説明

アンテナ装置及びこれを用いた車載器

【課題】
機器毎やサービス毎のアンテナや受発光部を一つの筐体にした場合でも、筐体が大きくなる。
【解決手段】
車載器用ヘッドユニット又は車載器において、路側無線装置と情報の交換のために無線信号を送受信する空中線部のアンテナ素子は、基板上に銅箔などの回路パターンで形成されたパターンアンテナの中心部に路側赤外線装置の送信する赤外線信号を受信する受光部または、路側赤外線装置に赤外線信号で情報を送信する発光部、または、これらの両方を配置する。あるいは、アンテナ素子を基板から離れた位置に鉄板等で形成し、アンテナ素子の中心部に受光部または発光部あるいはその両方を配置し、アンテナ素子の高さは、前記発光部,前記受光部の高さより同じか高くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、狭域通信(DSRC)を用いた路車間通信と赤外線通信による路車間通信を行う車載器に関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路の料金収受に無線技術を用いた自動料金支払いシステム(ETC)が採用されるようになってきた。近年、このETCに採用されている無線通信技術である狭域通信
(DSRC)を利用した渋滞情報配信等の各種サービスが考えられている。
【0003】
また、現在国道等の一般道では、赤外線を用いた光VICSによる渋滞情報の配信サービスが実施されている。
【0004】
そして、電波通信と光通信を1つのアンテナで実現するために、特開平10−163722号公報に記載のように、1つの基板上にそれぞれの受信部を設ける技術がある。
【0005】
【特許文献1】特開平10−163722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
DSRCと光VICSの両方のサービスを享受する車載器では、電波を用いたDSRC用のアンテナ,赤外線を用いた光VICSの受発光部は車両のダッシュボード上に置かれることになる。しかし、機器毎やサービス毎にアンテナや受発光部を置くことは、ダッシュボード上の景観を損ない更に運転手の視界をさえぎることになる。また、アンテナや受発光部を一つの筐体にした場合でも、筐体が大きくなり、これも、ダッシュボード上の景観を損ない更に運転手の視界をさえぎることになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、路側無線装置と情報の交換のために無線信号を送受信する空中線部と、路側赤外線装置の送信する赤外線信号を受信する受光部と、路側赤外線装置に赤外線信号で情報を送信する発光部を持つ、車載器用ヘッドユニット又は車載器において、空中線部のアンテナ素子は、基板上に銅箔などの導電材による回路パターンで形成されるパターンアンテナであり、このパターンアンテナの中心部に受光部または発光部あるいは、受光部と発光部の両方を配置する。
【0008】
本発明では、路側無線装置と情報の交換のために無線信号を送受信する空中線部と、路側赤外線装置の送信する赤外線信号を受信する受光部と、路側赤外線装置に赤外線信号で情報を送信する発光部を持つ車載器用ヘッドユニット又は車載器において、空中線部のアンテナ素子は基板から離れた位置に金属板で形成されるアンテナであり、このアンテナ素子の中心部に受光部または発光部あるいは受光部と発光部の両方を配置する。そして、アンテナ素子の高さは、発光部,受光部の高さより同じか高くする。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、DSRC車載器と光VICS車載器を一体化した車載器において、DSRC用アンテナと光VICS用受発光部を小型化できるため、DSRC用アンテナと光VICS用受発光部をダッシュボードに設置するヘッドユニットを小型化することが可能である。又、DSRC用アンテナと光VICS用受発光部を持つ構成の車載器は、ダッシュボードに車載器本体を設置することができるので、本発明は有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を用いて、本発明を用いた実施例を説明する。
【実施例1】
【0011】
図3に示すように、本発明を用いない車載器の場合、DSRC用の平面アンテナを基板1上にパターンで実現したアンテナ素子2がある。又、光VICS用の受光部3,発光部4がその周辺に配置される。アンテナ素子2と受光部3,発光部4は離す必要があり基板1はどうしても大きくなりがちである。
【0012】
これに対し、本発明を用いたITS車載器用ヘッドユニット又は、ITS車載器の一実施例を図1に示す。この例では、基板1上に、DSRC用の平面アンテナを基板1上にパターンで実現したアンテナ素子2と、光VICS用の受光部3,発光部4、及び部品搭載領域5が設けられている。平面アンテナの場合、アンテナ素子2の中心部はアンテナの性能に影響が少ないことが知られている。そこで、アンテナ素子2の中心部のパターンを削り、光VICS用の受光部3,発光部4をその削り取った部分に配置する。これにより、基板1を小さくすることが可能となる。尚、この時アンテナ素子2の削り取った部分に配置するのは受光部3,発光部4のどちらか一方でも構わない。
【実施例2】
【0013】
図2は、本発明を用いたITS車載器用ヘッドユニット又は、ITS車載器の他の実施例である。この例では、DSRC用の平面アンテナを基板1から浮いた状態で鉄などの金属材料による板状のアンテナ素子2とグランドパターン6がある。平面アンテナの場合、アンテナの中心部はアンテナの性能に影響が少ないことが知られている。そこで、アンテナ素子2とグランドパターン6の中心部を抜き取り、光VICS用の受光部3,発光部4をその抜き取った部分に配置する。そして、アンテナ素子2の基板1からの高さは、受光部3や発光部4の高さと同じかあるいはこれらよりも高くする。これにより、基板1を小さくすることが可能となる。更に、アンテナ素子2の下に設けられたグランドパターンの下側に電子部品7を配置することが可能になり、より基板1を小さくすることが可能である。尚、この時アンテナ素子2の中心部に設けられて抜き取った部分に配置するのは受光部3,発光部4のどちらか一方でも構わない。
【産業上の利用可能性】
【0014】
電波通信と光通信を一つの筐体に実現する車載器に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のITS車載器の一実施例である。
【図2】本発明のITS車載器の一実施例である。
【図3】本発明を用いない一実施例である。
【符号の説明】
【0016】
1 基板
2 アンテナ素子
3 受光部
4 発光部
5 部品搭載領域
6 グランドパターン
7 電子部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
路側無線装置と情報の交換のために無線信号を送受信する空中線部と、路側赤外線装置の送信する赤外線信号を受信する受光部と、前記路側赤外線装置に赤外線信号で情報を送信する発光部を持つアンテナ装置において、
前記空中線部のアンテナ素子は、基板上に導体による回路パターンで形成されるパターンアンテナであり、前記パターンアンテナの中心部に前記受光部と前記発光部の少なくとも1つを配置することを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
路側無線装置と情報の交換のために無線信号を送受信する空中線部と、路側赤外線装置の送信する赤外線信号を受信する受光部と、前記路側赤外線装置に赤外線信号で情報を送信する発光部を持つアンテナ装置において、
前記空中線部のアンテナ素子は基板から離れた位置に導体板で形成されるアンテナであり、
前記アンテナ素子の中心部に前記受光部または前記発光部の少なくとも1つを配置することを特徴とするアンテナ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のアンテナ装置において、前記アンテナ素子の基板からの高さは、前記発光部,前記受光部の高さより同じか高くすることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項4】
路側無線装置と情報の交換のために無線信号を送受信する空中線部と、路側赤外線装置の送信する赤外線信号を受信する受光部と、前記路側赤外線装置に赤外線信号で情報を送信する発光部を持つ車載器において、
前記空中線部のアンテナ素子は、基板上に導体による回路パターンで形成されるパターンアンテナであり、前記パターンアンテナの中心部に前記受光部と前記発光部の少なくとも1つを配置することを特徴とする車載器。
【請求項5】
路側無線装置と情報の交換のために無線信号を送受信する空中線部と、路側赤外線装置の送信する赤外線信号を受信する受光部と、前記路側赤外線装置に赤外線信号で情報を送信する発光部を持つ車載器において、
前記空中線部のアンテナ素子は基板から離れた位置に導体板で形成されるアンテナであり、
前記アンテナ素子の中心部に前記受光部または前記発光部の少なくとも1つを配置し、
前記アンテナ素子の基板からの高さは、前記発光部,前記受光部の高さより同じか高くすることを特徴とする車載器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−205978(P2008−205978A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−41573(P2007−41573)
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】