説明

インサート部材およびプラスチックジャケットを含む構成部材ならびに該構成部材の製造法

本発明は、インサート部材および少なくとも2つのプラスチック成分から構成されたプラスチックジャケットを含む構成部材に関し、この場合このインサート部材は、プラスチック成分Aによって包囲され、第1のプラスチック成分Aは、第2のプラスチック成分Bによって包囲されている。第1のプラスチック成分Aがそれぞれ第1のプラスチック成分Aの重合体含量に対してA1:少なくとも1つの熱可塑性スチレン(共)重合体10〜100質量%およびA2:少なくとも1つの熱可塑性(コ)ポリエステル0〜90質量%から構成されており、および第2のプラスチック成分Bがそれぞれ第2のプラスチック成分Bの重合体含量に対してB1:芳香族ジカルボン酸および脂肪族または芳香族ジヒドロキシ化合物を基礎とする少なくとも1つの部分結晶性の熱可塑性ポリエステル50〜100質量%およびB2:少なくとも1つの熱可塑性スチレン(共)重合体0〜50質量%から構成されており、この場合第1のプラスチック成分Aと第2のプラスチック成分Bとは、異なる組成を有する。更に、本発明は、前記構成部材を製造するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インサート部材および少なくとも2つのプラスチック成分から構成されたプラスチックジャケットを含む構成部材に関し、この場合このインサート部材は、プラスチック成分Aによって包囲され、この第1のプラスチック成分Aは、第2のプラスチック成分Bによって包囲されている。更に、本発明は、このような構成部材を製造するための方法に関する。
【0002】
インサート部材およびプラスチックジャケットを含む構成部材は、例えば電子構成部材を組み込むために金属インサート部材を使用する際に、例えば自動車産業または航空機産業および宇宙船産業において使用される。この場合には、湿分または液体の進入、ひいては電子構成成分の損傷を回避させるために、漏れ止め結合または粘着結合が構成部材において必要とされる。構成部材の漏れ止めは、構成部材が温度変化に晒される場合であっても保証されたままでなければならない。プラスチックジャケットを有する金属インサート部材から構成された複合体構造における粘着結合の漏れ止めが不足する1つの理由は、例えばプラスチック成分による金属成分の劣化した湿潤性、ひいては劣化した付着力に由来しうる。また、金属成分とプラスチック成分の熱膨張における差は、亀裂を惹起しうる応力をまねく。
【0003】
金属インサート部材がプラスチックジャケットによって包囲されているようなプラグの形の構成部材は、例えば欧州特許第0249975号明細書の記載から公知である。プラスチックと金属との間の漏れ止め結合を達成するために、外側のプラスチック材料と金属インサート部材との間には、可撓性プラスチック材料が導入されている。この可撓性プラスチック材料は、例えば補強されていない熱可塑性エラストマーである。
【0004】
欧州特許出願公開第1496587号明細書の記載から、フラットケーブルがプラスチック材料から構成された密閉構造から引き出される複合体構成部材は、公知である。ケーブルがプラスチック材料から現れる間隙を密閉するために、開口は、液体ゴムによって充填され、この液体ゴムは、引続き硬化される。
【0005】
また、ドイツ連邦共和国特許第10053115号明細書には、プラスチックジャケットから構成されたケーブルのための通路が記載されている。この場合、密閉は、ブッシング材料に関連して、ならびに管路のジャケット材料に関連して粘着特性を有するシーリング剤によって達成される。適当なシーリング剤として、例えば脂肪、ワックス、樹脂、ビチューメンまたは類似物が挙げられる。
【0006】
金属ピンがプラスチック材料から構成された固体のジャケット中に収容されているような別のプラグコネクターは、欧州特許出願公開第0245975号明細書の記載からも公知である。可撓性のプラスチック材料は、漏れ止め結合を達成させるために、金属ピンと外側ジャケットとの間に使用される。
【0007】
また、インサート部材がプラスチック層によって取り囲まれているような構成部材は、WO−A 2008/099009の記載から公知である。この構成部材の場合、金属インサート部材は、最初に僅かな粘度のプラスチック材料で被覆され、第2の工程において、硬質のプラスチック成分は、被覆の周囲に噴射される。僅かな粘度を有する適当なプラスチックとして、ポリアミド、脂肪族ポリエステルまたは脂肪族ジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジヒドロキシ化合物を基礎とするポリエステルが挙げられる。
【0008】
また、電気的接触がケーシングによって行なわれかつケーシング通路が望ましくない物質の進入に抗して密閉されているような別のケーシング通路は、ドイツ連邦共和国特許出願公告第102005033912号明細書の記載から公知である。密閉のために、電気メッキ処理が使用され、密閉領域内で導体要素の粗さ深さが増大される。
【0009】
インサート部材の公知技術水準から公知の全てのプラスチック被覆の欠点は、これらのプラスチック被覆が温度変化の下での使用の際に十分な媒体漏れ止めを提供しないことにある。
【0010】
従って、本発明の課題は、プラスチックジャケットが温度変化の下での貯蔵においても十分な媒体漏れ止めを提供するような、インサート部材およびプラスチックジャケットを含む構成部材を提供することである。
【0011】
この課題は、インサート部材および少なくとも2つのプラスチック成分から構成されたプラスチックジャケットを含む構成部材によって解決され、この場合このインサート部材は、第1のプラスチック成分Aによって包囲され、この第1のプラスチック成分Aは、第2のプラスチック成分Bによって包囲されており、この場合この第1のプラスチック成分Aは、
それぞれ第1のプラスチック成分Aの重合体含量に対して、
A1:少なくとも1つの熱可塑性スチレン(共)重合体10〜100質量%および
A2:少なくとも1つの熱可塑性(コ)ポリエステル0〜90質量%から構成されており、および
第2のプラスチック成分Bは、
それぞれ第2のプラスチック成分Bの重合体含量に対して、
B1:芳香族ジカルボン酸および脂肪族または芳香族ジヒドロキシ化合物を基礎とする少なくとも1つの部分結晶性の熱可塑性ポリエステル50〜100質量%および
B2:少なくとも1つの熱可塑性スチレン(共)重合体0〜50質量%から構成されており、
この場合第1のプラスチック成分Aと第2のプラスチック成分Bとは、異なる組成を有する。
【0012】
少なくとも1つの熱可塑性スチレン(共)重合体および場合によっては少なくとも1つの熱可塑性(コ)ポリエステルから構成されている、第1のプラスチック成分Aを使用することによって、殊に温度変化の下での構成部材の使用において、公知技術水準から公知のプラスチックジャケットと比較して明らかに改善された媒体漏れ止めが達成される。
【0013】
1つの好ましい実施態様において、第1のプラスチック成分Aは、少なくとも1つの熱可塑性スチレン(共)重合体50〜100質量%、殊に70〜100質量%を含有する。従って、少なくとも1つの熱可塑性(コ)ポリエステルの割合は、特に0〜50質量%、殊に0〜30質量%である。熱可塑性スチレン(共)重合体70〜90質量%および熱可塑性(コ)ポリエステル10〜30質量%が含有されているような実施態様は、特に好ましい。
【0014】
熱可塑性スチレン(共)重合体A1は、特にスチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリルニトリル共重合体(SAN)、α−メチルスチレン−スチレン−アクリルニトリル共重合体、ジエン重合体またはアルキルアクリレートから構成された粒子状ゴム相を有するスチレン−アクリルニトリル共重合体およびジエン重合体またはアルキルアクリレートから構成された粒子状ゴム相を有するα−メチルスチレン−スチレン−アクリルニトリル共重合体から構成された群から選択され、この場合スチレンとは異なる単量体単位は、それぞれ15〜40質量%の割合で共重合体中に含有されている。
【0015】
成分A1は、一般に粒子状グラフトゴム15〜60質量%、有利に25〜55質量%、殊に30〜50質量%および熱可塑性スチレン(共)重合体40〜85質量%、有利に45〜75質量%、殊に50〜70質量%を含有し、この場合これらの質量%は、それぞれ粒子状グラフトゴムと熱可塑性(共)重合体とから構成された全質量に対するものであり、一緒になって100質量%に達する。
【0016】
また、熱可塑性スチレン(共)重合体A1は、α−メチルスチレンまたはn−フェニルマレインイミドを0〜70質量%の割合で含有することができる。
【0017】
この場合、スチレンとは異なる単量体単位の質量の割合、またはα−メチルスチレンまたはn−フェニルマレインイミドの割合は、それぞれ熱可塑性スチレン(共)重合体A1の質量に対するものである。
【0018】
1つの好ましい実施態様において、スチレン成分A1は、ゴム相としてブタジエンを基礎とする粒子状グラフトゴムおよび熱可塑性硬質相としてビニル芳香族単量体とビニルシアニド(SAN)とから構成された共重合体、殊にスチレンとアクリルニトリルとから構成された共重合体、特に有利にスチレンとα−メチルスチレンとアクリルニトリルとから構成された共重合体を含有する。
【0019】
好ましくは、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン重合体(ABS)は、粒子状グラフトゴムで耐衝撃性が改善されたSANとして使用される。
【0020】
ABS重合体とは、一般にジエン重合体、殊に1,3−ポリブタジエンが殊にスチレンおよび/またはα−メチルスチレンおよびアクリルニトリルから構成された共重合体マトリックス中に存在するような耐衝撃性が改善されたSAN重合体である。ABS重合体およびその製造は、当業者に公知であり、刊行物中、例えば2003年2月のDIN EN ISO 2580−1 DE、WO 02/00745およびWO 2008/020012、ならびにModern Styrenic Polymers,J.Scheirs編,Wiley & Sons 2003,第305〜338頁中に記載されている。
【0021】
熱可塑性ポリエステルA2は、特にポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよび1つ以上の二酸と1つ以上のジオールと場合により1つ以上のラクトンとから構成されたコポリエステルならびに前記ポリエステルの少なくとも2つから構成された混合物から構成された群から選択されている。
【0022】
コポリエステルが構成されるのに適した二酸は、例えばテレフタル酸、アジピン酸、イソフタル酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、シクロヘキサンジカルボン酸およびこれらの混合物から構成された群から選択されている。
【0023】
コポリエステルが構成されるのに適したジオールは、例えば1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラヒドロフランおよびこれらの混合物から構成された群から選択されている係るものである。
【0024】
また、1つ以上のラクトンがコポリエステルの構成に使用されるならば、前記ラクトンは、特にε−カプロラクトン、ヘキサノ−4−ラクトン、γ−ブチロラクトンおよびγ−バレロラクトンから構成された群から選択されている。
【0025】
好ましい実施態様において、プラスチック成分A中に含有されているポリエステルの少なくとも1つは、第2のプラスチック成分BのポリエステルB1より低い融点を有する。
【0026】
熱可塑性ポリエステルA2として、テレフタル酸(10〜40モル%)、1,4−ブタンジオール(50モル%)およびアジピン酸またはセバシン酸(10〜40モル%)から構成されたランダムなコポリエステルは、好ましく、この場合単量体の総和は、100質量%に達する。テレフタル酸(15〜35モル%)、1,4−ブタンジオール(50モル%)およびアジピン酸(15〜35モル%)から構成されたランダムなコポリエステルは、特に好ましく、この場合単量体の総和は、100質量%に達する。
【0027】
比較的低い溶融温度の利点は、第2の成分が材料上に噴射される際に第1のプラスチック成分Aの初期溶融によって特に漏れ止め結合が生じうることである。
【0028】
また、第1のプラスチック成分Aは、1つ以上の添加剤を含有することができる。この場合、この添加剤は、通常、繊維状または粒子状の充填剤、衝撃変性剤、難燃剤、成核剤、カーボンブラック、顔料、着色剤、離型剤、熱老化安定剤、酸化防止剤、加工安定剤および相溶化剤から構成された群から選択されている。
【0029】
適当な繊維状充填剤は、例えばガラス繊維、炭素繊維またはアラミド繊維である。通常使用される粒子状充填剤は、例えばカオリン、焼成カオリン、タルク、白亜、無定形珪酸および粒状化石英である。繊維状または粒子状の充填剤の中で、粒子状充填剤は、特に好ましい。鉱物およびガラス玉、殊にガラス玉は、殊に有利である。第1のプラスチック成分Aがガラス玉を含有する場合には、ガラス玉の割合は、第1のプラスチック成分Aの全質量に対して特に0.1〜40質量%の範囲内にある。
【0030】
第1のプラスチック成分Aとの相容性を改善するために、充填剤の表面は、例えば有機化合物またはシラン化合物で処理されていてよい。
【0031】
第1のプラスチック成分Aのための衝撃変性剤として、例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン、イソブテン、イソプレン、クロロプレン、ビニルアセテート、スチレン、アクリルニトリルおよびアルコール成分中に1〜18個のC原子を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルから選択された少なくとも2つの単量体単位から構成された共重合体が適している。適当な衝撃変性剤は、例えばWO−A 2007/009930の記載から公知である。
【0032】
第1のプラスチック成分Aにおいて、難燃剤は、第1のプラスチック成分Aの全質量に対して0〜50質量%の量で含有されていてよい。適当な難燃剤は、例えばハロゲン含有難燃剤、ハロゲン不含難燃剤、メラミンシアヌレートを基礎とする難燃剤、燐含有難燃剤または発泡黒鉛含有難燃剤である。
【0033】
特に好ましい実施態様において、プラスチック成分A中には、少なくとも1つの相溶化剤が含有されている。相溶化剤の少なくとも1つの割合は、特にそれぞれプラスチック成分Aの全質量に対して0.05〜5質量%の範囲内、殊に1〜3質量%の範囲内にある。
【0034】
使用される相溶化剤は、スチレン(共)重合体A1のマトリックス中への成分A2の結合を改善することができるか、または第1のプラスチック成分Aと第2のプラスチック成分Bとの間の付着促進剤として作用しうる。付着促進剤として、例えばMacromol.Symp.2006,233,第17〜25頁に記載されているようなグリシジルメタクリレートでグラフトされたスチレン(共)重合体が適当である。イソシアネート基でグラフトされたスチレン(共)重合体、ポリ[メチレン(フェニレンイソシアネート)]、ビスオキサゾリン、オキサゾリン基でグラフトされたスチレン共重合体または無水マレイン酸でグラフトされたスチレン共重合体も適している。エポキシ官能基を装備した、メタクリル酸の割合を有するスチレン共重合体は、殊に好適である。3000〜8500g/molの分子量Mwおよび1分子鎖当たり2個を上廻るエポキシ基の官能化度を有する、エポキシ官能化された、ランダムなスチレン−アクリル酸共重合体は、好ましい。5000〜7000g/molの分子量Mwおよび1分子鎖当たり4個を上廻るエポキシ基の官能化度を有する、エポキシ官能化された、ランダムなスチレン−アクリル酸共重合体は、特に好ましい。
【0035】
第2のプラスチック成分Bの芳香族ジカルボン酸および脂肪族または芳香族ジヒドロキシ化合物を基礎とする、少なくとも1つの部分結晶性の熱可塑性ポリエステルB1は、特にポリアルキレンテレフタレート、または少なくとも2つの異なるポリアルキレンテレフタレートから構成された混合物である。この場合、少なくとも1つのポリアルキレンテレフタレートは、特にアルコール部分中に2〜10個のC原子を有する。
【0036】
この種のポリアルキレンテレフタレートは、自体公知であり、刊行物中に記載されている。前記ポリアルキレンテレフタラートは、芳香環をこの主鎖中に含み、前記芳香環は、芳香族ジカルボン酸に由来するものである。この芳香環は、例えばハロゲン、例えば塩素または臭素によって置換されていてもよいし、C1〜C4−アルキル基、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基またはn−ブチル基、イソブチル基または第三ブチル基によって置換されていてもよい。
【0037】
このポリアルキレンテレフタレートは、芳香族ジカルボン酸、そのエステルまたは別のエステル形成誘導体を脂肪族ジヒドロキシ化合物と反応させることによって自体公知の方法で製造されてよい。
【0038】
好ましいジカルボン酸は、2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸およびイソフタル酸またはこれらの混合物である。30モル%まで、特に10モル%以下の芳香族ジカルボン酸は、脂肪族ジカルボン酸または環式脂肪族ジカルボン酸、例えばアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸および/またはシクロヘキサンジカルボン酸によって置き換えられていてもよい。
【0039】
脂肪族ジヒドロキシ化合物の中では、2〜6個の炭素原子を有するジオール、特に1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールまたはこれらの混合物が好ましい。
【0040】
ポリアルキレンテレフタレートとして構成された、第2のプラスチック成分Bの部分結晶性の熱可塑性ポリエステルB1がポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートまたはこれらのポリアルキレンテレフタレートの少なくとも2つから構成された混合物であることは、特に好ましい。
【0041】
ポリアルキレンテレフタレートとして構成された、第2のプラスチック成分Bの部分結晶性の熱可塑性ポリエステルB1がポリブチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレート(60〜90質量%)とポリエチレンテレフタレート(10〜40質量%)との混合物であることは、殊に好ましく、この場合PBTとPETとの総和は、100質量%である。
【0042】
ポリエステルA2およびB1の粘度数は、一般に50〜220ml/gの範囲内、特に80〜160ml/gの範囲内にある(ISO 1628によりフェノール/o−ジクロロベンゼン混合物(質量比1:1)中の0.5質量%の溶液中で250℃で測定した)。
【0043】
カルボキシル末端基含量が100mval/kgポリエステルまで、有利に50mval/kgポリエステルまで、殊に40mval/kgポリエステルまでであるポリエステルは、特に有利である。この種のポリエステルは、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第4401055号明細書中に記載の方法により製造されてよい。このカルボキシル末端基含量は、通常は、滴定方法、例えば電位差滴定によって測定される。
【0044】
更に、ポリエチレンテレフタレートリサイクル材料(スクラップPETとも呼称される)を、場合によってはポリアルキレンテレフタラート、例えばポリブチレンテレフタレートとの混合物の形で使用することは、好ましい。
【0045】
リサイクル材料とは、一般的に、工業的に使用済みのリサイクル材料(post−industrial recyclate)または消費者により使用済みのリサイクル材料である。
【0046】
工業的に使用済みのリサイクル材料は、重縮合の際または加工の際の生産廃棄物、例えば射出成形加工の際のスプルー、射出成形加工または押出成形の際の始動屑、または押出されたシートまたは箔の周辺切れ端である。
【0047】
消費者により使用済みのリサイクル材料は、通常、利用後に最終消費者によって捕集されかつ後処理されるプラスチック製品である。量の観点から言えば、最も重要な品目は、例えばミネラルウォーター、ソフトドリンクおよびジュースのためのブロー成形された、ポリエチレンテレフタレートから構成されたボトルである。
【0048】
2つの種類のリサイクル材料は、粉砕材料として存在していてよく、または顆粒の形であってよい。後者の顆粒の形の場合には、管状のリサイクル材料は、分離および清浄化の後に押出機中で溶融され、造粒される。これによって大抵の場合、更なる加工工程のための取扱い、易流動性および計量供給可能性が簡易化される。
【0049】
顆粒化されたリサイクル材料ならびに粉砕材料として存在するリサイクル材料を使用することができ、この場合最大の一辺の長さは10mmであり、有利に8mm未満であるのが好ましい。
【0050】
例えば、微少量の湿分による、加工の際のポリエステルの加水分解による分解のために、前記リサイクル材料を前乾燥することは、好ましい。乾燥後の残留湿分は、特に0.2%未満、殊に0.05%未満である。
【0051】
適当なポリエステルのもう1つの群は、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する完全に芳香族のポリエステルである。
【0052】
芳香族ジカルボン酸として、既にポリアルキレンテレフタレートにおいて記載された化合物が適している。有利に使用される混合物は、イソフタル酸5〜100モル%とテレフタル酸0〜95モル%とから構成され、殊にテレフタル酸約50〜約80%とイソフタル酸20〜約50%との混合物である。
【0053】
芳香族ジヒドロキシ化合物は、特に一般式
【化1】

〔式中、Zは、8個までのC原子を有するアルキレン基またはシクロアルキレン基、12個までのC原子を有するアリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素原子または硫黄原子、または1個の化学結合を表わし、mは、0〜2の値を有する〕を有する。前記化合物は、フェニレン基上にC1〜C8アルキル基またはアルコキシ基、またはフッ素、塩素または臭素を置換基として有していてもよい。
【0054】
親化合物として、例えばジヒドロキシジフェニル、ジ−(ヒドロキシフェニル)アルカン、ジ−(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ジ−(ヒドロキシフェニル)スルフィド、ジ−(ヒドロキシフェニル)エーテル、ジ−(ヒドロキシフェニル)ケトン、ジ−(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、α、α’−ジ−(ヒドロキシフェニル)−ジアルキルベンゼン、ジ−(ヒドロキシフェニル)スルホン、ジ−(ヒドロキシベンゾイル)ベンゼン、レゾルシノールおよびヒドロキノンならびにこれらの核アルキル化された、または核ハロゲン化された誘導体が挙げられる。これらの中で、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,4−ジ−(4’−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、α,α’−ジ−(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,2−ジ−(3’−メチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび2,2−ジ−(3’−クロロ−4’−ヒドロキシフェニル)プロパンならびに殊に2,2−ジ−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ジ−(3’,5−ジクロロジヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ジ−(4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、3,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンおよび2,2−ジ−(3’,5’−ジメチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパンまたはこれらの混合物が好ましい。
【0055】
勿論、ポリアルキレンテレフタレートと完全に芳香族のポリエステルとの混合物が使用されてもよい。前記混合物は、一般にポリアルキレンテレフタレート20〜98質量%および完全に芳香族のポリエステル2〜80質量%を含有する。更に、ポリエステルブロック共重合体、例えばコポリエーテルエステルが使用されてもよい。この種の製品は、自体公知であり、刊行物中、例えば米国特許第3651014号明細書中に記載されている。また、相応する製品は、例えばDuPont社のHytrel(登録商標)の商品名で市場で入手可能である。
【0056】
ポリアルキレンテレフタレートB1とスチレン共重合体B2との混合物は、同様に使用されてよい。前記混合物は、有利にポリアルキレンテレフタレート60〜90質量およびスチレン共重合体10〜40質量を含有する。特に好ましいのは、ポリアルキレンテレフタレート60〜80質量とスチレン共重合体20〜40質量%との混合物である。
【0057】
第2のプラスチック成分Bが少なくとも1つの熱可塑性スチレン(共)重合体B2を含有するならば、この熱可塑性スチレン(共)重合体B2は、特にアクリルニトリル−スチレン−アクリルエステル(ASA)、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、スチレン−アクリルニトリル共重合体(SAN)およびこれらの混合物から構成された群から選択される。
【0058】
1つの好ましい実施態様は、スチレン共重合体B2としてスチレン20〜40質量%、アクリルニトリル20〜40%、アクリル酸20〜40%の組成を有するスチレン−アクリルニトリル−アクリル酸共重合体(ASA)を含有し、この場合個々の単量体の総和は、100質量%に達する。
【0059】
特に好ましい実施態様において、ポリアルキレンテレフタレートB1は、ポリブチレンテレフタレートであり、スチレン共重合体B2は、スチレン20〜40質量%、アクリルニトリル20〜40%、アクリル酸20〜40%の組成を有するスチレン−アクリルニトリル−アクリル酸共重合体(ASA)であり、この場合個々の単量体の総和は、100質量%に達する。B1の割合は、60〜80質量%であり、B2の割合は、20〜40質量%であり、これらの割合の総和は、重合体成分Bの全プラスチック質量に対して100質量%に達する。
【0060】
第2のプラスチック成分Bは、少なくとも1つの部分結晶性の熱可塑性ポリエステルB1および場合により少なくとも1つの熱可塑性スチレン(共)重合体B2と共に1つ以上の添加剤を含有していてもよい。この場合、前記添加剤は、繊維状または粒子状の充填剤、衝撃変性剤、難燃剤、成核剤、カーボンブラック、顔料、着色剤、離型剤、熱老化安定剤、酸化防止剤、加工安定剤および相溶化剤から構成された群から選択されている。
【0061】
繊維状または粒子状の充填剤として、例えば炭素繊維、ガラス繊維、ガラス玉、無定形珪酸、アスベスト、珪酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、白亜、粒状化石英、雲母、硫酸バリウムおよび長石が適している。この場合、充填剤は、有利に0.1〜50質量%の量、特に有利に10〜40質量%の量で使用される。繊維状充填剤は、特に有利二であり、この中から殊に好ましいのは、ガラス繊維である。この場合、充填剤の割合は、第2のプラスチック成分Bの全質量に対するものである。
【0062】
相容性を改善するために、充填剤の表面は、有機化合物またはシラン化合物で処理されてよい。
【0063】
第2のプラスチック成分B中に含有されていてよい難燃剤は、特に第1のプラスチック成分A中に含有されていてもよいのと同じものである。
【0064】
更に、記載された添加剤と共に、安定剤、酸化遅延剤、熱分解およびUV線による分解に抗する薬剤、滑剤および離型剤、着色剤、例えば染料および顔料(カーボンブラックも)、成核剤、可塑剤等が含有されていてもよい。その上、弗素含有エチレン重合体は、第2のプラスチック成分Bの全質量に対して0〜2質量%含有されていてもよい。
【0065】
構成部材は、例えば電気技術において使用されるようなプラスチック部材、メカトロニクス構成部材、またはプラグインコンタクトを有するプラスチックケーシングである。
【0066】
プラスチックジャケットによって包囲されているインサート部材は、例えばリードフレームである。この場合、この構成部材は、例えばコネクターとして利用することができる。更に、インサート部材は、線材、円形導線、平形導線、フレキシブルな箔または回路板であってもよい。
【0067】
自動車産業の範囲内で構成部材を使用する場合には、インサート部材は、キャッチストラップ、ドアの掛け金、キー、プラグインコネクター、ころがり軸受、薄板、スタビライザ用線材、またはドア固定ユニット用の亜鉛ダイカストまたはアルミニウムダイカストから構成された構成部材であってもよい。更に、構成部材がナイフ、鋏、外科用メスのための刃であってもよいし、またはねじ回し用であってもよい。
【0068】
インサート部材は、特に金属から完成されている。インサート部材を完成させるのに適した金属は、例えば銅および銅含有合金、例えばCuSn6、CuSn0.15、CuBe、CuFe、CuZn37、CuSn4Zn6Pb3−C−GC(砲金)またはCuZn39Pb3(黄銅)、アルミニウムおよびアルミニウム含有合金、例えばAlSi12Cu1、AlSi10Mg、チタン、特殊鋼、鉛不含金属および金属合金、または錫めっきを有する材料である。
【0069】
更に、本発明は、インサート部材ならびに少なくとも2つのプラスチック成分から構成されたプラスチックジャケットを含む構成部材を製造するための方法に関し、この場合この方法は、次の工程:
(a)インサート部材を第1のプラスチック成分Aで被覆し、この場合この第1のプラスチック成分Aは、それぞれ第1のプラスチック成分Aの重合体含量に対して、
A1:少なくとも1つの熱可塑性スチレン(共)重合体10〜100質量%および
A2:少なくとも1つの熱可塑性(コ)ポリエステル0〜50質量%から構成されており、
(b)第2のプラスチック成分Bから外装を成形し、この場合第2のプラスチック成分Bは、それぞれ第2のプラスチック成分Bの重合体含量に対して、
B1:芳香族ジカルボン酸および脂肪族または芳香族ジヒドロキシ化合物を基礎とする少なくとも1つの部分結晶性の熱可塑性ポリエステル50〜100質量%および
B2:少なくとも1つの熱可塑性スチレン(共)重合体0〜50質量%から構成されており、
この場合、インサート部材の被覆を形成させるために、最初にインサート部材は、第1のプラスチック成分Aで被覆され、および引続き第2のプラスチック成分Bがもたらされるか、または最初に外装Bが成形され、および引続き第2のプラスチック成分Bから構成された外装とインサート部材との間の空隙は、第1のプラスチック成分Aで充填されることを有する。
【0070】
1つの好ましい実施態様において、第1のプラスチック成分Aは、少なくとも1つの熱可塑性スチレン(共)重合体50〜100質量%、殊に70〜100質量%を含有する。従って、少なくとも1つの熱可塑性(コ)ポリエステルの割合は、特に0〜50質量%、殊に0〜30質量%である。熱可塑性スチレン(共)重合体70〜90質量%および熱可塑性(コ)ポリエステル10〜30質量%が含有されているような実施態様は、特に好ましい。
【0071】
1つの好ましい実施態様において、インサート部材は、第1のプラスチック成分Aを用いて工程(a)で射出成形法によって被覆される。このために、インサート部材が射出成形用金型中に嵌め込まれる。インサート部材の嵌め込み後、この金型は閉鎖され、プラスチック材料が金型内に噴入される。プラスチック形成材料は、インサート部材を少なくとも部分的に被覆し、インサート部材との接着結合を形成する。インサート部材とプラスチック成分Aとの間の漏れ止め結合が生じる。この場合、プラスチック形成材料は、一般的に射出成形に常用の圧力で噴入される。しかし、例えば周囲への不均一な噴射のためにインサート部材の変形が生じうる場合には、成分Aの噴入を特に900バール未満、有利に600バール未満の金型内での最大圧力で行なうことは、好ましい。噴射圧力が低いことによって、周囲への噴射の際にインサート部材が変形することは、回避される。インサート部材の周囲への噴射の後に、第1のプラスチック成分Aは、凝固し、固化する。第1のプラスチック成分Aがインサート部材の周囲に噴射されるもう1つの利点は、インサート部材が前記のプラスチック被覆によって安定化されることである。
【0072】
インサート部材を第1のプラスチック成分Aで被覆する際に、多種多様の幾何学的形状を実現させることができる。即ち、例えば長方形の形、菱形の形、五角形の形、八角形の形、円形の形または楕円形の形の断面を実現させることができる。第1のプラスチック成分Aから構成されたプラスチックジャケットが複数の角を有する場合には、このプラスチックジャケットは、丸みを付けられていてもよい。
【0073】
第1のプラスチック成分Aからの周囲への噴射面の間の移行部は、鈍角であってもよいし、鋭角であってもよいし、または丸みを付けられていてもよい。また、溶融液吐出口、即ち第1のプラスチック成分Aから構成された薄手の突出する領域は、独特であってよい。更に、この領域は、第2のプラスチック成分Bが材料上に噴射される場合には、溶融され、変形される。こうして、粘着結合が形成される。
【0074】
また、インサート部材の周囲への噴射に対して上方にある領域は、第1のプラスチック成分Aから構成されていてよい。即ち、第1のプラスチック成分Aは、例えば二重のTの形の断面を有するインサート部材を包囲することができる。第1のプラスチック成分Aがこのように材料の周囲に噴射される場合には、突出する領域を介してインターロック結合が達成されうる。第1のプラスチック成分A上への第2のプラスチック成分Bの噴射は、一般的に第1のプラスチック成分Aの初期溶融を引き起こすので、第1のプラスチック成分Aから構成された、先に噴射された材料の形状は、第2のプラスチック成分Bの処理温度が第1のプラスチック成分Aの融点または軟化点を上廻るならば、一般的に変化することができる。第1のプラスチック成分Aから構成された、先に噴射された材料は、第2のプラスチック成分Bが材料の周囲に噴射される場合に噴射された溶融液の圧力によって変形されてもよい。例えば、第1のプラスチック成分Aから構成された、先に噴射された材料の鋭利な端縁は、丸みが付けられていてよい。
【0075】
インサート部材が第1のプラスチック成分Aで被覆された後に、こうして被覆されたインサート部材は、第2のプラスチック成分Bで被覆される。第2のプラスチック成分Bでの被覆は、特に同様に射出成形法によって行なわれる。この場合、射出成形法は、射出成形にとって通常の圧力で実施される。この場合、プラスチック形成材料が低い噴射圧力で噴入された場合には、金型内の圧力は、一般的に工程(a)における金型内の最大圧力よりも高い。第2のプラスチック成分Bが噴入されることによって、硬化された第1のプラスチック成分Aの表面は、初期溶融に掛けられ、こうして第1のプラスチック成分Aと第2のプラスチック成分Bとの特に良好な付着が生じる。
【0076】
工程(a)における第1のプラスチック成分Aでのインサート部材の被覆および工程(b)における第2のプラスチック成分Bから構成された外装の成形は、同じ射出成形用金型内で行なうことができる。このために、射出成形用金型は、最初に、第1のプラスチック成分Aから構成された被覆を有するインサート部材の形に相当する空隙を包囲することが必要とされる。引続き、この金型は、完成した構成部材の形の自由な形に相応するように開放されなければならない。相応する金型は、当業者に公知である。
【0077】
しかし、他の選択可能な方法によれば、インサート部材の被覆は、第1のプラスチック成分Aを用いて工程(a)において第1の金型内で行なわれ、第2のプラスチック成分Bから構成された外装の成形は、工程(b)において第2の金型内で行なわれることも可能である。この場合には、第1のプラスチック成分Aで被覆されたインサート部材を第1の金型から取出し、第2のプラスチック成分Bを材料の周囲に噴射する前に第2の金型内に置くことが必要とされる。第1のプラスチック成分から構成されたインサート部材の被覆が変形することを回避させることが望まれる場合には、第1のプラスチック成分は、第2のプラスチック成分Bの接近する流れに抗する十分な機械的耐性を示すことが必要とされる。そのために、十分な剛性および強度が必要とされ、これらの剛性および強度は、第1のプラスチック成分Aの硬化の程度および第2のプラスチック成分Bの噴射圧力に依存する。射出成形機がそれぞれの噴射過程後に清浄化されなければならないことを回避させるために、材料を交換する目的で、第1のプラスチック成分Aおよび第2のプラスチック成分Bのために2つの異なる射出成形機または可塑化ユニットを使用することは、好ましい。工程(a)における被覆と工程(b)における外装が同じ金型を用いて行なわれる場合には、金型が2つの射出成形機と同時に結合していることは、可能なことである。1つの他の選択可能な方法によれば、金型は、最初に第1のプラスチック成分を噴入する射出成形機と結合し、引続き第2のプラスチック成分Bを第1のプラスチック成分Aから構成された被覆を有するインサート部材の周囲に噴射する射出成形機と結合することも可能である。このために使用される常用の射出成形機は、例えばターンテーブル金型を備えた射出成形機である。前記の射出成形機は、例えば対向配置されたシリンダを有し、そのつど金型は、シリンダに向かって回転され、このシリンダから次の材料が噴射される。2つの異なる金型を使用する場合、これらの金型は、特にそれぞれ射出成形機と結合されている。射出成形機として、当業者に公知のそれぞれ任意の射出成形機が適している。
【0078】
工程(b)において、第1のプラスチック成分Aで被覆されたインサート部材の一部分だけが第2のプラスチック成分Bで被覆されることは、可能である。この場合、第2のプラスチック成分Bが周囲に噴射される領域が外側表面を有することは、好ましく、それというのも、第2のプラスチック成分Bでの被覆によって、成形品が寸法安定性を有することが保証されるからである。勿論、他の選択可能な方法によれば、第2のプラスチック成分Bを第1のプラスチック成分Aから構成された被覆を有するインサート部材全体に噴射することも可能である。
【0079】
最初に第2のプラスチック成分Bから構成された外装が成形され、その際、インサート部材の領域は被覆されていないような変法の場合に、第2の工程において、インサート部材の被覆されていない領域は、第1のプラスチック成分Aで被覆され、第2のプラスチック成分Bでのインサート部材の被覆は、特に、外側表面が存在する領域内で前記成分がインサート部材を被覆するように行なわれる。第1のプラスチック成分Aが注入される領域は、特に外方向に向いた面を有しない。こうして、このように製造された構成部材が幾何学的安定性および寸法安定性を有することが保証される。第2のプラスチック成分Bでのインサート部材の被覆は、特に射出成形法によって行なわれる。このために、インサート部材が射出成形用金型内に嵌め込まれ、引続き第2のプラスチック成分Bがインサート部材の周囲に噴射される。第2のプラスチック成分Bが空間を残しておくべき領域内に侵入することを回避するために、金型は、この領域内でインサート部材と接触する。第2のプラスチック成分Bでインサート部材を被覆した後に、第1のプラスチック成分Aで被覆されるべき領域は、接触可能にされる。このために、金型内に最初に切欠を形成する可動部材を設け、引続きこの切欠を第1のプラスチック成分Bでの注入のために接触可能にすることができるか、または第2のプラスチック成分Bが周囲に噴射されるインサート部材を金型から取出し、第2の金型内に嵌め込み、この第2の金型内で第1のプラスチック成分Aで被覆されるべき領域を接触可能にすることができる。第1のプラスチック成分Aは、特に同様に射出成形法によって被覆される。この射出成形法は、一般的に射出成形法にとって常用の圧力で実施される。例えば、周囲への不均一な噴射のためにインサート部材の変形が生じうる場合、第1のプラスチック成分Aのための射出成形法は、特に第2のプラスチック成分Bがインサート部材の周囲に噴射されるような射出成形法よりも低い圧力で実施される。更に、インサート部材を第1のプラスチック成分Aで被覆するための圧力は、特に900バール未満、有利に600バール未満である。第1のプラスチック成分Aと第2のプラスチック成分Bとの漏れ止め結合は、特にプラスチック成分Bが第1のプラスチック成分Aの溶融によってプラスチック成分Bの表面上に初期溶融を引き起こし、したがって例えば相互拡散によって第1のプラスチック成分Aと第2のプラスチック成分Bとの特に良好な付着を生じることによって達成される。更に、第1のプラスチック成分Aと第2のプラスチック成分Bとは、化学的および/または機械的に結合することも可能である。1個の化学結合は、例えば第1のプラスチック成分Aの重合体成分と第2のプラスチック成分の重合体成分との反応によって、例えば第1のプラスチック成分Aまたは第1のプラスチック成分Aの1つの成分と第2のプラスチック成分Bまたは第2のプラスチック成分Bの1つの成分との間で共有結合が形成されることにより、生じることができる。この方法は、いつでも第1のプラスチック成分Aと第2のプラスチック成分Bとの間で良好な付着が存在するだけでなく、インターロック結合も存在するように構成されてもよい。
【0080】
インサート部材の周囲への第1の噴射の際の第1のプラスチック成分Aの溶融温度は、特に基礎となる重合体の射出成形において常用の加工温度の範囲内にある。第1のプラスチック成分Aが2つの重合体の混合物である場合には、溶融温度は、2つの成分が液状で存在するように高く選択される。
【0081】
より高い加工温度は、インサート部材の表面を良好に湿潤させることができる易流動性の溶融液を生じ、それによってインサート部材の材料と第1のプラスチック成分Aとのより高い結合強度を達成することができる。しかし、高すぎる溶融温度の場合には、第1のプラスチック成分Aの熱分解またはその成分A1またはA2の熱分解をまねきうる。
【0082】
引続き、第2のプラスチック成分Bを構成部材上に噴射した場合、第2のプラスチック成分Bの溶融温度は、特に基礎となる重合体の射出成形において常用の加工温度の範囲内にある。第2のプラスチック成分Bが2つの重合体の混合物である場合には、溶融温度は、2つの成分が液状で存在するように高く選択される。
【0083】
より高い加工温度は、第1のプラスチック成分Aから構成された被覆の表面のより良好な湿潤および/または初期溶融を備えることができるよりいっそう易流動性の溶融液を生じ、それによって第2のプラスチック成分Bと第1のプラスチック成分Aとの間のより高い結合強度を達成することができる。2つの成分の熱力学的相容性の1つの機能として、厚さを変動する境界層が生じ、この境界層は、相互拡散によって媒体漏れ止めを改善する、プラスチック成分Aと第2のプラスチック成分Bとの粘着結合を備えている。第2のプラスチック成分Bの溶融温度は、特に第1のプラスチック成分Aから構成された被覆が完全に溶融されかつ融除されるような高さには調節されない。また、第2のプラスチック成分Bの噴射圧力は、特に第1のプラスチック成分Aから構成された被覆が過度に変性されないか、または最悪の場合には融除されるように選択される。
【0084】
本発明による構成部材は、例えば電気工学で使用されるようなプラスチック部材である。この構成部材は、メカトロニクス構成部材またはプラグインコンタクトを有するプラスチックケーシングであることも可能である。この種の構成部材は、例えばABS分野、ESP分野、トランスミッションシステム分野またはエアバッグ分野、または自動車のエンジン制御システムにおいて、例えばセンサー、例えばオイルセンサー、ホイール回転数センサー、圧力センサー等として使用される。また、この構成部材は、例えばウィンドリフターモジュールとして、またはヘッドランプ制御システムのために使用されてよい。本発明による構成部材は、自動車産業以外にも、例えばセンサーとして、充填レベルインジケータとして、またはパイプラインユニットとして使用されてよい。更に、本発明による構成部材に適した使用は、例えば家庭用機器におけるエレクトロニクス部品である。適した構成部材は、例えばリレー、巻型、スイッチ部品、磁気弁、電気手工具、プラグ素子またはプラグコネクターである。
【0085】
第1のプラスチック成分Aから構成された被覆および第2のプラスチック成分Bから構成された外被を有するインサート部材から構成された本発明による構成部材は、この構成部材が2つの境界面に沿って、即ちインサート部材と第1のプラスチック成分Aから構成された被覆との境界面および第1のプラスチック成分Aと第2のプラスチック成分Bとの境界面に沿って漏れ止め結合を有することを示す。この場合漏れ止め結合は、気候条件の変化の下での試験において漏れ率が、試験すべき構成部材を交互に−40℃と+150℃の温度に掛けるような少なくとも200回のサイクルで0.5cm3/分未満であることを意味する。漏れ率は、通常、差圧法で0.5バールの試験圧力で測定される。
【実施例】
【0086】
実施例
試験体を、第1のプラスチック成分Aおよび第2のプラスチック成分Bで被覆された、CuSn6から構成されたインサート部材から製造する。
【0087】
試験体を製造するために、最初に打抜ダイを用いてインサート部材をCuSn6のストリップから打ち抜く。インサート部材は、矩形のフレーム有し、この場合には、フレームの対向する短辺を結合する中心フィレットも存在する。製造されたインサート部材は、30mmの長さ、10.5mmの幅および0.5mmの高さを有する。フレームの外側フィレットと中心フィレットとの間の溝の長さは、25mmであり、この溝の幅は、3mmである。
【0088】
打抜き処理後、打ち抜きした部材をアセトンで清浄化し、油と不純物を除去する。試験体の製造のために、18mmのスクリュー直径を有する射出成形機を使用する(Arburg社のAllrouder 270S)。
【0089】
金型の締付力は、500kNであり、噴射圧力は、1500バールである。平行六面体の形状で材料を、3つのフィレットを備えたインサート部材の中心領域の周囲に噴射し、この場合第2のプラスチック成分Bから構成された被覆は、第1のプラスチック成分Aを完全に包囲する。第1のプラスチック成分Aから構成された被覆は、15mmの長さ、4.5mmの幅および1.5mmの厚さを有し、第1のプラスチック成分Aを完全に包囲する第2のプラスチック成分Bから構成された被覆は、20mmの長さ、13mmの幅および4.5mmの厚さを有する。インサート部材上への第1のプラスチック成分Aの噴射および第1のプラスチック成分Aで被覆されたインサート部材上への第2のプラスチック成分Bの噴射は、ほぼ金型分割線上で行なわれる。
【0090】
材料を試験するために、第1のプラスチック成分Aから構成された被覆および第2のプラスチック成分Bから構成された被覆を備えた構成部材を、500回のサイクルまで熱衝撃応力に掛ける。この場合、熱衝撃応力に適用される計画表は、次の通りである:150℃で15分間の貯蔵、10秒間で−40℃への温度変化、−40℃での15分間の貯蔵、10秒間で150℃への温度変化。熱衝撃処理は、Voetsch社のVT 7030S2熱衝撃キャビネット中で行なわれる。差圧法による漏れ止めの測定は、応力を加える前ならびに100回、200回および場合により500回のサイクル後に行なわれた。
【0091】
差圧試験のために、2つの容量、試験容量と比較容量とが同じ圧力に掛けられる。試験容量が漏れる場合には、圧力差が生じ、この圧力差は、直接測定されうる。他の選択的な方法の場合には、単位時間当たりの圧力降下を測定することができる。本発明の実施態様において、試験体の外側周辺をホルダー中に堅く締め付け、圧力を試験体の下側に掛けた。密閉をゴム封止リングによって行なった。成分B1から構成された固体の試験体を用いる空試験は、試験容量からの漏れを生じる漏れだけがインサート部材の方向でインサート部材と第1のプラスチック成分Aから構成された被覆との間、または第1のプラスチック成分Aから構成された被覆と第2のプラスチック成分Bから構成された被覆との間に生じる漏れであることを証明するために使用された。使用された試験媒体は、空気であった。試験容量V試験は、36mlであった。0.5バールの試験圧力での容量の充填時間は、5秒であった。10秒の静止時間後に、Δt試験=5秒について圧力降下を測定した。引続き、この容量を2秒で空にした。差圧降下法を使用し、ボイル−マリオットの等式から漏れ率を算出した:
【数1】

【0092】
万能材料試験機(Zwick 1446)を引張試験に使用し、インサート部材をプラスチック材料AおよびBから構成された被覆から抜き出すのに必要とされる力を測定した。このために、射出成形部品のプラスチック被覆を前記試験機中に締め付け、グリッドの方向と平行に打抜グリッドに張力をかけた。プラスチック被覆に関連して打抜グリッドの移動に発揮されなければならない力を測定した。
【0093】
この結果は、第1表中に記載されている。
【0094】
【表1】

【0095】
成分Aは、単量体のアジピン酸(15質量%)、ヘキサメチレンジアミン(15質量%)、ε−カプロラクタム(35質量%)および4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン(35質量%)から形成されたランダムコポリアミドである。この材料は、ISO 307により96%[w/w]H2SO4中の溶液100ml当たり0.5gで測定した、120ml/gの固有粘度数を有する。
【0096】
成分A2は、単量体のスチレン(30質量%)、α−メチルスチレン(25質量%)および粒子状ブチルアクリレート相(20質量%)を含有するアクリルニトリル(25質量%)から構成された共重合体であり、2500MPaの弾性率(ISO 527−2)および104℃のISO 306によるビカー軟化温度を有する。
【0097】
成分A3は、単量体のスチレン(40質量%)、α−メチルスチレン(30質量%)およびブタジエン相(10質量%)を含有するアクリルニトリル(20質量%)から構成された共重合体であり、2400MPaの弾性率および115℃のビカー軟化温度を有する。
【0098】
成分A4は、テレフタル酸(25モル%)と1,4−ブタンジオール(50モル%)とアジピン酸(25モル%)とから構成されたランダムコポリエステルであり、融点110〜120℃(ISO 11357−3によるDSC測定法)およびISO 868により測定した、32のショアーD硬度を有する。EN ISO 306:2004により測定したビカー軟化温度は、91℃である。
【0099】
成分A5は、ISO 1628によりフェノール/o−ジクロロベンゼン(1:1)中の0.5%溶液中で測定した、固有粘度数130ml/gを有するポリブチレンテレフタレートである。この材料は、2500MPaの弾性率(ISO 527−2)および220〜225℃の溶融範囲(ISO 11357−3によるDSC測定法)を有する。
【0100】
成分A6は、ISO 1628によりフェノール/o−ジクロロベンゼン(1:1)中の0.5%溶液中で測定した、固有粘度数107ml/gを有するポリブチレンテレフタレートである。この材料は、2500MPaの弾性率(ISO 527−2)および220〜225℃の溶融範囲(ISO 11357−3によるDSC測定法)を有する。
【0101】
成分A7は、6800g/molの分子量Mwおよび1本の分枝鎖当たり4個を上廻るエポキシ基の官能化度を有するエポキシ官能化スチレンーアクリル酸共重合体である。ガラス転移温度は、54℃である。
【0102】
成分A8は、成分A3 70質量%および12〜26μmの平均直径を有する固体の微小ガラス球30質量%(CILASを用いて測定した)を含有する。
【0103】
成分A9は、固体のガラス球30質量%を有するポリブチレンテレフタレートである。この材料は、ISO 1628によりフェノール/o−ジクロロベンゼン(1:1)中の0.5%溶液中で測定した、113ml/gの固有粘度数、4000MPaの弾性率(ISO 527−2)および220〜225℃の溶融範囲(ISO 11357−3によるDSC測定法)を有する。
【0104】
成分10は、テレフタル酸(25モル%)、1,4−ブタンジオール(50モル%)およびセバシン酸(25モル%)から構成されたランダムコポリエステルであり、融点100〜115℃(ISO 11357−3によるDSC測定法)を有する。EN ISO 306:2004により測定したビカー軟化温度は、70〜85℃である。
【0105】
成分B1は、ガラス繊維30質量%を有し、ISO 1628によりフェノール/o−ジクロロベンゼン(1:1)中の0.5%の溶液中で測定した固有粘度数102g/molを有するポリブチレンテレフタレートである。その上、この成分B1は、平均粒径10〜35nm(CILAS)および110〜120m2/gのBET表面積(ISO 9277)を有するファーネスブラック0.1質量%ならびに滑剤としてのペンタエリトリットテトラステアレート0.5質量%を含有する。この材料は、10000MPaの弾性率(ISO 527−2)および220〜250℃の溶融範囲(ISO 11357−3によるDSC測定法)を有する。ガラス繊維は、10μmの直径を有する。
【0106】
成分B2は、ガラス繊維30質量%を有し、ISO 1628によりフェノール/o−ジクロロベンゼン(1:1)中の0.5%の溶液中で測定した固有粘度数105g/molを有する、ポリブチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレート(成分B2の重合体含量に対してPET30%)とから構成された配合物である。その上、この成分B2は、平均粒径10〜35nm(CILAS)および110〜120m2/gのBET表面積(ISO 9277)を有するファーネスブラック0.1質量%ならびに滑剤としてのペンタエリトリットテトラステアレート0.5質量%を含有する。この材料は、10500MPaの弾性率(ISO 527−2)および220〜250℃の溶融範囲(ISO 11357−3によるDSC測定法)を有する。ガラス繊維は、10μmの直径を有する。
【0107】
成分B3は、ガラス繊維30質量%を有し、ISO 1628によりフェノール/o−ジクロロベンゼン(1:1)中の0.5%の溶液中で測定した固有粘度数105g/molを有する、ポリブチレンテレフタレートとスチレン−アクリルニトリル−アクリル酸共重合体(ASA)(成分B3の重合体含量に対してASA30%)とから構成された配合物である。このASAは、スチレン45質量%、アクリルニトリル10質量%、アクリル酸45質量%の組成を有する。その上、B3は、平均粒径10〜35nm(CILAS)および110〜120m2/gのBET表面積(ISO 9277)を有するファーネスブラック0.1質量%ならびに滑剤としてのペンタエリトリットテトラステアレート0.5質量%を含有する。この材料は、9700MPaの弾性率(ISO 527−2)および220〜250℃の溶融範囲(ISO 11357−3によるDSC測定法)を有する。ガラス繊維は、10μmの直径を有する。
【0108】
表中でVgl.は、比較例を表わし、Bsp.は、本発明による例を表わす。第1表中のSTABは、標準偏差を表わす。
【0109】
個々の比較例および本発明による実施例の第1のプラスチック成分Aから構成された被覆のための加工条件は、第2表中に記載されている。
【0110】
【表2】

【0111】
第2のプラスチック成分Bから構成された外被の形成には、第3表中に記載されたパラメーターがこれに該当する。
【0112】
【表3】

【0113】
スチレン(共)重合体が第1のプラスチック成分Aとして、または第1のプラスチック成分Aの成分として使用される場合には、実施例は、第1のプラスチック成分Aおよび第2のプラスチック成分Bで被覆された、金属インサート部材から構成された構成部材の性質の改善を示す。スチレン(共)重合体と(コ)ポリエステルとから構成された混合物は、特に良好な性質を示す(実施例3、4および9は、比較例1および6と比較される)。実施例3および4からの直鎖状(コ)ポリエステルを有する射出成形は、比較例3および4で使用され、相応する射出成形品は、製造不可能である(比較試験3)か、または射出成形直後に既に高い漏れ率を示す(比較例4)。
【0114】
付着促進剤を第1のプラスチック成分Aのスチレン共重合体A1に添加することによって、抽出力は、熱応力前および熱応力後に増大し、同時に良好な媒体漏れ止め特性を有する(実施例5は、実施例2と比較される)。
【0115】
第1のプラスチック成分Aの充填剤としてのガラス球は、同様に、殊に熱衝撃応力後に構成部材の媒体漏れ止め特性を上昇させる(実施例6は、実施例2と比較される)。これに対して、第1のプラスチック成分Aとしてのガラス球で充填された直鎖状ポリエステルとの結合は、熱貯蔵後に機能しなくなる(比較例2)。
【0116】
第2のプラスチック成分Bから構成された被覆の場合には、ポリエステル(実施例7)またはポリエステルおよびスチレン共重合体(実施例8)は、直鎖状ポリエステルで達成された結合漏れ止め特性と同様に良好な結合漏れ止め特性を達成することができる(実施例3との比較)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インサート部材および少なくとも2つのプラスチック成分から構成されたプラスチックジャケットを含む構成部材であって、この場合このインサート部材は、第1のプラスチック成分Aによって包囲され、第1のプラスチック成分Aは、第2のプラスチック成分Bによって包囲されている、前記構成部材において、
第1のプラスチック成分Aがそれぞれ第1のプラスチック成分Aの重合体含量に対して
A1:少なくとも1つの熱可塑性スチレン(共)重合体10〜100質量%および
A2:少なくとも1つの熱可塑性(コ)ポリエステル0〜90質量%から構成されており、および
第2のプラスチック成分Bがそれぞれ第2のプラスチック成分Bの重合体含量に対して
B1:芳香族ジカルボン酸および脂肪族または芳香族ジヒドロキシ化合物を基礎とする少なくとも1つの部分結晶性の熱可塑性ポリエステル50〜100質量%および
B2:少なくとも1つの熱可塑性スチレン(共)重合体0〜50質量%から構成されており、
この場合第1のプラスチック成分Aと第2のプラスチック成分Bとは、異なる組成を有することを特徴とする、インサート部材および少なくとも2つのプラスチック成分から構成されたプラスチックジャケットを含む構成部材。
【請求項2】
熱可塑性スチレン(共)重合体A1が、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリルニトリル共重合体、α−メチルスチレン−アクリルニトリル共重合体、ジエン重合体またはアルキルアクリレートから構成された粒子状ゴム相を有するスチレン−アクリルニトリル共重合体およびジエン重合体またはアルキルアクリレートから構成された粒子状ゴム相を有するα−メチルスチレン−アクリルニトリル共重合体から構成された群から選択され、この場合スチレンとは異なる単量体単位は、それぞれ15〜40質量%の割合で共重合体中に含有されている、請求項1記載の構成部材。
【請求項3】
熱可塑性スチレン(共)重合体A1がスチレン(共)重合体A1の質量に対してα−メチルスチレンまたはn−フェニルマレインイミドも0〜70質量%の割合で含有する、請求項2記載の構成部材。
【請求項4】
熱可塑性ポリエステルA2が、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよび1つ以上の二酸と1つ以上のジオールと場合により1つ以上のラクトンとから構成されたコポリエステルから構成された群から選択されている、請求項1から3までのいずれか1項に記載の構成部材。
【請求項5】
第1のプラスチック成分Aの熱可塑性ポリエステルA2の少なくとも1つが第2のプラスチック成分BのポリエステルB1より低い融点を有するか、または第2のプラスチック成分のポリエステルB1の融点より低いガラス転移温度を有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の構成部材。
【請求項6】
第2のプラスチック成分Bの部分結晶性の熱可塑性ポリエステルB1がポリアルキレンテレフタレートであるか、または少なくとも2つの異なるポリアルキレンテレフタレートから構成された混合物であり、この場合ポリアルキレンテレフタレートは、特にアルコール部分中に2〜10個のC原子を有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の構成部材。
【請求項7】
ポリアルキレンテレフタレートがポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートまたはこれらのポリアルキレンテレフタレートの少なくとも2つから構成された混合物である、請求項6記載の構成部材。
【請求項8】
熱可塑性スチレン(共)重合体B2が、アクリルニトリル−スチレン−アクリルエステル、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−アクリルニトリル共重合体およびこれらの混合物から構成された群から選択される、請求項1から7までのいずれか1項に記載の構成部材。
【請求項9】
更に、第1のプラスチック成分Aおよび/または第2のプラスチック成分Bが繊維状または粒子状の充填剤、衝撃変性剤、難燃剤、成核剤、カーボンブラック、顔料、着色剤、離型剤、熱老化安定剤、酸化防止剤、加工安定剤および相溶化剤から構成された群から選択された、1つ以上の添加剤を含有する、請求項1から8までのいずれか1項に記載の構成部材。
【請求項10】
第1のプラスチック成分Aが第1のプラスチック成分Aの全質量に対して0.1〜40質量%を含有する、請求項1から9までのいずれか1項に記載の構成部材。
【請求項11】
第2のプラスチック成分Bが第2のプラスチック成分Bの全質量に対して繊維状充填剤、殊にガラス繊維0.1〜50質量%を含有する、請求項1から10までのいずれか1項に記載の構成部材。
【請求項12】
インサート部材が銅、銅含有合金、アルミニウム、アルミニウム含有合金、チタン、特殊鋼、鉛不含金属または金属合金、または錫めっきを有する材料から完成されている、請求項1から11までのいずれか1項に記載の構成部材。
【請求項13】
構成部材が、電気技術において使用されるようなプラスチック部材、メカトロニクス構成部材、またはプラグインコンタクトを有するプラスチックケーシングである、請求項1から12までのいずれか1項に記載の構成部材。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか1項に記載の構成部材の製造法であって、次の工程:
(a)インサート部材を第1のプラスチック成分Aで被覆し、この場合この第1のプラスチック成分Aは、それぞれ第1のプラスチック成分Aの重合体含量に対して、
A1:少なくとも1つの熱可塑性スチレン(共)重合体50〜100質量%および
A2:少なくとも1つの熱可塑性(コ)ポリエステル0〜50質量%から構成されており、
(b)第2のプラスチック成分Bから構成された外装を成形し、この場合第2のプラスチック成分Bは、それぞれ第2のプラスチック成分Bの重合体含量に対して、
B1:芳香族ジカルボン酸および脂肪族または芳香族ジヒドロキシ化合物を基礎とする少なくとも1つの部分結晶性の熱可塑性ポリエステル50〜100質量%および
B2:少なくとも1つの熱可塑性スチレン(共)重合体0〜50質量%から構成されており、
この場合、インサート部材の被覆を形成させるために、最初にインサート部材は、第1のプラスチック成分Aで被覆され、および引続き第2のプラスチック成分Bがもたらされるか、または最初に外装Bが成形され、および引続き第2のプラスチック成分Bから構成された外装とインサート部材との間の空隙は、第1のプラスチック成分Aで充填されることを含む、請求項1から13までのいずれか1項に記載の構成部材の製造法。
【請求項15】
第1のプラスチック成分Aでのインサート部材の被覆および第2のプラスチック成分Bから構成された被覆を射出成形法によって製造する、請求項14記載の方法。

【公表番号】特表2012−533456(P2012−533456A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520998(P2012−520998)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060068
【国際公開番号】WO2011/009772
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】