説明

インターロック制御回路

【課題】画像形成装置のカバーまたはドアを閉める際、インターロックスイッチ40がオンとなり、電源10から駆動負荷部30への給電が始まるが、駆動負荷部30内の駆動負荷部入力平滑コンデンサ34に電荷が一気に充電されてしまい発生する突入電流を抑える。
【解決手段】インターロックスイッチ40が開から閉状態となった時、閉状態を開閉検知回路23が検知し、マイコン21がこれを認識し、駆動負荷電圧オン・オフ回路部11に対してオン信号を出力させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インターロックスイッチを有するインターロック制御回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の複写機、FAX、あるいはプリンタなどの電子写真技術を利用した画像形成装置は、感光体を帯電させるための高電圧発生部、感光体や紙搬送部を含む各部を駆動させるための駆動部、および用紙上に転写されたトナー像を定着させるための高温発生部を有し、これらの各部にかかる電源系統は安全の為に画像形成装置のカバーまたはドアを開けると通電が停止するようになっている。このカバーまたはドアは、トナー交換、ユニット交換、あるいはジャム処理時に画像形成装置内部を開放するためのものである。
【0003】図5は、従来の画像形成装置内の給電系統図であり、高電圧発生部310、駆動部320、高温発生部330等よりなる駆動負荷部300を有し、給電系統は画像形成装置のカバーまたはドアの開閉に連動したインターロックスイッチ400を介して駆動負荷部300に給電を行い、ユーザがジャム処理等でカバーまたはドアを開いた時には、インターロックスイッチ400がオフとなり、電源100から駆動負荷部300への給電をオフする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のインターロック制御回路では、ユーザがジャム処理等の後、画像形成装置のカバーまたはドアを閉めると、インターロックスイッチ400がオンとなり、電源100から駆動負荷部300への給電が始まるが、駆動負荷部300内の駆動負荷部入力平滑コンデンサ340に電荷が一気に充電されてしまうために、大きな突入電流が生じてしまうという問題があった。この大きな突入電流の一部は、制御基板200内の制御系のGNDを通り、マイコン210の電源電圧を変動させて誤動作させたり、リセットIC220がこの変動を検知してリセットをかけてしまうこととなる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、カバーまたはドアの開閉に連動してオン・オフ動作するインターロックスイッチを有し、該インターロックスイッチがオン時に電源から駆動負荷部に給電を行うように制御を行うインターロック制御回路において、インターロックスイッチと電源の間に駆動負荷電源オン・オフ回路部を設け、前記インターロックスイッチのオンを検知後に前記駆動負荷電源オン・オフ回路をオンするインターロック制御回路としたものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。図1は、本発明のインターロック制御回路を備えた画像形成装置内の構成ブロック図である。
【0007】画像形成装置1には、次のものを構成してなる。
(1)従来と同様に、駆動負荷部30は、高電圧発生部31、駆動部32、および高温発生部33で構成。
(2)電源10から駆動負荷部30への給電を制御基板20を通ってオン・オフ制御するための開閉可能なドアまたはカバー(不図示)。
(3)画像形成装置1の全体制御を行う制御基板20。
(4)電源10から駆動負荷部30への給電をカバーやドアの開閉で直接オン・オフするインターロックスイッチ40と、カバー(インターロック)の開閉を検知するインターロック開閉検知スイッチ41。
(5)インターロック開閉検知スイッチ41の開閉検知回路部23と、開閉検知回路部23から出力される開閉信号を認識するマイコン21。
(6)制御基板20、駆動負荷部30に給電を行う直流電源10。なお、本実施例では、直流電源10の制御系に給電を行う出力電圧値を5V、駆動系に給電を行う出力電圧値を24Vとした。
(7)駆動負荷部30への電圧は制御基板20を通して給電しているが、その給電をオン・オフする駆動負荷電圧オン・オフ回路部11。なお、マイコン21は駆動負荷電圧オン・オフ回路部11のオン・オフ制御も行う。
【0008】以下、図1のブロック図を用いて動作を説明する。マイコン21は、開閉検知回路部23から出力される信号を常に監視し、カバーまたはドアの開を検知、すなわちインターロックスイッチ40が開(オフ)状態を検知すると、ポート制御によりトランジスタやFET等で構成された駆動負荷電圧オン・オフ回路部11に制御信号を出力し、直流電源10から出力される駆動負荷電圧24Vをオフする。
【0009】インターロックスイッチ40が開の時点で、インターロックスイッチ40より後ろ、すなわち駆動負荷部30側には24V電圧はかかっていないため、駆動系が動作することはなく、この時点で安全規格上問題は無くなる。
【0010】その後、カバーが閉じられた場合、上述した従来の画像形成装置では、駆動負荷電圧オン・オフ回路部11が無いため、カバーまたはドアが閉じられてインターロックスイッチ40が閉状態の時点で、駆動負荷部30の駆動系に24Vの電圧が一気にかかり、駆動負荷部入力平滑コンデンサ34への充電時に生じる大きな突入電流が発生し、誤動作を引き起こしていた。
【0011】本発明においては、インターロックスイッチ40と直流電源10との間に、マイコン21で制御可能な駆動負荷電圧オン・オフ回路部11を設けたことを特徴とする。
【0012】ここで、駆動負荷電圧オン・オフ回路部11を有さない従来の制御による突入電流波形と、駆動負荷電圧オン・オフ回路部11を有して制御を行う突入電流波形とを比較する。
【0013】図2は、駆動負荷電圧オン・オフ回路部11を有さず、カバーまたはドアを開から閉に移行し、駆動負荷部30の駆動系に生じる24Vの突入電流波形を示す図である。
【0014】図2(A)の波形は、インターロックスイッチ40が閉時の駆動系の24Vの立上り状態を示す波形である。インターロックスイッチ40が閉じることにより24Vが直接駆動系に接続されるために、インターロックスイッチ40のチャタリングによる暴れを生じながら、一気に電圧がかかる。
【0015】これにより駆動負荷部入力平滑コンデンサ34への充電に伴なう大きな突入電流が生じ、実際の画像形成装置で測定したところ、図2(B)のような突入電流波形となり、ピークは40Aであった。
【0016】図3は、駆動負荷電圧オン・オフ回路部11を有し、カバーまたはドアを開から閉に移行し、駆動負荷部30の駆動系に生じる24Vの突入電流波形を示す図である。
【0017】図3(A)に示すように、カバーまたはドアを開から閉に移行し、インターロックスイッチ40が閉(オン)となることに伴い、インターロック開閉検知スイッチ41がオフからオンとなる。なお、High時がオフ、Low時がオンである。
【0018】すると、図3(B)に示すように、マイコン21が開閉検知回路部23を介してインターロック開閉検知信号Lowを認識し、駆動負荷電圧オン・オフ回路部11をオンする。なお、High時がオフ、Low時がオンである。
【0019】それにより、駆動系の24Vの立上り状態を示す波形の図3(C)に示すように、インターロックスイッチ40の閉をマイコン21が検知後、駆動負荷電圧オン・オフ回路部11をオンさせるために、インターロックスイッチ40のチャタリングを生じることはなく、駆動負荷電圧オン・オフ回路部11を経由して24Vが立ち上がるために、図2(B)に示すような急峻な立上りがなくなる。
【0020】これにより、駆動負荷部入力平滑コンデンサ34への充電に伴なう大きな突入電流が抑えられ、実際の画像形成装置で測定したところ、図3(D)のような突入電流波形となり、ピークは30Aとすることができた。
【0021】さらなる実施例として、制御信号電圧レベル5V(High)でオフ、0V(Low)でオンという場合、マイコン21がカバーまたはドアの閉を検知し、駆動負荷電圧オン・オフ回路部11をオンする場合、制御信号を一定時間パルス制御し、直流電源10から出力される駆動負過電圧24Vのオンとオフを繰り返すようにすることが好ましい。このパルス制御時のオン・オフ周期、およびデューティ比はマイコン21のソフトウエアにより任意に設定可能なものであり、このオンとオフの繰り返しにより駆動負荷部入力平滑コンデンサ34への充電を徐々に行い、駆動系にかかる電圧を24Vまで徐々に昇圧することにより突入電流を抑制することができるようになる。
【0022】図4は、駆動負荷電圧オン・オフ回路部11への制御信号を一定時間パルス制御した場合の、カバーまたはドアを開から閉に移行し、駆動負荷部30の駆動系に生じる24Vの突入電流波形を示す図である。
【0023】図4(A)に示すように、カバーまたはドアを開から閉に移行し、インターロックスイッチ40が閉(オン)となることに伴い、インターロック開閉検知スイッチ41がオフからオンとなる。なお、High時がオフ、Low時がオンである。
【0024】すると、図4(B)に示すように、マイコン21が開閉検知回路部23を介してインターロック開閉検知信号Lowを認識し、駆動負荷電圧オン・オフ回路部11をオンする。なお、High時がオフ、Low時がオンである。この際、図3(B)に示すように単にオンするのではなく、オンとオフを一定時間繰り返すようにマイコン21がパルス制御を行う。
【0025】それにより、駆動系の24Vの立上り状態を示す波形の図4(C)に示すように、徐々に駆動系の駆動負荷入力平滑コンデンサ34に電荷を充電させるために。駆動電圧を立ち上がりがなだらかになる。
【0026】これにより、駆動負荷部入力平滑コンデンサ34への充電に伴なう大きな突入電流が抑えられ、実際の画像形成装置で測定したところ、図4(D)のような突入電流波形となり、ピークは2Aと非常に小さな数値となる。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のインターロック制御回路によれば、インターロックスイッチと電源の間に駆動負荷電源オン・オフ回路部を設け、インターロックスイッチのオンを検知後に駆動負荷電源オン・オフ回路をオンすることにより、カバーまたはドアの閉時に発生する駆動負荷部内への突入電流を抑えることができ、大きな突入電流のGNDへの回り込みによって生じるマイコンを含む制御回路の誤動作、GNDの揺れによるリセットICの誤動作を防止し、インターロックスイッチの大きな突入電流による接点溶着の防止、さらには直流電源内の素子にストレスがかからず、直流電源の信頼性を向上させるインターロック制御回路とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインターロック制御回路を搭載した画像形成装置を示すブロック図である。
【図2】従来のインターロック制御回路の突入電流波形等を示す図である。
【図3】本発明のインターロック制御回路の突入電流波形等を示す図である。
【図4】本発明のインターロック制御回路のさらなる実施例による突入電流波形を示す図である。
【図5】従来のインターロック制御回路を搭載した画像形成装置を示す図である。
【符号の説明】
1:画像形成装置
10,100:電源
11:駆動負荷電圧オン・オフ回路部
20,200:制御基板
21,210:マイコン
23:開閉検知回路部
30,300:駆動負荷部
31,310:高電圧発生部
32,320:駆動部
33,330:高温発生部
34,340:駆動負荷部入力平滑コンデンサ
40,400:インターロックスイッチ
41:インターロック開閉検知スイッチ
220:リセットIC

【特許請求の範囲】
【請求項1】カバーまたはドアの開閉に連動してオン・オフ動作するインターロックスイッチを有し、該インターロックスイッチがオン時に電源から駆動負荷部に給電を行うように制御を行うインターロック制御回路において、インターロックスイッチと電源の間に駆動負荷電源オン・オフ回路部を設け、前記インターロックスイッチのオンを検知後に前記駆動負荷電源オン・オフ回路をオンすることを特徴とするインターロック制御回路。
【請求項2】前記駆動負荷電源オン・オフ回路部は、オン時に一定時間パルス制御を行うことを特徴とする請求項1記載のインターロック制御回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2003−127497(P2003−127497A)
【公開日】平成15年5月8日(2003.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−320879(P2001−320879)
【出願日】平成13年10月18日(2001.10.18)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】