説明

ウェザーストリップ

【課題】磁性体を所要部にのみ部分的に配合して重量の増加を少なくし、かつ常に一定のシール面圧を確保して遮音性を長期にわたって維持することができるウェザーストリップを提供する。
【解決手段】EPDM等のゴム製よりなり、自動車ボデーのドア開口周縁部及びドア周りに装着されるウェザーストリップ1、11において、ドアを閉めたとき、ウェザーストリップ1の中空シール部6がボデー側のフレーム5に当たる当たり面6aと、ウェザーストリップ11の中空シール部15がドアの窓枠2に当たる当たり面15aには、それぞれその両端部と中間部の表層部に磁性材料を配合したゴム部21が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ボデーのドア開口周縁部及びドア周りに装着されるウェザーストリップに関する。
【背景技術】
【0002】
図2は、図1に示す自動車のA−A線断面におけるウェザーストリップを示すもので、ドア周りに装着されるウェザーストリップ1は、窓枠2に固着のサッシュ3に装着される基底部4と、該基底部4と一体をなして基底部4より突出形成され、ドアを閉じたときボデー側のフレーム5に弾接する中空シール部6及びシールリップ7とよりなり、ボデー側のドア開口周縁部に装着されるウェザーストリップ11は、ボデー側のフレーム5より突設されるフランジ12に差込んで取付けられる断面略U形状の芯金13入りの取付部14と、該取付部14より側方に突出形成され、ドアを閉じたとき窓枠2に弾接する中空シール部15とよりなっている。図中、8はガラスラン、9は窓ガラスである。
【0003】
上述のウェザーストリップ1、11は一般に、EPDM等のゴム製となっているが、ゴムは経時劣化によりへたってフレーム5或いは窓枠に当たる中空シール部の当たり面によるシール幅が小さくなり、この結果シール面圧が低下し、遮音性が悪化しがちとなる。そこで本発明は、ウェザーストリップに経時劣化の少ない磁性体を混入しようとするものであるが、磁性体を混入したウェザーストリップ自体は既知である。
【0004】
下記特許文献1には、中空シール部の当たり面に対し、部分的に或いは全体に磁性材料を配置したウェザーストリップが開示されている。
【特許文献1】特開平2−290756号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
磁性体はゴムに比べ重く、かつ高価であるため、ウェザーストリップの重量及びコストが嵩みがちである。
【0006】
本発明は、磁性体を所要部にのみ部分的に配置して重量の増加を少なくし、かつ常に一定のシール面圧を確保して遮音性を長期にわたって維持することができるウェザーストリップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ドアを閉めたとき、ボデー側のフレーム、或いはドアの窓枠に弾接してドアとボデーとの間をシールする中空シール部を備え、該中空シール部には磁性材料が部分的に配置されるウェザーストリップにおいて、フレーム或いは窓枠に当たる中空シール部の当たり面には、少なくともその両端部に磁性材料が配置されることを特徴とする。
【0008】
本発明で用いる磁性材料としては、既知の種々の磁性材料を用いることができるが、なかでも磁力特性のよい高透磁率合金、ケイ素鋼、ストロンチウムフェライト、バリウムフェライト等が望ましい。
本発明において、磁性材料を配置するために磁性材料が混ぜ合わせられる材料としては樹脂、例えばナイロン系樹脂、TPS(スチレン系熱可塑性エラストマー)、TPO(オレフィン系熱可塑性エラストマー)等が好ましい。
また、例えば図5に示すように、ボデー側のフレームのコーナ部に跨ってシールを行うようにした場合、磁性材料を当たり面の両端端部よりも若干外側に設けることによりシール幅が増加し、また中空シール部が引張り力を受けるようになってボデーにより強く圧着するため、シール性が向上する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、中空シール部の当たり面の両端に配置された磁性材料が、板金製のボデー側のフレーム或いはドアの窓枠に吸着され、これにより中空シール部が当たり面でシールを行うが、磁性材料は経時劣化が少なく、部分的に配置されるだけであるため最小限の磁性材料で当たり面でのシールを長期間にわたって確実に行うことができ、磁性材料配置による重量の増加を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図3は、本発明の実施形態のウェザーストリップについて示すもので、EPDM等のゴム製よりなり、図2に示すウェザーストリップと異なる点は、ドアを閉めたとき、ウェザーストリップ1の中空シール部6がボデー側のフレーム5に当たる当たり面6aの両端部と中間部の表層部に磁性材料を配置したゴム部21を設け、かつウェザーストリップ11の中空シール部15がドアの窓枠2に当たる当たり面15aの両端部と中間部の表層部に磁性材料を配置したゴム部21を設けた点で、これ以外の構成は、図2に示すウェザーストリップ1、11と変わりがないため、その説明は省略する。
【0011】
図4は、ドアを閉じたときのウェザーストリップ1及び11の態様を示すもので、図示されるように、中空シール部6の当たり面6a及び中空シール部15の当たり面15aがそれぞれ、その両端部と中間部においてゴム部21によりフレーム5及び窓枠2に密着してシールされるようになり、経時劣化により中空シール部6、15がゴム部以外で仮にへたるようなことがあっても、中間部及び当たり面両端のゴム部21がフレーム5及び窓枠2に吸着されて当初のシール幅を確保することができ、シール面圧の低下により遮音性が悪化するのを防ぐことができる。
【0012】
図5は、上述するウェザーストリップ1及び11の変形態様を示すもので、ドア周りに装着されるウェザーストリップ23の中空シール部24には中空シール部6と同様、当たり面24aの両端部と中間部の表層部にゴム部21が3か所、ボデー側のフレーム5に装着されるウェザーストリップ25の中空シール部26には、当たり面26aの両端に二か所、それぞれゴム部21が設けられている。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明のウェザーストリップは、自動車ボデーのドア開口周縁部及びドア周りに取付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来のウェザーストリップの断面図。
【図2】ウェザーストリップが取付けられる自動車の側面図。
【図3】本発明に係わるウェザーストリップの断面図。
【図4】ドアを閉じたときのウェザーストリップの態様を示す断面図。
【図5】本発明に係わるウェザーストリップの別の態様の断面図。
【符号の説明】
【0015】
1、11、23、25・・ウェザーストリップ
2・・窓枠
3・・サッシュ
4・・基底部
5・・フレーム
6、15、24、26・・中空シール部
6a、15a、24a、26a・・当たり面
7・・シールリップ
8・・ガラスラン
9・・窓ガラス
12・・フランジ
13・・芯金
14・・取付部
21・・ゴム部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアを閉めたとき、ボデー側のフレーム5、或いはドアの窓枠2に弾接してドアとボデーとの間をシールする中空シール部6、15、24、26を備え、該中空シール部6、15、24、26には磁性材料が部分的に配置されるウェザーストリップ1、11、23、25において、フレーム5或いは窓枠2に当たる中空シール部6、15、24、26の当たり面6a、15a、24a、26aには、少なくともその両端部に磁性材料21が配合されることを特徴とするウェザーストリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−188108(P2006−188108A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−382930(P2004−382930)
【出願日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(000196107)西川ゴム工業株式会社 (454)
【Fターム(参考)】