説明

エアゾル化粧料容器及びエアゾル化粧料

【課題】 エアゾル化粧料に於いて、粘性、硬度の高い内容物の、製造ロット毎に吐出特性を可変出来る技術を提供する。
【解決手段】 ベンチュリー構造の一部を遮蔽すべき、位置設定の変更可能な遮蔽体をバルブハウジングの外周に配したことを特徴とする、エアゾル容器用のバルブを装着した、二室タイプのエアゾル容器に内容物を、発泡のための気化成分とともに、エアゾル容器の内袋に充填、密封する。内容物の、粘性、硬度にあわせて遮蔽体をスライドさせてベンチュリー構造の面積を調整し、吐出量を調整する。エアゾル容器の外室には内袋より高い圧の気化成分を充填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾル化粧料、エアゾル化粧料の吐出量の調整方法、エアゾル化粧料用の容器、エアゾル化粧料用の容器のバルブ及びバルブハウジング遮蔽体に関する。
【背景技術】
【0002】
通常泡沫を吐出するエアゾール化粧料は、所謂ディップチューブタイプと言われるエアゾール缶に、乳化物と、それを発泡するためのガス成分とを充填し、前記ガス成分の圧力を利用して、前記乳化物を泡沫としてノズルより吐出する構造を取っている。この様な発泡形態では、前記乳化物の粘度が10000mpas秒を越すと、吐出性が著しく損なわれ、20000mpas秒以上であると、殆ど吐出不可能となる。この為、吐出の為の内容物は、乳液のような流動性を有するものに限られる。従って、泡の強度、コシを向上させる成分の配合、水以外の連続相の使用には大きな制限が存するのが現状となっている。
【0003】
この様な重質の泡沫の吐出の代替として、流動性の少ない粘度の高い内容物に少量のガスを内包させ、クリームとして吐出させた後、徐々に発泡させる、ポストフォーム剤形が考案され、その為の容器として、移動可能かつ内容物を分離可能な隔壁によって分離された二室容器内部の一方の空間部に吐出される内容物が充填され、他方の空間部に、前記内容物を押し出すために加圧する圧縮ガスが充填されたエアゾール製剤が開発されている。これが所謂ダブルチャンバータイプ(2室形態)のエアゾール容器である。(例えば、特許文献1を参照)しかしながら、ダブルチャンバー技術は種々知られているにもかかわらず、(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9,特許文献10を参照)この様な形態で泡沫を吐出するものは知られていないし、粘度が20000mpas秒以上のものを吐出するものは知られていない。又、この様な高粘度域の内容物に於いては、時として製造条件により、同一の処方であっても、粘度或いは硬度等の粘動力学的特性が大きく異なる場合が存する。この様な内容物を、常に同じ構造のエアゾル容器に充填して商品とすると、その製造ロット毎に吐出特性が異なり、使用性を大きく損ねてしまう危険が存する。エアゾル容器において、吐出特性を制御する手段としては、バルブ構造に特徴を持たせる技術が知られているが(例えば、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14を参照)、これらは内容物にロット毎に吐出特性を制御できる方法とは到底言い難い。即ち、内容物の製造ロット毎に吐出特性を可変出来る、エアゾル化粧料乃至はエアゾル容器の開発が望まれていると言える。
【0004】
一方、エアゾル容器のバルブハウジングのベンチュリー構造の一部を遮蔽することで、エアゾル化粧料の吐出特性を制御する方法は全く知られていない。
【0005】
【特許文献1】特開平11−349934号公報
【特許文献2】特開平10−72074号公報
【特許文献3】特開平09−19398号公報
【特許文献4】特開平11−33444号公報
【特許文献5】特開2001−225883号公報
【特許文献6】特開2003−265227号公報
【特許文献7】特開2001−2153号公報
【特許文献8】特開平10−305879号公報
【特許文献9】特開2001−328668号公報
【特許文献10】特開平10−295618号公報
【特許文献11】特開平11−114459号公報
【特許文献12】特開2004−167458号公報
【特許文献13】特開2004−18118号公報
【特許文献14】特開平8−57369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、エアゾル化粧料に於いて、内容物の製造ロット毎に吐出特性を可変出来る技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、エアゾル化粧料に於いて、内容物の製造ロット毎に吐出特性を可変出来る技術を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、エアゾル容器のバルブハウジングのベンチュリー構造の一部を遮蔽することで、エアゾル化粧料の吐出特性を制御出来ることを見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
(1)内部に流体、粘性流体、クリーム乃至はゲル状物質とを充填したエアゾール容器の上方部分に設けられた噴口と、前記容器の上部目金板を貫通しかつ軸方向に穿設された軸方向孔及びこれに連通する開閉可能な横方向に穿設されたステムオリフィスとを介して容器内部と噴口とを連通するバルブステムと、上方部分が前記目金板に固定されかつ前記容器内部において該バルブステムを軸方向に沿って摺動可能に案内するバルブハウジングと、外周縁部が前記ハウジングの上端面と前記目金板との間に固定されかつ内周縁部がバルブステムの周溝内に嵌入して前記細孔の開閉を制御している環状のステムラバーとを有し、更に、前記バルブハウジングが、前記バルブステムを前記目金板に対して弾性的に付勢するスプリングを内装し、バルブハウジング下方の軸方向に対して横部にベンチュリー構造を有する、倒立使用専用乃至は2室エアゾル容器用のバルブにおいて、前記ベンチュリー構造の一部を遮蔽すべき、位置設定の変更可能な遮蔽体をバルブハウジングの外周に配したことを特徴とする、エアゾル容器用のバルブ。
(2)前記バルブのバルブハウジング及び位置設定の変更可能な遮蔽体の少なくとも一方が弾性を有する材料で作られたものであることを特徴とする、(1)に記載のエアゾル容器用のバルブ。
(3)バルブを装着すべきエアゾル容器が、移動可能かつ内容物を分離可能な隔壁によって分離された二室容器内部の一方の空間部に吐出される内容物が充填され、他方の空間部に、前記内容物を押し出すために加圧する圧縮ガスが充填されるべき構造のものであることを特徴とする、(1)又は(2)に記載のエアゾル容器用のバルブ。
(4)(1)〜(3)何れか1項に記載のバルブを装着することを特徴とする、移動可能かつ内容物を分離可能な隔壁によって分離された二室容器内部の一方の空間部に吐出される内容物が充填され、他方の空間部に、前記内容物を押し出すために加圧する圧縮ガスが充填されるべき構造を有するエアゾル容器。
(5)粘性流体、クリーム状組成物乃至はゲル状組成物を、(4)に記載のエアゾル容器の隔壁内部に気化成分とともに充填し、その周囲の空間部に吐出のための気化成分を充填してなるエアゾル化粧料。
(6)押出のための気化成分の圧力が、前記内容物に含まれる気化成分の圧力よりも高いことを特徴とする、(5)に記載の化粧料。
(7)ポストフォーム化粧料であることを特徴とする、(5)又は(6)に記載の化粧料。
(8)有効成分として、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、それらのエステル及びそれらの塩から選択される1種乃至は2種以上を、総量で、化粧料全量に対し、0.04〜0.4質量%含有する、抗炎症作用を訴求した医薬部外品であることを特徴とする、(7)に記載の化粧料。
(9)抗炎症作用を有する旨と医薬部外品である旨とを表示してあることを特徴とする、(8)に記載の化粧料。
(10)粘性流体、クリーム状組成物乃至はゲル状組成物を吐出するエアゾル化粧料に於いて、前記エアゾル化粧料を構成するエアゾル容器のバルブハウジングのベンチュリー構造の一部を遮蔽することを特徴とする、エアゾル化粧料の吐出量の調整方法。
(11)(10)に記載の調整方法のための、ベンチュリー構造の一部を遮蔽するための遮蔽体。
(12)リング状の構造であることを特徴とする、(11)に記載の遮蔽体。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、エアゾル化粧料に於いて、内容物の製造ロット毎に吐出特性を可変出来る技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(1)本発明のエアゾル容器
本発明のエアゾル容器は、バルブ部分に吐出量の制御可能な構造を有することを特徴とする。即ち、かかるバルブ部分は、エアゾール容器の上方部分に設けられた噴口と、前記容器の上部目金板を貫通しかつ軸方向に穿設された軸方向孔及びこれに連通する開閉可能な横方向に穿設されたステムオリフィスとを介して容器内部と噴口とを連通するバルブステムと、上方部分が前記目金板に固定されかつ前記容器内部において該バルブステムを軸方向に沿って摺動可能に案内するバルブハウジングと、外周縁部が前記ハウジングの上端面と前記目金板との間に固定されかつ内周縁部がバルブステムの周溝内に嵌入して前記細孔の開閉を制御している環状のステムラバーとを有し、更に、前記バルブハウジングが、前記バルブステムを前記目金板に対して弾性的に付勢するスプリングを内装し、バルブハウジング下方の軸方向に対して横部にベンチュリー構造を有する、倒立使用専用乃至は2室エアゾル容器用のバルブにおいて、前記ベンチュリー構造の一部を遮蔽すべき、位置設定の変更可能な遮蔽体をバルブハウジングの外周に配したことを特徴とする。エアゾル容器の上方部分に設けられた噴口は、吐出物の吐出形態に合わせて、既存のものを選択することが出来る。特に、本発明のエアゾル容器に特徴的な、高粘度の組成物や半固形の組成物を吐出させるためには、口径の広いものが好ましく、0.5〜1mmφの噴口が好ましく例示できる。この様な噴口の材料としては、ステンレスやアルミニウムなどの金属や、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂などのプラスチックなどの何れもが使用可能である。かかる噴口は、容器の上部目金板を貫通しかつ軸方向に穿設された軸方向孔と接続されている。かかる軸方向孔は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステルなどの多少の可塑性を有する材料で作成することが好ましい。これは、噴口と滑らかに密着するためである。ステムオリフィスはバルブステムの軸方向に対して横部に穿孔されており、通常はステムラバーによって遮蔽されており、使用時に下方にバルブステムを押し込むことにより、容器内部と連結し、容器内部より内容物を吐出する。かかるバルブステムは通常の状態ではその下部に配された弾性体のスプリングによって上方に押し上げられており、この押し上げられた状態に於いては、ステムラバーによってステムオリフィスが閉鎖されており、内容物は吐出しない。かかるステムラバーの材質は、ゴム、シリコーンゴムなどの弾性材料を用いることが好ましい。バルブハウジングは下方の軸方向に対して横部にベンチュリー構造が設けられている。ベンチュリー構造としては、内容物の粘度乃至は硬度が最も高いものが吐出するのに適切なように設けることが好ましく、その個数は1〜6個程度設けることが好ましい。形状としては、後記に示す遮蔽構造によって一部が遮蔽され、遮蔽される面積によって、内容物の硬度、粘度に対応するため、縦長にして、遮蔽部分の面積の可変性が高い形状が好ましい。例えば、長方形、楕円形などの形状が好ましく例示できる。かかるバルブハウジングの材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステルなどの多少の可塑性を有する材料で作成することが好ましい。かかるバルブハウジングの外周には位置の変更可能な遮蔽体を配する。該遮蔽体は、前記ベンチュリー構造の一部を遮蔽し、その遮蔽の程度によって、内容物の適正な吐出に要するベンチュリー構造の面積を調整する。この様な調整は、遮蔽体を上下に摺動することによって行われる。かかる遮蔽体の位置の保持は遮蔽体自身及び/又はバルブハウジングの弾性構造による密着や、予めバルブハウジングと遮蔽体に設けられたネジ構造のかみ合わせによって為されることが好ましい。本発明のエアゾル容器は、高粘度、高硬度の内容物に適したものであり、内容物のバルブハウジング内部への移動は、通常のようにバルブハウジングの下部に設けられたディープ・チューブによらず、前記ベンチュリー構造によることが好ましい。これはディープ・チューブでは抵抗がかかりすぎてしまい、吐出性能が妨げられるためである。前記遮蔽体の材質としては、弾性構造による密着を利用する場合には、弾性を有するものが好ましく、ゴム、シリコーンゴム、ポリエチレンなどが好ましく例示できる。又、ネジ構造により位置を保持する場合には、かかる弾性を有する材料以外に、ステンレス、アルミニウムなどの金属やポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレンなどの弾性の少ない材料も使用することが出来る。又、かかる遮蔽体の形状は、バルブハウジングと接する部分が密着できる構造であり、ベンチュリー構造の面積を調整できる接触面積を有するものであれば、その他の形状については特に限定されない。かかる本発明のエアゾル容器は、高粘度、高硬度の内容物を充填すべきものであるが、その使用態様において、倒立使用を必須の使用条件とすることが出来れば、低粘度内容物、液状内容物様にも使用することが出来る。
【0010】
本発明のエアゾル容器は、高粘度、高硬度の内容物を充填すべきものであることから、それに好適な二室容器の構造を取ることが好ましい。ここで、二室容器としては、移動可能かつ内容物を分離可能な隔壁によって分離された二室容器内部の一方の空間部に吐出される内容物が充填され、他方の空間部に、前記内容物を押し出すために加圧する圧縮ガスが充填された形態の容器が例示できる。この様な容器については、前記特許文献1〜10に記載が存するので、この様な技術に準じて製造することが出来る。本発明の化粧料として、泡沫化粧料やポストフォーム化粧料に応用する場合には、内容物自身にも気化成分を含有するが、この場合には、押出のための圧縮ガスの圧力が、前記内容物に含まれるガスのガス圧よりも高いことが好ましい。かかる二室容器としては、特許文献1〜10に開示されているようなものであれば、特段の限定無く使用することが出来、前記移動可能かつ内容物を分離可能な隔壁としては、例えば、ポリエチレン製、ポリプロピレン製乃至はポリエチレンテレフタレート製などの、加圧により変形可能であって、内容物を構成する、化粧料組成物と発泡のためのガス成分とを透過させない性質の内袋が好ましく例示できる。
【0011】
内袋の外側を覆う容器は、通常のエアゾール容器に準じれば良く、アルミニウム、ステンレスなどの金属缶が好ましく例示できる。吐出ノズルは通常泡沫エアゾールの吐出にしっようされているものであれば特段の限定無く使用することが出来る。
【0012】
前記二室容器に充填される内容物は、化粧料組成物と、発泡のためのガス成分とからなる。発泡のためのガス成分としては、液化石油ガスを使用することが出来、発泡の状態にあわせて、その組成を自由に選択することが出来る。充填後は、圧力が0.17〜0.45mpas、より好ましくは、0.20〜0.40mpasになるように調整して充填することが好ましい。
【0013】
(2)充填すべき化粧料組成物
前記本発明のエアゾル容器には、化粧料組成物と、気化成分(ガス)を充填して、本発明の化粧料と為す。この様な化粧料組成物としては、エアゾル化粧料で使用されている化粧料組成物であれば特段の限定無く使用できるが、本発明の効果が最も発揮される、ガスを含まない状態での粘度が20000mpas秒以上のもの、より好ましくは25000mpas秒以上のものが好ましく例示できる。測定の温度は20℃である。その剤形も、化粧料で使用されている剤形であれば特段の限定はないが、粘度が非常に高くなる傾向にあり、しかも粘度に温度依存性が存する、非水乳化剤形であることが好ましく、前記非水乳化剤形としては、グリセリンを70質量%以上、より好ましくは75質量%以上含有するものが特に好ましい。これは、この様な剤形を泡沫状に吐出させることにより、温感発現が長時間持続するフォームが形成されるためである。この様なフォームは、エステティックのパックに於いて、優れたリラクゼーション効果を奏するので、特に好ましい。
【0014】
前記化粧料組成物には、前記の成分以外に、通常化粧料で使用される任意の成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸,ローカストビーンガム,サクシノグルカン,カロニン酸,キチン,キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等の増粘剤、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類、表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,γ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類などが好ましく例示できる。かかる成分を常法に従って処理することにより、本発明の化粧料の内容物を構成する、化粧料組成物は製造することが出来る。
【0015】
本発明の化粧料は、前記内容物を二室容器の内袋に充填し、その外部に更に吐出のためのガスを充填してあることを特徴とする。前記内袋の外側に充填するガスとしては、前記内容物に含有される発泡のためのガスよりも、0.05mpas以上、より好ましくは、0.07mpas以上圧力が高いことが好ましいが、使用される成分構成については、前記圧力条件を満足する範囲に於いて、特段の限定はされない。この様なガス成分の内、好ましいものを例示するならば、例えば、液化石油ガス、二酸化炭素、圧縮空気、窒素ガス、ヘリウムガス、ジメチルエーテルなどが挙げられる。
【0016】
かくして得られた、本発明の化粧料は、粘度の高い化粧料組成物を発泡、吐出させ、重質な泡沫を形成させる特性を有する。又、かかる吐出性は、温度依存性が少なく、低温であっても室温同様の発泡、吐出をさせることが出来る。更に、内容物の残量が少なくなっても、吐出物の発泡性は殆ど変化しない効果を有する。
【0017】
ここで特記すべきことは、通常粘度が20000mpas秒以上のものについては、製造ロットによって、同じ成分を用いながら、できあがりの粘度、硬度が著しく異なる場合が存することである。この様な物性は吐出特性に影響を与えるものであり、今までのエアゾル容器であれば、粘度、硬度にあわせてバルブ形状を変えて対応しなければならなかった。本発明のエアゾル容器では、遮蔽体の位置を変えることにより、こうした粘度、硬度に適したベンチュリー構造の面積を調整することが出来ることである。
【0018】
以下に、実施例を挙げて、本発明について、更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ、限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0019】
<エアゾルバルブ>
図1に本発明のエアゾルバルブの1例を示す。摺動可能な遮蔽体はシリコーンラバー製であり、ポリエチレン製のバルブハウジングを上下に摺動することにより、ベンチュリー構造体(ベンチュリー溝)を遮蔽する面積を調整する。該バルブハウジングとベンチュリー構造体を外側から見た様子は図2に示す。前記遮蔽体はリング状の形状をしており、その内径は、前記バルブハウジングの外径よりも5%程小さく、遮蔽体はそれ自身の変形による、遮蔽体自身の弾性と、バルブハウジングの弾性により、その位置を保持している。
【実施例2】
【0020】
<エアゾルバルブ>
摺動可能な遮蔽体はリング状の形状をしており、ポリプロピレン製であり、その内径に雌のネジ山が切られている。バルブハウジングの外側には遮蔽体のネジ山と嵌合する雄のネジ山が切られており、遮蔽体はネジで嵌合しながら、回転によりバルブハウジングを摺動する。それ以外は、実施例1のエアゾルバルブと同じ構造を有する。これを図3に示す。
【実施例3】
【0021】
<エアゾル化粧料>
実施例1のエアゾルバルブを二室容器に装着し、図4に示すエアゾル容器とした。このものに次に示す処方の化粧料組成物1を作成した。即ち、イ、ロ、ハの成分を75℃に加温して、イとロとを混合し、これに攪拌下徐々にハを加え、攪拌冷却して化粧料組成物1を得た。この動作を3回繰り返したところ、硬度の異なるものが得られた。硬度は11.3mmφのアタッチメントで100g荷重の条件でカードメータで測定した。エアゾルバルブの位置を調整し、ベンチュリー溝の遮蔽度を変えた容器を3種類用意し、それぞれの硬度の化粧料組成物1を80gとり、1gのノルマルブタンとイソブタンの1:4の混合ガスとともにそれぞれの容器の内袋に充填した。外袋部に1.2gの混合ガスを充填し、(内袋より0.07mpas加圧状態)本発明のポスト・フォーム化粧料とした。密封後20℃で吐出試験を行った。この結果を表1に示す。これより、本発明のエアゾル容器は内容物の硬度のぶれに対して、簡便且つ速やかに対応できることが判る。又、本発明の化粧料は、化粧料組成物の物性値がバラツキいても、最終品質は変わらないことがわかる。
【0022】
イ)
水添レシチン 0.3 質量%
セラミド2 0.1 質量%
セイヨウノコギリソウエキス 0.1 質量%
POE(20)ベヘニルエーテル 0.5 質量%
1,3−ブタンジオール 3.5 質量%
デカグリセリントリステアレート 2.22 質量%
デカグリセリンモノオレート 2 質量%
メチルパラベン 0.2 質量%
フェノキシエタノール 0.5 質量%
グリセリン 2 質量%
ロ)
スクワラン 3 質量%
「エルデューPS203」(味の素株式会社製) 5 質量%
(N−ラウロイルグルタミン酸(フィトステリル/オクチルドデシル))
マカデミアナッツ油 2 質量%
グリセリルトリイソステアレート 2 質量%
δ−トコフェロール 0.01 質量%
サポジトリベースG 2.5 質量%
ベヘニルアルコール 0.25 質量%
ステアリン酸 1 質量%
グリチルレチン酸ステアリル 0.05 質量%
ハ)
ジグリセリン 3 質量%
グリセリン 50.02 質量%
キサンタンガム 0.02 質量%
水 20 質量%
【0023】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、重質の泡沫を吐出するエアゾル化粧料に応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例1のエアゾルバルブの構造を示す図である。
【図2】実施例1のエアゾルバルブのバルブハウジングの外観図である。
【図3】実施例2のエアゾルバルブの構造を示す図である。
【図4】実施例3のエアゾル容器の構造を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流体、粘性流体、クリーム乃至はゲル状物質とを充填したエアゾール容器の上方部分に設けられた噴口と、前記容器の上部目金板を貫通しかつ軸方向に穿設された軸方向孔及びこれに連通する開閉可能な横方向に穿設されたステムオリフィスとを介して容器内部と噴口とを連通するバルブステムと、上方部分が前記目金板に固定されかつ前記容器内部において該バルブステムを軸方向に沿って摺動可能に案内するバルブハウジングと、外周縁部が前記ハウジングの上端面と前記目金板との間に固定されかつ内周縁部がバルブステムの周溝内に嵌入して前記細孔の開閉を制御している環状のステムラバーとを有し、更に、前記バルブハウジングが、前記バルブステムを前記目金板に対して弾性的に付勢するスプリングを内装し、バルブハウジング下方の軸方向に対して横部にベンチュリー構造を有する、倒立使用専用乃至は2室エアゾル容器用のバルブにおいて、前記ベンチュリー構造の一部を遮蔽すべき、位置設定の変更可能な遮蔽体をバルブハウジングの外周に配したことを特徴とする、エアゾル容器用のバルブ。
【請求項2】
前記バルブのバルブハウジング及び位置設定の変更可能な遮蔽体の少なくとも一方が弾性を有する材料で作られたものであることを特徴とする、請求項1に記載のエアゾル容器用のバルブ。
【請求項3】
バルブを装着すべきエアゾル容器が、移動可能かつ内容物を分離可能な隔壁によって分離された二室容器内部の一方の空間部に吐出される内容物が充填され、他方の空間部に、前記内容物を押し出すために加圧する圧縮ガスが充填されるべき構造のものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のエアゾル容器用のバルブ。
【請求項4】
請求項1〜3何れか1項に記載のバルブを装着することを特徴とする、移動可能かつ内容物を分離可能な隔壁によって分離された二室容器内部の一方の空間部に吐出される内容物が充填され、他方の空間部に、前記内容物を押し出すために加圧する圧縮ガスが充填されるべき構造を有するエアゾル容器。
【請求項5】
粘性流体、クリーム状組成物乃至はゲル状組成物を、請求項4に記載のエアゾル容器の隔壁内部に気化成分とともに充填し、その周囲の空間部に吐出のための気化成分を充填してなるエアゾル化粧料。
【請求項6】
押出のための気化成分の圧力が、前記内容物に含まれる気化成分の圧力よりも高いことを特徴とする、請求項5に記載の化粧料。
【請求項7】
ポストフォーム化粧料であることを特徴とする、請求項5又は6に記載の化粧料。
【請求項8】
有効成分として、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、それらのエステル及びそれらの塩から選択される1種乃至は2種以上を、総量で、化粧料全量に対し、0.04〜0.4質量%含有する、抗炎症作用を訴求した医薬部外品であることを特徴とする、請求項7に記載の化粧料。
【請求項9】
抗炎症作用を有する旨と医薬部外品である旨とを表示してあることを特徴とする、請求項8に記載の化粧料。
【請求項10】
粘性流体、クリーム状組成物乃至はゲル状組成物を吐出するエアゾル化粧料に於いて、前記エアゾル化粧料を構成するエアゾル容器のバルブハウジングのベンチュリー構造の一部を遮蔽することを特徴とする、エアゾル化粧料の吐出量の調整方法。
【請求項11】
請求項10に記載の調整方法のための、ベンチュリー構造の一部を遮蔽するための遮蔽体。
【請求項12】
リング状の構造であることを特徴とする、請求項11に記載の遮蔽体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−8172(P2006−8172A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−187146(P2004−187146)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】