説明

アーク溶接方法およびその装置

【課題】酸素を含有する金属部材を母材に用いるとき、アークを発生を抑制し、かつ溶接部位の溶け落ちを防止し、溶接部位の接合形状を従来よりも均一にする。
【解決手段】母材50には酸素含有率が10ppm以上の金属部材を用い、予熱工程と波形制御工程とを有する。予熱工程は、母材50の全部または一部を予熱する。波形制御工程は、母材50と電極30との間に流す電流Iの波形を、片極側であってピーク電流値Ipとゼロ値を含まないベース電流値Ibとの間で変化させ、電流値比(=電流振幅値Iw/電流平均値Iv)を0.5から2.0までの範囲とし、周波数を500Hz以上として、アークを発生させる。母材50を予熱するので、アークの発生時間を短く抑制できる。片極側で電流Iを変化させるので、アーク力で押しのけられた溶融金属は、アーク力が弱まった際に復元し、溶接部位の溶け落ちを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、母材と電極との間にアークを発生させて金属部材同士を溶接するアーク溶接方法およびアーク溶接装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のアーク溶接方法として、融点の非常に高いタングステン棒から母材に向けてアークを発生させ、その熱で母材を溶かすティグ溶接(Tungsten Inert Gas welding)を適用した技術が開示されている(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
また、融点が低い金属部材(例えば銅,アルミニウム,亜鉛,マグネシウム、あるいはそれらの合金)の薄板や薄壁パイプについてティグ溶接で発生させるアークの安定度を高めるため、高周波交流の電流波形や電圧を制御する技術が開示されている(例えば特許文献2を参照)。
【0004】
さらに、ティグ溶接を行う際に溶接開先の側壁への片寄りアークを防止するため、パルスのピーク電流(Ip)に基づいてアーク長(Da)を0.5≦Da≦(Ip−120)/30の範囲に設定し、所定範囲の周波数かつピーク電流で行う技術が開示されている(例えば特許文献3を参照)。
【0005】
そして、トランジスタを開路して主電流(I)を流す開路時間(t)と、トランジスタを閉路して直流ベース電流(I)を流す閉路時間(t)とを設定し、周波数が1KHz〜100KHzの高周波パルスでアーク溶接を行う技術が開示されている(例えば特許文献4を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−054263号公報
【特許文献2】特許第3948767号公報
【特許文献3】特開2001−018067号公報
【特許文献4】特開昭49−115957公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した特許文献1〜4の技術を用いて、酸素含有率が10ppm以上となる金属部材(例えば銅等)に対してアーク溶接を行うと、金属部材同士を溶融させて溶接する部位(以下「溶接部位」と呼ぶ。)が溶け落ちたり、溶接できても接合形状が不均一になったりする。このような状態が発生すると、溶接部位の溶け落ちは溶接強度の低下を招き、接合形状の不均一は溶接強度が不均一につながるという問題がある。
【0008】
上記の問題は、次の理由が要因であると推察する。所定のアーク溶接(例えばティグ溶接,ミグ溶接,マグ溶接等)では、溶接時に母材を大気と遮断するために不活性ガス(「シールドガス」とも呼ばれる。)を流す。この不活性ガスに酸素を加えると、溶融金属の表面張力が低下することは既に知られている。酸素を含有する金属部材を母材に用いると、当該母材が溶融する際に母材に内在する酸素が出現し、不活性ガスに酸素を加えたと同等の状態になって、溶融金属の表面張力が低下する。こうして溶融金属の表面張力が低下したときに、アーク力を連続的に加えると、溶接部位が溶け落ちたり、溶接できても接合形状が不均一になると考えられる。
【0009】
また、特許文献2の技術では高周波交流の電流を流すため、アークは母材から電極に向かって発生する事象と、電極から母材に向かって発生する事象とが交互に繰り返される。一般的には、アークが到達した部材側が溶けるため、例え高融点の電極を用いたとしても、母材だけでなく電極も少なからず溶ける。電極が溶けると、その溶け具合に応じてアークの発生経路が変化してゆくので、母材の不必要な部位まで溶ける可能性がある。したがって、溶接できても接合形状が不均一になり易いという問題がある。
【0010】
特許文献2の問題を解決するには、特許文献4の技術を適用すればよい。すなわち特許文献4の図4に示すように、片極側で常に直流ベース電流(I)を流し、トランジスタのオン/オフ制御によって主電流(I)を流したり流さなかったりする。こうすれば、アークは電極から母材に向かう方向にのみ発生するので、アークの発生経路が安定する。ところが、酸素を含有する金属部材を母材に用いるとき、主電流(I)と直流ベース電流(I)を設定する大きさによっては、溶接部位が溶け落ちたり、溶接できても接合形状が不均一になるという現象が生じる。
【0011】
さらに、母材の金属部材同士を溶接するにはアークを発生させる必要があるものの、同一の溶接部位に対してアークを長く発生させるほどに、溶接部位が溶け落ち易くなり、溶接できても接合形状が不均一になり易い傾向がある。
【0012】
本発明はこのような点に鑑みてなしたものであり、酸素を含有する金属部材を母材に用いるとき、アークを発生を出来るだけ少なく抑制し、かつ溶接部位の溶け落ちを防止し、溶接部位の接合形状を従来よりも均一にできるアーク溶接方法およびその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、母材と電極との間にアークを発生させて金属部材同士を溶接するアーク溶接方法において、前記母材には酸素含有率が10ppm以上の金属部材を用い、前記母材の全部または一部を予熱する予熱工程と、前記予熱工程で予熱された前記母材と前記電極との間に流す電流の波形を、片極側であってピーク電流値とゼロ値を含まないベース電流値との間で変化させ、ピーク電流値とベース電流値との振幅を示す電流振幅値と、変化する前記電流の平均値を示す電流平均値とを用いて、前記電流振幅値を前記電流平均値で割った電流値比を0.5から2.0までの範囲とし、周波数を500Hz以上として、前記アークを発生させる波形制御工程と、を有することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、溶接前に予熱工程を行って母材の全部または一部を予熱するので、母材の溶融に必要なアークの発生時間を短く抑制できる。また波形制御工程では、片極側で電流を変化させるので、アークは一方向にのみ発生し、アークの発生経路が安定する。さらに、電流値比(=電流振幅値/電流平均値)を0.5から2.0までの範囲とし、周波数を500Hz以上にしてアークを発生させることで、溶接部位に加えるアーク力に強弱をつける。アーク力で押しのけられた溶融金属は、アーク力が弱まった際に復元するので、溶接部位が溶け落ちるのを防止し、溶接部位の接合形状が従来よりも均一になる。
【0015】
これに対して、電流値比が0.5よりも小さければアーク力が不足し、金属部材を適切に溶融させることができずに溶接強度が低下する。一方、電流値比が2.0よりも大きいときはアーク力も大きいために溶接部位が溶け落ち易くなる。周波数が500Hzよりも低いと、溶接部位の接合形状が不均一になり易い。
【0016】
なお、予熱工程における母材の予熱方法は任意である。例えば、母材となる金属部材の融点よりも低い温度までにアークを発生させたり、発熱体を用いて熱したりする方法が該当する。母材の一部を予熱する場合は、溶接(接合)を行う目的となる部位(以下では単に「溶接目的部位」と呼ぶ。)に対して行う。金属部材は酸素含有率が10ppm以上のであれば任意であるが、例えば融点が低い金属部材(例えば銅,アルミニウム,亜鉛,マグネシウム、あるいはそれらの合金)が該当する。
【0017】
請求項2に記載の発明は、前記波形制御工程は、前記電流値比を0.5から1.5までの範囲とし、前記周波数を1000Hz以上として、前記アークを発生させることを特徴とする。この構成によれば、請求項1に比べてアーク力を低く抑え、周波数を高めることにより、溶接部位の溶け落ちをより確実に防止し、溶接部位の接合形状をより均一にすることができる。
【0018】
請求項3に記載の発明は、前記波形制御工程は、溶接の進行とともに前記電極の近傍に発生する磁界を変化させることを特徴とする。この構成によれば、電極の近傍に発生する磁界を変化させるに伴って、アークの発生経路も変化する。アーク力で押しのけられた溶融金属は、発生経路の変化に伴ってアーク力が弱まって復元するので、溶接部位が溶け落ちるのを防止し、溶接部位の接合形状が従来よりも均一になる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、前記アークを発生させる溶接期と、前記アークを発生させない非溶接期と、を交互に繰り返すことを特徴とする。「溶接期」は電流をピーク電流値とベース電流値との間で変化させてアークを断続的に発生させる時期(期間)を意味する。「非溶接期」は電流をベース電流値またはゼロ値としてアークを全く発生させない時期(期間)を意味する。この構成によれば、溶接期には金属部材の溶接部位が溶融し、非溶接期には溶融金属が冷えて溶け落ちを防止できる。なお、初期に行う溶接期において、母材となる金属部材の融点よりも低い温度までにアークを発生させることで、予熱工程を実現することも可能である。
【0020】
請求項5に記載の発明は、前記波形制御工程は、溶接の進行とともに前記電流値比および前記周波数のうち一方または双方を次第に変化させることを特徴とする。一般的に、溶接が進行するとともに溶融金属量が増減する。この構成によれば、電流値比や周波数を次第に変化させることで、溶融金属量が目的量となるように制御し、溶接部位の溶け落ちを防ぎ、溶接部位の接合形状を均一にする。
【0021】
請求項6に記載の発明は、前記波形制御工程は、前記電極をマイナス極とし、前記母材をプラス極として、マイナス側であってピーク電流値とベース電流値との間で電流を変化させることを特徴とする。この構成によれば、電極から母材に向かってアークが発生するので、電極の消耗を少なく抑えられ、ランニングコストを低く抑えることができる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、ティグ溶接またはプラズマアーク溶接のいずれか一方で溶接を行うことを特徴とする。この構成によれば、電極には融点が非常に高い部材(例えばタングステン棒等)を用いるため、アークによって電極自体が溶けることはほとんど無い。したがって、アークの発生経路を安定させることができるので、溶接部位の溶け落ちをより確実に防止し、溶接部位の接合形状をより均一にすることができる。
【0023】
請求項8に記載の発明は、母材と電極との間にアークを発生させて金属部材同士を溶接するアーク溶接装置において、前記母材には酸素含有率が10ppm以上の金属部材を用い、前記母材の全部または一部を予熱する予熱手段と、前記予熱手段によって予熱された前記母材と前記電極との間に流す電流の波形を、片極側であってピーク電流値とゼロ値を含まないベース電流値との間で変化させ、ピーク電流値とベース電流値との振幅を示す電流振幅値と、変化する前記電流の平均値を示す電流平均値とを用いて、前記電流振幅値を前記電流平均値で割った電流値比を0.5から2.0までの範囲とし、周波数を500Hz以上として、前記アークを発生させる波形制御部と、を有することを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、溶接前に予熱手段によって母材の全部または一部を予熱するので、母材の溶融に必要なアークの発生時間を短く抑制できる。また波形制御部では、ピーク電流値とベース電流値との間で変化させるので、アークは一方向にのみ発生し、アークの発生経路が安定する。さらに、電流値比を0.5から2.0までの範囲とし、周波数を500Hz以上にしてアークを発生させることで、溶接部位に加えるアーク力に強弱をつける。アーク力で押しのけられた溶融金属は、アーク力が弱まった際に復元するので、溶接部位が溶け落ちるのを防止し、溶接部位の接合形状を従来よりも均一にできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】アーク溶接装置の構成例を示す模式図である。
【図2】電流波形(パルス波形)の制御例を示す図である。
【図3】各種電流波形の一例を示す図である。
【図4】周波数を変化させたときのアーク状態と接合形状を示す図である。
【図5】従来技術を適用したときのアーク状態と接合形状を示す図である。
【図6】周波数と溶接強度比との関係例を示すグラフ図である。
【図7】電流値比と溶接強度比との関係例を示すグラフ図である。
【図8】電流波形を次第に変化させる制御例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。なお、特に明示しない限り、「接続する」という場合には電気的な接続を意味する。また、上下左右等の方向を言う場合には、図面の記載を基準とする。
【0027】
〔アーク溶接装置の構成例〕
まず図1には、アーク溶接装置の構成例を模式図で示す。図1に示すアーク溶接装置10は、母材50と電極30(トーチ)との間にアークを発生させて金属部材同士を溶接可能に構成され、電源機構20,電極30,磁界発生器40などを有する。
【0028】
母材50には、酸素含有率が10ppm以上である任意の金属部材を適用可能である。アークによる溶融を容易にするには、融点が低い金属部材(例えば銅,アルミニウム,亜鉛,マグネシウム、あるいはそれらの合金)を適用するのが望ましい。電極30は母材50との間でアークを発生可能な任意の金属部材を適用可能であるが、アークが発生しても消耗しない(消耗する場合もごく僅か)非消耗物質を用いるのが望ましい。当該非消耗物質としては、例えばタングステン(トリウム,セリウム,ランタニウム,ジルコニウム等を含有するものを含む)等が該当する。
【0029】
電源機構20は、図示しない電力源(例えば商用電源や電池等)から供給される電力を受けて、母材50と電極30との間にアークが発生可能な電流Iを出力可能に構成される。この電源機構20は、本発明を実現するために波形制御部21,予熱手段22,磁界制御部23などを有する。
【0030】
当然のことながら、電源機構20と電極30の間は電線ケーブル等によって接続され、電源機構20と母材50(第1母材51,第2母材52)との間にも電線ケーブル等によって接続される。電流Iが流れる方向は、電極30をマイナス極とし、母材50をプラス極とすると、実線で示す左回り方向になる。逆に、電極30をプラス極とし、母材50をマイナス極とすると、二点鎖線で示す右回り方向になる。
【0031】
波形制御部21の構成等については後述する。予熱手段22は、母材50の全部または一部を予熱する機能を担う。この予熱手段22の構成は、母材50の全部または一部を予熱できれば任意である。例えば、母材50となる金属部材の融点よりも低い温度までにアークを発生させる構成では、母材50の一部を予熱する場合に適し、特に溶接目的部位に対して予熱を行うのが望ましい。また、ヒータ等の発熱体を用いて熱する構成では、母材50の全部を予熱する場合に適する。予熱温度は母材50の物質によって異なり、例えば銅の場合は100℃〜300℃である。磁界制御部23は、磁界発生器40によって電極30の近傍に発生させる磁界を制御する機能を担い、磁界を変化させるに伴ってアークの発生経路を変化させる。磁界発生器40は磁界の強度や方向等を制御可能であれば任意に構成してよく、例えば電磁石,コイル等が該当する。
【0032】
波形制御部21は、母材50と電極30との間にアークを発生させるための電流Iの波形を制御する機能を担う。以下、電流波形(一例としてパルス波形)の制御例を示す図2を参照しながら説明する。
【0033】
図2に示す電流波形は、片極側(すなわちプラス側またはマイナス側)のみで変化し、ピーク電流値Ipと、ゼロ値を含まないベース電流値Ibとの間で変化する。言い換えれば、常にベース電流値Ib(直流成分)の電流Iが流れており、このベース電流値Ibに対して電流振幅値Iwで変化するパルス波成分(波形成分)が重畳される。例えば、電極30をマイナス極とし、母材50をプラス極とする場合は、電流Iはマイナス側であってピーク電流値Ipとベース電流値Ibとの間で変化する。電流振幅値Iwは、ピーク電流値Ipとベース電流値Ibとの振幅を示す。
【0034】
また波形制御部21は、式〔Ir=Iw/Iv〕で算出される電流値比Irを0.5から2.0までの範囲とし、周波数を500Hz以上として電流Iを出力する。より好ましくは、電流値比Irを0.5から1.5までの範囲とし、周波数を1000Hz以上として電流Iを出力する。電流平均値Ivは、変化する電流Iの平均値である。また、周波数の上限はアークが連続的に発生しない限りにおいて任意に設定可能である。周波数があまりに高くて周期が短くなると、アークが連続的に発生するようになる。よってアークを断続的に発生させるには、周波数の上限は100KHz〜1MHz程度になる。
【0035】
波形制御部21がベース電流値Ibの電流Iに重畳する電流波形は、図3(A)に示すパルス波(矩形波)には限られない。すなわち、図3(B)に示す正弦波でもよく、図3(C)に示す三角波でもよく、のこぎり波等の他の電流波形でもよい。これらの電流波形については、一種類の電流波形のみを重畳してもよく、二種類以上の電流波形を組み合わせて重畳してもよい。また、溶接しようとする母材50の物質や、溶接時の環境(温度や湿度等)などに応じて、重畳する波形を切り換えてもよい。例えば、ある時期(期間)はパルス波を重畳し、別の時期(期間)は正弦波を重畳するなどが該当する。
【0036】
さらに波形制御部21は、アークを発生させる溶接期と、アークを発生させない非溶接期とを交互に繰り返すように制御する。例えば、複数の溶接目的部位が曲線状(特に円環状)や直線状等に沿って間隔を空けて配置され、回転や移動等によって溶接目的部位が次々に変わっていく形態などに適用する。通常は、母材50と電極30との相対距離が最も短くなる位置(以下「溶接位置」と呼ぶ。)になるとき、上述した電流Iを流してアークを発生させることにより溶接を行う。すなわち、母材50と電極30とが溶接位置にあれば「溶接期」に該当し、溶接位置以外の位置にあれば「非溶接期」に該当する。回転や移動等のさせ方によっては、同一の溶接目的部位が複数回(2回以上で予め設定する回数)溶接位置に位置する場合がある。この場合は複数回の溶接を行えるが、初期(1回目のみや、2回目まで等)に行う溶接期では、母材50となる金属部材の融点よりも低い温度までにアークを発生させることで、予熱を行うことも可能である。
【0037】
〔アーク溶接方法〕
上述したアーク溶接装置10によって、母材50(具体的には図1に示す第1母材51および第2母材52)と電極30との間にアークを発生させて金属部材同士を溶接するアーク溶接方法について簡単に説明する。このアーク溶接方法は次の工程からなる。
【0038】
(1)予熱工程
溶接前に行われる予熱工程は、母材50の全部または一部を予熱する。母材50の一部を予熱する場合には、溶接目的部位に対して行う。
【0039】
(2)波形制御工程
予熱工程の後に行われる波形制御工程は、予熱を活かしてアークの発生期間を短くするため、予熱後の早期に行うのが望ましい。図2や図3に示す電流Iを流して母材50と電極30との間にアークを発生させ、金属部材(母材50)の接合目的となる部位を溶融させて溶接を行う。同一の溶接目的部位が複数回溶接位置に位置する場合には、予熱を行う電流Iの大きさと、溶接を行う電流Iの大きさとを切り換えて行う。
【0040】
(3)磁界制御工程
磁界制御工程は、上述した波形制御工程と並行して行われ、溶接の進行とともに電極30の近傍に磁界発生器40で発生させる磁界を変化させる。当該磁界は、母材50と電極30との間で発生するアークの経路が変化する程度の強度や方向を有する。逆に言えば、磁界を適切に制御することによって、アークの発生経路を安定化させる。
【0041】
〔アーク溶接の実施結果〕
酸素含有率が10ppmの銅からなる母材50(すなわち図1に示す第1母材51および第2母材52)に対して、図2に示すパルス波成分の周波数を4通りに設定し、アーク溶接装置10によってアーク溶接を行った結果を図4に示す。図4(A)は500Hzの場合を示し、図4(B)は1000Hzの場合を示し、図4(C)は1500Hzの場合を示し、図4(D)は2000Hzの場合を示す。なお比較のために、従来技術でアーク溶接を行った結果を図5に示す。各図では、アーク状態を上段に示し、溶接した結果を下段に示す。当該下段では、6本の母材50が列状に並び、第1母材51および第2母材52に対応する3組(左側,中側,右側)に対して各々溶接を行った結果を示す。
【0042】
図4(A)から図4(D)の各下段に示す結果では、溶接部位の接合形状は3組ともドーム形状になり、ほぼ同一形状になっていることが分かる。接合形状がほぼ同一形状であることは、溶接強度もほぼ均一であることを意味する。これに対して従来技術では、図5の下段に示すように、溶接部位の接合形状は形状が異なる三角状になっていることから、溶接強度も不均一であった。
【0043】
また、酸素含有率とパルス波成分の周波数とを変化させる場合において、溶接部位にかかる強度の変化を図6に示す。図6には、縦軸を溶接強度比とし、横軸をパルス波成分の周波数としたグラフ図で示す。溶接強度比Srは、基準強度Saに対する被検強度Sbの比であり、式で表すと〔Sr=Sb/Sa〕である。基準強度Saは、純銅(酸素含有率が0ppm)からなる母材50に対して、電流値比Irを1.0として溶接した溶接部位の強度である。被検強度Sbは、母材50となる銅の酸素含有率とパルス波成分の周波数とを変化させて溶接した溶接部位の強度である。
【0044】
図6には、酸素含有率が5ppmの銅(「○」で図示)、酸素含有率が10ppmの銅(「▲」で図示)、酸素含有率が250ppmの銅(「●」で図示)について、それぞれパルス波成分の周波数を変化させたときの溶接強度比Srを示す。パルス波成分のデューティ比を50%とし、その周波数を0Hz,500Hz,1000Hz,1500Hz,2000Hz,3000Hzに設定して行った。図6の結果によれば、母材50となる銅の酸素含有率が増加しても、パルス波成分の周波数を500Hz以上に設定すれば、溶接強度比Srが1.0に近い値となる。このことは、銅以外の金属部材(物質)についても同様の結果が得られる。よってパルス波成分の周波数を500Hz以上に設定してアーク溶接を行えば、酸素含有率の多少にかかわらず、溶接部位にかかる強度は純物質(酸素含有率が0ppmの物質)を用いて溶接したと同等の強度が得られる。
【0045】
さらに、電流Iの電流値比Irを変化させる場合において、溶接部位にかかる強度の変化を図7に示す。図7には、縦軸を溶接強度比とし、横軸を電流値比Ir(すなわち電流振幅値Iw/電流平均値Iv)としたグラフ図で示す。溶接強度比Srの定義は図6の場合と同様である。パルス波成分のデューティ比を50%とし、その周波数を500Hzに設定した。また、電流Iの電流値比Irを0,0.2,0.5,0.6,1.0,1.5,2.0に設定して行った。図7の結果によれば、電流Iの電流値比Irが0.5以上であり、少なくとも2.0までの範囲であれば、溶接部位にかかる強度は純物質を用いて溶接したと同等の強度が得られる。なお図示しないが、図6と同様にして母材50となる銅の酸素含有率を変えた場合でも、図7に示すパルス波成分のデューティ比や周波数以外の数値に設定しても、同様の結果が得られた。
【0046】
〔実施の形態の効果〕
上述した実施の形態によれば、以下に示す各効果を得ることができる。まず請求項1,8に対応し、母材50には酸素含有率が10ppm以上の金属部材を用い、予熱手段22によって母材50の全部または一部を予熱し(予熱工程)、波形制御部21によって電流Iの波形を片極側であってピーク電流値Ipとゼロ値を含まないベース電流値Ibとの間で変化させ、かつ電流値比Irを0.5から2.0までの範囲とし、周波数を500Hz以上として、アークを発生させる構成とした(波形制御工程;図1〜図7を参照)。この構成によれば、溶接前に母材50を予熱するので、母材50の溶融に必要なアークの発生時間を短く抑制できる。また、片極側のみで電流Iを変化させるので、アークは一方向にのみ発生し、アークの発生経路が安定する。さらに、電流値比Irを0.5から2.0までの範囲とし、周波数を500Hz以上に設定することで、溶接部位に加えるアーク力に強弱をつける。アーク力で押しのけられた溶融金属は、アーク力が弱まった際に復元するので、溶接部位が溶け落ちるのを防止し、溶接部位の形成形状が従来よりも均一になる。
【0047】
請求項2に対応し、波形制御工程では、電流値比Irを0.5から1.5までの範囲とし、周波数を1000Hz以上として、アークを発生させる構成とした(図1〜図7を参照)。この構成によれば、アーク力を低く抑え、周波数を高めることにより、溶接部位の溶け落ちをより確実に防止し、溶接部位の形成形状をより均一にすることができる。
【0048】
請求項3に対応し、磁界制御部23によって溶接の進行とともに電極30の近傍に発生する磁界を変化させる構成とした(波形制御工程;図1を参照)。この構成によれば、電極30の近傍に発生する磁界を変化させるに伴って、アークの発生経路も変化する。アーク力で押しのけられた溶融金属は、発生経路の変化に伴ってアーク力が弱まって復元するので、溶接部位が溶け落ちるのを防止し、溶接部位の形成形状が従来よりも均一になる。
【0049】
請求項4に対応し、溶接期と非溶接期とを交互に繰り返す構成とした。この構成によれば、溶接期には金属部材の溶接部位が溶融し、非溶接期には溶融金属が冷えて溶け落ちを防止できる。初期(1回目のみや、2回目まで等)に行う溶接期では、母材50となる金属部材の融点よりも低い温度までにアークを発生させることで、母材50の予熱を行うこともできる。
【0050】
請求項6に記載の発明は、波形制御工程は、電極30をマイナス極とし、母材50をプラス極として、マイナス側であってピーク電流値Ipとベース電流値Ibとの間で電流Iを変化させる構成とした(図1,2を参照)。この構成によれば、電極30から母材50に向かってアークが発生するので、電極30の消耗を少なく抑えられ、ランニングコストを低く抑えることができる。なお電極30には、アークが発生しても消耗しない(消耗する場合もごく僅か)非消耗物質を用いるのが望ましい。例えばタングステン(トリウム,セリウム,ランタニウム,ジルコニウム等を含有するものを含む)等が該当する。
【0051】
請求項7に対応し、ティグ溶接またはプラズマアーク溶接のいずれか一方で溶接を行う構成とした(図1を参照)。この構成によれば、電極30には非消耗物質を用いるため、アークによって電極30自体が溶けることはほとんど無い。したがって、アークの発生経路を安定させることができるので、溶接部位の溶け落ちをより確実に防止し、溶接部位の形成形状をより均一にすることができる。
【0052】
〔他の実施の形態〕
以上では本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は当該形態に何ら限定されるものではない。言い換えれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施することもできる。例えば、次に示す各形態を実現してもよい。
【0053】
上述した実施の形態では、波形制御部21(波形制御工程)は、ピーク電流値Ipを一定にして電流値比Irが0.5から2.0までの範囲となるように制御する構成とした(図2を参照)。この形態に代えて、溶接の進行に伴って変化する溶接部位の状態に応じて、ピーク電流値Ipを次第に変化させる構成としてもよい。
【0054】
例えば、図8(A)に示すような逓減変化と、図8(B)に示す逓増変化とがある。図8(A)に示す逓減例は、時刻t1まではピーク電流値Ip1であり、時刻t1から時刻t2までは逓減線L1に沿ってピーク電流値Ipを逓減してゆき、時刻t2以降はピーク電流値Ip2となるように制御する。図8(B)に示す逓増例は、時刻t3まではピーク電流値Ip3であり、時刻t3から時刻t4までは逓増線L2に沿ってピーク電流値Ipを逓増してゆき、時刻t4以降はピーク電流値Ip4となるように制御する。ここで、電流値比Irは一定に維持されるので、ピーク電流値Ipの変化に伴って電流平均値Ivも変化する。逓減線L1と逓増線L2は母材50の物質によって傾斜(逓減率や逓増率)が異なり、図示する直線に限らず、曲線であってもよい。逓減変化と逓増変化は、一方のみを行ってもよく、溶接の進行に伴って交互に切り換えてもよい。
【0055】
ピーク電流値Ipを次第に変化させる形態のほかには、ベース電流値Ibを変化させる形態や、電流Iに対してパルス波成分を重畳する場合にはパルス幅を変化させる形態、波形成分の周波数を変化させる形態などが該当する。これらの変化形態は、電流値比Irを一定に維持する場合に限らず、電流値比Irを一定に維持しないものの0.5から2.0までの範囲内で変化させる場合でも同様である。いずれの変化形態にせよ、上述したピーク電流値Ipを変化させる場合と同様の作用効果が得られる。
【0056】
上述した変化形態は、母材50および電極30の物質や、溶接時の環境などに応じて、逓減率や逓増率、時刻t1,t3や時刻t2,t4のタイミングなどを設定する。実際には予め実験や実地試験を行って設定するのが望ましい。完全自動化するには、溶接部位を撮像装置で撮像し、撮像した画像を処理して溶接部位の接合形状を取得し、現在の接合形状が目的の接合形状に近づくようにピーク電流値Ip(あるいはベース電流値Ibやパルス幅)を変化させる構成とすればよい。
【0057】
上述した構成によれば、請求項5に対応し、波形制御部21(波形制御工程)は、溶接の進行とともに電流値比Irおよび周波数のうち一方または双方を次第に変化させる構成とした(図8を参照)。この構成によれば、電流値比Irや周波数を次第に変化させることで、溶融金属量が目的量となるように制御し、溶接部位が溶け落ちるのを防ぎ、溶接部位の形成形状を均一にすることができる。
【0058】
上述した実施の形態では、ティグ溶接またはプラズマアーク溶接のいずれか一方で溶接を行う構成とした(図1を参照)。この形態に代えて、他の溶接法に本発明を適用することも可能である。他の溶接法は、例えば被覆アーク溶接,半自動アーク溶接,ガスシールドアーク溶接,ミグ溶接(Metal Inert Gas welding),マグ溶接(Metal Active Gas welding),炭酸ガスアーク溶接,サブマージアーク溶接,タンデムアーク溶接などが該当する。他の溶接法に本発明を適用する場合でも、上述した実施の形態と同様に、アークを発生を出来るだけ少なく抑制し、かつ溶接部位の溶け落ちを防止し、溶接部位の接合形状を従来よりも均一にできる。
【0059】
上述した実施の形態では、2つの母材50(すなわち第1母材51と第2母材52)を対向して溶接する場合に適用した(図1を参照)。この形態に代えて、3つ以上の母材50を一箇所で溶接する場合や、2つ以上の母材50を所定字状(例えばL字状やT字状等)に突き合わせて溶接する場合などにも同様に適用することができる。これらの場合であっても、単に溶接対象の数が増えたり溶接形態が変わったりするに過ぎないので、上述した実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0060】
〔他の発明の態様〕
以上では発明の実施の形態について説明したが、当該実施の形態には特許請求の範囲に記載した発明の態様のみならず他の発明の態様を含む。この発明の態様を以下に列挙するとともに、必要に応じて関連説明を行う。
【0061】
〔態様1〕
母材と電極との間にアークを発生させて金属部材同士を溶接するアーク溶接方法において、
前記母材には酸素含有率が10ppm以上の金属部材を用い、
前記母材の全部または一部を予熱する予熱工程と、
前記予熱工程で予熱された前記母材と前記電極との間に流す電流の波形を、片極側であってピーク電流値とゼロ値を含まないベース電流値との間で変化させて、発生させる前記アークを制御する波形制御工程と、
前記波形制御工程を行って溶接が進行するとともに、前記電極の近傍に発生させる磁界を制御する磁界制御工程と、
を有することを特徴とするアーク溶接方法。
【0062】
〔態様1の関連説明〕
態様1の構成によれば、溶接前に予熱工程を行って母材の全部または一部を予熱するので、母材の溶融に必要なアークの発生時間を短く抑制できる。また波形制御工程では、ピーク電流値とベース電流値との間で変化させるので、アークは一方向にのみ発生し、アークの発生経路が安定する。さらに磁界制御工程では、磁界を変化させるに伴ってアークの発生経路を変化させるので、アーク力で押しのけられた溶融金属は、発生経路の変化に伴ってアーク力が弱まって復元する。したがって、溶接部位が溶け落ちるのを防止し、溶接部位の接合形状が従来よりも均一にできる。
【0063】
〔態様2〕
母材と電極との間にアークを発生させて金属部材同士を溶接するアーク溶接装置において、
前記母材には酸素含有率が10ppm以上の金属部材を用い、
前記母材の全部または一部を予熱する予熱手段と、
前記予熱手段によって予熱された前記母材と前記電極との間に流す電流の波形を、片極側であってピーク電流値とゼロ値を含まないベース電流値との間で変化させて、発生させる前記アークを制御する波形制御部と、
前記波形制御部を行って溶接が進行するとともに、前記電極の近傍に発生させる磁界を制御する磁界制御部と、
を有することを特徴とするアーク溶接装置。
【0064】
〔態様2の関連説明〕
態様2の構成によれば、溶接前に予熱手段によって母材の全部または一部を予熱するので、母材の溶融に必要なアークの発生時間を短く抑制できる。また波形制御部は、ピーク電流値とベース電流値との間で変化させるので、アークは一方向にのみ発生し、アークの発生経路が安定する。さらに磁界制御部は、磁界を変化させるに伴ってアークの発生経路を変化させるので、アーク力で押しのけられた溶融金属は、発生経路の変化に伴ってアーク力が弱まって復元する。したがって、溶接部位が溶け落ちるのを防止し、溶接部位の接合形状を従来よりも均一にできる。
【符号の説明】
【0065】
10 アーク溶接装置
20 電源機構
21 波形制御部
22 予熱手段
23 磁界制御部
30 電極
40 磁界発生器
50 母材
51 第1母材
52 第2母材
Ib ベース電流値
Ip(Ip1,Ip2,Ip3,Ip4) ピーク電流値
Iv(Iv1,Iv2,Iv3,Iv4) 電流平均値
Iw(Iw1,Iw2,Iw3,Iw4) 電流振幅値
Ir 電流値比

【特許請求の範囲】
【請求項1】
母材と電極との間にアークを発生させて金属部材同士を溶接するアーク溶接方法において、
前記母材には酸素含有率が10ppm以上の金属部材を用い、
前記母材の全部または一部を予熱する予熱工程と、
前記予熱工程で予熱された前記母材と前記電極との間に流す電流の波形を、片極側であってピーク電流値とゼロ値を含まないベース電流値との間で変化させ、ピーク電流値とベース電流値との振幅を示す電流振幅値と、変化する前記電流の平均値を示す電流平均値とを用いて、前記電流振幅値を前記電流平均値で割った電流値比を0.5から2.0までの範囲とし、周波数を500Hz以上として、前記アークを発生させる波形制御工程と、
を有することを特徴とするアーク溶接方法。
【請求項2】
前記波形制御工程は、前記電流値比を0.5から1.5までの範囲とし、前記周波数を1000Hz以上として、前記アークを発生させることを特徴とする請求項1に記載のアーク溶接方法。
【請求項3】
前記波形制御工程は、溶接の進行とともに前記電極の近傍に発生する磁界を変化させることを特徴とする請求項1または2に記載のアーク溶接方法。
【請求項4】
前記アークを発生させる溶接期と、前記アークを発生させない非溶接期と、を交互に繰り返すことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のアーク溶接方法。
【請求項5】
前記波形制御工程は、溶接の進行とともに前記電流値比および前記周波数のうち一方または双方を次第に変化させることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のアーク溶接方法。
【請求項6】
前記波形制御工程は、前記電極をマイナス極とし、前記母材をプラス極として、マイナス側であってピーク電流値とベース電流値との間で電流を変化させることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のアーク溶接方法。
【請求項7】
ティグ溶接またはプラズマアーク溶接のいずれか一方で溶接を行うことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のアーク溶接方法。
【請求項8】
母材と電極との間にアークを発生させて金属部材同士を溶接するアーク溶接装置において、
前記母材には酸素含有率が10ppm以上の金属部材を用い、
前記母材の全部または一部を予熱する予熱手段と、
前記予熱手段によって予熱された前記母材と前記電極との間に流す電流の波形を、片極側であってピーク電流値とゼロ値を含まないベース電流値との間で変化させ、ピーク電流値とベース電流値との振幅を示す電流振幅値と、変化する前記電流の平均値を示す電流平均値とを用いて、前記電流振幅値を前記電流平均値で割った電流値比を0.5から2.0までの範囲とし、周波数を500Hz以上として、前記アークを発生させる波形制御部と、
を有することを特徴とするアーク溶接装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−218387(P2011−218387A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88500(P2010−88500)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】