説明

ウエザストリップ

【課題】トリム部内においてガス溜まりが発生してしまうことを防止でき、ひいては外観品質の低下を防止する。
【解決手段】ウエザストリップ4は、フランジ23に保持されるとともに、EPDM微発泡ゴムからなるトリム部5と、当該トリム部5から突出して設けられ、ドア閉時にドアの周縁に圧接されるシール部6と、複数の短冊状の骨片部31を有し、前記トリム部5内に埋設されるインサート14とを備える。前記トリム部5は、インサート14を覆うようにして押出成形された未加硫のEPDM微発泡ゴムに対して加硫処理を施すことで形成される。また、各骨片部31同士はセンターボンド部32で連結される。加えて、少なくとも各骨片部31のうち各センターボンド32間に位置する部位及び各センターボンド部32が、EPDMソリッドゴムからなる被覆膜51によって被覆される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両の開口周縁に用いられるウエザストリップに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車等の車両のドア開口周縁にはドアウエザストリップが設けられる。ドアウエザストリップは、ドア開口周縁のフランジに対し嵌め込まれる断面U字状のトリム部と、前記トリム部から突出する中空状のシール部とを備えている。また、前記トリム部は、ゴム材料によって構成されているとともに、当該トリム部には、前記フランジに対する保持力を高める等の観点から、金属製のインサートが埋設されている。当該インサートとしては、前記トリム部の長手方向と直交する方向に延びる複数の短冊状の骨片部と、各骨片部を連結するボンド部を有するものが知られている。また、フランジに対する取付の追従性を向上させるべく、各骨片部が分離して構成されたインサートも提案されている。
【0003】
前記トリム部は、前記インサートを覆うようにして押出成形された未加硫ゴム(トリム部中間体)を得た上で、当該トリム部中間体に加硫処理を施すことによって形成される。尚、各骨片部が分離して構成されたインサートであっても、押出成形時において各骨片部の埋設位置にずれが生じてしまうことを防止するために、押出成形時には、前記各骨片部同士は連結部によって連結されており、加硫処理の後に連結部の切断がなされるのが一般的である。
【0004】
近年、ドアウエザストリップに関する軽量化の要請が高まっており、前記トリム部を発泡ゴム(微発泡ゴムを含む)によって形成する技術が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。ここで、前記発泡ゴムは、前記トリム部を構成する未加硫ゴムに対して発泡剤を含有させた上で、前記加硫処理により前記発泡剤を発泡させることによって形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−291744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、加硫処理を施すことによってトリム部内においては発泡ガスが生じることとなるが、当該発泡ガスの一部がトリム部の表面から外部へと放出され得る。ここで、発泡ガスが前記インサートとの境界側へと放出されてしまうと、図12に示すように、前記インサート94及びトリム部95間に発泡ガスが溜まってしまい、インサート94とトリム部95との間にガス溜まり96が形成されてしまうおそれがある。その結果、トリム部95の表面が所々膨らんだ状態となってしまい、外観品質の低下を招いてしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、トリム部内においてガス溜まりが発生してしまうことを防止でき、ひいては外観品質の低下を防止することができるウエザストリップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0009】
手段1.車両のドア開口周縁部のフランジに保持されるとともに、発泡ゴムからなる断面U字状のトリム部と、
前記トリム部から突出して設けられ、ドア閉時にドアの周縁に圧接される中空状のシール部と、
互いに略平行に配設された複数の短冊状の骨片部を有し、前記トリム部内に埋設されるインサートとを備え、
前記トリム部は、前記インサートを覆うようにして押出成形された未加硫の発泡ゴムに対して加硫処理を施すことによって形成されるとともに、
少なくとも前記加硫処理時において、前記インサートは前記各骨片部同士を連結する複数の連結部を有してなるウエザストリップであって、
少なくとも前記各骨片部のうち前記各連結部間に位置する部位、及び、前記各連結部が、前記発泡ゴムと同一又は同種素材のソリッドゴムからなる被覆膜によって被覆されていることを特徴とするウエザストリップ。
【0010】
上述したように、インサート及びトリム部間において発泡ガスが溜まってしまうおそれがあるが、本願発明者が鋭意検討した結果、特に、各骨片部を連結する連結部(例えば、ボンド部)と骨片部のうち各連結部に挟まれた部位とからなる長手方向に直線状に延びる部位(延出部)において特にガス溜まりが発生しやすいことがわかった。これは、インサートの回りをトリム部を構成するゴムが取り囲むことで、インサートに対するトリム部の密着力が生じるのであるが、前記延出部は、長手方向において前記ゴムに取り囲まれていないため、前記密着力が比較的弱いものとなりやすく、ひいてはインサートとトリム部との間に隙間が生じやすいことに起因する。
【0011】
この点、上記手段1によれば、少なくとも前記各骨片部のうち前記各連結部間に位置する部位と、前記各連結部とが、ソリッドゴムからなる被覆膜によって被覆されている。このため、前記被覆膜の存在によって、発泡ガスがインサートへと到達してしまうことをより確実に防止することができ、ひいてはインサートと被覆膜との間において発泡ガスが溜まってしまうことをより確実に防止することができる。
【0012】
また、前記被覆膜を構成するソリッドゴムは、トリム部を構成する発泡ゴムと同一又は同種の素材によって形成されている。このため、加硫工程を経ることによって、トリム部と被覆膜とを接着させることができ、両者の間に間隙が生じてしまうことをより確実に防止することができる。その結果、トリム部及び被覆膜の間において発泡ガスが溜まってしまうことを効果的に抑制できる。
【0013】
このように本手段1を採用することで、トリム部内にガス溜まりが生じてしまうことをより確実に防止することができ、ひいては外観品質の低下を防止することができる。
【0014】
手段2.前記インサートの表面全域が、前記被覆膜で被覆されていることを特徴とする手段1に記載のウエザストリップ。
【0015】
上記手段2によれば、インサートの表面全域を覆うようにして被覆膜が設けられるため、トリム部内におけるガス溜まりの発生をより一層確実に防止することができる。その結果、外観品質の低下をより一層確実に防止することができる。
【0016】
手段3.車両のドア開口周縁部のフランジに保持されるとともに、発泡ゴムからなる断面U字状のトリム部と、
前記トリム部から突出して設けられ、ドア閉時にドアの周縁に圧接される中空状のシール部と、
互いに略平行に配設された複数の短冊状の骨片部を有し、前記トリム部内に埋設されるインサートとを備え、
前記トリム部は、前記インサートを覆うようにして押出成形された未加硫の発泡ゴムに対して加硫処理を施すことによって形成されるとともに、
少なくとも前記加硫処理時において、前記インサートは前記各骨片部同士を連結する複数の連結部を有してなるウエザストリップであって、
少なくとも前記各骨片部のうち前記各連結部間に位置する部位、及び、前記各連結部を覆う被覆膜を有し、
前記被覆膜は、前記押出成形に先立って、少なくとも前記各骨片部のうち前記各連結部間に位置する部位、及び、前記各連結部の表面に架橋剤が塗布され、前記押出成形の後に前記加硫処理が施されることによって形成されていることを特徴とするウエザストリップ。
【0017】
上記手段3によれば、架橋剤が塗布された部位に位置する未加硫の発泡ゴムについては、加硫処理を施すことで発泡よりも架橋が促進されることとなる。そのため、少なくとも各骨片部のうち各連結部間に位置する部位と各連結部とを覆うようにして、強架橋され、発泡の程度が比較的低い被覆膜が形成される。その結果、基本的には上記手段1と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0018】
また、上記手段1等と比較して、インサートを被覆膜で覆う工程を省略することができる。そのため、製造工程や製造装置の簡素化を図ることができ、製造コストの増大を抑制することができる。
【0019】
手段4.前記架橋剤は、前記インサートの表面全域に塗布されていることを特徴とする手段3に記載のウエザストリップ。
【0020】
上記手段4によれば、インサートの表面全域を覆うようにして、強架橋された被覆膜が形成される。このため、上記手段2と同様の作用効果が奏されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】自動車を示す斜視図である。
【図2】ウエザストリップを示す断面図である。
【図3】インサート等の構成を示す一部破断斜視図である。
【図4】(a)〜(c)は、第1実施形態におけるウエザストリップの製造方法を説明するための部分拡大断面図である。
【図5】(a)〜(c)は、第2実施形態におけるウエザストリップの製造方法等を説明するための部分拡大断面図である。
【図6】第2実施形態における被覆膜を示す一部破断斜視図である。
【図7】別の実施形態におけるインサートの構成を示す部分拡大平面図である。
【図8】別の実施形態におけるインサートの構成を示す部分拡大平面図である。
【図9】別の実施形態におけるウエザストリップの配設位置等を示すための自動車の部分拡大斜視図である。
【図10】図9のJ−J線断面図である。
【図11】別の実施形態における被覆膜を示す一部破断斜視図である。
【図12】従来技術における問題点を説明するための部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔第1実施形態〕
以下に、第1実施形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、車両としての自動車1の側方にはドア2が開閉可能に設けられ、ドア2に対応するボディ側のドア開口3周縁にはドアウエザストリップ(以下、「ウエザストリップ」と称す)4が装着されている。本実施形態のウエザストリップ4は、主として押出成形法によって成形され、全体としてほぼ環状をなす。
【0023】
図2に示すように、ウエザストリップ4はトリム部5及びシール部6を備えている。トリム部5は、車内側側壁部11、車外側側壁部12、及び、両側壁部11,12を連結する側壁連結部13を備えており、全体として断面U字状をなす。また、トリム部5は、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合)微発泡ゴム(本発明の「発泡ゴム」に相当する)によって構成されており、その内部には金属製のインサート14が埋設されている。
【0024】
車外側側壁部12の内面(車内側面)にはトリム部5の内側(車内側)に向かって延びる複数の保持リップ部15が一体形成され、車内側側壁部11の内面(車外側面)にはトリム部5の内側(車外側)に向かって延びる保持リップ部16が一体形成されている。また、前記側壁連結部13には、図示しないガーニッシュ等の内装品の端部を覆うカバーリップ18が車内側へと延出形成されている。
【0025】
また、ドア開口3周縁には、前記ボディのインナパネル21及びアウタパネル22が接合されることによりフランジ23が形成されており、このフランジ23にトリム部5が嵌め込まれることにより、ウエザストリップ4がドア開口3周縁に保持される。より詳しくは、前記保持リップ部15,16によりフランジ部23を挟み込むことで、ウエザストリップ4がドア開口3周縁に保持されている。
【0026】
一方、シール部6は、車外側側壁部12の車外側において突出して一体に設けられ、主としてEPDM発泡ゴムによって中空状に形成されている。そして、ドア2の閉時には、シール部6がドア2の周縁に圧接されることで、ドア2と自動車1のボディとの間がシールされる。
【0027】
尚、本実施形態においては、トリム部5及びシール部6の双方が発泡されたEPDMゴムによって構成されているが、トリム部5を構成する材料は微発泡材料であり、シール部6を構成する材料よりも発泡の程度が低いものである。すなわち、トリム部5を構成する材料は、シール部6を構成する材料よりも密度が大きく、ひいては十分な剛性を有している。このため、前記保持リップ部15,16は十分な剛性を有しており、前記フランジ部23に対してウエザストリップ4を安定した状態で組み付けることができるようになっている。
【0028】
加えて、図3に示すように、前記インサート14は、複数の骨片部31と、前記各骨片部31をそれぞれ連結するセンターボンド部32(連結部に相当する)とを備えている。また、各骨片部31は、それぞれ略平行に配設されており、前記車内側側壁部11に対応する車内側側壁対応部41と、前記車外側側壁部12に対応する車外側側壁対応部42と、前記側壁連結部13に対応する側壁連結部対応部43とから構成され、断面略U字状をなしている。
【0029】
さらに、本実施形態においては、ウエザストリップ4の長手方向に沿うようにして、前記センターボンド部32と、骨片部31のうち前記センターボンド部32間に位置する部位とが、EPDMソリッドゴムにより形成された被覆膜51によって被覆されている。尚、当該被覆膜51を構成する材料と、当該被覆膜51を覆うトリム部5の構成材料とはともにEPDMゴムである。このため、製品として使用する際には、両者は相互に分離することなく、固着し合った状態となっている。
【0030】
次いで、上述したウエザストリップ4の製造方法について説明する。まず、前記被覆膜51を成形するための開口孔を有する第1ダイス、及び、前記ウエザストリップ4を成形するための開口孔を有する第2ダイス(それぞれ図示せず)を備える押出成形機(図示せず)に対して略平板状のインサート14とともに、EPDM未加硫ゴムを連続的に供給する。そして、図4(a)に示すように、前記第1ダイスから、前記インサート14のセンターボンド部32と骨片部31のうちセンターボンド部32に挟まれる部位とがEPDM未加硫ゴムによって被覆されてなる第1中間体M1が押出成形される。尚、当該センターボンド部32等の周囲を覆うEPDM未加硫ゴムが、前記被覆膜51を構成することとなる。
【0031】
次に、前記押出成形機に対して、所定量の発泡剤が含有されてなるEPDM未加硫ゴム(EPDM未加硫微発泡ゴム)と、前記所定量よりも比較的多い発泡剤が含有されてなるEPDM未加硫ゴム(EPDM未加硫発泡ゴム)とを連続的に供給する。すると、図4(b)に示すように、前記第2ダイスから、前記第1中間体M1がEPDM未加硫微発泡ゴムによって被覆されるとともに、中空状に形成されたEPDM未加硫発泡ゴムが前記EPDM未加硫微発泡ゴムの外表面に対して接合されてなる第2中間体M2(EPDM未加硫発泡ゴムについては、図示せず)が押出成形される。尚、前記EPDM未加硫微発泡ゴムが、前記トリム部5を構成するとともに、前記EPDM未加硫発泡ゴムが、前記シール部6を構成することとなる。
【0032】
さらに、押出成形された前記第2中間体M2が、図示しない高周波加硫槽(UHF)に案内され、一次加硫が施される。その後、図示しない熱風加硫層(HAV)に案内され、二次加硫が施される。これにより、未加硫ゴムが加硫させられるとともに、前記発泡剤が発泡させられ、図4(c)に示すように、ソリッドゴムからなる被覆膜51や、EPDM微発泡ゴムよりなるトリム部5等が形成される。そして、前記トリム部5に曲げ加工を施すことによって、前記ウエザストリップ4が得られる。
【0033】
以上詳述したように、本実施形態によれば、前記センターボンド部32及び骨片部31のうち前記センターボンド部32間に位置する部位が、ソリッドゴムからなる被覆膜51によって被覆されている。これにより、発泡ガスがインサート14のセンターボンド部32等の表面へと到達してしまうことをより確実に防止することができ、ひいてはインサート14と被覆膜51との間において発泡ガスが溜まってしまうことをより確実に防止することができる。
【0034】
また、前記被覆膜51を構成するソリッドゴムは、トリム部5を構成する微発泡ゴムのゴム成分と同種のゴム成分を有している。このため、加硫工程を経ることによって、トリム部5と被覆膜51とを固着させることができ、両者の間において間隙が生じてしまうことをより確実に防止することができる。その結果、トリム部5及び被覆膜51の間において発泡ガスが溜まってしまうことを効果的に抑制できる。
【0035】
このように本実施形態によれば、トリム部5内にガス溜まりが生じてしまうことをより確実に防止することができ、ひいては外観品質の低下を防止することができる。
【0036】
ところで、トリム部5とインサート14とを接着剤で接着することで、両者間に発泡ガスによる間隙、ひいてはガス溜まりが形成されるのを抑制することも考えられる。しかし、当該手法では、接着剤の塗布工程を別途設ける必要が生じてしまうことから、生産性の著しい低下を招いてしまい、実現性に乏しい。この点、本実施形態によれば、接着剤の塗布工程を別途設ける必要がない。すなわち、接着剤によってトリム部5とインサート14とを接着する手法と比較して、本発明は、生産性の低下を防止できるという面において、優れた実現性を有する。
〔第2実施形態〕
次いで、第2実施形態について図面を参照して説明する。尚、本第2実施形態においては、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0037】
図5(c)に示すように、本第2実施形態は、特にインサート24を被覆する被覆膜52の形成手法という点において相違点を有している。すなわち、前記被覆膜52は、前記加硫工程において、トリム部55を構成するEPDM未加硫微発泡ゴムが加硫される際に、インサート24の周囲の未加硫ゴムが他の部位よりも率先して、より大きな架橋度をもって架橋したことで形成されるものである。
【0038】
次に、前記被覆膜52の形成手法について詳述する。すなわち、図5(a)に示すように、先ずインサート24の表面全域に架橋剤53(例えば、硫黄粉末等)を予め塗布しておく。そして、押出成形機(図示せず)に対して、前記架橋剤53の塗布されたインサート24とともに、EPDM未加硫微発泡ゴム、及び、EPDM未加硫発泡ゴム(図示せず)を連続的に供給する。これにより、図5(b)に示すように、前記インサート24がEPDM未加硫微発泡ゴムによって被覆されるとともに、中空状のEPDM未加硫発泡ゴム(図示せず)が接合された中間体M3が、前記押出成形機のダイスから押出成形される。そして、当該中間体M3が、前記高周波加硫槽(UHF)、及び、前記熱風加硫槽(HAV)に案内され、加硫処理が施される。このとき、図5(c)に示すように、前記架橋剤53の作用によって、インサート24の周囲においてゴムの架橋が他の部位よりも優先して促進される。つまり、インサート24の周囲領域においては、発泡が起こるよりも前に架橋が進むこととなり、当該領域においてはソリッドゴムに近い性状の(気泡がほとんどない)前記被覆膜52が形成されるのである。尚、上述したように、本第2実施形態においては、インサート24の表面全域に架橋剤53が塗布される。従って、図6に示すように、インサート24の表面全域を覆うようにして被覆膜52が形成される(尚、図6では、トリム部55を省略して示している)。
【0039】
以上詳述したように、本第2実施形態によれば、基本的には上記第1実施形態と同様の作用効果が奏されることとなる。また、ダイス等の複雑化を防止することができ、製造装置や生産工程の簡素化を図ることができる。
【0040】
加えて、インサート24の表面全域を覆うようにして被覆膜52が設けられるため、トリム部55内におけるガス溜まりの発生をより一層確実に防止することができる。その結果、外観品質の低下をより一層確実に防止することができる。
【0041】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0042】
(a)上記実施形態では、複数の骨片部31と、各骨片部31を連結するセンターボンド部32を備えた、いわゆるセンターボンドタイプのインサート14に対して本発明の技術思想が適用されているが、他のタイプのインサートを有するウエザストリップに対して、本発明の技術思想を適用することとしてもよい。従って、図7に示すように、複数の骨片部61と、各骨片部61の両端側部分を連結するサイドボンド部62,63(連結部に相当する)とを備えてなる、いわゆるサイドボンドタイプのインサート64を有するウエザストリップにおいて本発明の技術思想を適用することとしてもよい(同図では、曲げ加工前の状態を示している)。また、図8に示すように、押出成形時においては、サイドボンド部72,73によって各骨片部71が連結される一方で、加硫処理後に、前記サイドボンド部72,73を切断し、骨片部71同士を切り離す、いわゆる分離タイプのインサート74を有するウエザストリップにおいて本発明の技術思想を適用することとしてもよい。尚、図8では、曲げ加工前であって、サイドボンド部72,73が破断される前の状態を示している。また、同図では、同図二点鎖線に沿ってサイドボンド部72,73が破断される。
【0043】
尚、分離タイプのインサート74を有してなるウエザストリップ75は、例えば、図9に示すように、自動車81のトランクルームの開口部83を開閉するトランクリッド(ラゲージドア)82の閉鎖時において、トランクリッド82とトランクルームの開口部83の周縁部との間をシールすべく、前記開口部83に設けられるものが挙げられる。
【0044】
当該ウエザストリップ75は、図10に示すように、前記開口部83に形成されたフランジ84に保持されるトリム部76と、当該トリム部76から突出し、前記トランクリッド82の閉鎖時において、トランクリッド82の周縁に圧接される中空状のシール部77とを備える。また、前記インサート74は、前記トリム部76の内部に埋設されているが、本実施形態においては、図11に示すように、前記サイドボンド部72,73及び骨片部71のうちサイドボンド部72,73の間に位置する部位が、EPDMソリッドゴムにより形成された被覆膜78によって被覆される。
【0045】
(b)上記実施形態では、(サイドフロント)ドア2に対応するボディ側のドア開口3周縁に設けられるウエザストリップ4について具体化しているが、リヤドア、バックドア、ルーフドア(スライディングルーフパネル)等の他のドア開口周縁に設けられるウエザストリップについて適用することも可能である。
【符号の説明】
【0046】
1,81…車両としての自動車、2…ドア、3…ドア開口、4,75…ウエザストリップ、5,55…トリム部、6…シール部、14,64,74…インサート、23…フランジ、31,61,71…骨片部、32…連結部としてのセンターボンド部、51,52,78…被覆膜、53…架橋剤、62,63…連結部としてのサイドボンド部、72,73…連結部としてのサイドボンド部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドア開口周縁部のフランジに保持されるとともに、発泡ゴムからなる断面U字状のトリム部と、
前記トリム部から突出して設けられ、ドア閉時にドアの周縁に圧接される中空状のシール部と、
互いに略平行に配設された複数の短冊状の骨片部を有し、前記トリム部内に埋設されるインサートとを備え、
前記トリム部は、前記インサートを覆うようにして押出成形された未加硫の発泡ゴムに対して加硫処理を施すことによって形成されるとともに、
少なくとも前記加硫処理時において、前記インサートは前記各骨片部同士を連結する複数の連結部を有してなるウエザストリップであって、
少なくとも前記各骨片部のうち前記各連結部間に位置する部位、及び、前記各連結部が、前記発泡ゴムと同一又は同種素材のソリッドゴムからなる被覆膜によって被覆されていることを特徴とするウエザストリップ。
【請求項2】
前記インサートの表面全域が、前記被覆膜で被覆されていることを特徴とする請求項1に記載のウエザストリップ。
【請求項3】
車両のドア開口周縁部のフランジに保持されるとともに、発泡ゴムからなる断面U字状のトリム部と、
前記トリム部から突出して設けられ、ドア閉時にドアの周縁に圧接される中空状のシール部と、
互いに略平行に配設された複数の短冊状の骨片部を有し、前記トリム部内に埋設されるインサートとを備え、
前記トリム部は、前記インサートを覆うようにして押出成形された未加硫の発泡ゴムに対して加硫処理を施すことによって形成されるとともに、
少なくとも前記加硫処理時において、前記インサートは前記各骨片部同士を連結する複数の連結部を有してなるウエザストリップであって、
少なくとも前記各骨片部のうち前記各連結部間に位置する部位、及び、前記各連結部を覆う被覆膜を有し、
前記被覆膜は、前記押出成形に先立って、少なくとも前記各骨片部のうち前記各連結部間に位置する部位、及び、前記各連結部の表面に架橋剤が塗布され、前記押出成形の後に前記加硫処理が施されることによって形成されていることを特徴とするウエザストリップ。
【請求項4】
前記架橋剤は、前記インサートの表面全域に塗布されていることを特徴とする請求項3に記載のウエザストリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−76741(P2010−76741A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65831(P2009−65831)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】