説明

インクジェット画像形成方法、画像形成方法及びハード画像形成デバイス

【課題】インクジェット画像形成方法、画像形成方法、及びハード画像形成デバイスを提供する。
【解決手段】一実施の形態によると、画像形成方法が、形成される画像の画像データにアクセスすること、該画像データを使用して、形成される画像に対応する液体マーキング剤の複数の液滴を噴射するようプリント機構を制御することであって、液体マーキング剤の液滴は複数のインク粒子を個々に含む、制御すること、プリント機構を使用して、液体マーキング剤の液滴を噴射すること、噴射後に、転写部材上に液体マーキング剤の液滴を受け取ること、及び受け取り後に、液滴のインク粒子を転写部材から媒体へ転写し、該媒体を使用して画像のハードバージョンを形成することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は、インクジェット画像形成方法、画像形成方法及びハード画像形成デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
紙及び他の媒体上へ画像を印刷することができる画像形成デバイスが至る所に存在し、白黒及びカラーの用途を含む多くの用途で使用されている。
オフィス及び家庭の消費者の、コンピュータ、デジタルカメラ、通信機器等の電子デバイス及びデジタルデバイスへの依存度が高まってきているため、これらのデバイスの使用及び需要は増大し続けている。
【0003】
媒体上へハード画像を形成する種々の方法が存在し、家庭、職場及び商業目的の印刷所等の種々の用途及び環境で使用されている。
様々な種類の印刷を提供することができるデバイスの幾つかの例としては、レーザープリンタ、インパクトプリンタ、インクジェットプリンタ、業務用のデジタル印刷機等が挙げられる。
種々の印刷方法及びデバイスには、媒体上にハード画像を形成する様々な技術が伴い、方法及びデバイスの種類は個々に、1つ又は複数の用途又は使用と比較して他の用途又は使用により適している場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の少なくとも幾つかの態様は、改良されたハード画像形成デバイス及びハード画像形成方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の幾つかの態様によると、インクジェット画像形成方法、画像形成方法及びハード画像形成デバイスが記載される。
【0006】
一態様によると、画像形成方法が、形成される画像の画像データにアクセスすること、該画像データを使用して、形成される画像に対応する液体マーキング剤の複数の液滴を噴射するようプリント機構(device)を制御することであって、液体マーキング剤の液滴は複数のインク粒子を個々に含む、制御すること、プリント機構を使用して、液体マーキング剤の液滴を噴射すること、噴射後に、転写部材上に液体マーキング剤の液滴を受け取ること、及び受け取り後に、液滴のインク粒子を転写部材から媒体へ転写し、該媒体を使用して画像のハードバージョンを形成することを含む。
【0007】
別の態様によると、ハード画像形成デバイスが、液体マーキング剤の複数の液滴を噴射するように構成されるプリント機構であって、液体マーキング剤の液滴は複数のインク粒子を個々に含む、プリント機構と、形成される画像に対応する液体マーキング剤の液滴を噴射するようプリント機構を制御するように構成される制御機構と、プリント機構に隣接すると共に、プリント機構が噴射する液体マーキング剤の液滴を受け取るように構成される転写部材であって、液滴のインク粒子を該転写部材から媒体へ転写し、該媒体を使用して画像のハードバージョンを形成するように構成される、転写部材とを備える。
【0008】
他の実施形態及び態様は、以下の考察から明らかであるように記載される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態によるハード画像形成デバイスの例示的な図である。
【図2】一実施形態による転写部材の例示的な図である。
【図3】一実施形態による液体マーキング剤を帯電させるところの例示的な図である。
【図4】一実施形態による液体除去システムの例示的な図である。
【図4A】一実施形態による液体除去システムの平面図である。
【図4B】一実施形態による液体除去システムの例示的な図である。
【図4C】一実施形態による液体除去システムの例示的な図である。
【図4D】一実施形態による液体除去システムの例示的な図である。
【図4E】一実施形態による液体除去システムの例示的な図である。
【図5】一実施形態による液体除去システムの例示的な図である。
【図5A】一実施形態による液体除去システムの例示的な図である。
【図5B】一実施形態による液体除去システムの例示的な図である。
【図6】一実施形態による液体除去システムの例示的な図である。
【図7】一実施形態によるハード画像形成デバイスの例示的な図である。
【図8】一実施形態によるハード画像形成デバイスの電気的構成要素のブロック図である。
【図9】一実施形態による転写ステーションの例示的な図である。
【図10】一実施形態による転写ステーションの例示的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の少なくとも幾つかの実施形態は、媒体上にハード画像を形成するハード画像形成デバイス及びハード画像形成方法に関する。
1つの具体的な例では、オフセット印刷構成のインクジェット印刷を用いる装置及び方法が開示される。
例えば、一実施形態では、液体マーキング剤の複数の液滴を転写部材上へ提供するためにインクジェットプリントヘッドが用いられる。
液体マーキング剤の様々な組成が可能であり、一実施形態では、画像を形成するインク粒子を含有する非水性液体キャリア又はビヒクルを用いることができる。
転写部材上へ液滴を提供した後、液体マーキング剤の液体キャリアの少なくとも一部を除去し、転写部材上に残っている液体マーキング剤のインク粒子を媒体へ転写し、該媒体上に画像のハードバージョンを生成する。
さらなる実施形態及び態様は以下の開示に記載される。
【0011】
図1を参照すると、一実施形態によるハード画像形成デバイス10の例示的な構成が示される。
図1に示すハード画像形成デバイス10の実施形態は、さらに後述するように、液体マーキング剤を受け取ると共に、受け取った液体インクマーキング剤のインク粒子を媒体22へ転写し、媒体上に画像のハードバージョン(例えば画像のハードバージョンは、媒体へ印刷されるか、コピーされるか又は他の方法で定着される(fixed)画像を含む)を形成するように構成される転写部材12を含む。
ハード画像形成デバイス10は、図示の実施形態ではプリント機構14、現像機構16、及び転写部材12に隣接して位置決めされる液体除去システム17をさらに含む。
図1に示される構成よりも多い構成要素、少ない構成要素、又は代替的な構成要素を含むハード画像形成デバイス10の他の実施形態が可能である。
【0012】
図示の実施形態では、転写部材12は転写ベルトであり、ブランケットと称される場合がある。
ドラム、又はマーキング剤を受け取ると共に転写するのに適した他の構造体のような他の転写部材が可能である。
ベルトの形態の転写部材12の1つの可能な構成に関するさらなる詳細は、図2に関して以下で説明される。
【0013】
プリント機構14は、図1の例では時計回り方向に移動する転写部材12上へ液体マーキング剤を提供するように構成される。
一実施形態では、プリント機構14は、画像に対応する液体マーキング剤の複数の液滴を噴射するように構成されるインクジェットプリントヘッドである。
一実施形態では、インクジェット画像形成するように構成されるプリント機構14は、転写部材12上の(例えば画像の画素位置に対応する)複数の異なる位置に液体マーキング剤の複数の液滴を噴射するように構成され、かつ媒体22上にハード画像を形成するのに使用される複数のノズル15を備える。
例示的な実施形態では、プリント機構14は、少なくとも一実施形態では、水性又は非水性のキャリアに対応するように配置される圧電インクジェットプリントヘッド又はサーマルインクジェットプリントヘッドとして構成され得る。
幾つかのサーマルインクジェットプリントヘッドの構成では、液体マーキング剤の沸点を下げ、噴出を容易にしてもよい。
一実施形態では、約10%のイソプロピルアルコール及びExxon-Mobil Corporationから入手可能な90%のISOPAR Lの液体キャリアを例示的なサーマルインクジェットプリントヘッドの用途に使用した。
【0014】
一実施形態では、転写部材12が受け取るか又は転写部材12上に堆積する液体マーキング剤は、媒体22上に形成する画像に対応する。
例えば、制御機構(図8に関して以下で説明する)が、画像データを処理し、画像データが指定する画像を形成するのに適した位置に液体マーキング剤の液滴を噴射するようプリント機構14のノズル15を制御する。
【0015】
一実施形態では、液体マーキング剤の1つの例は、液体キャリア中に懸濁しているインク粒子を含む。
様々な液体キャリアが可能であり、異なる実施形態では、非水性キャリア流体を含み得る。
一実施形態では、非水性キャリアの例としては、溶媒(例えばアルコール)及び/又は油性キャリア(例えばIsopar L)が挙げられる。
後述するように、幾つかの実施形態では、非水性キャリアの使用には、水性キャリアと比較してキャリアの除去に関して利点がある。
一実施形態では、好適な非水性キャリア流体は水を全く含まない。
別の実施形態では、好適な非水性キャリア流体は実質的に水を含まない。
さらに別の実施形態では、好適な非水性キャリア流体は、インク粒子を転写部材12から本明細書に記載される媒体22へ転写する前に転写基材12からキャリア流体を除去するための本明細書に記載される動作に大きな悪影響を与えない量の水を含んでもよい。
1つ又は複数の特定の例では、非水性キャリアは好ましくは1%未満の水を含み、5%を超える水を含まない。
【0016】
インク粒子(例えば顔料粒子)は、典型的なトナー粒子よりも小さく、カラー用途のための様々な顔料、又はモノクロ用途のための単色の顔料を含み得る。
一実施形態では、インク粒子は、50nm〜500nmの範囲内の直径を有する。
インク粒子は、樹脂によって個々に封入しても又は封入しなくてもよい(例えば、好適なプラスチック又はポリマーが米国特許第7,078,141号に記載されており、一実施形態では、この教示が参照により本明細書に援用される)。
封入されたインク粒子は、一例では200nmの直径を有し得る。
幾つかの液体マーキング剤組成物では、樹脂の浮遊性粒子が液体キャリア中に提供されてもよい。
この樹脂は、画像形成動作中にインク粒子の媒体22への付着を助けることができる。
一実施形態では、液体マーキング剤は、インク粒子を含む約5%の固体を含む。
【0017】
液体マーキング剤の別の例示的な組成では、インク粒子及び複数の電荷ディレクタを液体キャリア中に懸濁させる。
使用することができる好適な電荷ディレクタの例は、上記参照により本明細書に援用される'141号特許に記載される。
電荷ディレクタは共通の極性の電荷を有し得る(例えば一例では正の電荷)。
インク粒子は、電荷ディレクタを含む液体マーキング剤の構成では、上述の樹脂によってコーティングしてもよい。
液体キャリア中に懸濁しているインク粒子及び電荷ディレクタを含む種々の液体マーキング剤、例えばElectroinkが、Hewlett Packard Companyから入手可能である。
【0018】
一実施形態では、現像機構16は、プリント機構14の下流にあり、転写部材12上の液滴の領域のサイズを実質的に固定(例えば転写部材12上の液滴の膨張した領域を縮小)するように液滴を現像するように構成される。
例えば、一実施形態では、現像機構16は、インク粒子12を転写部材12に対して押しやる(urge)か又は誘導し、液滴及びインク粒子を現像するように構成される。
一実施形態では、現像機構16は、転写部材12上に堆積される液体マーキング剤に電気的な力(例えば電界、電荷、電子)を与える。
一実施形態では、インク粒子は、液体マーキング剤を転写部材12上に提供する前に、共通の極性(例えば一例では負の電荷)を有するように帯電させることができる。
一実施形態では、転写部材12の外側表面と対向する位置からインク粒子の電荷と同じ極性の電荷(例えば負の電荷)を与えることによって、インク粒子を転写部材12上へ押し付け、これが、液体マーキング剤のインク粒子を液体キャリアから分離するように働き、転写部材上のインク粒子及び液滴の膨張した領域を縮小し、かつ転写部材12上に堆積される液滴の領域を実質的に固定する。
一実施形態では、インク粒子を含む、転写部材12上の液体マーキング剤の液滴のサイズは、現像機構16による現像によって実質的に固定される。
一実施形態の現像機構16に関するさらなる詳細は、図3に関して以下で説明される。
1つの発展形態では、コロナのような帯電機構(例えば一実施形態では図3の参照符号36)が生成する負の電荷の束が、一例では接地されている転写部材12上の液体マーキング剤へ向けられる。
その結果、インク粒子28は負に帯電し、電界によって転写部材12に向かって引っ張られる。
【0019】
上述したように、図1の図示の構成要素の1つ又は複数は、省いてもよく、又は別様にインプリメントしてもよい。
現像機構16は、一実施形態において電荷ディレクタを含まない液体マーキング剤を使用するハード画像形成デバイス10の構成において、別個のデバイスとして使用してもよい。
別の実施形態では、図1の種々の構成要素を組み合わせてもよい。
例えば一実施形態では、現像機構16を省いてもよく、又は、例えば電荷ディレクタを含む液体マーキング剤を使用する場合、液体除去システムの構成要素(例えば一実施形態では図4のローラ40)に組み合わせてもよい。
【0020】
液体除去システム17は、一実施形態では、現像機構16の下流にあり、転写部材12上に堆積している液体マーキング剤の液体キャリアの少なくとも一部を除去するために、転写部材12上の液体マーキング剤を1つ又は複数の処理条件に暴露するように構成される。
幾つかの実施形態では、液体除去システム17は、液体キャリアを除去することができる1つ又は複数の機構を含むことができ、図4〜図6の例に関してさらに以下で説明するような種々の方法でインプリメントすることができる。
例えば、幾つかの構成では、液体除去システム17は一実施形態では、液体キャリアを物理的に又は機械的に除去する1つ又は複数の物理的な(機械的な)除去機構18と、残っている液体キャリアを蒸発させると共に樹脂を溶融させて媒体22への転写を容易にするように構成される乾燥機構20とを含む。
【0021】
幾つかの例示的な実施形態では、1つ又は複数の物理的な除去機構18は、幾らかの液体キャリアを物理的に除去するために、転写部材12を1つ又は複数の処理条件に暴露するように構成することができる。
幾らかの液体キャリアを物理的に又は機械的に除去する物理的な除去機構18の例としては、ローラ及び/又はエアナイフが挙げられる。
少なくとも一実施形態において、除去した液体キャリアを後に使用するために回収し、濾過し、再利用することができる。
幾つかのさらなる実施形態では、物理的な除去機構18の複数のステージをさらに以下で説明するように使用することができる。
物理的な除去機構18の1つ又は複数のステージを含むシステム17の実施形態に加えて、乾燥機構20をシステム17のさらなるステージに提供してもよく、又は異なる実施形態では、乾燥機構20は液体システム17の唯一の機構であってもよい。
幾つかの実施形態では、1つ又は複数の機構18によって液体キャリアの少なくとも一部を物理的に除去することは、後の加熱又は乾燥処理条件の電力要件を減らすのに有益であり、幾つかの実施形態では、転写部材12は、転写する前にこの加熱又は乾燥処理条件に暴露され得る。
【0022】
例示的な実施形態では、乾燥機構20を、システム17内で単独で用いてもよく、又は液体キャリアを除去する処理条件を提供するためにシステム17内に存在する物理的な除去機構18に加えて使用してもよい。
幾つかの実施形態では乾燥機構20を省いてもよい。
【0023】
一実施形態では、乾燥機構20は、液体キャリアを除去するために転写部材12上の液体マーキング剤を加熱するように構成される。
一実施形態では、乾燥機構20は、転写部材12上に存在する幾らか又は全ての液体キャリアを蒸発させると共にインク粒子の樹脂(存在する場合には)を溶融させるのに十分な熱を提供するように構成される。
一実施形態では、乾燥機構20は、約80度〜120度の範囲内の熱を転写部材12に加えるように構成される。
例示的な構成では、乾燥機構20は、転写部材12の表面の1つ又は複数の上に1つ又は複数のIRランプを備えてもよく、又は転写部材12の表面の1つ又は複数の上に加熱空気を吹き付けるように構成されてもよい。
高速の空気(例えば25m/秒〜200m/秒)を使用することができ、この高速の空気は、効率を高めるために乱流空気を含み得る。
加えて、幾つかの実施形態では、転写部材12を加熱してもよく、かつ/又は媒体の一方若しくは両方の面を転写の前若しくは転写中に加熱してもよい。
幾つかの実施形態では、液体除去システム17は1つ又は複数の乾燥機構20のみを含むことができ、機構18は省くことができる。
【0024】
インク粒子を、乾燥機構20において乾燥した後、転写ステーション23において転写部材12から媒体22へ転写し、媒体22を使用して画像のハードバージョンを形成する。
例示的な例では、転写ステーション23は、インク粒子の媒体22への転写を助けるために熱、電荷及び/又は圧力を使用することができる。
一実施形態では、媒体22への画像の転写を助けるためにカウンタローラ25が提供される。
一実施形態では、カウンタローラ25は、比較的高い圧力(例えば100g/mm)を与え、画像の転写を助ける。
媒体22の例示的な種類としては、シート媒体、ロール媒体、又は任意の他の好適なプリント若しくはコピー基材が挙げられる。
浮遊性粒子としての、又はインク粒子の周りを封入する液体マーキング剤中の樹脂は、インク粒子の媒体22への付着を助ける。
【0025】
図1の構成は、幾つかの実施形態では、転写ステーション23とプリントヘッド14との中間にある塗布装置33(例えば1つ又は複数のアナログローラ)も含み得る。
一実施形態では、塗布装置33は、転写部材12の表面上に添加剤(図10の例に関してさらに後述する)を提供するように構成され、転写部材12はその後、プリント機構14から液体マーキング剤の液滴を受け取る。
【0026】
図2を参照すると、転写部材12の一実施形態のさらなる詳細が示され、この転写部材12はベルト又はドラムの表面として提供され得る。
転写部材12は、図示の構成では複数の層を含む。
液体マーキング剤の液滴24が転写部材12上に示されている。
一実施形では、層の1つ又は複数は導電性である。
図2に示される特定の例示的な実施形態では、転写部材12は、放出層30、軟層32及びベース層34を含む3つの層を含む。
一実施形態では、軟層32は、一実施形態においてより高い抵抗及び約100ms〜200msのより遅い応答時間を有する放出層30の構成と比較して、およそ1msの比較的速い応答時間(抵抗性及び容量性)(すなわち、負に帯電したインク粒子を使用する場合、正の電荷がこの層を通して上方へ移動する時間)を提供するように構成される。
転写部材12の上述の構成によって、正の逆電荷31(例えば現像機構16による帯電に起因し得る)が、転写部材12の上面付近にくっつくことができ、一方で次の画像のマーキング剤が転写部材12上に堆積する前に適当に消去もされる。
転写部材12のパラメータ及び/又は転写部材12の加熱は、転写部材12の1つ又は複数の層の導電率を変化させて所望の画像保持又は消去特性を提供するために、特定の用途に合わせることができる。
【0027】
一実施形態では、放出層30は非膨潤性であり、約1012Ohm−cmの抵抗を有する。
一実施形態では、放出層30は、マーキング剤の液体キャリアの吸収に抵抗する一方で、マーキング剤のインク粒子の媒体22への放出は容易にするように構成される。
一実施形態では、放出層30は、約5ミクロンの厚さを有するフッ化シリコーンゴム基材から成る(comprises)。
【0028】
一実施形態では、軟層32は柔軟(compliant)であり、約10Ohm−cmの抵抗を有する。
一実施形態では、軟層32は導電ゴムから成り、約40ミクロン〜100ミクロンの厚さを有する。
【0029】
一実施形態では、ベース層34は接地しており、正の逆電荷31の供給源であり得る。
ベース層34は、一実施形態では導電性(例えば10−2Ohm−cm)であるが、他の実施形態でははるかに低い導電率(例えば10Ohm−cm)を有してもよく、1つの可能な構成では、導電性ポリイミドとして具現され得る(例えばE. I. du Pont de Nemours and Companyから入手可能なKapton(登録商標)ポリイミドフィルム中のカーボン)。
一実施形態では、ベース層34は約40ミクロン〜100ミクロンの厚さを有する。
【0030】
図3を参照すると、現像機構16の一実施形態が示される。
現像機構16の他の構成も可能である。
現像機構16は、幾つかの実施態様では電界又はイオン/電子の束によって転写部材12上のインク粒子を帯電させるように構成される。
一実施形態では、現像機構16はコロナ36として具現され、図示のように、転写アセンブリ12上の液体マーキング剤に、転写部材12上の液体キャリア26中の帯電したインク粒子28を電気的に圧密化するか又は圧縮するように働く電子37が衝突する。
一実施形態では、現像機構16は、電荷ディレクタを実質的に含まない液体マーキング剤を使用するハード画像形成デバイス10の構成と共に用いられる。
液体キャリア26を除去するための種々の実施形態を図4〜図5Bに関して以下で説明する。
以下で説明する実施形態では、図4A〜図5Bの構成によって、現像機構16を用いて、液体キャリアを除去する前にインク粒子28を圧密化することができる。
他の実施形態及び構成要素の組み合わせが可能である。
【0031】
図4を参照すると、液体除去システム17の一実施形態が示される。
図4に示される実施形態は、電荷ディレクタ27を含む液体マーキング剤を使用するハード画像形成デバイス10の構成と共に用いられるように配置される。
図示の液体除去システム17は、図示の実施形態ではローラ40及びブレード42を含む物理的な除去構成を含む。
一実施形態では、ローラ40及びブレード42は、それぞれ金属ローラ及び金属ブレードとしてインプリメントすることができる。
一実施形態では、ローラ40は、転写部材12が進む方向とは逆、すなわち反対の時計回り方向に回転するように構成される。
一実施形態では、ローラ40は、転写基材12の処理速度の半分から2倍の範囲内の速度で回転することができ、ここで、せん断速度は、転写基材12の処理速度にローラ40の回転表面速度を加えたものに等しい。
動作中、転写部材12上の液体キャリア26はローラ40の時計回りの回転方向に引っ張られ、ブレード42によって除去されると共に回収される。
【0032】
一実施形態では、ローラ40は転写部材12から距離46(例えば約20ミクロン)だけ離間しており、この距離は、転写部材12上に堆積する液体キャリア26の厚さ44(例えば10ミクロン)よりも大きい。
一実施形態では、ローラ40は約−500V DCにバイアスをかけることができ、これは、正に帯電した電荷ディレクタ27を引き付けるように働き、液体キャリア26をローラ40に対して固定的に位置決めされるブレード42によって除去するために上方かつローラ40の周りに引き付けるのに役立つ。
一実施形態では、液体キャリア26は、ローラ40の下を通過した後は約2ミクロンの厚さ48を有する。
図4に示すように、ローラ40にバイアスをかけることによって、転写部材12上にインク粒子28を現像する(例えば圧密化するか又は押し付ける)ように働き、ローラ40は現像機構とも称され得る。
加えて、図1の現像機構16は、電気的にバイアスがかけられたローラ40を使用する幾つかの実施形態では省いてもよい。
【0033】
図4Aを参照すると、図示の実施形態では、キャッチトレイ43が金属ブレード42の下に示されている。
金属ブレード42は、媒体22の周りの転写部材12から受け取った液体キャリア26を廃棄、リサイクル、再利用等のためにキャッチトレイ(dray)43へ誘導するように傾斜させることができる。
【0034】
図4Bを参照すると、液体除去システム17の別の実施形態が示される。
一実施態様では、図4Bに示される実施形態は、電荷ディレクタ27を含まない液体マーキング剤と共に使用するように配置される。
一実施形態では、図4Bにおいてローラ40は電気的にバイアスをかけられていないが、比較的弱い圧力(例えば1g/mm)で転写部材12と接触するように位置決めされる。
カウンタ圧力ローラ41がローラ40と対向して位置決めされ得る。
ローラ40は、時計回り方向に回転して液体キャリア26を転写部材12から金属ブレード42に搬送する。
一例では、液体キャリア26は、図4Bの液体除去システムに隣接する転写部材12を通過する前は約10ミクロンの厚さ44を有し、液体除去システム17を出た後は約1ミクロンの厚さ48を有する。
一実施形態では、重油を液体マーキング剤に添加して転写部材12の表面を保護してもよい。
使用することができる例示的な重油としては、Exxon-Mobil Corporationから入手可能なMarcol、又は上記参照によって援用される'141号特許に記載される他の油が挙げられる。
【0035】
一実施形態では、ローラ40(例えば図4B)を、余分な液体キャリア26を除去するために転写部材12の移動と同じ方向へ回転するように構成されるスキージとしてインプリメントすることができる。
スキージは、1つの構成では転写部材12と接触し得る。
インク粒子28が帯電される場合、スキージは、一実施形態では、インク粒子28の電荷と同じ極性に電気的にバイアスをかけられ、インク粒子28を転写部材12上に残しつつも液体キャリアを除去することを助けることができる。
一実施形態では、反対の極性の電荷ディレクタも液体キャリア中に存在し、スキージによる液体キャリアの除去を助けることができる。
加えて、スキージは一実施形態では、重力が後の再利用のための液体キャリア26の回収に役立つように配置することができる。
例えば、スキージは一実施形態では、転写部材12の下に位置決めすることができる。
幾つかの実施形態では、転写部材12は帯電していてもよい。
例えば、転写部材12は一実施形態では、スキージローラの電気的なバイアスに対して+300Vにバイアスをかけられ、負に帯電しているインク粒子28を引き付けることができる。
【0036】
図4Cを参照すると、液体除去システム17の別の実施形態が示される。
一実施態様では、図4Cに示される実施形態は、電荷ディレクタ27を含まない液体マーキング剤と共に使用されるように配置される。
図4Cの実施形態は図4の実施形態と同様である(一実施形態ではローラ40にバイアスをかけない)が、ローラ40による液体キャリア26の除去を助けるように転写部材12に隣接して位置決めされるエアナイフ50が加わっている。
一実施形態では、エアナイフ50は、転写部材12上の液体キャリア26へ向かって空気の流れを放出し、これが、液体キャリア26をローラ40によって金属ブレード42まで搬送することを助けるように働く。
液体キャリア26は、一例では、それぞれ約10ミクロン及び約2ミクロンの厚さ44、48を有し、ローラ40は一実施形態では、約20ミクロンである距離46だけ転写部材12から離間している。
一実施形態では、エアナイフ50は、約数百メートル/秒の速度で空気の流れを放出するように構成されるスーパーエアナイフとしてインプリメントすることができる。
例示的なスーパーエアナイフはExair.comから入手可能である。
幾つかの実施形態では、本明細書中に記載される他のエアナイフもスーパーエアナイフとしてインプリメントすることができる。
【0037】
図4Dを参照すると、液体除去システム17の別の実施形態が示される。
一実施態様では、図4Dに示される実施形態は、電荷ディレクタ27を含まない液体マーキング剤と共に使用されるように配置される。
図4Dでは、ローラ40は、約10ミクロンの距離46だけ転写部材12から離間しており、液体キャリア26は、記載の例ではそれぞれ約10ミクロン及び約2ミクロンの厚さ44、48を有する。
一実施形態では、(例えば図4Cの実施形態と比較して)距離46は小さいほど、ローラ40による液体キャリア26の除去を助ける。
【0038】
図4Eを参照すると、液体除去システム17のさらに別の実施形態が示される。
一実施態様では、図4Eに示される実施形態は、電荷ディレクタ27を含まない液体マーキング剤と共に使用されるように配置される。
液体キャリア26は、一例では、それぞれ約10ミクロン及び約2ミクロンの厚さ44、48を有し、ローラ40は一実施形態では、約20ミクロンだけ転写部材12から離間している。
図4Eの例示的な実施形態では、転写部材12の一部がローラ40の下を通過する前に、位置29において転写部材12のその部分にさらなる液体キャリア(すなわちプリント機構14から噴射されない)を添加することができる。
【0039】
現像機構は(例えば図4に関して上述したように)液体除去システム17において具現することができるが、図4A〜図4Eの構成を、図3の別個の現像機構16と併せて使用してもよい。
加えて、図4〜図4Eの例示的な実施形態は、ハード画像形成デバイス10の幾つかの実施形態の場合、液体除去システム17の全体を個々に含んでもよい。
他の実施形態では、液体除去システム17は、代替的な構成要素を含むか、図4〜図4Eの構成に加えて構成要素を含んでもよい。
例えば、図5〜図5Bに示す構成を、単独で用いても、又は図4〜図4Eの構成と組み合わせて用いてもよい。
したがって、液体除去システム17の幾つかの実施形態では、液体キャリアを除去するには図4〜図4Eの構造は使用されず、図5〜図5Bに示される適切な構造が使用される。
図4〜図4E及び図5〜図5B両方の構成要素を使用する液体除去システム18の構成では、図4〜図4Eの構成要素(複数可)を第1の又は最初の除去ステージと称することができ、図5〜図5Bの構成要素(複数可)を、第2の、又は第1の除去ステージの後の後続の除去ステージと称することができる。
本明細書中に記載されるように、液体除去システム18は、さらなるステージに乾燥機構20も含み得る。
さらに、液体除去システム18の代替的な構成を他の実施形態において用いてもよい。
【0040】
図5を参照すると、転写部材12は、液体除去システム17の対向するローラ60、61間を移動する。
エアナイフ68が、ローラ60、61の間隙に向かって空気の流れを放出するように位置決めされる。
放出された空気の流れは、液体キャリア26を転写部材12の表面から吹き飛ばし、吹き飛ばされた液体キャリア26がローラ60によって固定ブレード62へ誘導され、ここで液体キャリア26を回収、リサイクル、再利用等することができる。
一実施形態では、図5の構成は、重力を利用して液体キャリア26を除去及び回収するように構成される。
例えば、図示の実施形態では、液体キャリア26及びインク粒子28は、転写部材12がローラ60、61間を通過する場合に転写部材12の下面上に提供され、ブレード62による液体キャリア26の回収を容易にする。
図示の例では、エアナイフ68から放出された空気の流れが液体キャリア26を後方へ吹き飛ばし、吹き飛ばされた液体キャリア26が回転するローラ60によってブレード62へ誘導され、ここで液体キャリア26を回収及び再利用することができる。
図示の例では、ローラ60と転写部材12の表面との間の隙間64は約20ミクロンであり、インク粒子28の厚さは約0.5ミクロンであり、液体キャリア26は、除去される前は約1ミクロン〜2ミクロンの厚さを有する。
エアナイフ68の使用によって液体キャリア26を除去するか又は液体キャリア26を転写部材12の表面上で広げ、これによって後述する乾燥機構20における乾燥が容易になる。
一実施形態では、ローラ60は、インク粒子28の電荷と同じ極性に電気的にバイアスをかけられ、転写部材12上のインク粒子28を押し付けるか又は圧密化することができる。
【0041】
図5Aの示される例示的な実施形態では、キャッチトレイ70が移動する転写部材12の上方に(elevationally)位置決めされ得る。
エアナイフ72が、空気の流れを転写部材12に向かって下方に放出するように配置される。
放出された空気は、液体キャリア26を転写部材12から開口73を通してキャッチトレイ70内へ吹き飛ばす。
キャッチトレイ70内に収容された液体キャリア26は、回収、リサイクル、再利用等することができる。
図5Aの構成は、液体キャリア26の、約10ミクロンの厚さ74を有する層から約1ミクロンの厚さ76を有する層を提供するように動作することができる。
【0042】
図5Bを参照すると、別の例示的な液体除去システム17が示される。
図示の例示的な構成は、エアナイフ76と、ウレタン、テフロン(登録商標)等から成る軟質ブレード67と、リザーバ79とを含む。
ブレード76は、転写部材12の表面にほぼ達するまで上方に延びるような向きであり、一実施形態では、転写部材12上のインク粒子28と接触し得る。
一実施形態では、図5Bの構成は、重力を利用して液体キャリア26を除去及び回収するように構成され、この場合、液体キャリア26は転写部材12の下面上に提供される。
図示の例では、エアナイフ76から放出された空気の流れが液体キャリア26を転写部材12の表面から吹き飛ばし、一実施形態では、吹き飛ばされた液体キャリア26がブレード78及びリザーバ79に着地するか又はこれらに誘導され、ここで液体キャリア26を回収及び再利用することができる。
【0043】
転写部材12は、上記ステージの1つ又は複数を通過した後、図6の一実施形態に示されるような、液体除去システム17の乾燥機構20を含む別のステージへ誘導される。
乾燥機構20は、加熱空気を転写部材の表面へ誘導するように構成されるファン、IRランプ又は他の適切な加熱素子の形態の1つ又は複数の機構を含み得る。
一実施形態では、乾燥機構20は、転写部材12上に残っている可能性がある液体キャリア26を蒸発させると共にインク粒子の樹脂(このような樹脂が存在する場合)を溶融させるのに十分な熱を提供する。
一実施形態では、蒸発した液体キャリア26は凝縮されて再利用され得る。
【0044】
一実施形態では、転写部材12は、乾燥機構20において熱に暴露された後、転写ステーション23へ誘導され、ここで、転写部材12上のインク粒子28(画像の溶解したインク層と称され得る)が媒体22へ転写され、オフセット印刷構成を提供する。
転写ステーション23は、熱、圧力又は電荷の1つ又は複数を使用して転写部材12から媒体22へのインク粒子28の転写を助けることができる。
上述したように、転写部材12には電気的にバイアスをかけることができる。
例えば一実施形態では、転写部材12に、媒体22に対して−300Vにバイアスをかけ、転写動作中に負に帯電したインク粒子を媒体22へ向かって押すことができる。
【0045】
ハード画像形成デバイス10の代替的な構成が可能である。
例えば、図7を参照すると、ハード画像形成デバイスの代替的な実施形態が参照符号10aに関して示される。
図7の図示の実施形態では、液体除去システム17は、液体キャリアの除去/乾燥動作において重力を利用するように位置決めされる。
例えば、図7の構成は、重力を利用して、例えば図5及び図5Bに関して上述したように転写部材12上に堆積した液体キャリア26の除去を助ける。
【0046】
図8を参照すると、一実施形態によるハード画像形成デバイス10の幾つかの電気的な構成要素の例示的な構成が示される。
電気的な構成要素は、ハード画像形成デバイス10の一実施形態では、通信インタフェース80、制御機構82及び格納回路84を含む。
より多くの構成要素、少ない構成要素、又は代替的な構成要素がハード画像形成デバイス10の他の実施形態において提供される。
【0047】
通信インタフェース80は、外部デバイス(図示せず)に対してハード画像形成デバイス10の通信をインプリメントするように配置される。
例えば、通信インタフェース80は、デバイス10に対して情報を双方向に通信するように配置され得る。
通信インタフェース80は、ネットワークインタフェースカード(NIC)、シリアル接続若しくはパラレル接続、USBポート、ファイヤーワイヤーインタフェース、フラッシュメモリインタフェース、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、又はデバイス10に対して通信するのに好適な任意の他の構成としてインプリメントすることができる。
一例では、形成されるハード画像の画像データは、通信インタフェース80によってデバイス10内に受信され得る。
【0048】
一実施形態では、制御機構82は、形成される画像の画像データにアクセスし、データを処理し、データアクセス及び格納を制御し、命令を発行し、かつ画像形成に関してデバイス10の他の動作を制御するように配置される。
より具体的には、制御機構82は、画像データにアクセスし、(例えば画素に対応する)複数の選択された位置で、画像データが指定する形成される画像に対応する液体マーキング剤の液滴を噴射するようプリント機構14を制御することができる。
一実施形態では、制御機構82は、少なくとも一実施形態において適切な媒体が提供する所望のプログラミングをインプリメントするように構成される処理回路を含み得る。
例えば、処理回路は、プロセッサ、並びに/又は例えばソフトウェア命令及び/若しくはファームウェア命令を含む実行可能な命令を実行するように構成される他の構造、並びに/又はハードウェア回路の1つ又は複数としてインプリメントすることができる。
処理回路の例示的な実施形態としては、単独で、又はプロセッサと組み合わせて、ハードウェアロジック、PGA、FPGA、ASIC、ステートマシン、及び/又は他の構造が挙げられる。
制御機構82のこれらの例は例示を目的としており、他の構成も可能である。
【0049】
格納回路84は、実行可能なコード又は命令(例えばソフトウェア及び/若しくはファームウェア)、電子データ、データベース、画像データ、又は他のデジタル情報等のプログラミングを格納するように構成され、プロセッサ使用可能媒体を含み得る。
プロセッサ使用可能媒体は、例示的な実施形態において、処理回路を含む命令実行システムが使用するか又はこれと関連するプログラミング、データ及び/又はデジタル情報を含むか、格納するか又は保持することができる、任意のコンピュータプログラム製品(複数可)又は製造品(複数可)において具現することができる。
格納回路84の例としては、メモリ、ハードディスク、又は他の種類の好適な格納装置が挙げられる。
【0050】
幾つかの実施形態において、図4〜図4Eに関して上述したローラ40を使用して、転写部材12の比較的速い移動速度(例えば約2m/秒)で約8ミクロン(以上)の液体キャリアを除去することができる。
例えば、上述の例示的な実施形態では、5%の固体(約0.5ミクロンの固体厚さ)を含む液体キャリアの10ミクロン(以上)の層を約2ミクロンに減らすことができる。
(特に比較的速い処理速度では)乾燥が比較的非効率的であり、乾燥機構20の上流の液体除去システム17が、乾燥機構20において液体キャリアを除去するのに必要な電力の量を低減するため、乾燥機構20の前に液体除去システム17の最初の機構16を使用することによって電力を節減することができると考えられる。
液体除去システム17の最初の機構16を使用することによって、インク粒子を媒体へ転写する前に液体キャリアを除去するために乾燥機構20のみを使用することと比較して、液体除去システム17の機構20の電力要件が(約5倍)低減すると推測される。
【0051】
さらに、表1を参照すると、非水性の(例えば溶媒又は油性)液体マーキング剤を使用するインクジェットシステムに必要な乾燥エネルギー対水性液体マーキング剤を使用するインクジェットシステムに必要な乾燥エネルギーの推定が示される。
液体マーキング剤中の非水性液体キャリアの使用は、同様の量の水性キャリアを除去するのに必要な電力と比較して、蒸発しやすいことから、電力要件を約6倍節減すると考えられる。
したがって、本開示の少なくとも幾つかの構成は、他のインクジェット構造と比較して、約30倍電力を節減することができると考えられる。
【0052】
【表1】

【0053】
加えて、プリント機構14から噴射する液体マーキング剤の液滴は、媒体上に直接印刷するため、媒体の毛細管力に反して媒体から膨らんだ水を乾燥するためにさらなる乾燥が必要である他のインクジェット印刷システムとは対照的に、開示される一実施形態では、非膨潤層から成る放出層30上に提供される。
他の構成と比較した本明細書中に記載される実施形態の電力節減によって、開示される構成を商業的構成において、また商業的印刷速度で競合的に使用することが可能となると考えられる。
【0054】
さらに、幾つかのインクジェット構成は、そのような構成では幾らかの液体を媒体中で膨らませる必要があることから、比較的限られた数の種類の媒体と共に使用される。
転写部材12を使用することを含む本開示の幾つかの例示的な実施形態のオフセット構成は、幾つかのインクジェット用途において使用され得るあらゆる媒体を膨張させる。
例えば、多くの商業的用途は、本開示の少なくとも幾つかの実施形態の装置及び方法と共に使用され得る光沢のある、又はコーティングされた媒体を使用する。
加えて、処理の少なくとも幾つかが、幾つかの実施形態では媒体上で行われるのとは対照的に、転写部材12上で行われる(例えば現像、液体キャリアの除去)ため、例えば工業用途ではさらなる媒体、例えばPVC及びプラスチック上に印刷することができる(これは、そのような他の実施形態において使用される熱を理由に本来は好適ではない可能性がある)。
【0055】
図9を参照すると、転写ステーション23の例示的な一実施形態が示される。
熱、圧力及び電荷の1つ又は複数を使用して、転写部材12から媒体22への画像19(例えばインク粒子28)の転写を容易にすることができる。
図示の実施形態では、媒体22の画像を受け取る表面は添加剤90を含む。
一実施形態では、上述の樹脂のような添加剤90は、比較的薄い層(例えば20nm〜2000nm)として媒体22の画像を受け取る表面上に提供される。
1つ又は複数のアナログローラ(図示せず)を、媒体送出経路に沿って転写ステーション23の上流に位置決めし、画像19のインクを媒体22へ転写する前に媒体22上に添加剤90を提供することができる。
媒体22上に添加剤90を提供する任意の好適な方法又は装置を使用することができる。
一実施形態では、添加剤90を加熱してから転写ステーション23において画像を転写し、画像19のインクの媒体22への転写を助けることができる。
添加剤90は、インクの媒体22への付着を助け、媒体22の繊維へのインク粒子の浸透を低減する。
【0056】
図10を参照すると、転写動作の別の実施形態が記載される。
図10では、添加剤90が転写部材12上に提供されてから液体マーキング剤の液滴が受け取られ、したがって、プリント機構14から噴射した液滴は、転写部材12上の添加剤90上に受け取られる。
例示的な実施形態では、添加剤90は、転写ステーション23とプリント機構14との中間にある位置において、1つ又は複数のアナログローラ(図1を参照のこと)によって、転写部材12上に提供され得る。
他の堆積装置又は方法を使用してもよい。
【0057】
幾つかの実施形態では、添加剤90は、転写部材12の表面全体に連続層として、又は代替的には(図10に示すように)画像19を受け取る転写部材12の部分のみにある層として提供される。
幾つかの実施形態では、0.5ミクロン〜1ミクロンの厚さを有する添加剤90の層を使用してもよい。
一実施形態では、転写ステーション23は、添加剤90及び画像19の両方を媒体22へ転写し、添加剤90は、転写後に媒体22上の画像19にわたって外側保護層として働き得る。
一実施形態では、添加剤90は、転写前に転写ステーション23の上流で加熱され、添加剤90及び画像19両方の媒体22への転写を助けることができる。
例えば、樹脂は、媒体22又は転写部材12上に樹脂を含む添加剤90を提供する図9及び図10の実施態様では液体マーキング剤から省くことができる。
他の実施形態では、樹脂は、液体マーキング剤中に、並びに転写部材12及び/又は媒体22上に提供してもよい。
【0058】
媒体22上ではなく転写部材12上に液体マーキング剤を噴出させる幾つかの実施形態の少なくとも幾つかの利点は、裏抜け、しわ及び/又は媒体の膨張を低減することを含む。
加えて、プリントヘッドと転写基材との間の距離を、プリントヘッドと媒体との間の距離と比べて縮めることができ、これによってより高い印刷品質が得られる。
【0059】
得ようとする保護範囲は、専ら例示として提供される開示の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0060】
さらに、本明細書中の態様は、本開示の例示的な実施形態の構成及び/又は動作における指針として提示されている。
本発明の出願人(ら)は、これらの記載される例示的な実施形態が、明示的に開示されている実施形態に加えてさらなる発明の態様も含み、開示しかつ記載するものと考える。
例えば、さらなる発明の態様は、例示的な実施形態に記載される特徴よりも少ない特徴、多くの特徴、及び/又は代替的な特徴を含むことができる。
より具体的な例では、出願人らは、本開示が、明示的に開示されている方法よりも少ないステップ、多くのステップ、及び/又は代替的なステップを含む方法、並びに明示的に開示されている構造よりも少ない構造、多くの構造、及び/又は代替的な構造を含む装置を含み、開示しかつ記載するものと考える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット画像形成方法であって、
転写部材を使用して、複数のノズルから噴射される液体マーキング剤の複数の液滴を受け取ることであって、前記液体マーキング剤の前記液滴は液体キャリア中に懸濁している複数のインク粒子を個々に含む、受け取ることと、
前記受け取り後に、前記転写部材上で前記液滴を現像して前記転写部材上で前記液滴の領域を実質的に固定することと、
前記転写部材上の前記液滴を処理条件に暴露して前記転写部材上の前記液滴の前記液体キャリアの少なくとも幾らかを除去することと、
前記暴露後に、前記インク粒子を前記転写部材から媒体へ転写し、前記媒体を使用して画像のハードバージョンを形成することと
を含むインクジェット画像形成方法。
【請求項2】
前記受け取ることは、非水性キャリアから成る前記液体キャリア中に懸濁している前記インク粒子を個々に含む前記液体マーキング剤の前記液滴を受け取ることを含む
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記暴露することは、第1のステージの物理的な除去機構および前記第1のステージ後の第2のステージの乾燥機構を含む複数の別個のステージにおいて、前記転写部材上の前記液滴を異なる処理条件に暴露することを含む
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記現像することは、前記インク粒子を前記転写部材に対して押しやることを含む
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、前記インク粒子を共通の極性に帯電させ、前記押しやることは、前記インク粒子の電荷を使用して押しやることを含む
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
画像形成方法であって、
形成される画像の画像データにアクセスすることと、
前記画像データを使用して、前記形成される画像に対応する液体マーキング剤の複数の液滴を噴射するようプリント機構を制御することであって、前記液体マーキング剤の前記液滴は、非水性キャリア流体中に複数のインク粒子を個々に含む、制御することと、
前記プリント機構を使用して、前記液体マーキング剤の前記液滴を噴射することと、
前記噴射後に、転写部材上に前記液体マーキング剤の前記液滴を受け取ることと、
前記受け取り後に、前記液滴の前記インク粒子を前記転写部材から媒体へ転写し、前記媒体を使用して前記画像のハードバージョンを形成することと
を含む画像形成方法。
【請求項7】
前記噴射することは、インクジェットプリントヘッドを備える前記プリント機構を使用して前記液滴を噴射することを含む
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記受け取り後に、前記液体マーキング剤の前記液滴を前記転写部材上で現像して前記転写部材上で前記液滴の領域を実質的に固定することをさらに含む
請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記インク粒子は共通の極性の電荷を有し、前記現像することは、前記インク粒子の前記電荷を使用して前記インク粒子を前記転写部材に対して押しやることを含む
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記液体マーキング剤の前記液滴は液体キャリアを含み、
前記方法は、前記転写前に、前記転写部材上の前記液滴の前記液体キャリアの少なくとも一部を除去することをさらに含む
請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記除去することは、物理的な除去機構および乾燥機構の少なくとも一方を個々に含む複数のステージにおいて除去することを含む
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記噴射することは、油性液体キャリアから成る前記キャリア流体中に懸濁している前記インク粒子を含む前記液滴を噴射することを含む
請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記転写することは、前記インク粒子を前記転写部材から前記媒体上の添加剤へ転写することを含む
請求項6に記載の方法。
【請求項14】
前記方法は、前記受け取り前に、前記転写部材上に添加剤を提供することをさらに含み、
前記受け取ることは、前記液体マーキング剤の前記液滴を前記添加剤上に受け取ることを含む
請求項6に記載の方法。
【請求項15】
前記転写することは、前記添加剤および前記インク粒子を前記転写部材から前記媒体へ転写することを含む
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ハード画像形成デバイスであって、
液体マーキング剤の複数の液滴を噴射するように構成されるプリント機構であって、前記液体マーキング剤の前記液滴は非水性キャリア流体中に複数のインク粒子を個々に含む、プリント機構と、
形成される画像に対応する前記液体マーキング剤の前記液滴を噴射するよう前記プリント機構を制御するように構成される制御機構と、
前記プリント機構に隣接すると共に、前記プリント機構が噴射する前記液体マーキング剤の前記液滴を受け取るように構成される転写部材であって、前記液滴の前記インク粒子を前記転写部材から媒体へ転写し、前記媒体を使用して前記画像のハードバージョンを形成するように構成される、転写部材と
を備えるハード画像形成デバイス。
【請求項17】
前記プリント機構はインクジェットプリントヘッドを備え、
前記制御機構は、前記形成される画像の画素に対応する複数の異なる位置のうちの選択された位置に複数のノズルから前記液滴を噴射するよう前記プリント機構を制御するように構成される
請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記転写部材に隣接すると共に、前記転写部材上で前記液滴を現像して前記転写部材上で前記液滴の領域を実質的に固定するように構成される現像機構をさらに備える
請求項16に記載のデバイス。
【請求項19】
前記インク粒子は共通の極性の電荷を有し、
前記現像機構は、前記インク粒子の前記電荷を用いて前記インク粒子を前記転写部材に対して押しやるように構成される
請求項16に記載のデバイス。
【請求項20】
前記液体マーキング剤は液体キャリア中に懸濁している前記インク粒子を含み、
前記デバイスは、前記転写部材に隣接して位置決めされると共に、前記インク粒子を前記媒体へ転写する前に前記転写部材上の前記液体マーキング剤の前記液滴の液体キャリアの少なくとも幾らかを除去するように構成される液体除去システムをさらに備える
請求項16に記載のデバイス。
【請求項21】
前記液体除去システムは、
前記液体キャリアの最初の量を物理的に除去するように構成される少なくとも1つの物理的な除去機構と、
前記液体キャリアの前記最初の量を除去した後で加熱することによって前記液体キャリアの続く量を除去するように構成される乾燥機構と
を備える請求項16に記載のデバイス。
【請求項22】
前記液体マーキング剤は、油性キャリア流体から成る前記非水性キャリア流体中に懸濁している前記インク粒子を含む
請求項16に記載のデバイス。
【請求項23】
前記インク粒子を前記媒体上の添加剤へ転写するように構成される転写ステーションをさらに備える
請求項16に記載のデバイス。
【請求項24】
前記デバイスは、前記転写部材上に添加剤を提供するように構成される接着剤塗布装置をさらに備え、
前記転写部材は、前記添加剤上に前記液体マーキング剤の前記液滴を受け取る
請求項16に記載のデバイス。
【請求項25】
前記添加剤および前記インク粒子を前記媒体へ転写するように構成される転写ステーションをさらに備える
請求項24に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図5】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−523601(P2011−523601A)
【公表日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507395(P2011−507395)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/062522
【国際公開番号】WO2009/134273
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(511076424)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (155)
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
【Fターム(参考)】