説明

インドール化合物の新規医薬用途及び新規インドール化合物

【課題】TNFやIL−8等の炎症性サイトカインの産生抑制剤を提供すること。
【解決手段】下記式(I):


(式中、各記号の定義は明細書に記載の通りである。)で表されるインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する炎症性サイトカインの産生抑制剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインドール化合物の新規医薬用途、より詳細にはインドール化合物を有効成分とする、腫瘍壊死因子(TNF)、インターロイキン−8(IL−8)等の炎症性サイトカインの産生抑制剤、及びTNF産生又はIL−8産生に起因する炎症性疾患の予防及び/又は治療剤、並びに新規インドール化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
リウマチの患者数は、高齢化に伴い年々増加する傾向にある。リウマチの中でも関節リウマチの患者数が最も多く、関節リウマチの病態には関節の腫れや痛み等の炎症と、関節の骨破壊という2つの側面がある。関節リウマチの治療薬として、ステロイド剤、非ステロイド性抗炎症薬、抗リウマチ薬(DMARD)等が用いられているが、これらの治療薬は鎮痛等の抗炎症作用を有するものの関節破壊の進行を抑制することは困難であり、またこれらの治療薬には副作用の問題もある。
【0003】
関節リウマチの原因は未だに明らかにされていないが、免疫異常反応によって起こる自己免疫疾患であると考えられている。関節リウマチの主病変は滑膜で起こり、病変部位における免疫や炎症に、マクロファージ、T細胞、好中球、滑膜細胞、軟骨細胞、破骨細胞等の数多くの細胞が関与し、最終的に骨、関節の破壊をもたらすと推定されている。すなわち、外的要因によって抗原提示細胞であるマクロファージが活性化されると、IL−1やTNF等の炎症性サイトカインが産生し、これらは滑膜細胞の増殖、破骨細胞の活性化、繊維芽細胞の増殖、軟骨細胞の障害をもたらす。さらに、滑膜細胞の増殖によりIL−6やIL−8等の炎症性サイトカインが産生し、軟骨細胞とともにコラーゲナーゼ等を含むプロテアーゼ産生を亢進し、これにより骨破壊がもたらされる。
【0004】
これらの事実から、TNFやIL−8等の炎症性サイトカインの産生を抑制する物質が、抗炎症作用と、関節破壊抑制作用とを併せ持つ治療薬として有効であることが充分に予測できるが、そのような作用を明確に示す作用剤は見出されていない。
【0005】
一方、特許文献1〜4には、例えば下記式(A)で表されるインドール化合物が骨吸収抑制作用を有する骨粗鬆症治療薬として使用でき、また特許文献5には、例えば下記式(B)で表されるインドール化合物がNPFF受容体拮抗作用を有する鎮痛薬として有効であるとの報告がある。しかしながら、これらのインドール化合物が炎症性サイトカインの産生の抑制作用を有することは上記特許文献に記載されておらず、またそのような薬理作用についての報告もない。
【0006】
【化1】

【0007】
【化2】


【特許文献1】国際公開第95/19343号パンフレット
【特許文献2】国際公開第97/03963号パンフレット
【特許文献3】国際公開第97/03964号パンフレット
【特許文献4】国際公開第97/03965号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2004/080965号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような実情に鑑みなされたものであり、その解決しようとする課題はTNFやIL−8等の炎症性サイトカインの産生抑制剤、TNF産生又はIL−8産生に起因する炎症性疾患の予防及び/又は治療剤を提供することにある。本発明はまた、かかる薬剤の有効成分として有用な新規化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明者らは上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、特定のインドール化合物がTNFやIL−8等の炎症性サイトカインの産生に対して抑制作用を有するとの知見を得、これらの炎症性サイトカインの産生が関与する疾患、例えばリウマチ、変形性関節炎、乾癬、血栓症、血栓塞栓症、アテローム性動脈硬化、炎症性腸疾患等の炎症性疾患の予防及び/又は治療薬として有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は以下の特徴を有している。
[1]下記式(I):
【0011】
【化3】

【0012】
[式(I)中、
は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を表し、
Aは、下記式(Ia);
【0013】
【化4】

【0014】
(式(Ia)中、
は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を表す。)で表される基、又は置換若しくは非置換のチオフェン環基を表し、
は、水素原子、低級アルキル基、又は下記式(Ib);
【0015】
【化5】

【0016】
(式(Ib)中、
及びRは、それぞれ独立に、水素原子若しくは低級アルキル基を表すか、又はRとRとが一緒になって隣接する窒素原子とともに形成される置換若しくは非置換の複素環基を表し、mは、2〜6の整数を表す。)で表される基を表し、
は、水酸基、低級アルコキシ基、又は−NR(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の複素環基、若しくは下記式(Ic);
【0017】
【化6】

【0018】
(式(Ic)中、
10及びR11は、それぞれ独立に、水素原子若しくは低級アルキル基を表すか、又はR10とR11とが一緒になって隣接する窒素原子とともに形成される置換若しくは非置換の複素環基を表し、nは、2〜6の整数を表す。)で表される基を表すか、又はRとRが一緒になって隣接する窒素原子とともに形成される置換若しくは非置換の複素環基を表す。))で表される基を表し、
は、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を表す。]
で表されるインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する炎症性サイトカインの産生抑制剤。
【0019】
[2]Rが水素原子、ハロゲン原子、水酸基又は低級アルコキシ基である、上記[1]記載の炎症性サイトカインの産生抑制剤。
[3]Aが式(Ia)で表される基又は非置換のチオフェン環基である、上記[1]又は[2]記載の炎症性サイトカインの産生抑制剤。
[4]Rが式(Ib)で表される基である、上記[1]〜[3]のいずれか一つに記載の炎症性サイトカインの産生抑制剤。
[5]Rが−NRで表される基である、上記[1]〜[4]のいずれか一つに記載の炎症性サイトカインの産生抑制剤。
[6]Rが水素原子、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基である、上記[1]〜[5]のいずれか一つに記載の炎症性サイトカインの産生抑制剤。
【0020】
[7]式(I)で表されるインドール化合物が以下の化合物のうちのいずれかである、請求項1記載の炎症性サイトカインの産生抑制剤。
(1)3−ジフェニルメチル−1−(2−モルホリノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(2)5−クロロ−3−ジフェニルメチル−1−(2−モルホリノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(3)3−ジフェニルメチル−5−メトキシ−1−(2−モルホリノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(4)3−ジフェニルメチル−1−(3−モルホリノプロピル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(5)3−ジフェニルメチル−1−(4−モルホリノブチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(6)3−ジフェニルメチル−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1−[2−(ピロリジン−1−イル)エチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(7)3−ジフェニルメチル−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1−[2−(ピペリジン−1−イル)エチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(8)5−クロロ−3−ジフェニルメチル−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1−[2−(ピロリジン−1−イル)エチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(9)3−ジフェニルメチル−5−メトキシ−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1−[2−(ピロリジン−1−イル)エチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(10)5−クロロ−3−ジフェニルメチル−1−(2−ジメチルアミノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(11)3−ジフェニルメチル−5−メトキシ−1−(2−ジメチルアミノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(12)1−(2−ジメチルアミノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−3−[フェニル(チオフェン−2−イル)メチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(13)1−(2−ジメチルアミノエチル)−N−(3−モルホリノプロピル)−3−[フェニル(チオフェン−2−イル)メチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(14)5−クロロ−1−(2−ジメチルアミノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−3−[フェニル(チオフェン−2−イル)メチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(15)N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−3−[フェニル(チオフェン−2−イル)メチル]−1−[2−(ピロリジン−1−イル)エチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(16)1−(2−ジメチルアミノエチル)−3−[(4−フルオロフェニル)(チオフェン−2−イル)メチル]−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(17)1−(2−ジメチルアミノエチル)−3−[(4−メトキシフェニル)(チオフェン−2−イル)メチル]−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド。
【0021】
[8]炎症性サイトカインがTNFである、上記[1]〜[7]のいずれか一つに記載の炎症性サイトカインの産生抑制剤。
[9]炎症性サイトカインがIL−8である、上記[1]〜[7]のいずれか一つに記載の炎症性サイトカインの産生抑制剤。
【0022】
[10]下記式(I):
【0023】
【化7】

【0024】
[式(I)中、R、R、R、R及びAは、上記定義と同義である。]
で表されるインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、TNF産生又はIL−8産生に起因する炎症性疾患の予防及び/又は治療剤。
【0025】
[11]炎症性疾患がリウマチである、上記[10]記載の予防及び/又は治療剤。
【0026】
[12]下記式(II):
【0027】
【化8】

【0028】
[式(II)中、
1A及びR2Aは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を表し、
5Aは、ハロゲン原子、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を表し、
6A及びR7Aは、それぞれ独立に、水素原子、又は低級アルキル基を表し、
q及びrは、2〜6の整数を表す。]
で表されるインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【0029】
[13]R1A及びR2Aが水素原子である、上記[12]記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
[14]R5Aがハロゲン原子又は低級アルコキシ基である、上記[12]又は[13]記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
[15]R6A及びR7Aが低級アルキル基である、上記[12]〜[14]のいずれか一つに記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
[16]q及びrが2〜4の整数である、上記[12]〜[15]のいずれか一つに記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【0030】
[17]下記式(III):
【0031】
【化9】

【0032】
[式(III)中、
1B及びR2Bは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を表し、
5Bは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を表し、
s及びtは、2〜6の整数を表す。]
で表されるインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【0033】
[18]R1B及びR2Bが水素原子である、上記[17]記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
[19]R5Bが水素原子、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基である、上記[17]又は[18]記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
[20]s及びtが2〜4の整数である、上記[17]〜[19]のいずれか一つに記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【0034】
[21]下記式(IV):
【0035】
【化10】

【0036】
[式(IV)中、
1C及びR2Cは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を表し、
5Cは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を表し、
6C及びR7Cは、これらが一緒になって隣接する窒素原子とともに形成される置換又は非置換の複素環基を表し、
10C及びR11Cは、これらが一緒になって隣接する窒素原子とともに形成される置換又は非置換の複素環基を表し、
uは2〜6の整数を表す。
但し、R5Cが水素原子のとき、R10C及びR11Cが一緒になって隣接する窒素原子とともにモルホリン環を形成する場合を除く。]
で表されるインドール化合物またはその薬理学的に許容される塩。
【0037】
[22]R1C及びR2Cが水素原子である、上記[21]記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
[23]R5Cが水素原子、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基である、上記[21]又は[22]記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
[24]R6C及びR7Cが一緒になって隣接する窒素原子とともに形成される非置換のピペリジン環基又はピロリジン環基である、上記[21]〜[23]のいずれか一つに記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
[25]R10C及びR11Cが一緒になって隣接する窒素原子とともに形成される置換又は非置換のピロリジン環基又はモルホリン環基である、上記[21]〜[24]のいずれか一つに記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
[26]uが2〜4の整数である、上記[21]〜[25]のいずれか一つに記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【0038】
[27]下記一般式(V):
【0039】
【化11】

【0040】
[式(V)中、
1Dは、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を表し、
A’は、置換又は非置換のチオフェン環基を表し、
3Dは、水素原子、低級アルキル基、又は下記式(Vb);
【0041】
【化12】

【0042】
(式(Vb)中、
6D及びR7Dは、それぞれ独立に、水素原子若しくは低級アルキル基を表すか、又はR6DとR7Dとが一緒になって隣接する窒素原子とともに形成される置換若しくは非置換の脂環式複素環基を表し、vは、2〜6の整数を表す。)で表される基を表し、
4Dは、水酸基、低級アルコキシ基、又は−NR8D9D(式中、R8D及びR9Dは、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の複素環基、若しくは下記式(Vc);
【0043】
【化13】

【0044】
(式(Vc)中、
10D及びR11Dは、それぞれ独立に、水素原子若しくは低級アルキル基を表すか、又はR10DとR11Dとが一緒になって隣接する窒素原子とともに形成される置換若しくは非置換の複素環基を表し、wは、2〜6の整数を表す。)で表される基を表すか、又はR8DとR9Dとが一緒になって隣接する窒素原子とともに形成される置換若しくは非置換の複素環基を表す。)で表される基を表し、
5Dは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を表す。]
で表されるインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【0045】
[28]R1Dが水素原子、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基である、上記[27]記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
[29]A’が非置換のチオフェン環基である、上記[27]又は[28]記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
[30]R3Dが上記式(Vb)で表される基である、上記[27]〜[29]のいずれか一つに記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
[31]R4Dが−NR8D9Dで表される基である、上記[27]〜[30]のいずれか一つに記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
[32]R5Dが水素原子又はハロゲン原子である、上記[27]〜[31]のいずれか一つに記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【発明の効果】
【0046】
本発明に係るインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩を薬剤の有効成分として含有することで、TNFやIL−8等の炎症性サイトカインの産生を抑制できるため、炎症性サイトカイン産生の抑制作用剤としてだけでなく、かかる炎症性サイトカインの産生が関与する炎症性疾患、例えばリウマチ、変形性関節炎、乾癬、血栓症、血栓塞栓症、アテローム性動脈硬化、炎症性腸疾患の予防及び/又は治療剤としても有効である。中でも、リウマチ治療薬は、当該疾病において従来使用されてきた治療薬とは異なり、抗炎症作用と、関節破壊抑制作用とを併せ持つことができることから新規な生理学的薬剤として技術的な意義が大きい。
また、本発明に係るインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩は、TNFやIL−8等の炎症性サイトカインに関する生物学的な試験及び/又は研究における試薬類としても有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明において使用する各式中の記号の定義を説明する。
「低級アルキル基」とは、炭素数1〜8(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4)の直鎖若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数3〜8(好ましくは炭素数5〜6)の環状のアルキル基を意味し、ハロゲン原子で置換されたハロゲン置換低級アルキル基をも包含する概念である。低級アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基等が挙げられ、中でもメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基等が好適である。
【0048】
また、「低級アルコキシ基」のアルキル部分としては、炭素数1〜8(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4)の直鎖若しくは分岐状のアルキル、又は炭素数3〜8(好ましくは炭素数5〜6)の環状のアルキルが挙げられ、上記低級アルキル基と同様のものが例示できる。かかるアルキル部分は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。低級アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソブロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、中でもメトキシ基、エトキシ基が好適である。
「低級アルケニル基」とは、エチレン性不飽和結合を1つ有する炭素数2〜8(好ましくは炭素数2〜6、より好ましくは炭素数2〜4)の直鎖若しくは分岐状のアルケニル基、又は炭素数3〜8の環状のアルケニル基を意味し、ハロゲン原子で置換されたハロゲン置換低級アルケニル基をも包含する概念である。低級アルケニル基としては、例えば、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられ、中でもアリル基が好適である。
「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、中でも塩素原子が好適である。
【0049】
「置換若しくは非置換のアリール基」とは、無置換のアリール基又は置換されたアリール基を意味する。また、「アリール基」とは、炭素数6〜14の単環〜3環式芳香族炭化水素基を意味する。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられ、中でもフェニル基が好適である。また、アリール基は、例えば、上記低級アルキル基、上記低級アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子で置換されていてもよく、置換基の位置及び数は任意であって特に限定されるものではない。2個以上の置換基で置換されている場合、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。低級アルキル置換アリールとしては、フェニルメチル基(ベンジル基)、フェニルエチル基(トリチル基)、ジフェニルメチル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、2−フェニルプロピル基、4−フェニルブチル基、ビフェニルメチル基、ナフチルメチル基等が挙げられ、中でもベンジル基が好適である。
【0050】
「置換若しくは非置換の複素環基」とは、無置換の複素環基又は置換された複素環基を意味する。また、「複素環基」とは、炭素原子と、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる少なくとも1種の原子とが結合して形成される単環(好ましくは3〜8員環、より好ましくは5〜6員環)を意味する。複素環としては、例えば、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジル、ピペリジノ、ピペラジニル、ホモピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル等の脂環式複素環基、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、チエニル、フリル、ピラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、プリニル等の芳香族複素環基が挙げられる。なお、複素環基は、例えば、上記低級アルキル基、上記低級アルコキシ基、上記アリール基、水酸基、ハロゲン原子で置換されていてもよく、置換基の位置及び数は任意であって特に限定されるものではない。2個以上の置換基で置換されている場合、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0051】
上記一般式(I)において、Rとしては、水素原子、水酸基、低級アルコキシ基又はハロゲン原子が好ましく、水素原子、水酸基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
Aとしては、上記式(Ia)で表される基又は非置換のチオフェン環基が好ましい。上記式(Ia)におけるRとしては、水素原子、水酸基、低級アルコキシ基又はハロゲン原子が好ましく、水素原子又は水酸基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。ゆえに、上記式(Ia)で表される基としては、フェニル基が特に好ましい。また、非置換のチオフェン環基としては、2−チオニル基、3−チオニル基が好ましく、2−チオニル基が特に好ましい。
としては、上記式(Ib)で表される基が好ましい。
上記式(Ib)におけるR及びRとしては、水素原子、低級アルキル基、RとRが一緒になって隣接する窒素原子とともに形成される非置換の複素環基が好ましく、中でも低級アルキル基、非置換の脂環式複素環基がより好ましい。非置換の脂環式複素環基としては、ピロリジニル、ピペリジル、モルホリニルが好適である。
mは2〜4の整数が好ましく、2が特に好ましい。
【0052】
としては、−NRで表される基が好ましい。
及びRとしては、水素原子、低級アルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の複素環基、上記式(Ic)、又はRとRとが一緒になって隣接する窒素原子とともに形成される置換若しくは非置換の複素環基が好ましい。
上記式(Ic)中、R10及びR11としては、R10とR11とが一緒になって隣接する窒素原子とともに形成される置換若しくは非置換の複素環基が好ましい。かかる複素環基としては、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、2−オキソ−ピロリジニル(ピロリジン−2−オン)、モルホリニル等の脂環式複素環基が好ましく、中でも2−オキソ−ピロリジニル、モルホリニルがより好ましい。また、nは2〜4の整数が好ましく、3が特に好ましい。
5Aとしては、水素原子、低級アルコキシ基、又はハロゲン原子が好ましい。
【0053】
一般式(II)において、R1A及びR2Aとしては、水素原子、水酸基、低級アルコキシ基、又はハロゲン原子が好ましく、水素原子又は水酸基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
5Aとしては、低級アルキル基、低級アルコキシ基、又はハロゲン原子が好ましく、低級アルコキシ基又はハロゲン原子がより好ましい。
6A及びR7Aとしては、低級アルキル基が好ましい。
q及びrは2〜4の整数が好ましく、2又は3がより好ましい。
【0054】
一般式(III)において、R1B及びR2Bとしては、水素原子、水酸基、低級アルコキシ基、又はハロゲン原子が好ましく、水素原子又は水酸基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
5Bとしては、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、又はハロゲン原子が好ましく、水素原子、低級アルコキシ基、又はハロゲン原子がより好ましい。
s及びtは2〜4の整数が好ましく、2又は3がより好ましい。
【0055】
一般式(IV)において、R1C及びR2Cとしては、水素原子、水酸基、低級アルコキシ基、又はハロゲン原子が好ましく、水素原子又は水酸基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
5Cとしては、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、又はハロゲン原子が好ましく、水素原子、低級アルコキシ基、又はハロゲン原子がより好ましい。
6C及びR7Cとしては、これらが一緒になって隣接する窒素原子とともに形成される脂環式複素環基が好ましく、具体的には、ピロリジニル、ピペリジニルが好ましい。
10C及びR11Cとしては、これらが一緒になって隣接する窒素原子とともに形成される複素環基が好ましい。具体的には、ピロリジニル、2−オキソ−ピロリジル(ピロリジン−2−オン)、ピペリジニル、モルホニル等の脂環式複素環基が好ましく、中でも2−オキソ−ピロリジル、又はモルホニルがより好ましい。
uは2〜4の整数が好ましく、2又は3がより好ましい。
【0056】
一般式(V)において、R1Dとしては、水素原子、水酸基、低級アルコキシ基、又はハロゲン原子が好ましく、水素原子又は水酸基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
A’は、非置換のチオフェン環基が好ましく、具体的には2−チオニル又は3−チオニルが好ましい。
3Dは、上記式(Vb)で表される基が好ましい。
6D及びR7Dとしては、水素原子、低級アルキル基、又はR6DとR7Dとが一緒になって隣接する窒素原子とともに形成される非置換の複素環基が好ましく、中でも低級アルキル基、非置換の脂環式複素環基が好ましい。脂環式複素環基としては、ピロリジニル、ピペリジニル、又はモルホリニルが好ましい。
vは2〜4の整数が好ましく、2又は3がより好ましい。
【0057】
4Dとしては、−NR8D9Dで表される基が好ましい。
上記式中、R8D及びR9Dとしては、水素原子、低級アルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の複素環基、上記式(Vc)で表される基、又はR8DとR9Dとが一緒になって隣接する窒素原子とともに形成される置換若しくは非置換の複素環基が好ましい。
上記式(Vc)中、R10D及びR11Dとしては、これらが一緒になって隣接する窒素原子とともに形成される置換若しくは非置換の複素環基が好ましい。かかる複素環基としては、ピペリジニル、ピロリジニル、ピペラジニル、2−オキソ−ピロリジニル(ピロリジン−2−オン)、モルホリニル等の脂環式複素環基が好ましく、中でも2−オキソ−ピロリジニル、モルホリニルがより好ましい。
wは2〜4の整数が好ましく、3が特に好ましい。
5Dとしては、水素原子、低級アルコキシ基、又はハロゲン原子が好ましい。
【0058】
本発明における好適な化合物の具体例を下表に示すが、本発明の化合物はこれらに限定されるものではない。表中の各記号の定義は以下の通りである。
Me:メチル基、Et:エチル基、iPr:イソプロピル基。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【0061】
【表3】

【0062】
【表4】

【0063】
【表5】

【0064】
【表6】

【0065】
中でも、特に好適な化合物として、以下の化合物が挙げられる。
(1)3−ジフェニルメチル−1−(2−モルホリノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(2)5−クロロ−3−ジフェニルメチル−1−(2−モルホリノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(3)3−ジフェニルメチル−5−メトキシ−1−(2−モルホリノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(4)3−ジフェニルメチル−1−(3−モルホリノプロピル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(5)3−ジフェニルメチル−1−(4−モルホリノブチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(6)3−ジフェニルメチル−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1−[2−(ピロリジン−1−イル)エチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(7)3−ジフェニルメチル−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1−[2−(ピペリジン−1−イル)エチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(8)5−クロロ−3−ジフェニルメチル−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1−[2−(ピロリジン−1−イル)エチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(9)3−ジフェニルメチル−5−メトキシ−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1−[2−(ピロリジン−1−イル)エチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(10)5−クロロ−3−ジフェニルメチル−1−(2−ジメチルアミノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(11)3−ジフェニルメチル−5−メトキシ−1−(2−ジメチルアミノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(12)1−(2−ジメチルアミノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−3−[フェニル(チオフェン−2−イル)メチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(13)1−(2−ジメチルアミノエチル)−N−(3−モルホリノプロピル)−3−[フェニル(チオフェン−2−イル)メチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(14)5−クロロ−1−(2−ジメチルアミノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−3−[フェニル(チオフェン−2−イル)メチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(15)N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−3−[フェニル(チオフェン−2−イル)メチル]−1−[2−(ピロリジン−1−イル)エチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(16)1−(2−ジメチルアミノエチル)−3−[(4−フルオロフェニル)(チオフェン−2−イル)メチル]−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(17)1−(2−ジメチルアミノエチル)−3−[(4−メトキシフェニル)(チオフェン−2−イル)メチル]−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド。
【0066】
次に、本発明の化合物の製造方法について説明する。
本発明の化合物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、下記の方法によって製造することができる。また、本明細書の実施例には、好適な化合物について、より具体的に製造方法が示されている。当業者は、以下の一般的説明及び実施例の具体的説明を参照し、必要に応じて出発原料、反応条件、反応試薬等を適宜修飾ないし改変することにより、本発明の化合物のいずれをも製造することができる。
なお、上述の特許文献1〜5に記載されている製造方法を参照することができるが、上記一般式(I)で表される化合物のうち、Rが−NRで表される基である化合物(If)は、例えば、下記スキームに表される方法により製造することができる。
下記スキーム中、R13は低級アルキル基を表し、Xは塩素、臭素又はヨウ素を表す。なお、R、R、R、R、R、及びAはそれぞれ前記と同義である。
【0067】
【化14】

【0068】
化合物(VIII)は、化合物(VI)と化合物(VII)とを、0.1〜過剰量の三フッ化ホウ素エーテル錯体、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等の酸触媒の存在下、塩化メチレン、クロロホルム、エーテル、テトラヒドロフラン等の溶媒中において、−20℃〜溶媒沸点の温度で、0.1〜24時間反応させることにより得ることができる。次いで、得られた化合物(VIII)とRXとを、炭酸カリウム、水素化ナトリウム、カリウム第三ブトキシド等の塩基存在下、メタノール、エタノール等の低級アルコール、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン等の溶媒中、0℃〜溶媒沸点の温度で、0.5〜24時間反応させることにより化合物(IX)を得ることができる。次いで、化合物(Ie)は、化合物(IX)より、通常の加水分解の条件によって、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等の塩基存在下、メタノール、エタノール等の低級アルコール、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の溶媒中、必要に応じて水を添加して、0℃〜溶媒沸点の温度で、0.5〜24時間反応させることにより得ることができる。さらに、化合物(Ie)とHNRとを、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩等の縮合剤の存在下、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等の溶媒中、0℃〜溶媒沸点の温度で、0.5〜24時間反応させることにより、目的とする化合物(If)を製造することができる。
【0069】
また、化合物(If)は、下記スキームに示す方法によっても製造することができる。なお、下記スキーム中、R、R、R、R、R、A及びXはそれぞれ前記と同義である。
【0070】
【化15】

【0071】
化合物(If)は、化合物(X)を出発物質として、上述の化合物(Ie)から化合物(If)を得る方法に準じて化合物(XI)を得た後、上述の化合物(VI)及び化合物(VII)から化合物(VIII)を得る方法に準じて化合物(Ig)へと導き、次いで、上述の化合物(VIII)から化合物(IX)を得る方法に準じて製造することができる。
本発明の一般式(II)〜(V)で表される化合物についても、同様の方法により製造することができる。
【0072】
本発明に係る化合物の薬理的に許容される塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、酢酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩等の有機酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩等のアンモニウム塩等を挙げることができる。また、本発明に係る化合物及びその薬理的に許容される塩は、水和物又は溶媒和物の形態で存在することができ、これらも本発明に包含される。かかる溶媒和物の溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチル等を挙げることができる。なお、本発明に係る化合物の薬理的に許容される塩及び溶媒和物は上記に限定されるものではない。
【0073】
本発明に係る化合物又はその薬理学的に許容される塩は、ヒトをはじめウシ、ウマ、イヌ、マウス、ラット等の哺乳動物に対して、炎症性サイトカイン、特にTHF−α、IL−8の産生を抑制する作用を有することから、これらの炎症性サイトカインが関与する炎症性疾患の予防及び/又は治療剤として使用することができる。適応症としては、リウマチ、変形性関節炎、乾癬、血栓症、血栓塞栓症、アテローム性動脈硬化、炎症性腸疾患(クローン病及び潰瘍性大腸炎を含む。)等が挙げられ、抗炎症剤、抗リウマチ剤として特に好適である。
【0074】
本発明の薬剤においては、有効成分として、上記化合物、その薬理的に許容される塩、それらの水和物及びそれらの溶媒和物からなる群より選ばれる少なくとも1種の物質を用いることができる。また、薬剤の投与経路は特に限定されず、経口的又は非経口的に投与することができる。本発明の薬剤においては、有効成分をそのまま患者に投与してもよいが、好ましくは有効成分と薬理学的および製剤学的に許容し得る添加物とを含む医薬組成物の形態で投与することができる。添加物としては、例えば、賦形剤、崩壊剤ないし崩壊補助剤、結合剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、溶解剤ないし溶解補助剤、等張化剤、pH調節剤、安定化剤、噴射剤、粘着剤等を用いることができる。経口投与に適する製剤の例としては、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、液剤、シロップ剤等を挙げることができる。非経口投与に適する製剤としては、例えば、注射剤、点滴剤、軟膏剤、クリーム剤、経皮吸収剤、点眼剤、点耳剤、吸入剤、坐剤等を挙げることができる。なお、製剤の形態はこれらに限定されることはない。
【0075】
経口投与に適する製剤には、添加物として、例えば、ブドウ糖、乳糖、D−マンニトール、デンプン、結晶セルロース等の賦形剤;カルボキシメチルセルロース、デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム等の崩壊剤又は崩壊補助剤;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等の結合剤;ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、白糖、ポリエチレングリコール、ゼラチン、カオリン、グリセリン、精製水、ハードファット等の基剤を用いることができる。また、注射又は点滴用に適する製剤には、注射用蒸留水、生理食塩水、プロピレングリコール等の水性若しくは用時溶解型注射剤を構成し得る溶解剤又は溶解補助剤;ブドウ糖、塩化ナトリウム、D−マンニトール、グリセリン等の等張化剤;無機酸、有機酸、無機塩基、有機塩基等のpH調節剤等の製剤用添加物を用いることができる。
【0076】
本発明の薬剤の投与量は、適用すべき疾患の種類、予防または治療の目的、患者の年齢、体重、症状等の条件に応じて適宜増減すべきであるが、一般的には、成人の一日あたりの投与量は、経口投与において約0.05〜500mg程度である。一般的には上記の投与量を一日あたり1回から数回に分けて投与することができるが、数日ごとに投与してもよい。
【実施例】
【0077】
以下、実施例及び実験例並びに処方例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これら実施例は本発明の範囲を何ら限定するものではない。本出願全体を通して引用されたすべての刊行物は参照として本明細書に組み入れられる。また、本発明において使用する試薬や装置、材料は特に言及されない限り、商業的に入手可能である。なお、本実施例においては、上記表1〜6に記載の化合物番号を引用して説明する。
【0078】
(実施例1)
3−ジフェニルメチル−1−(2−モルホリノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド(化合物23)の合成
(i)エチル 3−ベンズヒドリル−1H−インドール−2−カルボキシレート
エチル 1H−インドール−2−カルボキシレート(4.0g,21mmol)のジクロロメタン(50ml)溶液に、三フッ化ホウ素エーテル錯体(1.2ml,2mmol)を室温で添加した。10分間撹拌した後、ジフェニルメタノール(3.89g,21mmol)のジクロロメタン(20ml)溶液を室温で滴下し、反応液をさらに60分間室温で撹拌した。反応液に5%炭酸水素ナトリウム水溶液(30ml)を添加して有機層を分離した後、水層を塩化メチレン(25ml)で2回抽出した。有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、ジイソプロピルエーテルを用いて結晶化することにより、標題化合物(5.98g,79.7%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ1.41 (t, 3H, J=7.2Hz), 4.41 (q, 2H, J=7.2Hz), 6.71 (s, 1H), 6.88-6.92 (m, 1H), 6.98-7.0(d, 1H, J=7.8Hz), 7.21-7.31(m, 12H), 7.38-7.40(m, 1H), 8.88(s, 1H)
Mass: Calculated for C24H21NO2 (355.4),Observed: 355.9
【0079】
(ii)エチル 3−ジフェニルメチル−1−(2−モルホリノエチル)−1H−インドール−2−カルボキシレート
(i)で得られた化合物(100mg,0.281mmol)と、4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩(57mg,0.309mmol)と、炭酸カリウム(155mg,1.12mmol)とをN,N−ジメチルホルムアミド(2.5ml)中で、60℃2時間撹拌した。反応液をセライトでろ過した後、セライトを酢酸エチルで洗浄し、得られた溶液の溶媒を減圧留去した。残渣に水を加えて固化し、ろ取した後、水で洗浄して標題化合物(115mg,87.7%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ 1.30 (t, 3H, J=7.2Hz), 2.40 (t, 4H, J=4.8Hz), 2.61(t, 2H, J=7.2Hz), 3.56 (t, 4H, J=4.8Hz), 4.26 (q, 2H, J=7.2Hz), 4.57 (t, 2H, J=7.2Hz), 6.48 (s, 1H), 6.79-6.86(m, 2H), 7.09-7.20 (m, 11H), 7.31 (d, 1H,J=8.4Hz)
【0080】
(iii)3−ジフェニルメチル−1−(2−モルホリノエチル)−1H−インドール−2−カルボン酸
(ii)で得られた化合物(150mg,0.32mmol)のエタノール(2ml)溶液に2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(0.7ml)を室温で添加した。反応液を90℃で1時間加熱撹拌したのち、溶媒を減圧留去した。残渣に水を加えた後、50%塩酸を加えてpH5に調整し、析出した固体をろ取して水で洗浄した後、乾燥することにより、標題化合物(120mg,85%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ 2.30 (m, 4H), 2.98 (m, 2H), 3.40 (m, 4H), 4.59 (m, 2H), 6.61 (s, 1H), 6.80-7.19 (m, 14H)
【0081】
(iv)3−ジフェニルメチル−1−(2−モルホリノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド
(iii)で得られた化合物(370mg,0.840mmol)と、1−(3−アミノプロピル)−2−ピロリジノン(179mg,1.26mmol)とを塩化メチレン(5ml)に溶解し、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド 塩酸塩(DEC−HCl)(322mg,1.67mmol)を室温で添加して14時間撹拌した。水を添加した後、塩化メチレン(5ml)で2回抽出し、水、飽和食塩水で順次洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去した後、HPLCで精製して標題化合物(150mg,31%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ 1.68-1.76 (m, 2H), 1.98-2.08 (m, 2H), 2.34-2.38 (m,6H), 2.81(t, 2H, J=6.8Hz), 3.24-3.39 (m, 6H), 3.55 (m, 4H), 4.49 (t, 2H, J=6.8Hz), 6.12 (s, 1H), 6.87-6.89(m, 2H), 7.18-7.36 (m, 12H), 7.41 (br, 1H)
Mass: Calculated for C35H40N4O3 (564.7),Observed: 565.5
【0082】
(実施例2)
5−クロロ−3−ジフェニルメチル−1−(2−モルホリノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド(化合物24)の合成
(i)5−クロロ−N−(3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル)−1H−インドール−2−カルボキサミド
5−クロロ−1H−インドール−2−カルボン酸と1−(3−アミノプロピル)−2−ピロリジノンを塩化メチレン(5ml)に溶解し、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド 塩酸塩(DEC−HCl)と、トリエチルアミンとを添加して、室温で15時間撹拌した。水を添加した後、塩化メチレンで抽出し、有機層を水と飽和食塩水で順次洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して標題化合物(83%)を得た。
【0083】
(ii)5−クロロ−3−ジフェニルメチル−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド
(i)で得られた化合物のジクロロメタン溶液に、三フッ化ホウ素エーテル錯体を室温で添加した。15分間撹拌した後、ジフェニルメタノールのジクロロメタン溶液を室温で滴下し、反応液をさらに90分間室温で撹拌した。反応液に5%炭酸水素ナトリウム水溶液を添加して有機層を分離した後、水層を塩化メチレンで2回抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製することにより、標題化合物を得た。
【0084】
(iii)5−クロロ−3−ジフェニルメチル−3−(ジフェニルメチル)−1−(2−モルホリノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド
(ii)で得られた化合物をN,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、水素化ナトリウムを添加した後、1−(2−クロロエチル)ピロリジンを加え、110℃で15時間撹拌した。反応液に酢酸エチルを加え、飽和食塩水と水で順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製することにより、標題化合物を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ 1.68-1.76 (m, 2H), 2.00-2.08 (m, 2H), 2.34-2.41 (m, 6H), 2.97 (t, 2H), 3.23-3.41 (m, 6H), 3.56 (m, 4H), 4.46 (t, 2H), 6.10 (s, 1H),6.82 (s, 1H), 7.14-7.36 (m, 12H), 7.41 (br, 1H)
Mass: Calculated for C35H39ClN4O3 (598.3),Observed: 599
【0085】
(実施例3)
3−ジフェニルメチル−5−メトキシ−1−(2−モルホリノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド(化合物25)の合成
エチル 1H−インドール−2−カルボキシレートの代わりに、エチル 5−メトキシ−1H−インドール−2−カルボキシレートを用いた他は実施例1と同様の方法により標題化合物を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ 1.68-1.76 (m, 2H), 2.00-2.08 (m, 2H), 2.34-2.41 (m, 6H), 2.80 (t, 2H), 3.23-3.41 (m, 6H), 3.45 (s, 3H), 3.51-3.56 (m, 4H), 4.48 (t, 2H), 6.15 (s, 1H), 6.21 (s, 1H), 6.86 (d, 1H), 7.18-7.32 (m, 11H), 7.41 (br, 1H)
Mass: Calculated for C36H42N4O4 (594.3),Observed: 595
【0086】
(実施例4)
3−ジフェニルメチル−1−(3−モルホリノプロピル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド(化合物27)の合成
4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩の代わりに、4−(3−クロロプロピル)モルホリン塩酸塩を用いた他は実施例1と同様の方法により標題化合物を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ 1.66-1.71 (m, 2H), 2.01-2.07 (m, 4H), 2.32-2.41 (m, 8H), 3.20-3.40 (m, 6H), 3.71 (m, 4H), 4.41 (t, 2H), 6.00 (s, 1H), 6.25 (br, 1H), 6.87-6.89 (m, 2H),7.18-7.39 (m, 12H)
Mass: Calculated for C36H42N4O3 (578.7),Observed: 579
【0087】
(実施例5)
3−ジフェニルメチル−1−(4−モルホリノブチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド(化合物28)の合成
4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩の代わりに、4−(4−クロロブチル)モルホリン塩酸塩を用いた他は実施例1と同様の方法により標題化合物を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ 1.51 (m, 2H), 1.66-1.71 (m, 2H), 1.85 (m, 2H), 2.01-2.07 (m, 2H), 2.32-2.41 (m, 8H), 3.20-3.40 (m, 6H), 3.68 (m, 4H), 4.36 (t, 2H), 6.00 (s, 1H), 6.25 (br, 1H), 6.87-6.89 (m, 2H), 7.18-7.39 (m, 12H)
Mass: Calculated for C37H44N4O3 (592.3),Observed: 593
【0088】
(実施例6)
3−ジフェニルメチル−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1−(2−(ピロリジン−1−イル)エチル)−1H−インドール−2−カルボキサミド(化合物34)の合成
4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩の代わりに、1−(2−クロロエチル)ピロリジンを用いた他は実施例1と同様の方法により標題化合物を得た。
1H-NMR (400MHz, DMSO)δ 1.58 (m, 4H), 1.65 (t, 2H), 1.92 (m, 2H), 2.20 (t, 2H), 2.30 (m, 4H), 2.79 (t, 2H), 3.10-3.21 (m, 4H), 3.30 (m, 2H), 4.35 (m, 2H), 6.03 (s, 1H), 6.85 (t, 1H), 6.92 (d, 1H), 7.11-7.28 (m, 11H), 7.50 (d, 1H), 9.03 (t, 1H)
Mass: Calculated for C35H40N4O2 (548.3),Observed: 549.2
【0089】
(実施例7)
3−ジフェニルメチル−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1−[2−(ピペリジン−1−イル)エチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド(化合物37)の合成
4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩の代わりに、1−(2−クロロエチル)ピぺリジンを用いた他は実施例1と同様の方法により標題化合物を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ 1.43 (m, 6H), 1.78 (m, 2H), 2.06 (m, 2H), 2.25 (m, 4H), 2.39 (t, 2H), 2.80 (m, 2H), 3.28-3.42 (m, 6H), 4.35 (m, 2H), 6.10 (s, 1H), 6.92 (m, 2H), 7.19-7.28 (m, 12H), 9.03 (t, 1H)
Mass: Calculated for C36H42N4O2 (562.3),Observed: 563
【0090】
(実施例8)
5−クロロ−3−ジフェニルメチル−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1−[2−(ピロリジン−1−イル)エチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド(化合物35)の合成
4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩の代わりに、1−(2−クロロエチル)ピロリジンを用いた他は実施例2と同様の方法により標題化合物を得た。
1H-NMR (400MHz, DMSO)δ 1.62 (m, 6H), 1.92 (m, 2H), 2.21 (t, 2H), 2.32 (m, 4H), 2.77 (m, 2H), 3.10-3.20 (m, 4H), 3.32 (m, 2H), 4.37 (m, 2H), 6.00 (s, 1H), 6.76 (s, 1H), 7.11-7.30 (m, 11H), 7.50 (d, 1H), 9.03 (m, 1H)
Mass: Calculated for C35H39ClN4O2 (582.3),Observed: 583.3
【0091】
(実施例9)
3−ジフェニルメチル−5−メトキシ−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1−[2−(ピロリジン−1−イル)エチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド(化合物36)の合成
4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩の代わりに、1−(2−クロロエチル)ピロリジンを用い、エチル 1H−インドール−2−カルボキシレートの代わりに、エチル 5−メトキシ−1H−インドール−2−カルボキシレートを用いた他は実施例1と同様の方法により標題化合物を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ 1.70 (m, 6H), 2.04 (m, 2H), 2.35-2.41 (m, 6H), 3.05 (m, 2H), 3.23-3.39 (m, 6H), 3.47 (s, 3H), 4.35 (m, 2H), 6.25 (m, 2H), 6.92 (m, 1H), 7.21-7.31 (m, 10H), 9.03 (m, 1H)
Mass: Calculated for C36H42N4O3 (578.3),Observed: 579
【0092】
(実施例10)
3−(4−ヒドロキシフェニル−フェニル−メチル)−1−(2−モルホリノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド(化合物21)の合成
(i)3−(4−ベンジルオキシフェニル−フェニル−メチル)−1−(2−モルホリノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド
ジフェニルメタノールの代わりに4−ベンジルオキシフェニル−フェニル−メタノールを用いた他は実施例1と同様にして標題化合物を得た。
【0093】
(ii)3−(4−ヒドロキシフェニル−フェニル−メチル)−1−(2−モルホリノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド
(i)で得られた化合物をメタノールに溶解し5%Pd/Cを添加した後水素置換し、接触水素還元を行うことにより標題化合物を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ 1.68-1.76 (m, 2H), 2.00-2.08 (m,2H), 2.37-2.42 (m,6H), 2.97 (br,2H), 3.22-3.32 (m,4H), 3.39 (t, 2H), 3.60 (m,4H), 4.46 (t,2H), 6.00 (s,1H), 6.15 (br, 1H), 6.75 (d,2H), 6.90(d, 2H), 7.02 (d, 2H), 7.16-7.28 (m,7H), 7.41 (br,1H)
Mass: Calculated for C35H40N4O4 (580.3),Observed: 581
【0094】
(実施例11)
5−クロロ−3−ジフェニルメチル−1−(2−ジメチルアミノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド(化合物15)の合成
4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩の代わりに、2−クロロ−N,N−ジメチルエタンアミンを用いた他は実施例2と同様の方法により標題化合物を得た。
1H-NMR (400MHz, DMSO)δ 1.62 (m, 2H), 1.91 (m, 2H), 2.09 (s, 6H), 2.21 (t, 2H), 2.54 (m, 2H), 3.10-3.20 (m, 4H), 3.32 (m, 2H), 4.30 (t, 2H), 6.00 (s, 1H), 6.75 (s, 1H), 7.11-7.30 (m, 11H), 7.55 (d, 1H), 8.78 (br, 1H)
Mass: Calculated for C33H37ClN4O2 (556.3),Observed: 557.3
【0095】
(実施例12)
3−ジフェニルメチル−5−メトキシ−1−(2−ジメチルアミノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド(化合物16)の合成
4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩の代わりに、2−クロロ−N,N−ジメチルエタンアミンを用い、エチル 1H−インドール−2−カルボキシレートの代わりに、エチル 5−メトキシ−1H−インドール−2−カルボキシレートを用いた他は実施例1と同様の方法により標題化合物を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ 1.70 (m, 2H), 2.03 (m, 2H), 2.25 (brs, 6H), 2.38 (t, 2H), 3.05 (m, 2H), 3.23-3.37 (m, 6H), 3.46 (s, 3H), 4.35 (m, 2H), 6.19 (s, 1H), 6.25 (s, 1H), 6.88 (m, 1H), 7.21-7.31 (m, 11H), 9.03 (m, 1H)
Mass: Calculated for C34H40N4O3 (552.3),Observed: 553
【0096】
(実施例13)
5−クロロ−3−ジフェニルメチル−N−(3−モルホリノプロピル)−1−[2−(ピロリジン−1−イル)エチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド(化合物32)の合成
エチル 1H−インドール−2−カルボキシレートの代わりに、エチル 5−クロロ−1H−インドール−2−カルボキシレートを用い、1−(3−アミノプロピル)−2−ピロリジノンの代わりに1−(3−アミノプロピル)−モルホリンを用い、4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩の代わりに、1−(2−クロロエチル)ピロリジンを用いた他は実施例1と同様にして標題化合物を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ 1.37 (t, J=7.2Hz, 3H), 4.38 (q, J=7.2Hz, 2H), 6.63 (s, 1H), 6.87-7.30 (m, 13H), 8.86 (s, 1H)
【0097】
(実施例14)
3−ジフェニルメチル−1−ブチル−N−(3−モルホリノプロピル)−1H−インドール−2−カルボキサミド(化合物41)の合成
1−(3−アミノプロピル)−2−ピロリジノンの代わりに1−(3−アミノプロピル)−モルホリンを用い、4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩の代わりに、4−ブロモブタンを用いた他は実施例1と同様にして標題化合物を得た
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6)δ 0.90 (t, J=6.8Hz, 3H), 1.30 (m,2H), 1.57 (m, 2H), 1.60 (m, 2H), 2.26 (m, 6H), 3.39 (q, J=6.8Hz,2H), 3.54 (m, J=4.4Hz, 4H), 4.34 (m, J=7.2Hz 2H), 5.92 (s, 1H), 6.03 (m, J=5.6Hz 1H), 6.85 (m, 2H), 7.16-7.35 (m, 12H)
Mass (EIMS): 510.3 (M+1)
【0098】
(実施例15)
1−(2−ジメチルアミノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−3−[フェニル(チオフェン−2−イル)メチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド(化合物43)の合成
(i)フェニル(チオフェン−2−イル)メタノール
フェニル(チオフェン−2−イル)メタノン(3.0g)のメタノール(30ml)溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(602mg)を0℃で分割添加し、1時間撹拌した。0℃でアセトン(2ml)を添加し、次いで水(5ml)を加えて過剰の水素化ホウ素ナトリウムをクエンチした。溶媒を減圧留去し、残渣を酢酸エチル(50mlx2)で抽出し、有機層を飽和食塩水(100ml)で洗浄した後硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧留去して標題化合物(2.92g,96.4%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ 2.38 (s, 1H), 6.06(s, 1H), 6.88-7.46(m, 8H)
【0099】
(ii)1−(2−ジメチルアミノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−3−[フェニル(チオフェン−2−イル)メチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド
ジフェニルメタノールの代わりに、(i)で得られたフェニル(チオフェン−2−イル)メタノールを用い、4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩の代わりに、2−クロロ−N,N−ジメチルエタンアミンを用いた他は実施例1と同様にして標題化合物を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6)δ 1.67 (quintet, J=6.8Hz, 2H), 1.89 (quintet, J=7.2Hz, 2H), 2.08 (s, 6H), 2.21 (t, J=8.4Hz, 2H), 2.60 (t, J=6.8Hz, 2H), 3.15 (m, 4H), 3.29 (t, J=7.2Hz, 2H), 4.29 (t, J=6.8Hz,2H), 6.41 (s, 1H), 6.7 (d, J=4.4Hz, 1H), 6.87 (m, 2H), 7.02 (m, 1H), 7.14-7.47 (m, 8H), 9.0 (s, 1H)
Mass (EIMS): 529.2 (M+1)
【0100】
(実施例16)
1−(2−ジメチルアミノエチル)−N−(3−モルホリノプロピル)−3−[フェニル(チオフェン−2−イル)メチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド(化合物44)の合成
1−(3−アミノプロピル)−2−ピロリジノンの代わりに、1−(3−アミノプロピル)−モルホリンを用いた他は実施例15と同様にして標題化合物を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6)δ 1.67 (quintet, J=6.8Hz, 2H), 2.15 (s, 6H),2.30 (br s, 6H), 2.58 (m, 2H), 3.30 (m, 2H), 3.52 (m, 4H), 4.32 (m, 2H), 6.16 (s, 1H), 6.72 (m, 1H), 6.87- 7.52 (m, 11H), 8.89 (s, 1H)
Mass (EIMS): 531.3 (M+2)
【0101】
(実施例17)
5−クロロ−1−(2−ジメチルアミノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−3−[フェニル(チオフェン−2−イル)メチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド(化合物45)の合成
エチル 1H−インドール−2−カルボキシレートの代わりに、エチル 5−クロロ−1H−インドール−2−カルボキシレートを用いた他は実施例15と同様にして標題化合物を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6)δ 1.68 (quintet, J=7.2Hz, 2H), 1.92 (quintet, J=7.6Hz, 2H), 2.22 (t, J=8.0Hz, 2H), 2.49 (s, 6H), 3.21 (m, 6H), 3.35 (m, 2H, merged with DMSO water), 4.48 (m, 2H), 6.15 (s, 1H), 6.75 (m, 1H), 6.86 (m, 1H), 6.97 (m, 1H), 7.22-7.41 (m, 8H), 8.72 (s, 1H)
Mass (EIMS): 563.2 (M)
【0102】
(実施例18)
N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−3−[フェニル(チオフェン−2−イル)メチル]−1−[2−(ピロリジン−1−イル)エチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド(化合物48)の合成
2−クロロ−N,N−ジメチルエタンアミンの代わりに、1−(2−クロロエチル)ピロリジンを用いた他は実施例15と同様にして標題化合物を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6)δ 1.59 (br s, 4H), 1.68 (quintet, J=6.8Hz, 2H), 1.93 (quintet, J=7.6Hz, 2H), 2.21 (t, J=7.6Hz, 2H), 2.34 (br s, 4H), 2.87 (br s, 2H), 3.16 (m, 4H), 3.36 (t, J=7.2Hz, 2H), 4.38 (t, J=6.8Hz,2H), 6.20 (s, 1H), 6.72 (d, J=3.2Hz, 1H), 6.91 (m, 2H), 7.02 (m, 1H), 7.15-7.51 (m, 8H), 9.1 (s, 1H).
Mass (EIMS): 555.2 (M+1)
【0103】
(実施例19)
1−(2−ジメチルアミノエチル)−3−[(4−フルオロフェニル)(チオフェン−2−イル)メチル]−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド(化合物54)の合成
(i)4−フルオロフェニル−チオフェン−2−イル−メタノール
4−フルオロ安息香酸(10g)とチオニルクロライド(50ml)との混合溶液にジメチルホルムアミドを2滴滴下し、5時間加熱還流した。過剰のチオニルクロライドを減圧留去して得られた4−フルオロベンゾイルクロライド(10g、収率88.5%)を精製せずにそのまま次の工程に用いた。得られた4−フルオロベンゾイルクロライド(10g)とチオフェン(5ml)をベンゼン(100ml)に溶解させ、塩化スズ(7ml)を加えて0℃で40分間、室温で1時間攪拌した後、ベンゼンを減圧留去して4−フルオロフェニル−チオフェン−2−イル−メタノン(5g)を得た。次いで、得られた4−フルオロフェニル−チオフェン−2−イル−メタノン(1g)をメタノール(20ml)に溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム(0.4g)を分割添加し、0℃で1時間攪拌して反応させた。反応液にアセトン(5ml)、次いで水(5ml)を添加し、溶媒を減圧留去して、残渣を酢酸エチル(50mlx2)で抽出し、有機層を飽和食塩水(100ml)で洗浄した。溶媒を減圧留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して目的化合物(0.80g,収率79.8%)を得た。
【0104】
(ii)1−(2−ジメチルアミノエチル)−3−[(4−フルオロフェニル)(チオフェン−2−イル)メチル]−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド
フェニル(チオフェン−2−イル)メタノールの代わりに、(i)で得られた4−フルオロフェニル−チオフェン−2−イル−メタノールを用いた他は実施例15と同様にして標題化合物を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6)δ 1.69 (quintet, J=6.8Hz, 2H), 1.91 (quintet, J=7.6Hz, 2H), 2.09 (s, 6H), 2.23 (t, J= 8.0Hz, 2H), 2.57 (t, J=6.8Hz, 2H), 3.22 (m, 4H), 3.31 (t, J=7.2Hz, 2H), 4.32 (t, J=6.8Hz, 2H), 6.18 (s, 1H), 6.73 (m, 1H), 6.90-7.52 (m, 10H), 8.97 (s, 1H)
Mass (EIMS): 547.4 (M+1)
【0105】
(実施例20)
1−(2−ジメチルアミノエチル)−3−[(4−メトキシフェニル)(チオフェン−2−イル)メチル]−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド(化合物57)の合成
フェニル(チオフェン−2−イル)メタノンの代わりに、4−メトキシフェニル−チオフェン−2−イル−メタノンを用いた以外は実施例15と同様にして標題化合物を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6)δ 1.69 (quintet, J=6.8Hz, 2H), 1.91 (quintet, J=7.6Hz, 2H), 2.13(s, 6H), 2.19 (m, 2H), 2.65 (br s, 2H), 3.21 (m, 4H), 3.23 (m, 2H), 3.69 (s, 3H), 4.34(m, 2H), 6.1 (s, 1H), 6.72-7.52 (m, 11H), 8.83 (s, 1H)
Mass (EIMS): 559.3 (M+1)
【0106】
(試験例1)
TNF産生抑制作用
本発明に係る化合物のサイトカイン産生抑制作用のひとつの指標として、THP−1細胞から放出されるTNF−αの産生抑制活性を測定した。測定は以下のようにして行った。
THP−1細胞(ATCC TIB−202)を培地(RPMI 1640+10%ウシ胎児血清)で2×10cell/mlの濃度に調整し、96穴プレートの各wellに50μlずつ分注した。各wellに培地で適宜濃度調製した被検物質を含む溶液100μlを添加し、軽くゆすって撹拌後、37℃、5%CO条件下で1〜5時間インキュベートした。各wellに培地で4μg/mlに調製したLPS(Difco Laboratories)を含む溶液50μlを添加し、軽くゆすって撹拌後、37℃、5%CO条件下で14〜20時間インキュベートした。各wellの培養上静に含まれるTNF−αの濃度を、enzyme−linked immunosorbent assay(ELISA)キット(Amersham Biosciences)を用いて定量した。
以上のようにして測定したTNF−αの産生抑制活性の結果を表7に示す。なお、表中の活性値は、被検化合物がTHP−1細胞のTNF−α産生を50%抑制する濃度である。
【0107】
【表7】

【0108】
(試験例2)
IL−8産生抑制作用
本発明に係る化合物のサイトカイン産生抑制作用のひとつの指標として、A549細胞から放出されるIL−8の産生抑制活性を測定した。測定は以下のようにして行った。
A549細胞(ATCC CCL−185)を培地(RPMI 1640+10%ウシ胎児血清)で5×10cell/mlの濃度に調整し、96穴プレートの各wellに100μlずつ分注した。各wellに培地で適宜濃度調製した被検物質を含む溶液50μlを添加し、軽くゆすって撹拌後、37℃、5%CO条件下で1〜2時間インキュベートした。各wellに培地で0.8nMに調製したPMA(Sigma)を含む溶液50μlを添加し、軽くゆすって撹拌後、37℃、5%CO条件下で14〜20時間インキュベートした。各wellの培養上静に含まれるIL−8の濃度を、enzyme−linked immunosorbent assay(ELISA)キット(Amersham Biosciences)を用いて定量した。
以上のようにして測定したIL−8の産生抑制活性の結果を表8に示す。なお、表中の活性値は、被検化合物がA549細胞のIL−8産生を50%抑制する濃度である。
【0109】
【表8】

【0110】
(試験例3)
ラットアジュバント関節炎モデルに対する作用
ラット(LEW/CrlCrlj)の右側後肢足蹠皮下にアジュバント(0.6 w/v% Mycobacterium butyricum流動パラフィン懸濁液)を0.1mL/匹投与して関節炎を誘発した。右後肢の足容積を足容積測定装置(MK−550、室町機械株式会社製)により,アジュバント処置日(0日)、アジュバント処置から1、4、8、10、12及び14日経過後に測定し(但し、化合物1の試験時には、1、2、4、6及び7日経過後に測定した。)、下式に従い浮腫率(%)を算出した。化合物1の結果を表9に示し、化合物23の結果を表10に示し、化合物10及び化合物35の結果を表11に示す。
【0111】
【数1】

【0112】
【表9】

【0113】
【表10】

【0114】
【表11】

【0115】
薬物をアジュバント処置日(0日)の足容積測定後から、毎日1回、14日間にわたって経口投与した(但し、化合物1の試験時には、7日間にわたって経口投与した。)。
足容積最終測定後、エーテル麻酔下に開腹して大静脈より放血致死させた後、右後肢(アジュバント投与足)を採取して10%中性緩衝ホルマリン溶液にて固定した。固定した右後肢の軟X線写真を撮影し骨病変の観察を行い、変化なし(0)、ごく軽度(1)、軽度(2)、中等度(3)、重度(4)、最重度(5)の6段階にグレード化して評価した。化合物1の結果を表12に示し、化合物23の結果を表13に示し、化合物10及び化合物35の結果を表14に示す。
【0116】
【表12】

【0117】
【表13】

【0118】
【表14】

【0119】
(処方例)
本発明の薬剤は、当業界で慣用の方法及び製剤用添加物を用いて製造することができる。本発明の薬剤の典型的な処方例を下記に示すが、本発明の薬剤はこれらに限定されることはない。
(1)錠剤
1錠中、実施例1の化合物 1〜500mg
添加物として、クエン酸ナトリウム、トウモロコシデンプン、ポビドン、カルメロースナトリウム、酢酸フタル酸セルロース、プロピレングリコール、マクロゴール、ソルビタン脂肪酸エステル、ヒマシ油を含む。
(2)軟膏
1g中、実施例1の化合物 10mg(力価)
添加物として軽質流動パラフィン、白色ワセリンを含む。
(3)注射剤
実施例1の化合物500mg(力価)に注射用蒸留水10mlを加え5%溶液を調製し、これをブドウ糖注射液、生理食塩液等で希釈して点滴静注溶液とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I):
【化1】


[式中、
は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を表し、
Aは、下記式(Ia);
【化2】


(式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を表す。)で表される基、又は置換若しくは非置換のチオフェン環基を表し、
は、水素原子、低級アルキル基、又は下記式(Ib);
【化3】


(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子若しくは低級アルキル基を表すか、又はRとRとが一緒になって隣接する窒素原子とともに形成される置換若しくは非置換の複素環基を表し、mは、2〜6の整数を表す。)で表される基を表し、
は、水酸基、低級アルコキシ基、又は−NR(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の複素環基、若しくは下記式(Ic);
【化4】


(式中、R10及びR11は、それぞれ独立に、水素原子若しくは低級アルキル基を表すか、又はR10とR11とが一緒になって隣接する窒素原子とともに形成される置換若しくは非置換の複素環基を表し、nは、2〜6の整数を表す。)で表される基を表すか、又はRとRが一緒になって隣接する窒素原子とともに形成される置換若しくは非置換の複素環基を表す。))で表される基を表し、
は、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を表す。]
で表されるインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する炎症性サイトカインの産生抑制剤。
【請求項2】
が水素原子、ハロゲン原子、水酸基又は低級アルコキシ基である、請求項1記載の炎症性サイトカインの産生抑制剤。
【請求項3】
Aが式(Ia)で表される基又は非置換のチオフェン環基である、請求項1又は2記載の炎症性サイトカインの産生抑制剤。
【請求項4】
が式(Ib)で表される基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の炎症性サイトカインの産生抑制剤。
【請求項5】
が−NRで表される基である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の炎症性サイトカインの産生抑制剤。
【請求項6】
が水素原子、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の炎症性サイトカインの産生抑制剤。
【請求項7】
式(I)で表されるインドール化合物が以下の化合物のうちのいずれかである、請求項1記載の炎症性サイトカインの産生抑制剤。
(1)3−ジフェニルメチル−1−(2−モルホリノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(2)5−クロロ−3−ジフェニルメチル−1−(2−モルホリノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(3)3−ジフェニルメチル−5−メトキシ−1−(2−モルホリノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(4)3−ジフェニルメチル−1−(3−モルホリノプロピル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(5)3−ジフェニルメチル−1−(4−モルホリノブチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(6)3−ジフェニルメチル−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1−[2−(ピロリジン−1−イル)エチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(7)3−ジフェニルメチル−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1−[2−(ピペリジン−1−イル)エチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(8)5−クロロ−3−ジフェニルメチル−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1−[2−(ピロリジン−1−イル)エチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(9)3−ジフェニルメチル−5−メトキシ−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1−[2−(ピロリジン−1−イル)エチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(10)5−クロロ−3−ジフェニルメチル−1−(2−ジメチルアミノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(11)3−ジフェニルメチル−5−メトキシ−1−(2−ジメチルアミノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(12)1−(2−ジメチルアミノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−3−[フェニル(チオフェン−2−イル)メチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(13)1−(2−ジメチルアミノエチル)−N−(3−モルホリノプロピル)−3−[フェニル(チオフェン−2−イル)メチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(14)5−クロロ−1−(2−ジメチルアミノエチル)−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−3−[フェニル(チオフェン−2−イル)メチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(15)N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−3−[フェニル(チオフェン−2−イル)メチル]−1−[2−(ピロリジン−1−イル)エチル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(16)1−(2−ジメチルアミノエチル)−3−[(4−フルオロフェニル)(チオフェン−2−イル)メチル]−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(17)1−(2−ジメチルアミノエチル)−3−[(4−メトキシフェニル)(チオフェン−2−イル)メチル]−N−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1H−インドール−2−カルボキサミド。
【請求項8】
炎症性サイトカインがTNFである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の炎症性サイトカインの産生抑制剤。
【請求項9】
炎症性サイトカインがIL−8である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の炎症性サイトカインの産生抑制剤。
【請求項10】
下記式(I):
【化5】


[式中、
は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を表し、
Aは、下記式(Ia);
【化6】


(式中、Rは、水素原子、水酸基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、又はハロゲン原子を表す。)で表される基、又は置換若しくは非置換のチオフェン環基を表し、
は、水素原子、低級アルキル基、又は下記式(Ib);
【化7】


(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子若しくは低級アルキル基を表すか、又はRとRとが一緒になって隣接する窒素原子とともに形成される置換若しくは非置換の複素環基を表し、mは、2〜6の整数を表す。)で表される基
を表し、
は、水酸基、低級アルコキシ基、又は−NR(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の複素環基、若しくは下記式(Ic);
【化8】


(式中、R10及びR11は、それぞれ独立に、水素原子若しくは低級アルキル基を表すか、又はR10とR11とが一緒になって隣接する窒素原子とともに形成される置換若しくは非置換の複素環基を表し、nは、2〜6の整数を表す。)で表される基を表すか、又はRとRが一緒になって隣接する窒素原子とともに形成される置換若しくは非置換の複素環基を表す。))で表される基を表し、
は、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を表す。]
で表されるインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、TNF産生又はIL−8産生に起因する炎症性疾患の予防及び/又は治療剤。
【請求項11】
炎症性疾患がリウマチである、請求項10記載の予防及び/又は治療剤。
【請求項12】
下記式(II):
【化9】


(式中、
1A及びR2Aは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を表し、
5Aは、ハロゲン原子、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を表し、
6A及びR7Aは、それぞれ独立に、水素原子、又は低級アルキル基を表し、
q及びrは、2〜6の整数を表す。)
で表されるインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項13】
1A及びR2Aが水素原子である、請求項12記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項14】
5Aがハロゲン原子又は低級アルコキシ基である、請求項12又は13記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項15】
6A及びR7Aが低級アルキル基である、請求項12〜14のいずれか一項に記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項16】
q及びrが2〜4の整数である、請求項12〜15のいずれか一項に記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項17】
下記式(III):
【化10】


(式中、
1B及びR2Bは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を表し、
5Bは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を表し、
s及びtは、2〜6の整数を表す。)
で表されるインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項18】
1B及びR2Bが水素原子である、請求項17記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項19】
5Bが水素原子、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基である、請求項17又は18記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項20】
s及びtが2〜4の整数である、請求項17〜19のいずれか一項に記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項21】
下記式(IV):
【化11】


(式中、
1C及びR2Cは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を表し、
5Cは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を表し、
6C及びR7Cは、これらが一緒になって隣接する窒素原子とともに形成される置換又は非置換の複素環基を表し、
10C及びR11Cは、これらが一緒になって隣接する窒素原子とともに形成される置換又は非置換の複素環基を表し、
uは2〜6の整数を表す。
但し、R5Cが水素原子のとき、R10C及びR11Cが一緒になって隣接する窒素原子とともにモルホリン環を形成する場合を除く。)
で表されるインドール化合物またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項22】
1C及びR2Cが水素原子である、請求項21記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項23】
5Cが水素原子、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基である、請求項21又は22記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項24】
6C及びR7Cが一緒になって隣接する窒素原子とともに形成される非置換のピペリジン環基又はピロリジン環基である、請求項21〜23のいずれか一項に記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項25】
10C及びR11Cが一緒になって隣接する窒素原子とともに形成される置換又は非置換のピロリジン環基又はモルホリン環基である、請求項21〜24のいずれか一項に記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項26】
uが2〜4の整数である、請求項21〜25のいずれか一項に記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項27】
下記一般式(V):
【化12】


[式中、
1Dは、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を表し、
A’は、置換又は非置換のチオフェン環基を表し、
3Dは、水素原子、低級アルキル基、又は下記式(Vb);
【化13】


(式中、R6D及びR7Dは、それぞれ独立に、水素原子若しくは低級アルキル基を表すか、又はR6DとR7Dとが一緒になって隣接する窒素原子とともに形成される置換若しくは非置換の脂環式複素環基を表し、vは、2〜6の整数を表す。)で表される基を表し、
4Dは、水酸基、低級アルコキシ基、又は−NR8D9D(式中、R8D及びR9Dは、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の複素環基、若しくは下記式(Vc);
【化14】


(式中、R10D及びR11Dは、それぞれ独立に、水素原子若しくは低級アルキル基を表すか、又はR10DとR11Dとが一緒になって隣接する窒素原子とともに形成される置換若しくは非置換の複素環基を表し、wは、2〜6の整数を表す。)で表される基を表すか、又はR8DとR9Dとが一緒になって隣接する窒素原子とともに形成される置換若しくは非置換の複素環基を表す。)で表される基を表し、
5Dは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基を表す。]
で表されるインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項28】
1Dが水素原子、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基である、請求項27記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項29】
A’が非置換のチオフェン環基である、請求項27又は28記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項30】
3Dが上記式(Vb)で表される基である、請求項27〜29のいずれか一項に記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項31】
4Dが−NR8D9Dで表される基である、請求項27〜30のいずれか一項に記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項32】
5Dが水素原子又はハロゲン原子である、請求項27〜31のいずれか一項に記載のインドール化合物又はその薬理学的に許容される塩。

【公開番号】特開2008−231030(P2008−231030A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−73171(P2007−73171)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(507090742)株式会社アフェニックス (2)
【Fターム(参考)】