説明

イソシアネートモノマー含有量の低いポリウレタン組成物を生成するための方法

本発明は、イソシアネートモノマー含有量の低いポリウレタン組成物を生成するための方法に関する。前記方法において、イソシアネート基を含む少なくとも1種のポリウレタンポリマーが、少なくとも1種の化合物VBと反応し、化合物VBは、活性水素を保持し、ヒドロキシル基またはメルカプト基または第二級アミノ基および、式(Ia)または(Ib)のアルジミノ基、ケチミノ基、エナミノ基およびオキサゾリジノ基からなる群から選択される少なくとも1つのブロックされたアミノ基を表す基を含む。前記方法を用いれば、モノマージイソシアネート含有量の極めて低い組成物が、費用効果の高い、効率的な、洗練された方法で得られ、前記組成物はホットメルト接着剤として特に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソシアネート基を有するポリウレタン組成物の分野、特にイソシアネート基を有し、モノマーのジイソシアネートの含有量が低いポリウレタン組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーを使用する際に生じる問題は、モノマージイソシアネートの残留量の問題である。可能な反応生成物がランダムに分布していることから、ポリウレタンポリマーを得るためのポリオールとジイソシアネートとの反応またはジイソシアネートオリゴマーの調製により、反応生成物中には、多かれ少なかれある残留含有量の未反応のモノマージイソシアネートが常に残る。これらのモノマージイソシアネートは「イソシアネートモノマー」とも略称されるが、揮発性化合物であり、その刺激性、アレルギー誘発性および/または毒作用のため、有害となり得る。したがって多くの使用分野においてこれらは望ましくない。これは、スプレー用途および熱いうちに処理される組成物、例えばホットメルト接着剤に関して特に当てはまる。
【0003】
イソシアネート基を有するポリウレタンポリマー中のモノマージイソシアネートの割合を低下させる様々な方法が記載されてきた。例えばモノマージイソシアネートは、部分的にまたは完全に、例えば国際公開第01/014443A1号で開示されている通り、例えば抽出または蒸留によりイソシアネート基を有するポリウレタンポリマーから続いて取り除くことができるが、これは複雑であり、したがって費用がかかる。イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーの調製においてNCO/OH比が低いと、直接的にイソシアネートモノマー含有量は比較的低いものになるが、このようにして調製されたポリマーは、オリゴマー化反応(「鎖延長」)により、粘度が増加し、したがって一般的に処理がより困難となり、貯蔵安定性が低くなる。例えば国際公開第03/006521Al号に記載されている通り、反応性が異なる2つのイソシアネート基を有する不斉のジイソシアネートを使用すると、同様に、直接的にモノマージイソシアネート含有量は比較的低いものとなる。しかし、このようにして入手可能な、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーは、一般的に架橋が遅い。これは、2つのイソシアネート基のうちの反応性の低い方しか主に架橋反応に利用できないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第01/014443A1号
【特許文献2】国際公開第03/006521Al号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Houben-Weyl、「Methoden der organischen Chemie」[有機化学の方法]、Vol.XI/2、73頁以降
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって本発明の目的は、イソシアネート基を有し、モノマージイソシアネート含有量の低いポリウレタンポリマーを調製するための方法を提供することであり、この方法により従来技術の問題を克服することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、請求項1に記載の方法が、上記目的を達成できることが判明した。この方法は、極めて効率がよく、費用がかからず、加えてモノマーの2つの官能基が失われないので、これらモノマーは、ポリウレタンポリマーが架橋することにより形成される高分子量ポリマーに有利に取り込めるという利点を備えている。
【0008】
この方法を用いて、有利な粘度を有し、貯蔵安定性があり、硬化が遅くない組成物を形成することができる。このような組成物は、請求項19の対象事項である。このような組成物は、高いイソシアネートモノマー含有量が不利な用途、例えばスプレー用途または熱いうちに処理される組成物、例えばホットメルト接着剤などの用途に特に適している。
【0009】
本発明のさらなる態様は、請求項20に記載の接着結合の方法、請求項21に記載のシーリングの方法、請求項22に記載のコーティングの方法、およびこれらの方法から生成される、請求項25に記載の製品に関する。
【0010】
本発明の特に好ましい実施形態は、従属クレームの対象事項である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、モノマージイソシアネート含有量の低いポリウレタン組成物を調製するための方法を提供する。本方法において、
a)イソシアネート基を有する少なくとも1種のポリウレタンポリマーPUPが、
b)少なくとも1種の化合物VBと反応し、
この化合物VBが、
i)活性水素を保持し、ヒドロキシル基またはメルカプト基または第2のアミノ基である基と、
ii)式(Ia)または(Ib)のアルジミノ基、ケチミノ基、エナミノ基およびオキサゾリジノ基からなる群から選択される、少なくとも1つのキャップされたアミノ基と
【0012】
【化1】

【0013】
(式(Ia)中、Z1およびZ2は、
それぞれ独立して水素原子もしくは1〜12個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であるか、
または、一緒になって、4〜20個の炭素原子を有し、5〜8個、好ましくは6個の炭素原子を有する、場合によって置換されている炭素環の一部分である二価の炭化水素基であり、
Z3は、
水素原子であるか、
または、分枝状もしくは非分枝状のアルキル基、シクロアルキル基、アルキレン基もしくはシクロアルキレン基であるか、
または、置換もしくは非置換の、アリール基もしくはアリールアルキル基であるか、
または、式O-R2もしくは以下の基
【0014】
【化2】

【0015】
(式中、R2は、アリール基、アリールアルキル基またはアルキル基であり、いずれの場合も置換または非置換である)であるか、
または、式(II)の基
【0016】
【化3】

【0017】
(式(II)中、
R3は、水素原子またはアルキル基もしくはアリールアルキル基、特に1〜12個の炭素原子、好ましくは水素原子を有し、
R4は、1〜30個の炭素原子を有する炭化水素基であり、エーテル酸素原子を場合によって含有するか、
または、以下の基
【0018】
【化4】

【0019】
(式中、R5は、水素原子または1〜5個の炭素原子を有する炭化水素基である)である)である)および
(式(Ib)中、
Z4は、5〜8、好ましくは6原子の環サイズを有する置換または非置換のアリール基またはヘテロアリール基であるか、
または、以下
【0020】
【化5】

【0021】
(式中、R6は、
水素原子であるか、もしくはアルコキシ基である)であるか、
または少なくとも6個の炭素原子を有する、置換もしくは非置換のアルケニル基もしくはアリールアルケニル基である)
の両方を有することを特徴とする。
【0022】
ただし、この場合ポリウレタンポリマーPUPのイソシアネート基と、キャップされたアミノ基、および活性水素を保持する化合物VBの基の合計との比が、1以上の値である。
【0023】
本文書中の式における点線は、いずれの場合も置換基とその対応する分子基との間の結合を表す。
【0024】
本文書において「ポリマー」という用語は、第1に、化学的に均質ではあるが、重合度、モル質量および鎖長に関しては異なる巨大分子の集団を包含し、この集団は、ポリ反応(poly reaction)(重合、重付加、重縮合)により調製される。この用語は、第2に、ポリ反応から得た巨大分子のこのような集団の誘導体、すなわち、所与の巨大分子上の官能基の反応、例えば付加または置換などから得た化合物もまた包含し、これらの化合物は、化学的に均質または化学的に不均質であってよい。この用語はまた、プレポリマーとして知られているもの、すなわち官能基が巨大分子の形成に関与している、反応性オリゴマーの予備的な付加反応物をさらに含む。
【0025】
「ポリウレタンポリマー」という用語は、ジイソシアネート重付加方法として知られている方法により調製したすべてのポリマーを包含する。これは、実質的または完全にウレタン基を含まないポリマーも含む。ポリウレタンポリマーの例は、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレア、ポリウレア、ポリエステルポリウレア、ポリイソシアヌレートおよびポリカルボジイミドである。
【0026】
本文書において、「活性水素」という用語は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子に結合した脱プロトン化可能な水素原子を指す。
【0027】
本テキストにおいて、「キャップされたアミノ基」または「潜在性アミン」は、いかなる違いもなしに、脂肪族の第一級および/または第二級のアミノ基を有するアミン誘導体を意味すると理解されており、この誘導体は、遊離してはいるが独占的にキャップされたアミノ基を含有せず、その結果少なくともある特定の時間の間、イソシアネートと直接反応しない。水との接触によって、潜在性アミンであるキャップされたアミノ基は、完全または部分的に加水分解され、次いでこの加水分解されたアミノ基は、イソシアネートと反応し始める。イソシアネート基を含有するポリウレタンポリマーの場合、このような反応から架橋が起こる。
【0028】
本文書において「第一級アミノ基」という用語は、有機基に結合したNH2基を指す一方、「第二級アミノ基」という用語は、一緒になって環の一部となってもよい2つの有機基に結合したNH基を指し、「第三級アミノ基」または「第三級アミン窒素」という用語は、3つの有機基(これらの基のうちの2つが一緒になって環の一部となってもよい)に結合している窒素原子を指す。
【0029】
「脂肪族アミノ基」は、脂肪族、脂環式またはアリール脂肪族の基に結合しているアミノ基を指す。したがってこれは、例えばアニリンまたは2-アミノピリジンの場合のような、芳香族またはヘテロ芳香族基と直接結合した「芳香族アミノ基」とは異なる。
【0030】
記載される方法において、イソシアネート基を有する少なくとも1種のポリウレタンポリマーPUPが使用される。
【0031】
イソシアネート基を有する適切なポリウレタンポリマーPUPは、少なくとも1種のポリオールと少なくとも1種のポリイソシアネートとの反応から得ることができる。
【0032】
ポリウレタンポリマーPUPの調製に使用されるポリオールは、例えば以下の市販のポリオールまたはこれらの混合物であってよい。
-ポリエーテルポリオール、これはポリオキシアルキレンポリオールまたはオリゴエーテロールとしても知られており、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-または2,3-ブチレンオキシド、オキセタン、テトラヒドロフランまたはこれらの混合物の重合生成物であり、2個以上の活性水素原子を有する出発分子、例えば水、アンモニアまたは複数のOH基またはNH基を有する化合物、例えば1,2-エタンジオール、1,2-および1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール異性体およびトリプロピレングリコール異性体、ブタンジオール異性体、ペンタンジオール異性体、ヘキサンジオール異性体、ヘプタンジオール異性体、オクタンジオール異性体、ノナンジオール異性体、デカンジオール異性体、ウンデカンジオール異性体、1,3-および1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素化されたビスフェノールA、1,1,1-トリメチルオールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、アニリン、ならびに上述の化合物の混合物の補助によって、場合により重合される。不飽和度が低く(ASTM D-2849-69に準拠して測定され、ポリオール(meq/g)1グラム当たりのミリ当量不飽和度で報告される)、例えば複金属シアン化物錯体触媒(DMC触媒)の補助により調製されるポリオキシアルキレンポリオール、または不飽和度が高く、例えばNaOH、KOH、CsOHまたはアルカリ金属アルコキシドなどのアニオン系触媒の補助により調製されるポリオキシアルキレンポリオールのいずれかを使用することが可能である。
【0033】
特に適切なポリエーテルポリオールは、ポリオキシアルキレンジオールおよびポリオキシアルキレントリオール、特にポリオキシアルキレンジオールである。特に適切なポリオキシアルキレンジオールおよびポリオキシアルキレントリオールは、ポリオキシエチレンジオールおよびポリオキシエチレントリオール、ならびにポリオキシプロピレンジオールおよびポリオキシプロピレントリオールである。
【0034】
特に適切なポリオキシプロピレンジオールおよびポリオキシプロピレントリオールは、0.02meq/g未満の不飽和度と、1000〜30000g/molの範囲の分子量とを有し、さらにポリオキシプロピレンジオールおよびポリオキシプロピレントリオールは、400〜8000g/molの分子量を有する。本文書において、「分子量」または「モル質量」は、分子量平均Mnを意味すると常に理解される。特に適切なものは、0.02meq/g未満の不飽和度と、1000〜12000の範囲、特に1000〜8000g/molの間の分子量とを有するポリオキシプロピレンジオールである。このようなポリエーテルポリオールは、例えばBayerからAcclaim(登録商標)という商品名で販売されている。
【0035】
同様に特に適切であるのは、いわゆる「EOで末端キャップされた」(エチレンオキシドで末端キャップされた)ポリオキシプロピレンジオールおよびポリオキシプロピレントリオールである。後者は、例えば、ポリプロポキシル化の完了時に、純粋なポリオキシプロピレンポリオールをエチレンオキシドでアルコキシル化することによって得られ、その結果第一級ヒドロキシル基を有する特定のポリオキシプロピレンポリオキシエチレンポリオールである。
-スチレン-アクリロニトリルまたはアクリロニトリル-メチルメタクリレートをグラフトしたポリエーテルポリオール。
-ポリエステルポリオール、これはオリゴエステロールとしても知られ、既知の方法により、特にヒドロキシカルボン酸の重縮合または脂肪族および/または芳香族ポリカルボン酸と二価または多価アルコールとの重縮合によって調製される。
【0036】
特に適切なポリエステルポリオールは、二価〜三価、特に二価のアルコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,12-ヒドロキシステアリルアルコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ダイマー脂肪酸ジオール(ダイマージオール)、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレート、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパンまたは上述のアルコールの混合物と、有機のジカルボン酸またはトリカルボン酸、特にジカルボン酸、またはこれらの無水物もしくはエステル、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、ダイマー脂肪酸、フタル酸、フタル酸無水物、イソフタル酸、テレフタル酸、ジメチルテレフタレート、ヘキサヒドロフタル酸、トリメリト酸およびトリメリト酸無水物または上述の酸の混合物とから調製したもの、さらにラクトン、例えばε-カプロラクトンおよび上述の二価または三価アルコールなどの出発物質から形成されるポリエステルポリオールである。
【0037】
特に適切なポリエステルポリオールは、ポリエステルジオールである。特に適切なポリエステルジオールは、ジカルボン酸として、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ダイマー脂肪酸、フタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸から、および二価アルコールとしてエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ダイマー脂肪酸ジオールおよび1,4-シクロヘキサンジメタノールから調製したものである。また特に適切なのは、出発物質として、ε-カプロラクトンと、上述の二価アルコールのうちの1つとから調製したポリエステルジオールである。
【0038】
特に適切な物質は、室温で液体の、非晶質の、部分的に結晶性の、および結晶性のポリエステルジオールおよびポリエステルトリオール、特にポリエステルジオールである。適切な、室温で液体のポリエステルポリオールは、室温を大きく下回らない、例えば0℃〜25℃の間の温度で固体であり、少なくとも1種の非晶質の、部分的に結晶性の、または結晶性のポリエステルポリオールと組み合わせて使用するのが好ましい。
-ポリカーボネートポリオール、例えば上述のアルコール(ポリエステルポリオールを形成するのに使用される)と、ジメチルカーボネートなどのジアルキルカーボネート、ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネートまたはホスゲンとの反応から得られるもの。
【0039】
特に適切な物質は、ポリカーボネートジオール、特に非晶質のポリカーボネートジオールである。
-同様にポリオールとして適しているものは、少なくとも2つのヒドロキシル基を有し、上述した種類のポリエーテル、ポリエステルおよび/またはポリカーボネートの構造を有する少なくとも2つの異なるブロックを保持するブロックコポリマーである。
-ポリアクリレートポリオールおよびポリメタクリレートポリオール。
-ポリヒドロキシ官能性油脂、例えば天然油脂、特にヒマシ油または天然油脂の化学的変性によって得られるポリオール(油脂化学のポリオールとして知られている)、例えば不飽和油のエポキシ化およびそれに続くカルボン酸またはアルコールでの開環によって得られるエポキシポリエステルまたはエポキシポリエーテル、または不飽和油のヒドロホルミル化および水素化によって得られるポリオール、または加アルコール分解もしくはオゾン分解などの分解工程、およびこうして得た分解物もしくはその誘導体の、例えばエステル交換もしくは二量化によるその後の化学結合によって、天然油脂から得られるポリオール。天然油脂の適切な分解物は、特に、脂肪酸および脂肪性アルコールならびに脂肪酸エステル、特にそのメチルエステル(FAME)(これは、例えば、ヒドロホルミル化および水素化によって、ヒドロキシ脂肪酸エステルへと誘導体化することができる)。
-ポリハイドロカーボンポリオール、これはオリゴハイドロカーボノールとしても知られ、例えばポリヒドロキシ官能性のエチレン-プロピレン、エチレン-ブチレンまたはエチレン-プロピレン-ジエンコポリマー、例えば、Kraton Polymers社によって製造されているもの、またはジエン、例えば1,3-ブタジエンもしくはジエン混合物などのポリヒドロキシ官能性コポリマー、およびビニルモノマー、例えばスチレン、アクリロニトリルもしくはイソブチレン、またはポリヒドロキシ官能性ポリブタジエンポリオールなどで、例えば1,3-ブタジエンとアリルアルコールとの共重合により調製したもの、それをまた水素化してもよい。
-ポリヒドロキシ官能性アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、これらは、例えば、エポキシドまたはアミノアルコールとカルボキシル末端アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー(Hycar(登録商標)CTBNの名称でHanse Chemieから市販されている)とから調製することができる。
【0040】
記述したこれらのポリオールは、250〜30000g/mol、特に400〜20000g/molの平均分子量を有することが好ましく、1.6〜3の範囲の平均OH官能性を有することが好ましい。
【0041】
ポリウレタンポリマーPUPを調製する場合、記述したこれらのポリオールに加えて、少量の低分子量の二価アルコールまたは多価アルコール、例えば1,2-エタンジオール、1,2-および1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール異性体およびトリプロピレングリコール異性体、ブタンジオール異性体、ペンタンジオール異性体、ヘキサンジオール異性体、ヘプタンジオール異性体、オクタンジオール異性体、ノナンジオール異性体、デカンジオール異性体、ウンデカンジオール異性体、1,3-および1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、二量体脂肪性アルコール、1,1,1-トリメチルオールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、上述の二価および多価アルコールの低分子量アルコキシル化生成物、ならびに上述のアルコールの混合物を追加で使用することができる。
【0042】
ポリウレタンポリマーPUPを調製するために使用されるポリイソシアネートは、市販の脂肪族、脂環式または芳香族のポリイソシアネート、特にジイソシアネート、例えば以下のものであってよい:
1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、2,2,4-および2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,10-デカメチレンジイソシアネート、1,12-ドデカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートおよびリジンエステルジイソシアネート、シクロヘキサン1,3-および1,4-ジイソシアネートおよびこれらの異性体の任意の所望の混合物、1-メチル-2,4-および-2,6-ジイソシアナトシクロヘキサンおよびこれらの異性体の任意の所望の混合物(HTDIまたはH6TDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(=イソホロンジイソシアネート(IPDI))、パーヒドロ-2,4'-および-4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(HMDIまたはH12MDI)、1,4-ジイソシアナト-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)、1,3-および1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、m-およびp-キシリレンジイソシアネート(m-およびp-XDI)、m-およびp-テトラメチル-1,3-および-1,4-キシリレンジイソシアネート(m-およびp-TMXDI)、ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ナフタレン、2,4-および2,6-トルイレンジイソシアネートおよびこれらの異性体(TDI)の任意の所望の混合物、4,4'-、2,4'-および2,2'-ジフェニルメタンジイソシアネートおよびこれらの異性体(MDI)の任意の所望の混合物、1,3-および1,4-フェニレンジイソシアネート、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-ジイソシアナトベンゼン、ナフタレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、3,3'-ジメチル-4,4'-ジイソシアナトジフェニル(TODI)、ジアニシジンジイソシアネート(DADI)、上述のイソシアネートのオリゴマーおよびポリマー、ならびに上述のイソシアネートの任意の所望の混合物。モノマージイソシアネート、特にMDI、TDI、HDI、H12MDIおよびIPDIが好ましい。
【0043】
ポリウレタンポリマーPUPは、ポリイソシアネートおよびポリオールから既知の方法で直接、または鎖延長反応としても知られている段階的な付加方法で調製される。
【0044】
好ましい実施形態において、ポリウレタンポリマーPUPは、少なくとも1種のポリイソシアネートおよび少なくとも1種のポリオールの反応を介して調製されるが、このイソシアネート基は、ヒドロキシル基に対して化学量論的に過剰に存在する。イソシアネートとヒドロキシル基との間の比は、1.3〜5、特に1.5〜3が有利である。
【0045】
反応は、使用するポリオールおよびポリイソシアネートならびに形成されるポリウレタンポリマーが液体の形態で存在する温度で実施するのが有利である。
【0046】
ポリウレタンポリマーPUPは、好ましくは500g/molを超え、特に1000〜50000g/molの間、好ましくは2000〜30000g/molの間の分子量を有する。
【0047】
さらに、ポリウレタンポリマーPUPは、1.8〜3の範囲の平均官能基数を有するのが好ましい。
【0048】
好ましい実施形態において、ポリウレタンポリマーPUPは、室温で固体のポリウレタンポリマーPUP1である。室温で固体のポリウレタンポリマーPUP1は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオールから継続して有利に得ることができる。特に適切な物質は、室温で液体の、非晶質の、部分的に結晶性の、および結晶性のポリエステルジオール、ポリエステルトリオール、ポリカーボネートジオールおよびポリカーボネートトリオール、特にポリエステルジオールおよびポリカーボネートジオールであるが、室温で固体のポリエステルジオール、ポリエステルトリオール、ポリカーボネートジオールおよびポリカーボネートトリオールは、室温を大幅に下回らない、例えば0℃〜25℃の間の温度で固体であり、少なくとも1種の非晶質、部分的に結晶性または結晶性のポリオールと組み合わせて使用するのが好ましい。
【0049】
ポリエステルジオール、ポリエステルトリオール、ポリカーボネートジオールおよびポリカーボネートトリオールは、分子量500〜5000g/molを有するのが有利である。
【0050】
室温で固体のポリウレタンポリマーPUP1は、結晶性、部分的に結晶性または非晶質であってよい。部分的に結晶性または非晶質のポリウレタンポリマーPUP1は、室温での自由な流れが、たとえあったにしても限定された程度しかなく、これはより具体的には20℃で5000Pa・sよりも大きな粘度を有する。
【0051】
ポリウレタンポリマーPUP1は、1000〜10000g/mol、特に2000〜5000g/molの平均分子量を有するのが好ましい。
【0052】
記載した方法において、少なくとも1種の化合物VBは、追加で使用され、この化合物VBは、
i)活性水素を保持し、ヒドロキシル基またはメルカプト基または第2アミノ基である基と、
ii)式(Ia)または(Ib)のアルジミノ基、ケチミノ基、エナミノ基およびオキサゾリジノ基からなる群から選択される、少なくとも1つのキャップされたアミノ基と
の両方を有することを特徴とする。
【0053】
一実施形態において、適切な化合物VBは、活性水素を保持する基と、式(Ia)または(Ib)の少なくとも1つのアルジミノ基を有する基との両方を有する化合物である。このような化合物VBは、特にアルジミノ基を有し、式(IIIa)または(IIIb)を有する化合物VB1
【0054】
【化6】

【0055】
(式中、A1は、
2〜20個の炭素原子を有し、場合によってヘテロ原子を有する二価の炭化水素基であるか、
または、R8と一緒になって、3〜20個の炭素原子を有し、特にエーテル酸素もしくは三級アミン窒素の形で、少なくとも1つのヘテロ原子を場合によって含有する三価の炭化水素基であり、
X1は、OまたはSまたはN-R7またはN-R8
(式中、R7は、
1〜20個の炭素原子と、少なくとも1種のカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホンもしくはスルホン酸エステルの基を場合によって有する一価の炭化水素基であるか、
または式(IVa)もしくは(IVb)の置換基
【0056】
【化7】

【0057】
(式中、B1は、2〜20個の炭素原子を有し、ヘテロ原子を場合によって有する二価の炭化水素基である)であり、
R8は、A1と一緒になって、3〜20個の炭素原子を有し、特にエーテル酸素または三級アミン窒素の形での、少なくとも1つのヘテロ原子を場合によって含有する三価の炭化水素基である)であり、
ならびに
Z1、Z2、Z3およびZ4はそれぞれすでに定義されている通りである)である。
【0058】
X1は、OまたはN-R7またはN-R8であることが好ましい。特にX1がOまたはSの場合、A1および/またはB1は、それぞれ鎖長が5原子であるアルキレン基またはオキシアルキレン基であるのがさらに好ましい。
【0059】
式(IIIa)の好ましい化合物VB1は、式(V)の化合物VB1'
【0060】
【化8】

【0061】
(式中、
Y1およびY2は、
それぞれ独立して、1〜12個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であるか、
または一緒になって、4〜12個の炭素原子を有し、5〜8個、好ましくは6個の炭素原子を有する、場合によって置換されている炭素環の一部分である二価の炭化水素基であり、
Y3は、
分枝状もしくは非分枝状のアルキル基、シクロアルキル基、アルキレン基もしくはシクロアルキレン基であるか、
またはY3は、置換もしくは非置換のアリール基もしくはアリールアルキル基であるか、
または式O-R2もしくは以下の基
【0062】
【化9】

【0063】
(式中、R2は、すでに定義された通りである)であるか、
または、式(II)の基であり、
【0064】
【化10】

【0065】
X1'は、OもしくはSもしくはN-R7'もしくはN-R8
(式中、R7'は、
1〜20個の炭素原子を有し、少なくとも1種のカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホンまたはスルホン酸エステルの基を場合によって有する一価の炭化水素基であるか、
または式(VI)の置換基
【0066】
【化11】

【0067】
である)であり、
ならびにA1、B1およびR8は、それぞれすでに定義された通りである)である。
【0068】
式(V)の化合物VB1'において、Y1およびY2は、それぞれメチル基であることが好ましい。加えて、Y3は、特に式(II)の基(式中、R3は水素原子であり、R4は以下の基
【0069】
【化12】

【0070】
である)であることが好ましい。
【0071】
式(IIIa)または(IIIb)の化合物VB1は、例えば、少なくとも1種の式(VII)のアミンB1と、少なくとも1種の式(VIIIa)または(VIIIb)のアルデヒドALD
【0072】
【化13】

【0073】
(式中、
X1aは、OもしくはSもしくはN-R9もしくはN-R8
(式中、R9は、1〜20個の炭素原子および少なくとも1種のカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホンまたはスルホン酸エステルの基を場合によって有する一価の炭化水素基であるか、
または式(VIIa)の置換基
【0074】
【化14】

【0075】
である)であり、
ならびに、A1、Z1、Z2、Z3およびZ4と、B1およびR8とは、それぞれすでに定義された通りである)との反応から得ることができる。
【0076】
少なくとも1種の式(VII)のアミンB1と、少なくとも1種の式(VIIIa)または(VIIIb)のアルデヒドALDとの間の反応は、水の脱離を伴う縮合反応において実行される。このような縮合反応は、よく周知されており、例えばHouben-Weyl、「Methoden der organischen Chemie」[有機化学の方法]、Vol.XI/2、73頁以降に記載されている。ここではこのアルデヒドALDは、アミンB1の第一級アミノ基に対して化学量論的に使用されるか、または化学量論的に過剰に使用される。このような縮合反応は、通常溶媒の存在下で実施され、この溶媒を用いて反応中に形成された水を共沸除去する。
【0077】
適切なアルデヒドALDは、第1に、式(VIIIa)のアルデヒド、例えばプロパナール、2-メチルプロパナール、ブタナール、2-メチルブタナール、2-エチルブタナール、ペンタナール、2-メチルペンタナール、3-メチルペンタナール、4-メチルペンタナール、2,3-ジメチルペンタナール、ヘキサナール、2-エチルヘキサナール、ペンタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、2-メチルウンデカナール、ドデカナール、メトキシアセトアルデヒド、シクロプロパンカルボキシアルデヒド、シクロペンタンカルボキシアルデヒド、シクロヘキサンカルボキシアルデヒドおよびジフェニルアセトアルデヒドなどである。
【0078】
適切なアルデヒドALDは、第2に、式(VIIIb)のアルデヒド、例えば芳香族アルデヒド、例えばベンズアルデヒド、2-および3-および4-トルアルデヒド、4-エチル-および4-プロピル-および4-イソプロピル-および4-ブチルベンズアルデヒド、2,4-ジメチルベンズアルデヒド、2,4,5-トリメチルベンズアルデヒド、4-アセトキシベンズアルデヒド、4-アニスアルデヒド、4-エトキシベンズアルデヒド、ジ-およびトリアルコキシベンズアルデヒドの異性体、2-、3-および4-ニトロベンズアルデヒド、2-、3-および4-ホルミルピリジン、2-フルフルアルデヒド、2-チオフェンカルバルデヒド、1-および2-ナフチルアルデヒド、3-および4-フェニルオキシベンズアルデヒド、キノリン-2-カルバルデヒドおよびその3、4、5、6、7および8-位異性体、およびアントラセン-9-カルバルデヒド、ならびにグリオキサール、グリオキサル酸エステル、例えばグリオキサル酸メチル、桂皮アルデヒドおよび置換桂皮アルデヒドである。
【0079】
特に適切なアルデヒドALDは、エノール化できないアルデヒド、特にカルボニル基のα位に水素原子を有していないアルデヒドである。
【0080】
特に適切なアルデヒドALDの例は、記述した式(VIIIb)のアルデヒドである。
【0081】
特に適切なアルデヒドALDは、さらに、いわゆる第三級アルデヒド、すなわち式(VIIIa)のアルデヒドALDであり、このアルデヒドALDは、カルボニル基のα位に水素原子を有していない。式(VIIIa)の第三級アルデヒドALDは、式(IX)のアルデヒドALDである。
【0082】
【化15】

【0083】
式(IX)中、Y1、Y2およびY3は、それぞれすでに定義された通りである。
【0084】
式(IX)の適切なアルデヒドALDは、例えば、ピバルアルデヒド(=2,2-ジメチルプロパナール)、2,2-ジメチルブタナール、2,2-ジエチルブタナール、1-メチルシクロペンタンカルボキシアルデヒド、1-メチルシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、2-ヒドロキシ-2-メチルプロパナールと、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールおよび2-エチルヘキサノールなどのアルコールとから形成されたエーテル、2-ホルミル-2-メチルプロピオン酸または3-ホルミル-3-メチル酪酸と、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールおよび2-エチルヘキサノールなどのアルコールとのエステル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロパナールと、酪酸、イソ酪酸および2-エチルヘキサン酸などのカルボン酸とのエステルであり、特に適切なものは以下に記載する2,2-二置換3-ヒドロキシプロパナール、-ブタナールまたは類似の高級アルデヒド、特に2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロパナールのエーテルおよびエステルである。
【0085】
式(IX)のさらなる適切なアルデヒドALDは、式(X)のアルデヒドALDである。
【0086】
【化16】

【0087】
式(X)において、Y1、Y2、R3およびR4は、それぞれすでに定義された通りである。
【0088】
好ましくは、式(X)において、Y1およびY2は、それぞれメチル基であり、R3は、水素原子である。
【0089】
一実施形態において、式(X)の適切なアルデヒドALDは、式(Xa)のアルデヒドALD1である
【0090】
【化17】

【0091】
(式中、R4aは、1〜30個の炭素原子、特に11〜30個の炭素原子を有する炭化水素基であり、エーテル酸素原子を場合によって含有する)。
【0092】
式(Xa)のアルデヒドALD1は、脂肪族、脂環式またはアリール脂肪族の2,2-二置換3-ヒドロキシアルデヒドと、式R4a-OHのアルコールまたはフェノール、例えば脂肪アルコールまたは脂肪フェノールとのエーテルである。次に、適切な2,2-二置換3-ヒドロキシアルデヒドは、特に第一級または第二級の脂肪族アルデヒド、特にホルムアルデヒドと、第二級脂肪族、第二級脂環式または第二級アリール脂肪族のアルデヒド、例えばイソブチルアルデヒド、2-メチルブチルアルデヒド、2-エチルブチルアルデヒド、2-メチルバレルアルデヒド、2-エチルカプロンアルデヒド、シクロペンタンカルボキシアルデヒド、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド、1,2,3,6-テトラヒドロベンズアルデヒド、2-メチル-3-フェニルプロピオンアルデヒド、2-フェニルプロピオンアルデヒド(ヒドロアトロパアルデヒド)またはジフェニルアセトアルデヒドとの間のアルドール反応、特に交差アルドール反応から得ることができる。適切な2,2-二置換3-ヒドロキシアルデヒドの例は、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロパナール、2-ヒドロキシメチル-2-メチルブタナール、2-ヒドロキシメチル-2-エチルブタナール、2-ヒドロキシメチル-2-メチルペンタナール、2-ヒドロキシメチル-2-エチルヘキサナール、1-ヒドロキシメチルシクロペンタンカルボキシアルデヒド、1-ヒドロキシメチルシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、1-ヒドロキシメチルシクロヘキサ-3-エンカルボキシアルデヒド、2-ヒドロキシメチル-2-メチル-3-フェニルプロパナール、3-ヒドロキシ-2-メチル-2-フェニルプロパナールおよび3-ヒドロキシ-2,2-ジフェニルプロパナールである。
【0093】
記述した式(Xa)のそのようなアルデヒドALD1の例は、2,2-ジメチル-3-フェノキシプロパナール、3-シクロヘキシルオキシ-2,2-ジメチルプロパナール、2,2-ジメチル-3-(2-エチルヘキシルオキシ)プロパナール、2,2-ジメチル-3-ラウロキシプロパナールおよび2,2-ジメチル-3-ステアロキシプロパナールである。
【0094】
さらなる実施形態において、式(X)の適切なアルデヒドALDは、式(Xb)のアルデヒドALD2である
【0095】
【化18】

【0096】
(式中、R5は、水素原子または1〜5個の炭素原子を有する炭化水素基である)。
【0097】
式(Xb)のアルデヒドALD2は、すでに記載した2,2-二置換3-ヒドロキシアルデヒド、例えば2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロパナール、2-ヒドロキシメチル-2-メチルブタナール、2-ヒドロキシメチル-2-エチルブタナール、2-ヒドロキシメチル-2-メチルペンタナール、2-ヒドロキシメチル-2-エチルヘキサナール、1-ヒドロキシメチルシクロペンタンカルボキシアルデヒド、1-ヒドロキシ-メチルシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、1-ヒドロキシメチルシクロヘキサ-3-エンカルボキシアルデヒド、2-ヒドロキシメチル-2-メチル-3-フェニルプロパナール、3-ヒドロキシ-2-メチル-2-フェニルプロパナールおよび3-ヒドロキシ-2,2-ジフェニルプロパナールなどと、カルボン酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸およびカプロン酸などとのエステルである。
【0098】
記述した式(Xb)のそのようなアルデヒドALD2の例は、2,2-ジメチル-3-ホルミルオキシプロパナール、3-アセトキシ-2,2-ジメチルプロパナール、2,2-ジメチル-3-プロピオンオキシプロパナール、3-ブチロキシ-2,2-ジメチルプロパナール、2,2-ジメチル-3-イソブチロキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-ペントイルオキシプロパナールおよび2,2-ジメチル-3-ヘキソイルオキシプロパナールである。
【0099】
好ましいアルデヒドALDは、式(VIIIb)および式(IX)のアルデヒドALDである。
【0100】
特に好ましいのは、式(X)のアルデヒドALDである。
【0101】
最も好ましいのは、式(Xb)のアルデヒドALD2、特に3-アセトキシ-2,2-ジメチルプロパナールである。
【0102】
少なくとも1種の式(VIIIa)または(VIIIb)のアルデヒドALDに加えて、アルジミノ基を有する式(IIIa)または(IIIb)の化合物VB1を調製するために、例えば、少なくとも1種の式(VII)のアミンB1を追加で使用することが可能である。
【0103】
【化19】

【0104】
式(VII)のアミンB1は、1つまたは2つの脂肪族の第一級アミノ基と、活性水素を有する少なくとも1つの反応基とを含有する。
【0105】
一実施形態において、式(VII)の適切なアミンB1は、1つまたは2つの第一級脂肪族アミノ基および1つの第二級アミノ基を有する化合物、例えばN-メチル-1,2-エタンジアミン、N-エチル-1,2-エタンジアミン、N-ブチル-1,2-エタンジアミン、N-ヘキシル-1,2-エタンジアミン、N-(2-エチルヘキシル)-1,2-エタンジアミン、N-シクロヘキシル-1,2-エタンジアミン、4-アミノ-メチルピペリジン、3-(4-アミノブチル)ピペリジン、N-(2-アミノエチル)ピペラジン、ジエチレントリアミン(DETA)、ビスヘキサメチレントリアミン(BHMT)、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルアミン、第一級モノ-およびジアミンのシアノエチル化またはシアノブチル化によるジ-およびトリアミン、例えばN-メチル-1,3-プロパンジアミン、N-エチル-1,3-プロパンジアミン、N-ブチル-1,3-プロパンジアミン、N-ヘキシル-1,3-プロパンジアミン、N-(2-エチルヘキシル)-1,3-プロパンジアミン、N-ドデシル-1,3-プロパンジアミン、N-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミン、3-メチルアミノ-1-ペンチルアミン、3-エチルアミノ-1-ペンチルアミン、3-ブチルアミノ-1-ペンチルアミン、3-ヘキシルアミノ-1-ペンチルアミン、3-(2-エチルヘキシル)アミノ-1-ペンチルアミン、3-ドデシルアミノ-1-ペンチルアミン、3-シクロヘキシルアミノ-1-ペンチルアミン、ジプロピレントリアミン(DPTA)、N3-(3-アミノペンチル)-1,3-ペンタンジアミン、N5-(3-アミノプロピル)-2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、N5-(3-アミノ-1-エチルプロピル)-2-メチル-1,5-ペンタンジアミンなど、および脂肪ジアミン、例えばN-ココアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-オレイル-1,3-プロパンジアミン、N-ソヤアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-タロウアルキル-1,3-プロパンジアミンまたはN-(C16-22-アルキル)-1,3-プロパンジアミンとして、例えば、Akzo NobelからのDuomeen(登録商標)という商品名で入手可能なものなど、脂肪族第一級ジ-またはトリアミンと、アクリロニトリル、マレイン酸またはフマル酸のジエステル、シトラコン酸ジエステル、アクリル酸およびメタクリル酸のエステル、アクリル-およびメタクリルアミドならびにイタコン酸のジエステルとを、1:1のモル比で反応させたマイケル反応と同様の付加反応からの生成物などである。
【0106】
さらなる実施形態において、式(VII)の適切なアミンB1は、第一級アミノ基を有する脂肪族ヒドロキシアミン、例えば2-アミノエタノール、2-メチルアミノエタノール、1-アミノ-2-プロパノール、3-アミノ-1-プロパノール、4-アミノ-1-ブタノール、4-アミノ-2-ブタノール、2-アミノ-2-メチルプロパノール、5-アミノ-1-ペンタノール、6-アミノ-1-ヘキサノール、7-アミノ-1-ヘプタノール、8-アミノ-1-オクタノール、10-アミノ-1-デカノール、12-アミノ-1-ドデカノール、4-(2-アミノエチル)-2-ヒドロキシエチルベンゼン、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサノール、1つの第一級アミノ基を保持する、例えばジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコールおよびこのようなグリコールの高級オリゴマーおよびポリマーなどのグリコール誘導体、例えば2-(2-アミノエトキシ)エタノール、トリエチレングリコールモノアミン、α-(2-ヒドロキシメチルエチル)-ω-(2-アミノメチルエトキシ)ポリ(オキシ(メチル-1,2-エタンジイル)、1つのヒドロキシル基および1つの第一級アミノ基を保持する、ポリアルコキシ化された3価もしくはそれより高級な多価のアルコールの誘導体、グリコールのモノシアノエチル化およびその後の水素化による生成物、例えば3-(2-ヒドロキシエトキシ)プロピルアミン、3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)-プロピルアミンおよび3-(6-ヒドロキシヘキシルオキシ)プロピルアミンである。
【0107】
さらなる実施形態において、式(VII)の適切なアミンB1は、第一級アミノ基を有する脂肪族メルカプトアミン、例えば2-アミノエタンチオール(システアミン)、3-アミノプロパンチオール、4-アミノ-1-ブタンチオール、6-アミノ-1-ヘキサンチオール、8-アミノ-1-オクタンチオール、10-アミノ-1-デカンチオール、12-アミノ-1-ドデカンチオールおよびアミノチオ糖、例えば2-アミノ-2-デオキシ-6-チオグルコースである。
【0108】
好ましい式(VII)のアミンB1は、N-メチル-1,2-エタンジアミン、N-エチル-1,2-エタンジアミン、N-シクロヘキシル-1,2-エタンジアミン、N-メチル-1,3-プロパンジアミン、N-エチル-1,3-プロパンジアミン、N-ブチル-1,3-プロパンジアミン、N-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミン、4-アミノメチルピペリジン、3-(4-アミノブチル)ピペリジン、DETA、DPTA、BHMT、および脂肪ジアミン、例えばN-ココアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-オレイル-1,3-プロパンジアミン、N-ソヤアルキル-1,3-プロパンジアミンおよびN-タロウアルキル-1,3-プロパンジアミン、脂肪族第一級ジアミンと、マレイン酸およびフマル酸のジエステル、アクリル酸およびメタクリル酸のエステルとを、ならびにアクリル-およびメタクリルアミドと、好ましくはマレイン酸ジエステル、特にジメチル、ジエチル、ジプロピルおよびジブチルマレイン酸エステル、ならびにアクリル酸エステル、特にメチルアクリレートとを、モル比1:1で反応させたマイケル反応と同様の付加反応からの生成物、少なくとも5原子の鎖または環によって、第一級アミノ基がヒドロキシル基またはメルカプト基から分離している脂肪族ヒドロキシ-またはメルカプトアミン、特に5-アミノ-1-ペンタノール、6-アミノ-1-ヘキサノールおよびこれらのより高い相同体、4-(2-アミノエチル)-2-ヒドロキシエチルベンゼン、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサノール、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、トリエチレングリコールモノアミンおよびこれらのより高級なオリゴマーおよびポリマー、3-(2-ヒドロキシエトキシ)プロピルアミン、3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピルアミンならびに3-(6-ヒドロキシヘキシルオキシ)プロピルアミンからなる群から選択されるアミンである。
【0109】
使用するアミンB1がヒドロキシアミンの場合、アルデヒドALDとアミンB1との間の反応によりヒドロキシアルジミンが生じる。使用するアミンB1がメルカプトアミンの場合、メルカプトアルジミンが生じる。または使用するアミンB1が、1つか2つの第一級アミノ基ばかりでなく、第二級アミノ基を保持する場合、アミノアルジミンが生じる。
【0110】
アルジミノ基を有する、式(IIIa)の化合物VB1の一実施形態において、X1はN-R7である。式(IIIa)または(IIIb)のそのような化合物VB1は、場合によって、これまで記載した経路とわずかに異なる経路で調製することができる。この合成経路は、第一段階において、式(VIIIa)または(VIIIb)のアルデヒドALDと、式H2N-A'-NH2-(式中、A'は、2〜20個の炭素原子を有し、ヘテロ原子を場合によって有する二価の炭化水素基である)の二官能性脂肪族第一級アミンCとを反応させることによって、アルジミノ基ばかりでなく、第一級アミノ基も含む中間体を得るステップからなる。続いてこの中間体を、第2ステップにおいて、単に第一級アミノ基をアルキル化することにより、アルジミノ基を有する式(IIIa)または(IIIb)の化合物VB1に変換させる。アルキル化には、特に、第一級アミンと共にマイケル反応と同様の付加反応に加わることのできる、ちょうど1個の活性化した二重結合を有する化合物が用いられる。本明細書において以後このような化合物を「マイケルアクセプター」と呼ぶ。
【0111】
第一級アミノ基を有する中間体を得るためのアルデヒドALDとアミンCの反応は、少なくとも1種のアルデヒドALDと少なくとも1種の式(VII)のアミンB1との反応に関してだいぶ前に記述した通り、水の脱離を伴う縮合反応において実行される。アルデヒドALDとアミンCとの間の化学量は、2つの第一級アミノ基を含有するアミンC、1molにつき、アルデヒドALD、1molが使用されるように選択される。溶媒を使用しない調製方法が好ましく、この方法では、減圧の適用により、縮合において形成された水を反応混合物から取り除く。
【0112】
マイケルアクセプターを用いた第一級アミノ基を有する中間体の反応は、例えば中間体と、化学量論的または化学量論的にやや過剰な量のマイケルアクセプターとを混合し、この中間体が式(IIIa)または(IIIb)の化合物VB1へと完全に変換されるまで、20℃〜110℃の温度で混合物を加熱することによって実行される。反応は、溶媒を使用せずに実行されることが好ましい。
【0113】
この反応に適したアミンCの例は、脂肪族ジアミン、例えばエチレンジアミン、1,2-および1,3-プロパンジアミン、2-メチル-1,2-プロパンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,3-および1,4-ブタンジアミン、1,3-および1,5-ペンタンジアミン、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミンおよびその混合物(TMD)、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、2,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、4-アミノメチル-1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,9-ノナンジアミン、5-メチル-1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、イソデカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、メチルビス(3-アミノプロピル)アミン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(MPMD)、1,3-ジアミノペンタン(DAMP)、2,5-ジメチル-1,6-ヘキサメチレンジアミンなど、脂環式ジアミン、例えば1,2-、1,3-および1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(H12MDA)、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチル-5-メチルシクロヘキシル)メタン(M-MECA)、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(=イソホロンジアミンまたはIPDA)、2-および4-メチル-1,3-ジアミノシクロヘキサンおよびその混合物、1,3-および1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1-シクロヘキシルアミノ-3-アミノプロパン、2,5(2,6)ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(三井化学製NBDA)、3(4),8(9)ビス(アミノメチル)-トリシクロ-[5.2.1.02'6]デカン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDA)、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなど、アリール脂肪族ジアミン、例えば1,3-キシリレンジアミン(MXDA)、1,4-キシリレンジアミン(PXDA)など、エーテル基を含有する脂肪族ジアミン、例えばビス(2-アミノエチル)エーテル、3,6-ジオキサオクタン-1,8-ジアミン、4,7-ジオキサデカン-1,10-ジアミン、4,7-ジオキサデカン-2,9-ジアミン、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン、5,8-ジオキサドデカン-3,10-ジアミンおよびこれらジアミンの高級オリゴマー、さらにポリオキシアルキレンジアミンである。後者は通常、ポリオキシアルキレンジオールをアミノ化した生成物、例えばJeffamine(登録商標)(Huntsman Chemicals製)という名称で、Polyetheramin(BASF製)という名称で、またはPC Amine(登録商標)(Nitroil製)という名称で入手可能である。特に適切なポリオキシアルキレンジアミンは、Jeffamine(登録商標)D-230、Jeffamine(登録商標)D-400、Jeffamine(登録商標)XTJ-511、Jeffamine(登録商標)XTJ-568およびJeffamine(登録商標)XTJ-569、Polyetheramin D230およびPolyetheramin D400、PC Amine(登録商標)DA250およびPC Amine(登録商標)DA400である。
【0114】
好ましいアミンCは、第一級アミノ基が、少なくとも5原子の鎖または環により分離されているジアミン、特に1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミンおよびこれらの混合物、1,10-デカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,3-および1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、1,3-および1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2,5(2,6)ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3(4),8(9)ビス(アミノメチル)トリ-シクロ[5.2.1.02'6]デカン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDA)、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3-および1,4-キシリレンジアミン、ならびに記述したエーテル基を含有する脂肪族ジアミンおよびポリオキシアルキレンジアミンである。
【0115】
この反応に適したマイケルアクセプターの例は、マレイン酸またはフマル酸のジエステル、例えばマレイン酸ジメチル、ジエチルマレイン酸、ジブチルマレイン酸、ジエチルフマル酸など、シトラコン酸ジエステル、例えばシトラコン酸ジメチルなど、アクリル酸またはメタクリル酸のエステル、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなど、イタコン酸ジエステル、例えばイタコン酸ジメチルなど、ケイ皮酸エステル、例えばケイ皮酸メチルなど、ビニルホスホン酸ジエステル、例えばジメチルビニルホスホネート、ビニルスルホン酸エステル、特にアリールビニルスルホネート、ビニルスルホン、ビニルニトリル、例えばアクリロニトリル、2-ペンテンニトリルまたはフマロニトリルなど、1-ニトロエチレン、例えばβ-ニトロスチレンなど、およびクネーフェナーゲル縮合物、例えばマロン酸ジエステルと、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドまたはベンズアルデヒドなどのアルデヒドとから生成されるものである。マレイン酸ジエステル、アクリル酸エステル、ホスホン酸ジエステルおよびビニルニトリルが好ましい。
【0116】
さらなる実施形態において、適切な化合物VBは、活性水素を保持する基と、少なくとも1つのケチミノ基を有する基との両方を有する化合物である。このような化合物VBは、特に、ケチミノ基を有し、式(XI)を有する化合物VB2
【0117】
【化20】

【0118】
(式中、
X2は、OまたはSまたはN-R10またはN-R8
(式中R10は、
1〜20個の炭素原子を有し、少なくとも1種のカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホンもしくはスルホン酸エステルの基を場合によって有する一価の炭化水素基であるか、
または式(XII)の置換基である)であり、
【0119】
【化21】

【0120】
Z5およびZ6は、
それぞれ独立して、1〜12個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であるか、
または、一緒になって、4〜20個の炭素原子を有し、炭素原子5〜8個、好ましくは6個を有する、場合によって置換されている炭素環の一部分である二価の炭化水素基であり、
A1、B1およびR8は、それぞれすでに定義された通りである)である。
【0121】
式(XI)の化合物VB2において、Z5およびZ6は、好ましくは、それぞれ独立して、1〜6個の炭素原子を有する、非分枝状もしくは特に分枝状のアルキル基であるか、または一緒になって、4〜10個の炭素原子を有し、5もしくは6個、特に6個の炭素原子を有する、場合によって置換されている炭素環の一部分であるアルキル基であり、および/またはX2は、好ましくはOもしくはN-R10もしくはN-R8である。
【0122】
ケチミノ基を有し、式(XI)を有する化合物VB2は、例えば、少なくとも1種の式(VII)のアミンB1と、少なくとも1種の式(XIII)のケトンとの反応から、水の脱離を伴い得ることができ、このケト基は、第一級アミノ基に対して、化学量論的に使用されるか、または化学量論的に過剰に使用される。
【0123】
【化22】

【0124】
式(XIII)において、Z5およびZ6は、それぞれすでに定義された通りである。
【0125】
この反応に対しては、アルジミノ基を有し、式(IIIa)または(IIIb)を有する化合物VB1の調製のために以前にすでに記述したことのある式(VII)と同じアミンB1が適切である。
【0126】
この反応に適した式(XIII)のケトンは、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびアセトフェノンである。
【0127】
ケチミノ基を有し、式(XI)を有する化合物VB2の一実施形態において、X2はN-R10である。このような式(XI)の化合物VB2は、場合によって、少なくとも1種の式(XIII)のケトンと、少なくとも1種の、式H2N-A'-NH2-(式中、A'は、2〜20個の炭素原子を有し、ヘテロ原子を場合によって有する二価の炭化水素基である)の二官能性脂肪族一級アミンCとを第一段階で反応させて、ケチミノ基だけでなく、第一級アミノ基も含有する中間体を得ることによって、今までに記述した経路とはわずかに異なる経路で調製することができる。続いてこの中間体を、第2ステップで、二重結合を有するマイケルアクセプターと付加反応において反応させるが、この二重結合は、中間体の第一級アミノ基と化学量論的な関係で使用される。これによって、ケチミノ基だけでなく、第二級アミノ基も含有する、少なくとも1つのアミノケチミン、すなわち式(XI)の化合物VB2が形成される。
【0128】
第一級アミノ基を有する中間体を得るための、式(XIII)のケトンとアミンCとの反応は、アルデヒドALDとアミンCとの反応、さらに同様に中間体とマイケルアクセプターとの反応に関してすでに記述した方法と同じ方法で実行される。
【0129】
さらなる実施形態において、適切な化合物VBは、活性水素を保持する基と、少なくとも1つのエナミノ基を有する基との両方を有する化合物である。このような化合物VBは、特に、エナミノ基を有し、式(XIV)を有する化合物VB3
【0130】
【化23】

【0131】
(式中、
A3は、
2〜20個の炭素原子を有し、ヘテロ原子を場合によって有する二価の炭化水素基であるか、
または、D1と一緒になって、もしくはR12と一緒になって、3〜20個の炭素原子を有し、特にエーテル酸素もしくは三級アミン窒素の形で、少なくとも1つのヘテロ原子を場合によって含有する三価の炭化水素基であり、
X3は、OまたはSまたはN-R11またはN-R12
(式中、R11は、
1〜20個の炭素原子を有し、少なくとも1つのカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホンもしくはスルホン酸エステルの基を場合によって有する一価の炭化水素基であるか、
または式(XV)の置換基
【0132】
【化24】

【0133】
(式中、D2は、1〜12個の炭素原子を有する一価の炭化水素基である)であり、
R12は、A3と一緒になるかまたはD1と一緒になるかのいずれかによって、3〜20個の炭素原子を有し、少なくとも1つのヘテロ原子を、特にエーテル酸素または三級アミン窒素の形で場合によって含有する三価の炭化水素基となる)であり、
Z7およびZ8は、
それぞれ独立して、水素原子もしくは1〜12個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であるか、または
一緒になって、3〜20個の炭素原子を有し、5〜8個、好ましくは6個の炭素原子を有する、場合によって置換されている炭素環の一部分である二価の炭化水素基であり、
Z9は、水素原子または1〜12個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり、
D1は、
1〜12個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であるか、または
R12と一緒になってもしくはA3と一緒になって、4〜20個の炭素原子を有し、少なくとも1つのヘテロ原子を、特にエーテル酸素または三級アミン窒素の形で場合によって含有する三価の炭化水素基であり、
B1は、すでに定義された通りである)である。
【0134】
Z7、Z8およびZ9は、それぞれ独立して、水素原子であるか、または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基のいずれかであることが好ましい。
【0135】
Z7およびZ8は、一緒になって、3〜10個の炭素原子を有し、5〜8個、好ましくは6個の炭素原子を有する、場合によって置換されている炭素環の一部分である二価の炭化水素基であることがさらに好ましい。
【0136】
D1およびD2は、それぞれ独立して、1〜6個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であることがさらに好ましい。
【0137】
D1は、R12と一緒になって、場合によって置換されているエチレン基であることがさらに好ましい。
【0138】
さらに好ましくは、D1は、A3と一緒になって、4〜10個の炭素原子を有し、少なくとも1つのヘテロ原子を、特にエーテル酸素または三級アミン窒素の形で場合によって含有する三価の炭化水素基である。
【0139】
エナミノ基を有し、式(XIV)を有する化合物VB3は、例えば、少なくとも1種の式(XVI)のアミンB3と、カルボニル基のα位に少なくとも1つのC-H部分を有する少なくとも1種の式(XVII)の脂肪族もしくは脂環式のアルデヒドまたはケトンとの反応から、水の脱離を伴い得ることができる。
【0140】
【化25】

【0141】
これらの構造において、
X3aは、OまたはN-R13またはN-R12
(式中、R13は、
1〜20個の炭素原子を有し、少なくとも1種のカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホンもしくはスルホン酸エステルの基を場合によって有する一価の炭化水素基であるか、
または式(XVIII)の置換基である)であり、
【0142】
【化26】

【0143】
A3、D1、Z7、Z8およびZ9、R12、B1ならびにD2は、それぞれすでに定義された通りである。
【0144】
一実施形態において、式(XVI)の適切なアミンB3は、2つの第二級アミノ基を有するポリアミン、例えばピペラジン、4,4'-ジピペリジルプロパン、N,N'-ジメチルヘキサメチレンジアミンおよびメチル基の代わりに高級なアルキル基またはシクロアルキル基を有する同族体、さらに3つの第二級アミノ基を有するポリアミン、例えばN,N'-ジメチルジエチレントリアミンであり、第二級アミノ基の1つが変換しないことにより、活性水素がHX3基として保存されるように、このようなアミンB3を式(XVII)のアルジミンまたはケチミンと反応させる。
【0145】
さらなる実施形態において、式(XVI)の適切なアミンB3は、ヒドロキシル基および第二級アミノ基を有するアミン、例えばN-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン、4-ヒドロキシピペリジンおよびモノアルコキシ化した第一級モノアミン、すなわち、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、2-エチルヘキシルアミン、ベンジルアミンおよび脂肪性アミン、例えばラウリルアミンまたはステアリルアミンなどの第一級のモノアミンと、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはブチレンオキシドなどのエポキシドとの、化学量比1:1での反応生成物、例えばN-メチルエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン、N-ブチルエタノールアミンおよびN-ブチルイソプロパノールアミンである。
【0146】
さらなる実施形態において、式(XVI)の適切なアミンB3は、メルカプト基と第二級アミノ基とを有するアミン、例えばN-(2-メルカプトエチル)ピペラジン、4-メルカプトピペリジンおよび2-メルカプトエチルブチルアミンである。
【0147】
式(XVII)の適切なアルデヒドまたはケトンは、例えばプロパナール、2-メチルプロパナール、ブタナール、2-メチルブタナール、2-エチルブタナール、ペンタナール、2-メチルペンタナール、3-メチルペンタナール、4-メチルペンタナール、2,3-ジメチルペンタナール、ヘキサナール、2-エチルヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、2-メチルウンデカナール、ドデカナール、メトキシアセトアルデヒド、シクロプロパンカルボキシアルデヒド、シクロペンタンカルボキシアルデヒド、シクロヘキサンカルボキシアルデヒドおよびジフェニルアセトアルデヒドなどのアルデヒド、ならびにケトン、例えばシクロペンタノンおよびシクロヘキサノンなどの特に環状のケトンである。
【0148】
さらなる実施形態において、適切な化合物VBは、活性水素を保持する基と、少なくとも1つのオキサゾリジノ基を有する基との両方を有する化合物であり、このような化合物VBは、特に、オキサゾリジノ基を有し、式(XIX)を有する化合物VB4
【0149】
【化27】

【0150】
(式中、
A4は、2〜20個の炭素原子を有し、ヘテロ原子を場合によって有する二価の炭化水素基であり、
Z10およびZ11は、それぞれ独立して、水素原子であるか、または1〜12個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり、
D3は、2または3個の炭素原子を有する場合によって置換されているアルキレン基であり、
X4は、OまたはSまたはN-R14
(式中、R14は、
1〜20個の炭素原子を有し、少なくとも1つのカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホンもしくはスルホン酸エステルの基を場合によって有する一価の炭化水素基であるか、
または式(XX)の置換基である)であり、
【0151】
【化28】

【0152】
B1は、すでに定義された通りである)である。
【0153】
Z10は、水素原子であり、Z11は、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基であるのが好ましい。
【0154】
A4は、2または3個の炭素原子を有する、場合によって置換されているアルキレン基であるのがさらに好ましい。
【0155】
X4は、Oであるのがさらに好ましい。
【0156】
本文書において、「オキサゾリジノ基」は、テトラヒドロオキサゾール基(5員環)とテトラヒドロオキサジン基(6員環)の両方を指す。
【0157】
オキサゾリジノ基を有し、式(XIX)を有する化合物VB4は、例えば、少なくとも1種の式(XXI)のアミンB4と、少なくとも1種の式(XXII)のアルデヒドまたはケトンとの反応から、水の脱離を伴い得ることができる。
【0158】
【化29】

【0159】
このような構造において、
X4aは、OまたはSまたはN-R15
(式中、R15は、
1〜20個の炭素原子を有し、カルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホンもしくはスルホン酸エステルの基を場合によって有する一価の炭化水素基であるか、
または、式(XXIII)の置換基である)であり、
【0160】
【化30】

【0161】
A4、D3、Z10、Z11およびB1は、それぞれすでに定義された通りである。
【0162】
式(XXI)の適切なアミンB4は、第二級ヒドロキシルアミン、例えばジエタノールアミン、ジプロパノールアミンおよびジイソプロパノールアミンである。
【0163】
好ましいアミンB4は、ジエタノールアミンであり、このジエタノールアミンを、式(XXII)のケトンまたはアルデヒドと、水の脱離を伴い反応させることによって、オキサゾリジノ基を有し、式(XIXa)を有する化合物VB4'を得ることができる。
【0164】
【化31】

【0165】
式(XXII)の適切なアルデヒドまたはケトンは、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトンである。特に適切なのは、例えばプロパナール、2-メチルプロパナール、ブタナール、2-メチルブタナール、2-エチルブタナール、ペンタナール、2-メチルペンタナール、3-メチルペンタナール、4-メチルペンタナール、2,3-ジメチルペンタナール、ヘキサナール、2-エチルヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、2-メチルウンデカナール、ドデカナール、メトキシアセトアルデヒド、シクロプロパンカルボキシアルデヒド、シクロペンタンカルボキシアルデヒド、シクロヘキサン-カルボキサルデヒド、ジフェニルアセトアルデヒド、ベンズアルデヒドおよび置換しているベンズアルデヒドなどのアルデヒドである。2-メチルプロパナールが好ましい。
【0166】
さらなる実施形態において、適切な化合物VBは、混合され、キャップされたアミノ基を有する化合物である。これらは、活性水素を保持する基と、ケチミノ基、エナミノ基、オキサゾリジノ基および式(Ia)または(Ib)のアルジミノ基からなる群から選択される、2つの異なるキャップされたアミノ基を有する基との両方を有する化合物である。混合され、キャップされたアミノ基を有するこのような化合物VBは、第二級アミノ基を通常含有し、この第二級アミノ基は、活性水素ばかりでなく、各基が異なるキャップされたアミノ基を有する2つの基を保持する。
【0167】
混合され、キャップされたアミノ基を有する化合物VBは、例えば、以下である。
【0168】
【化32】

【0169】
化合物VBが、水分の除外と共にイソシアネート基に関して単官能であるという性質を有するということは、イソシアネート基と直接反応できる反応性の基を1つしか持たないことを意味する。活性水素を保持するこの反応性の基は、イソシアネート基と反応することによって、ウレタン基、チオウレタン基またはウレア基を生成する。化合物VBのアルジミノ基、ケチミノ基、エナミノ基および/またはオキサゾリジノ基の形でのこのキャップされたアミノ基は、反応したとしても、例外的にゆっくりとした速度でのみ、水分の除外を伴いイソシアネート基と反応する。
【0170】
式(IIIa)または(IIIb)の化合物VB1は、式(Ia)または(Ib)のアルジミノ基を1つまたは2つ有する。水分または水の侵入により、このようなアルジミノ基は、中間体を介して、正式な意味で、アミノ基へと加水分解することができ、これにより、式(VIIa)または(VIIb)のアルデヒドALDが放出される。この加水分解反応は、可逆的であり、化学平衡は、明らかにアルジミンサイドにあるので、アミンに反応する基が存在しない場合、アルジミノ基のいくらかの部分しか加水分解されないと想定できる。加水分解されているアルジミノ基はイソシアネート基と不可逆的に反応することによってウレア基が生成されるので、イソシアネート基の存在下でこの加水分解平衡はシフトする。イソシアネート基と、加水分解されているアルジミノ基との反応は、必ずしも遊離アミノ基を介して進行する必要はない。加水分解反応の中間体との反応も可能であることが認識されることになる。例えば、加水分解されているアルジミノ基は、ヘミアミナールの形で、イソシアネート基と直接反応することが考え得る。水分の除外と共に、アルジミノ基は、イソシアネート基と一緒になって、非常に優れた貯蔵安定性を有する。
【0171】
非エノール化できるアルデヒドALDから継続して調製された式(IIIb)および式(V)の化合物VB1は、これらのアルジミノ基がエナミノ基へ互変異性化することができないという性質をさらに有する。この性質のため、これらのアルジミノ基はまた、非常に反応性のある芳香族イソシアネート基と一緒になって、非常に優れた貯蔵安定性も有する。
【0172】
式(XI)の化合物VB2は、1つまたは2つのケチミノ基を有する。水分の進入により、このようなケチミノ基は、アミノ基へと加水分解し、これによって式(XIII)のケトンが放出される。イソシアネート基の存在下で、加水分解されているケチミノ基は、イソシアネート基と反応することによって、ウレア基を形成する。水分の除外と共に、ケチミノ基は、イソシアネート基、特に脂肪族イソシアネート基と一緒になって、ある一定時間の間、安定した貯蔵性を発揮する。
【0173】
式(XIV)の化合物VB3は、1つまたは2つのエナミノ基を有する。水分の進入により、このようなエナミノ基は、第二級アミノ基へと加水分解され、これにより式(XVII)のアルデヒドまたはケトンが放出される。イソシアネート基の存在下で、加水分解しているエナミノ基は、イソシアネート基と反応することによってウレア基を生成する。水分の除外と共に、エナミノ基は、イソシアネート基、特に脂肪族イソシアネート基と一緒になって、ある一定の時間の間、安定した貯蔵性を発揮する。
【0174】
式(XIX)の化合物VB4は、1つまたは2つのオキサゾリジノ基を有する。水分の進入により、このようなオキサゾリジノ基は、加水分解され、これによって、加水分解されているオキサゾリジノ基1つにつき、第二級アミノ基とヒドロキシル基との両方が放出され、式(XXII)のアルデヒドまたはケトンが放出される。イソシアネート基の存在下で、第二級アミノ基が反応してウレア基を生成し、ヒドロキシル基が反応してウレタン基を生成する。したがって、これらが加水分解された場合、オキサゾリジノ基の形でキャップされたアミノ基は、アルジミノ基、ケチミノ基およびエナミノ基の形でキャップされたアミノ基とは対照的に、イソシアネート基に関して二官能性である。オキサゾリジノ基は、水分の除外と共に、イソシアネート基、特に脂肪族イソシアネート基と一緒になって、非常に優れた貯蔵安定性を有する。
【0175】
イソシアネートモノマー含有量の低いポリウレタン組成物を調製するための本発明の方法において、イソシアネート基を有する少なくとも1つのポリウレタンポリマーPUPは、少なくとも1つの化合物VBと反応する。
【0176】
この反応において、ポリウレタンポリマーPUPのイソシアネート基と、キャップされたアミノ基、および活性水素を保持する化合物VBの基の合計との比は、1以上の値である。存在するキャップされたアミノ基がオキサゾリジノ基の場合、これらは、加水分解後にイソシアネートに関して二官能価として作用するので、有利に二重にカウントされる。したがって、この場合、ポリウレタンポリマーPUPのイソシアネート基と、オキサゾリジノ基の数の2倍の数、存在する他のいかなるキャップされたアミノ基の数および活性水素を保持する化合物VBの基の数の和との間の比は、1以上の数値であるのが有利である。
【0177】
この反応において、活性水素を保持する化合物VBの反応基は、それぞれの場合イソシアネート基と反応することによって、キャップされたアミノ基およびイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリウレタンポリマーを、反応生成物として形成する。反応は、水分の除外と共に、キャップされたアミノ基が、最初に存在するイソシアネート基とさらに反応しないように実施される。反応は、ポリウレタンポリマーPUPが、液体の形で存在する温度で実施するのが適切である。適切ならば、活性水素を保持する反応基とイソシアネート基との反応を促進する触媒が存在してもよい。これは、ヒドロキシル基またはメルカプト基とイソシアネート基との反応に特に好ましい。
【0178】
この反応において形成した反応生成物は、主に、式(XXIV)の例により示されるような化合物である。
【0179】
【化33】

【0180】
式(XXIV)において、
uは、1または2または3または4または5であり、
vは、1または2または3または4または5であり、
ただし、(u+v)は、2または3または4または5または6とし、
Qは、すべてのイソシアネート基を除去した後で、(u+v)のイソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPUPの基であり、
Xは、X1またはX2またはX3またはX4であり、
Aは、A1またはA3またはA4であり、
Gは、式(Ia)または(Ib)のアルジミノ基、ケチミノ基、エナミノ基およびオキサゾリジノ基からなる群から選択される、キャップされたアミノ基である。
【0181】
記述した方法に対して好ましい化合物VBは、記述した式(IIIa)または(IIIb)の化合物VB1、記述した式(XI)の化合物VB2、記述した(XIV)の化合物VB3および記述した式(XIX)の化合物VB4である。
【0182】
記述した方法に対して特に好ましい化合物VBは、記述した式(IIIa)または(IIIb)の化合物VB1、記述した式(XI)の化合物VB2および記述した式(XIX)の化合物VB4である。
【0183】
記述した方法に対して特に好ましい化合物VBは、第三級脂肪族または脂環式のアルデヒドから継続して調製された、記述した式(V)の化合物VB1'および記述した式(XIX)の化合物VB4である。
【0184】
記述した方法に対して最も好ましい化合物VBは、式(XXV)の化合物VB1''
【0185】
【化34】

【0186】
(式中、X1''は、OまたはSまたはN-R7''またはN-R8
(式中、R7''は、1〜20個の炭素原子を有し、少なくとも1種のカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホンもしくはスルホン酸エステルの基を場合によって有する一価の炭化水素基であるか、
または式(XXVI)の置換基である)であり、
【0187】
【化35】

【0188】
A1、B1、Y1、Y2、R3、R5およびR8は、それぞれすでに定義された通りである)である。
【0189】
このような最も好ましい式(XXV)の化合物VB1''は、式(Xb)のアルデヒドALD2から継続して調製される式(V)の化合物VB1'である。
【0190】
記述した方法において、イソシアネートモノマー含有量の低いポリウレタン組成物が得られる。
【0191】
反応の可能性のある生成物がランダムに分布しているため、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPUPを得るためのポリオールとジイソシアネートとの反応により、形成したポリマー内にある残留含有量の未反応のモノマージイソシアネートが残る。これらのモノマージイソシアネートは「イソシアネートモノマー」とも略称されるが、揮発性の化合物であり、その刺激性、アレルゲン誘発性および/または毒作用のため、有害である可能性がある。したがってこれらは、多くの使用分野に望ましくない。これは、スプレー用途および熱いうちに処理される組成物、例えばホットメルト接着剤に関して特に当てはまる。
【0192】
ある特定の含有量のモノマージイソシアネートを有するポリウレタンポリマーPUPと、化合物VBとの、以前に記述した方法での不完全な反応は、モノマージイソシアネート含有量が驚くほど低いポリウレタン組成物をもたらし、この含有量は、反応前のポリウレタンポリマーPUPのモノマージイソシアネート含有量より大幅に低い。
【0193】
驚くほど低いこのモノマージイソシアネート含有量は、以前記述した少なくとも1つの化合物VBを有するイソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPUPの記述した反応において、活性水素を保持する化合物VBの反応基が、ポリウレタンポリマーPUP中に存在するモノマージイソシアネートと好ましく反応するという事実のおかげで達成されると考えられる。このように、ポリウレタンポリマーPUPの一部が化合物VBと反応しないような化学量で反応が実施されたとしても、最初に存在したジイソシアネートモノマーの大きな部分が変換される。このようにして、ポリウレタン組成物のモノマージイソシアネート含有量を有意に減少することができる。
【0194】
記述した方法の大きな利点は、これは極めて効率がよく、費用が安く、さらにモノマーの二重の官能価は失われないので、これらモノマーは、そのポリウレタンポリマーの架橋の過程で形成される高分子量ポリマーへ有利に取り込むことができるという利点がある。
【0195】
ポリウレタン組成物中のモノマージイソシアネート含有量は、多くても開始時の値の50%に対応する値にまで低下させるのが好ましい。
【0196】
記述した方法において、ポリウレタンポリマーPUPは、少なくとも1つの化合物VBとの反応において、ポリウレタン組成物に通常使用される補助剤および添加剤の形で、さらなる物質を場合によって含むこともできる。
【0197】
しかしそのようなさらなる補助剤および添加剤はまた、記述した方法を実施した後で初めて、生成された、イソシアネートモノマー含有量の低いポリウレタン組成物に加えることもできる。
【0198】
例えば、可能な補助剤および添加剤は、以下のものがある
-可塑剤、例えばフタレートなどのカルボン酸エステル、例えばジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレートまたはジイソデシルフタレートなど、アジペート、例えばジオクチルアジペートなど、アゼレートおよびセバケート、有機リン酸エステルおよびスルホン酸エステルまたはポリブテン;
-非反応性熱可塑性ポリマー、例えば不飽和モノマー、特にエチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、イソプレン、酢酸ビニルまたはこれらの高級エステルおよび(メタ)アクリレートを含む群からの不飽和モノマーのホモポリマーまたはコポリマー、特に適切な例は、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)、アタクチックポリ-α-オレフィン(APAO)、ポリプロピレン(PP)およびポリエチレン(PE)である;
-溶媒;
-無機および有機の充填剤、例えば粉砕したまたは沈殿した炭酸カルシウムで、場合によってステアリン酸でコーティングされたもの、カーボンブラック、特に工業的に生産されたカーボンブラック(本明細書では以後「カーボンブラック」と呼ぶ)、バライト(BaSO4、重晶石としても知られている)、カオリン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、シリカ、特に、熱分解法からの高い分散度のシリカ、PVC粉末または中空球;
-繊維、例えばポリエチレン繊維;
-顔料、例えば二酸化チタンまたは酸化鉄;
-キャップされたアミノ基の加水分解を促進する触媒、例えば有機カルボン酸、例えば安息香酸、サリチル酸もしくは2-ニトロ安息香酸など、有機カルボン酸無水物、例えばフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物およびヘキサヒドロメチルフタル酸無水物など、有機カルボン酸のシリルエステル、有機スルホン酸、例えばメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸もしくは4-ドデシルベンゼンスルホン酸など、スルホン酸エステル、その他の有機もしくは無機の酸、または上述の酸および酸エステルの混合物;
-イソシアネート基の反応を促進する触媒、例えば有機錫化合物、例えばジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジアセチルアセトネートおよびジオクチル錫ジラウレートなど、ビスマス化合物、例えばビスマストリオクトエートおよびビスマストリス(ネオデカノエート)、ならびに第三級のアミノ基を含有する化合物、例えば2,2'-ジモルホリノジエチルエーテルおよび1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンなど;
-レオロジー改質剤、例えば増粘剤またはチキソ性付与剤、例えばウレア化合物、ポリアミドワックス、ベントナイトまたはヒュームドシリカ;
-反応性希釈剤および架橋剤、例えばジイソシアネートオリゴマー、例えばMDI、TDIおよびIPDIなど、特にイソシアヌレート、カルボジイミド、ウレトンイミン、ビウレット、アロファネートまたはイミノオキサジアジンジオンの形でのもの、MDI、TDIおよびIPDIなどのジイソシアネートと短鎖ポリオールとの付加反応物、さらにアジピン酸ジヒドラジドおよび他のジヒドラジド;
-キャップされたアミノ基を有する潜在性硬化剤、例えばケチミン、オキサゾリジン、エナミンまたはアルジミン;
-乾燥剤、例えばモレキュラーシーブ、酸化カルシウム、p-トシルイソシアネートなどの高反応性イソシアネート、オルトギ酸エステル、テトラエトキシシランなどのアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどの有機アルコキシシラン、およびシラン基に対してα位に官能基を有する有機アルコキシシランなど;
-接着促進剤、特に、例えばエポキシシラン、ビニルシラン、(メタ)アクリルシラン、イソシアナトシラン、カルバメートシラン、アルキルシラン、S-(アルキルカルボニル)メルカプトシランおよびアルジミノシラン、ならびにこれらのシランのオリゴマーの形のものなどの有機アルコキシシラン(「シラン」);
-熱、光およびUV照射に対する安定剤;
-難燃性物質;
-界面活性物質、例えば湿潤剤、流動性制御剤、脱気剤または脱泡剤;
-殺生物剤、例えば殺藻剤、殺菌剤または真菌の増殖を抑制する物質。
【0199】
このような添加剤によって、ポリウレタン組成物の貯蔵安定性が損なわれないことを確かにするのが有利である。これは、これらの添加剤は、貯蔵時に、キャップされたアミノ基の加水分解またはイソシアネート基の架橋など、架橋をもたらす反応を、有意な程度まで開始させてはならないことを意味する。より具体的には、これは、これらの添加剤のすべてが、たとえあったにしても、多くとも微量の水しか含有すべきではないことを意味する。特定の添加剤は、これらを混合する前に、化学的または物理的に乾燥しておくことが望ましい。
【0200】
記述した方法は、イソシアネートモノマー含有量の低いポリウレタン組成物を生成する。記述した方法から生成される組成物は、組成物の水分反応性成分に対して、モノマージイソシアネート含有量が、1重量%以下、特に0.5重量%以下であることが好ましい。
【0201】
このような組成物は、イソシアネート基とキャップされたアミノ基との両方を有する。水分または水と接触させると、このキャップされたアミノ基は、加水分解され、存在するイソシアネート基と以前記述した方法で反応し始める。加水分解から放出されるイソシアネート反応性基に対して過剰のイソシアネート基が直接水と反応する。このような反応の結果、組成物は、硬化して高分子量のポリマーとなり、このプロセスは、架橋としても知られている。
【0202】
硬化反応に必要な水は、空気(空気中の湿気)から得ることができ、さもなければ組成物は、例えばスプレーによって水を含有する成分と接触させることも可能であり、または適用中に水含有成分を組成物に加えることもできる。
【0203】
組成物は、広い温度範囲内で適用することができる。例えば、組成物は、そのまま典型的な弾性接着剤またはシーリング材として、室温で適用することができる。しかしこの組成物は、それよりも低い、さもなければ高い温度で適用することができる。後者は、組成物が、溶融接着剤に通常存在するような高い粘度または溶融可能な成分を含む場合、例えばウォームメルト接着剤またはホットメルト接着剤などに特に有利である。ウォームメルトの適用温度は、例えば40℃〜80℃の範囲であり、ホットメルトの場合は、85℃〜200℃の間、特に100℃〜150℃の間である。
【0204】
組成物は、少量の水で、気泡の生成なしに、急速に架橋する。注目すべきは、硬化した状態における優れた特性である。組成物は、例えば、高い伸展性および高い引張り強度を有する。その弾性率は、組成物を生成するのに使用される成分、例えばポリオール、ポリイソシアネートと、化合物VBを調製するのに使用されるアミンとの関数として変化する。したがって、ある特定の用途の必要条件に応じて、例えば接着剤には高い値に、またはシーリング材には低い値になるように弾性率を調整することが可能である。
【0205】
イソシアネートモノマー含有量の低いポリウレタン組成物は、多種多様な異なる目的に使用することができる。この組成物は、例えば、様々な基材の接着結合のための接着剤として、例えば自動車、鉄道車両、船または他の産業用製品の製造における構成部品の接着結合のため、特に反応性のホットメルト接着剤として、例えば建設物のジョイントをシーリングするためのあらゆる種類のシーリング材として、および様々な製品または多様な基材に対するコーティング材または仕上げ材として適切である。好ましいコーティング材は、保護用塗料、密封材および保護コーティング、特にはプライマーである。
【0206】
本発明の文書において、「プライマー」は、下塗りに適した組成物を意味し、非反応性の揮発物質で、場合によって固体の添加剤であり、さらに反応基を有する少なくとも1つのポリマーおよび/または少なくとも1つの物質を含み、基材に適用した場合、硬化して、通常少なくとも10μmの厚さの層の中で固い、しっかりと接着した薄膜となり、この硬化が単に、非反応性揮発物質、例えば溶媒もしくは水などの蒸発を介して、または化学反応を介して、またはこれらの要因の組合せのいずれかを介して生じ、その後に適用される層、例えば接着剤またはシーリング材と優れた接着を確立すると理解されている。
【0207】
好ましい仕上げ材は、特に床仕上げ材を含む。このような仕上げ材は、通常、組成物を基材に注ぎ、平らにすることによって作製され、これが硬化して床仕上げ材が形成する。例えば、そのような床仕上げ材は、オフィス、住居、病院、学校、倉庫、車庫および他の個人用または産業用の用途に使用される。
【0208】
しかしこの組成物は、その性質から、モノマージイソシアネート含有量が低くなければならない用途に特に適している。これらは、特に、組成物がスプレーされる用途および組成物が高温で、例えばホットメルト接着剤として適用される用途である。
【0209】
記述した方法から得ることができる組成物は、
i)上記組成物のうちの1つを基材S1に適用するステップと、
ii)組成物のオープンタイム以内に、適用した組成物を基材S2に接触させるステップ、
または
i')上記組成物のうちの1つを、基材S1および基材S2に適用するステップと、
ii')組成物のオープンタイム以内に、適用した組成物を互いに接触させるステップとを含み、
基材S2が、基材S1と同じ材料または異なる材料から構成される、基材S1を基材S2に接着結合させるための方法において使用することができる。
【0210】
記述した方法から得ることができる組成物は、
i'')上記組成物のうちの1つを、基材S1と基材S2との間に適用することによって、この組成物が基材S1と基材S2に接触するステップを含み、
基材S2が、基材S1と同じ材料または異なる材料から構成される、基材S1と基材S2との間をシーリングするための方法において使用することができる。
【0211】
記述した方法から得ることができる組成物は、
i''')組成物のオープンタイム以内に、上記組成物のうちの1つを基材S1に適用するステップを含む、基材S1をコーティングするための方法において使用することができる。
【0212】
組成物がいわゆるウォームメルトの場合、この組成物は、適用前に40℃〜80℃、特に60℃〜80℃の温度に加熱し、特に、接着結合のための上記方法のステップi)またはi')においてこの温度で適用する。
【0213】
組成物がいわゆるホットメルトの場合、この組成物は、適用前に85℃〜200℃、特に100℃〜180℃、好ましくは120℃〜160℃の温度に加熱し、特に、接着結合のための上記方法のステップi)またはi')においてこの温度で適用する。
【0214】
適切な基材S1またはS2は、例えば、無機基材、例えばガラス、ガラスセラミック、コンクリート、モルタル、レンガ、タイル、石膏、および花崗岩または大理石などの天然石など、金属または合金、例えばアルミニウム、スチール、非二価鉄金属、亜鉛メッキした金属など、有機基材、例えば皮革、織物、紙、木、樹脂で結合した木材、樹脂-繊維複合材料、ポリマー、例えばポリ塩化ビニル(PVC)、アクリロニトリル-ブタジエンスチレンコポリマー(ABS)、SMC(シートに成型した複合材)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエステル、ポリオキシメチレン(POM)、エポキシ樹脂、ポリウレタン(PU)、ポリオレフィン(PO)、特に表面プラズマ、コロナまたは火炎で表面処理したポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)など、エチレン/プロピレンコポリマー(EPM)およびエチレン/プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)など、さらにペンキおよびペンキ系、特に自動車用ペンキ系である。
【0215】
このような記述した接着結合、シーリングまたはコーティングのための方法は、製品を作り出す。
【0216】
この製品は、特に建築構造物、特に建築もしくは土木における建築構造物、または産業用製品もしくは消費者用製品、特に窓、屋内器具、または輸送手段、特に水上もしくは陸上での乗物、好ましくは自動車、バス、トラック、列車もしくは船、または輸送手段に設置できる部品、または家具、繊維、もしくはパッケージング産業における製品である。
【0217】
記述した方法は、イソシアネートモノマー含有量の低いホットメルト接着剤組成物を調製するのに、特に適している。この目的を達成するために、
a)イソシアネート基を有し、以前に記述した通りの、少なくとも1種の室温で固体のポリウレタンポリマーPUP1が、
b)以前に記述した、少なくとも1種の化合物VBと反応する
(ただし、ポリウレタンポリマーPUP1のイソシアネート基と、キャップされたアミノ基、および活性水素を保持する化合物VBの基の合計との比が1以上の値とする)。
【0218】
この方法により、驚くほどイソシアネートモノマー含有量の低い、反応性ホットメルト接着剤が生じる。
【0219】
反応性ホットメルト接着剤の作用機序のため、接着剤は溶融可能であることが重要であり、これはこの接着剤が、適用温度で利用可能なほど十分に低い粘度を有し、空気中の湿気との架橋反応が完了する前でも(初期強度)、冷却が経過するにつれて可能な限り急速に十分な接着強度を確立することを意味する。イソシアネートモノマー含有量が低く、記述した方法から得ることのできるホットメルト接着剤は、85℃〜200℃、通常は120℃〜160℃の範囲の、ホットメルト接着剤にしては通例である適用温度で、容易に管理しやすい粘度を有し、冷却が経過するにつれて十分に速い速度で、優れた接着強度を確立することが判明した。
【0220】
利用している途中で、そのようなホットメルト接着剤は、特に空気中の湿気という形で水分と接触する。冷却が経過するにつれて凝固するため、接着剤が物理的に硬化されるのと平行して、存在するアルジミノ基が水分により加水分解され、存在するイソシアネート基と以前に記述したように急速に反応することが主な原因となって、水分との化学的架橋も始まる。過剰のイソシアネート基も同様に、水分により、既知の方法で架橋する。
【0221】
記述した方法から得ることのできるホットメルト接着剤は、水分との架橋の過程で気泡が形成する傾向が大きく減少している。これは、キャップされたアミノ基の存在のおかげで、化学量論によると、架橋の過程で少量の二酸化炭素しか形成しないか、または二酸化炭素はまったく形成しないからである。
【0222】
(実施例)
試験方法の説明
赤外スペクトルをPerkin-Elmer製FT-IR1600機器(ZnSe結晶付きの水平なATR分析装置)で測定し、物質は、無希釈のまま薄膜として適用した。吸収バンドは、波数(cm-1)で報告する(測定ウィンドウ:4000-650cm-1)。
【0223】
1H NMRスペクトルを、Bruker DPX-300分光器で、300.13MHzで測定した。化学シフトδは、テトラメチルシラン(TMS)と比較してppmで報告し、結合定数Jは、Hzで報告する。本当のカップリングパターンと偽のカップリングパターンは、区別しなかった。
【0224】
粘度は、サーモスタットを備えたPhysica UM円錐体プレート粘度計(円錐体直径20mm、円錐体角度1°、円錐体チップ-プレート距離0.1mm、せん断速度10〜1000s-1)上で特定された温度で測定した。
【0225】
調製したジアルジミンのアミン含有量、すなわちアルジミノ基の形で保護されたアミノ基の含有量を(氷酢酸中の0.1N HClO4で、青紫色結晶を用いて)滴定により求めた。これは常にmmolN/gで報告される。
【0226】
モノマージイソシアネートの含有量を、HPLCを用いて求めた(フォトダイオードアレイによる検出、移動相として0.04M酢酸ナトリウム/アセトニトリルを使用)。これは、組成物全体の重量%に基づいて報告される。
【0227】
引張り強度、破断点伸びおよび弾性率を、厚さ1mmおよび長さ75mmのダンベル(中心エレメントの長さ30mm、中心エレメントの幅4mm)についてDIN53504に基づいて求めた。ダンベルを作成するため、厚さ1mmの接着剤膜を調製し(接着剤の適用温度130℃)、そこからダンベルを打ち抜き、次いで特定された時間の間23℃および50%相対空気湿度で保存した。
【0228】
a)キャップされたアミノ基および活性水素を保持する基を有する化合物の調製
化合物VB-01
水分離器およびスターラー付き丸底フラスコにまず、2-(2-アミノエトキシ)エタノール(Diglycolamine(登録商標)Agent、Huntsman)10.00g、シクロヘキサノン13.83gおよびシクロヘキサン100mlを仕込み、計算した水の量が分離されるまでこの混合物を加熱還流した。次いで、反応混合物の揮発成分を減圧下で(10mbar、100℃)取り除いた。収量:17.5gの淡黄色の透明な液体、アミン含有量5.20mmolN/g。
IR: 3360brおよび3200br (O-H)、2926、2854、1658 (C=N)、1448、1346、1312、1278、1261、1238、1229sh、1124、1062、1029sh、972、916、892、873、858、836、806、772、744、660。
【0229】
化合物VB-02
水分離器およびスターラー付き丸底フラスコにまず、3-アミノ-1-プロパノール15.00g、3,3-ジメチル-2-ブタノン30.00gおよびシクロヘキサン100mlを仕込み、計算した水の量が分離されるまでこの混合物を加熱還流した。次いで、反応混合物の揮発成分を減圧下で(10mbar、70℃)取り除いた。収量:29.8gの無色透明な液体、アミン含有量6.37mmolN/g。
IR: 3350br (O-H)、2960、2928、2868、1650 (C=N)、1474sh、1464、1432、1390、1362、1285、1220、1202、1146、1058、1028、994、946、927、914、834、808、713。
【0230】
化合物VB-03
水分離器およびスターラー付き丸底フラスコにまず、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン20.00g、シクロヘキサノン15.83g、ギ酸0.4gおよびシクロヘキサン100mlを仕込み、計算した水の量が分離されるまでこの混合物を加熱還流した。次いで、反応混合物の揮発成分を減圧下で(10mbar、100℃)取り除いた。収量:31.3gの淡黄色の透明な液体、アミン含有量9.37mmolN/g。
IR: 3385br (O-H)、3056、2922、2881、2855、2812、2765sh、2695、1644 (C=C)、1452、1386、1346、1300、1282、1270、1204、1188sh、1138、1056、1039sh、1016sh、1008、976、952、930、917、894、876、836、788、688、666。
【0231】
化合物VB-04
水分離器およびスターラー付き丸底フラスコにまず、窒素雰囲気下で、ジエタノールアミン20.00g、イソブチルアルデヒド15.10gおよびシクロヘキサン100mlを仕込み、計算した水の量が分離されるまでこの混合物を加熱還流した。次いで、反応混合物の揮発成分を減圧下で(10mbar、70℃)取り除いた。収量:30.8gの無色透明な液体、アミン含有量6.33mmolN/g。
IR: 3420br (O-H)、2956、2931sh、2872、2810、2706、1731、1470、1390、1360、1327、1292、1221、1194、1164、1142、1118、1056、954、934、897sh、880、847、812、678。
【0232】
化合物VB-05
水分離器およびスターラー付き丸底フラスコにまず、窒素雰囲気下で、2-(2-アミノエトキシ)エタノール(ジグリコールアミン(Diglycolamine(登録商標)Agent、Huntsman)5.00g、ピバルアルデヒド5.00gおよびシクロヘキサン100mlを仕込み、計算した水の量が分離されるまでこの混合物を加熱還流した。次いで、反応混合物の揮発成分を減圧下で(10mbar、70℃)取り除いた。収量:7.9gの無色透明な液体、アミン含有量は5.93mmolN/gであり、粘度は20℃で10mPa・sである。
IR: 3375br (O-H)、2956、2933、2927、2902、2864、2710br、1666 (C=N)、1476、1458、1396、1362、1340sh、1278、1230sh、1212、1126、1060、958sh、942、920、894、812、776。
【0233】
化合物VB-06
丸底フラスコにまず、窒素雰囲気下で、2-(2-アミノエトキシ)エタノール(Diglycolamine(登録商標)Agent、Huntsman)10.00gを仕込んだ。活発に撹拌しながら、混合物の加熱過程において、ベンズアルデヒド10.34gを滴下漏斗からゆっくりと加えた。その後、揮発成分を減圧下で(10mbar、70℃)取り除いた。収量:18.5gの黄色の透明な液体、アミン含有量は5.07mmolN/gであり、粘度は20℃で75mPa・sである。
IR: 3380br (O-H)、3084、3061、3029、2934sh、2909sh、2858、1959br、1897br、1823br、1700、1644 (C=N)、1600、1580、1492、1450、1378、1342、1312、1294、1220、1170、1122、1062、1027、1002sh、968、931、892、853、810、754、692。
【0234】
化合物VB-07
丸底フラスコにまず、窒素雰囲気下で、3-アセトキシ-2,2-ジメチルプロパナール16.74gを仕込んだ。活発に撹拌しながら、混合物の加熱過程において、2-(2-アミノエトキシ)エタノール(Diglycolamine(登録商標)Agent、Huntsman)12.00gを滴下漏斗からゆっくりと加えた。その後、揮発成分を減圧下で(10mbar、100℃)取り除いた。収量:26.5gの無色透明な液体、アミン含有量は4.25mmolN/gであり、粘度は20℃で10mPa・sである。
IR: 3415br (O-H)、2962、2928、2914、2902、2888sh、2866、2849sh、2722br、1736 (C=O)、1666 (C=N)、1470、1458sh、1439sh、1395、1374、1234、1126、1038、1009、988、931、894、847、814、793sh。
1H NMR (CDCl3, 300K): δ 7.59 (t, 1H, J≒1.3, CH=N)、4.03 (s, 2H, CH2O)、3.71 (m, 4H, HOCH2CH2OCH2CH2N)、3.58 (m, 4H, HOCH2CH2OCH2CH2N)、3.06 (s, 1H, OH)、2.06 (s, 3H, CH3CO)、1.11 (s, 6H, C(CH3)2)。
【0235】
化合物VB-08
丸底フラスコにまず、窒素雰囲気下で、3-アセトキシ-2,2-ジメチルプロパナール14.39gを仕込んだ。活発に撹拌しながら、固体の5-アミノ-1-ペンタノール10.00gを、これが溶液へと溶解され、この混合物を加熱する過程において、いくつかの部分に分けて加えた。その後、揮発成分を減圧下で(10mbar、100℃)取り除いた。収量:22.4gの無色透明な液体、アミン含有量は4.28mmolN/gであり、粘度は20℃で50mPa・sである。
IR: 3380br (O-H)、2932、2860、2723br、1738 (C=O)、1666 (C=N)、1470、1458、1437sh、1395、1374、1238、1069sh、1038、1012sh、988、928、891、846、775、734。
1H NMR (CDCl3, 300K): δ 7.52 (t, 1H, J≒1.2, CH=N)、4.02 (s, 2H, CH2O)、3.63 (t, 2H, J≒6.5, HOCH2CH2CH2)、3.39 (t×d, 2H, J≒6.9/1.2, CH=NCH2CH2)、2.11 (s, 1H, OH)、2.05 (s, 3H, CH3CO)、1.60 (m, 4H, HOCH2CH2CH2およびCH=NCH2CH2)、1.36 (m, 2H, HOCH2CH2CH2)、1.11 (s, 6H, C(CH3)2)。
【0236】
化合物VB-09
丸底フラスコにまず、窒素雰囲気下で、3-アセトキシ-2,2-ジメチルプロパナール15.94gを仕込んだ。活発に撹拌しながら、60℃で液化していたビス(ヘキサメチレントリアミン)(BHMT-HP、Invista)12.00gを、この混合物を加熱する過程において、いくつかの部分に分けてピペットで移した。その後、揮発成分を減圧下で(10mbar、100℃)取り除いた。収量:26.1gの無色透明な液体、アミン含有量は6.24mmolN/gであり、粘度は20℃で60mPa・sである。
IR: 3313 (N-H)、2963sh、2928、2852、2826、1738 (C=O)、1668 (C=N)、1468、1437sh、1394、1374、1339sh、1234、1128、1038、1011sh、986、928、844、730、668。
1H NMR (CDCl3, 300K): δ 7.51 (t, 2H, J≒1.2, CH=N)、4.02 (s, 4H, CH2O)、3.36 (t×d, 4H, J≒6.9/1.2, CH=NCH2CH2)、2.58 (t, 4H, J≒7.2, NHCH2CH2CH2)、2.04 (s, 6H, CH3CO)、1.63〜1.43 (m, 9H, CH=NCH2CH2CH2およびNHCH2CH2CH2)、1.30 (m, 8H, CH=NCH2CH2CH2およびNHCH2CH2CH2)、1.10 (s, 12H, C(CH3)2)。
【0237】
b)ポリウレタンポリマーの調製
ポリウレタンポリマーPUP-1
Dynacoll(登録商標)7360ポリオール(Degussa、結晶性ポリエステルジオール、OH番号32mg KOH/g、酸価約2mg KOH/g)780gおよび4,4'-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI、Desmodur(登録商標)44MC L、Bayer)120gを、80℃で、NCO末端したポリウレタンポリマーに既知の方法で変換した。滴定により求めた、室温で固体の反応生成物の遊離イソシアネート基の含有量は、1.97重量%であった。
【0238】
ポリウレタンポリマーPUP-2
Dynacoll(登録商標)7360ポリオール(Degussa、結晶性ポリエステルジオール、OH番号32mg KOH/g、酸価約2mg KOH/g)435gおよびイソホロンジイソシアネート(IPDI、Vestanat(登録商標)IPDI、Degussa)65gを、80℃で、NCO末端したポリウレタンポリマーに既知の方法で変換した。滴定により求めた、室温で固体の反応生成物の遊離イソシアネート基の含有量は、2.25重量%であった。
【0239】
c)ホットメルト接着剤の生成
(実施例1〜6および比較例7)
各実施例に対して、表1による特定の成分を100℃に加熱し、窒素雰囲気下で、特定された重量部をスクリュー先端部のポリプロピレンカップで秤量し、遠心型撹拌機(SpeedMixer(商標)DAC150、FlackTek Inc.、3000rpmで1min)を用いて混合した。こうして得た流動性の混合物は、その後直ちに、空気が漏れないようにシーリングし、内部コーティングされているアルミニウムチューブに移し、1時間の間100℃で保存した。
【0240】
【表1】

【0241】
実施例1〜6において、ポリウレタンポリマーPUP-Iのイソシアネート基と、化合物VB-04〜VB-09中のイソシアネート基に反応する基(遊離およびキャップされたヒドロキシル基、遊離およびキャップされたアミノ基)の合計との間の比は、1.0/0.9である。
【0242】
こうして生成した実施例1〜6および比較例7のホットメルト接着剤の粘度およびモノマーの4,4‘-メチレンジフェニルジイソシアネート(4,4'-MDI)含有量をテストした。7日の間保存してあった接着剤の薄膜の引張り強度、破断点伸びおよび弾性率を測定した。結果を表2に示す。
【0243】
【表2】

【0244】
本発明による方法を用いて生成した実施例1〜6のホットメルト接着剤については、粘度は容易に管理しやすく、7日間での硬化により、高い引張り強度、高い破断点伸びおよび高い弾性率を有する、十分に架橋したポリマーが得られることが表2から明らかである。比較例7のホットメルト接着剤と比較して、実施例1〜6のホットメルト接着剤では、モノマーの4,4'-MDIの含有量が有意に低下しており、本発明による方法によりこの含有量は、開始時の数値の6%〜27%の間の数値まで低下している。
【0245】
(実施例8〜13および比較例14)
各実施例に対して、表3による特定の成分を100℃に加熱し、窒素雰囲気下で、特定された重量部をスクリュー先端部のポリプロピレンカップで秤量し、遠心型撹拌機(SpeedMixer(商標)DAC150、FlackTek Inc.、3000rpmで1min)を用いて混合した。こうして得た流動性の混合物は、その後直ちに、空気が漏れないようにシーリングし、内部コーティングされているアルミニウムチューブに充填し、1時間の間100℃で保存した。
【0246】
【表3】

【0247】
実施例8〜13において、ポリウレタンポリマーPUP-2のイソシアネート基と、化合物VB-01〜VB-05、およびVB-07中のイソシアネート基に反応する基(遊離およびキャップされたヒドロキシル基、遊離およびキャップされたアミノ基)の和との間の比は、1.0/0.9である。
【0248】
こうして生成した実施例8〜13および比較例14のホットメルト接着剤の粘度およびモノマーのイソホロンジイソシアネートの含有量(IPDI、シスおよびトランス異性体の和)をテストした。3週間の間保存してあった接着剤薄膜の引張り強度、破断点伸びおよび弾性率を測定した。結果を表4に示す。
【0249】
【表4】

【0250】
本発明による方法を用いて作成した実施例8〜13のホットメルト接着剤については、粘度は容易に管理しやすく、3週間での硬化により、高い引張り強度、高い破断点伸びおよび高い弾性率を有する、十分に架橋したポリマーが得られることが、表4から明らかである。比較例14のホットメルト接着剤と比較して、実施例8〜13のホットメルト接着剤では、モノマーのIPDIの含有量が有意に低下しており、本発明による方法によりこの含有量は、開始時の数値の1%〜28%の間の数値まで低下している。比較例14のホットメルト接着剤は、3週間経っても完全に架橋しておらず、したがって破断点伸びが不十分である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)イソシアネート基を有する、少なくとも1種のポリウレタンポリマーPUPが、
b)活性水素を保持する、少なくとも1種の化合物VBと反応し、
ただし、ポリウレタンポリマーPUPのイソシアネート基と、キャップされたアミノ基、および活性水素を保持する化合物VBの基の合計との比が、1以上の値とし、
ここで、化合物VBが、
i)活性水素を保持し、ヒドロキシル基またはメルカプト基または第二級アミノ基である基と、
ii)式(Ia)または(Ib)のアルジミノ基、ケチミノ基、エナミノ基およびオキサゾリジノ基からなる群から選択される、少なくとも1つのキャップされたアミノ基
【化1】

((式(Ia)中、
Z1およびZ2は、
それぞれ独立して、水素原子、もしくは1〜12個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であるか、
または
一緒になって、4〜20個の炭素原子を有し、5〜8個、好ましくは6個の炭素原子を有する、場合によって置換されている炭素環の一部分である二価の炭化水素基であり、
Z3は、
水素原子であるか、
または、分枝状もしくは非分枝状の、アルキル基、シクロアルキル基、アルキレン基またはシクロアルキレン基であるか
または、置換もしくは非置換の、アリール基もしくはアリールアルキル基であるか、
または、式O-R2もしくは以下の基
【化2】

(式中、R2は、
アリール基、アリールアルキル基またはアルキル基であり、いずれの場合も置換または非置換である)であるか、
または、式(II)の基
【化3】

(式(II)中、
R3は、水素原子またはアルキル基もしくはアリールアルキル基、特に1〜12個の炭素原子、好ましくは水素原子を有し、
R4は、1〜30個の炭素原子を有し、エーテル酸素原子を場合によって含有する炭化水素基であるか、
または、以下の基
【化4】

(式中、R5は、水素原子、または1〜5個の炭素原子を有する炭化水素基である)である)である)および
(式(Ib)中、
Z4は、5〜8、好ましくは6原子の環サイズを有する置換または非置換のアリール基またはヘテロアリール基であるか、
または、以下
【化5】

(式中、R6は、
水素原子であるか、もしくはアルコキシ基である)であるか、
または少なくとも6個の炭素原子を有する、置換もしくは非置換のアルケニル基もしくはアリールアルケニル基である))
との両方を有することを特徴とする、モノマージイソシアネート含有量の低いポリウレタン組成物を調製するための方法。
【請求項2】
イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPUPが、室温で固体のポリウレタンポリマーPUP1であり、好ましくは、1000〜10000g/mol、特に2000〜5000g/molの分子量を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
活性水素を保持する化合物VBが、アルジミノ基を有し、式(IIIa)または(IIIb)のものである化合物VB1である
【化6】

(式中、
A1は、
2〜20個の炭素原子を有し、場合によってヘテロ原子を有する二価の炭化水素基であるか、
または、R8と一緒になって、3〜20個の炭素原子を有し、特にエーテル酸素もしくは三級アミン窒素の形で、少なくとも1つのヘテロ原子を場合によって含有する三価の炭化水素基であり、
X1は、OまたはSまたはN-R7またはN-R8
(式中、R7は、
1〜20個の炭素原子と、少なくとも1種のカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホンもしくはスルホン酸エステルの基を場合によって有する一価の炭化水素基であるか、
または式(IVa)もしくは(IVb)の置換基
【化7】

(式中、B1は、2〜20個の炭素原子を有し、ヘテロ原子を場合によって有する二価の炭化水素基である)であり、
R8は、A1と一緒になって、3〜20個の炭素原子を有し、特にエーテル酸素または三級アミン窒素の形で、少なくとも1つのヘテロ原子を場合によって含有する三価の炭化水素基である)である)
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
活性水素を保持する化合物VBが、アルジミノ基を有し、式(V)のものである化合物VB1'である
【化8】

(式中、
Y1およびY2は、
それぞれ独立して、1〜12個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であるか、
または一緒になって、4〜12個の炭素原子を有し、5〜8個、好ましくは6個の炭素原子を有する、場合によって置換されている炭素環の一部分である二価の炭化水素基であり、
Y3は、
分枝状もしくは非分枝状のアルキル基、シクロアルキル基、アルキレン基もしくはシクロアルキレン基であるか
または、置換もしくは非置換のアリール基もしくはアリールアルキル基であるか、
または式O-R2もしくは以下の基であるか
【化9】

または式(II)の基であり、
【化10】

X1'は、OまたはSまたはN-R7'またはN-R8
(式中、R7'は、
1〜20個の炭素原子を有し、少なくとも1種のカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホンまたはスルホン酸エステルの基を場合によって有する一価の炭化水素基であるか、
または式(VI)の置換基
【化11】

である)である)
ことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
活性水素を保持する化合物VBが、アルジミノ基を有し、式(XXV)のものである化合物VB1''である
【化12】

(式中、
X1''は、OまたはSまたはN-R7''またはN-R8
(式中、R7''は、
1〜20個の炭素原子を有し、少なくとも1種のカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホンもしくはスルホン酸エステルの基を場合によって有する一価の炭化水素基であるか、
または式(XXVI)の置換基
【化13】

である)である)
ことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
式(IIIa)または(IIIb)の化合物VB1が、少なくとも1種の式(VII)のアミンB1と、少なくとも1種の式(VIIIa)または(VIIIb)のアルデヒドALDとの反応から得られる
【化14】

(式中、
X1aは、OもしくはSもしくはN-R9もしくはN-R8
(ここで、R9は、
1〜20個の炭素原子および少なくとも1種のカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホンまたはスルホン酸エステルの基を場合によって有する一価の炭化水素基であるか、
または式(VIIa)の置換基
【化15】

である)であり、
前記アルデヒドALDが、アミンB1の第一級アミノ基に対して、化学量論的に使用されるか、または化学量論的に過剰に使用される)
ことを特徴とする、請求項3または4または5に記載の方法。
【請求項7】
アルデヒドALDが、エノール化できない、より具体的にはカルボニル基のα位に水素原子を有していないことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
アルデヒドALDが、式(VIIIb)または式(IX)
【化16】

のアルデヒドであることを特徴とする、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
アルデヒドALDが、式(Xa)のアルデヒドALD1であり
【化17】

(式中、R4aは、1〜30個の炭素原子、特に11〜30個の炭素原子を有し、エーテル酸素原子を場合によって含有する炭化水素基である)、
前記アルデヒドALD1が、好ましくは2,2-ジメチル-3-フェノキシプロパナール、3-シクロヘキシルオキシ-2,2-ジメチル-プロパナール、2,2-ジメチル-3-(2-エチルヘキシルオキシ)プロパナール、2,2-ジメチル-3-ラウロキシプロパナールおよび2,2-ジメチル-3-ステアロキシプロパナールからなる群から選択される
ことを特徴とする、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
アルデヒドALDが、式(Xb)のアルデヒドALD2であり
【化18】

(式中、R5は、水素原子または1〜5個の炭素原子を有する炭化水素基である)、
前記アルデヒドALD2が、好ましくは2,2-ジメチル-3-ホルミルオキシプロパナール、3-アセトキシ-2,2-ジメチルプロパナール、2,2-ジメチル-3-プロピオンオキシプロパナール、3-ブチロキシ-2,2-ジメチルプロパナール、2,2-ジメチル-3-イソブチロキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-ペントイルオキシプロパナールおよび2,2-ジメチル-3-ヘキソイルオキシプロパナールからなる群から選択される
ことを特徴とする、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
アルデヒドALDが、ベンズアルデヒド、2-および3-および4-トルアルデヒド、4-エチル-および4-プロピル-および4-イソプロピル-および4-ブチルベンズアルデヒド、2,4-ジメチルベンズアルデヒド、2,4,5-トリメチルベンズアルデヒド、4-アセトキシベンズアルデヒド、4-アニスアルデヒド、4-エトキシベンズアルデヒド、ジ-およびトリアルコキシベンズアルデヒドの異性体、2-、3-および4-ニトロベンズアルデヒド、2-、3-および4-ホルミルピリジン、2-フルフルアルデヒド、2-チオフェンカルバルデヒド、1-および2-ナフチルアルデヒド、3-および4-フェニルオキシベンズアルデヒド、キノリン-2-カルバルデヒドおよびこの3、4、5、6、7および8位異性体およびアントラセン-9-カルバルデヒド、ならびにグリオキサール、グリオキサル酸エステル、例えばグリオキサル酸メチル、桂皮アルデヒドおよび置換桂皮アルデヒドからなる群から選択されることを特徴とする、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
活性水素を保持する化合物VBが、ケチミノ基を有し、式(XI)のものである化合物VB2である
【化19】

(式中、A1は、
2〜20個の炭素原子を有し、ヘテロ原子を場合によって有する二価の炭化水素基であるか、
または、R8と一緒になって、3〜20個の炭素原子を有し、特にエーテル酸素もしくは三級アミン窒素の形で、少なくとも1つのヘテロ原子を場合によって含有する三価の炭化水素基であり、
X2は、OまたはSまたはN-R10またはN-R8
(式中、R10は、1〜20個の炭素原子を有し、少なくとも1種のカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホンもしくはスルホン酸エステルの基を場合によって有する一価の炭化水素基であるか、
または、式(XII)の置換基
【化20】

(式中、B1は、2〜20個の炭素原子を有し、ヘテロ原子を場合によって有する二価の炭化水素基である)であり、
R8は、A1と一緒になって、3〜20個の炭素原子を有し、特にエーテル酸素または三級アミン窒素の形で、少なくとも1つのヘテロ原子を場合によって含有する三価の炭化水素基である)であり、
Z5およびZ6は、
それぞれ独立して、1〜12個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であるか、
または
一緒になって、4〜20個の炭素原子を有し、炭素原子5〜8個、好ましくは6個を有する、場合によって置換されている炭素環の一部分である二価の炭化水素基である)
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項13】
Z5およびZ6が、それぞれ独立して、1〜6個の炭素原子を有する、非分枝状もしくは特に分枝状のアルキル基であるか、
または一緒になって、4〜10個の炭素原子を有し、5もしくは6個、特に6個の炭素原子を有する、場合によって置換されている炭素環の一部分であるアルキル基であり
および/またはX2は、好ましくはOもしくはN-R10もしくはN-R8である
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
活性水素を保持する化合物VBが、エナミノ基を有し、式(XIV)のものである化合物VB3である
【化21】

(式中、A3は、
2〜20個の炭素原子を有し、ヘテロ原子を場合によって有する二価の炭化水素基であるか、
または、D1と一緒になって、もしくはR12と一緒になって、3〜20個の炭素原子を有し、特にエーテル酸素もしくは三級アミン窒素の形で、少なくとも1つのヘテロ原子を場合によって含有する三価の炭化水素基であり、
X3は、OまたはSまたはN-R11またはN-R12
(式中、R11は、
1〜20個の炭素原子を有し、少なくとも1つのカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホンもしくはスルホン酸エステルの基を場合によって有する一価の炭化水素基であるか、
または式(XV)の置換基
【化22】

(式中、B1は、2〜20個の炭素原子およびヘテロ原子を場合によって有する二価の炭化水素基であり、
D2は、1〜12個の炭素原子を有する一価の炭化水素基である)であり、
R12は、A3と一緒になって、もしくはD1と一緒になって、3〜20個の炭素原子を有し、少なくとも1つのヘテロ原子を、特にエーテル酸素または三級アミン窒素の形で場合によって含有する三価の炭化水素基である)であり、
Z7およびZ8は、
それぞれ独立して、水素原子もしくは1〜12個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であるか、または
一緒になって、3〜20個の炭素原子を有し、5〜8個、好ましくは6個の炭素原子を有する、場合によって置換されている炭素環の一部分である二価の炭化水素基であり、
Z9は、水素原子または1〜12個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり、
D1は、
1〜12個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であるか、または
R12と一緒になって、もしくはA3と一緒になって、4〜20個の炭素原子を有し、少なくとも1つのヘテロ原子を、特にエーテル酸素または三級アミン窒素の形で場合によって含有する三価の炭化水素基である)
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項15】
Z7、Z8およびZ9が、それぞれ独立して、水素原子であるか、または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
活性水素を保持する化合物VBが、オキサゾリジノ基および式(XIX)を有する化合物VB4である
【化23】

(式中、
A4は、2〜20個の炭素原子を有し、ヘテロ原子を場合によって有する二価の炭化水素基であり、
Z10およびZ11は、それぞれ独立して、水素原子であるか、または1〜12個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり、
D3は、2または3個の炭素原子を有する、場合によって置換されているアルキレン基であり、
X4は、OまたはSまたはN-R14
(式中、R14は、
1〜20個の炭素原子を有し、少なくとも1つのカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホンもしくはスルホン酸エステルの基を場合によって有する一価の炭化水素基であるか、
または式(XX)の置換基
【化24】

(式中、B1は、2〜20個の炭素原子を有し、ヘテロ原子を場合によって有する二価の炭化水素基である)である)である)
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項17】
Z10が水素原子であり、Z11が1〜8個の炭素原子を有するアルキル基であり、および/または
A4が、2または3個の炭素原子を有する、場合によって置換されているアルキレン基であり、および/またはX4がOであることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ポリウレタン組成物中のモノマージイソシアネート含有量を、多くても開始時の値の50%に対応する値にまで低下させることを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の、イソシアネートモノマー含有量の低いポリウレタン組成物の調製方法から得られることを特徴とする、組成物の水分反応性成分に対して、1重量%以下、特に0.5重量%以下のモノマージイソシアネート含有量を有する組成物。
【請求項20】
i)請求項19に記載の組成物を基材S1に適用するステップと、
ii)前記組成物のオープンタイム以内に、適用した組成物を基材S2と接触させるステップ、
または
i')請求項19に記載の組成物を基材S1および基材S2に適用するステップと、
ii')前記組成物のオープンタイム以内に、適用した組成物を互いに接触させるステップとを含み、
基材S2が基材S1と同じ材料または異なる材料から構成される、基材S1を基材S2に接着結合させる方法。
【請求項21】
i'')請求項19に記載の組成物を、この組成物が基材S1と基材S2に接触するように、基材S1と基材S2との間に適用するステップを含み、
基材S2が基材S1と同じ材料または異なる材料から構成される、シーリングのための方法。
【請求項22】
i''')請求項19に記載の組成物を、この組成物のオープンタイム以内に、基材S1に適用するステップを含む、基材S1をコーティングするための方法。
【請求項23】
組成物が、適用される前に、40℃〜80℃、特に60℃〜80℃の温度に加熱され、特にステップi)またはi')またはi'')またはi''')においてこの温度で適用されることを特徴とする、請求項20または21または22に記載の方法。
【請求項24】
組成物が、適用される前に、85℃〜200℃、特に100℃〜180℃、好ましくは120℃〜160℃の温度に加熱され、特にステップi)またはi')またはi'')またはi''')においてこの温度で適用されることを特徴とする、請求項20または21または22に記載の方法。
【請求項25】
請求項20から24のいずれか一項に記載の方法で、接着結合、シーリングまたはコーティングされた製品。
【請求項26】
建築構造物、特に建築もしくは土木における建築構造物、または産業用製品もしくは消費者用製品、特に窓、屋内器具、または輸送手段、特に水上もしくは陸上での乗物、好ましくは自動車、バス、トラック、列車もしくは船、または輸送手段に設置できる部品、または家具、繊維、もしくはパッケージング産業における製品であることを特徴とする、請求項25に記載の製品。

【公表番号】特表2010−522269(P2010−522269A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500287(P2010−500287)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【国際出願番号】PCT/EP2008/053709
【国際公開番号】WO2008/116927
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】