説明

アンテナ装置

【課題】同軸線路からの放射による放射特性の劣化を防止し、さらに、特に高周波域における損失を低減するアンテナ装置を提供する。
【解決手段】アンテナ装置10は、第1の高周波信号の波長の概ね1/2の長さのスロット1aが設けられた導体板1と、スロット1aに第1の高周波信号を供給するキャビティ4と、1辺の長さが第2の高周波信号の波長の概ね1/2である第1の格子状導体板3と、導体板1と第1の格子状導体板3との間に設置された第1の誘電体基板2と、第1の格子状導体板3に短絡される内導体及び導体板1に短絡される外導体を有し第1の格子状導体板3を2等分する第1の中心線6a上に配置され、第1の格子状導体板3に対して第2の高周波信号を供給する第1の同軸線路5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアンテナ装置に関し、特に、低姿勢な多周波開口共用アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
衛星通信用及び移動体通信用等のアンテナにおいて2周波開口共用が求められるものがある。これらに用いられるアンテナとしては、低姿勢・省スペースな平面アンテナが好ましい。そのようなアンテナとして、サイズの異なる2種類のマイクロストリップアンテナ(microstrip antenna)を積層方向に重ねた2周波開口共用アンテナがある(例えば非特許文献1)。
【0003】
図20及び図21に、従来技術に係る2周波開口共用アンテナ装置の構成を示す。図21に示すように、2周波開口共用アンテナ装置210は、誘電体基板201と、誘電体基板201の上面に配置された放射導体203と、放射導体203の上方に配置された誘電体基板202と、誘電体基板202の上面に配置された放射導体204とを備える。
誘電体基板201の放射導体203と対向する(反対側の)面は接地導体(GND)207が形成される。給電線路205及び給電線路206は、放射導体203及び放射導体204にそれぞれfH及びfL(fH>fL)の周波数の高周波信号を供給している。それによって2周波開口共用アンテナが実現される。
アンテナ装置210を開口共用アンテナとして動作させるとき、互いのアンテナへの電気性能の影響は最小限に抑えられる必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】J. R. James and P. S. Hall,Handbook of Microstrip Antennas vol.2,Peter Peregrinus Ltd,p.1282,1989.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の開口共用アンテナでは、給電線路205及び給電線路206からの放射により放射特性の劣化を招く。
さらに、特に高周波域において損失が大きいという課題がある。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、給電線路(同軸線路)からの放射による放射特性の劣化を防止し、さらに、特に高周波域における損失を低減するアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るアンテナ装置は、第1の高周波信号の波長の概ね1/2の長さのスロットが設けられた導体板と、スロットに第1の高周波信号を供給するキャビティと、1辺の長さが第2の高周波信号の波長の概ね1/2である第1の格子状導体板と、導体板と第1の格子状導体板との間に設置された第1の誘電体基板と、第1の格子状導体板に短絡される内導体及び導体板に短絡される外導体を有し、第1の格子状導体板を2等分する第1の中心線上に配置され、第1の格子状導体板に対して第2の高周波信号を供給する第1の同軸線路とを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、同軸線路からの放射による放射特性の劣化を防止し、さらに、特に高周波域における損失を低減するアンテナ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1に係るアンテナ装置の3面図である。
【図2】図1に記載のアンテナ装置の斜視図である。
【図3】図1に記載のアンテナ装置の分解図である。
【図4】シミュレーションに用いた構成を説明するための斜視図である。
【図5】シミュレーションに用いた構成を説明するための3面図である。
【図6】本発明のアンテナ装置に波長λHの高周波信号を供給したときの放射特性のシミュレーション結果を示す図である。
【図7】本発明のアンテナ装置に波長λHの高周波信号を供給したときのアドミタンスのシミュレーション結果を示す図である。
【図8】本発明のアンテナ装置に波長λL(>λH)の高周波信号を供給したときの放射特性のシミュレーション結果を示す図である。
【図9】本発明のアンテナ装置に波長λLの高周波信号を供給したときのインピーダンスのシミュレーション結果を示す図である。
【図10】本発明の別の実施の形態に係るアンテナ装置の3面図である。
【図11】本発明の別の実施の形態に係るアンテナ装置の3面図である。
【図12】本発明の更に別の実施の形態に係るアンテナ装置の3面図である。
【図13】本発明の更に別の実施の形態に係るアンテナ装置の3面図である。
【図14】図13に記載のアンテナ装置の分解図である。
【図15】本発明の更に別の実施の形態に係るアンテナ装置の3面図である。
【図16】本発明の実施の形態2に係るアンテナ装置の3面図である。
【図17】本発明の実施の形態3に係るアンテナ装置の3面図である。
【図18】本発明の実施の形態4に係るアンテナ装置の3面図である。
【図19】本発明の実施の形態5に係るアンテナ装置の3面図である。
【図20】従来技術に係る2周波開口共用アンテナの斜視図である。
【図21】図20に記載の2周波開口共用アンテナの3面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係るアンテナ装置10の3面図である。図2はアンテナ装置10の斜視図である。図3はアンテナ装置10の分解図である。
これらの図1−3に示したように、この実施の形態1に係るアンテナ装置10は、2周波の高周波信号を送受信できる開口共用アンテナであり、具体的には、導体板1、第1の誘電体基板2、第1の格子状導体板3、キャビティ4及び第1の同軸線路5を備える。
【0011】
これらのうち、導体板1及びキャビティ4は、主に第1の高周波信号送受信用部材を構成する。第1の格子状導体板3及び同軸線路5は、主に第2の高周波信号送受信用部材を構成する。以後、第1の高周波信号の波長をλH、第2の高周波信号の波長をλL(λL>λH)とする。
【0012】
導体板1は、スロット1aを備え、スロットアンテナを構成する。スロット1aの長さは、第1の高周波信号の波長λHの概ね1/2である。ここで「概ね」とは、共振周波数で共振し得る範囲をいう。以下同様である。
導体板1と後述の第1の格子状導体板3との間には、第1の誘電体基板2が設けられる。
【0013】
第1の格子状導体板3は、一辺の長さが第2の高周波信号の波長λLの概ね1/2の長さである。図1に示すように、第1の格子状導体板3の2等分線のうち、スロット1aの方向に垂直の方向の2等分線を第1の中心線6aとする。第1の格子状導体板3の2等分線のうち、第1の中心線6aに垂直の方向の2等分線を第2の中心線6bとする。
【0014】
キャビティ4は、導体板1の下方に設置され、スロット1aに対して第1の高周波信号を供給する。
【0015】
同軸線路5は、第1の格子状導体板3の概略第1の中心線6a上に配置され、第1の格子状導体板3に短絡される内導体5a、および導体板1に短絡される外導体5bから構成される。第1の同軸線路5は、第1の格子状導体板3に対して第2の高周波信号を供給する。
【0016】
次に、シミュレーションの結果について説明する。図4は、このシミュレーションに用いた構成を説明するための斜視図である。図5は、このシミュレーションに用いた構成を説明するための3面図である。図4および図5において、上述した図1に対応する部分には“1”の位が同一の符号を付し、一部説明を省略する。以下の説明において同様である。
図5中点線で囲まれた範囲内のスロット群は、アドミタンス特性の評価対象のスロット群48である。
【0017】
このシミュレーションにおいては、第1の高周波信号の波長λHと、第2の高周波信号の波長λLとの値をλL=10×λHとなるようにした。スロット41aの長さは0.47λHとし、導体板41が備えるスロット41aの数は60個とした。第1の格子状導体板43と導体板41との間は、0.03λLだけ離間させた。第1の格子状導体板43の長手方向の長さは0.52λLとし、第1の格子状導体板43の幅方向(短手方向)の長さは0.40λLとした。第1の格子状導体板43の線幅は0.008λLとし、格子の間隔(第1の格子状導体板43を構成する各格子の一辺の長さ)は0.06λLとした。
【0018】
図6は、図4及び図5に示すアンテナ装置40に第1の高周波信号(波長λH)を供給したときのシミュレーション結果を示すグラフである。図6の横軸は観測角θ[deg]を、縦軸は放射特性を示す。
【0019】
図6(a)は、図5に一点鎖線で示す第1の中心線46aを含む平断面において観測した放射特性である。図6(a)において、61aは、第1の格子状導体板43がある場合の主偏波を示し、63aは、第1の格子状導体板43がある場合の交差偏波を示す。62aは、第1の格子状導体板43がない場合の主偏波を示し、64aは、第1の格子状導体板43がない場合の交差偏波を示す。
【0020】
図6(b)は、図5に一点鎖線で示す第2の中心線46bを含む平断面において観測した放射特性である。図6(b)において、61bは、第1の格子状導体板43がある場合の主偏波を示し、63bは、第1の格子状導体板43がある場合の交差偏波を示す。62bは、第1の格子状導体板43がない場合の主偏波を示す。なお、第1の格子状導体板43がない場合の交差偏波のレベルは−100dB以下であり図6(b)には示されていない。
【0021】
図6に示すように、第1の格子状導体板43がある場合の放射特性は、第1の格子状導体板43がない場合の放射特性とほぼ同等である。また、第1の格子状導体板43がある場合の交差偏波は約−60dBであり十分低いレベルである。
【0022】
図7は、アンテナ装置40に第1の高周波信号(波長λH)を供給したときの各スロット群48のアドミタンスのシミュレーション結果を示すグラフである。評価対象は図5におけるスロット群48であり、図5中左から順にNo.1、No.2、、、No.10とする。
【0023】
図7において、71は、第1の格子状導体板43がある場合のアドミタンス特性を示す。72は、第1の格子状導体板43がない場合のアドミタンス特性を示す。両アドミタンス特性は、ほぼ同等である。
【0024】
図8は、アンテナ装置40に第2の高周波信号(λL)を供給したときのシミュレーション結果を示すグラフである。図8の横軸は観測角θ[deg]を、縦軸は放射特性を示す。
【0025】
図8(a)は、図5に一点鎖線で示す第1の中心線46aを含む平断面において観測した放射特性である。図8(a)において、81aは、図4及び図5に示す構成(スロット41aも含む構成)のアンテナ装置40における主偏波を示し、83aは、図4及び図5に示す構成(スロット41aも含む構成)のアンテナ装置40における交差偏波を示す。82aは、穴の開いていない導体板(パッチアンテナ)で構成されたアンテナ装置40の主偏波を示し、84aは、穴の開いていない導体板(パッチアンテナ)で構成されたアンテナ装置40の交差偏波を示す。
【0026】
図8(b)は、図5に一点鎖線で示す第2の中心線46bを含む平断面において観測した放射特性である。図8(b)において、81bは、図4及び図5に示す構成(スロット41aも含む構成)のアンテナ装置40における主偏波を示し、83bは、図4及び図5に示す構成(スロット41aも含む構成)のアンテナ装置40における交差偏波を示す。82bは、穴の開いていない導体板(パッチアンテナ)で構成されたアンテナ装置40の主偏波を示し、84bは、穴の開いていない導体板(パッチアンテナ)で構成されたアンテナ装置40の交差偏波を示す。
【0027】
図8に示すように、スロット41aを含んで構成された場合の第1の格子状導体板43の放射特性は、穴の開いていない導体板(パッチアンテナ)で構成された場合の第1の格子状導体板43の放射特性とほぼ同等である。
【0028】
図9は、アンテナ装置40に第2の高周波信号(波長λL)を供給したときの第1の格子状導体板43のインピーダンスのシミュレーション結果を示す図である。
図9において、101は、図4及び図5に示す構成(スロット41aも含む構成)のアンテナ装置40における第1の格子状導体板43のインピーダンス特性を示し、102は、穴の開いていない導体板(パッチアンテナ)で構成されたアンテナ装置40の第1の格子状導体板43のインピーダンス特性を示す。両インピーダンス特性はほぼ同等である。
【0029】
以上から、本発明に係るアンテナ装置40は、各周波信号送受信用部材間の電気性能の影響が抑制され、放射特性の劣化及び特に高周波数帯における損失を低減できていることがわかる。
【0030】
次に、図10及び図11を用いて、この実施の形態1における別の実施の形態について説明する。
以上の説明では、キャビティ4が第1の高周波信号を供給している構成について説明したが、本発明はこの構成に限られるものではなく、図10に示すように、例えば、導波管104が第1の高周波信号を供給してもよい。又は、図11に示すように、平行平板導波管114が第1の高周波信号を供給する構成としてもよい。
【0031】
次に、図12を用いて、この実施の形態1における更に別の実施の形態について説明する。
以上の説明では、格子形状の第1の格子状導体板3が第2の高周波信号で動作する構成について説明したが、本発明はこの構成に限られるものではなく、図12に示すように、例えば、短冊形状の導体板123が第2の高周波信号で動作する構成としてもよい。
【0032】
次に、図13及び図14を用いて、この実施の形態1における更に別の実施の形態について説明する。
以上の説明では、誘電体層として第1の誘電体基板2を用いる構成について説明したが、本発明はこの構成に限られるものではなく、図13及び図14に示すように、例えば、誘電体層として空気層を用いてもよい。その場合、第1の格子状導体板3を保持するためのスペーサ132を第1の格子状導体板3と導体板1との間に挿入する。
【0033】
次に、図15を用いて、この実施の形態1における更に別の実施の形態について説明する。
図15に示すように、アンテナ装置150は、第2の中心線6b上に第2の同軸線路155を更に備え、第2の同軸線路155には、位相が第1の高周波信号の位相と90度ずれている第3の高周波信号が供給されてもよい。そのような構成とすることで円偏波を励振できるという効果がある。
【0034】
以上の説明では、導体板1、第1の誘電体基板2及び第1の格子状導体板3の積層方向(第1の格子状導体板3における面に対して垂直の方向)から見たときに、第1の格子状導体板3を構成する各格子1個に対してスロット1aが1つ配置されている構成としたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、第1の格子状導体板3を構成する各格子1つに対して複数のスロット1aを配置してもよい。又は、スロット1aを導体板1上にランダムに配置してもよい。
【0035】
以上より、実施の形態1に係るアンテナ装置10は、第1の高周波信号の波長の概ね1/2の長さのスロット1aが設けられた導体板1と、スロット1aに第1の高周波信号を供給するキャビティ4と、1辺の長さが第2の高周波信号の波長の概ね1/2である第1の格子状導体板3と、導体板1と第1の格子状導体板3との間に設置された第1の誘電体基板2と、第1の格子状導体板3に短絡される内導体5a及び導体板1に短絡される外導体5bを有し第1の格子状導体板3を2等分する第1の中心線6a上に配置され、第1の格子状導体板3に対して第2の高周波信号を供給する第1の同軸線路5とを備えるように構成した。このため、第1の同軸線路5からの放射による放射特性の劣化を防止し、さらに、特に高周波域における損失を低減するアンテナ装置を提供することができる。
【0036】
また、実施の形態1によれば、スロット1aは、第1の中心線6aと直交するように構成したので、キャビティ4を介して第1の高周波信号が給電されることによって放射される電磁界の偏波面と、第1の同軸線路5を介して第2の高周波信号が給電されることによって放射される電磁界の偏波面とを合わせることができる。
【0037】
また、実施の形態1によれば、第1の格子状導体板3を2等分する中心線のうち第1の中心線6aと直交する第2の中心線6b上に配置され、第3の高周波信号が供給される第2の同軸線路155を更に備えるように構成したので、円偏波を励振できる。
【0038】
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。図16は、この実施の形態2に係るアンテナ装置160の3面図である。図16に示すように、この実施の形態2に係るアンテナ装置160は、スロット1aが設けられた導体板1、第1の誘電体基板2、第1の格子状導体板3、キャビティ4及び第1の同軸線路5を備える。
【0039】
第1の同軸線路5は、第1の中心線6a上ではなく、概略第2の中心線6b上に設置される。
【0040】
これにより、キャビティ4を介して第1の高周波信号が給電されることによって放射される電磁界の偏波と第1の同軸線路5を介して第2の高周波信号が給電されることによって放射される電磁界の偏波とを直交させることができるという効果がある。
【0041】
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3について説明する。図17は、この実施の形態3に係るアンテナ装置170の3面図である。図17に示すように、この実施の形態3に係るアンテナ装置170は、導体板1、第1の誘電体基板2、第1の格子状導体板3、キャビティ4及び第1の同軸線路5を備える。
【0042】
導体板1は、第1の中心線6aに対して45度の角度で配置されるスロット171aを備える。
【0043】
これにより、キャビティ4を介して第1の高周波信号が供給されることによって放射される電磁界の偏波面と、第1の同軸線路5を介して第2の高周波信号が供給されることによって放射される電磁界の偏波面とが成す角度を45度とすることができるという効果がある。
【0044】
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4について説明する。図18は、この実施の形態4に係るアンテナ装置180の3面図である。図18に示すように、この実施の形態4に係るアンテナ装置180は、導体板1、第1の誘電体基板2、第1の格子状導体板3、キャビティ4、第1の同軸線路5、第2の誘電体基板182及び第2の格子状導体板183を備える。
【0045】
アンテナ装置180は、第1の格子状導体板3の上面に第2の誘電体基板182を更に備え、第2の誘電体基板182の上面に第2の格子状導体板183を更に備える。
【0046】
これにより、第2の高周波信号が供給される場合、第1の格子状導体板3のインピーダンス特性を広帯域化することができるという効果がある。
【0047】
以上の説明では、誘電体層として第1の誘電体基板2及び第2の誘電体基板182を用いて説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、第1の誘電体基板2及び第2の誘電体基板182の代わりにスペーサ等を挿入してもよい。誘電体基板とスペーサとを組み合わせて用いてもよい。
【0048】
以上より、実施の形態4に係るアンテナ装置180は、第1の格子状導体板3の上面に設けられた第2の誘電体基板182と、第2の誘電体基板182の上面に設けられた第2の格子状導体板183とを更に備えるように構成した。このため、第2の高周波信号が供給される場合、第1の格子状導体板3のインピーダンス特性を広帯域化するアンテナ装置を提供することができる。
【0049】
実施の形態5.
次に、本発明の実施の形態5について説明する。図19は、この実施の形態5に係るアンテナ装置190の3面図である。図19に示すように、この実施の形態5に係るアンテナ装置190は、導体板1、第1の誘電体基板2、第1の格子状導体板3、キャビティ4、第1の同軸線路5、第2の誘電体基板182、第2の格子状導体板183及び第3の同軸線路195を備える。
【0050】
第3の同軸線路195は、第2の格子状導体板183に短絡される内導体195a及び導体板1に短絡される外導体195bを有し、第2の格子状導体板183に対して第4の高周波信号を供給する。
【0051】
これにより、第1の高周波信号及び第2の高周波信号に加え、第4の高周波信号により動作する多周波アンテナを実現できるという効果がある。
【0052】
第2の格子状導体板183の上面に第3の誘電体基板を更に配置し、第3の誘電体基板の上面に第3の格子状導体板を更に配置し、第3の格子状導体板に第5の高周波信号を供給する第4の同軸線路を配置することにより、さらなる多周波化が可能である。
【0053】
以上より実施の形態5に係るアンテナ装置190は、第2の格子状導体板183に短絡される内導体195a、及び導体板1に短絡される外導体195bを有し、第2の格子状導体板183に対して第4の高周波信号を供給する第3の同軸線路195を更に備えるように構成した。このため、第1の高周波信号及び第2の高周波信号に加え、第4の高周波信号により動作するアンテナ装置を提供することができる。
【0054】
上記説明した各実施の形態において、アンテナ装置10,40,100,110,120,130,150,160,170,180,190を、適当な間隔でアレー化してもよい。これにより、高利得化できるという効果がある。同時に、ビーム制御を行うことができるという効果がある。
【0055】
上記説明した各実施の形態において、第1の格子状導体3の外形が方形の場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、第1の格子状導体3の外形は、例えば円形状でもよい。
【0056】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 導体板、1a スロット、2 第1の誘電体基板、3 第1の格子状導体板、4 キャビティ、5 第1の同軸線路、5a 内導体、5b 外導体、6a 第1の中心線、6b 第2の中心線、10,100,110,120,130,150,160,170,180,190 アンテナ装置、104 導波管、114 平行平板導波管、123 導体板、132 スペーサ、155 第2の同軸線路、171a スロット、182 第2の誘電体基板、183 第2の格子状導体板、195 第3の同軸線路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の高周波信号の波長の概ね1/2の長さのスロットが設けられた導体板と、
前記スロットに前記第1の高周波信号を供給するキャビティと、
1辺の長さが第2の高周波信号の波長の概ね1/2である第1の格子状導体板と、
前記導体板と前記第1の格子状導体板との間に設置された第1の誘電体基板と、
前記第1の格子状導体板に短絡される内導体及び前記導体板に短絡される外導体を有し、前記第1の格子状導体板を2等分する第1の中心線上に配置され、前記第1の格子状導体板に対して前記第2の高周波信号を供給する第1の同軸線路と
を備えるアンテナ装置。
【請求項2】
前記スロットは、前記第1の中心線と直交していることを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第1の同軸線路は、前記第1の格子状導体板を2等分する中心線のうち前記スロットと平行の方向の第2の中心線上に配置されたことを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記スロットと前記第1の中心線とが成す角度は、45度であることを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記第1の格子状導体板を2等分する中心線のうち前記第1の中心線と直交する第2の中心線上に配置され、第3の高周波信号が供給される第2の同軸線路を更に備えることを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記第1の格子状導体板の上面に設けられた第2の誘電体基板と、
前記第2の誘電体基板の上面に設けられた第2の格子状導体板と
を更に備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記第2の格子状導体板に短絡される内導体及び前記導体板に短絡される外導体を有し、前記第2の格子状導体板に対して第4の高周波信号を供給する第3の同軸線路を更に備えることを特徴とする請求項6記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記導体板と平行な平面上に前記第1の格子状導体板をアレー化したことを特徴とする請求項1から請求項7のうちのいずれか1項記載のアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−244289(P2012−244289A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110484(P2011−110484)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】