説明

インクジェットプリンティングシステム及びこれを利用した表示装置の製造方法

【課題】本発明はインクジェットプリンティングシステム及びこれを利用した表示装置の製造方法に関する。
【解決手段】本発明の一実施例によるインクジェットプリンティングシステムは、基板が搭載される基板搭載面を有するステージ500と、前記基板が搭載される位置にインクを滴下するインクジェットヘッド700と、前記インクジェットヘッドを移動させる移送装置300, 600と、前記基板上に滴下されたインク滴の体積を測定する検量装置620, 800と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェットプリンティングシステム及びこれを利用した表示装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイは、画面の大きさに比べて厚さの薄い表示装置を指すもので、広く使用されるフラットパネルディスプレイとしては、液晶表示装置と有機発光表示装置等がある。
液晶表示装置は、現在最も広く使用されているフラットパネルディスプレイのうちの1つであって、画素電極と共通電極など電場生成電極と配向膜が形成されている2枚の表示板と、その間に挟持された液晶層、及び色を表示するための複数のカラーフィルタを備えている。配向膜は、液晶分子の初期配向を決定し、電場生成電極は、電場を生成して液晶層の液晶分子の配向を変える。このような液晶表示装置における液晶層を通過する入射光は、液晶分子の配向によってその偏光状態が変わり、このような偏光の変化は、偏光子によっ光透過率の変化として現れる。
【0003】
有機発光表示装置は、画素電極と共通電極の2つの電極と、その間に位置する発光層を含み、一方の電極から注入された電子(electron)と、他方の電極から注入された正孔(hole)とが発光層で結合して励起子(exiton)を形成し、励起子がエネルギーを放出して発光する。
このような表示装置は、画素電極に接続されるスイッチング素子、スイッチング素子を制御して、画素電極に電圧を印加するためのゲート線とデータ線など複数の信号線をさらに含む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような表示装置の様々な構成要素は、一般に、写真エッチング工程により形成する。しかし、フラットパネルディスプレイの大型化に伴い、該構成要素を薄膜パターンに形成するため基板に塗布する感光膜などの量が増加するようになり、製造費用が上昇し、写真エッチング工程に使用される製造設備も大型化する。
このような問題点を最少化するためにインクを滴下して薄膜パターンを形成するインクジェットプリンティングシステムが開発されている。インクジェットプリンティングシステムは、インクジェットプリンティング本体及び複数のノズルを有するインクジェットヘッドを含み、インクがインクジェットヘッドのノズルを通じて基板上に滴下される。
【0005】
このようなインクジェットプリンティングシステムにおいて、所望の量のインクを排出するために、製造工程の前にインクジェットヘッドのノズルから排出されるインクの量を測定し、調節する工程が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施例によるインクジェットプリンティングシステムは、基板が搭載されるステージと、前記基板上にインクを滴下するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドを移動させる移送装置と、並びに前記基板上に滴下されたインク滴の高さを測定する検量装置とを含む。
前記検量装置は、光源と、前記光源からの光は通過させ、前記光源の反対側から入射する光は反射する中間鏡と、光量を検出する受光素子と、前記中間鏡と前記受光素子との間に位置してピンホールを有するピンホール板と、左右に動く水平スキャン部と、上下に動く垂直スキャン部とを含む。
【0007】
前記光源は半導体レーザーを含む。
前記検量装置は、中間鏡を通過した光を焦点に集める対物レンズをさらに含む。
前記垂直スキャン部を移動させて、前記インク滴の高さを測定することができる。
また、前記検量装置は、前記水平及び垂直スキャン部を移動させて、前記インク滴の断面のうち前記基板面に垂直の断面の面積を測定することができる。
【0008】
また、前記検量装置は、前記水平スキャン部を移動させて、前記インク滴の断面のうち前記基板面上の断面の面積を測定することができる。
前記インク滴に熱を加えて硬化させる加熱基板をさらに含む。
前記検量装置は、前記ステージ又は前記インクジェットヘッドに付着されている。
前記インクは、表示装置の配線用インク、カラーフィルタ用インク、有機発光部材用インク、及び配向液のうちのいずれか1つである。
【0009】
本発明の一実施例によるインクジェットプリンティングシステムは、基板が搭載されるステージと、前記基板上にインクを滴下するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドを移動させる移送装置と、前記基板上に滴下されたインク滴の体積を算出する検量装置とを含む。
前記検量装置は、光源と、前記光源からの光は通過させ、前記光源の反対側から入射する光は反射する中間鏡と、光量を検出する受光素子と、前記中間鏡と前記受光素子との間に位置してピンホールを含むピンホール板と、左右に動く水平スキャン部と、上下に動く垂直スキャン部とを含む。
【0010】
前記光源は半導体レーザーを含む。
前記検量装置は、中間鏡を通過した光を焦点に集める対物レンズをさらに含む。
前記検量装置は、前記インク滴の高さを測定して、前記インク滴の体積を算出することができる。
また、前記検量装置は、前記インク滴の前記基板面上の断面の面積を測定して、前記インク滴の体積を算出することができる。
【0011】
また、前記検量装置は、前記インク滴の断面のうち前記基板面に垂直の断面の面積を測定して、前記インク滴の体積を算出することができる。
本発明の一実施例による表示装置の製造方法は、ステージ、インクジェットヘッド、移送装置、及び検量装置を含むインクジェットプリンティングシステムにおいて、基板を前記インクジェットプリンティングシステムの前記ステージに搭載する段階と、前記インクジェットプリンティングシステムの前記インクジェットヘッドを前記基板上に位置させる段階と、前記インクを前記基板上に滴下してインク滴を形成する段階と、前記検量装置を利用して前記インク滴の体積を算出する段階とを含む。
【0012】
前記検量装置は、光源と、前記光源からの光は通過させ、前記光源の反対側から入射する光は反射する中間鏡と、光量を検出する受光素子と、前記中間鏡と前記受光素子との間に位置してピンホールを含むピンホール板と、左右に動く水平スキャン部と、上下に動く垂直スキャン部とを含む。
前記インク滴の体積を算出する段階は、前記検量装置を利用して前記インク滴の高さと前記基板面上の断面の面積を測定する段階を含む。
【0013】
前記インク滴の体積を算出する段階は、前記検量装置を利用して前記インク滴の断面のうち前記基板面に垂直の断面の面積を測定する段階を含む。
前記水平及び垂直スキャン部を移動させて、前記インク滴の断面のうち前記基板面に垂直の断面の面積を測定することができる。
前記検量装置は、前記インク滴を前記基板面に沿ってスキャニングして、前記断面の面積を測定することができる。
【0014】
前記インク滴に熱を加えて硬化させる段階をさらに含む。
前記インク滴の体積を算出する段階は、前記インクジェットプリンティングシステムの内部又は外部で行われる。
前記インク滴の体積を算出する段階以降に前記基板を降ろした後、表示装置用基板を前記ステージ上に搭載する段階をさらに含む。
【0015】
前記インクは、表示装置の配線用インク、カラーフィルタ用インク、有機発光部材用インク、及び配向液のうちのいずれか1つである。
前記表示装置は、液晶表示装置又は有機発光表示装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の実施例によれば、表示装置製造用インクジェットプリンティングシステムから排出されるインクの量を正確に測定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
添付した図面を用いながら、本発明の実施形態を、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。図面は、各種層及び領域を明確に表現するために、厚さを拡大して示している。明細書全体を通じて類似した部分については同一の参照符号を付けている。層、膜、領域、板などの部分が、他の部分の「上に」あるとするとき、これは他の部分の「すぐ上に」ある場合に限らず、その中間に更に他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「すぐ上に」あるとするとき、これは中間に他の部分がない場合を意味する。
【0018】
以下、図1及び図2を参照して本発明の実施例によるインクジェットプリンティングシステムを詳細に説明する。図1及び図2は、本発明の一実施例によるインクジェットプリンティングシステムの斜視図である。
まず、図1を参照すれば、本発明の一実施例によるインクジェットプリンティングシステムは、基板110が搭載される支持基板210及びステージ500、インクジェットヘッド700、インクジェットヘッド700を移動させる移送装置300、検量装置620、並びに検量装置620を移動させる検量移送装置600を含む。
【0019】
支持基板210及びステージ500は、基板110を支持できるように基板110より大きく形成される。ステージ500上に載せられた基板210には熱が加えられ、基板110上に滴下されたインク滴5を硬化させる。この場合、インク滴5は熱硬化性を有する。例えば、液晶表示装置の配向膜を本発明の一実施例におけるよるインクジェットプリンティングシステムによって形成する場合、インク滴5は、ポリイミド(polyimide)である。これと異なり、支持基板110は省略することができ、この場合、ステージ500に直接熱が加えられてインク滴5を硬化させることができる。
【0020】
インクジェットヘッド700は、ステージ500上に位置し、ステージ500と間隔を置いて離れている。インクジェットヘッド700の底面には複数ノズル(図示せず)が形成されており、このノズル(図示せず)を介してインク滴5を基板110上に排出させる。
移送装置300は、インクジェットヘッド700を基板110から上側に必要な間隔だけ隔たったところに位置させ、インクジェットヘッド700をy軸方向に移送させるy方向移送部310、インクジェットヘッド700をx軸方向に移送させるx方向移送部320、並びにインクジェットヘッド700を昇降させる乗降部330を含む。
【0021】
検量装置620は、インクジェットヘッド700から基板110上に滴下されたインク滴5の断面積と高さを測定して、体積を算出したり、体積を測定する。検量装置620は、光源を利用してインク滴5をスキャンして、インク滴5の断面積又は高さなどを測定するセンサーを含む。
検量移送装置600は、検量装置620を検量しようとするインク滴5の上に位置させる。
【0022】
次に、図2を参照すれば、本発明の他の実施例によるインクジェットプリンティングシステムも基板110が搭載される支持基板210及びステージ500、インクジェットヘッド700、インクジェットヘッド700を移動させる移送装置300、並びに検量装置800を含む。
本実施例では、図1に示した実施例と異なって、インク滴5の体積を算出する検量装置800がインクジェットヘッド700の隣に付着されている。検量装置800は、移送装置300を利用して所望の位置に移動させることができる。本実施例と異なって、検量装置800は、インクジェットヘッド700の底面又は移送装置300に付着できる。
【0023】
検量装置800は、インクジェットプリンティングシステムの図1及び図2の部分以外の部分に位置することも可能である。
次に、図3及び図4を参照して本発明の一実施例によるインクジェットプリンティングシステムの検量装置を詳細に説明する。
図3及び図4は、本発明の一実施例によるインクジェットプリンティングシステムの検量装置(620、800)の構造及び原理を示す図である。
【0024】
図3及び図4を参照すれば、本発明の一実施例によるインクジェットプリンティングシステムの検量装置は、光源631、中間鏡661、ピンホール板641、受光素子651、対物レンズ670、水平スキャン部681及び垂直スキャン部691を含む。
光源631は点光源であり、強度の大きな光を得ることができる半導体レーザーなどのレーザー光源であってもよい。
【0025】
中間鏡661は斜めに傾いており、光源631から中間鏡661の上面に入射する光を対物レンズ670側に通過させたり、通過した後再び戻って下面に入射する光はピンホール板641側に反射する。
ピンホール板641は、中央にピンホール642を含んでいて、ピンホール642を通過した光を受光素子651に送る。
【0026】
受光素子651は、ピンホール642を通過した光を受けて、光量を測定する。
対物レンズ670は中間鏡661を通過した光の経路を変えて、焦点に集まるようにする。
図3及び図4を参照すれば、水平スキャン部681及び垂直スキャン部691は、対物レンズ670の下部(Sa)に位置する。水平スキャン部681は、図4のようにX軸方向に左右に移動して、インク滴をX軸方向に落として測定し、垂直スキャン部691は、Z軸方向に上下に移動して、インク滴をZ軸方向に落として測定する。
【0027】
以下、本発明の一実施例によるインクジェットプリンティングシステムの検量装置の測定原理について説明する。
図3を参照すれば、光源631から出た光は中間鏡661を通過し、対物レンズ670を通過して焦点(F)に集まる。光が焦点(F)の位置(La)で反射される場合、入射経路(PLa)を再び経て中間鏡661で反射されてピンホール642に集まる。ピンホール642を通過した光は、受光素子651で検出される。
【0028】
光が焦点位置(La)ではなく非焦点位置(Lb)で反射される場合は、入射経路(PLa)を逸脱した経路(PLb)を通じて中間鏡661に入射し、中間鏡661で反射された光は、ピンホール板641上に分散して集まる。このため、ピンホール642を通過する光量が少なく、受光素子651から検出される光量が少ない。これによって焦点位置(La)にインク滴のような対象物の一部が位置していることが分かる。
【0029】
水平及び垂直スキャン部(681、691)がX軸方向及びZ軸方向に移動して焦点位置(La)等光の経路を変え、対象物をX軸及びZ軸方向に落とし、この過程を通じてインク滴のような対象物のxz平面上の断面積を測定することができる。必要に応じて、水平スキャン部681及び垂直スキャン部691のうちのいずれか1つだけを移動させて測定することも可能である。
【0030】
次に、上記のインクジェットプリンティングシステムによって表示装置を製造する方法を詳細に説明する。
まず、図5乃至図8、前記図1、図3及び図4を参照して、上記のインクジェットプリンティングシステムのインクジェットヘッド700から排出したインク滴5を検量する方法を説明する。
【0031】
図5は本発明の一実施例によるインクジェットプリンティングシステムから排出されたインクの平面図である。図6は本発明の一実施例にインクジェットプリンティングシステムから排出されたインクの断面図である。図7は本発明の一実施例によるインクジェットプリンティングシステムから排出されたインクの断面積を測定する方法を示す断面図である。図8は本発明の一実施例によるインクジェットプリンティングシステムから排出されたインクの斜視図である。
【0032】
まず、ステージ500上に載せられた基板210又はステージ500上に基板110を搭載し、移送装置300を利用してインクジェットヘッド700を基板110上に位置させる。
次に、インクジェットヘッド700のノズル(図示せず)を利用して、インク滴5を基板110の上に滴下する。
【0033】
次に、支持基板210に熱を加えて、基板110上に滴下されたインク滴5を硬化させる。これと異なって、インク滴5を滴下する前から支持基板210に熱を加えてもよい。また、支持基板210を省略する場合は、ステージ500に熱を加えてインク滴5を硬化させることもでき、加熱過程を省略することもできる。
次に、検量移送装置600を利用して検量装置620を検量しようとするインク滴5上に位置させる。
【0034】
図5及び図6を参照すれば、検量装置620は、インク滴5と基板110の界面、即ち、xy平面上のインク滴5の平面積(A)と高さ(H)を測定する。このとき、xy平面上の平面積(A)は、検量装置620の水平スキャン部681をx方向に移動させて測定できる。y軸方向のスキャニングのために検量装置620が別途のスキャン部(図示せず)をさらに含んだり、移送装置600を利用することもできる。一方、インク滴5の高さ(H)は検量装置620の垂直スキャン部691をy軸方向に移動させて測定できる。
【0035】
検量装置620は、このように測定されたインク滴5の平面積(A)と高さ(H)を利用してインク滴5の体積を算出する。例えば、インク滴5が半楕円体と仮定すれば、体積(V)は式1で求められる。
【0036】
【数1】

【0037】
ここで、aは、断面が円であれば半径である。このように求められた体積(V)にインク滴5の密度をかけて、インクジェットヘッド700のノズル(図示せず)から一度に排出されるインク液の重量を求める。
これと異なり、図7を参照すれば、検量装置620の水平スキャン部681及び垂直スキャン部691を共に移動させて、インク滴5のxz平面上の面積を測定できる。図7にはx軸方向の9個の位置におけるz軸方向の高さを測定する方法を示している。
【0038】
図8を参照すれば、検量装置620はy軸方向に移動し、図7に示すように、インク滴5のxz平面上の断面積(SA)を測定してインク滴5の体積を算出できる。
一方、図2に示したインクジェットプリンティングシステムを用いて、排出されたインク滴5を検量する方法も上述の実施例と同様であるが、インクジェットヘッド700に付着された検量装置800を利用して、インク滴5の断面積又は高さを測定して体積を算出する。
【0039】
本実施例と異なって、基板110上にインク滴5を滴下した後、基板110をインクジェットプリンティングシステムから分離して外部設備でインク滴5を硬化させ、断面積又は高さを測定して体積を算出できる。この場合、インクジェットプリンティングシステム内にインク滴5の検量装置が設置されないこともある。
このようにインク滴5を基板110上に滴下した後、体積又は重量を検量してインクジェットヘッド700から排出されるインク液の量を調節する。
【0040】
このような一実施例によるインクジェットプリンティングシステムによって製造される表示装置は、液晶表示装置又は有機発光表示装置であることができる。
以下、図9及び図10と、前記図1乃至図8を参照して、上記のようにインク液の排出量が調節された本発明の一実施例によるインクジェットプリンティングシステムによって完成された液晶表示装置及びその製造方法を詳細に説明する。
【0041】
図9は本発明の一実施例によるインクジェットプリンティングシステムによって完成された液晶表示装置の配置図である。図10は図9における液晶表示装置のX-X線に沿った断面図である。
図9及び図10に示したように、本発明の一実施例による液晶表示装置は、互いに対向する薄膜トランジスタ表示板100とカラーフィルタ表示板200及びこれら2つの表示板(100、200)の間に形成された液晶層3を含む。
【0042】
まず、薄膜トランジスタ表示板100について説明する。
透明なガラス又はプラスチックなどからなる絶縁基板111の上に複数のゲート線121を含む複数のゲート導電体が形成されている。ゲート線121は、ゲート信号を伝達し、主に横方向に延びて上に突出した複数のゲート電極124を含む。
ゲート導電体121は、アルミニウム(Al)やアルミニウム合金などのアルミニウム系金属、銀(Ag)や銀合金などの銀系金属、銅(Cu)や銅合金などの銅系金属、モリブデン(Mo)やモリブデン合金などのモリブデン系金属、クロム(Cr)、タンタル(Ta)及びチタニウム(Ti)などからなる。しかし、ゲート導電体121は、その他にも多様な金属又は導電体で形成することができる。
【0043】
ゲート導電体121上には窒化シリコン(SiNx)又は酸化シリコン(SiOx)などからなるゲート絶縁膜140が形成されている。
ゲート絶縁膜140上には、水素化非晶質シリコン(非晶質シリコンはa-Siと略称する)又は多結晶シリコン(polysilicon)等で構成された複数の島状半導体154が形成されている。半導体154はゲート電極124の上に位置する。
【0044】
各々の半導体154上には1対の島状オーミックコンタクト部材(163、165)が形成されている。オーミックコンタクト部材(163、165)は、リンなどのn型不純物が高濃度にドーピングされているn+水素化非晶質シリコンなどの物質で形成することができ、シリサイドで形成することもできる。オーミックコンタクト部材(163、165)及びゲート絶縁膜140の上には、複数のデータ線171と複数のドレイン電極(175、175)を含むデータ導電体が形成されている。
【0045】
データ線171は、データ信号を伝達し、主に縦方向に延びてゲート線121と交差する。各データ線171は、ゲート電極124に向かって延びた複数のソース電極173を含む。データ導電体(171、175)は、モリブデン、クロム、タンタル及びチタニウムのなど耐火性金属(refractorymetal)又はこれらの合金で形成することができ、耐火性金属膜(図示せず)と低抵抗導電膜(図示せず)を含む多重膜構造とすることもできる。しかし、データ導電体(171、175)は、その他にも多様な金属又は導電体で構成することができる。
【0046】
ドレイン電極175は、データ線171と分離されており、ゲート電極124を中心にソース電極173と対向する。各ドレイン電極175は、広い一端部と棒状の他端部を含む。
1つのゲート電極124、1つのソース電極173及び1つのドレイン電極175は、半導体154とともに1つの薄膜トランジスタ(TFT)をなし、薄膜トランジスタのチャンネルは、ソース電極173とドレイン電極175の間の半導体154に形成される。
【0047】
オーミックコンタクト部材(163、165)は、その下の半導体154と、その上のデータ線171及びドレイン電極175の間にのみ存在し、これらの間のコンタクト抵抗を低くする。
データ線171、ドレイン電極175及び露出した半導体151部分の上には保護膜180が形成されている。保護膜180は、無機絶縁物又は有機絶縁物などからなり、表面が平坦化し得る。
【0048】
保護膜180にはドレイン電極175を露出させる複数のコンタクトホール(接触孔)185が形成されている。保護膜180の上にはITO又はIZOなどの透明な導電物質やアルミニウム、銀、クロム又はその合金などの反射性金属からなる複数の画素電極191が形成されている。
画素電極191は、コンタクトホール185を介してドレイン電極175と物理的電気的に接続されており、ドレイン電極175からデータ電圧が印加される。
【0049】
次に、カラーフィルタ表示板200について説明する。
透明なガラス又はプラスチックなどからなる絶縁基板211上に遮光部材220が形成されている。遮光部材220はブラックマトリックスとも言い、光漏れを防ぐ。
基板211及び遮光部材220の開口部225には複数のカラーフィルタ230が形成されている。カラーフィルタ230は、遮光部材230で覆われた領域内に大部分存在し、画素電極191列に沿って縦方向に長く延びている。各カラーフィルタ230は、赤色、緑色及び青色の三原色など基本色のうちの1つを表示できる。
【0050】
カラーフィルタ230及び遮光部材220の上には蓋膜(overcoat)250が形成されている。蓋膜250は(有機)絶縁物からなり、カラーフィルタ230が露出するのを防止し、平坦面を提供する。蓋膜250は省略できる。
蓋膜250の上には共通電極270が形成されている。共通電極270はITO、IZOなどの透明な導電体などからなる。
【0051】
表示板(100、200)の内側面には液晶層3の液晶分子(図示せず)の配向を決定する配向膜(11、21)が塗布されており、これらは水平配向膜又は垂直配向膜であってもよい。配向膜(11、21)は、本発明の一実施例によるインクジェットプリンティングシステムによって形成することができる。
上記のように、ポリイミドなどの配向液をインクジェットヘッド700のノズル(図示せず)によって検量用基板110に滴下して検量装置620、800を通じて検量した後、排出量を均一に調節する。次に、ゲート導電体121、ゲート絶縁膜140、半導体154、オーミックコンタクト部材(163、165)、データ導電体(171、175)、保護膜180及び画素電極191等が形成された絶縁基板111又は遮光部材220、カラーフィルタ230、蓋膜250及び共通電極270等が形成された絶縁基板211をステージ500上に搭載した後、インクジェットヘッド700を移動させて配向液を滴下して配向膜11、21を形成することができる。
【0052】
特にインクジェットヘッド700を交換したり、他の装置を交換するなど、工程が中断された後に再び開始される場合は、インクジェットヘッド700からの排出量を再度検査して調節した後、配向膜を形成することによって、均一な厚さの配向膜(11、21)を形成することができる。
配向膜(11、21)以外にゲート導電体121、データ導電体(171、175)、又はカラーフィルタ230等を始めとする他の薄膜も本発明の一実施例によるインクジェットプリンティングシステムによって形成することができる。
【0053】
次に、本発明の一実施例によるインクジェットプリンティングシステムによって完成された有機発光表示装置について説明する。
図11は本発明の一実施例によるインクジェットプリンティングシステムによって完成された有機発光表示装置の配置図である。図12は図11における有機発光表示装置のXII-XII線に沿った断面図である。
【0054】
絶縁基板110上に第1制御電極124aを含む複数のゲート線121及び複数の第2制御電極124bを含む複数のゲート導電体が形成されている。第2制御電極124bは、下方向に延びた後、右側に方向を変え、さらに上方に長く延びている維持電極127を含む。
ゲート導電体(121、124b)の上にはゲート絶縁膜140が形成されており、ゲート絶縁膜140の上には複数の第1及び第2島状半導体(154a、154b)が形成されている。第1及び第2半導体(154a、154b)は、各々第1及び第2制御電極(124a、124b)の上に位置する。
【0055】
第1及び第2半導体(154a、154b)の上には、各々複数対の第1オーミックコンタクト部材(163a、165a)と複数対の第2オーミックコンタクト部材(163b、165b)が形成されている。第1オーミックコンタクト部材(163a、165a)は対をなして第1半導体154aの上に配置されており、第2オーミックコンタクト部材(163b、165b)も対をなして第2半導体154bの上に配置されている。
【0056】
オーミックコンタクト部材(163a、163b、165a、165b)及びゲート絶縁膜140の上には、複数のデータ線171と複数の駆動電圧線172と複数の第1及び第2出力電極(175a、175b)を含む複数のデータ導電体が形成されている。
駆動電圧線172は駆動電圧を伝達し、主に縦方向に延びてゲート線121と交差する。各駆動電圧線172は、第2制御電極124bに向かって延びる複数の第2入力電極173bを含む。駆動電圧線172は維持電極127と重なっており、互いに接続されてもよい。
【0057】
第1及び第2出力電極(175a、175b)は互いに分離されており、データ線171及び駆動電圧線172とも分離されている。第1入力電極173aと第1出力電極175aは、第1制御電極124aを中心に互いに対向し、第2入力電極173bと第2出力電極175bは、第2制御電極124bを中心に互いに対向する。
データ導電体(171、172、175a、175b)及び露出した半導体(154a、154b)部分の上には保護膜180が形成されている。保護膜180には第1及び第2出力電極175bを露出させる複数のコンタクトホール(185a、185b)が形成されており、保護膜180とゲート絶縁膜140には第2入力電極124bを露出させる複数のコンタクトホール184が形成されている。
【0058】
保護膜180の上には複数の画素電極191及び複数の連結部材85が形成されている。これらはITO又はIZOなどの透明な導電物質やアルミニウム、銀又はその合金などの反射性金属で形成される。
画素電極191は、コンタクトホール185bを介して第2出力電極175bと物理的電気的に接続されており、連結部材85は、コンタクトホール(184、185a)を介して第2制御電極124b及び第1出力電極175aと接続されている。
【0059】
保護膜180の上には隔壁(partition)361が形成されている。隔壁361は、画素電極191の縁の周辺を堤防(bank)のように取り囲んで開口部365を定義するもので、有機絶縁物又は無機絶縁物で形成される。隔壁361が定義する画素電極191上の開口部365内には有機発光部材370がある。有機発光部材370は、赤色、緑色、青色の三原色など基本色のうちのいずれか1つの光を固有に発する有機物質で形成される。有機発光表示装置は、有機発光部材370が発する基本色の光の空間的な作用で所望の映像を表示する。
【0060】
有機発光部材370の上には共通電極270が形成されている。共通電極270には共通電圧が印加され、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム、及び銀などを含む反射性金属、又はITOやIZOなどの透明な導電物質で形成される。
このような有機発光表示装置において、ゲート線121に接続される第1制御電極124a、データ線171に接続される第1入力電極173a及び第1出力電極175aは、第1半導体154aとともにスイッチング薄膜トランジスタ(switching TFT)をなす。また、第1出力電極175aに接続される第2制御電極124b、駆動電圧線172に接続される第2入力電極173b及び画素電極191に接続される第2出力電極175bは、第2半導体154bとともに駆動薄膜トランジスタ(driving TFT)をなす。画素電極191、有機発光部材370及び共通電極270は、有機発光ダイオードをなし、画素電極191がアノード(anode)、共通電極270がカソード(cathode)となったり、又は反対に画素電極191がカソード、共通電極270がアノードとなる。
【0061】
一方、本発明の一実施例では非晶質シリコンからなる半導体(154a、154b)を有する有機発光表示装置を説明したが、本発明は多結晶シリコンからなる半導体を有する有機発光表示装置にも適用可能である。
本実施例のゲート導電体(121、124b)、データ導電体(171、172、175a、175b)等複数の信号線、並びに有機発光部材370等は、本発明の一実施例のインクジェットプリンティングシステムによって形成することができる。上記のように、インクジェットプリンティングを開始する前に、インクジェットヘッド700からの排出量をより正確に検査することで、均一な厚さの薄膜を形成することができる。
【0062】
また、図9及び図10に示した液晶表示装置の特徴は、本実施例にも適用可能である。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属するものである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施例によるインクジェットプリンティングシステムの斜視図である。
【図2】本発明の一実施例によるインクジェットプリンティングシステムの斜視図である。
【図3】本発明の一実施例によるインクジェットプリンティングシステムの検量装置の構造及び原理を示す図である。
【図4】本発明の一実施例によるインクジェットプリンティングシステムの検量装置の構造及び原理を示す図である。
【図5】本発明の一実施例によるインクジェットプリンティングシステムから排出されたインクの平面図である。
【図6】本発明の一実施例によるインクジェットプリンティングシステムから排出されたインクの断面図である。
【図7】本発明の一実施例によるインクジェットプリンティングシステムから排出されたインクの断面積を測定する方法を示す断面図である。
【図8】本発明の一実施例によるインクジェットプリンティングシステムから排出されたインクの斜視図である。
【図9】本発明の一実施例によるインクジェットプリンティングシステムによって完成された液晶表示装置の配置図である。
【図10】図9における液晶表示装置のX-X線に沿った断面図である。
【図11】本発明の一実施例によるインクジェットプリンティングシステムによって完成された有機発光表示装置の配置図である。
【図12】図11における有機発光表示装置のXII-XII線に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0064】
3…液晶層
5…排出されたインク滴
11、21…配向膜
100、200…表示板
110、111、211…基板
121…ゲート線
127…維持電極
140…ゲート絶縁膜
154…半導体
163、165…オーミックコンタクト部材
171…データ線
172…駆動電圧線
173…ソース電極
175…ドレイン電極
180…保護膜
191…画素電極
210…支持基板
220…遮光部材
230…カラーフィルタ
270…共通電極
300、600…移送装置
370…有機発光部材
500…ステージ
620、800…検量装置
631…光源
641…ピンホール板
642…ピンホール
651…受光素子
670…対物レンズ
681…水平スキャン部
691…垂直スキャン部
700…インクジェットヘッド
A、SA…滴の断面積
H…滴の高さ
PLa、PLb…光の経路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が搭載される基板搭載面を有するステージと、
前記基板が搭載される位置にインクを滴下するインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドを移動させる移送装置と、
前記基板上に滴下されたインク滴の体積を測定する検量装置と、
を含むインクジェットプリンティングシステム。
【請求項2】
前記検量装置は、
前記基板搭載面に向かって光を照射する光源と、
前記光源からの光を通過させ、前記光源の反対側から入射する光を反射する中間鏡と、
前記中間鏡で反射された光の光量を検出する受光素子と、
前記中間鏡と前記受光素子との間に位置し、ピンホールが形成されたピンホール板と、
前記ステージの基板搭載面に沿って移動する水平スキャン部と、
前記ステージの基板搭載面に交差する方向に沿って移動する垂直スキャン部と、
を有している、請求項1に記載のインクジェットプリンティングシステム。
【請求項3】
前記光源は半導体レーザーを有している、請求項2に記載のインクジェットプリンティングシステム。
【請求項4】
前記検量装置は、中間鏡を通過した光を焦点に集める対物レンズをさらに有している、請求項2に記載のインクジェットプリンティングシステム。
【請求項5】
前記検量装置は、前記基板上に滴下されたインク滴の高さを測定することにより、前記インク滴の体積を測定する、請求項2に記載のインクジェットプリンティングシステム。
【請求項6】
前記垂直スキャン部を移動させることにより前記インク滴の高さを測定する、請求項5に記載のインクジェットプリンティングシステム。
【請求項7】
前記検量装置は、前記水平スキャン部を移動させて、前記インク滴が前記基板搭載面に占める平面積を測定することにより、前記インク滴の体積を測定する、請求項5または6に記載のインクジェットプリンティングシステム。
【請求項8】
前記検量装置は、前記水平スキャン部及び垂直スキャン部を移動させ、前記インク滴の断面のうち前記基板搭載面と交差する断面の面積を測定することにより、前記インク滴の体積を測定する、請求項2に記載のインクジェットプリンティングシステム。
【請求項9】
前記滴下されたインク滴に熱を加えて硬化させる加熱基板をさらに含む、請求項2に記載のインクジェットプリンティングシステム。
【請求項10】
前記検量装置は、前記ステージ又は前記インクジェットヘッドに付着されている、請求項2に記載のインクジェットプリンティングシステム。
【請求項11】
ステージ、インクジェットヘッド、及び移送装置を含むインクジェットプリンティングシステムにおいて、
表示装置用の基板を前記インクジェットプリンティングシステムの前記ステージの基板搭載面に搭載する段階と、
前記インクジェットプリンティングシステムの前記インクジェットヘッドを前記基板上に位置させる段階と、
前記インクを前記基板上に滴下してインク滴を形成する段階と、
前記インク滴の体積を算出する段階と、
を含む表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記インク滴の体積を算出する段階は、前記インク滴の高さと、前記基板搭載面上に閉める前記インク滴の平面積と、を測定する段階を含む、請求項11に記載の表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記インク滴の体積を算出する段階は、前記インク滴の断面のうち前記基板搭載面と交差する断面の面積を測定する段階を含む、請求項11に記載の表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記インク滴に熱を加えて硬化させる段階をさらに含む、請求項11に記載の表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記インク滴の体積を算出する段階は、前記インクジェットプリンティングシステムの内部又は外部に設けられた検量装置により行われる、請求項11に記載の表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記検量装置は前記インクジェットプリンティングシステムの外部に設けられ、
前記インク滴の体積を算出する段階実行後に、前記基板を前記基板搭載面上に搭載する段階をさらに含む、請求項15に記載の表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記インクは、表示装置の配線用インク、カラーフィルタ用インク、有機発光部材用インク、及び配向液のうちのいずれか1つである、請求項11〜16に記載の表示装置の製造方法。
【請求項18】
前記表示装置は、液晶表示装置又は有機発光表示装置である、請求項11に記載の表示装置の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−32993(P2010−32993A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314931(P2008−314931)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】