説明

アースドリル

【課題】拡底バケットの拡大径の検出精度を向上させることができるアースドリルを提供すること。
【解決手段】アースドリル1の拡底バケットは、掘削翼に接続される油圧シリンダ23a,23bに油圧ホースh6,h7から油が供給されて拡縮動作を行う。その拡縮動作時に低圧側となる油圧ホースh6,h7に流れる油の流量に基づいて拡底バケットの拡大径を算出する。そのため、油圧ホースh6,h7に接続される油圧ホースh15、h16の内径が供給される油の圧力で拡大されることを防止すると共に、油圧ホースh6,h7に流れる油がロータリージョイント20の摺動隙間などから漏れ出す量を少なくすることができるので、油圧シリンダ23a,23bを伸縮するために実際に出入りした油量に対する第1検出流量Q1及び第2検出流量Q2の流量差を小さくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アースドリルに関し、特に、拡底バケットの拡大径の検出精度を向上させることができるアースドリルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、先端拡大形状の杭を施工する場合に使用される拡底バケットを備えたアースドリルが知られている。例えば、特公昭63−65797号公報には、リンク16を介して油圧シリンダー(シリンダ)13の伸縮を拡大翼(掘削翼)32へ伝えることで、拡大翼32の拡径・縮径を行うアースドリルに関する技術が記載されている。
【0003】
その拡底バケット11は、拡大翼(掘削翼)32を縮径した状態で地表から縦孔の下部に向けて下ろされ、その縦孔の下部で拡大翼32の拡径を行いつつ回転されることで縦孔の下部を掘削して、その縦孔の下部に所定の直径の空間を形成する。
【0004】
その後、拡大翼(掘削翼)32の縮径を行い、掘削した土砂をケース30に収容した後、縦孔の下部から地表へと引き上げられる(特許文献1)。
【0005】
ここで、1回の掘削で、目標とする直径の空間を形成することができない場合には、上述した掘削を繰り返す。そのため、拡大翼(掘削翼)32は、拡径・縮径を繰り返し行う必要があり、拡大翼(掘削翼)32の拡大径を検出する必要があった。
【0006】
そこで、特許3227082号公報には、ロータリージョイント11と油圧シリンダー(シリンダ)10との間の油圧ホース(ホース部材)12に流量検出器(第1流量検出装置および第2流量検出装置)18が挿入され、その流量検出器18の検出流量に基づいて拡大翼(掘削翼)9bの拡大径を検出するアースドリルに関する技術が記載されている(特許文献2)。
【特許文献1】特公昭63−65797号公報(第5カラム第36行目から第38行目)
【特許文献2】特許3227082号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許3227082号公報に記載の技術では、ホースリール13で油圧ホース(ホース部材)12を巻き取るので、油圧ホース12の剛性を低く設定する必要があり、オイル(油)が油圧ホース12の内部に供給されるとその供給されるオイルの圧力で油圧ホース12の内径が拡大される。
【0008】
そのため、油圧ホース12の内径が拡大した分、油圧シリンダー(シリンダ)10に流入したオイル(油)量と流量検出器(第1流量検出装置および第2流量検出装置)18を通過したオイル量とに差が生じていた。その結果、拡大翼(掘削翼)9bの拡大径の検出精度が悪化するという問題点があった。
【0009】
また、流量検出器(第1流量検出装置および第2流量検出装置)18単体においても油圧ホース12内のオイル(油)の圧力の違いによってオイル量の検出流量にばらつきが生じる。特許3227082号公報に記載の技術では、流量検出器18が検出する油圧ホース12内のオイルの圧力が拡径時と縮径時とで異なるため、同一の拡大径を示す流量を流量検出器18が検出した場合でも、拡径時と縮径時とで実際に流量検出器18を流れる流量が異なり、流量検出器18の検出流量のばらつきを解消できない。そのため、拡大翼(掘削翼)9bの拡大径の検出精度が悪化するという問題点があった。
【0010】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、拡底バケットの拡大径の検出精度を向上させることができるアースドリルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するために請求項1記載のアースドリルは、油を送出して油圧を発生させる送出装置が設けられた本体と、その本体から吊り下げられて掘削作業を行なう拡底バケットと、その拡底バケットの掘削翼を拡径または縮径させるシリンダと、そのシリンダと前記送出装置との間で油の流れる流路を形成するホース部材とを備え、前記シリンダが、前記拡底バケットの掘削翼を拡径動作させる場合に前記送出装置から油が供給される第1供給室と前記拡底バケットの掘削翼を縮径動作させる場合に前記送出装置から油が供給される第2供給室とを備えると共に、前記ホース部材が、前記第1供給室に前記送出装置を接続する第1ホース部材と前記第2供給室に前記送出装置を接続する第2ホース部材とを備えて構成されるものであり、前記送出装置から前記シリンダに油が供給される場合に油の供給先が前記第1供給室であるか又は前記第2供給室であるかを判断する判断手段と、その判断手段によって油の供給先が前記第1供給室であると判断された場合に前記第2ホース部材を流れる油の流量に基づいて前記シリンダの伸縮量を算出し、前記判断手段によって油の供給先が前記第2供給室であると判断された場合に前記第1ホース部材を流れる油の流量に基づいて前記シリンダの伸縮量を算出する算出手段とを備えている。
【0012】
請求項2記載のアースドリルは、請求項1記載のアースドリルにおいて、前記第1ホース部材に取着され、その第1ホース部材を流れる油の流量を検出する第1流量検出装置と、前記第2ホース部材に取着され、その第2ホース部材を流れる油の流量を検出する第2流量検出装置とを備えている。
【0013】
請求項3記載のアースドリルは、請求項2記載のアースドリルにおいて、前記送出装置側に位置する前記第1ホース部材と前記拡底バケット側に位置する前記第1ホース部材とを回動可能状態にて連通させると共に、前記送出装置側に位置する前記第2ホース部材と前記拡底バケット側に位置する前記第2ホース部材とを回動可能状態にて連通させるロータリージョイントを備え、記第1流量検出装置は、前記拡底バケット側に位置する前記第1ホース部材に流れる油の流量を検出し、前記第2流量検出装置は、前記拡底バケット側に位置する前記第2ホース部材に流れる油の流量を検出する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載のアースドリルによれば、シリンダの第1供給室に第1ホース部材を介して送出装置から油が供給されて掘削翼が拡径され、第2供給室に第2ホース部材を介して送出装置から油が供給されて掘削翼が縮径される。そして、送出装置からシリンダに油が供給される場合に油の供給先が第1供給室であるか又は第2供給室であるかが判断手段によって判断される。
【0015】
その判断手段によって油の供給先が第1供給室であると判断された場合に第2ホース部材を流れる油の流量に基づいてシリンダの伸縮量が算出され、判断手段によって油の供給先が第2供給室であると判断された場合に第1ホース部材を流れる油の流量に基づいてシリンダの伸縮量が算出される。
【0016】
即ち、第2ホース部材の内圧が第1ホース部材の内圧に対して低圧である場合に、第2ホース部材を流れる油の流量に基づいてシリンダの伸縮量が算出されるので、第2ホース部材の内部容積の変化の影響を小さくすることができる。よって、第2供給室から排出される油量と第2ホース部材を流れる油の流量との差を小さくして、シリンダの伸縮量の検出精度が向上される。その結果、拡底バケットの拡大径の検出精度を向上させることができるという効果がある。
【0017】
同様に、第1ホース部材の内圧が第2ホース部材の内圧に対して低圧である場合に、第1ホース部材を流れる油の流量に基づいてシリンダの伸縮量が算出されるので、第1ホース部材の内部容積の変化の影響を小さくすることができる。よって、第1供給室から排出される油量と第1ホース部材を流れる油の流量との差を小さくして、シリンダの伸縮量の検出精度が向上され。その結果、拡底バケットの拡大径の検出精度を向上させることができるという効果がある。
【0018】
また、本発明のアースドリルでは、第2ホース部材の内圧が第1ホース部材の内圧に対して低圧である場合に、第2ホース部材を流れる油の流量に基づいてシリンダの伸縮量が算出され、第1ホース部材の内圧が第2ホース部材の内圧に対して低圧である場合に、第1ホース部材を流れる油の流量に基づいてシリンダの伸縮量が算出される。
【0019】
そのため、シリンダが伸びる場合に検出される油の圧力と、シリンダが縮む場合に検出される油の圧力との差を小さくすることができるので、検出する油の圧力の違いにより生じる算出手段自体の検出流量のばらつきを小さくすることができる。よって、シリンダの伸び量およびシリンダの縮み量の検出精度が向上されるので、シリンダが伸縮することにより生じるシリンダの伸縮量のずれを防止することができる。その結果、拡底バケットの拡大径の検出精度を向上させることができるという効果がある。
【0020】
また、拡底バケットにシリンダが実際に移動する実移動量測定するポテンシオメータなどのセンサを設ける必要が無くなるので、拡底バケット近傍の重量が増し不安定となることを防止すると共にセンサに泥水が浸入して破損や誤検出することを防止することができるという効果がある。
【0021】
請求項2記載のアースドリルによれば、請求項1記載のアースドリルの奏する効果に加え、第1ホース部材に取着され、その第1ホース部材を流れる油の流量を検出する第1流量検出装置と、第2ホース部材に取着され、その第1ホース部材を流れる油の流量を検出する第2流量検出装置とを備えているので、拡底バケットの拡大径の検出精度を向上させることができるという効果がある。
【0022】
例えば、流量検出装置を1個だけ備える構成の場合、第1ホース部材及び第2ホース部材の内、内圧が低圧であるホース部材に流れる油の流量を検出するために、第1ホース部材及び第2ホース部材の接続を繋ぎ変える切替弁を有する切り替え装置を備える必要がある。
【0023】
ここで、本発明のアースドリルでは、第1流量検出装置と第2流量検出装置との2個の検出手段を備えているので、切り替え装置を備える必要なく切り替え装置の切替弁からのリークの影響を回避することができる。よって、シリンダの伸縮量の検出精度が向上され、拡底バケットの拡大径の検出精度を向上させることができるという効果がある。
【0024】
また、切り替え装置を不要とすることができるので、アースドリルの簡素化を図ると共に油流路の可動部品を減らすことで、故障の可能性を低減して、アースドリルの信頼性の向上を図ることができるという効果がある。
【0025】
請求項3記載のアースドリルによれば、請求項2記載のアースドリルの奏する効果に加え、送出装置側に位置する第1ホース部材と拡底バケット側に位置する第1ホース部材とを回動可能状態にて連通させると共に、送出装置側に位置する第2ホース部材と拡底バケット側に位置する第2ホース部材とを回動可能状態にて連通させるロータリージョイントを備え、第1流量検出装置は、拡底バケット側に位置する第1ホース部材に流れる油の流量を検出し、第2流量検出装置は、拡底バケット側に位置する第2ホース部材に流れる油の流量を検出するので、ロータリージョイントからの油漏れの影響を回避することができる。
【0026】
即ち、例えば、第1流量検出装置が送出装置側に位置する第1ホース部材に流れる油の流量を検出する場合には、シリンダの第1供給室から排出される油がロータリージョイントから漏れ出すことにより、第1流量検出装置により検出される油の流量がシリンダの第1供給室から排出される油の流量より少ない流量として検出される。
【0027】
また、同様に、第2流量検出装置が送出装置側に位置する第2ホース部材に流れる油の流量を検出する場合には、シリンダの第2供給室から排出される油がロータリージョイントから漏れ出すことにより、第2流量検出装置により検出される油の流量がシリンダの第2供給室から排出される油の流量より少ない流量として検出される。
【0028】
しかしながら、本発明のアースドリルでは、第1流量検出装置は、拡底バケット側に位置する第1ホース部材に流れる油の流量を検出するので、シリンダの第1供給室から排出される油がロータリージョイントから漏れ出すことによる影響を回避することができる。よって、第1流量検出装置により検出された油の流量と実際にシリンダの第1供給室から排出される油の流量とを略同一とすることができる。
【0029】
また、同様に、拡底バケット側に位置する第2ホース部材に流れる油の流量を検出するので、シリンダの第2供給室から排出される油がロータリージョイントから漏れ出すことによる影響を回避することができる。よって、第2流量検出装置により検出された油の流量と実際にシリンダの第2供給室から排出される油の流量とを略同一とすることができる。
【0030】
その結果、第1流量検出装置により検出された油の流量または第2流量検出装置により検出された油の流量に基づいて算出されるシリンダの伸縮量の検出精度が向上され、拡底バケットの拡大径の検出精度を向上させることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施の形態におけるアースドリル機1の側面図である。なお、図1に示す矢印Xは、アースドリル機1の垂直方向を示しており、その垂直方向は、後述するケリーバ15が上下動作する方向である。また、本実施形態のアースドリル機1は、掘削作業を行なうものであり、具体的には、縦穴を掘削すると共にその縦穴の下部に任意の大きさの空間を掘削するものである。
【0032】
図1に示すように、アースドリル機1は、主に、走行可能な下部本体11と、その下部本体11に対して旋回可能な上部旋回体12と、その上部旋回体12に対して起立した状態で取り付けられるブーム13と、そのブーム13に設けられたフロントフレーム部14と、ブーム13の上部(図1上方の端部、矢印X方向上方端部)に吊設される棒状のケリーバ15と、そのケリーバ15を回転駆動させると共にフロントフレーム部14に連結されるケリーバ駆動装置16と、そのケリーバ駆動装置16の下方に連結され油を供給する油圧ホースh15,h16(図3参照)の巻き取り又は巻き出しを行なうホースリール17と、そのホースリール17が搭載されたホースリール台18と、ケリーバ15の下方先端(図1下方先端、矢印X方向下方先端)に連結され、ケリーバ15の回転に伴って回転動作を行なう拡底バケット19と、その拡底バケット19側とケリーバ駆動装置16側とにおいて油を供給するロータリージョイント20とを有して構成されている。なお、後述するが、ホースリール17は、油圧ホースh15,h16のそれぞれに対応して、ホースリール17a,17bの2つがホースリール台18に搭載されている。また、拡底バケット19の説明については、図2を参照して後述する。
【0033】
ロータリージョイント20は、拡底バケット19に設けられた油圧シリンダ23a,23b(図2参照)に油圧を供給するために設けられている。ロータリージョイント20は、ホースリール台18に固定された非回転の外筒と、その外筒の内部に回転自在に嵌合される内筒とで構成されており、外筒と内筒との間に溝状の流路が形成されている。なお、内筒の回転は、ケリーバ15がケリーバ駆動装置16により回転されることに伴って回転する。
【0034】
次に、図2を参照して、拡底バケット19の構成について説明する。図2は、拡底バケット19の概略を示した図であり、図2(a)は、拡底バケット19の底面図であり、図2(b)は、図2(a)の矢印IIb視における拡底バケット19が拡径した状態を示した側面図であり、図2(c)は、図2(a)の矢印IIc視における拡底バケット19が縮径した状態を示した側面図である。
【0035】
また、以下の説明では、掘削翼22a,22bが最大に拡径された場合の拡底バケット19の最大径をRmaxと示し、掘削翼22a,22bが最小に縮径された場合の拡底バケット19の最小径をRminと示す。また、図2(b)のフレーム25a,25b及び図2(c)のフレーム25bは、一点鎖線で概略的に示す。
【0036】
図2(a)に示すように、拡底バケット19は、主に、支点21を中心として開閉される複数枚(本実施形態では2枚)の掘削翼22a,22bと、その掘削翼22a,22bをそれぞれ動作させる油圧シリンダ23a,23b(図2(c)参照)と、その油圧シリンダ23a,23bの伸縮に伴って上下動作(図2(a)紙面垂直方向への動作)するベース24と、そのベース24と掘削翼22a,22bとをそれぞれ連結するフレーム25a,25bとを有して構成されている。
【0037】
図2(b)に示すように、拡底バケット19が最大径Rmaxまで拡径されると、油圧シリンダ23a,23b(油圧シリンダ23bは図示せず)が伸長した状態となり、ベース24が下方に位置している。ベース24が下方に位置すると、フレーム25a,25bが掘削翼22a,22bを外方向に押し出すことで拡径動作が行なわれる。
【0038】
また、図2(c)に示すように、拡底バケット19が最小形Rminまで縮径されると、油圧シリンダ23a,23bが収縮した状態となり、ベース部材24が上方に位置している。ベース部材24が上方に位置すると、フレーム25a,25bが掘削翼22a,22b(掘削翼22bは図示せず)を内方向に引き込むことで縮径動作が行なわれる。
【0039】
ここで、アースドリル機1によって行なわれる掘削作業について簡単に説明する。掘削作業は、まず、ケリーバ15の先端を掘削ドリル(図示せず)に付け替えて縦穴を掘削する。所望の深さの縦穴が掘削できたら、ケリーバ15の先端に拡底バケット19を取り付けて縦穴の下部に任意の大きさの空間を掘削する。拡底バケット19は、掘削開始時に最大径Rmaxでの掘削を行えないので、掘削翼22a,22bを徐々に広げていき、複数回に分けて、任意の大きさの空間を縦穴下部に形成する。そして、掘削翼22a,22bを縮めて拡底バケット19内に掘削した土砂を取り込んで縦穴から取り出す。よって、拡底バケット19は、縦穴下部に任意の大きさの空間を形成するために、複数回上下動作が行われ、掘削翼22a,22bは、拡底バケット19の上下動作の度に拡大収縮される。
【0040】
そして、油圧ホースh15,h16(図3参照)は、拡底バケット19の上下動作に伴い、ホースリール17により巻き取り又は巻き出しが繰り返し行われる。さらに、ロータリージョイント20より拡底バケット19側は回転動作するので、油圧ホースh15,h16も拡底バケット19の回転動作に伴って回転する。なお、掘削中は、縦穴の側面の崩れなどを防止する目的で、掘削穴内にベントナイトと呼ばれる水溶液が充填される。
【0041】
次に、図3を参照して、油圧シリンダ23a,23bへ油を供給する油圧回路、及び、拡底バケット19の拡径動作または縮径動作を切り替える電気回路について説明する。図3は、アースドリル機1の油圧回路および電気回路を示した回路図である。なお、図3において、矢印q1,q2は、油の流れ方向を示している。また、油圧ホースh6,h7の内部を流れる油の流量である第1検出流量Q1及び第2検出流量Q2の説明は、図5及び図6を参照して後述する。
【0042】
まず、油圧回路の構成について説明する。油圧シリンダ23a,23bやその他の油圧を駆動源とする装置に供給される油は、上部旋回体12(図1参照)に設けられたタンク31内に貯留されている。タンク31内に貯留されている油は、ストレーナ32により吸い上げられ、そのストレーナ32により吸い上げられた油が油圧ポンプ33a,33b,33cにより各装置に送り出される。
【0043】
油圧ポンプ33aにより送り出された油は、電磁ソレノイド34に供給され、油圧ポンプ33bにより送り出された油は、パイロットソレノイド35に供給され、油圧ポンプ33cにより送り出された油は、ホースリールモータ36a,36bに供給される。
【0044】
また、油圧回路内には、電磁ソレノイド34やパイロットソレノイド35、ホースリールモータ36a,36bの破損を防止するために油圧を調整する複数のリリーフ弁37a〜37dが設けられている。また、ホースリールモータ36a,36bに油を供給する流路には、ストップ弁38が設けられているが、これは、ホースリール17a,17bの巻き出しなどを手動で行なう場合に油圧の循環回路を構成するためのものである。即ち、ストップ弁38は、通常時は流路を閉鎖し、ホースリールモータ36a,36bに油を供給すると共に、手動時は流路を開放して油圧ホースh11,h12を連通させる油の循環流路を形成するものである。
【0045】
電磁ソレノイド34の入力側には、油圧ポンプ33aから油が供給される流路を形成する油圧ホースh1と、タンク31に油を戻す流路を形成する油圧ホースh2とが接続されており、電磁ソレノイド35の出力側には、パイロットソレノイド35の切り替えを行なう入力部までの流路を形成する油圧ホースh3,h4が接続されている。
【0046】
パイロットソレノイド35の入力側には、油圧ポンプ33bから油が供給される流路を形成する油圧ホースh5と、油圧ホースh2とが接続されており、パイロットソレノイド35の出力側には、ロータリージョイント20に接続される2つの流路を形成する油圧ホースh6,h7と、油圧ホースh2とが接続されている。
【0047】
なお、油圧ホースh6,h7の内、油圧ホースh6は、拡底バケット19の掘削翼22a,22bを拡径動作させる場合に油圧がかけられ、油圧ホースh7は、拡底バケット19の掘削翼22a,22bを縮径動作させる場合に油圧がかけられる。
【0048】
また、油圧ホースh6には、パイロットソレノイド35とロータリージョイント20との間に、油圧モータ71が設けられ、油圧ホースh7には、パイロットソレノイド35とロータリージョイント20との間に、油圧モータ72が設けられている。この油圧モータ71,72は、油圧ホースh6,h7に油が流れると、その油の流れ方向に回転するものである。
【0049】
また、油圧モータ71には、第1流量検出器73が設けられ、油圧モータ72には第2流量検出器74が設けられている。第1流量検出器73及び第2流量検出器74は、油圧モータ71,72の回転数に応じた値をそれぞれ出力するものであり、油圧モータ71,72が1回転する毎に1パルスの信号を出力する。
【0050】
よって、後述する演算器51では、第1流量検出器73及び第2流量検出器74から出力される信号から供給された油の流量および排出された油の流量を算出できる。さらに、第1流量検出器73及び第2流量検出器74から出力される信号に基づいて、油圧ホースh6,h7を流れる油の方向を検出することもできる。
【0051】
また、油圧ポンプ33cとロータリージョイント20との間は、油圧ホースh8により接続されており、タンク31とロータリージョイント20との間は、油圧ホースh9により接続されている。さらに、ロータリージョイント20は、上述したように、外筒と内筒とを有し、油圧ホースを回動可能状態で連通させるので、多少の油漏れが生じる。そのロータリージョイント20から漏れ出す油は、油圧ホースh10によりタンク31に戻される。
【0052】
ロータリージョイント20より拡底バケット19側には、4つの油圧ホースh11〜h14が接続されている。油圧ホースh11は、油圧ホースh8と連通しており、ホースリールモータ36a,36bに油を送る流路を形成し、油圧ホースh12は、油圧ホースh9と連通しており、ホースリールモータ36a,36bからの油をタンク31に戻す流路を形成する。
【0053】
また、油圧ホースh13は、油圧ホースh6と連通しており、スイベルジョイント42aを介してホースリール17aに接続され、油圧ホースh14は、油圧ホースh7と連通しており、スイベルジョイント42bを介してホースリール17bに接続されている。なお、スイベルジョイント42a,42bは、ロータリージョイント20と同様に、回動可能状態で油圧ホースを連通させるジョイントである。
【0054】
また、ホースリール17aと油圧シリンダ23a,23bとの間は、油圧ホースh15により接続されており、油圧ホースh15は、油圧シリンダ23a,23bを伸長させる場合に油が供給される第1供給室23a1,23b1に接続されている。ホースリール17bと油圧シリンダ23a,23bとの間は、油圧ホースh16により接続されており、油圧ホースh16は、油圧シリンダ23a,23bを収縮させる場合に油が供給される第2供給室23a2,23b2に接続されている。なお、油圧シリンダ23a,23bが伸縮した状態の説明は、図4を参照して後述する。
【0055】
よって、油圧ホースh15は、ケリーバ15(図1参照)の上下動作に伴って、ホースリールモータ36aの駆動力によりホースリール17aが回転し巻き取り又は巻き出しが行なわれる。また、油圧ホースh16は、ケリーバ15の上下動作に伴って、ホースリールモータ36bの駆動力によりホースリール17bが回転し巻き取り又は巻き出しが行なわれる。
【0056】
次に、図3を参照して、電気回路の構成について説明する。油圧シリンダ23a,23bを伸縮動作させるための電気回路は、主に、所定の処理を行なう演算器51と、その演算器51からの指示により切り替えられるリレー52と、表示を行なうランプ53と、音声を出力するブザー54と、操作者により操作される切替スイッチ55と、ランプ53及びブザー54、電磁ソレノイド34に電源を供給する電源装置56とを有して構成されている。
【0057】
演算器51は、演算処理装置であるCPU51aや、CPU51aにより実行される制御プログラムやその実行の際に参照される固定値データ(例えば、後述する面積A,Bの値など)が記憶されるROM51b(記憶手段)、制御プログラムの実行に当たって各種のデータ等(例えば、後述する目標ストローク量Lt、比率p、伸長側係数α,βなど)を一時的に記憶するRAM51cを有して構成されている。
【0058】
演算器51には、第1流量検出器73及び第2流量検出器74が接続され、油圧ホースh6,h7を流れる流量に関する信号が入力される。また、演算器51は、リレー52に接続され、演算器51からの指示によりリレー52を切り替えることができる。
【0059】
リレー52は、切替スイッチ55に電源装置56を接続するラインと、ランプ53及びブザー54に電源装置56を接続するラインとを切り替えるスイッチであり、オフの状態で切替スイッチ55と電源装置56とを接続し、オンの状態でランプ53及びブザー54と電源装置56とを接続する。
【0060】
切替スイッチ55は、電磁ソレノイド34のオン/オフを切り替えるスイッチであり、拡径側に接続すると、油圧ホースh3に油が流れることにより、油圧ホースh6に油が流れて、油圧シリンダ23a,23bの第1供給室23a1(図4(a)参照),23b1に油が供給される。一方、切替スイッチ55を縮径側に接続すると、油圧ホースh4に油が流れることにより、油圧ホースh7に油が流れて、油圧シリンダ23a,23bの第2供給室23a2(図4参照(b)参照),23b2に油が供給される。
【0061】
次に、図4を参照して、油圧シリンダ23a,23bの伸縮動作について説明する。図4は、油圧シリンダ23aが伸縮した状態を示した図であり、図4(a)は、油圧シリンダ23aの収縮時(拡底バケット19の縮径時)の状態(図4(a)左側の図)から油圧シリンダ23aの伸長時(拡底バケット19の拡径時)の状態(図4(a)右側の図)への移行を示した図であり、図4(b)は、油圧シリンダ23aの伸長時(拡底バケット19の拡径時)の状態(図4(b)左側の図)から油圧シリンダ23aの収縮時(拡底バケット19の縮径時)の状態(図4(b)右側の図)への移行を示した図である。
【0062】
なお、図4(a)及び図4(b)では、油圧シリンダ23aのみを図示したが、油圧シリンダ23bも同様に構成されるものであるので、その説明を省略する。また、図4(a)及び図4(b)に示す矢印Yは、油圧シリンダ23aの伸縮方向を示している。
【0063】
また、図4に示すように、Aは、第1供給室23a1の油圧シリンダ23aの伸縮方向Yに直交する平面の面積(ピストン面積)であり、Bは、第2供給室23a2の油圧シリンダ23aの伸縮方向Yに直交する平面の面積であり、Cは、シリンダ軸23a3の油圧シリンダ23aの伸縮方向Yに直交する平面の面積である。
【0064】
また、第2供給室23a2の面積Bは、第1供給室23a1の面積Aからシリンダ軸23a3の面積Cを減算したものと同等になる(面積B=面積A−面積C)。さらに、本実施形態の面積A及び面積Bは、第1及び第2供給室23a1,23a2やシリンダ軸23a3の凹凸などを考慮して定められた値である。
【0065】
図4(a)に示すように、実拡径ストローク量L11は、油圧シリンダ23a,23bが最大に収縮した状態(拡底バケット19が最小径Rminとなった状態(図2(a)参照))から油圧シリンダ23aが最大に伸長した状態(拡底バケット19が最大径Rmaxとなった状態(図2(a)参照))まで伸長した油圧シリンダ23a,23bの伸長量である。
【0066】
また、図4(b)に示すように、実拡径ストローク量L21は、油圧シリンダ23a,23bが最大に伸長した状態(拡底バケット19が最大径Rmaxとなった状態(図2(a)参照))から油圧シリンダ23aが最大に収縮した状態(拡底バケット19が最小径Rminとなった状態(図2(a)参照))まで収縮した油圧シリンダ23a,23bの収縮量である。
【0067】
上述したように、面積Aは、面積Bより面積Cの分だけ大きいので、油圧シリンダ23a,23bが所定量だけ伸縮した場合には、第1供給室23a1,23b1には、第2供給室23b2,23b2より多くの油が供給(排出)される。
【0068】
また、油圧シリンダ23aを実拡径ストローク量L11分移動させるには、理論上、実拡径ストローク量L11に面積Aを乗算した流量の油を第1供給室23a1に供給する必要がある。即ち、本実施形態では、油圧シリンダ23a,23b(図3参照)を2本有しているので、L11×2×Aの流量を第1供給室23a1,23b1に供給した場合に、実拡径ストローク量L11に対応して拡底バケット19(図2(a)参照)の掘削翼22a,22b(図2(a)参照)が拡径される。
【0069】
また、油圧シリンダ23aを実縮径ストローク量L21分移動させるには、理論上、実縮径ストローク量L21に面積Bを乗算した流量の油を第2供給室23a2に供給する必要がある。即ち、油圧シリンダ23a,23bの伸長時と同様に、L21×2×Bの流量を第2供給室23a2,23b2に供給した場合に、実縮径ストローク量L21に対応して拡底バケット19(図2(a)参照)の掘削翼22a,22b(図2(a)参照)が縮径される。
【0070】
以上、説明したように、操作者により切替スイッチ55(図3参照)が操作されて、電磁ソレノイド34(図3参照)がオン/オフされると、パイロットソレノイド35(図3参照)が切り替わり、油圧シリンダ23a,23bに油が供給される。その結果、油圧シリンダ23a,23bが伸縮動作して、拡底バケット19(図2(a)参照)の掘削翼22a,22b(図2(a)参照)が拡径動作または縮径動作する。
【0071】
次に、図5を参照して、ロータリージョイント20よりケリーバ駆動装置16側に第2流量検出器74及び第1流量検出器73や回転方向検出器41を設けた状態で、拡底バケット19の掘削翼22a,22bの開度を正確に検出する方法について説明する。
【0072】
図5は、油圧シリンダ23a,23bが伸縮する場合に第2流量検出器74及び第1流量検出器73により検出された流量から油圧シリンダ23a,23bに実際に供給される流量を算出するための係数を設定する設定方法を示したフローチャートであり、図5(a)は、油圧シリンダ23a,23bが伸長する場合の伸長側係数αの設定方法を示したフローチャートであり、図5(b)は、油圧シリンダ23a,23bが収縮する場合の収縮側係数βの設定方法を示したフローチャートである。
【0073】
図5(a)に示すように、伸長側係数αの設定は、まず、拡底バケット19の掘削翼22a,22b(図2(a)参照)が最小径Rmin(図2(a)参照)の状態で、切替スイッチ55を拡径側に切り替えて、拡底バケット19を最大径Rmaxまで拡径動作させる(S1)。
【0074】
そして、拡底バケット19が最大径Rmaxまで拡径した場合に、第2流量検出器74により検出された値から第2検出流量Q2を算出する(S2)。第2検出流量Q2の算出は、第2流量検出器74から入力される1パルスに対応した流量を、第2流量検出器74から入力されるパルス数に乗算して算出することができる。
【0075】
そして、拡底バケット19(図2(a)参照)が最大径Rmaxまで拡径動作した場合に、油圧シリンダ23a,23bが実際に移動した実拡径ストローク量L11を検出(測定)し、その実拡径ストローク量L11と、油圧シリンダ23a,23bの第2供給室23a2,23b2の面積B(図4参照)とから拡径側排出流量Q21を算出する(S3)。拡径側排出流量Q21は、油圧シリンダ23a,23bが2つあるので、面積Bの2倍の値に実拡径ストローク量L11を乗算して算出することができる(Q21=2×B×L11)。
【0076】
そして、S2で算出した第2検出流量Q2と、S3で算出した拡径側排出流量Q21とから伸長側係数αを算出する(S4)。伸長側係数αは、第2検出流量Q2と、拡径側排出流量Q21との比率であり、拡径側排出流量Q21を第2検出流量Q2で除算して算出することができる(α=Q21/Q2)。
【0077】
図5(b)に示すように、収縮側係数βの設定は、まず、拡底バケット19の掘削翼22a,22b(図2(a)参照)が最大径Rmax(図2(a)参照)の状態で、切替スイッチ55を縮径側に切り替えて、拡底バケット19を最小径Rminまで縮径動作させる(S11)。
【0078】
そして、拡底バケット19が最小径Rminまで縮径した場合に、第1流量検出器73により検出された値から第1検出流量Q1を算出する(S12)。第1検出流量Q1の算出は、第2検出流量Q2の算出と同様に、第1流量検出器73から入力されるパルス数に所定の流量を乗算して算出することができる。
【0079】
そして、拡底バケット19(図2(a)参照)が最小径Rminまで縮径動作した場合に、油圧シリンダ23a,23bが実際に移動した実縮径ストローク量L21を検出(測定)し、その実縮径ストローク量L21と、油圧シリンダ23a,23bの第1供給室23a1,23b1の面積Aとから縮径側排出流量Q11を算出する(S13)。縮径側排出流量Q11は、面積Aの2倍の値に実縮径ストローク量L21を乗算して算出することができる(Q11=2×A×L21)。
【0080】
そして、S12で算出した第1検出流量Q1と、S13で算出した縮径側排出流量Q11とから収縮側係数βを算出する(S14)。収縮側係数βは、第1検出流量Q1と、縮径側排出流量Q11との比率であり、縮径側排出流量Q11を第1検出流量Q1で除算して算出することができる(β=Q11/Q1)。
【0081】
以上のように、伸長側係数α及び収縮側係数βは、ロータリージョイント20よりケリーバ駆動装置16側に設けられた第2流量検出器74及び第1流量検出器73により実際に検出された第2検出流量Q2及び第1検出流量Q1と、ロータリージョイント20より拡底バケット19側に設けられた油圧シリンダ23a,23bが実際に移動した実拡径ストローク量L11,実縮径ストローク量L21とから算出されるので、ロータリージョイント20から漏れ出す油のリーク量を考慮した値を設定することができる。
【0082】
よって、拡底バケット10の掘削翼22a,22bを拡径動作または縮径動作させた場合に、油圧シリンダ23a,23bが実際に移動した実拡径ストローク量L11,L21を正確に算出することができる。従って、その実拡径ストローク量L11,L21から拡底バケット19の掘削翼22a,22bの開度を正確に把握することができる。
【0083】
なお、伸長側係数αの設定は、S1〜S4までの手順を複数回実行し、その平均値を設定した方が好ましい。また、収縮側係数βの設定は、S11〜S14までの手順を複数回実行し、その平均値を設定した方が好ましい。このように伸長側係数α及び収縮側係数βを複数回の平均値から設定することで、ロータリージョイント20から漏れ出す油のリーク量も平均化することができ、油圧シリンダ23a,23bから排出される流量を正確に算出することができる。
【0084】
さらに、拡底バケット19の掘削翼22a,22bを任意である所定の開度に拡径動作させた場合に算出された伸長側係数αの平均値、及び、拡底バケット19の掘削翼22a,22bを任意である所定の開度に縮径動作させた場合に算出される収縮側係数βの平均値を、伸長側係数α及び収縮側係数βに設定するものとしても良い。
【0085】
即ち、拡底バケット19の掘削翼22a,22bを任意である所定の開度に拡径動作または縮径動作させた伸長側係数αまたは収縮側係数βを、さらに複数回算出し、その平均値を伸長側係数αまたは収縮側係数βに設定すれば、掘削翼22a,22bの所定の開度におけるリーク量に伴う誤差を極力小さくすることができる。
【0086】
なお、本実施形態では、伸長側係数α及び収縮側係数βはアースドリル機1が出荷される前に設定されるが、出荷後にユーザ自身によって設定変更可能に構成するものとしても良い。
【0087】
次に、図6を参照して、演算器51により実行される拡底バケット19の停止処理について説明する。図6は、演算器51により実行される拡底バケット停止処理を示したフローチャートである。
【0088】
図6に示す拡底バケット19の停止処理が実行されると、まず、演算器51は、演算器51のRAM51c(図3参照)に記憶されている目標ストローク量Ltを取得する(S300)。次に、第1流量検出器73(図3参照)により検出された値から第1検出流量Q1を算出する(S301)。そして、S301の処理で算出された第1検出流量Q1と、油圧シリンダ23a,23bの第1供給室23a1,23b1の面積A(図4参照)とから第1ストローク量L1を算出する(S302)。第1ストローク量L1は、第1検出流量Q1を2つの油圧シリンダ23a,23bの面積Aの2倍の値で除算することで算出される(L1=Q1/(2×A))。
【0089】
S302の処理で、第1ストローク量L1が算出されると、次に、第2流量検出器74により検出された値から第2検出流量Q2を算出する(S303)。そして、S303の処理で算出された第2検出流量Q2と、油圧シリンダ23a,23bの第2供給室23a2,23b2の面積B(図4参照)とから第2ストローク量L2を算出する(S304)。第2ストローク量L2は、第2検出流量Q2を2つの油圧シリンダ23a,23bの面積Bの2倍の値で除算することで算出される(L2=Q2/(2×B))。
【0090】
S304の処理で、第2ストローク量L2が算出されると、油が供給されているのが第1供給室23a1,23b1であるかを判断する(S305)。即ち、第1検出流量Q1に基づいて算出された第1ストローク量L1が第2検出流量Q2に基づいて算出された第2ストローク量L2より大きな値であるか否かが判断される。
【0091】
S305の処理では、油の圧力と油圧ホースh15,h16の内径拡大との関係および、ロータリージョイント20からのリーク量と油圧ホースh6,h7の流量との関係から油の流れる方向を検出することができる。
【0092】
ここで、油の圧力と油圧ホースh15,h16の内径拡大との関係、および、ロータリージョイント20からのリーク量と油圧ホースh6,h7の流量との関係に関して説明する。
【0093】
油圧ホースh6,h7は、拡底バケット19の掘削翼22a,22bを動作させる供給側のときは油が供給されるので加圧され、排出側のときは油がタンク31に排出されるので供給側より低い圧力状態となる。そのため、油圧ホースh6,h7に接続される油圧ホースh15,h16の内部の圧力も、供給側が高くなり、排出側が低くなる。
【0094】
油圧ホースh15,h16は、ホースリール17a,17bに巻き付けられるので、剛性を高めることが困難であり、油圧ホースh15,h16の内部の圧力によって内径が拡大し易い。そのため、油圧ホースh15,h16の内径は、供給側(油が供給されている側)が大きくなり、排出側(油が排出されている側)が小さくなる。
【0095】
よって、供給側の油圧ホースh15,h16の流量から算出されるストローク量の方が大きくなり、排出側の油圧ホースh15,h16の流量から算出されるストローク量が小さくなるという第1の関係が成り立つ。
【0096】
また、ロータリージョイント20からの油のリーク量は、ロータリージョイント20に供給される油の圧力が高いほどリーク量が多くなる。そのため、供給側からの漏れ量が多く、排出側からのリーク量が少なくなる。よって、供給側の油圧ホースh6又は油圧ホースh7の流量が大きくなり、排出側の油圧ホースh7又は油圧ホースh6の流量が小さくなる。
【0097】
その結果、供給側の油圧ホースh6又は油圧ホースh7の流量から算出されるストローク量が大きくなり、排出側の油圧ホースh7又は油圧ホースh6の流量から算出されるストローク量が小さくなるという第2の関係が成り立つ。
【0098】
S305の処理で、第1ストローク量L1が第2ストローク量L2より大きいと判断されると(S305:Yes)、上記第1の関係および第2の関係から油の流れる方向が検出され油圧ホースh6が加圧状態であると判断される。即ち、縮径動作であると判断される。そして、油圧ホースh7が油圧ホースh6に対して低圧となるので、S302の処理で算出された第2ストローク量L2から補正拡径ストローク量Lx2を算出する(S306)。
【0099】
なお、第2ストローク量L2は、低圧状態である油圧ホースh7を流れる第2検出流量Q2から算出された値であるので、油圧ホースh7に接続される油圧ホースh16の内径の拡大による流量誤差の影響と、ロータリージョイント20からのリーク量の影響とを受け難く、実用上においては、実拡径ストローク量L11として使用することもできる。
【0100】
補正拡径ストローク量Lx2は、第2ストローク量L2に伸長側係数αを乗算して算出される(Lx2=α×L2)。伸長側係数αは、油圧シリンダ23a,23bが伸長する場合におけるロータリージョイント20(図3参照)から漏れ出す油のリーク量に基づいて設定される値である。本実施形態では、非加圧状態の油圧ホースの流量から算出されたストローク量に伸長側係数αを乗算する。
【0101】
よって、ロータリージョイント20からのリーク量の影響を回避するように補正することができる。また、加えて、第2供給室23a2,23b2の容積のばらつきにより発生する、第2検出流量Q2に基づいて算出される第2ストローク量L2の実拡径ストローク量L11に対するずれを補正することができる。
【0102】
S306の処理で、補正拡径ストローク量Lx2が算出されると、その算出された補正拡径ストローク量Lx2を比較用拡径ストローク量Lmとして演算器51の図示しないRAMに記憶し(S307)、補正拡径ストローク量Lx2が目標ストローク量Lt以上であるか否かが判断される(S308)。
【0103】
S308の処理で、補正拡径ストローク量Lx2が目標ストローク量Ltより小さいと判断されると(S308:No)、第2流量検出器74及び第1流量検出器73からの信号の入力が所定時間以上ないか否かを判断する(S309)。
【0104】
S309の処理で、第2流量検出器74及び第1流量検出器73からの信号の入力が所定時間以上ないと判断されると(S309:Yes)、そのまま、本処理を終了する。一方、S309の処理で、第2流量検出器74及び第1流量検出器73(図3参照)からの信号の入力が所定時間以内であれば(S309:No)、拡底バケット19(図2(a)参照)の掘削翼22a,22b(図2(a)参照)の拡径動作が継続中であると判断し、S301の処理へ移行して、第2流量検出器74及び第1流量検出器73から新たに入力されたパルス数に基づき第1ストローク量L1及び第2ストローク量L2を算出する。
【0105】
一方、S308の処理で、補正拡径ストローク量Lx2が目標ストローク量Lt以上であると判断されると(S308:Yes)、拡底バケット19(図2(a)参照)が標ストローク量Lt以上となったことになるので、拡径動作を停止するために、リレー52(図3参照)をオンする指示を出力し、リレー52(図3参照)をランプ53及びブザー54(図3参照)側に切り替え(S310)、その後、本処理を終了する。
【0106】
また、S305の処理で、第1検出流量Q1に基づいて算出された第1ストローク量L1が第2検出流量Q2に基づいて算出された第2ストローク量L2より小さいと判断されると(S305:No)、油圧ホースh7(図3参照)が加圧状態となるので、縮径動作であると判断され、油圧ホースh6が油圧ホースh7に対して低圧となるので、S304の処理で算出された第1ストローク量L1から補正縮径ストローク量Lx1を算出する(S311)。
【0107】
なお、第1ストローク量L1は、低圧状態である油圧ホースh6を流れる第1検出流量Q1から算出された値であるので、油圧ホースh6に接続される油圧ホースh15の内径の拡大による流量誤差の影響と、ロータリージョイント20からのリーク量の影響とを受け難く、実用上においては、実縮径ストローク量L21として使用することもできる。
【0108】
補正縮径ストローク量Lx1は、第1ストローク量L1に収縮側係数βを乗算して算出される(Lx1=β×L1)。収縮側係数βは、油圧シリンダ23a,23bが短縮する場合におけるロータリージョイント20(図3参照)から漏れ出す油のリーク量に基づいて設定される値である。本実施形態では、非加圧状態の油圧ホースの流量から算出されたストローク量に収縮側係数βを乗算する。
【0109】
よって、ロータリージョイント20からのリーク量の影響を回避するように補正することができる。また、加えて、第1供給室23a1,23b1の容積のばらつき(設計値に対する製品の製造ばらつき)により発生する第1ストローク量L1の実拡径ストローク量L11に対するばらつき及び、第2供給室23a2,23b2の容積のずれにより発生する第2ストローク量L2の実縮径ストローク量L21に対するばらつきを補正することができる。
【0110】
S311の処理で、補正縮径ストローク量Lx1が算出されると、演算器51のRAM51cに記憶されている比較用拡径ストローク量Lmが読み出され(S312)、補正縮径ストローク量Lx1が比較用拡径ストローク量Lm以上でるか否かが判断される(S313)。
【0111】
S313の処理で、補正縮径ストローク量Lx1が比較用拡径ストローク量Lmより小さいと判断された場合(S313:No)、補正縮径ストローク量Lx1が目標ストローク量Lt以上であるか否かが判断され(S314)、補正縮径ストローク量Lx1が目標ストローク量Ltより小さいと判断された場合(S314:No)、S301の処理へ戻る。これは、拡底バケット19(図2(a)参照)の掘削翼22a,22b(図2(a)参照)が縮径動作をしたが、未だ最小径Rminに達していないからである。
【0112】
一方、S313の処理で、実ストローク量Lxが比較用拡径ストローク量Lm以上であると判断された場合(S313:Yes)、又は、S314の処理で、補正縮径ストローク量Lx1が目標ストローク量Lt以上であると判断された場合には(S314:Yes)、拡底バケット19(図2(a)参照)の掘削翼22a,22b(図2(a)参照)が最小径Rminに達したということなので、縮径動作を停止するために、リレー52をオンする指示を出力し、リレー52(図3参照)をランプ53及びブザー54(図3参照)側に切り替え(S310)、その後、本処理を終了する。
【0113】
なお、ユーザによって、拡底バケット19の縮径動作時の開度に相当する径が最小径Rminに達する前に拡底バケット19が停止するように設定された場合には、S314の処理がNoとなった後に、S309の処理と同様の処理を行うものとしても良い。この構成では、第2流量検出器74及び第1流量検出器73からの入力が所定時間以上なければ、そのまま本処理を終了し、第2流量検出器74及び第1流量検出器73からの入力が所定時間以内にあれば、S301の処理へ移行する。
【0114】
以上、説明したように、油圧ホースh15,h16は、ホースリール17a,17bに巻き付けられるので、剛性を高めることが困難であり、油圧ホースh15,h16の内部の圧力によって内径が拡大し易い。そのため、油圧ホースh15,h16の内径は、内部の圧力に応じて拡大する。よって、拡大した分は、第1流量検出器73及び第2流量検出器74にて検出することができないので、拡底バケット19の拡大径の検出精度が悪化する。
【0115】
ここで、第1実施の形態では、S305の処理において、油圧ホースh7の内圧が油圧ホースh6の内圧に対して低圧である場合に、油圧ホースh7を流れる油の流量に基づいて油圧シリンダ23a,23bの収縮量が算出されるので、油圧ホースh7に油圧ホースh14を介して接続される油圧ホースh16の内部容積の変化の影響を小さくすることができる。
【0116】
よって、第2供給室23a2から排出される油量と油圧ホースh7を流れる油の流量との差を小さくして、第1流量検出器73にて検出される油の流量の検出精度が向上される。その結果、油圧シリンダ23a,23bの収縮量の検出精度が向上されるので、拡底バケット19の拡大径の検出精度を向上させることができる。
【0117】
同様に、油圧ホースh6の内圧が油圧ホースh7の内圧に対して低圧である場合に、油圧ホースh6を流れる油の流量に基づいて油圧シリンダ23a,23bの伸長量が算出されるので、油圧ホースh6に油圧ホースh13を介して接続される油圧ホースh15の内部容積の変化の影響を小さくすることができる。
【0118】
よって、第2供給室23a2から排出される油量と油圧ホースh6を流れる油の流量との差を小さくして、第1流量検出器73にて検出される油の流量の検出精度が向上される。その結果、油圧シリンダ23a,23bの伸長量の検出精度が向上されるので、拡底バケット19の拡大径の検出精度を向上させることができる。
【0119】
また、第1実施の形態では、油圧ホースh7の内圧が油圧ホースh6の内圧に対して低圧である場合に、油圧ホースh7を流れる油の流量に基づいて油圧シリンダ23a,23bの収縮量が算出され、油圧ホースh6の内圧が油圧ホースh7の内圧に対して低圧である場合に、油圧ホースh6を流れる油の流量に基づいて油圧シリンダ23a,23bの伸長量が算出される。
【0120】
そのため、油圧シリンダ23a,23bが伸長する場合に検出される油の圧力と、油圧シリンダ23a,23bが収縮する場合に検出される油の圧力との差を小さくすることができるので、検出する油の圧力の違いにより生じる第1流量検出器73自体の検出流量のばらつき及び第2流量検出器74自体の検出流量のばらつきを小さくすることができる。
【0121】
よって、油圧シリンダ23a,23bの伸長量および油圧シリンダ23a,23bの収縮量の検出精度が向上されるので、油圧シリンダ23a,23bが伸縮することにより生じる油圧シリンダ23a,23bの伸縮量のずれを防止することができる。その結果、拡底バケット19の拡大径の検出精度を向上させることができる。
【0122】
また、油圧シリンダ23a,23bから流れ出す油の流量を測定して拡底バケット19の拡大径を検出するので、拡底バケット19に油圧シリンダ23a,23bが実際に移動する実移動量測定するポテンシオメータなどのセンサを設ける必要が無い。その結果、拡底バケット近傍の重量が増し不安定となることを防止すると共にセンサに泥水が浸入して破損や誤検出することを防止することができる。
【0123】
また、例えば、流量検出装置を1個だけ備える構成の場合、油圧ホースh6及び油圧ホースh7の内、内圧が低圧であるホース部材に流れる油の流量を検出するために、油圧ホースh6及び油圧ホースh7の接続を繋ぎ変える切替弁を有する切り替え装置を備える必要がある。
【0124】
ここで、第1実施の形態では、第1流量検出器73と第2流量検出器74との2個の流量検出装置を備えているので、切り替え装置を備える必要なく切り替え装置の切替弁からのリークの影響を回避することができる。よって、油圧シリンダ23a,23bの伸縮量の検出精度が向上され、拡底バケット19の拡大径の検出精度を向上させることができる。
【0125】
また、切り替え装置を不要とすることができるので、アースドリル機1の簡素化を図ると共に油流路の可動部品を減らすことで、故障の可能性を低減して、アースドリル機1の信頼性の向上を図ることができる。
【0126】
また、2つの第1流量検出器73及び第2流量検出器74により検出される第1検出流量Q1及び第2検出流量Q2から、油圧ホースh6,h7を流れる油の方向を判断することができるので、油の方向を検出するための回転方向検出器や圧力検出器を設ける必要がなく、コスト低減を図ることができる。
【0127】
次に、図7を参照して、第2実施の形態におけるアースドリル機200について説明する。前述した第1実施の形態におけるアースドリル機1は、ロータリージョイント20よりタンク31側(ケリーバ駆動装置16側)の油圧ホースh6,h7に第2流量検出器74及び第1流量検出器73をそれぞれ設け、その第2流量検出器74及び第1流量検出器73からの信号を直接演算器51に入力するものとした。
【0128】
これに代えて、第2実施形態のアースドリル機200は、ロータリージョイント20より拡底バケット19側の油圧ホースh13,h14に流量検出器73,74をそれぞれ設け、その流量検出器73,74からの信号を無線通信システムにより演算器51に入力するものとした。
【0129】
また、前述した第1実施の形態におけるアースドリル機1は、リレー52にて切替スイッチ55を電源装置56から遮断するように構成し、リレー52がランプ53およびブザー54を作動する側(図8下側)に切り替わると電磁ソレノイド34への電源の供給を停止して掘削翼22a,22b(図2(a)参照)の拡径動作または縮径動作を停止するものとした。
【0130】
これに代えて、第2実施形態のアースドリル機200は、切替スイッチ55を電気的にリレー52から切り離し、別途、切替スイッチ55の専用の電源である電源装置256を備えるものとした。なお、第1実施形態と同一部分には、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0131】
図7は、第2実施形態のアースドリル機200の油圧回路および電気回路を示した回路図である。
【0132】
図7に示すように、第2実施形態の油圧回路には、ロータリージョイント20とホースリール17aとの間であって、拡底バケット19の掘削翼22a,22bを拡径する場合に油圧シリンダ23a,23bの第1供給室23a1,23b1に油を供給する油圧ホースh13に油圧モータ71が設けられ、拡底バケット19の掘削翼22a,22bを縮径する場合に油圧シリンダ23a,23bの第2供給室23a2,23b2に油を供給する油圧ホースh14に油圧モータ72が設けられている。
【0133】
なお、油圧ホースh13,h14は、ロータリージョイント20とスイベルジョイント42a,42bとの間を接続する油圧ホースであり、ホースリール17a,17bにより巻き取り又は巻き出しが行われない。
【0134】
油圧モータ71には、第1流量検出器73が取り付けられ、油圧モータ72には、第2流量検出器74が取り付けられている。そして、第1流量検出器73及び第2流量検出器74は、ホースリール台18上に設けられた送信機81に電気的に接続されている。また、演算器51には、受信機82が接続されている。よって、第1流量検出器73及び第2流量検出器74からの信号は、送信機81及び受信機82を介して、演算器51に入力される。
【0135】
ロータリージョイント20は、拡低バケット19を回動させるために、回動可能に接続された内筒と外筒とによって構成されており、その内筒と外筒との摺動によって拡低バケット19は回動可能とされている。そのため、その内筒と外筒との隙間から油が漏れだしてくる。
【0136】
よって、第1実施の形態では、ロータリージョイント20から漏れ出す油による検出精度の悪化を防止するために、第2流量検出器74にて検出された第2検出流量Q2または第1流量検出器73にて検出された第1検出流量Q1に係数を掛けて漏れた油の分も補正する必要があった。しかしながら、ロータリージョイント20から漏れ出す油の量は、係数を設定したときの状態と実際に使用される状態とで異なる。例えば、温度変化に伴う油の粘性変改や油圧ホースh6,h7の内圧の変化によって漏れ出す油の量は変化する。そのため、係数を掛けても検出精度の向上が十分ではなかった。
【0137】
また、第2流量検出器74及び第1流量検出器73から出力されるパルス数の信号を送信機81及び受信機82を介して、演算器51に入力する構成としたので、拡底バケット19の回動によって信号線が絡まることなく演算器51に信号を入力することができる。
【0138】
また、切替スイッチ55の電源を電源装置256から直接供給する構成としたので、リレー52の動作に連動して掘削翼22a,22bの拡径動作または縮径動作が停止されることを防止することができる。よって、掘削翼22a,22bを拡径動作または縮径動作させる油圧シリンダ23a,23bのストローク量である第1ストローク量L1または第2ストローク量L2が目標ストローク量Ltと同等のストローク量となった後でも、掘削翼22a,22bの拡径動作または縮径動作を継続させることができる。そのため、操作者の意志で掘削翼22a,22bの拡大径を微調整することができる。
【0139】
ここで、上記各実施の形態において、請求項1の判断手段としては図6のS305の処理が該当し、請求項1の算出手段としては図6のS306の処理および図6のS311の処理が該当する。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明の第1実施の形態におけるアースドリル機の側面図である。
【図2】(a)は、拡底バケットの底面図であり、(b)は、図2(a)の矢印IIb視における拡底バケットが拡径した状態を示した側面図であり、(c)は、図2(a)の矢印IIc視における拡底バケットが縮径した状態を示した側面図である。
【図3】図アースドリル機の油圧回路および電気回路を示した回路図である。
【図4】(a)は、油圧シリンダの収縮時の状態から油圧シリンダ23aの伸長時の状態への移行を示した図であり、(b)は、油圧シリンダ2の伸長時の状態から油圧シリンダの収縮時の状態への移行を示した図である。
【図5】(a)は、油圧シリンダが伸長する場合の伸長側係数αの設定方法を示したフローチャートであり、(b)は、油圧シリンダが収縮する場合の収縮側係数βの設定方法を示したフローチャートである。
【図6】演算器により実行される拡底バケット停止処理を示したフローチャートである。
【図7】第2実施形態のアースドリル機の油圧回路および電気回路を示した回路図である。
【符号の説明】
【0141】
1,200 アースドリル機(アースドリル)
11 下部本体(本体の一部)
12 上部旋回体(本体の一部)
19 拡底バケット
20 ロータリージョイント
22a,22b 掘削翼
23a,23b 油圧シリンダ(シリンダ)
23a1,23b1 第1供給室
23a2,23b2 第2供給室
23a3,23b3 シンリンダ軸(シリンダの一部)
23a4,23b4 ピストン(シリンダの一部)
24 ベース(拡底バケットの一部)
33a,33b 油圧ポンプ(送出装置)
71 油圧モータ(第1流量検出装置の一部)
72 油圧モータ(第2流量検出装置の一部)
73 第1流量検出器(第1流量検出装置の一部)
74 第2流量検出器(第2流量検出装置の一部)
Q1 第1検出流量(第1流量検出装置により検出された油の流量)
Q2 第2検出流量(第2流量検出装置により検出された油の流量)
Q11 縮径側排出流量(油の供給先が第2供給室であると判断された場合に第1ホース部材を流れる油の流量)
Q21 拡径側排出流量(油の供給先が第1供給室であると判断された場合に第2ホース部材を流れる油の流量)
h1,h2,h3,h4,h5 油圧ホース(ホース部材)
h6,h7 油圧ホース(ホース部材、第1ホース部材、第2ホース部材、拡底バケット側に位置する第1ホース部材の一部、拡底バケット側に位置する第2ホース部材の一部)
h13,h14,h15,h16 油圧ホース(ホース部材、拡底バケット側に位置する第1ホース部材、拡底バケット側に位置する第2ホース部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油を送出して油圧を発生させる送出装置が設けられた本体と、その本体から吊り下げられて掘削作業を行なう拡底バケットと、その拡底バケットの掘削翼を拡径または縮径させるシリンダと、そのシリンダと前記送出装置との間で油の流れる流路を形成するホース部材とを備え、前記シリンダが、前記拡底バケットの掘削翼を拡径動作させる場合に前記送出装置から油が供給される第1供給室と前記拡底バケットの掘削翼を縮径動作させる場合に前記送出装置から油が供給される第2供給室とを備えると共に、前記ホース部材が、前記第1供給室に前記送出装置を接続する第1ホース部材と前記第2供給室に前記送出装置を接続する第2ホース部材とを備えて構成されるアースドリルにおいて、
前記送出装置から前記シリンダに油が供給される場合に油の供給先が前記第1供給室であるか又は前記第2供給室であるかを判断する判断手段と、
その判断手段によって油の供給先が前記第1供給室であると判断された場合に前記第2ホース部材を流れる油の流量に基づいて前記シリンダの伸縮量を算出し、前記判断手段によって油の供給先が前記第2供給室であると判断された場合に前記第1ホース部材を流れる油の流量に基づいて前記シリンダの伸縮量を算出する算出手段とを備えていることを特徴とするアースドリル。
【請求項2】
前記第1ホース部材に取着され、その第1ホース部材を流れる油の流量を検出する第1流量検出装置と、
前記第2ホース部材に取着され、その第2ホース部材を流れる油の流量を検出する第2流量検出装置とを備えていることを特徴とする請求項1記載のアースドリル。
【請求項3】
前記送出装置側に位置する前記第1ホース部材と前記拡底バケット側に位置する前記第1ホース部材とを回動可能状態にて連通させると共に、前記送出装置側に位置する前記第2ホース部材と前記拡底バケット側に位置する前記第2ホース部材とを回動可能状態にて連通させるロータリージョイントを備え、
前記第1流量検出装置は、前記拡底バケット側に位置する前記第1ホース部材に流れる油の流量を検出し、
前記第2流量検出装置は、前記拡底バケット側に位置する前記第2ホース部材に流れる油の流量を検出することを特徴とする請求項2記載のアースドリル。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−150195(P2009−150195A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−331252(P2007−331252)
【出願日】平成19年12月24日(2007.12.24)
【出願人】(000150615)株式会社長谷工コーポレーション (94)
【出願人】(501187295)日興基礎株式会社 (3)
【出願人】(390027856)大亜ソイル株式会社 (6)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
【Fターム(参考)】