説明

イーサネット環境におけるUDPデータ伝送の公正性確保装置及び方法

【課題】イーサネット(登録商標)環境におけるUDPデータ伝送の公正性確保装置及び方法を提供する。
【解決手段】送信装置からリアルタイムで伝送されるTCPデータストリームの受信装置における受信量に基づいて、TCP現在伝送速度を算出するTCP伝送速度算出部310と、送信装置からTCPデータストリームと共に伝送されるUDPデータの受信装置における受信量に基づいて、UDP伝送速度を算出するUDP伝送速度算出部320と、TCP現在伝送速度と既定の最適の伝送速度との差が既定の臨界値以上であり、UDP伝送速度が増加状態ならば、送信装置に備えられたUDP伝送速度制御手段に制御信号を伝送する公正性判別部330とで構成され、TCP伝送速度算出部は、送信装置のUDPデータ伝送が開始される前に受信装置に伝送されたTCPデータストリームの受信量に基づいて、最適の伝送速度を算出するUDPデータ伝送の公正性確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イーサネット(登録商標)環境におけるUDPデータ伝送の公正性確保装置及び方法に係り、さらに詳細には、インターネット及びイントラネットなどのイーサネット基盤環境でUDPを基盤とするデータ伝送時に、他のTCP及びUDP連結に対して公正性を保証できる装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク環境における公正性とは、データ伝送のために連結されたセッションがネットワーク経路のボトルネック区間を経由する時、特定セッションがこれを専用せずに複数のセッションが共有して公正にデータ通信を行えるように保証することをいう。
【0003】
TCPを通じるデータ伝送の場合には、ストリーム形態からなって自体的なフロー制御及び混雑制御メカニズムを持って、公正性確保のためにTCP Tahoe、TCP Reno及びVegasなどの多様な試みがなされた。しかし、TCPは、3ウェイ・ハンドシェイキング、AIMDアルゴリズムなど、その具現の特性上WAN網のように端末間距離が遠くてRTT(Round−Trip Time)が長くなり、パケット損失が大きくなるほどデータの伝送時間が大きく増加するという短所がある。
【0004】
このようなTCPの短所を乗り越えるために、UDP上で信頼性を持って直接混雑制御階層を作ってTCPの短所を補完すると同時に、WAN網で速いファイル伝送を可能にしようとする接近が試みられている。ところが、ある程度の公正性を保証する段階に至るようになったTCPとは異なって、UDPの場合には、可用帯域幅に近接なデータ伝送速度の具現に特化されて公正性保証に関する試みが相対的に足りなく、公正性を保証しようとする既存のUDP基盤データ伝送プロトコルは、TCP以上の伝送及び公正性保証性能を示さないか、または具現の難易度が高いという短所がある。
【0005】
図1は、既存のUDP基盤データ伝送システムの構成を示すブロック図である。図1を参照すれば、UDP基盤データ伝送システムの送信装置100は、UDPデータ送信部110及びUDP伝送速度制御部120を備え、受信装置200は、UDPデータ受信部210及びUDP受信データ情報提供部220を備える。送信装置100のUDPデータ送信部110は、ファイルまたはメモリ内のデータをUDPデータグラムに分けて入れて受信装置200に伝送する。受信装置200のUDPデータ受信部210は、送信装置100から伝送されたデータグラムを受信し、UDP受信データ情報提供部220は、受信されたデータグラムを確認して、流失されたパケット及び伝送率などの受信データ情報を送信装置100に伝送する。
【0006】
送信装置100のUDP伝送速度制御部120は、伝送された受信データ情報を利用して最適のUDPデータ伝送速度を計算することで、TCPに比べて伝送速度が速く、且つ、可用帯域幅に近いデータ通信を可能にする。このような方法は、データの伝送速度制御がデータグラム流失率から単純計算されるため、公正性確保に適していないという短所を持つ。
【0007】
図2は、既存のUDP基盤データ伝送プロトコルで公正性を確保するための構成を示すブロック図である。図2を参照すれば、公正性確保のための構成要素として、受信装置にRTT算出部230、遅延時間推測部240及び公正性判別部250がさらに備えられる。受信装置200のRTT算出部230は、送信装置100から伝送されたデータグラムに基づいてRTTを算出し、遅延時間推測部240は、算出されたRTTを利用してキューイング遅延時間を推測する。公正性判別部250は、キューイング遅延時間が増加したにも拘らず、データ伝送速度を低減させなければ、公正性を侵害すると判断して、これを、UDP受信データ情報提供部220を通じて送信装置100に伝送する。
【0008】
これは、データパケットが経由するネットワーク経路のボトルネック区間でルーターのバッファがオーバーフローされる場合に、キューイング遅延時間が増加する特徴を利用したものであって、送信装置100では、受信装置200から提供された情報に基づいて、キューイング遅延時間が正常に回復するまで伝送率を低減させて公正性を確保するようになる。
【0009】
このようにキューイング遅延時間を利用してデータ伝送の公正性を確保する方法は、使用運用体制及び具現言語を通じてキューイング遅延時間の微細な増減を正確に感知して判断せねばならないという制約を持つ。普通キューイング遅延時間を予測するためには10ms未満のRTT誤差を必要とするが、このような小さな許容誤差のために運用体制では、キューイング遅延時間の算出を最優先処理プロセスでスケジューリングせねばならない。
【0010】
またC言語を除外したジャバ(Java(登録商標))及びパイソン(Python)などの言語でネットワークソケットプログラムを開発する場合には、40ms以上の誤差が表れるため、キューイング遅延時間の計算が不可能である。特に、スマートフォンのように機器のハードウェア及びソフトウェア性能が落ちる場合には、アプリケーションレイヤーでキューイング遅延時間の算出が不可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする技術的課題は、低性能のハードウェア及びソフトウェアで具現でき、かつキューイング遅延時間の算出のように運用体制におけるスケジューリング支援を必要としないイーサネット環境におけるUDPデータ伝送の公正性確保装置及び方法を提供するところにある。
【0012】
本発明が解決しようとする他の技術的課題は、低性能のハードウェア及びソフトウェアで具現でき、かつキューイング遅延時間の算出のように運用体制におけるスケジューリング支援を必要としないイーサネット環境におけるUDPデータ伝送の公正性確保方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した、コンピュータで読み取り可能な記録媒体を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の技術的課題を達成するための、本発明によるイーサネット環境におけるUDPデータ伝送の公正性確保装置は、イーサネット環境を構成する送信装置と受信装置との間でのUDPデータ伝送の公正性を確保するためのものであって、前記送信装置からリアルタイムで伝送されるTCPデータストリームの前記受信装置における受信量に基づいて、TCP現在伝送速度を算出するTCP伝送速度算出部;前記送信装置から前記TCPデータストリームと共に伝送されるUDPデータの前記受信装置における受信量に基づいて、UDP伝送速度を算出するUDP伝送速度算出部;前記TCP現在伝送速度と既定の最適の伝送速度との差が既定の臨界値以上であり、前記UDP伝送速度が増加状態ならば、前記送信装置に備えられたUDP伝送速度制御手段に制御信号を伝送する公正性判別部;を備え、前記TCP伝送速度算出部は、前記送信装置のUDPデータ伝送が開始される前に前記受信装置に伝送されたTCPデータストリームの受信量に基づいて、前記最適の伝送速度を算出する。
【0014】
前記の技術的課題を達成するための、本発明によるイーサネット環境におけるUDPデータ伝送の公正性確保方法は、イーサネット環境を構成する送信装置と受信装置との間でのUDPデータ伝送の公正性を確保するためのものであって、(a)前記送信装置からリアルタイムで伝送されるTCPデータストリームの前記受信装置における受信量に基づいて、TCP現在伝送速度を算出する段階;(b)前記送信装置から前記TCPデータストリームと共に伝送されるUDPデータの前記受信装置における受信量に基づいて、UDP伝送速度を算出する段階;(c)前記TCP現在伝送速度と既定の最適の伝送速度との差が既定の臨界値以上であり、前記UDP伝送速度が増加状態ならば、前記送信装置に備えられたUDP伝送速度制御手段に制御信号を伝送する段階;を含み、前記最適の伝送速度は、前記送信装置のUDPデータ伝送が開始される前に前記受信装置に伝送されたTCPデータストリームの受信量に基づいて算出される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるイーサネット環境におけるUDPデータ伝送の公正性確保装置及び方法によれば、送信装置から受信装置にUDPデータが伝送される時に公正性を判別するための用途のTCPデータストリームを共に伝送することで、RTT基盤のキューイング遅延時間把握などの別途のモジュールを具現せずにTCPストリームのみを追加して構成を簡素化できる。またイーサネットソケットプログラミングの可能ないかなるプラットホームと開発言語でも具現でき、別途のモジュールを使用しないことで、スマートフォンなどのハードウェア及びソフトウェア性能の低い機器にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】既存のUDP基盤データ伝送システムの構成を示すブロック図である。
【図2】既存のUDP基盤データ伝送プロトコルで公正性を確保するための構成を示すブロック図である。
【図3】本発明によるイーサネット環境におけるUDPデータ伝送の公正性確保装置についての望ましい実施形態の構成を示すブロック図。
【図4】本発明によるUDPデータ伝送の公正性確保装置が送信装置に備えられた場合の実施形態を示すブロック図である。
【図5】イーサネット環境における送信装置及び受信装置間の公正性保証のためのデータ伝送の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明によるUDPデータ伝送の公正性確保方法についての望ましい実施形態の実行過程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付した図面を参照して本発明によるイーサネット環境におけるUDPデータ伝送の公正性確保装置及び方法の望ましい実施形態について詳細に説明する。
【0018】
図3は、本発明によるイーサネット環境におけるUDPデータ伝送の公正性確保装置についての望ましい実施形態の構成を示すブロック図である。
【0019】
図3を参照すれば、本発明によるUDPデータ伝送の公正性確保装置300は、TCP伝送速度算出部310、UDP伝送速度算出部320及び公正性判別部330を備える。また本発明によるUDPデータ伝送の公正性確保装置300は、送信装置100または受信装置200のうちいずれか一つに備えられる。すなわち、送信装置100内に備えられて、前述したように受信装置200から提供される受信データ情報に基づいて伝送速度を算出し、公正性を判別して送信装置100のUDPデータ伝送速度を調節してもよく、受信装置200内に備えられて伝送速度算出及び公正性判別を行った後、その結果を送信装置100に伝送してもよい。
【0020】
以下、本発明によるUDPデータ伝送の公正性確保装置300の各構成要素が送信装置100内に備えられる場合を代表的な実施形態として説明する。図4は、本発明によるUDPデータ伝送の公正性確保装置300が送信装置100に備えられた場合の実施形態を示すブロック図である。
【0021】
図4を参照すれば、送信装置100は、図1に図示された構成要素であるUDPデータ送信部110及びUDP伝送速度制御部120以外に、TCPストリームのためのTCPデータ送信部130をさらに備え、本発明によるUDPデータ伝送の公正性確保装置300の構成要素であるTCP伝送速度算出部310、UDP伝送速度算出部320及び公正性判別部330を備える。また受信装置200は、図1に図示された構成要素であるUDPデータ受信部210及びUDP受信データ情報提供部220以外に、TCPデータ受信部260及びTCP受信データ情報提供部270をさらに備える。
【0022】
図4に図示されたブロック図は、説明の便宜のために各構成要素を細分化した場合であり、TCP及びUDP伝送速度算出が公正性判別部330により行われるか、またはUDP伝送速度算出がUDP伝送速度制御部120により行われるなどの変形が可能である。
【0023】
送信装置100及び受信装置200が、図4に図示されたような構成を持つ場合に、送信装置100はまず受信装置200にTCPデータストリームのみを伝送して、TCPデータストリームだけで確保可能な最大速度を確認した後、受信装置200へのUDPデータ伝送を開始すると同時に、公正性判断のためのTCPデータストリームを共に伝送して送信装置100と受信装置200との間のデータ伝送の公正性を判別し、その結果によって送信装置100のUDPデータ伝送速度を制御する。このようにすることで、他のネットワーク連結を考慮しない攻撃的なUDPデータ伝送による公正性侵害を防止できる。
【0024】
以下、図4に図示された各構成要素間の入出力関係及び各構成要素の動作について詳細に説明する。
【0025】
まず送信装置100のTCPデータ送信部130は、前述したようにUDPデータ伝送が開始される前に受信装置200にTCPデータストリームを伝送する。この時、TCPデータストリームの伝送は、既定の一定時間(例えば、0.5秒ないし5秒)行われ、送信装置100からの伝送速度は、現在送信装置100が位置するネットワーク装備の帯域幅に比べて十分に大きい速度で設定される。受信装置200のTCPデータ受信部260は、TCPデータストリームを受信し、TCP受信データ情報提供部270は、一定時間受信されたデータのサイズを確認してその情報を送信装置100に伝送する。
【0026】
送信装置100のTCP伝送速度算出部310は、提供された受信データのサイズに基づいてTCPデータストリームの実際伝送速度を算出し、これを最適の伝送速度と決定する。算出された最適の伝送速度は、以後UDPデータ伝送が開始される時にUDPデータと同時に伝送されるTCPデータストリームの伝送速度を設定するために使われる。
【0027】
前記のようにTCPデータストリームの最適の伝送速度が決定された後、UDPデータ送信部110は、受信装置200へのUDPデータ伝送を開始し、TCPデータ送信部130は、UDPデータ伝送と同時に公正性判断のためのTCPデータストリームを受信装置200に伝送する。UDPデータ伝送と同時に行われるTCPデータストリームの伝送は、UDPデータの伝送がいずれも完了するまで反復して行われる。またUDPデータと同時に伝送されるTCPデータストリームの送信装置100における伝送速度は、予め算出された最適の伝送速度以上に設定される。
【0028】
受信装置200のTCPデータ受信部260及びUDPデータ受信部210は、TCPデータ送信部130及びUDPデータ送信部110が伝送したデータをそれぞれ受信し、TCP受信データ情報提供部270及びUDP受信データ情報提供部220は、それぞれ受信されたTCPデータ及びUDPデータのサイズなどの情報を送信装置100に提供する。
【0029】
TCP伝送速度算出部310は、現在伝送されたTCPデータストリームの受信装置200における受信量に基づいてTCP現在伝送速度を算出し、UDP伝送速度算出部320は、UDP受信装置200に受信されたUDPデータのサイズに基づいてUDP伝送速度を算出する。公正性判別部330は、このように算出されたTCP現在伝送速度及び、予めTCP伝送速度算出部310により算出されて保存された最適の伝送速度に基づいて、送信装置100と受信装置200との間のデータ伝送の公正性を判別する。
【0030】
具体的に、公正性判別部330は、TCP現在伝送速度が最適の伝送速度以上ならば、送信装置100と受信装置200との間のデータ伝送が公正性を侵害しないと判断する。またTCP伝送速度算出部310は、保存されている最適の伝送速度の値を現在算出されたTCP現在伝送速度の値に更新する。以後更新された最適の伝送速度がTCPデータストリームの伝送及び公正性の判別に使われる。
【0031】
また公正性判別部330は、TCP現在伝送速度が最適の伝送速度より小さく、TCP現在伝送速度と最適の伝送速度との差が既定の臨界値以上ならば、UDP伝送速度算出部320により算出されたUDP伝送速度の変化によって公正性侵害如何を判別する。
【0032】
すなわち、UDP伝送速度が現在増加状態ならば、公正性判別部330は、送信装置100のUDPデータ伝送が公正性に影響を及ぼしていると判断して、その事実をUDP伝送速度制御部120に通知する。UDP伝送速度制御部120は、UDPデータ送信部110が受信装置200にUDPデータを伝送する時の伝送速度を調節する構成要素であって、公正性判別部330から制御信号が入力されれば、UDPデータの伝送速度を公正性を侵害しないレベルに調節する。
【0033】
一方、UDP伝送速度が現在減少状態であるか、または一定の値に維持される状態であると判断されれば、公正性判別部330は、TCP現在伝送速度が減少したのが、UDPデータによるものではない他のプロセスのネットワーク使用が増加したためであると判断して、UDP伝送速度制御部120に伝送速度調節のための制御信号を伝送しない。但し、TCP伝送速度算出部310は、最適の伝送速度の値をTCP現在伝送速度の値に更新する。
【0034】
最後に公正性判別部330は、TCP現在伝送速度が既定の最低値より小さければ、UDP伝送速度の現在状態に関係なく送信装置100のUDPデータ伝送が公正性を侵害すると判断する。したがって、UDP伝送速度制御部120に制御信号を伝送してUDPデータの伝送速度を調節させる。
【0035】
このように本発明によるUDPデータ伝送の公正性確保装置300は、イーサネット環境の送信装置100または受信装置200の内部に備えられて、UDPデータ伝送が行われる時にTCPデータストリームを共に伝送して公正性を確保する方法を使用することで、前述した従来の方法であるRTT基盤のキューイング遅延時間把握などの別途装置の具現なしでも、UDPデータ伝送において公正性を確保することができる。
【0036】
これは、既存方式が、正確なRTT測定のために運用体制の資源に直接接近するべきであり、C言語具現などの速い性能を必要とすることとは異なって、イーサネットソケットプログラミングの可能ないかなるプラットホームと開発言語でも具現でき、スマートフォンなどハードウェア及びソフトウェア性能の低いシステムでも具現できるので、多様な機器における公正性確保が可能である。
【0037】
本発明によるUDPデータ伝送の公正性確保装置300が適用される一実施形態として、スマートフォンで大容量の電子メールの添付ファイルデータを伝送する場合について説明する。
【0038】
このような場合に、TCPに比べて速いデータ伝送のためにUDP基盤データ伝送プロトコルを使用して速い速度でデータグラムを伝送する時、大容量の電子メールの添付ファイルは速い速度に伝送できるが、他のプロセスのネットワーク連結(例えば、ウェブサーフィン及びFTPなど)、及び同じネットワーク環境にあるコンピュータのクロストラフィックがラックにかかって遅く処理されるか、または連結が切れる現象が発生する。これは、他のネットワーク連結を考慮しない攻撃的なUDPデータ伝送によることである。
【0039】
これに本発明によるUDPデータ伝送の公正性確保装置300を適用すれば、クロストラフィックのない場合には、可用帯域幅をいずれも使用してUDPデータ伝送をし、他のプロセスのネットワーク使用またはクロストラフィックが存在する場合には、UDPデータ伝送速度をクロストラフィックに影響を及ぼさないほどに調節して公正性を保証できる。
【0040】
この時、UDPデータ伝送時に公正性を保証する伝送をするか、または公正性保証なしに速いデータ伝送のみを行うかは、ユーザー選択が可能に具現でき、公正性を保証する場合にも、クロストラフィックをある程度考慮するかを予め設定できる。また公正性判断についての正確度を上げるために、TCPデータ伝送ソケットの個数を一つ以上の多數で構成できる。
【0041】
図5は、イーサネット環境における送信装置100と受信装置200との間の公正性保証のためのデータ伝送の一例を示すフローチャートである。図5のフローチャートで本発明によるUDPデータ伝送の公正性確保装置300は、送信装置100内に備えられている。
【0042】
図5を参照すれば、送信装置100のTCPデータ送信部130は、受信装置200に一定時間TCPデータストリームを伝送する(S510)。受信装置200のTCP受信データ情報提供部270は、TCPデータ受信部260が受信したTCPデータ情報を抽出して(S520)、送信装置100に提供する(S530)。送信装置100のTCP伝送速度算出部310は、提供された情報に基づいて最適の伝送速度を算出する(S540)。
【0043】
次いで、UDPデータ送信部110は、受信装置200へのUDPデータ伝送を開始し、この時TCPデータ送信部130は、UDPデータ伝送と同時に公正性判別のためのTCPデータストリームを受信装置200に伝送する(S550)。受信装置200のTCP受信データ情報提供部270及びUDP受信データ情報提供部220は、受信されたTCP及びUDPデータ情報を抽出して(S560)、送信装置100に提供して(S570)、送信装置100に備えられた本発明によるUDPデータ伝送の公正性確保装置300は、TCP及びUDP伝送速度に基づいて公正性侵害如何を判別する(S580)。判別結果によってUDPデータ伝送の伝送速度が調節される(S590)。
【0044】
また図6は、本発明によるUDPデータ伝送の公正性確保方法についての望ましい実施形態の実行過程を示すフローチャートである。図6のフローチャートは、図5と同様に本発明によるUDPデータ伝送の公正性確保装置300は、送信装置100内に備えられた場合に関する。
【0045】
図6を参照すれば、TCP伝送速度算出部310は、TCP現在伝送速度を算出し(S610)、UDP伝送速度算出部320はUDP伝送速度を算出する。公正性判別部330は、TCP現在伝送速度が予め算出されて保存された最適の伝送速度より小さいかどうかを判断する(S620、S630)。TCP現在伝送速度が最適の伝送速度より小さく、既定の最低値より小さければ、公正性判別部330は、UDP伝送速度制御部120がUDPデータの伝送速度を公正性が保証される範囲に調節するための制御信号を出力する(S660)。
【0046】
一方、TCP現在伝送速度と最適の伝送速度との差が既定の臨界値以上であり(S640)、UDP伝送速度が現在増加状態である場合にも(S650)、公正性判別部330は、UDP伝送速度制御部120がUDPデータの伝送速度を公正性が保証される範囲に調節するための制御信号を出力する(S660)。
【0047】
TCP現在伝送速度が最適の伝送速度以上である場合(S620)、及びTCP現在伝送速度と最適の伝送速度との差が臨界値以上であり(S640)、UDP伝送速度が増加状態に該当しない場合には(S650)、TCP伝送速度算出部310が最適の伝送速度の値をTCP現在伝送速度の値に更新する(S670)。
【0048】
以上で説明したような過程は、伝送対象であるUDPデータの伝送がいずれも完了するまで反復される(S680)。
【0049】
本発明はまた、コンピュータで読み取り可能な記録媒体にコンピュータで読み取り可能なコードとして具現することができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、コンピュータシステムによって読み取られるデータが保存されるあらゆる種類の記録装置を含む。コンピュータで読み取り可能な記録媒体の例には、ROM、RAM、CD−ROM、磁気テープ、フロッピーディスク、光データ保存装置などがあり、またキャリアウェーブ(例えば、インターネットを通じる伝送)の形態で具現されるものも含む。またコンピュータで読み取り可能な記録媒体は、ネットワークに連結されたコンピュータシステムに分散されて、分散方式で、コンピュータで読み取り可能なコードが保存されて行われる。
【0050】
以上で本発明の望ましい実施形態について図示して説明したが、本発明は前述した特定の望ましい実施形態に限定されず、特許請求の範囲で請求する本発明の樹脂を逸脱せずに当業者ならば誰でも多様な変形実施が可能であるということはいうまでもなく、かかる変更は特許請求の範囲に記載の範囲内にある。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、イーサネット環境におけるUDPデータ伝送の公正性確保装置関連の技術分野に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0052】
100 送信装置
110 UDPデータ送信部
120 UDP伝送速度制御部
200 受信装置
210 UDPデータ受信部
220 UDP受信データ情報提供部
230 RTT算出部
240 遅延時間推測部
250 公正性判別部
260 TCPデータ受信部
270 TCP受信データ情報提供部
300 公正性確保装置
310 TCP伝送速度算出部
320 UDP伝送速度算出部
330 公正性判別部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イーサネット環境を構成する送信装置と受信装置との間でのUDPデータ伝送の公正性確保装置において、
前記送信装置からリアルタイムで伝送されるTCPデータストリームの前記受信装置における受信量に基づいて、TCP現在伝送速度を算出するTCP伝送速度算出部と、
前記送信装置から前記TCPデータストリームと共に伝送されるUDPデータの前記受信装置における受信量に基づいて、UDP伝送速度を算出するUDP伝送速度算出部と、
前記TCP現在伝送速度と既定の最適の伝送速度との差が既定の臨界値以上であり、前記UDP伝送速度が増加状態ならば、前記送信装置に備えられたUDP伝送速度制御手段に制御信号を伝送する公正性判別部と、を備え、
前記TCP伝送速度算出部は、前記送信装置のUDPデータ伝送が開始される前に前記受信装置に伝送されたTCPデータストリームの受信量に基づいて、前記最適の伝送速度を算出することを特徴とするUDPデータ伝送の公正性確保装置。
【請求項2】
前記TCP伝送速度算出部は、前記TCP現在伝送速度と既定の最適の伝送速度との差が既定の臨界値以上であり、前記UDP伝送速度が増加状態に該当しなければ、前記最適の伝送速度の値を前記TCP現在伝送速度の値に更新することを特徴とする請求項1に記載のUDPデータ伝送の公正性確保装置。
【請求項3】
前記TCP伝送速度算出部は、前記TCP現在伝送速度が前記最適の伝送速度以上ならば、前記最適の伝送速度の値を前記TCP現在伝送速度の値に更新することを特徴とする請求項1または2に記載のUDPデータ伝送の公正性確保装置。
【請求項4】
前記公正性判別部は、前記TCP現在伝送速度が既定の最低値より小さければ、前記UDP伝送速度制御手段に制御信号を伝送することを特徴とする請求項1または2に記載のUDPデータ伝送の公正性確保装置。
【請求項5】
前記TCPデータストリームは、前記UDPデータの伝送が完了するまで反復的に伝送されることを特徴とする請求項1または2に記載のUDPデータ伝送の公正性確保装置。
【請求項6】
前記受信量は、前記送信装置から前記受信装置への伝送時に流失されたパケット量及びデータの伝送率から算出されることを特徴とする請求項1または2に記載のUDPデータ伝送の公正性確保装置。
【請求項7】
前記送信装置の内部に備えられて、前記受信装置に前記TCPデータストリーム及び前記UDPデータを伝送することを特徴とする請求項1または2に記載のUDPデータ伝送の公正性確保装置。
【請求項8】
イーサネット環境を構成する送信装置と受信装置との間でのUDPデータ伝送の公正性確保方法において、
(a)前記送信装置からリアルタイムで伝送されるTCPデータストリームの前記受信装置における受信量に基づいて、TCP現在伝送速度を算出する段階と、
(b)前記送信装置から前記TCPデータストリームと共に伝送されるUDPデータの前記受信装置における受信量に基づいて、UDP伝送速度を算出する段階と、
(c)前記TCP現在伝送速度と既定の最適の伝送速度との差が既定の臨界値以上であり、前記UDP伝送速度が増加状態ならば、前記送信装置に備えられたUDP伝送速度制御手段に制御信号を伝送する段階と、を含み、
前記最適の伝送速度は、前記送信装置のUDPデータ伝送が開始される前に前記受信装置に伝送されたTCPデータストリームの受信量に基づいて算出されたことを特徴とするUDPデータ伝送の公正性確保方法。
【請求項9】
(d)前記TCP現在伝送速度と既定の最適の伝送速度との差が既定の臨界値以上であり、前記UDP伝送速度が増加状態に該当しなければ、前記最適の伝送速度の値を前記TCP現在伝送速度の値に更新する段階をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載のUDPデータ伝送の公正性確保方法。
【請求項10】
(e)前記TCP現在伝送速度が前記最適の伝送速度以上ならば、前記最適の伝送速度の値を前記TCP現在伝送速度の値に更新する段階をさらに含むことを特徴とする請求項8または9に記載のUDPデータ伝送の公正性確保方法。
【請求項11】
(f)前記TCP現在伝送速度が既定の最低値より小さければ、前記UDP伝送速度制御手段に制御信号を伝送する段階をさらに含むことを特徴とする請求項8または9に記載のUDPデータ伝送の公正性確保方法。
【請求項12】
前記TCPデータストリームは、前記UDPデータの伝送が完了するまで反復的に伝送され、前記(a)段階ないし前記(c)段階が反復して行われることを特徴とする請求項8または9に記載のUDPデータ伝送の公正性確保方法。
【請求項13】
前記(c)段階で、前記UDPデータの伝送速度は、前記イーサネット環境で前記受信装置との連結が、他のネットワーク連結に対する公正性を確保するように調節されることを特徴とする請求項8または9に記載のUDPデータ伝送の公正性確保方法。
【請求項14】
前記受信量は、前記送信装置から前記受信装置への伝送時に流失されたパケット量及びデータの伝送率から算出されることを特徴とする請求項8または9に記載のUDPデータ伝送の公正性確保方法。
【請求項15】
(a)イーサネット環境を構成する送信装置からリアルタイムで受信されるTCPデータストリームの受信量に基づいてTCP現在伝送速度を算出する段階と、
(b)前記TCPデータストリームと共に受信されるUDPデータの受信量に基づいてUDP伝送速度を算出する段階と、
(c)前記TCP現在伝送速度と既定の最適の伝送速度との差が既定の臨界値以上であり、前記UDP伝送速度が増加状態であれば、前記送信装置で前記UDPデータの伝送速度を調節させる制御信号を伝送する段階と、を含み、
前記最適の伝送速度は、前記送信装置のUDPデータ伝送の開始前に受信されたTCPデータストリームの受信量に基づいて算出されたことを特徴とするUDPデータ伝送の公正性確保方法。
【請求項16】
(d)前記TCP現在伝送速度と既定の最適の伝送速度との差が既定の臨界値以上であり、前記UDP伝送速度が増加状態に該当しなければ、前記最適の伝送速度の値を前記TCP現在伝送速度の値に更新する段階をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載のUDPデータ伝送の公正性確保方法。
【請求項17】
(e)前記TCP現在伝送速度が前記最適の伝送速度以上ならば、前記最適の伝送速度の値を前記TCP現在伝送速度の値に更新する段階をさらに含むことを特徴とする請求項15または16に記載のUDPデータ伝送の公正性確保方法。
【請求項18】
(f)前記TCP現在伝送速度が既定の最低値より小さければ、前記UDP伝送速度制御手段に制御信号を伝送する段階をさらに含むことを特徴とする請求項15または16に記載のUDPデータ伝送の公正性確保方法。
【請求項19】
前記TCPデータストリームは、前記UDPデータの伝送が完了するまで反復的に伝送され、前記(a)段階ないし前記(c)段階が反復して行われることを特徴とする請求項15または16に記載のUDPデータ伝送の公正性確保方法。
【請求項20】
請求項8ないし19の何れかに記載のUDPデータ伝送の公正性確保方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した、コンピュータで読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−95301(P2012−95301A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235347(P2011−235347)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(510294195)サムソン エスディーエス カンパニー リミテッド (33)
【Fターム(参考)】