説明

アンドロゲン依存性疾患を処置するための17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼタイプ3インヒビター

【課題】タイプ3 17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼに関連する疾患および障害の処置または予防または改善において有用な化合物を提供すること。
【解決手段】本発明の多くの実施形態において、本発明は、タイプ3 17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼのインヒビターとしての新規な範疇の化合物、そのような化合物を調製する方法、一つ以上のそのような化合物を含む薬学的組成物、一つ以上のそのような化合物を含む薬学的組成物を調製する方法、およびそのような化合物または薬学的組成物を用いる、タイプ3 17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼに関連する一つ以上の疾患の処置、予防、阻害または改善の方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、タイプ3 17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼのインヒビター、このインヒビターを含有する組成物、およびアンドロゲン依存性疾患の処置または予防のためのこのインヒビターを使用する方法に関する。本出願は、2002年11月18日出願の米国仮特許出願第60/427,263号からの優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
アンドロゲン依存性疾患、例えば、その発病または進行が、アンドロゲンの活性により促進される疾患は周知である。これらの疾患としては、前立腺癌、良性前立腺肥大、アクネ、脂漏症、多毛症、男性ホルモン性脱毛症、性的早熟、副腎性肥大および多嚢胞性卵巣症候群が挙げられるが、こららに限定されない。エストロゲン依存性疾患、例えば、その発病または進行が、エストロゲンの活性により促進される疾患もまた周知である。これらの疾患としては、乳癌、子宮内膜症、平滑筋腫および性的早熟が挙げられるが、これらに限定されない。
【0003】
アンドロゲンの活性およびエストロゲンの活性は、それぞれ、アンドロゲンレセプターアンタゴニストおよびエストロゲンレセプターアンタゴニストを投与することにより抑制され得る。例えば、WO94/26767およびWO96/26201を参照のこと。アンドロゲンの活性およびエストロゲンの活性はまた、そのような生合成の一つ以上の工程を触媒する酵素のインヒビターを用いてアンドロゲン生合成およびエストロゲン生合成を抑制することにより低下され得る。17β−HSD3は、精巣でアンドロステンジオンをテストステロンへ変換する主要な酵素である。タイプ3 17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼおよびタイプ5 17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの両方のインヒビターは、WO99/46279に記載されている。タイプ5 17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼのインヒビターはまた、WO97/11162にも記載されている。アンドロゲンの活性およびエストロゲンの活性はまた、卵巣の分泌または精巣の分泌を公知の方法により抑制することにより低減され得る。例えば、WO90/10462、WO91/00731、WO91/00733およびWO86/01105を参照のこと。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
共有の、係属中の米国特許出願第10/235,627号(2002年9月5日出願)および同第10/271,358号(2002年10月15日出願)は、タイプ3 17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの所定のタイプのインヒビターを開示する。タイプ3 17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼに関連する疾患および障害を処置するための新しい化合物、新しい処方物、新しい処置および新しい治療に対する、継続する要求が存在する。それゆえに、そのような疾患および障害の処置または予防または改善において有用な化合物を提供することは本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
構造式:
【化1】


で表される化合物であって、
ここで:
Xは、CHまたはNであり;
Zは、OまたはN(R)であり;
およびRは、同一であるかまたは異なっていて、各々が独立して、アリール、ヘテロアリール、アラルキルおよびヘテロアラルキルからなる群から選択され;ここで該アリール、ヘテロアリール、アラルキルおよびヘテロアラルキルの各々が、非置換であり得るか、または必要に応じて、独立して、同一であってもまたは異なっていてもよい一つ以上の部分で置換され得、各々の部分が独立して、ハロゲン、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、CF、CN、−OCF、−OR、−C(O)R、−NR、−C(O)OR、−C(O)NR、−SR、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NRからなる群から選択され;
は、Hまたは−ORであるが、ただし、XがNの場合は、Rは−ORではなく;
は、H、アルキル、アリール、シクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルおよびヘテロシクリルからなる群から選択され;
mは、0〜4の数であり、そしてmが1より大きい場合は、該R基は、同一であり得るかまたは異なり得、そして独立して選択され;
は、−C(O)Rまたは−S(O)Rであり;
は、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキルおよびヘテロシクリルからなる群から選択され、ここで該アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキルおよびヘテロシクリルの各々が、非置換であり得るか、または必要に応じて、独立して、同一であってもまたは異なっていてもよい一つ以上の部分で置換され得、各々の部分が独立して、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、CF、OCF、CN、−OR、−NHR、−N(R、−CHOR、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NHR、−C(O)N(R、−SR、−S(O)R、−S(O)NHR、−S(O)N(R、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)R、−N(R)C(O)NHRおよび−N(R)C(O)N(Rからなる群から選択され;そして
は、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、−OR、−NHR、および−N(Rからなる群から選択され、ここで該アルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリールおよびアラルキルの各々は、非置換であり得るか、または必要に応じて、同一であってもまたは異なっていてもよい一つ以上の部分で置換され得、各々の部分は独立して、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、CF、OCF、CN、−OR、−NHR、−N(R、−CHOR、−C(O)OR、−C(O)NHR、−C(O)N(R、−SR、−S(O)R、−S(O)NHR、−S(O)N(R、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)R、−N(R)C(O)NHRおよび−N(R)C(O)N(Rからなる群から選択され、さらにここで、該部分−N(R中および−N(R中の該2つのR基または該2つのR基は、それぞれ同一であってもよくまたは異なっていてもよく、そして独立に選択され、その上さらにここでアリール上またはヘテロアリール上の任意の2つの隣接するアルキル置換基は、一緒になってメチレンジオキシ基またはエチレンジオキシ基を形成し得る、化合物。
(項目2)
XがNである、項目1に記載の化合物。
(項目3)
ZがOである、項目1に記載の化合物。
(項目4)
ZがN(R)である、項目1に記載の化合物。
(項目5)
およびRが、同一であり、そしてアリールまたはヘテロアリールであって、該アリールおよびヘテロアリールの各々が、非置換であるかまたは必要に応じて、独立して、同一であってもまたは異なっていてもよい一つ以上の部分で置換されるかのいずれかであり、各々の部分は独立して、ハロゲン、アルキル、−CF、−CN、−OCF、−OR、−C(O)R、および−C(O)ORからなる群から選択される、項目1に記載の化合物。
(項目6)
がHである、項目1に記載の化合物。
(項目7)
がHである、項目1に記載の化合物。
(項目8)
が−C(O)Rまたは−S(O)Rである、項目1に記載の化合物。
(項目9)
が−C(O)Rである、項目8に記載の化合物。
(項目10)
が、H、アルキル、アリール、−CF、−C(O)Rおよび−S(O)Rからなる群から選択される、項目1に記載の化合物。
(項目11)
がH、メチルまたはCFである、項目10に記載の化合物。
(項目12)
が、アルキル、アラルキルおよびアリールからなる群から選択される、項目1に記載の化合物。
(項目13)
がHである、項目4に記載の化合物。
(項目14)
およびRが、同一であり、そしてフェニルであり、ここで該両方のフェニル基が非置換である、項目5に記載の化合物。
(項目15)
が非置換のフェニルであり、Rが、ハロゲン、アルキル、−CF、−OCF、および−C(O)Rからなる群から選択される一つ以上の部分で置換されたフェニルである、項目5に記載の化合物。
(項目16)
がアルキルである、項目12に記載の化合物。
(項目17)
式:
【化2】


の化合物もしくは該化合物の異性体、または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは該化合物の溶媒和物、または該異性体の薬学的に受容可能な塩もしくは該異性体の溶媒和物。
(項目18)
タイプ3 17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを阻害する方法であって、該方法が、
治療的に有効な量の少なくとも一つの項目1に記載の化合物を、そのような阻害を必要とする患者に投与する工程
を包含する、方法。
(項目19)
アンドロゲン依存性疾患を処置または予防する方法であって、該方法が、
該処置または予防を必要とする患者に、治療的に有効な量の少なくとも一つの項目1に記載の化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩または該化合物の溶媒和物を投与する工程
を包含する、方法。
(項目20)
前記アンドロゲン依存性疾患が、前立腺癌、良性前立腺肥大、前立腺上皮内新生物形成、多毛症、アクネ、男性ホルモン性脱毛症、または多嚢胞性卵巣症候群である、項目19に記載の方法。
(項目21)
アンドロゲン依存性疾患を処置または予防する方法であって、該方法が、
該処置または予防を必要とする哺乳動物に、少なくとも一つの抗アンドロゲン性薬剤と組み合わせて、有効量の少なくとも一つの項目1に記載の化合物を投与する工程
を包含する、方法。
(項目22)
前記抗アンドロゲン性薬剤が、5α−レダクターゼ タイプ1および/またはタイプ2のインヒビター、フルタミド、ニカルタミド、ビカルタミド、LHRHアゴニスト、LHRHアンタゴニスト、17α−ヒドロキシラーゼ/C17〜20リアーゼのインヒビター、ならびに17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ タイプ5および17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ/17β−オキシドレダクターゼ イソエンザイムのインヒビターからなる群から選択される、項目21に記載の方法。
(項目23)
良性前立腺肥大を処置または予防する方法であって、該方法が、
該処置または予防を必要とする患者に、有効量の、少なくとも一つの項目1に記載の化合物を含む組成物を、良性前立腺肥大の処置もしくは予防において有用な少なくとも一つの薬剤と組み合わせてまたは良性前立腺肥大の処置もしくは予防において有用な少なくとも一つの薬剤に関連して投与する工程
を包含する、方法。
(項目24)
前記良性前立腺肥大の処置または予防において有用な薬剤が、タムスロシンまたはテラゾシンから選択されるα−1 アドレナリン作用性アンタゴニストである、項目23に記載の方法。
(項目25)
毛喪失を処置または予防する方法であって、該方法が、
該処置または予防を必要とする患者に、有効量の少なくとも一つの項目1に記載の化合物を含む組成物を、少なくとも一つの抗脱毛剤と組み合わせてまたは少なくとも一つの抗脱毛剤に関連して投与する工程
を包含する、方法。
(項目26)
前記抗脱毛剤が、カリウムチャネルアゴニストまたは5α−レダクターゼインヒビターである、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記カリウムチャネルアゴニストが、ミノキシジルまたはKC−516である、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記5α−レダクターゼインヒビターが、フィナステリドまたはデュタステリドである、項目26に記載の方法。
(項目29)
増殖性の疾患を処置または予防する方法であって、該方法が、
そのような処置を必要とする患者に、治療的に有効な量の少なくとも一つの項目1に記載の化合物を含む組成物を、有効量の、化学療法剤、生物学的薬剤、外科治療および放射線治療からなる群から選択される少なくとも一つの治療方法と組み合わせてまたは該少なくとも一つの治療方法に関連して、同時にまたは引き続いて投与する工程
を包含する、方法。
(項目30)
前記増殖性の疾患が、肺癌、膵臓癌、結腸癌、腎臓癌、骨髄性白血病、甲状腺小胞癌、脊髄形成異常症(MDS)、膀胱癌、皮膚癌、黒色腫、乳癌、卵巣癌および前立腺癌から選択される、項目29に記載の方法。
(項目31)
薬学的組成物であって、該薬学的組成物が、少なくとも一つの薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて、治療的に有効な量の少なくとも一つの項目1に記載の化合物を含む、薬学的組成物。
(項目32)
必要に応じて外科治療および放射線治療から選択される少なくとも一つの方法に関連して、5α−レダクターゼ タイプ1のインヒビター、5α−レダクターゼ タイプ2のインヒビター、フルタミド、ニカルタミド、ビカルタミド、LHRHアゴニスト、LHRHアンタゴニスト、17α−ヒドロキシラーゼ/C17〜20リアーゼのインヒビター、17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ タイプ5、17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ/17β−オキシドレダクターゼ イソエンザイムのインヒビター、タムスロシン、テラゾシン、カリウムチャネルアゴニスト、5α−レダクターゼインヒビター、化学療法剤および生物学的薬剤からなる群から選択される一つ以上の薬剤をさらに含む、項目31に記載の薬学的組成物。
(項目33)
構造:
【化3】


を有する、項目1に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩または該化合物の溶媒和物。
(項目34)
構造:
【化4】


を有する、項目1に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩または該化合物の溶媒和物。
(項目35)
構造:
【化5】


を有する、項目1に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩または該化合物の溶媒和物。
(項目36)
構造:
【化6】


を有する、項目1に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩または該化合物の溶媒和物。
(項目37)
精製された形態における、項目1に記載の化合物。
(発明の要旨)
本発明の多くの実施形態において、本発明は、タイプ3 17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼのインヒビターとしての新規な範疇の化合物、そのような化合物を調製する方法、一つ以上のそのような化合物を含む薬学的組成物、一つ以上のそのような化合物を含む薬学的組成物を調製する方法、およびそのような化合物または薬学的組成物を用いる、タイプ3 17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼに関連する一つ以上の疾患の処置、予防、阻害または改善の方法を提供する。
【0006】
一つの局面においては、本出願は、化合物、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩またはこの化合物の溶媒和物を開示し、上記化合物は式I:
【0007】
【化7】


に示される一般構造を有し、
ここで:
Xは、CHまたはNであり;
Zは、OまたはN(R)であり;
およびRは、同一であるかまたは異なっていて、各々が独立して、アリール、ヘテロアリール、アラルキルおよびヘテロアラルキルからなる群から選択され;ここで上記アリール、ヘテロアリール、アラルキルおよびヘテロアラルキルの各々が、非置換であり得るか、または必要に応じて、独立して、同一であってもまたは異なっていてもよい一つ以上の部分で置換され得、各々の部分が独立して、ハロゲン、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、CF、CN、−OCF、−OR、−C(O)R、−NR、−C(O)OR、−C(O)NR、−SR、−S(O)R、−S(O)NR、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)Rおよび−N(R)C(O)NRからなる群から選択され;
は、Hまたは−ORであるが、ただし、XがNの場合は、Rは−ORではなく;
は、H、アルキル、アリール、シクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルおよびヘテロシクリルからなる群から選択され;
mは、0〜4の数であり、そしてmが1より大きい場合は、上記R基は、同一であり得るかまたは異なり得、そして独立して選択され;
は、−C(O)Rまたは−S(O)Rであり;
は、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキルおよびヘテロシクリルからなる群から選択され、ここで上記アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキルおよびヘテロシクリルの各々が、非置換であり得るか、または必要に応じて、独立して、同一であってもまたは異なっていてもよい一つ以上の部分で置換され得、各々の部分が独立して、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、CF、OCF、CN、−OR、−NHR、−N(R、−CHOR、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NHR、−C(O)N(R、−SR、−S(O)R、−S(O)NHR、−S(O)N(R、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)R、−N(R)C(O)NHRおよび−N(R)C(O)N(Rからなる群から選択され;そして
は、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、−OR、−NHR、および−N(Rからなる群から選択され、ここで上記アルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリールおよびアラルキルの各々は、非置換であり得るか、または必要に応じて、同一であってもまたは異なっていてもよい一つ以上の部分で置換され得、各々の部分は独立して、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、CF、OCF、CN、−OR、−NHR、−N(R、−CHOR、−C(O)OR、−C(O)NHR、−C(O)N(R、−SR、−S(O)R、−S(O)NHR、−S(O)N(R、−N(R)S(O)R、−N(R)C(O)R、−N(R)C(O)NHRおよび−N(R)C(O)N(Rからなる群から選択され、さらにここで、上記部分−N(R中および−N(R中の上記2つのR基または上記2つのR基は、それぞれ同一であってもよくまたは異なっていてもよく、そして独立に選択され、その上さらにここでアリール上またはヘテロアリール上の任意の2つの隣接するアルキル置換基は、一緒になってメチレンジオキシ基またはエチレンジオキシ基を形成し得る。
【0008】
式Iの化合物は、タイプ3 17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼのインヒビターとして有用であり得、そしてタイプ3 17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼに関連する疾患の処置および予防において有用であり得る。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(詳細な説明)
一つの実施形態においては、本発明は、構造式Iにより表される化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩、またはその化合物の溶媒和物を開示し、ここで上記様々な部分は、上記に記載されるとおりである。
【0010】
好ましい実施形態においては、XはCHである。
【0011】
別の好ましい実施形態においては、XはNである。
【0012】
別の好ましい実施形態においては、ZはN(R)である。
【0013】
別の好ましい実施形態においては、RおよびRは、同一であり、そしてアリールまたはヘテロアリールであって、上記アリールおよびヘテロアリールの各々が、非置換であるかまたは必要に応じて、独立して、同一であってもまたは異なっていてもよい一つ以上の部分で置換されるかのいずれかであり、各々の部分は独立して、ハロゲン、アルキル、−CF、−CN、−OCF、−OR、−C(O)R、および−C(O)ORからなる群から選択される。
【0014】
別の好ましい実施形態においては、RはHである。
【0015】
別の好ましい実施形態においては、mは1〜2である。
【0016】
別の好ましい実施形態においては、Rは、Hまたはアルキルである。
【0017】
別の好ましい実施形態においては、Rは−C(O)Rである。
【0018】
別の好ましい実施形態においては、Rは−S(O)Rである。
【0019】
別の好ましい実施形態においては、Rは、H、アルキル、アリール、−CF、−C(O)Rおよび−S(O)Rからなる群から選択される。
【0020】
別の好ましい実施形態においては、Rは、アルキル、アラルキルおよびアリールからなる群から選択される。
【0021】
さらなる好ましい実施形態においては、ZはNHである。
【0022】
さらなる好ましい実施形態においては、RおよびRは、同一であり、そしてともにフェニルであり、ここでこの両方のフェニルは、非置換であるかまたは必要に応じて、独立して、同一であってもまたは異なっていてもよい一つ以上の部分で置換されるかのいずれかであり、各々の部分は独立して、Cl、Br、メチル、第三級ブチル、−CF、および−OCFからなる群から選択される。
【0023】
さらなる好ましい実施形態においては、mは1である。
【0024】
さらなる好ましい実施形態においては、RはHである。
【0025】
さらなる好ましい実施形態においては、Rはアルキルである。
【0026】
さらなる好ましい実施形態においては、Rは、−C(O)CHである。
【0027】
さらなる好ましい実施形態においては、Rは、H、メチル、フェニル、−C(O)CHまたは−S(O)CHである。
【0028】
さらなる好ましい実施形態においては、Rはメチルである。
【0029】
特に好ましい群の化合物は、すべてのそれらの異性体、ラセミ化合物などを含めて、表1に示される。
【0030】
【表1−1】

【0031】
【表1−2】


上記構造中の架橋原子上の数字は、ジアステレオマーを表す。
【0032】
上記で用いられる場合に、そして本開示全体を通して、以下の用語は、特に示されない限り、以下の意味を有すると理解される。
【0033】
「患者」としては、ヒトおよび動物の両方が挙げられる。
【0034】
「哺乳動物」とは、ヒトおよび他の哺乳動物を意味する。
【0035】
「アルキル」とは、直鎖または分枝鎖であってよい、そしてその鎖中に約1個〜約20個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキル基は、約1個〜約12個の炭素原子をその鎖中に含む。より好ましいアルキル基は、約1個〜約6個の炭素原子をその鎖中に含む。分枝鎖は、メチル、エチルまたはプロピルなどの一つ以上の低級アルキル基が直鎖のアルキル鎖に結合していることを意味する。「低級アルキル」とは、約1個〜約6個の炭素原子をその鎖中に有する基を意味し、その基は直鎖であり得るかまたは分枝鎖であり得る。
【0036】
「アリール」とは、約6個〜約14個の炭素原子、好ましくは約6個〜約10個の炭素原子を含む芳香族単環式環系または芳香族多環式環系を意味する。適切なアリール基の非限定的な例としては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0037】
「ヘテロアリール」とは、約5個〜約14個の環原子、好ましくは約5個〜約10個の環原子を含み、一つ以上の上記環原子が炭素以外の元素、例えば、窒素、酸素または硫黄(一種類で、または組み合わせで)である芳香族単環式環系または芳香族多環式環系を意味する。好ましいヘテロアリールは、約5個〜約6個の環原子を含む。上記ヘテロアリールの根名称(root name)の前の接頭辞アザ、オキサまたはチアは、それぞれ、少なくとも一つの窒素原子、少なくとも一つの酸素原子または少なくとも一つの硫黄原子が、環原子として存在することを意味する。ヘテロアリールの窒素原子は、必要に応じて、対応するN−オキシドに酸化され得る。適切なヘテロアリールの非限定的な例としては、ピリジル、ピリジルのN−オキシド、ピラジニル、フラニル(フリル)、チエニル、ピリミジニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、フタラジニル、イミダゾ[1,5−a]ピリジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、ベンゾフラザニル、インドリル、アザインドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イミダゾリル、チエノピリジル、キナゾリニル、チエノピリミジル、ピロロピリジル、イミダゾピリジル、イソキノリニル、ベンゾアザインドリル、1,2,4−トリアジニル、ベンゾチアゾリルなどが挙げられる。
【0038】
「アラルキル」または「アリールアルキル」とは、アリール−アルキル基を意味し、このアリールおよびアルキルは上記に記載のとおりである。好ましいアラルキルは、低級アルキル基を備える。適切なアラルキル基の非限定的な例としては、ベンジル、2−フェネチルおよびナフタレニルメチルが挙げられる。親部分への結合は、そのアルキルを介してである。
【0039】
「シクロアルキル」とは、約3個〜約10個の炭素原子、好ましくは約5個〜10個の炭素原子を有する非芳香族の単環式環系または非芳香族の多環式環系を意味する。好ましいシクロアルキル環は、約5個〜7個の環原子を含む。適切な単環式シクロアルキルの非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。適切な多環式シクロアルキルの非限定的な例としては、1−デカリニル、ノルボルニル、アダマンチルなどが挙げられる。
【0040】
「ハロゲン」または「ハロ」とは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。
【0041】
「ヘテロシクリル」(またはヘテロシクロアルキル)とは、約3個〜約10個の環原子、好ましくは約5個〜10個の環原子を含む非芳香族の飽和単環式環系または非芳香族の飽和多環式環系を意味し、そこでは、上記環系中の一つ以上の上記環原子が炭素以外の元素、例えば、窒素、酸素または硫黄(一種類で、または組み合わせで)である。上記環系中には、隣接する酸素原子および/または硫黄原子は存在しない。好ましいヘテロシクリルは、約5個〜約6個の環原子を含む。ヘテロシクリル根名称の前の接頭辞アザ、オキサまたはチアは、それぞれ、少なくとも一つの窒素原子、少なくとも一つの酸素原子または少なくとも一つの硫黄原子が環原子として存在することを意味する。このヘテロシクリルは、必要に応じて、一つ以上の「環系置換基」で置換され得、この環系置換基は、同一であっても異なっていてもよく、そして本明細書中で規定されるとおりである。上記ヘテロシクリルの窒素原子または硫黄原子は、必要に応じて、対応するN−オキシド、S−オキシドまたはS,S−ジオキシドに酸化され得る。適切な単環式ヘテロシクリル環の非限定的な例としては、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、1,3−ジオキソラニル、1,4−ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニルなどが挙げられる。
【0042】
「環系置換基」とは、芳香族環系または非芳香族環系に結合し、例えば、この環系上の利用可能な水素を置換する置換基を意味する。環系置換基は、同一であっても異なっていてもよく、各々が、独立して、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、アラルケニル、ヘテロアラルキル、アルキルヘテロアリール、ヘテロアラルケニル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−およびYNSO−からなる群から選択され、ここでYおよびYは、同一であっても異なっていてもよく、そして、独立して、水素、アルキル、アリール、およびアラルキルからなる群から選択される。「環系置換基」はまた、3個〜7個の環原子(そのうちの1個〜2個はヘテロ原子であり得る)を有する環であって、アリール環、ヘテロアリール環、ヘテロシクリル環またはヘテロシクレニル環に、上記アリール環、ヘテロアリール環、ヘテロシクリル環またはヘテロシクレニル環上の2つの環水素原子を同時に置換することにより結合した環を意味する。非限定的な例としては、
【0043】
【化8】


などが挙げられる。
【0044】
用語「ヘテロアラルキル」または「ヘテロアリールアルキル」とは、ヘテロアリール−アルキル基を意味し、そのヘテロアリールおよびアルキルは、上記に記載されるとおりである。好ましいヘテロアリールアルキルは、低級アルキル基を含む。適切なヘテロアリールアルキル基の非限定的な例としては、ピリジン−4−イルメチル、チエン−3−イルメチルなどが挙げられる。上記親部分への結合は、そのアルキルを介してである。
【0045】
用語「ヘテロシクリルアルキル」とは、ヘテロシクリル−アルキル基を意味し、そのヘテロアリールおよびアルキルは、上記に記載のとおりである。好ましいヘテロシクリルアルキルは、低級アルキル基を含む。適切なヘテロシクリルアルキル基の非限定的な例としては、ピペリジン−4−イルメチル、ピロリジン−3−イルメチルなどが挙げられる。上記親部分への結合は、そのアルキルを介してである。
【0046】
用語「置換の」とは、存在する状況下でのその指定された原子の標準の原子価を超えないない限り、そしてその置換が安定な化合物を生じる限り、指定された原子上の一つ以上の水素が、その示された基からの選択物で置換されることを意味する。置換基および/または変数の組み合わせは、そのような組み合わせが安定な化合物を生じる場合にのみ、許容可能である。「安定な化合物」または「安定な構造」によって、反応混合物から有用な程度の純度への単離、および効能のある治療薬への処方を乗りきるのに十分に丈夫な化合物が意味される。
【0047】
用語「必要に応じて置換された」とは、特定された基、ラジカルまたは部分による任意の置換を意味する。
【0048】
本明細書中の本文、スキーム、実施例、構造式、および表において、不満足の原子価を有する任意の炭素またはヘテロ原子は、その原子価を満足するための一つまたは複数の水素原子を有すると想定されていることもまた、留意されるべきである。
【0049】
化合物中の官能基が「保護された」と呼ばれた場合は、これは、上記化合物が反応に供された場合に、その保護された部位での望ましくない副反応をあらかじめ排除するために、その基が改変された形態にあることを意味する。適切な保護基は、当業者により、および、例えば、T.W.Greeneら、Protective Groups in Organic Synthesis(1991),Wiley,New Yorkなどの標準の教科書を参照することにより認識される。任意の変数(例えば、アリール、ヘテロアリール、Rなど)が、任意の構成要素中にまたは式I中に一度より多く出現する場合には、各出現箇所のその定義は、あらゆる他の出現箇所のその定義から独立である。
【0050】
本明細書中で使用される場合には、用語「組成物」は、特定の成分を特定の量で含む生成物、および上記特定の量における上記特定の成分の組み合わせから、直接にまたは間接に生じる任意の生成物を包含することを意図される。
【0051】
本発明の化合物のプロドラッグおよび溶媒和物もまた、本明細書中に企図される。用語「プロドラッグ」は、本明細書中で用いられる場合には、被験体への投与によって、代謝プロセスまたは化学プロセスにより化学的変換を受け、式IIIの化合物またはその化合物の塩および/もしくはその化合物の溶媒和物を与える薬物前駆体である化合物を示す。プロドラッグに関する議論は、T.HiguchiおよびV.Stella,Pro−drugs as Novel Delivery Systems(1987)、the A.C.S Symposium Seriesの14中、およびBioreversible Carriers in Drug Design,(1987)Edward B.Roche、編、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press中に提供され、これらの両方が本明細書中で、それらへの参照により援用される。
【0052】
「溶媒和物」とは、本発明の化合物の、一つ以上の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合は、水素結合を含めて、種々の程度のイオン結合および共有結合を伴なう。所定の事例においては、上記溶媒和物は、例えば、一つ以上の溶媒分子がその結晶性固体の結晶格子中に組み込まれている場合には、単離することが可能である。「溶媒和物」は、溶液相の溶媒和物および単離可能な溶媒和物の両方を包含する。適切な溶媒和物の非限定的な例としては、エタノレート、メタノレートなどが挙げられる。「水和物」は、上記溶媒分子がHOである溶媒和物である。
【0053】
「有効量」または「治療的に有効な量」は、上記タイプ3 17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを阻害し、従って所望の治療効果、改善効果、阻害効果または予防効果をもたらすことにおいて有効な、本発明の化合物または組成物の量を記載することを意図されている。
【0054】
式Iの化合物は塩を形成し、その塩もまた本発明の範囲内である。本明細書中で式Iの化合物への言及は、特に示されない限り、その化合物の塩への言及を包含すると理解される。用語「塩」とは、本明細書中で用いられる場合は、無機酸および/または有機酸とともに形成される酸性塩、ならびに無機塩基および/または有機塩基とともに形成される塩基性塩を示す。加えて、式Iの化合物がピリジンまたはイミダゾールなどの(しかし、これらに限定されない)塩基性部位およびカルボン酸などの(しかし、これに限定されない)酸性部位の両方を備える場合は、双性イオン(「内部塩」)が形成され得、この双性イオンは、本明細書中で用いられる場合の用語「塩」の中に含まれる。薬学的に受容可能な(すなわち、非毒性で、生理学的に受容可能な)塩が好ましいが、他の塩もまた有用である。上記式Iの化合物の塩は、例えば、式Iの化合物を一定量の酸または塩基と、例えば当量の酸または塩基と、上記塩が沈殿する媒体などの媒体中で反応することにより、または水性媒体中で反応しその後凍結乾燥することにより生成され得る。塩基性(または酸性)の薬学的化合物からの薬学的に有用な塩の生成ために適切であると一般に考えられる酸(および塩基)は、例えば、S.Bergeら、Journal of Pharmaceutical Sciences(1977)66(1)1〜19;P.Gould,International J.of Pharmaceutics(1986)33 201〜217;Andersonら、The Practice of Medicinal Chemistry(1996),Academic Press,New Yorkにより議論され;The Orange Book(Food & Drug Administration,Washington,D.C.(そのウェブサイト上で))中で;およびP.Heinrich Stahl,Camille G.Wermuth(編),Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,(2002)Int’l.Union of Pure and Applied Chemistry,pp.330〜331中で議論される。これらの開示は、本明細書中で、それらへの参照により援用される。
【0055】
例示的な酸付加塩としては、アセテート、アジペート、アルギネート、アスコルベート、アスパルテート、ベンゾエート、ベンゼンスルホネート、硫酸水素塩、ボレート、ブチレート、シトレート、カンフォレート、カンファースルホネート、シクロペンタンプロピオネート、ジグルコネート、ドデシルスルフェート、エタンスルホネート、フマレート、グルコヘプタノエート、グリセロホスフェート、ヘミスルフェート、ヘプタノエート、ヘキサノエート、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホネート、ラクテート、マレエート、メタンスルホネート、メチルスルフェート、2−ナフタレンスルホネート、ニコチネート、ニトレート、オキサレート、パモエート、ペクチネート、ペルスルフェート、3−フェニルプロピオネート、ホスフェート、ピクレート、ピバレート、プロピオネート、サリチレート、スクシネート、スルフェート、スルホネート(例えば、本明細書中で言及されるもの)、タータレート、チオシアネート、トルエンスルホネート(トシレートとしても公知)、ウンデカノエートなどが挙げられる。
【0056】
例示的な塩基性塩としては、アンモニウム塩、ナトリウム塩、リチウム塩、およびカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、ベンザチン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ヒドラバミン(hydrabamine)(N,N−ビス(デヒドロアビエチル)エチレンジアミンを用いて生成される)、N−メチル−D−グルカミン、N−メチル−D−グルカミド、t−ブチルアミン、ピペラジン、フェニルシクロヘキシルアミン、コリン、トロメタミンなどの有機塩基(例えば、有機アミン)との塩、ならびにアルギニン、リシンなどのアミノ酸との塩が挙げられる。塩基性の窒素含有基は、低級アルキルハライド(例えば、メチルクロリド、エチルクロリド、プロピルクロリド、ブチルクロリド、メチルブロミド、エチルブロミド、プロピルブロミド、ブチルブロミド、メチルヨージド、エチルヨージド、プロピルヨージド、およびブチルヨージド)、ジアルキルスルフェート(例えば、ジメチルスルフェート、ジエチルスルフェート、ジブチルスルフェート、およびジアミルスルフェート)、長鎖ハライド(例えば、デシルクロリド、ラウリルクロリド、ミリスチルクロリド、ステアリルクロリド、デシルブロミド、ラウリルブロミド、ミリスチルブロミド、ステアリルブロミド、デシルヨージド、ラウリルヨージド、ミリスチルヨージド、およびステアリルヨージド)、アラルキルハライド(例えば、ベンジルブロミドおよびフェネチルブロミド)などの試薬、ならびに他の試薬で第四級化され得る。
【0057】
すべてのそのような酸性塩および塩基性塩は、本発明の範囲内の薬学的に受容可能な塩であると意図されており、すべての酸性塩および塩基性塩は、本発明の目的のために、その対応する化合物の遊離の形態に等価であると考えられる。
【0058】
式Iの化合物、ならびにその化合物の塩、その化合物の溶媒和物およびその化合物のプロドラッグは、それらの互変異性体で(例えば、アミドまたはイミノエーテルとして)存在し得る。すべてのそのような互変異性体は、本明細書中で、本発明の一部として企図される。
【0059】
例えば、様々な置換基上の不斉炭素に起因して存在し得る異性体などの、本化合物のすべての立体異性体(例えば、幾何異性体、光学異性体など)(その化合物の塩、溶媒和物およびプロドラッグ、ならびにそのプロドラッグの塩および溶媒和物の立体異性体を含めて)は、鏡像異性体(これは不斉炭素の不在においてでさえ存在し得る)、回転異性体、アトロプ異性体、およびジアステレオマー体を含めて、位置異性体(たとえば、4−ピリジルおよび3−ピリジルなど)の場合のように、本発明の範囲内として企図される。本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば、実質的に、他の異性体を含まなくてもよいか、または、例えば、ラセミ体として混合され得、もしくはすべての他の立体異性体と混合され得、もしくは選択された立体異性体と混合され得る。本発明のキラル中心は、IUPAC 1974 Recommendationsにより規定されるように、S配置およびR配置を有し得る。上記用語「塩」、「溶媒和物」「プロドラッグ」などの使用は、鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体、位置異性体、ラセミ体または本発明の化合物のプロドラッグの塩、溶媒和物およびプロドラッグに等しく適用することが意図される。
【0060】
本発明はまた、単離された形態および精製された形態の本発明の化合物をも包含する。
【0061】
本発明に従う化合物は、薬理学的特性を有し;特に、式Iの化合物は、タイプ3 17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼのインヒビターであり得る。式Iの新規な化合物は、タイプ3 17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼに関連する増殖性の疾患の治療において有用であると予想される。
【0062】
より特定すれば、式Iの化合物は、その処置または予防を必要とする患者における、アンドロゲン依存性疾患またはエストロゲン依存性疾患の処置または予防において有用であり得、この処置または予防は、治療的に有効な量の少なくとも一つの式Iの化合物を上記患者に投与する工程を包含する。
【0063】
別の局面においては、本発明は、その処置または予防を必要とする患者において、前立腺癌、および他のアンドロゲン依存性新生物、良性前立腺肥大、前立腺上皮内新生物形成、男性ホルモン性脱毛症(すなわち、男性患者および女性患者の両方におけるパターン禿頭症)、多毛症、多嚢胞性卵巣症候群、およびアクネを処置または予防するための方法を提供し、この方法は、上記患者に、治療的に有効な量の少なくとも一つの式Iの化合物を投与する工程を包含する。
【0064】
別の局面においては、本発明は、その処置または予防を必要とする患者において、アンドロゲン依存性疾患を処置または予防する方法を提供し、この方法は、上記患者に、少なくとも一つの抗アンドロゲン性薬剤(すなわち、アンドロゲン合成またはアンドロゲン活性を低下させる薬剤)と組み合わせて、または少なくとも一つの抗アンドロゲン性薬剤に関連して、有効量の少なくとも一つの式Iの化合物を(同時にまたは引き続いて)投与する工程を包含する。
【0065】
本発明はまた、その処置または予防を必要とする患者において、良性前立腺肥大を処置または予防する方法を提供し、この方法は、上記患者に、有効量の少なくとも一つの式Iの化合物を、少なくとも一つの良性前立腺肥大の処置もしくは予防において有用な薬剤と組み合わせて、または少なくとも一つの良性前立腺肥大の処置もしくは予防において有用な薬剤に関連して(同時にまたは引き続いて)投与する工程を包含する。
【0066】
本発明はまた、その処置または予防を必要とする患者において、毛喪失を処置または予防する方法を提供し、この方法は、上記患者に、有効量の少なくとも一つの式Iの化合物を、少なくとも一つの脱毛症の処置もしくは予防において有用な薬剤、例えば、カリウムチャネルアゴニストまたは5α−レダクターゼインヒビターと組み合わせて、または少なくとも一つの脱毛症の処置もしくは予防において有用な薬剤に関連して投与する工程を包含する。
【0067】
本発明はまた、毛喪失を処置または予防する方法を提供し、この方法は、その処置または予防を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物を、少なくとも一つのカリウムチャネルアゴニスト(例えばミノキシジル、およびKC−516)、または5α−レダクターゼインヒビター(例えば、フィナステリド)と組み合わせて投与する工程を包含する。
【0068】
本発明はまた、その処置または予防を必要とする患者において、増殖性の疾患、特に癌(腫瘍)を処置または予防する方法を提供し、この方法は、上記患者に、有効量の(1)少なくとも一つの式Iの化合物を、(2)有効量の少なくとも一つの抗癌因子、すなわち化学療法剤、生物学的薬剤、および/または手術(例えば、前立腺切除)および/または放射線治療と組み合わせて、またはこれら少なくとも一つの抗癌因子に関連して、(同時にまたは引き続いて)投与する工程を包含する。阻害され得るかまたは予防され得る癌(すなわち、腫瘍)の非限定的な例としては、肺癌(例えば、肺腺癌)、膵臓癌(例えば、外分泌膵臓癌などの膵臓癌)、結腸癌(例えば、結腸腺癌および結腸腺腫などの結腸直腸癌)、腎臓癌、骨髄性白血病(例えば、急性骨髄性白血病(AML))、甲状濾胞状癌、脊髄形成異常症候群(MDS)、膀胱癌、表皮癌、黒色腫、乳癌および前立腺癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
本発明に従って、増殖性の疾患(癌)を処置する方法としては、有効量の少なくとも一つの本発明の化合物ならびに有効量の少なくとも一つの化学療法剤、生物学的薬剤、手術(前立腺切除)および/または放射線を同時にまたは引き続いて投与することにより、そのような処置を必要としている患者において、形質転換細胞を含めて、細胞の異常増殖を処置(阻害)するための方法が挙げられる。細胞の異常増殖とは、例えば、正常な調節機構(例えば、接触阻止またはアポトーシス)から独立した細胞増殖を意味し、以下の細胞の異常増殖を含む:(1)活性化ras癌遺伝子を発現する腫瘍細胞(腫瘍);(2)rasタンパク質が、別の遺伝子における腫瘍形成変異の結果として活性化される腫瘍細胞;および(3)他の増殖性疾患の良性細胞および悪性細胞。
【0070】
本発明の実施形態においては、本発明は、そのような処置を必要とする患者において、腫瘍の増殖を処置または予防するための方法を包含し、この方法は、(1)有効量の少なくとも一つの本発明の化合物および(2)有効量の少なくとも一つの抗新生物形成剤/微小管剤、生物学的薬剤、および/または手術(例えば、前立腺切除)および/または放射線治療を、同時にまたは引き続いて投与することによる。処置され得る腫瘍の例としては、上皮癌(例えば、前立腺癌)、肺癌(例えば、肺腺癌)、膵臓癌(例えば、外分泌膵臓癌などの膵臓癌)、乳癌、腎臓癌、結腸癌(例えば、結腸腺癌および結腸腺腫などの結腸直腸癌)、卵巣癌、および膀胱癌が挙げられるが、これらに限定されない。処置され得る他の癌としては、黒色腫、骨髄性白血病(例えば、急性骨髄性白血病)、肉腫、甲状濾胞状癌、および脊髄形成異常症候群が挙げられる。
【0071】
本明細書中で使用される場合には、以下の用語は、特に示されない限り、以下の意味を有する。
【0072】
「抗新生物形成剤」とは、癌に対して有効な化学療法剤を意味し;
「同時に」とは、(1)時間において同時に、または(2)共通の処置計画の過程の間の異なる時期において、を意味し;そして
「引き続いて」とは、(1)本方法の一つの成分((a)本発明の化合物、または(b)抗新生物形成剤および/もしくは放射線治療)の投与およびそれに続く他の成分の投与を意味し;一つの成分の投与後、上記第2の成分は、上記第1の成分の実質的に直後に投与され得、または上記第2の成分は、上記第1の成分の投与後有効な期間の後で投与され得;上記有効な期間は、上記第1の成分の投与からの最大の利益の実現のために与えられる時間の量である。
【0073】
好ましい投薬量は、1日あたり、体重1kgあたり約0.001〜500mgの式Iの化合物である。特に好ましい投薬量は、1日あたり、体重1kgあたり約0.01〜25mgの式Iの化合物、または上記化合物の薬学的に受容可能な塩または上記化合物の溶媒和物である。
【0074】
所定の有用な併用薬剤/関連薬剤は、以下に記載される:
(化学療法剤)
上記化学療法剤(抗新生物形成剤)として使用され得る化合物の範疇としては、以下のものが挙げられる:アルキル化剤、代謝拮抗薬、天然物およびそれらの誘導体、ホルモンおよびステロイド(合成アナログを含む)、ならびに合成物。これらの範疇内の化合物の非限定的な例としては、以下のものが挙げられる:
アルキル化剤(ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン誘導体、アルキルスルホネート、ニトロソ尿素およびトリアゼンを含む):ウラシルマスタード、クロルメチン、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標))、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホラミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、およびテモゾロミド。
【0075】
代謝拮抗薬(葉酸アンタゴニスト、ピリミジンアナログ、プリンアナログおよびアデノシンデアミラーゼインヒビターを含む):メトトレキサート、5−フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、リン酸フルダラビン、ペントスタチン、およびゲムシタビン。
【0076】
天然物およびそれらの誘導体(ビンカアルカロイド類、抗腫瘍性抗生物質、酵素、リンフォカインおよびエピポドフィロトキシンを含む):ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、パクリタキセル(パクリタキセルは、Taxol(登録商標)として商業的に入手可能であり、以下の「微小管作用剤」と題する小区分においてより詳細に記載される)、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシンC、L−アスパラギナーゼ、インターフェロン−αおよびインターフェロン−β(特に、IFN−α)、エトポシド、ならびにテニポシド。
【0077】
ホルモン性薬剤およびステロイド(合成アナログを含む):17α−エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、テストラクトン、酢酸メゲストロール、タモキシフェン、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ロイプロリド、フルタミド、トレミフェン、ゴセレリンおよびゾラデックス。
【0078】
合成物(白金配位錯体などの無機錯体を含む):シスプラチン、カルボプラチン、ヒドロキシ尿素、アムサクリン、プロカルバジン、ミトタン、ミトザントロン、レバミゾール、ナベルビン、CPT−11、アナストラゾール、レトラゾール、カペシタビン、ラロジフィン(Ralozifine)、ドロキシフェンおよびヘキサメチルメラミン。
【0079】
本発明の方法において有用な生物学的薬剤の非限定的な例としては、インターフェロン−α、インターフェロン−βおよび遺伝子治療が挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
(微小管作用剤)
本明細書中で用いられる場合には、微小管作用剤は、微小管形成および/または微小管作用に影響を及ぼすことにより、細胞の有糸分裂を妨害する化合物、すなわち抗有糸分裂効果を有する化合物である。そのような薬剤は、例えば、微小管安定化剤または微小管形成を遮断する薬剤であり得る。
【0081】
本発明において有用な微小管作用剤の非限定的な例としては、以下が挙げられる:アロコルヒチン(Allocolchicine)(NSC 406042)、ハリコンドリンB(NSC 609395)、コルヒチン(NSC 757)、コルヒチン誘導体(例えば、NSC 33410)ドラスタチン10(NSC 376128)、メイタンシン(NSC 153858)、リゾキシン(NSC 332598)、パクリタキセル(Taxol(登録商標)、NSC 125973)、Taxol(登録商標)誘導体(例えば、誘導体(例えば、NSC 608832)、チオコルヒチン(NSC 361792)、トリチルシステイン(NSC 83265)、硫酸ビンブラスチン(NSC 49842)、硫酸ビンクリスチン(NSC 67574)、エポチロンA、エポチロン、ディスコデルモリド、エストラムスチン、ノコダゾール、MAP4など。
【0082】
特に好ましい薬剤は、パクリタキセル様の活性を備えた化合物である。これらとしては、パクリタキセルおよびパクリタキセル誘導体(パクリタキセル様化合物)およびパクリタキセルアナログが挙げられるが、これらに限定されない。パクリタキセルおよびその誘導体は、商業的に入手可能である。より特定すれば、本明細書中で使用される場合のこの用語「パクリタキセル」とは、Taxol(登録商標)として商業的に入手可能な薬剤をいう。
【0083】
そのような薬剤の例としては、5α−レダクターゼ タイプ1のインヒビターおよび/または5α−レダクターゼ タイプ2のインヒビター(例えば、フィナステリド、SKF105,657、LY191,704、LY320,236、デュタステリド、フルタミド、ニカルタミド、ビカルタミド)、LHRHアゴニスト(例えば、ロイプロリドおよびゾラデックス)、LHRHアンタゴニスト(例えば、アバレリックスおよびセトロレリックス)、17α−ヒドロキシラーゼ/C17〜20リアーゼのインヒビター(例えば、YM116、CB7630およびリアロゾール)、17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ タイプ5のインヒビターおよび/または他の17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ/17β−オキシドレダクターゼ イソエンザイムのインヒビター(例えば、EM−1404)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
アンドロゲン依存性疾患またはエストロゲン依存性疾患の類型としては、前立腺癌、良性前立腺肥大、前立腺上皮内新生物形成、アクネ、脂漏症、多毛症、男性ホルモン性脱毛症、性的早熟、副腎性過形成および多嚢胞性卵巣症候群、乳癌、子宮内膜症ならびに平滑筋腫が挙げられるが、こららに限定されない。
【0085】
良性前立腺肥大の処置または予防において有用な薬剤の例としては、α−1アンドロゲン性アンタゴニスト、例えば、タムスロシンおよびテラゾシンが挙げられるが、こららに限定されない。
【0086】
本発明の化合物の薬理学的特性は、多数の薬理学的アッセイにより確かめられ得る。以下に記載される例示的な薬理学的アッセイは、本発明に従う化合物およびそれらの塩について実施された。
【0087】
本発明はまた、少なくとも一つの式Iの化合物、または上記化合物の薬学的に受容可能な塩または上記化合物の溶媒和物および少なくとも一つの薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物に関する。
【0088】
本発明により記載される化合物から薬学的組成物を調製するために、不活性な、薬学的に受容可能なキャリアは、固体または液体のいずれかであり得る。固体形態の製剤としては、散剤、錠剤、分散性顆粒、カプセル剤、カシェ剤および座薬が挙げられる。この散剤および錠剤は、約5〜約95パーセントの活性成分から構成され得る。適切な固体キャリアは当該分野で公知であり、それは、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖またはラクトースである。錠剤、散剤、カシェ剤およびカプセル剤は、経口投与のために適切な固体投薬形態として使用され得る。薬学的に受容可能なキャリアの例および様々な組成物のための製造の方法は、A.Gennaro(編),Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版,(1990),Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania中に見出され得る。
【0089】
液体形態の製剤としては、液剤、懸濁剤および乳剤が挙げられる。例として、非経口注入のための水もしくは水−プロピレングリコール液剤または経口用液剤、懸濁剤および乳剤のための甘味料および乳白剤の添加が言及され得る。液体形態の製剤はまた、鼻腔内投与のための液剤を含み得る。
【0090】
吸入のために適切なエアゾール製剤としては、溶液および粉末形態の固体が挙げられ得、その溶液および粉末形態の固体は、不活性な圧縮ガス(例えば窒素)などの薬学的に受容可能なキャリアと組み合わされて存在し得る。
【0091】
経口投与または非経口投与のいずれかのために、使用の直前に、液体形態の製剤に変換することを意図される固体形態の製剤もまた挙げられる。そのような液体形態としては、液剤、懸濁剤および乳剤が挙げられる。
【0092】
本発明の化合物はまた、経皮によっても送達可能であり得る。この経皮用組成物は、クリーム、ローション、エアゾールおよび/または乳剤の形態をとり得、この目的のために当該分野で通常のように、マトリックス型の経皮用パッチ内またはレザバー型の経皮用パッチ内に含有され得る。
【0093】
本発明の化合物はまた、皮下に送達され得る。
【0094】
好ましくは、上記化合物は、経口により投与される。
【0095】
好ましくは、上記薬学的製剤は、単位用量形態にある。そのような形態においては、上記製剤は、適切な量の上記活性成分、例えば、所望の目的を達成するための有効量を含有する、適切な大きさの単位用量に細分される。
【0096】
製剤の単位用量中の活性化合物の量は、その特定の適用に従って、約1mg〜約100mg、好ましくは約1mg〜約50mg、より好ましくは約1mg〜約25mgに変更され、調整され得る。
【0097】
用いられる実際の投薬量は、その患者の要求および処置されようとする状態の重篤さに依存して変更され得る。特定の状況に対するその適切な投薬量レジメンの決定は、当該分野の技量内である。便宜のために、一日の総投薬量は、必要とされる場合には、いくつかの部分に分けられ、そしてその日の間にいくつかの部分に分けて投与され得る。
【0098】
本発明の化合物および/またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩の投与の量および頻度は、その患者の年齢、状態および体格、ならびに処置されようとする症状の重篤さなどの因子を考慮して、主治医の臨床医の判断に従って、管理される。経口投与のための代表的な一日の推奨投薬量レジメンは、2回〜4回に分けられた用量で、1日あたり、約1mg〜約500mg、好ましくは、1日あたり、約1mg〜約200mgの範囲にわたり得る。
【0099】
化学療法剤および/または放射線治療は、Physicians Desk Reference(PDR)中のその承認薬剤の製品情報シートに列記される投薬量および投与スケジュールならびに当該分野で周知の治療用プロトコルに従って、本発明の化合物と組み合わせて、または本発明の化合物に関連して投与され得る。以下の表2は、本発明の方法において有用ないくつかの例示的な化学療法剤の投薬の範囲および投薬レジメンを与える。当業者には、上記化学療法剤および/または放射線治療の投与は、処置されようとする疾患ならびに上記薬剤および/または放射線治療のその疾患に与える公知の影響に依存して変更され得ることは明確である。また、当業者の知識に従って、上記治療用プロトコル(例えば、投薬量および投与の回数)は、その患者に対する、上記投与された化学療法剤(すなわち、抗新生物形成剤または放射線)の観察される影響を考慮して、そして上記投与された薬剤に対する上記疾患の観察される反応を考慮して、変更され得る。
【0100】
【表2】


抗アンドロゲン剤、抗良性前立腺肥大剤、カリウムチャネルアゴニストおよび生物学的薬剤は、Physicians Desk Reference(PDR)中の承認薬剤の製品情報シートに列記される投薬量および投与スケジュールならびに当該分野で周知の治療用プロトコルに従って、本発明の化合物と関連して投与され得る。当業者には、上記因子の投与は、処置されようとする疾患ならびに上記因子のその疾患に与える公知の影響に依存して変更され得ることは明確である。また、当業者の知識に従って、上記治療用プロトコル(例えば、投薬量および投与の回数)は、その患者に対する、上記投与された因子の観察される影響を考慮して、そして上記投与された治療薬に対する上記疾患の観察される反応を考慮して、変更され得る。
【0101】
本発明の別の局面は、治療的に有効な量の少なくとも一つの式Iの化合物、または上記化合物の薬学的に受容可能な塩または上記化合物の溶媒和物および薬学的に受容可能なキャリア、賦形剤または希釈剤を含むキットである。
【0102】
本発明のさらに別の局面は、一定量の少なくとも一つの式Iの化合物、または上記化合物の薬学的に受容可能な塩または上記化合物の溶媒和物および一定量の少なくとも一つの上記に列挙される少なくとも一つのさらなる薬剤を含むキットであり、ここで上記2つ以上の成分の量は、所望の治療的効果を生じる。
【0103】
上記に記載されるキットは、上記キット内の一つ以上の容器内に上記成分を含み得る。
【0104】
本明細書中に開示される本発明は、以下の調製物および実施例により例示されるが、この調製物および実施例は、本開示の範囲を限定すると解釈されるべきではない。代替的な機構的経路および類似の構造物は、当業者にとって明確である。
【0105】
NMRデータが提示される場合には、Hスペクトルを、Varian VXR−200(200MHz、H)、Varian Gemini−300(300MHz)またはXL−400(400MHz)のいずれかを用いて得、丸カッコ内に示されるプロトン数、多重度およびHz単位の結合定数とともに、MeSiから低磁場のppmとして報告する。LC/MSデータが提示される場合には、分析はApplied Biosystems API−100質量分光計およびShimadzu SCL−10A LCカラム:Altech白金 C18、3ミクロン、33mm × 7mm内径を用いて実施した;勾配流量:0分−10%CHCN、5分−95%CHCN、7分−95%CHCN、7.5分−10%CHCN、9分−停止。保持時間および観察された親イオンを与える。
【0106】
以下の溶媒および試薬を、丸かっこ内のそれらの略号で呼ぶことがあり得る:
薄層クロマトグラフィー:TLC
酢酸エチル:AcOEtまたはEtOAc
メタノール:MeOH
トリフルオロアセテート:TFA
トリエチルアミン:TEA
ブトキシカルボニル:n−BocまたはBoc
核磁気共鳴分光法:NMR
液体クロマトグラフィー質量分析法:LCMS
高分解能質量分析法:HRMS
ミリリットル:mL
ミリモル:mmol
マイクロリットル:μl
グラム:g
ミリグラム:mg
室温またはrt(周囲の):約25℃
【実施例】
【0107】
(実施例)
式(I)の化合物は、当業者に公知のプロセスにより製造され得る。例示的な手順は、下記の代表的なスキームおよび実施例において示される。これらの調製物および実施例は、本開示の範囲を限定すると解釈されるべきではない。代替的な機構的経路および類似の構造物は、当業者にとって明確であり得る。これらのプロセスにより調製される化合物のいくつかは、表1に列挙される。上記に記載されたように、上記化合物のすべての種類の異性体は、本発明の範囲内と考えられる。
【0108】
【化9】


3−アルキル−2,5−ピペラジンジオンの還元は、その対応するピペラジンを与えた。これらを、位置選択的にアルキル化し化合物1を得た。そのベンジルのクロリドを、以下に示すように調製した。
【0109】
【化10】


その中間体2および3を、商業的に入手可能な前駆体から、以下に示すように調製した。
【0110】
【化11】


ピペラジン1は、カルバメート2と結合された場合に、尿素4を与える。同様に、上記ピペラジンは、カルバメート3と結合された場合に、カルバメート5を与える。Boc−脱保護および引き続くアセチル化はその最終生成物を提供する。
【0111】
【化12】

【0112】
【化13】


アルキル化尿素を、以下に示すように調製した。
【0113】
【化14】

【0114】
【化15】


異なるR、RおよびR基を有する、ジアステレオマーの関係において純粋な化合物を、以下に示すように調製した:
【0115】
【化16】


(調製例1:)
【0116】
【化17】


下、0℃において、LiAlH(THF中の1.0M、300mL、300mmol)を、THF(200mL)中の(S)―3−イソプロピル−2,5−ピペラジンジオン(11.0g、70mmol)の攪拌された混合物にゆっくりと添加した。この混合物を攪拌し、そして18時間還流し、0℃に冷却し、そしてHO(11.0mLを2回)および15%NaOH(11.0mL)を添加した。EtOAc(300mL)を添加し、この混合物をセライトを通して濾過し、そしてこの濾滓をEtOAcで洗浄した(100mLで4回)。この溶媒を蒸発させ、その残渣をEtOAc(200mL)中に溶解し、NaSOで乾燥し、そして濾過した。上記溶媒の蒸発は7.73g(86%)の固体を与えた。粗(S)−2−イソプロピルピペラジンを、精製なしで直接使用した。LCMS:MH=129。
【0117】
(調製例2:)
(S)−2−tert−ブチルピペラジンを、調製例1に与えられたのと本質的に同一の手順により調製した。油状物。LCMS:MH=143。
【0118】
(調製例3:)
【0119】
【化18】


下、0℃において、PhMgBr(THF中の1.0M、22.0mL、22mmol)を、乾燥THF(20mL)中の4−t−ブチルベンズアルデヒド(3.24g、20mmol)の攪拌された溶液に添加した。この混合物を0℃で10分間攪拌し、次いで25℃で20時間攪拌し、飽和水性NHCl(300mL)に注ぎ込み、そしてCHClで抽出した(100mLで3回)。この合わされた抽出液をNaSOで乾燥し、濾過し、そして上記溶媒を蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカゲル/CHCl)は、3.80g(79%)の固体を与えた。
【0120】
(調製例4および5:)
調製例3に示されたのと本質的に同一の手順により、4−トリフルオロメトキシベンズヒドロール(調製例4)および4−トリフルオロメチルベンズヒドロール(調製例5)を調製した。
【0121】
(調製例6:)
【0122】
【化19】


下で、EtMgBr(THF中の1.0M、75mL、75mmol)を、乾燥THF(50mL)中の4−ヨードベンゾトリフルオリド(13.6g、50mmol)の溶液に添加した。この溶液を25℃で1時間攪拌し、次いで4−トリフルオトメチルベンズアルデヒド(8.70g、50mmol)を添加し、この混合物を25℃で17時間攪拌し、そして飽和水性NHCl(300mL)に注ぎ込んだ。この混合物をCHClで抽出し(100mLで5回)、この有機抽出液をNaSOで乾燥し、濾過し、そして上記溶媒を蒸発させた。CHClを用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーは、8.72g(55%)の固体を与えた。
【0123】
(調製例7)
【0124】
【化20】


SOCl(1.0mL)を、乾燥1,2−ジクロロエタン(10mL)中の4−トリフルオロメチルベンズヒドロール(調製例5、680mg、2.7mmol)の溶液に添加し、そしてこの混合物を、N下で3時間還流した。上記溶媒および残存するSOClを蒸発させ、そしてその得られる油を乾燥CHCN(5mL)に溶解し、(S)−2−t−ブチルピペラジン(300mg、2.11mmol)およびNaI(60mg、0.4mmol)の混合物に添加した。この反応混合物を攪拌し、そしてN下で24時間還流し、次いで10%水性NaCO(50mL)に注ぎ込み、そしてCHClで抽出した(10mLで3回)。この組み合わされた抽出液をNaSOで乾燥し、濾過し、そして上記溶媒を蒸発させた。この残渣を、CHCl中の3%MeOH(10%NHOH)を用いるフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、410mg(52%)のワックスを与えた。
【0125】
(調製例8〜12:)
【0126】
【化21】


調製例7に示されたのと本質的に同一の手順により、表3に与えられた化合物を調製した(ここで、R、RおよびRは規定される)。
【0127】
【表3】


(調製例13:)
【0128】
【化22】


20mLの乾燥THF中の4−ニトロフェニルクロロホルメート(4.84g、24mmol)の溶液を、N下、0℃で、40mLの乾燥THF中のN−Boc−4−アミノピペリリジン(4.00g、20mmol)およびピリジン(2.20g、28mmol)の攪拌された溶液に添加した。この混合物を0℃で10分間攪拌し、次いで25℃で2時間攪拌した。EtOAc(300mL)を添加し、そしてこの混合物を飽和水性NaHCOで洗浄した(80mLで5回)。この有機層をNaSOで乾燥し、濾過し、そして上記溶媒を蒸発させた。この残渣を1:1ヘキサン/エーテル(200mL)中に懸濁し、そして濾過した。EtOAc(30mL)からの再結晶は、1.48g(20%)の固体を与えた。LCMS:MH(−C)=310。Mp=162〜164℃。
【0129】
(調製例14:)
【0130】
【化23】


この化合物を、調製例13に対して与えられた手順と本質的に同一の手順により調製した。固体。LCMS:MH(−C)=311。Mp=109〜111℃。
【0131】
(調製例15:)
【0132】
【化24】


調製例からの上記生成物(410mg、1.09mmol)および調製例からの上記生成物(440mg、1.20mmol)を乾燥DMSO中に溶解し、そしてこの溶液を、N下、70℃で20時間攪拌した。この溶液を室温に冷却し、エーテル(100mL)を添加し、この溶液を10%NaOHで洗浄し(50mLで3回)、NaSOで乾燥し、そして濾過した。上記溶媒を蒸発させ、そしてその残渣を、CHCl中の2.5%MeOH(10%NHOH)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーに供した。606mg(92%)の固体を得た。LCMS:MH=603。
【0133】
(調製例16〜21:)
【0134】
【化25】


調製例15に示された手順と本質的に同一の手順により、表4に与えられる化合物を調製した(ここで、R、R、RおよびZは規定される)。
【0135】
【表4】


(調製例22:)
【0136】
【化26】


エチルアミンの溶液(THF中の2.0M、20.0mL、20.0mmol)を、N−Boc−4−ピペリドン(3.00g、15.0mmol)に添加した。酢酸(2.0mL)を添加し、この混合物を5分間攪拌し、次いでNaBH(OAc)(4.22g、20.0mmol)を添加した。この混合物を、N下で24時間攪拌し、10%水性NaCO(300mL)に注ぎ込み、そしてCHClで抽出した(50mLで3回)。この組み合わされた抽出液をNaSOで乾燥し、濾過し、そして上記溶媒を蒸発させた。この得られる油状物(3.20g、94%)を、精製なしで使用した。LCMS:MH=229。
【0137】
(調製例23:)
【0138】
【化27】


この化合物を、調製例22のために与えられた手順と本質的に同一の手順により調製した。油状物。LCMS:MH=286。
【0139】
(調製例24:)
【0140】
【化28】


乾燥CHCl(2mL)中の調製例22からの生成物(200mg、0.45mmol)の溶液を、N下でトリホスゲン(45mg、0.15mmol)に添加した。この混合物を1時間攪拌し、次いで乾燥CHCl(1mL)中の調製例からの生成物(114mg、0.50mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(0.2mL)の溶液をを添加し、そして攪拌を7日間継続した。この混合物を10%水性NaCO(50mL)に注ぎ込み、そして抽出した(10mLで5回)。この組み合わされた抽出液をNaSOで乾燥し、濾過し、そして上記溶媒を蒸発させた。この残渣を、4:1CHCl/EtOAcを用いるフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、35mg(12%)のワックスを得た。LCMS:MH=699。
【0141】
(調製例25および26:)
調製例24に示された手順と本質的に同一の手順により、以下に与えられる化合物を調製した。
【0142】
【化29】


薄黄色のワックス。LCMS:MH=549。
【0143】
(調製例27および28:)
【0144】
【化30】


上記化合物を、0.2%のジエチルアミンを伴う90:10 ヘキサン:2−プロパノールを溶離液として用いて、CHIRALPAK ADカラムを備えた分取HPLCにより、調製例からの生成物のジアステレオマ−分離を通して調製した。
調製例27:第1の溶出異性体(異性体1)。固体。LCMS:MH=603。Mp=101〜103℃。
調製例28:第2の溶出異性体(異性体2)。固体。LCMS:MH=603。Mp=114〜116℃。
【0145】
(調製例29および30:)
【0146】
【化31】


上記分離は、調製例27および調製例28に対する分離と類似であった。
調製例29:第1の溶出異性体(異性体1)。
調製例30:第2の溶出異性体(異性体2)。
【0147】
(調製例31および32:)
【0148】
【化32】


上記分離は、調製例27および調製例28に対する分離と類似であった。
調製例31:第1の溶出異性体(異性体1)。
調製例32:第2の溶出異性体(異性体2)。
【0149】
(実施例1)
【0150】
【化33】


TFA(0.3mL)を、0℃、N下で、無水CHCl(3mL)中の出発原料(200mg、0.33mmol)の溶液に添加した。この混合物を0℃で15分間攪拌し、次いで1.0mLのTFAを添加し、そしてその攪拌をさらなる50分間、0℃で継続した。この混合物を固体KCO(5g)に注ぎ込み、HO(50mL)を添加し、そしてこの混合物をCHClで抽出した(10mLで4回)。この抽出液をMgSOで乾燥し、濾過し、そして上記溶媒を蒸発させた。この残渣を、無水CHCl(4mL)中に溶解し、そしてAcO(0.20mL)およびTEA(0.40mL)を添加した。この混合物をN下で24時間攪拌し、10%水性NaCO(30mL)に注ぎ込み、そしてCHClで抽出した(10mLで3回)。この組み合わされた抽出液をNaSOで乾燥し、濾過し、そして上記溶媒を蒸発させた。その残渣を、CHCl中の3%MeOH(10%NHOH)を用いるフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、130mg(72%)の固体を得た。LCMS:MH=545。Mp=119〜121℃。
【0151】
(実施例2〜15:)
実施例1に示された手順と本質的に同一の手順により、表5に与えられる化合物を調製した。
【0152】
【表5−1】

【0153】
【表5−2】

【0154】
【表5−3】

【0155】
【表5−4】


(実施例16:)
【0156】
【化34】


この化合物を、その対応する前駆体(調製例26)から、実施例1に与えられた方法と本質的に同一の方法により調製した。CMS:MH=548。Mp=90〜92℃。
【0157】
本発明の化合物は、タイプ3 17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼのインヒビターとして有用であり得る。この有用性を以下のアッセイにより実証した。
【0158】
(生物学的データ)
(17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ阻害データの方法:)
ヒトの組換え体タイプ3 17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ酵素を調製するために、ヒトの17β−HSDタイプ3で安定トランスフェクトされたHEK−293細胞を集密にまで培養し、そして酵素について収集した。その細胞を単離緩衝剤(20mMのKHPO、1mMのEDTA、0.25Mのスクロース、1mMのPMSF、5μg/mlのペプスタチンA、5μg/mlのアンチパインおよび5μg/mlのロイペプチン)中に、1mlあたり5.0×10個の細胞と1.0×10個の細胞との間の濃度まで懸濁させた。ミクロ超音波細胞破砕機を4回の10秒バーストに対して40番の出力設定で用いて、この細胞を氷上で超音波破砕した。その破砕された細胞を、次いで4℃で、100,000×gで60分間遠心分離し、その得られるペレットを再び懸濁させ、マイクロフュージ管に小分けし、そして−80℃で保存した。
【0159】
14C−アンドロステンジオンの14C−テストステロンへの転化を測定するために、反応緩衝剤(12.5mMのKHPO、1mMのEDTA)、NADPH補因子(最終1mM)、試験化合物、17β−HSD3酵素(30μgのタンパク質)および14C−アンドロステンジオン基質(100nM;1管あたり2.7nCi)を、13×100のホウケイ酸ガラス管に、1管あたり0.5mLの全量まで添加した。この管を予め温めた37℃の水浴内に30分間置いた。この反応を、次いで1mlのエチルエーテルを添加することにより停止した。その管を、4℃で、3000rpmで20分間、卓上の遠心分離機で遠心分離し、そして次いでドライアイス−メタノール浴中で急冷凍した。そのエーテル層を別のガラス管にデカントし、そして次いで圧縮窒素ガスを用いて乾燥まで蒸発させた。その試料をクロロホルム(20mL)中に再度懸濁させ、シリカG60薄層クロマトグラフィープレート上にスポットした。14C−アンドロステンジオン基質および14C−テストステロン生成物を、そのプレートをクロロホルム:酢酸エチル(3:1)中に静置することにより分離した。そのプレートを乾燥し、終夜さらし、FUJI FLA2000燐光画像装置(phosphorimager)で走査し定量した。
【0160】
本発明の化合物は、約0.005nM〜約>100nMの範囲の17B−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ タイプ3の結合活性を示した。本発明のいくつかの化合物は、約0.005nM〜10nMの範囲の結合活性を有する。
【0161】
本発明は、上記に示された特定の実施形態に関連して記載されてきたが、一方で本発明の多くの代替物、改変および他のバリエーションが当業者に明確である。すべてのそのような代替物、改変およびバリエーションは、本発明の精神および範囲内に入ることを意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載される発明。

【公開番号】特開2010−138204(P2010−138204A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58356(P2010−58356)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【分割の表示】特願2004−553612(P2004−553612)の分割
【原出願日】平成15年11月14日(2003.11.14)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】