に示す。
【0030】
図2には、投与後の収縮期(最高血圧;上の2本)と弛緩期(最低血圧;下の2本)の経時的変化が示され、◆は対照区(n=6)、■はペプチド画分供試区(n=6)を示す。図2に示されるように、体重1kgあたり100mgの供試ペプチド画分を毎朝、5週間強制投与することを続けた高血圧自然発症性の雄ラット(SHR/NCrlCrlj)は、5週間目において、対照区に比べ、有意(p<0.05)に血圧を下げることが明らかにされた。
【実施例9】
【0031】
[インビボにおける燕麦タンパク質画分の抗高血圧効果]
ブリティッシュコロンビア大学医学部の2名の医師の指導の元に、実施例1により得られた燕麦グロブリンタンパク質画分を80歳男性高血圧症患者(体重67kg)に対しての抗高血圧効果が試された。その結果、燕麦グロブリンタンパク質画分を5g経口摂取し、投与後3時間の血圧を測定した結果、通常180−200mmgの最高血圧が132−136mmgとなり、燕麦グロブリンタンパク質画分に有意(p<0.05)に血圧を低下させる効果があることが認められた。
【実施例10】
【0032】
[食品衛生学的安全性試験結果]
実施例2で得られたペプチド画分の食品衛生学的な安全性を評価するために、微生物を用いた変異原性試験とマウスを用いた動物実験を行なった。変異原性試験としては、エイムズテスト及びレックアッセイを行なった。エイムズテストは、プレインキュベーション法によって行なった。すなわち、1%検液0.1mL、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)0.5mL、及び塩基対置換型突然変異株Salmonella typhimurium TA100(hisG46)あるいはフレームシフト型突然変異株S.typhimurim TA98(hisD3052)の一夜培養液0.1mLを順次滅菌試験管に加え、37℃で20分間振盪した後、これにトップアガー2.0mLを加え混合後、最小グルコース寒天培地(Vogel−Bonner/ブドウ糖寒天培地)平板上に一様に広げ固化させ、37℃で48時間培養し、復帰突然変異によって出現したコロニー数をカウントすることによって行なった。出現したコロニー数が、陰性対象区と比較して2倍以下の場合に陰性と判断した。陽性対象区には2−(2−furyl)−3−(5−nitro−2−furyl)acry lamide(AF−2)を用いた。レックアッセイには、Bacillus subtilis H17株(Rec+)及びB.subtilis M45株(Rec−)を用いた。一夜培養した供試菌液を白金耳を用いてトリプトン酵母エキス寒天平板上に中央で交わるように画線し、交点に滅菌濾紙を乗せ、試験液を10−30μL注入し、風乾後、37℃で24時間培養した。発育阻止帯の長さを測定し、H17株とM45株の発育阻止帯の長さの差が1.5mm以上あれば、陽性と判定した。標準変異原性物質にはAF−2を用いた。動物実験は、OECD化学物質毒性試験指針(1981)に準拠し、10週齢のICR系(Crlj:CD1)雄マウスを用いて単純投与による急性毒性試験を行なった。1週間馴化後、投与前には4時間絶食させ、体重kgあたり5gの試料をマウス用胃ゾンデによって強制単回投与(n=6)し、投与後、3日間引き続き飼育し、3日後に体重変化及び活動状況を観察した。対照区には生理的食塩水を用いた。その結果を表1に示す。
【0033】
【表1】

【0034】
表1に示すように、エイムズ法及びレックアッセイはいずれも陰性、マウスに対する急性毒性試験のLD50は、5g/kg以上となり、いずれの試験においても供試ペプチドの食品衛生的な安全性が確認された。
【実施例11】
【0035】
[官能評価]
食品素材として用いるためには味が重要であることから、7名からなるパネリスト(男4名(平均年齢22歳)、女3名(平均年齢23歳))による官能検査を行なった。純水を用いて実施例2で得られたペプチド画分の1%水溶液を調整し、その甘味、塩味、苦味、酸味及び旨味についての評価を試みた。また、ペプチド画分を乳及び乳製品へ添加した際の色調、味、食感の変化に関する官能検査についても行なった。すなわち、市販の牛乳(乳脂肪分3.5%以上、乳固形分8.3%以上、130℃2秒間殺菌乳)及びプレーンヨーグルト(乳脂肪分3.0%、乳固形分9.5%、発酵乳)を購入し、1%濃度になるようにペプチド試料を添加し、よく混合したものを用いて、7名からなるパネリスト〔男4名(平均年齢22歳),女3名(平均年齢23歳)〕による官能検査を行なった。対照区には、ペプチド試料未添加のものを用い、両者間の評価結果に有意差があるか否かについて調べた。その結果、供試ペプチドの1%水溶液の甘味、塩味、苦味、酸味及び旨みについて2点嗜好評価法(二項検定)により調べたところ、純水との間に有意な差(p<0.05)は認められなかった。そこで、ペプチド画分を用いた乳・乳製品プロトタイプの作製の可能性について検討した。すなわち、市販の牛乳及びプレーンヨーグルトに1%濃度になるように供試ペプチドを添加し、7名のパネリストによる評価を試みたところ、供試ペプチド添加のものと無添加のものとの間には、色調、味、食感において有意差(p<0.05)がないことが示された。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明のin vitroでのACE阻害効果を示す図である。
【図2】本発明のSHRラットに対する投与効果を示す図である。
【図3】11S globulin,precursor,oat(燕麦:Avena sativa)のアミノ酸配列を示す図である。
【図4】BIPPEP解析によるペプシン・キモトリプシン消化ペプチドマップ(および有効画分が存在することの確認)を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉砕した燕麦に有機溶媒を用いて脱脂処理を施す粉末燕麦脱脂ステップ、及び、以下の(a)又は(b)のタンパク質分画ステップを順次備えたことを特徴とする燕麦タンパク質画分を含むアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤組成物の製造方法。
(a)脱脂燕麦粉末をアミラーゼ処理した後、エタノールを加えてタンパク質画分を沈降させるタンパク質分画ステップ;
(b)脱脂燕麦粉末にアルカリ塩又はアルカリ土類塩溶液を加えてホモゲナイズし、溶出画分に脱塩処理を施すタンパク質分画ステップ;
【請求項2】
粉砕した燕麦に有機溶媒を用いて脱脂処理を施す粉末燕麦脱脂ステップ、以下の(a)又は(b)のタンパク質分画ステップ、及び燕麦タンパク質画分をペプシン及びトリプシンを用いて分解して、VIEPQGL、NIVQMSATR、VQVVNNNGQTVF、IVPQHFのアミノ酸配列を有するペプチドを含むペプチド画分を得る燕麦タンパク質分解ステップを順次備えたことを特徴とする燕麦タンパク質由来のペプチド画分を含むアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤組成物の製造方法。
(a)脱脂燕麦粉末をアミラーゼ処理した後、エタノールを加えてタンパク質画分を沈降させるタンパク質分画ステップ;
(b)脱脂燕麦粉末にアルカリ塩又はアルカリ土類塩溶液を加えてホモゲナイズし、溶出画分に脱塩処理を施すタンパク質分画ステップ;
【請求項3】
有機溶媒として、ヘキサン又はアセトンを用いることを特徴とする請求項1又は2記載のACE阻害剤組成物の製造方法。
【請求項4】
アルカリ塩又はアルカリ土類塩溶液として、塩化ナトリウム又は塩化カルシウムを用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のACE阻害剤組成物の製造方法。
【請求項5】
燕麦タンパク質分解ステップにおいて、ペプシン及びトリプシン分解処理後に、透析膜もしくは限外濾過膜を用いて分子篩処理を施してペプチド画分を得ることを特徴とする請求項2〜4のいずれか記載のACE阻害剤組成物の製造方法。
【請求項6】
請求項1、3又は4記載の製造方法により得られる燕麦タンパク質画分を含有するアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤組成物。
【請求項7】
請求項2〜5の記載の製造方法により得られるVIEPQGL、NIVQMSATR、VQVVNNNGQTVF、IVPQHFのアミノ酸配列を有するペプチドを含むペプチド画分を含有するアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤組成物。
【請求項8】
VIEPQGL、NIVQMSATR、VQVVNNNGQTVF、又はIVPQHFのアミノ酸配列を有するペプチド。
【請求項9】
VIEPQGL、NIVQMSATR、VQVVNNNGQTVF、又はIVPQHFのアミノ酸配列を有するペプチドからなるアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤。
【請求項10】
請求項6又は7記載のアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤組成物を有効成分とする抗高血圧薬剤。
【請求項11】
請求項9記載のアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤を有効成分とする抗高血圧薬剤。
【請求項12】
請求項6又は7記載のアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤組成物を配合した食品。
【請求項13】
請求項9記載のアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤を配合した食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−73765(P2009−73765A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−244522(P2007−244522)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(391043491)日穀製粉株式会社 (10)
【出願人】(504180239)国立大学法人信州大学 (759)
【Fターム(参考)】