説明

インペラの製造方法

【課題】コストの増加を回避しながら作業効率の向上を図ることができるとともに高強度のインペラを取得することが可能なインペラの製造方法を提供する。
【解決手段】インペラ材11の傾斜曲面12の外周側から径方向内側に向かっての所定範囲である外周側領域16に対して、流路に対応する金型21,21を用いた鍛造加工を周方向に順次施すことにより、流路となる部分に溝部13を形成するとともにブレードとなる部分に立ち上げ部14を形成する鍛造工程を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハブ及びブレードを母材から一体的に成形するインペラの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遠心圧縮機等の回転機械に用いられるインペラは、回転軸に固定されるハブと、ハブの表面に突出して設けられる複数のブレードと、このブレードの上方を覆うシュラウドとを互いに溶接接合させることで製造されることが一般的である。
しかし、このように3つの部材を互いに溶接接合するインペラの製造方法では、ブレード間に形成される流路が狭い場合、溶接トーチを流路に挿入して操作することが難しいため、溶接不良等の欠陥が生じやすいという問題がある。
また、3つの部材を互いに溶接接合するため、溶接箇所が多くなることによって、局部的に高温となって変形が生じる箇所が多くなるという問題もある。
【0003】
このような問題を解消する手段として、先端部に刃物が設けられたミル工具を用い、母材としてのインペラ材に流路を切削加工することにより、ハブとブレードとをインペラ材から一体的に切り出すインペラの製造方法が知られている。
【0004】
また、この他、特許文献1には、鍛造によりチタン製のインペラを製造する方法が提案されている。この方法によれば、チタンからなる母材全体に鍛造を施すことにより最終製品に近い形状、即ち、ハブ及びブレードの原型となる部分を有する形状を形成し、その後、これら原型となる部分に機械加工を施すことによって、ハブ及びブレードを備えた最終製品としてのインペラを取得することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−48769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記ミル工具を用いてのインペラの製造方法では、インペラ材からハブとブレードとを一体的に切り出す作業に長い時間を要し、作業効率が悪化するという問題がある。
また、特許文献1に示すように鍛造を用いたインペラの製造方法では、鍛造により母材組織が緻密になるため強度の向上を図ることができるものの、母材全体に鍛造を施すのでは加熱エネルギーの消費量増大や工数の増加による製造コストの高騰が懸念され、経済的な観点から好ましくない。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、コストの増加を回避しながら作業効率の向上を図ることができるとともに高強度のインペラを取得することが可能なインペラの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を提供している。
即ち、本発明に係るインペラの製造方法は、円盤状をなすハブに径方向に延びるブレードが周方向に間隔をあけて複数設けられ、隣り合う前記ブレードの間に流路が形成されたインペラの製造方法であって、炭素鋼からなる円盤状部材から、一端側に向かって漸次傾斜する傾斜曲面を有する母材を形成する母材形成工程と、前記傾斜曲面の外周側から径方向内側に向かっての所定範囲である外周側領域に対して、前記流路に対応する金型を用いた鍛造加工を周方向に順次施すことにより、前記流路となる部分に溝部を形成するとともに前記ブレードとなる部分に立ち上げ部を形成する鍛造工程と、前記溝部、前記立ち上げ部及び前記母材の前記外周側領域よりも径方向内側の内周側領域に切削加工を施すことで、前記ハブ、前記ブレード及び前記流路を形成する仕上げ工程とを備えることを特徴とする。
【0009】
このような特徴のインペラの製造方法によれば、母材の全体ではなく、該母材の外周側領域のみに鍛造加工を施すことで流路及びブレードとなる溝部及び立ち上げ部を形成する。その後、仕上げ加工を施すことにより、ブレード及び流路を形成する。このように、鍛造によってインペラの概形を成形した後に仕上げ加工を施すことで、当初から母材に切削加工を施すことに比べて作業効率の向上を図ることができる。
ここで、インペラが回転する際には外周側に向かうに連れて遠心力が増大するため、内部に発生する応力も外周側ほど大きくなる。また、ハブの厚みは外周側に向かうに連れて小さくなるため、該ハブ剛性もまた外周側ほど小さくなる。したがって、ハブの外周側では、上記応力の影響による破損・変形が懸念される。
これに対して本発明では、母材の外周側領域に鍛造加工が施すこととしているため、当該母材の外周側では組織の緻密化により強度が高いものとなる。これにより、厚みの薄いハブの外周側でも上記遠心力に耐え得るだけの強度を実現することができ、インペラ全体を高強度とすることができる。
さらに、母材の外周側領域のみに鍛造を施す手法のため、母材全体に鍛造を施す場合に比べて加熱エネルギーの消費量や工数を抑えることができ、コストの増加を回避することができる。即ち、強度が特に必要な部分のみに鍛造加工を施すことにより、コストの低減を図りつつ高強度のインペラを得ることができる。
【0010】
また、本発明に係るインペラの製造方法において、前記鍛造工程は、周方向に前記流路のピッチに対応する間隔をあけて配置された複数の金型によって行われることが好ましい。
【0011】
このような特徴のインペラの製造方法によれば、隣り合う金型の間の部分によって母材を挟み込むように鍛造を施すことができるため、これら金型の間の部分に形成される立ち上げ部の立ち上がり高さを大きくすることができる。これによって、母材の傾斜曲面の形状を最終製品の形状により近づけることができるため、後の仕上げ加工を容易に行うことができ、作業効率の向上を図ることが可能となる。
【0012】
さらに本発明に係るインペラの製造方法において、前記鍛造工程は、前記母材の外周面をリング状部材によって拘束した状態で行われることを特徴とする。
【0013】
これによって、外周側領域に鍛造を行う際に、母材が外周側に広がってしまうことを防止することができる。したがって、母材の外周側が必要以上に薄くなってしまい強度が低下してしまうことを回避することができ、インペラ全体としての強度を高く維持することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るインペラの製造方法によれば、母材に対して径方向外側から内側に向かっての一部範囲である外周側領域のみに鍛造を施してインペラを製造することにより、コストの増加を回避しながら作業効率の向上を図ることができ、さらに高強度を維持できるインペラを取得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態の第一実施形態のインペラの製造方法により製造されるインペラの斜視図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係るインペラの製造方法に関し、円盤状部材をテーブルユニット上に載置した際の斜視図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係るインペラの製造方法に関し、母材形成工程を説明する斜視図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係るインペラの製造方法に関し、鍛造工程を説明する斜視図である。
【図5】本発明の第一実施形態に係るインペラの製造方法に関し、鍛造工程を説明する斜視図である。
【図6】本発明の第一実施形態に係るインペラの製造方法に関し、鍛造工程を説明する上面図である。
【図7】本発明の第一実施形態に係るインペラの製造方法に関し、鍛造工程のインペラ材の上面図である。
【図8】本発明の第一実施形態に係るインペラの製造方法に関し、仕上げ工程についての説明図である。
【図9】本発明の第二実施形態に係るインペラの製造方法に関し、鍛造工程を説明する上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の第一実施形態に係るインペラの製造方法ついて説明する。
本実施形態により製造されるインペラ1は例えば圧縮機やタービン等の回転機械に用いられるものであって、図1に示すように、互いに一体をなすハブ2とブレード3とから構成されている。
ハブ2は、略円盤状をなす部材であって、一方の端面が小径とされ他方の端面が大径とされている。これら二つの端面は、一端側から他端側に向かうに従って漸次拡径する曲面によって接続されている。
【0017】
また、ブレード3は、上記ハブ2における曲面から立ち上がるように複数が設けられている。各ブレード3は、それぞれ径方向内側から外側に向かうにしたがって周方向一方側に向かって湾曲するように延在しており、本実施形態においては周方向に一定間隔をあけて12条のブレード3が形成されている。
そして、インペラ1においては、ハブ2の上記曲面上における隣り合うブレード3の間の領域が、流体が流通する流路4とされている。
【0018】
次に、上記インペラ1の製造方法の手順について説明する。
まず、作業者は、インペラ材11作製工程を実行する。即ち、作業者は、炭素鋼からなる細長い円柱形状材を切断することにより、図2に示すような平面視略円形の円盤状部材10を作製する。
【0019】
そして、作業者は、図2に示すように、作製した円盤状部材10を、鉛直軸線周りに回転駆動可能とされたテーブルユニット20の上面に載置する。この際、テーブルユニット20の上面に円盤状部材10の一方側の部材が当接するように該円盤状部材10が載置される。
【0020】
続いて作業者は、テーブルユニット20、及び円盤状部材10を回転させ、回転した円盤状部材10に対し、半径方向及び軸方向に移動するロールを押圧させることにより、の上に固定した円盤状部材10に対し、外周面に刃物が設けられたいわゆるロールミル(図示省略)を押圧させることにより、円盤状部材10の上部外周を加工する母材形成工程を行う。これにより、図3に示すように、円盤状部材10の上部には上方、即ち、一端に向かうに従って漸次縮径する傾斜曲面12が形成され、インペラ材11が完成する。このインペラ材11は、製造しようとするインペラ1の母材となるものである。
【0021】
次に、作業者は、鍛造工程を実施する。この鍛造工程は、図4〜図6に示すように、一対の金型21,21により行われる。この金型21,21は、インペラ材11の外周側領域15の上方において、周方向に上記流路4のピッチの分だけ間隔をあけて配置されている。ここで、外周側領域15とは、詳しくは図6に示すように、インペラ材11における傾斜曲面12の外周側から径方向外側に向かっての所定範囲の環状の領域のことを意味している。この外周側領域15は、例えばインペラ材11の半径の1/2〜1/3の範囲の環状領域として設定することができる。
【0022】
また、上記金型21,21は、その平面視形状がインペラ1の流路4の平面視形状に対応しており、即ち、平面視において流路4内に収まる形状に設定されている。本実施形態においては、金型21,21の平面視形状はインペラ材11の径方向外側に向かうに従って広がる略四角形状とされており、金型21,21の全体形状は、当該略四角形状を上下方向、即ち、インペラ材11の軸線方向に延ばした形状をなしている。
【0023】
鍛造工程は、図4及び図5に示すように、図示しない加熱手段によってインペラ材11を例えば1000℃以上に加熱しながら金型21,21を上下移動させることによって、インペラ材11の傾斜曲面12に金型21,21による圧力を作用させることによって行われる。即ち、一対の金型21,21が傾斜曲面12に上方から衝突することで傾斜曲面12に圧力を与え、該傾斜曲面12を変形させる。これによって、インペラ材11の母材の外周側領域15には、図6に示すように、一対の金型21,21の圧力によって凹んだ一対の溝部13と、これら溝部13を周方向に隔てる立ち上げ部14とが形成される。これら溝部13及び立ち上げ部14は、最終的にインペラ1の流路4及びブレード3となる部分である。
【0024】
この立ち上げ部14は、一対の金型21,21により挟まれた部分であって、金型21,21の圧力により溝部13が形成される際に当該溝部13となる部分に存在した炭素鋼の一部が、一対の金型21,21の間に集まることによって形成される。
また、このような一対の金型21,21による鍛造は、金型21,21の上下移動に応じてテーブルユニット20を間欠回転駆動させることにより、インペラ材11の傾斜曲面12の外周側領域15全域に対して周方向に順次施されていく。これによって、傾斜曲面12の外周側領域15の全域に、図7に示すように、周方向に等間隔をあけて複数の溝部13及び立ち上げ部14が形成される。本実施形態においては、周方向に30°の間隔をあけてそれぞれ12の溝部13及び立ち上げ部14が形成される。
【0025】
このような鍛造工程の後、作業者は、溝部13及び立ち上げ部14が形成されたインペラ材11に対して仕上げ加工を行う。この仕上げ加工は、溝部13、立ち上げ部14及び傾斜曲面12の外周側領域15よりも径方向内側の部分である内周側領域16(図6及び図7参照)に対して、例えば図8に示すように、切削加工により行われる。これにより、母材からハブ2とブレード3とが一体的に切り出され、ハブ2の表面上における隣り合うブレード3の間の部分が流路4とされる。そして作業者は、流路4の底面及びブレード3の側面について研磨を行う。これにより、図1に示すインペラ1が完成する。
【0026】
以上のようなインペラ1の製造方法によれば、母材としてのインペラ材11の全体ではなく、該インペラ材11の外周側領域15のみに鍛造加工を施すことで流路4及びブレード3となる溝部13及び立ち上げ部14を形成し、その後、仕上げ加工を施すことにより、ブレード3及び流路4を形成することとしている。このように、鍛造によってインペラ1の概形を成形した後、即ち、ニアネットシェープ化を行った後に仕上げ加工を施すことで、当初から母材に切削加工を施すことよりインペラ1を製造する場合に比べて作業効率の向上を図ることができる。
【0027】
ここで、インペラ1を取り付けた回転機械において該インペラ1が回転する際には、外周側に向かうに連れて遠心力が増大するため、内部に発生する応力も外周側ほど大きくなる。また、ハブ2の厚みは外周側に向かうに連れて小さくなるため、該ハブ2は外周側ほど剛性が小さくなる。このように、ハブ2の外周側では、遠心力の増大と低い剛性によって、上記応力の影響による破損・変形が懸念される。
【0028】
これに対して本実施形態においては、インペラ材11の外周側領域15に鍛造加工を施すこととしているため、当該インペラ材11の外周側では組織の緻密化により強度が高いものとなる。これにより、厚みの薄いハブ2の外周側でも上記遠心力に耐え得るだけの強度を実現することができ、インペラ1全体を高強度に維持することができる。
【0029】
なお、例えばインペラ材11における傾斜曲面12の全体に鍛造加工を施してニアシェープ化を図る手法も考えられるが、この場合、加熱エネルギーの消費量増大や工数の増加を招いてしまい、製造コストが高騰してしまう。この点、本実施形態においては、強度を高く維持すべきインペラ材11の外周側領域15のみに鍛造を施すことにより、インペラ材11全体に鍛造を施す場合に比べて加熱エネルギーの消費量や工数を抑えることができる。即ち、強度を特に要する部分にのみ鍛造加工を施すことによって、コストの増加を回避しながら高強度のインペラ材11を効率良く製造することができる。
【0030】
また、周方向に流路4の間隔をあけて配置された一対の金型21,21によって鍛造加工を行うことにより、これら一対の金型21,21の間の部分によってインペラ材11を挟み込むように鍛造を施すことができるため、これら金型21,21の間の部分に形成される立ち上げ部14の立ち上がり高さを大きくすることができる。これによって、インペラ材11の傾斜曲面12の形状を最終製品の形状により近づけることができるため、後の仕上げ加工を容易に行うことができ、作業効率の向上を図ることが可能となる。
【0031】
次に、第二実施形態のインペラ1の製造方法について説明する。第二実施形態では、第一実施形態と同様の構成要素には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
この第二実施形態は、鍛造工程の手法が第一実施形態とは相違する。即ち、この第二実施形態においては、図9に示すように、インペラ材11の外周をリング状部材23によって拘束した状態で鍛造工程が行われる。
【0032】
このリング状部材23は、例えば鋼材からなる環状の部材であって、その内径がインペラ材11の外径と略同一に設定されている。また、このリング状部材23の厚み、即ち、軸線方向の寸法はインペラ材11の外周の厚みよりも大きく設定されている。
作業者は、このリング状部材23を、鍛造工程に先立ってインペラ材11の外周に外嵌する。これにより、リング状部材23の内周面は、周方向全域にわたってインペラ材11の外周と密着した状態となり、インペラ材11の外周全域が拘束される。
【0033】
そして、このようにリング状部材23をインペラ材11に外嵌した後、作業者は、第一実施形態と同様、テーブルユニット20を間欠回転駆動させるとともに一対の金型21,21を上下移動させることで、インペラ材11の傾斜曲面12の周方向全域に、溝部13及び立ち上げ部14を形成する。
【0034】
この第二実施形態のインペラ1の製造方法によれば、外周側領域15に鍛造を行う際に、インペラ材11が外周側に広がってしまうことを防止することができる。これによって、インペラ1の外周側が必要以上に薄くなってしまい強度が低下してしまうことを回避することができ、インペラ1全体としての強度を高く維持することができる。
【0035】
なお、本実施形態のように、一対の金型21,21を用いて鍛造を行う場合、金型21,21のインペラ材11への一度の衝突による該インペラ材11の変形量が単一の金型21,21を用いて鍛造を行う場合に比べて大きくなるため、インペラ材11の径方向外側への広がり量も大きくなってしまうが、リング状部材23を用いることで当該デメリットを回避することができる。したがって、一対の金型21,21による鍛造とリング状部材23の設置とを併用することで、高強度のインペラ1をより効率良く、かつ、低コストで製造することが可能となる。
【0036】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく、多少の設計変更等も可能である。
例えば、金型21,21の形状については、平面視四角形状のものに限られず、種々の形状のものを採用することが可能である。例えば、流路4の平面視形状と略同一の平面視形状、即ち、湾曲した平面視形状を有する金型21,21を用いて溝部13及び立ち上げ部14を形成してもよい。この場合、溝部13及び立ち上げ部14をより流路4及びブレード3の形状に近づけることができるため、後の仕上げ加工をより容易に行うことができる。
【0037】
また、仕上げ加工での切削により種々の形状の流路4及びブレード3を形成可能とすべく、これら種々の形状の流路4及びブレード3のそれぞれに形成可能な溝部13及び立ち上げ部14を形成する形状の金型21,21を採用してもよい。即ち、ある形状のインペラ1に対応した溝部13及び立ち上げ部14を成型可能な金型21,21を用いるのではなく、種々のインペラ1に対して汎用性のある溝部13及び立ち上げ部14を成形可能な金型21,21を用いてもよい。この場合、金型21,21の平面視形状は、例えば略長方形や略正方形等の単純な形状とすることができる。
【0038】
さらに、本実施形態においては一対の金型21,21により鍛造を行ったが、単一の金型21,21で行ってもよいし、3つ以上の複数の金型21,21で鍛造を行ってもよい。
【0039】
また、実施形態においては、オープンインペラを例として製造方法を説明したが、本発明を複数のブレード3全体を覆うシュラウドを設けたクローズドインペラの製造方法に適用してもよい。この場合、仕上げ工程の後に、作業者がブレード3の上にシュラウドを溶接して固定する。
【符号の説明】
【0040】
1 インペラ
2 ハブ
3 ブレード
4 流路
10 円盤状部材
11 インペラ材
12 傾斜曲面
13 溝部
14 立ち上げ部
20 テーブルユニット
21 金型
22 ロールミル
23 リング状部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円盤状をなすハブに径方向に延びるブレードが周方向に間隔をあけて複数設けられ、隣り合う前記ブレードの間に流路が形成されたインペラの製造方法であって、
炭素鋼からなる円盤状部材から、一端側に向かって漸次縮径する傾斜曲面を有する母材を形成する母材形成工程と、
前記傾斜曲面の外周側から径方向内側に向かっての所定範囲である外周側領域に対して、前記流路に対応する形状の金型を用いた鍛造加工を周方向に順次施すことにより、前記流路となる部分に溝部を形成するとともに前記ブレードとなる部分に立ち上げ部を形成する鍛造工程と、
前記溝部、前記立ち上げ部及び前記母材の前記外周側領域よりも径方向内側の内周側領域に切削加工を施すことで前記ハブ、前記ブレード及び前記流路を形成する仕上げ工程とを備えることを特徴とするインペラの製造方法。
【請求項2】
前記鍛造工程は、周方向に前記流路のピッチに対応する間隔をあけて配置された複数の金型によって行われることを特徴とする請求項1に記載のインペラの製造方法。
【請求項3】
前記鍛造工程は、前記母材の外周をリング状部材によって拘束した状態で行われることを特徴とする請求項1又は2に記載のインペラの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−176417(P2012−176417A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40005(P2011−40005)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】