説明

インバータ

車両用の三相モータ(3)に電力を供給するためのインバータは,三相モータ(3)に電気的に接続されるハーフブリッジ(1a,1b,1c)を備える。本発明において,ハーフブリッジ(1a,1b,1c)は,パワー半導体スイッチ(5a;5b)の入力端(6b)及び出力端(6c)に導電接続された電圧制限素子(8)を含む。電圧制限素子(8)により,パワー半導体スイッチ(5a;5b)の入力端(6b)及び出力端(6c)の間に印加される電圧値に応じて,パワー半導体スイッチ(5a;5b)の入力端(6b)及び出力端(6c)の間に高インピーダンス接続又は低インピーダンス接続を確立する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,請求項1の上位概念部分に記載のインバータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気機械の制御には,特に変換装置が使用される。電気機械はバッテリー等の直流電源により給電されるものであるが,駆動に際して単相又は多相の交流位相を必要とする。このような電気機械は,特に車両駆動技術の分野において,例えば永久励起型同期モータや他励起型同期モータ等の三相モータとして構成されている。
【0003】
変換装置は,例えばモータ側に配置されるインバータ又は駆動インバータを含み,例えば中間回路,特にコンデンサを含む中間回路における直流電圧を,所望の周波数を有する交流電圧に変換し,作動させるべき三相モータにおける回転方向及び回転数を制御するものである。このような駆動インバータは,例えば電気駆動式又はハイブリッド駆動式の車両に組み込まれるものであり,この場合に三相モータは車両駆動モータとして構成されている。
【0004】
このような車両駆動モータ,特に永久励起型同期モータは,原則的にモータの構造に依存する挙動を示す。すなわち,モータの作動に際しては,その回転数の増大に伴って上昇する逆電圧又は内部電圧が誘導され(同期電圧),このような逆電圧又は内部電圧は極めて高い回転数に際し,特に(駆動)インバータ内の還流ダイオードを介して中間回路に印加され,又は逆流するものであり,変換装置又はインバータ,バッテリー及び他の素子に損傷をもたらす可能性がある(電圧逆作用)。この逆作用を防止しながらもモータを高回転状態で駆動するため,従来技術においては定格回転数の超過に際して弱め界磁制御を行い,損傷を引き起こし得る上述の電圧逆作用を防止する提案がなされている。しかしながら,弱め界磁制御を行ったとしても変換装置又は他の素子における損傷を完全に防止することは困難であり,この事実は特にモータが定格回転数を超過して駆動(弱め界磁駆動)され,例えば弱め界磁電流が維持できなくなる場合に該当するものである。弱め界磁電流が維持できなくなる原因には,例えば制御用電子部品における故障がある。
【0005】
変換装置を,交流電流側(すなわちモータ側)における不所望の電圧上昇に伴って発生する,損傷をもたらし得る電圧逆作用から保護するため,従来技術においては種々の保護回路が提案されている。このような保護回路の多くは,故障時に,例えば変換装置のパワー半導体スイッチ又はモータ側のインバータを短絡させ,従ってこのパワー半導体スイッチに接続した各モータ端子を短絡させるものである。ブリッジ回路を利用したこのような短絡により,例えば中間回路コンデンサ,バッテリー,パワースイッチ,引いては変換装置をロータの回転に基づいて誘導された電圧による損傷から保護することが可能となる。しかしながら,既知の装置における欠点の多くは,インバータの制御用電子部品に基づいて短絡を能動的に生じさせなくてはならない点にある。制御用電子回路が故障した場合,同期モータ又はモータ内で誘導される電圧がもたらす損傷に対する保護機構が機能しないことは言うまでもない。
【0006】
特許文献1(独国特許出願公開第10251977号明細書)に開示されているインバータを備える同期モータにおいては,電圧逆作用を防止する構成複雑な保護装置が巻線相に接続される。この保護装置はインバータの制御ロジックと協働することにより,故障の検出又は電圧逆作用に対する保護機能を発揮するものである。特許文献2(独国実用新案公開第29813080号明細書)には,電圧逆作用を防止するためにモータの巻線に接続される別の保護装置が開示されている。この保護装置も保護機能を発揮するために制御ロジックを含む電子部品を備えるものであり,やはり製造が複雑かつ高価である。特許文献3(独国特許出願公開第19835576号明細書)には,永久的に励起される電動モータ用の制御システムが開示されている。この制御システムは駆動状態検出ユニットを備えることにより,必要が生じた際にインバータの制御装置に基づいてパワー半導体スイッチを短絡させるものである。この装置も上述した文献に開示されている装置同様,構成複雑かつ高価であるだけでなく,制御ロジックの組み込みなしには機能し得ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許出願公開第10251977号明細書
【特許文献2】独国実用新案公開第29813080号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第19835576号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って本発明の課題は,上述した欠点を克服するインバータを提案することにある。本発明に係るインバータにおいては,制御ロジックを組み込むことなく,三相モータによる電圧逆作用に対して必要な保護機能を簡単かつ安価に提供することが可能とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は,本発明によれば,請求項1に記載の特徴により解決することができる。
【0010】
本発明に係るインバータは,特に車両における三相モータに電力を供給するためのものであり,三相モータに電気的に接続するためのハーフブリッジを備える。このハーフブリッジは,パワー半導体スイッチの入力端及び出力端に導電接続された電圧制限素子を含み,該電圧制限素子は,パワー半導体スイッチの入力端と出力端との間に印加されている電圧値(絶対値及び符号)に応じて,パワー半導体スイッチの入力端と出力端との間に高インピーダンス接続又は低インピーダンス接続を確立するものである。
【0011】
更に本発明に係るインバータにおいて,各ハーフブリッジには,パワー半導体スイッチの入力端及び出力端に導電接続された電圧制限素子が配置される。この電圧制限素子は,パワー半導体スイッチの入力端及び出力端の間に印加されている電圧値(絶対値及び符号)に応じて,各ハーフブリッジにおけるパワー半導体スイッチの入力端と出力端との間に高インピーダンス接続又は低インピーダンス接続を確立するものである。
【0012】
本発明に係るインバータの一実施形態においては,低インピーダンス接続により,各電圧制限素子に対して,各パワー半導体スイッチの入力端から出力端方向に通電可能となるよう構成される。この低インピーダンス接続は,本発明の実施形態において,各電圧制限素子と,各パワー半導体スイッチにおける入力端及び出力端に接続されている還流ダイオードとを通しての逆方向からの通電を可能とするものである。
【0013】
本発明に係るインバータの他の実施形態において,電圧制限素子は,入力端と出力端との間に逆向きに配置され,所定値を超過する電圧が印加される際に,入力端及び出力端の間で逆方向への導電性を示すものである。
【0014】
本発明に係るインバータの他の実施形態において,電圧制限素子は能動型素子及び/又は受動型素子として構成することができる。すなわち,この実施形態における電圧制限素子は,コンパレータ及び/又はパワースイッチ,特に半導体スイッチ又は機械的スイッチとして構成できるだけでなく,ツェナーダイオード及び/又はサプレッサダイオード及び/又はバリスタとして構成することもできる。電圧制限素子は,特に単体デバイスとして,又は単体デバイスを含むものとして構成される。
【0015】
本発明は,特に車両用の駆動装置に関するものでもある。本発明に係る駆動装置は三相モータを備え,この三相モータの巻線は,電気的エネルギを供給するために本発明に係るインバータのハーフブリッジに導電接続される。
【0016】
本発明に係る駆動装置の一実施形態において,三相モータの各巻線はインバータの各ハーフブリッジに導電接続される。三相モータはこの場合,特に永久励起型同期モータとして又は他励起型同期モータとして構成することができる。
【0017】
本発明の更なる特徴及び利点は,以下に本発明の主要素を示す図面を参照して説明する実施形態から,そして特許請求の範囲から明らかである。個別的な特徴は,本発明の実施形態において単独で又は任意の組み合わせで実現可能である。
【0018】
以下,添付図面に基づいて本発明の好適な実施形態を詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態におけるインバータが備えるブリッジ回路を例示する回路図である。
【0020】
なお,以下の説明及び図面において,同一参照符号は同一機能又は類似機能を有する素子を示している。
【0021】
図1は,本発明に係る駆動インバータ又はインバータが備えるブリッジ回路1を,電圧制限装置2を配置した状態で示している。本発明に係るインバータは,特にモータによる電圧逆作用を防止するものであり,このようなモータには例えば三相モータ3,特に他励起型同期モータ又は永久励起型同期モータがある。本発明の(駆動)インバータは,例えば従来技術に既知の変換装置の一部として構成される。
【0022】
変換装置は,中間回路を給電する既知のコンバータユニット(図示せず)を含み,このような中間回路には例えば中間回路コンデンサが配置される。中間回路は,例えば中間回路電圧UZKを直流電圧としてインバータ2が備えるブリッジ回路1の入力端1´に供給し,これによりモータ駆動に必要な交流電圧を生成するものである。インバータは,電圧及び周波数が可変とされている出力電圧として交流電圧を生成することにより,インバータに接続可能とした又は接続された三相モータ3の回転方向及び回転数を制御する。
【0023】
入力端子1´に中間回路電圧UZKが印加されるインバータのブリッジ回路1は,例えばハーフブリッジ1a〜1cを含み,これらハーフブリッジ1a〜1cは,例えばセンタータップ4a〜4cを介して三相モータ3における各巻線3a〜3cに既知の方法で電気的に接続されるものである。本発明において三相モータ3として構成されるモータにおける3個の巻線3a〜3cは,それぞれ1個のハーフブリッジ1a〜1cを介して給電され,その際,所定の極性を有する電圧又は電位差が一定時間にわたって供給される。この供給は,ハーフブリッジ1a〜1cの各パワー半導体スイッチ5a,5bが,制御ロジック等の既知の方法により制御されることでなされる。
【0024】
ハーフブリッジ1a〜1cは,例えば第1パワー半導体スイッチ5a及び第2パワー半導体スイッチ5bを含み,これら両パワー半導体スイッチ5a,5bは,例えば絶縁されたゲート電極を有するバイポーラトランジスタ(絶縁ゲートバイポーラトランジスタIGBT)として,又はモス電界効果トランジスタ(MOSFET)等の電界効果トランジスタ(FET)として構成されるものである。この場合,パワー半導体スイッチ5a,5bは特に変換装置又は駆動インバータ内に生ずる電圧に応じて設計される。なお,上述したタイプとは異なるパワー半導体スイッチを接続してもよい。
【0025】
各パワー半導体スイッチ5a,5bは,制御入力端6aを例えばゲート電極として,入力端6bを例えばコレクタ電極(IGBT)又はドレイン電極(MOSFET)として,更に出力端6cを例えばエミッタ電極(IGBT)又はソース電極(MOSFET)として有している。各入力端6bと出力端6cとの間には,例えば還流ダイオード7が既知の方法により,特に逆方向に並列接続される。
【0026】
パワー半導体スイッチ5a(下列),5b(上列)は,上述したように,各制御入力端6a又は制御端により既知の方法で制御され,この制御にあたっては例えば制御用電子部品(図示せず)が使用される。この場合,制御によって入力端6bと出力端6cとの間で短絡を生じさせることが可能であり,このことはパワー半導体スイッチ5a又は5bが通電されることを意味する。
【0027】
本発明に係るインバータは電圧制限装置2を備え,電圧制限装置2は,特に各ハーフブリッジ1a〜1cに接続した電圧制限素子8で構成されるものである。本発明において,各電圧制限素子8は,対応するハーフブリッジ1a〜1c内におけるパワー半導体スイッチの入力端6b及び出力端6cに電気的に接続されている。従って,接続が低インピーダンス状態にある場合,所定の順方向においてハーフブリッジを超過する通電が可能となる。更に,入力端6bはハーフブリッジ1a〜1cに接続されているセンタータップ4a〜4cに電気的に接続されている。従って,電圧制限素子8は各パワー半導体スイッチ5aの入力端6bと出力端6cとの間に対して並列接続されており,従って,パワー半導体スイッチ5aの各還流ダイオード7に対しても並列接続されている。すなわち,各還流ダイオード7もパワー半導体スイッチ5a又は5bの入力端6b及び6cに接続されている。
【0028】
本発明においては,電圧制限素子8が上列の各ハーフブリッジ1a〜1cにおける還流ダイオード7に対して,又はパワー半導体スイッチ5bの入力端6b及び6cに対して並列接続されている。このような配置とした場合,下列のパワー半導体スイッチ5aに対する電圧制限素子8の配置を考慮する必要はない。
【0029】
本発明において,電圧制限装置2の電圧制限素子8は,電圧逆作用の発生に際して誘導された端子電圧又は三相モータ3の電圧を一定の(閾)値に設定又は制限するために配置されるものである。この設定された一定の電圧値又は所定の閾値電圧は,インバータ及び他の保護すべき素子を損傷しないことを基準に選定される。一定の閾値電圧を超過した場合の電圧制限は,1個又は複数個の適切に選択されたデバイスとしての電圧制限素子8のみによって実現可能とされている。すなわち,電圧制限は,インバータの制御ロジック等に基づく制御を必要とすることなく,自律的に行われるものである。
【0030】
選択されたデバイスの特性は適切な閾値設定を可能とし,電圧制限が発動される電圧値の予設定を可能とするものである。電圧制限素子8により,例えば誘導電圧において損傷をもたらし得るピーク電圧が遮断又は抑制される。その際,三相モータは,電圧が安全な値に降下するまで制動状態に維持される。そのために,各電圧制限素子8は特にその逆方向において,電圧制限素子8又は入力端6bと出力端6cとの間に印加される電圧が所定の閾値に達するまで,高インピーダンス状態を示す。逆に電圧がモータ3による電圧逆作用により閾値電圧を超過すると,各電圧制限素子8は特に出力端6bから出力端6cに至る所定の順方向においてのみならず,逆方向においても低インピーダンス状態に移行する。すなわち,電圧制限素子8は,各パワー半導体スイッチ5a,5bの入力端6b及び出力端6cを,これら入力端6bと出力端6cとの間に印加されている電圧値に応じて高インピーダンス状態又は低インピーダンス状態,すなわち実質的に非導電的又は導電的に接続するものである。
【0031】
本発明に係るインバータは,以下の構成とされている。すなわち,電圧が所定の閾値に達し,電圧制限素子8に基づいて接続が低インピーダンス状態に移行することにより,各電圧制限素子8に対する通電が各パワー半導体スイッチ5a,5bの入力端6bから出力端6c方向に可能となる。換言すれば,電圧が所定の閾値に達し,接続が低インピーダンス状態に移行すると,電圧制限素子8はその逆方向において導電性を示す。この場合,入力端6bと出力端6cとの間に配置されている電圧制限素子8の逆方向は,還流ダイオード7の逆方向に対応するものである。
【0032】
低インピーダンス状態での接続は,各電圧制限素子8に対して,また各パワー半導体スイッチにおける入力端6b及び出力端6cに接続されている還流ダイオード7に対して,逆方向からの通電を可能とするものである。これにより,モータ3における例えば巻線3aからの電流9が,低インピーダンス状態にある電圧制限素子8及び還流ダイオード7を介してモータ3における例えば他の巻線3bに流入可能となる。
【0033】
この機能を保証するため,電圧制限素子8として種々のデバイスを使用することが可能であり,このようなデバイスには,例えば外部接続型素子又はインバータ組み込み型素子がある。電圧制限素子8は,制御可能な能動型素子又は受動型素子として構成することができる。
【0034】
電圧制限素子8により,例えばコンパレータを含む複数のデバイスを有する装置を構成することが可能とされている。このような装置におけるコンパレータは,例えば電圧逆作用によるサージ電圧又は閾値電圧の超過を検出した後,この検出した電圧値に応じて電圧透過率(入力/出力)を制御することのできるパワースイッチを作動させるものである。この場合のパワースイッチは,トランジスタスイッチ等の半導体スイッチとして又はリレースイッチ等の機械的スイッチとして構成することができる。更に,電圧制限素子8として,例えばパワーツェナーダイオード(実質的に例えば相補的ダーリントン段のトランジスタを有するツェナーダイオードで構成される回路)又はいわゆるサイリスタ・クローバ回路を使用してもよい。
【0035】
上述したように,電圧制限素子8は受動型素子として構成することができる。このような受動型素子には,閾値電圧として選択した降伏電圧に達すると逆方向において導電状態又は低インピーダンス状態に移行するツェナーダイオード,サプレッサダイオード,又は電圧依存型の抵抗素子であるバリスタ等がある。本発明においては,インバータ内に配置する電圧制限素子8のタイプを例えばハーフブリッジ1a〜1c毎に異ならせることにより,電圧制限装置2を構成することが可能とされている。本発明に係る電圧制限素子8又は電圧制限装置2のいずれもが電圧を自律的に制限するものであり,換言すれば電圧逆作用により電圧制限素子8に印加されている電圧に応じてのみ制限するものである。従って,本発明に係る電圧制限素子8又は電圧制限装置2は,インバータ,変換装置又はモータによる制御を必要としない。他のデバイス,例えばパワー半導体を制御し,変換装置又はインバータの制御ロジック等に使用される外部信号源を有する回路は,本発明に係る電圧制限手段には不要である。
【0036】
本発明に係る電圧制限手段においては,還流ダイオード7に接続した電圧制限素子8により,モータ3における2個の端子間で導電的な接続が確立される。すなわち,この導電的な接続は,少なくとも電圧逆作用が損傷を引き起こし得るレベルに増大した時に,又は電圧が所定の閾値を超過した時に確立されるものである。本発明に係るこのような電圧制限手段は制動トルクを発生させ,電圧が安全な値に降下するまで,駆動系から分離されたモータを減速させ,又はその回転数を低下させるものである。駆動系に結合されたモータにおいては,例えば駆動系全体が減速されるが,その際に生ずる制動トルクは短絡による制動トルクに比べて遥かに小さい。
【0037】
電圧逆作用により三相モータ3及びインバータ内に流れる電流9は,アクティブ化された電圧制限手段において(すなわち,センタータップ4a,4b間に印加される過大な端子電圧により,電圧制限素子8が低インピーダンス性又は導電性を示すのに伴い)電圧制限素子8を通過することが可能となる。従って,例えばセンタータップ4aに接続されている三相モータ3の第1端子からの電流9は,電圧制限装置2の電圧制限素子8を通過した後,還流ダイオード7を介してセンタータップ4bに接続されているモータ3における別の端子に戻される。
【符号の説明】
【0038】
1 ブリッジ回路
1´ 入力端子
1a,1b,1c ハーフブリッジ
2 電圧制限装置
3 モータ
3a,3b,3c 巻線
4a,4b,4c センタータップ
5a パワー半導体スイッチ(下列)
5b パワー半導体スイッチ(上列)
6a パワー半導体スイッチの制御入力端
6b パワー半導体スイッチの入力端
6c パワー半導体スイッチの出力端
7 還流ダイオード
8 電圧制限素子
9 電流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に車両における三相モータに電力を供給するためのインバータであって,該インバータが前記三相モータ(3)に電気的に接続されるハーフブリッジ(1a,1b,1c)を備えるインバータにおいて,
前記ハーフブリッジ(1a,1b,1c)は,該ハーフブリッジ(1a,1b,1c)のパワー半導体スイッチ(5a;5b)における入力端(6b)及び出力端(6c)に導電接続された電圧制限素子(8)を含み,該電圧制限素子(8)は,前記パワー半導体スイッチ(5a;5b)の入力端(6b)及び出力端(6c)の間に印加される電圧値に応じて,前記パワー半導体スイッチ(5a;5b)の入力端(6b)及び出力端(6c)の間に高インピーダンス接続又は低インピーダンス接続を確立することを特徴とするインバータ。
【請求項2】
請求項1記載のインバータであって,前記ハーフブリッジ(1a,1b,1c)には,該ハーフブリッジ(1a,1b,1c)のパワー半導体スイッチ(5a;5b)における入力端(6b)及び出力端(6c)に導電接続された前記電圧制限素子(8)が配置され,該電圧制限素子(8)は,前記パワー半導体スイッチ(5a;5b)の入力端(6b)及び出力端(6c)の間に印加される電圧値に応じて,各ハーフブリッジ(1a,1b,1c)におけるパワー半導体スイッチ(5a;5b)の入力端(6b)及び出力端(6c)の間に高インピーダンス接続又は低インピーダンス接続を確立することを特徴とするインバータ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のインバータであって,前記低インピーダンス接続は,前記電圧制限素子(8)に対して,前記パワー半導体スイッチ(5a;5b)の入力端(6b)から出力端(6c)方向への通電を可能とするものであることを特徴とするインバータ。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項記載のインバータであって,低インピーダンス状態の接続により,前記電圧制限素子(8)と,前記パワー半導体スイッチ(5a;5b)の入力端(6b)及び出力端(6c)に接続された還流ダイオード(7)とを通しての逆方向からの通電を可能とすることを特徴とするインバータ。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項記載のインバータであって,前記電圧制限素子は,前記入力端及び出力端の間に逆向きに配置されると共に,前記入力端及び出力端の間に印加される電圧が所定値を超過するに伴い,逆方向において導電性を示すことを特徴とするインバータ。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項記載のインバータであって,前記電圧制限素子(8)は,能動型素子及び/又は受動型素子として構成されていることを特徴とするインバータ。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項記載のインバータであって,前記電圧制限素子(8)は,コンパレータ及び/又はパワースイッチとして構成され,特に半導体スイッチ又は機械的スイッチとして構成されていることを特徴とするインバータ。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項記載のインバータであって,前記電圧制限素子(8)は,ツェナーダイオード及び/又はサプレッサダイオード及び/又はバリスタとして構成されていることを特徴とするインバータ。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一項記載のインバータであって,前記電圧制限素子(8)は,単体デバイスとして構成されていることを特徴とするインバータ。
【請求項10】
特に車両用の駆動装置であって,三相モータ(3)を備える駆動装置において,
前記三相モータ(3)の巻線(3a,3b,3c)は,電気的エネルギを供給するため,請求項1〜9の何れか一項記載のインバータにおけるハーフブリッジ(1a,1b,1c)に導電接続されていることを特徴とする駆動装置。
【請求項11】
請求項10記載の駆動装置であって,前記三相モータ(3)におけるそれぞれの前記巻線(3a,3b,3c)は,前記インバータにおけるそれぞれの前記ハーフブリッジ(1a,1b,1c)に導電接続されていることを特徴とする駆動装置。
【請求項12】
請求項10又は11記載の駆動装置であって,前記三相モータ(3)は,同期モータとして,特に永久励起型同期モータ又は他励起型同期モータとして構成されていることを特徴とする駆動装置。

【図1】
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【公表番号】特表2013−511248(P2013−511248A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538270(P2012−538270)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066425
【国際公開番号】WO2011/057901
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(500045121)ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト (312)
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
【Fターム(参考)】