インナーフォーカス式レンズ
【課題】大口径標準レンズとして使用可能な、高い結像性能を備えたインナーフォーカス式レンズを提供する。
【解決手段】このインナーフォーカス式レンズは、物体側から順に、メニスカスレンズL11、正レンズL12、負レンズL13、開口絞りST、負レンズL14、正レンズL15、負メニスカスレンズL16、正レンズL17、およびメニスカスレンズL18が配置されて構成される。メニスカスレンズL11は、物体側に凹面を向けて配置されている。負メニスカスレンズL16は、像側に凹面を向けて配置されている。メニスカスレンズL18は、物体側に凹面を向けて配置されている。そして、負メニスカスレンズL16と正レンズL17との間隔を狭めることによりフォーカシングを行うことで、収差変動が抑制され、大口径標準レンズとして使用可能な優れた結像性能を備えることができる。
【解決手段】このインナーフォーカス式レンズは、物体側から順に、メニスカスレンズL11、正レンズL12、負レンズL13、開口絞りST、負レンズL14、正レンズL15、負メニスカスレンズL16、正レンズL17、およびメニスカスレンズL18が配置されて構成される。メニスカスレンズL11は、物体側に凹面を向けて配置されている。負メニスカスレンズL16は、像側に凹面を向けて配置されている。メニスカスレンズL18は、物体側に凹面を向けて配置されている。そして、負メニスカスレンズL16と正レンズL17との間隔を狭めることによりフォーカシングを行うことで、収差変動が抑制され、大口径標準レンズとして使用可能な優れた結像性能を備えることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、デジタルスチルカメラなどの固体撮像素子を搭載した撮像装置に好適なインナーフォーカス式レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一眼レフカメラでは、撮影画像とファインダー画像とを一致させるために、撮影レンズを通った光をフィルムの手前に置いたミラーで反射させ、その光を光学式ファインダーに導く機構が必要であった。これに対し、デジタルカメラでは、撮像素子で捉えた画像を電子式ファインダーに表示するだけで従来の一眼レフカメラと同等のことを実現できる。このため、光学式ファインダーやこれに撮影像を導くためのミラーを省くことで装置の小型化を実現する、いわゆる「ミラーレス一眼カメラ」が登場してきた。ミラーレス一眼カメラでは、撮影レンズのバックフォーカスを短くすることができるため、搭載される撮影レンズの小型、軽量化が可能になった。
【0003】
さらなるカメラの小型、軽量化には、撮影レンズのフォーカス群の移動を制御する機構の小型、軽量化が望まれる。このためには、ミラーレス一眼カメラに搭載される撮影レンズのフォーカス群の軽量化が促進されることが好ましい。フォーカス群の軽量化が可能になれば、動画撮影時のフォーカス群移動の際の静音化による作動音の低減にも寄与できる。
【0004】
ところで、一般に、ミラーレス一眼カメラには、明るい標準レンズとして「ガウスタイプ」のものが使われている(たとえば、特許文献1を参照。)。「ガウスタイプ」のレンズは、明るい画像を得るのに適しているが、レンズ全体を繰り出してフォーカシングを行うため、フォーカス群の軽量化は困難である。また、「ガウスタイプ」のレンズは、絞りを挟んで強い凹面が対向しているため、「サジタルコマ収差」が大きく発生し、開放撮影時の結像性能が劣化するという問題がある。
【0005】
このような「ガウスタイプ」のレンズが有する問題を解決するものとして、レンズ後部のレンズ群のみを動かしてフォーカシングを行うインナーフォーカス式レンズがある(たとえば、特許文献2を参照)。このレンズによれば、一部のレンズ群でフォーカシングを行うことにより、フォーカス群の軽量化が可能になる。加えて、フォーカス群の軽量化により、動画撮影時のフォーカス群移動の際の静音化による作動音の低減も促進できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−242370号公報
【特許文献2】特許第2915985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載のインナーフォーカス式レンズは「中望遠レンズ」であるため、画角を広げると「トリプレット」の形状であるフォーカシングをつかさどる後群の画角に寄与する収差の補正能力が足りず、諸収差が大きく発生し画像が崩れるという問題がある。したがって、画角の狭い「中望遠」には対応できるが、標準レンズとして要求される画角には対応できない。
【0008】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、大口径標準レンズとして使用可能な、高い結像性能を備えたインナーフォーカス式レンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1に記載の発明にかかるインナーフォーカス式レンズは、開口絞りと、前記開口絞りより物体側に配置された、物体側に凹面を向けた第1のメニスカスレンズと、前記開口絞りより像側に配置された、像側に凹面を向けた第1の負レンズと、前記第1の負レンズより像側に配置された、像側に凸面を向けた第1の正レンズと、を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、レンズの大口径化に伴い顕著となるサジタルコマ収差を良好に補正し、また標準レンズとして要求される画角にも十分対応可能な収差補正能力を有する、高い結像性能を備えたインナーフォーカス方式レンズを実現することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明にかかるインナーフォーカス式レンズは、請求項1に記載の発明において、前記第1の負レンズは負メニスカスレンズであり、前記第1の正レンズより像側に、物体側に凹面を向けた第2のメニスカスレンズが配置されていることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、フォーカシングによる収差変動や軸外の収差の発生を抑制することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明にかかるインナーフォーカス式レンズは、請求項1または2に記載の発明において、前記第1のメニスカスレンズと前記開口絞りとの間に、物体側から順に、第2の正レンズと、第2の負レンズとが配置され、前記開口絞りと前記第1の負レンズとの間に、第3の正レンズが配置されていることを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、軸上色収差、倍率色収差、球面収差、非点収差、および像面湾曲などの諸収差を良好に補正して、高い結像性能を備えたインナーフォーカス式レンズを実現することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明にかかるインナーフォーカス式レンズは、請求項3に記載の発明において、前記第1のメニスカスレンズの物体側に、第4の正レンズが配置されていることを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、高次の球面収差をより良好に補正することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明にかかるインナーフォーカス式レンズは、請求項1または2に記載の発明において、前記第1のメニスカスレンズの物体側には、物体側から順に、第2の正レンズと、第2の負レンズとが配置され、前記開口絞りと前記第1の負レンズとの間に、第3の正レンズが配置されていることを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、軸上色収差、倍率色収差、球面収差、非点収差、および像面湾曲などの諸収差を良好に補正して、高い結像性能を備えたインナーフォーカス式レンズを実現することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明にかかるインナーフォーカス式レンズは、請求項1〜5のいずれか一つに記載の発明において、前記第1の負レンズと前記第1の正レンズとの間隔を狭めることにより、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行うことを特徴とする。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、フォーカシングに際し、コマ収差、球面収差、非点収差をはじめとする軸外収差の変動を抑制することができる。
【0021】
請求項7に記載の発明にかかるインナーフォーカス式レンズは、請求項3〜5のいずれか一つに記載の発明において、前記第3の正レンズを像側から物体側に移動させることにより、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行うことを特徴とする。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、フォーカシングに際し、コマ収差、球面収差、非点収差をはじめとする軸外収差の変動を抑制することができる。
【0023】
請求項8に記載の発明にかかるインナーフォーカス式レンズは、請求項1〜7のいずれか一つに記載の発明において、前記第1の正レンズの焦点距離をfB、光学系全系の焦点距離をfとするとき、以下に示す条件式を満足することを特徴とする。
(1) 0<fB/f<3.0
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、フォーカシングによる諸収差の変動を抑制し、高い結像性能を備えたインナーフォーカス式レンズを実現することができる。
【0025】
請求項9に記載の発明にかかるインナーフォーカス式レンズは、請求項1〜8のいずれか一つに記載の発明において、前記第1のメニスカスレンズの物体側面の曲率半径をRm、光学系全系の焦点距離をfとするとき、以下に示す条件式を満足することを特徴とする。
(2) −5.0<Rm/f<0
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、諸収差を良好に補正し、高い結像性能を備えたインナーフォーカス式レンズを実現することができる。
【発明の効果】
【0027】
この発明によれば、大口径標準レンズとして使用可能な、高い結像性能を備えたインナーフォーカス式レンズを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
【図2】実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。
【図3】実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図4】実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図5】実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。
【図6】実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。
【図7】実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図8】実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図9】実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。
【図10】実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
【図11】実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。
【図12】実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図13】実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図14】実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。
【図15】実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。
【図16】実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図17】実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図18】実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。
【図19】実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
【図20】実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。
【図21】実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図22】実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図23】実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。
【図24】実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。
【図25】実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図26】実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図27】実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。
【図28】実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
【図29】実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。
【図30】実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図31】実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図32】実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。
【図33】実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。
【図34】実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図35】実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図36】実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。
【図37】実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
【図38】実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。
【図39】実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図40】実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図41】実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。
【図42】実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。
【図43】実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図44】実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図45】実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。
【図46】実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
【図47】実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。
【図48】実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図49】実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図50】実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。
【図51】実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。
【図52】実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図53】実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図54】実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。
【図55】実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
【図56】実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。
【図57】実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図58】実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図59】実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。
【図60】実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。
【図61】実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図62】実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図63】実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。
【図64】実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
【図65】実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。
【図66】実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図67】実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図68】実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。
【図69】実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。
【図70】実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図71】実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図72】実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。
【図73】実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
【図74】実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。
【図75】実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図76】実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図77】実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。
【図78】実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。
【図79】実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図80】実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図81】実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。
【図82】実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
【図83】実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。
【図84】実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図85】実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図86】実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。
【図87】実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。
【図88】実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図89】実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図90】実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。
【図91】実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
【図92】実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。
【図93】実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図94】実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図95】実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。
【図96】実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。
【図97】実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図98】実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図99】実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、この発明にかかるインナーフォーカス式レンズの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0030】
この発明にかかるインナーフォーカス式レンズは、開口絞りと、開口絞りより物体側に配置された、物体側に凹面を向けた第1のメニスカスレンズと、開口絞りより像側に配置された、像側に凹面を向けた第1の負レンズと、前記第1の負レンズより像側に配置された、像側に凸面を向けた第1の正レンズと、を備えている(基本構成)。
【0031】
この発明では、開口絞りより物体側に、物体側に凹面を向けた第1のメニスカスレンズを配置したことにより、大口径化することにより顕著になるサジタルコマ収差を効果的に補正することができる。この収差補正効果は、開口絞りより物体側に、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズを1枚配置することにより得られるが、当該メニスカスレンズを複数枚配置すればより優れた収差補正効果を得ることができる。なお、当該メニスカスレンズと開口絞りとの間隔が狭くなるほど、高次の球面収差、像面湾曲、非点収差の補正に有利になる。しかし、サジタルコマ収差の補正効果が弱くなるため、メニスカスレンズと開口絞りとの間隔を適切に設定することが必要である。さらに、開口絞りより像側に、像側に凹面を向けた第1の負レンズと、第1の負レンズより像側に配置された、像側に凸面を向けた第1の正レンズを配置したことにより、適切なバックフォーカスを確保することが可能になり、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを収差変動を十分に抑制しながら行うことができる。加えて、標準レンズとして要求される画角にも十分対応可能な収差補正能力を備えることもできる。第1の正レンズは、像側に凸面を向けて配置されていればよく、両凸レンズでも平凸レンズでも差し支えない。また、開口絞りより像側に、像側に凹面を向けた第1の負レンズを配置したことにより、サジタルコマ収差を良好に補正することができる。なお、この第1の負レンズが負メニスカスレンズであれば、より良好にサジタルコマ収差を補正することができる。
【0032】
さらに、この発明にかかるインナーフォーカス式レンズでは、第1の正レンズより像側に、物体側に凹面を向けた第2のメニスカスレンズを配置するとよい。このようにすることにより、フォーカシングの際に生じる収差変動を抑制することができるとともに、軸外収差を良好に補正することが可能になる。
【0033】
さらに、この発明にかかるインナーフォーカス式レンズは、前記基本構成において、第1のメニスカスレンズと開口絞りとの間に、物体側から順に、第2の正レンズと、第2の負レンズとを配置し、開口絞りと第1の負レンズとの間に、第3の正レンズを配置するとよい。
【0034】
このようにすることで、開口絞り近傍をトリプレットタイプに準ずるレンズ構成とすることができ、開口絞りを挟んでレンズ凹面が対向するガウスタイプのレンズ構成にみられるようなサジタルコマ収差の発生を抑制し、軸上収差と軸外収差とのバランスを整えることが可能になる。この結果、軸上色収差、倍率色収差、球面収差、非点収差、および像面湾曲などの諸収差を良好に補正して、高い結像性能を備えたインナーフォーカス式レンズを実現することができる。
【0035】
ここで、さらなる大口径化を図る場合(たとえば、F1.4程度以下)、この発明のように、開口絞りよりも物体側に、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズを配置した場合、高次の球面収差の発生が大きくなる傾向にある。そこで、第1のメニスカスレンズの物体側に、屈折力の弱い第4の正レンズを配置して、第1のメニスカスレンズの機能の一部を第4の正レンズに担わせることにより、高次の球面収差の発生を抑制することができる。
【0036】
また、この発明にかかるインナーフォーカス式レンズでは、前記基本構成において、第1のメニスカスレンズの物体側に、物体側から順に、第2の正レンズと、第2の負レンズとを配置し、開口絞りと第1の負レンズとの間に、第3の正レンズを配置してもよい。
【0037】
このように構成しても、開口絞りを挟んでレンズ凹面が対向するガウスタイプのレンズ構成にみられるようなサジタルコマ収差の発生を抑制し、軸上収差と軸外収差とのバランスを整えることが可能になる。この結果、軸上色収差、倍率色収差、球面収差、非点収差、および像面湾曲などの諸収差を良好に補正して、高い結像性能を備えたインナーフォーカス式レンズを実現することができる。
【0038】
この発明にかかるインナーフォーカス式レンズは、第1の負レンズと第1の正レンズとの間隔を狭めることにより、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行う。
【0039】
このように、第1の負レンズを移動させてフォーカシングを行うことで、コマ収差、球面収差の変動を抑制することができる。また、第1の正レンズを移動させてフォーカシングを行うことにより、非点収差をはじめとする軸外収差の変動を抑制することができる。
【0040】
一方、第3の正レンズを像側から物体側に移動させることにより、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行ってもよい。このようにしても、非点収差をはじめとする軸外収差の変動を抑制し、収差変動の少ないフォーカシングを行うことができる。
【0041】
さらに、この発明にかかるインナーフォーカス式レンズでは、第1の正レンズの焦点距離をfB、光学系全系の焦点距離をfとするとき、次に示す条件式を満足することが好ましい。
(1) 0<fB/f<3.0
【0042】
条件式(1)は、光学系全系の焦点距離に対する第1の正レンズの焦点距離の比率を規定して、フォーカシングの際に生じる諸収差の変動を抑制し、結像性能を向上させるための条件を示すものである。条件式(1)においてその下限を下回ると、適切な光学系のバックフォーカスを確保することができず、良好な結像性能を維持できなくなる。一方、条件式(1)においてその上限を超えると、球面収差が大きく発生して、結像性能の著しい劣化をまねく。
【0043】
なお、上記条件式(1)は、次に示す範囲を満足すると、より好ましい効果が期待できる。
(1)’ 0.5<fB/f<1.2
この条件式(1)’で規定する範囲を満足することにより、より良好な結像性能を維持することができる。
【0044】
さらに、この発明にかかるインナーフォーカス式レンズでは、第1のメニスカスレンズの物体側面の曲率半径をRm、光学系全系の焦点距離をfとするとき、次に示す条件式を満足することが好ましい。
(2) −5.0<Rm/f<0
【0045】
条件式(2)は、光学系全系の焦点距離に対する第1のメニスカスレンズの物体側面の曲率半径の比率を規定して、結像性能を向上させるための条件を示すものである。条件式(2)においてその下限を下回ると、高次の球面収差が大きく発生して、結像性能の著しい劣化をまねく。一方、条件式(2)においてその上限を超えると、サジタルコマ収差やメリディオナルコマ収差の補正が困難になり、やはり結像性能の著しい劣化をまねく。
【0046】
なお、上記条件式(2)は、次に示す範囲を満足すると、より好ましい効果が期待できる。
(2)’ −2.1<Rm/f<−0.45
この条件式(2)’で規定する範囲を満足することにより、より良好な結像性能を維持することができる。
【0047】
以上説明したように、この発明によれば、大口径標準レンズとして使用可能な、高い結像性能を備えたインナーフォーカス式レンズを実現することができる。特に、上記各条件式を満足することにより、より優れた収差補正能力を備えることができる。なお、この発明のインナーフォーカス式レンズにおいて、第1のメニスカスレンズを、負レンズと正レンズとを接合して形成すれば、さらに諸収差を良好に補正することができる。また、適宜非球面を形成することによっても、より良好な収差補正を行うことができる。
【0048】
以下、この発明にかかるインナーフォーカス式レンズの実施例を図面に基づき詳細に説明する。なお、以下の実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0049】
図1は、実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。このインナーフォーカス式レンズは、図示しない物体側から順に、メニスカスレンズL11(第1のメニスカスレンズ)、正レンズL12(第2の正レンズ)、負レンズL13(第2の負レンズ)、開口絞りST、負レンズL14、正レンズL15(第3の正レンズ)、負メニスカスレンズL16(第1の負レンズ)、正レンズL17(第1の正レンズ)、およびメニスカスレンズL18(第2のメニスカスレンズ)が配置されて構成される。
【0050】
メニスカスレンズL11は、物体側に凹面を向けて配置されている。負レンズL14と正レンズL15とは、接合されている。負メニスカスレンズL16は、像側に凹面を向けて配置されている。正レンズL17は、両凸レンズで構成されている。メニスカスレンズL18は、物体側に凹面を向けて配置されている。
【0051】
このインナーフォーカス式レンズでは、負メニスカスレンズL16を光軸に沿って物体側から像側へ、正レンズL17を光軸に沿って像側から物体側へそれぞれ移動させ、それらの間隔を狭めることによって、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行う。
【0052】
また、メニスカスレンズL18の像側には、カバーガラスCGが配置されている。カバーガラスCGは必要に応じて配置されるものであり、不要な場合は省略可能である。
【0053】
以下、実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズに関する各種数値データを示す。
【0054】
(レンズデータ)
r1=-59.890
d1=3.000 nd1=1.83481 νd1=42.72
r2=-42.420
d2=3.000
r3=24.695
d3=4.000 nd2=1.83481 νd2=42.72
r4=73.102
d4=2.431
r5=-34.726
d5=2.000 nd3=1.72825 νd3=28.32
r6=19.785
d6=3.100
r7=∞(開口絞り)
d7=0.700
r8=33.509
d8=1.000 nd4=1.84666 νd4=23.78
r9=19.581
d9=5.104 nd5=1.91082 νd5=35.25
r10=-55.702
d10=D(10)(可変)
r11=35.354
d11=1.000 nd6=1.60300 νd6=65.44
r12=20.514
d12=D(12)(可変)
r13=59.028
d13=3.500 nd7=1.72916 νd7=54.67
r14=-28.674
d14=D(14)(可変)
r15=-21.979
d15=1.000 nd8=1.80809 νd8=22.76
r16=-59.729
d16=5.000
r17=∞
d17=2.000 nd9=1.51680 νd9=64.20
r18=∞
【0055】
(各合焦状態の可変間隔)
無限遠 0.025倍 最至近距離
物体距離 ∞ 1240.000 400.000
D(10) 0.500 2.232 5.213
D(12) 8.052 6.007 2.721
D(14) 6.884 7.067 7.580
【0056】
f(光学系全系の焦点距離)=35.25
Fナンバー=1.80
最大像高=14.20
fB(正レンズL17の焦点距離)=26.9
Rm(メニスカスレンズL11の物体側面の曲率半径)=-59.9
【0057】
(条件式(1)に関する数値)
fB/f=0.76
【0058】
(条件式(2)に関する数値)
Rm/f=-1.70
【0059】
図2は、実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。図3は、実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図4は、実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。図5は、実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。図5において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.10mmにおける横収差曲線、(c)は実像高9.94mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.20mmにおける横収差曲線を示している。
【0060】
図6は、実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。図7は、実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図8は、実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。図9は、実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。図9において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.10mmにおける横収差曲線、(c)は実像高9.94mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.20mmにおける横収差曲線を示している。
【0061】
なお、上記各収差図中、dはd線(λ=587.6nm)、gはg線(λ=435.8nm)、FはF線(λ=486.1nm)、CはC線(λ=656.3nm)、eはe線(λ=546.1nm)に相当する波長の収差を表す。そして、像面湾曲図におけるS,Mは、それぞれサジタル像面、メリディオナル像面に対する収差を表す。
【実施例2】
【0062】
図10は、実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。このインナーフォーカス式レンズは、図示しない物体側から順に、メニスカスレンズL21(第1のメニスカスレンズ)、正レンズL22(第2の正レンズ)、負レンズL23(第2の負レンズ)、開口絞りST、負メニスカスレンズL24、正レンズL25(第3の正レンズ)、負レンズL26(第1の負レンズ)、正レンズL27(第1の正レンズ)、およびメニスカスレンズL28(第2のメニスカスレンズ)が配置されて構成される。
【0063】
メニスカスレンズL21は、物体側に凹面を向けて配置されている。負メニスカスレンズL24は、像側に凹面を向けて配置されている。また、負メニスカスレンズL24と正レンズL25とは、接合されている。正レンズL27は、両凸レンズで構成されている。メニスカスレンズL28は、物体側に凹面を向けて配置されている。
【0064】
このインナーフォーカス式レンズでは、正レンズL25を光軸に沿って物体側へ移動させることによって、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行う。
【0065】
また、メニスカスレンズL28の像側には、カバーガラスCGが配置されている。カバーガラスCGは必要に応じて配置されるものであり、不要な場合は省略可能である。
【0066】
以下、実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズに関する各種数値データを示す。
【0067】
(レンズデータ)
r1=-19.502
d1=2.000 nd1=1.83481 νd1=42.72
r2=-19.723
d2=0.400
r3=21.308
d3=2.632 nd2=1.83481 νd2=42.72
r4=114.824
d4=1.068
r5=-57.513
d5=1.000 nd3=1.72825 νd3=28.32
r6=19.099
d6=4.794
r7=∞(開口絞り)
d7=D(7)(可変)
r8=29.811
d8=0.800 nd4=1.84666 νd4=23.78
r9=15.954
d9=4.925 nd5=1.91082 νd5=35.25
r10=-41.021
d10=0.500
r11=-40.904
d11=0.700 nd6=1.60300 νd6=65.44
r12=133.368
d12=D(12)(可変)
r13=68.082
d13=2.486 nd7=1.72916 νd7=54.67
r14=-31.344
d14=D(14)(可変)
r15=-16.622
d15=1.000 nd8=1.80809 νd8=22.76
r16=-47.882
d16=4.825
r17=∞
d17=2.000 nd9=1.51680 νd9=64.20
r18=∞
【0068】
(各合焦状態の可変間隔)
無限遠 0.025倍 最至近距離
物体距離 ∞ 1240.000 600.000
D(7) 2.231 1.378 0.700
D(12) 9.218 9.916 10.391
D(14) 3.556 3.830 4.148
【0069】
f(光学系全系の焦点距離)=32.17
Fナンバー=1.80
最大像高=14.20
fB(正レンズL27の焦点距離)=29.75
Rm(メニスカスレンズL21の物体側面の曲率半径)=-19.50
【0070】
(条件式(1)に関する数値)
fB/f=0.92
【0071】
(条件式(2)に関する数値)
Rm/f=-0.61
【0072】
図11は、実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。図12は、実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図13は、実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。図14は、実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。図14において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.10mmにおける横収差曲線、(c)は実像高9.94mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.20mmにおける横収差曲線を示している。
【0073】
図15は、実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。図16は、実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図17は、実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。図18は、実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。図18において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.10mmにおける横収差曲線、(c)は実像高9.94mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.20mmにおける横収差曲線を示している。
【0074】
なお、上記各収差図中、dはd線(λ=587.6nm)、gはg線(λ=435.8nm)、FはF線(λ=486.1nm)、CはC線(λ=656.3nm)、eはe線(λ=546.1nm)に相当する波長の収差を表す。そして、像面湾曲図におけるS,Mは、それぞれサジタル像面、メリディオナル像面に対する収差を表す。
【実施例3】
【0075】
図19は、実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。このインナーフォーカス式レンズは、図示しない物体側から順に、正レンズL31(第4の正レンズ)、メニスカスレンズL32(第1のメニスカスレンズ)、正レンズL33(第2の正レンズ)、負レンズL34(第2の負レンズ)、開口絞りST、負メニスカスレンズL35、正レンズL36(第3の正レンズ)、負レンズL37(第1の負レンズ)、正レンズL38(第1の正レンズ)、およびメニスカスレンズL39(第2のメニスカスレンズ)が配置されて構成される。
【0076】
メニスカスレンズL32は、物体側に凹面を向けて配置されている。負メニスカスレンズL35は、像側に凹面を向けて配置されている。また、負メニスカスレンズL35と正レンズL36とは、接合されている。正レンズL38は、両凸レンズで構成されている。メニスカスレンズL39は、物体側に凹面を向けて配置されている。
【0077】
このインナーフォーカス式レンズでは、正レンズL36を光軸に沿って像側から物体側へ移動させることによって、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行う。
【0078】
また、メニスカスレンズL39の像側には、カバーガラスCGが配置されている。カバーガラスCGは必要に応じて配置されるものであり、不要な場合は省略可能である。
【0079】
以下、実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズに関する各種数値データを示す。
【0080】
(レンズデータ)
r1=-256.311
d1=2.000 nd1=1.83481 νd1=42.72
r2=-182.456
d2=1.947
r3=-23.622
d3=2.000 nd2=1.83481 νd2=42.72
r4=-23.278
d4=2.000
r5=20.193
d5=2.632 nd3=1.83481 νd3=42.72
r6=73.407
d6=1.307
r7=-59.157
d7=1.000 nd4=1.72825 νd4=28.32
r8=17.632
d8=4.212
r9=∞(開口絞り)
d9=D(9)(可変)
r10=29.080
d10=0.500 nd5=1.84666 νd5=23.78
r11=15.709
d11=5.111 nd6=1.91082 νd6=35.25
r12=-37.566
d12=0.356
r13=-44.971
d13=0.500 nd7=1.60300 νd7=65.44
r14=106.056
d14=D(14)(可変)
r15=114.640
d15=2.261 nd8=1.72916 νd8=54.67
r16=-29.658
d16=D(16)(可変)
r17=-15.746
d17=1.000 nd9=1.80809 νd9=22.76
r18=-35.867
d18=4.536
r19=∞
d19=2.000 nd10=1.51680 νd10=64.20
r20=∞
【0081】
(各合焦状態の可変間隔)
無限遠 0.025倍 最至近距離
物体距離 ∞ 1240.000 600.000
D(9) 1.838 1.155 0.700
D(14) 10.908 11.225 11.349
D(16) 3.441 3.906 4.304
【0082】
f(光学系全系の焦点距離)=33.651
Fナンバー=1.818
最大像高=14.20
fB(正レンズL38の焦点距離)=32.53
Rm(メニスカスレンズL32の物体側面の曲率半径)=-23.62
【0083】
(条件式(1)に関する数値)
fB/f=0.97
【0084】
(条件式(2)に関する数値)
Rm/f=-0.70
【0085】
図20は、実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。図21は、実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図22は、実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。図23は、実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。図23において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.10mmにおける横収差曲線、(c)は実像高9.94mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.20mmにおける横収差曲線を示している。
【0086】
図24は、実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。図25は、実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図26は、実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。図27は、実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。図27において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.10mmにおける横収差曲線、(c)は実像高9.94mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.20mmにおける横収差曲線を示している。
【0087】
なお、上記各収差図中、dはd線(λ=587.6nm)、gはg線(λ=435.8nm)、FはF線(λ=486.1nm)、CはC線(λ=656.3nm)、eはe線(λ=546.1nm)に相当する波長の収差を表す。そして、像面湾曲図におけるS,Mは、それぞれサジタル像面、メリディオナル像面に対する収差を表す。
【実施例4】
【0088】
図28は、実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。このインナーフォーカス式レンズは、図示しない物体側から順に、正レンズL61(第4の正レンズ)、メニスカスレンズL62(第1のメニスカスレンズ)、正レンズL63(第2の正レンズ)、負レンズL64(第2の負レンズ)、開口絞りST、負レンズL65、正レンズL66(第3の正レンズ)、負メニスカスレンズL67(第1の負レンズ)、正レンズL68(第1の正レンズ)、およびメニスカスレンズL69(第2のメニスカスレンズ)が配置されて構成される。
【0089】
メニスカスレンズL62は、物体側に凹面を向けて配置されている。メニスカスレンズL62の像側面には、非球面が形成されている。正レンズL63の物体側面には、非球面が形成されている。負レンズL65の物体側面には、非球面が形成されている。負レンズL65と正レンズL66とは、接合されている。負メニスカスレンズL67は、像側に凹面を向けて配置されている。正レンズL68は、両凸レンズで構成されている。正レンズL68の物体側面には、非球面が形成されている。メニスカスレンズL69は、物体側に凹面を向けて配置されている。
【0090】
このインナーフォーカス式レンズでは、負メニスカスレンズL67を光軸に沿って物体側から像側へ、正レンズL68を光軸に沿って像側から物体側へそれぞれ移動させ、それらの間隔を狭めることによって、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行う。
【0091】
また、メニスカスレンズL69の像側には、カバーガラスCGが配置されている。カバーガラスCGは必要に応じて配置されるものであり、不要な場合は省略可能である。
【0092】
以下、実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズに関する各種数値データを示す。
【0093】
(レンズデータ)
r1=-2268.565
d1=2.330 nd1=1.83481 νd1=42.72
r2=-52.071
d2=1.478
r3=-30.558
d3=1.593 nd2=1.83481 νd2=42.72
r4=-32.508(非球面)
d4=1.000
r5=18.582(非球面)
d5=3.507 nd3=1.83481 νd3=42.72
r6=22.297
d6=3.741
r7=-48.669
d7=1.000 nd4=1.72825 νd4=28.32
r8=19.301
d8=3.491
r9=∞(開口絞り)
d9=0.700
r10=34.173(非球面)
d10=1.000 nd5=1.84666 νd5=23.78
r11=17.207
d11=6.982 nd6=1.91082 νd6=35.25
r12=-68.639
d12=D(12)(可変)
r13=61.207
d13=1.000 nd7=1.60300 νd7=65.44
r14=24.067
d14=D(14)(可変)
r15=43.712(非球面)
d15=4.787 nd8=1.72916 νd8=54.67
r16=-28.792
d16=D(16)(可変)
r17=-21.076
d17=1.000 nd9=1.80809 νd9=22.76
r18=-37.654
d18=5.000
r19=∞
d19=2.000 nd10=1.51680 νd10=64.20
r20=∞
【0094】
円錐係数(K)および非球面係数(A,B,C,D)
(第4面)
K=-0.1551,
A=0, B=8.34893×10-7,
C=4.86713×10-10, D=-1.77662×10-11
(第5面)
K=-0.0042,
A=0, B=-4.50840×10-10,
C=1.27514×10-9, D=-1.81248×10-11
(第10面)
K=-0.2772,
A=0, B=-2.37935×10-7,
C=-4.63079×10-9, D=-2.75770×10-11
(第15面)
K=-0.0980,
A=0, B=-5.46640×10-7,
C=9.48583×10-9, D=-6.00412×10-11
【0095】
(各合焦状態の可変間隔)
無限遠 0.025倍 最至近距離
物体距離 ∞ 1240.000 400.000
D(12) 0.500 1.813 3.904
D(14) 8.067 6.362 3.904
D(16) 5.613 6.002 6.771
【0096】
f(光学系全系の焦点距離)=35.62
Fナンバー=1.34
最大像高=14.20
fB(正レンズL68の焦点距離)=24.49
Rm(メニスカスレンズL62の物体側面の曲率半径)=-30.56
【0097】
(条件式(1)に関する数値)
fB/f=0.69
【0098】
(条件式(2)に関する数値)
Rm/f=-0.86
【0099】
図29は、実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。図30は、実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図31は、実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。図320は、実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。図32において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.10mmにおける横収差曲線、(c)は実像高9.94mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.20mmにおける横収差曲線を示している。
【0100】
図33は、実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。図34は、実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図35は、実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。図36は、実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。図36において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.10mmにおける横収差曲線、(c)は実像高9.94mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.20mmにおける横収差曲線を示している。
【0101】
なお、上記各収差図中、dはd線(λ=587.6nm)、gはg線(λ=435.8nm)、FはF線(λ=486.1nm)、CはC線(λ=656.3nm)、eはe線(λ=546.1nm)に相当する波長の収差を表す。そして、像面湾曲図におけるS,Mは、それぞれサジタル像面、メリディオナル像面に対する収差を表す。
【実施例5】
【0102】
図37は、実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。このインナーフォーカス式レンズは、図示しない物体側から順に、正レンズL71(第4の正レンズ)、メニスカスレンズL72(第1のメニスカスレンズ)、正レンズL73(第2の正レンズ)、負レンズL74(第2の負レンズ)、開口絞りST、負レンズL75、正レンズL76(第3の正レンズ)、負メニスカスレンズL77(第1の負レンズ)、正レンズL78(第1の正レンズ)、およびメニスカスレンズL79(第2のメニスカスレンズ)が配置されて構成される。
【0103】
メニスカスレンズL72は、物体側に凹面を向けて配置されている。負レンズL75と正レンズL76とは、接合されている。負メニスカスレンズL77は、像側に凹面を向けて配置されている。正レンズL78は、両凸レンズで構成されている。メニスカスレンズL79は、物体側に凹面を向けて配置されている。
【0104】
このインナーフォーカス式レンズでは、負メニスカスレンズL77を光軸に沿って物体側から像側へ、正レンズL78を光軸に沿って像側から物体側へそれぞれ移動させ、それらの間隔を狭めることによって、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行う。
【0105】
また、メニスカスレンズL79の像側には、カバーガラスCGが配置されている。カバーガラスCGは必要に応じて配置されるものであり、不要な場合は省略可能である。
【0106】
以下、実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズに関する各種数値データを示す。
【0107】
(レンズデータ)
r1=-157.348
d1=2.330 nd1=1.83481 νd1=42.72
r2=-50.024
d2=2.084
r3=-24.121
d3=2.850 nd2=1.83481 νd2=42.72
r4=-25.264
d4=1.000
r5=22.353
d5=6.025 nd3=1.83481 νd3=42.72
r6=34.440
d6=2.665
r7=-49.704
d7=1.000 nd4=1.72825 νd4=28.32
r8=18.089
d8=3.100
r9=∞(開口絞り)
d9=0.700
r10=33.798
d10=1.000 nd5=1.84666 νd5=23.78
r11=17.396
d11=4.563 nd6=1.91082 νd6=35.25
r12=-74.843
d12=D(12)(可変)
r13=63.864
d13=1.000 nd7=1.60300 νd7=65.44
r14=26.576
d14=D(14)(可変)
r15=68.735
d15=3.803 nd8=1.72916 νd8=54.67
r16=-26.242
d16=D(16)(可変)
r17=-19.308
d17=1.000 nd9=1.80809 νd9=22.76
r18=-29.601
d18=5.000
r19=∞
d19=2.000 nd10=1.51680 νd10=64.20
r20=∞
【0108】
(各合焦状態の可変間隔)
無限遠 0.025倍 最至近距離
物体距離 ∞ 1240.000 400.000
D(12) 0.500 1.670 4.502
D(14) 10.701 9.170 5.749
D(16) 5.882 6.208 7.193
【0109】
f(光学系全系の焦点距離)=36.74
Fナンバー=1.49
最大像高=14.20
fB(正レンズL78の焦点距離)=26.49
Rm(メニスカスレンズL72の物体側面の曲率半径)=-24.12
【0110】
(条件式(1)に関する数値)
fB/f=0.72
【0111】
(条件式(2)に関する数値)
Rm/f=-0.66
【0112】
図38は、実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。図39は、実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図40は、実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。図41は、実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。図41において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.10mmにおける横収差曲線、(c)は実像高9.94mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.20mmにおける横収差曲線を示している。
【0113】
図42は、実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。図43は、実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図44は、実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。図45は、実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。図45において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.10mmにおける横収差曲線、(c)は実像高9.94mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.20mmにおける横収差曲線を示している。
【0114】
なお、上記各収差図中、dはd線(λ=587.6nm)、gはg線(λ=435.8nm)、FはF線(λ=486.1nm)、CはC線(λ=656.3nm)、eはe線(λ=546.1nm)に相当する波長の収差を表す。そして、像面湾曲図におけるS,Mは、それぞれサジタル像面、メリディオナル像面に対する収差を表す。
【実施例6】
【0115】
図46は、実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。このインナーフォーカス式レンズは、図示しない物体側から順に、正レンズL81、正レンズL82(第2の正レンズ)、負レンズL83(第2の負レンズ)、メニスカスレンズL84(第1のメニスカスレンズ)、開口絞りST、負レンズL85、正レンズL86(第3の正レンズ)、負メニスカスレンズL87(第1の負レンズ)、正レンズL88(第1の正レンズ)、およびメニスカスレンズL89(第2のメニスカスレンズ)が配置されて構成される。
【0116】
メニスカスレンズL84は、物体側に凹面を向けて配置されている。負レンズL85と正レンズL86とは、接合されている。負メニスカスレンズL87は、像側に凹面を向けて配置されている。正レンズL88は、両凸レンズで構成されている。メニスカスレンズL89は、物体側に凹面を向けて配置されている。
【0117】
このインナーフォーカス式レンズでは、負メニスカスレンズL87を光軸に沿って物体側から像側へ、正レンズL88を光軸に沿って像側から物体側へそれぞれ移動させ、それらの間隔を狭めることによって、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行う。
【0118】
また、メニスカスレンズL89の像側には、カバーガラスCGが配置されている。カバーガラスCGは必要に応じて配置されるものであり、不要な場合は省略可能である。
【0119】
以下、実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズに関する各種数値データを示す。
【0120】
(レンズデータ)
r1=683.235
d1=2.330 nd1=1.83481 νd1=42.72
r2=-90.015
d2=0.100
r3=21.167
d3=4.851 nd2=1.83481 νd2=42.72
r4=56.810
d4=2.665
r5=-219.786
d5=1.000 nd3=1.72825 νd3=28.32
r6=14.546
d6=4.402
r7=-27.860
d7=4.407 nd4=1.51633 νd4=64.15
r8=-30.553
d8=0
r9=∞(開口絞り)
d9=0.700
r10=36.229
d10=1.000 nd5=1.84666 νd5=23.78
r11=16.833
d11=3.568 nd6=1.91082 νd6=35.25
r12=-349.850
d12=D(12)(可変)
r13=71.687
d13=1.000 nd7=1.60300 νd7=65.44
r14=23.881
d14=D(14)(可変)
r15=51.278
d15=4.046 nd8=1.72916 νd8=54.67
r16=-26.894
d16=D(16)(可変)
r17=-20.704
d17=1.000 nd9=1.80809 νd9=22.76
r18=-35.036
d18=5.000
r19=∞
d19=2.000 nd10=1.51680 νd10=64.20
r20=∞
【0121】
(各合焦状態の可変間隔)
無限遠 最至近距離
物体距離 ∞ 400.000
D(12) 0.500 3.946
D(14) 9.530 5.220
D(16) 5.602 6.703
【0122】
f(光学系全系の焦点距離)=35.38
Fナンバー=1.50
最大像高=14.20
fB(正レンズL88の焦点距離)=24.73
Rm(メニスカスレンズL84の物体側面の曲率半径)=-27.86
【0123】
(条件式(1)に関する数値)
fB/f=0.70
【0124】
(条件式(2)に関する数値)
Rm/f=-0.79
【0125】
図47は、実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。図48は、実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図49は、実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。図50は、実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。図50において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.10mmにおける横収差曲線、(c)は実像高9.94mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.20mmにおける横収差曲線を示している。
【0126】
図51は、実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。図52は、実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図53は、実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。図54は、実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。図54において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.10mmにおける横収差曲線、(c)は実像高9.94mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.20mmにおける横収差曲線を示している。
【0127】
なお、上記各収差図中、dはd線(λ=587.6nm)、gはg線(λ=435.8nm)、FはF線(λ=486.1nm)、CはC線(λ=656.3nm)、eはe線(λ=546.1nm)に相当する波長の収差を表す。そして、像面湾曲図におけるS,Mは、それぞれサジタル像面、メリディオナル像面に対する収差を表す。
【実施例7】
【0128】
図55は、実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。このインナーフォーカス式レンズは、図示しない物体側から順に、正レンズL91、正レンズL92(第2の正レンズ)、負レンズL93(第2の負レンズ)、メニスカスレンズL94(第1のメニスカスレンズ)、開口絞りST、正レンズL95(第3の正レンズ)、負レンズL96、負メニスカスレンズL97(第1の負レンズ)、正レンズL98(第1の正レンズ)、およびメニスカスレンズL99(第2のメニスカスレンズ)が配置されて構成される。
【0129】
メニスカスレンズL94は、物体側から順に配置された、負レンズL941と正レンズL942とが接合されて形成されている。このメニスカスレンズL94は、物体側に凹面を向けて配置されている。正レンズL95と負レンズL96とは、接合されている。負メニスカスレンズL97は、像側に凹面を向けて配置されている。正レンズL98は、両凸レンズで構成されている。メニスカスレンズL99は、物体側に凹面を向けて配置されている。
【0130】
このインナーフォーカス式レンズでは、負メニスカスレンズL97を光軸に沿って物体側から像側へ、正レンズL98を光軸に沿って像側から物体側へそれぞれ移動させ、それらの間隔を狭めることによって、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行う。
【0131】
また、メニスカスレンズL99の像側には、カバーガラスCGが配置されている。カバーガラスCGは必要に応じて配置されるものであり、不要な場合は省略可能である。
【0132】
以下、実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズに関する各種数値データを示す。
【0133】
(レンズデータ)
r1=-9515.475
d1=2.330 nd1=1.80400 νd1=46.57
r2=-73.251
d2=0.100
r3=19.229
d3=3.454 nd2=1.80318 νd2=46.38
r4=41.633
d4=1.906
r5=274.129
d5=1.000 nd3=1.69600 νd3=36.29
r6=14.616
d6=6.745
r7=-18.709
d7=0.700 nd4=1.59270 νd4=35.30
r8=94.901
d8=3.863 nd5=1.88300 νd5=40.77
r9=-28.097
d9=0.700
r10=∞(開口絞り)
d10=0.700
r11=27.632
d11=4.164 nd6=1.75500 νd6=52.33
r12=-158.397
d12=1.000 nd7=2.00178 νd7=19.32
r13=1313.843
d13=D(13)(可変)
r14=63.872
d14=1.000 nd8=1.61405 νd8=54.99
r15=20.433
d15=D(15)(可変)
r16=49.723
d16=4.881 nd9=1.72916 νd9=54.67
r17=-29.255
d17=D(17)(可変)
r18=-23.924
d18=1.000 nd10=1.80809 νd10=22.76
r19=-47.034
d19=5.000
r20=∞
d20=2.000 nd11=1.51680 νd11=64.20
r21=∞
【0134】
(各合焦状態の可変間隔)
無限遠 0.025倍 最至近距離
物体距離 ∞ 1240.000 400.000
D(13) 0.500 1.132 3.258
D(15) 10.163 9.443 6.680
D(17) 4.975 5.133 5.800
絞り半径 11.200 11.237 11.237
【0135】
f(光学系全系の焦点距離)=36.67
Fナンバー=1.43
最大像高=14.50
fB(正レンズL98の焦点距離)=25.94
Rm(メニスカスレンズL94の物体側面の曲率半径)=-18.71
【0136】
(条件式(1)に関する数値)
fB/f=0.71
【0137】
(条件式(2)に関する数値)
Rm/f=-0.51
【0138】
図56は、実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。図57は、実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図58は、実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。図59は、実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。図59において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.25mmにおける横収差曲線、(c)は実像高10.15mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.50mmにおける横収差曲線を示している。
【0139】
図60は、実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。図61は、実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図62は、実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。図63は、実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。図63において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.25mmにおける横収差曲線、(c)は実像高10.15mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.50mmにおける横収差曲線を示している。
【0140】
なお、上記各収差図中、dはd線(λ=587.6nm)、gはg線(λ=435.8nm)、FはF線(λ=486.1nm)、CはC線(λ=656.3nm)、eはe線(λ=546.1nm)に相当する波長の収差を表す。そして、像面湾曲図におけるS,Mは、それぞれサジタル像面、メリディオナル像面に対する収差を表す。
【実施例8】
【0141】
図64は、実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。このインナーフォーカス式レンズは、図示しない物体側から順に、正レンズL101、正レンズL102(第2の正レンズ)、負レンズL103(第2の負レンズ)、メニスカスレンズL104(第1のメニスカスレンズ)、開口絞りST、負レンズL105、正レンズL106(第3の正レンズ)、負レンズL107、負メニスカスレンズL108(第1の負レンズ)、正レンズL109(第1の正レンズ)、およびメニスカスレンズL110(第2のメニスカスレンズ)が配置されて構成される。
【0142】
メニスカスレンズL104は、物体側から順に配置された、負レンズL1041と正レンズL1042とが接合されて形成されている。このメニスカスレンズL104は、物体側に凹面を向けて配置されている。負レンズL105と正レンズL106と負レンズL107とは、接合されている。負メニスカスレンズL108は、像側に凹面を向けて配置されている。正レンズL109は、両凸レンズで構成されている。メニスカスレンズL110は、物体側に凹面を向けて配置されている。
【0143】
このインナーフォーカス式レンズでは、負メニスカスレンズL108を光軸に沿って物体側から像側へ、正レンズL109を光軸に沿って像側から物体側へそれぞれ移動させ、それらの間隔を狭めることによって、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行う。
【0144】
また、メニスカスレンズL110の像側には、カバーガラスCGが配置されている。カバーガラスCGは必要に応じて配置されるものであり、不要な場合は省略可能である。
【0145】
以下、実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズに関する各種数値データを示す。
【0146】
(レンズデータ)
r1=889.725
d1=2.330 nd1=1.80400 νd1=46.58
r2=-80.124
d2=0.100
r3=20.509
d3=3.642 nd2=1.80400 νd2=46.58
r4=44.888
d4=3.168
r5=1428.337
d5=0.999 nd3=1.69320 νd3=33.74
r6=14.577
d6=6.229
r7=-20.773
d7=0.700 nd4=1.59270 νd4=35.30
r8=61.275
d8=3.815 nd5=1.88300 νd5=40.77
r9=-32.212
d9=0.700
r10=∞(開口絞り)
d10=0.700
r11=31.837
d11=1.000 nd6=1.75211 νd6=25.05
r12=26.265
d12=4.085 nd7=1.77250 νd7=49.62
r13=-100.062
d13=1.000 nd8=1.84666 νd8=23.78
r14=-430.173
d14=D(14)(可変)
r15=88.199
d15=1.000 nd9=1.60300 νd9=65.44
r16=22.246
d16=D(16)(可変)
r17=44.397
d17=5.670 nd10=1.72916 νd10=54.67
r18=-27.822
d18=D(18)(可変)
r19=-21.744
d19=1.000 nd11=1.80809 νd11=22.76
r20=-38.390
d20=5.000
r21=∞
d21=2.000 nd12=1.51680 νd12=64.20
r22=∞
【0147】
(各合焦状態の可変間隔)
無限遠 0.025倍 最至近距離
物体距離 ∞ 1240.000 400.000
D(14) 0.500 1.371 3.551
D(16) 9.571 8.368 5.802
D(18) 4.440 4.698 5.338
【0148】
f(光学系全系の焦点距離)=36.48
Fナンバー=1.44
最大像高=14.50
fB(正レンズL109の焦点距離)=24.26
Rm(メニスカスレンズL104の物体側面の曲率半径)=-20.77
【0149】
(条件式(1)に関する数値)
fB/f=0.66
【0150】
(条件式(2)に関する数値)
Rm/f=-0.57
【0151】
図65は、実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。図66は、実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図67は、実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。図68は、実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。図68において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.25mmにおける横収差曲線、(c)は実像高10.15mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.50mmにおける横収差曲線を示している。
【0152】
図69は、実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。図70は、実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図71は、実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。図72は、実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。図72において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.25mmにおける横収差曲線、(c)は実像高10.15mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.50mmにおける横収差曲線を示している。
【0153】
なお、上記各収差図中、dはd線(λ=587.6nm)、gはg線(λ=435.8nm)、FはF線(λ=486.1nm)、CはC線(λ=656.3nm)、eはe線(λ=546.1nm)に相当する波長の収差を表す。そして、像面湾曲図におけるS,Mは、それぞれサジタル像面、メリディオナル像面に対する収差を表す。
【実施例9】
【0154】
図73は、実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。このインナーフォーカス式レンズは、図示しない物体側から順に、正レンズL111、正レンズL112(第2の正レンズ)、負レンズL113(第2の負レンズ)、メニスカスレンズL114(第1のメニスカスレンズ)、開口絞りST、負レンズL115、正レンズL116(第3の正レンズ)、負レンズL117、負メニスカスレンズL118(第1の負レンズ)、正レンズL119(第1の正レンズ)、およびメニスカスレンズL120(第2のメニスカスレンズ)が配置されて構成される。
【0155】
メニスカスレンズL114は、物体側から順に配置された、負レンズL1141と正レンズL1142とが接合されて形成されている。このメニスカスレンズL114は、物体側に凹面を向けて配置されている。負レンズL115と正レンズL116とは、接合されている。負メニスカスレンズL118は、像側に凹面を向けて配置されている。正レンズL119は、両凸レンズで構成されている。メニスカスレンズL120は、物体側に凹面を向けて配置されている。
【0156】
このインナーフォーカス式レンズでは、負メニスカスレンズL118を光軸に沿って物体側から像側へ、正レンズL119を光軸に沿って像側から物体側へそれぞれ移動させ、それらの間隔を狭めることによって、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行う。
【0157】
また、メニスカスレンズL120の像側には、カバーガラスCGが配置されている。カバーガラスCGは必要に応じて配置されるものであり、不要な場合は省略可能である。
【0158】
以下、実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズに関する各種数値データを示す。
【0159】
(レンズデータ)
r1=518.863
d1=2.330 nd1=1.80400 νd1=46.58
r2=-83.765
d2=0.100
r3=20.502
d3=3.538 nd2=1.80400 νd2=46.58
r4=43.647
d4=3.053
r5=1398.748
d5=1.000 nd3=1.69320 νd3=33.74
r6=14.776
d6=5.697
r7=-20.854
d7=0.700 nd4=1.59270 νd4=35.30
r8=63.059
d8=3.655 nd5=1.88300 νd5=40.77
r9=-32.414
d9=0.700
r10=∞(開口絞り)
d10=0.700
r11=31.668
d11=1.000 nd6=1.75211 νd6=25.05
r12=26.168
d12=3.833 nd7=1.77250 νd7=49.60
r13=-107.146
d13=0.200
r14=-100.481
d14=1.000 nd8=1.84666 νd8=23.78
r15=-353.288
d15=D(15)(可変)
r16=88.698
d16=1.000 nd9=1.60300 νd9=65.44
r17=22.488
d17=D(17)(可変)
r18=45.305
d18=5.568 nd10=1.72916 νd10=54.67
r19=-27.692
d19=D(19)(可変)
r20=-21.903
d20=1.000 nd11=1.80809 νd11=22.76
r21=-39.248
d21=5.000
r22=∞
d22=2.000 nd12=1.51680 νd12=64.20
r23=∞
【0160】
(各合焦状態の可変間隔)
無限遠 0.025倍 最至近距離
物体距離 ∞ 1240.000 400.000
D(15) 0.500 1.435 3.481
D(17) 9.567 8.362 5.953
D(19) 4.478 4.736 5.448
【0161】
f(光学系全系の焦点距離)=36.52
Fナンバー=1.44
最大像高=14.50
fB(正レンズL119の焦点距離)=24.35
Rm(メニスカスレンズL114の物体側面の曲率半径)=-20.85
【0162】
(条件式(1)に関する数値)
fB/f=0.67
【0163】
(条件式(2)に関する数値)
Rm/f=-0.57
【0164】
図74は、実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。図75は、実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図76は、実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。図77は、実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。図77において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.25mmにおける横収差曲線、(c)は実像高10.15mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.50mmにおける横収差曲線を示している。
【0165】
図78は、実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。図79は、実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図80は、実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。図81は、実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。図81において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.25mmにおける横収差曲線、(c)は実像高10.15mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.50mmにおける横収差曲線を示している。
【0166】
なお、上記各収差図中、dはd線(λ=587.6nm)、gはg線(λ=435.8nm)、FはF線(λ=486.1nm)、CはC線(λ=656.3nm)、eはe線(λ=546.1nm)に相当する波長の収差を表す。そして、像面湾曲図におけるS,Mは、それぞれサジタル像面、メリディオナル像面に対する収差を表す。
【実施例10】
【0167】
図82は、実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。このインナーフォーカス式レンズは、図示しない物体側から順に、正レンズL121、正レンズL122(第2の正レンズ)、負レンズL123(第2の負レンズ)、メニスカスレンズL124(第1のメニスカスレンズ)、開口絞りST、正レンズL125(第3の正レンズ)、負メニスカスレンズL126(第1の負レンズ)、正レンズL127(第1の正レンズ)、およびメニスカスレンズL128(第2のメニスカスレンズ)が配置されて構成される。
【0168】
メニスカスレンズL124は、物体側から順に配置された、負レンズL1241と正レンズL1242とが接合されて形成されている。このメニスカスレンズL124は、物体側に凹面を向けて配置されている。負メニスカスレンズL126は、像側に凹面を向けて配置されている。この負メニスカスレンズL126の両面には、非球面が形成されている。正レンズL127は、両凸レンズで構成されている。この正レンズL127の両面には、非球面が形成されている。メニスカスレンズL128は、物体側に凹面を向けて配置されている。このメニスカスレンズL128の両面には、非球面が形成されている。
【0169】
このインナーフォーカス式レンズでは、正レンズL125を光軸に沿って像側から物体側へ移動させることによって、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行う。
【0170】
また、メニスカスレンズL128の像側には、カバーガラスCGが配置されている。カバーガラスCGは必要に応じて配置されるものであり、不要な場合は省略可能である。
【0171】
以下、実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズに関する各種数値データを示す。
【0172】
(レンズデータ)
r1=-679.519
d1=2.330 nd1=1.80400 νd1=46.57
r2=-67.183
d2=0.100
r3=20.258
d3=3.595 nd2=1.80318 νd2=46.38
r4=47.092
d4=1.685
r5=243.906
d5=1.000 nd3=1.69600 νd3=36.29
r6=15.295
d6=6.743
r7=-18.058
d7=0.700 nd4=1.59270 νd4=35.30
r8=51.468
d8=4.579 nd5=1.88300 νd5=40.77
r9=-27.582
d9=0.700
r10=∞(開口絞り)
d10=D(10)
r11=24.393
d11=3.800 nd6=1.75500 νd6=52.33
r12=289.216
d12=D(12)
r13=90.727(非球面)
d13=1.000 nd7=1.63980 νd7=34.48
r14=18.382(非球面)
d14=11.689
r15=44.445(非球面)
d15=5.765 nd8=1.72916 νd8=54.68
r16=-27.703(非球面)
d16=4.140
r17=-23.250(非球面)
d17=1.000 nd9=1.75211 νd9=25.05
r18=-51.442(非球面)
d18=5.000
r19=∞
d19=2.000 nd10=1.51680 νd10=64.20
r20=∞
【0173】
円錐係数(K)および非球面係数(A,B,C,D)
(第13面)
K=0,
A=0, B=-3.92349×10-6,
C=-3.32081×10-8, D=-4.36238×10-11
(第14面)
K=0,
A=0, B=1.68673×10-6,
C=-2.20557×10-9, D=-2.62746×10-10
(第15面)
K=0,
A=0, B=-4.62327×10-7,
C=-1.26034×10-9, D=-2.24645×10-11
(第16面)
K=0,
A=0, B=-6.10215×10-7,
C=-2.46949×10-9, D=6.32201×10-12
(第17面)
K=0,
A=0, B=-1.39261×10-7,
C=4.11137×10-9, D=2.14958×10-11
(第18面)
K=0,
A=0, B=2.09339×10-7,
C=-6.02487×10-10, D=5.10298×10-12
【0174】
(各合焦状態の可変間隔)
無限遠 0.025倍 最至近距離
物体距離 ∞ 1240.000 450.000
D(10) 3.062 2.190 0.700
D(12) 0.500 1.319 2.753
絞り半径 11.119 11.057 11.219
【0175】
f(光学系全系の焦点距離)=36.003
Fナンバー=1.45
最大像高=14.50
fB(正レンズL127の焦点距離)=24.35
Rm(メニスカスレンズL124の物体側面の曲率半径)=-18.06
【0176】
(条件式(1)に関する数値)
fB/f=0.68
【0177】
(条件式(2)に関する数値)
Rm/f=-0.50
【0178】
図83は、実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。図84は、実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図85は、実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。図86は、実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。図86において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.25mmにおける横収差曲線、(c)は実像高10.15mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.50mmにおける横収差曲線を示している。
【0179】
図87は、実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。図88は、実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図89は、実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。図90は、実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。図90において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.25mmにおける横収差曲線、(c)は実像高10.15mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.50mmにおける横収差曲線を示している。
【0180】
なお、上記各収差図中、dはd線(λ=587.6nm)、gはg線(λ=435.8nm)、FはF線(λ=486.1nm)、CはC線(λ=656.3nm)、eはe線(λ=546.1nm)に相当する波長の収差を表す。そして、像面湾曲図におけるS,Mは、それぞれサジタル像面、メリディオナル像面に対する収差を表す。
【実施例11】
【0181】
図91は、実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。このインナーフォーカス式レンズは、図示しない物体側から順に、正レンズL131、正レンズL132(第2の正レンズ)、負レンズL133(第2の負レンズ)、メニスカスレンズL134(第1のメニスカスレンズ)、開口絞りST、負レンズL135、正レンズL136(第3の正レンズ)、負レンズL137、負メニスカスレンズL138(第1の負レンズ)、および正レンズL139(第1の正レンズ)が配置されて構成される。
【0182】
メニスカスレンズL134は、物体側から順に配置された、負レンズL1341と正レンズL1342とが接合されて形成されている。このメニスカスレンズL134は、物体側に凹面を向けて配置されている。負レンズL135と正レンズL136とは、接合されている。負メニスカスレンズL138は、像側に凹面を向けて配置されている。正レンズL139は、両凸レンズで構成されている。この正レンズL139の両面には、非球面が形成されている。
【0183】
このインナーフォーカス式レンズでは、負メニスカスレンズL138を光軸に沿って物体側から像側へ、正レンズL139を光軸に沿って像側から物体側へそれぞれ移動させ、それらの間隔を狭めることによって、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行う。
【0184】
また、正レンズL139の像側には、カバーガラスCGが配置されている。カバーガラスCGは必要に応じて配置されるものであり、不要な場合は省略可能である。
【0185】
以下、実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズに関する各種数値データを示す。
【0186】
(レンズデータ)
r1=-299.940
d1=2.330 nd1=1.80400 νd1=46.58
r2=-71.300
d2=0.100
r3=23.367
d3=2.545 nd2=1.80400 νd2=46.58
r4=62.473
d4=4.816
r5=-107.072
d5=1.000 nd3=1.69320 νd3=33.74
r6=19.058
d6=4.928
r7=-20.641
d7=0.700 nd4=1.59270 νd4=35.30
r8=75.257
d8=3.655 nd5=1.88300 νd5=40.77
r9=-32.834
d9=0.700
r10=∞(開口絞り)
d10=0.700
r11=29.345
d11=1.000 nd6=1.75211 νd6=25.05
r12=21.406
d12=3.415 nd7=1.77250 νd7=49.60
r13=-138.028
d13=0.200
r14=-104.955
d14=1.000 nd8=1.84666 νd8=23.78
r15=-344.335
d15=D(15)(可変)
r16=48.158
d16=1.000 nd9=1.60300 νd9=65.44
r17=19.952
d17=D(17)(可変)
r18=71.397(非球面)
d18=4.000 nd10=1.72916 νd10=54.67
r19=-50.007(非球面)
d19=D(19)(可変)
r20=∞
d20=2.000 nd11=1.51680 νd11=64.20
r21=∞
【0187】
円錐係数(K)および非球面係数(A,B,C,D)
(第18面)
K=0,
A=0, B=-1.50843×10-6,
C=4.19634×10-8, D=2.60558×10-10
(第19面)
K=0,
A=0, B=5.36879×10-6,
C=-2.49804×10-8, D=4.80956×10-10
【0188】
(各合焦状態の可変間隔)
無限遠 最至近距離
物体距離 ∞ 1240.000
D(15) 0.500 1.829
D(17) 4.269 2.582
D(19) 12.195 12.575
絞り半径 10.630 10.630
【0189】
f(光学系全系の焦点距離)=37.2
Fナンバー=1.47
最大像高=14.50
fB(正レンズL139の焦点距離)=40.91
Rm(メニスカスレンズL134の物体側面の曲率半径)=-20.64
【0190】
(条件式(1)に関する数値)
fB/f=1.10
【0191】
(条件式(2)に関する数値)
Rm/f=-0.55
【0192】
図92は、実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。図93は、実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図94は、実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。図95は、実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。図95において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.25mmにおける横収差曲線、(c)は実像高10.15mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.50mmにおける横収差曲線を示している。
【0193】
図96は、実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。図97は、実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図98は、実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。図99は、実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。図99において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.25mmにおける横収差曲線、(c)は実像高10.15mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.50mmにおける横収差曲線を示している。
【0194】
なお、上記各収差図中、dはd線(λ=587.6nm)、gはg線(λ=435.8nm)、FはF線(λ=486.1nm)、CはC線(λ=656.3nm)、eはe線(λ=546.1nm)に相当する波長の収差を表す。そして、像面湾曲図におけるS,Mは、それぞれサジタル像面、メリディオナル像面に対する収差を表す。
【0195】
なお、上記各実施例中の数値データにおいて、r1,r2,・・・・は各レンズ、絞り面などの曲率半径、d1,d2,・・・・は各レンズ、絞りなどの肉厚またはそれらの面間隔、nd1,nd2,・・・・は各レンズなどのd線(λ=587.6nm)に対する屈折率、νd1,νd2,・・・・は各レンズなどのd線(λ=587.6nm)に対するアッベ数を示している。そして、長さの単位はすべて「mm」である。
【0196】
また、上記各非球面形状は、非球面の深さをZ、光軸からの高さをyとし、光の進行方向を正とするとき、以下に示す式により表される。
【0197】
【数1】
【0198】
ただし、Rは近軸曲率半径、Kは円錐係数、A,B,C,Dはそれぞれ2次,4次,6次,8次の非球面係数である。
【0199】
以上説明したように、上記各実施例のインナーフォーカス式レンズは、大口径標準レンズとして使用可能な、高い結像性能を備えている。さらに、上記条件式を満足することにより、より優れた収差補正能力を備えることができる。また、適宜接合レンズや非球面レンズを用いることにより、より良好な収差補正を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0200】
以上のように、この発明にかかるインナーフォーカス式レンズは、デジタルスチルカメラなどの固体撮像素子を搭載した撮像装置に有用であり、特に、ミラーレス一眼カメラの大口径標準レンズとして最適である。
【符号の説明】
【0201】
L11,L18,L21,L28,L32,L39,L62,L69,L72,L79,L84,L89,L94,L99,L104,L110,L114,L120,L124,L128,L134 メニスカスレンズ
L12,L15,L17,L22,L25,L27,L31,L33,L36,L38,L61,L63,L66,L68,L71,L73,L76,L78,L81,L82,L86,L88,L91,L92,L95,L98,L101,L102,L106,L109,L111,L112,L116,L119,L121,L122,L125,L127,L131,L132,L136,L139,L942,L1042,L1142,L1242,L1342 正レンズ
L13,L14,L23,L26,L34,L37,L64,L65,L74,L75,L83,L85,L93,L96,L103,L105,L107,L113,L115,L117,L123,L133,L135,L137,L941,L1041,L1141,L1241,L1341 負レンズ
L16,L24,L35,L67,L77,L87,L97,L108,L118,L126,L138 負メニスカスレンズ
CG カバーガラス
ST 開口絞り
【技術分野】
【0001】
この発明は、デジタルスチルカメラなどの固体撮像素子を搭載した撮像装置に好適なインナーフォーカス式レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一眼レフカメラでは、撮影画像とファインダー画像とを一致させるために、撮影レンズを通った光をフィルムの手前に置いたミラーで反射させ、その光を光学式ファインダーに導く機構が必要であった。これに対し、デジタルカメラでは、撮像素子で捉えた画像を電子式ファインダーに表示するだけで従来の一眼レフカメラと同等のことを実現できる。このため、光学式ファインダーやこれに撮影像を導くためのミラーを省くことで装置の小型化を実現する、いわゆる「ミラーレス一眼カメラ」が登場してきた。ミラーレス一眼カメラでは、撮影レンズのバックフォーカスを短くすることができるため、搭載される撮影レンズの小型、軽量化が可能になった。
【0003】
さらなるカメラの小型、軽量化には、撮影レンズのフォーカス群の移動を制御する機構の小型、軽量化が望まれる。このためには、ミラーレス一眼カメラに搭載される撮影レンズのフォーカス群の軽量化が促進されることが好ましい。フォーカス群の軽量化が可能になれば、動画撮影時のフォーカス群移動の際の静音化による作動音の低減にも寄与できる。
【0004】
ところで、一般に、ミラーレス一眼カメラには、明るい標準レンズとして「ガウスタイプ」のものが使われている(たとえば、特許文献1を参照。)。「ガウスタイプ」のレンズは、明るい画像を得るのに適しているが、レンズ全体を繰り出してフォーカシングを行うため、フォーカス群の軽量化は困難である。また、「ガウスタイプ」のレンズは、絞りを挟んで強い凹面が対向しているため、「サジタルコマ収差」が大きく発生し、開放撮影時の結像性能が劣化するという問題がある。
【0005】
このような「ガウスタイプ」のレンズが有する問題を解決するものとして、レンズ後部のレンズ群のみを動かしてフォーカシングを行うインナーフォーカス式レンズがある(たとえば、特許文献2を参照)。このレンズによれば、一部のレンズ群でフォーカシングを行うことにより、フォーカス群の軽量化が可能になる。加えて、フォーカス群の軽量化により、動画撮影時のフォーカス群移動の際の静音化による作動音の低減も促進できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−242370号公報
【特許文献2】特許第2915985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載のインナーフォーカス式レンズは「中望遠レンズ」であるため、画角を広げると「トリプレット」の形状であるフォーカシングをつかさどる後群の画角に寄与する収差の補正能力が足りず、諸収差が大きく発生し画像が崩れるという問題がある。したがって、画角の狭い「中望遠」には対応できるが、標準レンズとして要求される画角には対応できない。
【0008】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、大口径標準レンズとして使用可能な、高い結像性能を備えたインナーフォーカス式レンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1に記載の発明にかかるインナーフォーカス式レンズは、開口絞りと、前記開口絞りより物体側に配置された、物体側に凹面を向けた第1のメニスカスレンズと、前記開口絞りより像側に配置された、像側に凹面を向けた第1の負レンズと、前記第1の負レンズより像側に配置された、像側に凸面を向けた第1の正レンズと、を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、レンズの大口径化に伴い顕著となるサジタルコマ収差を良好に補正し、また標準レンズとして要求される画角にも十分対応可能な収差補正能力を有する、高い結像性能を備えたインナーフォーカス方式レンズを実現することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明にかかるインナーフォーカス式レンズは、請求項1に記載の発明において、前記第1の負レンズは負メニスカスレンズであり、前記第1の正レンズより像側に、物体側に凹面を向けた第2のメニスカスレンズが配置されていることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、フォーカシングによる収差変動や軸外の収差の発生を抑制することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明にかかるインナーフォーカス式レンズは、請求項1または2に記載の発明において、前記第1のメニスカスレンズと前記開口絞りとの間に、物体側から順に、第2の正レンズと、第2の負レンズとが配置され、前記開口絞りと前記第1の負レンズとの間に、第3の正レンズが配置されていることを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、軸上色収差、倍率色収差、球面収差、非点収差、および像面湾曲などの諸収差を良好に補正して、高い結像性能を備えたインナーフォーカス式レンズを実現することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明にかかるインナーフォーカス式レンズは、請求項3に記載の発明において、前記第1のメニスカスレンズの物体側に、第4の正レンズが配置されていることを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、高次の球面収差をより良好に補正することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明にかかるインナーフォーカス式レンズは、請求項1または2に記載の発明において、前記第1のメニスカスレンズの物体側には、物体側から順に、第2の正レンズと、第2の負レンズとが配置され、前記開口絞りと前記第1の負レンズとの間に、第3の正レンズが配置されていることを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、軸上色収差、倍率色収差、球面収差、非点収差、および像面湾曲などの諸収差を良好に補正して、高い結像性能を備えたインナーフォーカス式レンズを実現することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明にかかるインナーフォーカス式レンズは、請求項1〜5のいずれか一つに記載の発明において、前記第1の負レンズと前記第1の正レンズとの間隔を狭めることにより、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行うことを特徴とする。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、フォーカシングに際し、コマ収差、球面収差、非点収差をはじめとする軸外収差の変動を抑制することができる。
【0021】
請求項7に記載の発明にかかるインナーフォーカス式レンズは、請求項3〜5のいずれか一つに記載の発明において、前記第3の正レンズを像側から物体側に移動させることにより、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行うことを特徴とする。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、フォーカシングに際し、コマ収差、球面収差、非点収差をはじめとする軸外収差の変動を抑制することができる。
【0023】
請求項8に記載の発明にかかるインナーフォーカス式レンズは、請求項1〜7のいずれか一つに記載の発明において、前記第1の正レンズの焦点距離をfB、光学系全系の焦点距離をfとするとき、以下に示す条件式を満足することを特徴とする。
(1) 0<fB/f<3.0
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、フォーカシングによる諸収差の変動を抑制し、高い結像性能を備えたインナーフォーカス式レンズを実現することができる。
【0025】
請求項9に記載の発明にかかるインナーフォーカス式レンズは、請求項1〜8のいずれか一つに記載の発明において、前記第1のメニスカスレンズの物体側面の曲率半径をRm、光学系全系の焦点距離をfとするとき、以下に示す条件式を満足することを特徴とする。
(2) −5.0<Rm/f<0
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、諸収差を良好に補正し、高い結像性能を備えたインナーフォーカス式レンズを実現することができる。
【発明の効果】
【0027】
この発明によれば、大口径標準レンズとして使用可能な、高い結像性能を備えたインナーフォーカス式レンズを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
【図2】実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。
【図3】実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図4】実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図5】実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。
【図6】実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。
【図7】実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図8】実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図9】実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。
【図10】実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
【図11】実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。
【図12】実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図13】実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図14】実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。
【図15】実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。
【図16】実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図17】実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図18】実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。
【図19】実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
【図20】実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。
【図21】実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図22】実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図23】実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。
【図24】実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。
【図25】実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図26】実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図27】実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。
【図28】実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
【図29】実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。
【図30】実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図31】実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図32】実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。
【図33】実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。
【図34】実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図35】実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図36】実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。
【図37】実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
【図38】実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。
【図39】実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図40】実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図41】実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。
【図42】実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。
【図43】実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図44】実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図45】実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。
【図46】実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
【図47】実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。
【図48】実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図49】実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図50】実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。
【図51】実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。
【図52】実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図53】実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図54】実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。
【図55】実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
【図56】実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。
【図57】実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図58】実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図59】実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。
【図60】実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。
【図61】実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図62】実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図63】実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。
【図64】実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
【図65】実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。
【図66】実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図67】実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図68】実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。
【図69】実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。
【図70】実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図71】実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図72】実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。
【図73】実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
【図74】実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。
【図75】実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図76】実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図77】実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。
【図78】実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。
【図79】実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図80】実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図81】実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。
【図82】実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
【図83】実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。
【図84】実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図85】実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図86】実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。
【図87】実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。
【図88】実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図89】実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図90】実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。
【図91】実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
【図92】実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。
【図93】実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図94】実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図95】実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。
【図96】実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。
【図97】実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。
【図98】実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。
【図99】実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、この発明にかかるインナーフォーカス式レンズの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0030】
この発明にかかるインナーフォーカス式レンズは、開口絞りと、開口絞りより物体側に配置された、物体側に凹面を向けた第1のメニスカスレンズと、開口絞りより像側に配置された、像側に凹面を向けた第1の負レンズと、前記第1の負レンズより像側に配置された、像側に凸面を向けた第1の正レンズと、を備えている(基本構成)。
【0031】
この発明では、開口絞りより物体側に、物体側に凹面を向けた第1のメニスカスレンズを配置したことにより、大口径化することにより顕著になるサジタルコマ収差を効果的に補正することができる。この収差補正効果は、開口絞りより物体側に、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズを1枚配置することにより得られるが、当該メニスカスレンズを複数枚配置すればより優れた収差補正効果を得ることができる。なお、当該メニスカスレンズと開口絞りとの間隔が狭くなるほど、高次の球面収差、像面湾曲、非点収差の補正に有利になる。しかし、サジタルコマ収差の補正効果が弱くなるため、メニスカスレンズと開口絞りとの間隔を適切に設定することが必要である。さらに、開口絞りより像側に、像側に凹面を向けた第1の負レンズと、第1の負レンズより像側に配置された、像側に凸面を向けた第1の正レンズを配置したことにより、適切なバックフォーカスを確保することが可能になり、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを収差変動を十分に抑制しながら行うことができる。加えて、標準レンズとして要求される画角にも十分対応可能な収差補正能力を備えることもできる。第1の正レンズは、像側に凸面を向けて配置されていればよく、両凸レンズでも平凸レンズでも差し支えない。また、開口絞りより像側に、像側に凹面を向けた第1の負レンズを配置したことにより、サジタルコマ収差を良好に補正することができる。なお、この第1の負レンズが負メニスカスレンズであれば、より良好にサジタルコマ収差を補正することができる。
【0032】
さらに、この発明にかかるインナーフォーカス式レンズでは、第1の正レンズより像側に、物体側に凹面を向けた第2のメニスカスレンズを配置するとよい。このようにすることにより、フォーカシングの際に生じる収差変動を抑制することができるとともに、軸外収差を良好に補正することが可能になる。
【0033】
さらに、この発明にかかるインナーフォーカス式レンズは、前記基本構成において、第1のメニスカスレンズと開口絞りとの間に、物体側から順に、第2の正レンズと、第2の負レンズとを配置し、開口絞りと第1の負レンズとの間に、第3の正レンズを配置するとよい。
【0034】
このようにすることで、開口絞り近傍をトリプレットタイプに準ずるレンズ構成とすることができ、開口絞りを挟んでレンズ凹面が対向するガウスタイプのレンズ構成にみられるようなサジタルコマ収差の発生を抑制し、軸上収差と軸外収差とのバランスを整えることが可能になる。この結果、軸上色収差、倍率色収差、球面収差、非点収差、および像面湾曲などの諸収差を良好に補正して、高い結像性能を備えたインナーフォーカス式レンズを実現することができる。
【0035】
ここで、さらなる大口径化を図る場合(たとえば、F1.4程度以下)、この発明のように、開口絞りよりも物体側に、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズを配置した場合、高次の球面収差の発生が大きくなる傾向にある。そこで、第1のメニスカスレンズの物体側に、屈折力の弱い第4の正レンズを配置して、第1のメニスカスレンズの機能の一部を第4の正レンズに担わせることにより、高次の球面収差の発生を抑制することができる。
【0036】
また、この発明にかかるインナーフォーカス式レンズでは、前記基本構成において、第1のメニスカスレンズの物体側に、物体側から順に、第2の正レンズと、第2の負レンズとを配置し、開口絞りと第1の負レンズとの間に、第3の正レンズを配置してもよい。
【0037】
このように構成しても、開口絞りを挟んでレンズ凹面が対向するガウスタイプのレンズ構成にみられるようなサジタルコマ収差の発生を抑制し、軸上収差と軸外収差とのバランスを整えることが可能になる。この結果、軸上色収差、倍率色収差、球面収差、非点収差、および像面湾曲などの諸収差を良好に補正して、高い結像性能を備えたインナーフォーカス式レンズを実現することができる。
【0038】
この発明にかかるインナーフォーカス式レンズは、第1の負レンズと第1の正レンズとの間隔を狭めることにより、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行う。
【0039】
このように、第1の負レンズを移動させてフォーカシングを行うことで、コマ収差、球面収差の変動を抑制することができる。また、第1の正レンズを移動させてフォーカシングを行うことにより、非点収差をはじめとする軸外収差の変動を抑制することができる。
【0040】
一方、第3の正レンズを像側から物体側に移動させることにより、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行ってもよい。このようにしても、非点収差をはじめとする軸外収差の変動を抑制し、収差変動の少ないフォーカシングを行うことができる。
【0041】
さらに、この発明にかかるインナーフォーカス式レンズでは、第1の正レンズの焦点距離をfB、光学系全系の焦点距離をfとするとき、次に示す条件式を満足することが好ましい。
(1) 0<fB/f<3.0
【0042】
条件式(1)は、光学系全系の焦点距離に対する第1の正レンズの焦点距離の比率を規定して、フォーカシングの際に生じる諸収差の変動を抑制し、結像性能を向上させるための条件を示すものである。条件式(1)においてその下限を下回ると、適切な光学系のバックフォーカスを確保することができず、良好な結像性能を維持できなくなる。一方、条件式(1)においてその上限を超えると、球面収差が大きく発生して、結像性能の著しい劣化をまねく。
【0043】
なお、上記条件式(1)は、次に示す範囲を満足すると、より好ましい効果が期待できる。
(1)’ 0.5<fB/f<1.2
この条件式(1)’で規定する範囲を満足することにより、より良好な結像性能を維持することができる。
【0044】
さらに、この発明にかかるインナーフォーカス式レンズでは、第1のメニスカスレンズの物体側面の曲率半径をRm、光学系全系の焦点距離をfとするとき、次に示す条件式を満足することが好ましい。
(2) −5.0<Rm/f<0
【0045】
条件式(2)は、光学系全系の焦点距離に対する第1のメニスカスレンズの物体側面の曲率半径の比率を規定して、結像性能を向上させるための条件を示すものである。条件式(2)においてその下限を下回ると、高次の球面収差が大きく発生して、結像性能の著しい劣化をまねく。一方、条件式(2)においてその上限を超えると、サジタルコマ収差やメリディオナルコマ収差の補正が困難になり、やはり結像性能の著しい劣化をまねく。
【0046】
なお、上記条件式(2)は、次に示す範囲を満足すると、より好ましい効果が期待できる。
(2)’ −2.1<Rm/f<−0.45
この条件式(2)’で規定する範囲を満足することにより、より良好な結像性能を維持することができる。
【0047】
以上説明したように、この発明によれば、大口径標準レンズとして使用可能な、高い結像性能を備えたインナーフォーカス式レンズを実現することができる。特に、上記各条件式を満足することにより、より優れた収差補正能力を備えることができる。なお、この発明のインナーフォーカス式レンズにおいて、第1のメニスカスレンズを、負レンズと正レンズとを接合して形成すれば、さらに諸収差を良好に補正することができる。また、適宜非球面を形成することによっても、より良好な収差補正を行うことができる。
【0048】
以下、この発明にかかるインナーフォーカス式レンズの実施例を図面に基づき詳細に説明する。なお、以下の実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0049】
図1は、実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。このインナーフォーカス式レンズは、図示しない物体側から順に、メニスカスレンズL11(第1のメニスカスレンズ)、正レンズL12(第2の正レンズ)、負レンズL13(第2の負レンズ)、開口絞りST、負レンズL14、正レンズL15(第3の正レンズ)、負メニスカスレンズL16(第1の負レンズ)、正レンズL17(第1の正レンズ)、およびメニスカスレンズL18(第2のメニスカスレンズ)が配置されて構成される。
【0050】
メニスカスレンズL11は、物体側に凹面を向けて配置されている。負レンズL14と正レンズL15とは、接合されている。負メニスカスレンズL16は、像側に凹面を向けて配置されている。正レンズL17は、両凸レンズで構成されている。メニスカスレンズL18は、物体側に凹面を向けて配置されている。
【0051】
このインナーフォーカス式レンズでは、負メニスカスレンズL16を光軸に沿って物体側から像側へ、正レンズL17を光軸に沿って像側から物体側へそれぞれ移動させ、それらの間隔を狭めることによって、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行う。
【0052】
また、メニスカスレンズL18の像側には、カバーガラスCGが配置されている。カバーガラスCGは必要に応じて配置されるものであり、不要な場合は省略可能である。
【0053】
以下、実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズに関する各種数値データを示す。
【0054】
(レンズデータ)
r1=-59.890
d1=3.000 nd1=1.83481 νd1=42.72
r2=-42.420
d2=3.000
r3=24.695
d3=4.000 nd2=1.83481 νd2=42.72
r4=73.102
d4=2.431
r5=-34.726
d5=2.000 nd3=1.72825 νd3=28.32
r6=19.785
d6=3.100
r7=∞(開口絞り)
d7=0.700
r8=33.509
d8=1.000 nd4=1.84666 νd4=23.78
r9=19.581
d9=5.104 nd5=1.91082 νd5=35.25
r10=-55.702
d10=D(10)(可変)
r11=35.354
d11=1.000 nd6=1.60300 νd6=65.44
r12=20.514
d12=D(12)(可変)
r13=59.028
d13=3.500 nd7=1.72916 νd7=54.67
r14=-28.674
d14=D(14)(可変)
r15=-21.979
d15=1.000 nd8=1.80809 νd8=22.76
r16=-59.729
d16=5.000
r17=∞
d17=2.000 nd9=1.51680 νd9=64.20
r18=∞
【0055】
(各合焦状態の可変間隔)
無限遠 0.025倍 最至近距離
物体距離 ∞ 1240.000 400.000
D(10) 0.500 2.232 5.213
D(12) 8.052 6.007 2.721
D(14) 6.884 7.067 7.580
【0056】
f(光学系全系の焦点距離)=35.25
Fナンバー=1.80
最大像高=14.20
fB(正レンズL17の焦点距離)=26.9
Rm(メニスカスレンズL11の物体側面の曲率半径)=-59.9
【0057】
(条件式(1)に関する数値)
fB/f=0.76
【0058】
(条件式(2)に関する数値)
Rm/f=-1.70
【0059】
図2は、実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。図3は、実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図4は、実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。図5は、実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。図5において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.10mmにおける横収差曲線、(c)は実像高9.94mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.20mmにおける横収差曲線を示している。
【0060】
図6は、実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。図7は、実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図8は、実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。図9は、実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。図9において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.10mmにおける横収差曲線、(c)は実像高9.94mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.20mmにおける横収差曲線を示している。
【0061】
なお、上記各収差図中、dはd線(λ=587.6nm)、gはg線(λ=435.8nm)、FはF線(λ=486.1nm)、CはC線(λ=656.3nm)、eはe線(λ=546.1nm)に相当する波長の収差を表す。そして、像面湾曲図におけるS,Mは、それぞれサジタル像面、メリディオナル像面に対する収差を表す。
【実施例2】
【0062】
図10は、実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。このインナーフォーカス式レンズは、図示しない物体側から順に、メニスカスレンズL21(第1のメニスカスレンズ)、正レンズL22(第2の正レンズ)、負レンズL23(第2の負レンズ)、開口絞りST、負メニスカスレンズL24、正レンズL25(第3の正レンズ)、負レンズL26(第1の負レンズ)、正レンズL27(第1の正レンズ)、およびメニスカスレンズL28(第2のメニスカスレンズ)が配置されて構成される。
【0063】
メニスカスレンズL21は、物体側に凹面を向けて配置されている。負メニスカスレンズL24は、像側に凹面を向けて配置されている。また、負メニスカスレンズL24と正レンズL25とは、接合されている。正レンズL27は、両凸レンズで構成されている。メニスカスレンズL28は、物体側に凹面を向けて配置されている。
【0064】
このインナーフォーカス式レンズでは、正レンズL25を光軸に沿って物体側へ移動させることによって、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行う。
【0065】
また、メニスカスレンズL28の像側には、カバーガラスCGが配置されている。カバーガラスCGは必要に応じて配置されるものであり、不要な場合は省略可能である。
【0066】
以下、実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズに関する各種数値データを示す。
【0067】
(レンズデータ)
r1=-19.502
d1=2.000 nd1=1.83481 νd1=42.72
r2=-19.723
d2=0.400
r3=21.308
d3=2.632 nd2=1.83481 νd2=42.72
r4=114.824
d4=1.068
r5=-57.513
d5=1.000 nd3=1.72825 νd3=28.32
r6=19.099
d6=4.794
r7=∞(開口絞り)
d7=D(7)(可変)
r8=29.811
d8=0.800 nd4=1.84666 νd4=23.78
r9=15.954
d9=4.925 nd5=1.91082 νd5=35.25
r10=-41.021
d10=0.500
r11=-40.904
d11=0.700 nd6=1.60300 νd6=65.44
r12=133.368
d12=D(12)(可変)
r13=68.082
d13=2.486 nd7=1.72916 νd7=54.67
r14=-31.344
d14=D(14)(可変)
r15=-16.622
d15=1.000 nd8=1.80809 νd8=22.76
r16=-47.882
d16=4.825
r17=∞
d17=2.000 nd9=1.51680 νd9=64.20
r18=∞
【0068】
(各合焦状態の可変間隔)
無限遠 0.025倍 最至近距離
物体距離 ∞ 1240.000 600.000
D(7) 2.231 1.378 0.700
D(12) 9.218 9.916 10.391
D(14) 3.556 3.830 4.148
【0069】
f(光学系全系の焦点距離)=32.17
Fナンバー=1.80
最大像高=14.20
fB(正レンズL27の焦点距離)=29.75
Rm(メニスカスレンズL21の物体側面の曲率半径)=-19.50
【0070】
(条件式(1)に関する数値)
fB/f=0.92
【0071】
(条件式(2)に関する数値)
Rm/f=-0.61
【0072】
図11は、実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。図12は、実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図13は、実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。図14は、実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。図14において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.10mmにおける横収差曲線、(c)は実像高9.94mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.20mmにおける横収差曲線を示している。
【0073】
図15は、実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。図16は、実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図17は、実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。図18は、実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。図18において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.10mmにおける横収差曲線、(c)は実像高9.94mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.20mmにおける横収差曲線を示している。
【0074】
なお、上記各収差図中、dはd線(λ=587.6nm)、gはg線(λ=435.8nm)、FはF線(λ=486.1nm)、CはC線(λ=656.3nm)、eはe線(λ=546.1nm)に相当する波長の収差を表す。そして、像面湾曲図におけるS,Mは、それぞれサジタル像面、メリディオナル像面に対する収差を表す。
【実施例3】
【0075】
図19は、実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。このインナーフォーカス式レンズは、図示しない物体側から順に、正レンズL31(第4の正レンズ)、メニスカスレンズL32(第1のメニスカスレンズ)、正レンズL33(第2の正レンズ)、負レンズL34(第2の負レンズ)、開口絞りST、負メニスカスレンズL35、正レンズL36(第3の正レンズ)、負レンズL37(第1の負レンズ)、正レンズL38(第1の正レンズ)、およびメニスカスレンズL39(第2のメニスカスレンズ)が配置されて構成される。
【0076】
メニスカスレンズL32は、物体側に凹面を向けて配置されている。負メニスカスレンズL35は、像側に凹面を向けて配置されている。また、負メニスカスレンズL35と正レンズL36とは、接合されている。正レンズL38は、両凸レンズで構成されている。メニスカスレンズL39は、物体側に凹面を向けて配置されている。
【0077】
このインナーフォーカス式レンズでは、正レンズL36を光軸に沿って像側から物体側へ移動させることによって、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行う。
【0078】
また、メニスカスレンズL39の像側には、カバーガラスCGが配置されている。カバーガラスCGは必要に応じて配置されるものであり、不要な場合は省略可能である。
【0079】
以下、実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズに関する各種数値データを示す。
【0080】
(レンズデータ)
r1=-256.311
d1=2.000 nd1=1.83481 νd1=42.72
r2=-182.456
d2=1.947
r3=-23.622
d3=2.000 nd2=1.83481 νd2=42.72
r4=-23.278
d4=2.000
r5=20.193
d5=2.632 nd3=1.83481 νd3=42.72
r6=73.407
d6=1.307
r7=-59.157
d7=1.000 nd4=1.72825 νd4=28.32
r8=17.632
d8=4.212
r9=∞(開口絞り)
d9=D(9)(可変)
r10=29.080
d10=0.500 nd5=1.84666 νd5=23.78
r11=15.709
d11=5.111 nd6=1.91082 νd6=35.25
r12=-37.566
d12=0.356
r13=-44.971
d13=0.500 nd7=1.60300 νd7=65.44
r14=106.056
d14=D(14)(可変)
r15=114.640
d15=2.261 nd8=1.72916 νd8=54.67
r16=-29.658
d16=D(16)(可変)
r17=-15.746
d17=1.000 nd9=1.80809 νd9=22.76
r18=-35.867
d18=4.536
r19=∞
d19=2.000 nd10=1.51680 νd10=64.20
r20=∞
【0081】
(各合焦状態の可変間隔)
無限遠 0.025倍 最至近距離
物体距離 ∞ 1240.000 600.000
D(9) 1.838 1.155 0.700
D(14) 10.908 11.225 11.349
D(16) 3.441 3.906 4.304
【0082】
f(光学系全系の焦点距離)=33.651
Fナンバー=1.818
最大像高=14.20
fB(正レンズL38の焦点距離)=32.53
Rm(メニスカスレンズL32の物体側面の曲率半径)=-23.62
【0083】
(条件式(1)に関する数値)
fB/f=0.97
【0084】
(条件式(2)に関する数値)
Rm/f=-0.70
【0085】
図20は、実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。図21は、実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図22は、実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。図23は、実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。図23において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.10mmにおける横収差曲線、(c)は実像高9.94mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.20mmにおける横収差曲線を示している。
【0086】
図24は、実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。図25は、実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図26は、実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。図27は、実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。図27において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.10mmにおける横収差曲線、(c)は実像高9.94mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.20mmにおける横収差曲線を示している。
【0087】
なお、上記各収差図中、dはd線(λ=587.6nm)、gはg線(λ=435.8nm)、FはF線(λ=486.1nm)、CはC線(λ=656.3nm)、eはe線(λ=546.1nm)に相当する波長の収差を表す。そして、像面湾曲図におけるS,Mは、それぞれサジタル像面、メリディオナル像面に対する収差を表す。
【実施例4】
【0088】
図28は、実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。このインナーフォーカス式レンズは、図示しない物体側から順に、正レンズL61(第4の正レンズ)、メニスカスレンズL62(第1のメニスカスレンズ)、正レンズL63(第2の正レンズ)、負レンズL64(第2の負レンズ)、開口絞りST、負レンズL65、正レンズL66(第3の正レンズ)、負メニスカスレンズL67(第1の負レンズ)、正レンズL68(第1の正レンズ)、およびメニスカスレンズL69(第2のメニスカスレンズ)が配置されて構成される。
【0089】
メニスカスレンズL62は、物体側に凹面を向けて配置されている。メニスカスレンズL62の像側面には、非球面が形成されている。正レンズL63の物体側面には、非球面が形成されている。負レンズL65の物体側面には、非球面が形成されている。負レンズL65と正レンズL66とは、接合されている。負メニスカスレンズL67は、像側に凹面を向けて配置されている。正レンズL68は、両凸レンズで構成されている。正レンズL68の物体側面には、非球面が形成されている。メニスカスレンズL69は、物体側に凹面を向けて配置されている。
【0090】
このインナーフォーカス式レンズでは、負メニスカスレンズL67を光軸に沿って物体側から像側へ、正レンズL68を光軸に沿って像側から物体側へそれぞれ移動させ、それらの間隔を狭めることによって、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行う。
【0091】
また、メニスカスレンズL69の像側には、カバーガラスCGが配置されている。カバーガラスCGは必要に応じて配置されるものであり、不要な場合は省略可能である。
【0092】
以下、実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズに関する各種数値データを示す。
【0093】
(レンズデータ)
r1=-2268.565
d1=2.330 nd1=1.83481 νd1=42.72
r2=-52.071
d2=1.478
r3=-30.558
d3=1.593 nd2=1.83481 νd2=42.72
r4=-32.508(非球面)
d4=1.000
r5=18.582(非球面)
d5=3.507 nd3=1.83481 νd3=42.72
r6=22.297
d6=3.741
r7=-48.669
d7=1.000 nd4=1.72825 νd4=28.32
r8=19.301
d8=3.491
r9=∞(開口絞り)
d9=0.700
r10=34.173(非球面)
d10=1.000 nd5=1.84666 νd5=23.78
r11=17.207
d11=6.982 nd6=1.91082 νd6=35.25
r12=-68.639
d12=D(12)(可変)
r13=61.207
d13=1.000 nd7=1.60300 νd7=65.44
r14=24.067
d14=D(14)(可変)
r15=43.712(非球面)
d15=4.787 nd8=1.72916 νd8=54.67
r16=-28.792
d16=D(16)(可変)
r17=-21.076
d17=1.000 nd9=1.80809 νd9=22.76
r18=-37.654
d18=5.000
r19=∞
d19=2.000 nd10=1.51680 νd10=64.20
r20=∞
【0094】
円錐係数(K)および非球面係数(A,B,C,D)
(第4面)
K=-0.1551,
A=0, B=8.34893×10-7,
C=4.86713×10-10, D=-1.77662×10-11
(第5面)
K=-0.0042,
A=0, B=-4.50840×10-10,
C=1.27514×10-9, D=-1.81248×10-11
(第10面)
K=-0.2772,
A=0, B=-2.37935×10-7,
C=-4.63079×10-9, D=-2.75770×10-11
(第15面)
K=-0.0980,
A=0, B=-5.46640×10-7,
C=9.48583×10-9, D=-6.00412×10-11
【0095】
(各合焦状態の可変間隔)
無限遠 0.025倍 最至近距離
物体距離 ∞ 1240.000 400.000
D(12) 0.500 1.813 3.904
D(14) 8.067 6.362 3.904
D(16) 5.613 6.002 6.771
【0096】
f(光学系全系の焦点距離)=35.62
Fナンバー=1.34
最大像高=14.20
fB(正レンズL68の焦点距離)=24.49
Rm(メニスカスレンズL62の物体側面の曲率半径)=-30.56
【0097】
(条件式(1)に関する数値)
fB/f=0.69
【0098】
(条件式(2)に関する数値)
Rm/f=-0.86
【0099】
図29は、実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。図30は、実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図31は、実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。図320は、実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。図32において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.10mmにおける横収差曲線、(c)は実像高9.94mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.20mmにおける横収差曲線を示している。
【0100】
図33は、実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。図34は、実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図35は、実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。図36は、実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。図36において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.10mmにおける横収差曲線、(c)は実像高9.94mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.20mmにおける横収差曲線を示している。
【0101】
なお、上記各収差図中、dはd線(λ=587.6nm)、gはg線(λ=435.8nm)、FはF線(λ=486.1nm)、CはC線(λ=656.3nm)、eはe線(λ=546.1nm)に相当する波長の収差を表す。そして、像面湾曲図におけるS,Mは、それぞれサジタル像面、メリディオナル像面に対する収差を表す。
【実施例5】
【0102】
図37は、実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。このインナーフォーカス式レンズは、図示しない物体側から順に、正レンズL71(第4の正レンズ)、メニスカスレンズL72(第1のメニスカスレンズ)、正レンズL73(第2の正レンズ)、負レンズL74(第2の負レンズ)、開口絞りST、負レンズL75、正レンズL76(第3の正レンズ)、負メニスカスレンズL77(第1の負レンズ)、正レンズL78(第1の正レンズ)、およびメニスカスレンズL79(第2のメニスカスレンズ)が配置されて構成される。
【0103】
メニスカスレンズL72は、物体側に凹面を向けて配置されている。負レンズL75と正レンズL76とは、接合されている。負メニスカスレンズL77は、像側に凹面を向けて配置されている。正レンズL78は、両凸レンズで構成されている。メニスカスレンズL79は、物体側に凹面を向けて配置されている。
【0104】
このインナーフォーカス式レンズでは、負メニスカスレンズL77を光軸に沿って物体側から像側へ、正レンズL78を光軸に沿って像側から物体側へそれぞれ移動させ、それらの間隔を狭めることによって、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行う。
【0105】
また、メニスカスレンズL79の像側には、カバーガラスCGが配置されている。カバーガラスCGは必要に応じて配置されるものであり、不要な場合は省略可能である。
【0106】
以下、実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズに関する各種数値データを示す。
【0107】
(レンズデータ)
r1=-157.348
d1=2.330 nd1=1.83481 νd1=42.72
r2=-50.024
d2=2.084
r3=-24.121
d3=2.850 nd2=1.83481 νd2=42.72
r4=-25.264
d4=1.000
r5=22.353
d5=6.025 nd3=1.83481 νd3=42.72
r6=34.440
d6=2.665
r7=-49.704
d7=1.000 nd4=1.72825 νd4=28.32
r8=18.089
d8=3.100
r9=∞(開口絞り)
d9=0.700
r10=33.798
d10=1.000 nd5=1.84666 νd5=23.78
r11=17.396
d11=4.563 nd6=1.91082 νd6=35.25
r12=-74.843
d12=D(12)(可変)
r13=63.864
d13=1.000 nd7=1.60300 νd7=65.44
r14=26.576
d14=D(14)(可変)
r15=68.735
d15=3.803 nd8=1.72916 νd8=54.67
r16=-26.242
d16=D(16)(可変)
r17=-19.308
d17=1.000 nd9=1.80809 νd9=22.76
r18=-29.601
d18=5.000
r19=∞
d19=2.000 nd10=1.51680 νd10=64.20
r20=∞
【0108】
(各合焦状態の可変間隔)
無限遠 0.025倍 最至近距離
物体距離 ∞ 1240.000 400.000
D(12) 0.500 1.670 4.502
D(14) 10.701 9.170 5.749
D(16) 5.882 6.208 7.193
【0109】
f(光学系全系の焦点距離)=36.74
Fナンバー=1.49
最大像高=14.20
fB(正レンズL78の焦点距離)=26.49
Rm(メニスカスレンズL72の物体側面の曲率半径)=-24.12
【0110】
(条件式(1)に関する数値)
fB/f=0.72
【0111】
(条件式(2)に関する数値)
Rm/f=-0.66
【0112】
図38は、実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。図39は、実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図40は、実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。図41は、実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。図41において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.10mmにおける横収差曲線、(c)は実像高9.94mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.20mmにおける横収差曲線を示している。
【0113】
図42は、実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。図43は、実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図44は、実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。図45は、実施例5にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。図45において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.10mmにおける横収差曲線、(c)は実像高9.94mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.20mmにおける横収差曲線を示している。
【0114】
なお、上記各収差図中、dはd線(λ=587.6nm)、gはg線(λ=435.8nm)、FはF線(λ=486.1nm)、CはC線(λ=656.3nm)、eはe線(λ=546.1nm)に相当する波長の収差を表す。そして、像面湾曲図におけるS,Mは、それぞれサジタル像面、メリディオナル像面に対する収差を表す。
【実施例6】
【0115】
図46は、実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。このインナーフォーカス式レンズは、図示しない物体側から順に、正レンズL81、正レンズL82(第2の正レンズ)、負レンズL83(第2の負レンズ)、メニスカスレンズL84(第1のメニスカスレンズ)、開口絞りST、負レンズL85、正レンズL86(第3の正レンズ)、負メニスカスレンズL87(第1の負レンズ)、正レンズL88(第1の正レンズ)、およびメニスカスレンズL89(第2のメニスカスレンズ)が配置されて構成される。
【0116】
メニスカスレンズL84は、物体側に凹面を向けて配置されている。負レンズL85と正レンズL86とは、接合されている。負メニスカスレンズL87は、像側に凹面を向けて配置されている。正レンズL88は、両凸レンズで構成されている。メニスカスレンズL89は、物体側に凹面を向けて配置されている。
【0117】
このインナーフォーカス式レンズでは、負メニスカスレンズL87を光軸に沿って物体側から像側へ、正レンズL88を光軸に沿って像側から物体側へそれぞれ移動させ、それらの間隔を狭めることによって、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行う。
【0118】
また、メニスカスレンズL89の像側には、カバーガラスCGが配置されている。カバーガラスCGは必要に応じて配置されるものであり、不要な場合は省略可能である。
【0119】
以下、実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズに関する各種数値データを示す。
【0120】
(レンズデータ)
r1=683.235
d1=2.330 nd1=1.83481 νd1=42.72
r2=-90.015
d2=0.100
r3=21.167
d3=4.851 nd2=1.83481 νd2=42.72
r4=56.810
d4=2.665
r5=-219.786
d5=1.000 nd3=1.72825 νd3=28.32
r6=14.546
d6=4.402
r7=-27.860
d7=4.407 nd4=1.51633 νd4=64.15
r8=-30.553
d8=0
r9=∞(開口絞り)
d9=0.700
r10=36.229
d10=1.000 nd5=1.84666 νd5=23.78
r11=16.833
d11=3.568 nd6=1.91082 νd6=35.25
r12=-349.850
d12=D(12)(可変)
r13=71.687
d13=1.000 nd7=1.60300 νd7=65.44
r14=23.881
d14=D(14)(可変)
r15=51.278
d15=4.046 nd8=1.72916 νd8=54.67
r16=-26.894
d16=D(16)(可変)
r17=-20.704
d17=1.000 nd9=1.80809 νd9=22.76
r18=-35.036
d18=5.000
r19=∞
d19=2.000 nd10=1.51680 νd10=64.20
r20=∞
【0121】
(各合焦状態の可変間隔)
無限遠 最至近距離
物体距離 ∞ 400.000
D(12) 0.500 3.946
D(14) 9.530 5.220
D(16) 5.602 6.703
【0122】
f(光学系全系の焦点距離)=35.38
Fナンバー=1.50
最大像高=14.20
fB(正レンズL88の焦点距離)=24.73
Rm(メニスカスレンズL84の物体側面の曲率半径)=-27.86
【0123】
(条件式(1)に関する数値)
fB/f=0.70
【0124】
(条件式(2)に関する数値)
Rm/f=-0.79
【0125】
図47は、実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。図48は、実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図49は、実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。図50は、実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。図50において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.10mmにおける横収差曲線、(c)は実像高9.94mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.20mmにおける横収差曲線を示している。
【0126】
図51は、実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。図52は、実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図53は、実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。図54は、実施例6にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。図54において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.10mmにおける横収差曲線、(c)は実像高9.94mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.20mmにおける横収差曲線を示している。
【0127】
なお、上記各収差図中、dはd線(λ=587.6nm)、gはg線(λ=435.8nm)、FはF線(λ=486.1nm)、CはC線(λ=656.3nm)、eはe線(λ=546.1nm)に相当する波長の収差を表す。そして、像面湾曲図におけるS,Mは、それぞれサジタル像面、メリディオナル像面に対する収差を表す。
【実施例7】
【0128】
図55は、実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。このインナーフォーカス式レンズは、図示しない物体側から順に、正レンズL91、正レンズL92(第2の正レンズ)、負レンズL93(第2の負レンズ)、メニスカスレンズL94(第1のメニスカスレンズ)、開口絞りST、正レンズL95(第3の正レンズ)、負レンズL96、負メニスカスレンズL97(第1の負レンズ)、正レンズL98(第1の正レンズ)、およびメニスカスレンズL99(第2のメニスカスレンズ)が配置されて構成される。
【0129】
メニスカスレンズL94は、物体側から順に配置された、負レンズL941と正レンズL942とが接合されて形成されている。このメニスカスレンズL94は、物体側に凹面を向けて配置されている。正レンズL95と負レンズL96とは、接合されている。負メニスカスレンズL97は、像側に凹面を向けて配置されている。正レンズL98は、両凸レンズで構成されている。メニスカスレンズL99は、物体側に凹面を向けて配置されている。
【0130】
このインナーフォーカス式レンズでは、負メニスカスレンズL97を光軸に沿って物体側から像側へ、正レンズL98を光軸に沿って像側から物体側へそれぞれ移動させ、それらの間隔を狭めることによって、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行う。
【0131】
また、メニスカスレンズL99の像側には、カバーガラスCGが配置されている。カバーガラスCGは必要に応じて配置されるものであり、不要な場合は省略可能である。
【0132】
以下、実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズに関する各種数値データを示す。
【0133】
(レンズデータ)
r1=-9515.475
d1=2.330 nd1=1.80400 νd1=46.57
r2=-73.251
d2=0.100
r3=19.229
d3=3.454 nd2=1.80318 νd2=46.38
r4=41.633
d4=1.906
r5=274.129
d5=1.000 nd3=1.69600 νd3=36.29
r6=14.616
d6=6.745
r7=-18.709
d7=0.700 nd4=1.59270 νd4=35.30
r8=94.901
d8=3.863 nd5=1.88300 νd5=40.77
r9=-28.097
d9=0.700
r10=∞(開口絞り)
d10=0.700
r11=27.632
d11=4.164 nd6=1.75500 νd6=52.33
r12=-158.397
d12=1.000 nd7=2.00178 νd7=19.32
r13=1313.843
d13=D(13)(可変)
r14=63.872
d14=1.000 nd8=1.61405 νd8=54.99
r15=20.433
d15=D(15)(可変)
r16=49.723
d16=4.881 nd9=1.72916 νd9=54.67
r17=-29.255
d17=D(17)(可変)
r18=-23.924
d18=1.000 nd10=1.80809 νd10=22.76
r19=-47.034
d19=5.000
r20=∞
d20=2.000 nd11=1.51680 νd11=64.20
r21=∞
【0134】
(各合焦状態の可変間隔)
無限遠 0.025倍 最至近距離
物体距離 ∞ 1240.000 400.000
D(13) 0.500 1.132 3.258
D(15) 10.163 9.443 6.680
D(17) 4.975 5.133 5.800
絞り半径 11.200 11.237 11.237
【0135】
f(光学系全系の焦点距離)=36.67
Fナンバー=1.43
最大像高=14.50
fB(正レンズL98の焦点距離)=25.94
Rm(メニスカスレンズL94の物体側面の曲率半径)=-18.71
【0136】
(条件式(1)に関する数値)
fB/f=0.71
【0137】
(条件式(2)に関する数値)
Rm/f=-0.51
【0138】
図56は、実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。図57は、実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図58は、実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。図59は、実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。図59において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.25mmにおける横収差曲線、(c)は実像高10.15mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.50mmにおける横収差曲線を示している。
【0139】
図60は、実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。図61は、実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図62は、実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。図63は、実施例7にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。図63において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.25mmにおける横収差曲線、(c)は実像高10.15mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.50mmにおける横収差曲線を示している。
【0140】
なお、上記各収差図中、dはd線(λ=587.6nm)、gはg線(λ=435.8nm)、FはF線(λ=486.1nm)、CはC線(λ=656.3nm)、eはe線(λ=546.1nm)に相当する波長の収差を表す。そして、像面湾曲図におけるS,Mは、それぞれサジタル像面、メリディオナル像面に対する収差を表す。
【実施例8】
【0141】
図64は、実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。このインナーフォーカス式レンズは、図示しない物体側から順に、正レンズL101、正レンズL102(第2の正レンズ)、負レンズL103(第2の負レンズ)、メニスカスレンズL104(第1のメニスカスレンズ)、開口絞りST、負レンズL105、正レンズL106(第3の正レンズ)、負レンズL107、負メニスカスレンズL108(第1の負レンズ)、正レンズL109(第1の正レンズ)、およびメニスカスレンズL110(第2のメニスカスレンズ)が配置されて構成される。
【0142】
メニスカスレンズL104は、物体側から順に配置された、負レンズL1041と正レンズL1042とが接合されて形成されている。このメニスカスレンズL104は、物体側に凹面を向けて配置されている。負レンズL105と正レンズL106と負レンズL107とは、接合されている。負メニスカスレンズL108は、像側に凹面を向けて配置されている。正レンズL109は、両凸レンズで構成されている。メニスカスレンズL110は、物体側に凹面を向けて配置されている。
【0143】
このインナーフォーカス式レンズでは、負メニスカスレンズL108を光軸に沿って物体側から像側へ、正レンズL109を光軸に沿って像側から物体側へそれぞれ移動させ、それらの間隔を狭めることによって、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行う。
【0144】
また、メニスカスレンズL110の像側には、カバーガラスCGが配置されている。カバーガラスCGは必要に応じて配置されるものであり、不要な場合は省略可能である。
【0145】
以下、実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズに関する各種数値データを示す。
【0146】
(レンズデータ)
r1=889.725
d1=2.330 nd1=1.80400 νd1=46.58
r2=-80.124
d2=0.100
r3=20.509
d3=3.642 nd2=1.80400 νd2=46.58
r4=44.888
d4=3.168
r5=1428.337
d5=0.999 nd3=1.69320 νd3=33.74
r6=14.577
d6=6.229
r7=-20.773
d7=0.700 nd4=1.59270 νd4=35.30
r8=61.275
d8=3.815 nd5=1.88300 νd5=40.77
r9=-32.212
d9=0.700
r10=∞(開口絞り)
d10=0.700
r11=31.837
d11=1.000 nd6=1.75211 νd6=25.05
r12=26.265
d12=4.085 nd7=1.77250 νd7=49.62
r13=-100.062
d13=1.000 nd8=1.84666 νd8=23.78
r14=-430.173
d14=D(14)(可変)
r15=88.199
d15=1.000 nd9=1.60300 νd9=65.44
r16=22.246
d16=D(16)(可変)
r17=44.397
d17=5.670 nd10=1.72916 νd10=54.67
r18=-27.822
d18=D(18)(可変)
r19=-21.744
d19=1.000 nd11=1.80809 νd11=22.76
r20=-38.390
d20=5.000
r21=∞
d21=2.000 nd12=1.51680 νd12=64.20
r22=∞
【0147】
(各合焦状態の可変間隔)
無限遠 0.025倍 最至近距離
物体距離 ∞ 1240.000 400.000
D(14) 0.500 1.371 3.551
D(16) 9.571 8.368 5.802
D(18) 4.440 4.698 5.338
【0148】
f(光学系全系の焦点距離)=36.48
Fナンバー=1.44
最大像高=14.50
fB(正レンズL109の焦点距離)=24.26
Rm(メニスカスレンズL104の物体側面の曲率半径)=-20.77
【0149】
(条件式(1)に関する数値)
fB/f=0.66
【0150】
(条件式(2)に関する数値)
Rm/f=-0.57
【0151】
図65は、実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。図66は、実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図67は、実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。図68は、実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。図68において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.25mmにおける横収差曲線、(c)は実像高10.15mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.50mmにおける横収差曲線を示している。
【0152】
図69は、実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。図70は、実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図71は、実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。図72は、実施例8にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。図72において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.25mmにおける横収差曲線、(c)は実像高10.15mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.50mmにおける横収差曲線を示している。
【0153】
なお、上記各収差図中、dはd線(λ=587.6nm)、gはg線(λ=435.8nm)、FはF線(λ=486.1nm)、CはC線(λ=656.3nm)、eはe線(λ=546.1nm)に相当する波長の収差を表す。そして、像面湾曲図におけるS,Mは、それぞれサジタル像面、メリディオナル像面に対する収差を表す。
【実施例9】
【0154】
図73は、実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。このインナーフォーカス式レンズは、図示しない物体側から順に、正レンズL111、正レンズL112(第2の正レンズ)、負レンズL113(第2の負レンズ)、メニスカスレンズL114(第1のメニスカスレンズ)、開口絞りST、負レンズL115、正レンズL116(第3の正レンズ)、負レンズL117、負メニスカスレンズL118(第1の負レンズ)、正レンズL119(第1の正レンズ)、およびメニスカスレンズL120(第2のメニスカスレンズ)が配置されて構成される。
【0155】
メニスカスレンズL114は、物体側から順に配置された、負レンズL1141と正レンズL1142とが接合されて形成されている。このメニスカスレンズL114は、物体側に凹面を向けて配置されている。負レンズL115と正レンズL116とは、接合されている。負メニスカスレンズL118は、像側に凹面を向けて配置されている。正レンズL119は、両凸レンズで構成されている。メニスカスレンズL120は、物体側に凹面を向けて配置されている。
【0156】
このインナーフォーカス式レンズでは、負メニスカスレンズL118を光軸に沿って物体側から像側へ、正レンズL119を光軸に沿って像側から物体側へそれぞれ移動させ、それらの間隔を狭めることによって、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行う。
【0157】
また、メニスカスレンズL120の像側には、カバーガラスCGが配置されている。カバーガラスCGは必要に応じて配置されるものであり、不要な場合は省略可能である。
【0158】
以下、実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズに関する各種数値データを示す。
【0159】
(レンズデータ)
r1=518.863
d1=2.330 nd1=1.80400 νd1=46.58
r2=-83.765
d2=0.100
r3=20.502
d3=3.538 nd2=1.80400 νd2=46.58
r4=43.647
d4=3.053
r5=1398.748
d5=1.000 nd3=1.69320 νd3=33.74
r6=14.776
d6=5.697
r7=-20.854
d7=0.700 nd4=1.59270 νd4=35.30
r8=63.059
d8=3.655 nd5=1.88300 νd5=40.77
r9=-32.414
d9=0.700
r10=∞(開口絞り)
d10=0.700
r11=31.668
d11=1.000 nd6=1.75211 νd6=25.05
r12=26.168
d12=3.833 nd7=1.77250 νd7=49.60
r13=-107.146
d13=0.200
r14=-100.481
d14=1.000 nd8=1.84666 νd8=23.78
r15=-353.288
d15=D(15)(可変)
r16=88.698
d16=1.000 nd9=1.60300 νd9=65.44
r17=22.488
d17=D(17)(可変)
r18=45.305
d18=5.568 nd10=1.72916 νd10=54.67
r19=-27.692
d19=D(19)(可変)
r20=-21.903
d20=1.000 nd11=1.80809 νd11=22.76
r21=-39.248
d21=5.000
r22=∞
d22=2.000 nd12=1.51680 νd12=64.20
r23=∞
【0160】
(各合焦状態の可変間隔)
無限遠 0.025倍 最至近距離
物体距離 ∞ 1240.000 400.000
D(15) 0.500 1.435 3.481
D(17) 9.567 8.362 5.953
D(19) 4.478 4.736 5.448
【0161】
f(光学系全系の焦点距離)=36.52
Fナンバー=1.44
最大像高=14.50
fB(正レンズL119の焦点距離)=24.35
Rm(メニスカスレンズL114の物体側面の曲率半径)=-20.85
【0162】
(条件式(1)に関する数値)
fB/f=0.67
【0163】
(条件式(2)に関する数値)
Rm/f=-0.57
【0164】
図74は、実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。図75は、実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図76は、実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。図77は、実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。図77において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.25mmにおける横収差曲線、(c)は実像高10.15mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.50mmにおける横収差曲線を示している。
【0165】
図78は、実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。図79は、実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図80は、実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。図81は、実施例9にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。図81において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.25mmにおける横収差曲線、(c)は実像高10.15mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.50mmにおける横収差曲線を示している。
【0166】
なお、上記各収差図中、dはd線(λ=587.6nm)、gはg線(λ=435.8nm)、FはF線(λ=486.1nm)、CはC線(λ=656.3nm)、eはe線(λ=546.1nm)に相当する波長の収差を表す。そして、像面湾曲図におけるS,Mは、それぞれサジタル像面、メリディオナル像面に対する収差を表す。
【実施例10】
【0167】
図82は、実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。このインナーフォーカス式レンズは、図示しない物体側から順に、正レンズL121、正レンズL122(第2の正レンズ)、負レンズL123(第2の負レンズ)、メニスカスレンズL124(第1のメニスカスレンズ)、開口絞りST、正レンズL125(第3の正レンズ)、負メニスカスレンズL126(第1の負レンズ)、正レンズL127(第1の正レンズ)、およびメニスカスレンズL128(第2のメニスカスレンズ)が配置されて構成される。
【0168】
メニスカスレンズL124は、物体側から順に配置された、負レンズL1241と正レンズL1242とが接合されて形成されている。このメニスカスレンズL124は、物体側に凹面を向けて配置されている。負メニスカスレンズL126は、像側に凹面を向けて配置されている。この負メニスカスレンズL126の両面には、非球面が形成されている。正レンズL127は、両凸レンズで構成されている。この正レンズL127の両面には、非球面が形成されている。メニスカスレンズL128は、物体側に凹面を向けて配置されている。このメニスカスレンズL128の両面には、非球面が形成されている。
【0169】
このインナーフォーカス式レンズでは、正レンズL125を光軸に沿って像側から物体側へ移動させることによって、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行う。
【0170】
また、メニスカスレンズL128の像側には、カバーガラスCGが配置されている。カバーガラスCGは必要に応じて配置されるものであり、不要な場合は省略可能である。
【0171】
以下、実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズに関する各種数値データを示す。
【0172】
(レンズデータ)
r1=-679.519
d1=2.330 nd1=1.80400 νd1=46.57
r2=-67.183
d2=0.100
r3=20.258
d3=3.595 nd2=1.80318 νd2=46.38
r4=47.092
d4=1.685
r5=243.906
d5=1.000 nd3=1.69600 νd3=36.29
r6=15.295
d6=6.743
r7=-18.058
d7=0.700 nd4=1.59270 νd4=35.30
r8=51.468
d8=4.579 nd5=1.88300 νd5=40.77
r9=-27.582
d9=0.700
r10=∞(開口絞り)
d10=D(10)
r11=24.393
d11=3.800 nd6=1.75500 νd6=52.33
r12=289.216
d12=D(12)
r13=90.727(非球面)
d13=1.000 nd7=1.63980 νd7=34.48
r14=18.382(非球面)
d14=11.689
r15=44.445(非球面)
d15=5.765 nd8=1.72916 νd8=54.68
r16=-27.703(非球面)
d16=4.140
r17=-23.250(非球面)
d17=1.000 nd9=1.75211 νd9=25.05
r18=-51.442(非球面)
d18=5.000
r19=∞
d19=2.000 nd10=1.51680 νd10=64.20
r20=∞
【0173】
円錐係数(K)および非球面係数(A,B,C,D)
(第13面)
K=0,
A=0, B=-3.92349×10-6,
C=-3.32081×10-8, D=-4.36238×10-11
(第14面)
K=0,
A=0, B=1.68673×10-6,
C=-2.20557×10-9, D=-2.62746×10-10
(第15面)
K=0,
A=0, B=-4.62327×10-7,
C=-1.26034×10-9, D=-2.24645×10-11
(第16面)
K=0,
A=0, B=-6.10215×10-7,
C=-2.46949×10-9, D=6.32201×10-12
(第17面)
K=0,
A=0, B=-1.39261×10-7,
C=4.11137×10-9, D=2.14958×10-11
(第18面)
K=0,
A=0, B=2.09339×10-7,
C=-6.02487×10-10, D=5.10298×10-12
【0174】
(各合焦状態の可変間隔)
無限遠 0.025倍 最至近距離
物体距離 ∞ 1240.000 450.000
D(10) 3.062 2.190 0.700
D(12) 0.500 1.319 2.753
絞り半径 11.119 11.057 11.219
【0175】
f(光学系全系の焦点距離)=36.003
Fナンバー=1.45
最大像高=14.50
fB(正レンズL127の焦点距離)=24.35
Rm(メニスカスレンズL124の物体側面の曲率半径)=-18.06
【0176】
(条件式(1)に関する数値)
fB/f=0.68
【0177】
(条件式(2)に関する数値)
Rm/f=-0.50
【0178】
図83は、実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。図84は、実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図85は、実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。図86は、実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。図86において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.25mmにおける横収差曲線、(c)は実像高10.15mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.50mmにおける横収差曲線を示している。
【0179】
図87は、実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。図88は、実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図89は、実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。図90は、実施例10にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。図90において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.25mmにおける横収差曲線、(c)は実像高10.15mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.50mmにおける横収差曲線を示している。
【0180】
なお、上記各収差図中、dはd線(λ=587.6nm)、gはg線(λ=435.8nm)、FはF線(λ=486.1nm)、CはC線(λ=656.3nm)、eはe線(λ=546.1nm)に相当する波長の収差を表す。そして、像面湾曲図におけるS,Mは、それぞれサジタル像面、メリディオナル像面に対する収差を表す。
【実施例11】
【0181】
図91は、実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。このインナーフォーカス式レンズは、図示しない物体側から順に、正レンズL131、正レンズL132(第2の正レンズ)、負レンズL133(第2の負レンズ)、メニスカスレンズL134(第1のメニスカスレンズ)、開口絞りST、負レンズL135、正レンズL136(第3の正レンズ)、負レンズL137、負メニスカスレンズL138(第1の負レンズ)、および正レンズL139(第1の正レンズ)が配置されて構成される。
【0182】
メニスカスレンズL134は、物体側から順に配置された、負レンズL1341と正レンズL1342とが接合されて形成されている。このメニスカスレンズL134は、物体側に凹面を向けて配置されている。負レンズL135と正レンズL136とは、接合されている。負メニスカスレンズL138は、像側に凹面を向けて配置されている。正レンズL139は、両凸レンズで構成されている。この正レンズL139の両面には、非球面が形成されている。
【0183】
このインナーフォーカス式レンズでは、負メニスカスレンズL138を光軸に沿って物体側から像側へ、正レンズL139を光軸に沿って像側から物体側へそれぞれ移動させ、それらの間隔を狭めることによって、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行う。
【0184】
また、正レンズL139の像側には、カバーガラスCGが配置されている。カバーガラスCGは必要に応じて配置されるものであり、不要な場合は省略可能である。
【0185】
以下、実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズに関する各種数値データを示す。
【0186】
(レンズデータ)
r1=-299.940
d1=2.330 nd1=1.80400 νd1=46.58
r2=-71.300
d2=0.100
r3=23.367
d3=2.545 nd2=1.80400 νd2=46.58
r4=62.473
d4=4.816
r5=-107.072
d5=1.000 nd3=1.69320 νd3=33.74
r6=19.058
d6=4.928
r7=-20.641
d7=0.700 nd4=1.59270 νd4=35.30
r8=75.257
d8=3.655 nd5=1.88300 νd5=40.77
r9=-32.834
d9=0.700
r10=∞(開口絞り)
d10=0.700
r11=29.345
d11=1.000 nd6=1.75211 νd6=25.05
r12=21.406
d12=3.415 nd7=1.77250 νd7=49.60
r13=-138.028
d13=0.200
r14=-104.955
d14=1.000 nd8=1.84666 νd8=23.78
r15=-344.335
d15=D(15)(可変)
r16=48.158
d16=1.000 nd9=1.60300 νd9=65.44
r17=19.952
d17=D(17)(可変)
r18=71.397(非球面)
d18=4.000 nd10=1.72916 νd10=54.67
r19=-50.007(非球面)
d19=D(19)(可変)
r20=∞
d20=2.000 nd11=1.51680 νd11=64.20
r21=∞
【0187】
円錐係数(K)および非球面係数(A,B,C,D)
(第18面)
K=0,
A=0, B=-1.50843×10-6,
C=4.19634×10-8, D=2.60558×10-10
(第19面)
K=0,
A=0, B=5.36879×10-6,
C=-2.49804×10-8, D=4.80956×10-10
【0188】
(各合焦状態の可変間隔)
無限遠 最至近距離
物体距離 ∞ 1240.000
D(15) 0.500 1.829
D(17) 4.269 2.582
D(19) 12.195 12.575
絞り半径 10.630 10.630
【0189】
f(光学系全系の焦点距離)=37.2
Fナンバー=1.47
最大像高=14.50
fB(正レンズL139の焦点距離)=40.91
Rm(メニスカスレンズL134の物体側面の曲率半径)=-20.64
【0190】
(条件式(1)に関する数値)
fB/f=1.10
【0191】
(条件式(2)に関する数値)
Rm/f=-0.55
【0192】
図92は、実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図である。図93は、実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図94は、実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における倍率色収差図である。図95は、実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。図95において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.25mmにおける横収差曲線、(c)は実像高10.15mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.50mmにおける横収差曲線を示している。
【0193】
図96は、実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における球面収差図である。図97は、実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における像面湾曲図および歪曲収差図である。図98は、実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における倍率色収差図である。図99は、実施例11にかかるインナーフォーカス式レンズの最至近距離物体合焦状態における横収差図である。図99において、(a)は実像高0mmにおける横収差曲線、(b)は実像高7.25mmにおける横収差曲線、(c)は実像高10.15mmにおける横収差曲線、(d)は実像高14.50mmにおける横収差曲線を示している。
【0194】
なお、上記各収差図中、dはd線(λ=587.6nm)、gはg線(λ=435.8nm)、FはF線(λ=486.1nm)、CはC線(λ=656.3nm)、eはe線(λ=546.1nm)に相当する波長の収差を表す。そして、像面湾曲図におけるS,Mは、それぞれサジタル像面、メリディオナル像面に対する収差を表す。
【0195】
なお、上記各実施例中の数値データにおいて、r1,r2,・・・・は各レンズ、絞り面などの曲率半径、d1,d2,・・・・は各レンズ、絞りなどの肉厚またはそれらの面間隔、nd1,nd2,・・・・は各レンズなどのd線(λ=587.6nm)に対する屈折率、νd1,νd2,・・・・は各レンズなどのd線(λ=587.6nm)に対するアッベ数を示している。そして、長さの単位はすべて「mm」である。
【0196】
また、上記各非球面形状は、非球面の深さをZ、光軸からの高さをyとし、光の進行方向を正とするとき、以下に示す式により表される。
【0197】
【数1】
【0198】
ただし、Rは近軸曲率半径、Kは円錐係数、A,B,C,Dはそれぞれ2次,4次,6次,8次の非球面係数である。
【0199】
以上説明したように、上記各実施例のインナーフォーカス式レンズは、大口径標準レンズとして使用可能な、高い結像性能を備えている。さらに、上記条件式を満足することにより、より優れた収差補正能力を備えることができる。また、適宜接合レンズや非球面レンズを用いることにより、より良好な収差補正を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0200】
以上のように、この発明にかかるインナーフォーカス式レンズは、デジタルスチルカメラなどの固体撮像素子を搭載した撮像装置に有用であり、特に、ミラーレス一眼カメラの大口径標準レンズとして最適である。
【符号の説明】
【0201】
L11,L18,L21,L28,L32,L39,L62,L69,L72,L79,L84,L89,L94,L99,L104,L110,L114,L120,L124,L128,L134 メニスカスレンズ
L12,L15,L17,L22,L25,L27,L31,L33,L36,L38,L61,L63,L66,L68,L71,L73,L76,L78,L81,L82,L86,L88,L91,L92,L95,L98,L101,L102,L106,L109,L111,L112,L116,L119,L121,L122,L125,L127,L131,L132,L136,L139,L942,L1042,L1142,L1242,L1342 正レンズ
L13,L14,L23,L26,L34,L37,L64,L65,L74,L75,L83,L85,L93,L96,L103,L105,L107,L113,L115,L117,L123,L133,L135,L137,L941,L1041,L1141,L1241,L1341 負レンズ
L16,L24,L35,L67,L77,L87,L97,L108,L118,L126,L138 負メニスカスレンズ
CG カバーガラス
ST 開口絞り
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口絞りと、
前記開口絞りより物体側に配置された、物体側に凹面を向けた第1のメニスカスレンズと、
前記開口絞りより像側に配置された、像側に凹面を向けた第1の負レンズと、前記第1の負レンズより像側に配置された、像側に凸面を向けた第1の正レンズと、
を備えたことを特徴とするインナーフォーカス式レンズ。
【請求項2】
前記第1の負レンズは負メニスカスレンズであり、
前記第1の正レンズより像側に、物体側に凹面を向けた第2のメニスカスレンズが配置されていることを特徴とする請求項1に記載のインナーフォーカス式レンズ。
【請求項3】
前記第1のメニスカスレンズと前記開口絞りとの間に、物体側から順に、第2の正レンズと、第2の負レンズとが配置され、
前記開口絞りと前記第1の負レンズとの間に、第3の正レンズが配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のインナーフォーカス式レンズ。
【請求項4】
前記第1のメニスカスレンズの物体側に、第4の正レンズが配置されていることを特徴とする請求項3に記載のインナーフォーカス式レンズ。
【請求項5】
前記第1のメニスカスレンズの物体側には、物体側から順に、第2の正レンズと、第2の負レンズとが配置され、
前記開口絞りと前記第1の負レンズとの間に、第3の正レンズが配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のインナーフォーカス式レンズ。
【請求項6】
前記第1の負レンズと前記第1の正レンズとの間隔を狭めることにより、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のインナーフォーカス式レンズ。
【請求項7】
前記第3の正レンズを像側から物体側に移動させることにより、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行うことを特徴とする請求項3〜5のいずれか一つに記載のインナーフォーカス式レンズ。
【請求項8】
前記第1の正レンズの焦点距離をfB、光学系全系の焦点距離をfとするとき、以下に示す条件式を満足することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載のインナーフォーカス式レンズ。
(1) 0<fB/f<3.0
【請求項9】
前記第1のメニスカスレンズの物体側面の曲率半径をRm、光学系全系の焦点距離をfとするとき、以下に示す条件式を満足することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載のインナーフォーカス式レンズ。
(2) −5.0<Rm/f<0
【請求項1】
開口絞りと、
前記開口絞りより物体側に配置された、物体側に凹面を向けた第1のメニスカスレンズと、
前記開口絞りより像側に配置された、像側に凹面を向けた第1の負レンズと、前記第1の負レンズより像側に配置された、像側に凸面を向けた第1の正レンズと、
を備えたことを特徴とするインナーフォーカス式レンズ。
【請求項2】
前記第1の負レンズは負メニスカスレンズであり、
前記第1の正レンズより像側に、物体側に凹面を向けた第2のメニスカスレンズが配置されていることを特徴とする請求項1に記載のインナーフォーカス式レンズ。
【請求項3】
前記第1のメニスカスレンズと前記開口絞りとの間に、物体側から順に、第2の正レンズと、第2の負レンズとが配置され、
前記開口絞りと前記第1の負レンズとの間に、第3の正レンズが配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のインナーフォーカス式レンズ。
【請求項4】
前記第1のメニスカスレンズの物体側に、第4の正レンズが配置されていることを特徴とする請求項3に記載のインナーフォーカス式レンズ。
【請求項5】
前記第1のメニスカスレンズの物体側には、物体側から順に、第2の正レンズと、第2の負レンズとが配置され、
前記開口絞りと前記第1の負レンズとの間に、第3の正レンズが配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のインナーフォーカス式レンズ。
【請求項6】
前記第1の負レンズと前記第1の正レンズとの間隔を狭めることにより、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のインナーフォーカス式レンズ。
【請求項7】
前記第3の正レンズを像側から物体側に移動させることにより、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態に至るまでのフォーカシングを行うことを特徴とする請求項3〜5のいずれか一つに記載のインナーフォーカス式レンズ。
【請求項8】
前記第1の正レンズの焦点距離をfB、光学系全系の焦点距離をfとするとき、以下に示す条件式を満足することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載のインナーフォーカス式レンズ。
(1) 0<fB/f<3.0
【請求項9】
前記第1のメニスカスレンズの物体側面の曲率半径をRm、光学系全系の焦点距離をfとするとき、以下に示す条件式を満足することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載のインナーフォーカス式レンズ。
(2) −5.0<Rm/f<0
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図72】
【図73】
【図74】
【図75】
【図76】
【図77】
【図78】
【図79】
【図80】
【図81】
【図82】
【図83】
【図84】
【図85】
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【図87】
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【図90】
【図91】
【図92】
【図93】
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【図98】
【図99】
【図2】
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【図6】
【図7】
【図8】
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【図12】
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【図15】
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【図17】
【図18】
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【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
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【図59】
【図60】
【図61】
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【図70】
【図71】
【図72】
【図73】
【図74】
【図75】
【図76】
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【図78】
【図79】
【図80】
【図81】
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【図83】
【図84】
【図85】
【図86】
【図87】
【図88】
【図89】
【図90】
【図91】
【図92】
【図93】
【図94】
【図95】
【図96】
【図97】
【図98】
【図99】
【公開番号】特開2013−83783(P2013−83783A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223441(P2011−223441)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000133227)株式会社タムロン (355)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000133227)株式会社タムロン (355)
【Fターム(参考)】
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