説明

アンテナ装置、及びアレーアンテナ装置

【課題】本発明は、電気的特性を複共振特性とすることができるとともに、パッシブインターモジュレーションの発生を防ぐことができるアンテナ装置、及びアレーアンテナ装置を提供する。
【解決手段】給電プローブ3の先端部は、地導体1と放射導体2との間の空間に挿入されている。放射導体2には、スロット4が設けられている。スロット4は、給電プローブ3と立体的に交差し、給電プローブ3に対する直交方向に沿って配置されている。放射導体2及び給電プローブ3は、電磁結合によって給電プローブ3と電気的に接続されている。パッチアンテナ100は、放射導体2の大きさに起因する低域共振周波数と、スロット4の長さに起因する高域共振周波数とのそれぞれの共振点で共振可能になっており、パッチアンテナ100の電気的特性は、2共振特性となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば人工衛星に搭載され衛星通信等に用いられるパッチアンテナを構成するアンテナ装置、及びアレーアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、パッチアンテナを人工衛星に搭載する場合、ロケット打ち上げ時におけるロケットの積載スペース及び積載重量が制限されているため、パッチアンテナは、構造的に小形で、かつ軽量であることを要する。これに加えて、パッチアンテナは、パッシブインターモジュレーションが発生しない構造であることを要する。このパッシブインターモジュレーションとは、異種金属で接続されている箇所に大電力が入力された際に、放射電波の歪や混変調が生じる現象である。パッチアンテナにおいて、パッシブインターモジュレーションの発生を抑えるためには、放射導体としてのパッチ導体への給電方法に配慮する必要がある。
【0003】
また、人工衛星に搭載される送受信共用のパッチアンテナには、広帯域性、あるいは、比較的高いアイソレーション性能を持つ分波器が用いられているものについては、複数の共振点で共振可能となる複共振特性(少なくとも2共振特性)が電気的特性として要求される。
【0004】
ここで、例えば、特許文献1に示すような従来のアンテナ装置(パッチアンテナ)では、地導体(グラウンド板)から間隔をおいて放射導体が、誘電体のハニカム基板を介して対向配置されている。地導体の外周部には、ハニカム基板及び放射導体を囲むように円筒状のシリンダが設けられている。
【0005】
また、地導体における放射導体の反対側の面には、給電回路を形成する給電回路基板が設けられている。放射導体は、地導体及びハニカム基板に挿入された給電ピンを介して、給電回路から給電される。シリンダ内には、放射導体から反地導体側に間隔をおいて無給電素子が対向配置されている。この無給電素子によって、放射特性が広帯域化されており、アンテナ装置の送受信共用化が図られている。
【0006】
【特許文献1】特許第3026171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような従来のアンテナ装置では、給電ピンを介して放射導体及び給電回路間が接続されている。つまり、異種金属によって放射導体及び給電回路間が接続されている。このため、大電力が入力された際には、パッシブインターモジュレーションが発生する可能性があった。
【0008】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、電気的特性を複共振特性とすることができるとともに、パッシブインターモジュレーションの発生を防ぐことができるアンテナ装置、及びアレーアンテナ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係るアンテナ装置は、板状の地導体と、地導体から間隔をおいて対向配置された板状の放射導体と、地導体及び放射導体の間に、地導体及び放射導体の両方から間隔をおいて挿入され、先端部が電磁結合によって放射導体に電気的に接続され、他端部が給電回路に電気的に接続された給電プローブとを備え、放射導体には、給電プローブに対する直交方向に沿って配置され、給電プローブと立体的に交差し、所望の基準共振周波数よりも高い周波数の半波長に対応する長さのスロットが設けられているものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明のアンテナ装置によれば、給電プローブに対する直交方向に沿って配置され給電プローブと立体的に交差するスロットが放射導体に設けられ、そのスロットの長さが所望の基準共振周波数よりも高い周波数の半波長に対応する長さになっているので、放射導体によって形成される共振点に加えて、スロットによって基準共振周波数よりも高い周波数の共振点が形成されることにより、複共振特性を実現することができる。これとともに、電磁結合によって給電プローブが放射導体に電気的に接続されていることにより、パッシブインターモジュレーションの発生を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるアンテナ装置を示す構成図である。図1(a)は、パッチアンテナ100を示す平面図である。図1(b)は、図1(a)のIb−Ib線に沿う断面図である。なお、実施の形態では、アンテナ装置の理想的な構成として、各導体・線路間の誘電体基板を省略した構成について説明する。
図1において、パッチアンテナ100は、直線偏波放射用のパッチアンテナである。また、パッチアンテナ100は、地導体1、放射導体2及び給電プローブ(給電プローブ)3を有している。地導体1及び放射導体2の形状は、ともに板状(平面状)である。放射導体2は、地導体1から間隔をおいて対向配置されている。
【0012】
給電プローブ3の形状は、帯状である。また、給電プローブ3の先端部(図1の左端部)は、地導体1と放射導体2との間の空間に配置されている。給電プローブ3の他端部(図示せず)は、地導体1と放射導体2との間の空間の外側に配置され、かつ給電回路(図示せず)に接続されている。即ち、給電プローブ3の先端部は、地導体1と放射導体2との間の空間に挿入されている。
【0013】
放射導体2の大きさは、所望の低域共振周波数(基準共振周波数)に対応した大きさに予め設定されている。放射導体2には、スロット(長溝)4が設けられている。スロット4は、給電プローブ3と立体的に交差して、給電プローブ3に対する直交方向に沿って配置されている。また、スロット4の長さは、低域共振周波数よりも高い所望の高域共振周波数の半波長に対応する長さとなっている。
【0014】
ここで、このパッチアンテナ100の給電方式には、電磁結合の一種である近接結合給電方式が用いられている。即ち、放射導体2及び給電プローブ3は、電磁結合によって給電プローブ3と電気的に接続されている。
【0015】
また、パッチアンテナ100は、放射導体2の大きさに起因する低域共振周波数と、スロット4の長さに起因する高域共振周波数とのそれぞれの共振点で共振可能になっている。即ち、放射導体2は、給電回路から給電プローブ3を介して、低域共振周波数及び高域共振周波数の入力信号を受けたときに共振し、電波を放射する。従って、パッチアンテナ100の電気的特性は、2共振特性となっている。
【0016】
次に、動作について説明する。ここでは、パッチアンテナ100を送信用とした場合について説明するが、パッチアンテナ100を受信用とすることもできる。図2は、図1のパッチアンテナ100の動作を説明するための説明図である。なお、図2(a)は、低域共振周波数での動作を説明するための図であり、図2(b)は、高域共振周波数での動作を説明するための図である。
【0017】
図2(a)において、給電回路からの低域共振周波数の入力信号は、電磁結合によって給電プローブ13から放射導体2に伝わる。ここで、放射導体2が給電される際に、スロット4の長さは波長に対して共振長とならないので、スロット4のない通常の近接結合とほぼ同様に放射導体2が給電される。
【0018】
そして、放射導体2上には、スロット4を迂回するように、低域共振周波数の入力信号の電流経路(矢示A)が形成される。この結果、この放射導体2の全体(スロット4を除いた箇所)から電波が放射される。このパッチアンテナ100の低域共振周波数は、スロット4が放射導体2に設けられていない同サイズのパッチアンテナの共振周波数に比べて、低域側にシフトする。
【0019】
また、スロット4の長さは、高域共振周波数の略半波長の長さとなっているため、給電プローブ3を介してスロット4自体が共振する。このため、スロット4上には等価磁流源(図2(b)の矢示B)が生じるものと考えることがでえきる。
【0020】
ここで、通常のパッチアンテナでは、給電プローブ3と直交する放射導体2の両端部に磁流源を仮定した等価モデルで放射特性を解析することができる。これに対して、パッチアンテナ100では、スロット4の長さ方向に2分割したうちの片側の長さが高域共振周波数の略1/4波長となっている。これによって、スロット4の縁を流れる電流が相殺され、スロット4は、フィルタとして機能する。
【0021】
この結果、放射導体2におけるスロット4の近傍の端部(図2の右端部)には電流が流れず、放射導体2の両端部に等価磁流源も生じない。この代わりに、スロット4上に等価磁流源(図2(b)の矢示B)が生じると考えれば、放射導体2上には、給電プローブ3の延長線に沿うように、高域共振周波数の入力信号の電流経路(図2(b)の矢示C)が形成される。また、高域共振周波数の入力信号の等価的なパッチサイズは、図2(b)の破線Dに示すようなサイズとなる。従って、高域共振周波数の入力信号の電流経路は、低域共振周波数の入力信号の電流経路よりも短くなる。
【0022】
また、高域共振周波数は、スロット4の長さに直接起因するので、スロット4の長さを変えることによって、高域共振周波数を調節可能となる。なお、スロット4の長さを変えると低域共振周波数での電流経路(図2(a)の矢示A)も若干変化するため、低域共振周波数も多少影響を受ける。つまり、スロット4の長さを変更することによって、高域/低域共振周波数比もやや変化する。
【0023】
さらに、地導体1及び放射導体2間に挿入された給電プローブ3の長さ(挿入寸法)を変えることによって、インピーダンスを調整可能となる。また、地導体1及び放射導体2間の給電プローブ3の位置(地導体1又は放射導体2からの間隔寸法)を変えることによって、電磁結合量の度合いを調整可能となる。この結果、パッチアンテナ100の入力端での整合を図ることが可能となる。
【0024】
次に、図1のパッチアンテナ100の電気的特性について説明する。図3は、図1のパッチアンテナ100の周波数特性を示すグラフである。図4は、図1のパッチアンテナ100の低域共振周波数(f)での放射パターンを示すグラフである。図5は、図1のパッチアンテナ100の高域共振周波数(1.36f)での放射パターンを示すグラフである。
【0025】
なお、図3は、給電プローブ3側からみた反射損失の周波数特性である。また、図3の縦軸は、反射損失であり、図3の横軸は、低域共振周波数で規格化した周波数である。さらに、図4,5の縦軸は、放射波の利得であり、図4,5の横軸は、アンテナ正面(0度)に対する仰角である。また、図4,5では、正偏波成分(Co−pol.)を実線で示し、交差偏波成分(X−pol.)を破線で示す。
【0026】
パッチアンテナ400の周波数特性は、図3に示すように、2共振特性となっていることがわかる。つまり、低域共振周波数(f)よりも高い周波数の共振点がパッチアンテナ100の周波数特性に形成されている。また、図4,5に示すように、アンテナ正面(0度)に対して仰角が30度程度から−30度程度までの範囲内では、低域共振周波数及び高域共振周波数でのそれぞれの放射パターンが、ほぼ同等のパターンとなっていることがわかる。
【0027】
上記のようなアンテナ装置では、給電プローブ3に対する直交方向に沿って配置され給電プローブ3と立体的に交差するスロット4が放射導体2に設けられている。また、そのスロットの長さが低域共振周波数よりも高い周波数の半波長に対応する長さになっている。この構成により、スロット4によって低域共振周波数よりも高い周波数の共振点が形成されることにより、複共振特性を実現することができる。これとともに、電磁結合によって放射導体2及び給電プローブ3が互いに電気的に接続されていることにより、パッシブインターモジュレーションの発生を防ぐことができる。
【0028】
実施の形態2.
実施の形態1では、パッチアンテナ100が給電プローブ3及びスロット4からなる1組の給電構造を有していたが、実施の形態2では、パッチアンテナ200が2組の給電構造を有している。図6は、この発明の実施の形態2によるアンテナ装置を示す構成図である。なお、図6(a)は、パッチアンテナ200を示す平面図であり、図6(b)は、図6(a)のVIb−VIb線に沿う断面図である。
【0029】
図6において、パッチアンテナ200は、第1及び第2給電構造10,20を有している。第1給電構造10は、給電プローブ13及びスロット14によって構成されている。第2給電構造20は、給電プローブ33及びスロット34によって構成されている。給電プローブ13,23は、実施の形態1における給電プローブ3と同様のものである。スロット14,24は、実施の形態1におけるスロット4と同様のものである。また、スロット24は、給電プローブ23に対して直交するように放射導体2に設けられている。
【0030】
第2給電構造20は、放射導体2の中心を基準に、第1給電構造10に対して放射導体2の周方向の一方(図6(a)の反時計回り)へ180度回転対称となる位置に配置されている。また、給電プローブ23の後段(図6(a)の左側)には、給電回路が接続されており、給電プローブ3と逆相となる信号が入力される。即ち、第2給電構造20の給電位相は、第1給電構造10の給電位相に対して180度異なっている。他の構成は実施の形態1と同様である。
【0031】
次に、動作について説明する。放射導体2及びスロット14,24への給電による2共振の動作原理は、実施の形態1におけるパッチアンテナ100の場合と同様である。また、給電プローブ13と給電プローブ23とが互いに逆相で給電されていることにより、実施の形態1におけるパッチアンテナ100と同様に、直線偏波を放射するパッチアンテナとして動作する。なお、スロット14を放射導体2に設けたことに伴って、実施の形態1におけるスロット4のみを放射導体2に設けた構成に比べて、低域共振周波数は若干低域側に、高域共振周波数は高域側にそれぞれシフトする。他の動作は実施の形態1と同様である。
【0032】
上記のようなアンテナ装置によれば、第1及び第2給電構造10,20の2つの給電構造が用いられている場合であっても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。これに加えて、第1及び第2給電構造10,20によって、パッチアンテナのE面カットにおいて対称構造となるので、実施の形態1のパッチアンテナ100よりも放射特性の対称性を向上させることができる。
【0033】
実施の形態3.
実施の形態1,2では、パッチアンテナ100,200が直線偏波放射用のものであった。これに対して、実施の形態3では、パッチアンテナ300が円偏波放射用のものである。図7は、この発明の実施の形態4によるアンテナ装置を示す構成図である。なお、図7(a)は、パッチアンテナ300を示す平面図であり、図7(b)は、図7(a)のVIIb−VIIb線に沿う断面図である。図7において、パッチアンテナ300は、実施の形態2と同様の第1及び第2給電構造10,20に加えて、第3及び第4給電構造30,40を有している。
【0034】
第3給電構造30は、給電プローブ33及びスロット34によって構成されている。第4給電構造40は、給電プローブ43及びスロット44によって構成されている。給電プローブ33,43は、実施の形態1における給電プローブ3と同様のものである。スロット34,44は、実施の形態1におけるスロット4と同様のものである。また、スロット34,44は、それぞれ給電プローブ33,43に対して直交するように放射導体2に設けられている。給電プローブ13〜43は、円偏波給電回路(図示せず)に電気的に接続されている。
【0035】
第3給電構造30は、放射導体2の中心を基準に、第1給電構造10に対して放射導体2の周方向の一方へ90度回転対称となる位置に配置されている。第3給電構造30の給電位相は、第1給電構造10の給電位相に対して90度異なっている。第4給電構造40は、放射導体2の中心を基準に、第1給電構造10に対して放射導体2の周方向の一方へ270度回転対称となる位置に配置されている。第4給電構造40の給電位相は、第1給電構造10の給電位相に対して270度異なっている。他の構成は実施の形態1と同様である。
【0036】
次に動作について説明する。各給電構造10〜40における2共振特性に関する動作原理は、実施の形態1と同様である。また、給電プローブ13〜43は、パッチアンテナ300の放射導体2の中心に対して、90度回転対称に配置されている。また、給電プローブ13〜43には、円偏波給電回路により、それぞれ90度の位相差をもった給電信号が入力される。これによって、放射導体2又はスロット14〜44から円偏波が放射される。なお、ここでの4点給電は、例えば4線巻きヘリカルアンテナ等と同様の給電方法である。
【0037】
ここで、特許文献1に示すような従来のアンテナ装置では、2点給電により円偏波を放射する構成となっている。これに対して、実施の形態3のアンテナ装置では、第1〜第4給電構造10〜40によって4点給電で放射導体2又はスロット14〜44から円偏波が放射されるので、従来のアンテナ装置に比べて、軸比特性を低くすることができる。つまり、実施の形態3のパッチアンテナ300は、電気的特性を2共振特性でかつ低軸比特性とすることができるとともに、実施の形態1のパッチアンテナ100と同様にパッシブインターモジュレーションの発生を防ぐことができる。
【0038】
また、上記のようなアンテナ装置を衛星通信の円偏波放射に用いた場合には、覆域内で低軸比特性となることにより、衛星通信システムとしてのアンテナ部での高効率化(損失軽減)を図ることができる。
【0039】
実施の形態4.
実施の形態1〜3のパッチアンテナ100〜300では、その構造上、放射波のパターン形状や利得を調整することができない。これに対して、実施の形態4のパッチアンテナ400は、キャビティ(空洞部)を有しており、そのキャビティの形状によって、放射波のパターン形状や利得を調整可能となっている。
【0040】
図8は、この発明の実施の形態4によるアンテナ装置を示す構成図である。なお、図8(a)は、パッチアンテナ400を示す平面図であり、図8(b)は、図8(a)のVIIIb−VIIIb線に沿う断面図である。また、図8では、給電プローブ13〜43が金属筒状体50に設けられた電源と接続されているようにモデル化されて表記されているが、実際には、金属筒状体50に線路との短絡を防ぐ挿入孔(図示せず)が設けられている。給電プローブ13〜43は、金属筒状体50の挿入孔に挿入されており、金属筒状体50の外部で円偏波給電回路に電気的に接続されている(図9以降についても同様)。
【0041】
図8において、実施の形態4のパッチアンテナ400は、実施の形態3のパッチアンテナ300の構成に加えて、断面矩形状の金属筒状体50をさらに有している。金属筒状体50は、地導体1の外周を囲むように取り付けられ、かつ地導体1に電気的に接続されている。金属筒状体50の断面形状は、矩形状になっている。地導体1及び金属筒状体50によって、放射導体2における地導体1の反対側の空間にキャビティが形成されている。他の構成及び動作は、実施の形態3と同様である。
【0042】
次に、パッチアンテナ400の電気的特性について説明する。ここでは、パッチアンテナ400におけるキャビティの高さと放射導体2の高さとを一致させた場合の電気的特性について説明する。図9は、図8のパッチアンテナ400の周波数特性を示すグラフである。図10は、図8のパッチアンテナ400の放射パターンを示すグラフである。
【0043】
なお、図9は、給電プローブ13〜43側からみた反射損失の周波数特性を示す。また、図10(a)は、低域共振周波数(f)での放射パターンを示し、図10(b)は、高域共振周波数(f)での放射パターンを示す。さらに、図10(a)では、正偏波成分(Co−pol.)を実線で示し、交差偏波成分(X−pol.)を破線で示す。また、図10(b)では、右旋円偏波成分(RHCP)を実線で示し、左旋円偏波成分(LHCP)を破線で示す。
【0044】
パッチアンテナ400の周波数特性は、図9に示すように、2共振特性となっていることがわかる。また、図10に示すように、低域共振周波数及び高域共振周波数のいずれの周波数においても低軸比特性が得られていることがわかる。
【0045】
上記のようなアンテナ装置では、地導体1及び金属筒状体50によって、放射導体2における地導体1の反対側の空間にキャビティが形成されている。この構成により、キャビティの高さ(即ち、金属筒状体50の高さ)を調整することによって、放射波のパターン形状や利得を調整可能となる。
【0046】
具体的に、キャビティの高さを比較的低く設定した場合には、ビーム幅を広げることができ、カバレッジエリアを拡大することができる。これに対して、キャビティの高さを比較的高く設定した場合には、ビーム幅を絞ることが可能となり、主ビームの利得を増大することができる。また、このキャビティの高さを、放射導体2から放射してキャビティ内を伝搬する電波の管内波長(放射導体2の形状、キャビティの形状、サイズ等に起因する波長)に対して略1/4波長の整数倍とした場合には、天頂方向(図8(b)の上方)への利得を最大にすることができる。
【0047】
実施の形態5.
実施の形態1〜4のパッチアンテナ100〜400の設計初期段階では、低域共振周波数に基づいて放射導体2のサイズが決定される。しかしながら、放射導体2のサイズには限度があるため、その放射導体2に設けられるスロット14〜44の長さも制限を受ける。これにより、高域共振周波数は、スロット14〜44の長さに大きく依存しているため、例えば図8に示した実施の形態4のスロット14〜44等の場合、高域共振周波数を低域側にシフトすることが困難になる。
【0048】
これに対して、実施の形態5のパッチアンテナ500では、スロット14〜44が、実施の形態3,4のパッチアンテナ300,400のスロット14〜44よりも長くなっている。図11は、この発明の実施の形態5によるアンテナ装置を示す平面図である。図11において、実施の形態5のスロット14〜44は、それぞれ直交部14a〜44a、第1延長部14b〜44b,及び第2延長部14c〜44cを有している。
【0049】
直交部14a〜44aは、各給電プローブ13〜43と直交するように配置されている。第1延長部14b〜44bは、直交部14a〜44aの長さ方向の一端部から各給電プローブ13〜43の先端部側(放射導体2の中心側)へ向けて突出するように配置されている。第2延長部14c〜44cは、直交部14a〜44aの長さ方向の他端部から各給電プローブ13〜43の先端部側へ向けて突出するように配置されている。
【0050】
従って、スロット14〜44における各給電プローブ13〜43に対する直交方向の一端部及び他端部は、給電プローブ13〜43の先端部側へ折れるように延長されている。また、スロット14〜44は、直交部14a〜44aのそれぞれの長さ方向中心部に対して、対称形成されている。他の構成及び動作は、実施の形態4と同様である。
【0051】
上記のようなアンテナ装置では、スロット14〜44における各給電プローブ13〜43に対する直交方向の一端部及び他端部が給電プローブ13〜43の先端部側へ折れるように延長されている(折り曲げられている)。この構成により、放射導体2のサイズによってスロット14〜44の長さが制限されている場合であっても、実施の形態3,4のパッチアンテナ300,400に比べて、スロット14〜44の全長を長くすることができ、高域共振周波数を低域側にシフトすることができる。
【0052】
実施の形態6.
実施の形態5のようなスロット14〜44を対称に延長した構成では、高域共振周波数を低域側にシフトすることが可能となる。しかし、スロット14〜44を延長したことに伴って、低域共振周波数も低域側にシフトする。このため、高域/低域共振周波数比を下げることが難しくなる。従って、2つの共振周波数が比較的近い帯域で運用される機種には、実施の形態5のパッチアンテナ500を適用することが難しくなる。
【0053】
これに対して、実施の形態6では、図12に示すように、第1延長部14b及び第2延長部14cの形状がL字状となっている。また、先の図11における第1延長部24b〜44b及び第2延長部24c〜44c及びの形状も、第1延長部14b及び第2延長部14cと同様に、L字状となっている。
【0054】
上記のようなアンテナ装置によれば、第1延長部14b〜44b及び第2延長部14c〜44cによって、スロット14〜44の全体が、実施の形態3,4のパッチアンテナ300,400に比べて長くなっている。このため、放射導体2のサイズによってスロット14〜44の長さが制限されている場合であっても、相対的に高域の周波数では、低域側にシフトすることができる。これとともに、低域共振周波数の入力信号に対しては、図12の矢示Eのように電流経路が形成される。これにより、低域共振周波数の入力信号に対して、パッチアンテナ600における放射導体2上の経路長が、実施の形態3,4におけるスロット14〜44(延長部を有していないスロット)とほぼ同等の経路長となり、低域共振周波数の変動(さらに低域側へのシフト)を抑えることができる。この結果、共振周波数比を実施の形態5のパッチアンテナ500よりも小さくすることができる。
【0055】
なお、実施の形態5,6では、スロット14〜44の第1延長部14b〜44b及び第1延長部14c〜44cの形状が直線状又はL字状に形成されていた。しかしながら、第1延長部14b〜44b及び第1延長部14c〜44cの形状は、これらの例に限定するものではなく、他の形状であってもよい。例えば、第1延長部14b〜44b及び第1延長部14c〜44cの形状が曲線状又はメアンダ状であっても、高域共振周波数を低域側にシフトすることができる。
【0056】
実施の形態7.
実施の形態3〜6のパッチアンテナ300〜600では、スロット14〜44が給電プローブ13〜43との交差箇所に対して対称となっていた。これに対して、実施の形態7では、スロット14〜44が給電プローブ13〜43との交差箇所に対して非対称となっている。即ち、実施の形態7のパッチアンテナ700には、非対称スロットが用いられている。
【0057】
図13は、この発明の実施の形態7によるアンテナ装置を示す平面図である。図13において、第1〜第4給電構造10〜40におけるスロット14〜44は、放射導体2の各辺の長さ方向中央部から、その各辺の長さ方向一端部側へずらして配置されている。即ち、スロット14における給電プローブ13との交差箇所から給電プローブ13に対する直交方向の一端部までの長さと、スロット14における給電プローブ13との交差箇所から給電プローブ13に対する直交方向の他端部までの長さとが互いに異なっている。スロット24〜44についても、スロット14と同様である。
【0058】
また、スロット14〜44は、いずれも、他のスロット14〜44に対して回転対称となっている。従って、どのスロット14〜44も回転対称条件を満足しているため、低軸比特性は、実施の形態3〜6のパッチアンテナ300〜600と同等となる。他の構成及び動作は実施の形態1と同様である。
【0059】
ここで、実施の形態3〜6のパッチアンテナ300〜600では、互いに隣り合うスロット14〜44同士の間で電磁結合が生じ、この電磁結合によって、インピーダンスが比較的大きく。これに対して、実施の形態7のアンテナ装置では、スロット14〜44における給電プローブ13〜43との交差位置が、その長さ方向の中央箇所からずらして配置されている。この構成により、実施の形態3〜6のパッチアンテナ300〜600に比べて、互いに隣接するスロット14〜44同士の間の間隔が広くなることによって、互いに隣接するスロット同士の電磁結合量を低減することができ、インピーダンスを減少させることができる。また、スロット14〜44の位置を調整することによって、インピーダンスを調整可能となる。
【0060】
なお、実施の形態5,6におけるスロット14〜44を、実施の形態7のスロット14〜44のように、放射導体2の各辺の長さ方向中央部から、その各辺の長さ方向一端部側へずらして配置してもよい。
【0061】
実施の形態8.
実施の形態7のスロット14〜44は、非対称スロットになっていたが、延長部を有していなかった。これに対して、実施の形態8のパッチアンテナ800のスロット14〜44は、非対称スロットであり、かつ延長部を有している。即ち、実施の形態8のスロット14〜44は、非対称延長スロットである。
【0062】
図14は、この発明の実施の形態8によるアンテナ装置を示す平面図である。図14において、実施の形態8のパッチアンテナ800のスロット14は、直交部14a及び延長部14bを有している。また、実施の形態8のスロット24〜44は、スロット14と同様に、直交部及び延長部を有している。他の構成及び動作は、実施の形態5及び7と同様である。
【0063】
上記のようなアンテナ装置では、延長部14b〜44bによってスロット14〜44の全長が延長されているので、実施の形態5と同様に、高域共振周波数を低域側にシフトすることができる。これに加えて、直交部14a〜44aにおける給電プローブ13〜43との交差位置が、その長さ方向の中央箇所からずらして配置されている。この構成により、実施の形態7と同様に、互いに隣接するスロット同士の電磁結合量を低減することができ、インピーダンスを減少させることができる。従って、実施の形態8のアンテナ装置では、実施の形態5及び7を複合した効果を得ることができる。
【0064】
なお、実施の形態1〜3におけるスロット4〜44の各給電プローブ3〜43に対する直交方向の一端部及び他端部の少なくともいずれか一方を、実施の形態5,6,8のパッチアンテナ500,600,800のように、給電プローブ3〜43の先端部側へ折れるように延長してもよい。
【0065】
実施の形態9.
実施の形態3〜8では、1つの給電構造10〜40あたり1つのスロット14〜44が放射導体2に設けられていた。これに対して、実施の形態9では、1つの給電構造10〜40あたり2つのスロットが放射導体2に設けられている。
【0066】
図15は、この発明の実施の形態9によるアンテナ装置を示す平面図である。図15において、実施の形態9の第1給電構造10は、実施の形態1〜8のスロット14に代えて、第1スロット14X及び第2スロット14Yを有している。第1スロット14X及び第2スロット14Yは、給電プローブ13の長さ方向に互いに間隔をおいて配置されている。
【0067】
また、実施の形態2の第2給電構造20は、実施の形態1〜8のスロット24に代えて、第1スロット24X及び第2スロット24Yを有している。さらに、実施の形態9の第3給電構造30は、実施の形態1〜8のスロット34に代えて、第1スロット34X及び第2スロット34Yを有している。また、実施の形態9の第4給電構造40は、実施の形態1〜8のスロット44に代えて、第1スロット44X及び第2スロット44Yを有している。なお、第1スロット24X〜44X及び第2スロット24Y〜44Yは、第1スロット14X及び第2スロット14Yと同様に、互いに間隔をおいて配置されている。
【0068】
ここで、第1スロット14X〜44Xは、それぞれ第2スロット14Y〜44Yよりも長くなっている。即ち、第1スロット14X〜44Xの長さと第2スロット14Y〜44Yの長さとは、互いに異なっている。これにより、第1スロット14X〜44Xによる共振周波数は、第2スロット14Y〜44Yによる共振周波数よりも低くなっている。他の構成及び動作は実施の形態4と同様である。
【0069】
上記のようなアンテナ装置では、1つの給電構造10〜40あたり、2つのスロット14X〜44Y,14Y〜44Yが放射導体2に設けられている。この構成により、放射導体2による共振点に加えて、第1スロット14X〜44Xによる共振点と、第2スロット14Y〜44Yによる共振点が形成されるため、パッチアンテナ900の電気的特性を3共振特性とすることができる。
【0070】
なお、実施の形態9では、1つの給電構造10〜40あたり2つのスロット14X〜44Y,14Y〜44Yが放射導体2に設けられていた。しかしながら、スロットの数は、この例に限定するものではなく、3つ以上であってもよい。例えば、スロットの数を1つの給電構造あたり3つとした場合には、パッチアンテナの電気的特性を4共振特性とすることができる。
【0071】
また、実施の形態9のスロット14X〜44X及びスロット14Y〜44Yの少なくともいずれか一方を、給電プローブ13〜43の先端部側へ折れるように延長させてもよい。つまり、実施の形態9の構成と、実施の形態5又は6の構成とを組み合わせてもよい。
【0072】
さらに、実施の形態1〜3のパッチアンテナ100〜300において、実施の形態9のパッチアンテナ900のように、1つの給電構造あたりのスロットの数を2以上としてもよい。
【0073】
また、実施の形態9のスロット14X〜44X及びスロット14Y〜44Yの少なくともいずれか一方を、実施の形態7のスロット14〜44のように、放射導体2の各辺の長さ方向中央部から、その各辺の長さ方向一端部側へずらして配置してもよい。
【0074】
実施の形態10.
実施の形態1〜9では、矩形状のパッチアンテナ100〜900について説明した。これに対して、実施の形態10では、円形状のパッチアンテナ1000について説明する。図16は、この発明の実施の形態10によるアンテナ装置を示す平面図である。
【0075】
図16において、実施の形態10の地導体1及び放射導体2の形状は、それぞれ円形状である。実施の形態10の金属筒状体50の断面形状も、円形状である。即ち、実施の形態10の金属筒状体50は、金属円筒体である。実施の形態10のスロット14〜44の形状は、いずれも円弧状である。即ち、実施の形態10のスロット14〜44は、円弧状スロットである。
【0076】
実施の形態10の第1〜第4給電構造10〜40は、放射導体2の中心点を基準に、放射導体2の周方向の一方へ90度ずらして、互いに回転対称となるように配置されている。また、第1〜第4給電構造10〜40の給電プローブ13〜43は、それぞれ90度の位相差をもたせた信号を円偏波給電回路から受ける。他の構成及び動作は実施の形態4と同様である。
【0077】
上記のようなアンテナ装置では、パッチアンテナ1000の形状が円形状である場合であっても、パッチアンテナ1000の電気的特性を2共振特性でかつ低軸比特性とすることができるとともに、パッシブインターモジュレーションの発生を防ぐことができる。
【0078】
なお、実施の形態10では、実施の形態4にパッチアンテナ400の形状を円形状とした。しかしながら、この例に限定するものではなく、実施の形態1〜3のパッチアンテナ100〜300、及び実施の形態5〜9のパッチアンテナ500〜900の形状を円形状としてもよい。
【0079】
実施の形態11.
実施の形態4のパッチアンテナ400を素子アンテナとし、図17に示すように、その素子アンテナを複数個適宜配列して給電することにより、アレーアンテナ1100を構成することができる。このようにアレー化した場合にも、実施の形態4のパッチアンテナ400の特性が基本的には反映され、電気的特性を2共振特性とすることができるとともに、パッシブインターモジュレーションの発生を防ぐことができる。
【0080】
ここで、キャビティ(図8における金属筒状体50)の高さを比較的高く設定した場合には、ビーム幅を絞ることが可能となり、素子アンテナとしてのパッチアンテナ400同士の相互結合量の低減化を図ることができる。また、互いに隣接するアンテナ素子間の相互結合量が金属筒状体50によって低減されるため、損失を軽減させることができる。
【0081】
なお、実施の形態11では、アレーアンテナ1100が28個のパッチアンテナ400によって構成されていた。しかしながら、この例に限定するものではなく、アレーアンテナを構成するパッチアンテナの個数は、仕様等に応じて適宜決定することができる。
【0082】
また、実施の形態11では、実施の形態4のパッチアンテナ400をアレー化した構成であった。しかしながら、この例に限定するものではなく、実施の形態1〜3のパッチアンテナ100〜300、又は実施の形態5〜10のパッチアンテナ500〜1000をアレー化してもよい。
【0083】
さらに、実施の形態1〜11では、理想的な構成を示すために、誘電体基板等を省略して構成を説明した。これに対して、実際には、例えば誘電体基板やフィルム基板等を用いて、給電プローブや放射導体を構成してもよい。また、放射導体に関しては、宇宙用途の場合、帯電抑圧対策としてショートピン等によるセンターショート構造を設けてもよい。
【0084】
また、実施の形態1〜11では、送信系のアンテナ装置及びアレーアンテナ装置について説明したが、この発明は、受信系のアンテナ装置及びアレーアンテナ装置にも適用することができる。
【0085】
さらに、実施の形態5〜11では、キャビティが形成されたパッチアンテナ及びアレーアンテナについて説明したが、キャビティを省略した構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】この発明の実施の形態1によるアンテナ装置を示す構成図である。
【図2】図1のパッチアンテナの動作を説明するための説明図である。
【図3】図1のパッチアンテナの周波数特性を示すグラフである。
【図4】図1のパッチアンテナの低域共振周波数での放射パターンを示すグラフである。
【図5】図1のパッチアンテナの高域共振周波数での放射パターンを示すグラフである。
【図6】この発明の実施の形態2によるアンテナ装置を示す構成図である。
【図7】この発明の実施の形態3によるアンテナ装置を示す構成図である。
【図8】この発明の実施の形態4によるアンテナ装置を示す構成図である。
【図9】図8のパッチアンテナの周波数特性を示すグラフである。
【図10】図8のパッチアンテナの放射パターンを示すグラフである。
【図11】この発明の実施の形態5によるアンテナ装置を示す平面図である。
【図12】この発明の実施の形態6によるアンテナ装置を示す平面図である。
【図13】この発明の実施の形態7によるアンテナ装置を示す平面図である。
【図14】この発明の実施の形態8によるアンテナ装置を示す平面図である。
【図15】この発明の実施の形態9によるアンテナ装置を示す平面図である。
【図16】この発明の実施の形態10によるアンテナ装置を示す平面図である。
【図17】この発明の実施の形態11によるアレーアンテナ装置を示す平面図である。
【符号の説明】
【0087】
1 地導体、2 放射導体、3,13,23,33,43 給電プローブ、4,14,24,34,44 スロット、14b,24b,34b,44b 第1延長部、14c,24c,34c,44c 第2延長部、14X,24X,34X,44X 第1スロット、14Y,24Y,34Y,44Y 第2スロット、10 第1給電構造、20 第2給電構造、30 第3給電構造、40 第4給電構造、50 金属筒状体、100,200,300,400,500,600,700,800,900,1000 パッチアンテナ、1100 アレーアンテナ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の地導体と、
前記地導体から間隔をおいて対向配置された板状の放射導体と、
前記地導体及び前記放射導体の間に、前記地導体及び前記放射導体の両方から間隔をおいて挿入され、先端部が電磁結合によって前記放射導体に電気的に接続され、他端部が給電回路に電気的に接続された給電プローブと
を備え、
前記放射導体には、前記給電プローブと立体的に交差して前記給電プローブに対する直交方向に沿って配置され、所望の基準共振周波数よりも高い周波数の半波長に対応する長さのスロットが設けられている
ことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記給電プローブ及び前記スロットからなる第1給電構造と同一の構成であり、前記放射導体の中心を基準に前記第1給電構造に対して、180度回転対称となるように配置された第2給電構造
をさらに備え、
前記第2給電構造の前記給電プローブの給電位相は、前記第1給電構造の前記給電プローブの給電位相に対して180度異なる
ことを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第1給電構造と同一の構成であり、前記放射導体の中心を基準点としたときに、前記第1給電構造に対して、前記放射導体の周方向の一方へ90度回転対称となるように配置された第3給電構造と、
前記第1給電構造と同一の構成であり、前記放射導体の中心を基準点としたときに、前記第1給電構造に対して、前記放射導体の周方向の一方へ270度回転対称となるように配置された第4給電構造と
をさらに備え、
前記第3給電構造の前記給電プローブの給電位相は、前記第1給電構造の前記給電プローブの給電位相に対して90度異なり、
前記第4給電構造の前記給電プローブの給電位相は、前記第1給電構造の前記給電プローブの給電位相に対して270度異なる
ことを特徴とする請求項2記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記スロットにおける前記給電プローブに対する直交方向の一端部及び他端部の少なくともいずれか一方は、前記給電プローブの先端部側へ折れるように延長されている
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記スロットは、前記給電プローブとの交差箇所から前記給電プローブに対する直交方向の一端部までの長さと、前記給電プローブとの交差箇所から前記給電プローブに対する直交方向の他端部までの長さとが互いに異なっている
ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記スロットは、前記給電プローブの長さ方向に互いに間隔をおいて配置され、互いに長さが異なる複数のスロットである
ことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記放射導体の外周を囲むように設けられ、かつ前記地導体に電気的に接続され、前記放射導体の前記地導体の反対側の空間に前記地導体とともにキャビティを形成する金属円筒体
をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のアンテナ装置を複数配列してなる
ことを特徴とするアレーアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−103871(P2010−103871A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−275092(P2008−275092)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】