説明

インターフェロンγ関連因子の発現抑制剤及び美白剤の評価方法

【課題】 適用対象となる個体、組織、細胞等への負荷を抑制するとともに、個体、組織、細胞等におけるIFNγ関連因子により引き起こされる事象を緩和又は前記事象の発現を抑制する手段及び美白剤の評価方法を提供することを提供すること。
【解決手段】ボタンピ抽出物を含有する、IFNγ関連因子の発現抑制剤、並びに
被験物質の存在により、CXCR3、IP10、Mig及びI−TACからなる群より選ばれる少なくとも1種の因子の発現又は前記因子をコードする核酸の発現が抑制されるか否かを評価する美白剤の評価方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターフェロンγ関連因子の発現抑制剤及び美白剤の評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光線は、紫外線、可視光線、赤外線等から構成されている。なかでも、紫外線は、皮膚の表皮メラノサイトにおけるチロシナーゼ活性を上昇させ、それにより、メラニンの合成量が増加させる。そのため、紫外線を浴びた皮膚においては、日焼けが発生し、皮膚の色素沈着、しみ、くすみ等の症状が現れる。
【0003】
紫外線により皮膚の日焼けが発生した場合、皮膚の美白化のために、チロシナーゼ生合成抑制活性を有するシラン(Bletilla striata Riechb. fil.)抽出物を有効成分として含有する皮膚外用剤が用いられることが知られている(特許文献1)。しかしながら、前記特許文献1記載の皮膚外用剤は、皮膚の美白化のなかでも、しみ、そばかす、色黒等の予防、症状の緩和又は憎悪の抑制を対象とするものである。
【0004】
また、紫外線による日焼けから皮膚を保護するため、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤等を含有する紫外線防御用組成物、例えば、日焼け止め化粧料等が用いられている。前記日焼け止め化粧料等の紫外線防御用組成物によれば、皮膚の表面上で、太陽からの紫外線を遮断又は吸収するサンスクリーン効果を得ることができる。したがって、前記紫外線防御用組成物によれば、皮膚細胞への紫外線の到達を抑制し、それにより、日焼けを抑制することができる。しかしながら、日常生活において、前記紫外線防御用組成物は、発汗等により流れ落ち、それにより、前記サンスクリーン効果が弱まることがあるという欠点がある。
【0005】
そのため、紫外線により引き起こされる日焼け等の皮膚の症状に対して効果を発揮する他の手段が求められている。
【特許文献1】特開平7−252128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、個体、組織、細胞等に適用した場合でも、適用対象となる個体、組織、細胞等への負荷を抑制するとともに、個体、組織、細胞等におけるインターフェロンγ関連因子により引き起こされる事象を緩和又は前記事象の発現を抑制することができる、インターフェロンγ関連因子の発現抑制剤を提供することを目的とする。また、本発明は、紫外線による皮膚炎症若しくは皮膚障害の発生を抑制又は予防することができること及び皮膚を美白化することの少なくとも1つを達成することができる美白剤を簡便に選別すること、美白剤の品質等の評価を簡便に行なうこと等の少なくとも1つを達成することができる、美白剤の評価方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明の要旨は、
〔1〕 ボタンピ抽出物を含有する、インターフェロンγ関連因子の発現抑制剤、
〔2〕 前記インターフェロンγ関連因子が、インターフェロンγ、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)レセプター3、インターフェロンγ−誘導性10kDaタンパク質、インターフェロンγ−誘導モノカイン及びインターフェロン誘導性T細胞α化学誘引物質からなる群より選ばれる少なくとも1種の因子である前記〔1〕記載の発現抑制剤、
〔3〕 被験物質の存在下でのケモカイン(C−X−Cモチーフ)レセプター3、インターフェロンγ−誘導性10kDaタンパク質、インターフェロンγ−誘導モノカイン及びインターフェロン誘導性T細胞α化学誘引物質からなる群より選ばれる少なくとも1種の因子の発現又は前記因子をコードする核酸の発現と、被験物質の非存在下でのケモカイン(C−X−Cモチーフ)レセプター3、インターフェロンγ−誘導性10kDaタンパク質、インターフェロンγ−誘導モノカイン及びインターフェロン誘導性T細胞α化学誘引物質からなる群より選ばれる少なくとも1種の因子の発現又は前記因子をコードする核酸の発現とを調べ、前記被験物質の存在により、前記因子の発現又は前記核酸の発現が抑制されるか否かを評価することを特徴とする美白剤の評価方法、
〔4〕 (A)被験物質の存在下及び非存在下それぞれの条件下において、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)レセプター3、インターフェロンγ−誘導性10kDaタンパク質、インターフェロンγ−誘導モノカイン及びインターフェロン誘導性T細胞α化学誘引物質からなる群より選ばれる少なくとも1種の因子を発現する細胞を培養するステップ、
(B)前記ステップ(A)で得られた細胞に紫外線を照射するステップ、及び
(C)前記ステップ(B)で得られた細胞におけるケモカイン(C−X−Cモチーフ)レセプター3、インターフェロンγ−誘導性10kDaタンパク質、インターフェロンγ−誘導モノカイン及びインターフェロン誘導性T細胞α化学誘引物質からなる群より選ばれる少なくとも1種の因子の発現量又は前記因子をコードする核酸の発現量を測定し、被験物質の非存在下に培養した細胞における前記因子又は前記因子をコードする核酸の発現量に比べて、前記被験物質の存在下に培養した細胞における前記因子又は前記因子をコードする核酸の発現量が減少するか否かを評価するステップ、
を含む前記〔3〕記載の美白剤の評価方法、
〔5〕 (a)ケモカイン(C−X−Cモチーフ)レセプター3、インターフェロンγ−誘導性10kDaタンパク質、インターフェロンγ−誘導モノカイン及びインターフェロン誘導性T細胞α化学誘引物質からなる群より選ばれる少なくとも1種の因子を発現する細胞に紫外線を照射するステップ、
(b)前記ステップ(a)で得られた細胞を、被験物質の存在下及び非存在下それぞれの条件下に培養するステップ、及び
(c)前記ステップ(b)で得られた細胞におけるケモカイン(C−X−Cモチーフ)レセプター3、インターフェロンγ−誘導性10kDaタンパク質、インターフェロンγ−誘導モノカイン及びインターフェロン誘導性T細胞α化学誘引物質からなる群より選ばれる少なくとも1種の因子の発現量又は前記因子をコードする核酸の発現量を測定し、被験物質の非存在下に培養した細胞における前記因子又は前記因子をコードする核酸の発現量に比べて、前記被験物質の存在下に培養した細胞における前記因子又は前記因子をコードする核酸の発現量が減少するか否かを評価するステップ、
を含む前記〔3〕記載の美白剤の評価方法、並びに
〔6〕 被験物質の存在下及び非存在下それぞれの条件下に、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)レセプター3、インターフェロンγ−誘導性10kDaタンパク質、インターフェロンγ−誘導モノカイン及びインターフェロン誘導性T細胞α化学誘引物質からなる群より選ばれる少なくとも1種の因子の生物学的活性を測定し、被験物質の非存在下における前記因子の生物学的活性に比べて、前記被験物質の存在下における前記因子の生物学的活性が低下するか否かを評価する前記〔3〕記載の美白剤の評価方法、
に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のインターフェロンγ関連因子の発現抑制剤は、個体、組織、細胞等に適用した場合でも、適用対象となる個体、組織、細胞等への負荷を抑制するとともに、個体、組織、細胞等におけるインターフェロンγ関連因子により引き起こされる事象を緩和又は前記事象の発現を抑制することができるという優れた効果を奏する。また、本発明の美白剤の評価方法は、紫外線による皮膚炎症若しくは皮膚障害の発生を抑制又は予防することができること及び皮膚を美白化することの少なくとも1つを達成することができる美白剤を簡便に選別すること、美白剤の品質等の評価を簡便に行なうこと等のうちの少なくとも1つを達成することができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、1つの側面では、ボタンピ抽出物を含有する、インターフェロンγ関連因子の発現抑制剤に関する。
【0010】
本明細書において、前記インターフェロンγ関連因子には、インターフェロンγと、前記インターフェロンγにより発現が誘導される因子、例えば、ケモカイン等と、前記インターフェロンγが生体内で機能するために必要とする因子、例えば、前記ケモカインに対するレセプター等とが包含される。前記インターフェロンγ関連因子(以下、IFNγ関連因子)という)としては、具体的には、インターフェロンγ(以下、「IFNγ」という)、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)レセプター3(以下、「CXCR3」という)、インターフェロンγ−誘導性10kDaタンパク質(以下、「IP10」という)、インターフェロンγ−誘導モノカイン(以下、「Mig」という)及びインターフェロン誘導性T細胞α化学誘引物質(以下、「I−TAC」という)が挙げられる。本発明の発現抑制剤は、前記IFNγ、CXCR3、IP10、Mig及びT−TACそれぞれに対して、高い発現抑制効果を発揮する。
【0011】
本発明の発現抑制剤は、ボタンピ抽出物を含有している点に1つの大きな特徴がある。前記ボタンピ抽出物は、漢方薬として用いることができる、個体、組織又は細胞に対して負荷が実質的にかからない植物抽出物である。そのため、本発明の発現抑制剤は、個体、組織又は細胞への使用時の負荷を抑制することができる。また、本発明の発現抑制剤は、前記ボタンピ抽出物を含有しているため、前記したように、適用対象となる個体、組織又は細胞への負荷を抑制するとともに、個体、組織又は細胞におけるIFNγ関連因子により引き起こされる事象を緩和又は前記事象の発現を抑制することができるという優れた効果を奏する。
【0012】
本発明の発現抑制剤は、前記IFNγ関連因子の発現を抑制する性質を有する。本明細書において、前記「IFNγ関連因子の発現を抑制する性質」とは、本発明の発現抑制剤の非存在下でのポリペプチドレベルでの発現量、核酸レベルでの発現量又は生物学的活性(生物学的機能)に比べて、ポリペプチドレベルでの発現量、核酸レベルでの発現量又は生物学的活性(生物学的機能)を低減させる性質をいう。本発明の発現抑制剤は、前記IFNγ関連因子の発現を抑制する性質を有することを指標として評価することができる。
【0013】
前記IFNγの生物学的活性(生物学的機能)としては、特に限定されないが、例えば、IP10、Mig及びI−TACそれぞれの誘導活性、抗ウイルス活性、抗腫瘍活性、インターフェロンα及びインターフェロンβそれぞれの効果に対する増強活性、白血球を感染局所にリクルートする活性、マクロファージ刺激活性等が挙げられる。
【0014】
また、前記CXCR3の生物学的活性(生物学的機能)としては、特に限定されないが、例えば、IP10、Mig及びI−TACそれぞれとの結合活性、Th1細胞におけるIFNγの産生誘導活性、接着分子発現調節活性等が挙げられる。
【0015】
さらに、前記IP10の生物学的活性(生物学的機能)としては、特に限定されないが、例えば、CXCR3との結合活性、単球、ナチュラルキラー細胞及びT細胞それぞれの移動促進活性(走化性)等が挙げられる。
【0016】
また、前記Migの生物学的活性(生物学的機能)としては、特に限定されないが、例えば、CXCR3との結合活性、単球、ナチュラルキラー細胞及びT細胞それぞれの移動促進活性(走化性)等が挙げられる。
【0017】
前記I−TACの生物学的活性(生物学的機能)としては、特に限定されないが、例えば、CXCR3との結合活性、単球、ナチュラルキラー細胞及びT細胞それぞれの移動促進活性(走化性)等が挙げられる。
【0018】
前記ボタンピ抽出物は、ボタン(Paeonia suffruticosa Andrews)の根皮から得られる抽出物である。前記ボタンピ抽出物は、溶媒により抽出される。
【0019】
前記溶媒としては、IFNγ関連因子の発現を抑制する活性を発現する物質等を抽出できる溶媒であればよく、特に限定されないが、水、炭素数2〜10の多価アルコール、炭素数1〜8のアルコール、炭素数3〜10のカルボン酸エステル、炭素数3〜6のケトン化合物、炭素数2〜8のエーテル化合物、前記炭素数5〜8の脂肪族炭化水素、炭素数6〜8の芳香族炭化水素、炭素数1〜2のハロゲン化アルキル等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0020】
前記水としては、特に限定されないが、蒸留水等が挙げられる。
【0021】
前記炭素数2〜10の多価アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等が挙げられる。
【0022】
前記炭素数1〜8のアルコールとしては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、n−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチルブタノール、n−オクタノール等が挙げられる。
【0023】
前記炭素数3〜10のカルボン酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル、酢酸イソプロピル等が挙げられる。
【0024】
前記炭素数3〜6のケトン化合物としては、特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−プロピルケトン等が挙げられる。
【0025】
炭素数2〜8のエーテル化合物としては、特に限定されないが、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等が挙げられる。
【0026】
前記炭素数5〜8の脂肪族炭化水素としては、特に限定されないが、例えば、n−ヘキサン、n−ペンタン、n−オクタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
【0027】
前記炭素数6〜8の芳香族炭化水素としては、特に限定されないが、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられる。
【0028】
前記炭素数1〜2のハロゲン化アルキルとしては、特に限定されないが、例えば、トリクロロメタン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等が挙げられる。
【0029】
前記溶媒は、製造時における取扱いが容易であり、IFNγ関連因子の発現を抑制する活性を十分に有する抽出物を効率よく得る観点から、好ましくは、水、エタノール、前記多価アルコール、前記エタノールの水溶液及び前記多価アルコールの水溶液が望ましい。
【0030】
前記ボタンピ抽出物の製造方法としては、前記IFNγ関連因子の発現を抑制する活性を発現する抽出物を得ることができる方法であればよく、特に限定されないが、例えば、前記溶媒に、ボタンの根皮を浸漬させて、必要により、適切な温度(例えば、25℃〜用いられる溶媒の沸点までの温度等)、適切な圧力、適切なpH等の条件下に放置することにより、ボタンピ抽出物を得る方法等が挙げられる。なお、前記ボタンピ抽出物は、前記IFNγ関連因子の発現を抑制する活性を発現する範囲で、必要に応じて、活性炭による処理、各種カラムクロマトグラフィーによる精製等の手法を用いて、さらに精製してもよい。
【0031】
前記ボタンの根皮は、ミル等を用いた適切な破砕法により根皮を破砕して得られる細片の状態であってもよく、粉末の状態であってもよい。
【0032】
ボタンピ抽出物の製造に際して、例えば、前記溶媒として水を用いる場合、前記水の温度は、標準大気圧(101325Pa)下では、IFNγ関連因子の発現を抑制する活性を十分に有する抽出物を効率よく得る観点から、好ましくは、25℃以上、より好ましくは、30℃以上の温度であり、製造時に用いられる水の量を安定的に維持して製造効率を向上させる観点から、好ましくは、100℃未満、より好ましくは、90℃以下の温度であることが望ましい。なお、ボタンピ抽出物の製造を加圧条件下に行なう場合、かかる水の温度は、製造時に用いられる水の量を安定的に維持して製造効率を向上させる観点から、好ましくは、前記加圧条件下における水の沸点未満の温度であることが望ましい。
【0033】
一方、ボタンピ抽出物の製造に際して、例えば、前記溶媒としてエタノール又はエタノール水溶液を用いる場合、前記エタノール又はエタノール水溶液の温度は、標準大気圧(101325Pa)下では、IFNγ関連因子の発現を抑制する活性を十分に有する抽出物を効率よく得る観点から、好ましくは、25℃以上、より好ましくは、30℃以上の温度であり、製造時に用いられるエタノール又はエタノール水溶液の量を安定的に維持して前記抽出物の製造効率を向上させる観点から、好ましくは、78.2℃未満、より好ましくは、60℃以下の温度であることが望ましい。ボタンピ抽出物の製造を加圧条件下に行なう場合、かかるエタノールの温度は、製造時に用いられるエタノール又はエタノール水溶液の量を安定的に維持して製造効率を向上させる観点から、好ましくは、前記加圧条件下におけるエタノール又はエタノール水溶液の沸点未満の温度であることが望ましい。
【0034】
ボタンピ抽出物の製造に際して、前記溶媒としてエタノール水溶液を用いる場合、前記エタノール水溶液中におけるエタノールの濃度は、特に限定されるものではなく、適宜設定することができる。
【0035】
本発明においては、前記ボタンピ抽出物は、前記ボタンピ抽出物の製造に際して用いられた溶媒を含有する溶液の状態であってもよく、前記ボタンピ抽出物の製造に際して用いられた溶媒を留去して得られる乾燥物等の固体の状態であってもよい。前記ボタンピ抽出物は、市販のボタンピ抽出物であってもよい。
【0036】
本発明の発現抑制剤中におけるボタンピ抽出物の含有量は、当該発現抑制剤がIFNγ関連因子の発現を抑制する活性を有する範囲で適宜設定することができる。具体的には、本発明の発現抑制剤中におけるボタンピ抽出物の含有量は、前記ボタンピ抽出物中の溶媒を留去して得られる乾燥物としての固体成分の量に換算して、IFNγ関連因子の発現を抑制する活性を十分に有する観点から、好ましくは、0.0002質量%以上、好ましくは、0.002質量%以上であり、同様に、IFNγ関連因子の発現を抑制する活性を十分に有する観点から、0.2質量%以下、好ましくは、0.1質量%以下であることが望ましい。
【0037】
本発明の発現抑制剤は、本発明の目的を妨げないのであれば、助剤、賦形剤、結合剤、安定化剤、緩衝剤、溶解補助剤、等張剤等を含有していてもよい。
【0038】
本発明の発現抑制剤は、溶液の状態であってもよく、固体の状態であってもよい。
【0039】
本発明の発現抑制剤は、個体、組織、細胞等におけるIFNγ関連因子により引き起こされる事象、例えば、紫外線により皮膚に引き起こされる症状等の発生の抑制又は予防に使用することができる。
【0040】
前記紫外線により皮膚に引き起こされる症状としては、特に限定されないが、例えば、皮膚炎症、皮膚障害等が挙げられる。
【0041】
個体における前記紫外線により皮膚に引き起こされる症状の発生の抑制又は予防等に、本発明の発現抑制剤を用いる場合、本発明の発現抑制剤の使用形態としては、特に限定されないが、例えば、本発明の発現抑制剤を適用対象である個体の適用部位等に局所投与すること(例えば、経皮的に吸収させること等)、本発明の発現抑制剤を適用対象である個体の適用部位に皮下注射すること等が挙げられる。
【0042】
また、本発明の発現抑制剤の使用量は、個体における前記紫外線により皮膚に引き起こされる症状の種類、症状の程度等により適宜設定することができる。例えば、本発明の発現抑制剤を個体における前記皮膚炎症、皮膚障害等の発生の抑制又は予防に用いる場合、前記発現抑制剤の使用量は、適用対象となる個体における前記皮膚炎症、皮膚障害等の症状の程度等により適宜設定することができる。この場合、より具体的には、本発明の発現抑制剤の使用量は、ボタンピ抽出物の固体成分量に換算して、効果を十分に発揮させる観点から、好ましくは、配合する製剤に対して、0.0002質量%以上、より好ましくは、0.002質量%以上であり、同様の観点から、0.2質量%以下、より好ましくは、0.1質量%以下となるように使用されることが望ましい。
【0043】
また、本発明の発現抑制剤は、個体、組織、細胞等におけるIFNγ関連因子により引き起こされる事象、例えば、紫外線により皮膚に引き起こされる症状等の発生の抑制又は予防のための薬剤の製造のために使用することができる。本発明の発現抑制剤を前記薬剤の製造のために使用する場合には、前記薬剤中に含まれる本発明の発現抑制剤の含有量は、適宜設定することができる。前記薬剤の製造に際しては、薬学的に許容される担体等を前記薬剤にさらに配合させてもよい。
【0044】
本発明は、他の側面では、被験物質の存在下でのCXCR3、IP10、Mig及びI−TACからなる群より選ばれる少なくとも1種の因子の発現又は前記因子をコードする核酸の発現と、被験物質の非存在下でのCXCR3、IP10、Mig及びI−TACからなる群より選ばれる少なくとも1種の因子の発現又は前記因子をコードする核酸の発現とを調べ、前記被験物質の存在により、前記因子の発現又は前記核酸の発現が抑制されるか否かを評価することを特徴とする美白剤の評価方法に関する。
【0045】
本発明の美白剤の評価方法は、IP10、Mig、I−TAC及びCXCR3からなる群より選ばれる少なくとも1種の因子の発現、又は前記因子をコードする核酸の発現が、被験物質の存在により抑制されるか否かが評価されている点に1つの大きな特徴がある。したがって、本発明の美白剤の評価方法は、日焼け等の紫外線による皮膚炎症若しくは皮膚障害の発生を抑制又は予防できること及び皮膚を美白化することの少なくとも1つを達成できる美白剤を簡便に選別することができるという優れた効果を奏する。また、本発明の美白剤の評価方法は、前記因子の発現、又は前記核酸の発現が被験物質の存在により抑制されるか否かが評価されるため、美白剤の品質等の評価を簡便に行なうことができるという優れた効果を奏する。
【0046】
前記被験物質としては、特に限定されないが、例えば、化合物、植物抽出物、微生物培養物、微生物抽出物、抗体、抗体断片、ペプチド、核酸等が挙げられる。
【0047】
本明細書において、前記「因子の発現」の用語は、ポリペプチドレベルでの当該因子の発現と、前記因子が本質的に有する活性の発現とを包含する概念をいう。
【0048】
また、本明細書において、前記「因子が本質的に有する活性」には、例えば、生物学的活性等が含まれる。
【0049】
前記生物学的活性としては、CXCR3とIP10、Mig又はI−TACとの結合活性、CXCR3によるTh1細胞におけるIFNγの産生誘導活性、CXCR3による接着分子発現調節活性、IP10、Mig又はI−TACによる単球、ナチュラルキラー細胞及びT細胞それぞれの移動促進活性(走化性)等が挙げられる。
【0050】
本発明の美白剤の評価方法としては、具体的には、例えば、被験物質の存在によるIP10、Mig、I−TAC及びCXCR3からなる群より選ばれる少なくとも1種の因子のポリペプチドレベルでの発現量の減少を指標とする方法、前記被験物質の存在による前記因子の生物学的活性の減少を指標とする方法、前記被験物質の存在による前記因子をコードする核酸の発現量の減少を指標とする方法等が挙げられる。
【0051】
本発明の美白剤の評価方法は、1つの実施態様では、(A)被験物質の存在下及び非存在下それぞれの条件下において、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)レセプター3、インターフェロンγ−誘導性10kDaタンパク質、インターフェロンγ−誘導モノカイン及びインターフェロン誘導性T細胞α化学誘引物質からなる群より選ばれる少なくとも1種の因子を発現する細胞を培養するステップ、
(B)前記ステップ(A)で得られた細胞に紫外線を照射するステップ、及び
(C)前記ステップ(B)で得られた細胞におけるケモカイン(C−X−Cモチーフ)レセプター3、インターフェロンγ−誘導性10kDaタンパク質、インターフェロンγ−誘導モノカイン及びインターフェロン誘導性T細胞α化学誘引物質からなる群より選ばれる少なくとも1種の因子の発現量又は前記因子をコードする核酸の発現量を測定し、被験物質の非存在下に培養した細胞における前記因子又は前記因子をコードする核酸の発現量に比べて、前記被験物質の存在下に培養した細胞における前記因子又は前記因子をコードする核酸の発現量が減少するか否かを評価するステップ、
を含む方法(実施態様1の方法)である。
【0052】
前記実施態様1の方法は、まず、被験物質の存在下及び非存在下それぞれの条件下において、CXCR3、IP10、Mig及びI−TACからなる群より選ばれる少なくとも1種の因子を発現する細胞を培養する〔ステップ(A)〕。かかるステップにおいては、細胞を被験物質の存在下に培養する一方で、被験物質を用いない場合の対照として、細胞を、前記被験物質の非存在下に培養することを除いて前記被験物質の存在下に培養された細胞の培養条件と同じ条件下に培養する。
【0053】
前記IP10、Mig、I−TAC及びCXCR3からなる群より選ばれる少なくとも1種の因子を発現する細胞としては、特に限定されないが、例えば、皮膚ケラチノサイト、色素細胞、線維芽細胞、血管内皮細胞、ランゲルハンス細胞、T細胞等が挙げられる。前記細胞の供給源となる生物としては、ヒト、マウス、ラット等が挙げられる。なかでも、前記細胞は、被験物質のなかから、紫外線によりヒトの皮膚に引き起こされる皮膚炎症若しくは皮膚障害の発生を、より効果的に抑制又は予防できる物質を効率よく選別する観点、及び紫外線により引き起こされる皮膚炎症若しくは皮膚障害の発生を抑制又は予防する効果について、美白剤をより適切に評価する観点から、好ましくは、ヒト皮膚ケラチノサイトが望ましい。
【0054】
前記細胞は、3次元培養により得られた3次元モデルの細胞であってもよく、通常の培養で得られた細胞であってもよい。紫外線によりヒトの皮膚に引き起こされる皮膚炎症又は皮膚障害の発生を、より効果的に抑制又は予防できる物質を効率よく選別する観点、及び紫外線により引き起こされる皮膚炎症若しくは皮膚障害の発生を抑制又は予防する効果について、美白剤を、より適切に評価する観点から、前記細胞は、好ましくは、3次元培養により得られた3次元モデルの細胞であることが望ましい。
【0055】
前記3次元モデルは、例えば、皮膚モデルの場合、ヒト皮膚構造に類似する重層化された構造を有している。具体的には、前記皮膚モデルは、皮膚と同様に、基底層、有棘層、顆粒層、角質層等が重層化された構造を有する。前記皮膚モデルは、例えば、細胞を適切な担体を用いて、適切な培地で重層培養することにより得ることができる。
【0056】
前記ステップ(A)において、細胞の培養は、前記細胞が生育するに適した培地を用いて、前記細胞が生育するに適した培養条件下に行なうことができる。
【0057】
例えば、前記細胞がヒト皮膚ケラチノサイトである場合、前記培地としては、特に限定されないが、例えば、ケラチノサイト生育培地(keratinocyte growth medium、例えば、「培養細胞実験ハンドブック」、株式会社羊土社、2004年8月5日発行等を参照)、MCDB153基本培地〔ボイス(Boyce S.T.)ら、ジャーナル オブ インベスティゲイティブ ダーマトロジー(J.Invest.Dermatol.)、第81巻、第33頁−第40頁(1983)〕、MCDB152基本培地〔タサオ(Tsao M.C.)ら、ジャーナル オブ セルラー フィジオロジー(J.Cell.Physiol.)、第110巻、第219頁−第229頁(1982)等を参照〕等が挙げられる。また、前記細胞がヒト皮膚ケラチノサイトである場合、前記培養条件は、目的に応じ、ヒト皮膚ケラチノサイトの生育に適した範囲の培養温度、CO2濃度等の条件であればよく、適宜設定することができる。前記培養温度は、例えば、ヒト皮膚ケラチノサイトを良好に生育させる観点から、好ましくは、35℃〜38℃、より好ましくは、36.5℃〜37.5℃の範囲の培養温度が望ましい。また、前記CO2濃度は、例えば、ヒト皮膚ケラチノサイトを良好に生育させる観点から、0〜20体積%、好ましくは、4〜6体積%の範囲のCO2濃度が望ましい。
【0058】
前記ステップ(A)において、前記被験物質の存在下での培養の場合、用いられる培地中に含まれる前記被験物質の濃度は、適宜設定することができる。ここで、例えば、被験物質による細胞への効果の度合いも併せて評価する場合、前記ステップ(A)では、種々の濃度で被験物質を含有する複数種の培地を用いればよい。
【0059】
また、前記ステップ(A)において、細胞の培養時間は、例えば、前記細胞への被験物質の親和性、浸透性等を指標にして、適宜設定することができる。
【0060】
前記実施態様1の方法では、次に、前記ステップ(A)で得られた細胞に紫外線を照射する〔ステップ(B)〕。
【0061】
前記ステップ(B)では、前記ステップ(A)で得られた細胞に対して、紫外線を照射するため、被験物質により、紫外線による皮膚炎症若しくは皮膚障害の発生を抑制又は予防することができるかどうか、又は被験物質としての美白剤が紫外線による皮膚炎症若しくは皮膚障害の発生の抑制効果又は予防効果を発揮することができるかどうかを評価することができる。
【0062】
前記ステップ(B)において、紫外線照射に先立ち、前記ステップ(A)で得られた細胞を、リン酸緩衝生理食塩水等で洗浄してもよい。前記洗浄を行なった場合、被験物質が、紫外線による皮膚炎症若しくは皮膚障害の発生に対して、サンスクリーン効果とは異なる効果を発揮するかどうかを評価することができる点で有利である。
【0063】
前記紫外線照射は、UV−A及びUV−Bのいずれか単独での照射であってもよく、UV−AとUV−Bとの同時での照射であってもよい。
【0064】
また、細胞に対する紫外線の照射量は、目的に応じ、適宜設定することができる。
【0065】
前記実施態様1の方法では、次に、前記ステップ(B)で得られた細胞におけるCXCR3、IP10、Mig及びI−TACからなる群より選ばれる少なくとも1種の因子の発現量又は前記因子をコードする核酸の発現量を測定し、被験物質の非存在下に培養した細胞における前記因子又は前記因子をコードする核酸の発現量に比べて、前記被験物質の存在下に培養した細胞における前記因子又は前記因子をコードする核酸の発現量が減少するか否かを評価する〔ステップ(C)〕。
【0066】
前記ステップ(C)において、前記因子の発現量は、例えば、前記因子に対する抗体を用いたELISA、ウエスタンブロット解析等の手法により相対的な値として測定することができる。なお、前記実施態様1の方法では、前記ステップ(A)において、細胞として、IP10、Mig、I−TAC及びCXCR3からなる群より選ばれる少なくとも1種の因子を適切なタグと融合したタグ融合タンパク質として発現する細胞を用いてもよい。かかる細胞を用いた場合、前記ステップ(C)において、前記タグを検出する試薬等により、簡便に、細胞内における前記因子の発現量を測定することができる。
【0067】
また、前記ステップ(C)において、前記核酸の発現量は、IP10、Mig、I−TAC及びCXCR3からなる群より選ばれる少なくとも1種の因子をコードする核酸に特異的な塩基配列からなるプローブ、前記核酸を特異的に増幅することができるプライマー対等を用いたReal−Time PCR等に代表される核酸定量法、前記核酸又は前記核酸に相補的な核酸が固定された核酸アレイ(DNAアレイ等)を用いたハイブリダイゼーション法等により測定することができる。
【0068】
前記ステップ(C)では、被験物質の非存在下に培養した細胞における前記因子又は前記因子をコードする核酸の発現量に比べて、被験物質の存在下に培養した細胞における前記因子又は前記因子をコードする核酸の発現量が減少していることを指標として、当該被験物質を、日焼け等の紫外線による皮膚炎症若しくは皮膚障害の発生を抑制又は予防することができ、皮膚を美白化する美白剤の候補物質として選別することができる。
【0069】
また、前記ステップ(C)では、被験物質の非存在下に培養した細胞における前記因子又は前記因子をコードする核酸の発現量に比べて、被験物質の存在下に培養した細胞における前記因子又は前記因子をコードする核酸の発現量が減少していることを指標として、当該被験物質が、日焼け等の紫外線による皮膚炎症若しくは皮膚障害の発生を抑制又は予防することができ、皮膚を美白化する品質を有する物質であることを評価することができる。
【0070】
また、本発明の美白剤の評価方法は、他の実施態様では、(a)CXCR3、IP10、Mig及びI−TACからなる群より選ばれる少なくとも1種の因子を発現する細胞に紫外線を照射するステップ、
(b)前記ステップ(a)で得られた細胞を、被験物質の存在下及び非存在下それぞれの条件下に培養するステップ、及び
(c)前記ステップ(b)で得られた細胞におけるCXCR3、IP10、Mig及びI−TACからなる群より選ばれる少なくとも1種の因子の発現量又は前記因子をコードする核酸の発現量を測定し、被験物質の非存在下に培養した細胞における前記因子又は前記因子をコードする核酸の発現量に比べて、前記被験物質の存在下に培養した細胞における前記因子又は前記因子をコードする核酸の発現量が減少するか否かを評価するステップ、
を含む方法である(実施態様2の方法)。
【0071】
前記実施態様2の方法では、前記ステップ(a)は、被験物質の存在下及び非存在下それぞれの条件下での培養前の細胞に対して、紫外線を照射することを除き、前記実施態様1の方法におけるステップ(B)と同様に行なうことができる。
【0072】
また、前記実施態様2の方法において、前記ステップ(b)は、紫外線を照射した後の細胞を、被験物質の存在下及び非存在下それぞれの条件下に培養することを除き、前記実施態様1の方法におけるステップ(A)と同様に行なうことができる。かかるステップにおいては、ステップ(a)で得られた細胞を被験物質の存在下に培養する一方で、被験物質を用いない場合の対照として、ステップ(a)で得られた細胞を、前記被験物質の非存在下に培養することを除いて前記被験物質の存在下に培養された細胞の培養条件と同じ条件下に培養する。
【0073】
前記ステップ(c)では、前記ステップ(b)で得られた細胞におけるCXCR3、IP10、Mig及びI−TACからなる群より選ばれる少なくとも1種の因子の発現量又は前記因子をコードする核酸の発現量を測定し、被験物質の非存在下に培養した細胞における前記因子又は前記因子をコードする核酸の発現量に比べて、前記被験物質の存在下に培養した細胞における前記因子又は前記因子をコードする核酸の発現量が減少するか否かを評価する。前記因子の発現量及び前記核酸の発現量の測定は、前記実施態様1の方法におけるステップ(C)の場合と同様に行われる。
【0074】
前記ステップ(c)では、被験物質の非存在下で培養した細胞における前記因子又は前記因子をコードする核酸の発現量に比べて、被験物質の存在下で培養した細胞における前記因子又は前記因子をコードする核酸の発現量が減少していることを指標として、当該被験物質を、紫外線による皮膚炎症若しくは皮膚障害の症状を緩和又は治療することができ、皮膚を美白化する美白剤の候補物質として選別することができる。
【0075】
また、前記ステップ(c)では、被験物質の非存在下で培養した細胞における前記因子又は前記因子をコードする核酸の発現量に比べて、被験物質の存在下に培養した細胞における前記因子又は前記因子をコードする核酸の発現量が減少していることを指標として、当該被験物質が、紫外線による皮膚炎症若しくは皮膚障害の症状を緩和又は治療することができ、皮膚を美白化する品質を有する物質であることを評価することができる。
【0076】
本発明の美白剤の評価方法は、さらに他の実施態様では、被験物質の存在下及び非存在下それぞれの条件下に、IP10、Mig、I−TAC及びCXCR3からなる群より選ばれる少なくとも1種の因子の生物学的活性を測定し、被験物質の非存在下における前記因子の生物学的活性に比べて、前記被験物質の存在下における前記因子の生物学的活性が低下するか否かを評価するステップを含む方法である(実施態様3の方法)。
【0077】
前記実施態様3の方法では、前記因子の生物学的活性として、例えば、CXCR3とIP10、Mig又はI−TACとの結合活性、CXCR3によるTh1細胞におけるIFNγの産生誘導活性、IP10、Mig又はI−TACによる単球、ナチュラルキラー細胞及びT細胞それぞれの移動促進活性(走化性)等が測定される。
【0078】
前記CXCR3とIP10、Mig又はI−TACとの結合活性は、例えば、表面プラズモン共鳴解析等により測定することができる。前記表面プラズモン共鳴解析は、例えば、CXCR3を固定化したチップに、被験物質の存在下及び非存在下のそれぞれの条件下に、IP10、Mig又はI−TACを含有する溶液を一定の流速で送液し、被験物質の存在下及び非存在下のそれぞれの条件下の場合のCXCR3と、IP10、Mig又はI−TACとの相互作用及びその度合い(結合強度又は結合量)を検出すること等により行なわれる。かかる表面プラズモン共鳴解析では、被験物質の非存在下の場合の結合強度又は結合量に比べて、前記被験物質の存在下の場合の結合強度又は結合量が減少していることを指標として、当該被験物質を、紫外線による皮膚炎症若しくは皮膚障害の症状を緩和することができ、皮膚を美白化する美白剤の候補物質として選別することができる。また、かかる表面プラズモン共鳴解析では、被験物質の非存在下の場合の結合強度又は結合量に比べて、前記被験物質の存在下の場合の結合強度又は結合量が減少していることを指標として、当該被験物質が、紫外線による皮膚炎症若しくは皮膚障害の症状を緩和することができ、皮膚を美白化する品質を有する物質であることを評価することができる。
【0079】
前記IP10、Mig又はI−TACによる単球、ナチュラルキラー細胞及びT細胞それぞれの移動促進活性(走化性)は、例えば、Boyden Chamber法等の走化性アッセイにより測定することができる。ここで、被験物質の非存在下の場合の走化性に比べて、前記被験物質の存在下の場合の走化性が低下していることを指標として、当該被験物質を、紫外線による皮膚炎症若しくは皮膚障害の症状を緩和することができ、皮膚を美白化する美白剤の候補物質として選別することができる。また、被験物質の非存在下の場合の走化性に比べて、前記被験物質の存在下の場合の走化性が低下していることを指標として、当該被験物質が、紫外線による皮膚炎症若しくは皮膚障害の症状を緩和することができ、皮膚を美白化する品質を有する物質であることを評価することができる。
【0080】
なお、本発明の美白剤の評価方法のなかでは、前記実施態様1の方法及び実施態様2の方法における核酸レベルでの発現量に基づく評価は、操作をより簡便に行なうことができる点で有利である。
【0081】
本発明の美白剤の評価方法は、例えば、美白剤の品質等の評価、新たな美白剤のスクリーニング等を行なう際に利用することができる。
【0082】
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。なお、下記実施例において、ボタンピ抽出物についての「固体成分濃度」は、特に断りのない限り、ボタンピ抽出物から溶媒を留去して得られた乾燥物としての固体成分の量に換算した濃度を示す。
【実施例】
【0083】
(実施例1)
正常ヒト新生児包皮表皮角化細胞(ヒト皮膚ケラチノサイト)〔商品名:NHEK(F) 新生児包皮表皮角化細胞、カスケード バイオロジックス(Cascade Biologics)製、倉敷紡績株式会社供給〕を、HuMedia−KG2培地(倉敷紡績株式会社製)2mlが入った細胞培養プレートの各ウェルに播種し、37℃、CO2濃度:5体積%で24時間培養した。
【0084】
また、最終濃度が0.1体積%(固体成分濃度:0.0002質量%)となるように、ボタンピ抽出物(商品名:ボタンピ抽出液、製品番号:50455511、丸善製薬株式会社製)を、HuMedia−KG2培地(商品名、倉敷紡績株式会社製)に添加し、ボタンピ抽出物含有HuMedia−KG2培地を得た。得られたボタンピ抽出物含有HuMeDia−KG2培地2mlを、前記細胞培養プレートの各ウェルに添加し、37℃、CO2濃度:5体積%で24時間培養することにより、ボタンピ抽出物処理を行なった。培養後、得られた正常ヒト新生児包皮表皮角化細胞を、リン酸緩衝生理的食塩水で洗浄した。前記正常ヒト新生児包皮表皮角化細胞に、UV−Bランプ(型名:GL20SE、三共電機株式会社製)により2mJ/cm2の紫外線量の紫外線を照射した。紫外線照射後、前記正常ヒト新生児包皮表皮角化細胞を、HuMedia−KG2培地(商品名、倉敷紡績株式会社製)で、37℃、CO2濃度:5体積%の条件で10時間培養した。その後、前記正常ヒト新生児包皮表皮角化細胞を採取した。
【0085】
商品名:RNeasy Mini Kit〔キアジェン(QIAGEN)社製〕を用いて、前記正常ヒト新生児包皮表皮角化細胞から、全RNAを抽出した。次に、前記全RNAを鋳型とし、商品名:Low RNA Fluorescent Linear Amp キット〔アギレントテクノロジーズ(Agilent Technologies)社製〕を用いて、cDNAを合成した。その後、標識試薬として、Cyanine 3−CTP、Cyanine 5−CTP〔パーキンエルマーインコーポレーテッド(PerkinElmer Inc.)製〕)を用いて、cRNAを合成し、ついで、精製した。
【0086】
(比較例1)
ボタンピ抽出物の非存在下で培養したこと(ボタンピ抽出物非処理)を除き、前記実施例1と同様に操作を行ない、cRNAを得た。
【0087】
(比較例2)
ボタンピ抽出物の非存在下で培養し(ボタンピ抽出物非処理)、かつ紫外線を照射しなかったこと(紫外線非照射)を除き、前記実施例1と同様に操作を行ない、cRNAを得た。
【0088】
(試験例1)
前記実施例1、比較例1及び比較例2それぞれで得られたcRNAを、DNAマイクロアレイ(商品名:Human 1A Oligo Microarray Kit、Agilent Technologies社製)に供し、その後、60℃で17時間インキュベーションして、それにより、DNAマイクロアレイ上のDNAとハイブリダイゼーションさせた。その後、前記DNAマイクロアレイを洗浄した。
【0089】
洗浄後のDNAマイクロアレイについて、アレイスキャナー(商品名:DNA Microarray Scanner、Agilent Technologies社製)を用いて、前記標識に基づく蛍光シグナルを検出した。その後、前記蛍光シグナルの強度を数量化することにより、前記蛍光シグナルに対応する遺伝子の発現量を算出した。その結果の一例を表1に示す。表1における「CXCR3発現相対値」は、比較例2の場合の正常ヒト新生児包皮表皮角化細胞中におけるCXCR3の核酸レベルでの発現量に対する実施例1及び比較例1それぞれの場合の正常ヒト新生児包皮表皮角化細胞中におけるCXCR3の核酸レベルでの発現量の相対値である。なお、表1における「CXCR3発現相対値」は、比較例2の場合の正常ヒト新生児包皮表皮角化細胞中におけるCXCR3の核酸レベルでの発現量を1として算出した値である。
【0090】
【表1】

【0091】
前記表1の結果から、比較例2(ボタンピ抽出物非処理で、かつ紫外線非照射の条件)の場合のCXCR3発現相対値に比べ、比較例1(ボタンピ抽出物非処理で、かつ紫外線照射を行なう条件)の場合のCXCR3発現相対値が大きくなることがわかる。したがって、紫外線の照射により、CXCR3の核酸レベルでの発現量の上昇が引き起こされることが示唆される。
【0092】
しかしながら、前記表1の結果から、比較例1(ボタンピ抽出物非処理で、かつ紫外線照射を行なう条件)の場合のCXCR3発現相対値に比べ、実施例1(ボタンピ抽出物処理を行ない、かつ紫外線照射を行なう条件)の場合のCXCR3発現相対値が小さくなることがわかる。したがって、ボタンピ抽出物によれば、紫外線の照射により引き起こされるCXCR3の核酸レベルでの発現量の上昇を抑制することができることが示唆される。
【0093】
(実施例2)
ボタンピ抽出物(商品名:ボタンピ抽出液、製品番号:50455511、丸善製薬株式会社製)を最終濃度5.0体積%(固体成分濃度:0.1質量%)となるようにリン酸緩衝生理食塩水に添加し、ボタンピ抽出物含有試料を得た。
【0094】
前記ボタンピ抽出物含有試料を、正常ヒト三次元培養皮膚モデル〔商品名:正常ヒト3次元モデル(製品名:MEL−300Bキット)、マテックコーポレーション(MatTek corp.)製〕の皮膚モデルカップ内に添加し、前記正常ヒト三次元培養皮膚モデルを、37℃で、CO2濃度:5体積%で24時間培養した。その後、得られた正常ヒト三次元培養皮膚モデルを、リン酸緩衝生理食塩水で洗浄した。洗浄後の正常ヒト三次元培養皮膚モデルに、UV−Bランプ(型名:GL20SE、三共電機株式会社製)により10mJ/cm2の紫外線量の紫外線を照射した。紫外線照射後、前記正常ヒト三次元培養皮膚モデルを、37℃で、CO2濃度:5体積%で10時間培養した。その後、前記正常ヒト三次元培養皮膚モデルから表皮角化細胞を採取した。採取した表皮角化細胞を凍結組織切片作製用包埋剤〔商品名:ティッシュー・テック O.C.Tコンパウンド、サクラファインテック株式会社製〕で包埋し、液体窒素で凍結させた。その後、得られた凍結包埋試料を、クライオスタットで薄切することにより、薄切切片を得た。得られた切片をスライドグラスにのせて、in situハイブリダイゼーション用試料を得た。
【0095】
(比較例3)
ボタンピ抽出物含有試料の非存在下で培養し(ボタンピ抽出物非処理)、かつ紫外線を照射しなかったこと(紫外線非照射)を除き、前記実施例2と同様に操作を行ない、in situハイブリダイゼーション用試料を得た。
【0096】
(比較例4)
ボタンピ抽出物含有試料の非存在下で培養したこと(ボタンピ抽出物非処理)を除き、前記実施例2と同様に操作を行ない、in situハイブリダイゼーション用試料を得た。
【0097】
(試験例2)
配列番号:1に示される塩基配列からなる核酸をpGEM(登録商標)−Tベクター〔プロメガ株式会社製〕のクローニングサイトに組み込んで得られた産物を鋳型とし、商品名:DIG RNA labeling Kit(SP6/T7)〔ロシュ(Roche)製〕を用いてPCRを行ない、蛍光標識プローブを作製した。
【0098】
得られた蛍光標識プローブ(1mg/mL核酸相当量)を、前記実施例2、比較例3及び比較例4それぞれのin situハイブリダイゼーション用試料に添加した。さらに、ハイブリダイゼーション緩衝液〔組成:50体積% 脱イオン化ホルムアミド、5×SSC(1×SSCの組成:0.15M NaCl、0.015M クエン酸ナトリウム、pH7.0)、0.1mg/mL 酵母tRNA、20μg/mL Heparin stock soln. 0.1体積% Triton(商品名) X−100〕90μlを、前記実施例2、比較例3及び比較例4それぞれのin situハイブリダイゼーション用試料に添加した。その後、前記in situハイブリダイゼーション用試料を、65℃で16時間保温することにより、ハイブリダイゼーションを行なった。その後、4×SSCでパラフィルムを剥がし、2×SSC/ホルムアミドで、65℃で60分、0.1×SSCで、65℃で120分、MABT(pH7.5)[組成:100mMマレイン酸ナトリウム、150mM NaCl、0.1体積% Triton(商品名)X−100]中、室温(25℃)で5分インキュベーションし、前記in situハイブリダイゼーション用試料を洗浄した。得られた試料について、対比染色を行ない、光学顕微鏡下に観察した。実施例2のボタンピ抽出物含有試料を用いた場合の細胞におけるCXCR3に対応するmRNAの発現の局在性を調べた結果を示す図面代用写真を図1に示す。図1中、パネル(A)は、比較例3(ボタンピ抽出物非処理で、かつ紫外線非照射の条件)、パネル(B)は、比較例4(ボタンピ抽出物非処理で、かつ紫外線照射を行なう条件)、パネル(C)は、実施例2(ボタンピ抽出物処理を行ない、かつ紫外線照射を行なう条件)の場合の結果を示す。
【0099】
図1のパネル(A)の結果から、比較例3(ボタンピ抽出物非処理で、かつ紫外線非照射の条件)の場合の表皮角化細胞においては、CXCR3に対応するmRNAの発現が認められないことがわかる。一方、図1のパネル(B)の結果から、比較例4(ボタンピ抽出物非処理で、かつ紫外線照射を行なう条件)の場合の表皮角化細胞においては、CXCR3に対応するmRNAの発現部位が全体にわたって多数存在することがわかる。したがって、表皮角化細胞においては、紫外線照射により、CXCR3に対応するmRNAの発現が全体にわたって引き起こされることが示唆される。
【0100】
しかしながら、図1のパネル(C)の結果から、実施例2(ボタンピ抽出物処理を行ない、かつ紫外線照射を行なう条件)の場合の表皮角化細胞においては、比較例4(ボタンピ抽出物非処理で、かつ紫外線照射を行なう条件)の場合の表皮角化細胞〔パネル(B)〕に比べ、CXCR3に対応するmRNAの発現部位の数は少なくなることがわかる。したがって、ボタンピ抽出物によれば、紫外線の照射により引き起こされるCXCR3のmRNAの発現を抑制することができることが示唆される。また、前記前記ボタンピ抽出物含有試料は、CXCR3の発現抑制剤として有用であることが示唆される。
【0101】
(実施例3)
ボタンピ抽出物(商品名:ボタンピ抽出液、製品番号:50455511、丸善製薬株式会社製)を最終濃度5.0体積%(固体成分濃度:0.1質量%)となるようにリン酸緩衝生理食塩水に添加し、ボタンピ抽出物含有試料を得た。
【0102】
前記ボタンピ抽出物含有試料を、正常ヒト三次元培養皮膚モデル〔商品名:正常ヒト3次元モデル(製品名:MEL−300Bキット)、マテックコーポレーション製〕の皮膚モデルカップ内に添加し、前記正常ヒト三次元培養皮膚モデルを、37℃で、CO2濃度:5体積%で24時間培養した。その後、得られた正常ヒト三次元培養皮膚モデルを、リン酸緩衝生理食塩水で洗浄した。洗浄後の正常ヒト三次元培養皮膚モデルに、UV−Bランプ(型名:GL20SE、三共電機株式会社製)により10mJ/cm2の紫外線量の紫外線を照射した。紫外線照射後、前記正常ヒト三次元培養皮膚モデルを、37℃で、CO2濃度:5体積%で10時間培養した。その後、前記正常ヒト三次元培養皮膚モデルから表皮角化細胞を採取した。
【0103】
商品名:RNeasy Mini Kit(キアジェン社製)を用いて、前記表皮角化細胞から、全RNAを抽出した。次に、前記全RNAを鋳型として、商品名:Superscript III〔インビトロジェン(invitrogen)社製〕を用いてcDNAを合成した。
【0104】
(比較例5)
ボタンピ抽出物含有試料の非存在下で培養したこと(ボタンピ抽出物非処理)を除き、前記実施例3と同様に操作を行ない、cDNAを得た。
【0105】
(比較例6)
ボタンピ抽出物含有試料の非存在下で培養し(ボタンピ抽出物非処理)、かつ紫外線を照射しなかったこと(紫外線非照射)を除き、前記実施例3と同様に操作を行ない、cDNAを得た。
【0106】
(試験例3)
前記実施例3、比較例5及び比較例6それぞれのcDNAを鋳型として、数種類の因子の核酸レベルでの発現を、Real−Time PCRにより解析した。
【0107】
なお、Real−Time PCRのために用いるプライマーとして、CXCR3をコードする核酸について、5’−GGTGCCCTCTTCAACATCAAC−3’(配列番号:1)と5’−AACTATGTTCAGGTAGCGGTCAAAG−3’(配列番号:2)とを、Migをコードする核酸について、5’−TTCCTCTTGGGCATCATCTTGCTGG−3’(配列番号:3)と5’−AGTCCCTTGGTTGGTGCTGATGCAG−3’(配列番号:4)とを、IP10をコードする核酸について、5’−CAAACTGCGATTCTGATTTGCTGCC−3’(配列番号:5)と5’−TGCTGATGCAGGTACAGCGTACGGT−3’(配列番号:6)とを、I−TACをコードする核酸について、5’−TGAAGGGCATGGCTATAGCCTTGGC−3’(配列番号:7)と5’−CCAGGGCCTATGCAAAGACAGCG−3’(配列番号:8)とを、それぞれ用いた。また、Real−Time PCRのために用いるプローブとして、商品名:QuantiTect SYBR Green PCR(キアジェン社製)を用いた。なお、Real−Time PCRにおけるサーマルプロファイルは、50℃で2分間でのインキュベーション、95℃で15分間のインキュベーション、変性:94℃で15秒とアニーリング:Tm−5℃で30秒とエクステンション:72℃30秒とを1サイクルとする40サイクルである。それぞれの因子の核酸レベルにおける発現相対値を、比較例6のcDNAを用いて求められた表皮角化細胞中における前記因子の核酸レベルでの発現量に対する実施例3のcDNA又は比較例5のcDNAを用いて求められた表皮角化細胞中における対応する因子の核酸レベルでの発現量の相対値として算出した。なお、前記因子の発現相対値は、比較例6のcDNAを用いて算出された表皮角化細胞中における前記因子の核酸レベルでの発現量を1として算出した値である。結果を表2〜表5に示す。
【0108】
【表2】

【0109】
【表3】

【0110】
【表4】

【0111】
【表5】

【0112】
前記表2の結果から、実験番号2(ボタンピ抽出物非処理で、かつ紫外線照射を行なう条件)の場合のCXCR3の核酸レベルでの発現相対値(表中、「CXCR3発現相対値」)に比べ、実験番号1(ボタンピ抽出物処理を行ない、かつ紫外線照射を行なう条件)の場合のCXCR3の核酸レベルでの発現相対値が小さくなることがわかる。したがって、ボタンピ抽出物によれば、紫外線の照射により引き起こされるCXCR3のmRNAの発現量の上昇を抑制することができることが示唆される。
【0113】
また、前記表3の結果から、実験番号6(ボタンピ抽出物非処理で、かつ紫外線非照射の条件)の場合のMigの核酸レベルの発現相対値(表中、「Mig発現相対値」)に比べて、実験番号5(ボタンピ抽出物非処理で、かつ紫外線照射を行なう条件)の場合のMigの核酸レベルでの発現相対値のほうが大きくなることがわかる。さらに、前記表4の結果から、実験番号9(ボタンピ抽出物非処理で、かつ紫外線非照射の条件)の場合のIP10の核酸レベルの発現相対値(表中、「IP10発現相対値」)に比べて、実験番号8(ボタンピ抽出物非処理で、かつ紫外線照射を行なう条件)の場合のIP10の核酸レベルでの発現相対値のほうが大きくなることがわかる。また、前記表5の結果から、実験番号12(ボタンピ抽出物非処理で、かつ紫外線非照射の条件)の場合のI−TACの核酸レベルの発現相対値(表中、「I−TAC発現相対値」)に比べて、実験番号11(ボタンピ抽出物非処理で、かつ紫外線照射を行なう条件)の場合のI−TACの核酸レベルでの発現相対値のほうが大きくなることがわかる。
【0114】
したがって、紫外線の照射により、Mig、IP10及びI−TACの発現量が上昇することがわかる。
【0115】
一方、前記表3の結果から、実験番号5(ボタンピ抽出物非処理で、かつ紫外線照射を行なう条件)の場合のMigの核酸レベルでの発現相対値に比べ、実験番号4(ボタンピ抽出物処理を行ない、かつ紫外線照射を行なう条件)の場合のMigの核酸レベルでの発現相対値が小さくなることがわかる。また、前記表4の結果から、実験番号8(ボタンピ抽出物非処理で、かつ紫外線照射を行なう条件)の場合のIP10の核酸レベルでの発現相対値に比べ、実験番号7(ボタンピ抽出物処理を行ない、かつ紫外線照射を行なう条件)の場合のIP10の核酸レベルでの発現相対値が小さくなることがわかる。さらに、前記表5の結果から、実験番号11(ボタンピ抽出物非処理で、かつ紫外線照射を行なう条件)の場合のI-TACの核酸レベルでの発現相対値に比べ、実験番号10(ボタンピ抽出物処理を行ない、かつ紫外線照射を行なう条件)の場合のI−TACの核酸レベルでの発現相対値が小さくなることがわかる。
【0116】
したがって、ボタンピ抽出物によれば、紫外線の照射により引き起こされるMig、IP10及びI−TACの核酸レベルでの発現量の上昇を抑制することができることが示唆される。
【0117】
また、紫外線の照射により発現量が上昇した前記CXCR3、Mig、IP10及びI−TACは、いずれも、生体内におけるIFNγの挙動に関連する因子であるため、ボタンピ抽出物が生体内におけるIFNγの発現抑制効果を発揮することが示唆される。このように、ボタンピ抽出物は、IFNγ関連因子(IFNγ、CXCR3、Mig、IP10及びI−TAC)の発現を抑制することが示唆されるため、前記前記ボタンピ抽出物含有試料は、当該IFNγ関連因子の発現抑制剤として有用であることが示唆される。また、ボタンピ抽出物は、漢方薬として用いることができる、個体、組織又は細胞に対して負荷が実質的にかからない植物抽出物である。そのため、前記ボタンピ抽出物含有試料によれば、適用対象となる個体、組織、細胞等に実質的に負荷をかけることなく、個体、組織、細胞等におけるIFNγ関連因子により引き起こされる事象を緩和又は前記事象の発現を抑制することができる。
【0118】
(実施例4)
ボタンピ抽出物(丸善製薬株式会社製)を、最終濃度1体積%(固体成分濃度:0.04質量%)となるように、50質量%エタノール水溶液に添加し、ボタンピ抽出物含有試料を得た。
【0119】
(試験例4)
前記実施例4のボタンピ抽出物含有試料を、年齢24歳〜40歳の12名の被験者の上腕内側部に、1日3回、照射1週間前から塗布した(実験番号13〜24)。また、対照として、50質量%エタノール水溶液を、前記と同じ12名の被験者の上腕内側部に、1日3回、1週間にわたって塗布した(実験番号13〜24)。その後、前記ボタンピ抽出物含有試料の塗布部位及び前記対照の塗布部位に、UV−Bランプ(型名:GL20SE、三共電機株式会社製)により、1MED相当の紫外線量の紫外線を照射した。紫外線照射1週間後、色差計(株式会社村上色彩技術研究所製、CMS−1200)を用いて、紫外線照射部位の皮膚色のL*値及び紫外線非照射部位の皮膚色のL*値を測定した。次に、式(I):
【0120】
【数1】

【0121】
に従って、前記L*値から、ΔL*値を算出した。さらに、前記ボタンピ抽出物含有試料の塗布部位におけるΔL*値と前記対照の塗布部位におけるΔL*値とから、式(II):
【0122】
【数2】

【0123】
に従って、色素沈着抑制率(%)を求めた。結果を表6に示す。表中、ΔL*の値が大きいほど色素沈着の程度が強いことを示す。また、表中、「試料」は、ボタンピ抽出物含有試料を示し、「対照」は、50質量%エタノール水溶液を示す。
【0124】
【表6】

【0125】
表6の結果から、前記実施例4で得られたボタンピ抽出物含有試料を塗布した場合、対照を塗布した場合に比べ、ほとんどの被験者において、ΔL*値が減少することがわかる。したがって、ボタンピ抽出物含有試料によれば、紫外線の照射により引き起こされる色素沈着を抑制することができることが示唆される。
【0126】
また、本試験例4の結果と、前記試験例1〜3それぞれの結果とから、紫外線の照射により発現量が上昇する前記CXCR3、Mig、IP10及びI−TACの発現が抑制されるか否かを調べることによって、美白剤のスクリーニング又は前記美白剤の品質、性質等の評価を行なうことができることが示唆される。
【0127】
(試験例5)
前記実施例4で得られたボタンピ抽出物含有試料を、12名の被験者(実験番号25〜36)の上腕内側部に、1日3回、1週間にわたって塗布した。その後、前記ボタンピ抽出物含有試料の塗布部位に、UV−Bランプ(型名:GL20SE、三共電機株式会社製)により、1MED相当の紫外線量の紫外線を照射した。紫外線照射24時間後、レーザードップラー血流量計〔商品名:PeriScan PIM3、プレイメド(PREIMED)社製〕を用いて、レーザードップラー法により、紫外線照射部位における血流量を測定した。なお、対照として、前記実施例4で得られたボタンピ抽出物含有試料に代えて、50質量%エタノール水溶液を用いて、前記と同様に操作を行ない、血流量を測定した。さらに、前記ボタンピ抽出物含有試料の塗布部位における血流量と前記対照の塗布部位における血流量とから、式(III):
【0128】
【数3】

【0129】
に従って、血流量増加抑制率(%)を求めた。結果を表7に示す。表中、「試料」は、ボタンピ抽出物含有試料を示し、「対照」は、50質量%エタノール水溶液を示す。
【0130】
【表7】

【0131】
表7の結果から、前記実施例4で得られた試料を塗布した場合、対照を塗布した場合に比べ、ほとんどの被験者において、血流量が減少することがわかる。したがって、ボタンピ抽出物によれば、紫外線の照射により引き起こされる血流量の増加を抑制することができることが示唆される。
【0132】
また、本試験例5の結果と、前記試験例1〜4それぞれの結果とから、紫外線の照射により発現量が上昇する前記CXCR3、Mig、IP10及びI−TACの発現が抑制されるか否かを調べることによって、美白剤のスクリーニング又は前記美白剤の品質、性質等の評価を行なうことができることが示唆される。
【0133】
(実験例1)
被験物質をリン酸緩衝生理食塩水に添加し、被験物質含有試料を得る。
【0134】
正常ヒト三次元培養皮膚モデル〔商品名:正常ヒト3次元モデル(製品名:MEL−300Bキット)、マテックコーポレーション製〕に、UV−Bランプ(型名:GL20SE、三共電機株式会社製)により10mJ/cm2の紫外線量の紫外線を照射する。紫外線照射後、前記正常ヒト三次元培養皮膚モデルを、37℃で、CO2濃度:5体積%で10時間培養する。その後、前記被験物質含有試料を、前記正常ヒト三次元培養皮膚モデルの皮膚モデルカップ内に添加し、前記正常ヒト三次元培養皮膚モデルを、37℃で、CO2濃度:5体積%で24時間培養する。その後、前記正常ヒト三次元培養皮膚モデルから被験対象の表皮角化細胞を採取する。次に、得られた表皮角化細胞から、被験対象の無細胞抽出物を調製する。
【0135】
紫外線を照射せず、被験物質の非存在下で培養することを除き、同様に、対照無細胞抽出物を得る。
【0136】
前記被験対象の無細胞抽出物及び前記対照の無細胞抽出物について、CXCR3、Mig、IP10及びI−TACそれぞれの因子に対するモノクローナル抗体を用いて、ウエスタンブロット解析を行なう。
【0137】
次に、CXCR3、Mig、IP10及びI−TACそれぞれの因子に対応するシグナル強度に基づき、前記因子の発現相対値を、対照無細胞抽出物を用いて求められた表皮角化細胞中における前記因子のポリペプチドレベルでの発現量に対する被験対象の無細胞抽出物を用いて求められた表皮角化細胞中における対応する因子のポリペプチドレベルでの発現量の相対値として算出する。なお、前記因子の発現相対値は、対照無細胞抽出物を用いて算出された表皮角化細胞中における前記因子のポリペプチドレベルでの発現量を1として算出した値である。
【0138】
その結果、被験物質含有試料の非存在下に培養した細胞における前記因子の発現量に比べて、前記被験物質含有試料の存在下に培養した細胞における前記因子の発現量が減少していることを指標として、当該被験物質を、紫外線による皮膚炎症若しくは皮膚障害の症状を緩和又は治療することができ、皮膚を美白化する美白剤の候補物質として選別することができる。また、被験物質含有試料の非存在下に培養した細胞における前記因子の発現量に比べて、前記被験物質含有試料の存在下に培養した細胞における前記因子の発現量が減少していることを指標として、当該被験物質が、紫外線による皮膚炎症若しくは皮膚障害の症状を緩和又は治療することができ、皮膚を美白化する品質を有する物質であることを評価することができる。
【0139】
(実験例2)
被験物質をリン酸緩衝生理食塩水に添加し、被験物質含有試料を得る。
【0140】
正常ヒト三次元培養皮膚モデル〔商品名:正常ヒト3次元モデル(製品名:MEL−300Bキット)、マテックコーポレーション(MatTek corp.)製〕に、UV−Bランプ(型名:GL20SE、三共電機株式会社製)により10mJ/cm2の紫外線量の紫外線を照射する。紫外線照射後、前記正常ヒト三次元培養皮膚モデルを、37℃で、CO2濃度:5体積%で10時間培養する。その後、前記被験物質含有試料を、前記正常ヒト三次元培養皮膚モデルの皮膚モデルカップ内に添加し、前記正常ヒト三次元培養皮膚モデルを、37℃で、CO2濃度:5体積%で24時間培養する。その後、前記正常ヒト三次元培養皮膚モデルから表皮角化細胞を採取する。次に、前記実施例3と同様に、被験対象のcDNAを得る。
【0141】
紫外線を照射せず、被験物質含有試料の非存在下で培養することを除き、被験対象のcRNAの場合と同様に操作を行ない、対照cDNAを得る。
【0142】
前記被験対象のcDNA及び対照cDNAを鋳型として、前記試験例3と同様に、Real−Time PCRにより、CXCR3、Mig、IP10及びI−TACそれぞれの因子の核酸レベルでの発現量を測定する。次に、CXCR3、Mig、IP10及びI−TACそれぞれの因子の核酸レベルにおける発現相対値を、対照cDNAを用いて求められた表皮角化細胞中における前記因子の核酸レベルでの発現量に対する被験対象のcRNAを用いて求められた表皮角化細胞中における対応する因子の核酸レベルでの発現量の相対値として算出する。なお、前記因子の発現相対値は、対照cDNAを用いて算出された表皮角化細胞中における前記因子の核酸レベルでの発現量を1として算出した値である。
【0143】
その結果、被験物質含有試料の非存在下に培養した細胞における前記因子をコードする核酸の発現量に比べて、前記被験物質含有試料の存在下に培養した細胞における前記因子をコードする核酸の発現量が減少していることを指標として、当該被験物質を、紫外線による皮膚炎症若しくは皮膚障害の症状を緩和又は治療することができ、皮膚を美白化する美白剤の候補物質として選別することができる。また、被験物質含有試料の非存在下に培養した細胞における前記因子をコードする核酸の発現量に比べて、前記被験物質含有試料の存在下に培養した細胞における前記因子をコードする核酸の発現量が減少していることを指標として、当該被験物質が、紫外線による皮膚炎症若しくは皮膚障害の症状を緩和又は治療することができ、皮膚を美白化する品質を有する物質であることを評価することができる。
【0144】
(実験例3)
紫外線照射と被験物質含有試料の存在下での培養との順番を逆にしたことを除き、前記実験例1と同様に、CXCR3、Mig、IP10及びI−TACそれぞれの因子に対するモノクローナル抗体を用いたウエスタンブロット解析により、被験物質含有試料の非存在下に培養した細胞における前記因子の発現量(ポリペプチドレベル)と、前記被験物質含有試料の存在下に培養した細胞における前記因子の発現量(ポリペプチドレベル)とを比較する。
【0145】
その結果、被験物質含有試料の非存在下に培養した細胞における前記因子の発現量に比べて、前記被験物質含有試料の存在下に培養した細胞における前記因子の発現量が減少していることを指標として、当該被験物質を、紫外線による皮膚炎症若しくは皮膚障害の症状を緩和又は治療することができ、皮膚を美白化する美白剤の候補物質として選別することができる。また、被験物質含有試料の非存在下に培養した細胞における前記因子の発現量に比べて、前記被験物質含有試料の存在下に培養した細胞における前記因子の発現量が減少していることを指標として、当該被験物質が、紫外線による皮膚炎症若しくは皮膚障害の症状を緩和又は治療することができ、皮膚を美白化する品質を有する物質であることを評価することができる。
【0146】
(実験例4)
商品名:BIAcore X100〔ビアコア株式会社製〕を用いて、被験物質の存在下及び非存在下のそれぞれの条件下でのCXCR3標品と、Mig標品、IP10標品又はI−TAC標品との間の相互作用及びその度合い(結合強度)を解析する。
【0147】
その結果、被験物質の非存在下の場合の結合強度又は結合量に比べて、前記被験物質の存在下の場合の結合強度又は結合量が減少していることを指標として、当該被験物質を、紫外線による皮膚炎症若しくは皮膚障害の症状を緩和することができ、皮膚を美白化する美白剤の候補物質として選別することができる。また、被験物質の非存在下の場合の結合強度又は結合量に比べて、前記被験物質の存在下の場合の結合強度又は結合量が減少していることを指標として、当該被験物質が、紫外線による皮膚炎症若しくは皮膚障害の症状を緩和することができ、皮膚を美白化する品質を有する物質であることを評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】図1は、実施例2のボタンピ抽出物含有試料を用いた場合の細胞におけるCXCR3に対応するmRNAの発現の局在性を調べた結果を示す図面代用写真である。
【配列表フリーテキスト】
【0149】
配列番号:1は、CXCR3増幅プライマーの配列である。
【0150】
配列番号:2は、CXCR3増幅プライマーの配列である。
【0151】
配列番号:3は、Mig増幅プライマーの配列である。
【0152】
配列番号:4は、Mig増幅プライマーの配列である。
【0153】
配列番号:5は、IP10増幅プライマーの配列である。
【0154】
配列番号:6は、IP10増幅プライマーの配列である。
【0155】
配列番号:7は、I−TAC増幅プライマーの配列である。
【0156】
配列番号:8は、I−TAC増幅プライマーの配列である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボタンピ抽出物を含有してなる、インターフェロンγ関連因子の発現抑制剤。
【請求項2】
前記インターフェロンγ関連因子が、インターフェロンγ、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)レセプター3、インターフェロンγ−誘導性10kDaタンパク質、インターフェロンγ−誘導モノカイン及びインターフェロン誘導性T細胞α化学誘引物質からなる群より選ばれる少なくとも1種の因子である請求項1記載の発現抑制剤。
【請求項3】
被験物質の存在下でのケモカイン(C−X−Cモチーフ)レセプター3、インターフェロンγ−誘導性10kDaタンパク質、インターフェロンγ−誘導モノカイン及びインターフェロン誘導性T細胞α化学誘引物質からなる群より選ばれる少なくとも1種の因子の発現又は前記因子をコードする核酸の発現と、被験物質の非存在下でのケモカイン(C−X−Cモチーフ)レセプター3、インターフェロンγ−誘導性10kDaタンパク質、インターフェロンγ−誘導モノカイン及びインターフェロン誘導性T細胞α化学誘引物質からなる群より選ばれる少なくとも1種の因子の発現又は前記因子をコードする核酸の発現とを調べ、前記被験物質の存在により、前記因子の発現又は前記核酸の発現が抑制されるか否かを評価することを特徴とする美白剤の評価方法。
【請求項4】
(A)被験物質の存在下及び非存在下それぞれの条件下において、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)レセプター3、インターフェロンγ−誘導性10kDaタンパク質、インターフェロンγ−誘導モノカイン及びインターフェロン誘導性T細胞α化学誘引物質からなる群より選ばれる少なくとも1種の因子を発現する細胞を培養するステップ、
(B)前記ステップ(A)で得られた細胞に紫外線を照射するステップ、及び
(C)前記ステップ(B)で得られた細胞におけるケモカイン(C−X−Cモチーフ)レセプター3、インターフェロンγ−誘導性10kDaタンパク質、インターフェロンγ−誘導モノカイン及びインターフェロン誘導性T細胞α化学誘引物質からなる群より選ばれる少なくとも1種の因子の発現量又は前記因子をコードする核酸の発現量を測定し、被験物質の非存在下に培養した細胞における前記因子又は前記因子をコードする核酸の発現量に比べて、前記被験物質の存在下に培養した細胞における前記因子又は前記因子をコードする核酸の発現量が減少するか否かを評価するステップ、
を含む請求項3記載の美白剤の評価方法。
【請求項5】
(a)ケモカイン(C−X−Cモチーフ)レセプター3、インターフェロンγ−誘導性10kDaタンパク質、インターフェロンγ−誘導モノカイン及びインターフェロン誘導性T細胞α化学誘引物質からなる群より選ばれる少なくとも1種の因子を発現する細胞に紫外線を照射するステップ、
(b)前記ステップ(a)で得られた細胞を、被験物質の存在下及び非存在下それぞれの条件下に培養するステップ、及び
(c)前記ステップ(b)で得られた細胞におけるケモカイン(C−X−Cモチーフ)レセプター3、インターフェロンγ−誘導性10kDaタンパク質、インターフェロンγ−誘導モノカイン及びインターフェロン誘導性T細胞α化学誘引物質からなる群より選ばれる少なくとも1種の因子の発現量又は前記因子をコードする核酸の発現量を測定し、被験物質の非存在下に培養した細胞における前記因子又は前記因子をコードする核酸の発現量に比べて、前記被験物質の存在下に培養した細胞における前記因子又は前記因子をコードする核酸の発現量が減少するか否かを評価するステップ、
を含む請求項3記載の美白剤の評価方法。
【請求項6】
被験物質の存在下及び非存在下それぞれの条件下に、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)レセプター3、インターフェロンγ−誘導性10kDaタンパク質、インターフェロンγ−誘導モノカイン及びインターフェロン誘導性T細胞α化学誘引物質からなる群より選ばれる少なくとも1種の因子の生物学的活性を測定し、被験物質の非存在下における前記因子の生物学的活性に比べて、前記被験物質の存在下における前記因子の生物学的活性が低下するか否かを評価する請求項3記載の美白剤の評価方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−35502(P2009−35502A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−199726(P2007−199726)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年2月1日に掲載されたホームページ http://nenkai.pharm.or.jp/127/pc/ipdfview.asp?i=3873において発表
【出願人】(390011442)株式会社マンダム (305)
【Fターム(参考)】